JP2018000163A - アイソレータ用インキュベータ装置 - Google Patents

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Shunsuke Yumiba
俊輔 弓場
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Abstract

【課題】より多くの数の培養容器をアイソレータでの作業を煩雑にさせることなく培養室内に保持させ得るアイソレータ用インキュベータ装置の提供。
【解決手段】細胞を培養する培養容器20の複数を培養室の内部に保持するとともに、細胞の操作を行うためのアイソレータのチャンバ内に連結されて該培養容器を供給するインキュベータ装置1。アイソレータの容器搬出入口を閉塞するように密着固定される側壁11と、側壁11に設けられて培養室の内部から容器搬出入口を介してアイソレータのチャンバ内へと培養容器20を搬出入経路に沿って移動可能とさせる側壁開口12と、を含む。そして、側壁開口12を開閉自在に閉塞する開閉扉と、側壁開口12の近傍に培養容器20のうちの1又は複数を保持するラックを移動させる移動機構と、を更に含み、移動機構は、ラックを循環移動させ、ラックを順次、側壁開口の近傍に移動させるアイソレータ用インキュベータ装置。
【選択図】図3

Description

本発明は、細胞を培養する培養容器の複数を培養室の内部に保持しアイソレータのチャンバ内に連結されて該培養容器を供給するインキュベータ装置に関する。
細胞を無菌的に操作するアイソレータには、細胞を培養する培養容器の複数を培養室の内部に保持する専用のインキュベータ装置が連結され、この中から所望の培養容器をアイソレータに移動させて各種の作業が行われる。
例えば、特許文献1では、このようなアイソレータと専用のインキュベータ装置が開示されている。インキュベータ装置の内部の培養室には複数段のラックが設置されており、このラック上に培養容器を載せて細胞等の培養を行うようになっている。更に、インキュベータ装置はキャスター付きの台車上に設置されて移動自在になっている。そして、インキュベータ装置の側壁開口の扉を閉じた状態で、同じく閉じた状態のアイソレータの容器搬出入口の扉との間に無菌接続装置を介して互いに接続し、インキュベータ装置及びアイソレータのそれぞれの扉を開放して、インキュベータ装置の培養室とアイソレータのチャンバとが連結されるのである。
ところで、アイソレータの容器搬出入口からインキュベータ装置のラックへと操作者が腕を伸ばして作業を行い得る距離には限界があるとともに、アイソレータでは可動域に制限のあるグローブを用いた作業となる。故に、より多くの培養容器をインキュベータ装置の培養室の内部に保持しようとしても作業が煩雑になってしまい、場合によっては取り出し作業が不可能になってしまう。そこで、培養容器を適宜、アイソレータの容器搬出入口近傍の取り出しやすい位置まで搬送する移動機構を与えることが提案されている。
例えば、特許文献2では、培養容器を複数収納したスタッカをラックの上から搬送する移動機構を含むインキュベータ装置が開示されている。ここでは、ラックの上にある培養容器を1つ1つ搬送するのではなく、スタッカでまとめて搬送している。そして、培養容器やスタッカを安全に搬送するために電子タグを与えて位置管理などをするとしている。
特開2015−97480号公報 特許第5329724号公報
上記したように、アイソレータの容器搬出入口の開口面積に合わせてインキュベータ装置の側壁開口が設けられるが、アイソレータでは細胞を無菌的に操作するため、外部環境と通じ得るこれらの開口をあまり大きくすることは好ましくない。そこで、インキュベータ装置の側壁開口をより小さくし無菌環境を毀損させないようにすることが考慮されるが、アイソレータの操作者の作業が煩雑となってしまう。
一方で、より多くの数の培養容器を培養室内に保持させ得るには、インキュベータ装置の内部に培養容器を搬送する移動機構を設け、所定位置まで培養容器を移動させることになる。そこで、特許文献2のシステムの装置のように、ラック上の培養容器やこれを複数収納したスタッカを搬送経路上に引き出して搬送することが提案されているが、位置合わせの複雑な制御機構を必要とするため、より簡便な装置が求められる。
本発明は、上記したような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、より多くの数の培養容器をアイソレータでの作業を煩雑にさせることなく培養室内に保持させ得るとともに無菌環境を毀損させないアイソレータ用インキュベータ装置を提供することにある。
本発明によるアイソレータ用インキュベータ装置は、細胞を培養する培養容器の複数を培養室の内部に保持するとともに、細胞の操作を行うためのアイソレータのチャンバ内に連結されて該培養容器を供給するインキュベータ装置であって、前記アイソレータの容器搬出入口を閉塞するように密着固定される側壁と、前記側壁に設けられて前記培養室の内部から前記容器搬出入口を介して前記アイソレータの前記チャンバ内へと前記培養容器を搬出入経路に沿って移動可能とさせる側壁開口と、を含み、更に、前記側壁開口を開閉自在に閉塞する開閉扉と、前記側壁開口の近傍に前記培養容器のうちの1又は複数を保持するラックを移動させる移動機構と、を含み、前記移動機構は、前記ラックを循環移動させ、前記ラックを順次、前記側壁開口の近傍に移動させることを特徴とする。
かかる発明によれば、インキュベータ装置の培養容器の取り出し位置が常に一定であるから側壁開口を小さくできて無菌環境を毀損させず、可動域に制限のあるグローブを用いたアイソレータでの作業であっても容易であって、より多くの数の培養容器を培養室の内部に保持できるのである。
上記した発明において、前記循環移動は、前記アイソレータの前記側壁と平行な経路面に沿って行われることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、インキュベータ装置をよりコンパクトにできるのである。
本発明による装置を含むシステムの正面図である。 本発明による装置で使用されるフラスコの斜視図である。 本発明による装置の(a)側面及び(b)正面の透視図である。 本発明による装置の使用態様を示す図である。 本発明による他の装置の(a)側面及び(b)正面の透視図である。
[実施例1]
本発明によるアイソレータ用インキュベータ装置の1つの実施例について、図1乃至図4を用いて説明する。
図1に示すように、インキュベータ装置1はアイソレータ2の側面に設けられた容器の搬出入口5を閉塞するように側壁11を密着固定させている。インキュベータ装置1の側壁11には、アイソレータ2の搬出入口5に連通する位置に開口部12が設けられ、インキュベータ装置1の内部の培養室をアイソレータ2のチャンバ内に連結可能としている。また、開口部12にはこれを閉塞可能な図示しない開閉扉が設けられ、アイソレータ2内からグローブ3を介して開閉できる。
インキュベータ装置1は、後述する培養容器20(図2参照)を培養室に保持して、例えば再生医療用の細胞を培養するためなどに用いられる。アイソレータ2は、かかる培養容器20をインキュベータ装置1から搬出し、又はこれに搬入し、培養容器20で培養させる細胞の操作のための各種作業をチャンバ内で行うことができる。アイソレータ2のチャンバは、除染によって無菌環境とされ、正面に設けられたグローブ3に手を差し入れて窓4から作業対象を視認しながら作業できる空間として設けられている。また、グローブ3は、アイソレータ2とインキュベータ装置1との間での培養容器20の搬出入にも用いられる。
図2に示すように、培養容器20は、その複数を積み重ねることができるよう全体として上面視略方形の扁平な形状を有し、蓋22により閉塞できる口部分21をやや上方に向くようにして設けられたフラスコである。
図3に示すように、培養容器20を収容するため、インキュベータ装置1は複数のラック13をその培養室内に備える。ラック13は、培養容器20の単数又は複数を載置できる。本実施例において、ラック13は培養容器20を2つ重ねて載置できる。また、ラック13は、これを一定の経路で循環移動させる移動機構30に取り付けられる。
移動機構30は、側壁11に垂直な回転軸体31により支持され回転する円板体32と、円板体32の外周に沿って取り付けられて回転軸体31に平行に延びる複数の軸体33とを含む。軸体33のそれぞれにはラック13が回転自在に吊り下げられている。つまり、ラック13は、観覧車のゴンドラのように、重力によって吊り下げられた向きを維持したまま円板体32の回転に伴う循環移動を可能とされる。
円板体32には、同軸の傘歯車37が固定される。傘歯車37に噛合する駆動側傘歯車36がさらに設けられ、インキュベータ装置1の外側に設けられるハンドル34によって回転可能な駆動軸35に接続されて、ハンドル34によって回転駆動可能とされる。つまり、ハンドル34を手動で回すことによって、円板体32を回転させ、培養容器20を載置したラック13を循環移動させることができる。
図4を併せて参照すると、円板体32によるラック13の循環経路には、ラック13を開口部12の近傍に位置させる部分が含まれる。つまり、ハンドル34を回すことで複数のラック13を、順次、開口部12の近傍に移動させることができる。これによって、ラック13のうちの特定の1つを開口部12の近傍に移動させ、開口部12の開閉扉を開けてグローブ3に差し入れた手を用いて培養容器20を取り出してアイソレータ2のチャンバに移動させることができる。特に、ラック13を開口部12に正対させ得るように循環経路を配置することが好ましい。
以上のように、インキュベータ装置1によれば、循環移動するラック13によって培養容器20の取出し位置を常に一定の位置にすることができる。これによって、開口部12を小さくしても、インキュベータ装置1及びアイソレータ2の間の培養容器20の搬入及び搬出を容易とできる。つまり開口部12を小さくできて、無菌環境をより維持しやすくし得る。
また、移動機構30によってラック13の循環移動を可能としたので、多くの培養容器20を収納できる。従来の固定棚に培養容器を載置する方式では、培養容器を収納できる数を増やすと側壁の開口を大きくせざるを得なかったが、上記したインキュベータ装置1では開口部12を大きくする必要がない。
つまり、より多くの数の培養容器20を培養室内に保持させても、アイソレータ2での作業を煩雑にさせることなく、また無菌環境を毀損させないのである。
また、インキュベータ装置1は、アイソレータ2の搬出入口5に改造等を加えることなくそのまま連結できるので、各種アイソレータに適用し得る。また、ラック13に載置できるものであれば、上記した培養容器20と異なる培養容器を使用することもできる。
また、移動機構30はラック13を循環移動させるので、循環経路が一定となり、多方向から培養容器を移動させるような機構に比べて装置を簡略化できる。このように簡略化された装置であるからユニット化しやすく、例えば、循環機構30の回転軸体31を軸支する支持台を設けてユニット化し、培養室内と着脱自在にすることができる。ここで、かかるユニットを取出し可能な扉をインキュベータ装置1に設けることで、循環機構30をユニットごと取り出してメンテナンスを容易にできる。
インキュベータ装置1では、移動機構30を手動としたが、他の動力を用いて、自動で循環させるようにしてもよい。この場合、培養容器を保持している間も移動機構によってこれらを循環させておけば、循環経路上を移動する全ての培養容器を同じ培養環境とすることも可能である。
[実施例2]
本発明によるアイソレータ用インキュベータ装置の他の実施例について、図5を用いて説明する。
図5に示すように、インキュベータ装置1’は、上記しインキュベータ装置1に比べてさらに多くの培養容器20を収納可能とする。移動機構40は、水平な回転軸を有する上下に離間した2つの回転体41及び42を備える。回転体41及び42には、左右に離間し対向する2つのチェーン体43が架け渡されて、互いの間に複数の軸体44を水平に取り付けられている。軸体44のそれぞれには、複数のラック13が回転自在に吊り下げられる。ラック13のそれぞれには、培養容器20の単数又は複数を載置できる。
下側の回転体41には、同軸の傘歯車37が固定される。傘歯車37に噛合する駆動側傘歯車36がさらに設けられ、インキュベータ装置1’の外側に設けられるハンドル34によって回転可能な駆動軸35に接続されて、ハンドル34によって回転駆動可能とされる。つまり、ハンドル34を手動で回すことによって、回転体41を回転させ、培養容器20を載置したラック13を循環移動させることができる。
インキュベータ装置1’においても、回転体41及び42によるラック13の循環経路には、ラック13を開口部12の近傍に位置させる部分が含まれる。つまり、ハンドル34を回すことで複数のラック13を順次、開口部12の近傍に移動させることができる。
上記したインキュベータ装置1と同様に、インキュベータ装置1’によっても、循環移動するラック13によって培養容器20の取出し位置を常に一定の位置にすることができ、さらに多くの数の培養容器20を培養室内に保持させても、アイソレータ2での作業を煩雑にさせることなく、また無菌環境を毀損させないのである。
以上、本発明による実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
1、1’ インキュベータ装置
11 側壁
12 開口部
13 ラック
30、40 移動機構

Claims (2)

  1. 細胞を培養する培養容器の複数を培養室の内部に保持するとともに、細胞の操作を行うためのアイソレータのチャンバ内に連結されて該培養容器を供給するインキュベータ装置であって、
    前記アイソレータの容器搬出入口を閉塞するように密着固定される側壁と、
    前記側壁に設けられて前記培養室の内部から前記容器搬出入口を介して前記アイソレータの前記チャンバ内へと前記培養容器を搬出入経路に沿って移動可能とさせる側壁開口と、を含み、更に、
    前記側壁開口を開閉自在に閉塞する開閉扉と、前記側壁開口の近傍に前記培養容器のうちの1又は複数を保持するラックを移動させる移動機構と、を含み、
    前記移動機構は、前記ラックを循環移動させ、前記ラックを順次、前記側壁開口の近傍に移動させることを特徴とするアイソレータ用インキュベータ装置。
  2. 前記循環移動は、前記アイソレータの前記側壁と平行な経路面に沿って行われることを特徴とする請求項1記載のアイソレータ用インキュベータ装置。

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