本発明は、3次元物品に直接印刷する装置と方法、並びにこれらにより印刷されるか、又は物質をその上部に沈着させた物品を含む、物質を物品に沈着させる装置及び方法を対象とする。本明細書では、「方法(method)」という用語を、「プロセス(process)」という用語と同じ意味で使用することがある。
図1及び2Aは、物質22を少なくとも1つの物品10上で沈着させる装置20の非限定的実施例を示す。図1及び2Aで見られるように、装置20は、物質沈着装置26が配置される少なくとも1つの位置25Aを通って、少なくとも1つの物品10を搬送する物品搬送装置24を含む。本明細書で使用されるとおり、「搬送装置(conveyor)」という用語は、一般に物品を移動させる装置に言及し、コンベヤーベルトに限定されない。
装置20を使用して、物質又は材料22を多数の異なる種類の3次元の物品10上で沈着させることが可能である。このような物品には、キャップ、クロージャ、ボトル;ボックス;缶;カートン;コンテナ;ランドリー投入ボール;レザー;レザーブレードヘッドと柄などの消費財の構成部品;スプレートリガー;タブ型容器;タンポンチューブを含むチューブ;並びにデオドラント・スティック容器があるが、これらに限定されない。この物品には、使い捨て消費財を含む、消費財用の一次包装体が挙げられ得る。他の物品には、限定されないが、ボトルキャップ、及び完成ボトル形状まで継続して吹き込まれるボトルプリフォームを含む容器又は包装体の構成部品が挙げられる。装置20を使用して、空容器、一部が満たされた容器、又は完全に満たされた容器を搬送及び印刷することができる。容器は、その全体若しくは一部が、剛性又は柔軟な構造を取ることが可能である。このような容器は、蓋が付いているか、又は蓋がなくてもよい。物品は、プラスチック、金属、及び/又はボール紙が挙げられるが、これらに限定されない任意の適切な材料から作ることが可能である。
物質沈着装置(複数)(「沈着装置」)26は、任意の適切な物質(又は、「材料」)を物品10上で沈着させることができる。適切な材料には、インク(UV−硬化性インク、及びアクリレート系インクを含む)、コーティング、並びにローションが挙げられるが、これらに限定されない。材料は、任意の適切な形態で沈着させることができる。適切な形態には、液体、粉末、並びに熱溶解物が挙げられる(後者は、加熱して流れ得る固体である)が、これらに限定されない。材料は、任意の適切なパターンで沈着させることができる。適切なパターンは、規則正しいか、又は不規則であって良く、図柄、画像、テキスト、証印、テキスチャ、機能被覆、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。沈着装置26には、インクジェットプリントヘッド、ノズル、並びに他の種類の材料沈着装置が挙げられるが、これらに限定されない任意の適切な種類の装置であってよい。
装置20と方法は、物品10と沈着装置(複数)26との間で、1つ以上の種類の相対運動を生み出すことができる。この相対運動は、(1)物品(複数)10を沈着装置26に対して移動させること、(2)沈着装置26を物品(複数)10に関連して移動させること、又は物品(複数)10と沈着装置26の双方を互いに対して移動させること、によって生み出せる。物品(複数)10と沈着装置(複数)26との間には、2つ以上の種類の相対運動が存在してもよい。この装置と方法が、物品と沈着装置との間で2つ以上の異なる種類の相対運動を生み出す場合、本明細書では、これらの相対運動を、第1種の相対運動、第2種の相対運動等と称する。
第1種の相対運動は、図1の矢印Fで示されるとおり、任意の適切な目的で供給可能である。幾つかの非限定的実施例において、搬送装置24が物品10と沈着装置26との間で、少なくとも部分的に非直線移動運動を供給する際、第1種の相対運動が生み出される。沈着装置26を通る(又は、沈着装置による「通過」)2つ以上のサイクルを物品10が受けるために、この種の相対運動を供給可能である。このような場合、沈着装置26は、地面に対して静止するか、又は固定されるか、あるいは移動できる場合もある(以下で説明する)。沈着装置26が移動可能である場合、その動きは、特定の方向や特定の量までに制限され得る。物品(複数)10は、沈着装置26により、少なくとも2度通過可能である。物品(複数)10は、沈着装置26により、限定されないが、2,3,4,5回等が挙げられるがこれらに限定されない、最大20回以上までの任意の適切な回数、通過できる。
幾つかの実施例では、物品搬送装置24を再循環ループ型式で提供することで、少なくとも一部が非直線的な運動を実現可能である。再循環ループは、任意の適切な構成であってよい。搬送装置24は、円軌道等の曲線経路、又は直線部や曲線部の双方を含む経路で、移動できる(ひいては、物品10を移動させる)ことができる。このような経路の非限定例には、円軌道、楕円軌道、レーストラック構成経路、並びに他の閉ループ経路が挙げられる。再循環ループは、その少なくとも一部の間、物品独自の軸とは異なる(例えば、ずれた)軸の周囲で物品(複数)10を移動させることを、含む。それ故、独自軸周囲の物品の回転(マンドレル上における独自軸周囲の缶の回転等)は、「再循環ループ」と見なされることはないであろう。
図1は、少なくとも1つの物品10上で物質22を印刷するなどの沈着させる装置20の非限定的実施例を示す。物品10は、沈着装置26に対する弓形経路に沿って移動する。より具体的には、図1で示す搬送装置24は、「タレット」型回転装置内の円軌道Pにおいて、物品10を移動させる。図1で見られるように、搬送装置24は、回転軸Aを有する。回転軸Aは、垂直方向(搬送装置が回転式コンベヤーのように回転するよう)、水平方向(搬送装置が観覧車の様に回転するよう)、又は水平と垂直との間の何らかの方向を含む、任意の適切な方向を向くことができる。
再循環ループによって、物品(複数)10上における材料の複数回の沈着が可能となるよう、直線移動搬送型装置よりも速い速度で(単位時間毎複数の物品)、物品(複数)を沈着装置に複数回提示することが可能である。例えば、2回通過させることで、物質を3次元物品上に沈着させるある種の平台搬送型装置は、毎分12物品の速度で印刷する。物品(複数)のサイズに応じて、本発明の方法は、毎分60個以上の物品を印刷することができる。
搬送装置24は、沈着装置26を通って物品(複数)10を搬送するための任意の適切な種類の装置であってよい。適切な搬送装置には、タレットコンベヤー、スター・ホイール・コンベヤー、トラックと、ベルトと、チェーンの形態を取り得る無限ループコンベヤー等があるが、これらに限定されない。図1、2A、及び2Bで見られるように、搬送装置24は、運搬台28、並びに運搬台28に接合する物品10用の少なくとも1つの任意の保持具30を含むことができる。「接合された(joined to)」という語句は、ある要素を他要素に直接固着することによって、その要素がこの他要素に直接固定された構成、要素を中間要素(複数)に固着してから、更に、他要素に固着することで、この要素が他要素へと間接的に固定される構成、並びにある要素が他要素と一体化する、つまり、ある要素が、本質的に他要素の一部となる構成を、包含する。2つ以上の保持具30が存在する場合、この保持具は、任意の適切な構成で運搬台28へ接合できる。適切な構成には、限定されないが、円形運搬台28の周囲の放射状の配列がある。
図1、2Aで見られるように、運搬台28は、水平面Hの大矢印Fの方向で、この場合、垂直方向の軸Aの周囲で回転可能である。図1において、回転方向Fは、右回りである。別の実施例において、回転方向は、左回りの場合もある。典型的には、搬送装置24は、沈着装置(複数)26を通る物品の通過の間、同じ方向で(場合によって、右回り、又は左回り)、回転する。かくして、搬送装置24は、沈着装置(複数)26を通過する物品の1通過の間、右回りに回転してから、別の通過の間、左回りに回転することはできるが、典型的には、このとおりではない(逆も同様)。搬送装置24は、一定速度で回転可能であるか、又は必要に応じて、回転速度は変動し得る。搬送装置24の回転は、連続的であるか、又は必要に応じて、断続的である場合もある。物品(複数)10は、物品が搬送される経路Pに沿った任意の所与の場所における物品10の移動方向(速度)を表すベクトルVを、含む。
図1、2A、及び2Bで見られるように、沈着装置26及び保持具30は、運搬台28に対する幾つかの想定される位置でよい。図1及び2Aで示される実施例において、物品10を保持する保持具30を格納する運搬台28の一部よりも上に沈着装置(複数)26を配置することが望ましい場合が、ある。図2Aにおいて、物品10は、水平面Hを移動している。物品が沈着装置26の下方にある場合、物品10の移動方向Vは、図の平面まで延びる垂直線である。このような場合において、物質22は、垂直軸Aと略平行で、かつ、物品が移動する面(この場合、水平面H)と略垂直な塗布方向Dを、有する。塗布方向Dが水平面Hと実質的に垂直であると言う場合、この塗布方向は、物品移動方向と厳密に垂直となり得るが、このとおりである必要はない。
他の実施例において、図2Bで見られるように、運搬台28は、更に、垂直軸Aの周囲で、水平面Hなどの面において回転する。この実施例では、更に、物品10は、物品が沈着装置26と隣接する場合、Vが図面の面まで延在する垂直線に相当する方向において、水平面内を移動する。だが、この実施例において、塗布方向Dは、水平面Hと平行、又は略平行であり、更に、物品10が沈着装置26と面するよう、物品保持具30は、運搬台28の周辺の側面上に配置される。このような場合、物品10は、水平面H内を移動して、物質22は、水平面Hと平行な塗布方向Dを有する(図2Aと実質的に垂直である代わりに)。だが、この実施例において、物質を物品に塗布するために、物品が沈着装置26と隣接する位置にある場合、塗布方向Dはまた、物品(複数)の移動方向と垂直であるか、又は実質的に垂直である(だが、3次元空間では別の方法による)。
他の実施例では、沈着装置(複数)26を、物品10の移動経路P内に配置できる。更に、図2A及び2Bで示されるいずれか実施例における運搬台28が、垂直面内で位置し、回転する場合(水平と垂直との間を配向する幾つかの面において)、塗布方向Dはなお、これら実施例で述べる回転面と同じ関係を有するが、回転面は、場合に応じて、垂直であるか、又は水平と垂直との間を配向する。
図3は、物質22を少なくとも1つの物品10上で沈着させる装置20の代替実施例を示す。図3で見られる実施例において、物品搬送装置24は、レーストラック構成である。この種の搬送装置は、搬送装置24及び物品10が移動経路の少なくとも一部の間回転する2本の平行軸を有する。これらの軸は、A1とA2として指定されている。図3で見られる装置20は、限定されないが、搬送装置24に対する沈着装置(複数)26の向き(水平、あるいは、垂直)と構成、並びにその上における全ての物品保持具30の構成を含む、図1、2A、及び2Bで見られる装置について上述した特性のいずれかを有することができる。図3で見られるように、このようなレーストラック実施例では、沈着装置(複数)26が、レーストラック形状経路の端部32の1つにおいて、あるいはレーストラック形状経路の側34の1つに沿って位置するかに応じて、物品(複数)10が、沈着装置(複数)26を通る曲線経路、又は直線経路のいずれか上で移動するよう、沈着装置(複数)26を構成することが可能である。いずれの場合でも、物品10が移動する経路は、依然として連続ループ内にあり、物品(複数)10が、所与の沈着装置26を2度目に移動する際(あるいは、次の回)、最初に沈着装置26を通って移動する際と同じ方向で、物品が移動する。したがって、物品10は、沈着装置26の通過ごとに逆方向で移動できるが、このとおりにならないことが典型的である。例えば、物品10は、ある通過では右回りに移動し、別の通過では左回りに移動できるが、典型的にはこのとおりではない。
図3Aは、物質を少なくとも1つの物品10上で沈着させる装置20の別の代替実施例を示す。図3Aで示される実施例において、物品搬送装置24は、実質的に円筒構成であるが、内部には、少なくとも1つの物品10用のレセプタクルを提供する凹部を有する。搬送装置24は、1、2〜20個以上のレセプタクルが備えられている。図示の実施例において、4個のレセプタクルが存在しており、それぞれが、物品10内部に含めて示されている。レセプタクルは、物品(複数)10を保持するのに適した任意の構成であってよい。図3Aで見られるように、搬送装置24は、矢印Fの方向等の軸Aの周囲を回転する。搬送装置24は、半径がRである。この実施例は、物質を沈着させる物品10の表面12の一部が、実質的に円筒の搬送装置24と同じ曲率、又は略同じ曲率の場合は特に有用である。例えば、物品の表面12のその部分は、搬送装置24の半径Rと実質的に同じ半径であり得る。(したがって、物品10の表面12の外側に面する部分は、搬送装置24と共に、円筒表面を少なくとも部分的に形成可能である(又は完全に形成する))。更に、装置20は、物品上で沈着した物質を乾燥又は硬化するための任意の装置50も有してよい。乾燥又は硬化装置50は、沈着装置26に対して搬送装置24の反対側等、搬送装置24に対して任意の適切な位置に配置可能である。
さもなければ、図3Aに示される装置は、限定されないが、搬送装置24に対する沈着装置(複数)26、及び他の機器の方向(水平又は垂直)、並びに構成を含み、図1、2A、及び2Bで示される装置について前述した特性のいずれかを含むことができる。また、搬送装置24と隣接して配置された物質沈着装置26も、移動可能である。例えば、搬送装置24は、右回転(又は左回転)可能であり、更に物質沈着装置26は、内側へ(ページの方向)、及び/又は外側へ縦方向(軸Aと平行)に移動可能である。図3Aで見られる装置は、物品10の曲率を調整するために、その表面12に向かって、及び表面から離れるように、沈着装置26を移動させる必要なく、物品10の表面12と沈着装置との間で同じ距離を保つ利点を提供可能である。
したがって、図示と前述のとおり、第1種の相対運動Fは、典型的には、プリントヘッドを格納するキャリッジを物品上で前後に直線移動させて、このキャリッジ又は物品をインデックス処理することを含む従来型多重パス印刷プロセスと装置と対照的である。更に、第1種の相対運動Fは、プリントヘッドを安定に維持し、物品をプリントヘッドに対してインデックス処理する現行の多重パス印刷プロセスと装置とは対照的である。インデックス処理運動とは異なり、第1種の相対運動Fの場合、物品(複数)10が移動する経路(及びこれを規定する任意の軸)は、サイクル間で固定されたままでよい。かくして、軸又は経路Pのいずれもが、サイクル間で変位する必要はない。
物品10は、3次元の場合、典型的には、少なくとも2つの対向端部を有する。例えば、ボトルであれば、底部と上部とを有する。更に、物品10は、前側、後側、並びに側面を有してもよい。また、物品10は、表面12も有する。例えば、物品10は、一部のレザーブレードの柄であれば、中実であってもよく、ボトルの場合では、中空であってもよい。物品が中空であれば、これはまた内側も有する。物品10の表面は、平坦であるか、又は湾曲していてもよい。表面全体は、平坦又は湾曲のいずれである必要はない。例えば、物品10の表面は、平坦部分、湾曲部分を有してもよく、又は表面は、平坦部分と湾曲部分を共に有し得る。例えば、ボトルの場合、表面の少なくとも一部は、凸型湾曲を有することができる。また、一部の物品には、一部が凹形湾曲を有する表面を有し得ることも想定される。
この方法と装置は、湾曲表面のある物品上で印刷する上で、とりわけ有用である。この装置と方法は、物品(複数)10の表面上で物質22を沈着させる。更に、この装置と方法は、物品(複数)10の表面上での直接印刷でも、とりわけ有用である。例えば、ボトル等の物品に事前印刷されたラベルを添付する代わりに、この装置と方法を使用して、ラベルの素材を物品上に直接印刷することができる。当然のことであるが、この装置と方法は、物品上のラベルとして機能する素材の印刷に限定されない。更に、この装置と方法は、図柄等を物品上に印刷する上でも有用である。
物品10は、物品搬送装置24上で任意の適切な方向を取ることが可能である。例えば、物品10は、垂直配向又は上下反転配向として、搬送装置24上で配置できる(及び任意の物品保持具30内においても)。あるいは、物品10は、搬送装置24上で平らに配置可能である(及び任意の物品保持具30においても)。物質22を物品10上で沈着させるのに望ましい時点で、物質22を沈着させる物品10の表面の一部を、沈着装置26上で露出させるべきであることが、唯一の要件である。
搬送装置24は、所与の時点で任意の適切な数の物品を保持できる。物品10の適切な数は、物品1〜20個以上であってよい。所与の時点で、複数の物品が搬送装置上に存在する場合、本明細書では、物品の「バッチ」と称することがある。典型的には、物品のバッチは、次の処理のために、物品が搬送装置24から除去されるまで、同じ経路P上で全て移動する。所与の時点における搬送装置24上の物品10の数は、搬送装置24と隣接して配置された搬送装置(複数)26の数よりも少ないか、その数と等しいか、又はその数よりも多くてよい。かくして、この装置20は、必要であれば、装置上における1つのみの沈着装置を含み、少ない沈着装置(複数)を使用することで、他の一部の装置と比較して、コスト利点を供給可能である。
沈着装置26は、これまで考察したように、プリントヘッド、ノズル、並びに他の種類の材料沈着装置を含む、任意の適切な種類の装置であってよい。沈着装置26は、非接触型の沈着装置の場合もある。「非接触」に関して、これは、沈着装置26が、物質22を蒸着させるべき物品(複数)10の表面に接触しないことを意味する。プリントヘッドの場合、限定されないが、インクジェットプリントヘッド、圧電プリントヘッド、静電プリントヘッド、及び/又は印刷弁プリントヘッドを含む、任意の適切な種類のプリントヘッドを使用可能である。プリントヘッドは、ドロップ・オン・デマンド型の沈着装置であってよい。「ドロップ・オン・デマンド」に関して、これは、文字、図(例えば、画像)、又は図柄の形態でパターンを形成する等のために必要とされる場合のみ、プリントヘッドがインクの液滴を塗布できることを意味する。典型的には、インクジェットプリントヘッドは、デジタル式に駆動可能であり、コンピュータから提供される画像を印刷可能である。
インクジェットプリントヘッドは、典型的には、複数のノズル40を含む。図1で見られるように、プリントヘッドには、直線軸Lを備えた長さがある。典型的に、ノズル40は、略行として整列し、他のノズルと略平行なある特定方向で、インクを噴射するよう構成される。プリントヘッド上の各行内のノズルは、直線的に整列可能である。代替的に、図1の破線で見られるように、ノズル40は、プリントヘッドの長い方の次元(又は長さ)に対して対角的に配向される1つ以上の行であってよい。ノズルのこのような構成は共に、略直線的に整列するよう見なすことができる。インクジェットプリントヘッドは、その内部における任意の適切な数と構成のノズルを含むことができる。ある適切なインクジェットプリントヘッドは、2.54cm毎(インチ毎)、約360ノズルを含有する。Xaar 1002は、本明細書で使用される適切なプリントヘッドの一例であり、これは、Xaar社(Cambridge,UK)から入手可能である。
インクジェットプリントヘッドにより形成されたインクの液滴は、直径が約10マイクロメートル以下〜約200マイクロメートル以上である。インクの液滴は、所与の領域にわたって、任意の適切な数で分散可能である。典型的には、インクジェット印刷中、インクの液滴は、インチ毎の液滴の数(DPI)が、プリントヘッド、又は印刷するべき物品の移動方向、及びこれと垂直な物品の表面上の方向で指定されるマトリックスを形成する。図4及び5では、このようなインク液滴のマトリックス42の2次元表記が示されている。(本明細書記載のプロセスにおいて、このような配列は、少なくとも部分的に3次元(例えば、湾曲)表面上で形成可能であることが理解されよう。)デジタル画像を形成するために物品表面上で供給されるインク液滴の塗布は、少なくとも1方向で、インチ当たり約200個以下〜約2,880個以上の液滴(DPI)が可能である。幾つかの場合において、インクの液滴は、少なくとも1方向で、インチ毎1,080〜1,440個の液滴からなるマトリクスとして沈着され得る。幾つかの場合では、インクの液滴は、少なくとも1方向で、インチ毎1,200個超の液滴からなるマトリクスとして沈着可能である。
この装置20は、任意の適切な数、構成、及び種類の沈着装置(複数)26を含み得る。例えば、この装置は、1〜20個以上の沈着装置(複数)26を含み得る。かくして、複数の沈着装置26が存在し得る。この沈着装置(複数)26は、物品搬送装置24に沿って隔置された関係で構成可能である。あるいは、1つ以上の沈着装置(複数)26を、もう1つの沈着装置(複数)26と隣接及び接触させて配置可能である。沈着装置(複数)26は、物品搬送装置24内の物品10よりも上か、あるいは、移動Pの経路の内側若しくは外側にある物品10の両側に配置可能である。
沈着装置(複数)26がプリントヘッドを含む場合、1つ以上の沈着装置26は、印刷装置(又は「印刷設備」)を含み得る。インクジェットプリントヘッドは、黒又は色を印刷するよう構成可能である。各印刷装置は、1〜4個以上からの任意の適切な数のプリントヘッドを含み得る。例えば、幾つかの場合において、印刷装置は、種々の色の組み合わせのマルチカラー印刷を生み出すためのCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、及びキー(黒))カラースキーム用の4つのプリントヘッドを含み得る。更に、印刷装置は、追加色、例えば、白、及び/又は特殊色用、第1印刷工程としての下塗り用、あるいは基層、例えば、接着剤用、及び/又は透明シール若しくは保護コーティング塗布用の追加のプリントヘッド(複数)も、含み得る。幾つかの実施例において、1層以上の下地塗り、1層以上の飾り塗り、及び1層以上の上塗りなど、複数の連続的に再循環するループが存在し得る。
更に、装置20は、搬送装置24に沿った任意の所望の位置で配置された1つ以上の追加の設備又は装置も含み得る。このような追加装置には、限定されないが、フレーム処理、コロナ処理、並びにプラズマジェット処理装置など、物品表面を前処理するための前処理装置48が含まれる。更に、このような追加装置は、印刷又は他の処理後(紫外線(UV)光源又は電子線源など)、物品を乾燥又は硬化するための装置50も含み得る。
インク(複数)などの物質を、所定パターンで物品(複数)10へと直接塗布可能である。本書では、「所定パターン」という語句は、限定されないが、印刷を開始する前に決められた文字、図(例えば、画像)又は図柄を含めた、任意の形態の印刷パターンを称する。これまで考察したように、典型的には、インクジェット印刷画像は、液滴又は画素のマトリクスとして構成された複数のインク液滴から構成される。
プリントヘッド(複数)26などの沈着装置は、物品による沈着装置26の各通過において、所定パターンの一部のみを各物品10上で沈着させることが可能である。所定パターンの一部は、幾つかの想定される形態を取ることができる。例えば、所定パターンは、典型的には、物品の所与の領域を覆う。幾つかの実施例において、物品によるプリントヘッド(複数)26の第1通過の間、所定パターンの全領域の第1部分(例えば、画像の上半分)を、物品上に印刷できる。次に、次の通過において(第2通過等)、画像の別の部分(又は、画像の残り(下半分等))を、物品上に印刷できる。当然のことながら、このような実施例は、第1通過で、画像の半分を印刷してから、第2通過で別の半分を印刷することに限定されない。完成画像を形成するための任意の適切な回数の通過の各通過において、画像の任意の適切な部分を印刷できる。
他の実施例において、図4及び5で見られるように、沈着装置(複数)26は、第1通過において、所定パターンの一部を形成するインク液滴42A等の複数の隔置された材料沈着物を沈着させるよう、プログラム可能であり、更に、第2、及び任意の後続通過において、沈着装置(複数)26は、少なくとも一部が第1通過で沈着された液滴42A等の材料沈着物間において配置されたインク液滴42B等の材料沈着物を、充填可能である。併せて、第1通過、及び後続の1度以上の通過において沈着されたインク等の材料の一部は、図5で示される所定パターン全体を構成する。図4及び5で見られる等の一実施例において沈着されたインク液滴パターンは、混合又は差し込みされるものと見なすことができる。混合又は差し込み印刷の利点の1つは、プリントヘッド上の1つ以上のノズルが動作しないことで生成された印刷画像の全ての欠陥は、このような欠陥のあるノズル(複数)を使って、全画像を一度の通過で印刷する場合よりも分かりにくいことである。
本明細書記載の装置と方法は、図面で見られる例に限定されない。本明細書で述べる装置と方法によって、各通過の間、任意の所定パターンの任意の部分を、物品へ適用可能であることが理解されよう。各通過の間、インクの所定パターンの任意の部分を印刷することに加え、この所定パターンは、インクより下の下地塗り、及び/又はインク上で沈着されたクリアコート等の保護膜も含み得る。このような場合、必要であれば、所定インクパターンの全体又は一部のみの下に、下地塗りを塗布してもよい。同様に、必要であれば、所定インクパターンの全体又は一部のみの下に、クリアコートを塗布することも可能である。
幾つかの実施例において、所定パターンの種々の部分を沈着させるために、この装置と方法は、物品10と沈着装置26との間で、2種類以上の相対運動を生み出し得る。例えば、所与の物品10によるプリントヘッド26の第1及び第2(又は後続の)通過の間など、通過の間、物品(複数)10の異なる部分と共に整列するよう、プリントヘッド(複数)26を、物品(複数)10に対して移動可能である。適切な方法により、プリントヘッド(複数)26を物品(複数)に対して移動できる。移動には、適切なあらゆる種類のものがある。
図1、2A、及び2Bは、このような第2種の相対運動Sの方向を示す。幾つかの実施例において、搬送装置の再循環移動に加えて(第1種の相対運動)、第2種の相対運動Sは、物質の物品への塗布方向Dと略垂直な方向において、プリントヘッド(複数)26等の物質沈着装置を移動させることを伴う。図1及び2Aで見られる実施例において、第2種の相対運動Sの方向は、平面Hと平行である。図2Bで示される実施例において、第2種の相対運動Sの方向は、軸Aと平行、且つ、平面Hと垂直である。いずれの場合も、物質を物品に塗布する場合、第2種の相対運動Sの方向は、物品移動の方向と速度Vと略垂直である(一例では、3次元空間)。
物質沈着装置26は、S1等のある位置とS2等の別の位置との間を移動できる。幾つかの実施例において、沈着装置26がインクジェットプリントヘッドであれば、沈着装置26が位置S1,S2にある際、所定パターンを供給するべき物品10の表面上の領域のある面の外側に、インクノズル40が完全に配置されるよう、これらの位置を決定可能である。このような構成において、プリントヘッド26を物品10に対して移動させる際、ノズルは全て、所定パターンを供給するべき物品10の表面における領域のある面から所定パターンが供給されるべき領域の反対側の面まで、インクを物品10に塗布可能である。当然のことながら、沈着装置26が、物品(複数)10に対して任意の適切な範囲まで移動するよう、S1及びS2を設定可能である。
幾つかの場合において、プリントヘッド(複数)26は、物品10が、これと隣接し、その上にインク等の物質を受容するための位置にある際、S1等のある位置と別の位置S2との間の距離の少なくとも一部を移動する間、印刷できる。幾つかの場合において、プリントヘッド(複数)26は、物品10が、その上にインク等の物質を受容するための位置にある際、ある位置から別の位置まで連続的に移動する間、印刷できる。別の場合では、プリントヘッド26は、所与の物品10によるプリントヘッド26の次の通過の間、インデックス処理してから、再度、印刷を開始できる。つまり、プリントヘッド26は、所与の物品10によるプリントヘッド26の次の通過の間、ノズルLの軸と略平行な方向で、ある距離を移動若しくは変位できる。プリントヘッド26をインデックス処理する場合、プリントヘッド26は、印刷時、静止してもよい。
更に、別の種類の相対運動も可能である。例えば、幾つかの実施例において、物品10の種々の部分を沈着装置26へと提示するよう、物品を移動させることが望ましい場合がある。例えば、物品10は、任意の適切な方法により、所与の物品10による、プリントヘッド26の第1通過と後続の通過との間で、曲がったり又は回転したりすることができる。
2つ以上の沈着装置26がある場合、1つ以上の沈着装置を動かし、1つ以上の沈着装置を静止させることが可能である。2つ以上の移動可能なプリントヘッド26がある場合、種々のプリントヘッド26は全て、同じ種類の移動で移動可能である。あるいは、一部のプリントヘッド26は、ある種の移動で移動可能であり、別のプリントヘッド26は、別の種類の移動で移動可能である。
必要であれば、印刷前に、物品表面を処理してもよい。一般的な表面処理には、フレーム処理、コロナ処理、及びプラズマジェット処理がある。必要に応じて、各通過後も含め、任意の通過後、沈着材料22を硬化できる。例えば、物質22がUV反応インクの場合、1度以上の通過後、UV光又は電子ビームへの露出によって、このようなインクを硬化できる。
所望の所定画像を物品(複数)10に適用した後、搬送装置24により、バッチ状の物品における物品(複数)を別のコンベヤーや装置に送って、更に処理することもできる。例えば、物品(複数)10がボトルであれば、このボトルを、搬送装置24から充填装置やキャップ付け装置に送ることができる。
本明細書で開示する寸法と値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。その代わり、別途指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値、及びその値付近の機能的に同等な範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「90度」として開示された寸法は、「約90度」を意味することを意図する。
本明細書を通じて与えられる全ての最大数値の制限は、これより低い数値制限を全て、こうした低い方の数値制限が本明細書で明示的に記載される場合と同様に、包含するものと理解するものとする。本明細書を通して与えられる全ての最小数値制限は、これより高い全ての数値制限を、このような高い方の数値制限が本明細書で明示的に記載される場合と同様に含む。本明細書を通して与えられる全ての数値範囲は、このようなより広い数値範囲内に入るより狭い数値範囲を全て、このような狭い数値範囲が全て本明細書で明示的に記載される場合と同様に含む。
発明を実施するための形態において引用された全ての文献は、関連部分の中で、参照により本明細書に組み込まれている。いかなる文献の引用も、本発明に関する先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。本明細書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と競合する限り、本明細書でその用語に付与した意味又は定義を適用するものとする。
本発明の特定実施例を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨や範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を行うことができることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような変更及び修正は全て、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図している。