JP2018015935A - 積層体、積層体の製造方法及びフッ素ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】低燃料透過性に優れるフッ素樹脂を用い、かつ、フッ素ゴムとしてトリエチルアミンと接触させた後に測定した1720cm−1の吸光係数が0.35を超えるVdF/HFP/TFE共重合体を用いた場合であっても、フッ素樹脂層とフッ素ゴム層とを強固に接着させることができる積層体を提供する。【解決手段】フッ素ゴム層(A)と、フッ素ゴム層(A)上に積層されたフッ素樹脂層(B)と、を備える積層体であって、前記フッ素ゴム層(A)は、フッ素ゴム組成物から形成される層であり、前記フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム(a1)、ハイドロタルサイト、及び、分子中に少なくとも2個の窒素原子を含有し、分子中の窒素原子−窒素原子間の距離が5.70Å以上である塩基性の多官能化合物を含み、フッ素ゴム(a1)は、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体であり、前記フッ素樹脂層(B)は、燃料透過係数が2.0g・mm/m2/day以下であるフッ素樹脂(b1)から構成されることを特徴とする積層体。【選択図】なし
Description
本発明は、積層体、積層体の製造方法及びフッ素ゴム組成物に関する。
従来、昨今の環境意識の高まりから、燃料揮発を防止するための法整備が進み、特に自動車業界では米国を中心に燃料揮発抑制の傾向が著しく、燃料バリア性に優れた材料へのニーズが大きくなりつつある。
特に、燃料輸送ゴムホースにおいて、低燃料透過性を良好にするためにフッ素樹脂をバリア層とした積層ホース(バリア層以外はゴム)が使用されているが、昨今の環境負荷低減の強い要求により、一層の低燃料透過性が必要とされる。
特に、燃料輸送ゴムホースにおいて、低燃料透過性を良好にするためにフッ素樹脂をバリア層とした積層ホース(バリア層以外はゴム)が使用されているが、昨今の環境負荷低減の強い要求により、一層の低燃料透過性が必要とされる。
また、フッ素ゴムは、耐熱性、耐油性、耐老化性等の諸特性に優れることから、上記のバリア層以外のゴムとして使用することが提案されている。
しかしながら、フッ素樹脂、特に低燃料透過性に優れるフッ素樹脂をバリア層として使用する場合、相手材である外内層のフッ素ゴムとの接着が困難である。そこで、特許文献1には、低燃料透過性に優れるフッ素樹脂を用いた場合であっても、フッ素樹脂層とフッ素ゴム層とを強固に接着させることができる積層体を提供することを目的として、フッ素ゴム層(A)と、フッ素ゴム層(A)上に積層されたフッ素樹脂層(B)と、を備える積層体であって、前記フッ素ゴム層(A)は、フッ素ゴム組成物から形成される層であり、前記フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム(a1)、及び、分子中に少なくとも2個の窒素原子を含有し、分子中の窒素原子−窒素原子間の距離が5.70Å以上である塩基性の多官能化合物を含み、前記フッ素ゴム(a1)は、トリエチルアミンと接触させた後に測定した1720cm−1の吸光係数が0.35以下であり、前記フッ素樹脂層(B)は、燃料透過係数が2.0g・mm/m2/day以下であるフッ素樹脂(b1)から構成されることを特徴とする積層体が記載されている。
しかし、特許文献1に記載された方法では、使用できるフッ素ゴムがトリエチルアミンと接触させた後に測定した1720cm−1の吸光係数が0.35以下であるものに限られるため、フッ素ゴムとして、吸光係数が0.35を超え、燃料バリア性及び耐燃料性に優れるフッ化ビニリデン(VdF)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体を用いた場合であってもフッ素ゴム層とフッ素樹脂層とが強固に接着した積層体が望まれる。
本発明は、このような現状に鑑み、低燃料透過性に優れるフッ素樹脂を用い、かつ、フッ素ゴムとしてトリエチルアミンと接触させた後に測定した1720cm−1の吸光係数が0.35を超えるVdF/HFP/TFE共重合体を用いた場合であっても、フッ素樹脂層とフッ素ゴム層とを強固に接着させることができる積層体を提供することを目的とする。
本発明者等は、低燃料透過性に優れたフッ素樹脂と、VdF/HFP/TFE共重合体とが強固に接着した積層体について鋭意検討し、フッ素ゴム層を形成するためのフッ素ゴム組成物に着目した。そして、VdF/HFP/TFE共重合体をフッ素ゴムとして用いた場合、フッ素ゴム組成物にハイドロタルサイトと特定の塩基性の多官能化合物を含有させることによって、フッ素樹脂層とフッ素ゴム層とを強固に接着させることが可能となることを見出し、本発明は完成したものである。
すなわち、本発明は、フッ素ゴム層(A)と、フッ素ゴム層(A)上に積層されたフッ素樹脂層(B)と、を備える積層体であって、上記フッ素ゴム層(A)は、フッ素ゴム組成物から形成される層であり、上記フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム(a1)、ハイドロタルサイト、及び、分子中に少なくとも2個の窒素原子を含有し、分子中の窒素原子−窒素原子間の距離が5.70Å以上である塩基性の多官能化合物を含み、フッ素ゴム(a1)は、VdF/HFP/TFE共重合体であり、上記フッ素樹脂層(B)は、燃料透過係数が2.0g・mm/m2/day以下であるフッ素樹脂(b1)から構成されることを特徴とする積層体である。
上記フッ素樹脂(b1)は、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン系共重合体、及び、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であり、上記テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデンの共重合割合(モル%比)が、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン=75〜95/0.1〜10/0.1〜19であることが好ましい。
上記フッ素ゴム組成物は、パーオキサイド加硫系加硫剤を含有することが好ましい。
上記塩基性の多官能化合物は、−NH2、−NH3 +、−NHCOOH、−NHCOO−、−N=CR1R2(式中、R1及びR2は、独立して、炭素数0〜12の有機基である)、−NR3R4(式中、R3及びR4は、独立して、炭素数0〜12の有機基である)、及び、−NR3R4R5(式中、R3、R4及びR5は、独立して、炭素数0〜12の有機基である)である官能基を2個以上有することが好ましい。
上記塩基性の多官能化合物は、−NH2、−NH3 +、−N=CR1R2(式中、R1及びR2は、独立して、炭素数0〜12の有機基である)、及び、−NR3R4R5(式中、R3、R4及びR5は、独立して、炭素数0〜12の有機基である)である官能基を2個以上有することが好ましい。
上記塩基性の多官能化合物は、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン及びNH2−(CH2)n−NH2(式中、nは5〜12)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記塩基性の多官能化合物は、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の積層体は、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)との接着強度が12N/cm以上であることが好ましい。
本発明の積層体は、フッ素樹脂層(B)の両側にフッ素ゴム層(A)が積層されていることが好ましい。
本発明の積層体は、フッ素ゴム層(A)の両側にフッ素樹脂層(B)が積層されていることも好ましい。
本発明の積層体は、更に、非フッ素ゴム層(C1a)を含み、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(C1a)の順に積層されているものであることも好ましい。
本発明の積層体は、更に、非フッ素ゴム層(D1a)を含み、非フッ素ゴム層(D1a)−フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(C1a)の順、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(D1a)−非フッ素ゴム層(C1a)の順、又は、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(C1a)−非フッ素ゴム層(D1a)の順、に積層されていることが好ましい。
本発明の積層体は、フッ素ゴム層(A)の両側にフッ素樹脂層(B)が積層されていることも好ましい。
本発明の積層体は、更に、非フッ素ゴム層(C1a)を含み、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(C1a)の順に積層されているものであることも好ましい。
本発明の積層体は、更に、非フッ素ゴム層(D1a)を含み、非フッ素ゴム層(D1a)−フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(C1a)の順、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(D1a)−非フッ素ゴム層(C1a)の順、又は、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(C1a)−非フッ素ゴム層(D1a)の順、に積層されていることが好ましい。
本発明の積層体は、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)とが加硫接着されていることが好ましい。
本発明はまた、フッ素ゴム(a1)と、ハイドロタルサイトと、分子中に少なくとも2個の窒素原子を含有し、分子中の窒素原子−窒素原子間の距離が5.70Å以上である塩基性の多官能化合物とを混合してフッ素ゴム組成物を得る工程、フッ素ゴム組成物を成形して得られる未加硫フッ素ゴム層と、フッ素樹脂層とを積層する工程、及び、積層された未加硫フッ素ゴム層とフッ素樹脂層に加硫処理する工程、を含み、上記フッ素ゴム(a1)は、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体であり、前記フッ素樹脂層は、燃料透過係数が2.0g・mm/m2/day以下であるフッ素樹脂(b1)から構成されることを特徴とする積層体の製造方法でもある。
本発明は更に、フッ素ゴム(a1)と、ハイドロタルサイトと、分子中に少なくとも2個の窒素原子を含有し、分子中の窒素原子−窒素原子間の距離が5.70Å以上である塩基性の多官能化合物とを含み、上記フッ素ゴム(a1)は、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体であるフッ素ゴム組成物でもある。
本発明の積層体は、上記構成を有することから、低燃料透過性に優れるフッ素樹脂を用い、かつ、フッ素ゴムとしてトリエチルアミンと接触させた後に測定した1720cm−1の吸光係数が0.35を超えるVdF/HFP/TFE共重合体を用いた場合であっても、フッ素樹脂層とフッ素ゴム層とを強固に接着させることができる。
本発明の積層体は、フッ素ゴム層(A)と、フッ素ゴム層(A)上に積層されたフッ素樹脂層(B)とを備える。
以下、各構成要素について説明する。
以下、各構成要素について説明する。
(A)フッ素ゴム層
上記フッ素ゴム層(A)は、フッ素ゴム組成物から形成される層である。
上記フッ素ゴム層(A)は、通常、フッ素ゴム組成物を成形して未加硫フッ素ゴム層を得た後、加硫処理して得られるものである。
上記フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム(a1)と、ハイドロタルサイトと、分子中に少なくとも2個の窒素原子を含有し、分子中の窒素原子−窒素原子間の距離が5.70Å以上である塩基性の多官能化合物を含み、フッ素ゴム(a1)は、VdF/HFP/TFE共重合体である。上記フッ素ゴム組成物も本発明の一つである。
上記特定のフッ素ゴムとハイドロタルサイトと上記塩基性の多官能化合物とを併用することによって、低燃料透過性に優れるフッ素樹脂(b1)を使用した場合であっても、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)とを強固に接着させることができる。
例えば、フッ素ゴムとして、VdF/TFE/パーフルオロ(メチルビニルエーテル)共重合体を用いた場合、後述する比較例3で示されるように、ハイドロタルサイトと上記多官能化合物を含む場合であってもフッ素ゴム層とフッ素樹脂層とが強固に接着しない。本発明者等は、ハイドロタルサイトと上記多官能化合物との併用が、VdF/HFP/TFE共重合体に特異的に作用し、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)とを強固に接着できることを見出し、本発明は完成に至ったのである。
上記フッ素ゴム層(A)は、フッ素ゴム組成物から形成される層である。
上記フッ素ゴム層(A)は、通常、フッ素ゴム組成物を成形して未加硫フッ素ゴム層を得た後、加硫処理して得られるものである。
上記フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム(a1)と、ハイドロタルサイトと、分子中に少なくとも2個の窒素原子を含有し、分子中の窒素原子−窒素原子間の距離が5.70Å以上である塩基性の多官能化合物を含み、フッ素ゴム(a1)は、VdF/HFP/TFE共重合体である。上記フッ素ゴム組成物も本発明の一つである。
上記特定のフッ素ゴムとハイドロタルサイトと上記塩基性の多官能化合物とを併用することによって、低燃料透過性に優れるフッ素樹脂(b1)を使用した場合であっても、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)とを強固に接着させることができる。
例えば、フッ素ゴムとして、VdF/TFE/パーフルオロ(メチルビニルエーテル)共重合体を用いた場合、後述する比較例3で示されるように、ハイドロタルサイトと上記多官能化合物を含む場合であってもフッ素ゴム層とフッ素樹脂層とが強固に接着しない。本発明者等は、ハイドロタルサイトと上記多官能化合物との併用が、VdF/HFP/TFE共重合体に特異的に作用し、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)とを強固に接着できることを見出し、本発明は完成に至ったのである。
フッ素ゴム(a1)は、VdF/HFP/TFE共重合体である。上記フッ素ゴム(a1)は、未加硫のフッ素ゴムであり、通常、主鎖を構成する炭素原子に結合しているフッ素原子を有し、且つゴム弾性を有する非晶質の重合体からなる。フッ素ゴム(a1)は、通常、明確な融点を有しないものである。
上記VdF/HFP/TFE共重合体は、VdFに基づく重合単位(VdF単位)と、HFPに基づく重合単位(HFP単位)と、TFEに基づく重合単位(TFE単位)とを含むものである。
フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)との接着性、燃料バリア性、及び、耐燃料性が優れることから、VdF/HFP/TFEが30〜85/5〜50/5〜40(モル比)であることが好ましく、VdF/HFP/TFEが35〜80/8〜45/8〜35(モル比)であることがより好ましく、VdF/HFP/TFEが40〜80/10〜40/10〜30(モル比)であることが更に好ましく、VdF/HFP/TFEが45〜75/10〜35/10〜25(モル比)であることが最も好ましい。
フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)との接着性、燃料バリア性、及び、耐燃料性が優れることから、VdF/HFP/TFEが30〜85/5〜50/5〜40(モル比)であることが好ましく、VdF/HFP/TFEが35〜80/8〜45/8〜35(モル比)であることがより好ましく、VdF/HFP/TFEが40〜80/10〜40/10〜30(モル比)であることが更に好ましく、VdF/HFP/TFEが45〜75/10〜35/10〜25(モル比)であることが最も好ましい。
上記VdF/HFP/TFE共重合体は、他のモノマーに基づく重合単位を含有するものであってもよく、他のモノマーとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテル、および、加硫部位を与える単量体からなる群より選択される少なくとも1種のモノマー等が挙げられる。加硫部位を与える単量体については後述する。
また、他のモノマーに基づく重合単位の含有量は、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましく、3モル%以下であることが更に好ましく、2モル%以下であることが最も好ましい。フッ素ゴム(a1)は、VdF単位とHFP単位とTFE単位のみからなる共重合体であることも好ましい。
また、他のモノマーに基づく重合単位の含有量は、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましく、3モル%以下であることが更に好ましく、2モル%以下であることが最も好ましい。フッ素ゴム(a1)は、VdF単位とHFP単位とTFE単位のみからなる共重合体であることも好ましい。
フッ素ゴム(a1)は、トリエチルアミンと接触させた後に測定した1720cm−1の吸光係数が0.35超のVdF/HFP/TFE共重合体であることが好ましい。吸光係数が0.35を超えるVdF/HFP/TFE共重合体は、燃料バリア性及び耐燃料性に優れる。一方、フッ素ゴムの吸光係数が0.35を超える場合、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)とが接着しにくい。しかし、ハイドロタルサイトと特定の塩基性の多官能化合物とを併用することによって、VdF/HFP/TFE共重合体であるフッ素ゴム(a1)の吸光係数が0.35を超える場合であっても、フッ素樹脂層とフッ素ゴム層とを強固に接着させることができる。上記吸光係数は、0.36以上であることがより好ましく、0.37以上であることが更に好ましく、0.38以上であることが最も好ましい。吸光係数の上限は、例えば、0.43であり、好ましくは0.41であり、更に好ましくは0.40である。
上記トリエチルアミンと接触させた後に測定した1720cm−1の吸光係数は、下記方法で測定したものである。
まず、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)又はメチルエチルケトン(MEK)10cc中にポリマー(フッ素ゴム)0.56gを完全に溶解させた後、トリエチルアミン4.9gを入れ、シャーレに溶液を移し、アセトン又はTHF又はMEKを気化させた後、シャーレごと70℃の恒温槽で3時間加熱し、加熱後のポリマーの膜を空気雰囲気で赤外分光法(IR)により分析する。
そして、IRの分析結果において、3000〜3030cm−1の吸光係数を1.0とした時の1720cm−1のピーク強度を1720cm−1の吸光係数とする。
上記トリエチルアミンと接触させた後に測定した1720cm−1の吸光係数は、下記方法で測定したものである。
まず、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)又はメチルエチルケトン(MEK)10cc中にポリマー(フッ素ゴム)0.56gを完全に溶解させた後、トリエチルアミン4.9gを入れ、シャーレに溶液を移し、アセトン又はTHF又はMEKを気化させた後、シャーレごと70℃の恒温槽で3時間加熱し、加熱後のポリマーの膜を空気雰囲気で赤外分光法(IR)により分析する。
そして、IRの分析結果において、3000〜3030cm−1の吸光係数を1.0とした時の1720cm−1のピーク強度を1720cm−1の吸光係数とする。
上記フッ素ゴム(a1)は、フッ素含有率が、60質量%以上であることが好ましく、62質量%以上であることがより好ましく、64質量%以上であることが更に好ましい。フッ素含有率の上限は特に限定されないが、74質量%以下であることが好ましく、73質量%以下であることがより好ましく、72質量%以下であることが更に好ましい。フッ素含有率は、フッ素ゴム(a1)の組成から計算によって求めることができる。
上記フッ素ゴム(a1)は、ムーニー粘度(ML(1+10)(121℃))が2〜200であることが好ましく、5〜100であることがより好ましい。
上記ムーニー粘度は、ASTM−D1646およびJISK6300に準拠して測定した値である。
上記ムーニー粘度は、ASTM−D1646およびJISK6300に準拠して測定した値である。
上記フッ素ゴム(a1)は、数平均分子量(Mn)が5000〜500000であることが好ましく、10000〜500000であることがより好ましい。
上記数平均分子量はGPC法により測定した値である。
上記数平均分子量はGPC法により測定した値である。
上記フッ素ゴム(a1)は、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)とがより強固に接着することから、パーオキサイド加硫可能なフッ素ゴムが好ましい。上記パーオキサイド加硫可能なフッ素ゴムとしては特に限定されず、パーオキサイド加硫可能な部位(加硫部位)を有するフッ素ゴムであればよい。
上記加硫部位を導入する方法としては、フッ素ゴムの重合時に加硫部位を与える単量体を共重合する方法、重合開始剤又は連鎖移動剤として臭素化合物又はヨウ素化合物のような加硫部位を与える化合物を使用する方法等が挙げられる。
上記加硫部位を導入する方法としては、フッ素ゴムの重合時に加硫部位を与える単量体を共重合する方法、重合開始剤又は連鎖移動剤として臭素化合物又はヨウ素化合物のような加硫部位を与える化合物を使用する方法等が挙げられる。
上記加硫部位を与える単量体としては、たとえば、一般式:
CX1 2=CX1−Rf3CHR1X2
(式中、X1は、水素原子、フッ素原子または−CH3、Rf3は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロ(ポリ)オキシアルキレン基またはパーフルオロ(ポリ)オキシアルキレン基、R1は、水素原子または−CH3、X2は、ヨウ素原子または臭素原子である。)で表されるヨウ素または臭素含有単量体、一般式:
CX1 2=CX1−Rf3X2
(式中、X1は、水素原子、フッ素原子または−CH3、Rf3は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロ(ポリ)オキシアルキレン基またはパーフルオロ(ポリ)オキシアルキレン基、X2は、ヨウ素原子または臭素原子である。)で表されるヨウ素または臭素含有単量体(好ましくは、一般式:CH2=CH(CF2)nI(nは2〜8の整数である。)で表されるヨウ素含有単量体)、一般式:
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2)n−X3
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、X3は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、又は臭素原子である。)で表される単量体、一般式:
CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)m(CF(CF3))n−X4
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、X4は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子又は−CH2OHである。)で表される単量体、一般式:
CR2R3=CR4−Z−CR5=CR6R7
(式中、R2、R3、R4、R5、R6及びR7、は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。Zは、直鎖又は分岐状で酸素原子を有していてもよい、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数3〜18のシクロアルキレン基、少なくとも部分的にフッ素化している炭素数1〜10のアルキレン若しくはオキシアルキレン基、又は、
−(Q)p−CF2O−(CF2CF2O)m(CF2O)n−CF2−(Q)p−
(式中、Qはアルキレンまたはオキシアルキレン基である。pは0または1である。m/nが0.2〜5である。)で表され、分子量が500〜10000である(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である。)で表される単量体等が挙げられる。
CX1 2=CX1−Rf3CHR1X2
(式中、X1は、水素原子、フッ素原子または−CH3、Rf3は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロ(ポリ)オキシアルキレン基またはパーフルオロ(ポリ)オキシアルキレン基、R1は、水素原子または−CH3、X2は、ヨウ素原子または臭素原子である。)で表されるヨウ素または臭素含有単量体、一般式:
CX1 2=CX1−Rf3X2
(式中、X1は、水素原子、フッ素原子または−CH3、Rf3は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロ(ポリ)オキシアルキレン基またはパーフルオロ(ポリ)オキシアルキレン基、X2は、ヨウ素原子または臭素原子である。)で表されるヨウ素または臭素含有単量体(好ましくは、一般式:CH2=CH(CF2)nI(nは2〜8の整数である。)で表されるヨウ素含有単量体)、一般式:
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2)n−X3
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、X3は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、又は臭素原子である。)で表される単量体、一般式:
CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)m(CF(CF3))n−X4
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、X4は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子又は−CH2OHである。)で表される単量体、一般式:
CR2R3=CR4−Z−CR5=CR6R7
(式中、R2、R3、R4、R5、R6及びR7、は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。Zは、直鎖又は分岐状で酸素原子を有していてもよい、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数3〜18のシクロアルキレン基、少なくとも部分的にフッ素化している炭素数1〜10のアルキレン若しくはオキシアルキレン基、又は、
−(Q)p−CF2O−(CF2CF2O)m(CF2O)n−CF2−(Q)p−
(式中、Qはアルキレンまたはオキシアルキレン基である。pは0または1である。m/nが0.2〜5である。)で表され、分子量が500〜10000である(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である。)で表される単量体等が挙げられる。
上記一般式:
CR2R3=CR4−Z−CR5=CR6R7
で表される化合物としては、例えば、CH2=CH−(CF2)2−CH=CH2、CH2=CH−(CF2)4−CH=CH2、CH2=CH−(CF2)6−CH=CH2、下記式:
CH2=CH−Z1−CH=CH2
(式中、Z1は、−CH2OCH2−CF2O−(CF2CF2O)m1(CF2O)n1−CF2−CH2OCH2−で表されるフルオロポリオキシアルキレン基であり、m1/n1は0.5であり、分子量は2000である。)で表される単量体等が挙げられる。
CR2R3=CR4−Z−CR5=CR6R7
で表される化合物としては、例えば、CH2=CH−(CF2)2−CH=CH2、CH2=CH−(CF2)4−CH=CH2、CH2=CH−(CF2)6−CH=CH2、下記式:
CH2=CH−Z1−CH=CH2
(式中、Z1は、−CH2OCH2−CF2O−(CF2CF2O)m1(CF2O)n1−CF2−CH2OCH2−で表されるフルオロポリオキシアルキレン基であり、m1/n1は0.5であり、分子量は2000である。)で表される単量体等が挙げられる。
加硫部位を与える単量体としては、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COOH、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CH2I、CF2=CFOCF2CF2CH2I、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CN、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOH、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CH2OH、及び、CH2=CHCF2CF2I、CH2=CH(CF2)2CH=CH2からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい形態の一つである。
上記加硫部位を与える単量体としては、CF2=CFOCF2CF2CH2Iが、パーオキサイドを用いた加硫において、加硫密度を向上させて、圧縮永久歪を良好にすることができるので、特に好ましい。
上記加硫部位を与える単量体としては、CF2=CFOCF2CF2CH2Iが、パーオキサイドを用いた加硫において、加硫密度を向上させて、圧縮永久歪を良好にすることができるので、特に好ましい。
加硫部位を与える単量体としてはまた、たとえば、一般式:
CX1 2=CX1−Rf3CHR1X2
(式中、X1は、水素原子、フッ素原子または−CH3、Rf3は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基またはパーフルオロポリオキシアルキレン基、R1は、水素原子または−CH3、X2は、ヨウ素原子または臭素原子である)
で表されるヨウ素または臭素含有単量体、一般式:
CX1 2=CX1−Rf3X2
(式中、X1は、水素原子、フッ素原子または−CH3、Rf3は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基またはパーフルオロポリオキシアルキレン基、X2は、ヨウ素原子または臭素原子である)
で表されるヨウ素または臭素含有単量体(好ましくはCH2=CH(CF2)nI(nは2〜8の整数である)で表されるヨウ素含有単量体)、一般式:
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2)n−X5
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、X5はヨウ素原子または臭素原子である)
で表される単量体、及び、一般式:
CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)m(CF(CF3))n−X5
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、X5はヨウ素原子または臭素原子である)
で表される単量体、からなる群より選択される少なくとも1種の単量体であることも好ましい形態の一つである。このようなヨウ素または臭素含有単量体を上記他の単量体として使用することによって、VdF/HFP/TFE共重合体を製造することもできる。
CX1 2=CX1−Rf3CHR1X2
(式中、X1は、水素原子、フッ素原子または−CH3、Rf3は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基またはパーフルオロポリオキシアルキレン基、R1は、水素原子または−CH3、X2は、ヨウ素原子または臭素原子である)
で表されるヨウ素または臭素含有単量体、一般式:
CX1 2=CX1−Rf3X2
(式中、X1は、水素原子、フッ素原子または−CH3、Rf3は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基またはパーフルオロポリオキシアルキレン基、X2は、ヨウ素原子または臭素原子である)
で表されるヨウ素または臭素含有単量体(好ましくはCH2=CH(CF2)nI(nは2〜8の整数である)で表されるヨウ素含有単量体)、一般式:
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2)n−X5
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、X5はヨウ素原子または臭素原子である)
で表される単量体、及び、一般式:
CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)m(CF(CF3))n−X5
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、X5はヨウ素原子または臭素原子である)
で表される単量体、からなる群より選択される少なくとも1種の単量体であることも好ましい形態の一つである。このようなヨウ素または臭素含有単量体を上記他の単量体として使用することによって、VdF/HFP/TFE共重合体を製造することもできる。
フッ素ゴム(a1)において、加硫部位を与える単量体は、全単量体単位の0モル%以上であってよく、0.01〜10モル%であることが好ましく、0.01〜2モル%であることがより好ましい。フッ素ゴム(a1)は、VdFに基づく重合単位、HFPに基づく重合単位、TFEに基づく重合単位、及び、加硫部位を与える単量体に基づく重合単位のみからなる共重合体であってもよい。
加硫部位は、連鎖移動剤として臭素化合物又はヨウ素化合物を使用することによっても導入することができる。
上記VdF/HFP/TFE共重合体は、連鎖移動剤として臭素化合物又はヨウ素化合物を使用することが好ましい。臭素化合物又はヨウ素化合物を使用して行う重合方法としては、たとえば、実質的に無酸素状態で、臭素化合物又はヨウ素化合物の存在下に、加圧しながら水媒体中で乳化重合を行う方法があげられる(ヨウ素移動重合法)。使用する臭素化合物又はヨウ素化合物の代表例としては、たとえば、一般式:
R2IxBry
(式中、xおよびyはそれぞれ0〜2の整数であり、かつ1≦x+y≦2を満たすものであり、R2は炭素数1〜16の飽和もしくは不飽和のフルオロ炭化水素基またはクロロフルオロ炭化水素基、または炭素数1〜3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいてもよい)で表される化合物があげられる。臭素化合物又はヨウ素化合物を使用することによって、ヨウ素または臭素が重合体に導入され、加硫点として機能する。
上記VdF/HFP/TFE共重合体は、連鎖移動剤として臭素化合物又はヨウ素化合物を使用することが好ましい。臭素化合物又はヨウ素化合物を使用して行う重合方法としては、たとえば、実質的に無酸素状態で、臭素化合物又はヨウ素化合物の存在下に、加圧しながら水媒体中で乳化重合を行う方法があげられる(ヨウ素移動重合法)。使用する臭素化合物又はヨウ素化合物の代表例としては、たとえば、一般式:
R2IxBry
(式中、xおよびyはそれぞれ0〜2の整数であり、かつ1≦x+y≦2を満たすものであり、R2は炭素数1〜16の飽和もしくは不飽和のフルオロ炭化水素基またはクロロフルオロ炭化水素基、または炭素数1〜3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいてもよい)で表される化合物があげられる。臭素化合物又はヨウ素化合物を使用することによって、ヨウ素または臭素が重合体に導入され、加硫点として機能する。
ヨウ素化合物としては、たとえば1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、2−ヨードパーフルオロプロパン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,5−ジヨード−2,4−ジクロロパーフルオロペンタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8−ジヨードパーフルオロオクタン、1,12−ジヨードパーフルオロドデカン、1,16−ジヨードパーフルオロヘキサデカン、ジヨードメタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨード−n−プロパン、CF2Br2、BrCF2CF2Br、CF3CFBrCF2Br、CFClBr2、BrCF2CFClBr、CFBrClCFClBr、BrCF2CF2CF2Br、BrCF2CFBrOCF3、1−ブロモ−2−ヨードパーフルオロエタン、1−ブロモ−3−ヨードパーフルオロプロパン、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタン、2−ブロモ−3−ヨードパーフルオロブタン、3−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、2−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、ベンゼンのモノヨードモノブロモ置換体、ジヨードモノブロモ置換体、ならびに(2−ヨードエチル)および(2−ブロモエチル)置換体などがあげられ、これらの化合物は、単独で使用してもよく、相互に組み合わせて使用することもできる。
これらのなかでも、重合反応性、加硫反応性、入手容易性などの点から、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、2−ヨードパーフルオロプロパンを用いるのが好ましい。
これらのなかでも、重合反応性、加硫反応性、入手容易性などの点から、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、2−ヨードパーフルオロプロパンを用いるのが好ましい。
上記フッ素ゴム(a1)は、ヨウ素原子及び臭素原子の少なくとも一方を有していてもよく、その含有量の合計は0.001〜10重量%であることが好ましい。ヨウ素原子及び臭素原子の含有量の合計は、0.01〜5重量%であることがより好ましく、0.1〜5重量%であることが更に好ましい。
ヨウ素含有量の測定は、試料(フッ素ゴム)12mgにNa2SO3を5mg混ぜ、純水20mlにNa2CO3とK2CO3とを1対1(重量比)で混合したものを30mg溶解した吸収液を用い、石英製の燃焼フラスコ中、酸素中で燃焼させ、30分放置後、島津20Aイオンクロマトグラフを用い測定することができる。検量線はKI標準溶液、ヨウ素イオン0.5ppmを含むもの又は1.0ppmを含むものを用いることができる。
ヨウ素含有量の測定は、試料(フッ素ゴム)12mgにNa2SO3を5mg混ぜ、純水20mlにNa2CO3とK2CO3とを1対1(重量比)で混合したものを30mg溶解した吸収液を用い、石英製の燃焼フラスコ中、酸素中で燃焼させ、30分放置後、島津20Aイオンクロマトグラフを用い測定することができる。検量線はKI標準溶液、ヨウ素イオン0.5ppmを含むもの又は1.0ppmを含むものを用いることができる。
上記ヨウ素原子及び臭素原子の結合位置は、フッ素ゴム(a1)の主鎖の末端でも側鎖の末端でもよく、もちろん両者であってもよい。このようなフッ素ゴム(a1)においては、当該ヨウ素末端又は臭素末端が加硫点(加硫部位)となり、加硫密度が高い、加硫したフッ素ゴムが得られる他、パーオキサイド加硫をより容易に行うことが可能になる。
上記フッ素ゴム組成物は、ゴム成分として他のゴムを含んでもよいが、ゴム成分の90質量%以上がフッ素ゴム(a1)であることが好ましく、ゴム成分の95質量%以上がフッ素ゴム(a1)であることが好ましく、ゴム成分がフッ素ゴム(a1)のみからなるものであることが好ましい。
上記ハイドロタルサイトとしては、特に限定されるものではないが、一般式(1):
[(M1 2+)1−xM3+ x(OH)2]x+[An− x/n・mH2O]x− (1)
(式中、M1 2+は2価の金属イオンであり、M3+は3価の金属イオンであり、An−はn価のアニオンであり、xは0<x<0.5を満たす数であり、mは0≦mを満たす数である。)
で示される化合物、若しくは、
一般式(1)で示される化合物を焼成して成る下記一般式(2):
(M1 2+)1−xM3+ xOp (2)
(式中、M1 2+は2価の金属イオンであり、M3+は3価の金属イオンであり、xは0<x<0.5を満たす数であり、pは0<pを満たす数である。)
で示される化合物(ハイドロタルサイト焼成物)
であることが接着性及び入手容易の点からより好ましい。本明細書において、また、ハイドロタルサイトとしては、天然品であっても合成品であってもよい。
[(M1 2+)1−xM3+ x(OH)2]x+[An− x/n・mH2O]x− (1)
(式中、M1 2+は2価の金属イオンであり、M3+は3価の金属イオンであり、An−はn価のアニオンであり、xは0<x<0.5を満たす数であり、mは0≦mを満たす数である。)
で示される化合物、若しくは、
一般式(1)で示される化合物を焼成して成る下記一般式(2):
(M1 2+)1−xM3+ xOp (2)
(式中、M1 2+は2価の金属イオンであり、M3+は3価の金属イオンであり、xは0<x<0.5を満たす数であり、pは0<pを満たす数である。)
で示される化合物(ハイドロタルサイト焼成物)
であることが接着性及び入手容易の点からより好ましい。本明細書において、また、ハイドロタルサイトとしては、天然品であっても合成品であってもよい。
M1 2+は、2価の金属イオンを示し、たとえば、Mg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+またはZn2+をあげることができる。これらの中でも、容易に入手可能である点から、Mg2+および/またはZn2+が好ましい。
M3+は、3価の金属イオンを示し、例えば、Al3+、Fe3+、Cr3+、Co3+またはIn3+をあげることができる。これらの中でも、容易に入手可能の点から、Al3+が好ましい。
An−は、n価のアニオンを示し、たとえば、OH−、F−、Cl−、Br−、NO3 −、CO3 2−、SO4 2−、Fe(CN)6 3−、CH3COO−、シュウ酸イオンまたはサリチン酸イオンをあげることができる。これらの中でも、容易に入手可能の点から、CO3 2−が好ましい。
xは0<x<0.5を満たす数であり、0.2≦x≦0.4を満たす数であることが好ましく、0.2≦x≦0.33を満たす数であることがより好ましい。xがこの範囲であることにより、ハイドロタルサイトの生成が安定であるため好ましい。
mは0≦mを満たす数であり、0≦m≦1を満たす数であることが好ましい。
ハイドロタルサイトは、一般式(1)又は一般式(2)で示される不定比化合物であるが、これらの中でも、接着性及び入手容易の点から、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg4.5Al2(OH)13CO3・mH2O(0≦m)、Mg4.3Al2(OH)12.6CO3・mH2O(0<m)、Mg4Al2(OH)12CO3・3.5H2O、Mg5Al2(OH)14CO3・4H2O、Mg3Al2(OH)10CO3・1.7H2O、Mg3ZnAl2(OH)12CO3・mH2O(0≦m)、Mg0.7Al0.3Op(0<p)等が好ましい。
ハイドロタルサイトとして具体的には、例えば、協和化学工業(株)のDHT−4A、DHT−4A−2、DHT−4C、KW−2200等が挙げられる。
上記フッ素ゴム組成物において、ハイドロタルサイトの含有量は、フッ素ゴム(a1)100重量部に対して、0.3〜6.0重量部であることが好ましく、0.4〜5.0重量部であることがより好ましく、0.5〜4.0重量部であることがさらに好ましい。ハイドロタルサイトの添加量が、0.3重量部未満であると接着性が不十分になるおそれがあり、6.0重量部をこえると接着性が不十分になるおそれがある。
上記塩基性の多官能化合物は、分子中に少なくとも2個の窒素原子を含有し、分子中の窒素原子−窒素原子間の距離が5.70Å以上である。上記塩基性の多官能化合物とハイドロタルサイトを併用することによって、フッ素樹脂層(B)を構成するフッ素樹脂(b1)が低燃料透過性に優れ、かつフッ素ゴム(a)が燃料バリア性及び耐燃料性に優れるVdF/HFP/TFE共重合体であっても、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)とを強固に接着させることができる。
上記塩基性の多官能化合物は、1つの分子中に同一又は異なる構造の2つ以上の官能基を有し、塩基性を示す化合物である。
上記塩基性の多官能化合物が有する官能基としては、塩基性を示すものであることが好ましく、例えば、−NH2、−NH3 +、−NHCOOH、−NHCOO−、−N=CR1R2(式中、R1及びR2は、独立して、炭素数0〜12の有機基である)、−NR3R4(式中、R3及びR4は、独立して、炭素数0〜12の有機基である)、−NR3R4R5(式中、R3、R4及びR5は、独立して、炭素数0〜12の有機基である)、及び、加熱によって上記官能基に変化する官能基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、−NH2、−NH3 +、−N=CR1R2(式中、R1及びR2は、上記と同じ)、及び、NR3R4R5(式中、R3、R4及びR5は、上記と同じ)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、−NH2、−NH3 +及び−N=CR1R2(式中、R1及びR2は、上記と同じ)からなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましい。
上記R1、R2、R3、R4及びR5は、独立して、−H、又は、炭素数1〜12の有機基であることが好ましく、−H、又は、炭素数1〜12の炭化水素基であることが好ましい。上記炭化水素基は、1又は2以上の炭素−炭素二重結合を有するものであってもよい。上記炭化水素基の炭素数は、1〜8であることが好ましい。
上記R1は−H、又は、−CH3であり、R2は、−CH=CHR6(R6は、フェニル基(−C6H5)、ベンジル基(−CH2−C6H5)、又は、−Hである)であることが好ましく、上記R1は−Hであり、R2は、−CH=CH−C6H5であることがより好ましい。
上記R1、R2、R3、R4及びR5は、独立して、−H、又は、炭素数1〜12の有機基であることが好ましく、−H、又は、炭素数1〜12の炭化水素基であることが好ましい。上記炭化水素基は、1又は2以上の炭素−炭素二重結合を有するものであってもよい。上記炭化水素基の炭素数は、1〜8であることが好ましい。
上記R1は−H、又は、−CH3であり、R2は、−CH=CHR6(R6は、フェニル基(−C6H5)、ベンジル基(−CH2−C6H5)、又は、−Hである)であることが好ましく、上記R1は−Hであり、R2は、−CH=CH−C6H5であることがより好ましい。
上記塩基性の多官能化合物としては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、プトレシン、カダベリン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタンジアミン、オクタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミン、フェニレンジアミン、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、6−アミノヘキシルカルバミド酸等が挙げられる。
上記塩基性の多官能化合物は、分子中に少なくとも2個の窒素原子を含有し、窒素−窒素間の原子間距離が5.70Å以上である。上記窒素−窒素間の原子間距離は、6.30Å以上であることがより好ましく、7.60Å以上であることが更に好ましく、8.60Å以上であることが特に好ましい。窒素−窒素間の原子間距離が広い事によって塩基性の多官能化合物の柔軟性が増し、加硫が容易となる。
ここで、窒素−窒素間の原子間距離は下記の方法に従って計算する。すなわち、各塩基の構造最適化は密度汎関数法(プログラムはGaussian03、密度汎関数はB3LYP、基底関数は6−31G*)を用いて算出する。
ここで、窒素−窒素間の原子間距離は下記の方法に従って計算する。すなわち、各塩基の構造最適化は密度汎関数法(プログラムはGaussian03、密度汎関数はB3LYP、基底関数は6−31G*)を用いて算出する。
上記塩基性の多官能化合物は、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)との接着性の点で、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン及びNH2−(CH2)n−NH2(式中、nは5〜12)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、ヘキサメチレンジアミン、及び、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。
フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)とがより強固に接着することから、上記フッ素ゴム組成物において、塩基性の多官能化合物の含有量は、フッ素ゴム(a1)100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましく、0.6質量部以上であることがより好ましく、0.8質量部以上であることが更に好ましく、1.0質量部以上であることが特に好ましく、1.5質量部以上であることが最もこのましい。
塩基性の多官能化合物の含有量は、加硫阻害、コストの観点から、10質量部以下であることが好ましく、6.0質量部以下である事が特に好ましく、5.0質量部以下であることが更に好ましく、4.0質量部以下であることが最も好ましい。
塩基性の多官能化合物の含有量は、加硫阻害、コストの観点から、10質量部以下であることが好ましく、6.0質量部以下である事が特に好ましく、5.0質量部以下であることが更に好ましく、4.0質量部以下であることが最も好ましい。
上記フッ素ゴム組成物は、更に、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩(DBU塩)、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5塩(DBN塩)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5(DBN)、及び、メラミンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a2)を含むものであってもよい。
上記化合物(a2)を用いることによって、塩基性の多官能化合物の含有量が少ない場合であっても、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)とを強固に接着させることができる。
上記化合物(a2)を用いることによって、塩基性の多官能化合物の含有量が少ない場合であっても、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)とを強固に接着させることができる。
DBU塩及びDBN塩としては、DBU又はDBNの炭酸塩、長鎖脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、オルトフタル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フェノール塩、フェノール樹脂塩、ナフトエ酸塩、オクチル酸塩、オレイン酸塩、ギ酸塩、フェノールノボラック樹脂塩、塩酸塩等があげられ、DBU又はDBNのナフトエ酸塩、オルトフタル酸塩、フェノール塩、及び、ギ酸塩、並びに、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド(DBU−B)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましく、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のナフトエ酸塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のフェノール塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオルトフタル酸塩、及び、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。
特に好ましくは、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド、及び、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である。
化合物(a2)としては、上記化合物を2種以上併用してよい。
特に好ましくは、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド、及び、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である。
化合物(a2)としては、上記化合物を2種以上併用してよい。
化合物(a2)は、フッ素ゴム(a1)100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましい。より好ましくは、1.0質量部以上である。化合物(a2)が少なすぎると化合物(a2)を添加することにより得られる効果が充分発揮されないおそれがある。
化合物(a2)は、フッ素ゴム(a1)100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましく、3.5質量部以下であることが更に好ましい。
化合物(a2)は、フッ素ゴム(a1)100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましく、3.5質量部以下であることが更に好ましい。
上記フッ素ゴム組成物は、更に加硫剤を含むものであることが好ましい。上記加硫剤としては、パーオキサイド加硫系加硫剤等を目的に応じて選択することができる。
上記パーオキサイド加硫系加硫剤としては特に限定されず、例えば、有機過酸化物を挙げることができる。上記有機過酸化物としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生するものが好ましく、例えば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等を例示することができる。なかでも、ジアルキル化合物がより好ましい。
一般に、使用量は、活性−O−O−の量、分解温度等から適宜選択される。使用量は通常、フッ素ゴム(a1)100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは0.3〜5質量部である。
一般に、使用量は、活性−O−O−の量、分解温度等から適宜選択される。使用量は通常、フッ素ゴム(a1)100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは0.3〜5質量部である。
有機過酸化物を加硫剤として使用する場合は、加硫助剤や共加硫剤を併用してもよい。上記加硫助剤又は共加硫剤としては特に限定されず、例えば、上述の加硫助剤及び共加硫剤を挙げることができる。これらの中でも、加硫性、加硫物の物性の点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。
上記加硫助剤や共加硫剤の配合量としては、フッ素ゴム100質量部に対して、0.2〜10質量部が好ましく、0.3〜6質量部がより好ましく、0.5〜5質量部が更に好ましい。加硫剤や共加硫剤が、0.2質量部未満であると、加硫密度が低くなり圧縮永久歪みが大きくなる傾向があり、10質量部をこえると、加硫密度が高くなりすぎるため、圧縮時に割れやすくなる傾向がある。
上記フッ素ゴム組成物は、受酸剤として、またはフッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)との接着性を向上させるための配合剤として、金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩、及び、アルカリ土類金属の弱酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有してもよい。
上記金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩及びアルカリ土類金属の弱酸塩としては、周期表第(II)族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期表第(IV)族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩等が挙げられる。
金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩及びアルカリ土類金属の弱酸塩の具体的な例としては、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化カルシウム(生石灰)、水酸化カルシウム(消石灰)、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、酸化錫、塩基性亜リン酸錫等をあげることができる。
上記金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩及びアルカリ土類金属の弱酸塩としては、周期表第(II)族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期表第(IV)族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩等が挙げられる。
金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩及びアルカリ土類金属の弱酸塩の具体的な例としては、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化カルシウム(生石灰)、水酸化カルシウム(消石灰)、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、酸化錫、塩基性亜リン酸錫等をあげることができる。
有機過酸化物を加硫剤として使用する場合には、上記金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩、アルカリ土類金属の弱酸塩の含有量は、5質量部以下が好ましく、より好ましくは3質量部以下、耐酸性の観点からは、含まないことが更に好ましい。
上記フッ素ゴム組成物は、必要に応じてフッ素ゴム組成物中に配合される通常の添加物、例えば、充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、安定剤、接着助剤、受酸剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤等の各種添加剤を配合することができ、上述のものとは異なる常用の加硫剤や加硫促進剤を1種又はそれ以上含有してもよい。
上記充填剤としては、カーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックの含有量は、フッ素ゴム(a1)100質量部に対して5〜40質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。カーボンブラックを使用することで、機械物性、耐熱性等の向上という利点がある。
上記フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム(a1)、ハイドロタルサイト、及び、塩基性の多官能化合物、並びに、必要に応じて、上記化合物(a2)、加硫剤、加硫助剤、共加硫剤、加硫促進剤、充填材等のその他添加剤を、一般に使用されているゴム混練り装置を用いて混練りすることにより得ることができる。上記ゴム混練り装置としては、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、二軸押し出し機等を用いることができる。
(B)フッ素樹脂層
フッ素樹脂層(B)は、フッ素樹脂(b1)から構成されるものであり、該フッ素樹脂(b1)は、燃料透過係数が2.0g・mm/m2/day以下である。
燃料透過係数が2.0g・mm/m2/day以下であることによって、優れた燃料低透過性が発揮される。従って、例えば、本発明の積層体は、燃料用ホース等として好適に使用可能である。
上記燃料透過係数は、1.5g・mm/m2/day以下であることが好ましく、0.8g・mm/m2/day以下であることがより好ましく、0.55g・mm/m2/day以下であることが更に好ましく、0.5g・mm/m2/day以下であることが特に好ましい。
上記燃料透過係数は、イソオクタン、トルエン及びエタノールを45:45:10の容積比で混合したイソオクタン/トルエン/エタノール混合溶媒18mLを投入した内径40mmφ、高さ20mmのSUS316製の燃料透過係数測定用カップに測定対象樹脂から下記方法により作製したフッ素樹脂シート(直径45mm、厚み120μm)を組み入れ、60℃において測定した質量変化から算出される値である。
(フッ素樹脂シートの作製方法)
樹脂ペレットを、それぞれ、直径120mmの金型に入れ、300℃に加熱したプレス機にセットし、約2.9MPaの圧力で溶融プレスして、厚さ0.12mmのフッ素樹脂シートを得、そのシートを直径45mm、厚み120μmに加工した。
フッ素樹脂層(B)は、フッ素樹脂(b1)から構成されるものであり、該フッ素樹脂(b1)は、燃料透過係数が2.0g・mm/m2/day以下である。
燃料透過係数が2.0g・mm/m2/day以下であることによって、優れた燃料低透過性が発揮される。従って、例えば、本発明の積層体は、燃料用ホース等として好適に使用可能である。
上記燃料透過係数は、1.5g・mm/m2/day以下であることが好ましく、0.8g・mm/m2/day以下であることがより好ましく、0.55g・mm/m2/day以下であることが更に好ましく、0.5g・mm/m2/day以下であることが特に好ましい。
上記燃料透過係数は、イソオクタン、トルエン及びエタノールを45:45:10の容積比で混合したイソオクタン/トルエン/エタノール混合溶媒18mLを投入した内径40mmφ、高さ20mmのSUS316製の燃料透過係数測定用カップに測定対象樹脂から下記方法により作製したフッ素樹脂シート(直径45mm、厚み120μm)を組み入れ、60℃において測定した質量変化から算出される値である。
(フッ素樹脂シートの作製方法)
樹脂ペレットを、それぞれ、直径120mmの金型に入れ、300℃に加熱したプレス機にセットし、約2.9MPaの圧力で溶融プレスして、厚さ0.12mmのフッ素樹脂シートを得、そのシートを直径45mm、厚み120μmに加工した。
上記フッ素樹脂(b1)は、優れた燃料低透過性を有する積層体が得られることから、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、CTFE系共重合体、及び、TFE/HFP/VdF共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。柔軟性の観点からは、CTFE系共重合体及びTFE/HFP/VdF共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、燃料低透過性の観点から、CTFE系共重合体が更に好ましい。
TFE/HFP/VdF共重合体は、VdF含有率が少ないと燃料低透過性が優れることから、TFE、HFP及びVdFの共重合割合(モル%比)がTFE/HFP/VdF=75〜95/0.1〜10/0.1〜19である事が好ましく、77〜95/1〜8/1〜17(モル比)であることがより好ましく、77〜95/2〜8/2〜15.5(モル比)であることが更に好ましく、79〜90/5〜8/5〜15(モル比)である事が最も好ましい。また、TFE/HFP/VdF共重合体はその他のモノマーを0〜20モル%含んでいてもよい。他のモノマーとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン、2−クロロペンタフルオロプロペン、過フッ素化されたビニルエーテル(例えばCF3OCF2CF2CF2OCF=CF2などのペルフルオロアルコキシビニルエーテル)などのフッ素含有モノマー、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、ペルフルオロ−1,3、−ブタジエン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、エチレン、プロピレン、および、アルキルビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも一種のモノマー等が挙げられ、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)である事が好ましい。
上記PCTFEは、クロロトリフルオロエチレンの単独重合体である。
上記CTFE系共重合体としては、CTFEに由来する共重合単位(CTFE単位)と、TFE、HFP、PAVE、VdF、フッ化ビニル、へキサフルオロイソブテン、式:
CH2=CX1(CF2)nX2
(式中、X1はH又はF、X2はH、F又はCl、nは1〜10の整数である)で示される単量体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、及び、塩化ビニリデンからなる群より選択される少なくとも1種の単量体に由来する共重合単位と、を含むことが好ましい。
また、CTFE系共重合体は、パーハロポリマーであることがより好ましい。
CH2=CX1(CF2)nX2
(式中、X1はH又はF、X2はH、F又はCl、nは1〜10の整数である)で示される単量体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、及び、塩化ビニリデンからなる群より選択される少なくとも1種の単量体に由来する共重合単位と、を含むことが好ましい。
また、CTFE系共重合体は、パーハロポリマーであることがより好ましい。
CTFE系共重合体としては、CTFE単位と、TFE、HFP及びPAVEからなる群より選択される少なくとも1種の単量体に由来する共重合単位と、を含むことがより好ましく、実質的にこれらの共重合単位のみからなることが更に好ましい。また、燃料低透過性の観点から、エチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル等のCH結合を有するモノマーを含まないことが好ましい。
CH結合を有するモノマーを含まないパーハロポリマーはフッ素ゴムとの接着が通常困難であるが、本発明の構成によれば、フッ素樹脂層(B)がパーハロポリマーからなる層であっても、フッ素樹脂層(B)とフッ素ゴム層(A)との層間の接着は強固である。
CH結合を有するモノマーを含まないパーハロポリマーはフッ素ゴムとの接着が通常困難であるが、本発明の構成によれば、フッ素樹脂層(B)がパーハロポリマーからなる層であっても、フッ素樹脂層(B)とフッ素ゴム層(A)との層間の接着は強固である。
CTFE系共重合体は、全単量体単位の10〜90モル%のCTFE単位を有することが好ましい。
CTFE系共重合体としては、CTFE単位、TFE単位及びこれらと共重合可能な単量体(α)に由来する単量体(α)単位を含むものが特に好ましい。
「CTFE単位」及び「TFE単位」は、CTFE系共重合体の分子構造上、それぞれ、CTFEに由来する部分(−CFCl−CF2−)、TFEに由来する部分(−CF2−CF2−)であり、前記「単量体(α)単位」は、同様に、CTFE系共重合体の分子構造上、単量体(α)が付加してなる部分である。
単量体(α)としては、CTFE及びTFEと共重合可能な単量体であれば特に限定されず、エチレン(Et)、ビニリデンフルオライド(VdF)、CF2=CF−ORf1(式中、Rf1は、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基)で表されるPAVE、CX3X4=CX5(CF2)nX6(式中、X3、X4及びX5は同一もしくは異なって、水素原子又はフッ素原子;X6は、水素原子、フッ素原子又は塩素原子;nは、1〜10の整数)で表されるビニル単量体、CF2=CF−O−Rf2(式中、Rf2は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等があげられる。
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rf2が炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF2=CF−OCF2−CF2CF3がより好ましい。
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rf2が炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF2=CF−OCF2−CF2CF3がより好ましい。
単量体(α)としては、なかでも、PAVE、上記ビニル単量体、及び、アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、PAVE及びHFPからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、PAVEが特に好ましい。
CTFE系共重合体における、CTFE単位とTFE単位との比率は、CTFE単位が15〜90モル%に対し、TFE単位が85〜10モル%であり、より好ましくは、CTFE単位が20〜90モル%であり、TFE単位が80〜10モル%である。また、CTFE単位15〜25モル%と、TFE単位85〜75モル%とから構成されるものも好ましい。
CTFE系共重合体は、CTFE単位とTFE単位との合計が90〜99.9モル%であり、単量体(α)単位が0.1〜10モル%であるものが好ましい。単量体(α)単位が0.1モル%未満であると、成形性、耐環境応力割れ性及び耐燃料クラック性に劣りやすく、10モル%を超えると、燃料低透過性、耐熱性、機械特性に劣る傾向にある。
フッ素樹脂(b1)は、燃料低透過性、接着性の観点から、PCTFE、CTFE/TFE/PAVE共重合体及びTFE/HFP/VdF共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、CTFE/TFE/PAVE共重合体及びTFE/HFP/VdF共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが更に好ましく、CTFE/TFE/PAVE共重合体が特に好ましい。
上記CTFE/TFE/PAVE共重合体とは、実質的にCTFE、TFE及びPAVEのみからなる共重合体である。
上記CTFE/TFE/PAVE共重合体とは、実質的にCTFE、TFE及びPAVEのみからなる共重合体である。
CTFE/TFE/PAVE共重合体において、上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)等があげられ、なかでもPMVE、PEVE及びPPVEからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
CTFE/TFE/PAVE共重合体において、PAVE単位は、全単量体単位の0.5モル%以上であることが好ましく、5モル%以下であることが好ましい。
CTFE/TFE/PAVE共重合体において、PAVE単位は、全単量体単位の0.5モル%以上であることが好ましく、5モル%以下であることが好ましい。
CTFE単位等の構成単位は、19F−NMR分析を行うことにより得られる値である。
フッ素樹脂(b1)は、ポリマーの主鎖末端及び/又は側鎖に、カルボニル基、ヒドロキシル基、ヘテロ環基、及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の反応性官能基を導入したものであってもよい。
本明細書において、「カルボニル基」は、炭素−酸素二重結合から構成される炭素2価の基であり、−C(=O)−で表されるものに代表される。前記カルボニル基を含む反応性官能基としては特に限定されず、たとえばカーボネート基、カルボン酸ハライド基(ハロゲノホルミル基)、ホルミル基、カルボキシル基、エステル結合(−C(=O)O−)、酸無水物結合(−C(=O)O−C(=O)−)、イソシアネート基、アミド基、イミド基(−C(=O)−NH−C(=O)−)、ウレタン結合(−NH−C(=O)O−)、カルバモイル基(NH2−C(=O)−)、カルバモイルオキシ基(NH2−C(=O)O−)、ウレイド基(NH2−C(=O)−NH−)、オキサモイル基(NH2−C(=O)−C(=O)−)等、化学構造上の一部としてカルボニル基を含むものがあげられる。
アミド基、イミド基、ウレタン結合、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、ウレイド基、オキサモイル基等においては、その窒素原子に結合する水素原子は、たとえばアルキル基等の炭化水素基で置換されていてもよい。
反応性官能基は、導入が容易である点、フッ素樹脂(b1)が適度な耐熱性と比較的低温での良好な接着性とを有する点から、アミド基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カーボネート基、カルボン酸ハライド基、酸無水物結合が好ましく、さらにはアミド基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、カーボネート基、カルボン酸ハライド基、酸無水物結合が好ましい。
フッ素樹脂(b1)は、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合等、従来公知の重合方法により得ることができる。前記重合において、温度、圧力等の各条件、重合開始剤やその他の添加剤は、フッ素樹脂(b1)の組成や量に応じて適宜設定することができる。
フッ素樹脂(b1)の融点は特に限定されないが、160〜270℃であることが好ましい。フッ素樹脂(b1)の融点は、DSC装置(セイコー社製)を用い、10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度として求める。
またフッ素樹脂(b1)の分子量は、得られる積層体が良好な機械特性や燃料低透過性等を発現できるような範囲であることが好ましい。たとえば、メルトフローレート(MFR)を分子量の指標とする場合、フッ素樹脂一般の成形温度範囲である約230〜350℃の範囲の任意の温度におけるMFRは、0.5〜100g/10分であることが好ましい。より好ましくは、1〜50g/10分であり、更に好ましくは、2〜35g/10分である。例えば、フッ素樹脂(b1)が、PCTFE、CTFE系共重合体又はTFE/HFP/VdF共重合体である場合には、297℃でMFRを測定する。
上記MFRは、メルトインデクサー(東洋精機製作所(株)製)を用い、例えば、297℃、5kg荷重下で直径2mm、長さ8mmのノズルから単位時間(10分間)に流出するポリマーの重量(g)を測定することができる。
上記MFRは、メルトインデクサー(東洋精機製作所(株)製)を用い、例えば、297℃、5kg荷重下で直径2mm、長さ8mmのノズルから単位時間(10分間)に流出するポリマーの重量(g)を測定することができる。
本発明においてフッ素樹脂層(B)は、これらのフッ素樹脂(b1)を1種含有するものであってもよいし、2種以上含有するものであってもよい。
なお、フッ素樹脂(b1)がパーハロポリマーである場合、耐薬品性及び燃料低透過性がより優れたものとなる。パーハロポリマーとは、重合体の主鎖を構成する炭素原子の全部にハロゲン原子が結合している重合体である。
フッ素樹脂層(B)は、さらに、目的や用途に応じてその性能を損なわない範囲で、無機質粉末、ガラス繊維、炭素粉末、炭素繊維、金属酸化物等の種々の充填剤を配合したものであってもよい。
たとえば、燃料透過性をさらに低減させるために、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ノントロナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等のスメクタイト系の層状粘度鉱物や、雲母等の高アスペクト比を有する微小層状鉱物を添加してもよい。
また、導電性を付与するために、導電性フィラーを添加してもよい。導電性フィラーとしては特に限定されず、たとえば金属、炭素等の導電性単体粉末又は導電性単体繊維;酸化亜鉛等の導電性化合物の粉末;表面導電化処理粉末等があげられる。導電性フィラーを配合する場合、溶融混練して予めペレットを作製することが好ましい。
導電性単体粉末又は導電性単体繊維としては特に限定されず、たとえば銅、ニッケル等の金属粉末;鉄、ステンレススチール等の金属繊維;カーボンブラック、炭素繊維、特開平3−174018号公報等に記載の炭素フィブリル等があげられる。
表面導電化処理粉末は、ガラスビーズ、酸化チタン等の非導電性粉末の表面に導電化処理を施して得られる粉末である。
表面導電化処理の方法としては特に限定されず、たとえば金属スパッタリング、無電解メッキ等があげられる。
導電性フィラーのなかでもカーボンブラックは、経済性や静電荷蓄積防止の観点で有利であるので好適に用いられる。
導電性フィラーを配合してなるフッ素樹脂組成物の体積抵抗率は、1×100〜1×109Ω・cmであることが好ましい。より好ましい下限は、1×102Ω・cmであり、より好ましい上限は、1×108Ω・cmである。
また、充填剤以外に、熱安定化剤、補強剤、紫外線吸収剤、顔料、その他任意の添加剤を配合してもよい。
本発明の積層体の好適な実施形態の一つは、上記ハイドロタルサイトが、Mg4.3Al2(OH)12.6CO3・mH2O(0<m)であり、上記塩基性の多官能化合物が、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミンからなる群より選択される少なくとも1種であり、上記フッ素ゴム(a1)が、VdF/HFP/TFE共重合体であり、上記フッ素樹脂層(B)は、CTFE/TFE/PAVE共重合体であるフッ素樹脂(b1)から構成されるものである。
(積層体)
本発明の積層体において、上記フッ素ゴム層(A)の厚みは限定されないが、例えば、100μm以上であることが好ましい。フッ素ゴム層(A)の厚みの上限としては、例えば、5000μmである。
本発明の積層体において、上記フッ素ゴム層(A)の厚みは限定されないが、例えば、100μm以上であることが好ましい。フッ素ゴム層(A)の厚みの上限としては、例えば、5000μmである。
上記フッ素樹脂層(B)の厚みは限定されないが、例えば、10μm以上であることが好ましい。フッ素樹脂層(B)の厚みの上限としては、例えば、1000μmである。
本発明の積層体は、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)との接着強度が12N/cm以上であることが好ましい。接着強度が12N/cm以上であることによって、ホースを特定の形状で加硫する際にズレが起こりにくい、衝撃が加わった際に剥がれが起こらないという利点がある。
本発明の積層体は、上記構成を有することによって、接着強度を上記範囲にすることができる。接着強度は14N/cm以上であることがより好ましく、15N/cm以上であることが更に好ましい。
上記接着強度は、積層体を幅10mm×長さ40mm×3セットの短冊状に切断し、試料片を作成し、この試験片について、オートグラフ((株)島津製作所製 AGS−J 5kN)を使用して、JIS−K−6256(加硫ゴムの接着試験方法)に記載の方法に準拠し、25℃において50mm/分の引張速度で剥離試験を行い、剥離モードを観測して測定した値である。
本発明の積層体は、上記構成を有することによって、接着強度を上記範囲にすることができる。接着強度は14N/cm以上であることがより好ましく、15N/cm以上であることが更に好ましい。
上記接着強度は、積層体を幅10mm×長さ40mm×3セットの短冊状に切断し、試料片を作成し、この試験片について、オートグラフ((株)島津製作所製 AGS−J 5kN)を使用して、JIS−K−6256(加硫ゴムの接着試験方法)に記載の方法に準拠し、25℃において50mm/分の引張速度で剥離試験を行い、剥離モードを観測して測定した値である。
本発明の積層体は、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)が加硫接着されていることが好ましい。このような積層体は、未加硫のフッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)とを積層した後、加硫処理することにより得られる。
上記加硫処理は、従来公知のフッ素ゴム組成物の加硫方法と条件が採用できる。たとえば、未加硫の積層体を長時間加硫する方法、未加硫の積層体を比較的単時間で前処理としての熱処理を行い(加硫も生じている)、ついで長時間かけて加硫を行う方法がある。これらのうち、未加硫の積層体を比較的単時間で前処理としての熱処理を行い、ついで長時間かけて加硫を行う方法が、前処理でフッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)との密着性が容易に得られ、また、前処理で既にフッ素ゴム層(A)が加硫しており形状が安定化しているので、その後の加硫における積層体の保持方法をさまざまに選択することができるので好適である。
加硫処理の条件は特に制限されるものではなく、通常の条件で行うことができるが、140〜180℃で、2分〜80分、スチーム、プレス、オーブン、エアーバス、赤外線、マイクロウェーブ、被鉛加硫等を用いて処理を行うことが好ましい。より好ましくは、150〜170℃で、5〜60分かけて行う。加硫処理を1次加硫と2次加硫に分けて行ってもよい。
本発明はまた、フッ素ゴム(a1)と、ハイドロタルサイトと、分子中に少なくとも2個の窒素原子を含有し、分子中の窒素原子−窒素原子間の距離が5.70Å以上である塩基性の多官能化合物とを混合してフッ素ゴム組成物を得る工程、フッ素ゴム組成物を成形して得られる未加硫フッ素ゴム層と、フッ素樹脂層とを積層する工程、積層された未加硫フッ素ゴム層とフッ素樹脂層に加硫処理する工程、を含み、上記フッ素ゴム(a1)は、VdF/HFP/TFE共重合体であり、上記フッ素樹脂層は、燃料透過係数が2.0g・mm/m2/day以下であるフッ素樹脂(b1)から構成されることを特徴とする積層体の製造方法でもある。
本発明の製造方法により、上述した本発明の積層体を製造することができる。
本発明の製造方法において、加硫処理の条件は上述したものと同じである。
本発明の製造方法により、上述した本発明の積層体を製造することができる。
本発明の製造方法において、加硫処理の条件は上述したものと同じである。
上記フッ素ゴム(a1)とハイドロタルサイトと上記塩基性の多官能化合物とを混合してフッ素ゴム組成物を得る工程は、例えば、フッ素ゴム(a1)とハイドロタルサイトと塩基性の多官能化合物とを、一般に使用されているゴム混練り装置を用いて混練りするものである。
上記ゴム混練り装置としては、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、二軸押し出し機等を用いることができる。
上記混合は、フッ素ゴム(a1)、ハイドロタルサイト及び上記塩基性の多官能化合物に加え、必要に応じて、上記化合物(a2)、加硫剤、加硫助剤、共加硫剤、加硫促進剤、充填材等のその他添加剤とともに混合するものであってよい。
上記混合の温度は、例えば、20〜200℃である。また、上記混合の時間は、例えば、2〜80分である。
上記ゴム混練り装置としては、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、二軸押し出し機等を用いることができる。
上記混合は、フッ素ゴム(a1)、ハイドロタルサイト及び上記塩基性の多官能化合物に加え、必要に応じて、上記化合物(a2)、加硫剤、加硫助剤、共加硫剤、加硫促進剤、充填材等のその他添加剤とともに混合するものであってよい。
上記混合の温度は、例えば、20〜200℃である。また、上記混合の時間は、例えば、2〜80分である。
上記未加硫フッ素ゴム層とフッ素樹脂層の積層は、未加硫フッ素ゴム層とフッ素樹脂層を別々に成形した後に圧着等の手段で積層する方法、未加硫フッ素ゴム層とフッ素樹脂層とを同時に成形して積層する方法、未加硫フッ素ゴム層にフッ素樹脂を塗布してフッ素樹脂層を形成する方法のいずれでもよい。
未加硫フッ素ゴム層とフッ素樹脂層を別々に成形した後に圧着等の手段で積層する方法では、フッ素樹脂の成形方法とフッ素ゴム組成物のそれぞれ単独での成形方法が採用できる。
未加硫フッ素ゴム層の成形は、フッ素ゴム組成物を加熱圧縮成形法、トランスファー成形法、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、塗装法等により、シート状、チューブ状等の各種形状の成形体とすることができる。
フッ素樹脂層は、加熱圧縮成形、溶融押出成形、射出成形、塗装(粉体塗装を含む)等の方法により成形できる。成形には通常用いられるフッ素樹脂の成形機、たとえば射出成形機、ブロー成形機、押出成形機、各種塗装装置等が使用でき、シート状、チューブ状等、各種形状の積層体を製造することが可能である。これらのうち、生産性が優れている点から、溶融押出成形法が好ましい。
未加硫フッ素ゴム層とフッ素樹脂層を同時に成形して積層する方法としては、未加硫フッ素ゴム層を形成するフッ素ゴム組成物、及び、フッ素樹脂層を形成するフッ素樹脂(b1)を用いて、多層圧縮成形法、多層トランスファー成形法、多層押出成形法、多層射出成形法、ダブリング法等の方法により成形と同時に積層する方法があげられる。この方法では、未加硫成形体である未加硫フッ素ゴム層とフッ素樹脂層とを同時に積層できるため、未加硫フッ素ゴム層とフッ素樹脂層とを密着させる工程が特に必要ではなく、また、後の加硫工程において強固な接着を得るのに好適である。密着が不足している場合はラッピング等の密着工程を行ってもよい。
(積層体の積層構造)
本発明の積層体は、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)の2層構造でもよいし、フッ素樹脂層(B)の両側にフッ素ゴム層(A)が積層されたものであってもよいし、フッ素ゴム層(A)の両側にフッ素樹脂層(B)が積層されたものであってもよい。
例えば、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−フッ素ゴム層(A)又はフッ素樹脂層(B)−フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)といった3層構造でもよい。
さらに、フッ素ゴム層(A)及びフッ素樹脂層(B)以外のポリマー層(C)が接着された3層以上の多層構造であってもよいし、フッ素ゴム層(A)及びフッ素樹脂層(B)以外のポリマー層(C)が接着された3層の多層構造の片側もしくは両側にポリマー層(D)を有していてもよい。ポリマー層(C)とポリマー層(D)は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本発明の積層体は、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)の2層構造でもよいし、フッ素樹脂層(B)の両側にフッ素ゴム層(A)が積層されたものであってもよいし、フッ素ゴム層(A)の両側にフッ素樹脂層(B)が積層されたものであってもよい。
例えば、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−フッ素ゴム層(A)又はフッ素樹脂層(B)−フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)といった3層構造でもよい。
さらに、フッ素ゴム層(A)及びフッ素樹脂層(B)以外のポリマー層(C)が接着された3層以上の多層構造であってもよいし、フッ素ゴム層(A)及びフッ素樹脂層(B)以外のポリマー層(C)が接着された3層の多層構造の片側もしくは両側にポリマー層(D)を有していてもよい。ポリマー層(C)とポリマー層(D)は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本発明の積層体は、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−フッ素ゴム層(A)の3層構造の片側もしくは両側にポリマー層(C)を有してもよい。
ポリマー層(C)、(D)としては、フッ素ゴム層(A)以外のゴム層(C1)又は(D1)でもよい。ゴム層(C1)又は(D1)としては、非フッ素ゴムから形成される非フッ素ゴム層(C1a)又は(D1a)があげられる。非フッ素ゴムは、耐寒性が良好な点や、コスト面で優れていることから好ましい。非フッ素ゴム層(C1a)と非フッ素ゴム層(D1a)は同じ非フッ素ゴムから形成されたものでもよいし、異なる非フッ素ゴムから形成されたものでもよい。
本発明の積層体は、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(C1a)の順に積層されているものであってもよい。
また、更に、非フッ素ゴム層(D1a)を含み、非フッ素ゴム層(D1a)−フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(C1a)の順、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(D1a)−非フッ素ゴム層(C1a)の順、又は、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(C1a)−非フッ素ゴム層(D1a)の順、に積層されているものであってもよい。
本発明の積層体は、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(C1a)の順に積層されているものであってもよい。
また、更に、非フッ素ゴム層(D1a)を含み、非フッ素ゴム層(D1a)−フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(C1a)の順、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(D1a)−非フッ素ゴム層(C1a)の順、又は、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(C1a)−非フッ素ゴム層(D1a)の順、に積層されているものであってもよい。
非フッ素ゴムの具体例としては、たとえばアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)又はその水素化物(HNBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)等のジエン系ゴム、エチレン−プロピレン−ターモノマー共重合体ゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、塩素化ポリエチレン(CPE)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムと塩化ビニルのポリブレンド(PVC−NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等があげられる。また、これらの非フッ素ゴムおよびフッ素ゴムを任意の割合で混合したゴムもあげられる。
非フッ素ゴムとしては、耐熱性、耐油性、耐候性、押出成形性が良好な点から、ジエン系のゴム、またはエピクロルヒドリンゴムであることが好ましい。より好ましくは、NBR、HNBR又はエピクロルヒドリンゴムである。ゴム層(C1)は、NBR、HNBR又はエピクロルヒドリンゴムからなることが好ましい。
また、ゴム層(D1)は耐候性、コストの点から、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、塩素化ポリエチレン(CPE)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムと塩化ビニルのポリブレンド(PVC−NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリル系ゴム、またはこれらの混合物からなる事が好ましい。なお、ゴム層(C1)、(D1)を形成する未加硫ゴム組成物中にも、加硫剤や、その他の配合剤を配合してもよい。
非フッ素ゴムとしては、耐熱性、耐油性、耐候性、押出成形性が良好な点から、ジエン系のゴム、またはエピクロルヒドリンゴムであることが好ましい。より好ましくは、NBR、HNBR又はエピクロルヒドリンゴムである。ゴム層(C1)は、NBR、HNBR又はエピクロルヒドリンゴムからなることが好ましい。
また、ゴム層(D1)は耐候性、コストの点から、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、塩素化ポリエチレン(CPE)、アクリロニトリル−ブタジエンゴムと塩化ビニルのポリブレンド(PVC−NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリル系ゴム、またはこれらの混合物からなる事が好ましい。なお、ゴム層(C1)、(D1)を形成する未加硫ゴム組成物中にも、加硫剤や、その他の配合剤を配合してもよい。
つぎに本発明の積層体の層構造について更に詳細に説明する。
(1)フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)の2層構造
基本構造であり、従来、フッ素樹脂層(B)とフッ素ゴム層(A)を積層させるには、層間(フッ素ゴム層−フッ素樹脂層)の接着が不充分なため、樹脂側において表面処理を施したり、別途接着剤を層間に塗布したり、テープ状のフィルムを巻き付けて固定したり等と工程が複雑になりがちであったが、そのような複雑な工程を組まずに、加硫することにより加硫接着が起こり化学的に強固な接着が得られる。
基本構造であり、従来、フッ素樹脂層(B)とフッ素ゴム層(A)を積層させるには、層間(フッ素ゴム層−フッ素樹脂層)の接着が不充分なため、樹脂側において表面処理を施したり、別途接着剤を層間に塗布したり、テープ状のフィルムを巻き付けて固定したり等と工程が複雑になりがちであったが、そのような複雑な工程を組まずに、加硫することにより加硫接着が起こり化学的に強固な接着が得られる。
(2)ゴム層−フッ素樹脂層(B)−ゴム層の3層構造
フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−フッ素ゴム層(A)の3層構造、及び、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−ゴム層(C1)の3層構造がある。
シール性が要求される場合、たとえば燃料配管等の接合部は、シール性保持のためにゴム層を両側に配置することが望ましい。内外層のゴム層は同じ種類であっても、違う種類であっても良い。
フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−ゴム層(C1)の3層構造の場合、ゴム層(C1)は、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、又は、アクリロニトリルブタジエンゴムとアクリル系ゴムの混合物からなる層であることが好ましい。
また、燃料配管をフッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−ゴム層(C1)の3層構造とし、ゴム層(C1)としてフッ素ゴム層を設け、ゴム層(C1)を配管の内層にすることにより、耐薬品性、燃料低透過性が向上する。
フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−フッ素ゴム層(A)の3層構造、及び、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−ゴム層(C1)の3層構造がある。
シール性が要求される場合、たとえば燃料配管等の接合部は、シール性保持のためにゴム層を両側に配置することが望ましい。内外層のゴム層は同じ種類であっても、違う種類であっても良い。
フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−ゴム層(C1)の3層構造の場合、ゴム層(C1)は、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、又は、アクリロニトリルブタジエンゴムとアクリル系ゴムの混合物からなる層であることが好ましい。
また、燃料配管をフッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−ゴム層(C1)の3層構造とし、ゴム層(C1)としてフッ素ゴム層を設け、ゴム層(C1)を配管の内層にすることにより、耐薬品性、燃料低透過性が向上する。
(3)樹脂層−フッ素ゴム層(A)−樹脂層の3層構造
フッ素樹脂層(B)−フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)の3層構造が挙げられる。内外層の樹脂層は同じ種類であっても、違う種類であっても良い。
フッ素樹脂層(B)−フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)の3層構造が挙げられる。内外層の樹脂層は同じ種類であっても、違う種類であっても良い。
(4)フッ素樹脂層(B)−フッ素ゴム層(A)−ゴム層(C1)の3層構造
(5)4層構造以上
(2)〜(4)の3層構造に加えて、さらに任意のフッ素ゴム層(A)又はゴム層(C1)、フッ素樹脂層(B)を目的に応じて積層してもよい。また、金属箔等の層を設けてもよいし、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)との層間以外には接着剤層を介在させてもよい。
(2)〜(4)の3層構造に加えて、さらに任意のフッ素ゴム層(A)又はゴム層(C1)、フッ素樹脂層(B)を目的に応じて積層してもよい。また、金属箔等の層を設けてもよいし、フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)との層間以外には接着剤層を介在させてもよい。
またさらに、ポリマー層(C)と積層してライニング体とすることもできる。
なお、各層の厚さ、形状等は、使用目的、使用形態等によって適宜選定すればよい。
また、耐圧向上の目的で、補強糸等の補強層を適宜設けてもよい。
また、耐圧向上の目的で、補強糸等の補強層を適宜設けてもよい。
本発明の積層体は、燃料低透過性に優れるほか、耐熱性・耐油性・耐燃料油性・耐LLC性・耐スチーム性、耐侯性、耐オゾン性に優れており、また、苛酷な条件下での使用に充分耐えうるものであり、各種の用途に使用可能である。
たとえば、自動車用エンジンのエンジン本体、主運動系、動弁系、潤滑・冷却系、燃料系、吸気・排気系等、駆動系のトランスミッション系等、シャーシのステアリング系、ブレーキ系等、電装品の基本電装部品、制御系電装部品、装備電装部品等の、耐熱性・耐油性・耐燃料油性・耐LLC性・耐スチーム性が要求されるガスケットや非接触型及び接触型のパッキン類(セルフシールパッキン、ピストンリング、割リング形パッキン、メカニカルシール、オイルシール等)等のシール、ベローズ、ダイヤフラム、ホース、チューブ、電線等として好適な特性を備えている。
具体的には、以下に列記する用途に使用可能である。
エンジン本体の、シリンダーヘッドガスケット、シリンダーヘッドカバーガスケット、オイルパンパッキン、一般ガスケット等のガスケット、O−リング、パッキン、タイミングベルトカバーガスケット等のシール、コントロールホース等のホース、エンジンマウントの防振ゴム、水素貯蔵システム内の高圧弁用シール材等。
主運動系の、クランクシャフトシール、カムシャフトシール等のシャフトシール等。
動弁系の、エンジンバルブのバルブステムシール等。
潤滑・冷却系の、エンジンオイルクーラーのエンジンオイルクーラーホース、オイルリターンホース、シールガスケット等や、ラジエータ周辺のウォーターホース、バキュームポンプのバキュームポンプオイルホース等。
燃料系の、燃料ポンプのオイルシール、ダイヤフラム、バルブ等、フィラー(ネック)ホース、燃料供給ホース、燃料リターンホース、ベーパー(エバポ)ホース等の燃料ホース、燃料タンクのインタンクホース、フィラーシール、タンクパッキン、インタンクフューエルポンプマウント等、燃料配管チューブのチューブ本体やコネクターO−リング等、燃料噴射装置のインジェクタークッションリング、インジェクターシールリング、インジェクターO−リング、プレッシャーレギュレーターダイヤフラム、チェックバルブ類等、キャブレターのニードルバルブ花弁、加速ポンプピストン、フランジガスケット、コントロールホース等、複合空気制御装置(CAC)のバルブシート、ダイヤフラム等。中でも、燃料ホース及び燃料タンクのインタンクホースとして好適である。
吸気・排気系の、マニホールドの吸気マニホールドパッキン、排気マニホールドパッキン等、EGR(排気際循環)のダイヤフラム、コントロールホース、エミッションコントロールホース等、BPTのダイヤフラム等、ABバルブのアフターバーン防止バルブシート等、スロットルのスロットルボディパッキン、ターボチャージャーのターボオイルホース(供給)、ターボオイルホース(リターン)、ターボエアホース、インタークーラーホース、タービンシャフトシール等。
トランスミッション系の、トランスミッション関連のベアリングシール、オイルシール、O−リング、パッキン、トルコンホース等、ATのミッションオイルホース、ATFホース、O−リング、パッキン類等。
ステアリング系の、パワーステアリングオイルホース等。
ブレーキ系の、オイルシール、O−リング、パッキン、ブレーキオイルホース等、マスターバックの大気弁、真空弁、ダイヤフラム等、マスターシリンダーのピストンカップ(ゴムカップ)等、キャリパーシール、ブーツ類等。
基本電装部品の、電線(ハーネス)の絶縁体やシース等、ハーネス外装部品のチューブ等。
制御系電装部品の、各種センサー線の被覆材料等。
装備電装部品の、カーエアコンのO−リング、パッキン、クーラーホース、外装品のワイパーブレード等。
また自動車用以外では、たとえば、船舶、航空機等の輸送機関における耐油、耐薬品、耐熱、耐スチーム、あるいは耐候用のパッキン、O−リング、ホース、その他のシール材、ダイヤフラム、バルブに、また化学プラントにおける同様のパッキン、O−リング、シール材、ダイヤフラム、バルブ、ホース、ロール、チューブ、耐薬品用コーティング、ライニングに、化学処理分野におけるホースまたはガスケットに、食品プラント機器及び食品機器(家庭用品を含む)における同様のパッキン、O−リング、ホース、シール材、ベルト、ダイヤフラム、バルブ、ロール、チューブに、原子力プラント機器における同様のパッキン、O−リング、ホース、シール材、ダイヤフラム、バルブ、チューブに、OA機器、一般工業部品における同様のパッキン、O−リング、ホース、シール材、ダイヤフラム、バルブ、ロール、チューブ、ライニング、マンドレル、電線、フレキシブルジョイント、ベルト、ゴム板、ウエザーストリップ、PPC複写機のロールブレード等への用途に好適である。たとえば、PTFEダイヤフラムのバックアップゴム材は滑り性が悪いため、使用している間にすり減ったり、破れたりする問題があったが、本発明の積層体を用いることにより、この問題を改善でき、好適に使用できる。
また、食品ゴムシール材用途においては、従来ゴムシール材において着香性やゴムの欠片等が食品中に混入するトラブルがあるが、本発明の積層体を用いることにより、この問題を改善でき、好適に使用できる。医薬・ケミカル用途のゴムシール材溶剤を使用する配管のシール材としてゴム材料は溶剤に膨潤する問題があるが、本発明の積層体を用いることにより、樹脂を被覆する事で改善される。一般工業分野では、ゴム材料の強度、すべり性、耐薬品性、透過性を改善する目的において、たとえば、ゴムロール、O−リング、パッキン、シール材等に好適に用いることができる。特に、リチウムイオン電池のパッキン用途には耐薬品性とシールの両方を同時に維持できることから好適に使用できる。その他、低摩擦による摺動性が要求される用途においては、好適に使用できる。
これらの中でも、特に上記積層体は、チューブ又はホースとして好適に用いられる。すなわち、上記積層体は、チューブ又はホースでもあることが好ましい。チューブの中でも、耐熱性、燃料低透過性の点で自動車用の燃料配管チューブ又はホースとして好適に利用できる。
本発明における前記積層体からなる燃料配管は通常の方法によって製造することができ、特に制限されることはない。
以下に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例及び比較例では、下記方法により各物性値等を測定した。
(1)ポリマーの組成
19F−NMR分析により測定した。
19F−NMR分析により測定した。
(2)融点
セイコー型DSC装置を用い、10℃/分の速度で昇温したときの融解ピークを記録し、極大値に対応する温度を融点とした。
セイコー型DSC装置を用い、10℃/分の速度で昇温したときの融解ピークを記録し、極大値に対応する温度を融点とした。
(3)MFR(Melt Flow Rate)
メルトインデクサー(東洋精機製作所(株)製)を用い、297℃、5kg加重下で直径2mm、長さ8mmのノズルから単位時間(10分間)に流出するポリマーの重量(g)を測定した。
メルトインデクサー(東洋精機製作所(株)製)を用い、297℃、5kg加重下で直径2mm、長さ8mmのノズルから単位時間(10分間)に流出するポリマーの重量(g)を測定した。
(4)フッ素樹脂の燃料透過係数の測定
フッ素樹脂ペレットを、それぞれ、直径120mmの金型に入れ、300℃に加熱したプレス機にセットし、約2.9MPaの圧力で溶融プレスして、厚さ0.15mmのシートを得た。CE10(イソオクタンとトルエンとの容量比50:50の混合物にエタノール10容量%を混合した燃料)を18mL投入した内径40mmφ、高さ20mmのSUS316製の透過係数測定用カップに得られたシートを入れ、60℃における質量変化を1000時間まで測定した。時間あたりの質量変化(測定初期における質量変化が一定の部分)、接液部のシートの表面積およびシートの厚さから燃料透過係数(g・mm/m2/day)を算出した。
フッ素樹脂ペレットを、それぞれ、直径120mmの金型に入れ、300℃に加熱したプレス機にセットし、約2.9MPaの圧力で溶融プレスして、厚さ0.15mmのシートを得た。CE10(イソオクタンとトルエンとの容量比50:50の混合物にエタノール10容量%を混合した燃料)を18mL投入した内径40mmφ、高さ20mmのSUS316製の透過係数測定用カップに得られたシートを入れ、60℃における質量変化を1000時間まで測定した。時間あたりの質量変化(測定初期における質量変化が一定の部分)、接液部のシートの表面積およびシートの厚さから燃料透過係数(g・mm/m2/day)を算出した。
(5)ムーニー粘度
ASTM−D1646およびJISK6300に準拠して測定した。
ASTM−D1646およびJISK6300に準拠して測定した。
(6)トリエチルアミンと接触させた後に測定した1720cm−1の吸光係数
まず、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)又はメチルエチルケトン(MEK)10cc中にポリマー(フッ素ゴム)0.56gを完全に溶解させた後、トリエチルアミン4.9gを入れ、シャーレに溶液を移し、アセトン、THF又はMEKを気化させた後、シャーレごと70℃の恒温槽で3時間加熱し、加熱後のポリマーのIRを分析した。
そして、IRの分析結果において、3000〜3030cm−1の吸光係数を1.0とした時の1720cm−1のピーク強度を1720cm−1の吸光係数とした。
まず、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)又はメチルエチルケトン(MEK)10cc中にポリマー(フッ素ゴム)0.56gを完全に溶解させた後、トリエチルアミン4.9gを入れ、シャーレに溶液を移し、アセトン、THF又はMEKを気化させた後、シャーレごと70℃の恒温槽で3時間加熱し、加熱後のポリマーのIRを分析した。
そして、IRの分析結果において、3000〜3030cm−1の吸光係数を1.0とした時の1720cm−1のピーク強度を1720cm−1の吸光係数とした。
下記に実施例及び比較例で使用した材料を示す。
・フッ素樹脂(1)
CTFE/PPVE/TFE共重合体、CTFE/PPVE/TFE=21.3/2.4/76.3(モル%)、融点:245℃、MFR:30g/10分(297℃、5kg)、燃料透過係数:0.4g・mm/m2/day
・フッ素ゴム(1)
VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/HFP/TFE=70/18/12(モル%)、フッ素含有率:67% ムーニー粘度(ML(1+10)(121℃)=26、トリエチルアミンと接触させた後に測定した1720cm−1の吸光係数:0.39
・フッ素ゴム(2)
VdF/TFE/PMVE共重合体、VdF/TFE/PMVE=72/8/20、フッ素含有率:66%、ムーニー粘度(ML(1+10)(100℃)=67、トリエチルアミンと接触させた後に測定した1720cm−1の吸光係数:0.38
・フッ素樹脂(1)
CTFE/PPVE/TFE共重合体、CTFE/PPVE/TFE=21.3/2.4/76.3(モル%)、融点:245℃、MFR:30g/10分(297℃、5kg)、燃料透過係数:0.4g・mm/m2/day
・フッ素ゴム(1)
VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/HFP/TFE=70/18/12(モル%)、フッ素含有率:67% ムーニー粘度(ML(1+10)(121℃)=26、トリエチルアミンと接触させた後に測定した1720cm−1の吸光係数:0.39
・フッ素ゴム(2)
VdF/TFE/PMVE共重合体、VdF/TFE/PMVE=72/8/20、フッ素含有率:66%、ムーニー粘度(ML(1+10)(100℃)=67、トリエチルアミンと接触させた後に測定した1720cm−1の吸光係数:0.38
塩基性多官能化合物:N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン、分子中のN同士の距離:8.80Å、
カーボンブラック:MTカーボン、N990
加硫剤:パーヘキサ25B、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
加硫助剤:トリアリルイソシアヌレート(TAIC)
ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)のDHT−4A、DHT−4A−2、DHT−4C、KW−2200
カーボンブラック:MTカーボン、N990
加硫剤:パーヘキサ25B、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
加硫助剤:トリアリルイソシアヌレート(TAIC)
ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)のDHT−4A、DHT−4A−2、DHT−4C、KW−2200
比較例1〜3及び実施例1〜9
(フッ素ゴム組成物の製造)
下記表1に示す材料を、8インチオープンロールを用いて混練することにより、約2mmの厚みのシート状の加硫用ゴム組成物を得た。なお、表1の各数値は「質量部」を表す。また、加硫用ゴム組成物に対して、キュラストメーターII型(型番:JSRキュラストメーター。JSR社製)を用いて、160℃にて最大トルク値(MH)と最少トルク値(ML)を測定し、誘導時間(T10)及び最適加硫時間(T90)を求めた。測定結果を表に示す。なお、T10は、{(MH)−(ML)}×0.1+MLとなる時間であり、T90は、{(MH)−(ML)}×0.9+MLとなる時間であり、MH及びMLは、JIS K 6300−2に準じて測定した値である。
(積層体の製造)
厚さ約2mmの加硫用ゴム組成物のシートと、フッ素樹脂シートを重ね合わせ、得られるシートが厚み2mmになる金型に挿入し、160℃で45分間プレスする事により、シート状の積層体を得た。
(フッ素ゴム組成物の製造)
下記表1に示す材料を、8インチオープンロールを用いて混練することにより、約2mmの厚みのシート状の加硫用ゴム組成物を得た。なお、表1の各数値は「質量部」を表す。また、加硫用ゴム組成物に対して、キュラストメーターII型(型番:JSRキュラストメーター。JSR社製)を用いて、160℃にて最大トルク値(MH)と最少トルク値(ML)を測定し、誘導時間(T10)及び最適加硫時間(T90)を求めた。測定結果を表に示す。なお、T10は、{(MH)−(ML)}×0.1+MLとなる時間であり、T90は、{(MH)−(ML)}×0.9+MLとなる時間であり、MH及びMLは、JIS K 6300−2に準じて測定した値である。
(積層体の製造)
厚さ約2mmの加硫用ゴム組成物のシートと、フッ素樹脂シートを重ね合わせ、得られるシートが厚み2mmになる金型に挿入し、160℃で45分間プレスする事により、シート状の積層体を得た。
(接着性評価)
得られた積層体を幅10mm×長さ40mm×3セットの短冊状に切断し、試料片を作成した。この試験片について、オートグラフ((株)島津製作所製 AGS−J 5kN)を使用して、JIS−K−6256(加硫ゴムの接着試験方法)に記載の方法に準拠し、25℃において50mm/分の引張速度で剥離試験を行い、剥離モードを観測し、以下の基準で評価した。
○・・・加硫用ゴム組成物のシート又はフッ素樹脂シートから形成された層が、積層体の界面で材料破壊し、界面で剥離するのが不可能であった。
なお、表1中で接着性評価が○である場合の接着強度は、樹脂層又はゴム層のうち強度が弱い方の材料が破壊する強度である。
×・・・積層体が界面で剥離可能で、界面での剥離強度が10N/cm以下であった。
得られた積層体を幅10mm×長さ40mm×3セットの短冊状に切断し、試料片を作成した。この試験片について、オートグラフ((株)島津製作所製 AGS−J 5kN)を使用して、JIS−K−6256(加硫ゴムの接着試験方法)に記載の方法に準拠し、25℃において50mm/分の引張速度で剥離試験を行い、剥離モードを観測し、以下の基準で評価した。
○・・・加硫用ゴム組成物のシート又はフッ素樹脂シートから形成された層が、積層体の界面で材料破壊し、界面で剥離するのが不可能であった。
なお、表1中で接着性評価が○である場合の接着強度は、樹脂層又はゴム層のうち強度が弱い方の材料が破壊する強度である。
×・・・積層体が界面で剥離可能で、界面での剥離強度が10N/cm以下であった。
本発明の積層体は、燃料バリア性及び耐燃料性に優れたVdF/HFP/TFE共重合体を用いたフッ素ゴム層(A)と燃料透過係数が低いフッ素樹脂層(B)とを強固に接着できることから、燃料用ホース、燃料チューブ、オイルシール、O−リング、パッキン等として特に好適に利用できる。
Claims (15)
- フッ素ゴム層(A)と、フッ素ゴム層(A)上に積層されたフッ素樹脂層(B)と、を備える積層体であって、
前記フッ素ゴム層(A)は、フッ素ゴム組成物から形成される層であり、
前記フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム(a1)、ハイドロタルサイト、及び、分子中に少なくとも2個の窒素原子を含有し、分子中の窒素原子−窒素原子間の距離が5.70Å以上である塩基性の多官能化合物を含み、
フッ素ゴム(a1)は、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体であり、
前記フッ素樹脂層(B)は、燃料透過係数が2.0g・mm/m2/day以下であるフッ素樹脂(b1)から構成される
ことを特徴とする積層体。 - フッ素樹脂(b1)は、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン系共重合体、及び、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデンの共重合割合(モル%比)が、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン=75〜95/0.1〜10/0.1〜19である
請求項1記載の積層体。 - フッ素ゴム組成物は、パーオキサイド加硫系加硫剤を含有する請求項1又は2記載の積層体。
- 塩基性の多官能化合物は、−NH2、−NH3 +、−NHCOOH、−NHCOO−、−N=CR1R2(式中、R1及びR2は、独立して、炭素数0〜12の有機基である)、−NR3R4(式中、R3及びR4は、独立して、炭素数0〜12の有機基である)、及び、−NR3R4R5(式中、R3、R4及びR5は、独立して、炭素数0〜12の有機基である)である官能基を2個以上有する請求項1、2又は3記載の積層体。
- 塩基性の多官能化合物は、−NH2、−NH3 +、−N=CR1R2(式中、R1及びR2は、独立して、炭素数0〜12の有機基である)、及び、−NR3R4R5(式中、R3、R4及びR5は、独立して、炭素数0〜12の有機基である)である官能基を2個以上有する請求項1、2、3又は4記載の積層体。
- 塩基性の多官能化合物は、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン及びNH2−(CH2)n−NH2(式中、nは5〜12)からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1、2、3、4又は5記載の積層体。
- 塩基性の多官能化合物は、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1、2、3、4、5又は6記載の積層体。
- フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)との接着強度が12N/cm以上である請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の積層体。
- フッ素樹脂層(B)の両側にフッ素ゴム層(A)が積層されている請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の積層体。
- フッ素ゴム層(A)の両側にフッ素樹脂層(B)が積層されている請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の積層体。
- 更に、非フッ素ゴム層(C1a)を含み、
フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(C1a)の順に積層されている請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の積層体。 - 更に、非フッ素ゴム層(D1a)を含み、
非フッ素ゴム層(D1a)−フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(C1a)の順、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(D1a)−非フッ素ゴム層(C1a)の順、又は、フッ素ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)−非フッ素ゴム層(C1a)−非フッ素ゴム層(D1a)の順、に積層されている請求項11記載の積層体。 - フッ素ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)とが加硫接着されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の積層体。
- フッ素ゴム(a1)と、ハイドロタルサイトと、分子中に少なくとも2個の窒素原子を含有し、分子中の窒素原子−窒素原子間の距離が5.70Å以上である塩基性の多官能化合物とを混合してフッ素ゴム組成物を得る工程、
フッ素ゴム組成物を成形して得られる未加硫フッ素ゴム層と、フッ素樹脂層とを積層する工程、及び、
積層された未加硫フッ素ゴム層とフッ素樹脂層に加硫処理する工程、を含み、
前記フッ素ゴム(a1)は、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体であり、
前記フッ素樹脂層は、燃料透過係数が2.0g・mm/m2/day以下であるフッ素樹脂(b1)から構成される
ことを特徴とする積層体の製造方法。 - フッ素ゴム(a1)と、ハイドロタルサイトと、分子中に少なくとも2個の窒素原子を含有し、分子中の窒素原子−窒素原子間の距離が5.70Å以上である塩基性の多官能化合物とを含み、
前記フッ素ゴム(a1)は、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体である
ことを特徴とするフッ素ゴム組成物。
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JP6439161B1 (ja) * | 2018-03-19 | 2018-12-19 | 国産部品工業株式会社 | 金属製ガスケット |
CN116715927A (zh) * | 2023-06-28 | 2023-09-08 | 昆山力普电子橡胶有限公司 | 一种防污表带材料及其制备方法 |
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