導入
本明細書に記載するsiRNA薬物療法は、ヒトにおけるHBV感染及び/またはHDV感染ならびにそれに関連する症状を治療する有意な新規の組成物及び方法を有利に提供する。本発明の実施形態は、例えば、1日1回、週1回、または数週間に1回(例えば、2週間、3つ週間、4週間、5週間または6週間に1回)投与可能である。
さらに、本明細書に記載する核酸−脂質粒子により、体内の標的組織及び標的細胞内にsiRNA等の核酸医薬を効果的に送達することが可能になる。脂質粒子の存在により、血流中でのヌクレアーゼによる分解に対する保護が付与され、標的組織内での選択的蓄積が可能となり、また、siRNAが、その目的とする機能のRNA干渉を実行可能な細胞質内への医薬侵入手段が提供される。
定義
本発明において、以下の用語は、他に明記しない限り、それらに与えられている意味を有する。
用語「B型肝炎ウイルス」(HBVと略称される)とは、Hepadnaviridae科のウイルスに属し、ヒトに肝臓の炎症を引き起こし得る、オルソヘパドナウイルス属のウイルス種を指す。
用語「D型肝炎ウイルス」(HDVと略称される)とは、ヒトに肝臓の炎症を引き起こし得る、Deltaviridae属のウイルス種を指す。
本明細書で使用する「低分子干渉RNA」または「siRNA」という用語は、siRNAが、標的とする遺伝子または配列と同一細胞内にある場合に、標的とする遺伝子もしくは配列の発現を(例えば、siRNA配列に相補的なmRNAの翻訳を分解または阻害することにより)抑制または阻害することができる二本鎖RNA(すなわち、二重鎖(duplex)RNA)を指す。siRNAは、標的とする遺伝子または配列に対して実質的なまたは完全な同一性を有していても、またはミスマッチ領域(すなわち、ミスマッチモチーフ)を含んでいてもよい。ある実施形態では、siRNAは、約19〜25(二重鎖)ヌクレオチドの長さであってよく、好ましくは、約20〜24、21〜22、または21〜23(二重鎖)ヌクレオチドの長さである。siRNA二重鎖は、約1〜約4ヌクレオチドまたは約2〜約3ヌクレオチドの3'オーバーハング及び5'リン酸基末端を含んでよい。siRNAの例には、限定することなく、一方の鎖はセンス鎖、他方はそれに相補的なアンチセンス鎖である別個の2本の鎖から組み立てられる、二本鎖ポリヌクレオチド分子が含まれる。
好ましくは、siRNAを化学的に合成する。siRNAは、長鎖dsRNA(例えば、約25ヌクレオチド長より大きいdsRNA)を大腸菌のRNase IIIまたはダイサーを用いて切断することにより作製することもできる。これらの酵素は、dsRNAを生物学的に活性なsiRNAにするプロセスを行う(例えば、Yang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:9942−9947(2002);Calegari et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:14236(2002);Byrom et al.,Ambion TechNotes,10(1):4−6(2003);Kawasaki et al.,Nucleic Acids Res.,31:981−987(2003);Knight et al.,Science,293:2269−2271(2001);及びRobertson et al.,J.Biol.Chem.,243:82(1968)を参照されたい)。好ましくは、dsRNAは、少なくとも50ヌクレオチド〜約100,200,300,400、または500ヌクレオチドの長さである。dsRNAは、1000,1500,2000,5000ヌクレオチドの長さ、またはそれ以上の長さであってよい。かかるdsRNAは、遺伝子転写全体または遺伝子転写の一部をコードすることができる。特定の場合には、siRNAは、プラスミドによりコードされてよい(例えば、ヘアピンループを有する二重鎖に自動的に折り畳まれる配列として転写される)。
語句「標的遺伝子の発現を阻害する」とは、本発明のsiRNAが標的遺伝子(例えば、HBVゲノム内の遺伝子)の発現をサイレンシングする、抑制する、または阻害する能力を指す。遺伝子サイレンシングの程度を調べるため、被験試料(例えば、標的遺伝子を発現している対象生物から得た生体試料または標的遺伝子を発現している培養細胞試料)と、標的遺伝子の発現をサイレンシングする、抑制する、または阻害するsiRNAとを接触させる。被験試料における標的遺伝子の発現を、siRNAと接触させていない対照試料(例えば、標的遺伝子を発現している対象生物から得た生体試料または標的遺伝子を発現している培養細胞試料)における標的遺伝子の発現と比較する。対照試料(例えば、標的遺伝子を発現している試料)に値100%を割り当ててよい。特定の実施形態では、標的遺伝子の発現のサイレンシング、阻害、または抑制は、対照試料(例えば、緩衝液のみ、異なる遺伝子を標的とするsiRNA配列、スクランブルsiRNA配列等)に対する被験試料の値が約100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または0%の場合に達成される。好適なアッセイには、限定することなく、当業者に公知の技術、例えば、ドットブロット法、ノーザンブロット法、インサイチュハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降法、酵素機能等、及び当業者に公知の表現型アッセイを使用した、タンパク質レベルまたはmRNAレベルの検査法が含まれる。siRNA等の治療用核酸の「有効量」または「治療有効量」とは、所望の効果、例えば、siRNA非存在下で検出される通常発現レベルと比較して標的配列の発現阻害を引き起こすのに十分な量のことである。特定の実施形態では、標的遺伝子または標的配列の発現阻害は、siRNAを用いて得られた値が対照(例えば、緩衝液のみ、異なる遺伝子を標的とするsiRNA配列、スクランブルsiRNA配列等)に対して約100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または0%の場合に達成される。標的遺伝子の発現または標的配列を測定する好適なアッセイには、当業者に公知の技術、例えば、ドットブロット法、ノーザンブロット法、インサイチュハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降法、酵素機能等、及び当業者に公知の表現型アッセイを使用する、タンパク質レベルまたはmRNAレベルの検査法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書で使用する用語「核酸」とは、一本鎖または二本鎖の形態の、少なくとも2ヌクレオチドを含有しているポリマー(すなわち、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド)を指し、これにはDNA及びRNAが挙げられる。「ヌクレオチド」は、糖であるデオキシリボース(DNA)またはリボース(RNA)、塩基、及びリン酸基を含有する。ヌクレオチドは、リン酸基を介して互いに連結されている。「塩基」には、プリン及びピリミジンが含まれ、これにはさらに、天然化合物であるアデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシル、イノシン、ならびに天然類似体、ならびにプリン及びピリミジンの合成誘導体が含まれ、かかる合成誘導体には、限定するわけではないが、アミン、アルコール、チオール、カルボキシレート、及びハロゲン化アルキルのような新たな反応性基を配する修飾が含まれるが、これに限定されるものではない。核酸には、既知のヌクレオチド類似体または修飾された骨格残基もしくは結合を含有する核酸が含まれ、それらは合成核酸、天然に生じる核酸、及び天然には生じない核酸であり、参照核酸と同様の結合特性を有する。このような類似体及び/または修飾された残基の例には、限定することなく、ホスホロチオエート、ホスホルアミダート、メチルホスホナート、キラル−メチルホスホナート、2'−O−メチルリボヌクレオチド、及びペプチド核酸(PNA)が挙げられる。さらに、核酸には、1つ以上のUNA部分が含まれ得る。
用語「核酸」には、最大60ヌクレオチドを含む一般にオリゴヌクレオチドと呼ばれる断片、及び、ポリヌクレオチドと呼ばれるより長い断片を有する、任意のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが含まれる。デオキシリボオリゴヌクレオチドは、デオキシリボースと呼ばれる五炭糖から構成され、この五炭糖は、この糖の5'位及び3'位の炭素でリン酸基に共有結合で結ばれ、それが交互に並ぶ非分岐ポリマーを形成する。DNAは、例えば、アンチセンス分子、プラスミドDNA、予備縮合(pre−condensed)DNA、PCR産物、ベクター、発現カセット、キメラ配列、染色体DNA、または誘導体及びこれらの群の組み合わせの形態であってよい。リボオリゴヌクレオチドは、五炭糖がリボースである同様の繰り返し構造からなる。RNAは、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、ダイサー−基質dsRNA、短ヘアピンRNA(shRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、mRNA、tRNA、rRNA、tRNA、ウイルスRNA(vRNA)、及びその組み合わせの形態であってよい。したがって、本発明において、「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」という用語は、天然に生じる塩基、糖及び糖間(intersugar)(骨格)結合で構成されるヌクレオチドもしくはヌクレオシドの単量体のポリマーもしくはオリゴマーを指す。「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」という用語には、同様に機能する、天然には生じない単量体を含むポリマーもしくはオリゴマー、またはそれらの一部も含まれる。こうした修飾または置換されたオリゴヌクレオチドが天然型より好ましいことが多いのは、例えば、細胞内への取り込みが向上している、免疫原性が低い、またヌクレアーゼ存在下での安定性が高いといった特性を有するためである。
特に明記しない限り、特定の核酸配列はまた、保存的に修飾されたその多様体(例えば、縮重コドンの置換)、対立遺伝子、オーソログ、SNP、ならびに相補配列及び明示されている配列も暗黙的に包含する。具体的には、縮重コドンの置換は、選択した1つ以上(またはすべて)のコドンの3番目が混合塩基及び/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を生成することにより達成され得る(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.,19:5081(1991);Ohtsuka et al.,J.Biol.Chem.,260:2605−2608(1985);Rossolini et al.,Mol.Cell.Probes,8:91−98(1994))。
本発明は、単離されたまたは実質的に精製された核酸分子及びそれらの分子を含有する組成物を包含する。本発明において、「単離された」または「精製された」DNA分子またはRNA分子は、その天然の環境から離れて存在するDNA分子またはRNA分子である。単離されたDNA分子またはRNA分子は、精製された形態で存在しても、または、例えばトランスジェニック宿主細胞のような、天然ではない環境に存在してもよい。例えば、「単離された」または「精製された」核酸分子またはその生物学的に活性な部分は、他の細胞材料を実質的に含んでいないか、または組換え技術で産生した場合は培地であるか、または化学的に合成した場合は化学的前駆体もしくは他の化学薬品を実質的に含んでいない。一実施形態では、「単離された」核酸は、その核酸が由来する生物のゲノムDNAにおいて天然では該核酸に隣接している配列(すなわち、核酸の5’末端及び3’末端に位置する配列)は含まない。例えば、さまざまな実施形態では、単離された核酸分子は、その核酸が由来する細胞のゲノムDNAにおいて天然では該核酸分子に隣接しているヌクレオチド配列を約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、または0.1kb未満含有し得る。
用語「遺伝子」とは、ポリペプチドまたは前駆体ポリペプチドの産生に必要な部分長または全長のコード配列を含む核酸(例えば、DNAまたはRNA)配列を指す。
本発明において、「遺伝子産物」とは、RNA転写産物またはポリペプチド等の遺伝子産物を指す。
用語「アンロックト(unlocked)核酸塩基類似体」(「UNA」と略称される)とは、リボース環のC2'とC3'の原子が共有結合で連結されていない非環状型核酸塩基を指す。用語「アンロックト核酸塩基類似体」には、構造Aとして識別される以下の構造:
構造A
を有する核酸塩基類似体が含まれ、
式中、Rはヒドロキシル基であり、塩基は例えば、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)及びチミン(T)のような天然または非天然の任意の塩基である。本発明の実施に有用なUNAには、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,314,227号の非環状型2'−3'−セコ−ヌクレオチド単量体として同定された分子が含まれる。
用語「脂質」とは、水には不溶性だが多くの有機溶媒に可溶性であることを特徴とし、脂肪酸のエステルを非限定的に含む一群の有機化合物を指す。それらは、通常、少なくとも3つのクラス、すなわち(1)脂肪及び油ならびにロウが含まれる「単純脂質」、(2)リン脂質及び糖脂質が含まれる「複合脂質」、及び(3)ステロイド等の「誘導脂質」に分けられる。
用語「脂質粒子」には、治療用核酸(例えば、siRNA)を対象標的部位(例えば、細胞、組織、臓器等)に送達するために使用できる脂質処方物が含まれる。好ましい実施形態では、本発明の脂質粒子は、典型的に、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、及び任意選択で、粒子の凝集を阻害する複合脂質から形成される。核酸分子(例えば、siRNA分子)を含む脂質粒子を核酸−脂質粒子と呼ぶ。典型的には、核酸を脂質粒子内に完全に封入することにより、核酸を酵素分解から保護している。
特定の場合には、核酸−脂質粒子は、静脈内に(i.v.)注射した後に、より長い循環寿命を示すことができ、遠位部位(例えば、投与部位から物理的に離れた部位)に蓄積でき、かつ遠位部位での標的遺伝子発現のサイレンシングを仲介できるため、全身投与には極めて有用である。核酸は、あらゆる目的のために参照によりその開示内容全体が本明細書に組み込まれるPCT公開番号第WO00/03683号に記載のように、縮合剤との複合体にして脂質粒子内に封入してよい。
本発明の脂質粒子は、典型的に、平均直径が約30nm〜約150nm、約40nm〜約150nm、約50nm〜約150nm、約60nm〜約130nm、約70nm〜約110nm、約70nm〜約100nm、約80nm〜約100nm、約90nm〜約100nm、約70〜約90nm、約80nm〜約90nm、約70nm〜約80nm、または約30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、もしくは150nmであり、実質的に非毒性である。さらに、核酸は、本発明の脂質粒子中に存在する場合、水溶液中ではヌクレアーゼで分解されにくい。核酸−脂質粒子及びその調製方法は、例えば、米国特許公開第20040142025号及び同第20070042031号に開示されており、それらの開示内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明において、「封入脂質」とは、siRNA等の治療用核酸を完全に封入して、一部を封入して、またはその両方で提供する脂質粒子を意味し得る。好ましい実施形態では、核酸(例えば、siRNA)は、脂質粒子内に完全に封入されている(例えば、核酸−脂質粒子を形成する)。
用語「脂質複合体」とは、脂質粒子の凝集を阻害する複合脂質を指す。このような脂質複合体には、例えば、ジアルキルオキシプロピルと結合させたPEG(例えば、PEG−DAA複合体)、ジアシルグリセロールと結合させたPEG(例えば、PEG−DAG複合体)、コレステロールと結合させたPEG、ホスファチジルエタノールアミンと結合させたPEG、及びセラミドと複合体を形成したPEG(例えば、米国特許第5,885,613号を参照されたい)、カチオン性PEG脂質、ポリオキサゾリン(POZ)−脂質複合体(例えば、POZ−DAA複合体)、ポリアミドオリゴマー(例えば、ATTA−脂質複合体)、及びそれらの混合物のようなPEG−脂質複合体が挙げられるが、これに限定されるものではない。POZ−脂質複合体のさらなる例は、PCT公開番号第WO2010/006282号に記載されている。PEGまたはPOZは、脂質と直接複合体を形成できるか、またはリンカー部分を介して脂質に連結してもよい。PEGまたはPOZの脂質への結合に好適な任意のリンカー部分を使用することができ、これには例えば、エステル非含有リンカー部分及びエステル含有リンカー部分が含まれる。特定の好ましい実施形態では、アミドまたはカルバメートのようなエステル非含有リンカー部分を使用する。
用語「両親媒性脂質」とは、部分的に、脂質材料の疎水性部分は疎水性相に適応し、親水性部分は水相に適応する任意の好適な材料を指す。親水性特性は、炭水化物、リン酸基、カルボキシル基、スルファート(sulfato)基、アミノ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、及び他の同等の基等の極性基または荷電基の存在から生じる。疎水性は、長鎖の飽和及び不飽和脂肪族炭化水素基、ならびにそのような基であって、1つ以上の芳香族基、脂環式基、または複素環基(複数可)で置換された基を含むが、これらに限定されない無極性基を含ませることにより付与することができる。両親媒性化合物の例には、リン脂質、アミノ脂質、及びスフィンゴ脂質が挙げられるが、これに限定されるものではない。
リン脂質の代表的例として、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、リソホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、及びジリノレオイルホスファチジルコリンが挙げられるが、これに限定されるものではない。スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質ファミリー、ジアシルグリセロール、及びβ−アシルオキシ酸(acyloxyacid)のようなリンを欠く他の化合物もまた、両親媒性脂質として示される群に入る。さらに、上記の両親媒性脂質は、トリグリセリド及びステロール等他の脂質と混合可能である。
用語「中性脂質」とは、選択pHで非荷電または中性いずれかの両性イオン型で存在する多数の脂質種のうち任意のものを指す。生理的pHにおける、このような脂質には、例えば、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、コレステロール、セレブロシド、及びジアシルグリセロールが挙げられる。
用語「非カチオン性脂質」とは、任意の両親媒性脂質及び他の任意の中性脂質またはアニオン性脂質を指す。
用語「アニオン性脂質」とは、生理的pHで負に荷電している任意の脂質を指す。これらの脂質には、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N−ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N−スクシニルホスファチジルエタノールアミン、Nグルタリルホスファチジルエタノールアミン、リシルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレイオル(palmitoyloleyol)ホスファチジルグリセロール(POPG)、及び中性脂質に結合している他のアニオン性修飾基が挙げられるが、これに限定されるものではない。
用語「疎水性脂質」とは、長鎖の飽和及び不飽和脂肪族炭化水素基、ならびにそのような基で、任意選択で、1つ以上の芳香族、脂環式、または複素環基(複数可)で置換されているものを含むが、これに限定されない極性基を有する化合物を指す。好適な例には、ジアシルグリセロール、ジアルキルグリセロール、N−N−ジアルキルアミノ、1,2−ジアシルオキシ−3−アミノプロパン、及び1,2−ジアルキル−3−アミノプロパンが挙げられるが、これに限定されるものではない。
「カチオン性脂質」及び「アミノ脂質」という用語は、本明細書において、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の脂肪酸もしくは脂肪族アルキル鎖及びpH滴定可能なアミノ頭基(例えば、アルキルアミノまたはジアルキルアミノ頭基)を有する脂質ならびにその塩を含むように同義で使用される。カチオン性脂質は、典型的には、カチオン性脂質のpKaを下回るpHでプロトン化され(すなわち、正に荷電され)、pKaを上回るpHで実質的に中性である。本発明のカチオン性脂質は、滴定可能なカチオン性脂質と称される場合もある。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質は、プロトン化可能な三級アミン(例えば、pH滴定可能な)頭基;それぞれが独立して0〜3(例えば、0、1つ、2つ、または3つ)の二重結合を有するC18アルキル鎖;及び頭基とアルキル鎖の間にあるエーテル結合、エステル結合、またはケタール結合を含む。このようなカチオン性脂質には、DSDMA、DODMA、DLinDMA、DLenDMA、γ−DLenDMA、DLin−K−DMA、DLin−K−C2−DMA(DLin−C2K−DMA、XTC2、及びC2Kとしても知られる)、DLin−K−C3−DMA、DLin−K−C4−DMA、DLen−C2K−DMA、γ−DLen−C2K−DMA、DLin−M−C2−DMA(MC2としても知られる)、及びDLin−M−C3−DMA(MC3としても知られる)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
用語「塩」には、カチオン性脂質と1つ以上の陰イオンとの間で形成された複合体等の、任意のアニオン性及びカチオン性の複合体が含まれる。陰イオンの非限定的な例には、無機及び有機の陰イオン、例えば、水素化物イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、シュウ酸イオン(例えば、ヘミシュウ酸塩(hemioxalate))イオン、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、酸化物イオン、炭酸イオン、重炭酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、窒化物イオン、重亜硫酸イオン、硫化物イオン、亜硫酸イオン、重硫酸イオン、硫酸イオン、チオ硫酸イオン、硫酸水素イオン、ホウ酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、安息香酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、乳酸イオン、アクリル酸イオン、ポリアクリル酸イオン、フマル酸イオン、マレイン酸イオン、イタコン酸イオン、グリコール酸イオン、グルコン酸イオン、リンゴ塩酸イオン、マンデル酸イオン、チグリン酸イオン、アスコルビン酸イオン、サリチル酸イオン、ポリメタクリル酸イオン、過塩素イオン、塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、臭素酸イオン、次亜臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン、スルホン酸アルキルイオン、アリールスルホン酸イオン、ヒ酸イオン、亜ヒ酸イオン、クロム酸イオン、重クロム酸イオン、シアン化物イオン、シアン酸イオン、チオシアン酸イオン、水酸化物イオン、過酸化物イオン、過マンガン酸イオン、及びそれらの混合物が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に開示するカチオン性脂質の塩は結晶塩である。
用語「アルキル」には、1〜24個の炭素原子を含有する、直鎖または分岐の、非環状または環状の脂肪族飽和炭化水素が含まれる。代表的な直鎖飽和アルキルには、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられるが、これらに限定されず、また、分岐飽和アルキルには、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチル等が挙げられるが、これに限定されるものではない。代表的な環状飽和アルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が含まれるが、これらに限定されず、また環状不飽和アルキルには、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
用語「アルケニル」には、上記で定義されるように、隣接する炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を含んでいるアルキルが含まれる。アルケニルには、cis異性体とtrans異性体の両方が含まれる。代表的な直鎖及び分岐のアルケニルには、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
用語「アルキニル」には、上記で定義した任意のアルキルまたはアルケニルであって、隣接する炭素間に少なくとも1つの三重結合をさらに含むものが含まれる。代表的な直鎖及び分岐のアルキニルは、限定することなく、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1ブチニル等を含む。
用語「アシル」には、下記に定義するように、結合点の炭素がオキソ基で置換された任意のアルキル、アルケニル、またはアルキニルが含まれる。以下は、アシル基の非限定的な例である。−C(=O)アルキル、−C(=O)アルケニル、及び−C(=O)アルキニル。
用語「複素環」には、飽和、不飽和、もしくは芳香族のいずれかであり、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1個または2個のヘテロ原子を含有する、5〜7員単環式または7〜10員二環式の複素環であって、窒素ヘテロ原子及び硫黄ヘテロ原子を任意選択で酸化させることができ、また窒素ヘテロ原子を任意選択で四級化することができ、上記の複素環のいずれかがベンゼン環に縮合する二環式環を含む、該複素環が含まれる。複素環は、任意のヘテロ原子または炭素原子を介して結合されてよい。複素環には、下記に定義するヘテロアリール、及びモルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペリジニル(piperizynyl)、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル(tetrahydroprimidinyl)、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「任意選択で置換されたアルキル」、「任意選択で置換されたアルケニル」、「任意選択で置換されたアルキニル」、「任意選択で置換されたアシル」、及び「任意選択で置換された複素環」という用語は、置換された場合に、少なくとも1つの水素原子が置換基で置き換えられていることを意味する。オキソ置換基(=O)の場合、2個の水素原子が置き換えられている。これに関し、置換基には、オキソ、ハロゲン、複素環、−CN、−ORx、−NRxRy、−NRxC(=O)Ry 、−NRxSO2Ry、−C(=O)Rx、−C(=O)ORx、−C(=O)NRxRy、−SOnRx、及び−SOnNRxRyが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、ここで、nは0、1、または2であり、RxとRyは同一であるかまたは異なり、互いに独立して水素、アルキル、または複素環であり、かつかかるアルキル置換基及び複素環置換基の各々はさらに、オキソ、ハロゲン、−OH、−CN、アルキル、−ORx、複素環、−NRxRy、−NRxC(=O)Ry 、−NRxSO2Ry、−C(=O)Rx、−C(=O)ORx、−C(=O)NRxRy、−SOnRx、及び−SOnNRxRyの1つ以上で置換されてよい。「任意選択で置換された」という用語が、一覧にある置換基の前で使用されている場合、一覧中の置換基の各々が任意選択で本明細書に記載のように置換されてよいことを意味する。
用語「ハロゲン」には、フルオロ、クロロ、ボロモ、及びヨードが含まれる。
用語「膜融合性(fusogenic)」とは、脂質粒子が細胞の膜と融合する能力を指す。膜は、形質膜、または細胞小器官、例えば、エンドソーム、細胞核等を取り囲む膜のいずれでもあり得る。
本発明において、用語「水溶液」とは、全部、または一部に水を含む組成物を指す。
本発明において、用語「有機脂質溶液」とは、全部、または一部に脂質を有する有機溶媒を含む組成物を指す。
用語「高電子密度の核」とは、本発明の脂質粒子の説明に使用する場合、クライオ透過型電子顕微鏡(「cyroTEM」)を使用して可視化させたときに脂質粒子内部で濃く見える部分を指す。本発明のいくつかの脂質粒子は、高エルクトロン(elctron)密度の核を有し、脂質二重層構造を欠いている。本発明のいくつかの脂質粒子は、高電子密度の核を有し、脂質二重層構造を欠き、かつ逆六方晶相(inverse Hexagonal)構造または立方相構造を有する。理論に束縛されることは望まないが、非二重層の脂質のパッキングにより、脂質のシリンダーと、その内側の水及び核酸との3次元ネットワーク、すなわち、本質的に、核酸を含有する水性チャネルが浸透した脂質滴が提供されると考えられる。
本発明において「遠位部位」は、物理的に別個の部位を指し、隣接する毛細血管床に限定することなく、ある生物の全体に広く分布する部位を含む。
核酸−脂質粒子に関して「血清安定である」とは、遊離のDNAまたはRNAを有意に分解する血清またはヌクレアーゼのアッセイに曝露した後に、粒子が有意に分解されないことを意味する。好適なアッセイには、例えば、標準血清アッセイ、DNAseアッセイ、またはRNAseアッセイが挙げられる。
本発明において「全身送達」とは、生物体内にsiRNA等の活性薬剤の広い生体内分布をもたらす脂質粒子の送達を指す。投与技術の中には、特定の薬剤を全身送達するが、それ以外の薬剤を送達しないものがある。全身送達とは、有用な量、好ましくは治療量の薬剤が体の大部分に曝露されることを意味する。広い生体内分布を得るためには、一般に、投与部位から遠位の疾患部位に到達する前に、(初回通過器官(肝臓、肺等)または急速な非特異的細胞結合等により)薬剤が短時間で分解または消失しないような血中寿命を必要とする。脂質粒子の全身送達は、例えば、静脈内、皮下、及び腹腔内等当技術分野で公知の任意の手段によるものであってよい。好ましい実施形態では、脂質粒子の全身送達は静脈内送達によるものである。
本発明において「局所送達」とは、siRNA等の活性薬剤を生物体内の標的部位に直接送達することを指す。例えば、薬剤は、疾患部位、他の標的部位、または標的臓器、例えば肝臓、心臓、膵臓、腎臓等の中に直接注射することにより局所的に送達され得る。
本発明において、用語「ウイルス粒子量」とは、血液等の体液中に存在するウイルス粒子(例えば、HBV及び/またはHDV)の数の測定値を指す。例えば、粒子量は、例えば血液の、1ミリリットルあたりのウイルス粒子数として表してよい。粒子量検査を、核酸増幅を用いる検査、ならびに核酸を用いない検査(例えば、Puren et al.,The Journal of Infectious Diseases,201:S27−36(2010)を参照されたい)を使用して実施してよい。
用語「哺乳類」とは、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ハムスター、モルモット、ウサギ、家畜等の任意の哺乳類種を指す。
特定の実施形態の説明
本発明は、1つ以上のHBV遺伝子の発現を標的とするsiRNA分子、該siRNAを1つ以上(例えば、カクテル)含む核酸−脂質粒子、及び該核酸−脂質粒子を(例えば、ヒトのHBV感染及び/またはHDV感染の治療のために)送達かつ/または投与する方法を提供する。
一態様では、本発明は、1つ以上のHBV遺伝子の発現を標的とするsiRNA分子を提供する。特定の場合には、本発明は、HBVゲノムの異なる領域を標的とするsiRNAの組み合わせ(例えば、カクテル、プール、または混合物)を含む組成物を提供する。特定の場合には、本発明のsiRNA分子は、インビトロまたはインビボでHBV及び/もしくはHDVの複製を阻害することができる。
特定の実施形態では、本発明は、表Aに示すsiRNA分子を提供し、二本鎖siRNA分子それぞれの上鎖は、5'から3'の方向へ左から右に進行するセンス鎖であり、二本鎖siRNA分子それぞれの下鎖は、5'から3'の方向へ右から左に進行するアンチセンス鎖である。表Aに示すように、siRNA分子は、2'−O−メチル修飾を有する1つ以上のリボヌクレオチド及び/または1つ以上のUNA部分を含んでよい。下記表Aに示すIC50値は、実施例1に記載のアッセイを使用して測定したものである。
他の実施形態では、本発明は、本明細書の表Bに記載のように、表Aに記載のsiRNA分子の単離されたセンス鎖及びアンチセンス鎖(すなわち、単離された一本鎖核酸分子)を提供する。表Bに記載の核酸配列は、配列対として配されており、各対は、センス鎖及びその相補的アンチセンス鎖を含む。配列の各対(センス鎖及びアンチセンス鎖)は特定の名称で識別され、表Aに示す名称に対応している。
表Bに示すこれらの単離されたセンス鎖及びアンチセンス鎖は、例えば、インビボまたはインビトロで1つ以上のHBV遺伝子の発現を抑制するのに有用なsiRNA分子の作製に有用である。これらの単離されたセンス鎖及びアンチセンス鎖はまた、例えば、HBVまたはHBV/HDVに感染したヒトから得た組織または血液の試料等の生物学的材料においてHBVゲノムの量を同定及び測定するためのハイブリダイゼーションプローブとしても有用である。
特定の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチド(表Bに記載のRNAセンス鎖及びアンチセンス鎖等)は、標的ポリヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズするか、または該配列に相補的である。本明細書で使用する「特異的にハイブリダイズ可能な」及び「相補的」という用語は、DNA標的またはRNA標的とオリゴヌクレオチドとの間に安定かつ特異的な結合が生じるような相補性の程度が十分であることを指す。特異的にハイブリダイズできるために、オリゴヌクレオチドがその標的核酸配列に対して100%相補的である必要はないことが理解される。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドが特異的にハイブリダイズ可能であるのは、オリゴヌクレオチドが標的配列に結合することで、標的配列の正常機能が干渉されてその有用性または発現を喪失し、かつ特異的結合が所望される条件下、すなわち、インビボアッセイまたは治療的処置の場合は生理的な条件下、または、インビトロアッセイの場合はアッセイを実施する条件下で、非標的配列へのオリゴヌクレオチドの非特異的な結合を回避するのに十分な程度の相補性がある場合である。したがって、オリゴヌクレオチドには、標的とする遺伝子もしくはmRNA配列の領域または特異的ハイブリダイズの対象領域と比較して1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の塩基置換が含まれ得る。
したがって、本発明の特定の実施形態は、1m(配列番号1及び2)、2m(配列番号3及び4)、3m(配列番号5及び6)、4m(配列番号7及び8)、5m(配列番号9及び10)、6m(配列番号11及び12)、7m(配列番号13及び14)、8m(配列番号15及び16)、9m(配列番号17及び18)、10m(配列番号19及び20)、11m(配列番号21及び22)、12m(配列番号23及び24)、13m(配列番号25及び26)、14m(配列番号27及び28)、15m(配列番号29及び30)からなる群から選択される単離された二本鎖のsiRNA分子を提供する。
本発明の特定の実施形態はまた、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27及び配列番号29からなる群から選択される単離された核酸分子も提供する。
本発明の特定の実施形態はまた、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28及び配列番号30からなる群から選択される単離された核酸分子も提供する。
本発明はまた、本明細書に記載する単離された二本鎖のsiRNA分子(例えば、表Aに記載のsiRNA分子)の1つ以上を含む組成物も提供する。
ある実施形態では、組成物は、1m(配列番号1及び2)、2m(配列番号3及び4)、3m(配列番号5及び6)、4m(配列番号7及び8)、5m(配列番号9及び10)、6m(配列番号11及び12)、7m(配列番号13及び14)、8m(配列番号15及び16)、9m(配列番号17及び18)、10m(配列番号19及び20)、11m(配列番号21及び22)、12m(配列番号23及び24)、13m(配列番号25及び26)、14m(配列番号27及び28)、15m(配列番号29及び30)からなる群から選択される2つの異なる二本鎖siRNA分子を含む。ある実施形態では、2つの異なる二本鎖siRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。
ある実施形態では、組成物は、1m(配列番号1及び2)、2m(配列番号3及び4)、3m(配列番号5及び6)、4m(配列番号7及び8)、5m(配列番号9及び10)、6m(配列番号11及び12)、7m(配列番号13及び14)、8m(配列番号15及び16)、9m(配列番号17及び18)、10m(配列番号19及び20)、11m(配列番号21及び22)、12m(配列番号23及び24)、13m(配列番号25及び26)、14m(配列番号27及び28)、15m(配列番号29及び30)からなる群から選択される3つの異なる二本鎖siRNA分子を含む。ある実施形態では、3つの異なる二本鎖siRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。
本発明はまた、本明細書に記載のsiRNAの1つ以上(例えば、カクテル)及び薬理学的に許容される担体を含む医薬組成物も提供する。
ある実施形態では、本明細書に記載する組成物は、1つ以上のsiRNA分子を含み、これがB型肝炎ウイルス遺伝子の発現をサイレンシングする。
別の態様では、本発明は、HBV遺伝子発現を標的とする核酸−脂質粒子を提供する。核酸−脂質粒子は、典型的に、本明細書に記載する(例えば、表Aに記載のような)単離された二本鎖siRNA分子の1つ以上(例えば、カクテル)、カチオン性脂質、及び非カチオン性脂質を含む。特定の場合には、核酸−脂質粒子は、粒子の凝集を阻害する複合脂質をさらに含む。好ましくは、核酸−脂質粒子は、本明細書に記載する単離された二本鎖siRNA分子の1つ以上(例えば、カクテル)、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、及び粒子の凝集を阻害する複合脂質を含む。
ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、1m(配列番号1及び2)、2m(配列番号3及び4)、3m(配列番号5及び6)、4m(配列番号7及び8)、5m(配列番号9及び10)、6m(配列番号11及び12)、7m(配列番号13及び14)、8m(配列番号15及び16)、9m(配列番号17及び18)、10m(配列番号19及び20)、11m(配列番号21及び22)、12m(配列番号23及び24)、13m(配列番号25及び26)、14m(配列番号27及び28)、15m(配列番号29及び30)からなる群から選択される2つの異なる二本鎖siRNA分子を含む。ある実施形態では、2つの異なる二本鎖siRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。
ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、1m(配列番号1及び2)、2m(配列番号3及び4)、3m(配列番号5及び6)、4m(配列番号7及び8)、5m(配列番号9及び10)、6m(配列番号11及び12)、7m(配列番号13及び14)、8m(配列番号15及び16)、9m(配列番号17及び18)、10m(配列番号19及び20)、11m(配列番号21及び22)、12m(配列番号23及び24)、13m(配列番号25及び26)、14m(配列番号27及び28)、15m(配列番号29及び30)からなる群から選択される3つの異なる二本鎖siRNA分子を含む。ある実施形態では、3つの異なる二本鎖siRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。
いくつかの実施形態では、本発明のsiRNAは、核酸−脂質粒子内に完全に封入されている。siRNAカクテルを含む処方物に関して、カクテル中に存在する種類の異なるsiRNA種(例えば、配列の異なるsiRNA化合物)は、同一粒子内に共封入しても、またはカクテル中に存在するsiRNA種ごとに、別々の粒子内に封入してもよい。siRNAカクテルは、2つ、3つまたはそれ以上の別個のsiRNA(それぞれ独自配列を有する)混合物を同一の、類似の、または異なる濃度またはモル比で使用して本明細書に記載の粒子内に処方してよい。一実施形態では、siRNAカクテル(配列の異なる複数のsiRNAに相当する)を、同一の、類似の、または異なる濃度またはモル比のsiRNA各種を使用して処方し、種類の異なるsiRNAを同一粒子内に共封入する。別の実施形態では、カクテル中に存在する各siRNA種は、同一の、類似の、または異なるsiRNA濃度またはモル比で異なる粒子内に封入され、こうして形成された粒子(それぞれに異なるsiRNAペイロードを含む)は、別々に(例えば、治療的レジメンに従い異なる時間に)投与されるか、または、合わせて単一単位用量として一緒に(例えば、薬理学的に許容される担体と共に)投与される。本明細書に記載する粒子は、血清安定であり、ヌクレアーゼによる分解に耐性があり、かつ、ヒト等の哺乳類に対し実質的に非毒性である。
本発明の核酸−脂質粒子中のカチオン性脂質は、例えば、本明細書に記載する式I〜IIIの1つ以上のカチオン性脂質または他の任意のカチオン性脂質種を含んでよい。一実施形態では、カチオン性脂質はジアルキル脂質である。別の実施形態では、カチオン性脂質はトリアルキル脂質である。特定の一実施形態では、カチオン性脂質は、1,2−ジリノレイルオキシ(dilinoleyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2−ジリノレニルオキシ(dilinolenyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジ−γ−リノレニルオキシ(linolenyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(γ−DLenDMA;化合物(15))、2,2−ジリノレイル−4−(2−ジメチルアミノエチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−C2−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)、ジリノレイルメチル(dilinoleylmethyl)−3−ジメチルアミノプロピオナート(DLin−M−C2−DMA)、(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノアート(DLin−M−C3−DMA;化合物(7))、その塩、及びその混合物からなる群から選択される。
別の特定の実施形態では、カチオン性脂質は、1,2−ジリノレイルオキシ(dilinoleyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2−ジリノレニルオキシ(dilinolenyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジ−γ−リノレニルオキシ(linolenyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(γ−DLenDMA;化合物(15))、3−((6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イルオキシ)−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン(DLin−MP−DMA;化合物(8))、(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノアート)(化合物(7))、(6Z,16Z)−12−((Z)−デカ−4−エニル)ドコサ−6,16−ジエン−11−イル5−(ジメチルアミノ)ペンタノアート(化合物(13))、その塩、またはその混合物からなる群から選択される。
ある実施形態では、カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質の約48mol%〜約62mol%を占める。
本発明の核酸−脂質粒子中の非カチオン性脂質は、例えば、1つ以上のアニオン性脂質及び/または中性脂質を含んでよい。いくつかの実施形態では、非カチオン性脂質は、以下の中性脂質成分、すなわち、(1)リン脂質とコレステロールもしくはその誘導体との混合物、(2)コレステロールもしくはその誘導体、または(3)リン脂質のうち1つを含む。特定の好ましい実施形態では、リン脂質は、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、またはその混合物を含む。好ましい実施形態では、非カチオン性脂質はDPPCとコレステロールの混合物である。好ましい実施形態では、非カチオン性脂質はDSPCとコレステロールの混合物である。
ある実施形態では、非カチオン性脂質は、リン脂質とコレステロールまたはその誘導体との混合物を含み、リン脂質は、粒子中に存在する総脂質の約7mol%〜約17mol%を占め、コレステロールまたはその誘導体は、粒子中に存在する総脂質の約25mol%〜約40mol%を占める。
本発明の核酸−脂質粒子中の脂質複合体は、粒子の凝集を阻害し、例えば、本明細書に記載する脂質複合体を1つ以上含んでよい。特定の一実施形態では、脂質複合体は、PEG−脂質複合体を含む。PEG−脂質複合体の例には、PEG−DAG複合体、PEG−DAA複合体、及びその混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。ある実施形態では、PEG−脂質複合体は、PEG−ジアシルグリセロール(PEG−DAG)複合体、PEG−ジアルキルオキシプロピル(PEG−DAA)複合体、PEG−リン脂質複合体、PEG−セラミド(PEG−Cer)複合体、及びその混合物からなる群から選択される。ある実施形態では、PEG−脂質複合体はPEG−DAA複合体である。ある実施形態では、脂質粒子中のPEG−DAA複合体は、PEG−ジデシルオキシプロピル(C10)複合体、PEG−ジラウリルオキシプロピル(C12)複合体、PEG−ジミリスチルオキシプロピル(C14)複合体、PEG−ジパルミチルオキシプロピル(C16)複合体、PEG−ジステアリルオキシプロピル(C18)複合体、またはその混合物を含んでよい。ある実施形態では、PEG−DAA複合体はPEG−ジミリスチルオキシプロピル(C14)複合体である。別の実施形態では、PEG−DAA複合体は化合物(66)(PEG−C−DMA)複合体である。別の実施形態では、脂質複合体は、POZ−DAA複合体のようなPOZ−脂質複合体を含む。
ある実施形態では、粒子の凝集を阻害する複合脂質は、粒子中に存在する総脂質の約0.5mol%〜約3mol%を占める。
ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が約5:1〜約15:1である。
ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、中位径が約30nm〜約150nmである。
ある実施形態では、核酸−脂質粒子は高電子密度の核を有する。
いくつかの実施形態では、本発明は、(a)本明細書に記載のsiRNA分子(例えば、表Aを参照されたい)の1つ以上(例えば、カクテル)と、(b)粒子中に存在する総脂質の約50mol%〜約85mol%を占める、1つ以上のカチオン性脂質またはその塩と、(c)粒子中に存在する総脂質の約13mol%〜約49.5mol%を占める、1つ以上の非カチオン性脂質と、(d)粒子中に存在する総脂質の約0.5mol%〜約2mol%を占める、粒子の凝集を阻害する1つ以上の複合脂質とを含む核酸−脂質粒子を提供する。
本実施形態の一態様では、核酸−脂質粒子は、(a)本明細書に記載のsiRNA分子(例えば、表Aを参照されたい)の1つ以上(例えば、カクテル)と、(b)粒子中に存在する総脂質の約52mol%〜約62mol%を占める、カチオン性脂質またはその塩と、(c)粒子中に存在する総脂質の約36mol%〜約47mol%を占める、リン脂質とコレステロールまたはその誘導体との混合物と、(d)粒子中に存在する総脂質の約1mol%〜約2mol%を占める、PEG−脂質複合体とを含む。特定の一実施形態では、処方物は、PEG−脂質複合体(例えば、PEG2000−C−DMA)を約1.4mol%、カチオン性脂質(例えば、DLin−K−C2−DMA)またはその塩を約57.1mol%、DPPC(またはDSPC)を約7.1mol%、及びコレステロール(またはその誘導体)を約34.3mol%含む4成分系である。
本実施形態の別の態様では、核酸−脂質粒子は、(a)本明細書に記載のsiRNA分子の1つ以上(例えば、カクテル)(例えば、表Aを参照されたい)と、(b)粒子中に存在する総脂質の約56.5mol%〜約66.5mol%を占める、カチオン性脂質またはその塩と、(c)粒子中に存在する総脂質の約31.5mol%〜約42.5mol%を占める、コレステロールまたはその誘導体と、(d)粒子中に存在する総脂質の約1mol%〜約2mol%を占める、PEG−脂質複合体とを含む。特定の一実施形態では、処方物は、リン脂質を含まず、かつ、PEG−脂質複合体(例えば、PEG2000−C−DMA)を約1.5mol%、カチオン性脂質(例えば、DLin−K−C2−DMA)またはその塩を約61.5mol%、及びコレステロール(またはその誘導体)を約36.9mol%含む3成分系である。
さらなる処方物は、PCT公開番号第WO09/127060号及び公開済み米国特許出願公開番号第2011/0071208A1号に記載されており、それらの開示内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
他の実施形態では、本発明は、(a)本明細書に記載のsiRNA分子(例えば、表Aを参照されたい)の1つ以上(例えば、カクテル)と、(b)粒子中に存在する総脂質の約2mol%〜約50mol%を占める、1つ以上のカチオン性脂質またはその塩と、(c)粒子中に存在する総脂質の約5mol%〜約90mol%を占める1つ以上の非カチオン性脂質と、(d)粒子中に存在する総脂質の約0.5mol%〜約20mol%を占める、粒子の凝集を阻害する1つ以上の複合脂質とを含む核酸−脂質粒子を提供する。
本実施形態の一態様では、核酸−脂質粒子は、(a)本明細書に記載のsiRNA分子(例えば、表Aを参照されたい)の1つ以上(例えば、カクテル)と、(b)粒子中に存在する総脂質の約30mol%〜約50mol%を占める、カチオン性脂質またはその塩と、(c)粒子中に存在する総脂質の約47mol%〜約69mol%を占める、リン脂質とコレステロールまたはその誘導体との混合物と、(d)粒子中に存在する総脂質の約1mol%〜約3mol%を占めるPEG−脂質複合体とを含む。特定の一実施形態では、処方物は、PEG−脂質複合体(例えば、PEG2000−C−DMA)を約2mol%、カチオン性脂質(例えば、DLin−K−C2−DMA)またはその塩を約40mol%、DPPC(またはDSPC)を約10mol%、及びコレステロール(またはその誘導体)を約48mol%含む4成分系である。
さらなる実施形態では、本発明は、(a)本明細書に記載のsiRNA分子(例えば、表Aを参照されたい)の1つ以上(例えば、カクテル)と、(b)粒子中に存在する総脂質の約50mol%〜約65mol%を占める、1つ以上のカチオン性脂質またはその塩と、(c)粒子中に存在する総脂質の約25mol%〜約45mol%を占める、1つ以上の非カチオン性脂質と、(d)粒子中に存在する総脂質の約5mol%〜約10mol%を占める、粒子の凝集を阻害する1つ以上の複合脂質とを含む核酸−脂質粒子を提供する。
本実施形態の一態様では、核酸−脂質粒子は、(a)本明細書に記載のsiRNA分子(例えば、表Aを参照されたい)の1つ以上(例えば、カクテル)と、(b)粒子中に存在する総脂質の約50mol%〜約60mol%を占める、カチオン性脂質またはその塩と、(c)粒子中に存在する総脂質の約35mol%〜約45mol%を占める、リン脂質とコレステロールまたはその誘導体との混合物と、(d)粒子中に存在する総脂質の約5mol%〜約10mol%を占めるPEG−脂質複合体とを含む。特定の場合には、処方物中の非カチオン性脂質混合物は、(i)粒子中に存在する総脂質の約5mol%〜約10mol%のリン脂質と、(ii)粒子中に存在する総脂質の約25mol%〜約35mol%のコレステロールまたはその誘導体とを含む。特定の一実施形態では、処方物は、PEG−脂質複合体(例えば、PEG750−C−DMA)を約7mol%、カチオン性脂質(例えば、DLin−K−C2−DMA)またはその塩を約54mol%、DPPC(またはDSPC)を約7mol%、及びコレステロール(またはその誘導体)を約32mol%含む4成分系である。
本実施形態の別の態様では、核酸−脂質粒子は、(a)本明細書に記載のsiRNA分子(例えば、表Aを参照されたい)の1つ以上(例えば、カクテル)と、(b)粒子中に存在する総脂質の約55mol%〜約65mol%を占める、カチオン性脂質またはその塩と、(c)粒子中に存在する総脂質の約30mol%〜約40mol%を占める、コレステロールまたはその誘導体と、(d)粒子中に存在する総脂質の約5mol%〜約10mol%を占めるPEG−脂質複合体とを含む。特定の一実施形態では、処方物は、リン脂質を含まず、かつ、PEG−脂質複合体(例えば、PEG750−C−DMA)を約7mol%、カチオン性脂質(例えば、DLin−K−C2−DMA)またはその塩を約58mol%、及びコレステロール(またはその誘導体)を約35mol%含む3成分系である。
有用な処方物のさらなる実施形態は、公開済み米国特許出願公開番号第US2011/0076335A1号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明のある実施形態では、核酸−脂質粒子は、(a)本明細書に記載のsiRNA分子の1つ以上(例えば、カクテル)(例えば、表Aを参照されたい)と、(b)粒子中に存在する総脂質の約48mol%〜約62mol%を占める、カチオン性脂質またはその塩と、(c)粒子中に存在する総脂質の約7mol%〜約17mol%を占めるリン脂質と、粒子中に存在する総脂質の約25mol%〜約40mol%を占めるコレステロールまたはその誘導体との混合物と、(d)粒子中に存在する総脂質の約0.5mol%〜約3.0mol%を占めるPEG−脂質複合体と、を含む。本発明のこの態様の例示的な脂質処方物A〜Zを以下に記載する。
例示的な脂質処方物Aには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(1.2%)、カチオン性脂質(53.2%)、リン脂質(9.3%)、コレステロール(36.4%)が含まれ、ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(1.2%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ(dilinoleyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(53.2%)であり、リン脂質はDPPC(9.3%)であり、かつ、コレステロールは36.4%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Aに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Aに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Aに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Bには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(0.8%)、カチオン性脂質(59.7%)、リン脂質(14.2%)、コレステロール(25.3%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(0.8%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ(dilinoleyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(59.7%)であり、リン脂質はDSPC(14.2%)であり、かつ、コレステロールは25.3%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Bに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Bに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Bに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Cには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(1.9%)、カチオン性脂質(52.5%)、リン脂質(14.8%)、コレステロール(30.8%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(1.9%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジ−γ−リノレニルオキシ(linolenyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(γ−DLenDMA;化合物(15))(52.5%)であり、リン脂質はDSPC(14.8%)であり、かつ、コレステロールは30.8%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Cに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Cに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Cに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Dには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(0.7%)、カチオン性脂質(60.3%)、リン脂質(8.4%)、コレステロール(30.5%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(0.7%)であり、カチオン性脂質は3−((6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イルオキシ)−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン(DLin−MP−DMA;化合物(8)(60.3%)であり、リン脂質はDSPC(8.4%)であり、かつ、コレステロールは30.5%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Dに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Dに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Dに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Eには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(1.8%)、カチオン性脂質(52.1%)、リン脂質(7.5%)、コレステロール(38.5%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(1.8%)であり、カチオン性脂質は(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノアート)(化合物(7))(52.1%)であり、リン脂質はDPPC(7.5%)であり、かつ、コレステロールは38.5%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Eに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Eに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Eに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な処方物Fには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(0.9%)、カチオン性脂質(57.1%)、リン脂質(8.1%)、コレステロール(33.8%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(0.9%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレニルオキシ(dilinolenyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジ−γ−リノレニルオキシ(linolenyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(γ−DLenDMA;化合物(15))(57.1%)であり、リン脂質はDSPC(8.1%)であり、かつ、コレステロールは33.8%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Fに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Fに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、ここで、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Fに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Gには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(1.7%)、カチオン性脂質(61.6%)、リン脂質(11.2%)、コレステロール(25.5%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(1.7%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレニルオキシ(dilinolenyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジ−γ−リノレニルオキシ(linolenyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(γ−DLenDMA;化合物(15))(61.6%)であり、リン脂質はDPPC(11.2%)であり、かつ、コレステロールは25.5%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Gに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Gに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Gに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Hには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(1.1%)、カチオン性脂質(55.0%)、リン脂質(11.0%)、コレステロール(33.0%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(1.1%)であり、カチオン性脂質は(6Z,16Z)−12−((Z)−デカ−4−エニル)ドコサ−6,16−ジエン−11−イル5−(ジメチルアミノ)ペンタノアート(化合物(13))(55.0%)であり、リン脂質はDSPC(11.0%)であり、かつ、コレステロールは33.0%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Hに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Hに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Hに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Iには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(2.6%)、カチオン性脂質(53.1%)、リン脂質(9.4%)、コレステロール(35.0%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(2.6%)であり、カチオン性脂質は(6Z,16Z)−12−((Z)−デカ−4−エニル)ドコサ−6,16−ジエン−11−イル5−(ジメチルアミノ)ペンタノアート(化合物(13))(53.1%)であり、リン脂質はDSPC(9.4%)であり、かつ、コレステロールは35.0%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Iに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Iに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Iに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Jには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(0.6%)、カチオン性脂質(59.4%)、リン脂質(10.2%)、コレステロール(29.8%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(0.6%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ(dilinoleyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(59.4%)であり、リン脂質はDPPC(10.2%)であり、かつ、コレステロールは29.8%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Jに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Jに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Jに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Kには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(0.5%)、カチオン性脂質(56.7%)、リン脂質(13.1%)、コレステロール(29.7%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(0.5%)であり、カチオン性脂質は(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノアート)(化合物(7))(56.7%)であり、リン脂質はDSPC(13.1%)であり、かつ、コレステロールは29.7%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Kに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Kに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Kに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Lには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(2.2%)、カチオン性脂質(52.0%)、リン脂質(9.7%)、コレステロール(36.2%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(2.2%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジ−γ−リノレニルオキシ(linolenyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(γ−DLenDMA;化合物(15))(52.0%)であり、リン脂質はDSPC(9.7%)であり、かつ、コレステロールは36.2%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Lに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Lに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Lに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Mには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(2.7%)、カチオン性脂質(58.4%)、リン脂質(13.1%)、コレステロール(25.7%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(2.7%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ(dilinoleyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(58.4%)であり、リン脂質はDPPC(13.1%)であり、かつ、コレステロールは25.7%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Mに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Mに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Mに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Nには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(3.0%)、カチオン性脂質(53.3%)、リン脂質(12.1%)、コレステロール(31.5%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(3.0%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ(dilinoleyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(53.3%)であり、リン脂質はDPPC(12.1%)であり、かつ、コレステロールは31.5%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Nに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Nに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Nに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Oには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(1.5%)、カチオン性脂質(56.2%)、リン脂質(7.8%)、コレステロール(34.7%)が含まれ、ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(1.5%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ(dilinoleyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(56.2%)であり、リン脂質はDPPC(7.8%)であり、かつ、コレステロールは34.7%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Oに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Oに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Oに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Pには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(2.1%)、カチオン性脂質(48.6%)、リン脂質(15.5%)、コレステロール(33.8%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(2.1%)であり、カチオン性脂質は3−((6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イルオキシ)−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン(DLin−MP−DMA;化合物(8))(48.6%)であり、リン脂質はDSPC(15.5%)であり、かつ、コレステロールは33.8%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Pに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Pに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Pに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Qには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(2.5%)、カチオン性脂質(57.9%)、リン脂質(9.2%)、コレステロール(30.3%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(2.5%)であり、カチオン性脂質は(6Z,16Z)−12−((Z)−デカ−4−エニル)ドコサ−6,16−ジエン−11−イル5−(ジメチルアミノ)ペンタノアート(化合物(13))(57.9%)であり、リン脂質はDSPC(9.2%)であり、かつ、コレステロールは30.3%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Qに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Qに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Qに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Rには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(1.6%)、カチオン性脂質(54.6%)、リン脂質(10.9%)、コレステロール(32.8%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(1.6%)であり、カチオン性脂質は3−((6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イルオキシ)−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン(化合物(8))(54.6%)であり、リン脂質はDSPC(10.9%)であり、かつ、コレステロールは32.8%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Rに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Rに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Rに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Sには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(2.9%)、カチオン性脂質(49.6%)、リン脂質(16.3%)、コレステロール(31.3%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(2.9%)であり、カチオン性脂質は(6Z,16Z)−12−((Z)−デカ−4−エニル)ドコサ−6,16−ジエン−11−イル5−(ジメチルアミノ)ペンタノアート(化合物(13))(49.6%)であり、リン脂質はDPPC(16.3%)であり、かつ、コレステロールは31.3%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Sに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Sに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Sに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Tには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(0.7%)、カチオン性脂質(50.5%)、リン脂質(8.9%)、コレステロール(40.0%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(0.7%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ(dilinoleyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(50.5%)であり、リン脂質はDPPC(8.9%)であり、かつ、コレステロールは40.0%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Tに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Tに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Tに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Uには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(1.0%)、カチオン性脂質(51.4%)、リン脂質(15.0%)、コレステロール(32.6%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(1.0%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ(dilinoleyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(51.4%)であり、リン脂質はDSPC(15.0%)であり、かつ、コレステロールは32.6%で存在し、ここで、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Uに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Uに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Uに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Vには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(1.3%)、カチオン性脂質(60.0%)、リン脂質(7.2%)、コレステロール(31.5%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(1.3%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレニルオキシ(dilinolenyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)(60.0%)であり、リン脂質はDSPC(7.2%)であり、かつ、コレステロールは31.5%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Vに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Vに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Vに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Wには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(1.8%)、カチオン性脂質(51.6%)、リン脂質(8.4%)、コレステロール(38.3%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(1.8%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジリノレイルオキシ(dilinoleyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)(51.6%)であり、リン脂質はDSPC(8.4%)であり、かつ、コレステロールは38.3%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Wに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Wに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Wに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Xには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(2.4%)、カチオン性脂質(48.5%)、リン脂質(10.0%)、コレステロール(39.2%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(2.4%)であり、カチオン性脂質は1,2−ジ−γ−リノレニルオキシ(linolenyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(γ−DLenDMA;化合物(15))(48.5%)であり、リン脂質はDPPC(10.0%)であり、かつ、コレステロールは39.2%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Xに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Xに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Xに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Yには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(2.6%)、カチオン性脂質(61.2%)、リン脂質(7.1%)、コレステロール(29.2%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DMA(化合物(66))(2.6%)であり、カチオン性脂質は(6Z,16Z)−12−((Z)−デカ−4−エニル)ドコサ−6,16−ジエン−11−イル5−(ジメチルアミノ)ペンタノアート(化合物(13))(61.2%)であり、リン脂質はDSPC(7.1%)であり、かつ、コレステロールは29.2%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Yに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Yに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Yに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
例示的な脂質処方物Zには、以下の成分(成分のパーセンテージ値はモルパーセントである)、すなわち、PEG−脂質(2.2%)、カチオン性脂質(49.7%)、リン脂質(12.1%)、コレステロール(36.0%)が含まれ、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。例えば、代表的な一実施形態では、PEG−脂質はPEG−C−DOMG(化合物(67))(2.2%)であり、カチオン性脂質は(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノアート)(化合物(7))(49.7%)であり、リン脂質はDPPC(12.1%)であり、かつ、コレステロールは36.0%で存在し、存在する脂質の実際量は、例えば、±5%(または例えば、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、もしくは±0.1mol%)異なってよい。したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を含む、処方物Zに基づく核酸−脂質粒子を提供する。例えば、ある実施形態では、処方物Zに基づく核酸脂質粒子は、2つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる異なる2つのsiRNA分子の組み合わせは、実施例2に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。他の特定の実施形態では、処方物Zに基づく核酸脂質粒子は、3つの異なるsiRNA分子を含んでよく、かかる3つの異なるsiRNA分子の組み合わせは、実施例3に記載の組み合わせのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約5:1〜約15:1、または約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその任意の分数もしくはその中の範囲である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、総脂質:siRNAの質量比が、約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
したがって、本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載の核酸−脂質粒子を提供し、かかる脂質は、処方物A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、YまたはZのいずれか1つで説明されるように処方される。
本発明はまた、核酸−脂質粒子及び薬理学的に許容される担体を含む医薬組成物も提供する。
本発明の核酸−脂質粒子は、例えば、1つ以上のHBV遺伝子の発現をサイレンシングするsiRNAを治療用に送達するのに有用である。いくつかの実施形態では、HBV遺伝子の異なる領域(例えば、重複配列及び/または非重複配列)または転写を標的とするsiRNAカクテルを同一または異なった核酸−脂質粒子内に処方し、かかる粒子を、そのような治療を必要とする哺乳類(例えば、ヒト)に投与する。特定の場合には、治療有効量の核酸−脂質粒子を、哺乳類に、例えば、ヒトのHBV感染及び/またはHDV感染を治療するために投与することができる。
ある実施形態では、本発明は、細胞と、本明細書に記載の核酸−脂質粒子とを接触させることにより、本明細書に記載する1つ以上のsiRNA分子を細胞内に導入する方法を提供する。
ある実施形態では、本発明は、細胞と、本明細書に記載の核酸−脂質粒子とを、siRNAが細胞に入り、その細胞内のB型肝炎ウイルス遺伝子の発現をサイレンシングする条件下で接触させることにより、B型肝炎ウイルス遺伝子の発現をサイレンシングする1つ以上のsiRNA分子を細胞内に導入する方法を提供する。ある実施形態では、細胞はヒト等の哺乳類の細胞である。ある実施形態では、ヒトは、B型肝炎ウイルス感染またはB型肝炎ウイルス/D型肝炎ウイルス感染と診断されている。ある実施形態では、B型肝炎ウイルスの遺伝子発現のサイレンシングにより、哺乳類のB型肝炎ウイルス及び/またはD型肝炎ウイルスの粒子量が、核酸−脂質粒子が存在しない場合のB型肝炎ウイルス及び/またはD型肝炎ウイルスの粒子量より少なくとも約50%(例えば、約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)抑制される。
ある実施形態では、本発明は、細胞内のB型肝炎ウイルス遺伝子の発現をサイレンシングする方法を提供し、かかる方法は、発現したB型肝炎ウイルス遺伝子を含む細胞と、本明細書に記載の核酸−脂質粒子または組成物(例えば、医薬組成物)とを、siRNAが細胞に入り、細胞内のB型肝炎ウイルス遺伝子の発現をサイレンシングする条件下で接触させるステップを含む。ある実施形態では、細胞はヒト等の哺乳類の細胞である。ある実施形態では、ヒトは、B型肝炎ウイルス感染またはB型肝炎ウイルス/D型肝炎ウイルス感染と診断されている。ある実施形態では、ヒトは、B型肝炎ウイルス感染またはB型肝炎ウイルス/D型肝炎ウイルス感染が原因の肝臓疾患と診断されている。ある実施形態では、B型肝炎ウイルスの遺伝子発現のサイレンシングにより、哺乳類のB型肝炎ウイルス及び/またはD型肝炎ウイルスの粒子量が、核酸−脂質粒子が存在しない場合のB型肝炎ウイルス及び/またはD型肝炎ウイルスの粒子量より少なくとも約50%(例えば、約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)抑制される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する核酸−脂質粒子または組成物(例えば、医薬組成物)を、経口、鼻腔内、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、病巣内、気管内、皮下、及び皮内の投与経路うちの1つの経路で投与する。特定の実施形態では、核酸−脂質粒子を、例えば、経腸または非経口の投与経路を介して全身に投与する。
特定の態様では、本発明は、HBV遺伝子発現のサイレンシングを必要とする哺乳類(例えば、ヒト)において、HBV遺伝子発現をサイレンシングする方法を提供し、かかる方法は、該哺乳類に、本明細書に記載の1つ以上のsiRNA(例えば、表Aに示すsiRNAの1つ以上)を含む治療有効量の核酸−脂質粒子を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のsiRNAを含む核酸−脂質粒子の投与により、HBVのRNAレベルが、siRNAが存在しない場合(例えば、緩衝液対照またはHBVを標的としない無関係のsiRNA対照)に検出されるHBVのRNAレベルより少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%(またはその中の任意の範囲)抑制される。他の実施形態では、HBVを標的とする1つ以上のsiRNAを含む核酸−脂質粒子の投与により、陰性対照、例えば、緩衝液対照またはHBVを標的としない無関係のsiRNA対照等よりも、HBVのRNAレベルが少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、30日、35日、40日、45日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、もしくは100日またはそれ以上の間(またはその中の任意の範囲)にわたって抑制される。
他の態様では、本発明は、HBV遺伝子発現のサイレンシングを必要とする哺乳類(例えば、ヒト)において、HBV遺伝子発現をサイレンシングする方法を提供し、かかる方法は、該哺乳類に、本明細書に記載のsiRNA(例えば、表Aに記載のsiRNA)の1つ以上を含む、治療有効量の核酸−脂質粒子を投与することを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のHBV siRNAを含む核酸−脂質粒子の投与により、HBVのmRNAレベルが、siRNAが存在しない場合(例えば、緩衝液対照またはHBVを標的としない無関係のsiRNA対照)に検出されるHBVのmRNAレベルより少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%(またはその中の任意の範囲)抑制される。他の実施形態では、HBVを標的とする1つ以上のsiRNAを含む核酸−脂質粒子の投与により、陰性対照、例えば、緩衝液対照またはHBVを標的としない無関係のsiRNA対照等よりも、HBVのmRNAレベルが少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、30日、35日、40日、45日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日、90日、95日、もしくは100日またはそれ以上の間(またはその中の任意の範囲)にわたって抑制される。
本発明の特定の実施形態は、哺乳類(例えば、ヒト)の細胞内のB型肝炎ウイルス遺伝子の発現をサイレンシングする際に使用するための、本明細書に記載の核酸−脂質粒子または組成物(例えば、医薬組成物)を提供する。
本発明の特定の実施形態は、哺乳類(例えば、ヒト)の細胞内のB型肝炎ウイルス遺伝子の発現をサイレンシングする医薬品を調製するための、本明細書に記載の核酸−脂質粒子または組成物(例えば、医薬組成物)の使用を提供する。
他の態様では、本発明は、HBV感染及び/またはHDV感染を治療する、予防する、その発症のリスクもしくは可能性を低減する(例えば、該感染に対する感受性を抑制する)、その発症を遅延する、かつ/またはそれに関連する1つ以上の症状を改善する方法を、それを必要とする哺乳類(例えば、ヒト)に提供し、かかる方法は、該哺乳類に、HBV遺伝子の発現を標的とする本明細書に記載のsiRNA分子(例えば、表Aに記載されるもの)を1つ以上含む、治療有効量の核酸−脂質粒子を投与することを含む。ヒトのHBV感染及び/またはHDV感染に関連する症状の例としては、発熱、腹痛、暗色尿、関節痛、食欲不振、悪心、嘔吐、脱力、疲労及び皮膚の黄変(黄疸)が挙げられる。
本発明の特定の実施形態は、哺乳類のB型肝炎ウイルス感染及び/またはD型肝炎ウイルス感染を治療するための方法を提供し、かかる方法は、該哺乳類に、本明細書に記載の治療有効量の核酸−脂質粒子または組成物(例えば、医薬組成物)を投与するステップを含む。
本発明の特定の実施形態は、哺乳類(例えば、ヒト)のB型肝炎ウイルス感染及び/またはD型肝炎ウイルス感染の治療において使用するための核酸−脂質粒子または組成物(例えば、医薬組成物)を提供する。
本発明の特定の実施形態は、哺乳類(例えば、ヒト)のB型肝炎ウイルス感染及び/またはD型肝炎ウイルス感染を治療する医薬品を調製するための、核酸−脂質粒子または組成物(例えば、医薬組成物)の使用を提供する。
本発明の特定の実施形態は、哺乳類のB型肝炎ウイルス感染及び/またはD型肝炎ウイルス感染に関連する1つ以上の症状を改善する方法を提供し、かかる方法は、該哺乳類に、本明細書に記載するsiRNA分子(例えば、表Aに記載されるもの)の1つ以上を含む、本明細書に記載の治療有効量の核酸−脂質粒子または組成物(例えば、医薬組成物)を投与するステップを含む。ある実施形態では、粒子を全身経路により投与する。ある実施形態では、核酸−脂質粒子のsiRNAは、哺乳類のB型肝炎ウイルス遺伝子の発現を阻害する。ある実施形態では、哺乳類はヒトである。ある実施形態では、ヒトは肝臓疾患を有する。
本発明の特定の実施形態は、哺乳類(例えば、ヒト)のB型肝炎ウイルス及び/またはD型肝炎ウイルス感染に関連する1つ以上の症状の改善に使用するための、本明細書に記載の核酸−脂質粒子または組成物(例えば、医薬組成物)を提供する。
本発明の特定の実施形態は、哺乳類(例えば、ヒト)のB型肝炎ウイルス感染及び/またはD型肝炎ウイルス感染に関連する1つ以上の症状を改善する医薬品を調製するための、本明細書に記載する核酸−脂質粒子または組成物(例えば、医薬組成物)の使用を提供する。
特定の本発明の実施形態は、HDVの複製を阻害し、かつ/または哺乳類(例えば、ヒト)のHDV感染の1つ以上の症状を改善するための方法を提供し、かかる方法は、該哺乳類に、本明細書に記載の治療有効量の核酸−脂質粒子または組成物(例えば、医薬組成物)を投与するステップを含み、該核酸−脂質粒子または組成物はHBV表面抗原の合成を阻害する。
本発明の特定の実施形態は、HDVの複製を阻害し、かつ/または哺乳類(例えば、ヒト)のHDV感染の1つ以上の症状を改善する際に使用するための、本明細書に記載の核酸−脂質粒子または組成物(例えば、医薬組成物)を提供し、該核酸−脂質粒子または組成物は、HBV表面抗原の合成を阻害する。
本発明の特定の実施形態は、HDVの複製を阻害し、かつ/または哺乳類(例えば、ヒト)のHDV感染の1つ以上の症状を改善する医薬品を調製するための、本明細書に記載する核酸−脂質粒子または組成物(例えば、医薬組成物)の使用を提供し、該核酸−脂質粒子または組成物はHBV表面抗原の合成を阻害する。
本発明の特定の実施形態は、内科的治療に使用するための、本明細書に記載の核酸−脂質粒子または組成物(例えば、医薬組成物)を提供する。
さらなる態様では、本発明は、HBV及び/またはHDVの不活化を必要とする哺乳類(例えば、ヒト)(例えば、HBV感染またはHBV/HDV感染に罹患したヒト)のHBV及び/またはHDVを不活化する方法を提供し、かかる方法は、該哺乳類に、HBV遺伝子の発現を標的とする本明細書に記載のsiRNAを1つ以上含む、治療有効量の核酸−脂質粒子を投与することを含む。いくつかの実施形態では、HBVを標的とする1つ以上のsiRNAを含む核酸−脂質粒子の投与により、HBVタンパク質レベル(例えば、HBV表面抗原タンパク質)を、siRNAが存在しない場合(例えば、緩衝液対照またはHBVを標的としない無関係のsiRNA対照)に検出されるHBVタンパク質レベルよりも、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%(またはその中の任意の範囲)低下、抑制、または減少させる。
例として、HBVのmRNAは、分岐DNAアッセイ(QuantiGene(登録商標);Affymetrix)を使用して測定できる。分岐DNAアッセイは、捕捉した標的RNAからのシグナルを増幅させるためにbDNA分子を使用する核酸サンドイッチハイブリダイゼーション法である。
本明細書に記載するsiRNAは、HBV遺伝子のいずれかの発現をサイレンシングする際のその治療上の有用性に加え、研究開発の用途、ならびに、診断、予防、予後、臨床、及び他の医療の用途でも有用である。非限定的な例として、HBV遺伝子ファミリーの特定のメンバーが治療標的となる可能性の有無に関する試験を対象とする標的バリデーション試験にsiRNAを使用できる。
siRNA分子の作製
siRNAは、いくつかの形態、例えば、1つ以上の単離された低分子干渉RNA(siRNA)二重鎖として、長い二本鎖RNA(dsRNA)として、またはDNAプラスミドの転写カセットから転写されたsiRNAもしくはdsRNAとして提供され得る。いくつかの実施形態では、siRNAを、酵素を用いて、または部分的/全体的な有機合成により産生してよく、修飾されたリボヌクレオチドを、インビトロでの酵素を用いた合成または有機合成により導入できる。特定の場合には、各鎖を化学的に調製する。RNA分子の合成方法は、当技術分野で公知であり、例えば、Verma and Eckstein(1998)により説明されるまたは本明細書により説明される化学合成法がある。
RNAの単離、RNAの合成、核酸ハイブリダイズ、cDNAライブラリーの作製及びスクリーニング、ならびにPCRの実施の方法は、PCR法(米国特許第4,683,195号及び同第4,683,202号;PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innis et al.,eds,1990)を参照されたい)と同様に、当技術分野において周知である(例えば、Gubler and Hoffman,Gene,25:263−269(1983);Sambrook et al.(前掲); Ausubel et al.(前掲)を参照されたい)。発現ライブラリーもまた、当業者に周知である。本発明での一般的使用方法を開示しているさらなる基礎テキストには、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual(2nd ed.1989);Kriegler,Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual(1990);及びCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.,eds.,1994)が挙げられる。これらの参考文献の開示内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
好ましくは、siRNAを化学的に合成する。本発明のsiRNA分子を含むオリゴヌクレオチドは、当技術分野で公知の多種多様な技術、例えばUsman et al.,J.Am.Chem.Soc.,109:7845(1987);Scaringe et al.,Nucl.Acids Res.,18:5433(1990);Wincott et al.,Nucl.Acids Res.,23:2677−2684(1995);及びWincott et al.,Methods Mol.Bio.,74:59(1997)に記載のような技術のいずれを使用して合成することができる。オリゴヌクレオチドの合成では、5'末端におけるジメトキシトリチル及び3'末端におけるホスホラミダイト等の一般的な核酸保護基及び結合基を使用する。非限定的な例として、Applied Biosystems合成装置で0.2μmolスケールのプロトコルを使用して小規模合成を行うことができる。別法として、Protogene(Palo Alto,CA)の96ウェルプレート合成装置で0.2μmolスケールでの合成を実施することができる。ただし、より大規模または小規模のスケールの合成もまた、本発明の範囲内である。オリゴヌクレオチド合成用の好適な試薬、RNAの脱保護方法、及びRNAの精製方法は、当業者に公知である。
siRNA分子は、2つの別個のオリゴヌクレオチドから組み立てることができ、この場合、一方のオリゴヌクレオチドはsiRNAのセンス鎖を含み、もう一方はアンチセンス鎖を含む。例えば、各鎖を別々に合成し、合成及び/または脱保護の後、ハイブリダイゼーションまたはライゲーションによりつなぎ合わせることができる。
治療用核酸を含有する担体系
A.脂質粒子
特定の態様では、本発明は、1つ以上のsiRNA分子(例えば、表Aに記載の1つ以上のsiRNA分子)及び1つ以上のカチオン性(アミノ)脂質またはその塩を含む脂質粒子を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の脂質粒子は、1つ以上の非カチオン性脂質をさらに含む。他の実施形態では、脂質粒子は、粒子の凝集を抑制または阻害できる複合脂質の1つ以上をさらに含む。
本発明の脂質粒子は、好ましくは、1つ以上のsiRNA(例えば、表Aに記載のsiRNA分子)、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、及び粒子の凝集を阻害する複合脂質を含む。いくつかの実施形態では、脂質粒子中のsiRNA分子が水溶液中でヌクレアーゼによる分解に耐性を示すように、siRNA分子は脂質粒子の脂質部分内に完全に封入されている。他の実施形態では、本明細書に記載する脂質粒子は、ヒト等の哺乳類に対し実質的に非毒性である。本発明の脂質粒子は、典型的に、平均直径が約30nm〜約150nm、約40nm〜約150nm、約50nm〜約150nm、約60nm〜約130nm、約70nm〜約110nm、または約70〜約90nmである。ある実施形態では、本発明の脂質粒子は中位径が約30nm〜約150nmである。本発明の脂質粒子はまた、脂質:核酸の比(例えば、脂質:siRNAの比)(質量/質量比)が、典型的に、約1:1〜約100:1、約1:1〜約50:1、約2:1〜約25:1、約3:1〜約20:1、約5:1〜約15:1、または約5:1〜約10:1である。ある実施形態では、核酸−脂質粒子は、脂質:siRNAの質量比が約5:1〜約15:1である。
好ましい実施形態では、本発明の脂質粒子は、1つ以上のsiRNA分子(例えば、表Aに記載のsiRNA分子)、カチオン性脂質(例えば、本明細書に記載する式I〜IIIの1つ以上のカチオン性脂質またはその塩)、非カチオン性脂質(例えば、1つ以上のリン脂質とコレステロールとの混合物)、及び粒子の凝集を阻害する複合脂質(例えば、1つ以上のPEG−脂質複合体)を含む、血清安定である核酸−脂質粒子である。脂質粒子は、本明細書に記載する遺伝子の1つ以上を標的とするsiRNA分子(例えば、表Aに記載のsiRNA分子)を、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上含んでよい。核酸−脂質粒子及びその調製方法は、例えば、米国特許第5,753,613号;同第5,785,992号;同第5,705,385号;同第5,976,567号;同第5,981,501号;同第6,110,745号;及び同第6,320,017号;ならびにPCT公開番号第WO96/40964号に記載されており、それらの開示内容の各々は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明の核酸−脂質粒子では、1つ以上のsiRNA分子(例えば、表Aに記載のsiRNA分子)を粒子の脂質部分内に完全に封入し、これによりsiRNAをヌクレアーゼによる分解から保護してよい。特定の場合には、核酸−脂質粒子中のsiRNAは、粒子をヌクレアーゼに37℃で少なくとも約20分、30分、45分、または60分曝露させた後、実質的に分解されない。他の特定の場合には、核酸−脂質粒子中のsiRNAは、粒子を血清中で37℃にて少なくとも約30分、45分、もしくは60分または少なくとも約2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、26時間、28時間、30時間、32時間、34時間、もしくは36時間インキュベーションした後、実質的に分解されない。他の実施形態では、siRNAと粒子の脂質部分とで複合体を形成させる。本発明の処方物の利点の一つは、核酸−脂質粒子組成物は、ヒト等の哺乳類に対し実質的に非毒性であることである。
「完全に封入された」という用語は、核酸−脂質粒子中のsiRNA(例えば、表Aに記載のsiRNA分子)が、遊離のDNAまたはRNAを有意に分解する血清またはヌクレアーゼのアッセイに曝露した後、有意に分解されないことを指す。完全に封入された系では、好ましくは、通常なら遊離のsiRNAの100%が分解される処理において、粒子中のsiRNAの約25%未満が分解され、より好ましくは、粒子中のsiRNAの約10%未満、最も好ましくは約5%未満が分解される。「完全に封入された」とは、核酸−脂質粒子が血清安定である、すなわち、インビボ投与時、その成分部分に短時間で分解しないことも指す。
核酸に関連して、核酸と会合した場合の蛍光が増強された色素を使用する、膜不透過蛍光色素排除アッセイを実施することにより完全封入を決定してよい。プラスミドDNA、一本鎖デオキシリボヌクレオチド、及び/または一本鎖もしくは二本鎖のリボヌクレオチドの定量的測定に、OliGreen(登録商標)及びRiboGreen(登録商標)(Invitrogen Corp.;Carlsbad,CA)のような特定の色素が利用可能である。封入は、リポソーム処方物に色素を添加して、得られる蛍光を測定し、かつそれと少量の非イオン性界面活性剤の添加時に観察される蛍光とを比較することにより決定する。界面活性剤によるリポソーム二重層の破壊により、封入された核酸が放出され、それにより核酸が膜不透過色素と相互作用できる。核酸の封入は、E=(Io−I)/Ioとして計算してよく、式中、I及びIoは、界面活性剤添加の前及び後の蛍光強度を指す(Wheeler et al.,Gene Ther.,6:271−281(1999)を参照されたい)。
他の実施形態では、本発明は、複数の核酸−脂質粒子を含む核酸−脂質粒子組成物を提供する。
ある場合には、核酸−脂質粒子組成物は、粒子の約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約90%〜約100%、約30%〜約95%、約40%〜約95%、約50%〜約95%、約60%〜約95%、約70%〜約95%、約80%〜約95%、約85%〜約95%、約90%〜約95%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約80%〜約90%、または少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%(またはその任意の分数もしくはその中の任意の範囲)の中に、siRNAが封入されるように、粒子の脂質部分内に完全に封入されたsiRNA分子を含む。
他の場合には、核酸−脂質粒子組成物は、インプットsiRNAの約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約90%〜約100%、約30%〜約95%、約40%〜約95%、約50%〜約95%、約60%〜約95%、約70%〜約95%、約80%〜約95%、約85%〜約95%、約90%〜約95%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約80%〜約90%、または少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%(またはその任意の分数もしくはその中の任意の範囲)が粒子内に封入されるように、粒子の脂質部分内に完全に封入されているsiRNAを含む。
本発明の脂質粒子の使用意図に応じ、成分の割合を変えることができ、特定の処方物の送達効率を、例えば、エンドソーム放出パラメータ(ERP)アッセイを使用して測定することができる。
1.カチオン性脂質
さまざまなカチオン性脂質またはその塩のいずれかを、単独で、または他の1つ以上のカチオン性脂質種もしくは非カチオン性脂質種と組み合わせて本発明の脂質粒子に使用してよい。カチオン性脂質には、その(R)型及び/または(S)型の鏡像異性体が含まれる。
本発明の一態様では、カチオン性脂質はジアルキル脂質である。例えば、ジアルキル脂質として、2本の飽和または不飽和のアルキル鎖を含む脂質が含まれてよく、各アルキル鎖は、置換されても、または置換されなくてもよい。ある実施形態では、2本のアルキル鎖はそれぞれ、少なくとも、例えば、8個の炭素原子、10個の炭素原子、12個の炭素原子、14個の炭素原子、16個の炭素原子、18個の炭素原子、20個の炭素原子、22個の炭素原子または24個の炭素原子を含む。
本発明の一態様では、カチオン性脂質はトリアルキル脂質である。例えば、トリアルキル脂質として、3本の飽和または不飽和のアルキル鎖を含む脂質が含まれてよく、各アルキル鎖は、置換されても、または置換されなくてもよい。ある実施形態では、3本のアルキル鎖はそれぞれ、少なくとも、例えば、8個の炭素原子、10個の炭素原子、12個の炭素原子、14個の炭素原子、16個の炭素原子、18個の炭素原子、20個の炭素原子、22個の炭素原子または24個の炭素原子を含む。
一態様では、以下の構造:
を有する式Iのカチオン性脂質、
またはその塩は、本発明において有用であり、式中、
R1及びR2は、同一であるかまたは異なっており、互いに独立して水素(H)または任意選択で置換されたC1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、もしくはC2−C6アルキニルであるか、または、R1とR2とが結合して、炭素原子4〜6個、ならびに窒素(N)、酸素(O)、及びその混合物からなる群から選択されるヘテロ原子1個もしくは2個からなる、任意選択で置換された複素環を形成してよく、
R3は、存在しないかまたは水素(H)もしくはC1−C6アルキルであり、四級アミンを与え、
R4及びR5は、同一であるかまたは異なっており、互いに独立して任意選択で置換されたC10−C24アルキル、C10−C24アルケニル、C10−C24アルキニル、またはC10−C24アシルであり、式中、R4及びR5の少なくとも一方は、少なくとも2つ不飽和部位を含み、かつ
nは0、1、2、3、または4である。
いくつかの実施形態では、R1及びR2は、独立して任意選択で置換されたC1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、またはC2−C4アルキニルである。好ましい一実施形態では、R1及びR2はいずれもメチル基である。他の好ましい実施形態では、nは1または2である。他の実施形態では、R3は、pHがカチオン性脂質のpKaを上回る場合は存在せず、また、pHがカチオン性脂質のpKaを下回り、それによりアミノ頭基がプロトン化される場合は、R3は水素である。代替の実施形態では、R3は任意選択で置換されたC1−C4アルキルであり、四級アミンを与える。さらなる実施形態では、R4及びR5は、独立して任意選択で置換されたC12−C20もしくはC14−C22アルキル、C12−C20もしくはC14−C22アルケニル、C12−C20もしくはC14−C22アルキニル、またはC12−C20もしくはC14−C22アシルであり、式中、R4及びR5の少なくとも一方は、少なくとも2つの不飽和部位を含む。
ある実施形態では、R4及びR5は、独立して、ドデカジエニル部分、テトラデカジエニル部分、ヘキサデカジエニル部分、オクタデカジエニル部分、イコサジエニル部分、ドデカトリエニル部分、テトラデクトリエニル(tetradectrienyl)部分、ヘキサデカトリエニル部分、オクタデカトリエニル部分、イコサトリエニル部分、アラキドニル部分、及びドコサヘキサエノイル部分、ならびに、そのアシル誘導体(例えば、リノレオイル、リノレノイル、γ−リノレノイル等)からなる群から選択される。ある場合には、R4及びR5の一方は、分岐アルキル基(例えば、フィタニル部分)またはそのアシル誘導体(例えば、フィタノイル部分)を含む。特定の場合には、オクタデカジエニル部分はリノレイル部分である。他の特定の場合には、オクタデカトリエニル部分はリノレニル部分またはγ−リノレニル部分である。ある実施形態では、R4及びR5はいずれも、リノレイル部分、リノレニル部分、またはγ−リノレニル部分である。特定の実施形態では、式Iのカチオン性脂質は、1,2−ジリノレイルオキシ(dilinoleyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2−ジリノレニルオキシ(dilinolenyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジリノレイルオキシ(dilinoleyloxy)−(N,N−ジメチル)−ブチル−4−アミン(C2−DLinDMA)、1,2−ジリノレオイルオキシ(dilinoleoyloxy)−(N,N−ジメチル)−ブチル−4−アミン(C2−DLinDAP)、またはその混合物である。
いくつかの実施形態では、式Iのカチオン性脂質は、1つ以上の陰イオンとともに塩(好ましくは結晶塩)を形成する。特定の一実施形態では、式Iのカチオン性脂質は、そのシュウ酸塩(例えば、ヘミシュウ酸塩(hemioxalate))であり、好ましくは結晶塩である。
DLinDMA及びDLenDMA等のカチオン性脂質、ならびにさらなるカチオン性脂質の合成は、米国特許公開第20060083780号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。C2−DLinDMA及びC2−DLinDAP等のカチオン性脂質、ならびにさらなるカチオン性脂質の合成は、国際特許出願番号第WO2011/000106号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
別の態様では、以下の構造を有する式IIのカチオン性脂質(またはその塩)は、本発明において有用である。
上式中、R1及びR2は、同一であるかまたは異なっており、独立して任意選択で置換されたC12−C24アルキル、C12−C24アルケニル、C12−C24アルキニル、またはC12−C24アシルであり;R3及びR4は、同一であるかまたは異なっており、互いに独立して任意選択で置換されたC1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、またはC2−C6アルキニルであるか、またはR3とR4とが結合して、炭素原子4〜6個、ならびに窒素及び酸素から選択されるヘテロ原子1個もしくは2個からなる、任意選択で置換された複素環を形成してよく;R5は、存在しないかまたは水素(H)もしくはC1−C6アルキルであり、四級アミンを与え;m、n、及びpは、同一であるかまたは異なっており、互いに独立して0、1、または2であるが、但し、m、n、及びpが同時に0ではないことを条件とし;qは0、1、2、3、または4であり;かつY及びZは、同一であるかまたは異なっており、独立してO、S、またはNHである。好ましい実施形態では、qは2である。
いくつかの実施形態では、式IIのカチオン性脂質は、2,2−ジリノレイル−4−(2−ジメチルアミノエチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−C2−DMA;「XTC2」または「C2K」)、2,2−ジリノレイル−4−(3−ジメチルアミノプロピル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−C3−DMA;「C3K」)、2,2−ジリノレイル−4−(4−ジメチルアミノブチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−C4−DMA;「C4K」)、2,2−ジリノレイル−5−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキサン(DLin−K6−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−N−メチルペピアジノ(methylpepiazino)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−MPZ)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)、2,2−ジオレオイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DO−K−DMA)、2,2−ジステアロイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DS−K−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−N−モルホリノ−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−MA)、2,2−ジリノレイル−4−トリメチルアミノ−[1,3]−ジオキソランクロリド(DLin−K−TMA.Cl)、2,2−ジリノレイル−4、5−ビス(ジメチルアミノメチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K2−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−メチルピペルジン(methylpiperzine)−[1,3]−ジオキソラン(D−Lin−K−N−メチルピペルジン(methylpiperzine))、またはその混合物である。好ましい実施形態では、式IIのカチオン性脂質は、DLin−K−C2−DMAである。
いくつかの実施形態では、式IIのカチオン性脂質は、1つ以上の陰イオンとともに塩(好ましくは結晶塩)を形成する。特定の一実施形態では、式IIのカチオン性脂質は、そのシュウ酸塩(例えば、ヘミシュウ酸塩(hemioxalate))であり、好ましくは結晶塩である。
DLin−K−DMA等のカチオン性脂質、ならびにさらなるカチオン性脂質の合成は、PCT公開番号第WO09/086558号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。DLin−K−C2−DMA、DLin−K−C3−DMA、DLin−K−C4−DMA、DLin−K6−DMA、DLin−K−MPZ、DO−K−DMA、DS−K−DMA、DLin−K−MA、DLin−K−TMA.Cl、DLin−K2−DMA、及びD−Lin−K−N−メチルピペルジン(methylpiperzine)等のカチオン性脂質、ならびにさらなるカチオン性脂質の合成は、2009年10月9日に出願された「Improved Amino Lipids and Methods for the Delivery of Nucleic Acids」と題するPCT出願番号第PCT/US2009/060251号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
さらなる態様では、以下の構造を有する式IIIのカチオン性脂質
またはその塩は、本発明において有用であり、式中、R1及びR2は、同一であるかまたは異なっており、独立して任意選択で置換されたC1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、またはC2−C6アルキニルであるが、またはR1とR2とが結合して、炭素原子4〜6個、ならびに窒素(N)、酸素(O)、及びその混合物からなる群から選択されるヘテロ原子1個もしくは2個からなる、任意選択で置換された複素環を形成してよく;R3は、存在しないかまたは水素(H)もしくはC1−C6アルキルであり、四級アミンを与え;R4及びR5は、存在しないか、または存在するが、存在する場合は、同一であるかまたは異なっており、独立して任意選択で置換されたC1−C10アルキルまたはC2−C10アルケニルであり;かつnは0、1、2、3、または4である。
いくつかの実施形態では、R1及びR2は、独立して任意選択で置換されたC1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、またはC2−C4アルキニルである。好ましい実施形態では、R1及びR2はいずれもメチル基である。別の好ましい実施形態では、R4及びR5はいずれもブチル基である。さらに別の好ましい実施形態では、nは1である。他の実施形態では、R3は、pHがカチオン性脂質のpKaを上回る場合は存在せず、また、pHがカチオン性脂質のpKaを下回り、それによりアミノ頭基がプロトン化される場合は水素である。代替の実施形態では、R3は任意選択で置換されたC1−C4アルキルであり、四級アミンを与える。さらなる実施形態では、R4及びR5は、独立して任意選択で置換されたC2−C6もしくはC2−C4アルキルまたはC2−C6もしくはC2−C4アルケニルである。
代替の実施形態では、式IIIのカチオン性脂質は、アミノ頭基と、アルキル鎖の一方もしくは両方との間にエステル結合を含む。いくつかの実施形態では、式IIIのカチオン性脂質は、1つ以上の陰イオンとともに塩(好ましくは結晶塩)を形成する。特定の一実施形態では、式IIIのカチオン性脂質は、そのシュウ酸塩(例えば、ヘミシュウ酸塩(hemioxalate))であり、好ましくは結晶塩である。
式IIIのアルキル鎖はそれぞれ、6位、9位、及び12位にcis二重結合を含む(すなわち、cis、cis、cis−Δ6、Δ9、Δ12)が、代替の実施形態では、アルキル鎖の一方または両方にあるこれらの二重結合の1つ、2つ、または3つは、trans配置であってよい。
特に好ましい実施形態では、式IIIのカチオン性脂質は、以下の構造を有する。
γ−DLenDMA(15)等のカチオン性脂質、ならびにさらなるカチオン性脂質の合成は、2009年7月1日に出願された「Improved Cationic Lipids and Methods for the Delivery of Nucleic Acids」と題する米国仮特許出願第61/222,462号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
DLin−M−C3−DMA(「MC3」)等のカチオン性脂質、ならびにさらなるカチオン性脂質(例えば、MC3の特定の類似体)の合成は、2009年6月10日に出願された「Novel Lipids and Compositions for the Delivery of Therapeutics」と題する米国仮特許出願第61/185,800号、及び2009年12月18日に出願された「Methods and Compositions for Delivery of Nucleic Acids」と題する米国仮特許出願第61/287,995号に記載されており、それらの開示内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明の脂質粒子に含まれてよい他のカチオン性脂質またはその塩の例には、あらゆる目的のために参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれるWO2011/000106に記載のようなカチオン性脂質、及びカチオン性脂質、例えばN,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、1,2−ジオレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DODMA)、1,2−ジステアリルオキシ(distearyloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DSDMA)、N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N−(1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP)、3−(N−(N',N'−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル)コレステロール(DC−Chol)、N−(1,2−ジミリスチルオキシプロパ−3−イル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセタート(DOSPA)、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(dioctadecylamidoglycyl spermine)(DOGS)、3−ジメチルアミノ−2−(コレスタ−5−エン−3−ベータ−オキシブタン−4−オキシ)−1−(cis,cis−9,12−オクタデカジエンオキシ(octadecadienoxy))プロパン(CLinDMA)、2−[5'−(コレスタ−5−エン−3−ベータ−オキシ)−3'−オキサペントキシ(oxapentoxy))−3−ジメチ(dimethy)−1−(cis,cis−9',1−2'−オクタデカジエンオキシ(octadecadienoxy))プロパン(CpLinDMA)、N,N−ジメチル−3,4−ジオレイルオキシベンジルアミン(dioleyloxybenzylamine)(DMOBA)、1,2−N,N'−ジオレイルカルバミル(dioleylcarbamyl)−3−ジメチルアミノプロパン(DOcarbDAP)、1,2−N,N'−ジリノレイルカルバミル(dilinoleylcarbamyl)−3−ジメチルアミノプロパン(DLincarbDAP)、1,2−ジリノレイルカルバモイルオキシ(dilinoleylcarbamoyloxy)−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−C−DAP)、1,2−ジリノレイオキシ(dilinoleyoxy)−3−(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin−DAC)、1,2−ジリノレイオキシ(dilinoleyoxy)−3−モルホリノプロパン(DLin−MA)、1,2−ジリノレオイル−3−ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2−ジリノレイルチオ(dilinoleylthio)−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−S−DMA)、1−リノレオイル−2−リノレイルオキシ(linoleyloxy)−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−2−DMAP)、1,2−ジリノレイルオキシ(dilinoleyloxy)−3−トリメチルアミノプロパンクロリド(trimethylaminopropane chloride)塩(DLin−TMA.Cl)、1,2−ジリノレオイル−3−トリメチルアミノプロパンクロリド(trimethylaminopropane chloride)塩(DLin−TAP.Cl)、1,2−ジリノレイルオキシ(dilinoleyloxy)−3−(N−メチルピペラジノ)プロパン(DLin−MPZ)、3−(N,N−ジリノレイルアミノ(dilinoleylamino))−1,2−プロパンジオール(DLinAP)、3−(N,N−ジオレイルアミノ(dioleylamino))−1,2−プロパンジオ(propanedio)(DOAP)、1,2−ジリノレイルオキソ(dilinoleyloxo)−3−(2−N,N−ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin−EG−DMA)、1,2−ジオエイルカルバモイルオキシ(dioeylcarbamoyloxy)−3−ジメチルアミノプロパン(DO−C−DAP)、1,2−ジミリストレオイル(dimyristoleoyl)−3−ジメチルアミノプロパン(DMDAP)、1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアミノプロパンクロリド(DOTAP.Cl)、ジリノレイルメチル(dilinoleylmethyl)−3−ジメチルアミノプロピオナート(DLin−M−C2−DMA;DLin−M−K−DMAまたはDLin−M−DMAとしても知られる)、ならびにその混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明の脂質粒子に含まれてよいさらなるカチオン性脂質またはその塩は、米国特許公開第20090023673号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
CLinDMA等のカチオン性脂質、ならびにさらなるカチオン性脂質の合成は、米国特許公開第20060240554号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。DLin−C−DAP、DLinDAC、DLinMA、DLinDAP、DLin−S−DMA、DLin−2−DMAP、DLinTMA.Cl、DLinTAP.Cl、DLinMPZ、DLinAP、DOAP、及びDLin−EG−DMA等のカチオン性脂質、ならびにさらなるカチオン性脂質の合成は、PCT公開番号第WO09/086558号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。DO−C−DAP、DMDAP、DOTAP.Cl、DLin−M−C2−DMA等のカチオン性脂質、ならびにさらなるカチオン性脂質の合成は、2009年10月9日に出願された「Improved Amino Lipids and Methods for the Delivery of Nucleic Acids」と題するPCT出願番号第PCT/US2009/060251号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。他の多数のカチオン性脂質及び関連類似体の合成は、米国特許第5,208,036号;同第5,264,618号;同第5,279,833号;同第5,283,185号;同第5,753,613号;及び同第5,785,992号;ならびにPCT公開番号第WO96/10390号に記載されており、それらの開示内容の各々は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、市販されている多数のカチオン性脂質調製物、例えば、LIPOFECTIN(登録商標)(Invitrogenから入手可能なDOTMA及びDOPEを含む);LIPOFECTAMINE(登録商標)(Invitrogenから入手可能なDOSPA及びDOPEを含む);及びTRANSFECTAM(登録商標)(Promega Corp.から入手可能なDOGSを含む)を使用することができる。
いくつかの実施形態では、カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質の約50mol%〜約90mol%、約50mol%〜約85mol%、約50mol%〜約80mol%、約50mol%〜約75mol%、約50mol%〜約70mol%、約50mol%〜約65mol%、約50mol%〜約60mol%、約55mol%〜約65mol%、または約55mol%〜約70mol%(またはその任意の分数もしくはその中の任意の範囲)を占める。特定の実施形態では、カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質の約50mol%、51mol%、52mol%、53mol%、54mol%、55mol%、56mol%、57mol%、58mol%、59mol%、60mol%、61mol%、62mol%、63mol%、64mol%、または65mol%(またはその任意の分数)を占める。
他の実施形態では、カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質の約2mol%〜約60mol%、約5mol%〜約50mol%、約10mol%〜約50mol%、約20mol%〜約50mol%、約20mol%〜約40mol%、約30mol%〜約40mol%、または約40mol%(またはその任意の分数もしくはその中の任意の範囲)を占める。
本発明の脂質粒子での使用に好適なカチオン性脂質のさらなるパーセンテージ及び範囲は、PCT公開番号第WO09/127060号、米国公開出願第US2011/0071208号、PCT公開番号第WO2011/000106号、及び米国公開出願第US2011/0076335号に記載されており、それらの開示内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明の脂質粒子内に存在するカチオン性脂質のパーセンテージは目標量であること、及び処方物に存在するカチオン性脂質の実際量は、例えば±5mol%異なり得ることを理解されるべきである。例えば、例示的な1つの脂質粒子処方物では、カチオン性脂質の目標量は57.1mol%であるが、カチオン性脂質の実際量は、その目標量の±5mol%、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、または±0.1mol%であってよく、処方物の残部は他の脂質成分で構成される(粒子に存在する総脂質が合計100mol%なる。ただし、当業者は、総mol%は例えば99.9mol%または100.1mol%を四捨五入するため100%からわずかにずれる場合があることを理解されるであろう)。本発明で使用する脂質粒子に含めるために有用なカチオン性脂質のさらなる例を以下に示す。
N,N−ジメチル−2,3−ビス((9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエニルオキシ)プロパン−1−アミン(5)
2−(2,2−ジ((9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエニル)−1,3−ジオキソラン−4−イル)−N,N−ジメチルエタンアミン(6)
(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノアート(7)
3−((6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イルオキシ)−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン(8)
(Z)−12−((Z)−デカ−4−エニル)ドコサ−16−エン−11−イル5−(ジメチルアミノ)ペンタノアート(53)
(6Z,16Z)−12−((Z)−デカ−4−エニル)ドコサ−6,16−ジエン−11−イル6−(ジメチルアミノ)ヘキサノアート(11)
(6Z,16Z)−12−((Z)−デカ−4−エニル)ドコサ−6,16−ジエン−11−イル5−(ジメチルアミノ)ペンタノアート(13)
12−デシルドコサン−11−イル5−(ジメチルアミノ)ペンタノアート(14)。
2.非カチオン性脂質
本発明の脂質粒子に使用する非カチオン性脂質は、安定な複合体を形成できる中性非荷電性、両性イオン型、またはアニオン性の多種多様な脂質のいずれでもあり得る。
非カチオン性脂質の非限定的な例には、リン脂質、例えば、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リソホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、卵スフィンゴミエリン(ESM)、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジセチルホスファート(dicetylphosphate)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイル−ホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレイオル(palmitoyloleyol)−ホスファチジルグリセロール(POPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシラート(DOPE−mal)、ジパルミトイル−ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイル−ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル−ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、モノメチル−ホスファチジルエタノールアミン、ジメチル−ホスファチジルエタノールアミン、ジエライドイル−ホスファチジルエタノールアミン(DEPE)、ステアロイルオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、リゾホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン、及びその混合物が挙げられる。他のジアシルホスファチジルコリン及びジアシルホスファチジルエタノールアミンのリン脂質も使用することができる。これらの脂質のアシル基は、好ましくは、C10−C24炭素鎖を有する脂肪酸類、例えば、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、またはオレオイルから誘導されるアシル基である。
非カチオン性脂質のさらなる例には、コレステロール等のステロール及びその誘導体が挙げられる。コレステロール誘導体の非限定的な例には、極性類似体、例えば5α−コレスタノール、5β−コプロスタノール、コレステリル−(2'−ヒドロキシ)−エチルエーテル、コレステリル−(4'−ヒドロキシ)−ブチルエーテル、及び6−ケトコレスタノール、非極性類似体、例えば5α−コレスタン、コレステノン、5α−コレスタノン、5β−コレスタノン、及びコレステリルデカノアート、ならびにその混合物が挙げられる。好ましい実施形態では、コレステロール誘導体はコレステリル−(4'−ヒドロキシ)−ブチルエーテルのような極性類似体である。コレステリル−(2'−ヒドロキシ)−エチルエーテルの合成は、PCT公開番号第WO09/127060号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、脂質粒子に存在する非カチオン性脂質は、1つ以上のリン脂質とコレステロールまたはその誘導体との混合物を含むか、またはそれで構成される。他の実施形態では、脂質粒子に存在する非カチオン性脂質は、1つ以上のリン脂質、例えば、コレステロールを含まない脂質粒子処方物を含むか、またはそれで構成される。さらに別の実施形態では、脂質粒子に存在する非カチオン性脂質は、コレステロールまたはその誘導体、例えば、リン脂質を含まない脂質粒子処方物を含むか、またはそれで構成される。
本発明での使用に好適な非カチオン性脂質の他の例には、非リン含有脂質、例えば、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、アセチルパルミタート(acetyl palmitate)、グリセロールリシノレアート(glycerolricinoleate)、ヘキサデシルステアラート(hexadecyl stereate)、イソプロピルミリスタート、両性アクリルポリマー、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルアリールスルホン酸塩ポリエチルオキシル化(polyethyloxylated)脂肪酸アミド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド、セラミド、スフィンゴミエリン等等が挙げられる。
いくつかの実施形態では、非カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質の約10mol%〜約60mol%、約20mol%〜約55mol%、約20mol%〜約45mol%、約20mol%〜約40mol%、約25mol%〜約50mol%、約25mol%〜約45mol%、約30mol%〜約50mol%、約30mol%〜約45mol%、約30mol%〜約40mol%、約35mol%〜約45mol%、約37mol%〜約45mol%、または約35mol%、36mol%、37mol%、38mol%、39mol%、40mol%、41mol%、42mol%、43mol%、44mol%、または45mol%(またはその任意の分数もしくはその中の任意の範囲)を占める。
脂質粒子にリン脂質とコレステロールまたはコレステロール誘導体との混合物が含有される実施形態では、混合物は、粒子中に存在する総脂質の最大約40mol%、45mol%、50mol%、55mol%、または60mol%を占め得る。
いくつかの実施形態では、混合物のリン脂質成分は、粒子中に存在する総脂質の約2mol%〜約20mol%、約2mol%〜約15mol%、約2mol%〜約12mol%、約4mol%〜約15mol%、または約4mol%〜約10mol%(またはその任意の分数もしくはその中の任意の範囲)を占め得る。特定の実施形態では、混合物のリン脂質成分は、粒子中に存在する総脂質の約5mol%〜約17mol%、約7mol%〜約17mol%、約7mol%〜約15mol%、約8mol%〜約15mol%、または約8mol%、9mol%、10mol%、11mol%、12mol%、13mol%、14mol%、または15mol%(またはその任意の分数もしくはその中の任意の範囲)を占める。非限定的な例として、リン脂質とコレステロールとの混合物を含む脂質粒子処方物は、DPPCまたはDSPC等のリン脂質を、例えば、粒子中に存在する総脂質の約34mol%(またはその任意の分数)を占めるコレステロールまたはコレステロール誘導体との混合物に、約7mol%(またはその任意の分数)含んでよい。別の非限定的な例として、リン脂質とコレステロールとの混合物を含む脂質粒子処方物は、DPPCまたはDSPC等のリン脂質を、例えば、粒子中に存在する総脂質の約32mol%(またはその任意の分数)のコレステロールまたはコレステロール誘導体との混合物に、総脂質の約7mol%(またはその任意の分数)含んでよい。
さらなる例として、本発明の実施に有用な脂質処方物は、脂質対薬物(例えば、siRNA)比が約10:1(例えば、脂質:薬物の比が9.5:1〜11:1、または9.9:1〜11:1、または10:1〜10.9:1)である。他の特定の実施形態では、本発明の実施に有用な脂質処方物は、脂質薬物(例えば、siRNA)比が約9:1である(例えば、脂質:薬物の比が8.5:1〜10:1、または8.9:1〜10:1、または9:1〜9.9:1であり、9.1:1、9.2:1、9.3:1、9.4:1、9.5:1、9.6:1、9.7:1、及び9.8:1が含まれる)。
他の実施形態では、混合物中のコレステロール成分は、粒子中に存在する総脂質の約25mol%〜約45mol%、約25mol%〜約40mol%、約30mol%〜約45mol%、約30mol%〜約40mol%、約27mol%〜約37mol%、約25mol%〜約30mol%、または約35mol%〜約40mol%(またはその任意の分数もしくはその中の任意の範囲)を占め得る。特定の好ましい実施形態では、混合物中のコレステロール成分は、粒子中に存在する総脂質の約25mol%〜約35mol%、約27mol%〜約35mol%、約29mol%〜約35mol%、約30mol%〜約35mol%、約30mol%〜約34mol%、約31mol%〜約33mol%、または約30mol%、31mol%、32mol%、33mol%、34mol%、または35mol%(またはその任意の分数もしくはその中の任意の範囲)を占める。
脂質粒子がリン脂質を含まない実施形態では、コレステロールまたはその誘導体は、粒子中に存在する総脂質の最大約25mol%、30mol%、35mol%、40mol%、45mol%、50mol%、55mol%、または60mol%を占め得る。
いくつかの実施形態では、リン脂質を含まない脂質粒子処方物中のコレステロールまたはその誘導体は、粒子中に存在する総脂質の約25mol%〜約45mol%、約25mol%〜約40mol%、約30mol%〜約45mol%、約30mol%〜約40mol%、約31mol%〜約39mol%、約32mol%〜約38mol%、約33mol%〜約37mol%、約35mol%〜約45mol%、約30mol%〜約35mol%、約35mol%〜約40mol%、または約30mol%、31mol%、32mol%、33mol%、34mol%、35mol%、36mol%、37mol%、38mol%、39mol%、もしくは40mol%(またはその任意の分数もしくはその中の任意の範囲)を占め得る。非限定的な例として、脂質粒子処方物は、コレステロールを、粒子中に存在する総脂質の約37mol%(またはその任意の分数)含んでよい。別の非限定的な例として、脂質粒子処方物は、コレステロールを、粒子中に存在する総脂質の約35mol%(またはその任意の分数)含んでよい。
他の実施形態では、非カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質の約5mol%〜約90mol%、約10mol%〜約85mol%、約20mol%〜約80mol%、約10mol%(例えば、リン脂質のみ)、または約60mol%(例えば、リン脂質及びコレステロールもしくはその誘導体)(またはその任意の分数もしくはその中の任意の範囲)を占める。
本発明の脂質粒子での使用に好適な非カチオン性脂質のさらなるパーセンテージ及び範囲は、PCT公開番号第WO09/127060号、米国公開出願第US2011/0071208号、PCT公開番号第WO2011/000106号、及び米国公開出願第US2011/0076335号に記載されており、それらの開示内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明の脂質粒子内に存在する非カチオン性脂質のパーセンテージは目標量であること、及び処方物に存在する非カチオン性脂質の実際量は、例えば、±5mol%、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、または±0.1mol%異なり得ることを理解されるべきである。
3.脂質複合体
本発明の脂質粒子は、カチオン性及び非カチオン性の脂質のほか、脂質複合体をさらに含んでよい。複合脂質は、粒子の凝集を防ぐ上で有用である。好適な複合脂質には、PEG−脂質複合体、POZ−脂質複合体、ATTA−脂質複合体、カチオン性−ポリマー−脂質複合体(CPL)、及びその混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。ある実施形態では、粒子はPEG−脂質複合体またはATTA−脂質複合体いずれかをCPLと共に含む。
好ましい実施形態では、脂質複合体はPEG−脂質である。PEG−脂質の例には、ジアルキルオキシプロピルと結合させたPEG(PEG−DAA)(例えば、PCT公開番号第WO05/026372号に記載)、ジアシルグリセロールと結合させたPEG(PEG−DAG)(例えば、米国特許公開第20030077829号及び第2005008689号に記載)、ホスファチジルエタノールアミン等のリン脂質と結合させたPEG(PEG−PE)、セラミドと複合体を形成したPEG(例えば、米国特許第5,885,613号に記載)、コレステロールまたはその誘導体と複合体を形成したPEG、及びその混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの特許文献の開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明での使用に好適なさらなるPEG−脂質には、限定することなく、mPEG2000−1,2−ジ−O−アルキル−sn3−カルボモイルグリセリド(carbomoylglyceride)(PEG−C−DOMG)が挙げられる。PEG−C−DOMGの合成は、PCT公開番号第WO09/086558号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに別の好適なPEG−脂質複合体には、限定することなく、1−[8'−(1,2−ジミリストイル−3−プロパノキシ)−カルボキサミド−3',6'−ジオキサオクタニル(dioxaoctanyl)]カルバモイル−ω−メチル−ポリ(エチレングリコール)(2KPEG−DMG)が含まれる。2KPEG−DMGの合成は、米国特許第7,404,969号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
PEGは、直鎖で水溶性の、エチレンPEG繰り返し単位のポリマーであり、2つの末端ヒドロキシル基を有する。PEGは、その分子量によって分類され、例えば、PEG2000は、平均分子量が約2,000ダルトンであり、PEG5000は平均分子量が約5,000ダルトンである。PEGは、Sigma Chemical Co.等の企業から市販されており、それらとしては、モノメトキシポリエチレングリコール(MePEG−OH)、モノメトキシポリエチレングリコール−コハク酸塩(MePEG−S)、モノメトキシポリエチレングリコール−コハク酸スクシンイミジル(MePEG−S−NHS)、モノメトキシポリエチレングリコール−アミン(MePEG−NH2)、モノメトキシポリエチレングリコール−トレシラート(MePEG−TRES)、モノメトキシポリエチレングリコール−イミダゾリル−カルボニル(MePEG−IM)、ならびに、このような化合物で、末端メトキシ基の代わりに末端ヒドロキシル基を含むもの(例えば、HO−PEG−S、HO−PEG−S−NHS、HO−PEG−NH2等)が挙げられるが、これに限定されるものではない。米国特許第6,774,180号及び第7,053,150号に記載されているような他のPEG(例えば、mPEG(20kDa)アミン)も、本発明のPEG−脂質複合体の調製に有用である。これらの特許の開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、モノメトキシポリエチレングリコール−酢酸(MePEG−CH2COOH)は、例えば、PEG−DAA複合体等のPEG−脂質複合体を調製するために特に有用である。
本明細書に記載するPEG−脂質複合体のPEG部分は、約550ダルトン〜約10,000ダルトンの範囲の平均分子量を含んでよい。特定の場合には、PEG部分は、平均分子量が、約750ダルトン〜約5,000ダルトン(例えば、約1,000ダルトン〜約5,000ダルトン、約1,500ダルトン〜約3,000ダルトン、約750ダルトン〜約3,000ダルトン、約750ダルトン〜約2,000ダルトン等)である。好ましい実施形態では、PEG部分は、平均分子量が約2,000ダルトンまたは約750ダルトンである。
特定の場合には、PEGは、任意選択でアルキル基、アルコキシ基、アシル基、またはアリール基で置換され得る。PEGは、脂質と直接複合体化させることができるが、または、リンカー部分を介して脂質に連結してよい。例えば、エステル非含有リンカー部分及びエステル含有リンカー部分等の、PEGを脂質に結合させるために好適なリンカー部分を使用することができる。好ましい実施形態では、リンカー部分はエステル非含有リンカー部分である。本発明において、用語「エステル非含有リンカー部分」とは、カルボン酸のエステル結合(−OC(O)−)を含まないリンカー部分を指す。好適なエステル非含有リンカー部分には、アミド(−C(O)NH−)、アミノ(−NR−)、カルボニル(−C(O)−)、カルバマート(−NHC(O)O−)、尿素(−NHC(O)NH−)、ジスルフィド(−S−S−)、エーテル(−O−)、スクシニル(−(O)CCH2CH2C(O)−)、スクシンアミジル(succinamidyl)(−NHC(O)CH2CH2C(O)NH−)、エーテル、ジスルフィド、ならびに、その組み合わせ(カルバマートリンカー部分及びアミドリンカー部分の両方を含有するリンカー等)が挙げられるが、これに限定されるものではない。好ましい実施形態では、カルバマートリンカーを使用してPEGを脂質に結合させる。
他の実施形態では、エステル含有リンカー部分を使用してPEGを脂質に結合させる。好適なエステル含有リンカー部分は、例えば、炭酸塩(−OC(O)O−)、スクシノイル、リン酸エステル(−O−(O)POH−O−)、スルホン酸エステル、及びその組み合わせを含む。
鎖長及び飽和度の異なる多様なアシル鎖基を有するホスファチジルエタノールアミンをPEGに結合させて脂質複合体を形成することができる。このようなホスファチジルエタノールアミンは市販のものであるか、当業者に公知の従来技術を使用して単離または合成することができる。炭素鎖長がC10〜C20の範囲の飽和または不飽和の脂肪酸を含有するホスファチジル−エタノールアミンが好ましい。一価または二価の不飽和脂肪酸ならびに飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物を有するホスファチジルエタノールアミンを使用することもできる。好適なホスファチジルエタノールアミンには、ジミリストイル−ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイル−ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、及びジステアロイル−ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
用語「ATTA」または「ポリアミド」には、限定することなく、米国特許第6,320,017号及び同第6,586,559号に記載の化合物が含まれ、それらの開示内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらの化合物には、式:
を有する化合物が含まれる。
上式中、Rは、水素、アルキル及びアシルからなる群から選択されるメンバーであり;R1は、水素及びアルキルからなる群から選択されるメンバーであるか;または任意選択で、R及びR1、ならびにこれらが結合している窒素でアジド部分を形成し;R2は、水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール及びアミノ酸の側鎖から選択される群のメンバーであり;R3は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、ヒドラジノ、アミノ及びNR4R5からなる群から選択されるメンバーであり、ここで、R4及びR5は、独立して水素またはアルキルであり;nは4〜80であり;mは2〜6であり;pは1〜4であり;かつqは0または1である。本発明の化合物に他のポリアミドを使用できることは当業者に明らかであろう。
用語「ジアシルグリセロール」または「DAG」には、2本の脂肪酸アシル鎖、R
1及びR
2を有し、これらの鎖が独立してグリセロールの1位及び2位にエステル結合で結合した2〜30個の炭素を有する化合物が含まれる。アシル基は、飽和であるか、または不飽和度がさまざまであり得る。好適なアシル基には、ラウロイル(C
12)、ミリストイル(C
14)、パルミトイル(C
16)、ステアロイル(C
18)、及びイコソイル(icosoyl)(C
20)が挙げられるが、これに限定されるものではない。好ましい実施形態では、R
1及びR
2は同一である、すなわち、R
1及びR
2はいずれもミリストイル(すなわち、ジミリストイル)であり、R
1及びR
2はいずれもステアロイル(すなわち、ジステアロイル)等である。ジアシルグリセロール以下の一般式:
を有する。
用語「ジアルキルオキシプロピル」または「DAA」には、2本のアルキル鎖R
1及びR
2を有し、これらの鎖が互いに独立して2〜30個の炭素を有する化合物が含まれる。アルキル基は、飽和であるか、または不飽和度がさまざまであり得る。ジアルキルオキシプロピルは以下の一般式:
を有する。
好ましい実施形態では、PEG−脂質は以下の式:
を有するPEG−DAA複合体である。
ここで、R1及びR2は、独立して選択され、かつ約10〜約22個の炭素原子を有する長鎖アルキル基であり;PEGはポリエチレングリコールであり;Lは、前述のようなエステル非含有リンカー部分またはエステル含有リンカー部分である。長鎖アルキル基は、飽和または不飽和であり得る。好適なアルキル基には、デシル(C10)、ラウリル(C12)、ミリスチル(C14)、パルミチル(C16)、ステアリル(C18)、及びイコシル(C20)が挙げられるが、これに限定されるものではない。好ましい実施形態では、R1及びR2は同一である、すなわち、R1及びR2はいずれもミリスチル(すなわち、ジミリスチル)であり、R1及びR2はいずれもステアリル(すなわち、ジステアリル)等である。
上記式VIIでは、PEGは、平均分子量が約550ダルトン〜約10,000ダルトンの範囲である。特定の場合には、PEGは、平均分子量が約750ダルトン〜約5,000ダルトン(例えば、約1,000ダルトン〜約5,000ダルトン、約1,500ダルトン〜約3,000ダルトン、約750ダルトン〜約3,000ダルトン、約750ダルトン〜約2,000ダルトン等)である。好ましい実施形態では、PEGは、平均分子量が約2,000ダルトンまたは約750ダルトンである。PEGは、任意選択でアルキル基、アルコキシ基、アシル基、またはアリール基で置換され得る。ある実施形態では、末端ヒドロキシル基をメトキシ基またはメチル基で置換する。
好ましい実施形態では、「L」はエステル非含有リンカー部分である。好適なエステル非含有リンカーには、アミドリンカー部分、アミノリンカー部分、カルボニルリンカー部分、カルバマートリンカー部分、尿素リンカー部分、エーテルリンカー部分、ジスルフィドリンカー部分、スクシンアミジル(succinamidyl)リンカー部分、及びその組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。好ましい実施形態では、エステル非含有リンカー部分はカルバマートリンカー部分(すなわち、PEG−C−DAA複合体)である。別の好ましい実施形態では、エステル非含有リンカー部分はアミドリンカー部分(すなわち、PEG−A−DAA複合体)である。さらに別の好ましい実施形態では、エステル非含有リンカー部分はスクシンアミジル(succinamidyl)リンカー部分(すなわち、PEG−S−DAA複合体)である。
特定の実施形態では、PEG−脂質複合体は以下の
から選択される。
PEG−DAA複合体を、当業者に公知の標準的な技術及び試薬を使用して合成する。PEG−DAA複合体には、さまざまなアミド結合、アミン結合、エーテル結合、チオ結合、カルバマート結合、及び尿素結合が含まれることになることを認識されよう。当業者は、これらの結合を形成させるための方法及び試薬は周知であり、容易に利用可能であることを認識するであろう。例えば、March,ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY(Wiley 1992); Larock,COMPREHENSIVE ORGANIC TRANSFORMATIONS(VCH 1989);及びFurniss,VOGEL'S TEXTBOOK OF PRACTICAL ORGANIC CHEMISTRY,5th ed.(Longman 1989)を参照されたい。存在する任意の官能基は、PEG−DAA複合体の合成時の異なる時点で保護及び脱保護が必要となる場合があることも理解されるであろう。当業者は、このような技術が周知であることを認識するであろう。例えば、Green and Wuts,PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS(Wiley 1991)を参照されたい。
好ましくは、PEG−DAA複合体はPEG−ジデシルオキシプロピル(C10)複合体、PEG−ジラウリルオキシプロピル(C12)複合体、PEG−ジミリスチルオキシプロピル(C14)複合体、PEG−ジパルミチルオキシプロピル(C16)複合体、またはPEG−ジステアリルオキシプロピル(C18)複合体である。これらの実施形態では、PEGは、好ましくは、平均分子量が約750または約2,000ダルトンである。特に好ましい一実施形態では、PEG−脂質複合体は、PEG2000−C−DMAを含み、ここで、「2000」はPEGの平均分子量を指し、「C」はカルバマートリンカー部分を指し、「DMA」はジミリスチルオキシプロピルを指す。特に好ましい別の実施形態では、PEG−脂質複合体は、PEG750−C−DMAを含み、ここで、「750」はPEGの平均分子量を指し、「C」はカルバマートリンカー部分を指し、「DMA」はジミリスチルオキシプロピルを指す。特定の実施形態では、PEGの末端ヒドロキシル基をメチル基で置換する。当業者は、他のジアルキルオキシプロピルを本発明のPEG−DAA複合体に使用できることを容易に理解するであろう。
上記のもののほか、PEGに代えて他の親水性ポリマーを使用できることは当業者にすぐに明らかとなるであろう。PEGに代えて使用できる好適なポリマーの例には、ポルビニルピロリドン、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド及びポリジメチルアクリルアミド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びヒドロキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロース等の誘導体化セルロースが挙げられるが、これに限定されるものではない。
上述の成分に加え、本発明の脂質粒子は、カチオン性ポリ(エチレングリコール)(PEG)脂質またはCPLをさらに含むことができる(例えば、あらゆる目的のために参照によりその開示内容全体が本明細書に組み込まれる、Chen et al.,Bioconj.Chem.,11:433−437(2000);米国特許第6,852,334号;PCT公開番号第WO00/62813号を参照されたい)。
好適なCPLとして、式VIII:
A−W−Y(VIII)
の化合物が含まれる。
上式中、A、W、及びYは、以下に記載のとおりである。
式VIIIに関し、「A」は、脂質アンカーとして機能する、両親媒性脂質、中性脂質、または疎水性脂質等の脂質部分である。好適な脂質例には、ジアシルグリセロリル(diacylglycerolyl)、ジアルキルグリセロリル(dialkylglycerolyl)、N−N−ジアルキルアミノ、1,2−ジアシルオキシ−3−アミノプロパン、及び1,2−ジアルキル−3−アミノプロパンが挙げられるが、これに限定されるものではない。
「W」は、親水性のポリマーまたはオリゴマーのようなポリマーまたはオリゴマーである。好ましくは、親水性ポリマーは、非免疫原性であるかまたは本質的な免疫原性が低い生体適合性ポリマーである。代替として、親水性ポリマーは、適切なアジュバントと共に使用する場合は弱抗原性であり得る。好適な非免疫原性ポリマーには、PEG、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体、及びその組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。好ましい実施形態では、ポリマーは、分子量が約250〜約7,000ダルトンである。
「Y」はポリカチオン性部分である。ポリカチオン性部分という用語は、選択pH、好ましくは生理的pHにおいて、正電荷、好ましくは少なくとも2つの正電荷を有する化合物、誘導体、または官能基を指す。好適なポリカチオン性部分には、塩基性アミノ酸及びその誘導体、例えば、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、リシン、及びヒスチジン;スペルミン;スペルミジン;カチオン性デンドリマー;ポリアミン;ポリアミン糖;及びアミノ多糖類が挙げられる。ポリカチオン性部分は、直鎖テトラリジンのような直鎖、分岐またはデンドリマーの構造であり得る。ポリカチオン性部分は、選択pH値で約2〜約15の正電荷、好ましくは約2〜約12の正電荷、より好ましくは約2〜約8の正電荷を有する。どのポリカチオン性部分を用いるかの選択は、所望される粒子用途の種類により決定してよい。
ポリカチオン性部分の電荷は、粒子部分全体に分布していても、または代替として、粒子部分の特定の一領域に離散して集中する電荷密度のもの、例えば、荷電スパイクがあってもよい。電荷密度が粒子上に分布している場合、電荷密度は、均等に分布していても、不均等に分布していてもよい。ポリカチオン性部分の荷電分布の種類はすべて本発明により包含される。
脂質「A」及び非免疫原性ポリマー「W」は、さまざまな方法により結合させることができ、好ましくは共有結合させることができる。「A」と「W」の共有結合には当業者に公知の方法を使用することができる。好適な結合には、アミド結合、アミン結合、カルボキシル結合、炭酸塩結合、カルバマート結合、エステル結合、及びヒドラゾン結合が挙げられるが、これに限定されるものではない。当業者には、結合を達成するためには、「A」及び「W」は相補的官能基を有している必要があることは明らかであろう。これらの2基、すなわち、脂質上の1基とポリマー上のもう1基との反応により所望の結合が得られることになる。例えば、脂質がジアシルグリセロールであり、その末端ヒドロキシル基を、例えばNHS及びDCCで活性化させて活性エステルを形成させ、次いで、アミノ基を含有するポリマー、例えばポリアミド等と反応させると(例えば、あらゆる目的のために参照によりその開示内容全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,320,017号及び同第6,586,559号を参照されたい)、2基の間にアミド結合が形成されることになる。
特定の場合には、ポリカチオン性部分には、標的指向リガンドまたはカルシウム錯化のためのキレート化部分のようなリガンドが結合している。好ましくは、リガンド結合後、カチオン性部分は正電荷を維持する。特定の場合には、結合しているリガンドは正電荷を有する。好適なリガンドには、限定されるものではないが、反応性官能基を有する化合物またはデバイスが含まれ、脂質、両親媒性脂質、担体化合物、生物親和性化合物、生体材料、バイオポリマー、生物医学用機器、分析により検出可能な化合物、治療的に活性な化合物、酵素、ペプチド、タンパク質、抗体、免疫刺激物質、放射標識、発蛍光団(fluorogen)、ビオチン、薬物、ハプテン、DNA、RNA、多糖類、リポソーム、ビロソーム、ミセル、免疫グロブリン、官能基、他の標的指向部分、または毒素が挙げられる。
いくつかの実施形態では、脂質複合体(例えば、PEG−脂質)は、粒子中に存在する総脂質の約0.1mol%〜約3mol%、約0.5mol%〜約3mol%、または約0.6mol%、0.7mol%、0.8mol%、0.9mol%、1.0mol%、1.1mol%、1.2mol%、1.3mol%、1.4mol%、1.5mol%、1.6mol%、1.7mol%、1.8mol%、1.9mol%、2.0mol%、2.1mol%、2.2mol%、2.3mol%、2.4mol%、2.5mol%、2.6mol%、2.7mol%、2.8mol%、2.9mol%もしくは3mol%(またはその任意の分数もしくはその中の任意の範囲)を占める。
他の実施形態では、脂質複合体(例えば、PEG−脂質)は、粒子中に存在する総脂質の約0mol%〜約20mol%、約0.5mol%〜約20mol%、約2mol%〜約20mol%、約1.5mol%〜約18mol%、約2mol%〜約15mol%、約4mol%〜約15mol%、約2mol%〜約12mol%、約5mol%〜約12mol%、または約2mol%(またはその任意の分数もしくはその中の任意の範囲)を占める。
さらなる実施形態では、脂質複合体(例えば、PEG−脂質)は、粒子中に存在する総脂質の約4mol%〜約10mol%、約5mol%〜約10mol%、約5mol%〜約9mol%、約5mol%〜約8mol%、約6mol%〜約9mol%、約6mol%〜約8mol%、または約5mol%、6mol%、7mol%、8mol%、9mol%、もしくは10mol%(またはその任意の分数もしくはその中の任意の範囲)を占める。
本発明の脂質粒子内に存在する脂質複合体のパーセンテージは目標量であること、及び処方物に存在する脂質複合体の実際量は、例えば、±5mol%、±4mol%、±3mol%、±2mol%、±1mol%、±0.75mol%、±0.5mol%、±0.25mol%、または±0.1mol%異なり得ることを理解されるべきである。
本発明の脂質粒子での使用に好適な脂質複合体のさらなるパーセンテージ及び範囲は、PCT公開番号第WO09/127060号、米国公開出願第US2011/0071208号、PCT公開番号第WO2011/000106号、及び米国公開出願第US2011/0076335号に記載されており、それらの開示内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
当業者は、脂質複合体の濃度は、用いる脂質複合体、及び脂質粒子が膜融合性になる速度に応じて異なり得ることを理解するであろう。
脂質複合体の組成及び濃度を制御することにより、脂質複合体が脂質粒子の外部で交換を行う速度を制御することができ、ひいては、脂質粒子が膜融合性になる速度を制御することができる。例えば、脂質複合体としてPEG−DAA複合体を使用する場合、脂質粒子が膜融合性になる速度は、例えば、脂質複合体の濃度の変更、PEG分子量の変更、または鎖長及びPEG−DAA複合体上のアルキル基の飽和度の変更を行うことにより、変化させることができる。さらに、脂質粒子が膜融合性になる速度を変化させる、かつ/またはそれを制御するために、他の変数、例えば、pH、温度、イオン強度等を使用することができる。脂質粒子が膜融合性になる速度の制御に使用できる他の方法は、当業者が本開示を読むと明らかとなるであろう。また、脂質複合体の組成及び濃度を制御することにより、脂質粒径を制御することができる。
B.さらなる担体系
本発明での使用に好適な脂質を用いたさらなる担体系の非限定的な例には、リポプレックス(例えば、米国特許公開第20030203865号;及びZhang et al.,J.Control Release,100:165−180(2004)を参照されたい)、pH感受性リポプレックス(例えば、米国特許公開第20020192275号を参照されたい)、可逆的にマスキングした(reversibly masked)リポプレックス(例えば、米国特許公開第20030180950号を参照されたい)、カチオン性脂質を用いた組成物(例えば、米国特許第6,756,054号;及び米国特許公開第20050234232号)、カチオン性リポソーム(例えば、米国特許公開第20030229040号、同第20020160038号、及び同第20020012998号;米国特許第5,908,635号;ならびにPCT公開番号第WO01/72283号を参照されたい)、アニオン性リポソーム(例えば、米国特許公開第20030026831号を参照されたい)、pH感受性リポソーム(例えば、米国特許公開第20020192274号;及びAU2003210303号)、抗体で被覆したリポソーム(例えば、米国特許公開第20030108597号;及びPCT公開番号第WO00/50008号)、細胞型特異的リポソーム(例えば、米国特許公開第20030198664号を参照されたい)、核酸及びペプチドを含有するリポソーム(例えば、米国特許第6,207,456号を参照されたい)、放出可能な親水性ポリマーで誘導体化された脂質を含有するリポソーム(例えば、米国特許公開第20030031704号を参照されたい)、脂質に内包された(lipid−entrapped)核酸(例えば、PCT公開番号第WO03/057190号及び同第WO03/059322号を参照されたい)、脂質に封入された核酸(例えば、米国特許公開第20030129221号;及び米国特許第5,756,122号を参照されたい)、他のリポソーム組成物(例えば、米国特許公開第20030035829号及び同第20030072794号;ならびに米国特許第6,200,599号を参照されたい)、リポソームとエマルジョンの安定化された混合物(例えば、EP1304160を参照されたい)、エマルジョン組成物(例えば、米国特許第6,747,014号を参照されたい)、及び核酸マイクロエマルジョン(例えば、米国特許公開第20050037086号を参照されたい)が挙げられる。
本発明での使用に好適な、ポリマーを用いた担体系の例には、カチオン性ポリマー−核酸複合体(すなわち、ポリプレックス)が挙げられるが、これに限定されるものではない。ポリプレックスを形成するために、典型的には、細胞表面のアニオン性プロテオグリカンと相互作用してエンドサイトーシスによって細胞内に入ることが可能な正に荷電した粒子に核酸を濃縮する、直鎖、分岐、星形、または樹状の高分子構造を有するカチオン性ポリマーを用いて、核酸(例えば、表Aに記載のsiRNA分子のようなsiRNA分子)との複合体を形成させる。いくつかの実施形態では、ポリプレックスは、カチオン性ポリマー、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)(例えば、米国特許第6,013,240号;Qbiogene,Inc.(Carlsbad,CA)からIn vivo jetPEI(商標)として市販されている直鎖型PEIを参照されたい)、ポリプロピレンイミン(PPI)、ポルビニルピロリドン(PVP)、ポリ−L−リシン(PLL)、ジエチルアミノエチル(DEAE)−デキストラン、ポリ(β−アミノエステル)(PAE)ポリマー(例えば、Lynn et al.,J.Am.Chem.Soc.,123:8155−8156(2001)を参照されたい)、キトサン、ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー(例えば、Kukowska−Latallo et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93:4897−4902(1996)を参照されたい)、ポルフィリン(例えば、米国特許第6,620,805号を参照されたい)、ポリビニルエーテル(例えば、米国特許公開第20040156909号を参照されたい)、多環式アミジニウム(例えば、米国特許公開第20030220289号を参照されたい)、第一級アミン、イミン、グアニジン、及び/またはイミダゾール基を含む他のポリマー(例えば、米国特許第6,013,240号;PCT公開番号第WO/9602655号;PCT公開番号第WO95/21931号;Zhang et al.,J.Control Release,100:165−180(2004);及びTiera et al.,Curr.Gene Ther.,6:59−71(2006)を参照されたい)、ならびにその混合物と複合体を形成している核酸(例えば、表Aに記載のsiRNA分子のようなsiRNA分子)を含む。他の実施形態では、ポリプレックスは、米国特許公開第20060211643号、同第20050222064号、同第20030125281号、及び同第20030185890号、ならびにPCT公開番号第WO03/066069号に記載のようなカチオン性ポリマー−核酸複合体;米国特許公開第20040071654号に記載のような生分解性ポリ(β−アミノエステル)ポリマー−核酸複合体;米国特許公開第20040142475号に記載のような、高分子基質を含有する微小粒子;米国特許公開第20030157030号に記載のような他の微小粒子組成物;米国特許公開第20050123600号に記載のような濃縮された核酸複合体;ならびにAU2002358514及びPCT公開番号第WO02/096551号に記載のようなナノカプセル組成物及びマイクロカプセル組成物を含む。
特定の場合には、siRNAは、シクロデキストリンまたはそのポリマーと複合体を形成してよい。シクロデキストリンを用いた担体系の非限定的な例には、米国特許公開第20040087024号に記載のような、シクロデキストリン修飾ポリマー−核酸複合体;米国特許第6,509,323号、第6,884,789号、及び第7,091,192号に記載のような直鎖のシクロデキストリン共重合体−核酸複合体;及び米国特許第7,018,609号に記載のようなシクロデキストリンポリマー−錯化剤−核酸の複合体が挙げられる。他の特定の場合には、siRNAは、ペプチドまたはポリペプチドと複合体を形成してよい。タンパク質を用いた担体系の一例として、PCT公開番号第WO95/21931号に記載のカチオン性オリゴペプチド−核酸複合体が挙げられるが、これに限定されない。
脂質粒子の調製
本発明の核酸−脂質粒子は、核酸(例えば、表Aに記載のsiRNA)が粒子の脂質部分内に内包され、分解から保護されており、かかる粒子は、連続混合法、直接希釈法、及びインライン希釈法を含むが、これらに限定されない当技術分野で公知の任意の方法により形成することができる。
特定の実施形態では、カチオン性脂質は、式I〜IIIの脂質またはその塩を、単独で、または他のカチオン性脂質と組み合わせて含んでよい。他の実施形態では、非カチオン性脂質は、卵スフィンゴミエリン(ESM)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、1−パルミトイル−2−オレオイル−ホスファチジルコリン(POPC)、ジパルミトイル−ホスファチジルコリン(DPPC)、モノメチル−ホスファチジルエタノールアミン、ジメチル−ホスファチジルエタノールアミン、14:0PE(1,2−ジミリストイル−ホスファチジルエタノールアミン(DMPE))、16:0PE(1,2−ジパルミトイル−ホスファチジルエタノールアミン(DPPE))、18:0PE(1,2−ジステアロイル−ホスファチジルエタノールアミン(DSPE))、18:1PE(1,2−ジオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(DOPE))、18:1トランスPE(1,2−ジエライドイル−ホスファチジルエタノールアミン(DEPE))、18:0〜18:1PE(1−ステアロイル−2−オレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(SOPE))、16:0〜18:1PE(1−パルミトイル−2−オレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(POPE))、ポリエチレングリコール系ポリマー(例えば、PEG2000、PEG5000、PEG修飾ジアシルグリセロール、またはPEG修飾ジアルキルオキシプロピル)、コレステロール、その誘導体、またはその組み合わせである。
ある実施形態では、本発明は、連続混合法、例えば、siRNAを含む水溶液を第1のレザバーで得ることと、有機脂質溶液を第2のレザバーで得ることと(ここで、有機脂質溶液に存在する脂質は、有機溶媒、例えば、エタノール等の低級アルカノール中に可溶化されている)、有機脂質溶液と水溶液とが混合されて、siRNAを中に封じ込める脂質小胞(例えば、リポソーム)が実質的に速やかに形成されるように、水溶液と有機脂質溶液とを混合することを含む方法によって作製される核酸−脂質粒子を提供する。この方法及びこの方法を実施するための装置は、米国特許公開第20040142025号に詳述されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
脂質及び緩衝液を混合チャンバー等の混合環境中に連続的に導入する処理により、脂質溶液が緩衝液で連続的に希釈され、これにより混合時に実質的に速やかに脂質小胞が形成される。本発明において、語句「脂質溶液を緩衝液で連続的に希釈する」(及びその変法)は、一般に、小胞生成を達成するのに十分な力のある水和工程で、脂質溶液を十分に急速に希釈することを意味する。核酸を含む水溶液と有機脂質溶液とを混合することにより、有機脂質溶液は、緩衝液(すなわち、水溶液)の存在下で段階的に連続希釈され、核酸−脂質粒子が形成される。
連続混合法を使用して形成された核酸−脂質粒子は、典型的には、大きさが約30nm〜約150nm、約40nm〜約150nm、約50nm〜約150nm、約60nm〜約130nm、約70nm〜約110nm、約70nm〜約100nm、約80nm〜約100nm、約90nm〜約100nm、約70〜約90nm、約80nm〜約90nm、約70nm〜約80nm、約120nm未満、約110nm未満、約100nm未満、約90nm未満、もしくは約80nm未満、または約30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、もしくは150nm(またはその任意の分数もしくはその中の任意の範囲)である。こうして形成された粒子は凝集せず、均一な粒径を達成するように任意選択でサイズが調整される。
別の実施形態では、本発明は、脂質小胞(例えば、リポソーム)溶液を形成すること、及び脂質小胞溶液を直接かつ速やかに、制御された量の希釈緩衝液が入った採取容器内に導入することを含む直接希釈法によって作製される核酸−脂質粒子を提供する。好ましい態様では、採取容器には、採取容器の内容物を撹拌して希釈を促進するように構成された1つ以上の要素が含まれる。一態様では、採取容器に存在する希釈緩衝液の量は、中に導入される脂質小胞溶液の容量と実質的に等しい。非限定的な例として、45%エタノール脂質小胞溶液を、等容量の希釈緩衝液を含有する採取容器に導入すると、より小さな粒子が有利に得られる。
さらに別の実施形態では、本発明は、希釈緩衝液を含有する第3のレザバーが第2の混合領域と流体連結しているインライン希釈法によって作製される核酸−脂質粒子を提供する。この実施形態では、第1の混合領域で形成された脂質小胞(例えば、リポソーム)溶液は、第2の混合領域の希釈緩衝液と直接かつ速やかに混合される。好ましい態様では、第2の混合領域には、脂質小胞溶液及び希釈緩衝液の流れが180°の対向流として接触するよう配置されたT字コネクターが含まれるが、それより小さい角度、例えば、約27°〜約180°(例えば、約90°)をもたらすコネクターの使用が可能である。ポンプ機構により、制御可能な緩衝液流を第2の混合領域に送達する。一態様では、第2の混合領域に提供される希釈緩衝液の流量は、第1の混合領域からその中に導入される脂質小胞溶液の流量と実質的に等しくなるよう制御される。本実施形態により、有利なことに、第2の混合領域の脂質小胞溶液と混合する希釈緩衝液流のさらなる制御が可能になるため、第2の混合工程全体を通して緩衝液中の脂質小胞溶液の濃度も制御可能になる。このように希釈緩衝液流量を制御することにより、低濃度で小粒径の形成が有利に可能になる。
これらの直接希釈法及びインライン希釈法を実施するためのこれらの方法及び装置は、米国特許公開第20070042031号に詳述されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
直接希釈法及びインライン希釈法を使用して形成された核酸−脂質粒子は、典型的に、大きさが約30nm〜約150nm、約40nm〜約150nm、約50nm〜約150nm、約60nm〜約130nm、約70nm〜約110nm、約70nm〜約100nm、約80nm〜約100nm、約90nm〜約100nm、約70〜約90nm、約80nm〜約90nm、約70nm〜約80nm、約120nm未満、約110nm未満、約100nm未満、約90nm未満、もしくは約80nm未満、または約30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、もしくは150nm(またはその任意の分数もしくはその中の任意の範囲)である。こうして形成された粒子は凝集せず、均一な粒径を達成するように任意選択でサイズが調整される。
必要に応じ、リポソームのサイズ調整に利用可能な任意の方法によって本発明の脂質粒子をサイズ調整することができる。サイズ調整は、所望の粒径範囲及び比較的狭い粒径分布を達成するために実施されてよい。
粒子を所望の大きさにサイズ調整するいくつかの技術が利用可能である。リポソームに使用され、本願粒子に同等に適用可能なサイズ調整法の一つは、米国特許第4,737,323号に記載されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。浴またはプローブによる超音波処理によって粒子懸濁液を超音波処理すると、粒子の大きさは次第に小さくなり、粒径が約50nm未満に縮小する。均質化は、せん断エネルギーによって大きい粒子をより小さく崩壊させる別の方法である。典型的な均質化手順では、選択粒径、典型的には約60〜約80nmが認められるまで、粒子を標準的なエマルジョン・ホモジナイザーを介して再循環させる。いずれの方法においても、従来のレーザービームによる粒径弁別、またはQELSにより粒度分布を監視することができる。
細孔ポリカーボネート膜または非対称のセラミック膜を介した粒子の押出し成形もまた、比較的明確に定義された粒度分布まで粒径を縮小する有効な方法である。典型的に、所望の粒度分布が達成されるまで、懸濁液は膜を介して1回以上循環させる。粒子を、順次、より小さい細孔膜を介して押出し、徐々に小さい粒径を達成してよい。
いくつかの実施形態では、粒子に存在する核酸(例えば、siRNA分子)を、例えば、あらゆる目的のために参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第09/744,103号に記載のように予備濃縮させる。
他の実施形態では、本方法は、本願組成物を使用して細胞のリポフェクションを行うのに有用な非脂質ポリカチオンの添加をさらに含んでよい。好適な非脂質ポリカチオンの例には、臭化ヘキサジメトリン(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,Wisconsin、USAから商標名POLYBRENE(登録商標)として販売されている)またはヘキサジメトリンの他の塩が挙げられる。他の好適なポリカチオンには、例えば、ポリ−L−オルニチン、ポリ−L−アルギニン、ポリ−L−リシン、ポリ−D−リシン、ポリアリルアミン、及びポリエチレンイミンの塩が挙げられる。これらの塩の添加は、粒子が形成された後が好ましい。
いくつかの実施形態では、形成された核酸−脂質粒子における核酸(例えば、siRNA)対脂質比(質量/質量比)は、約0.01〜約0.2、約0.05〜約0.2、約0.02〜約0.1、約0.03〜約0.1、または約0.01〜約0.08の範囲となる。出発原料(インプット)の比もこの範囲内となる。他の実施形態では、粒子の調製に、10mgの総脂質あたり約400μgの核酸、または核酸と脂質対質量比を約0.01〜約0.08で、より好ましくは、50μgの核酸あたり1.25mgの総脂質に対応する約0.04で使用する。他の好ましい実施形態では、粒子は、核酸:脂質の質量比が約0.08である。
他の実施形態では、形成された核酸−脂質粒子における脂質対核酸(例えば、siRNA)比(質量/質量比)は、約1(1:1)〜約100(100:1)、約5(5:1)〜約100(100:1)、約1(1:1)〜約50(50:1)、約2(2:1)〜約50(50:1)、約3(3:1)〜約50(50:1)、約4(4:1)〜約50(50:1)、約5(5:1)〜約50(50:1)、約1(1:1)〜約25(25:1)、約2(2:1)〜約25(25:1)、約3(3:1)〜約25(25:1)、約4(4:1)〜約25(25:1)、約5(5:1)〜約25(25:1)、約5(5:1)〜約20(20:1)、約5(5:1)〜約15(15:1)、約5(5:1)〜約10(10:1)、または約5(5:1)、6(6:1)、7(7:1)、8(8:1)、9(9:1)、10(10:1)、11(11:1)、12(12:1)、13(13:1)、14(14:1)、15(15:1)、16(16:1)、17(17:1)、18(18:1)、19(19:1)、20(20:1)、21(21:1)、22(22:1)、23(23:1)、24(24:1)、もしくは25(25:1)の範囲、またはその任意の分数もしくはその中の範囲となる。出発原料(インプット)の比もこの範囲内となる。
これまでに考察ように、複合脂質にはCPLがさらに含まれてよい。脂質粒子−CPL(CPL含有脂質粒子)を作製する多種多様な一般法をここで考察する。2つの一般技術として、「後挿入」法、すなわち、CPLを、例えば、予め形成した脂質粒子内に挿入する方法、及びCPLを、例えば脂質粒子形成ステップ中に脂質混合物に含有させる「標準」法が挙げられる。後挿入法では、主に脂質粒子二重層膜の外面にCPLを有する脂質粒子が得られ、標準法では、CPLを内面と外面の両面に有する脂質粒子が得られる。かかる方法は、リン脂質で作製される小胞(これは、コレステロールを含有することができる)に特に有用であり、さらには、PEG−脂質を含有する小胞(PEG−DAA及びPEG−DAG等)にも有用である。脂質粒子−CPLを作製する方法は、例えば、米国特許第5,705,385号;同第6,586,410号;同第5,981,501号;同第6,534,484号;及び同第6,852,334号;米国特許公開第20020072121号;ならびにPCT公開番号第WO00/62813号に教示されており、それらの開示内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
キット
本発明はまた、キット形態の脂質粒子も提供する。いくつかの実施形態では、キットは、脂質粒子のさまざまな要素(例えば、siRNA分子及び粒子の個々の脂質成分といった活性薬剤)を保持するために仕切られた容器を含む。好ましくは、キットは、本発明の脂質粒子を保持する容器(例えば、バイアルまたはアンプル)を含み、その場合、本明細書に記載の工程のうち1つの工程により粒子を作製する。ある実施形態では、キットは、エンドソーム膜不安定化因子(例えば、カルシウムイオン)をさらに含んでよい。キットは、典型的に、本発明の粒子組成物を薬理学的に許容される担体中の懸濁液として、または脱水形態で含み、かつそれらを再水和(凍結乾燥されている場合)し投与するための指示書も収容している。
本発明の処方物を調整して、関心対象の特定の細胞、組織、または臓器を選択的に標的とするようにすることができる。脂質粒子自体の組成物を制御することによって核酸−脂質粒子の選択的な標的化を行ってよい。特定の実施形態では、本発明のキットはこれらの脂質粒子を含み、その場合、粒子は、懸濁液として、または脱水形態で容器に入れられている。
特定の場合には、粒子の標的指向をさらに高めるために、脂質粒子の表面に結合している標的指向部分を有することが望ましい場合がある。標的指向部分(例えば、抗体、タンパク質等)を脂質(本願粒子に使用する脂質等)に結合させる方法は当業者に公知である。
脂質粒子の投与
本発明の脂質粒子は、一旦形成されると、細胞内へのsiRNA分子(例えば、表Aに記載のsiRNA分子)の導入に特に有用である。したがって、本発明は、細胞内にsiRNA分子を導入する方法も提供する。特定の実施形態では、siRNA分子を感染細胞内に導入する。本方法は、最初に上述のように粒子を形成し、その後、その粒子と細胞とを、細胞へのsiRNA送達が起こるために十分な期間接触させることにより、インビトロまたはインビボいずれで行ってもよい。
本発明の脂質粒子(例えば、核酸脂質粒子)は、混合または接触対象のほとんどすべての細胞型に吸着させることができる。一旦吸着すると、粒子は、細胞の一部分による細胞内への移行、脂質と細胞膜との交換、または細胞との融合のいずれも可能になる。粒子のsiRNA部分の移行または取り込みは、これらの経路のいずれか1つを介しても起こり得る。特に、融合が起こった場合、粒子膜は細胞膜内に組み込まれ、粒子の内容物は細胞内液と混合する。
本発明の脂質粒子(例えば、核酸脂質粒子)は、単独で、または、投与経路及び標準的薬務に従って選択された薬理学的に許容される担体(例えば、生理的食塩液またはリン酸緩衝液)と混合して投与可能である。一般に、薬理学的に許容される担体として通常の緩衝生理食塩水(例えば、135〜150mM NaCl)が使用されることになる。他の好適な担体には、例えば、水、緩衝水、0.4%食塩液、0.3%グリシン等が挙げられ、安定性を高めるための糖タンパク質、例えば、アルブミン、リポタンパク質、グロブリン等が含まれる。さらなる好適な担体は、例えば、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES,Mack Publishing Company,Philadelphia,PA,17th ed.(1985)に記載されている。本明細書中で使用される、「担体」には、あらゆる溶媒、分散媒、ビヒクル、コーティング剤、希釈剤、抗菌薬と抗真菌薬、等張剤と吸収遅延剤、緩衝剤、担体溶液、懸濁液、コロイド等が含まれる。語句「薬理学的に許容される」とは、分子実体(molecular entities)及び組成物が、ヒトに投与した場合に、アレルギー反応または同様の有害反応を引き起こさないことを指す。
薬理学的に許容される担体は、一般に、脂質粒子形成後に添加する。したがって、脂質粒子の形成後、通常の緩衝生理食塩水等の薬理学的に許容される担体に粒子を希釈することができる。
医薬処方物中の粒子の濃度は、大きく異なり得る、すなわち、約0.05重量%未満、通常は約2〜5重量%または少なくとも2〜5重量%から約10〜90重量%まで異なり、選択した特定の投与方法に従って、主に流体容量、粘度等により選択されることになる。例えば、治療に関連する流体量を減少させるために濃度を増加させてもよい。これは、アテローム性動脈硬化症関連うっ血性心不全または重度の高血圧症に罹患する患者において特に望ましい場合がある。代替として、刺激性脂質で構成される粒子は、投与部位の炎症を抑えるため低濃度まで希釈してよい。
本発明の医薬組成物は、従来の周知の滅菌技術により滅菌してよい。水溶液は、使用のためにパッケージにするか、または無菌条件下でろ過して凍結乾燥し、投与前にその凍結乾燥した調製物と滅菌水溶液とを混合することができる。組成物は、生理的条件に近づけるために必要とされる薬理学的に許容される助剤、例えば、pH調整剤及び緩衝剤、等張化剤等、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び塩化カルシウムを含有し得る。さらに、粒子懸濁液は、保管時に脂質をフリーラジカル及び脂質過酸化による損傷から保護する脂質保護剤を含んでよい。アルファトコフェロールのような親油性フリーラジカルクエンチャー、及びフェリオキサミンのような水溶性鉄特異的キレート化剤が好適である。
いくつかの実施形態では、本発明の脂質粒子は、1つ以上のsiRNA分子(例えば、表Aに記載のsiRNA分子)の治療用送達方法において特に有用である。特に、1つ以上のHBV遺伝子の転写及び/または翻訳を下方制御もしくはサイレンシングすることにより、ヒトにおいてHBV感染及び/またはHDV感染を治療するためのインビボでの方法を提供することが本発明の目的である。
A.インビボ投与
インビボ治療のための全身送達、例えば、循環等の身体系を介した遠位標的細胞への本明細書に記載するsiRNA分子(表Aに記載のsiRNA等)の送達が、PCT公開番号第WO05/007196号、第WO05/121348号、第WO05/120152号、及び第WO04/002453号に記載のような核酸−脂質粒子を使用して達成されており、それらの開示内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本発明はまた、siRNAを血清中でのヌクレアーゼによる分解から保護し、非免疫原性で、粒径が小さく、反復投与に好適な、完全に封入された脂質粒子も提供する。さらに、1つ以上のsiRNA分子は、本発明の脂質粒子に入れて単独投与しても、または従来の薬物のような、ペプチド、ポリペプチド、または低分子を含む脂質粒子と併用投与(例えば、同時投与)しても、いずれでもよい。
インビボ投与の場合、投与は、当技術分野で公知の任意の方法、例えば、注射、経口投与、吸入(例えば、鼻腔内(intransal)または気管内)、経皮投与、または直腸投与によるものであってよい。投与は、単一用量または分割用量により達成できる。医薬組成物は、非経口的に、すなわち、関節内、静脈内、腹腔内、皮下、または筋肉内に投与され得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物を、静脈内または腹腔内にボーラス注射により投与する(例えば、米国特許第5,286,634号を参照されたい)。また、核酸の細胞内送達は、Straubringer et al.,Methods Enzymol.,101:512(1983);Mannino et al.,Biotechniques,6:682(1988);Nicolau et al.,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.,6:239(1989);及びBehr,Acc.Chem.Res.,26:274(1993)ですでに考察されている。脂質を用いた治療薬を投与するさらに他の方法は、例えば、米国特許第3,993,754号;同第4,145,410号;同第4,235,871号;同第4,224,179号;同第4,522,803号;及び同第4,588,578号に記載されている。脂質粒子は、疾患部位における直接注射または疾患部位から遠位にある部位における注射により投与され得る(例えば、Culver,HUMAN GENE THERAPY,MaryAnn Liebert,Inc.,Publishers,New York.pp.70−71(1994)を参照されたい)。上記の参考文献の開示内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明の脂質粒子を静脈内に投与する実施形態では、粒子の総注射量の少なくとも約5%、10%、15%、20%、または25%が、注射の約8時間、12時間、24時間、36時間、または48時間後血漿中に存在する。他の実施形態では、脂質粒子の総注射量の約20%、30%、40%超、さらには約60%、70%または80%が、注射の約8時間、12時間、24時間、36時間、または48時間後に血漿中に存在する。特定の場合には、複数の粒子の約10%超が、投与の約1時間後に哺乳類の血漿中に存在する。他の特定の場合には、脂質粒子の存在は、粒子の投与の少なくとも約1時間後に検出可能である。いくつかの実施形態では、siRNA分子の存在は、投与の約8時間後、12時間後、24時間後、36時間後、48時間後、60時間後、72時間または96時間後に細胞内で検出可能である。他の実施形態では、siRNA分子による、ウイルスまたは宿主の配列のような標的配列の発現の下方制御は、投与の約8時間後、12時間後、24時間後、36時間後、48時間後、60時間後、72または96時間後に検出可能である。さらに別の実施形態では、siRNA分子による、ウイルスまたは宿主の配列のような標的配列の発現の下方制御は、感染細胞及び/または感染し得る細胞で選択的に生じる。さらなる実施形態では、投与部位から近位または遠位にある部位の細胞におけるsiRNA分子の存在または作用は、投与から約12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、もしくは96時間後、または約6日後、8日後、10日後、12日後、14日後、16日後、18日後、19日後、20日後、22日後、24日後、26日後、もしくは28日後に検出可能である。さらなる実施形態では、本発明の脂質粒子を、非経口投与または腹腔内投与する。
本発明の組成物は、単独で、または他の好適な成分と組み合わせて、エアロゾル処方物に作製し(すなわち、「噴霧」可能)、吸入により(例えば、鼻腔内または気管内)投与することができる(Brigham et al.,Am.J.Sci.,298:278(1989)を参照されたい)。エアロゾル処方物は、許容される圧縮噴霧剤、例えばジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等の中に入れることができる。
ある実施形態では、医薬組成物は、鼻腔内スプレー、吸入、及び/または他のエアロゾル送達ビヒクルにより送達してよい。点鼻エアロゾルスプレーにより核酸組成物を直接肺に送達する方法は、例えば、米国特許第5,756,353号及び同第5,804,212号に記載されている。同様に、鼻腔内微小粒子樹脂及びリゾホスファチジル−グリセロール化合物(米国特許第5,725,871号)を使用する薬物送達もまた製薬分野で周知である。同様に、ポリテトラフルオロエテイレン(polytetrafluoroetheylene)支持マトリックス形態での経粘膜薬物送達が、米国特許第5,780,045号に記載されている。上記特許の開示内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
例えば、関節内(関節の中)経路、静脈内経路、筋肉内経路、皮内経路、腹腔内経路、及び皮下経路による非経口投与に好適な処方物には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び処方物を投与対象者の血液と等張にする溶質を含有できる、水溶性及び非水溶性の等張性無菌注射液、ならびに、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、及び防腐剤を含むことができる、水溶性及び非水溶性の無菌懸濁剤が挙げられる。本発明の実施に際し、好ましくは、組成物を、例えば、静脈内注入、経口投与、局所投与、腹腔内投与、膀胱内投与、または髄腔内投与する。
一般に、静脈内に投与する場合、脂質粒子処方物は、好適な医薬担体を用いて処方する。多くの薬理学的に許容される担体を本発明の組成物及び方法において使用してよい。本発明での使用に好適な処方物は、例えば、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES,Mack Publishing Company,Philadelphia,PA,17th ed.(1985)に見出される。例えば、水、緩衝水、0.4%食塩液、0.3%グリシン等の多種多様な水性担体を使用して良く、また、それらには、安定性を高めるための糖タンパク質、例えば、アルブミン、リポタンパク質、グロブリン等が含まれてよい。一般に、薬理学的に許容される担体として通常の緩衝生理食塩水(135〜150mM NaCl)が使用されるが、他の好適な担体でも十分である。これらの組成物は、ろ過等の従来のリポソーム滅菌技術により滅菌可能である。組成物は、生理的条件に近づけるために必要とされる薬理学的に許容される助剤、例えば、pH調整剤及び緩衝剤、等張化剤、湿潤剤等、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び塩化カルシウム、ソルビタンモノラウラート、オレイン酸トリエタノールアミンを含有してよい。これらの組成物は、上述の技術を使用して滅菌可能であり、または代替として、無菌条件下でそれらを製造することができる。得られた水溶液は、使用のためにパッケージ化しても、または無菌条件下でろ過して凍結乾燥し、投与前にその凍結乾燥した調製物と滅菌水溶液とを混合してもよい。
特定の用途では、本明細書に開示する脂質粒子を、経口投与により個体に送達してよい。粒子を添加物と一体化させ、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ剤、カプセル、丸剤、薬用ドロップ、エリキシル剤、洗口剤、懸濁液、経口スプレー、シロップ、ウエハース等の形態で使用してよい(例えば、あらゆる目的のために参照によりその開示内容全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,641,515号、同第5,580,579号、及び同第5,792,451号を参照されたい)。これらの経口剤は、結合剤、ゼラチン、添加物、滑沢剤、及び/または香味剤も含有してよい。単位剤形がカプセルの場合は、カプセルは上記材料に加えて液状担体を含有してよい。他のさまざまな材料が、コーティング剤として、またはさもなければ投与単位の物理的形態を改変するために存在してよい。もちろん、任意の単位剤形の調製に使用される任意の材料も、薬理学的に純粋であり、かつ使用される量では実質的に非毒性でなければならない。
典型的に、これらの経口処方物は、少なくとも約0.1%またはそれ以上の脂質粒子を含有してよいが、粒子のパーセンテージは、もちろん変化する場合があり、好都合には、処方物の総重量もしくは容量の、約1%もしくは2%〜約60%もしくは70%以上であってよい。当然ながら、所与のいかなる単位用量の化合物でも好適な用量が得られるように、治療的に有用な組成物それぞれの粒子量を調製してよい。溶解度、生物学的利用能、生物学的半減期、投与経路、製剤有効期間といった諸因子、及び他の薬理学的に考慮事項は、このような医薬処方物を調製する分野の当業者により考慮されることになり、したがって、さまざまな用量及び治療レジメンが望ましい場合がある。
経口投与に好適な処方物は、(a)液剤、例えば、水、食塩液、またはPEG400等の希釈剤に懸濁させた有効量のパッケージsiRNA分子(例えば、表Aに記載のsiRNA分子);(b)所定量のsiRNA分子を液体、固形、顆粒、またはゼラチンとしてそれぞれ含有する、カプセル、小袋、または錠剤;(c)懸濁剤を含む適切な液体;及び(d)好適なエマルジョンからなり得る。錠剤形態には、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、微結晶セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及び他の添加物、着色剤、賦形剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、香味剤、染料、崩壊剤、及び薬理学的に適合性のある担体のうち1つ以上が含まれ得る。薬用ドロップ形態は、香味、例えば、スクロース中にsiRNA分子を含むことができ、同様に、香錠は、siRNA分子に加えて、当技術分野で公知の担体を含有しているゼラチン及びグリセリンまたはスクロース及びアカシアのエマルジョン、ゲル等のような不活性基剤中に治療用核酸を含む。
それらの別の使用例では、脂質粒子を、広範な局所剤形に組み込むことができる。例えば、核酸−脂質粒子を含有する懸濁液を、ゲル、油剤、エマルジョン、局所クリーム、ペースト、軟膏、ローション、フォーム、ムース等として処方して投与することができる。
本発明の脂質粒子の医薬調製剤を調製する場合、空の粒子またはsiRNA等の治療剤が外部表面と会合した粒子を低減または排除するよう精製された多量の粒子を使用することが好ましい。
本発明の方法は、多種多様な宿主で実施してよい。好ましい宿主には、哺乳類種、例えば、霊長類(例えば、ヒト及びチンパンジー、ならびに他のヒト以外の霊長類)、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類(例えば、ラット及びマウス)、ウサギ、及びブタが挙げられる。
投与される粒子量は、siRNA分子対脂質比、使用する具体的なsiRNA、治療するHBVの菌株、患者の年齢、体重、及び状態、ならびに臨床医の判断によって決定されることになるが、一般に、体重1キログラムあたり約0.01〜約50mg、好ましくは体重1kgあたり約0.1〜約5mg、または1投与あたり約108〜1010粒子(例えば、注射)となる。
B.インビトロ投与
インビトロ用途の場合、siRNA分子は、培養で増殖したあらゆる細胞に対して送達することが可能である。好ましい実施形態では、細胞は動物細胞であり、より好ましくは哺乳類の細胞、最も好ましくはヒト細胞である。
細胞と脂質粒子との接触は、インビトロの場合は、生物学的に適合性のある培地で行われる。粒子の濃度は、具体的な用途に応じて大きく異なるが、一般に、約1μmol〜約10mmolである。脂質粒子を用いた細胞の処理は、一般に、生理的な温度(約37℃)で約1〜48時間、好ましくは約2〜4時間にわたって行われる。
好ましい実施形態の一群では、脂質粒子懸濁液を、細胞密度が約103〜約105細胞/ml、より好ましくは約2×104細胞/mlの60〜80%コンフルエントな状態に播種した細胞に添加する。細胞に添加する懸濁液の濃度は、好ましくは約0.01〜0.2μg/ml、より好ましくは約0.1μg/mlである。
細胞の組織培養が必要とされ得る程度は、当技術分野で周知である。例えば、Freshney,Culture of Animal Cells,a Manual of Basic Technique、3rd Ed.、Wiley−Liss、New York(1994)、Kuchler et al.,Biochemical Methods in Cell Culture and Virology,Dowden,Hutchinson and Ross,Inc.(1977)、及びその中で引用されている参考文献は、細胞培養の一般指針を提供している。培養された細胞系は、単層形態の細胞となることが多いが、細胞懸濁液も使用される。
エンドソーム放出パラメータ(ERP)アッセイを用いて、本発明の核酸−脂質粒子の送達効率を最適化することができる。ERPアッセイは、米国特許公開第20030077829号に詳述されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。より詳細には、ERPアッセイの目的は、脂質粒子のさまざまなカチオン性脂質及びヘルパー脂質成分が、エンドソーム膜の結合/取り込み、またはエンドソーム膜との融合/エンドソーム膜の不安定化に対して及ぼす相対的効果に基づいて、かかるカチオン性脂質及びヘルパー脂質成分の効果を識別することである。このアッセイにより、脂質粒子の各成分が送達効率にどのように影響を与えるかを定量的に測定することができるため、脂質粒子を最適化することができる。通常、ERPアッセイでは、レポータータンパク質(例えば、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)等)の発現を測定するが、場合によっては、発現プラスミドについて最適化された脂質粒子処方物も、siRNAの封入に適切なものとなる。他の場合には、ERPアッセイは、siRNAの存在下または非存在下における標的配列の転写または翻訳の下方制御を測定するよう適応させることができる。各種の脂質粒子それぞれについてのERPを比較することにより、最適化されている系、例えば、細胞内の取り込みが最大の脂質粒子を容易に決定することができる。
C.脂質粒子の検出
いくつかの実施形態では、本発明の脂質粒子は、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間またはそれ以上の時間、対象において検出可能である。他の実施形態では、本発明の脂質粒子は、粒子の投与約8時間、12時間、24時間、48時間、60時間、72時間、もしくは96時間、または約6日、8日、10日、12日、14日、16日、18日、19日、22日、24日、25日、もしくは28日後に対象において検出可能である。粒子の存在は、対象から得た細胞、組織、または他の生体試料において検出され得る。粒子は、例えば、粒子の直接検出、siRNA配列の検出、対象標的配列の検出(すなわち、対象配列の発現または発現抑制の検出)、EBOVタンパク質(例えば、インターフェロン)で修飾されている化合物の検出、対象におけるウイルス量の検出、またはその組み合わせによって検出されてよい。
1.粒子の検出
本発明の脂質粒子は、当技術分野で公知の任意の方法を用いて検出され得る。例えば、標識を、当技術分野で周知の方法を使用して直接的にまたは間接的に脂質粒子の成分に結合させることができる。多種多様な標識を使用することができ、必要とされる感度、脂質粒子成分との複合体形成の容易さ、安定性要件、ならびに利用可能な計測器及び廃棄規定に応じて標識を選択する。好適な標識には、スペクトル標識、例えば、蛍光色素(例えば、フルオレセイン及び誘導体、例えばフルオレセインイソチオシアナート(FITC)及びOregon Green(商標);ローダミン及び誘導体、例えば、Texas red、テトラロージミンイソチオシナート(tetrarhodimine isothiocynate)(TRITC)等、ジゴキシゲニン、ビオチン、フィコエリスリン、AMCA、CyDyes(商標)等;放射標識、例えば、3H、125I、35S、14C、32P、33P等;酵素、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等;スペクトル比色分析標識、例えば、コロイド金もしくは着色ガラスまたはプラスチックビーズ、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス等が挙げられるが、これに限定されるものではない。標識は、当技術分野で公知の任意の手段を用いても検出され得る。
2.核酸の検出
核酸(例えば、siRNA分子)は、本明細書では、当業者に周知の多数の手段のうちのいずれかの手段により検出されて定量化される。核酸の検出は、周知の方法、例えばサザン解析、ノーザン解析、ゲル電気泳動、PCR、放射標識、シンチレーション計測、及びアフィニティクロマトグラフィにより開始されてもよい。さらなる生化学的分析法、例えば、分光測光法、X線撮影、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、及び高拡散(hyperdiffusion)クロマトグラフィーを用いてもよい。
核酸ハイブリダイゼーションフォーマットの選択は重要ではない。さまざまな核酸ハイブリダイゼーションフォーマットが当業者に公知である。例えば、一般的なフォーマットには、サンドイッチアッセイ、及び競合または置換アッセイが挙げられる。ハイブリダイゼーション技術は、例えば、“Nucleic Acid Hybridization,A Practical Approach,” Eds.Hames and Higgins,IRL Press(1985)に概説されている。
ハイブリダイゼーションアッセイの感度を、検出する標的核酸を増やす核酸増幅システムを使用することにより高めてよい。分子プローブとして使用する配列を増幅させる、またはその後のサブクローニング用の核酸断片を作製するために好適なインビトロでの増幅技術が公知である。そのようなインビトロでの増幅方法によって当業者を導くのに十分な技術の例には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、Qβ−レプリカーゼ増幅、及び他のRNAポリメラーゼを介在させる技術(例えば、NASBA(商標))が挙げられるが、これらはSambrook et al.、In Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2000);及びAusubel et al.、SHORT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,eds.,Current Protocols,Greene Publishing Associates,Inc.and John Wiley & Sons,Inc.(2002);ならびに、米国特許第4,683,202号;PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications(Innis et al.eds.) Academic Press Inc.San Diego,CA(1990);Arnheim & Levinson(October 1,1990),C&EN 36;The Journal Of NIH Research,3:81(1991);Kwoh et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:1173(1989);Guatelli et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:1874(1990);Lomell et al.,J.Clin.Chem.,35:1826(1989);Landegren et al.,Science,241:1077(1988);Van Brunt,Biotechnology,8:291(1990);Wu and Wallace,Gene,4:560(1989);Barringer et al.,Gene,89:117(1990);及びSooknanan and Malek,Biotechnology,13:563(1995)に見出される。インビトロで増幅された核酸をクローニングする改善された方法は、米国特許第5,426,039号に記載されている。当技術分野で説明される他の方法は、核酸配列に基づく増幅(NASBA(商標)、Cangene,Mississauga,Ontario)及びQβ−レプリカーゼ系である。PCRまたはLCRのプライマーは、選択配列が存在する場合にのみ伸長または連結するよう設計されている場合、これらの系を使用して変異体を直接同定することができる。代替として、選択配列を、一般に、例えば非特異的PCRプライマーを使用して増幅させ、その増幅させた標的領域を、変異を示す特異配列について後でプローブすることができる。上記の参考文献の開示内容は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
例えば、インビトロ増幅法でプローブとして使用する核酸、遺伝子プローブとして使用する核酸、または阻害成分として使用する核酸は、典型的に、Beaucage et al.,Tetrahedron Letts.,22:1859 1862(1981)により記載されている固相アミド亜リン酸トリエステル法(phosphoramidite triester method)にしたがって、例えば、Needham VanDevanter et al.,Nucleic Acids Res.,12:6159(1984)に記載のような自動合成装置を使用して化学的に合成される。必要に応じて、ポリヌクレオチドの精製を、典型的には、未変性アクリルアミドゲル電気泳動またはPearson et al.,J.Chrom.,255:137 149(1983)に記載のような陰イオン交換HPLCのいずれかにより実施する。合成ポリヌクレオチドの配列は、Maxam and Gilbert(1980)in Grossman and Moldave(eds.) Academic Press,New York,Methods in Enzymology,65:499の化学的分解法を使用して確認することができる。
転写レベルを測定する代替手段はインサイチュハイブリダイゼーションである。インサイチュハイブリダイゼーションアッセイは周知であり、Angerer et al.,Methods Enzymol.,152:649(1987)に概説されている。インサイチュハイブリダイゼーションアッセイでは、固体支持体、典型的にはスライドガラスに細胞を固定する。DNAをプローブする場合は、細胞を熱またはアルカリで変性させる。その後、細胞を中温でハイブリダイゼーション溶液と接触させ、標識された特定のプローブをアニーリングする。好ましくは、プローブを、放射性同位体または蛍光レポーターで標識する。
本発明を、具体的な実施例により詳細に説明する。以下の実施例は、例示のために記載されるものであり、いかなる形においても本発明を限定するものではない。当業者は、変更または修正しても本質的に同一の結果が得られる、重要ではない多種多様なパラメータを容易に理解するであろう。
実施例1.
本実施例では、表Aに記載されている15のsiRNA配列のHBV遺伝子サイレンシング活性を試験するために使用するバイオアッセイについて説明する。
HBVゲノム配列(受託番号EU939600.1)を候補siRNAすべてに完全に一致するよう編集した。具体的には、候補siRNAの標的部位を含有する、配列領域それぞれの5'及び3'両末端の30bpの隣接配列を含めた、4配列領域、すなわち、212〜803、1062〜1922、2237〜2460、及び2783〜2862をインシリコで結合させた。すべての候補siRNAが、この合成のコンセンサスHBV標的断片に完全に相補的となるよう、6つの変異を挿入した(EU939600.1に対し、454位 C>T;598位 T>C;1206位 A>C;1287位 A>C;及び1461位 G>C)。合成のコンセンサスHBV標的断片は、psiCHECK−2 Dual Luciferaseベクターに容易にクローニングするため、制限酵素部位XhoI及びNotIをそれぞれ5'及び3'末端に付加して合成した。XhoI/NotIクローニング部位は、psiCHECK−2 Dual Luciferaseベクターのウミシイタケルシフェラーゼの終止コドンとポリアデニル化シグナルとの間のものである。
Dual−Gloアッセイシステム(Promega,Madison,WI,USA)で、ホタルルシフェラーゼ(F−Luc)活性と比べた、ウミシイタケルシフェラーゼ(R−Luc)活性の低下を測定することにより、候補siRNAのHBV遺伝子サイレンシング活性を試験した。簡潔に述べると、Cos−7細胞を、1ウェルあたり25,000細胞の密度で96ウェルプレートに播種し、Lipofectamine2000を使用して1ウェルあたり100ngのレポータープラスミドでトランスフェクトした。37℃/5%CO2で4時間のインキュベーションの後、培地を除去し、Cos−7細胞をHBV siRNAでさまざまな濃度にて4通りトランスフェクトし、その後、上記の条件でさらに20時間インキュベーションを行った。発光を検出して両ルシフェラーゼの発現を測定した。HBV−siRNA処理試料のR−Luc/F−Lucの発現を、陰性(標的指向ではない)のsiRNA処理細胞におけるR−Luc/F−Luc発現の平均を基準として正規化した。陽性対照として、R−Lucに対するsiRNAを含めた。50%阻害濃度(IC50)をXLfit機能(IDBS MathIQ)により計算した。
実施例2.
本実施例では、名称1m〜15m(表Aを参照されたい)のsiRNA群から選択される2つの異なるsiRNAの想定されるすべての「双方向」組み合わせについて説明する。本出願の実施例2及び3で使用する「組み合わせ」という用語は、組み合わされたsiRNA分子が、物質の同一組成物中に共に存在することを意味する(例えば、同一溶液中に共に溶解している;または同一脂質粒子内に共に存在する;または同一の脂質粒子医薬処方物内に共に存在するが、医薬処方物中の各脂質粒子は、そのsiRNA組み合わせの異なる各々のsiRNAを含んでも、含まなくてもよい)。組み合わせたsiRNA分子は、通常、互いに共有結合では連結されていない。
個々のsiRNAはそれぞれ、表Aに示すように、名称1m〜15mで識別される。組み合わせ内の各siRNA番号はダッシュ(−)で区切られ、例えば、表記「1m−2m」は、siRNA番号1mとsiRNA番号2mとの組み合わせを表す。ダッシュは、組み合わせ内の異なるsiRNA分子が互いに共有結合で結合していることを意味するものではない。siRNAの各種組み合わせはセミコロンで区切られる。組み合わせ内のsiRNA番号の順序は重要ではない。例えば、組み合わせ1m−2mは、組み合わせ2m−1mと等しいが、これは、いずれの表記もsiRNA番号1mとsiRNA番号2mとの同じ組み合わせを表すためである。
本実施例に記載のsiRNAの組み合わせは、例えば、ヒトにおいてHBV感染及び/またはHDV感染を治療するため、かつHBV感染及び/またはHDV感染に関連する少なくとも1つの症状を改善するために本発明を実施する際に有用である。
siRNA1m〜siRNA15mのsiRNAの双方向組み合わせは、1m−2m;1m−3m;1m−4m;1m−5m;1m−6m;1m−7m;1m−8m;1m−9m;1m−10m;1m−11m;1m−12m;1m−13m;1m−14m;1m−15m;2m−3m;2m−4m;2m−5m;2m−6m;2m−7m;2m−8m;2m−9m;2m−10m;2m−11m;2m−12m;2m−13m;2m−14m;2m−15m;3m−4m;3m−5m;3m−6m;3m−7m;3m−8m;3m−9m;3m−10m;3m−11m;3m−12m;3m−13m;3m−14m;3m−15m;4m−5m;4m−6m;4m−7m;4m−8m;4m−9m;4m−10m;4m−11m;4m−12m;4m−13m;4m−14m;4m−15m;5m−6m;5m−7m;5m−8m;5m−9m;5m−10m;5m−11m;5m−12m;5m−13m;5m−14m;5m−15m;6m−7m;6m−8m;6m−9m;6m−10m;6m−11m;6m−12m;6m−13m;6m−14m;6m−15m;7m−8m;7m−9m;7m−10m;7m−11m;7m−12m;7m−13m;7m−14m;7m−15m;8m−9m;8m−10m;8m−11m;8m−12m;8m−13m;8m−14m;8m−15m;9m−10m;9m−11m;9m−12m;9m−13m;9m−14m;9m−15m;10m−11m;10m−12m;10m−13m;10m−14m;10m−15m;11m−12m;11m−13m;11m−14m;11m−15m;12m−13m;12m−14m;12m−15m;13m−14m;13m−15m;及び14m−15mである。
実施例3.
本実施例では、名称1m〜15m(表Aを参照されたい)のsiRNA分子群から選択される異なる3つのsiRNAの想定されるすべての「3方向」組み合わせについて説明する。個々のsiRNAはそれぞれ、表Aに示すように、名称1m〜15mで識別される。各siRNA番号はダッシュ(−)で区切られ、例えば、表記「1m−2m−3m」は、siRNA番号1m、siRNA番号2m、及びsiRNA番号3mの組み合わせを表す。ダッシュは、組み合わせ内の異なるsiRNA分子が互いに共有結合で結合していることを意味するものではない。siRNAの各種組み合わせはセミコロンで区切られる。組み合わせ内のsiRNA番号の順序は重要ではない。例えば、組み合わせ1m−2m−3mは、組み合わせ3m−2m−1mに等しいが、これは、これらの表記のいずれもsiRNA番号1mとsiRNA番号2mとsiRNA番号3mとの同じ組み合わせを表すためである。
本実施例に記載のsiRNAの組み合わせは、例えば、ヒトにおいてHBV感染及び/またはHDV感染を治療するため、かつHBV感染及び/またはHDV感染に関連する少なくとも1つの症状を改善するために本発明を実施する際に有用である。
siRNA1m〜siRNA15mのsiRNAの3方向組み合わせは、1m−2m−3m;1m−2m−4m;1m−2m−5m;1m−2m−6m;1m−2m−7m;1m−2m−8m;1m−2m−9m;1m−2m−10m;1m−2m−11m;1m−2m−12m;1m−2m−13m;1m−2m−14m;1m−2m−15m;1m−3m−4m;1m−3m−5m;1m−3m−6m;1m−3m−7m;1m−3m−8m;1m−3m−9m;1m−3m−10m;1m−3m−11m;1m−3m−12m;1m−3m−13m;1m−3m−14m;1m−3m−15m;1m−4m−5m;1m−4m−6m;1m−4m−7m;1m−4m−8m;1m−4m−9m;1m−4m−10m;1m−4m−11m;1m−4m−12m;1m−4m−13m;1m−4m−14m;1m−4m−15m;1m−5m−6m;1m−5m−7m;1m−5m−8m;1m−5m−9m;1m−5m−10m;1m−5m−11m;1m−5m−12m;1m−5m−13m;1m−5m−14m;1m−5m−15m;1m−6m−7m;1m−6m−8m;1m−6m−9m;1m−6m−10m;1m−6m−11m;1m−6m−12m;1m−6m−13m;1m−6m−14m;1m−6m−15m;1m−7m−8m;1m−7m−9m;1m−7m−10m;1m−7m−11m;1m−7m−12m;1m−7m−13m;1m−7m−14m;1m−7m−15m;1m−8m−9m;1m−8m−10m;1m−8m−11m;1m−8m−12m;1m−8m−13m;1m−8m−14m;1m−8m−15m;1m−9m−10m;1m−9m−11m;1m−9m−12m;1m−9m−13m;1m−9m−14m;1m−9m−15m;1m−10m−11m;1m−10m−12m;1m−10m−13m;1m−10m−14m;1m−10m−15m;1m−11m−12m;1m−11m−13m;1m−11m−14m;1m−11m−15m;1m−12m−13m;1m−12m−14m;1m−12m−15m;1m−13m−14m;1m−13m−15m;1m−14m−15m;2m−3m−4m;2m−3m−5m;2m−3m−6m;2m−3m−7m;2m−3m−8m;2m−3m−9m;2m−3m−10m;2m−3m−11m;2m−3m−12m;2m−3m−13m;2m−3m−14m;2m−3m−15m;2m−4m−5m;2m−4m−6m;2m−4m−7m;2m−4m−8m;2m−4m−9m;2m−4m−10m;2m−4m−11m;2m−4m−12m;2m−4m−13m;2m−4m−14m;2m−4m−15m;2m−5m−6m;2m−5m−7m;2m−5m−8m;2m−5m−9m;2m−5m−10m;2m−5m−11m;2m−5m−12m;2m−5m−13m;2m−5m−14m;2m−5m−15m;2m−6m−7m;2m−6m−8m;2m−6m−9m;2m−6m−10m;2m−6m−11m;2m−6m−12m;2m−6m−13m;2m−6m−14m;2m−6m−15m;2m−7m−8m;2m−7m−9m;2m−7m−10m;2m−7m−11m;2m−7m−12m;2m−7m−13m;2m−7m−14m;2m−7m−15m;2m−8m−9m;2m−8m−10m;2m−8m−11m;2m−8m−12m;2m−8m−13m;2m−8m−14m;2m−8m−15m;2m−9m−10m;2m−9m−11m;2m−9m−12m;2m−9m−13m;2m−9m−14m;2m−9m−15m;2m−10m−11m;2m−10m−12m;2m−10m−13m;2m−10m−14m;2m−10m−15m;2m−11m−12m;2m−11m−13m;2m−11m−14m;2m−11m−15m;2m−12m−13m;2m−12m−14m;2m−12m−15m;2m−13m−14m;2m−13m−15m;2m−14m−15m;3m−4m−5m;3m−4m−6m;3m−4m−7m;3m−4m−8m;3m−4m−9m;3m−4m−10m;3m−4m−11m;3m−4m−12m;3m−4m−13m;3m−4m−14m;3m−4m−15m;3m−5m−6m;3m−5m−7m;3m−5m−8m;3m−5m−9m;3m−5m−10m;3m−5m−11m;3m−5m−12m;3m−5m−13m;3m−5m−14m;3m−5m−15m;3m−6m−7m;3m−6m−8m;3m−6m−9m;3m−6m−10m;3m−6m−11m;3m−6m−12m;3m−6m−13m;3m−6m−14m;3m−6m−15m;3m−7m−8m;3m−7m−9m;3m−7m−10m;3m−7m−11m;3m−7m−12m;3m−7m−13m;3m−7m−14m;3m−7m−15m;3m−8m−9m;3m−8m−10m;3m−8m−11m;3m−8m−12m;3m−8m−13m;3m−8m−14m;3m−8m−15m;3m−9m−10m;3m−9m−11m;3m−9m−12m;3m−9m−13m;3m−9m−14m;3m−9m−15m;3m−10m−11m;3m−10m−12m;3m−10m−13m;3m−10m−14m;3m−10m−15m;3m−11m−12m;3m−11m−13m;3m−11m−14m;3m−11m−15m;3m−12m−13m;3m−12m−14m;3m−12m−15m;3m−13m−14m;3m−13m−15m;3m−14m−15m;4m−5m−6m;4m−5m−7m;4m−5m−8m;4m−5m−9m;4m−5m−10m;4m−5m−11m;4m−5m−12m;4m−5m−13m;4m−5m−14m;4m−5m−15m;4m−6m−7m;4m−6m−8m;4m−6m−9m;4m−6m−10m;4m−6m−11m;4m−6m−12m;4m−6m−13m;4m−6m−14m;4m−6m−15m;4m−7m−8m;4m−7m−9m;4m−7m−10m;4m−7m−11m;4m−7m−12m;4m−7m−13m;4m−7m−14m;4m−7m−15m;4m−8m−9m;4m−8m−10m;4m−8m−11m;4m−8m−12m;4m−8m−13m;4m−8m−14m;4m−8m−15m;4m−9m−10m;4m−9m−11m;4m−9m−12m;4m−9m−13m;4m−9m−14m;4m−9m−15m;4m−10m−11m;4m−10m−12m;4m−10m−13m;4m−10m−14m;4m−10m−15m;4m−11m−12m;4m−11m−13m;4m−11m−14m;4m−11m−15m;4m−12m−13m;4m−12m−14m;4m−12m−15m;4m−13m−14m;4m−13m−15m;4m−14m−15m;5m−6m−7m;5m−6m−8m;5m−6m−9m;5m−6m−10m;5m−6m−11m;5m−6m−12m;5m−6m−13m;5m−6m−14m;5m−6m−15m;5m−7m−8m;5m−7m−9m;5m−7m−10m;5m−7m−11m;5m−7m−12m;5m−7m−13m;5m−7m−14m;5m−7m−15m;5m−8m−9m;5m−8m−10m;5m−8m−11m;5m−8m−12m;5m−8m−13m;5m−8m−14m;5m−8m−15m;5m−9m−10m;5m−9m−11m;5m−9m−12m;5m−9m−13m;5m−9m−14m;5m−9m−15m;5m−10m−11m;5m−10m−12m;5m−10m−13m;5m−10m−14m;5m−10m−15m;5m−11m−12m;5m−11m−13m;5m−11m−14m;5m−11m−15m;5m−12m−13m;5m−12m−14m;5m−12m−15m;5m−13m−14m;5m−13m−15m;5m−14m−15m;6m−7m−8m;6m−7m−9m;6m−7m−10m;6m−7m−11m;6m−7m−12m;6m−7m−13m;6m−7m−14m;6m−7m−15m;6m−8m−9m;6m−8m−10m;6m−8m−11m;6m−8m−12m;6m−8m−13m;6m−8m−14m;6m−8m−15m;6m−9m−10m;6m−9m−11m;6m−9m−12m;6m−9m−13m;6m−9m−14m;6m−9m−15m;6m−10m−11m;6m−10m−12m;6m−10m−13m;6m−10m−14m;6m−10m−15m;6m−11m−12m;6m−11m−13m;6m−11m−14m;6m−11m−15m;6m−12m−13m;6m−12m−14m;6m−12m−15m;6m−13m−14m;6m−13m−15m;6m−14m−15m;7m−8m−9m;7m−8m−10m;7m−8m−11m;7m−8m−12m;7m−8m−13m;7m−8m−14m;7m−8m−15m;7m−9m−10m;7m−9m−11m;7m−9m−12m;7m−9m−13m;7m−9m−14m;7m−9m−15m;7m−10m−11m;7m−10m−12m;7m−10m−13m;7m−10m−14m;7m−10m−15m;7m−11m−12m;7m−11m−13m;7m−11m−14m;7m−11m−15m;7m−12m−13m;7m−12m−14m;7m−12m−15m;7m−13m−14m;7m−13m−15m;7m−14m−15m;8m−9m−10m;8m−9m−11m;8m−9m−12m;8m−9m−13m;8m−9m−14m;8m−9m−15m;8m−10m−11m;8m−10m−12m;8m−10m−13m;8m−10m−14m;8m−10m−15m;8m−11m−12m;8m−11m−13m;8m−11m−14m;8m−11m−15m;8m−12m−13m;8m−12m−14m;8m−12m−15m;8m−13m−14m;8m−13m−15m;8m−14m−15m;9m−10m−11m;9m−10m−12m;9m−10m−13m;9m−10m−14m;9m−10m−15m;9m−11m−12m;9m−11m−13m;9m−11m−14m;9m−11m−15m;9m−12m−13m;9m−12m−14m;9m−12m−15m;9m−13m−14m;9m−13m−15m;9m−14m−15m;10m−11m−12m;10m−11m−13m;10m−11m−14m;10m−11m−15m;10m−12m−13m;10m−12m−14m;10m−12m−15m;10m−13m−14m;10m−13m−15m;10m−14m−15m;11m−12m−13m;11m−12m−14m;11m−12m−15m;11m−13m−14m;11m−13m−15m;11m−14m−15m;12m−13m−14m;12m−13m−15m;12m−14m−15m;及び13m−14m−15mである。
実施例4.
本実施例では、個々のHBV siRNA分子について免疫刺激プロファイルを確立した方法について説明する。
ヒト全血を健常成人ボランティアから採取して個々のヘパリン含有バキュテナーに入れた。凝固を防ぐため、採血管を8回反転させ、滅菌生理食塩水と1:1で混合してから、この混合物180マイクロリットル(μL)を透明なポリステレン(polysterene)製96ウェル組織培養プレートに播種した。同時に、PBSを希釈剤として使用して、LNP処方siRNA分子それぞれの10倍希釈溶液を調製した。20マイクロリットルの10倍希釈したLNP処方siRNAをそれぞれ、血液:食塩液180μLを含有するウェルに添加して、siRNAの最終濃度を600nMとした。各siRNA分子を各ドナーについてウェルで3通り試験した。単離されたヒト血液を個々のsiRNA分子で37℃にて5%CO2で24時間インキュベートした。インキュベーション後、インキュベーションプレートを1200rpmで20分回転させて血漿を回収した。各ウェルから少なくとも125μLの血漿を回収して96ウェル滅菌プレートに移し、透明なアセテート製プレートシールで密封した。
Luminexアッセイ(Luminex Corp、Austin TX、USA)で、PBS単独でインキュベートしたヒト全血の場合と比較した、ヒトインターフェロンアルファ2(IFNα2)、インターロイキン1受容体アンタゴニスト(IL−1RA)、インターロイキン6(IL−6)、及び単球走化性タンパク質−1(MCP−1)の相対的誘導レベルを定量化して、各siRNA分子についての免疫刺激プロファイルを作製した。Luminex200システムでデータを取得し、xPonent3.1.871.0ソフトウェアを使用し、標準曲線に当てはめたロジスティックの5−パラメータ加重を用いて内挿を行った。ヒト全血を3通りプールし、アッセイしてそれを技術的に反復した。表1のデータは、ドナー12人由来のPBS処理血液の倍率変化の平均値である。化学的に修飾されていないsiRNA(S鎖配列5'−3':GAAGGCCAGACGCGAAUUATT;配列番号31)がこの実験の陽性対照として使用され、これにより、示されているサイトカインについての上記PBS処理血液の増加倍率は、25.1(IFNα2);14.3(IL−1RA);1,226.5(IL−6);及び51.6(MCP−1)となった。
実施例5.
HBV siRNAのセンス(S)鎖が、RNAi遺伝子ノックダウンを引き起き起こす能力を有するか否かを評価する手段として、S鎖のサイレンシングに対するセンサーとして機能する、ルシフェラーゼを用いたレポータープラスミドを構築した。S鎖サイレンシングが及ぼす可能性のある影響としては、本明細書に記載するHBV siRNAのS鎖に対する相補性を有している内在性遺伝子に及ぼす、意図しない、または望ましくない「オフターゲット」効果が挙げられる。理想的なsiRNAは、S鎖遺伝子サイレンシング能を示さない。
S鎖センサーのレポータープラスミドを構築するため、実施例1に記載のHBV標的断片を、psi−CHECK2プラスミドベクターの、ウミシイタケルシフェラーゼ終止コドンとポリアデニル化シグナルの間に、逆相補方向にクローニングした。こうして得られる「psi−HBV BACKWARD」と命名されるプラスミドは、S鎖によるRNAiサイレンシングのみが許容されるが、アンチセンス鎖では許容されない、ウミシイタケルシフェラーゼ−HBV mRNAの転写を行う。注目すべきことに、RNAi遺伝子サイレンシング効果は、標的mRNAと当該siRNA鎖との間に完全な相補性が存在する場合に最も頑健であることから、このレポーター設計により、S鎖の任意のサイレンシング能を観察できる可能性が最も高い機会が提供される。部分的な相補性では、遺伝子サイレンシングが弱いか、または全く起こらないと考えられる。アノテーションされた内在性ヒトmRNAは、表Aに列挙したsiRNAのS鎖に完全に相補的なものはない。
Dual Luciferase Reporter(DLR)アッセイシステム(Promega,Madison,WI,USA)で、ホタルルシフェラーゼ(FLuc)活性と比べたウミシイタケルシフェラーゼ(RLuc)活性の低下を測定することにより、HBV siRNAの遺伝子サイレンシング活性を試験した。96ウェルプレートのリバーストランスフェクション法にCos−7細胞を使用した。各ウェルに、25,000細胞及び40ngプラスミド、さらに指定濃度のsiRNAとLipofectamine2000との複合体を含有させた。37℃/5%CO2で24時間インキュベーションした後、培地を除去し、細胞を発光測定のために処理した。Dual Luciferase(登録商標)Reporterキットから、passive lysis buffer(1倍濃縮)50ulを各ウェルに添加し、遮光し、100 rpmで30分間振盪した。溶解液を、発光の検出により両ルシフェラーゼの発現について評価した。RLuc/FLuc比を計算し、プラスミドのみでトランスフェクトした細胞(「陰性対照」)を基準として正規化した。
報告データは3通りトランスフェクトしたウェルの平均値である(表2)。RLuc/FLuc対陰性対照の%値が100の場合は、遺伝子サイレンシングがないことを指す。
実験試料と同一用量でウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子を直接標的とする陽性対照siRNAでは、RLuc/FLuc対陰性対照との平均%値はそれぞれ、16.1、37.3、及び91.1であった。
本実施例に開示する細胞型、トランスフェクション方法、及び用量レベルを使用した、示されるsiRNAの正確な(on−target)遺伝子サイレンシング(すなわち、「psi−HBV」レポータープラスミドを使用するもの)は、以下のRLuc/FLuc対陰性対照の%値を示し、この細胞型及びトランスフェクション条件において、これらのsiRNAの正確なサイレンシングが実際に機能的であることを実証している。
3m:用量レベル50ng/ml、5ng/ml、及び1ng/mlそれぞれにおいて9.7、18.2、54.7;ならびに
12m:用量レベル50ng/ml、5ng/ml、及び1ng/mlそれぞれにおいて11:2、24.9、59.5であった。
以上を総合すると、これらの結果は、本明細書に記載するHBV siRNAのS鎖は、明らかなRNAi遺伝子サイレンシング能を示さないことを指している。したがって、S鎖が、内在性遺伝子の望ましくないサイレンシングを誘発する可能性は低いかまたはごくわずかである。