JP2018024562A - カーボンナノチューブ複合材の製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ複合材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】カーボンナノチューブ複合材において、カーボンナノチューブ構造体の位置精度の向上を図ることができるカーボンナノチューブ複合材の製造方法を提供すること。【解決手段】間隔1Aを空けて複数の金型板1を配置し、間隔1A内にCNT構造体3を配置するとともに、間隔1A内に配置したCNT構造体3を金型板1により固定し、次いで、間隔1A内にマトリックス6を注入し、当該マトリックス6を硬化させる。【選択図】図3

Description

本発明は、カーボンナノチューブ複合材の製造方法に関する。
カーボンナノチューブは、優れた機械強度、熱伝導性および電気伝導性を有していることが知られており、カーボンナノチューブを各種産業製品に利用することが検討されている。しかし、カーボンナノチューブ単独では、要求される機械特性や電気特性などを十分に確保できない場合がある。そこで、カーボンナノチューブに、必要な特性を付与すべく、他の材料を複合することが検討されている。
例えば、基板上に垂直に配向したカーボンナノチューブを形成した後、カーボンナノチューブに高分子系成形材料を含浸させる異方導電性シートの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−287375号公報
しかし、特許文献1に記載の異方導電性シートの製造方法では、高分子系成形材料をカーボンナノチューブに含浸させるときに、カーボンナノチューブが倒れてしまい、カーボンナノチューブを所望の位置に精度よく配置することが困難となる場合がある。
そこで、本発明の目的は、カーボンナノチューブ複合材において、カーボンナノチューブ構造体の位置精度の向上を図ることができるカーボンナノチューブ複合材の製造方法を提供することにある。
本発明[1]は、カーボンナノチューブ複合材の製造方法であって、a)間隔を空けて少なくとも2枚の板を配置する工程と、b)前記間隔内にカーボンナノチューブ構造体を配置する工程と、c)前記間隔内に配置したカーボンナノチューブ構造体を固定手段により固定する工程と、d)前記間隔内にマトリックスを注入し、当該マトリックスを硬化させる工程と、を備えるカーボンナノチューブ複合材の製造方法を含んでいる。
このような方法によれば、カーボンナノチューブ構造体が、2枚の板の間の間隔内に配置され、固定手段により固定された後、マトリックスが、その間隔内に注入されて、2枚の板の間で成形される。
つまり、マトリックスが注入されるときに、カーボンナノチューブ構造体が固定されているので、カーボンナノチューブ構造体が所望の位置からずれることを抑制できる。その結果、カーボンナノチューブ複合材において、カーボンナノチューブ構造体の位置精度の向上を図ることができる。
本発明[2]は、前記b)工程において、前記カーボンナノチューブ構造体が、複数のカーボンナノチューブを撚ってなる撚糸である、上記[1]に記載のカーボンナノチューブ複合材の製造方法を含んでいる。
このような方法によれば、カーボンナノチューブ構造体が撚糸であるので、カーボンナノチューブ構造体がカーボンナノチューブ群のシートである場合よりも、カーボンナノチューブ構造体の強度を確保することができる。そのため、マトリックスが注入されるときに、撚糸がほぐれてしまうことを抑制できる。
本発明[3]は、前記c)工程において、前記固定手段が、前記撚糸を前記各板に通すことによって前記各板に固定する、上記[2]に記載のカーボンナノチューブ複合材の製造方法を含んでいる。
このような方法によれば、カーボンナノチューブ構造体が、強度が確保される撚糸であるので、各板に安定して通すことができる。そのため、マトリックスが注入されるときに、2枚の板の間に位置する撚糸が、所望の位置からずれることを安定して抑制できる。また、マトリックスは2枚の板の間の間隔に注入されるので、2枚の板に通される撚糸はマトリックスを確実に貫通することができる。
その結果、撚糸をマトリックスに確実に貫通させることができながら、カーボンナノチューブ複合材において、撚糸の位置精度の向上を図ることができる。
本発明[4]は、前記各板が、前記撚糸を通す箇所に予め穴を備える、上記[3]に記載のカーボンナノチューブ複合材の製造方法を含んでいる。
このような方法によれば、撚糸を予め各板に形成される穴に通すので、撚糸と各板との相対的な位置精度の向上を図ることができる。そのため、カーボンナノチューブ複合材において、撚糸の位置精度のさらなる向上を図ることができる。
本発明[5]は、前記a)工程において、前記板が、複数のスリットを備える櫛状の板であって、前記c)工程において、前記固定手段が、前記撚糸を前記スリットに通すことによって前記各板に固定する、上記[2]または[3]に記載のカーボンナノチューブ複合材の製造方法を含んでいる。
このような方法によれば、撚糸を各板のスリットに通すことにより各板に固定するので、撚糸を各板の穴に通す場合よりも、円滑に撚糸を各板に通すことができる。そのため、カーボンナノチューブ複合材において、撚糸の位置精度の向上を図ることができながら、カーボンナノチューブ複合材の製造効率の向上を図ることができる。
本発明[6]は、前記板を通した前記撚糸を固定する別の固定手段を前記板の外側に備える、上記[3]または[5]に記載のカーボンナノチューブ複合材の製造方法を含んでいる。
このような方法によれば、各板を通した撚糸を、2枚の板の外側において、別の固定手段によってさらに固定するので、マトリックスを注入するときに、2枚の板の間に位置する撚糸が、所望の位置からずれることをより一層抑制できる。
本発明[7]は、前記b)工程において、前記カーボンナノチューブ構造体が、垂直配向カーボンナノチューブ群のシートである、上記[1]に記載のカーボンナノチューブ複合材の製造方法を含んでいる。
このような方法によれば、カーボンナノチューブ構造体が垂直配向カーボンナノチューブ群のシートであっても、マトリックスを注入するときに、垂直配向カーボンナノチューブ群のシートが固定手段によって固定されているので、垂直配向カーボンナノチューブ群のシートが所望の位置からずれることを抑制できる。
本発明[8]は、前記c)工程において、前記固定手段が、前記各板に電流を通して前記シートを固定する、上記[7]に記載のカーボンナノチューブ複合材の製造方法を含んでいる。
このような方法によれば、各板に電流を通して、垂直配向カーボンナノチューブ群のシートに磁場を印加するので、静電気力、磁力によって垂直配向カーボンナノチューブ群のシートを固定することができる。
本発明によれば、カーボンナノチューブ複合材において、カーボンナノチューブ構造体の位置精度の向上を図ることができるカーボンナノチューブ複合材の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明のカーボンナノチューブ複合材の製造方法の第1実施形態を説明するため説明図であって、間隔を空けて複数の金型板を配置する工程を示す。 図2は、図1に示す複数の金型板に撚糸を通すことによって固定する工程を示す。 図3は、図2に示す複数の金型板の間の間隔にマトリックスを注入する工程を示す。 図4Aは、図3に示すマトリックスおよび撚糸が複合化されたカーボンナノチューブ複合材の側面図である。図4Bは、図4Aに示すカーボンナノチューブ複合材の斜視図である。 図5Aは、図2に示す撚糸の調製工程を説明するための説明図であって、基板上に触媒層を形成する工程を示す。図5Bは、図5Aに続いて、基板を加熱して、触媒層を複数の粒状体に凝集させる工程を示す。図5Cは、図5Bに続いて、複数の粒状体に原料ガスを供給して、複数のカーボンナノチューブを成長させる工程を示す。図5Dは、図5Cに続いて、複数のカーボンナノチューブを引き出して、カーボンナノチューブウェブを調製する工程を示す。 図6は、図5Dに示すカーボンナノチューブウェブを撚りかけて撚糸を調製する工程を示す。 図7Aは、本発明の第2実施形態により製造されるカーボンナノチューブ複合材の側面図である。図7Bは、本発明の第3実施形態により製造されるカーボンナノチューブ複合材の側面図である。 図8は、本発明の第4実施形態において、複数の金型板の穴に撚糸を通すことによって固定する工程を示す。 図9Aは、本発明の第5実施形態において、間隔を空けて複数の櫛状の金型板を配置する工程を示す。図9Bは、図9Aに示す複数の金型板のスリットに撚糸を通すことによって固定する工程を示す。 図10は、本発明の第6実施形態において、複数の第1金型板に撚糸を通すことによって固定するとともに、複数の第2金型板に撚糸を通すことによって固定する工程を示す。 図11は、本発明の第6実施形態により製造されるカーボンナノチューブ複合材の斜視図である。 図12は、本発明の第7実施形態に係るシートを調製する工程を示す。 図13は、図12に示すシートを複数の金型板に固定する工程を示す。 図14は、本発明の第8実施形態において、シートを磁場により複数の金型板に固定する工程を示す。 図15は、本発明の第9実施形態において、撚糸を複数の金型板と固定部材とにより固定する工程を示す。
1.第1実施形態
図1〜図6を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。本発明の第1実施形態は、カーボンナノチューブ複合材7(以下、CNT複合材7とする。図4A参照)の製造方法であって、a)間隔1Aを空けて少なくとも2枚の金型板1を配置する工程(図1参照)と、b)間隔1A内にカーボンナノチューブ構造体3(以下、CNT構造体3とする。)を配置する工程(図2参照)と、c)間隔1A内に配置したCNT構造体3を金型板1により固定する工程(図2参照)と、d)間隔1A内にマトリックス6を注入し、マトリックス6を硬化させる工程(図3参照)とを備えている。
(1−1)a工程(間隔1Aを空けて少なくとも2枚の金型板1を配置する工程)
図1に示すように、a工程では、少なくとも2枚の板の一例としての複数の金型板1を互いに間隔1Aを空けて配置する。
金型板1は、マトリックス6の形状に対応する金型である(図3参照)。金型板1の形状は、板形状であれば特に制限されず、例えば、多角形板状(例えば、矩形板状、六角形板状など)、円板形状、楕円板形状などが挙げられる。なお、図1〜図3では、金型板1が、矩形板形状である場合について示す。また、金型板1の厚みは、特に制限されず適宜変更される。
金型板1の材料は、特に制限されず、例えば、高分子材料、金属材料、セラミック、ガラスなどが挙げられる。複数の金型板1は、互いに同一の材料から形成されていてもよく、互いに異なる材料から形成されていてもよい。
このような金型板1の材料のなかでは、好ましくは、高分子材料が挙げられる。高分子材料としては、例えば、樹脂(例えば、天然樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、多液硬化性樹脂(二液硬化型など)など)、ゴム(例えば、天然ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ブチルゴムなど)、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。高分子材料は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、金型板1の両面は、公知の離型剤により離型処理(表面処理)されていることが好ましい。
なお、第1実施形態では、詳しくは後述するが、金型板1は穴やスリットを備えておらず、CNT構造体3としての撚糸4を針5により金型板1に貫通させる(図2参照)。そのため、第1実施形態では、金型板1の材料は、針5により貫通可能なものが選択される。
金型板1の枚数は、図1では便宜上4枚であるが、2枚以上であれば特に制限されず、要求されるCNT複合材7の製造数に応じて適宜変更される。金型板1の枚数は、2枚以上、好ましくは、3枚以上である。
このような複数の金型板1は、所定方向に互いに間隔1Aを空けて向かい合うように配置される。また、複数の金型板1は、好ましくは、金型板1の厚み方向が所定方向と沿うように、互いに平行に配置される。金型板1の枚数が3枚以上である場合、間隔1Aは、複数の金型板1のうち互いに隣り合う2枚の金型板1(以下、隣り合う金型板1とする。)の間に1つずつ、複数形成される。
複数の間隔1Aは、互いに異なる間隔であってもよく、等間隔であってもよい。複数の間隔1Aが互いに異なる場合、互いに厚みが異なる複数のCNT複合材7を一度に製造することができ、複数の間隔1Aが等しい場合、同じ厚みを有する複数のCNT複合材7を一度に製造することができる。
所定方向における間隔1Aの寸法は、CNT複合材7のサイズに応じて適宜変更されるが、例えば、0.1mm以上、好ましくは、1mm以上、例えば、10mm以下、好ましくは、5mm以下である。
隣り合う金型板1の間に間隔1Aを形成するには、例えば、図3に示すように、隣り合う金型板1の間にスペーサ2を挟み込む。
スペーサ2は、隣り合う金型板1の間に上記の間隔1Aを形成できれば特に制限されない。所定方向におけるスペーサ2の寸法は、例えば、上記の間隔1Aの寸法範囲と同じである。なお、スペーサ2の寸法を変更することにより、間隔1Aの寸法を適宜変更することができる。
また、スペーサ2は、好ましくは、隣り合う金型板1の周縁部の間に挟まれる。また、隣り合う金型板1の間に挟まれるスペーサ2の個数は、特に制限されず、1つであってもよいが、好ましくは、2以上である。なお、第1実施形態では、隣り合う金型板1の周縁部の間にスペーサ2が2つずつ挟まれており、2つのスペーサ2は、隣り合う金型板1の間において、所定方向と交差する(交わる)方向に互いに間隔を空けて配置されている。
(1−2)b工程(間隔1A内にCNT構造体3を配置する工程)およびc工程(間隔1A内に配置したCNT構造体3を金型板1により固定する工程)
次いで、図2および図3に示すように、隣り合う金型板1の間隔1A内にCNT構造体3を配置するとともに、間隔1A内に配置したCNT構造体3を金型板1により固定する。つまり、第1実施形態では、b工程とc工程とが同時に実施される。
CNT構造体3としては、例えば、複数のカーボンナノチューブを撚ってなる撚糸4(図6参照)、垂直配向カーボンナノチューブ群のシート16(図12参照)などが挙げられる。第1実施形態では、CNT構造体3が撚糸4である場合について詳述する。
撚糸4を準備するには、まず、図5A〜図5Dに示すように、化学気相成長法(CVD法)により、基板10上に垂直に配向される垂直配向カーボンナノチューブ群(Vertically Aligned carbon nanotubes;以下、VACNTs15とする。)を成長させる。
詳しくは、図5Aに示すように、まず、基板10を準備する。基板10は、特に限定されず、例えば、CVD法に用いられる公知の基板が挙げられ、市販品を用いることができる。基板10として、具体的には、シリコン基板や、二酸化ケイ素膜11が積層されるステンレス基板12などが挙げられ、好ましくは、二酸化ケイ素膜11が積層されるステンレス基板12が挙げられる。なお、図5A〜図5Dおよび図6では、基板10が、二酸化ケイ素膜11が積層されるステンレス基板12である場合を示す。
そして、図5Aに示すように、二酸化ケイ素膜11(基板10)上に触媒層13を形成する。二酸化ケイ素膜11上に触媒層13を形成するには、金属触媒を、公知の成膜方法により、二酸化ケイ素膜11上に成膜する。
金属触媒としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケルなどが挙げられ、好ましくは、鉄が挙げられる。このような金属触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。成膜方法としては、例えば、真空蒸着およびスパッタリングが挙げられ、好ましくは、真空蒸着が挙げられる。
次いで、図5Bに示すように、触媒層13が配置される基板10を、例えば、700℃以上900℃以下に加熱する。これにより、触媒層13が、凝集して、複数の粒状体13Aとなる。
そして、図5Cに示すように、加熱された基板10に、例えば、1分以上30分以下、原料ガスを供給する。
原料ガスは、炭素数1〜4の炭化水素ガス(低級炭化水素ガス)を含んでいる。炭素数1〜4の炭化水素ガスとしては、例えば、メタンガス、エタンガス、プロパンガス、ブタンガス、エチレンガス、アセチレンガスなどが挙げられ、好ましくは、アセチレンガスが挙げられる。また、原料ガスは、必要により、水素ガスや、不活性ガス(例えば、ヘリウム、アルゴンなど)、水蒸気などを含むこともできる。
これによって、複数の粒状体13Aのそれぞれを起点として、複数のカーボンナノチューブ14(以下、CNT14とする。)が成長する。なお、図5Cでは、便宜上、1つの粒状体13Aから、1つのCNT14が成長するように記載されているが、これに限定されず、1つの粒状体13Aから、複数のCNT14が成長してもよい。
複数のCNT14のそれぞれは、単層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブのいずれであってもよく、好ましくは、多層カーボンナノチューブである。これらCNT14は、単独使用または2種類以上併用することができる。
CNT14の平均外径は、例えば、1nm以上、好ましくは、5nm以上、例えば、100nm以下、好ましくは、50nm以下である。CNT14の平均長さ(平均軸線方向寸法)は、例えば、1μm以上、好ましくは、100μm以上、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下である。なお、CNT14の層数、平均外径および平均長さは、例えば、ラマン分光分析や、電子顕微鏡観察などの公知の方法により測定される。
複数のCNT14は、基板10上において、互いに略平行となるように、基板10の厚み方向に延びており、基板10に対して直交するように配向(垂直に配向)されている。これによって、複数のCNT14からなるVACNTs15が、基板10上に成長する。
また、図5Dおよび図6に示すように、複数のCNT14は、VACNTs15において、基板10の面方向に互いに密集している。VACNTs15の嵩密度は、例えば、10mg/cm以上、好ましくは、20mg/cm以上、例えば、60mg/cm以下、好ましくは、50mg/cm以下である。なお、VACNTs15の嵩密度は、例えば、単位面積当たり質量(目付量:単位 mg/cm)と、カーボンナノチューブの長さ(SEM(日本電子社製)または非接触膜厚計(キーエンス社製)により測定)とから算出される。
次いで、VACNTs15からCNTウェブ17を調製する。具体的には、VACNTs15のうち一部のCNT14を、図示しない引出具により一括して保持して、基板10から離れる方向に引っ張る。
すると、引っ張られたCNT14は、図5Dに示すように、粒状体13Aから引き抜かれる。このとき、引き抜かれるCNT14は、隣接するCNT14に付着し、次いで、その付着されたCNT14が、粒状体13Aから引き抜かれる。
これによって、複数のCNT14が順次連続してVACNTs15から引き出されて、CNTウェブ17が調製される。CNTウェブ17において、複数のCNT14は、引き出された方向に配向されており、直線状に連続的に繋がっている。なお、図5Dでは、便宜上、CNT14が1本ずつ連続的に繋がっているように記載されているが、複数のCNT14からなる束(バンドル)が連続的に繋がっていてもよい。
次いで、CNTウェブ17に撚りをかけて撚糸4を調製する。撚糸4は、例えば、図6に示す紡績装置20により調製される。紡績装置20は、集束部21と、撚掛部22とを備えている。
集束部21は、基板10に対して、複数のCNT14の引出方向に間隔を空けて配置されている。集束部21は、1対の軸部24と、支持板23とを備えている。1対の軸部24のそれぞれは、上下方向に延びる円柱形状を有している。1対の軸部24は、支持板23の上面において互いに間隔を空けて配置されている。支持板23は、1対の軸部24を回転可能に支持している。
撚掛部22は、集束部21に対して基板10の反対側に配置されている。撚掛部22は、回転部26と、巻取軸27と、回転軸28とを備えている。
回転部26は、集束部21に向かって開放される略コ字状を有している。巻取軸27は、回転部26の両側壁に回転可能に支持されている。回転軸28は、回転部26に対して、集束部21の反対側に配置されている。回転軸28の一端部は、回転部26の中央に固定されている。これによって、回転部26は、回転軸28を回転中心として回転可能である。
このような紡績装置20では、VACNTs15から調製したCNTウェブ17を、1対の軸部24の間を通過させた後、巻取軸27の周面に固定する。そして、巻取軸27および回転軸28に駆動力を入力して、巻取軸27および回転部26を回転させる。
これによって、CNTウェブ17が、巻取軸45の回転により引っ張られてVACNTs15から連続して調製され、集束部21により集束された後、回転部26の回転により撚り掛けられて、巻取軸27に巻き取られる。
これによって、複数のCNT14が撚ってなる撚糸4が調製(準備)される。
撚糸4の外径は、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
次いで、図2に示すように、撚糸4を複数(少なくとも2枚)の金型板1に通すことによって固定する。
撚糸4を複数の金型板1に通すには、例えば、撚糸4を針5により複数の金型板1に貫通させる。具体的には、撚糸4の一端を針5の針穴に通し、針5を、所定方向(金型板1の厚み方向)に沿って、複数の金型板1に一括して貫通させる。これにより、撚糸4が複数の金型板1を所定方向に一括して貫通し、撚糸4の一部分が隣り合う金型板1の間の間隔1Aに配置される。
具体的には、図3に示すように、撚糸4は、金型板1を貫通する貫通部分4Aと、隣り合う金型板1の間の間隔1A内に位置する間隔部分4Bとを備えている。
貫通部分4Aと間隔部分4Bとは、撚糸4において互いに交互に配置されている。貫通部分4Aは、撚糸4において互いに間隔を空けて複数配置される。貫通部分4Aは、複数の金型板1に対応しており、貫通部分4Aの数は、複数の金型板1の個数と同じである。そのため、撚糸4は、少なくとも2つの貫通部分4Aを備え、金型板1がn枚である場合、n個の貫通部分4Aを備える。
間隔部分4Bは、互いに隣り合う金型板1の間の間隔1Aに対応しており、複数の貫通部分4Aのうち互いに隣り合う貫通部分4Aの間に位置している。間隔部分4Bの数は、複数の金型板1により形成される間隔1Aの個数と同じである。そのため、撚糸4は、少なくとも1つの間隔部分4Bを備え、金型板1がn枚である場合、n−1個の間隔部分4Bを備える。
以上によって、撚糸4の間隔部分4Bが、隣り合う金型板1の間の間隔1A内に配置される。そして、撚糸4の間隔部分4Bは、その間隔部分4Bを挟むように位置する2つの貫通部分4Aと金型板1との摩擦力により、金型板1に固定される。つまり、金型板1が固定手段として作用し、撚糸4は、所定方向に間隔(間隔部分4B)を空けて位置する2点(貫通部分4A)が固定されている。
そして、上記の工程を繰り返して、複数の撚糸4を複数の金型板1に通す。複数の撚糸4の配置は特に制限されないが、好ましくは、複数の撚糸4は、所定方向に沿うように配置され、互いに独立して略平行となるように複数の金型板1を貫通する。なお、撚糸4は、a工程にて配置した端の金型板1を貫通した後は、折り返して再び同じ端の金型板1を貫通させることが好ましい。
これによって、各金型板1には、複数の貫通部分4Aが貫通し、各間隔1A内には、複数の間隔部分4Bが配置される。1つの間隔1A内に配置される複数の間隔部分4Bは、金型板1の面方向(所定方向と交差する方向)に並列配置される。
(1−3)d)工程(間隔1A内にマトリックス6を注入し、マトリックス6を硬化させる工程)
次いで、図3に示すように、隣り合う金型板1の間隔1A内にマトリックス6を注入して、当該マトリックス6を硬化させる。
マトリックス6の材料としては、例えば、樹脂(例えば、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ系樹脂など)、紫外線硬化性樹脂、多液硬化性樹脂(二液硬化型など)など)、ゴム(例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素系ゴムなど)、熱可塑性エラストマー(例えば、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマーなど)などが挙げられる。
マトリックス6の材料は、CNT複合材7の用途に応じて適宜選択される。例えば、CNT複合材7が弾性を要する場合、マトリックス6の材料としては、弾性を有する弾性材料が選択される。
弾性材料の25℃における引張弾性率Eは、例えば、0.001GPa以上、好ましくは、0.003GPa以上、例えば、0.5GPa以下、好ましくは、0.3GPa以下である。なお、引張弾性率Eは、ひずみゲージなど所定の計器を用いて弾性体のひずみを測定し、算出することにより求めることができる。
このような弾性材料としては、上記したマトリックス6の材料のうち、ゴムおよび熱可塑性エラストマーが挙げられ、好ましくは、ゴム、さらに好ましくは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素系ゴムが挙げられる。
また、CNT複合材7が異方導電性を要する場合、マトリックス6の材料としては、電気絶縁性を有する絶縁材料が選択される。
絶縁材料の体積抵抗率は、例えば、1012Ω・cm以上1016Ω・cm以下である。なお、体積抵抗率は、体積抵抗率計を用いた四端子法、二端子法により測定することができる。
このような絶縁材料としては、上記したマトリックス6の材料のうち、樹脂、ゴムが挙げられ、好ましくは、エポキシ系樹脂、ウレタンゴム、フッ素系ゴムが挙げられる。
そして、マトリックス6が熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーである場合、マトリックス6を加熱し溶融させた後、溶融したマトリックス6を隣り合う金型板1の間隔1A内に注入する。その後、冷却して、マトリックス6を硬化させる。
また、マトリックス6がゴムや硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂および多液硬化性樹脂)である場合、未硬化の液状のマトリックス6(Aステージのマトリックス6)を準備し、液状のマトリックス6を隣り合う金型板1の間隔1A内に注入する。その後、材料に7応じた硬化条件(加熱、UV照射など)で、マトリックス6を硬化させる(Cステージ)。
つまり、撚糸4の間隔部分4Bが複数の金型板1に固定されている状態で、マトリックス6が隣り合う金型板1の間隔1A内に注入され、硬化される。これにより、撚糸4の間隔部分4Bがマトリックス6に埋め込まれる。
以上によって、撚糸4とマトリックス6とが複合化されて、CNT複合材7が形成される。
次いで、CNT複合材7を複数の金型板1から取り外す。CNT複合材7を複数の金型板1から取り外すには、例えば、複数の撚糸4を、CNT複合材7を挟んで向かい合う2枚の金型板1の内側面(向かい合う面)に沿って切断する。これによって、各撚糸4において、マトリックス6に埋設されている間隔部分4Bと、金型板1に固定されている貫通部分4Aとが分離される。その後、CNT複合材7を複数の金型板1からを取り外す。
以上によって、図4Aおよび図4Bに示すように、CNT複合材7が調製される。
CNT複合材7は、マトリックス6と、マトリックス6に埋設される複数の撚糸4とを備えている。
マトリックス6の形状は、特に制限されず用途に応じて適宜変更される。マトリックス6の形状としては、例えば、シート形状、柱形状(例えば、円柱形状、角柱形状など)などが挙げられ、好ましくは、シート形状が挙げられる。
なお、図4Aおよび図4Bでは、マトリックス6がシート形状を有する場合について示す。マトリックス6は、平板形状を有し、具体的には、所定の厚みを有し、厚み方向と直交する面方向に延び、平坦な表面6Aおよび平坦な裏面6Bを有している。
マトリックス6に埋設される撚糸4は、上記の間隔部分4Bであり、マトリックス6を厚み方向に貫通している。撚糸4の一端面は、マトリックス6の表面6Aと略面一であり、撚糸4の他端面は、マトリックス6の裏面6Bと略面一である。また、CNT複合材7において、複数の撚糸4は、互いに独立して略平行となるように延びている。
また、CNT複合材7の熱伝導率は、厚み方向において、例えば、5W/(m・K)以上、好ましくは、20W/(m・K)以上、例えば、100W/(m・K)以下、好ましくは、50W/(m・K)以下である。なお、熱伝導率は、公知の熱伝導率測定装置により測定される。
このようなCNT複合材7は、例えば、異方熱伝導性シート、異方電気伝導性シート、集積回路などの電気特性を検査するためのプローバーなどとして好適に利用することができる。
(1−4)作用効果
第1実施形態では、図2および図3に示すように、CNT構造体3としての撚糸4が、2枚の金型板1の間の間隔1A内に配置され、金型板1により固定された後、マトリックス6が、その間隔1A内に注入されて、2枚の金型板1の間で成形される。
そのため、撚糸4において間隔1A内に配置される間隔部分4Bが所望の位置からずれることを抑制できる。その結果、CNT複合材7において、撚糸4の位置精度の向上を図ることができる。
また、第1実施形態において、CNT構造体3は撚糸4である。そのため、撚糸4の強度を確保することができ、マトリックス6が注入されるときに、撚糸4がほぐれてしまうことを抑制できる。
また、CNT構造体3が、強度が確保される撚糸4であるので、撚糸4を各金型板1に安定して通すことができる。
そのため、マトリックス6が注入されるときに、隣り合う金型板1の間に位置する撚糸4の間隔部分4Bが、所望の位置からずれることを安定して抑制できる。また、隣り合う金型板1に通される撚糸4はマトリックス6を確実に貫通することができる。
その結果、撚糸4をマトリックス6に確実に貫通させることができながら、CNT複合材7において、撚糸4の位置精度の向上を図ることができる。
2.第2実施形態および第3実施形態
次に、図7Aおよび図7Bを参照して、本発明の第2実施形態および第3実施形態について説明する。なお、第2実施形態および第3実施形態では、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
(2−1)第2実施形態
第1実施形態では、図4Aに示すように、CNT複合材7において、マトリックス6の表面6Aおよび裏面6Bと、撚糸4の両端面とが略面一であるが、これに限定されない。
第2実施形態では、図7Aに示すように、CNT複合材7において、撚糸4の一方の端部がマトリックス6から突出している。
第2実施形態では、図3に示すように、CNT複合材7を複数の金型板1から取り外すときに、CNT複合材7を挟んで向かい合う2枚の金型板1のうち一方の金型板1の内側面(2枚の金型板1の互いに向かい合う面)に沿って、複数の撚糸4を切断するとともに、他方の金型板1における外側面(一方の金型板1と向かい合う面と反対側の面)に沿って、複数の撚糸4を切断する。その後、CNT複合材7を複数の金型板1からを取り外す。
これによって、図7Aに示すように、撚糸4の一方の端部がマトリックス6から突出するCNT複合材7が調製される。なお、マトリックス6から突出する撚糸4の部分は、貫通部分4Aであり、マトリックス6に埋設される撚糸4の部分は、間隔部分4Bである。
(2−2)第3実施形態
第3実施形態では、図7Bに示すように、CNT複合材7において、撚糸4の両端部がマトリックス6から突出している。
第3実施形態では、図3に示すように、CNT複合材7を複数の金型板1から取り外すときに、CNT複合材7を挟んで向かい合う2枚の金型板1の外側面(2枚の金型板1の互いに向かい合う面と反対側の面)に沿って、複数の撚糸4を切断する。
これによって、図7Bに示すように、撚糸4の両端部がマトリックス6から突出するCNT複合材7が調製される。
つまり、CNT複合材7を複数の金型板1から取り外すときに、撚糸4の切断箇所を変更することで、異なる構成のCNT複合材7(図4A、図7Aおよび図7B)を製造することができる。
また、図7Aおよび図7Bに示すように、撚糸4の端部がマトリックス6から突出するCNT複合材7(第2実施形態および第3実施形態)では、マトリックス6から突出する撚糸4の部分に、公知の方法で、金属(例えば、Au、Ni、Fe、W、Cbなど)を蒸着させることができる。このようなCNT複合材7では、接触抵抗の低減を図ることができるので、プロ―バーとしてより好適に利用することができる。
また、第2実施形態および第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
3.第4実施形態
次に、図8を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。なお、第4実施形態では、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
第1実施形態では、図1に示すように、各金型板1が穴などを有しておらず、撚糸4が針5により各金型板1に通されたが、これに限定されない。
第4実施形態では、図8に示すように、各金型板1が、撚糸4を通す箇所に予め穴30を備えている。
穴30は、公知の方法(例えば、レーザなど)により、各金型板1において所定の箇所に形成される。穴30の個数は、CNT複合材7の用途に応じて適宜変更される。穴30の径は、撚糸4の外径以上であり、撚糸4に応じて適宜変更される。具体的には、穴30の径は、撚糸4の外径+10〜500μmである。
第4実施形態では、複数の撚糸4を、各金型板1の複数の穴30に通すことによって、各金型板1に固定する。撚糸4を穴30に通す方法としては、特に制限されない。
これによっても、撚糸4が複数の金型板1を一括して貫通し、撚糸4の一部分が隣り合う金型板1の間の間隔1Aに配置される。
つまり、図3と同様に、撚糸4は、金型板1の穴30に挿通される貫通部分4Aと、隣り合う2枚の金型板1の間の間隔1A内に位置する間隔部分4Bとを備えている。
そして、図8に示すように、撚糸4の間隔部分4Bは、その間隔部分4Bを挟むように位置する2つの貫通部分4Aと金型板1の穴30の内周面との摩擦力により、金型板1に固定される。
このような第4実施形態によれば、撚糸4が、予め形成された各金型板1の穴に通されるので、撚糸4と各金型板1との相対的な位置精度の向上を図ることができる。そのため、CNT複合材7において、撚糸4の位置精度のさらなる向上を図ることができる。
また、第1実施形態では、撚糸4を針5により金型板1に貫通させるので、比較的少ない工程で撚糸4を金型板1に通すことができるが、金型板1の材料は、針5により貫通可能なものが選択される。一方、第4実施形態では、金型板1に予め穴30を穿孔するので、金型板1の材料は特に制限されず、金型板1の設計の自由度の向上を図ることができる。
また、第4実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
4.第5実施形態
次に、図9Aおよび図9Bを参照して、本発明の第5実施形態について説明する。なお、第5実施形態では、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
第5実施形態では、図9Aおよび図9Bに示すように、各金型板1が、複数のスリット(長孔)31を備える櫛状の板である。
複数のスリット31は、公知の方法(例えば、レーザなど)により、各金型板1において所定の箇所に形成される。スリット31の個数は、CNT複合材7の用途に応じて適宜変更される。各スリット31の幅は、撚糸4の外径以上であり、例えば、上記穴30の径の範囲と同様の範囲である。
第5実施形態では、複数の撚糸4を、各金型板1の複数のスリット31に通すことによって、各金型板1に固定する。
複数の撚糸4を複数のスリット31に通すには、例えば、CNTウェブ17を複数枚重ねるなどして、複数の撚糸4を集めた後、櫛状の金型板1をその複数の撚糸4に対して差し込む。これにより、複数の撚糸4が、複数のスリット31に一括して通される。
そのため、撚糸4が複数の金型板1を一括して貫通し、撚糸4の一部分が隣り合う金型板1の間の間隔1Aに配置される。
つまり、図3と同様に、撚糸4は、金型板1のスリット31に挿通される貫通部分4Aと、隣り合う金型板1の間の間隔1A内に位置する間隔部分4Bとを備えている。
そして、図9Bに示すように、撚糸4の間隔部分4Bは、その間隔部分4Bを挟むように位置する2つの貫通部分4Aと金型板1のスリット31の内面との摩擦力により、金型板1に固定される。
このような第5実施形態によれば、複数の撚糸4を各金型板1の複数のスリット31に通すことにより固定するので、各撚糸4を各金型板1の穴30に通す場合よりも、円滑に撚糸4を各金型板1に通すことができる。そのため、CNT複合材7において、撚糸4の位置精度の向上を図ることができながら、CNT複合材7の製造効率の向上を図ることができる。
また、第5実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
5.第6実施形態
次に、図10および図11を参照して、本発明の第6実施形態について説明する。なお、第6実施形態では、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
第6実施形態では、図10に示すように、所定方向に間隔1Aを空けて複数の金型板1が配置されるとともに、間隔1A内において、所定方向と交差する(直交する)方向に間隔を空けて2つの金型板32が配置される。なお、第6実施形態では、所定方向に間隔1Aを空けて配置される金型板1を第1金型板1とし、所定方向と交差する(直交する)方向に間隔を空けて配置される金型板32を第2金型板32として区別する。
そして、第6実施形態では、撚糸4(以下、第1撚糸4とする。)を所定方向に各第1金型板1に通すことにより固定するとともに、別の撚糸33(以下、第2撚糸33とする。)を所定方向と交差する(直交する)方向に各第2金型板32に通すことにより固定する。
その後、マトリックス6を、隣り合う第1金型板1の間の間隔1A内であって、かつ、隣り合う第2金型板32の間の間隔内に注入し、硬化させる。
このような第6実施形態によれば、図11に示すCNT複合材7が製造される。
図11に示すCNT複合材7では、マトリックス6を厚み方向に貫通する複数の第1撚糸4と、マトリックス6を面方向に貫通する複数の第2撚糸33とを備えている。このようなCNT複合材7は、熱伝導性シート、電気伝導性シートとして好適に利用することができる。
また、第6実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
6.第7実施形態
次に、図12および図13を参照して、本発明の第7実施形態について説明する。なお、第7実施形態では、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
第1実施形態〜第6実施形態では、CNT構造体3が撚糸4であるが、これに限定されない。第7実施形態では、図12に示すように、CNT構造体3は、VACNTs15のシート16である。
シート16は、基板10から剥離されたVACNTs15(図5C参照)であり、複数のCNT14が、配向方向と交差する方向に互いに連続してシート形状となるように形成されている。
シート16を準備するには、例えば、図12に示すように、基板10上に成長するVACNTs15(図5C参照)を、公知の金属刃(例えば、カッター刃など)により切断して、基板10から分離する。
そして、シート16を、図13に示すように、シート16の厚み方向が所定方向に沿うように、隣り合う金型板1の間の間隔1A内に配置する。詳しくは、シート16を隣り合う金型板1により挟み込み、シート16の複数のCNT14の両端部を金型板1に接触させる。これによって、シート16は、金型板1により固定される。つまり、複数のCNT14のそれぞれは、所定方向に間隔を空けて位置する2点(CNT14の両端部)が固定されている。
その後、マトリックス6を、隣り合う第1金型板1の間の間隔1A内に注入し、硬化させる。これによって、マトリックス6と、マトリックス6に埋め込まれるシート16とを備えるCNT複合材7が製造される。
このような第7実施形態によれば、CNT構造体3がシート16であっても、マトリックス6が注入されるときに、シート16が金型板1によって固定されているので、所望の位置からずれることを抑制できる。
そのため、第7実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
7.第8実施形態
次に、図14を参照して、本発明の第8実施形態について説明する。なお、第8実施形態では、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
第1実施形態〜第7実施形態では、CNT構造体3が金型板1と接触することにより固定されるが、これに限定されない。
第8実施形態では、図14に示すように、CNT構造体3としてのシート16を、各金型板1に電流を通すことにより固定している。
このような第8実施形態では、各金型板1は、金属材料から形成される。また、隣り合う金型板1のそれぞれには、電源34が電気的に接続されている。
そして、シート16を、シート16の厚み方向が所定方向に沿うように、隣り合う金型板1の間の間隔1A内に配置する(b工程)。このとき、シート16の複数のCNT14の両端部は、金型板1に接触していてもよく、金型板1に接触していなくてもよい。
その後、電源34からの電流を各金型板1に通す。これによって、隣り合う金型板1の間の間隔1A内に配置されるシート16に磁場が印加され、静電気力、磁力によってシート16が固定される(c工程)。つまり、第8実施形態では、b工程とc工程とが別々に実施される。
このような第8実施形態においても、シート16を固定することができるので、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
8.第9実施形態
次に、図15を参照して、本発明の第9実施形態について説明する。なお、第9実施形態では、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
第1実施形態では、図2に示すように、撚糸4を各金型板1に通すことによってのみ固定されているが、これに限定されない。
第9実施形態では、図15に示すように、隣り合う金型板1の外側に、金型板1を通した撚糸4を固定する固定部材35(別の固定手段)を備えている。固定部材35は、隣り合う金型板1の所定方向両側に1つずつ配置されている。固定部材35は、撚糸4を保持することができれば特に制限されない。
このような第9実施形態によれば、各金型板1を通した撚糸4を、隣り合う金型板1の外側において、固定部材35によってさらに固定することができる。そのため、マトリックス6が注入されるときに、隣り合う金型板1の間に位置する撚糸4が、所望の位置からずれることをより一層抑制できる。
また、第9実施形態であれば、撚糸4の貫通部分4Aと金型板1との摩擦力が不十分な場合(例えば、第1実施形態において針5の太さが撚糸4よりも過度に大きい場合や、第4実施形態において穴30の径が必要以上に大きい場合など)であっても、各金型板1を通した撚糸4を固定部材35によって固定できるので、隣り合う金型板1の間に位置する撚糸4を固定することができる。
9.変形例
図2に示すように、第1実施形態では、複数の撚糸4が各金型板1によって固定されているが、これに限定されず、図15に示すように、1本の撚糸4のみが各金型板1によって固定されていてもよい。
図3に示すように、第1実施形態では、複数の撚糸4が互いに平行となるように、各金型板1によって固定されているが、これに限定されず、複数の撚糸4は、互いに平行でなく異なる方向に延びていてもよい。また、同様に、図4Aに示すように、CNT複合材7における複数の撚糸4は互いに平行であるが、これに限定され、CNT複合材7における複数の撚糸4は、互いに平行でなく異なる方向に延びていてもよい。
これら第1実施形態〜第9実施形態および変形例は、適宜組み合わせることができる。
1 金型板
1A 間隔
3 CNT構造体
4 撚糸
6 マトリックス
7 CNT複合材
14 CNT
16 シート
30 穴
31 スリット

Claims (8)

  1. カーボンナノチューブ複合材の製造方法であって、
    a) 間隔を空けて少なくとも2枚の板を配置する工程と、
    b) 前記間隔内にカーボンナノチューブ構造体を配置する工程と、
    c) 前記間隔内に配置したカーボンナノチューブ構造体を固定手段により固定する工程と、
    d) 前記間隔内にマトリックスを注入し、当該マトリックスを硬化させる工程と、
    を備えること
    を特徴とするカーボンナノチューブ複合材の製造方法。
  2. 前記b)工程において、
    前記カーボンナノチューブ構造体が、複数のカーボンナノチューブを撚ってなる撚糸であること
    を特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ複合材の製造方法。
  3. 前記c)工程において、
    前記固定手段が、前記撚糸を前記各板に通すことによって前記各板に固定すること
    を特徴とする請求項2に記載のカーボンナノチューブ複合材の製造方法。
  4. 前記各板が、前記撚糸を通す箇所に予め穴を備えること
    を特徴とする請求項3に記載のカーボンナノチューブ複合材の製造方法。
  5. 前記a)工程において、
    前記板が、複数のスリットを備える櫛状の板であって、
    前記c)工程において、
    前記固定手段が、前記撚糸を前記スリットに通すことによって前記各板に固定すること
    を特徴とする請求項2または3に記載のカーボンナノチューブ複合材の製造方法。
  6. 前記板を通した前記撚糸を固定する別の固定手段を前記板の外側に備えること
    を特徴とする請求項3または5に記載のカーボンナノチューブ複合材の製造方法。
  7. 前記b)工程において、
    前記カーボンナノチューブ構造体が、垂直配向カーボンナノチューブ群のシートであること
    を特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ複合材の製造方法。
  8. 前記c)工程において、
    前記固定手段が、前記各板に電流を通して前記シートを固定すること
    を特徴とする請求項7に記載のカーボンナノチューブ複合材の製造方法。
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