JP2018021290A - 和紙糸を用いた生地、これを用いたシューズ、および、これを用いたレザーシューズ - Google Patents

和紙糸を用いた生地、これを用いたシューズ、および、これを用いたレザーシューズ Download PDF

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Abstract

【課題】織物の経・緯方向の剛軟度の差が大きくとも型崩れを起こし難く、保形性に優れた和紙糸を用いた生地を提供する。【解決手段】生地10は、経糸22が各々和紙糸によって構成された第1織物20および第2織物30を備え、両織物20,30は、その間に塗布されたドット状の接着剤40a〜40cにより、第1織物20における相対的に剛軟度の高い経方向L1と、第2織物30における相対的に剛軟度の高い経方向L1とがZ方向から見て交差するように、第1織物20と第2織物30とを張り合わせる。【選択図】図1

Description

本発明は、シューズ等に好適に用いることのできる、和紙糸を用いた織物生地に関する。
近年、シューズを裸足で履くというスタイルの着こなしがファッションとして脚光を浴びている。そして、このようなスタイルに適した靴が消費者に求められている。このため、シューズのアッパー部等に用いる生地として肌触りや吸湿性に優れた和紙糸を用いた織物生地が注目されている。
例えば、特許文献1には、和紙糸を用いて製織された織物をシューズのアッパー部に用いたシューズが開示されている。
特開2015−098668号公報
しかしながら、織物をシューズ等の生地として用いる際に、経・緯方向における生地の剛軟度、換言すると、生地のコシの強さの差が大きいと爪先部等の曲面形状が安定せず型崩れを起こしやすい。このため、上記織物をシューズ等の服飾製品に用いる場合には、経・緯方向における剛軟度がなるべく均等となるように製織方法を工夫する必要がある。上記剛軟度を均等にするためには、例えば、経糸と緯糸との単位面積あたりの重量バランスが均等となるように製織する必要がある。このような製織上の制約は、例えば、織物表面が起伏に富んだ装飾性の高い生地や、生地の強度を高めるために合成繊維等の糸と交織してなる織物をシューズ等に用いる上で大きな制約となっている。
本発明では、織物の経・緯方向の剛軟度の差が大きくとも型崩れを起こし難く、保形性に優れた和紙糸を用いた生地を提供することを目的とする。
本発明に係る和紙糸を用いた生地は、経糸および緯糸の少なくとも一方が和紙糸によって各々構成された第1織物および第2織物と、第1織物および第2織物の間にドット状に塗布された接着剤、または、第1織物と第2織物との間に挟み込まれた通気性を有する熱融着シートによって構成され、第1織物と第2織物とを接着する接着手段と、を備え、接着手段は、上面視において、第1織物の経方向および緯方向のうち相対的に剛軟度の高い第1方向と、第2織物の経方向および緯方向のうち相対的に剛軟度の高い第2方向とが交差するように、第1織物と第2織物とを張り合わせるものである。ここで、剛軟度が高いとは曲げ剛性が高いことを意味し、剛軟度が低いとは曲げ剛性が低いことを意味する。
本発明に係る和紙糸を用いた生地は、第1織物の第1方向と、第2織物の第2方向とが互いになす角度をαとしたときに45°≦α≦90°となるように、第1織物と第2織物とを張り合わせてもよい。
また、本発明に係る和紙糸を用いた生地において、第1織物は、経糸および緯糸のうちいずれか一方が合成繊維からなる糸であり、第2織物は、経糸および緯糸のうちいずれか一方が合成繊維からなる糸でもよい。
また、本発明に係る和紙糸を用いた生地において、第1織物および第2織物は、表面の方が裏面よりも外観視において和紙糸が多く露出するように構成されており、接着手段は、第1織物の裏面と第2織物の裏面とを張り合わせてもよい。
また、本発明に係る和紙糸を用いた生地において、第1織物の織物組織は、サテン、ギャバジン、ポプリンのうちいずれか1つからなり、第2織物の織物組織は、サテン、ギャバジン、ポプリンのうちいずれか1つからなるものでもよい。
また、本発明に係る和紙糸を用いた生地において、第2織物に代えて通気性を有するレザー素材を第1織物に接着したものでもよい。
また、本発明に係る和紙糸を用いた生地において、和紙糸がテープ状にスリットされた和紙を加撚してなる和紙糸でもよい。
また、本発明に係る和紙糸を用いた生地は、シューズのアッパー部を構成してもよい。
さらに、本発明に係る和紙糸を用いたい生地において、和紙糸は多孔質構造を有してもよい。
本発明に係る和紙糸を用いた生地によれば、第1織物の経・緯方向のうち剛軟度が高い方向と、第2織物の経・緯方向のうち剛軟度が高い方向とが互いに交差するように第1織物と第2織物とを張り合わせる。このようにして両織物を張り合わせることによって、第1織物または第2織物を単独で用いる場合よりも経・緯方向における剛軟度の差を低減できる。このため、経・緯方向における剛軟度の差の大きい、装飾性等に富んだ織物であっても型崩れを起こし難く、保形性に優れた生地を得ることができる。
本発明の一実施形態における和紙糸を用いた生地の構成を説明する斜視図である。 図2(a)は図1に示す生地を構成する第1織物の組織図であり、図2(b)は図1に示す生地を構成する第2織物の組織図である。 図3(a)は図1に示す生地の第3変形例における第1織物の構成を示す組織図であり、図3(b)は図1に示す生地の第3変形例における第2織物の構成を示す組織図である。 図4(a)は図1に示す生地の第4変形例における第1織物の構成を示す組織図であり、図4(b)は図1に示す生地の第4変形例における第2織物の第4変形例の構成を示す組織図である。 図1に示す生地を適用した第5変形例に係るランニングシューズを示す図である。 図1に示す生地の第6変形例を示す斜視図である。 図7(a)は図1に示す生地の第7変形例を示す斜視図であり、図7(b)は図7(a)に示す熱融着シートの構成を示す図である。 図8(a)は図1に示す生地の第9変形例における第1織物の構成を示す組織図であり、図8(b)は図1に示す生地の第9変形例における第2織物の構成を示す組織図である。
以下、本発明の一実施形態である和紙糸を用いた生地について図面を参照しつつ説明する。本実施形態において、「番手」とはメートル番手を意味し、「撚数」とは単位長さ当たりの撚回数を意味する。
図1は、本発明の実施形態である生地の構成を示す斜視図である。ここで、図1に示す「X」は横方向を示し、「Y」は縦方向を示し、「Z」は厚み方向を示している。「L1」は第1織物の経方向を、「L2」は第2織物の経方向を各々示している。以下、図2〜図6においても同様である。
図1に示すように、和紙糸を用いた生地10は、例えば、シューズ等のアッパー、すなわち、足の甲を覆う部分に用いられる生地であり、第1織物20と、第2織物30と、両織物20,30を接着する接着剤40a,40b,40cとを備える。第1織物20および第2織物30は、ドット状に塗布された接着剤40a,40b,40cによって裏面20b,30b同士を張り合わされており、良好な吸湿性を有する。また、第1織物20および第2織物30には、後述する和紙糸が含まれるため生地10は肌当たりにも優れる。
図2(a)は第1織物20の織構造を示す組織図であり、同図(b)は第2織物30の織構造を示す組織図である。図2(a)に示す「M1」は第1織物20の緯方向を、図2(b)に示す「M2」は第2織物30の緯方向を各々示している。図2(a)および図2(b)に示す組織図では、経糸22,32が表側で緯糸24,34が裏側に配置されている場合を「×」で示し、経糸22,32が裏側で緯糸24,34が表側である場合を無印で示している。
図2(a)に示すように、第1織物20は、朱子織(サテン)の織構造を有し、目付は、例えば240g/m2である。第1織物20の経方向L1は生地10の縦方向Yと一致し、緯方向M1は生地10の横方向Xと一致する。そして、第1織物20の経糸22は裏側よりも表側に多く露出し、緯糸24は表面側よりも裏面側に多く露出している。この経糸22は、例えば、撚数が650T/m(Z撚)である30番手の和紙糸である。この場合における経糸22の一反量は11.6kgである。ここで、和紙糸とは、和紙原料を抄紙して作られた和紙をテープ状にスリットし加撚して形成された糸である。
また、和紙糸に用いられる和紙とは、こうぞ、みつまた、麻類、針葉樹、笹等の和紙に適した原料植物を叩解して得られる繊維からなる和紙原料を漉いて作られる紙である。和紙の目付けは、略10〜30g/m程度が製造技術上好ましいが、この範囲を超えて目付けが大きいものや、この範囲を超えて目付けが小さいものの使用も可能である。また、和紙糸は、多孔質性を有するように構成されていることが好ましい。多孔質性とは、多数の繊維が絡み合うことによって繊維と繊維の間に多数の隙間(孔)が形成された構造、すなわち、多孔質構造を備えることを意味する。このように、和紙糸に多孔質性を付与することにより、吸湿された水が上記隙間に薄膜状に保持され、水が空気と接する面積が増大する。これにより、吸湿された水の気化が促進される。この結果、良好な吸排湿性が発揮される。
また、上述したように多孔質構造を備える和紙糸の熱伝導率は、一例として0.06W/m・K程度の値となる。この値は他の繊維、例えば、ポリエステル(0.25W/m・K)や木綿(0.54W/m・k)よりも小さく、空気(0.02W/m・k)に近い値であり、保温性が高いことを示している。
さらに、和紙糸は、和紙テープと他の糸との合撚糸であってもよいが、和紙糸には80重量%以上の和紙が含まれていることが和紙糸の良好な吸湿性やムレ感のなさという本来の性能を損なわないうえで好ましい。和紙糸における和紙以外の糸の比率が20重量%以下であれば、良好な吸湿性や独特のサラッとした触感という和紙糸特有の性能が維持される。
和紙糸は加撚されていることが、糸の強度を得るうえで好ましい。和紙糸の撚数については、撚係数Kが50〜150であることが好ましい。KはT/√Nで定義される値である(Tは糸の撚数(回/m)、Nは糸の番手(糸の線密度(g/m)の逆数))。
また、第1織物20の緯糸24は、一例として、ポリエステル加工糸(165dtex、撚数は900T/m(Z撚))であり、緯糸24の一反量は5.9kgである。なお、本実施形態では、合成繊維からなる糸としてポリエステル加工糸の例を挙げているが、その他、ナイロン繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨンなどの合成繊維からなる糸であってもよい。そして、合成繊維の糸であることが製織性や織物の伸びに関する柔軟性を得る上で好ましい。
第1織物20の経方向L1の剛軟度(経糸22を曲げる方向の剛軟度)は、緯方向M1の剛軟度(緯糸24を曲げる方向の剛軟度)よりも高くなるように構成されている。剛軟度とは、糸の曲げ剛性(すなわち、生地のコシの強さ)を示す指標であり、「剛軟度が高い」とは曲げ剛性が高いことを意味し、「剛軟度が低い」とは曲げ剛性が低いことを意味する。
本実施形態における第1織物20の経方向L1および緯方向M1における剛軟度は、一例として、経方向L1が77mmであり、緯方向M1が24mmである(いずれもJIS L 1096A 45°カンチレバー法による測定値)。
図2(b)に示すように、第2織物30は第1織物20と同一の構成を有している。また、第2織物30の経方向(第2方向)L2は、第1織物20の経方向(第1方向)L1に対する上面視、すなわち、厚み方向Zから見た交差角α(図1参照)が90°となるように配置された状態で第1織物20と張り合わされている。このように第1織物20および第2織物30を張り合わせることによって、第1織物20または第2織物30を単独で用いる場合よりも生地10の縦方向Yおよび横方向Xにおける剛軟度の差を相殺して減少させることができる。これにより、両織物20,30の経方向L1,L2および緯方向M1,M2における剛軟度の差が大きくとも型崩れを起こし難く、保形性に優れた生地を得ることができる。このため、経方向L1および緯方向M1における剛軟度の差の大きい、例えば、装飾性や機能性に富んだ織物であっても保形性に優れた生地10とすることができる。
なお、本実施形態では、第1織物20および第2織物30において剛軟度の高い方向がいずれも経方向である場合を例に挙げているが、両織物20,30における剛軟度の高い方向がいずれも緯方向であってもよい。或いは、両織物20,30のうち、いずれか一方の剛軟度の高い方向が経方向で、他方の剛軟度の高い方向が緯方向であってもよい。
また、本実施形態では、交差角αを90°としているが、αの大きさは以下に示す式(1)の範囲であればよい。
45°≦α≦90°・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
交差角αの大きさは90°により近い値であることが望ましいが、交差角αが45°以上であれば生地の縦方向Yおよび横方向Xにおける剛軟度の差を縮小でき型崩れを起こし難くできる。
さらに、第1織物20および第2織物30の裏面20b,30b、すなわち、ポリエステル加工糸が多く露出した面同士を接着剤40a〜40cで互いに張り合わせることによって和紙糸よりもポリエステル加工糸を介して張り合わされる割合が大きくなるため、接着強度を保ちやすくできるという利点もある。
上述したようにドット状に塗布された接着剤40a〜40cを用いて第2織物30と第1織物20とを張り合わせることによって、第1織物20と第2織物30との間における汗等の水分の透過が妨げられない。このため、例えば、第1織物20の表面20aで和紙糸によって吸湿された汗等を第2織物20の表面20aから排湿することができる。
また、第1織物20および第2織物30の裏面20b,30bを互いに張り合わせることによって第1織物20および第2織物30の表面20a,30aが各々外側に配置される。このため、生地10の両面に和紙糸を多く露出させることができる。このように、生地10の両面に露出する和紙糸の量を増やすことによって、一方の肌側面で汗等の水分をすばやく吸湿でき、吸湿した水分が他方の外側面で外気に触れることにより効率よく排湿でき、速乾性にも優れる。
以下、上記実施形態における生地10の変形例1〜7について説明する。以下の説明において、上記実施形態における生地10と構成が共通する部分については同一の符号を付して適宜説明を省略し、構成の異なる部分についてのみ説明する。
<変形例1>
上記実施形態の生地10では、第1織物20および第2織物30を構成する経糸22,32を和紙糸で構成し、緯糸24,34をポリエステル加工糸で構成しているが、経糸22,32をポリエステル加工糸等の合成繊維の糸で構成し、緯糸24,34を和紙糸で構成してもよい。また、上記合成繊維の糸として、熱融着糸を用いてもよい。これにより、生地10の強度や耐久性を向上させたり、生地端始末不要な、いわゆる、フリーカット生地とすることが可能となる。
<変形例2>
上記実施形態の生地10では、第1織物20および第2織物30は同じ織構造の織物で構成されるが、異なる織構造としてもよい。例えば、第1織物20の織構造を平織とし、第2織物30の織構造を朱子織としてもよい。
<変形例3>
上記実施形態の生地10では、第1織物20および第2織物30は朱子織の織構造を有しているが、平織(ポプリン)の織構造としてもよい。図3(a)は変形例3における第1織物40の織構造を示し、同図(b)は第2織物50の平織の織構造を示す図である。
第1織物40を構成する経糸42および緯糸44は、和紙糸で構成してもよい。この場合において、経糸42は、例えば、図2(a)に示す経糸22と同一の構成とし、緯糸44として700T/m(Z撚)の和紙糸を用いてもよい。第1織物40の編成例として、経糸42の織密度は292本/10cmであり、緯糸44の織密度は150本/10cmである。そして、経糸42の一反量は9.3kgであり、緯糸44の一反量は7.5kgである。また、第1織物40の目付は、208g/m2である。第2織物50については、第1織物40と同一の構成とすればよい。なお、第1織物40および第2織物50を構成する経糸42,52および緯糸44,54の一方を和紙糸とし、他方を合成繊維からなる糸で構成してもよい。
<変形例4>
上記実施形態の生地10では、第1織物20および第2織物30は朱子織の織構造を有しているが、綾織り(ギャバジン)の織構造としてもよい。この場合の第1織物60および第2織物70の構成について図4を用いて説明する。図4(a)は第1織物60の織構造を示し、同図(b)は第2織物70の織構造を示す図である。
第1織物60を構成する経糸62および緯糸64を和紙糸で構成してもよい。この場合における第1織物60の編成例として、第1織物60を構成する経糸62の織密度は373本/10cmである、緯糸64の織密度は220本/10cmである。また、経糸62の一反量は11.9kgであり、緯糸64の一反量は6.6kgである。第2織物70は、上記第1織物60と同一の構成とすればよい。なお、第1織物60および第2織物70を構成する経糸62,72および緯糸64,74の一方を和紙糸とし、他方を合成繊維からなる糸で構成してもよい。
<変形例5>
図5は、本実施形態の生地10を適用したランニングシューズ80を示す図である。図5に示すように、ランニングシューズ80は、ミッドソールやアウターソール等からなる樹脂製のソール部82と、着用者の足の甲を覆うためにソール部82の上部に取り付けられたアッパー部84とから構成される。このアッパー部84は、生地10によって構成されている。このため、ランニングシューズ80の爪先部分等の曲面形状の型崩れを防ぐことができる。
また、ランニングシューズ80を履いてランニングやウォ−キングを行うと、接地して蹴り出す際に当該シューズ80が屈曲することにより靴内の空気が移動する、いわゆるステップポンピング現象が発生する。このステップポンピング現象がランニングやウォ−キング中に繰り返し発生することにより、生地10の内側、すなわち、着用者の肌に接する面で吸湿された汗等の水分が素早く蒸散され、反対側の外側面から水分を効率的に排湿することができる。この結果、裸足で履くような場合でも、靴内が蒸れにくく快適な履き心地を維持できる。なお、本例では、ランニングシューズ80のアッパー部84の生地10を用いているが、ランニングシューズに限らず他の種類のシューズに用いてもよい。
また、生地10を構成する第1織物20および第2織物30の間に部分的に芯材を挟み込んで、生地の強度を補強してもよい。これにより、ランニングや歩行時に大きな力が作用しやすい、例えば、踝を覆う部分の生地を補強できる。
また、鞄等の服飾製品を構成する生地、ソファ等の家具類を構成する生地や、これに用いるカバー、自動車用内装材、シューズのインソール(中敷き)等、ユーザの肌に触れる部分を構成する生地として生地10を用いてもよい。
<変形例6>
上記実施形態の生地10では、第1織物20および第2織物30をドット状の接着剤40a〜40cで張り合わせる構成について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、第2織物30に代えて通気性を有するレザー90と、第1織物20の裏面20bとを接着剤40a〜40cで張り合わせた生地100としてもよい。レザー90としては、厚みが0.2mm〜7mm程度の豚革や牛革等、天然皮革の生地を用いることが好ましい。この場合には、例えば、レザーシューズ等のアッパー部に生地100を用いることにより、良好な肌当たりや通気性を得ることができる。この場合には、生地100の第1織物20がアッパー部の裏地(内張りとも表現できる)となるように用いることで、良好な通気性や保温性を得ることができる。また、生地100を構成するレザー90と第1織物20との間に芯材を一部挟み込むようにしてもよい。これにより、生地100の強度をさらに高めることができる。
なお、ドット状の接着剤40a〜40cに代えて、他の通気性を有する熱融着シートを用いてもよい。また、本変形例において、第1織物20の緯糸24についても、経糸22と同様に和紙糸を用いてもよい。もしくは、第1織物20を構成する緯糸24を和紙糸とし、経糸22を合成繊維の糸としてもよい。
<変形例7>
上記実施形態の生地10では、ドット状の接着剤40a〜40cで両織物20,30を張り合わせる構成について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、図7(a)および図7(b)に示す熱融着シート110を両織物20,30の間に挟み込んだ状態でヒートプレス等によって加熱接着してもよい。この熱融着シート110は、熱融着糸HL1,HL2,HL3をランダムに配向して、換言すると、絡み合わせてなる多孔質構造を有する。すなわち、各熱融着糸HL1〜HL3は、互いの糸の間に多数の微細な孔(隙間)が形成されており、上述した接着剤40a〜40cの場合と同様に両織物20,30と接着した状態で通気性を有する。このため、両織物20,30の一方で吸湿した水分を他方から排湿することができる。
また、熱融着シート110の構成は、接着状態で通気性を有するものであればよく、例えば、メッシュ状に構成された熱融着シートを用いてもよい。
<変形例8>
上記実施形態の生地10では、第1織物20および第2織物30を構成する緯糸24,34としてポリエステル加工糸を用いているが、緯糸24,34にも和紙糸を用いてもよい。この場合における第1織物20の編成例としては、経糸22,32は上記実施形態と同様の構成とし、緯糸24,34として900T/m(Z撚)の和紙糸を用いるようにしてもよい。この場合において、第1織物20の経糸22の織密度は374本/10cmであり、緯糸24の織密度は276本/10cmである。また、経糸22の一反量は11.6kgであり、緯糸24の一反量は8.4kgである。第1織物20の目付は、253g/m2である。第2織物30は、第1織物20と同一の構成とすればよい。
<変形例9>
上記実施形態の生地10では、第1織物20および第2織物30は朱子織の織構造を有しているが、カシミア織の織構造としてもよい。この場合の第1織物120および第2織物130の構成について図8を用いて説明する。図8(a)は第1織物120の織構造を示し、同図(b)は第2織物130の織構造を示す図である。両織物120,130の構成は同一であるため、第1織物120についてのみ説明する。
この場合における第1織物120の構成例として、経糸122および緯糸124として650T/m(Z撚)の和紙糸を用いてもよい。この場合において、第1織物120の経糸122の織密度は523本/10cmであり、緯糸124の織密度は293本/10cmである。また、経糸122の一反量は15.9kgであり、緯糸124の一反量は9.0kgである。第1織物120の目付は、319g/m2である。
なお、第1織物120の経糸122の織密度を401本/10cmとし、緯糸124の織密度を251本/10cmとしてもよい。この場合には、第1織物120の経糸122の織密度は401本/cmであり、緯糸124の織密度は251本/cmとし、経糸122の一反量は11.6kgであり、緯糸124の一反量は7.6kgである。
このように、生地10を構成する第1織物120および第2織物130を構成する経糸122,132および緯糸124,134に和紙糸を用いることにより、保形性および吸排湿性に優れた生地とすることもできる。
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
本実施形態の生地は、透湿性や保形性に優れ、靴用素材、日用雑貨類用材、家具類用材、インテリア用材、自動車用内装用材の分野に広く適用される。
10,100 生地
20,40,60,120 第1織物
22,32,42,52,62,72,122,132 経糸
24,34,44,54,64,74,124,134 緯糸
20a,30a 表面
20b,30b 裏面
30,50,70,130 第2織物
40a,40b,40c 接着剤
80 ランニングシューズ
84 アッパー部
90 レザー
L1,L2 経方向(第1方向,第2方向)
M1,M2 緯方向
X 横方向
Y 縦方向
Z 厚み方向
本発明に係る和紙糸を用いた生地は、経糸および緯糸の少なくとも一方が和紙糸によって各々構成された第1織物および第2織物と、第1織物および第2織物の間にドット状に塗布された接着剤、または、第1織物と第2織物との間に挟み込まれた通気性を有する熱融着シートによって構成され、第1織物と第2織物とを接着する接着手段と、を備え、接着手段は、上面視において、第1織物の経方向および緯方向のうち相対的に剛軟度の高い第1方向と、第2織物の経方向および緯方向のうち相対的に剛軟度の高い第2方向とが交差するように、第1織物と第2織物とを張り合わせ、接着手段は、第1織物の第1方向と、第2織物の第2方向とが互いになす角度をαとしたときに45°≦α≦90°となるように第1織物と第2織物とを張り合わせるものである。ここで、剛軟度が高いとは曲げ剛性が高いことを意味し、剛軟度が低いとは曲げ剛性が低いことを意味する。
さらに、本発明に係る和紙糸を用いたい生地において、和紙糸は多孔質構造を有してもよい。
本発明に係るシューズは、上記発明のいずれかに記載の和紙糸を用いた生地により構成されたアッパー部を備えるものである。
本発明に係るレザーシューズは、通気性を有するレザーからなるアッパー部と、経糸および緯糸の少なくとも一方が多孔質構造を有する和紙糸によって構成された織物からなる裏地と、熱融着糸をランダムに絡み合わせてなる多孔質構造を有する熱融着シート、または、メッシュ状の熱融着シートにより構成され、アッパー部と裏地とを張り合わせる接着手段と、を備えるものである。

Claims (9)

  1. 経糸および緯糸の少なくとも一方が和紙糸によって各々構成された第1織物および第2織物と、
    前記第1織物および前記第2織物の間にドット状に塗布された接着剤、または、前記第1織物と前記第2織物との間に挟み込まれた通気性を有する熱融着シートによって構成され、前記第1織物と前記第2織物とを接着する接着手段と、
    を備え、
    前記接着手段は、上面視において、前記第1織物の経方向および緯方向のうち相対的に剛軟度の高い第1方向と、前記第2織物の経方向および緯方向のうち相対的に剛軟度の高い第2方向とが交差するように、前記第1織物と前記第2織物とを張り合わせる、
    和紙糸を用いた生地。
  2. 前記接着手段は、前記第1織物の第1方向と、前記第2織物の第2方向とが互いになす角度をαとしたときに45°≦α≦90°となるように前記第1織物と前記第2織物とを張り合わせる、
    請求項1に記載の和紙糸を用いた生地。
  3. 前記第1織物は、前記経糸および前記緯糸のうちいずれか一方が合成繊維からなる糸であり、
    前記第2織物は、前記経糸および前記緯糸のうちいずれか一方が合成繊維からなる糸である、
    請求項1または2に記載の和紙糸を用いた生地。
  4. 前記第1織物および前記第2織物は、表面の方が裏面よりも外観視において前記和紙糸が多く露出するように構成されており、
    前記接着手段は、前記第1織物の裏面と前記第2織物の裏面とを張り合わせる、
    請求項3に記載の和紙糸を用いた生地。
  5. 前記第1織物の織物組織は、サテン、ギャバジン、ポプリンのうちいずれか1つからなり、
    前記第2織物の織物組織は、サテン、ギャバジン、ポプリンのうちいずれか1つからなる、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の和紙糸を用いた生地。
  6. 前記第2織物に代えて通気性を有するレザー素材を前記第1織物に接着したことを特徴とする、
    請求項1に記載の和紙糸を用いた生地。
  7. 前記和紙糸がテープ状にスリットされた和紙を加撚してなる和紙糸である、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の和紙糸を用いた生地。
  8. 前記生地は、シューズのアッパー部を構成することを特徴とする、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の和紙糸を用いた生地。
  9. 前記和紙糸は、多孔質構造を有する、
    請求項1から8のいずれか1項に記載の和紙糸を用いた生地。
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