JP2018003145A - 取鍋用ガス吹付け装置、及び、低窒素鋼の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、鋼材中から窒素を排除することが困難な場合には、TiやNbといった合金元素を添加して窒素を窒化物として固定することも行われている。しかしながら、合金元素を添加するため、製造コストの上昇を招くといった問題があった。さらに、粗大な窒化物を形成する場合や添加した合金自体が鋼材特性に影響を及ぼすおそれもあった。
よって、TiやNbといった合金元素を用いることなく窒素の影響を抑制するために、鋼中の窒素濃度の低減は大きな課題である。
このような問題を解決すべく、以下に示すように、出鋼時の吸窒を抑制する手法が提案されている。
特許文献2では、出鋼中に溶鋼を空気から遮断するためのガスとして3〜20容量%の酸素ガスを混合したアルゴンガスを用いることを特徴とする技術が提案されている。
特許文献4では、出鋼流を傾斜させた取鍋の壁に沿わせて取鍋に受鋼するとともに、転炉等の製鋼炉の出鋼口に不活性ガスを供給して出鋼流に不活性ガスを混入させることを特徴とする技術が提案されている。
特許文献6では、上記と同様ステンレス鋼を対象として、脱炭炉から取鍋へ出鋼する際、出鋼流の下端付近に向けて、ステンレス溶鋼の出鋼前から出鋼完了までの間、純酸素ガスまたは窒素を含まず、酸素を20体積%以上含むガスを供給し、取鍋内へ供給されるガスの流量V(Nm3/min)が、取鍋内容積T(m3)に対してV>Tとなるように前記ガスを吹き付ける技術が提案されている。
このことを踏まえると、特許文献1のように、取鍋内全体の雰囲気を非窒素ガスで満たすには多量のガスが必要であり、経済的とは言い難い。
特許文献2のように、取鍋上部付近を通過する溶鋼流にアルゴンを吹き付けたとしても、溶鋼流付近は高熱であり、上昇気流が生じることから、出鋼流に巻き込ませるだけで滝壺近傍の窒素濃度を低減するのは困難である。
特許文献4のように、出鋼孔付近から出鋼流に不活性ガスを巻き込ませたとしても、大気からの空気巻き込みで生じる滝壺の気泡中の窒素濃度を効率的に低減することはできない。
このため、特許文献6のように、ノズルを用いて滝壺に向けて直接ガスを吹き付ける手法は効率的であると考えられるが、高温の溶鋼が出鋼され、上昇気流が生じている取鍋内において、どのくらいの距離からどの程度の流速で吹き付ければ良いか、この文献には記載されていない。
そして、出鋼流と前記取鍋内に貯留された溶鋼の湯面との衝突領域である滝壺からの距離が2.0m以内となるように、前記ラバールノズルの先端位置を調整するノズル位置調整手段を備えているので、滝壺の周囲に非窒素ガスを十分に供給することができ、溶鋼への窒素の吸収を抑制することができる。
この場合、滝壺の周囲において窒素ガスを十分に除去することができ、溶鋼への窒素の吸収を抑制することができる。
図1は、Arガス流量5.0Nm3/min、ノズル出口ガス流速384m/sとした時のArガス濃度分布であり、ノズル出口から2m程度離れるとArガス濃度が50%程度まで低減し、取鍋高さを想定した4m離れるとArガス濃度は20%以下まで低減することが分かる。これらの流動計算結果から、滝壺近傍に吹き付ける非窒素ガスの流速および流量を見積もり、実機試験により出鋼時の吸窒抑制効果を見積もった。
非窒素ガスのガス流量を決めると、ラバールノズル形状と圧力によりガス流速が決まるので、必要なガス流速およびガス流量に応じてラバールノズルの内径や形状を決めれば良い。
本実施形態においては、図2に示すように、転炉30の下方側に取鍋20が配設されており、転炉30から取鍋20へと溶鋼が出鋼される構成とされている。なお、取鍋20は、移動可能な台車21の上に配置されている。
このように、ランス12の長さ方向位置および仰角を調整することで、出鋼中の取鍋20内の湯面の上昇に伴う滝壷の上昇に合わせて、ラバールノズル13先端の高さ位置を調整できるように構成されている。さらに、ランス12の長さ方向位置および水平方向の回転を組み合わせることで、出鋼中に前後に動く出鋼流2に合わせてラバールノズル13先端位置を調整可能とされている。
よって、出鋼中において、ラバールノズル13の先端位置を滝壺からの距離が2.0m以内の範囲内に調整することが可能となる。
まず、図4<1>に示すように、出鋼開始の時点では、ランス12を待機位置に配置しておき、非窒素ガスの吹付けを実施しない。
次に、図4<2>に示すように、出鋼を開始してから15秒から20秒後には、取鍋20内に溶鋼1が貯留され、出鋼流2が溶鋼1の湯面と衝突する滝壺が形成される。この時点までには転炉30が十分に傾転され、ランス12を待機位置から取鍋20の中へ降下させても転炉鉄皮と干渉しないだけの隙間ができている。そこで、ノズル位置調整手段15によってランス12を移動させてラバールノズル13の先端が滝壺から2.0m以内の位置とし、非窒素ガスの吹付けを開始する。
次に、図4<3>に示すように、出鋼が継続されると取鍋20内の溶鋼1の湯面が上昇する。取鍋20内の溶鋼1の湯面の上昇にしたがい、ノズル位置調整手段15によってランス12を移動させ、ラバールノズルの先端位置を滝壺から2.0m以内に保持しながら、非窒素ガスの吹付けを実施する。
例えば、滝壺周辺に吹き付けられた非窒素ガスは滝壺近傍で拡散するため、1本のランスでも吸窒抑制効果を得られるが、合金添加用のシュートと干渉しない範囲でランスを2本以上設置し、非窒素ガスを吹き付けたとしても何ら問題は無い。
また、本発明は、炭素鋼に非常に有効であるが、炭素鋼以外のステンレス鋼、合金鋼の溶製にも有効である。
さらに、転炉における操業形態について説明してきたが、AODのように炉口から取鍋へ出鋼する操業形態にも、本発明は適合する。
まず、高炉から搬送された溶銑(炭素含有量4.5%相当)を転炉に装入し、酸素吹錬を行った。転炉吹錬後の成分は[C]=0.03〜0.15%、[Si]=0.01〜0.05%、[Mn]=0.1〜0.4%、[P]=0.01〜0.03%、[N]=8〜12ppm、残部がFeおよび不可避的成分である。
なお、非窒素ガスを吹き付けるランスは、出鋼流の側面から滝壺に向けて配置し、出鋼流の動きに合わせて前後に動かすことができる。また、ランス先端はストレートノズルもしくはラバールノズルとし、取鍋内に満たされていく溶鋼の湯面高さに合わせて、上下に動かすことができるように構成した。
以下、試験No.2からNo.23までは、全て出鋼中にガス吹付けランスから滝壺に向けて非窒素ガスを吹き付けた。なお、表中のノズル−滝壺間距離は出鋼初期から末期までの距離を示すが、最末期はランス昇降装置の上昇限である1.2mとなった。
試験No.12までの結果から、出鋼中にノズル−滝壺間距離を1.5〜2.0mに維持しながら、ランス先端にラバールノズルを用いて非窒素ガスを吹き付けることで吸窒抑制効果が得られることが分かる。
試験No.23までの結果から分かるように、出鋼中にノズル−滝壺間距離を2.0m以下とした上で、ランス先端にストレートノズルを用いてガス流速を350m/s以上、ガス流量を5Nm3/min以上として、非窒素ガスを滝壺に向けて吹き付けることで、優れた吸窒抑制効果が得られることが分かる。
また、試験No.11、12(発明法)と試験No.13からNo.16(発明法)との比較から、吹付けガス流量Qは5Nm3/min以上が望ましいことが分かる。
さらに、試験No.11、14、15、16、19、20に示すように、ガス種を変えた場合であっても吸窒抑制効果が認められるため、CO2、Ar、O2のうち一種または二種以上の混合ガスを用いても非窒素ガスとして利用できることが分かる。
2 出鋼流
10 取鍋用ガス吹付け装置
12 ランス
13 ラバールノズル
15 ノズル位置調整手段
20 取鍋
30 転炉
Claims (3)
- 出鋼された溶鋼を受ける取鍋の上方に設けられた取鍋用ガス吹付け装置であって、
非窒素ガスを吹き出すランスと、このランスの先端に設けられたラバールノズルと、前記ラバールノズルの先端位置を調整するノズル位置調整手段と、を有し、
前記ノズル位置調整手段は、前記取鍋に向けて前記溶鋼が出鋼された際に、出鋼流と前記取鍋内に貯留された溶鋼の湯面との衝突領域である滝壺からの距離が2.0m以内となるように、前記ラバールノズルの先端位置を調整可能とされていることを特徴とする取鍋用ガス吹付け装置。 - 請求項1に記載された取鍋用ガス吹付け装置を用いた低窒素鋼の製造方法であって、
前記滝壺からの距離が2.0m以内となるように前記ラバールノズルの先端位置を調整するとともに、
前記ラバールノズルの出口におけるガス流速を350m/s以上、ガス流量を5Nm3/min以上として、非窒素ガスを前記滝壺に向けて吹き付けることにより、前記溶鋼への窒素の吸収を抑制することを特徴と有する低窒素鋼の製造方法。 - 非窒素ガスとして、CO2,Ar,O2のうちの一種又は二種以上を用いることを特徴とする請求項2に記載の低窒素鋼の製造方法。
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WO2021070455A1 (ja) * | 2020-05-29 | 2021-04-15 | ダイヤモンドエンジニアリング株式会社 | 機械攪拌式脱硫システム |
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