JP2018019107A - プラズマcvd装置並びに結晶シリコン系太陽電池及びこれを作製するプラズマcvd法 - Google Patents

プラズマcvd装置並びに結晶シリコン系太陽電池及びこれを作製するプラズマcvd法 Download PDF

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Abstract

【課題】
従来のプラズマCVD装置及び方法では、ヘテロ接合バックコンタクト型の太陽電池のパッシベーション膜を高スループットで、プラズマダメージを抑制して形成することができないという課題がある。また、基板の表面と裏面に同時に薄膜を形成することができない、という課題がある。この課題を解消可能なプラズマCVD装置及び方法を提供すること。
【解決手段】
製膜に寄与するラジカルが通過する貫通孔を備えた接地電極を有する第1及び第2の一対の電極を、それぞれの接地電極が対向し、離間するように配置し、前記対向して配置された接地電極の間の略中間に、基板を配置し、前記第1及び第2の一対の電極間に発生のプラズマから拡散してきた製膜に寄与するラジカルを用いて、製膜することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマCVD装置並びに結晶シリコン系太陽電池及びこれを作製するプラズマCVD法に関する。特に、バックコンタクト型の結晶シリコン系太陽電池及びヘテロ接合バックコンタクト型の結晶シリコン系太陽電池などに利用されるアモルファス系シリコン薄膜を形成するプラズマCVD装置並びに結晶シリコン系太陽電池及びこれを作製するプラズマCVD法に関するものである。
近年、結晶シリコン系太陽電池の光電変換効率の更なる向上及び製造コストの更なる低減を目指した研究開発が盛んに行われており、光電変換効率の高いヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池の最適構造の創出及びそれを製造可能な低コストの製造プロセスの構築が試みられている。
製造プロセスを要素技術の観点で見ると、発電効率を決定する要素である3つの性能、即ち、セルの開放電圧Voc(V)と、短絡電流密度Jsc(mA/cm)と、曲線因子(%)の向上に関し、優れた特徴を有するパッシベーション膜の形成に関わるプラズマCVD装置及びプラズマCVD法が注目されている。
ヘテロ接合バックコンタクト型の太陽電池を低コストで製造するために、太陽電池の分野では、一定時間当たりの基板処理枚数が多い(スループットの高い)プラズマCVD装置、プラズマダメージが抑制された製膜が可能なプラズマCVD装置が求められている。
例えば、非特許文献1及び2には、次のことが記載されている。即ち、プラズマCVDによりシリコン基板の表面や裏面にi型アモルファスシリコン膜やSiNx膜を形成すると、基板表面に存在する欠陥密度を激減させる。基板表面に存在する欠陥密度が激減すると、光吸収により生成されたキャリア(正孔・電子)の欠陥密度による再結合が防止され、光電変換効率を大幅に向上させることができる。
しかしながら、現状のRFプラズマCVD装置、即ち、電極形状が平行平板型で、電源周波数が13.56MHzである容量結合型プラズマCVD装置によるi型アモルファスシリコン膜やSiNx膜等のパッシベーション膜の形成では、RFプラズマの特徴(電子温度が高いこと、プラズマ電位が高いこと)に起因するシリコン基板へのイオン衝撃が大きいために、充分なパッシベーション効果が得られない、という問題を抱えている。なお、シリコン基板へのイオン衝撃によるイオンダメージは、基板表面の欠陥密度を増大させるので、パッシベーション効果が発揮されない。
したがって、シリコン基板の表面や裏面に形成されるパッシベーション膜の機能を有するi型アモルファスシリコン膜やSiNx膜の製膜には、イオンダメージの少ないプラズマCVD装置の創出が必要、かつ、重要である。
プラズマダメージの少ない方法として、プラズマ励起周波数がVHF帯域(30MHz〜300MHz)であるVHFプラズマCVD法がある。VHFプラズマCVD法は電子温度が低く、プラズマ電位が低いという特徴があり、基板に与えるイオンダメージは、RFプラズマCVDに比べて、格段に小さいということは、一般に知られているが、電力の波長が短いので、定在波が発生し、一様なプラズマを大面積に亘って生成することが困難であることから、一般には、実用化されていない。
特許文献1及び2には、一対の電極間にメッシュを挿入することにより、イオンダメージを抑制することが記載されている。
即ち、特許文献1には次の事が掲載されている。成膜用ガスを導入する真空処理室内に平板な高周波電極と、平板な接地電極とを対向するように平行に配置し、これらの電極間の空間に所定の圧力条件下で発生したプラズマによって、平板な接地電極に載置した基板上に成膜を行うプラズマCVD装置において、上記平板な高周波電極と、平板な接地電極との間に、上記基板と同電位のメッシュ電極を配置すると共に、上記平板な接地電極を−90℃以下に冷却したことを特徴とするプラズマCVD装置。
また、特許文献1には次の事が掲載されている。この発明においては、平板な高周波電極と、平板な接地電極との間に 基板と同電位のメッシュ電極が配置されているため、プラズマは、平板な高周波電極とメッシュ電極との間に閉じ込められ、メッシュ電極と平板な接地電極との間に発生しなくなる。したがって、プラズマ中のラジカルはメッシュ電極の網を通過して、基板上に到達して付着する。だが、平板な接地電極を−90℃以下に冷却することにより、基板も−90℃以下になるので、基板上に付着したラジカルは基板の構成物質と反応することなく、ラジカル同士が反応して、低温で流動性をもった液状の化合物を作る。その結果、膜下地にダメージを与えることなく、0.5μm以下の凹凸をした基板の表面であっても平坦化ができるようになる
特許文献2には次の事が掲載されている。反応容器と、この反応容器に反応ガスを供給する手段と、前記反応ガスを前記反応容器内から排出する手段と、前記反応容器内に配置され、処理すべき基板が載置される接地電極と、前記反応容器内に前記接地電極と対向して配置された放電用電極と、この放電用電極にグロー放電発生用電力を供給する電源と、前記反応容器内に前記放電用電極と離間して平行に配置されたメッシュ状もしくはワイヤ状のラジカル加熱用ヒータとを具備し、前記ラジカル加熱用ヒータの空隙を1mm以上5mm以下にするとともに、前記グロー放電発生用電力の周波数が45乃至200MHzであることを特徴とするプラズマCVD装置。
また、特許文献2には次の事が掲載されている。従来のプラズマCVD装置によれば、以下に述べる問題点を有していた。(1)前記ラジカル加熱用ヒータにプラズマ中のラジカルが衝突して非晶質膜として付着するため、ヒータを構成する線間が目詰まりし、例えば基板での積算膜厚が100μm程度で成膜速度が初期の1/2以下まで減少する。従って、メンテナンス周期が短くなり、実用的な成膜装置には不向きであった。(2)前記ヒータの間隔を粗くした場合、成膜速度の増加を図るためにプラズマの密度をある程度高くすると、電極近傍で発生したプラズマがメッシュの隙間から漏れて成膜基板に直接接するので、膜質を悪化させる短寿命のラジカルも基板に付着し、その結果、成膜に欠陥が生じやすかった。
ヘテロ接合バックコンタクト型の結晶シリコン系太陽電池の製造において、後述するように、パッシベーション膜を基板の両面(表面と裏面)に同時に製膜することが可能であれば、製膜時間の大幅低減となり、低コスト化に貢献できるのであるが、従来技術では両面製膜ができない。
両面製膜に関する技術が特許文献4に記載されている。即ち、真空チャンバーと、前記真空チャンバー内で交互に対向配置されたアノード電極板およびカソード電極板と、前記両電極板に高周波を印加して両電極間に高周波プラズマを発生させる高周波電源と、を備え、前記アノード電極板、カソード電極板の両方または一方の被成膜基板を載置する領域に、前記被成膜基板に略一致した形状を呈し、前記被成膜基板の両面を前記高周波プラズマに曝す開口部を少なくとも1以上有し、前記開口部で前記被成膜基板を載置する面と反対側に面する部分に所望のパターン形状に対応した遮蔽領域が設けられていることを特徴とするプラズマCVD装置、である。
しかしながら、特許文献4に記載のプラズマCVD装置は、次に示す理由により、一様なプラズマの発生ができないので、膜質と膜厚みが不均一となり、実用に供せられないという問題がある。
即ち、特許文献4に記載のプラズマCVD装置は、容量結合型のプラズマを生成する一対の平行平板電極の一方の電極に被製膜基板サイズと略同じ大きさの開口を備えているので、前記開口部では電界が弱くなり、容量結合型のプラズマを生成することができないという、致命的な問題を抱えている。
その問題を具体的に次に示す。特許文献4に記載のプラズマCVD装置の一対の電極の間の電気力線を、模式的に図12に示す。図12において、中央部アノード電極板361及び中央部カソード電極板351の開口部の領域と開口部でない領域での電気力線の分布は全く異なっている。開口部の領域では電気力線の単位面積当たり本数が少なく、開口部のない領域では開口部の領域よりも、電気力線の数が多い。開口部でない領域の電界は強く、開口部の領域の電界は弱いことを意味している。一様な強さのプラズマを発生させるには、一対の電極間の電界が一様な強さであること、が必須であるが、特許文献4に記載のプラズマCVD装置では、一対の電極間の電界が一様な強さにない。即ち、一様な強さのプラズマが発生されないということを、示している。
一様な強さのプラズマが発生できないということは、薄膜形成の際に、膜質の均一性と膜厚みの均一性が得られないということである。したがって、結晶シリコン系太陽電池の薄膜形成に利用できない。
結晶シリコン系太陽電池の代表的構造を、図13(多結晶シリコン太陽電池)及び図14(ヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池)に示す。
図13に示す太陽電池は、結晶シリコン太陽電池の典型的な構造であり、例えば、特許文献4に記載されている。図13に示す多結晶シリコン太陽電池において、p型多結晶シリコン基板100の表面に形成されたn型拡散層102、p型多結晶シリコン基板100とn型拡散層102の間に形成されたpn接合、p型多結晶シリコン基板100の裏面に形成されたp型裏面電界層103、n型拡散層102の上に形成された反射防止膜104、例えば窒化シリコン膜(SiNx)、p型多結晶シリコン基板100の裏面に形成されたパッシベーション膜106、例えば窒化シリコン膜(SiNx)及びシリコン基板100の両面に形成された電力取り出し用の電極105を有する。なお、反射防止膜104及びパッシベーション膜106はパッシベーション効果を有する。
図13に示す構造の多結晶シリコン太陽電池の製造において、プラズマCVDは、パッシベーション膜106、例えば窒化シリコン膜(SiNx)及び反射防止膜104、例えば窒化シリコン膜(SiNx)、の製膜に利用される。
なお、図13に示すパッシベーション膜106、例えば、窒化シリコン膜(SiNx)及び反射防止膜104、例えば、窒化シリコン膜(SiNx)の膜を、同時に製膜できれば、即ち、両面の同時製膜ができれば、製膜の工程が1つ減ることから、太陽電池の製造時間が短縮され、かつ、プラズマCVD装置が1つ減らせることから、製造コストの低減に貢献できるのであるが、従来技術において、基板100の両面への同時製膜ができない。
図14は、ヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池の典型的な構造を示す。この構造は、例えば、特許文献3に示されている。図14において、n型単結晶シリコン基板200の表面を受光面とし、裏面にヘテロ接合領域と集電電極部が配置されている。
前記n型結晶シリコン基板200の受光面側の表面209は凹凸形状になっている。前記凹凸形状を有する表面209に、i型アモルファスシリコン膜(厚み、例えば、約10nm)201と、光反射防止膜(例えば、SiNx、厚み、例えば、約70nm)202がその順に形成されている。前記単結晶シリコン基板200の裏面の所定の領域に、i型アモルファスシリコン膜(厚み、例えば、約15nm)201、p型アモルファスシリコン膜(厚み、例えば、約10nm)203、第1の透明電極(例えば、ITO、SnO2、ZnOなど、厚み、例えば、約70nm)204及びp型電極(厚み、例えば、約200nm)205がこの順に形成されている。なお、ここで、n型結晶シリコン基板200上に堆積されたi型アモルファスシリコン膜201、p型アモルファスシリコン膜203及び第1の透明電極204から成る積層領域をヘテロ接合領域と呼ぶ。
ヘテロ接合領域の隣には、絶縁溝210を隔てて、i型アモルファスシリコン膜(厚み、例えば、約15nm)201が形成され、i型アモルファスシリコン膜201の上にn型アモルファスシリコン膜(厚み、例えば、約20nm)206、第2の透明電極(例えば、ITO、SnO2、ZnOなど、厚み、例えば、約70nm)207及びn型電極(厚み、例えば、約200nm)208がこの順に形成されている。なお、ここで、ヘテロ接合領域以外の領域をn領域と呼ぶ。
図14に示す構造のヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池の製造において、プラズマCVDは、i型アモルファスシリコン膜201、p型アモルファスシリコン膜203、n型アモルファスシリコン膜206、及び反射防止膜202、例えば、窒化シリコン膜(SiNx)、の製膜に利用される。
なお、図14に示すn型結晶シリコン基板200の表面及び裏面のi型アモルファスシリコン膜201の膜を、同時に製膜できれば、即ち、両面の同時製膜ができれば、製膜の工程が1工程減ることから、太陽電池の製造時間が短縮され、かつ、プラズマCVD装置が1つ減らせることから、製造コストの低減に貢献できるのであるが、従来技術において、基板200の両面への同時製膜ができない。
特開H05−029229 特開2000−182970 特開2008−85374 特許4496401
神岡武文、立花福久、大下祥雄、結晶シリコン太陽電池におけるパッシベーション技術、J.Plasma Fusion Res.Vol.91,No.5(2015),354−359. 近藤道雄、藤原裕之、斎藤忠、シリコン系太陽電池の高効率化・量産化を担うプラズマ技術の最前線、J.Plasma Fusion Res.Vol.85,No.8(2009),499−508.
(課題1)従来の技術では、高い製膜処理能力(高スループット)で、プラズマダメージ(イオン衝撃)が抑制されたパッシベーション膜を、形成することができない、という課題がある。
従来のRFプラズマCVD装置は、大面積の基板への製膜が可能、即ち、製膜処理能力が高いという長所はあるが、電子温度が高く、プラズマ電位が高いというRFプラズマ固有の特徴によりプラズマダメージ(基板表面の損傷)が大きいという短所があるので、高効率のヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池の製造には不適である。また、従来のVHFプラズマCVD装置は、電子温度が低く、プラズマ電位が低いというVHFプラズマ固有の特徴によりプラズマダメージ(基板表面の損傷)が小さいという長所があるが、大面積の基板への製膜が困難、即ち、製膜処理能力が低いという短所があるので、高効率のヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池の製造には不適である。
(課題2)従来技術では、基板の両面(裏面と表面)への同時製膜ができないので、ヘテロ接合バックコンタクト型の太陽電池の製造プロセスで求められるi型アモルファスシリコン膜や窒化シリコン膜(SiNx)等のパッシベーション膜の両面同時製膜というニーズに対応できない、という課題がある。
そこで、本発明は、プラズマダメージ(イオン衝撃)が抑制されたパッシベーション膜を、高スループットで製膜することが可能なプラズマCVD装置を提供すること目的とする。また、基板の両面(裏面と表面)への同時製膜が可能なプラズマCVD装置を提供すること目的とする。
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、排気系を備えた反応容器と、前記反応容器に原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、互いに対向して配置される第1の非接地電極と第1の接地電極から成る第1の一対の電極と、前記第1の一対の電極に高周波電力を供給し前記第1の一対の電極間に高周波プラズマを発生させる第1の電力供給手段と、互いに対向して配置される第2の非接地電極と第2の接地電極から成る第2の一対の電極と、前記第2の一対の電極に高周波電力を供給し前記第2の一対の電極間に高周波プラズマを発生させる第2の電力供給手段と、被製膜基板が載置される基板保持手段と、を備え、
前記第1の接地電極と前記第2の接地電極は、多数の貫通孔を有し、対向し、かつ、離間して配置され、
前記第1の非接地電極と前記第2の非接地電極は、それぞれ原料ガスを噴出する複数の原料ガス噴出孔を有し、
前記基板保持手段は、前記被製膜基板と略一致した形状を有する貫通孔を少なくとも1以上有するとともに、前記第1の接地電極と前記第2の接地電極の略中間に配置されることを特徴とするプラズマCVD装置。
なお、前記第1の接地電極と前記第2の接地電極に備えられる多数の貫通孔は、原料ガスのプラズマ化により生成される製膜に寄与する電気的に中性なラジカルが通過する孔である。また、前記基板保持手段に備えられる少なくとも1以上の貫通孔は前記被製膜基板の両面をプラズマに曝すための孔である。
第2の発明は、第1の発明において、前記第1の接地電極と前記第2の接地電極は、メッシュ状金属で構成されることを特徴とするプラズマCVD装置。
第3の発明は、第1の発明において、前記第1の接地電極と前記第2の接地電極は、パンチング金属板で構成されることを特徴とするプラズマCVD装置。
第4の発明は、第1の発明において、前記第1の接地電極と前記第2の接地電極が有する前記貫通孔の形状は、略円形あるいは略矩形であることを特徴とするプラズマCVD装置。
第5の発明は、第1から第4の発明のいずれか一つの発明において、前記基板保持手段が有する前記貫通孔の開口の周辺に、前記被製膜基板を保持するための基板保持部が設けられることを特徴とするプラズマCVD装置。
第6の発明は、第1から第5の発明のいずれか一つの発明において、前記第1の電力供給手段及び第2の電力供給手段の周波数は、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHzあるいは60MHzであることを特徴とするプラズマCVD装置。
なお、周波数を13.56MHz、27.12MHz、40.68MHzあるいは60MHzに選定した高周波電源は、一般的な仕様の高周波電源として市販されているので容易に入手可能であり、経済的メリットが大きい。
第7の発明は、第1から第6の発明のいずれか一つの発明のプラズマCVD装置によって形成される薄膜を含んでなることを特徴とする結晶シリコン系太陽電池。
なお、前記第7の発明で製造される結晶シリコン系太陽電池は、プラズマダメージの無いパッシベーション膜で形成されるので、欠陥密度が少なく、優れた光電変換効率を用意に実現できる。
第8の発明は、排気系を備えた反応容器と、前記反応容器に原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、互いに対向して配置される第1の非接地電極と第1の接地電極から成る第1の一対の電極と、前記第1の一対の電極に高周波電力を供給し前記第1の一対の電極間に高周波プラズマを発生させる第1の電力供給手段と、互いに対向して配置される第2の非接地電極と第2の接地電極から成る第2の一対の電極と、前記第2の一対の電極に高周波電力を供給し前記第2の一対の電極間に高周波プラズマを発生させる第2の電力供給手段と、被製膜基板が載置される基板保持手段と、を備えたプラズマCVD装置を用いるプラズマCVD方法において、
前記第1の接地電極と前記第2の接地電極のそれぞれに多数のラジカル通過用貫通孔を設け、前記第1の接地電極と前記第2の接地電極を対向し、かつ、離間して配置するとともに、前記第1の非接地電極及び前記第2の非接地電極のそれぞれに原料ガス噴出孔を配置し、前記被製膜基板と略一致した形状を有する製膜用貫通孔を少なくとも1以上有する基板保持手段を用意し、前記基板保持手段を前記第1の接地電極と前記第2の接地電極の略中間に配置し、前記基板保持手段に被製膜基板を載置して、
前記第1の非接地電極に備えられた複数の原料ガス噴出孔と前記第2の非接地電極に備えられた複数の原料ガス噴出孔から原料ガスを噴出させて、所定の条件でプラズマを生成し、前記第1の接地電極と前記第2の接地電極のそれぞれに備えられた前記ラジカル通過用貫通孔を通過したラジカルを用いて、前記被製膜基板の両面に薄膜を堆積させるようにしたことを特徴とするプラズマCVD法。
なお、前記第1の接地電極と前記第2の接地電極に備えられる多数のラジカル通過用貫通孔は、原料ガスのプラズマ化により生成される製膜に寄与する電気的に中性なラジカルが通過する孔である。また、前記基板保持手段に備えられる少なくとも1以上の製膜用貫通孔は前記被製膜基板の両面をプラズマに曝すための孔である。
本発明により、高い製膜処理能力(高スループット)で、プラズマダメージ(イオン衝撃)が抑制されたパッシベーション膜を、形成することが可能になった。即ち、RFプラズマCVDが有する大面積の基板への製膜が可能で製膜処理能力が高いという長所を保持し、かつ、プラズマダメージ(基板表面の損傷)が大きいという短所を解消することが可能となった。また、従来技術では困難である、基板の両面(裏面と表面)への同時製膜が可能となった。
これにより、光電変換効率に優れたヘテロ接合バックコンタクト型の太陽電池のアモルファスシリコン系薄膜をプラズマダメージ(基板表面の損傷)無しで、高スループットで製造が可能であり、光電変換効率に優れたヘテロ接合バックコンタクト型の太陽電池の製造コストの低減化に貢献できるという、効果を奏する。また、基板の両面(裏面と表面)への同時製膜が可能となったことから、製膜工程の削減及び生産性向上が可能となり、製造コストの低減に貢献できるという、効果を奏する。更に、プラズマCVD装置の設置台数を削減可能となり、装置導入費用の削減に、貢献できる、という効果を奏する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置の構成を示す模式的な構成図である。 図2は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる第1の非接地電極と第1の接地電極から成る第1の一対の電極を示す模式図である。 図3は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる第1の基板加熱ヒータを示す模式図である。 図4は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる基板保持手段の構造の第1の具体例を示す模式図である。 図5は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる基板保持手段の構造の第2の具体例を示す断面図である。 図6は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置を用いる被製膜基板への製膜を説明するためのSiHラジカルの拡散による移動を示す模式図である。 図7は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置を用いて製膜された基板の表面の膜(a)と裏面の膜(b)を示す模式図である。 図8は、本発明の第2の実施形態に係わるプラズマCVD装置及びプラズマCVD法に用いられる一対の電極の構造を示す模式図である。 図9は、本発明の第2の実施形態に係わるプラズマCVD装置及びプラズマCVD法に用いられる被製膜基板2枚が重ねて載置された基板保持手段を示す模式的断面図である。 図10は、本発明の第2の実施形態に係わるプラズマCVD装置を用いて製膜された2枚の基板のそれぞれの製膜面に形成された膜(a)と(b)を示す模式図である。 図11は、本発明の第3の実施形態に係わるプラズマCVD装置及びプラズマCVD法に用いられる一対の電極の構造を示す模式図である。 図12は、特許文献4に記載のプラズマCVD装置のアノード電極板とカソード電極板の間に発生する電気力線の説明図である。 図13は、多結晶シリコン太陽電池の典型的な構造を説明するための模式的構造図である。 図14は、ヘテロ接合バックコンタクト型の太陽電池の典型的な構造を説明するための模式的構造図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同様の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。また、以下に示す図面は、説明の便宜上、各部材の縮尺が、実際と異なる場合がある。また、各図面間においても、縮尺が、実際と異なる場合がある。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置及びプラズマCVD法について説明する。先ず、プラズマCVD装置の構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置の構成を示す模式的な構成図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる第1の非接地電極と第1の接地電極から成る第1の一対の電極を示す模式図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる第1の基板加熱ヒータを示す模式図である。
図4は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる基板保持手段の構造の第1の具体例を示す模式図である。
図5は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置に用いられる基板保持手段の構造の第2の具体例を示す断面図である。
図6は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置を用いる被製膜基板への製膜を説明するためのSiHラジカルの拡散による移動を示す模式図である。
図7は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置を用いて製膜された基板の表面の膜(a)と裏面の膜(b)を示す模式図である。
図1及び図2において、符号1は反応容器である。反応容器1は、気密性を有し、図示しない真空ポンプ9で、第1の排気孔4a、第2の排気孔4b、第3の排気孔4c及び第4の排気孔4dを介して排気することにより、真空到達度は2.66〜3.99x10−5Pa(2〜3x10−7Torr)程度になる。また、反応容器1の内壁は不純物の付着が無く、プラズマCVDに適用可能な仕様を満たしている。
符号2aは第1の非接地電極である。第1の非接地電極2aは、絶縁材で作製された第1の非接地電極の固定手段16aと第1の絶縁材23aにより非接地状態になっている。そして、後述の第1のガス供給管5aから供給される原料ガスを噴出する第1の原料ガス噴出孔6aを備えている。第1の原料ガス噴出孔6aは多数設けられる。
なお、第1の非接地電極2aと、後述の第1の接地電極3aは組み合わせて用いられ、第1の一対の電極を構成する。また、第1の非接地電極2aと、後述の第1の接地電極3aは、対向して、平行に配置される。
符号3aは第1の接地電極である。第1の接地電極3aは、図2に示すように、メッシュ金属で作製され、棒状金属61a、62aに接続されている。そして、棒状金属61a、62aは、反応容器1に固定され、接地されている。前記メッシュ金属の仕様は、線径0.5mm〜2mm程度、間隔1mm〜5mm程度、開口率(空間率)30%〜70%程度から選定する。ここでは、例えば、線径0.8mm、間隔1.74mm、開口率(空間率)46.9%のSUS材のメッシュを用いる。
なお、前記メッシュ金属の仕様の選定において、開口率(空間率)が30%程度以下になると、後述のSiHラジカルの通過が抑制されるので、製膜速度が低下する。また、開口率(空間率)が70%程度以上になると、第1の一対の電極間で生成されるプラズマが漏洩し、被製膜基板へのイオンダメージが起こり易くなり、膜質が低下する。
符号4a、4bは、第1及び第2の排気孔である。第1及び第2の排気孔4a、4bは図示しない真空ポンプ9及び図示しない第1の圧力計18aと連携して、第1の接地電極3a近傍の圧力を所定の値に保持するように、排気する。なお、ここでは、原料ガスの流量が100sccm〜2,500sccm程度であれば、圧力1.33Pa〜1,300Pa(0.01Torr〜10Torr)程度の範囲で任意の圧力を制御可能である。
符号5aは第1の原料ガス供給管である。第1の原料ガス供給管5aは、図示しない第1の原料ガス供給源30aと原料ガス噴出孔6aを連結する。
符号6aは第1の原料ガス噴出孔である。第1の原料ガス噴出孔6aは、多数配置され、図示しない第1の原料ガス供給源30aから供給される原料ガスを第1の一対の電極2a、3a間に噴出する。
符号23aは第1の絶縁物である。第1の絶縁物23aは、第1の非接地電極2aを絶縁し、第1の原料ガス供給管5aから供給される原料ガスを第1の原料ガス噴出孔6aに伝送する。
符号19aは第1の基板加熱ヒータである。第1の基板加熱ヒータ19aは、図3に示すように、絶縁材で作製された第1の基板加熱ヒータの支持枠51aと、支持枠51aに張られた第1の発熱線材50aと、真空用電流導入端子52a、53aと、加熱用電源54aで構成される。前記第1の発熱線材50aは、加熱用電源54aから電力を供給されて発熱する。なお、第1の発熱線材50aはニクロム線やタングステン線等から選定する。ここでは、ニクロム線を用いる。また、加熱用電源54aの出力と、第1の発熱線材50aの温度と、被製膜基板22の温度の関係は、予め、把握し、そのデータを基に、所要の温度に設定する。第1の発熱線材50aは接地されている。
符号30aは、図示しない第1の原料ガス供給源である。第1の原料ガス供給源30aは、プラズマCVDに必要なガスを必要な流量で供給できる。ここでは、S、H、NH、Nを、それぞれ、100sccm〜2,500sccmの範囲で、任意に供給できる。
符号10aは第1の高周波電源である。第1の高周波電源10aは、周波数13.56MHzの正弦波電力を出力0.1KW〜5KWの範囲で出力できる。第1の高周波電源10aは、2倍波(27.12MHz)、3倍波(40.68MHz)及び60MHzの周波数に変更可能であり、例えば、周波数40.68MHzを選定できる。なお、周波数13.56MHzに加えて、2倍波(27.12MHz)、3倍波(40.68MHz)及び60MHzの周波数を備えた高周波電源は、低価格で市販されているので、容易に入手できるので、経済的メリットが大きい。
符号11aは第1のインピーダンス整合器である。第1のインピーダンス整合器11aは、第1の高周波電源10aの出力を、第1の同軸ケーブル13a、第1の真空用同軸型電流導入端子14a、第1の導電体15aを介して、第1の非接地電極2aに供給する際に、進行波に対してその反射波が1〜2%以下になるように調整する。なお、第1のインピーダンス整合器11aに付属の調整器12aで自動的に調整することができる。
第1の導電体15aは、第1の真空用同軸型電流導入端子14aの中心導体と第1の非接地電極2aを接続する。
符号2bは第2の非接地電極である。第2の非接地電極2bは、絶縁材で作製された第2の非接地電極の固定手段16bと第2の絶縁材23bにより非接地状態になっている。そして、後述の第2のガス供給管5bから供給される原料ガスを噴出する第2の原料ガス噴出孔6bを備えている。第2の原料ガス噴出孔6bは多数設けられる。
第2の非接地電極2bと、後述の第2の接地電極3bは組み合わせて用いられ、第2の一対の電極を構成する。第2の非接地電極2bと、後述の第2の接地電極3bは、対向して、平行に配置される。
なお、第2の非接地電極2bは、第1の非接地電極2aに平行に、配置される。
符号3bは第2の接地電極である。第2の接地電極2はメッシュ金属で作製され、棒状金属61b、62bに接続されている。そして、棒状金属61b、62bは、反応容器1に固定され、接地されている。前記メッシュ金属の仕様は、線径0.5mm〜2mm程度、間隔1mm〜5mm程度、開口率(空間率)30%〜70%程度から選定する。ここでは、例えば、線径0.8mm、間隔1.74mm、開口率(空間率)46.9%のSUS材のメッシュを用いる。
前記メッシュ金属の仕様の選定において、開口率(空間率)が30%程度以下になると、後述のSiHラジカルの通過が抑制されるので、製膜速度が低下する。また、開口率(空間率)が70%程度以上になると、第1の一対の電極間で生成されるプラズマが漏洩し、被製膜基板へのイオンダメージが起こり易くなり、膜質が低下する。
なお、第1の接地電極3aと、第2の接地電極3bは、対向して、離間して、平行に、配置される。
符号4c、4dは、第3及び第4の排気孔である。第3及び第4の排気孔4c、4dは図示しない真空ポンプ9及び図示しない第2の圧力計18bと連携して、第2の接地電極3b近傍の圧力を所定の値に保持するように、排気する。なお、ここでは、原料ガスの流量が100sccm〜2,500sccm程度であれば、圧力1.33Pa〜1,300Pa(0.01Torr〜10Torr)程度の範囲で任意の圧力を制御可能である。
符号5bは第2の原料ガス供給管である。第2の原料ガス供給管5bは、図示しない第2の原料ガス供給源30bと原料ガス噴出孔6bを連結する。
符号6bは第2の原料ガス噴出孔である。第2の原料ガス噴出孔6bは、多数配置され、図示しない第2の原料ガス供給源30bから供給される原料ガスを第2の一対の電極2b、3b間に噴出する。
符号23bは第2の絶縁物である。第2の絶縁物23bは、第2の非接地電極2bを絶縁し、第2の原料ガス供給管5bから供給される原料ガスを第2の原料ガス噴出孔6bに伝送する。
符号19bは第2の基板加熱ヒータである。第2の基板加熱ヒータ19bは、第1の基板加熱ヒータ19aと同様に、絶縁材で作製された第2の基板加熱ヒータの支持枠61bと、支持枠61bに張られた第2の発熱線材50bと、真空用電流導入端子52b、53bと、加熱用電源54bで構成される。前記第2の発熱線材50bは、加熱用電源54bから電力を供給されて発熱する。なお、第2の発熱線材50bはニクロム線やタングステン線等から選定する。ここでは、ニクロム線を用いる。また、加熱用電源54bの出力と、第2の発熱線材50bの温度と、被製膜基板22の温度の関係は、予め、把握し、そのデータを基に、所要の温度に設定する。第2の発熱線材50bは接地されている。
符号30bは、図示しない第2の原料ガス供給源である。第2の原料ガス供給源30bは、プラズマCVDに必要なガスを必要な流量で供給できる。ここでは、S、H、NH、Nを、それぞれ、100sccm〜2,500sccmの範囲で、任意に供給できる。
符号10bは第2の高周波電源である。第2の高周波電源10bは、周波数13.56MHzの正弦波電力を出力0.1KW〜5KWの範囲で出力できる。第1の高周波電源10aは、2倍波(27.12MHz)、3倍波(40.68MHz)及び60MHzの周波数に変更可能であり、例えば、周波数40.68MHzを選定できる。なお、周波数13.56MHzに加えて、2倍波(27.12MHz)、3倍波(40.68MHz)及び60MHzの周波数を備えた高周波電源は、低価格で市販されているので、容易に入手できるので、経済的メリットが大きい。
符号11bは第2のインピーダンス整合器である。第2のインピーダンス整合器11bは、第2の高周波電源10bの出力を、第2の同軸ケーブル13b、第2の真空用同軸型電流導入端子14b、第2の導電体15bを介して、第2の非接地電極2bに供給する際に、進行波に対してその反射波が1〜2%以下になるように調整する。なお、第2のインピーダンス整合器11bに付属の調整器12bで自動的に調整することができる。
第2の導電体15bは、第2の真空用同軸型電流導入端子14bの中心導体と第2の非接地電極2bを接続する。
図1、図4、図5及び図6において、符号8は基板保持手段である。基板保持手段8には、被製膜基板22が載置される。基板保持手段8の構造は、例えば、図4に示すように、被製膜基板22と略一致した形状の貫通孔26を有し、その開口の周辺にコーナー部座繰り27が設けられる。なお、コーナー部座繰り27は、被製膜基板22の設定に便利であるが、設けなくても良い。また、前記貫通孔26の形状は、プラズマに曝さないように遮蔽マスクを設ける際に、前記遮蔽マスクの設定に都合の良い形状にしても良い。また、前記貫通孔26は、被製膜基板を数多く処理するために、多数、設けるのが良い。
また、基板保持手段の構造を、例えば、図5に示す基板保持手段8aようにしても良い。基板保持手段8aは、貫通孔26の形状を長方形とし、その短辺を被製膜基板22の一方の辺の長さと略一致させ、その長辺を前記被製膜基板22の他方の辺の長さの複数倍に略一致させたもの、である。なお、前記長辺に座繰り27aを設けてもよい。
符号7は、基板保持手段8、8aを保持する基板棚である。基板棚7は、反応容器1の内壁に固定され、基板保持手段8、8aを保持する。
基板棚7は、基板保持手段8、8aに載置された被製膜基板22が、前記第1の接地電極3aと前記第2の接地電極3bの略中間に位置するように、配置される。
なお、被製膜基板22の製膜面と、前記第1の接地電極3a及び前記第2の接地電極3bとの距離は、第1の一対の電極2a、3a間及び第2の一対の電極2b、3b間で発生するプラズマで生成されるSiHラジカルの拡散による移動距離に直接関係するので、重要な要素である。
ここで、第1の一対の電極2a、3aと、基板保持手段8と、第2の一対の電極2b、3bの位置関係を、説明する。
図6に示すように、第1の接地電極3aと第2の接地電極3bは、それぞれ多数の貫通孔を有し、第1の接地電極3aと第2の接地電極3bは対向し、かつ、離間して配置されている。基板保持手段8は、被製膜基板22と略一致した形状を有する貫通孔を少なくとも1以上有するとともに、第1の接地電極3aと第2の接地電極3bの略中間に配置される。
被製膜基板22を反応容器1の中に搬入、あるいは搬出する際には、図示しない基板搬入搬出扉を開閉して行う。
基板の温度は、第1及び第2の基板加熱ヒータ19a、19bで調整される。
製膜が終了して、反応容器1から基板を搬出する際には、反応容器1の外壁に付属している図示しないリーク弁を開にして、反応容器1内の圧力を大気圧に戻す。そして、図示しない基板搬入搬出扉を開閉して行う。
次に、図1に示したプラズマCVD装置を用いて、結晶系太陽電池のパッシベーション膜であるi型アモルファスシリコン膜を例に取り、その製膜方法について説明する。
なお、反射防止膜、例えば、窒化シリコン(SiNx)膜を形成する場合は、原料ガスの流量比をS/NH/N=1/3/10程度を選ぶのが良い。
また、p型のアモルファスシリコン膜を形成する場合は、原料ガスSに、流量比で0.5%〜1%のジボラン(B)を混入させる、と良い。
また、n型のアモルファスシリコン膜を形成する場合は、原料ガスSに、流量比で0.5%〜1%のホスフイン(PH)を混入させる、と良い。
以下に示すi型アモルファスシリコン膜の製膜方法において、その製膜条件は、特別の条件は必要でなく、公知の製膜条件が用いられる。
また、予め、前記高周波電源の出力、前記非接地電極と、前記接地電極のサイズ及び前記電極の間隔等の電力供給手段の条件と、前記原料ガスの条件と、i型アモルファスシリコン膜の製膜速度、膜質、膜厚分布との関係を把握して、そのデータから最適な条件を選定するのが好ましい。
ここでは、例えば、第1及び第2の一対の電極のサイズを100cmx100cm、前記第1及び第2の一対の電極のそれぞれの間隔を2cm、第1及び第2の高周波電源10a、10bの周波数を13.56MHzとして、出力はそれぞれ、4,000Wとする。電力密度は0.4W/cmである。
基板保持手段は、例えば、図4に示す構造を有する基板保持手段8を用いる。そして、基板保持手段8に被製膜基板22を載置する。
被製膜基板22が載置された基板保持手段8を、図示しない基板搬入搬出扉を開けて、反応容器1内に有る基板棚7に設置する。そして、図示しない基板搬入搬出扉を閉める。
次に、図示しない真空ポンプ9を稼働して、反応容器1の内部の圧力を真空到達度、例えば、2.66Pa(2x10−7Torr)程度まで下げる。次に、公知のプラズマCVD法によるi型アモルファスシリコン膜の形成の手順に従って製膜を行う。
ここでは、例えば、水素希釈率50%で、シランガスと水素の混合ガスの流量を1,000sccm、圧力を66,65Pa(0.5Torr)とする。
この条件で、図示しない第1及び第2の原料ガス供給源30a、30bから、それぞれ、第1及び第2の一対の電極第1及び第2の一対の電極間に供給する。供給されたシランガスと水素の混合ガスは、第1及び第2の原料ガス噴出孔6a、6bから噴出する。
次に、被製膜基板22の温度が所定の温度に保持されていることを確認する。ここでは、例えば、180℃とする。
次に、反応容器1の内部の圧力が所定の条件で一定に維持されたことを確認して、所要の圧力に、ここでは、例えば、66.65Pa(0.5Torr)に設定し、一定に維持する。
次に、第1及び第2の高周波電源10a、10bから、それぞれ、第1の一対の電極2a、3a及び第2の一対の電極2b、3bに電力を供給する。
第1及び第2の高周波電源10a、10bから、それぞれ、第1の一対の電極2a、3a及び第2の一対の電極2b、3bに電力が供給されると、一対の電極間に電界が発生し、プラズマが発生する。
即ち、図6において、第1の一対の電極2a、3aの間及び第2の一対の電極2b、3bの間で、それぞれ、原料ガスがプラズマ化される。一般に、RFプラズマはγ効果で発生する電子が存在するため、被製膜基板へのイオンダメージ(イオン損傷)を与えるが、ここでは、第1及び第2の一対の電極で発生するRFプラズマは、それぞれ、第1及び第2の接地電極3a、3bで遮蔽されるので、第1及び第2の一対の電極の外側に配置される基板22へのイオンダメージは発生しない。
プラズマが発生すると、原料ガスが分解されて、S、S、SH、S、H等のラジカルが生成される。Sは、発生されるラジカルの中で最も濃度が高く、電気的に中性であり、原料ガスの流れにも影響を受けずに、拡散現象で移動する。即ち、濃度の高い方から低い方へ移動する。その状況を模式的に、図6に、矢印55a、55bで示す。
第1の一対の電極2a、3aの間で生成されたSは、矢印55aで示すように移動して基板22にi型アモルファスシリコン膜を堆積する。このi型アモルファスシリコン膜の形成に際し、第1の一対の電極2a、3aで発生するRFプラズマは第1の接地電極3aで遮蔽されるので、基板22へのイオンダメージは発生しない。
また、第2の一対の電極2b、3bの間で生成されたSは、矢印55bで示すように移動して基板22にi型アモルファスシリコン膜を堆積する。このi型アモルファスシリコン膜の形成に際し、第2の一対の電極2b、3bで発生するRFプラズマは第2の接地電極3bで遮蔽されるので、基板22へのイオンダメージは発生しない。
第1の一対の電極2a、3a及び第2の一対の電極2b、3bの電極間で生成されたS、SH、S、Hは、反応性が高く、高次シラン(パーテイクル、パウダー)を形成し、原料ガスの流れに乗って、排気孔4a、4b、4c、4dから排気される。
次に、上記製膜において所定の製膜時間が、経過したら、第1及び第2の高周波電源10a、10bの出力を落としてゼロにする。そして、第1及び第2の原料ガス供給源30a、30bのバルブを閉にして原料ガスの供給をストップする。
その後、一旦、反応容器1内部の圧力を真空到達度、例えば、2.66Pa(2x10−7Torr)程度まで下げる。そして、図示しないリークバルブを開いて、反応容器1の内部に大気をいれる。反応容器1内部が大気圧になったら、図示しない基板搬入搬出扉を開けて、被製膜基板22が載置された基板保持手段8を取り出す。
取り出された被製膜基板22を見ると、その基板の第1の一対の電極2a、3a側の面には、図7(a)の22−aのように、基板22の全面にi型アモルファスシリコン膜が形成されている。他方、第2の一対の電極2b、3b側の面には、図7(b)の22−bのように、コーナー部座繰り27で遮蔽された部分を除き、基板全面にi型アモルファスシリコン膜が形成されている。
なお、コーナー座繰り部27部に接した部分にi型アモルファスシリコン膜が形成されていないのは、コーナー座繰り27による遮蔽効果によるものである。また、太陽電池のフィンガー電極模様の製膜を行う際には、予め、その模様の遮蔽マスクを用意し、そのマスクで被製膜基板を覆った状態で、上述の手順でプラズマを生成させればよい。
以上説明したように、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置を用いると、
プラズマ励起の電力周波数が13.56MHzであっても、そのプラズマは第1及び第2の一対の電極の間で発生し、その領域に閉じ込められる。そのプラズマ中の製膜に寄与するSラジカルは、第1及び第2の接地電極のそれぞれの貫通孔を通過して、プラズマ発生領域の外側に離間して配置されている被製膜基板に到達する。その結果、イオンダメージ(イオン損傷)を受けない製膜が可能である。また、基板の両面に、同時に、プラズマCVDによる製膜が可能である。
この基板両面に、同時に、プラズマCVDによる製膜が可能という機能は、太陽電池産業分野での製造コスト低減に多大の効果を発揮できる。
例えば、上記基板両面へのi型アモルファスシリコン膜の同時製膜方法を、図14に示されるヘテロ接合バックコンタクト型構造の太陽電池の基板の表面と裏面へのi型アモルファスシリコン膜を形成する工程に応用すれば、従来の工程から1工程減らすことが可能というメリットが発生する。即ち、従来は、シリコン基板の表面にi型アモルファスシリコン膜を形成する工程と、その裏面にi型アモルファスシリコン膜を形成する工程の2工程が必要であるが、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置を用いたプラズマCVD法によれば、1工程で製膜できる。
これは、プラズマCVD装置の必要台数が1台減るということと、製膜工程に要する作業時間が約半分に減るという、意味を持つ。即ち、製造コストの低減に効果を奏する。
また、図13に示される多結晶系太陽電池の基板の表面と裏面に窒化シリコン膜(SiNx)を形成する工程に応用すれば、従来の工程から1工程減らすことが可能というメリットが発生する。即ち、従来は、シリコン基板の表面にSiNx膜を形成する工程と、その裏面にSiNx膜を形成する工程の2工程が必要であるが、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置を用いたプラズマCVD法によれば、1工程で製膜できる。
これは、プラズマCVD装置の必要台数が1台減るということと、製膜工程に要する作業時間が約半分に減るという、意味を持つ。即ち、製造コストの低減に効果を奏する。


(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係わるプラズマCVD装置及びプラズマCVD法について、図8ないし図10を用いて説明する。なお、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマCVD装置及びプラズマCVD法に関する説明に用いた図1ないし図7も参照する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係わるプラズマCVD装置及びプラズマCVD法に用いられる一対の電極の構造を示す模式図である。図9は、本発明の第2の実施形態に係わるプラズマCVD装置及びプラズマCVD法に用いられる基板2枚重ね載置用基板保持手段を示す模式的断面図である。なお、図9は、基板保持手段8に被製膜基板が2枚重ねて載置されている状況を示している。図10は、本発明の第2の実施形態に係わるプラズマCVD装置を用いて製膜された2枚の基板のそれぞれの製膜面に形成された膜(a)と(b)を示す模式図である。
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、図1に示す構造を有するプラズマCVD装置を用いるが、第1の実施形態と異なる点は、一対の電極の接地電極が略円形の多数の貫通孔を有することと、基板2枚重ね載置用基板保持手段8bに被製膜基板を2枚重ねて載置することにある。
なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。また、以下に示す図面は、説明の便宜上、各部材の縮尺が、実際と異なる場合がある。また、各図面間においても、縮尺が、実際と異なる場合がある。
先ず、本発明の第2の実施形態に関わるプラズマCVD装置の構成について説明する。図1に示されるプラズマCVD装置の第1の接地電極3aを、以下に示すパンチング板で作製された第3の接地電極3cと入れ替える。入れ替えた状態を模式的に、図8に示す。ここで、図8に示す一対の電極2a、3cを、第3の一対の電極2a、3cと呼ぶ。
即ち、第3の一対の電極2a、3cは、第1の非接地電極2aと、パンチング板で作製された第3の接地電極3cで構成される。第3の接地電極3cは、図8に示すように、略円形の貫通孔65を多数有し、第1の非接地電極に平行に配置される。そして、反応容器1に固定され、接地される。
第3の接地電極3cの仕様は、貫通孔の孔径1mm〜3mm程度、ピッチ2mm〜5mm程度、開口率(空間率)30%〜70%程度から選定する。ここでは、例えば、孔径2mm、ピッチ3mm、開口率40%及び厚み1.6mmのSUS材のパンチング板を用いる。
なお、前記パンチング板の仕様の選定において、開口率(空間率)が30%程度以下になると、後述のSiHラジカルの通過が抑制されるので、製膜速度が低下する。また、開口率(空間率)が70%程度以上になると、第3の一対の電極間で生成されるプラズマが漏洩し、被製膜基板へのイオンダメージが起こり易くなり、膜質が低下する。
前記第3の一対の電極2a、3cと同様に、図1に示されるプラズマCVD装置の第2の接地電極3bを、以下に示すパンチング板で作製された第4の接地電極3dと入れ替える。ここで、一対の電極2b、3dを、第4の一対の電極2b、3dと呼ぶ。
即ち、第4の一対の電極2b、3dは、第2の非接地電極2bと、パンチング板で作製された第4の接地電極3dで構成される。第4の接地電極3dは、第2の非接地電極2bに平行に配置される。そして、反応容器1に固定され、接地される。
第4の接地電極3dの仕様は、貫通孔の孔径1mm〜3mm程度、ピッチ2mm〜5mm程度、開口率(空間率)30%〜70%程度から選定する。ここでは、例えば、孔径2mm、ピッチ3mm、開口率40%及び厚み1.6mmのSUS材のパンチング板を用いる。
なお、前記パンチング板の仕様の選定において、開口率(空間率)が30%程度以下になると、後述のSiHラジカルの通過が抑制されるので、製膜速度が低下する。また、開口率(空間率)が70%程度以上になると、第4の一対の電極間で生成されるプラズマが漏洩し、被製膜基板へのイオンダメージが起こり易くなり、膜質が低下する。
次に、前記第3の一対の電極2a、3c及び第4の一対の電極2b、3dを有するプラズマCVD装置(図1参照)を用いて、結晶系太陽電池のパッシベーション膜であるi型アモルファスシリコン膜を例に取り、その製膜方法について説明する。
図9に示すように、基板2枚重ね載置用基板保持手段8bに、2枚の基板35、36を重ねて載置する。ここでは、説明の便宜上、2枚の基板として、反射防止膜(SiNx)が一方の面に形成され、他方の面が被製膜面であるという、基板を用いる。
図9において、符号35は第1の反射防止膜付のシリコン基板である。第1の反射防止膜付のシリコン基板35は、その表面にi型アモルファスシリコン膜と窒化シリコン(SiNx)膜がこの順に形成されている。符号36は第2の反射防止膜付のシリコン基板である。第2の反射防止膜付のシリコン基板36は、その表面にi型アモルファスシリコン膜と窒化シリコン(SiNx)膜がこの順に形成されている。
第1の反射防止膜付のシリコン基板35と第2の反射防止膜付のシリコン基板36を窒化シリコン(SiNx)膜が付いた面同士が接するように重ねる。図9には、基板2枚x2セットを示しているが、一対の電極サイズに対応して、セット数を増大することができる。
なお、図14に示すヘテロ接合バックコンタクト型構造の太陽電池の製造では、シリコン基板の一方の面にi型アモルファスシリコン膜と窒化シリコン(SiNx)膜がこの順に形成されている状態で、他方の面にi型アモルファスシリコン膜を形成する工程がある。
次に、被製膜基板35、36の2枚が重ねて載置された基板2枚重ね載置用基板保持手段8bを、図示しない基板搬入搬出扉を開けて、反応容器1内に有る基板棚7に設置する。そして、図示しない基板搬入搬出扉を閉める。
次に、真空ポンプ9を稼働して、反応容器1内部の圧力を真空到達度、例えば、2.66Pa(2x10−7Torr)程度まで下げる。次に、公知のプラズマCVD法によるi型アモルファスシリコン膜の形成法を参考に、次の手順で製膜を行う。
ここでは、例えば、水素希釈率50%で、シランガスと水素の混合ガスの流量を1000sccm、圧力を66.65Pa(0.5Torr)とする。この条件で、第1及び第2の原料ガス供給源30a、30bから、シランガスと水素の混合ガスを、所定の流量で第3の一対の電極2a、3c及び第4の一対の電極2b、3dの内部に供給する。供給されたシランガスと水素の混合ガスは、第1及び第2の原料ガス噴出孔6a、6bから噴出する。
次に、被製膜基板35、36の温度が所定の温度に保持されていることを確認する。ここでは、例えば、180℃とする。
次に、反応容器1の内部の圧力が所定の条件で一定に維持されていることを確認して、ここでは、例えば、圧力66.65Pa(0.5Torr)に設定し、一定になるように制御する。
次に、第1及び第2の高周波電源10a、10bから、それぞれ、第3の一対の電極2a、3c及び第4の一対の電極2b、3dに電力を供給する。
第1及び第2の高周波電源10a、10bから、それぞれ、第3の一対の電極2a、3c及び第4の一対の電極2b、3dに電力が供給されると、一対の電極間に電界が発生し、プラズマが発生する。即ち、第3の一対の電極2a、3cの間及び第4の一対の電極2b、3dの間で、それぞれ、原料ガスがプラズマ化される。
プラズマが発生すると、原料ガスが分解されて、S、S、SH、S、H等のラジカルが生成される。Sは、発生されるラジカルの中で最も濃度が高く、電気的に中性であり、原料ガスの流れにも影響を受けずに、拡散現象で移動する。即ち、濃度の高い方から低い方へ移動する。
第3の一対の電極2a、3c間に発生したプラズマ中のSは、第3の接地電極3cの貫通孔から外側へ移動する。そして、第4の一対の電極2b、3dの間に発生したプラズマ中のSは、第4の接地電極3dの貫通孔から外側へ移動する。その結果、被製膜基板35、36にi型アモルファスシリコン膜が形成される。
第3の一対の電極2a、3c及び第4の一対の電極2b、3dの電極間で生成されたS、SH、S、Hは、反応性が高く、高次シラン(パーテイクル、パウダー)を形成し、原料ガスの流れに乗って、排気孔4a、4b、4c、4dから排気される。
一般に、RFプラズマはγ効果で発生する電子が存在するため、被製膜基板へのイオンダメージ(イオン損傷)を与えるが、ここでは、第3及び第4の一対の電極で発生するRFプラズマは、それぞれ、第3及び第4の接地電極3c、3dで遮蔽されるので、第3及び第4の一対の電極の外側に配置される基板35、36へのイオンダメージは発生しない。
その結果、基板2枚重ね載置用基板保持手段8bに載置された被製膜基板35、36の製膜面に、イオンダメージのないi型アモルファスシリコン膜が形成される。
次に、上記製膜条件での所定の製膜時間が経過したら、第1及び第2の高周波電源10a、10bの出力を落としてゼロにする。そして、第1及び第2の原料ガス供給源30a、30bのバルブを閉にして原料ガスの供給をストップする。
その後、一旦、反応容器1内部の圧力を真空到達度、例えば、2.66Pa(2x10−7Torr)程度まで下げる。そして、図示しないリークバルブを開いて、反応容器1の内部に大気を入れる。反応容器1の内部が大気圧になったら、図示しない基板搬入搬出扉を開けて、被製膜基板35、36が載置された基板保持手段8bを取り出す。
取り出された被製膜基板35、36を見ると、基板35の製膜面には、図10(a)の35−cのように、基板全面にi型アモルファスシリコン膜が形成されている。他方、被製膜基板36の製膜面には、図10(b)の36−cのように、コーナー座繰り部27に接した部分を除いて、基板36の全面にi型アモルファスシリコン膜が形成されている。
なお、コーナー座繰り部27部に接した部分にi型アモルファスシリコン膜が形成されていないのは、コーナー座繰り27による遮蔽効果によるものである。また、太陽電池のフィンガー電極模様の製膜を行う際には、予め、その模様の遮蔽マスクを用意し、そのマスクで被製膜基板を覆って状態で、上述の要領でプラズマを生成させればよい。
以上説明したように、本発明の第2の実施形態に係わるプラズマCVD装置を用いた製膜方法によれば、2枚重ね基板のそれぞれの一方の面に、同時に、いろいろの薄膜のプラズマCVDによる製膜が可能である。また、RFプラズマ特有のプラズマダメージが抑制された製膜が可能である。
13.56MHzで励起されたプラズマCVD装置により、プラズマダメージの無い製膜が可能であることに加えて、重ねられた2枚の基板のそれぞれの一方の面に、同時に、プラズマCVDによる製膜が可能という機能は、ヘテロ接合バックコンタクト型構造の太陽電池産業分野での製造コスト低減に多大の効果を発揮できる。
即ち、図14に示されるヘテロ接合バックコンタクト型構造の太陽電池の基板の裏面へのi型アモルファスシリコン膜を形成する工程に応用すれば、基板の処理枚数を従来の2倍に増大することが可能というメリットが発生する。即ち、製造コストの低減という効果を奏する。
また、従来の技術では、2台のプラズマCVD装置が必要であった製膜工程に、本発明の第2の実施形態に係わるプラズマCVD装置を利用すれば、1台の装置で対応できる。その結果、太陽電池製造ラインに導入するプラズマCVD装置の費用を削減可能という効果を奏する。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係わるプラズマCVD装置及びプラズマCVD法について、図11を用いて説明する。なお、本発明の第1及び第2の実施形態に係わるプラズマCVD装置及びプラズマCVD法に関する説明に用いた図1ないし図10も参照する。
図11は、本発明の第3の実施形態に係わるプラズマCVD装置及びプラズマCVD法に用いられる一対の電極の構造を示す模式図である。
先ず、本発明の第3の実施形態に関わるプラズマCVD装置の構成について説明する。図11において、符号3eは、第5の接地電極である。符号66は、スリット形状の貫通孔である。
図1に示されるプラズマCVD装置の第1の接地電極3aを、スリット形状貫通孔付金属板で作製された第5の接地電極3eと入れ替える。入れ替えた状態を模式的に、図11に示す。ここで、図11に示す一対の電極2a、3eを、第5の一対の電極2a、3eと呼ぶ。
即ち、第5の一対の電極2a、3eは、第1の非接地電極2aと、スリット形状の貫通孔付金属板で作製された第5の接地電極3eで構成される。第5の接地電極3eは、第1の非接地電極2aに平行に配置される。そして、反応容器1に固定され、接地される。
第5の接地電極3eの仕様は、スリット状貫通孔の短辺1mm〜3mm程度、ピッチ2mm〜5mm程度、開口率(空間率)30%〜70%程度から選定する。
なお、スリット形状の貫通孔付金属板の仕様の選定において、開口率(空間率)が30%程度以下になると、第5の一対の電極2a、3eで発生するプラズマで生成されたSiHラジカルの通過が抑制されるので、製膜速度が低下する。また、開口率(空間率)が70%程度以上になると、第5の一対の電極2a、3e間で生成されるプラズマが漏洩し、被製膜基板へのイオンダメージが起こり易くなり、膜質が低下する。
次に、図1に示されるプラズマCVD装置の第2の接地電極3bを、以下に示すスリット形状の貫通孔付金属板で作製された第6の接地電極3fと入れ替える。ここで、一対の電極2b、3fを、第6の一対の電極2b、3fと呼ぶ。
即ち、第6の一対の電極2b、3fは、第2の非接地電極2bと、スリット形状の貫通孔付金属板で作製された第6の接地電極3fで構成される。第6の接地電極3fは、第2の非接地電極2bに平行に配置される。そして、反応容器1に固定され、接地される。
第6の接地電極3fの仕様は、スリット状孔貫通孔の短辺1mm〜3mm程度、ピッチ2mm〜5mm程度、開口率(空間率)30%〜70%程度から選定する。
なお、スリット状孔付金属板の仕様の選定において、開口率(空間率)が30%程度以下になると、一対の電極で発生するプラズマで生成されたSiHラジカルの通過が抑制されるので、製膜速度が低下する。また、開口率(空間率)が70%程度以上になると、第6の一対の電極間で生成されるプラズマが漏洩し、被製膜基板へのイオンダメージが起こり易くなり、膜質が低下する。
次に、前記第5の一対の電極2a、3e及び第6の一対の電極2b、3fを有するプラズマCVD装置(図1参照)を用いて、例えば、結晶系太陽電池のパッシベーション膜であるi型アモルファスシリコン膜を製膜する方法であるが、本発明の第1及び第2の実施形態で説明した製膜方法と同様に行えばよい。
なお、前記スリット形状の貫通孔付金属板で作製された第5の接地電極3e及び第6の接地電極3fに代えて、矩形の貫通孔を有する格子状金属板で作製した接地電極を用いることも可能である。
1・・・反応容器、
2a、2b・・・第1及び第2の非接地電極、
3a、3b、3c、3d、3e、3f・・・第1、第2、第3、第4、第5及び第6の接地電極、
4a・・・第1、第2、第3及び第4の排気孔、
5a・・・第1の原料ガス供給管、
5b・・・第2の原料ガス供給管、
6a・・・第1の原料ガス噴出孔、
6b・・・第2の原料ガス噴出孔、
7・・・基板保持手段を保持する基板棚、
8、8a、8b・・・基板保持手段、
10a、10b・・・第1及び第2の高周波電源、
11a、11b・・・第1及び第2のインピーダンス整合器、
13a、13b・・・第1及び第2の同軸ケーブル、
14a、14b・・・第1及び第2の真空用同軸型電流導入端子、
15a、15b・・・第1及び第2の導電体、
22、35、36・・・被製膜基板、
26・・・貫通孔、
27・・・コーナー部座繰り、
22−a、22−b、35−c、36c・・・i型アモルファスシリコン膜。

Claims (8)

  1. 排気系を備えた反応容器と、前記反応容器に原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、互いに対向して配置される第1の非接地電極と第1の接地電極から成る第1の一対の電極と、前記第1の一対の電極に高周波電力を供給し前記第1の一対の電極間に高周波プラズマを発生させる第1の電力供給手段と、互いに対向して配置される第2の非接地電極と第2の接地電極から成る第2の一対の電極と、前記第2の一対の電極に高周波電力を供給し前記第2の一対の電極間に高周波プラズマを発生させる第2の電力供給手段と、被製膜基板が載置される基板保持手段と、を備え、
    前記第1の接地電極と前記第2の接地電極は、多数の貫通孔を有し、対向し、かつ、離間して配置され、前記第1の非接地電極と前記第2の非接地電極は、それぞれ原料ガスを噴出する複数の原料ガス噴出孔を有し、前記基板保持手段は、前記被製膜基板と略一致した形状を有する貫通孔を少なくとも1以上有するとともに、前記第1の接地電極と前記第2の接地電極の略中間に配置されることを特徴とするプラズマCVD装置。
  2. 前記第1の接地電極と前記第2の接地電極は、メッシュ状金属で構成されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマCVD装置。
  3. 前記第1の接地電極と前記第2の接地電極は、パンチング金属板で構成されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマCVD装置。
  4. 前記第1の接地電極と前記第2の接地電極が有する前記貫通孔の形状は、略円形あるいは略矩形であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマCVD装置。
  5. 前記基板保持手段が有する前記貫通孔の開口の周辺に、前記被製膜基板を保持するための基板保持部が設けられることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプラズマCVD装置。
  6. 前記第1の電力供給手段及び第2の電力供給手段の周波数は、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHzあるいは60MHzであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプラズマCVD装置。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のプラズマCVD装置によって形成される薄膜を含んでなることを特徴とする結晶シリコン系太陽電池。
  8. 排気系を備えた反応容器と、前記反応容器に原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、互いに対向して配置される第1の非接地電極と第1の接地電極から成る第1の一対の電極と、前記第1の一対の電極に高周波電力を供給し前記第1の一対の電極間に高周波プラズマを発生させる第1の電力供給手段と、
    互いに対向して配置される第2の非接地電極と第2の接地電極から成る第2の一対の電極と、前記第2の一対の電極に高周波電力を供給し前記第2の一対の電極間に高周波プラズマを発生させる第2の電力供給手段と、
    被製膜基板が載置される基板保持手段と、を備えたプラズマCVD装置を用いるプラズマCVD方法において、
    前記第1の接地電極と前記第2の接地電極のそれぞれに多数のラジカル通過用貫通孔を設け、前記第1の接地電極と前記第2の接地電極を対向し、かつ、離間して配置するとともに、前記第1の非接地電極及び前記第2の非接地電極のそれぞれに原料ガス噴出孔を配置し、前記被製膜基板と略一致した形状を有する製膜用貫通孔を少なくとも1以上有する基板保持手段を用意し、前記基板保持手段を前記第1の接地電極と前記第2の接地電極の略中間に配置し、前記基板保持手段に被製膜基板を載置して、前記第1の非接地電極に備えられた複数の原料ガス噴出孔と前記第2の非接地電極に備えられた複数の原料ガス噴出孔から原料ガスを噴出させて、所定の条件でプラズマを生成し、前記第1の接地電極と前記第2の接地電極のそれぞれに備えられた前記ラジカル通過用貫通孔を通過したラジカルを用いて、前記被製膜基板の両面に薄膜を堆積させるようにしたことを特徴とするプラズマCVD法。
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