JP2018001949A - ハイブリッド車両の走行モード切換制御装置 - Google Patents

ハイブリッド車両の走行モード切換制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】走行モードを連続して切り換える多重切換をできるだけ短時間で行うことができるようにする。【解決手段】EV単駆動C1オンモードからパラレルハイモードへ切り換える第1切換判断が行われた場合に(S2の判断がYES)、その第1切換判断に従って走行モードを切り換える途中でパラレルローモードへ切り換える第2切換判断が行われるか否かを予測し(S3)、YESの場合にはS4以下を実行し、ギヤ段の変更に先立ってエンジンを始動する一方、NOの場合はS8以下を実行し、エンジンの始動に先立ってギヤ段を変更する。S4以下を実行する場合、第2切換判断が実際に行われた時には(S5の判断がYES)、ギヤ段を変更することなくS7で直結クラッチCSを係合させてそのままパラレルローモードを成立させるため、そのパラレルローモードへの切換が短時間で行われるようになり、ドラビリ性能が向上する。【選択図】図12

Description

本発明は、複数の走行モードで走行可能なハイブリッド車両に係り、特に、その複数の走行モードを切り換えながら走行する走行モード切換制御装置に関するものである。
(a) エンジンに動力伝達可能に連結されるとともに、動力伝達状態が異なる複数のギヤ段を成立させることができる機械式変速部と、(b) その機械式変速部の出力部材に連結された第1回転要素と、第1回転機が動力伝達可能に連結された第2回転要素と、出力要素として機能する第3回転要素と、を有する差動機構を備え、前記第1回転機の運転状態が制御されることにより前記差動機構の差動状態が制御される電気式差動部と、(c) 駆動輪に動力伝達可能に連結された第2回転機と、を有し、(d) 前記エンジンの作動、非作動、および前記ギヤ段の何れかが異なる複数の走行モードで走行可能なハイブリッド車両が提案されている。特許文献1に記載の装置はその一例で、エンジンが非作動のEV(Electric Vehicle)走行からギヤ段の変更を伴ってHV(Hybrid Vehicle)走行へ切り換える場合、ギヤ段を変更した後にエンジンをクランキングして始動するようになっている(同文献の図9参照)。
国際公開第2013/114594号
しかしながら、このようなハイブリッド車両においては、短時間の間に走行モードが連続して切り換えられる多重切換が発生することがあり、最初の走行モード切換が終了した後に次の走行モード切換を行っていると切換所要時間が長くなり、駆動力応答性等のドラビリ性能が損なわれる可能性があった。例えば特許文献1に記載のハイブリッド車両の場合、アクセルペダルの踏込み操作等によりEVの単独モータ走行からHVハイギヤ走行へ切り換え、更にHVローギヤ走行へ連続して切り換える可能性があるが、ハイギヤ段へ切り換えてエンジンを始動した後にローギヤ段へ切り換える必要があり、切換所要時間が長くなる。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、走行モードを連続して切り換える多重切換をできるだけ短時間で行うことができるようにすることにある。
本発明は、(a) エンジンに動力伝達可能に連結されるとともに、動力伝達状態が異なる複数のギヤ段を成立させることができる機械式変速部と、(b) その機械式変速部の出力部材に連結された第1回転要素と、第1回転機が動力伝達可能に連結された第2回転要素と、出力要素として機能する第3回転要素と、を有する差動機構を備え、前記第1回転機の運転状態が制御されることにより前記差動機構の差動状態が制御される電気式差動部と、(c) 駆動輪に動力伝達可能に連結された第2回転機と、を有し、(d) 前記エンジンの作動、非作動、および前記ギヤ段の何れかが異なる複数の走行モードで走行可能なハイブリッド車両に関し、(e) その複数の走行モードを切り換えながら走行する走行モード切換制御装置において、(f) 予め定められた走行モード切換条件に従って前記走行モードの切換判断を行なう切換判定部と、(g) その切換判定部によって、前記エンジンの作動、非作動を切り換えるとともに前記ギヤ段を変更する第1切換判断が行われた場合に、その第1切換判断に従って走行モード切換制御が行われる途中で、そのエンジンの作動、非作動の切換はそのままでそのギヤ段の変更先が異なる別の走行モードへ切り換える第2切換判断が前記切換判定部によって行われるか否かを予測する多重切換予測部と、(h) その多重切換予測部によって前記第2切換判断が行われると予測された場合は、前記ギヤ段の変更に先立って前記エンジンの作動、非作動を切り換える一方、前記第2切換判断が行われると予測されなかった場合は、前記エンジンの作動、非作動の切換に先立って前記ギヤ段の変更を実行する切換実行部と、を有し、且つ、(i) 前記切換実行部は、前記第2切換判断が行われると予測された場合、前記エンジンの作動、非作動を切り換えた後で前記ギヤ段の変更を実行する前に、前記切換判定部によりその第2切換判断が実際に行われたか否かを判断し、その第2切換判断が行われた時にはそのギヤ段の変更を省略して前記別の走行モードへ切り換えることを特徴とする。
このようなハイブリッド車両の走行モード切換制御装置においては、第1切換判断が行われた場合に、走行モード切換制御の途中で第2切換判断が行われるか否かを予測し、第2切換判断が予測された場合はギヤ段の変更に先立ってエンジンの作動、非作動を切り換える一方、第2切換判断が予測されなかった場合はエンジンの作動、非作動の切換に先立ってギヤ段の変更を実行する。そして、第2切換判断が行われると予測された場合には、エンジンの作動、非作動を切り換えた後でギヤ段の変更を実行する前に、第2切換判断が実際に行われたか否かを判断し、第2切換判断が行われた時にはギヤ段の変更を省略して第2切換判断による別の走行モードへ切り換えるため、その別の走行モードへの切換が短時間で行われるようになり、駆動力応答性等のドラビリ性能が向上する。
本発明が適用されたハイブリッド車両の走行に関与する概略構成を説明する骨子図で、制御系統の要部を併せて示した図である。 図1のハイブリッド車両で実現可能な複数の走行モードと、それ等の走行モードにおける各部の作動状態を説明する図である。 EVの単駆動モード時における機械式変速部および電気式差動部の共線図の一例である。 EVの両駆動モード時における機械式変速部および電気式差動部の共線図の一例である。 HVのシリーズパラレルハイモード時における機械式変速部および電気式差動部の共線図の一例である。 HVのシリーズパラレルローモード時における機械式変速部および電気式差動部の共線図の一例である。 HVのパラレルハイモード時における機械式変速部および電気式差動部の共線図の一例である。 HVのパラレルローモード時における機械式変速部および電気式差動部の共線図の一例である。 HVのシリーズモード時における機械式変速部および電気式差動部の共線図の一例である。 バッテリの入出力制限が無い場合の走行モード切換マップの一例を説明する図である。 バッテリの入出力制限がある場合の走行モード切換マップの一例を説明する図である。 図1の電子制御装置が機能的に備えている走行モード切換制御部の作動を具体的に説明するフローチャートである。 図12のフローチャートのステップS3がYES(肯定)で、ギヤ段の変更に先立ってエンジンを始動する場合の各部の作動状態の変化を説明するタイムチャートの一例である。 図12のフローチャートのステップS3がNO(否定)で、エンジンの始動に先立ってギヤ段を変更する場合の各部の作動状態の変化を説明するタイムチャートの一例である。 図13のタイムチャートにおける時間t1〜t3部分の共線図の変化を例示した図である。 図13のタイムチャートにおもる時間t3〜t6部分の共線図の変化を例示した図である。 図14のタイムチャートにおける時間t4〜t8部分の共線図の変化を例示した図である。
機械式変速部としては、例えば複数の変速用係合装置によって変速比が異なる複数のギヤ段を成立させることができるとともに、動力伝達を遮断する遮断状態(ニュートラル)が可能な遊星歯車式や平行軸式等の有段の機械式変速部が適当である。複数のギヤ段は、変速比が1よりも大きい減速ギヤ段(アンダードライブ)、および変速比が1よりも小さい増速ギヤ段(オーバードライブ)の両方を含むように定めることもできるが、減速ギヤ段および増速ギヤ段の何れか一方のみを含むものでも良い。上記遮断状態も複数のギヤ段に含めることができる。
遊星歯車式の機械式変速部の場合、例えばシングルピニオン型或いはダブルピニオン型の単一の遊星歯車機構を備えて構成される。遊星歯車機構はサンギヤ、キャリア、およびリングギヤの3つの回転要素を備えているが、それ等の回転速度を直線で結ぶことができる共線図において、例えば中間に位置する回転速度が中間の回転要素(シングルピニオン型遊星歯車機構のキャリア、ダブルピニオン型遊星歯車機構のリングギヤ)にエンジンが連結され、両側の回転要素の一方が出力要素として機能し、他方がブレーキを介して選択的に回転不能に固定されることにより変速比が1より小さい増速ギヤ段が成立させられる。また、3つの回転要素の何れか2つをクラッチによって選択的に連結することにより、遊星歯車機構が一体的に回転する変速比が1の等速ギヤ段を成立させることができる。共線図において、中間に位置する回転要素を出力要素として用い、両側の回転要素の一方にエンジンを連結し、他方をブレーキによって選択的に回転不能に固定できるようにした場合、変速比が1より大きい減速ギヤ段を成立させることができる。
電気式差動部の差動機構としては、シングルピニオン型或いはダブルピニオン型の単一の遊星歯車機構が好適に用いられる。この遊星歯車機構はサンギヤ、キャリア、およびリングギヤの3つの回転要素を備えているが、それ等の回転速度を直線で結ぶことができる共線図において、例えば中間に位置する回転速度が中間の回転要素(シングルピニオン型遊星歯車機構のキャリア、ダブルピニオン型遊星歯車機構のリングギヤ)に機械式変速部の出力部材が連結され、両側の回転要素に第1回転機および駆動輪が連結されるが、中間の回転要素に駆動輪を連結するようにしても良い。駆動輪に連結される回転要素が出力要素である。この3つの回転要素は、常に差動回転可能であっても良いが、任意の2つをクラッチにより一体的に連結できるようにして、運転状態に応じて一体回転させるようにしたり、第1回転機が連結される回転要素をブレーキにより回転停止できるようにしたりして、差動回転を制限することも可能である。
回転機は回転電気機械のことで、具体的には電動モータ、発電機、或いはその両方の機能を択一的に用いることができるモータジェネレータである。第1回転機として発電機を採用し、第2回転機として電動モータを採用することもできるが、種々の運転状態を想定した場合、第1回転機、第2回転機の何れもモータジェネレータを用いることが望ましい。
切換判定部は、例えばアクセル操作量や車速等の運転状態をパラメータとして定められた走行モード切換マップ、或いはモード領域マップ等の走行モード切換条件に従って切換判断を行なう。バッテリの蓄電残量等の車両状態に応じて複数種類の走行モード切換条件を定めることもできるし、車両状態に応じて基本の走行モード切換条件を補正することもできる。そして、例えばアクセル操作量等の車両負荷に応じて3種類以上の走行モードに切り換えられる場合に、本発明は好適に適用される。走行モード切換条件がアクセル操作量等の車両負荷をパラメータとして定められている場合、多重切換予測部は、例えばその車両負荷の変化率(アクセル変化率など)に基づいて第2切換判断が行われるか否かを予測することができる。車速に応じて走行モードが切り換えられる場合には、車速の変化率(加減速度)に基づいて第2切換判断が行われるか否かを予測することができるなど、走行モード切換条件に応じて種々の予測態様が可能である。
切換実行部は、第1切換判断による走行モード切換におけるギヤ段の変更を実行する前に、切換判定部により第2切換判断が実際に行われたか否かを判断し、第2切換判断が行われた時には第1切換判断による走行モード切換におけるギヤ段の変更を行うことなく第2切換判断による別の走行モードへ切り換える飛び切換部を備えて構成される。別の走行モードは、第1切換判断による切換先の走行モードに比較して、エンジンの作動、非作動の切換はそのままでギヤ段の変更先が異なる走行モードであり、新たなギヤ段の変更先は、第1切換判断による走行モード切換前のギヤ段、すなわち現状のギヤ段でも良いし、新たな第3のギヤ段でも良い。
本発明は、例えば(a) 前記機械式変速部は、一対の変速用係合装置の何れか一方が係合させられ且つ他方が解放された第1ギヤ段と、該他方が係合させられ且つ該一方が解放された第2ギヤ段とを成立させることが可能なもので、(b) 前記ハイブリッド車両は、前記複数の走行モードとして、前記エンジンが非作動状態で且つ前記第1ギヤ段の第1走行モード、前記エンジンが作動状態で且つ前記第2ギヤ段の第2走行モード、および前記エンジンが作動状態で且つ前記第1ギヤ段の第3走行モードを備えており、(c) 前記多重切換予測部は、前記切換判定部によって前記第1走行モードから前記第2走行モードへ切り換える第1切換判断が行われた場合に、該第1切換判断に従って該第2走行モードへ切り換える走行モード切換制御が行われる途中で前記第3走行モードへ切り換える第2切換判断が前記切換判定部によって行われるか否かを予測するもので、(d) 前記切換実行部は、前記多重切換予測部によって前記第2切換判断が行われると予測された場合は、前記第2ギヤ段への変更に先立って前記エンジンを始動する一方、前記第2切換判断が行われると予測されなかった場合は、前記エンジンの始動に先立って前記第2ギヤ段への変更を実行するように構成される。第3走行モードは別の走行モードに相当し、第2切換判断に従って第3走行モードへ切り換える場合は、第2ギヤ段へ変更することなく第1ギヤ段を維持したまま第3走行モードを成立させることができる。また、第2切換判断が予測されなかった場合は、エンジンの始動に先立って第2ギヤ段への変更が行われるが、第1走行モードではエンジンが非作動で機械式変速部全体を回転停止させることができるため、変速ショックを生じることなく一対の変速用係合装置の係合、解放制御を短時間で行うことができる。
前記ハイブリッド車両は、例えば前記エンジンと前記第1回転機とを接続、遮断する連結装置を有して構成される。その場合は、前記走行モードとして該連結装置の作動状態が異なる走行モードが可能で、例えば連結装置を接続状態にするとともに前記機械式変速部を遮断状態とすることで、エンジンにより第1回転機を回転駆動して発電するとともに、その発電電力により第2回転機を力行制御して走行するシリーズモードを実行できる。連結装置としては、クラッチ等の断接装置だけでも良いが、変速機を介して接続することもできる。なお、本発明は、このような連結装置を備えていないハイブリッド車両にも適用できる。
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用されたハイブリッド車両10の走行に関与する概略構成を説明する骨子図で、走行モードの切換制御に関する制御系統の要部を併せて示した図である。図1において、ハイブリッド車両10は、走行用の駆動源として用いることができるエンジン12、第1モータジェネレータMG1、および第2モータジェネレータMG2を備えており、動力伝達装置14を介して駆動輪(前輪)16を回転駆動する。エンジン12は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等、所定の燃料を燃焼させて動力を出力する内燃機関である。このエンジン12は、電子制御装置80によって吸入空気量、燃料供給量、点火時期等の作動状態が制御されることにより、エンジントルクTeが制御される。
第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2は、何れも電動モータおよび発電機(ジェネレータ)として択一的に用いることができる。第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2は、インバータ部や平滑コンデンサなどを有する電力制御ユニット18を介してバッテリユニット20に接続されており、電子制御装置80によって電力制御ユニット18が制御されることにより、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2の各々のトルク(力行トルクまたは回生トルク)であるMG1トルクTmg1、MG2トルクTmg2が制御される。第1モータジェネレータMG1は第1回転機で、第2モータジェネレータMG2は第2回転機である。
動力伝達装置14は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式の車両用で、非回転部材であるトランスアクスルケース22内に、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2と共に収容されている。動力伝達装置14は、エンジン12および第1モータジェネレータMG1の少なくとも一方の出力を駆動輪16へ伝達する第1動力伝達部24と、第2モータジェネレータMG2の出力を駆動輪16へ伝達する第2動力伝達部26とを備えている。第1動力伝達部24は、機械式変速部44および電気式差動部46を備えており、電気式差動部46の出力部材であるドライブギヤ28から、ドリブンギヤ30、ドリブン軸32、ファイナルギヤ34、デフリングギヤ36を介してディファレンシャル装置38に動力伝達され、一対の車軸40を介して左右の駆動輪16に分配される。
機械式変速部44および電気式差動部46は、エンジン12によって回転駆動される入力軸42と同軸に配置されており、機械式変速部44は、第1遊星歯車機構48、クラッチC1、およびブレーキB1を備えている。第1遊星歯車機構48は、差動回転可能な3つの回転要素として、サンギヤS1、ピニオンギヤP1を自転および公転可能に支持するキャリアCA1、およびピニオンギヤP1を介してサンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を有するシングルピニオン型の遊星歯車機構で、キャリアCA1は入力軸42に一体的に連結されており、機械式変速部44の入力部材として機能する。サンギヤS1は、ブレーキB1を介してトランスアクスルケース22に選択的に連結されるようになっており、サンギヤS1およびキャリアCA1は、クラッチC1を介して互いに選択的に連結されるようになっている。リングギヤR1は、機械式変速部44の出力部材として機能する連結部材45を介して電気式差動部46に連結されている。
クラッチC1およびブレーキB1は、何れも油圧アクチュエータによって係合制御される多板型の油圧式摩擦係合装置であり、油圧制御回路52の油路切換弁や油圧制御弁が電子制御装置80によって制御されることにより、その油圧制御回路52から各々供給されるC1油圧Pc1、B1油圧Pb1に応じて係合、解放制御される。そして、クラッチC1およびブレーキB1が何れも解放されると、第1遊星歯車機構48の差動が許容され、サンギヤS1が自由回転してエンジントルクTeの反力トルクを取れないため、機械式変速部44は中立状態(ニュートラル状態)とされて動力伝達が不能な遮断状態となる。クラッチC1およびブレーキB1が何れも係合させられると、第1遊星歯車機構48は一体的に回転停止状態とされ、入力軸42を介してエンジン12が回転停止状態に保持される。クラッチC1が係合させられ且つブレーキB1が解放されると、第1遊星歯車機構48が一体回転させられるようになり、エンジン12の回転速度(エンジン回転速度)Neが等速で、すなわち変速比γ1=1で、リングギヤR1から連結部材45を介して電気式差動部46へ出力される。変速比γ1は、エンジン回転速度Ne/リングギヤR1の回転速度である。また、クラッチC1が解放され且つブレーキB1が係合させられると、サンギヤS1が回転停止させられることにより、リングギヤR1が入力軸42に対して増速回転させられるようになり、変速比γ1<1で連結部材45を介して電気式差動部46へ出力される。すなわち、機械式変速部44は、直結状態(変速比γ1=1)のローギヤ段と、オーバードライブ状態(変速比γ1<1)のハイギヤ段とに切り換えられる2段の有段変速機として機能する。ローギヤ段は第1ギヤ段に相当し、ハイギヤ段は第2ギヤ段に相当する。クラッチC1およびブレーキB1は、変速用係合装置である。
図3〜図9における左側に示す共線図は、上記機械式変速部44に関するもので、「ENG」はエンジン12である。この共線図は、第1遊星歯車機構48の3つの回転要素(サンギヤS1、キャリアCA1、リングギヤR1)の回転速度を直線で結ぶことができるもので、各回転要素を表す3本の縦線Y1〜Y3の間隔は、第1遊星歯車機構48のギヤ比(サンギヤS1の歯数/リングギヤR1の歯数)に応じて定まる。
電気式差動部46は、第2遊星歯車機構50を備えている。第2遊星歯車機構50は、差動回転可能な3つの回転要素として、サンギヤS2、ピニオンギヤP2を自転および公転可能に支持するキャリアCA2、およびピニオンギヤP2を介してサンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を有するシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、差動作用を生じる差動機構として機能する。キャリアCA2は、前記連結部材45に一体的に連結されており、電気式差動部46の入力部材として機能する。サンギヤS2は、差動制御用の第1モータジェネレータMG1のロータ軸54に一体的に連結されている。リングギヤR2は、電気式差動部46の出力部材として機能するドライブギヤ28に一体的に連結されている。本実施例では、キャリアCA2が第1回転要素で、サンギヤS2が第2回転要素で、リングギヤR2が第3回転要素であり、リングギヤR2は出力要素として機能する。
上記第1モータジェネレータMG1のロータ軸54は、直結クラッチCSを介して入力軸42に選択的に連結されるようになっている。直結クラッチCSは、油圧アクチュエータによって係合制御される多板型の油圧式摩擦係合装置であり、前記クラッチC1、ブレーキB1と同様に、油圧制御回路52の油路切換弁や油圧制御弁が電子制御装置80によって制御されることにより、その油圧制御回路52から供給されるCS油圧Pcsに応じて係合、解放制御される。この直結クラッチCSは、動力伝達を接続、遮断できる断接装置で、エンジン12と第1モータジェネレータMG1との間を接続、遮断する連結装置に相当する。
上記直結クラッチCSが解放されると、第2遊星歯車機構50の差動が許容される。この状態では、第2遊星歯車機構50は、キャリアCA2に入力される動力を第1モータジェネレータMG1およびリングギヤR2へ分配する動力分配機構として機能することが可能である。すなわち、電気式差動部46において、リングギヤR2へ分配される機械的な動力伝達に加え、第1モータジェネレータMG1に分配された動力で第1モータジェネレータMG1が回転駆動されることによって発電し、その発電した電力で第2モータジェネレータMG2を駆動したり、バッテリユニット20を充電したりすることができる。電気式差動部46は、電子制御装置80によって電力制御ユニット18が制御されて第1モータジェネレータMG1の運転状態が制御されることにより、変速比γ2(=キャリアCA2の回転速度/リングギヤR2の回転速度)を連続的に制御する電気式無段変速機として機能する。つまり、電気式差動部46は、差動機構としての第2遊星歯車機構50と、その第2遊星歯車機構50に動力伝達可能に連結された差動制御用回転機としての第1モータジェネレータMG1とを有し、第1モータジェネレータMG1の運転状態が制御されることにより第2遊星歯車機構50の差動状態が制御される電気式変速機構である。また、直結クラッチCSが係合させられた状態では、エンジン12と第1モータジェネレータMG1とが連結されるため、エンジン12の動力によって第1モータジェネレータMG1を回転駆動して発電し、その発電した電力でバッテリユニット20を充電したり第2モータジェネレータMG2を駆動したりすることが可能である。
図3〜図9における右側に示す共線図は、上記電気式差動部46に関するもので、「OUT」は出力部材として機能するドライブギヤ28である。この共線図は、第2遊星歯車機構50の3つの回転要素(サンギヤS2、キャリアCA2、リングギヤR2)の回転速度を直線で結ぶことができるもので、各回転要素を表す3本の縦線Y4〜Y6の間隔は、第2遊星歯車機構50のギヤ比(サンギヤS2の歯数/リングギヤR2の歯数)に応じて定まる。本実施例では、この共線図の中間に位置する回転要素、すなわち差動状態において回転速度が中間の速度になる回転要素であるキャリアCA2に連結部材45が連結されて、エンジン12から動力が入力されるようになっている。また、共線図の両側に位置する2つの回転要素(サンギヤS2およびリングギヤR2)の一方および他方に、第1モータジェネレータMG1、駆動輪16が動力伝達可能に連結されている。
このように構成された第1動力伝達部24においては、エンジン12の動力や第1モータジェネレータMG1の動力がドライブギヤ28からドリブンギヤ30へ伝達される。従って、エンジン12および第1モータジェネレータMG1は、第1動力伝達部24を介して駆動輪16に動力伝達可能に連結される。また、機械式変速部44は、直結状態またはオーバードライブ状態で動力伝達するため、第1モータジェネレータMG1の高トルク化が抑制される。
第1動力伝達部24では、機械式変速部44および電気式差動部46が直列に接続されているため、機械式変速部44を変速すれば第1動力伝達部24の全体の変速比γ0(=γ1×γ2)も変化させられる。そこで、機械式変速部44の変速時に第1動力伝達部24の変速比γ0の変化が抑制されるように、機械式変速部44の変速に合わせて電気式差動部46の変速を実行する。例えば、機械式変速部44がローギヤ段からハイギヤ段へアップシフトされる場合、それと同時に電気式差動部46をダウンシフトする。これにより、第1動力伝達部24は、全体として所謂電気式無段変速機として機能させることができる。
第2動力伝達部26は、入力軸42とは別にその入力軸42と平行に配置された第2モータジェネレータMG2のロータ軸56、およびそのロータ軸56に一体的に取り付けられてドリブンギヤ30と噛み合う小径のリダクションギヤ58を備えている。この第2動力伝達部26においては、第2モータジェネレータMG2の動力がリダクションギヤ58からドリブンギヤ30へ伝達され、ドリブン軸32、ファイナルギヤ34、およびデフリングギヤ36を介してディファレンシャル装置38に伝達される。すなわち、第2モータジェネレータMG2は、第1動力伝達部24の機械式変速部44および電気式差動部46を介することなく、駆動輪16に対して動力伝達可能に連結されており、リダクションギヤ58による減速比の設定の自由度が高く、その減速比を大きくとることができる。
ハイブリッド車両10は、走行に関わる各種の制御を行なうコントローラとして電子制御装置80を備えている。電子制御装置80は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、ハイブリッド車両10の各種制御を実行する。例えば、電子制御装置80は、エンジン12、第1モータジェネレータMG1、および第2モータジェネレータMG2の各出力制御や、複数の走行モードの切換制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用、MG制御用、油圧制御用等に分けて構成される。
電子制御装置80には、ハイブリッド車両10に設けられたエンジン回転速度センサ60、出力回転速度センサ62、レゾルバ等のMG1回転速度センサ64、レゾルバ等のMG2回転速度センサ66、アクセル操作量センサ68、シフトポジションセンサ70、バッテリセンサ72等による検出値に基づく各種の信号、すなわちエンジン回転速度Ne、車速Vに対応するドリブンギヤ30の回転速度である出力回転速度Nout、第1モータジェネレータMG1の回転速度(MG1回転速度)Nmg1、第2モータジェネレータMG2の回転速度(MG2回転速度)Nmg2、アクセルペダルの操作量(アクセル操作量)θacc、シフトレバーの操作位置Psh、バッテリユニット20のバッテリ温度THbatやバッテリ充放電電流Ibat、バッテリ電圧Vbatなど、制御に必要な各種の情報が供給される。また、電子制御装置80からは、エンジン12、電力制御ユニット18、油圧制御回路52などにエンジン制御指令信号Se 、MG制御指令信号Sm、油圧制御指令信号Spなどが出力される。電子制御装置80は、例えばバッテリ充放電電流Ibatおよびバッテリ電圧Vbatなどに基づいてバッテリユニット20の蓄電残量SOCを算出する。
電子制御装置80は、予め定められた切換条件に従って複数の走行モードを切り換えながら走行する走行モード切換制御部82を機能的に備えている。すなわち、本実施例のハイブリッド車両10は、図2に示す種々の走行モードで走行することが可能である。図2において、EVモードは、エンジン12の運転を停止した状態で、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2の少なくとも一方を走行用駆動源として用いて走行する制御様式である。HVモードは、少なくともエンジン12を運転状態として、そのエンジン12のみを走行用駆動源として用いて走行したり、一定の条件下で第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2の少なくとも一方を走行用駆動源として用いて走行したりする制御様式である。そして、EVモードでは、更に単駆動モードおよび両駆動モードの2つの走行モードが定められており、HVモードでは、シリーズパラレルモード、パラレルモード、およびシリーズモードの3つの走行モードが定められている。
図2は、各走行モードにおけるクラッチC1、ブレーキB1、直結クラッチCS、モータジェネレータMG1、MG2の作動状態を説明する図である。図2の図中の「○」印は係合装置(C1,B1,CS)の係合を意味し、空欄は解放を意味し、「△」印は運転停止状態のエンジン12を連れ回し状態とするエンジンブレーキ(エンブレともいう)の併用時に何れか一方を係合させることを意味する。また、「G」はモータジェネレータMG1、MG2を主にジェネレータとして機能させることを意味し、「M」はモータジェネレータMG1、MG2を駆動時には主に電動モータとして機能させ、被駆動時には主にジェネレータとして機能させることを意味する。但し、HVのパラレルモードでは、高負荷時等にアシスト的にモータジェネレータMG1、MG2が電動モータとして作動させられ、低負荷時には作動停止(フリー回転状態)とされる。
各走行モードについて具体的に説明すると、EVの単駆動モードでは、クラッチC1、ブレーキB1、および直結クラッチCSを何れも解放した状態で、基本的に第2モータジェネレータMG2を走行用駆動源として用いて走行する。図3は、このEV単駆動モード時の共線図である。クラッチC1およびブレーキB1が解放されることで、第1遊星歯車機構48の差動が許容され、機械式変速部44は中立状態(ニュートラル状態)となって動力伝達が遮断される。機械式変速部44が中立状態とされると、リングギヤR1に連結されたキャリアCA2にてMG1トルクTmg1の反力トルクが取れないため、電気式差動部46も中立状態になり、第1動力伝達部24が全体として中立状態になる。この状態で、エンジン12の運転を停止させるとともに、第2モータジェネレータMG2から走行用のMG2トルク(力行トルク)Tmg2を出力させる。後進時は、前進時に対して第2モータジェネレータMG2を逆回転させる。車両走行中には、第2モータジェネレータMG2の回転(ここでは駆動輪16の回転も同意)に連動してドライブギヤ28に連結されたリングギヤR2が回転させられる。EV単駆動モードでは、第1モータジェネレータMG1を無負荷として空転させても良いが、第1モータジェネレータMG1における引き摺り損失等を低減するために、MG1回転速度Nmg1をゼロ(回転停止状態)に維持することが望ましい。例えば、第1モータジェネレータMG1をジェネレータとして機能させて、フィードバック制御によりMG1回転速度Nmg1をゼロとすることができる。或いは、第1モータジェネレータMG1の回転が固定されるように電流供給するd軸ロック制御(d−q軸座標系におけるd軸電流のみを供給する制御)を実行して、MG1回転速度Nmg1をゼロに維持することもできる。また、MG1トルクTmg1をゼロとしても第1モータジェネレータMG1のコギングトルクによりMG1回転速度Nmg1をゼロに維持できるときはMG1トルクTmg1を加える必要はない。なお、MG1回転速度Nmg1をゼロに維持する制御を行っても、第1動力伝達部24は中立状態であるので、駆動トルクに影響を与えない。
上記EV単駆動モードではまた、リングギヤR1がキャリアCA2と一体的に連れ回されるが、機械式変速部44は中立状態であるので、運転が停止されたエンジン12は連れ回されずゼロ回転で停止状態とされる。よって、EV単駆動モードでの走行中に第2モータジェネレータMG2を回生制御(発電制御ともいう)する場合、回生量を大きく取ることができる。EV単駆動モードでの走行時に、バッテリユニット20が満充電状態となり回生エネルギーが取れない場合、エンジンブレーキを併用することが考えられる。エンジンブレーキを併用する場合は、ブレーキB1またはクラッチC1が係合させられる(図2のEV単駆動モードのエンブレ併用を参照)。ブレーキB1またはクラッチC1が係合させられると、エンジン12は連れ回し状態とされて、エンジンブレーキが作用するようになる。第1モータジェネレータMG1の力行制御などでMG1回転速度Nmg1を上昇させることにより、エンジン12の連れ回し状態におけるエンジン回転速度Neを上昇させることができる。
上述したように、ブレーキB1またはクラッチC1を係合させることでエンジン回転速度Neを上昇させることができるので、EVモードからエンジン12を始動するときには、ブレーキB1またはクラッチC1を係合した状態として、必要に応じて第1モータジェネレータMG1の力行制御によりエンジン回転速度Neを引き上げて点火する。このとき、第2モータジェネレータMG2に反力キャンセルトルクを追加で出力させる。なお、車両停止時にエンジン12を始動する際には、ブレーキB1またはクラッチC1を係合した状態で第1モータジェネレータMG1によりキャリアCA2の回転を引き上げることでエンジン回転速度Neを上昇させても良いし、第1モータジェネレータMG1によりキャリアCA2の回転を引き上げてからブレーキB1またはクラッチC1を係合させることでエンジン回転速度Neを上昇させても良い。直結クラッチCSを係合させて、第1モータジェネレータMG1により直接エンジン12の回転速度Neを引き上げてクランキングすることもできる。
図2において、EVの両駆動モード(「Ne=0」)では、クラッチC1およびブレーキB1を何れも係合させるとともに、直結クラッチCSを解放した状態で、モータジェネレータMG1およびMG2を共に走行用駆動源として用いて走行する。図4は、このEV両駆動モード時の共線図である。クラッチC1およびブレーキB1が係合させられることにより、第1遊星歯車機構48の差動が規制され、サンギヤS1の回転が停止させられる。そのため、第1遊星歯車機構48は何れの回転要素も回転が停止させられる。これによって、エンジン12はゼロ回転で停止状態とされ、また、連結部材45を介してリングギヤR1に連結されたキャリアCA2の回転も停止させられる。キャリアCA2の回転が停止させられると、キャリアCA2にてMG1トルクTmg1の反力トルクが取れるため、MG1トルク(ここでは逆回転方向の力行トルク)Tmg1によりリングギヤR2から機械的に駆動力を出力させて駆動輪16へ伝達することができる。すなわち、エンジン12の運転を停止させるとともに、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2から各々走行用のMG1トルクTmg1およびMG2トルクTmg2を出力させる。このEV両駆動モードでは、前進時に対して第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2を共に逆回転させて後進走行することも可能である。なお、EVの両駆動モードでは、直結クラッチCSを係合させるとともに、クラッチC1およびブレーキB1の何れか一方を係合させることにより、機械式変速部44をハイギヤ段またはローギヤ段に保持した状態で、エンジン12を所定の回転速度で連れ回し回転させつつ、モータジェネレータMG1およびMG2を共に走行用駆動源として用いて走行することも可能である。
上記EV両駆動モードは、第2モータジェネレータMG2のみで要求駆動トルクを賄える場合であっても、MG2回転速度Nmg2およびMG2トルクTmg2で表される第2モータジェネレータMG2の動作点が第2モータジェネレータMG2の効率を悪化させる領域内にある場合、言い換えれば第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2を併用した方が効率が良い場合には、EV両駆動モードが選択される。EV両駆動モードでは、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2の運転効率に基づいて、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2にて要求駆動トルクを分担させる。
図2において、HVのシリーズパラレルモードでは、直結クラッチCSを解放するとともに、クラッチC1およびブレーキB1の何れか一方を係合させることにより、機械式変速部44をハイギヤ段またはローギヤ段に保持した状態で、エンジン12を運転(作動)させるとともに第2モータジェネレータMG2を力行制御することにより、何れも走行用駆動源として用いて走行する。図5は、このシリーズパラレルモードにおいて機械式変速部44がハイギヤ段とされた場合の共線図で、図6は、シリーズパラレルモードにおいて機械式変速部44がローギヤ段とされた場合の共線図である。クラッチC1またはブレーキB1が係合させられることで機械式変速部44が非中立状態、すなわち動力伝達状態とされ、キャリアCA2に伝達されたエンジン12の動力に対する反力を第1モータジェネレータMG1で受け持つことにより、エンジントルクTe の一部(エンジン直達トルク)をリングギヤR2から機械的に出力させて駆動輪16へ伝達することができる。第1モータジェネレータMG1は、回生制御されてジェネレータとして用いられ、上記反力を受け持つことができるとともに、発電した電力で第2モータジェネレータMG2を力行制御してMG2トルクTmg2を出力させる。なお、このシリーズパラレルモードでは、前進時に対して第2回転機MG2を逆回転させて後進走行することも可能である。
ここで、MG1回転速度Nmg1がゼロとなり、エンジン12の動力が電気パス(第1モータジェネレータMG1や第2モータジェネレータMG2の電力授受に関わる電気経路である電気的な動力伝達経路)を介することなく全て機械的にドライブギヤ28へ伝達される状態になる所謂メカニカルポイントでは、電気式差動部46の動力伝達効率(出力されたパワー/入力されたパワー)の理論値(理論伝達効率)が最大の「1」となる。このメカニカルポイントは、図5、図6の共線図において電気式差動部46のMG1回転速度Nmg1がゼロとなる状態(すなわちサンギヤS2の回転速度がゼロとなる状態)である。シリーズパラレルモードでは、機械式変速部44がハイギヤ段とローギヤ段とに切り換えられることでメカニカルポイントが2つになり、ハイギヤ段のシリーズパラレルモードを有することでメカニカルポイントが高車速側に増えるため、高速燃費が向上する。すなわち、図10、図11の走行モード切換マップから明らかなように、ハイギヤ段のシリーズパラレルモード(シリーズパラレルハイ)は、比較的高車速側で選択されるようになっており、高車速側のメカニカルポイントが増えて高速燃費が向上するのである。
また、上記シリーズパラレルモードでは、MG1回転速度Nmg1に応じてキャリアCA2の回転速度、更にはエンジン回転速度Neを制御できるため、例えばエンジン12の最適燃費線を考慮したエンジン動作点(すなわちエンジン回転速度NeとエンジントルクTeとで表されるエンジン動作点)にてエンジン12を作動させることもできる。また、シリーズパラレルモードでは、第1モータジェネレータMG1の発電電力にバッテリユニット20からの電力を加えて第2モータジェネレータMG2を駆動することも可能である。
図2において、HVのパラレルモードでは、直結クラッチCSを係合させるとともに、クラッチC1およびブレーキB1の何れか一方を係合させることにより、機械式変速部44をハイギヤ段またはローギヤ段に保持した状態で、エンジン12を運転(作動)させるとともに、必要に応じて第1モータジェネレータMG1および/または第2モータジェネレータMG2を力行制御することにより、それ等を走行用駆動源として用いて走行する。図7は、このパラレルモードにおいて機械式変速部44がハイギヤ段とされた場合の共線図で、図8は、パラレルモードにおいて機械式変速部44がローギヤ段とされた場合の共線図であり、何れもエンジン12のみが走行用駆動源として用いられているが、このまま第1モータジェネレータMG1および/または第2モータジェネレータMG2を力行制御することにより走行用駆動源として用いることができる。
上記パラレルモードでは、直結クラッチCSの係合によるエンジン12と第1モータジェネレータMG1との連結に加えて、クラッチC1またはブレーキB1が係合させられることで、機械式変速部44の変速比γ1に応じて第1動力伝達部24の全体の変速比γ0が固定される。これにより、車速V(出力回転速度Nout)に対してエンジン回転速度Neが一意的に決められる。このパラレルモードでは、エンジン12、第1モータジェネレータMG1、および第2モータジェネレータMG2の何れの動力も駆動輪16へ機械的に伝達することが可能である。例えば、パラレルモードの単駆動時には、エンジン12の動力に加えて、第2モータジェネレータMG2の動力を駆動輪16へ伝達して走行する。パラレルモードの両駆動時には、エンジン12の動力に加えて、第1モータジェネレータMG1の動力および第2モータジェネレータMG2の動力を駆動輪16へ伝達して走行する。
パラレルモードにおける各係合装置(C1,B1,CS)の作動状態は、図2に示したEV両駆動モード(Neフリー)と同じである。つまり、図7および図8の共線図は、エンジン12の運転を停止させれば、EV両駆動モード(Neフリー)の共線図と同じになる。このEV両駆動モード(Neフリー)は、EV両駆動モード(Ne=0)と同様に、第1モータジェネレータMG1の動力および第2モータジェネレータMG2の動力を駆動輪16へ伝達して走行することが可能である。しかしながら、EV両駆動モード(Neフリー)は、走行中には、車速Vに応じてエンジン回転速度Neが一意的に決まるため、エンジン回転速度Neをゼロとすることができない点が、EV両駆動モード(Ne=0)と異なる。
図2において、HVのシリーズモードでは、直結クラッチCSを係合させるとともに、クラッチC1およびブレーキB1を何れも解放した状態で、エンジン12の運転により第1モータジェネレータMG1を回転駆動して発電し、その発電した電力で第2モータジェネレータMG2を力行制御することにより、その第2モータジェネレータMG2を走行用駆動源として用いて走行する。図9は、このシリーズモード時の共線図である。クラッチC1およびブレーキB1が共に解放されることで、第1遊星歯車機構48の差動が許容され、機械式変速部44は中立状態とされる。従って、電気式差動部46は中立状態とされ、第1動力伝達部24も中立状態とされる。加えて、シリーズモードでは、直結クラッチCSが係合させられることで、エンジン12と第1モータジェネレータMG1とが連結される。そのため、エンジン12を作動させることで第1モータジェネレータMG1を回転駆動して発電をすることができる。この際、第1動力伝達部24は中立状態であるので、エンジントルクTeは機械的に駆動輪16へ伝達されない。エンジン12の動力によって第1モータジェネレータMG1を回転駆動し、その第1モータジェネレータMG1を回生制御して発電させることにより、その発電電力で第2モータジェネレータMG2を駆動して走行用のMG2トルクTmg2を出力させることができる。シリーズモードでは、前進時に対して第2モータジェネレータMG2を逆回転させて後進走行することも可能である。
前記走行モード切換制御部82は、図2に示す複数の走行モードを切り換えながら走行するもので、走行モード切換制御装置に相当する。この走行モード切換制御部82は、切換判定部84、多重切換予測部86、および切換実行部88を機能的に備えており、切換判定部84は、例えば図10および図11に示す走行モード切換マップ等の走行モード切換条件に従って複数の走行モードの切換判断を行なう。走行モード切換マップは、アクセル操作量θacc等の車両負荷および車速Vをパラメータとして選択すべき走行モードの領域が、実験やシミュレーション等によって予め定められており、電子制御装置80の記憶部に予め記憶されている。図11は、バッテリ温度THbatや蓄電残量SOCなどによってバッテリユニット20とモータジェネレータMG1、MG2との間の入出力(充放電)が制限されている場合の走行モード切換マップである。また、図10は、そのような入出力制限が無い場合、すなわちモータジェネレータMG1、MG2によるトルクアシストや発電によるバッテリユニット20に対する充電等を比較的自由に行なうことができる場合の走行モード切換マップである。
バッテリユニット20の入出力制限がある図11の走行モード切換マップの場合、車両負荷が正(駆動状態)で比較的小さく且つ低車速時にはシリーズモードが選択される。このシリーズモードは、第2モータジェネレータMG2とデフリングギヤ36との間のガタ打ちによる所謂ガラ音の防止にも有効である。そして、車速Vの上昇に伴ってパラレルハイモード或いはシリーズパラレルハイモードへ移行する。パラレルハイモードでは変速比γ0が固定されるため、エンジン12が最小燃費動作点から外れ易く、比較的狭い車両負荷領域に設定される。また、車両負荷が大きくなると、シリーズパラレルローモードへ移行する。駆動力が優先される場合に有効な走行モードである。一方、車両負荷が負(被駆動状態)の場合はシリーズモードとする。シリーズモードは、同一車速においてエンジン回転速度Neを任意に制御可能であるため、運転者の要求に応じたエンジンブレーキトルクを出力可能である。また、MG1回転速度Nmg1とエンジン回転速度Neとが同一であるため、他の走行モードに比べて、MG1回転速度Nmg1の上限によるエンジン回転速度Neの制約を受けにくく、エンジンブレーキトルクの絶対値を大きくできる。
バッテリユニット20の入出力制限が無い図10の走行モード切換マップの場合、車両負荷が正(駆動状態)で且つ低車速の領域では、エンジン12の作動を停止してモータジェネレータMG1、MG2により走行するEVモードが選択される。車両負荷が小さい領域では、第2モータジェネレータMG2だけで走行するEV単駆動モードが選択され、比較的高負荷側では、モータジェネレータMG1およびMG2の両方で走行するEV両駆動モードとする。このEVモードを外れると、エンジン12を始動してHVモードへ移行するが、エンジン始動時のショックを小さくするため、始動時の反力補償分のトルクを残してEVモードを実行する。HVモードとしては、図11と同様にシリーズパラレルハイモード、パラレルハイモード、シリーズパラレルローモードが選択されるが、図10の場合、バッテリユニット20の入出力制限が無いため、車両負荷が大きい領域でモータジェネレータMG1および/またはMG2によるトルクアシスト(MGアシスト)を行なうパラレルローモードが選択される。アクセル操作量θaccが急増するキックダウン時に、走行モード切換マップに優先してMGアシストを行なうパラレルローモードが実施されるようにしても良い。一方、車両負荷が負(被駆動状態)の場合も、低車速領域でEVモードが選択されるが、車両駆動トルクを発生させないため、そのEVモード領域を広くできる。
前記切換判定部84は、例えば図10または図11の走行モード切換マップに従って選択した走行モードが現在の走行モードと違うか否かを判断し、違う場合にその選択した走行モードへ切り換えるべき切換判断を行なう。多重切換予測部86および切換実行部88は、図12のフローチャートのステップS1〜S10(以下、単にS1〜S10という)に従って信号処理を行なうことにより、上記切換判定部84によって切換判断が為された走行モードへ切り換える走行モード切換制御を実行する。図12のフローチャートのS1〜S3は多重切換予測部86に相当し、S4〜S10は切換実行部88に相当する。切換実行部88は機能的に飛び切換部を備えており、S5およびS7は飛び切換部に相当する。
図12のS1では、現在の走行モードがEV単駆動のC1オンモードか否か、すなわち図2におけるEV単駆動のエンブレ併用モードにおいてクラッチC1を係合させた走行モードか否かを判断する。EV単駆動C1オンモードの場合、アクセル操作量θacc等の車両負荷の急増時に走行モードが連続して切り換えられる多重切換の可能性がある。例えば、EV単駆動C1オンモードからHVのパラレルハイモードへ切り換えられるとともに、更にパラレルローモードへ切り換えられる可能性があるが、それ等の走行モード切換を順番に行っていると全体の走行モード切換所要時間が長くなり、所望の駆動力が得られるようになるまでの駆動力応答性が損なわれる可能性がある。すなわち、このS1では、多重切換によって駆動力応答性が損なわれる可能性がある走行モードか否かを判断するのであり、本実施例ではEV単駆動C1オンモードか否かを判断するが、走行モード切換条件に応じて他の走行モードが設定されても良い。そして、EV単駆動C1オンモードでなければそのまま終了するが、EV単駆動C1オンモードの場合にはS2以下を実行する。EV単駆動C1オンモードはエンジン12が非作動状態で且つ機械式変速部44がローギヤ段の第1走行モードに相当し、HVのパラレルハイモードはエンジン12が作動状態で且つ機械式変速部44がハイギヤ段の第2走行モードに相当し、パラレルローモードはエンジン12が作動状態で且つ機械式変速部44がローギヤ段の第3走行モードに相当する。
S2では、前記切換判定部84によってHVのパラレルハイモード(第2走行モード)へ切り換えるべき第1切換判断が為されたか否かを判断する。このパラレルハイモードは、現在のEV単駆動C1オンモードに比較して、エンジン12を始動して作動させるとともに機械式変速部44をローギヤ段からハイギヤ段に切り換える必要がある走行モードであり、例えばエンジンブレーキ走行からアクセルペダルが踏込み操作されて再加速する場合に、第1切換判断が行われる可能性がある。そして、パラレルハイモードへ切り換える第1切換判断が為された場合は、多重切換の可能性があるためS3を実行する一方、その第1切換判断が行われなかった場合はそのまま終了する。
S3では、第1切換判断に従ってEV単駆動C1オンモードからパラレルハイモードへ切り換える走行モード切換制御が行われる途中で、エンジン12の作動、非作動の切換はそのままでギヤ段の変更先が異なる別の走行モード、具体的にはパラレルローモード(第3走行モード)へ切り換える第2切換判断が前記切換判定部84によって行われるか否かを予測する。パラレルローモードは、例えば図10の走行モード切換マップのように車両負荷が大きい領域に設定されるとともに、アクセル操作量θaccが急増するキックバック時には走行モード切換マップに優先して選択される場合があり、本実施例では車両負荷に対応するアクセル操作量θaccの変化率(アクセル変化率)Δθaccが予め定められた判定値以上の場合に第2切換判断が行われる可能性が高いと予測する。判定値は、例えば一定値が定められるが、車速V等の運転状態をパラメータとして可変設定することもできる。そして、第2切換判断が行われる可能性が高いと予測した場合はS4以下を実行し、第2切換判断が行われる可能性が低い場合はS8以下を実行する。
S4では、EV単駆動C1オンモードからパラレルハイモードへ切り換えるために、第1モータジェネレータMG1の力行制御でそのMG1回転速度Nmg1を上昇させることにより、ローギヤ段の状態の機械式変速部44を介してエンジン回転速度Neを引き上げてクランキングし、所定の始動回転速度に達したら燃料噴射および点火等の始動制御を行ってエンジン12を始動する。次のS5は、エンジン12が始動させられて例えばアイドル回転速度等に達した後に実行され、切換判定部84によってパラレルローモードへ切り換えるべき第2切換判断が実際に行われたか否かを判断する。第2切換判断が実際に行われた場合にはS7を実行し、第2切換判断が行われなかった場合はS6を実行する。S6では、そのままパラレルハイモードへの走行モード切換制御を継続すれば良いため、クラッチC1を解放するとともにブレーキB1を係合させるクラッチツークラッチ変速制御を行ってローギヤ段からハイギヤ段へ変更(変速)するとともに、エンジン回転速度NeとMG1回転速度Nmg1とが略同じになるようにする同期制御を行って直結クラッチCSを係合させる。同期制御は、MG1回転速度Nmg1が車速VやMG2回転速度Nmg2、変速比γ1等によって定まる所定の同期回転速度となるようにMG1トルクTmg1を制御することによって行われる。一方、S7では機械式変速部44のギヤ段を変更する必要がないため、ローギヤ段のままエンジン回転速度NeとMG1回転速度Nmg1とが略同じになるようにする同期制御を行って直結クラッチCSを係合させる。
図13は、上記フローチャートのS3の判断がYESでS4以下が実行され、ギヤ段の変更に先立ってエンジン12を始動した場合の各部の作動状態の変化を説明するタイムチャートの一例で、実線はS6によりパラレルハイモードへ切り換えられた場合、一点鎖線はS7の実行でパラレルローモードへの走行モード飛び切換が行われた場合である。図13の時間t1は、EV単駆動C1オンモードでのエンジンブレーキ走行時に再加速のためにアクセルペダルが踏込み操作された時間である。時間t2は、MG1トルクTmg1が0とされてエンジン回転速度Neが略0になった時間である。時間t3は、EV単駆動C1オンモードからパラレルハイモードへ切り換える第1切換判断が為された時間、すなわちS2の判断がYESになった時間で、S3の判断もYESで直ちにS4が実行されてエンジン12のクランキングが開始された時間である。時間t4は、燃料噴射等の始動制御によってエンジン12が始動させられた時間である。時間t5以後の実線は、S5の判断がNOでS6が実行された場合であり、時間t5は、ローギヤ段からハイギヤ段へ変更するクラッチツークラッチ変速が開始された時間である。時間t6は、クラッチツークラッチ変速が終了してハイギヤ段が成立するとともに、エンジン回転速度NeおよびMG1回転速度Nmg1の同期制御が終了した時間で、直結クラッチCSの係合制御が開始された時間である。時間t7は、直結クラッチCSが完全係合させられてパラレルハイモードが成立した時間である。
図15および図16は、図13に実線で示したタイムチャートにおける各部の作動状態の変化を共線図で例示したものである。図15の(a) は、時間t1以前のエンジンブレーキ走行時の状態、すなわち第1モータジェネレータMG1の力行制御で、ローギヤ段の機械式変速部44を介してエンジン回転速度Neが所定の回転速度まで引き上げられ、エンジンブレーキが効くようにされた状態である。図15の(b) は、アクセルペダルの踏込み操作に伴い、エンジン回転速度Neが略0まで低下させられてエンジンブレーキ力が略0になるとともに、第2モータジェネレータMG2により駆動走行する時間t2〜t3の状態である。図16の(c) は、第1モータジェネレータMG1の力行制御によるクランキングでエンジン回転速度Neが引き上げられる時間t3〜t4の状態で、(d) はクラッチツークラッチ変速によってハイギヤ段が成立させられるとともに、エンジン回転速度NeおよびMG1回転速度Nmg1の同期制御が行われて略同期させられた時間t6の状態である。
図13における時間t5以後の一点鎖線は、図12におけるS5の判断がYESでS7が実行された場合であり、ギヤ段を変更する必要がないため、直ちにエンジン回転速度NeおよびMG1回転速度Nmg1の同期制御が行われるとともに、直結クラッチCSの係合制御が行われる。
図12におけるS3で第2切換判断が行われる可能性が低いと判断した場合には、S8以下を実行し、単純にEV単駆動C1オンモードからパラレルハイモードへの走行モード切換制御が行われる。すなわち、先ずS8で、クラッチC1を解放するとともにブレーキB1を係合させてローギヤ段からハイギヤ段へ変更するクラッチツークラッチ変速を実行する。この場合、前記図15の(b) に示されるようにエンジン回転速度Neは略0で、機械式変速部44全体が回転停止状態であるため、変速ショックを生じることなくクラッチツークラッチ変速を短時間で行うことができる。次のS9では、前記S4と同様に第1モータジェネレータMG1の力行制御でそのMG1回転速度Nmg1を上昇させることによりエンジン回転速度Neを引き上げてクランキングし、所定の始動回転速度に達したら燃料噴射および点火等の始動制御を行ってエンジン12を始動する。また、S10では、エンジン回転速度NeとMG1回転速度Nmg1とが略同じになるようにする同期制御を行って直結クラッチCSを係合させる。
図14は、このようにS3に続いてS8以下が実行され、エンジン12の始動に先立ってギヤ段が変更された場合の各部の作動状態の変化を説明するタイムチャートの一例で、時間t3までは図13と同じである。時間t3は、EV単駆動C1オンモードからパラレルハイモードへ切り換える第1切換判断が為された時間、すなわちS2の判断がYESになった時間で、S3に続いてS8が実行されることにより、ローギヤ段からハイギヤ段へ変更するクラッチツークラッチ変速が開始された時間である。時間t4は、クラッチツークラッチ変速が終了した時間で、エンジン回転速度Ne等の変化を伴うことなくクラッチツークラッチ変速が行われる。時間t5は、S9の実行によりエンジン12のクランキングが開始された時間で、時間t6は、燃料噴射等の始動制御によってエンジン12が始動させられた時間である。時間t7は、S10の実行によりエンジン回転速度NeおよびMG1回転速度Nmg1の同期制御が開始された時間で、時間t8は、同期後に直結クラッチCSの係合制御が開始された時間である。時間t9は、直結クラッチCSが完全係合させられてパラレルハイモードが成立した時間である。
図17は、図14のタイムチャートにおける時間t3以後の各部の作動状態の変化を共線図で例示したもので、時間t3までは図15と同じである。図17の(c) は、クラッチツークラッチ変速によってハイギヤ段が成立させられた時間t4の状態で、(d) は、第1モータジェネレータMG1の力行制御によるクランキングでエンジン回転速度Neが引き上げられる時間t5〜t6の状態である。(e) は、エンジン回転速度NeおよびMG1回転速度Nmg1の同期制御が行われて略同期させられた時間t8の状態である。
このように本実施例のハイブリッド車両10においては、EV単駆動C1オンモードからパラレルハイモードへ切り換える第1切換判断が行われた場合に(S2の判断がYES)、その第1切換判断に従って走行モードを切り換える走行モード切換制御の途中で、パラレルローモードへ切り換える第2切換判断が行われるか否かを予測する(S3)。そして、その第2切換判断が行われる可能性が高いと判断した場合にはS4以下を実行し、ギヤ段の変更に先立ってエンジン12を始動する一方、第2切換判断が行われる可能性が低いと判断した場合はS8以下を実行し、エンジン12の始動に先立ってギヤ段を変更する。第2切換判断が行われる可能性が高いと判断してS4以下を実行する場合、ギヤ段の変更を実行する前に第2切換判断が実際に行われたか否かを判断して(S5)、第2切換判断が行われた時にはギヤ段を変更することなくS7で直結クラッチCSを係合させてそのままパラレルローモードを成立させるため、そのパラレルローモードへの切換が短時間で行われるようになり、駆動力応答性等のドラビリ性能が向上する。
一方、第2切換判断が行われる可能性が低いと判断してS8以下を実行する場合、エンジン12の始動に先立ってローギヤ段からハイギヤ段へ変更するクラッチツークラッチ変速を実行するが、エンジン回転速度Neは略0で、機械式変速部44全体が回転停止状態であるため、変速ショックを生じることなくクラッチツークラッチ変速を短時間で行うことができる。
なお、上記実施例では、第2モータジェネレータMG2が第1動力伝達部24の軸心とは別の軸心上に配置されるような連結関係のギヤトレーンであったが、例えば第2モータジェネレータMG2が第1動力伝達部24の軸心と同じ軸心上に配置されるような連結関係のギヤトレーンなどであっても良い。
また、FF方式のハイブリッド車両10に好適に用いられる動力伝達装置14を例として説明したが、本発明は、FR方式やRR方式、4輪駆動方式のハイブリッド車両にも適用することができる。第2モータジェネレータMG2が、エンジン12によって駆動される駆動輪16とは異なる駆動輪(後輪)を駆動する4輪駆動方式のハイブリッド車両に適用することもできる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:ハイブリッド車両 12:エンジン 16:駆動輪 44:機械式変速部 45:連結部材(出力部材) 46:電気式差動部 50:第2遊星歯車機構(差動機構) 80:電子制御装置 82:走行モード切換制御部(走行モード切換制御装置) 84:切換判定部 86:多重切換予測部 88:切換実行部 CA2:キャリア(第1回転要素) S2:サンギヤ(第2回転要素) R2:リングギヤ(第3回転要素) MG1:第1モータジェネレータ(第1回転機) MG2:第2モータジェネレータ(第2回転機)

Claims (1)

  1. エンジンに動力伝達可能に連結されるとともに、動力伝達状態が異なる複数のギヤ段を成立させることができる機械式変速部と、
    該機械式変速部の出力部材に連結された第1回転要素と、第1回転機が動力伝達可能に連結された第2回転要素と、出力要素として機能する第3回転要素と、を有する差動機構を備え、前記第1回転機の運転状態が制御されることにより前記差動機構の差動状態が制御される電気式差動部と、
    駆動輪に動力伝達可能に連結された第2回転機と、
    を有し、前記エンジンの作動、非作動、および前記ギヤ段の何れかが異なる複数の走行モードで走行可能なハイブリッド車両に関し、該複数の走行モードを切り換えながら走行する走行モード切換制御装置において、
    予め定められた走行モード切換条件に従って前記走行モードの切換判断を行なう切換判定部と、
    該切換判定部によって、前記エンジンの作動、非作動を切り換えるとともに前記ギヤ段を変更する第1切換判断が行われた場合に、該第1切換判断に従って走行モード切換制御が行われる途中で、該エンジンの作動、非作動の切換はそのままで該ギヤ段の変更先が異なる別の走行モードへ切り換える第2切換判断が前記切換判定部によって行われるか否かを予測する多重切換予測部と、
    該多重切換予測部によって前記第2切換判断が行われると予測された場合は、前記ギヤ段の変更に先立って前記エンジンの作動、非作動を切り換える一方、前記第2切換判断が行われると予測されなかった場合は、前記エンジンの作動、非作動の切換に先立って前記ギヤ段の変更を実行する切換実行部と、
    を有し、且つ、前記切換実行部は、前記第2切換判断が行われると予測された場合、前記エンジンの作動、非作動を切り換えた後で前記ギヤ段の変更を実行する前に、前記切換判定部により該第2切換判断が実際に行われたか否かを判断し、該第2切換判断が行われた時には該ギヤ段の変更を省略して前記別の走行モードへ切り換える
    ことを特徴とするハイブリッド車両の走行モード切換制御装置。
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