JP2018009060A - 粘着シート用基材フィルムおよび自動車マーキング用粘着テープ - Google Patents
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[1]粘着シート用基材フィルムであって、前記基材フィルムは、クロス分別法により測定した0℃における樹脂溶出量が全溶出量に対して10質量%未満であるオレフィン系熱可塑性エラストマーを主原料とし、かつ前記基材フィルムの少なくとも一方面の表面粗さが、算術平均粗さ(Ra)が0.10〜1.0μmであることを特徴とする粘着シート用基材フィルム。
[2]融点が160℃以上のポリプロピレン系樹脂を更に含有することを特徴とする[1]に記載の粘着シート用基材フィルム。
[3]引張弾性率が50〜450MPaであることを特徴とする[1]または[2]に記載の粘着シート用基材フィルム。
[4]降伏点伸度が14%以上であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の粘着シート用基材フィルム。
[5][1]〜[4]のいずれか1項に記載の基材フィルムを少なくとも1つ備える、自動車マーキング用粘着テープに使用する基材フィルム。
[6][1]〜[5]のいずれか1項に記載の基材フィルムの少なくとも片面側に、粘着剤層を積層してなる自動車マーキング用粘着テープ。
を、提供するものである。
該オレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量はフィルム全体の樹脂の質量(顔料成分および添加剤は除く)に対し50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましい。また、該オレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量はフィルム全体の樹脂の質量に対し95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%であることが更に好ましい。該オレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量を上記の範囲とすることで、柔軟性が低下することをより抑制し、曲面追従性や貼付け性の作業性を好ましいものとすることができる。
なお、分子量分布は、後に説明するクロス分別法により測定される0〜140℃における全溶出成分から求められる値である。
前記プロピレンの共重合体としてはプロピレンとエチレンまたは他のα−オレフィンとのランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)、またはブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)等があげられる。
このようなポリプロピレン系樹脂としてはプロピレン単独重合体(ホモPP)やエチレン−プロピレンブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)等が挙げられる。
このようなポリプロピレンの含有量としては、フィルム全体の樹脂の質量(顔料成分および添加剤は除く)に対して1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。また、ポリプロピレンの含有量は、フィルム全体の樹脂の質量に対して50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましい。
融点が160℃以上であるポリプロピレンの含有量を上記の範囲とすることで、柔軟性を損なうことなく、加熱収縮性を好ましいものとすることができ、耐熱性を効果的に持たせることができる。
このようなポリプロピレン系樹脂としてはプロピレンとエチレンまたは他のα−オレフィンとのランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)が好ましい。このようなポリプロピレンの含有量としては、フィルム全体の樹脂の質量(顔料成分および添加剤は除く)に対して1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。また、前記ポリプロピレンの含有量は、フィルム全体の樹脂の質量に対して40質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
紫外線吸収剤の配合量は、それぞれの層における樹脂100重量部当たり、0.01〜10重量部が好ましく、特に0.05〜5重量部が好ましい。配合量が0.01重量部以上であれば、褐色・劣化の防止効果を得られやすく、10重量部以下であれば、配合量に見合った効果が得られ、またブリードを起こす恐れもない。
本発明においては、たとえば熱硬化型などの、硬化する時間にある程度の時間を要するタイプの塗膜層を設ける場合において本発明の効果が特に有効に奏される。
つまり、基材フィルムに塗膜層を形成する製造方法において、塗工した直後に巻取り工程を有する場合には、塗膜層が十分に硬化しないことがあり、硬化が十分でない状態でロール状にフィルムを巻き取るため、基材フィルムの反対側の面と塗膜層面が密着しブロッキング等の不具合が発生しやすくなる。
たとえば、ジイソシアネート、高分子量ポリオール及び/またはウレタン系樹脂等を含有するラジカル重合性不飽和単量体や、アクリル変性ウレタン系樹脂、アクリルポリオール及び/またはイソシアネート化合物等を含有する組成物を使用することができる。
粘着剤としてはアクリル系、ゴム系の粘着剤いずれを用いてもよいが、屋外で使用される場合を考慮すると、耐候性の高いアクリル系の粘着剤を使用することが好ましい。アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体の重合体等アクリル系重合体からなるものが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、炭素数2〜12のアルキル基を有する、好ましくは炭素数4〜12のアルキル基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。これらは、単独、または2種以上を組み合わせて用いることができる。粘着性と凝集性のバランス等から、通常ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が−50℃以下である(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、(メタ)アクリル酸エチル等の低級アルコールの(メタ)アクリル酸エステルを併用するのが好ましい。また、上記アクリル系粘着剤のアクリル系重合体としては、上記のビニル単量体以外にこれらと共重合可能な単量体が共重合されても構わない。このような共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸等のカルボキシル基含有単量体またはその無水物や、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレートまたはカプロラクトン変性(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体等が挙げられる。
粘着剤層の厚さは、粘着剤の組成により異なり、特に限定されるものではないが、通常20〜50μmである。
プライマー層の形成は、上述の塗膜層や粘着剤層の形成に準じて行えばよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
樹脂A−1:日本ポリプロ社製「ウェルネクスRFX4V」(オレフィン系熱可塑性エラストマー、Tm:127℃)
樹脂A−2:サンアロマー社製「キャタロイC200F」(オレフィン系熱可塑性エラストマー、Tm:146℃)
樹脂B:日本ポリプロ社製「ノバテックMA3U」(ホモポリプロピレン、Tm:168℃)
樹脂C:プライムポリマー社製「F327BV」(ランダムポリプロピレン、Tm:140℃)
[クロス分別測定]
測定装置:クロス分別クロマトグラフ CFC2(Polymer ChAR社製)、検出器:赤外分光光度計 IR4(Polymer ChAR社製)、検出波長:3.42μm、GPCカラム:Shodex HT−806M(昭和電工社製)、カラム温度:140℃、カラム校正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)、分子量校正法:ポリスチレン換算、溶離液:o−ジクロロベンゼン(ODCB)
流速:1.0mL/分、試料濃度:90mg/30mL(3mg/mL)、注入量:0.5mL、降温条件:1℃/分(140℃→0℃)、その後60分間保持し、その後、温度を0℃から段階的に昇温し、それぞれの温度において溶出量が安定するまで保持されながら樹脂溶出量を算出する。なお、溶出区分は0〜140℃を測定した結果を表1に示した。
各樹脂を表2に記載する配合にてドライブレンドし、中間層にのみ樹脂100質量部に対し2質量部のカーボンブラックを加え、東芝機械製単軸押出機(中間層用押出機:50φmm L/D=32、表裏層用押出機:35φmm L/D=28)の各ホッパーに投入し、各押出機温度をC1:210℃、C2:230℃、C3:230℃、C4:230℃、C5:230℃のように設定し、フィードブロックにて各溶融樹脂を表層/中間層/裏層のように樹脂を合流させ、550mm幅Tダイ(温度設定:230℃、リップ開度0.3mm)から押出した。押出された溶融樹脂は、冷却ロールを備えた巻き取り機(冷却ロール700mm幅×φ350mm、Ra=0.7、ロール温度30℃)にて冷却固化し、基材フィルム両面のヌレ指数が45mN/mになるようにコロナ処理を施し、厚み0.1mmの2種3層(表層/中間層/表層=1/8/1)の黒色基材フィルムを得た。
また、実施例3においては、溶融樹脂が接する冷却ロールを、表面形状の異なる冷却ロール(Ra=0.1)に変更することによって、意匠面の表面粗さが異なる基材フィルムを得た。
得られた基材フィルムを使用し、JISB0601:2001に準拠し、表面粗さ形状測定器(東京精密社製SURFCOM FLEX50A)を用いて意匠面の算術平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表2に示す。
得られた基材フィルムを使用し、JISK7127に準拠し、1号ダンベル試験片を採取し、23℃、60%RHの雰囲気下、オートグラフ(島津製作所製AGS−X)を用いて、引張速度50mm/分にて引張弾性率および降伏点伸度を測定した。結果を表2に示す。
得られた基材フィルムを使用し、JISK7133に準拠し、5cm×5cmの試験片をギアオーブン(東洋精機製作所製STD60−P)を用いて試験温度120℃の環境で15分間加熱して加熱収縮率を測定した。結果を表2に示す。
攪拌器、環流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4ッ口フラスコ中にイソホロンジイソシアネート31.4質量部を仕込み、90℃に加熱し、攪拌しながら溶融したポリカーボネートグリコール(プラクセルCD220、水酸基価56.1KOHmg/g、重量平均分子量2000ダイセル化学工業(株)製)128.4質量部、グリセリンモノメタクリレート(ブレンマーGLM、日本油脂(株)製)2.2質量部、メチルハイドロキノン0.02質量部を約1時間で滴下した。内温を90℃に保ち4時間反応させた後、メチルエチルケトン208.9質量部を添加し60℃で1時間攪拌して希釈した。次に攪拌下イソホロンジアミン8.7質量部、イソプロパノール52.2質量部の溶液を1時間で滴下し、更にジ−n−ブチルアミン3.3質量部を添加して末端を封鎖した。続いてメチルメタアクリレート157.9質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート16.1質量部、メチルエチルケトン385.4質量部を仕込み窒素気流下で70℃に加熱してアゾビスイソブチロニトリル5.2質量部を3分割して1時間間隔で添加し、更に10時間反応した。得られたアクリル変性ウレタン系樹脂溶液(主剤溶液)は樹脂固形分濃度35重量%、該樹脂溶液の粘度500mPa・s、アクリル変性ウレタン系樹脂の重量平均分子量は47000であった。
次に、撹拌機、温度制御装置及びコンデンサー付脱水装置を備えたフラスコに、ソルベントナフサ(溶媒)を100質量部仕込み、撹拌しながら加熱し、溶媒温度を100℃まで上げた。続いてメチルメタクリレート(180質量部)、2−エチルヘキシルアクリレート(80質量部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(136質量部)、メタクリル酸(4質量部)をそれぞれ2時間かけて滴下し、その後4時間かけて重合させてアクリルポリオールを製造した。
得られたアクリル変性ウレタン系樹脂を60質量部、アクリルポリオールを24質量部及びイソシネート化合物(旭化成ケミカルズ製デュラネートTPA−90E)を15質量部の割合で混合し塗膜層形成用塗料を調製した。
(1)で得られた基材フィルムの意匠面(表面形状を賦型した面)に、(2)で得られた塗膜層形成用塗料をバーコーターで塗工した後、80℃の熱風乾燥炉内で1分間加熱乾燥させ積層フィルムを得た。なお、乾燥後の塗膜層の厚さは2μmであった。
得られた積層フィルムを使用し、JISK7105に準拠し、グロス計(村上色彩技術研究所社製光沢計GMX−202)を用いて意匠面の60°グロスを測定した。結果を表2に示す。
得られた積層フィルムを使用し、意匠面と(1)で得られた基材フィルムの非意匠面(表面形状を賦型していない面)を接するように重ね合わせ、室温下にてプレス圧力20MPaで1分間プレスし、10cm×10cmの試験片を採取した。
次にギアオーブン(東洋精機製作所製STD60−P)を使用し試験片を60℃下で一週間加熱養生した。加熱後にギアオーブンから取り出し、試験片を剥がした際に、ブロッキングが認められなかったものを○、ブロッキングが発生したものを×とした。結果を表2に示す。
Claims (6)
- 粘着シート用基材フィルムであって、前記基材フィルムは、クロス分別法により測定した0℃における樹脂溶出量が全溶出量に対して10質量%未満であるオレフィン系熱可塑性エラストマーを主原料とし、かつ前記基材フィルムの少なくとも一方面の表面粗さが、算術平均粗さ(Ra)が0.10〜1.0μmであることを特徴とする粘着シート用基材フィルム。
- 融点が160℃以上のポリプロピレン系樹脂を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の粘着シート用基材フィルム。
- 引張弾性率が50〜450MPaであることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着シート用基材フィルム。
- 降伏点伸度が14%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着シート用基材フィルム。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の基材フィルムを少なくとも1つ備える、自動車マーキング用粘着テープに使用する基材フィルム。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の基材フィルムの少なくとも片面側に、粘着剤層を積層してなる自動車マーキング用粘着テープ。
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