以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
図1は、一実施形態に係る出力平滑化装置を含む発電システムの構成例を概略的に示す図である。図1に示されるように、発電システム1は、商用電力系統2に接続され、商用電力系統2との連系点に電力を供給するシステムである。発電システム1は、この連系点における電力の電力量(以下、「出力Ps」という。)の変動を平滑化する機能(以下、単に「出力Psの平滑化」ということもある。)を含む。発電システム1は、例えば、再生可能エネルギー発電プラントである。発電システム1は、再生可能エネルギー発電装置11と、パワーコンディショナ12と、電力計13と、電力計14と、電力計15と、蓄電装置16と、インバータ17と、制御装置18と、制御装置19と、出力平滑化装置20と、発電量予測システム30と、を備えている。
再生可能エネルギー発電装置11は、再生可能エネルギーを利用して発電を行う装置である。再生可能エネルギー発電装置11では、その出力、つまり発電量Pgが変動し得る。再生可能エネルギー発電装置11は、例えば、太陽光発電機及び風力発電機等である。再生可能エネルギー発電装置11は、発電した直流電力を電力ラインL1を介してパワーコンディショナ12に出力する。
パワーコンディショナ12は、再生可能エネルギー発電装置11で発電した電力を変換する電力変換装置である。パワーコンディショナ12は、再生可能エネルギー発電装置11からの直流電力を交流電力(出力電力)に変換する。パワーコンディショナ12は、変換した交流電力を電力ラインL2を介して商用電力系統2に出力する。
電力計13は、再生可能エネルギー発電装置11の発電量Pgを計測する装置である。発電量Pgは、再生可能エネルギー発電装置11によって発電された直流電力の電力量である。電力計13は、例えば、電力ラインL1において、再生可能エネルギー発電装置11の発電量Pgを連続的に計測する。電力計13は、計測した発電量Pgを制御装置18及び出力平滑化装置20に送信する。
電力計14は、パワーコンディショナ12から出力される交流電力の電力量Pcを計測する装置である。電力計14は、例えば、電力ラインL2のうちインバータ17が接続される位置と、パワーコンディショナ12との間の部分L21において、電力量Pcを連続的に計測する。電力計14は、計測した電力量Pcを制御装置18及び出力平滑化装置20に送信する。
電力計15は、出力Psを計測する装置である。電力計15は、例えば、電力ラインL2のうちインバータ17が接続される位置と商用電力系統2との間の部分L22において、発電システム1の出力Psを連続的に計測する。電力計15は、計測した出力Psを制御装置19に送信する。
蓄電装置16は、電力を充放電可能な装置である。蓄電装置16は、例えば、定置型の蓄電池である。蓄電装置16としては、例えば、リチウムイオン電池(LiB)が用いられ得る。蓄電装置16は、パワーコンディショナ12の出力側に設けられ、インバータ17を介して電力ラインL2に接続されている。蓄電装置16は、発電システム1の出力Psの平滑化のために用いられる。具体的には、発電システム1の出力Psが制御目標値E2となるように、蓄電装置16は充放電を行う。この蓄電装置16の充放電は、制御装置19によって制御される。制御目標値E2は、発電システム1の出力Psの目標値である。
インバータ17は、蓄電装置16を電力ラインL2に接続するための装置である。インバータ17は、蓄電装置16から出力された直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を電力ラインL2に供給する。インバータ17は、電力ラインL2を流れる交流電力の一部を直流電力に変換し、変換した直流電力を蓄電装置16に出力する。
制御装置18は、電力計14から受信した電力量Pcと、出力平滑化装置20から受信した出力指令値E1と、に基づいて、パワーコンディショナ12の出力(交流電力の電力量Pc)を制御する装置である。出力指令値E1は、パワーコンディショナ12の出力の上限値(最大出力)を規定するための値である。制御装置18は、例えば、電力量Pcが出力指令値E1を上回らないように、パワーコンディショナ12の出力を制御する。具体的には、制御装置18は、パワーコンディショナ12の変換効率を調整することによって、電力量Pcを出力指令値E1よりも小さくする。制御装置18は、例えば、パワーコンディショナ12の駆動周波数を変更することによって、パワーコンディショナ12の変換効率を調整する。なお、制御装置18は、出力指令値E1に対して電力量Pcを追従させるように、パワーコンディショナ12の出力を制御してもよい。
制御装置19は、電力計15から受信した出力Psと、出力平滑化装置20から受信した制御目標値E2と、に基づいて、蓄電装置16の充放電を制御する装置である。制御装置19は、例えば、出力Psが制御目標値E2に追従するように、蓄電装置16の充放電量を制御する。この追従制御としては、例えばPID(Proportional-Integral-Derivative)制御が用いられてもよい。具体的には、制御装置19は、出力Psから制御目標値E2を減算し、その減算した差分が正の値である場合(出力Psが制御目標値E2を上回っている場合)、その差分の電力である余剰電力を蓄電装置16に充電するように蓄電装置16を制御する。制御装置19は、上述の差分が負の値である場合(出力Psが制御目標値E2を下回っている場合)、その差分の電力である不足電力を蓄電装置16から放電するように蓄電装置16を制御する。なお、蓄電装置16が充放電を繰り返さないように、制御目標値E2に対して±数%程度の不感帯が設けられ、制御装置19は、出力Psが不感帯にある場合には蓄電装置16を充放電させないようにしてもよい。
出力平滑化装置20は、発電システム1の出力Psを平滑化するための装置である。出力平滑化装置20は、出力Psを平滑化するように、出力指令値E1及び制御目標値E2を出力する。出力平滑化装置20の詳細については、後述する。
発電量予測システム30は、再生可能エネルギー発電装置11の発電量Pgを予測するシステムである。発電量Pgの予測には、公知の手法が用いられ得る。発電量予測システム30は、例えば、地理的に局所的であり、かつ、数十分から数時間の短時間先の気候を予測することによって、発電量Pgを予測する。具体的には、発電量予測システム30は、カメラを用いて再生可能エネルギー発電装置11の上空の画像を撮影し、その撮影した画像を解析する。発電量予測システム30は、画像解析によって日射量を予測し、予測した日射量を公知の手法によって発電量の予測値f~に換算する。発電量予測システム30は、数値気象モデルに基づいて日射量を計算してもよい。発電量予測システム30は、発電量の予測値f~を出力平滑化装置20に出力する。
続いて、図2及び図3を参照して、出力平滑化装置20を詳細に説明する。図2は、出力平滑化装置20の機能構成を示す図である。図3は、出力平滑化装置20のハードウェア構成図である。図2に示されるように、出力平滑化装置20は、機能的には、発電量取得部21と、計測データ記憶部22と、予測値取得部23と、変化率計算部24と、指令値計算部25と、電力量取得部26と、計測データ記憶部27と、制御目標値計算部28と、出力部29と、を備えている。
図3に示されるように、出力平滑化装置20は、物理的には、1又は複数のプロセッサ201と、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等の記憶装置202と、ハードディスク装置等の補助記憶装置203と、キーボード等の入力装置204と、ディスプレイ等の出力装置205と、データを送受信するための通信インタフェースである通信装置206と、を備えるコンピュータとして構成される。出力平滑化装置20の図2に示される各機能は、プロセッサ201等のハードウェアに1又は複数の所定のコンピュータプログラムを読み込ませることにより、プロセッサ201の制御のもとで各ハードウェアを動作させるとともに、記憶装置202及び補助記憶装置203におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
発電量取得部21は、再生可能エネルギー発電装置11の発電量を計測した計測値p1(第1計測値)を取得する発電量取得手段として機能する。発電量取得部21は、例えば、電力計13から出力された発電量Pgを所定のサンプリング間隔ΔT1で計測値p1として取得するとともに、計測値p1を計測した時刻k1を取得する。以降、時刻k1の計測値p1を計測値p1(k1)と表す。なお、時刻k1は、0,1,2,…の整数値であり、時刻k1に対応する実時間t1は、k1×ΔT1である。実時間t1が0となる基準時刻は、任意の制御実行タイミングに設定され得る。サンプリング間隔ΔT1は、後述するパワーコンディショナ制御の制御周期であり、例えば、1秒から10秒程度である。発電量取得部21は、時刻k1に達したか否かを判定し、時刻k1に達したと判定した場合に、計測値p1(k1)及び時刻k1を取得する。発電量取得部21は、取得した計測値p1(k1)と時刻k1とを対応付けて第1計測データとして計測データ記憶部22に記憶する。
計測データ記憶部22は、第1計測データを記憶する第1計測データ記憶手段として機能する。計測データ記憶部22は、時系列の複数の第1計測データを記憶している。
予測値取得部23は、発電量の予測値f~を取得する予測値取得手段として機能する。予測値取得部23は、時刻k1において、予測時間h先の予測値f~を発電量予測システム30から取得する。以降、時刻k1の予測時間h先の予測値f~を予測値f~(k1+h)と表す。予測時間hは、例えば数十分から1時間程度である。予測値取得部23は、取得した予測値f~(k1+h)を変化率計算部24に出力する。
変化率計算部24は、計測値p1(k1)に基づいて、発電量Pgの変化率を計算する変化率計算手段として機能する。変化率計算部24は、計測値p1(k1)に基づく変化率である変化率a1(k1)(第2変化率)を計算する。変化率a1(k1)は、時刻k1における発電量Pgの変化率(単位時間あたりの変化量)である。具体的には、変化率計算部24は、各時刻k1(k1=0,1,2,…)において、計測値p1(k1)のトレンドを時間に関する1次関数で近似する。変化率計算部24は、例えば、最小二乗法を用いて近似関数を計算する。
変化率計算部24は、式(1)に示されるように、時刻k
1における発電量Pgの近似関数値(平滑値)f(k
1ΔT
1;a
1(k
1),b
1(k
1))を計算する。
ここで、変化率a
1(k
1)及び切片b
1(k
1)は、式(2)及び式(3)に示されるように、例えば最小二乗法により求められる。なお、近似に用いられるデータ数M
1は、予め定められている。データ数M
1は、例えば数百から数千程度である。
変化率計算部24は、発電量の予測値f~(k
1+h)に基づく変化率である変化率v~(k
1;h)(第1変化率)を計算する。変化率v~(k
1;h)は、時刻k
1から時刻k
1+hまでの間の平均的な発電量Pgの変化率の予測値である。変化率計算部24は、式(4)に示されるように、予測値取得部23から受け取った予測値f~(k
1+h)を用いて、予測値f~(k
1+h)から近似関数値f(k
1ΔT
1;a
1(k
1),b
1(k
1))を減算し、その減算結果を時間hΔT
1で除算することによって、変化率v~(k
1;h)を計算する。なお、一般的に計測値p
1(k
1)の変動は大きいので、変化率v~(k
1;h)の計算には、近似関数値f(k
1ΔT
1;a
1(k
1),b
1(k
1))が用いられる。
変化率計算部24は、近似関数値f(k1ΔT1;a1(k1),b1(k1))、変化率a1(k1)、及び変化率v~(k1;h)を指令値計算部25に出力する。
指令値計算部25は、変化率に基づいて、出力指令値E
1を計算する指令値計算手段として機能する。指令値計算部25は、例えば、式(5)に示されるように、時刻k
1における出力指令値E
1である出力指令値E
1(k
1)を計算する。なお、閾値−β(第1閾値)は、変化率v~(k
1;h)に関する閾値であり、商用電力系統2に対して許容される出力Psの単位時間当たりの減少率である。閾値β(第2閾値)は、変化率a
1(k
1)に関する閾値であり、商用電力系統2に対して許容される出力Psの単位時間当たりの増加率である。閾値−β及び閾値βは、予め設定されており、例えば、電力事業者によって指定される変化率である。変化率v~(k
1;h)に関する閾値と、変化率a
1(k
1)に関する閾値とで、絶対値が異なる値に設定されてもよい。また、出力E
maxは、パワーコンディショナ12が出力可能な最大出力である。時刻0における出力指令値E
1(0)は、出力E
maxに設定される。
変化率v~(k1;h)が閾値−βよりも小さい場合、時刻k1から予測時間hが経過するまでの間に閾値βを超える発電量Pgの急減が予測される。この場合、指令値計算部25は、パワーコンディショナ12の出力を第1電力量だけ減少させるように、出力指令値E1を計算する。具体的には、指令値計算部25は、時刻k1における近似関数値f(k1ΔT1;a1(k1),b1(k1))と時刻k1−1における出力指令値E1(k1−1)とのうち小さい方から第1電力量を減算し、その減算結果と0とのうち大きい方を出力指令値E1(k1)とする。前の時刻k1−1において、パワーコンディショナ12の出力が抑制されていることがあるので、出力指令値E1(k1−1)が考慮される。また、出力指令値E1(k1)が負の値とならないように、上記減算結果と0との比較が行われる。この例では、第1電力量は、β×ΔT1に設定される。つまり、指令値計算部25は、出力指令値E1(k1)を許容される変化率で減少させる。これにより、見かけ上の発電量Pgの急減が緩和される。
指令値計算部25は、変化率v~(k1;h)が閾値−β以上であり、かつ、変化率a1(k1)が閾値βよりも大きい場合、時刻k1から予測時間hが経過するまでの間に閾値βを超える発電量Pgの急減は予測されないが、時刻k1において閾値βを超える発電量Pgの急増が生じている。この場合、指令値計算部25は、パワーコンディショナ12の出力を第2電力量だけ増加させるように、出力指令値E1を計算する。具体的には、指令値計算部25は、時刻k1における近似関数値f(k1ΔT1;a1(k1),b1(k1))と時刻k1−1における出力指令値E1(k1−1)とのうち小さい方に第2電力量を加算し、その加算結果と出力Emaxとのうち小さい方を出力指令値E1(k1)とする。前の時刻k1−1において、パワーコンディショナ12の出力が抑制されていることがあるので、出力指令値E1(k1−1)が考慮される。また、出力指令値E1(k1)が出力Emaxを超えないように、上記加算結果と出力Emaxとの比較が行われる。この例では、第2電力量は、β×ΔT1に設定される。つまり、指令値計算部25は、出力指令値E1(k1)を許容される変化率で増加させる。これにより、見かけ上の発電量Pgの急増が緩和される。
指令値計算部25は、変化率v~(k1;h)が閾値−β以上であり、かつ、変化率a1(k1)が閾値β以下である場合、時刻k1から予測時間hが経過するまでの間に閾値βを超える発電量Pgの急減は予測されず、時刻k1において閾値βを超える発電量Pgの急増もない。この場合、指令値計算部25は、出力指令値E1(k1−1)に第2電力量を加算し、その加算結果と出力Emaxとのうち小さい方を出力指令値E1(k1)とする。つまり、指令値計算部25は、出力Emax以下の範囲内で出力指令値E1(k1)を許容される変化率で増加させる。
なお、式(5)に示されるように、発電量Pgの急減が予測される場合の対応が優先される。例えば、時刻k1において閾値βを超える発電量Pgの急増が生じていても、時刻k1から予測時間hが経過するまでの間に閾値βを超える発電量Pgの急減が予測される場合には、発電量Pgの急減を見越して、時刻k1における近似関数値f(k1ΔT1;a1(k1),b1(k1))と時刻k1−1における出力指令値E1(k1−1)とのうち小さい方から第1電力量を減算し、その減算結果を出力指令値E1(k1)とする。指令値計算部25は、計算した出力指令値E1(k1)を出力部29に出力する。
また、発電量Pgの急増に対しては、現在の変化率a1(k1)によって発電量Pgの急増が認識されてからでも、出力指令値E1(k1)の増加率を抑えることが可能である。一方、発電量Pgの急減に対しては、出力指令値E1(k1)は、発電量Pgの急減に従って減少するので、現在の変化率a1(k1)によって発電量Pgの急減が認識された段階では、対応が困難である。このため、発電量Pgの急減を予測することによって、出力指令値E1(k1)の減少率を抑えながら、出力指令値E1(k1)が徐々に減少される。
電力量取得部26は、パワーコンディショナ12から出力される交流電力の電力量を計測した計測値p2(第2計測値)を取得する電力量取得手段として機能する。電力量取得部26は、例えば、電力計14から出力された電力量Pcを所定のサンプリング間隔ΔT2で計測値p2として取得するとともに、計測値p2を計測した時刻k2を取得する。以降、時刻k2の計測値p2を計測値p2(k2)と表す。なお、時刻k2は、0,1,2,…の整数値であり、時刻k2に対応する実時間t2は、k2×ΔT2である。実時間t2が0となる基準時刻は、任意の制御実行タイミングに設定され得る。サンプリング間隔ΔT2は、後述する蓄電装置制御の制御周期であり、例えば、1秒から10秒程度である。電力量取得部26は、時刻k2に達したか否かを判定し、時刻k2に達したと判定した場合に、計測値p2(k2)及び時刻k2を取得する。電力量取得部26は、取得した計測値p2(k2)と時刻k2とを対応付けて第2計測データとして計測データ記憶部27に記憶する。
計測データ記憶部27は、第2計測データを記憶する第2計測データ記憶手段として機能する。計測データ記憶部27は、時系列の複数の第2計測データを記憶している。
制御目標値計算部28は、制御目標値E2を計算する制御目標値計算手段として機能する。制御目標値E2の計算に関しては、公知の手法が用いられ得る。ここでは、出力指令値E1と同様に、計測値p2(k2)を1次関数で近似することにより、制御目標値E2を計算する手法を説明する。制御目標値計算部28は、例えば、各時刻k2(k2=0,1,2,…)において、計測値p2(k2)のトレンドを時間に関する1次関数で近似する。制御目標値計算部28は、例えば、最小二乗法を用いて近似関数を計算する。
制御目標値計算部28は、式(6)に示されるように、時刻k
2における電力量Pcの近似関数値(平滑値)f(k
2ΔT
2;a
2(k
2),b
2(k
2))を計算する。
ここで、変化率a
2(k
2)及び切片b
2(k
2)は、式(7)及び式(8)に示されるように、例えば最小二乗法により求められる。なお、近似に用いられるデータ数M
2は、予め定められている。データ数M
2は、例えば数百から数千程度である。
制御目標値計算部28は、近似関数値f(k2ΔT2;a2(k2),b2(k2))を、時刻k2における制御目標値E2である制御目標値E2(k2)に設定する。制御目標値計算部28は、計算した制御目標値E2(k2)を出力部29に出力する。
出力部29は、指令値計算部25によって計算された出力指令値E1(k1)を制御装置18に送信するとともに、制御目標値計算部28によって計算された制御目標値E2(k2)を制御装置19に送信する出力手段として機能する。出力部29は、指令値計算部25から出力指令値E1(k1)を受信すると、受信した出力指令値E1(k1)を制御装置18に送信する。出力部29は、制御目標値計算部28から制御目標値E2(k2)を受信すると、受信した制御目標値E2(k2)を制御装置19に送信する。
発電量取得部21、予測値取得部23、変化率計算部24、指令値計算部25、及び出力部29はそれぞれ、パワーコンディショナ制御の制御継続フラグがパワーコンディショナ制御の継続を示しているか否かを判定し、制御継続フラグがパワーコンディショナ制御の継続を示している場合に、各処理を行うようにしてもよい。電力量取得部26、制御目標値計算部28、及び出力部29はそれぞれ、蓄電装置制御の制御継続フラグが蓄電装置制御の継続を示しているか否かを判定し、制御継続フラグが蓄電装置制御の継続を示している場合に、各処理を行うようにしてもよい。
次に、図4及び図5を参照して、出力平滑化装置20が実行する出力平滑化方法の一連の処理を説明する。図4は、出力平滑化装置20が実行するパワーコンディショナ制御の一例を示すフローチャートである。図5は、出力平滑化装置20が実行する蓄電装置制御の一例を示すフローチャートである。図4及び図5に示される処理は、例えば出力平滑化装置20の起動に応じて開始されてもよく、所定の時間間隔で繰り返し開始されてもよい。
図4に示されるパワーコンディショナ制御では、まず、発電量取得部21が、制御継続フラグがパワーコンディショナ制御の継続を示しているか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11において、制御継続フラグがパワーコンディショナ制御の継続を示していると判定された場合(ステップS11;Yes)、発電量取得部21は、出力指令値E1の更新時刻である時刻k1に達したか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12において、時刻k1に達していないと判定された場合(ステップS12;No)、ステップS11の判定が再び行われる。一方、ステップS12において、時刻k1に達したと判定された場合(ステップS12;Yes)、発電量取得部21は、電力計13から発電量Pgを計測値p1(k1)として取得するとともに、計測値p1(k1)を計測した時刻k1を取得する。そして、発電量取得部21は、取得した計測値p1(k1)と時刻k1とを対応付けて第1計測データとして計測データ記憶部22に記憶する(ステップS13)。
続いて、変化率計算部24は、データ数M1個以上の第1計測データが計測データ記憶部22に記憶されているか否かを判定する(ステップS14)。ステップS14において、データ数M1個未満の第1計測データが計測データ記憶部22に記憶されていると判定された場合(ステップS14;No)、ステップS11の判定が再び行われる。一方、ステップS14において、データ数M1個以上の第1計測データが計測データ記憶部22に記憶されていると判定された場合(ステップS14;Yes)、変化率計算部24は、計測データ記憶部22に記憶されている第1計測データから、最新のデータ数M1個の第1計測データを時系列データとして抽出する(ステップS15)。
続いて、変化率計算部24は、ステップS15において抽出された時系列データを用いて、変化率a1(k1)を計算する(ステップS16)。具体的には、変化率計算部24は、式(2)に示されるように、時系列データを用いた最小二乗法により、変化率a1(k1)を計算する。また、変化率計算部24は、式(3)に示されるように、時系列データを用いた最小二乗法により、切片b1(k1)を計算する。そして、変化率計算部24は、式(1)に示されるように、時刻k1における発電量Pgの近似関数値f(k1ΔT1;a1(k1),b1(k1))を計算する。そして、変化率計算部24は、近似関数値f(k1ΔT1;a1(k1),b1(k1))及び変化率a1(k1)を指令値計算部25に出力する。
続いて、予測値取得部23は、時刻k1において、予測時間h先の予測値f~(k1+h)を発電量予測システム30から取得する(ステップS17)。そして、予測値取得部23は、取得した予測値f~(k1+h)を変化率計算部24に出力する。
続いて、変化率計算部24は、ステップS17において取得された予測値f~(k1+h)に基づいて、変化率v~(k1;h)を計算する(ステップS18)。具体的には、変化率計算部24は、式(4)に示されるように、予測値f~(k1+h)を用いて、変化率v~(k1;h)を計算する。そして、変化率計算部24は、変化率v~(k1;h)を指令値計算部25に出力する。
続いて、指令値計算部25は、ステップS16において計算された変化率a1(k1)及びステップS18において計算された変化率v~(k1;h)に基づいて、出力指令値E1を計算する(ステップS19)。具体的には、指令値計算部25は、式(5)に示されるように、出力指令値E1(k1)を計算する。そして、指令値計算部25は、計算した出力指令値E1(k1)を出力部29に出力する。
続いて、出力部29は、ステップS19において計算された出力指令値E1(k1)を制御装置18に送信し(ステップS20)、ステップS11の判定が再び行われる。ステップS11において、制御継続フラグがパワーコンディショナ制御の停止を示していると判定された場合(ステップS11;No)、パワーコンディショナ制御の一連の処理が終了する。なお、ステップS11は、ステップS12の前に限られず、各ステップの前に行われてもよい。
このように、パワーコンディショナ制御では、変化率a1(k1)及び変化率v~(k1;h)に基づいて、パワーコンディショナ12の出力が適宜抑制される。これにより、粗く平滑化された電力量Pcの交流電力がパワーコンディショナ12から出力される。
図5に示される蓄電装置制御では、まず、電力量取得部26が、制御継続フラグが蓄電装置制御の継続を示しているか否かを判定する(ステップS31)。ステップS31において、制御継続フラグが蓄電装置制御の継続を示していると判定された場合(ステップS31;Yes)、電力量取得部26は、制御目標値E2の更新時刻である時刻k2に達したか否かを判定する(ステップS32)。ステップS32において、時刻k2に達していないと判定された場合(ステップS32;No)、ステップS31の判定が再び行われる。一方、ステップS32において、時刻k2に達したと判定された場合(ステップS32;Yes)、電力量取得部26は、電力計14から電力量Pcを計測値p2(k2)として取得するとともに、計測値p2(k2)を計測した時刻k2を取得する。そして、電力量取得部26は、取得した計測値p2(k2)と時刻k2とを対応付けて第2計測データとして計測データ記憶部27に記憶する(ステップS33)。
続いて、制御目標値計算部28は、データ数M2個以上の第2計測データが計測データ記憶部27に記憶されているか否かを判定する(ステップS34)。ステップS34において、データ数M2個未満の第2計測データが計測データ記憶部27に記憶されていると判定された場合(ステップS34;No)、ステップS31の判定が再び行われる。一方、ステップS34において、データ数M2個以上の第2計測データが計測データ記憶部27に記憶されていると判定された場合(ステップS34;Yes)、制御目標値計算部28は、計測データ記憶部27に記憶されている第2計測データから、最新のデータ数M2個の第2計測データを時系列データとして抽出する(ステップS35)。
続いて、制御目標値計算部28は、計測値p2(k2)のトレンドを時間に関する1次関数で近似する(ステップS36)。具体的には、制御目標値計算部28は、式(7)及び式(8)に示されるように、ステップS35において抽出された時系列データを用いた最小二乗法により、変化率a2(k2)及び切片b2(k2)を計算する。そして、制御目標値計算部28は、式(6)に示されるように、時刻k2における電力量Pcの近似関数値f(k2ΔT2;a2(k2),b2(k2))を計算する。
続いて、制御目標値計算部28は、近似関数値f(k2ΔT2;a2(k2),b2(k2))を制御目標値E2(k2)に設定する(ステップS37)。そして、制御目標値計算部28は、計算した制御目標値E2(k2)を出力部29に出力する。
続いて、出力部29は、ステップS37において計算された制御目標値E2(k2)を制御装置19に送信し(ステップS38)、ステップS31の判定が再び行われる。ステップS31において、制御継続フラグが蓄電装置制御の停止を示していると判定された場合(ステップS31;No)、蓄電装置制御の一連の処理が終了する。なお、ステップS31は、ステップS32の前に限られず、各ステップの前に行われてもよい。
このように、蓄電装置制御では、パワーコンディショナ制御により粗い平滑化が行われた後に、蓄電装置16の充放電制御によって、出力Psの細かい平滑化が行われる。
次に、図6〜図8を参照して出力平滑化装置20及び出力平滑化装置20が行う出力平滑化方法の作用効果を説明する。図6は、発電量Pgの急増時における平滑化処理を説明するための図である。図7は、発電量Pgの急減時における平滑化処理を説明するための図である。図8は、発電量Pgの急減時における比較例の平滑化処理を説明するための図である。図6〜図8の横軸は時刻を示し、縦軸は電力(量)を示している。
図8に示される比較例では、発電量Pgの急減に対して、蓄電装置の放電によって出力Psが平滑化される。この場合、出力Ps(制御目標値E2)と発電量Pgとの差分(図8の出力Psと発電量Pgとによって囲まれた領域)に相当する電力量を蓄電装置が放電する必要がある。発電量Pgの急増に対しても同様に、出力Ps(制御目標値E2)と発電量Pgとの差分に相当する電力量を蓄電装置が充電する必要がある。このため、充放電が可能な程度に蓄電装置の容量を大きくする必要があり、蓄電装置のコストが増加する。
一方、図6に示されるように、出力平滑化装置20では、発電量Pgの急増時には、パワーコンディショナ12から出力される交流電力の電力量Pcが逐次抑制される。これにより、見かけ上、電力量Pcの急増が緩和される。また、図7に示されるように、出力平滑化装置20では、発電量Pgの急減時には、発電量Pgの急減が予測された時点でパワーコンディショナ12から出力される交流電力の電力量Pcが予め抑制される。これにより、見かけ上、電力量Pcの急減が緩和される。
このように、出力平滑化装置20では、発電量Pgの急増又は急減に合わせて出力指令値E1を設定することによってパワーコンディショナ12の出力が抑制される。これにより、発電量Pgの変動がある程度平滑化されて、電力量Pcが得られる。そして、予測しきれない発電量Pgの瞬時的な急増及び急減等に起因する電力量Pcの変動に対しては、制御目標値E2と電力量Pcとの差分が蓄電装置16の充放電によって補われることで、出力Psの平滑化が行われる。このため、図8に示される比較例と比較して、蓄電装置16の容量を低減することが可能となり、発電システム1の建設コストを低減することが可能となる。
以上説明したように、出力平滑化装置20及び出力平滑化方法では、再生可能エネルギー発電装置11の発電量を計測した計測値p1(k1)に基づいて、発電量の時刻k1における変化率a1(k1)、及び時刻k1から予測時間hが経過するまでの間の変化率v~(k1;h)が計算され、変化率a1(k1)及び変化率v~(k1;h)に基づいて、パワーコンディショナ12から出力される交流電力の電力量Pcの上限値を規定する出力指令値E1(k1)が計算される。変化率a1(k1)及び変化率v~(k1;h)によって、発電量Pgの増減の傾向(トレンド)を把握することができるので、その発電量Pgの増減の傾向に応じて、パワーコンディショナ12の出力変動(電力量Pcの変動)を低減するように出力指令値E1(k1)が計算される。発電量Pgが急減することが予測される場合には、パワーコンディショナ12から出力される交流電力の電力量Pcを急減させないように出力指令値E1(k1)が計算され、発電量Pgが急増している場合には、電力量Pcを急増させないように出力指令値E1(k1)が計算される。さらに、電力量Pcに応じて、制御目標値E2(k1)が計算される。
具体的には、変化率v~(k1;h)が閾値−βよりも小さい場合には、発電量Pgが今後急減することが予測される。この場合、発電量Pgが急減する前に、出力指令値E1を第1電力量だけ減少させる。この第1電力量は、商用電力系統2に対して許容される出力Psの減少率よりも小さいので、パワーコンディショナ12から出力される交流電力の電力量Pcの変動(減少率)を抑えながら、電力量Pcを減少することができる。そして、電力量Pcを予め減少しておくことで、発電量Pgが急減した際に電力量Pcを急減させる必要性を低下させることができる。このため、発電システム1の出力Psの平滑化のために蓄電装置16から放電されるべき電力量を減らすことができるので、蓄電装置16の容量を低減することが可能となる。
変化率a1(k1)が閾値βよりも大きい場合には、発電量Pgが急増しているとみなされ得る。この場合、出力指令値E1を第2電力量だけ増加させる。この第2電力量は、商用電力系統2に対して許容される出力Psの増加率よりも小さいので、発電量Pgが急増しても、電力量Pcを急増させないようにすることができる。つまり、電力量Pcの変動(増加率)を抑えながら、電力量Pcを増加することができる。これにより、発電システム1の出力Psの平滑化のために蓄電装置16に充電されるべき電力量を減らすことができるので、蓄電装置16の容量を低減することが可能となる。
以上のように、発電量Pgの急増又は急減が見かけ上緩和されるので、発電システム1の出力Psの平滑化のために蓄電装置16が充放電すべき電力量を減らすことができる。その結果、蓄電装置16の容量を低減しつつ、発電システム1の出力Psの平滑化が可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、制御装置18と出力平滑化装置20とが便宜上分割されているが、制御装置18と出力平滑化装置20とは同一の装置として構成されてもよい。同様に、上記実施形態では、制御装置19と出力平滑化装置20とが便宜上分割されているが、制御装置19と出力平滑化装置20とは同一の装置として構成されてもよい。
また、出力平滑化装置20は、出力指令値E1及び制御目標値E2の計算を行っているが、出力指令値E1の計算だけを行ってもよい。出力指令値E1及び制御目標値E2の計算は、それぞれ異なる装置で行われてもよい。例えば、制御装置18が出力指令値E1の計算を行ってもよく、制御装置19が制御目標値E2の計算を行ってもよい。
また、制御装置18は、パワーコンディショナ12の仕様等に応じて、パワーコンディショナ12の出力を連続的に調整してもよく、段階的に調整してもよい。
また、変化率計算部24は、最小二乗法に限られず、カルマンフィルタ等を用いて変化率a1(k1)及び切片b1(k1)を計算してもよい。
また、指令値計算部25は、変化率a1(k1)が閾値βよりも大きい場合に、パワーコンディショナ12の出力を第2電力量だけ増加させるように、出力指令値E1を計算してもよい。
また、上記実施形態では、制御装置18は、パワーコンディショナ12の変換効率を調整することによって、電力量Pcを出力指令値E1よりも小さくしているが、これに限られない。例えば、図9に示されるように、発電システム1は、負荷40をさらに備えていてもよい。負荷40は、パワーコンディショナ12の出力側であって、電力ラインL2の部分L21に接続されている。負荷40としては、例えば、水素製造装置等が挙げられる。この構成では、制御装置18は、出力指令値E1に基づいて、負荷40に供給される電力を調整することによって、電力量Pcを出力指令値E1よりも小さくしてもよい。具体的には、制御装置18は、電力量Pcから出力指令値E1を減算した電力量を負荷40に消費させるように負荷40に指令を送信する。これにより、負荷40は、制御装置18によって指定された電力量の電力を消費する。