JP2017529070A - アデノウイルスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、A) 容器内で、アデノウイルスに感染した哺乳類細胞を、前記細胞を支持するのに適した培地の存在下で連続培養して前記ウイルスを複製させるステップであって、前記細胞がウイルス複製を支持することができる前記ステップ、およびB) ステップa)から製造された前記ウイルスを前記培地から単離するステップであって、前記ウイルスの単離が細胞溶解ステップの後ではない前記ステップ、を含んでなる前記アデノウイルスの連続製造方法であって、ウイルス感染および製造用の生細胞を、連続製造期間前記ウイルスの複製に適したレベルに前記容器内で維持し、1回以上の培地交換または添加と、1回以上の細胞交換または添加とを含んでなる、前記方法に関する。本開示は、前記方法から得られる、または得られ得るウイルス集団にも及ぶ。【選択図】 図9

Description

本開示は、特定のアデノウイルス、例えばキメラ型アデノウイルス、および/または複製能を有するアデノウイルス、および/またはB群ウイルスの製造方法、ならびに前記方法から得られるウイルス製品に関する。
本明細書は、2014年8月27日に出願されたGB1415154.2および2014年9月3日に出願されたGB1415581.6からの優先権を主張し、これらは両方とも、本明細書の一部を構成するものとして援用される。
現今では、医薬品分野は、ウイルスのヒトへの使用のための治療薬としての可能性を実現しつつある。今日まで、ONXY−15(ONYX Pharmaceuticals、Shanghai Sunway Biotechより入手可能)由来のウイルスは、限られた数の国々で、頭頸部癌における使用が承認されている。しかしながら、多くのウイルスが現在臨床試験段階にあり、うまくいけば、これらのウイルスの一部がヒトでの使用のために登録されることになるであろう。
多くのウイルス療法は、アデノウイルスをベースとしており、例えばEnAd(ColoAd1)は、キメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルス(国際公開第2005/118825号)であり、現在結腸直腸癌の治療のための臨床試験段階にある。
これらのアデノウイルスをベースとする治療薬は、臨床試験と登録後の需要の両方を賄うのに適した量で、適正製造基準(GMP)に準拠した条件下で製造される必要がある。
製造方法の一部として、インビトロで、例えば細胞浮遊培養で、ウイルスを哺乳類細胞内で増殖させる。ウイルスをこれらの細胞から細胞溶解によって回収し、その後精製する。図1は、Kamen & Henry 2004 (J Gene Med. 6: pages 184-192)からの抜粋であり、GMPグレードのアデノウイルスの製造に関する方法の模式図を示す。なお、ウイルス複製後、細胞を溶解する。
溶解後の細胞からの夾雑DNAおよび宿主細胞タンパク質(HCP)は、重大な問題であり得、治療用アデノウイルス最終製品から可能な限り取り除かなければならない。このことは、国際公開第2011/045381号の出願で詳細が記載されており、この出願では、細胞の溶解、細胞浮遊液中でのDNAの断片化または沈殿、および細胞浮遊液の清澄化が記載されており、タンジェンシャルフローが採用されている。また、DNアーゼでのDNA消化が、図1で第3ステップとして示されている。
成功となる組み換え型アデノウイルスの方法を開発するためには、基礎的な宿主細胞株の生理および代謝;組み換え型ウイルス、ならびに細胞株とウイルスの相互作用についての詳細な理解が必要とされる。本質的に、方法は、特定の種類のウイルスまたはウイルスベクターに応じた調節を必要とする。
また、臨床での使用に適した組み換え型ウイルスの製造コストは、比較的高い。製造効率を高める、例えばウイルスの収率を上げる改良法が、規制承認を得る組み換え型ウイルス製品について臨床上の需要を満たし得ることを保証するため、および製造コストを削減するために必要とされている。
驚くべきことに、本発明者は、細胞培地からウイルスを単離し、細胞を溶解する必要性を回避し、それによってウイルス製品中のDNAおよびHCPの夾雑の出発レベルを著しく減少させ得る連続的方法によって、特定のアデノウイルス、例えば、複製能を有するアデノウイルス、およびキメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルス、およびB群アデノウイルスを製造できることを立証した。
また、本発明者は、ウイルス、例えばB群ウイルス製品を所与の時点で培養物中のどこに存在させるのか、すなわち、上清中に存在させるのか、または細胞ペレットに結合させるのかについて制御を可能にするパラメーターを確立した。このことは、方法を必要に応じて調節することを可能にする。
従って、本開示は、
アデノウイルス(例えばB群アデノウイルス)の連続製造方法であって、
a.容器内で、アデノウイルスに感染した哺乳類細胞を、前記細胞を支持するのに適した培地の存在下で連続培養して前記ウイルスを複製させるステップであって、前記細胞がウイルス複製を支持することができる前記ステップ、および
b.ステップa)から製造された前記ウイルスを前記培地から単離するステップであって、前記ウイルスの単離が細胞溶解ステップの後ではない前記ステップ、
を含んでなり、ウイルス感染および製造用の生細胞を、連続製造期間前記ウイルスの複製に適したレベルに前記容器内で維持する前記方法を与える。
従って、本開示は、複製能を有するアデノウイルス;B群ウイルス、アデノウイルスデスプロテイン(death protein)をコードしない、または発現しないアデノウイルス、E2B領域を含んでなるゲノムを有する複製可能である、または複製欠損であるキメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルスであって、前記E2B領域が第1のアデノウイルス血清型に由来する塩基配列および第2の異なるアデノウイルス血清型に由来する塩基配列を含んでなり、前記第1および第2の血清型がアデノウイルスサブ群B、C,D、E、またはFからそれぞれ選択される、前記キメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルス、ならびにそれらのうち2つ以上の組み合わせからなる群から選択されるウイルスの連続製造方法であって、
a.容器内で、アデノウイルスに感染した哺乳類細胞を、前記細胞を支持するのに適した培地の存在下で連続培養して前記ウイルスを複製させるステップであって、前記細胞がウイルス複製を支持することができる前記ステップ、および
b.ステップa)から製造された前記ウイルスを前記培地から単離するステップであって、前記ウイルスの単離が細胞溶解ステップの後ではない前記ステップ、
を含んでなり、ウイルス感染および製造用の生細胞を、連続製造期間前記ウイルスの複製に適したレベルに前記容器内で維持する前記方法を与える。
従って、一実施形態において、本開示は、
複製能を有するアデノウイルス;または
E2B領域を含んでなるゲノムを有する複製可能である、もしくは複製欠損であるキメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルスであって、前記E2B領域が第1のアデノウイルス血清型に由来する塩基配列および第2の異なるアデノウイルス血清型に由来する塩基配列を含んでなり、前記第1および第2の血清型がアデノウイルスサブ群B、C,D、E、もしくはFからそれぞれ選択される、前記キメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルス、
の連続製造方法であって、
a.容器内で、アデノウイルスに感染した哺乳類細胞を、前記細胞を支持するのに適した培地の存在下で連続培養して前記ウイルスを複製させるステップであって、前記細胞がウイルス複製を支持することができる前記ステップ、および
b.ステップa)から製造された前記ウイルスを前記培地から単離するステップであって、前記ウイルスの単離が細胞溶解ステップの後ではない前記ステップ、
を含んでなり、ウイルス感染および製造用の生細胞を、連続製造期間前記ウイルスの複製に適したレベルに前記容器内で維持する前記方法を与える。
一つの独立した態様において、B型アデノウイルスの連続製造方法であって、
a.容器内で、アデノウイルスに感染した哺乳類細胞を、前記細胞を支持するのに適した培地の存在下で連続培養して前記ウイルスを複製させるステップであって、前記細胞がウイルス複製を支持することができる前記ステップ、および
b.ステップa)から製造された前記ウイルスを前記培地から単離するステップであって、前記ウイルスの単離が細胞溶解ステップの後ではない前記ステップ、
を含んでなり、ウイルス感染および製造用の生細胞を、連続製造期間前記ウイルスの複製に適したレベルに前記容器内で維持する前記方法が与えられる。
一実施形態において、B型アデノウイルスは、E2B領域を含んでなるゲノムを有するキメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルスであって、前記E2B領域が第1のアデノウイルス血清型に由来する塩基配列および第2の異なるアデノウイルス血清型に由来する塩基配列を含んでなり、前記第1および第2の血清型がアデノウイルスサブ群B、C,D、E、またはFからそれぞれ選択される、前記キメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルスである。
一実施形態において、腫瘍崩壊性ウイルスは、同じ血清型、例えばAd11、特にAd11pからの繊維、ヘキソンタンパク質、およびペントンタンパク質を有し、これらは、例えばAd11pのゲノム配列の30812〜31789、18254〜21100、および13682〜15367の位置に見られ、これらのヌクレオチドの位置は、ジェンバンクID217307399(アクセッション番号:GC689208)に対応している。
一実施形態において、アデノウイルスは、enadenotucirev(EnAdとしても知られており、以前はEnAdとして知られていた)である。enadenotucirevは、本明細書で用いられる場合、配列番号12のキメラ型アデノウイルスを意味する。これは、野生型アデノウイルスに比べて治療上の特性が向上している、複製能を有する腫瘍崩壊性キメラ型アデノウイルスである(国際公開第2005/118825号を参照されたい)。EnAdは、Ad11pおよびAd3からのDNAを特徴付けるキメラ型E2B領域を有し、E3/E4には欠損がある。enadenotucirevにおける構造的変化は、Ad11pよりも約3.5kb小さいゲノムをもたらし、このことにより、導入遺伝子の挿入のための余分な「スペース」が与えられる。
OvAd1およびOvAd2もまた、enadenotucirevと類似のキメラ型アデノウイルスであり、ゲノムに余分な「スペース」を同様に有する(国際公開第2008/080003号を参照されたい)。従って、一実施形態において、アデノウイルスは、OvAd1またはOvAd2である。
一実施形態において、B群アデノウイルスは、式(I):
5’ITR−B−B−B−B−B−B−B−3’ITR (I)
を含んでなるゲノムを含んでなり、
式中:
は、結合であるか、またはE1A、E1B、もしくはE1A−E1Bを含んでなり;
は、E2B−L1−L2−L3−E2A−L4であり;
は、結合であるか、またはE3を含んでなり、
は、結合であるか、または制限部位、1つ以上の導入遺伝子、もしくは両方を含んでなるDNA配列であり;
はL5を含んでなり;
は、結合であるか、または制限部位、1つ以上の導入遺伝子、もしくは両方を含んでなるDNA配列であり;
は、結合であるか、またはE4を含んでなり、
BXおよびBYのうち少なくとも1つは、結合ではなく、例えば、BXおよびBYのうち少なくとも1つは、導入遺伝子、制限部位、または両方を含んでなり、例えば導入遺伝子を含んでなる。
従って、一実施形態において、B型アデノウイルスが複製能を有する、本開示に係る連続方法が与えられる。
式(I):
5’ITR−B−B−B−B−B−B−B−3’ITR
の配列を含んでなる複製能を有するB群アデノウイルスであって、
式中:
は、結合であるか、またはE1A、E1B、もしくはE1A−E1Bを含んでなり;
は、−E2B−L1−L2−L3−E2A−L4を含んでなり;
は、結合であるか、またはE3を含んでなり;
は、結合であるか、または制限部位、1つ以上の導入遺伝子、もしくは両方を含んでなるDNA配列であり;
はL5を含んでなり;
は、導入遺伝子およびスプライスアクセプター配列を含んでなる導入遺伝子カセットを含んでなり;かつ
は、結合であるか、またはE4を含んでなり、
前記導入遺伝子カセットが、E4および主要後期プロモーターからなる群から選択される内在性プロモーターの制御下にあり、前記導入遺伝子カセットが、偏りのない挿入が起こるトランスポゾンを含まない、前記複製能を有するB群アデノウイルス。
式(I)のウイルスは、本明細書の一部を構成するものとして援用される国際公開第2015/059303号に開示されている。
一実施形態において、アデノウイルスは、本明細書で配列表に開示されている配列である。
一実施形態において、本開示の方法に用いられるウイルスは、完全長のアデノウイルスゲノムよりも小さいゲノムを含有し、例えば、50%、60%、70%、80%、もしくはそれ以上のアデノウイルスゲノム、または50%、60%、70%、80%、もしくはそれ以上のアデノウイルスゲノムとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を含有する。
一実施形態において、本開示のウイルスは、E3領域の一部または全体が欠失されている。理論に拘束されることを望むものではないが、発明者は、この領域の部分的または完全な欠失が、ウイルス複製の速度を上げ得、場合によっては、インビボでの有益な特性を与え得ると考えている。
一実施形態において、本開示に用いられるウイルスは、E4領域の一部または全体が欠失されている。理論に拘束されることを望むものではないが、発明者は、E4領域の部分的な欠失が、ウイルス複製の速度を上げ得、場合によっては、インビボでの有益な特性を与え得ると考えている。
一実施形態において、本開示に用いられるウイルスは、その複製能を保持するようなE4領域の部分的な欠失がある。
一実施形態において、本開示に用いられるウイルスは、必要に応じて、E3領域の一部または全体が欠失されており、E4領域の一部または全体が欠失されている。
一実施形態において、アデノウイルスは、B群アデノウイルス、例えばAd11またはEnAdからのヘキソンおよび繊維を有す。
一実施形態において、Bサブ群(Ad11など、特にSlobitski系統としても知られているAd11p)の繊維およびヘキソンを有するアデノウイルスであって、例えばE3の一部もしくは全体、および/またはE4領域の一部または全体が欠失している前記アデノウイルスの連続製造方法であって、
a.容器内で、アデノウイルスに感染した哺乳類細胞を、前記細胞を支持するのに適した培地の存在下で連続培養して前記ウイルスを複製させるステップであって、前記細胞がウイルス複製を支持することができる前記ステップ、および
b.ステップa)からの前記ウイルスを前記培地から単離するステップであって、前記ウイルスの単離が細胞溶解ステップの後ではない前記ステップ、
を含んでなり、ウイルス感染および製造用の生細胞を、連続製造期間前記ウイルスの複製に適したレベルに培養物中で維持する前記方法が与えられる。
一実施形態において、本開示で用いられるウイルスは、導入遺伝子を含んでなっても良い。
一実施形態において、B型アデノウイルスなどの本開示のアデノウイルスは、複製可能であるか、または複製欠損である。
一実施形態において、アデノウイルスは、複製能を有するか、複製欠損であり、例えば、複製能を有す。複製欠損であるアデノウイルスも、本明細書でウイルスベクターと呼ばれる。
一実施形態において、キメラ型ウイルスは、複製能を有するか、複製能欠損であり、例えば、複製能を有す。
一実施形態において、本開示で用いられるウイルスは、機能性アデノウイルスデスプロテイン(death protein)またはその機能性断片を発現せず、特に、アデノウイルスデスプロテイン(death protein)またはその断片を発現しない。
一実施形態において、本開示のウイルスは、機能性アデノウイルスデスプロテイン(death protein)またはその機能性断片をコードするDNA配列を含まず、特に、アデノウイルスデスプロテイン(death protein)またはその断片をコードする配列を含まない。
一実施形態において、本開示で用いられるアデノウイルスは、コクサッキーウイルス・アデノウイルスレセプター(CAR)を介して細胞に感染するアデノウイルスではない。
一実施形態において、本開示で用いられるアデノウイルスは、CD46を介して細胞に感染するアデノウイルスであり、例えばB群アデノウイルスである。
一実施形態において、ウイルス、例えば複製能を有するウイルスは、C群ウイルスではない。
一実施形態において、ウイルス、例えば複製能を有するウイルスは、Ad5ではない。
一実施形態において、連続製造期間は、2ウイルスサイクル以上であり、例えば70〜300時間である。
一実施形態において、方法は、収集ステップを2つ以上含んでなる。
一実施形態において、方法は、感染後30時間または35時間など24時間以上で開始され、例えば方法が終了するまで続く、ウイルスの連続収集を含んでなる。
一実施形態において、例えば方法の最後に、特に細胞中に留まっているウイルスを回収するために、1回の細胞溶解ステップがある。
一実施形態において、方法は、収集したウイルスの1つ以上の画分をまとめることを含んでなる。
一実施形態において、方法は、例えば、24、30、35、40、45、48、50、55、60、65、70、72、75、80、85、90、95、または96時間などの1つ以上の時点で独立して選択される、培養物中への新鮮細胞の1回以上の添加、例えば、1、2、3、4、または5回の添加を行うステップを含んでなる。
一実施形態において、方法は、新鮮培地を添加する1つ以上のステップを含んでなる。一実施形態において、方法は、例えば、感染後24、30、35、40、45、48、50、55、60、65、70、72、75、80、85、90、95、または96時間など感染後12〜96時間の任意の時点で、1回以上培地を交換または添加することを含んでなる。
一実施形態において、方法は、
例えば、24、30、35、40、45、48、50、55、60、65、70、72、75、80、85、90、95、または96時間などの1つ以上の時点で独立して選択される、培養物中への新鮮細胞の1回以上の添加、例えば、1、2、3、4、または5回の添加を行うステップ、および
例えば、感染後24、30、35、40、45、48、50、55、60、65、70、72、75、80、85、90、95、または96時間など感染後12〜96時間の任意の時点で、新鮮培地を添加する、または培地を交換するステップ、を含んでなる。
一実施形態において、細胞を、出発濃度が1〜9×10、1〜9×10、1〜9×10、1〜9×10、1〜9×10vp/mlなど1〜9×10vp/ml以上、特に1〜5×10vp/ml、特に1×10vp/mlとしては例えば約1×10vp/ml、4〜5×10vp/mlである、ウイルスに感染させる。
一実施形態において、感染多重度(MOI)は、5、6、7、8、9、10、11、12、12.5、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、31.25、32、33、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55など2〜75の範囲内にあり、例えば、12.5、31.25、または50である。一実施形態において、感染多重度は、12.5vp/細胞など10〜15vp/細胞の範囲内にある。
一実施形態において、MOIは、2〜50vp/細胞の範囲内、例えば6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15vp/細胞など5〜20vp/細胞の範囲内にあり、例えば12.5vp/細胞である。
一実施形態において、播種密度は1.9×10または4×10であり、感染多重度は50である。
一実施形態において、播種密度は1×10vp/mlなど1〜1.9×10vp/mlの範囲内にあり、感染多重度は12.5など10〜15の範囲内にある。
本開示の一実施形態において、用いられる培養法は、灌流培養である。
本開示の一実施形態において、用いられる細胞は、付着性である。
本開示の一実施形態において、用いられる細胞は、浮遊培養に適する。
一実施形態において、本開示の方法で用いられる培養法は、浮遊培養、付着培養(adherent culture)、灌流培養、またはそれらの組み合わせであり、例えば浮遊培養である。
本開示に係る連続製造方法は、以下の利点:臨床での使用のために十分な量のウイルスを製造可能にすることによって製造効率を高めること、キャンペーン生産に費やす時間を削減し、ひいては商品のコストを削減すること、および複数のマスターウイルスシードストックを準備する必要性を最小限にするという点において製造の複雑性を低減し、それによりコストも削減し得ること、のうち1つ以上を有するという点において有利である。
本明細書に記載の方法のその他の利点として、例えば収率の増加によって、方法の規模を縮小させることができることが挙げられる。
さらに、本発明者は、細胞当りのレベルが高いウイルスを細胞が製造することを可能にするパラメーターを確立した。この独立した態様において、培養法は、例えば、出発播種細胞密度が低いことと併せて感染多重度が低いことによって特徴付けられる。
従って、一つの独立した態様において、アデノウイルスの複製に適した細胞を感染させる方法であって、出発播種密度が1.5×10vp/ml以下など2×10vp/ml以下であり、例えば1×10vp/mlであり、感染多重度が14、13、12.5、12、11または10など15以下であり、例えば12.5である、前記方法が与えられる。
従って、一つの独立した態様において、アデノウイルスの複製に適した細胞を感染させる方法であって、出発播種密度が1.9×10であり、感染多重度が50ppcである、前記方法が与えられる。
ある時点で、例えば約72時間以上で、200,000細胞当りウイルス粒子という高い収率が、本明細書に記載の条件を採用すると、達成され得る。一実施形態において、例えば48、50、55、60、65、または70時間後に、細胞当り製造されたウイルスは、100,000を超える。
培養法が低い播種密度および低い感染多重度を採用するこの実施形態において、ウイルスを容易に収集し得る。
また、本発明者は、方法のパラメーターを変えることによって、ウイルスをどこに存在させるのか、例えば細胞中、上清中、またはそれらの組み合わせに存在させるのかに対する制御が与えられ得ることを立証した。このことは、本開示のさらなる態様を形成する。
特に、低い感染多重度と低い播種密度によって、ウイルス製品は圧倒的に細胞中に存在するようになるが、方法が終了に近くなると、ウイルスは上清にも見られる。また、低い感染多重度と低い播種密度は、特に培地を変えたときに、非常に高い細胞当りの収率を与えた。
また、高い感染多重度と高い播種密度によって、方法が終了に近くなると、ウイルス粒子の大部分は上清に存在するようになる。
高い感染多重度と低い播種密度によって、方法が終了に近くなると、ウイルス製品のほとんどは上清中に得られる。
対照的に、低い感染多重度と高い播種密度によって、特に培地を変えなかったときに、細胞中にウイルスが得られた。
中程度の感染多重度と中程度の播種密度によって、特に培地の交換がなかったときに、上清および細胞中にウイルス製品が得られる。
さらに、高い感染多重度と高い播種密度によって、培地の交換があってもなくても、主に上清中にウイルス製品が得られるようである。
このように、驚くべきことに、方法のパラメーターを制御することにより、ウイルス製品の所在を制御し得る。一実施形態において、上清と宿主細胞への組み換え型ウイルス(特に本明細書に記載のアデノウイルス)の分配を制御する方法であって、a)宿主細胞培養物(特に哺乳類細胞、例えば、特に浮遊培養物としては、本明細書に記載の哺乳類細胞)を与えること、b)播種密度、感染多重度、および感染期間(培養期間)を選択して、上清および宿主細胞から選択される所望の場所にウイルス製品を与えること、c)培養上清および宿主細胞中の組み換え型ウイルスの収率を適切な時点で測定すること、ならびにd)ステップ(c)で測定した上清中および細胞中での収率を比較し、ステップb)で選択した播種密度および感染多重度を維持するか、または播種密度、感染多重度、もしくは両方を変えて、上清と細胞への組み換え型ウイルスの分配を換えるかを選び、組み換え型ウイルスの1次回収に適合させること、を含む前記方法が与えられる。
一実施形態において、本開示に係るパラメーターを制御する方法は、異なる条件について、すなわち、播種密度、感染多重度、または両方が第1の方法で用いたパラメーターから変えられている方法と、並行して実施するステップを含んでなり、このことによって、2つの異なる方法の比較が可能となる。
一実施形態において、80%以上の組み換え型ウイルスは、上清中にあり、例えば、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%が上清中に存在する。
一実施形態において、例えば本明細書に定義されているように、低い感染多重度を採用し、低い播種密度を採用する場合、48〜65時間の感染期間に亘って、80%以上の組み換え型ウイルスは、細胞中にあり、例えば、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%が細胞中に存在する。また、培地交換又は添加は、収率を最大化するのに役立ち得る。
従って、一つの独立した態様において、アデノウイルス(例えばB群アデノウイルスなどの本明細書に記載のウイルス)の製造方法であって、
a.容器内で、アデノウイルスに感染した哺乳類細胞を、前記細胞を支持するのに適した培地の存在下で培養して前記ウイルスを複製させるステップであって、前記細胞がウイルス複製を支持することができ、前記ウイルスの出発播種密度が(1×10vp/mlなど)1〜2×10vp/mlの範囲内にあり、感染多重度が10〜15などの5〜20の範囲内にあり、特に12.5である、前記ステップ、および
b.ウイルス感染後24〜75時間の期間に溶解ステップを実施して前記細胞から前記ウイルスを収集するステップであって、例えば前記溶解ステップを感染後66,67、68、または69時間など感染後65〜70時間に実施する、前記ステップ、
を含んでなる前記方法が与えられる。
一実施形態において、方法は、GMP製造法である。
本開示の詳細な説明
本開示のウイルスは、文脈上他を意味しない限り、キメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルスを含む、複製可能である、複製能を有する、または複製欠損であるアデノウイルスを総称するように本明細書で通常用いられている。
複製可能とは、本明細書で用いられる場合、複製能を有するウイルスまたは細胞内で選択的に複製し得るウイルスを意味する。癌細胞内で選択的に複製するウイルスは、p53遺伝子など癌細胞でアップレギュレーションされている遺伝子又はタンパク質を複製に必要とするウイルスである。
複製能を有するウイルスとは、本明細書で用いられる場合、E1領域がコードするタンパク質などの必須のウイルスタンパク質をコードする補完的細胞株(パッケージング細胞株とも呼ばれる)の補助なく複製可能であるウイルス、およびヘルパーウイルスの補助なく複製可能であるウイルスを意味する。
一実施形態において、ウイルスは、複製能を有する。
複製欠損のウイルスは、ベクターであり、複製可能であるためには、パッケージング細胞株またはヘルパーウイルスの使用を必要とする。
アデノウイルスとは、用いられる場合、文脈上他を意味しない限り、複製能を有するアデノウイルスまたは複製欠損、例えばB群ウイルス、特にAd11pなどのAd11を通常意味するものとする。場合によって、アデノウイルスは、複製能を有するウイルスのみを意味するように用いられることがあるが、このことは、文脈から明らかであろう。
一実施形態において、アデノウイルスは、複製能を有する。
アデノウイルスベクターとは、複製欠損のアデノウイルスを通常意味するものとする。
Bサブ群(B群またはB型)とは、本明細書で用いられる場合、B群アデノウイルスからの繊維およびヘキソンを少なくとも有するウイルス、例えば、B群ウイルスからの実質的にゲノム全体を有するウイルスなどのB群ウイルスからのカプシド全体を有するウイルスを意味する。一実施形態において、B群ウイルスは、アデノウイルスデスプロテイン(death protein)、例えばUniprot番号がP24935のタンパク質などの11.64KダルトンのADPタンパク質をコードしない。
今日までに調べられているヒトアデノウイルスの全ゲノムは、同じ一般的構成を有する。すなわち、特定の機能をコードする遺伝子は、ウイルスゲノムの同じ位置にある(本明細書では構造要素と呼ばれる)。ウイルスゲノムの各末端は、ウイルス複製に必要な逆方向末端反復(またはITR)として知られる短い配列を有す。ウイルスゲノムは、5つの初期転写単位(E1A、E1B、E2、E3、およびE4)、3つの後発型初期単位(IX、IVa2、およびE2後期)、ならびにプロセッシングされて5つのファミリーの後期mRNA(L1〜L5)を生じる1つの後期単位(主要後期)を含む。初期遺伝子がコードするタンパク質は、主に、複製および宿主細胞の感染に対する応答の調節に関与し、一方、後期遺伝子は、ウイルスの構造タンパク質をコードする。初期遺伝子は、頭に文字Eが付き、後期遺伝子は、頭に文字Lが付く。
アデノウイルスのゲノムはぎっしりと詰まった状態であり、すなわち、非コード配列がほとんどなく、それ故に、導入遺伝子を挿入するのに適した位置を見つけるのが困難であり得る。本発明者は、導入遺伝子が許容される2つのDNA領域を特定した。特に、特定した部位は、抗体をコードする導入遺伝子など複雑な導入遺伝子を収容するのに適している。すなわち、式(I)のウイルス中の位置Bおよび/または位置Bの導入遺伝子は、ウイルスの生存率、腫瘍崩壊性などの元来の特性、または複製に悪影響を与えることなく発現される。
一実施形態において、アデノウイルスは、E3領域に部分的または完全な欠失がある。
E3領域の一部が欠失しているとは、本明細書で用いられる場合、E3領域の少なくとも一部、例えば、1〜99%の範囲が欠失していることを意味し、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、または98%が欠失していることを意味する。
一実施形態において、アデノウイルスは、E4領域に部分的な欠失がある。ウイルスは、E4領域の一部のみが欠失している場合、複製能を有したまま維持され得る。
E4領域の一部が欠失しているとは、本明細書で用いられる場合、E4領域の少なくとも一部、例えば、1〜99%の範囲が欠失していることを意味し、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、または98%が欠失していることを意味する。本開示のアデノウイルスにおいて、複製を可能にするのに十分なE4が保持されるべきである。
キメラ(またはキメラ型ウイルス)とは、本明細書で用いられる場合、通常、2つ以上の異なる血清型、例えば群B、C、D、E、およびFから独立して選択される血清型からのゲノムDNAを含んでなるアデノウイルスを意味し、複製可能である、複製能を有する、または複製欠損であるキメラ型腫瘍崩壊性ウイルスなどを意味するものとする。一実施形態において、キメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルスは、複製能を有し、例えば、EnAd、OvAd1、またはOvAd2である。
一実施形態において、キメラ型ウイルスは、EnAd(配列番号12)またはその派生物、例えば導入遺伝子を組み込むように構成された派生物であり、これらの例は以下で論じる。
一実施形態において、キメラは、E3領域に部分的または完全な欠失がある。
E3領域の一部が欠失しているとは、本明細書で用いられる場合、E3領域の少なくとも一部、例えば、1〜99%の範囲が欠失していることを意味し、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、または98%が欠失していることを意味する。
一実施形態において、キメラは、E4領域に部分的または完全な欠失がある。
E4領域の一部が欠失しているとは、本明細書で用いられる場合、E4領域の少なくとも一部、例えば、1〜99%の範囲が欠失していることを意味し、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、または98%が欠失していることを意味する。本開示のアデノウイルスにおいて、複製を可能にするのに十分なE4が保持されるべきである。
導入遺伝子とは、本明細書で用いられる場合、ウイルスにとって反自然的(外来性)であるか、ウイルスのその特定の位置に通常は見られない遺伝子である、ゲノム配列に挿入された遺伝子を意味する。導入遺伝子の例は、以下で挙げる。また、導入遺伝子は、本明細書で用いられる場合、挿入されたときに完全長遺伝子の機能、または機能の大部分を実行するのに適した遺伝子の一部である、遺伝子の機能性断片も含む。
導入遺伝子およびコード配列は、文脈上他を意味しない限り、ウイルスゲノムへの挿入との関連において、本明細書で交換可能に使用される。コード配列とは、本明細書で用いられる場合、例えば、機能性RNA、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードするDNA配列を意味する。通常、コード配列は、対象の機能性RNA、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする導入遺伝子に対するcDNAである。対象の機能性RNA、ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質は、以下で説明する。
ウイルスゲノムがDNAのコード配列を含むことは明らかである。ウイルスのゲノム配列内の内在性(自然発生の遺伝子)は、本明細書との関連において、非自然的位置もしくは非自然的環境に存在するように、または非自然的機能を有するように組み換え技術により改変されていない限り、導入遺伝子としてみなされない。
一実施形態において、導入遺伝子とは、本明細書で用いられる場合、1つの生物体から単離され、異なる生物体、すなわち、本開示のウイルスに導入された遺伝子またはcDNA配列を含むDNAのセグメントを意味する。一実施形態において、このDNAの外来セグメントは、機能性RNA、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を生産する能力を保持し得る。
従って、一実施形態において、挿入される導入遺伝子は、ヒトまたはヒト化タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドをコードする。
一実施形態において、挿入される導入遺伝子は、例えばマウス、ラット、ウサギ、ラクダ、ラマなどからの、非ヒトタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチド(非ヒト哺乳類タンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドなど)、またはRNA分子をコードする。有利なことに、本開示のウイルスは、導入遺伝子を癌性細胞の中に運ぶことを可能にする。従って、非ヒト配列(タンパク質など)に対してヒト患者が起こす応答は、この細胞内輸送により最小化され得る。
DNA配列は、1、2、3、または4個の導入遺伝子など1個以上の導入遺伝子を含んでなり得、例えば1または2個の導入遺伝子を含んでなり得る。
導入遺伝子カセットは、1、2、3、または4個の導入遺伝子など1個以上の導入遺伝子を含んでなり得、例えば1または2個の導入遺伝子を含んでなり得る。
導入遺伝子カセットとは、本明細書で用いられる場合、1つ以上の導入遺伝子をコードする1つ以上のコード配列の形態のDNA配列、および1つ以上の調節要素を意味する。
導入遺伝子カセットは、1つ以上のモノシストロニックおよび/またはポリシストロニックmRNA配列をコードし得る。
一実施形態において、導入遺伝子または導入遺伝子カセットは、モノシストロニックまたはポリシストロニックmRNAをコードし、例えば、該カセットは、内在性プロモーターもしくは外来性プロモーターまたはそれらの組み合わせの制御下でのアデノウイルスゲノムへのある位置での挿入に適している。
モノシストロニックmRNAとは、本明細書で用いられる場合、1つの機能性RNA、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードするmRNA分子を意味する。
一実施形態において、導入遺伝子カセットは、モノシストロニックmRNAをコードする。
一実施形態において、導入遺伝子カセットとは、モノシストロニックmRNAをコードするカセットとの関連において、(導入遺伝子が活性化する場所および時期を決定し得る調節配列である)外来性プロモーター、または(mRNA分子がスプライセオソームにより切断され得る時期を決定する調節配列である)スプライス部位、通常対象のタンパク質に対するcDNA由来であるコード配列(すなわち、導入遺伝子)を含んでいても良いDNAのセグメントを意味し、ポリAシグナル配列およびターミネーター配列を含んでいても良い。
一実施形態において、導入遺伝子カセットは、1つ以上のポリシストロニックmRNA配列をコードし得る。
ポリシストロニックmRNAとは、本明細書で用いられる場合、2つ以上の機能性RNA、ペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質、またはそれらの組み合わせをコードするmRNA分子を意味する。一実施形態において、導入遺伝子カセットは、ポリシストロニックmRNAをコードする。
一実施形態において、導入遺伝子カセットは、ポリシストロニックmRNAをコードするカセットとの関連において、(導入遺伝子が活性化する場所および時期を決定し得る調節配列である)外来性プロモーター、または(mRNA分子がスプライセオソームにより切断され得る時期を決定する調節配列である)スプライス部位、通常対象のタンパク質またはペプチドに対するcDNA由来である2つ以上のコード配列(すなわち、導入遺伝子)を含んでいても良いDNAのセグメントを含み、例えば、各コード配列は、それぞれがIRESまたは2Aペプチドのどちらかにより隔てられている。転写される最後のコード配列の後に、該カセットは、必要に応じて、ポリA配列およびターミネーター配列を含んでも良い。
一実施形態において、導入遺伝子カセットは、モノシストロニックmRNAと、その後にポリシストロニックmRNAをコードする。別の実施形態において、導入遺伝子カセットは、ポリシストロニックmRNAと、その後にモノシストロニックmRNAをコードする。
一実施形態において、Bは、1、2、3、または4個の制限部位など制限部位を含んでなり、例えば、1または2個の制限部位を含んでなる。一実施形態において、Bは、1個以上の導入遺伝子を含んでなり、例えば、1または2個の導入遺伝子を含んでなる。一実施形態において、Bは、1または2個の導入遺伝子など1個以上の導入遺伝子および2または3個の制限部位など1個以上の制限部位を含んでなり、特に制限部位が遺伝子またはDNA配列を挟んでいる場合、ゲノムから特異的に遺伝子が切り取られること、および/または置換されることを可能にするように遺伝子を含んでなる。あるいは、制限部位は、各遺伝子を挟んでいても良く、例えば、2個の導入遺伝子がある場合、遺伝子が選択的に切り取られること、および/または置換されることを確実に可能にするために、3つの異なる制限部位が必要である。一実施形態において、1つ以上、例えば全ての導入遺伝子は、導入遺伝子カセットの形態である。一実施形態において、Bは、配列番号10を含んでなる。一実施形態において、配列番号10は、例えば導入遺伝子によって、分断される。実施形態において、配列番号10は、分断されない。一実施形態において、Bは、制限部位を含まない。一実施形態において、Bは、結合である。一実施形態において、Bは、1つ以上の導入遺伝子を含んでなるか、または1つ以上の導入遺伝子からなる。
一実施形態において、Bは、1、2、3、または4個の制限部位など制限部位を含んでなり、例えば、1または2個の制限部位を含んでなる。一実施形態において、Bは、1個以上の導入遺伝子を含んでなり、例えば、1または2個の導入遺伝子を含んでなる。一実施形態において、Bは、1または2個の導入遺伝子など1個以上の導入遺伝子および2または3個の制限部位など1個以上の制限部位を含んでなり、特に制限部位が遺伝子またはDNA配列を挟んでいる場合、ゲノムから特異的に遺伝子が切り取られること、および/または置換されることを可能にするように遺伝子を含んでなる。あるいは、制限部位は、各遺伝子を挟んでいても良く、例えば、2個の導入遺伝子がある場合、遺伝子が選択的に切り取られること、および/または置換されることを確実に可能にするために、3つの異なる制限部位が必要である。一実施形態において、1つ以上、例えば全ての導入遺伝子は、導入遺伝子カセットの形態である。一実施形態において、Bは、配列番号11を含んでなる。一実施形態において、配列番号11は、例えば導入遺伝子によって、分断される。実施形態において、配列番号11は、分断されない。一実施形態において、Bは、制限部位を含まない。一実施形態において、Bは、結合である。一実施形態において、Bは、1つ以上の導入遺伝子を含んでなるか、または1つ以上の導入遺伝子からなる。
一実施形態において、BおよびBは、それぞれ、1、2、3、または4個の制限部位など制限部位を含んでなり、例えば、1または2個の制限部位を含んでなる。一実施形態において、BおよびBは、それぞれ、1個以上の導入遺伝子を含んでなり、例えば、1または2個の導入遺伝子を含んでなる。一実施形態において、BおよびBは、それぞれ、例えば、1または2個の導入遺伝子など1個以上の導入遺伝子および2または3個の制限部位など1個以上の制限部位を含んでなり、特に制限部位が遺伝子またはDNA配列を挟んでいる場合、ゲノムから特異的に遺伝子が切り取られること、および/または置換されることを可能にするように遺伝子を含んでなる。あるいは、制限部位は、各遺伝子を挟んでいても良く、例えば、2個の導入遺伝子がある場合、遺伝子が選択的に切り取られること、および/または置換されることを確実に可能にするために、3つの異なる制限部位が必要である。一実施形態において、1つ以上、例えば全ての導入遺伝子は、導入遺伝子カセットの形態である。一実施形態において、BおよびBは、それぞれ、配列番号10および配列番号11を含んでなる。一実施形態において、BおよびBは、制限部位を含まない。一実施形態において、Bは結合であり、Bは結合ではない。一実施形態において、BYは結合であり、BXは結合ではない。
一実施形態において、導入遺伝子は、B内にある。一実施形態において、導入遺伝子または導入遺伝子カセットは、B内にある。一実施形態において、導入遺伝子または導入遺伝子カセットは、BおよびB内にあり、例えば、それぞれの場所で、導入遺伝子は同じであっても良く、または異なっていても良い。
当該ウイルスコンストラクト内の導入遺伝子を、初期遺伝子から除かれる位置に挿入することが有利であるが、その理由は、このことによって、ウイルスの遺伝子発現または複製速度に影響を与える可能性が減ることにある。
一つの独立した態様において、血清型11の複製能を有する腫瘍崩壊性アデノウイルスまたはそのウイルス派生物であって、繊維、ヘキソン、およびカプシドが血清型11であり、ウイルスゲノムが、治療用抗体または抗体結合断片をコードするDNA配列を含んでなり、前記DNA配列が、E4および主要後期プロモーターからなるものから選択される、アデノウイルスにとって内在性のプロモーターの制御下にあり、その結果導入遺伝子がウイルス複製を干渉せず、例えば、治療用抗体または抗体結合断片をコードするDNA配列が、E4プロモーターの制御下、あるいは腫瘍後期プロモーターの制御下にあり、特に、治療用抗体または抗体結合断片をコードするDNA配列がウイルスのゲノム配列内で(すなわち、ウイルスの配列の3’末端方向に)L5の後に位置する、前記アデノウイルスまたはそのウイルス派生物が与えられる。有利なことに、内在性プロモーターの使用によって、導入遺伝子の挿入に利用可能なスペースの量が最大化される。
有利なことに、これらのプロモーターの制御下にあるときに、ウイルスは、複製能を保持し、かつ、完全長抗体としての抗体、または適当な結合断片、またはその他のタンパク質を発現することができる。従って、選択された抗体またはその他のタンパク質は、癌細胞によって発現され得る。内在性プロモーターを用いると、抗体、断片、またはその他のタンパク質を発現するために挿入される必要がある導入遺伝子カセットのサイズが小さくなるので、内在性プロモーターを用いることが有利であり得る。すなわち外来性プロモーターが含まれる必要はないので、導入遺伝子カセットは、小さくなり得る。
また、導入遺伝子を継続して転写するようになり、不適切な濃度の抗体または断片をもたらし得る構成的外来性プロモーターとは対照的に、ウイルス中の内在性プロモーターを用いることは、ウイルスが複製するときにのみ導入遺伝子が発現されるので、治療上有利であり得る。
一実施形態において、抗体または断片の発現は、主要後期プロモーターの制御下にある。
一実施形態において、抗体または断片の発現は、E4プロモーターの制御下にある。
一つの独立した態様において、血清型11の複製能を有する腫瘍崩壊性アデノウイルスまたはそのウイルス派生物であって、繊維、ヘキソン、およびカプシドが血清型11であり、ウイルスゲノムが、治療用抗体または抗体結合断片をコードするDNA配列を含んでなり、前記DNA配列が、ウイルス複製サイクルの後期に発現されるウイルスゲノムの一部に位置し、その結果導入遺伝子がウイルス複製を干渉せず、前記DNA配列がアデノウイルスにとって外来性のプロモーターの制御下にあり、例えば、治療用抗体または抗体結合断片をコードするDNA配列が、CMVプロモーターの制御下にあり、特に、治療用抗体または抗体結合断片をコードするDNA配列がウイルスのゲノム配列内で(すなわち、ウイルスの配列の3’末端方向に)L5の後に位置する、前記アデノウイルスまたはそのウイルス派生物が与えられる。
外来性プロモーターを用いることは、抗体または断片を強く、かつ構成的に発現することができるので、有利であり得、いくつかの状況で、例えば、患者が非常に広汎性の癌である場合に、特に有用であり得る。
一実施形態において、抗体または断片の発現は、CMVプロモーターの制御下にある。
一実施形態において、外来性プロモーターは、このDNA配列と関連があり、例えば、抗体または断片をコードする発現カセットの一部である。
一実施形態において、抗体または断片をコードするDNA配列は、ウイルス配列内でL5遺伝子の後に位置する。有利なことに、本発明者は、ウイルスのライフサイクルまたはベクターの安定性に悪影響を与えることなく、外来性または内在性プロモーターの制御下で、様々な導入遺伝子をBおよび/またはBに挿入することができることを立証した。
一実施形態において、導入遺伝子は、1つ以上のコード配列(すなわち、1つ以上の導入遺伝子)、ならびに以下:
i. 外来性プロモーターまたはスプライスアクセプターなどの遺伝子発現のレギュレーター
ii. 内部リボソーム進入(IRES)DNA配列;
iii. 自己切断効率が高い2AペプチドをコードするDNA配列;
iv. ポリアデニレーション配列をコードするDNA配列、および
v. それらの組み合わせ
から独立して選択される任意の1つ以上の要素を含んでなる導入遺伝子カセットの一部である。
従って、一実施形態において、導入遺伝子カセットは、i)またはii)またはiii)またはiv)を含んでなる。
一実施形態において、導入遺伝子カセットは、i)およびii)、またはi)およびiii)、またはi)およびiv)、またはii)およびiii)、またはii)およびiv)、またはiii)およびiv)を含んでなる。
一実施形態において、導入遺伝子カセットは、i)およびii)およびiii)、またはi)およびii)およびiv)、またはi)およびiii)およびiv)、またはii)およびiii)およびiv)を含んでなる。
一実施形態において、導入遺伝子カセットは、i)およびii)およびiii)およびiv)を含んでなる。
一実施形態において、導入遺伝子または導入遺伝子カセットは、例えばタンパク質コード配列の始まりに、mRNAの翻訳を補助するKozak配列を含んでなる。
アデノウイルスに適当な位置で組み込まれたときに、ITRの機能を保持する。一実施形態において、5’ITRは、約1bp〜138bpの配列番号12からの配列、または全長に亘って配列番号12からの配列と90、95、96、97、98、または99%同一の配列を含んでなり、またはからなり、特に、約1bp〜138bpの配列番号12からなる配列を含んでなる、またはからなる。
3’ITRとは、本明細書で用いられる場合、アデノウイルスに適当な位置で組み込まれたときにITRの機能を保持する、アデノウイルスの3’末端からのITRの一部または全体を意味する。一実施形態において、3’ITRは、約32189bp〜32326bpの配列番号12からの配列、または 全長に亘って配列番号12からの配列と90、95、96、97、98、または99%同一の配列を含んでなり、またはからなり、特に、約32189bp〜32326bpの配列番号12からなる配列を含んでなる、またはからなる。
とは、本明細書で用いられる場合、アデノウイルスからのE1Aの一部または全体、アデノウイルスのE1B領域の一部または全体、ならびにアデノウイルスのE1AおよびE1B領域のそれぞれの一部または全体をコードするDNA配列を意味する。
が結合であるとき、E1AおよびE1B配列は、ウイルスから取り除かれることになる。一実施形態において、Bは結合であり、従って、ウイルスはベクターである。
一実施形態において、Bは、導入遺伝子をさらに含んでなる。E1領域は、E1領域に分断するように(すなわち、配列の「中央」に)挿入され得る導入遺伝子を収容し得るか、またはE1領域の一部または全体が欠失して、遺伝物質を収容するより広い空間を与え得ることが、当業で知られている。
E1Aとは、本明細書で用いられる場合、アデノウイルスのE1A領域の一部または全体をコードするDNA配列を意味する。ここでE1A領域は、ポリペプチド/タンパク質E1Aを意味する。E1A遺伝子がコードするタンパク質が、保存的または非保存的アミノ酸変化を有し、それにより、野生型と同じ機能(すなわち、対応する非変異タンパク質)、野生型タンパク質と比べて向上した機能、野生型タンパク質と比べて機能がないなど低下した機能、もしくは野生型タンパク質と比べて新しい機能、またはこれらの組み合わせを必要に応じて有するように、E1Aは変異されていても良い。
E1Bとは、本明細書で用いられる場合、アデノウイルスのE1B領域(すなわち、ポリペプチドまたはタンパク質)の一部または全体をコードするDNA配列を意味し、E1B遺伝子/領域がコードするタンパク質が、保存的または非保存的アミノ酸変化を有し、それにより、野生型と同じ機能(すなわち、対応する非変異タンパク質)、野生型タンパク質と比べて向上した機能、野生型タンパク質と比べて機能がないなど低下した機能、もしくは野生型タンパク質と比べて新しい機能、またはこれらの組み合わせを必要に応じて有するように、E1Bは変異されていても良い。
従って、Bは、野生型E1Aおよび/またはE1Bなど野生型E1領域に対して改変がなされている、またはなされていないことがあり得る。当業者は、E1Aおよび/またはE1Bが存在または(部分的に)欠失もしくは変異しているかどうかを簡単に特定することができる。
野生型とは、本明細書で用いられる場合、公知のアデノウイルスを意味する。公知のアデノウイルスは、配列が利用可能であるかに関わらず、同定され名称を付けられたアデノウイルスである。
一実施形態において、Bは、139bp〜3932bpの配列番号12からの配列を有す。
とは、本明細書で用いられる場合、必要に応じて任意の非コード配列を含む、E2B−L1−L2−L3−E2A−L4領域をコードするDNA配列を意味する。通常、この配列は、導入遺伝子を含まないものとする。一実施形態において、該配列は、公知のアデノウイルス、例えば表1に示されている血清型、特にB群ウイルス、例えばAd3、Ad7、Ad11、Ad14、Ad16、Ad21、Ad34、Ad35、Ad51、またはそれらの組み合わせ、例えばAd3、Ad11、またはそれらの組み合わせ、からの連続した配列と実質的に類似または同一である。一実施形態において、E2B−L1−L2−L3−E2A−L4とは、これらの要素および該領域に関連するその他の構造要素を含んでなることを意味し、例えば、Bは、例えば以下:IV2A IV2a−E2B−L1−L2−L3−E2A−L4のように、タンパク質IV2aをコードする配列を通常含むものとする。
一実施形態において、E2B領域はキメラ型である。すなわち、2つ以上の異なるアデノウイルスの血清型から、例えばAd3およびAd11pなどのAd11からのDNA配列を含んでなる。一実施形態において、E2B領域は、5068bp〜10355bpの配列番号12からの配列、または全長に亘って配列番号12からの配列と95%、96%、97%、98%、または99%同一の配列を有す。
一実施形態において、要素BA中のE2Bは、(国際公開第2005/118825号に開示されている配列番号3に対応する)配列番号47に示されている配列を含んでなる。
一実施形態において、Bは、3933bp〜27184bpの配列番号12からの配列を有す。
E3とは、本明細書で用いられる場合、アデノウイルスのE3領域(すなわち、タンパク質/ポリペプチド)の一部または全体をコードするDNA配列を意味し、E3遺伝子がコードするタンパク質が、保存的または非保存的アミノ酸変化を有し、それにより、野生型と同じ機能(対応する未変異タンパク質)、野生型タンパク質と比べて向上した機能、野生型タンパク質と比べて機能がないなど低下した機能、もしくは野生型タンパク質と比べて新しい機能、またはこれらの組み合わせを必要に応じて有するように、E3は変異されていても良い。
一実施形態において、E3領域は、表1に与えられているアデノウイルスの血清型またはそれらの組み合わせ、特にB群血清型、例えばAd3、Ad7、Ad11(特にAd11p)、Ad14、Ad16、Ad21、Ad34、Ad35、Ad51、またはそれらの組み合わせ、例えばAd3、Ad11(特にAd11p)、またはそれらの組み合わせ、を形成する。
一実施形態において、E3領域は、部分的に欠失しており、例えば、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%欠失している。
一実施形態において、B2は結合であり、E3領域をコードするDNAは存在しない。
一実施形態において、E3領域をコードするDNAは、導入遺伝子によって置換されているか、または分断されていることがあり得る。「導入遺伝子で置換されたE3領域」とは、本明細書で用いられる場合、導入遺伝子で置換されたE3領域の一部または全体を含む。
一実施形態において、B2領域は、27185bp〜28165bpの配列番号12からの配列を含んでなる。
一実施形態において、B2は、27185bp〜28165bpの配列番号12からの配列からなる。
BXとは、本明細書で用いられる場合、B内のL5遺伝子の5’末端近傍のDNA配列を意味する。L5遺伝子の5’末端近傍または近位とは、本明細書で用いられる場合、L5遺伝子の5’末端またはそこに先天的に付随する非コード領域に隣接(近接)していること、すなわち、L5遺伝子の5’プライム末端またはそこに先天的に付随する非コード領域に隣接または近接していることを意味する。あるいは、近傍または近位とは、L5遺伝子と近く、従ってBX領域とL5遺伝子の5’末端との間にコード配列がないことを意味し得る。
従って、一実施形態において、Bは、L5遺伝子のコード配列の始まりを例えば表すL5の塩基と直接連結している。
従って、一実施形態において、Bは、非コード配列の始まりを例えば表すL5の塩基と直接連結しているか、またはL5に天然に付随する非コード領域と直接結合している。L5に天然に付随する非コード領域とは、本明細書で用いられる場合、L5遺伝子の一部であるか、またはL5遺伝子に近接しているが別の遺伝子の一部ではない非コード領域全体の一部を意味する。
一実施形態において、Bは、配列番号10の配列を含んでなる。この配列は、導入遺伝子(もしくは導入遺伝子カセット)、制限部位、またはそれらの組み合わせを例えば含んでなるDNA配列が挿入されても良い人工非コード配列である。この配列は、緩衝物として働き、導入遺伝子の正確な位置に対してある程度の自由度を許容する一方で、ウイルスの安定性および生存率への破壊的な影響を最小化するという点から有利である。
挿入は、配列番号10内の5’末端から3’末端の任意の場所で、またはbp1〜201の間の任意のポイントで、例えば塩基対1/2、2/3、3/4、4/5、5/6、6/7、7/8、8/9、9/10、10/11、11/12、12/13、13/14、14/15、15/16、16/17、17/18、18/19、19/20、20/21、21/22、22/23、23/24、24/25、25/26、26/27、27/28、28/29、29/30、30/31、31/32、32/33、33/34、34/35、35/36、36/37、37/38、38/39、39/40、40/41、41/42、42/43、43/44、44/45、45/46、46/47、47/48、48/49、49/50、50/51、51/52、52/53、53/54、54/55、55/56、56/57、57/58、58/59、59/60、60/61、61/62、62/63、63/64、64/65、65/66、66/67、67/68、68/69、69/70、70/71、71/72、72/73、73/74、74/75、75/76、76/77、77/78、78/79、79/80、80/81、81/82、82/83、83/84、84/85、85/86、86/87、87/88、88/89、89/90、90/91、91/92、92/93、93/94、94/95、95/96、96/97、97/98、98/99、99/100、100/101、101/102、102/103、103/104、104/105、105/106、106/107、107/108、108/109、109/110、110/111、111/112、112/113、113/114、114/115、115/116、116/117、117/118、118/119、119/120、120/121、121/122、122/123、123/124、124/125、125/126、126/127、127/128、128/129、129/130、130/131、131/132、132/133、133/134、134/135、135/136、136/137、137/138、138/139、139/140、140/141、141/142、142/143、143/144、144/145、145/146、146/147、147/148、148/149、150/151、151/152、152/153、153/154、154/155、155/156、156/157、157/158、158/159、159/160、160/161、161/162、162/163、163/164、164/165、165/166、166/167、167/168、168/169、169/170、170/171、171/172、172/173、173/174、174/175、175/176、176/177、177/178、178/179、179/180、180/181、181/182、182/183、183/184、184/185、185/186、186/187、187/188、189/190、190/191、191/192、192/193、193/194、194/195、195/196、196/197、197/198、198/199、199/200、または200/201の間で起こり得る。
一実施形態において、Bは、配列番号12のbp27とbp28の間、または位置28192bpと位置28193bpの間に相当する場所にDNA配列が挿入されている配列番号10を含んでなる。
一実施形態において、挿入は制限部位挿入である。一実施形態において、制限部位挿入は、1または2個の制限部位を含んでなる。一実施形態において、制限部位は、2個の制限部位を含んでなる19bpの制限部位挿入である。一実施形態において、制限部位挿入は、1個の制限部位を含んでなる9bpの制限部位挿入である。一実施形態において、制限部位挿入は、1または2個の制限部位と、1個以上の導入遺伝子、例えば1または2個の導入遺伝子とを含んでなる。一実施形態において、制限部位は、2個の制限部位と、1個以上の導入遺伝子、例えば1または2個の導入遺伝子とを含んでなる19bpの制限部位挿入である。一実施形態において、制限部位挿入は、1個の制限部位と、1、2、または3個の導入遺伝子などの1個以上の導入遺伝子、例えば1または2個の導入遺伝子とを含んでなる9bpの制限部位挿入である。一実施形態において、2個の制限部位は、(例えば導入遺伝子カセット内の)2個など1個以上の導入遺伝子を挟む。一実施形態において、Bが2個の制限部位を含んでなるとき、前記制限部位は、互いに異なる。一実施形態において、B内の前記1個以上の制限部位は、制限部位が挿入された特定のアデノウイルスゲノム内の非天然型のものである。一実施形態において、B内の前記1個以上の制限部位は、アデノウイルスゲノム内の他の場所に位置する他の制限部位とは異なり、例えば、天然型制限部位および/またはBに導入された制限部位などのゲノムの他の部分に導入された制限部位とは異なる。従って、一実施形態において、制限部位は、セクション内のDNAが特異的に切断されることを可能にする。
有利なことに、「ユニークな」制限部位の使用は、ただ適当な制限酵素を用いることにより、選択性を与え、ウイルスゲノムが切断される場所を制御する。
特異的に切断とは、本明細書で用いられる場合、制限部位に特異的な酵素を使用する場合に、所望の位置でのみウイルスを切断することを意味し、前記位置は通常1つの位置であるが、場合によっては位置の組であり得る。位置の組とは、本明細書で用いられる場合、同じ酵素により切断されるように設計されている(すなわち、互いが区別されることができない)、互いに近位にある2つの制限部位を意味する。
一実施形態において、制限部位挿入は、配列番号55である。
一実施形態において、Bは、28166bp〜28366bpの配列番号12からの配列を有す。
一実施形態において、Bは、結合である。
とは、本明細書で用いられる場合、L5領域をコードするDNA配列を意味する。本明細書で用いられる場合、L5領域とは、文脈に応じて、繊維ポリペプチド/タンパク質をコードする遺伝子を含むDNA配列を意味する。繊維遺伝子/領域は、アデノウイルスの主要カプシド成分である繊維タンパク質をコードする。繊維は、受容体認識において機能を果たし、アデノウイルスが選択的に細胞に結合し感染する能力に寄与する。
本開示のウイルスにおいて、繊維は、任意のアデノウイルスの血清型からのものであり得、繊維を異なる血清型の繊維と交換した結果としてキメラ型であるアデノウイルスが知られている。一実施形態において、繊維は、B群ウイルスからのものであり、特にAd11pなどのAd11からのものである。
一実施形態において、Bは、28367bp〜29344bpの配列番号12からの配列を有す。
に関連するDNA配列とは、本明細書で用いられる場合、BのL5遺伝子の3’末端近傍のDNA配列を意味する。L5遺伝子の3’末端近傍または近位とは、本明細書で用いられる場合、L5遺伝子の3’末端またはそこに先天的に付随する非コード領域に隣接(近接)していること、すなわち、L5遺伝子の3’プライム末端またはそこに先天的に付随する非コード領域(すなわち、L5にとって内在性の非コード配列の全体もしくは一部)に隣接または近接していることを意味する。あるいは、近傍または近位とは、L5遺伝子と近く、従ってBY領域とL5遺伝子の3’末端との間にコード配列がないことを意味し得る。
従って、一実施形態において、Bは、コード配列の「終わり」を例えば表すL5の塩基と直接連結している。
従って、一実施形態において、Bは、非コード配列の「終わり」を表すL5の塩基と直接連結しているか、またはL5に天然に付随する非コード領域と直接結合している。
先天および天然は、本明細書で交換可能に使用される。一実施形態において、Bは、配列番号11の配列を含んでなる。この配列は、導入遺伝子(もしくは導入遺伝子カセット)、制限部位、またはそれらの組み合わせを例えば含んでなるDNA配列が挿入されても良い非コード配列である。この配列は、緩衝物として働き、導入遺伝子の正確な位置に対してある程度の自由度を許容する一方で、ウイルスの安定性および生存率への破壊的な影響を最小化するという点から有利である。
挿入は、配列番号11内の5’末端から3’末端の任意の場所で、またはbp1〜35の間の任意のポイントで、例えば塩基対1/2、2/3、3/4、4/5、5/6、6/7、7/8、8/9、9/10、10/11、11/12、12/13、13/14、14/15、15/16、16/17、17/18、18/19、19/20、20/21、21/22、22/23、23/24、24/25、25/26、26/27、27/28、28/29、29/30、30/31、31/32、32/33、33/34、または34/35の間で起こり得る。
一実施形態において、Bは、配列番号12で位置bp12と位置bp13の間、または29356bpと29357bpに相当する場所にDNA配列が挿入されている配列番号11を含んでなる。一実施形態において、挿入は制限部位挿入である。一実施形態において、制限部位挿入は、1または2個の制限部位を含んでなる。一実施形態において、制限部位は、2個の制限部位を含んでなる19bpの制限部位挿入である。一実施形態において、制限部位挿入は、1個の制限部位を含んでなる9bpの制限部位挿入である。一実施形態において、制限部位挿入は、1または2個の制限部位と、1、2、または3個の導入遺伝子など1個以上の導入遺伝子、例えば1または2個の導入遺伝子とを含んでなる。一実施形態において、制限部位は、2個の制限部位と、1個以上の導入遺伝子、例えば1または2個の導入遺伝子とを含んでなる19bpの制限部位挿入である。一実施形態において、制限部位挿入は、1個の制限部位と、1個以上の導入遺伝子、例えば1または2個の導入遺伝子とを含んでなる9bpの制限部位挿入である。一実施形態において、2個の制限部位は、(例えば導入遺伝子カセット内の)2個など1個以上の導入遺伝子を挟む。一実施形態において、Bが2個の制限部位を含んでなるとき、前記制限部位は、互いに異なる。一実施形態において、B内の前記1個以上の制限部位は、制限部位が挿入された特定のアデノウイルスゲノム内の(ユニークなものなど)非天然型のものである。一実施形態において、BY内の前記1個以上の制限部位は、アデノウイルスゲノム内の他の場所に位置する他の制限部位とは異なり、例えば、天然型制限部位またはBなどのゲノムの他の部分に導入された制限部位とは異なる。従って、一実施形態において、制限部位は、セクション内のDNAが特異的に切断されることを可能にする。
一実施形態において、制限部位挿入は、配列番号54である。
一実施形態において、Bは、29345bp〜29379bpの配列番号12からの配列を有す。
一実施形態において、Bは、結合である。
一実施形態において、挿入は、配列番号11でbp12の後である。
一実施形態において、挿入は、配列番号12の位置29356bpの辺りである。
一実施形態において、挿入は、1、2、または3個など1個以上の導入遺伝子、例えば1または2個の導入遺伝子を含んでなる導入遺伝子カセットである。
E4とは、本明細書で用いられる場合、アデノウイルスのE4領域(すなわち、ポリペプチド/タンパク質領域)の一部または全体をコードするDNA配列を意味し、E4遺伝子がコードするタンパク質が、保存的または非保存的アミノ酸変化を有し、野生型と同じ機能(対応する未変異タンパク質)、野生型タンパク質と比べて向上した機能、野生型タンパク質と比べて機能がないなど低下した機能、もしくは野生型タンパク質と比べて新しい機能、またはこれらの組み合わせを必要に応じて有するように、E4は変異されていても良い。
一実施形態において、E4領域は、部分的に欠失しており、例えば、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、または5%欠失している。一実施形態において、E4領域は、32188bp〜29380bpの配列番号12からの配列を有す。
一実施形態において、B3は結合であり、すなわち、E4は存在しない。
一実施形態において、B3は、32188bp〜29380bpの配列番号12からなる配列を有す。
本明細書で用いられる場合、数値範囲は、端点を含む。
当業者であれば、式(I)などの本明細書の式中の要素が、近接しており、本明細書に言及されている非コードDNA配列ならびに遺伝子およびコードDNA配列(構造的特徴部)を含み得ることを理解するであろう。1つ以上の実施形態において、本開示の式は、アデノウイルスゲノム内の天然型配列を説明しようとするものである。この関連において、式がゲノムの関連するセクションを特徴付ける主要な要素を表しており、ゲノムの一続きのDNAについて余すことなく説明することを意図するものではないことが、当業者には明らかであろう。
E1A、E1B、E3、およびE4は、本明細書で用いられる場合、それぞれ独立して、本明細書に記載の各領域の野生型およびその同等物、変異型、または部分的な欠失型を意味し、特に公知のアデノウイルスからの野生型配列を意味する。
「挿入」とは、本明細書で用いられる場合、所与のDNA配列の基準セグメントの5’末端、3’末端、または内部のいずれかに、基準配列を分断するように組み込まれるDNA配列を意味する。基準配列は、挿入の位置に対する基準点として用いられる基準配列である。本開示との関連において、挿入は、通常、配列番号10または配列番号11のどちらかの内部で起こる。挿入は、制限部位挿入、導入遺伝子カセット、または両方のいずれかであり得る。配列が分断されるとき、ウイルスは、依然として元の配列を含んでなるが、通常、挿入を挟む2つの断片として存在するようになる。
一実施形態において、導入遺伝子または導入遺伝子カセットは、Tn7トランスポゾンまたはその一部など偏りのない挿入が起こるトランスポゾンを含まない。Tn7トランスポゾンとは、本明細書で用いられる場合、国際公開第2008/080003号に記載の偏りのない挿入が起こるトランスポゾンを意味する。
連続製造方法とは、本明細書で用いられる場合、本開示に従って定義されるウイルスの製造方法であり、特に、前記方法の1つ以上または2つ以上の時点で製造されたウイルス粒子が、細胞当り50,000以上の例えば複製能を有するキメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルスなどの本明細書に記載のウイルスである場合など、各細胞により製造されるウイルスが非連続方法と比べて増加するような前記方法であって、ウイルスが2回以上の複製サイクルを有する前記方法である。
感染後の細胞に追加の細胞を補充せず、複製されたウイルスを収集するために細胞を例えば溶解するか、または、1回のウイルス複製サイクルおよびそこからのウイルスの回収の後に細胞を廃棄する不連続培養と、連続方法は、反対のものである。本開示の方法の一部として、ウイルスを含む無細胞上清を、ウイルスの下流の精製のために、複数回または連続的に収集しても良い。一実施形態において、収集は、細胞培養期間の終了時ではない。
一実施形態において、1つ以上の時点で細胞当り製造されたウイルス粒子は、75,000以上、例えば80,000;90,000;100,000;150,000;175,000;180,000、または195,000である。
これらの範囲の細胞当りのウイルスの収率は、所与のウイルスに対して関連のパラメーターを選択することにより達成される。これらの収率を達成するために重要なパラメーターは、出発播種密度、感染多重度(MOI)、培地の交換、および方法の期間である。理論に拘束されることを望むものではないが、これらのパラメーターを制御することは、収率に関して方法を制御することを可能にし、ウイルス製品をどこに存在させるのか、すなわち、上清中、細胞中、または両方に存在させるのかに対する制御も与え得る。
低い感染多重度とは、本明細書で用いられる場合、感染多重度が19、18、17、16、15、14、13、12.5、12、11、10、9、8、7、6、または5など20未満であることを意味する。
高い感染多重度とは、本明細書で用いられる場合、感染多重度が46、47、48、49、50、51、52、53、54、55以上など45以上であることを意味し、例えば100であることを意味する。
低い播種密度とは、本明細書で用いられる場合、播種密度が1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、または0.5×10以下など2×10以下であることを意味する。
高い播種密度とは、本明細書で用いられる場合、例えば、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5×10以上など3.5×10以上である。
方法の一実施形態において、哺乳類細胞を、1〜9×10、1〜9×10、1〜9×10、1〜9×10、1〜9×10など1〜9×10vp/ml以上、特に1〜5×10vp/mlまたは2.5〜5×10vp/mlの出発濃度で感染させる。
一実施形態において、哺乳類細胞を、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3.0、または4×10vp/mlなど1〜4×10vp/mlの出発播種濃度で感染させる。
方法の一実施形態において、哺乳類細胞を、約1〜200ppc、例えば、50ppcなど40〜120ppcで1×10vp/mlの出発濃度で感染させる。
ppcは、本明細書で用いられる場合、細胞当りのウイルス粒子の数を表す。ppcおよび感染多重度は、本明細書で交換可能に用いられる。
一実施形態において、培養中のキメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルスなどのウイルスは、20〜150細胞当り粒子(ppc)、例えば40〜100ppc、特に50ppcの範囲の濃度である。この濃度は、出発播種密度とは対照的に、培養工程の間の濃度である。ウイルス濃度の値が低いこと、例えば50ppcなど100ppc未満、特に15、14、13、12.5、12、11、または10など20以下であることは、有利であり得る。利点として、1つ以上の以下の特性、特に細胞の生存率を収集前に測定したときに、ウイルス濃度が高い培養物と比べて細胞の生存率が増すこと、および、細胞当りのウイルス粒子製造レベルが高いこと、が挙げられ得る。
一実施形態において、培養物中の細胞数を、培養物中のウイルスのレベルと合うように調節する。例えば、細胞を培養物(固定相中の細胞など)に加える、または培養物の細胞増殖を調節して、感染多重度(MOI)をほぼ一定に維持する細胞数を与える。
ウイルス製造は、細胞密度にも依存する。一実施形態において、細胞密度は、100万〜1000万細胞/ml、例えば200万〜1000万細胞/mlの範囲内にある。
「方法が終了に近くなると」とは、本明細書で用いられる場合、方法が実行中の期間の最後の40%、例えば、65、70,71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89以降など感染後約60時間以降を意味する。
「ウイルス感染および製造用の生細胞を、前記ウイルスの複製に適したレベルに前記容器内で維持する」とは、本明細書で用いられる場合、望ましく有用で標準的な収率のウイルスを生じるレベルに生細胞を維持することを意味する。
生細胞は、ウイルスが感染できる、および/または複製しているウイルスを支持できる細胞であり、特に、ウイルスが感染できる、および/または複製しているウイルスを支持できる健康な細胞である。
細胞の生存率が低いと、細胞溶解が起こり得、時間が経つとウイルスを攻撃するようになる酵素またはタンパク質に細胞を晒し得る。しかしながら、細胞培養などの動的工程において、あるパーセンテージ、例えば小さいパーセンテージの細胞が溶解され得る。このことは、実際面で、重大な問題を引き起こすことは通常ない。
生存不能な細胞は、死細胞、溶解細胞、ウイルス複製に関して不活性な細胞であるとする。
漏出細胞は、透過性が高い膜を有する細胞である。
興味深いことに、製造方法中に培養物に加えられる細胞は、比較的急速に、例えば約24時間以内に、高い透過性を呈するように見える、すなわち、生死判定用色素により染色される。それでもやはり、感染性ウイルス粒子を含む高いレベルのウイルス粒子が依然として製造されるので、このことは、不利であるようには見えない。
細胞の生存率を検査する方法は、当業者に知られており、細胞のサンプルを取り、生存不能である細胞に浸透し染色し、漏出細胞にも浸透する生死判定用染色剤でサンプルを検査する方法が挙げられる。
細胞生存率アッセイは、以下の技術のうち1つ以上に基づくものであり得る。
1. 細胞溶解または膜漏出アッセイ:このカテゴリーは、細胞膜がもはや無傷ではないときに容易に検出され得る全細胞に共通の安定な酵素である乳酸デヒドロゲナーゼのアッセイを含む。例として、ヨウ化プロピジウム、トリパンブルー、および7−アミノアクチノマイシンDが挙げられる。
2. ミトコンドリア活性またはカスパーゼアッセイ:レサズリンおよびホルマザン(MTT/XTT)は、細胞死の前兆となるアポトーシス過程の様々な段階について分析し得る。
3. 機能分析:細胞機能のアッセイは、分析される細胞の種類に対する特異性が高くなり得る。例えば、運動性は、広く使用されている***細胞機能のアッセイである。受精能は、配偶子の生存を分析するために通常使用され得る。赤血球は、変形能、浸透圧脆弱性、溶血、ATPレベル、およびヘモグロビン含有量について分析されている。
4. ゲノムおよびプロテオームアッセイ:DNAマイクロアレイおよびタンパク質チップを使用して、ストレス経路の活性化について細胞を分析し得る。
細胞の生存率を分析するために用いられる検査の一般的なリストは、以下を含む。ATP検査、カルセインAM、クローン原性アッセイ、エチジウムホモダイマーアッセイ、エバンスブルー、フルオレセインジアセテート加水分解/ヨウ化プロピジウム染色(FDA/PI染色)、フローサイトメトリー、ホルマザンベースのアッセイ(MTT/XTT)、緑色蛍光タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、メチルバイオレット、ヨウ化プロピジウム、壊死細胞、アポトーシス細胞、および正常細胞を区別できるDNA染色、レサズリン、トリパンブルー、生細胞排除色素(死細胞の細胞膜のみ通過する色素)、およびTUNELアッセイ。
従って、細胞の生存率は、例えばトリパンブルー(および光学顕微鏡検査)または7−アミノ−アクチノマイシンD、670nmで放射する生体染色色素(または市販の使用準備済の7ADDの溶液であるViaProbe)およびフローサイトメトリーで、当業者に知られている技術を用いて、細胞染色により検査され得る。染色剤が細胞に浸透する場合、細胞は生存不能であると見なされる。色素を吸収しない細胞は、生存能を有すると見なされる。例示的方法では、約100μLの細胞浮遊液当り約5μLの7AADおよび約5μLのアネキシンV(アポトーシス中に露出されるリン脂質外層のホスファチジルセリンに結合するリン脂質結合タンパク質)を用いても良い。この混合物を、光が無いところで約15分間周囲温度でインキュベートしても良い。次に、フローサイトメトリーを用いて分析を実施しても良い。例えば、MG Wing, AMP Montgomery, S. Songsivilai and JV Watson. An Improved Method for the Detection of Cell Surface Antigens in Samples of Low Viability using Flow Cytometry. J Immunol Methods 126: 21-27 1990を参照されたい。
一実施形態において、酸素摂取量または酸素移動量を使用して、細胞の生存率を評価する。まだウイルスを複製できる漏出細胞は、トリパンブルーなどの試薬で染色され得るので、これは、細胞の生存率を分析する1つのより適当な方法であり得る。従って、この方法は、死/溶解細胞と漏出細胞を区別するために使用され得る。
驚くべきことに、本発明者は、方法のいくつかの実施形態を採用すると、特に新鮮細胞を添加しないときに、感染後、本明細書に記載の連続製造期間に亘って、細胞が高い生存率(例えば、この状況における80〜90%の生存率は、生死判定用色素で染色されない)を維持することを、発見した。従って、一実施形態において、収集および方法は、十分な細胞が生存能を保持する限り、続き得る。
培地の交換がなく、ウイルス複製を支持する細胞の添加または取り換えがない一実施形態において、細胞の生存率は、方法の間約50〜100%であり、例えば、EnAdに感染したとき、96時間の時点(すなわち、感染後96時間)で、60〜95%であり、例えば90%の生存率(すなわち、90%の細胞が生死判定用色素で染色されていなかった)である。
一実施形態において、細胞の生存率は、方法の間約50〜100%であり、例えば、NG76に感染したとき、96時間の時点(すなわち、感染後96時間)で、60〜90%であり、例えば、特に新鮮細胞を添加しないときに、83%の生存率(すなわち、83%の細胞が生死判定用色素で染色されていなかった)である。
一実施形態において、細胞の生存率は、方法の間約50〜100%であり、例えば、NG135に感染したとき、96時間の時点(すなわち、感染後96時間)で、60〜90%であり、例えば、特に新鮮細胞を添加しないときに、85%の生存率(すなわち、85%の細胞が生死判定用色素で染色されていなかった)である。
一実施形態において、細胞の生存率は、方法の間約50〜100%であり、例えば、Ad11に感染したとき、96時間の時点(すなわち、感染後96時間)で、80〜90%である。例えば、特に新鮮細胞を添加しないときに、85%の生存率(すなわち、85%の細胞が生死判定用色素で染色されていなかった)。
一実施形態において、培養法は、1回以上の細胞の添加または交換を含んでなる。本明細書で用いられる細胞添加とは、細胞の一部または全部を補充し、必要に応じて死細胞を取り出すことを意味する。細胞の交換とは、本明細書で用いられる場合、少なくとも一部の細胞を取り出し、新鮮細胞を添加することを意味する。
一実施形態において、連続製造期間中、生存不能の細胞を取り換えて、継続性/持続性のウイルス複製の期間、および継続性/持続性のウイルスの培養培地への放出を維持し、例えば、ウイルス複製レベルは方法の間変動し得るが、ウイルス複製は連続的(すなわち、非断続的)である。
一実施形態において、新しく添加した細胞の生存率は、重要な因子であり得、従って、細胞培養物全体に亘る細胞の生存率を測定した場合(すなわち、生死判定染色用色素により検査した場合)、十分な量のウイルスを複製し続けるのに十分な細胞があれば、生存率は、実際50%未満であり得る。しかしながら、色素染色は、生存不能細胞と漏出細胞を必ずしも区別しない。
理論に拘束されることを望むものではないが、漏出性であり得る細胞は、生存能を有してウイルスを製造するようにも見える。
場合によって、方法で用いられる70%以上の細胞は、本方法により細胞に加えられるストレスに例えば起因して、漏出性であり得る。しかしながら、このことは、ウイルス製造中の細胞の性能にほとんど影響を与えないように見える。従って、本方法において、生死判定用色素が細胞を染色する場合でさえ、細胞は、ウイルスを製造するのに十分な生存能を保持し得る。本開示に係る方法において、新しい細胞を培養物に添加する場合、振盪フラスコで実施する試験において、新鮮細胞を添加した後でさえ、生死判定用染色剤で着色する細胞は、非常に多い、例えば70%の細胞集団であり得る。それでもやはり、バイオリアクター法は、哺乳類細胞でウイルス製造を実施するのに特に適しており、バイオリアクター法からの細胞の染色量は少ない場合がある。
一実施形態において、本開示に係る方法をバイオリアクターで実施する。
好適なバイオリアクターシステムの例は、マイクロファイバーが例えば詰められた完全一体型で高密度のバイオリアクターであるiCELLisバイオリアクターである。このシステムは、付着細胞の培養に特に好適である。均一に分布した培地循環は、内臓の磁気駆動インペラーにより達成され、低いずり応力および高い細胞の生存率が確保される。細胞培養培地は、固定床を通って底部から上部へと流れる。上部では、培地は、薄膜として外壁を流れ落ち、外壁でOを取り込み、バイオリアクター内で高いKa.を維持する。この酸素添加は、穏やかな攪拌およびバイオマスの固定化と共に、コンパクトなiCELLisバイオリアクターが、高い細胞密度を達成および維持することを可能にするので、生産性は、はるかに大きい攪拌槽ユニットに劣らない。さらなる詳細については例えば以下を参照されたい。
http://www.pall.com/main/biopharmaceuticals/product.page?lid=hw7uq21l
継続性または持続性のウイルス複製の期間は、ウイルスが1回を超える複製サイクルのための時間を有する(すなわち、2回以上の複製サイクルを有する)期間である。複製サイクルでは、所与のウイルスが、細胞に入り複製し、ウイルスおよび/またはウイルス粒子が、細胞から放出され、次いで、ウイルスまたはその子孫が、細胞に感染し始め、複製を進行する。
ウイルスの製造方法は、本明細書で用いられる場合、ウイルスが複製し、それによりウイルス粒子の数が増える方法を意味するように意図されている。特に、該製造は、治療用製品を製造するのに十分な数のウイルス粒子を与えるものであり、例えば1〜9×10〜1〜9×1020以上の範囲の粒子が製造され得、例えば1〜9×10〜1〜9×1015の範囲のウイルス粒子、特に、1〜9×1010または1〜9×1015のウイルス粒子が、10Lのバッチから製造され得る。
一実施形態において、収率は、リットル当り約1〜2×1014vpである。
一実施形態において、細胞当りのウイルス製造量は、50,000ウイルス粒子以上であり、例えば、1つ以上の時点で、55,000;60,000;65,000;70,000;75,000;80,000;90,000;95,000;100,000;105,000;110,000;115,000;120,000;125,000;130,000;135,000;140,000;145,000;150,000;155,000;160,000;165,000;170,000;175,000;176,000;177,000;178,000;179,000;180,000;181,000;182,000;183,000;184,000;185,000;186,000;187,000;188,000;189,000;190,000;191,000;192,000;193,000;194,000;195,000;196,000;197,000;198,000;199,000;200,000;201,000;202,000細胞当りウイルス粒子以上を含んでなる群から独立して選択される。
連続製造期間は、本明細書で用いられる場合、単純に、所与のキャンペーン生産の期間である。概して、本発明の方法は、48時間以上、例えば70、80、84、86、90、96、100、108、120、124、128、132、144、156、168、180、192、204、216、228、240時間以上(ここで、前記値は、+/−3時間である)、例えば、144時間〜240時間の範囲内、例えば156、168、180、192、204、216、228、または240時間である、連続製造期間を有するものとする。
一実施形態において、培養期間は、144〜240時間など70〜300時間の範囲内にあり、例えば144、156、168、180、192、204、216、228、または240時間である。
一実施形態において、連続製造方法は、細胞を100時間を超えて培養することを特徴とする。
一実施形態において、本開示の連続製造方法は、100時間以下の感染後培養期間および1回以上の培地の交換または添加および1回以上の細胞の交換または細胞の添加により特徴づけられる。
一実施形態において、連続製造は、感染後35〜96時間の範囲内にある。
有利なことに、本開示のウイルスは、培養法が70時間以上に延長される場合でさえも、分解しないように見える。ウイルスの分解は、ウイルスの感染力を分析することによりチェックされ得る。ウイルスの感染力は、ウイルス粒子が分解するにつれて減少する。
最大全ウイルス製造量は、本明細書で用いられる場合、細胞当り製造されたウイルス粒子の総数を意味し、上清および細胞中のウイルス粒子を含む。
一実施形態において、最大全ウイルス製造量は、感染後約40〜60時間およびその倍数の時間で、例えば感染後49、98、147などの時間で達成される。
一実施形態において、最大全ウイルス製造量は、感染後約70〜90時間およびその倍数の時間で、例えば感染後140〜180時間で達成される。
一実施形態において、最大全ウイルス収率は、感染後約60〜96時間で達成される。
方法における1回以上の培地の交換/取り換えは、ウイルス収率に大きなプラスの影響を有するように見える。一実施形態において、細胞を取り出すことなく培地を交換する。一実施形態において、5〜100%の培地を1つ以上の時点で交換する。一実施形態において、培地および細胞を取り出し、例えば(細胞浮遊培養法の)10、20、30、40、50、60、70、80%以上の細胞浮遊液を取り出し、新鮮培地および細胞と取り換える。
一実施形態において、方法の間1回以上培地を添加する。このことは、宿主細胞が指数関数的増殖期にあるときに特に有利であり得る。
一実施形態において、培養法は、1回以上の培地の交換を含んでなる。このことは、細胞の増殖、収率などを最適化するために有利であり得る。培地の交換を採用する場合、交換される培地からウイルス粒子を回収することが必要であり得る。これらの粒子は、ウイルスの収率を確実に最適化するために、主要なウイルスバッチとまとめられ得る。同様の技術を灌流法の培地でも採用して、ウイルスの回収を最適化し得る。
一実施形態において、培養法は、培地交換ステップを含まない。このことは、ウイルス粒子が全く失われないので、収率が最適化され得るため、有利であり得る。
一実施形態において、培地および/または細胞は、定期的に補充または補給される。
一実施形態において、方法の間に、例えば不連続の時点で、または連続的に、細胞を回収する。
哺乳類細胞の培養に好適な培地として、シグマアルドリッチからのEX−CELL(登録商標)培地、例えばHEK293細胞用無血清培地であるEX−CELL(登録商標)293、CHO細胞用無血清培地であるEX−CELL(登録商標)ACF CHO培地、CHO細胞用無血清培地であるEX−CELL(登録商標)302、EX−CELL CD加水分解フュージョン培地サプリメント(hydrolysate fusion media supplement)、Lonza RMPIからの培地(HEPESおよびL−グルタミン含有RMPI 1640、L−グルタミン含有または非含有RMPI 1640、およびウルトラグルタミン(UltraGlutamine)含有RMPI 1640など)、MEM、DMEM、ならびにSFMII培地が挙げられるが、これらに限定はされない。
一実施形態において、培地は無血清である。このことは、規制当局での製造方法の登録が容易となるので、有利である。
新鮮培地の添加は、本明細書で用いられる場合、栄養分および成分が細胞の増殖を支持するのに適したレベルである、すなわち、枯渇していない培地の添加を意味する。
培地交換は、本明細書で用いられる場合、方法で用いられる培地の一部または全体を取り換えることを意味し、例えば、培地の一部を取り出し新鮮細胞を加えることを意味する。
「ステップa)から製造された前記ウイルスを前記培地から単離するステップであって、前記ウイルスの単離が細胞溶解ステップの後ではない前記ステップ」とは、本明細書で用いられる場合、方法から得られたウイルスを上清から単離する1つ以上のステップを意味する。方法は、必要に応じて、例えば方法の最後に細胞からウイルスを回収するための、および/または培養物から取り出された細胞からウイルスを回収するための、細胞溶解ステップも含んでなり得る。
「単離が細胞溶解ステップの後ではない」とは、本明細書で用いられる場合、製造方法の1つ以上の時点での回収が特異的な溶解ステップを含まないことを意味するように意図されている。すなわち、培養物中の全部または大部分の細胞を溶解するように条件が設計されているステップは、化学的溶解ステップ、酵素溶解ステップ、溶解バッファーステップ、機械的溶解ステップ、または遠心分離もしくは凍結融解などの物理的溶解ステップを例えば用いない。
大部分とは、本明細書で用いられる場合、大多数、例えば80、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%を意味する。
一実施形態において、ウイルスが細胞から上清へ放出された後、収集を開始し、(例えば循環培地からの回収による)その時点以後の連続的な収集、もしくは不連続の時点、例えば40〜50時間、60〜70時間、80〜100時間、120〜150時間、160〜200時間、200〜250時間での収集、またはそれらの組み合わせを実施する。ウイルス全部ではないが特定の量のウイルスが上清から連続的かつ特定の時点で取り出される組み合わせでは、取り出されるウイルスの量は、増加または減少する。
ウイルスの収集は、ウイルス複製を続けるために、十分なウイルスを培養物中に残すべきである。このことは、例えば、MOIをモニタリングし、本明細書に記載の範囲内にMOIを保ち、達成され得る。
一実施形態において、方法の最後の1時点でウイルス全部を収集する。
一実施形態において、方法の最後の1時点でウイルス全部の収集はしない。
一実施形態において、本開示の方法は、1つ以上のろ過ステップを含んでなる。細胞および不純物を残留させ、それによりウイルスがフィルターの孔を通過するようにするろ過を必要に応じて選択し得る。あるいは、ウイルスを残留させ不純物を通過させるろ過を選択しても良い。一実施形態において、ろ過技術の組み合わせを本開示の方法に用いる。
ウイルスは、ろ過により上清から取り出され得、例えば、ウイルスを通過させるが細胞および他の細胞培養成分(不純物)を残留させるのに十分な孔を有するフィルターが用いられ得る。一実施形態において、0.1〜10ミクロンの範囲、例えば0.2ミクロンのフィルターが用いられる。一実施形態において、段階的ろ過を用いる。例えば、10ミクロンのフィルターの後に、1〜5ミクロンの範囲などの小さいフィルターを用い、その次に、0.2ミクロンなどのさらに小さいフィルターを用いる。
一実施形態において、タンジェンシャルフローろ過などのダイアフィルトレーションを用いる。フィルターのサイズおよび条件を、ウイルスを選択的に抽出するように選択し得る。好適であり得るフィルターの例として、TFFメンブレン300K NMWCおよびその同等物が挙げられる。
一実施形態において、カットオフが約300kDaであるダイアフィルトレーションシステムは、通常、90%以上のウイルス粒子を残留させる一方で、夾雑物は除去するので、適当であり得る。
含まれるウイルスの一部または全部を抽出した後に残る上清を、必要に応じて、さらに処理してウイルスをさらに抽出し全収率を増加させること、培養系へと必要に応じてある量の新鮮培地もしくはその成分と共に戻すこと、もしくは廃棄すること、またはそれらの組み合わせが可能である。
一実施形態において、(上清から取り出されたウイルスとは対照的に)細胞から単離されたウイルスの画分(画分が1つである場合も含む)では、上清から単離されたウイルスに添加する前に、1回以上の精製ステップが実施される。
一実施形態において、(上清から取り出されたウイルスとは対照的に)細胞から単離されたウイルスの画分(画分が1つである場合も含む)では、上清から単離されたウイルスに添加する前に、1回以上の精製ステップが実施されない。
一実施形態において、90%を超えるウイルス、例えば、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%、例えば95%以上、特に98%以上のウイルスが、48時間の時点およびその倍数の時間の時点で上清中に存在する。
一実施形態において、かなりの量のウイルスが38時間後に培地中にある。例えば、50%を超える、特に70%を超えるウイルスが、38時間後、およびその倍数時間後、例えば76、114、152、190、228時間などの時間後、培地中にある。
一実施形態において、50%以上、例えば55、60、65、70、75%以上のウイルスが約65時間までには上清中にある。
一実施形態において、70%以上、例えば75、76、77、78、79、80%以上のウイルスが約72時間までには上清中にある。
一実施形態において、80%以上、例えば85、86、87、88、89、80%以上のウイルスが約96時間までには上清中にある。
一実施形態において、64時間の時点で、すなわち64時間後、CVLペレット中に、10%未満の検出可能なウイルス、例えば9、8、7、6、5、4、3、2、1%の検出可能なウイルスがある。CVLは、本明細書で用いられる場合、粗ウイルス溶解物を意味する。
一実施形態において、複製後のウイルスは、実質的に全細胞についてほぼ同時に、細胞を出るため、上清中のウイルスがピークに達する特定の時点がある。文脈上他を意味しない限り、ウイルス複製サイクルは、本明細書で用いられる場合、方法におけるウイルスのピークを意味し、例えば、第1のウイルスのピークは、第1のウイルス複製サイクルの終わりと第2のウイルスの複製サイクルの始まりを示す。この方法の特性は、同時に培養される細胞を使用することにより達成されて、細胞が同調して任意の所与の瞬間で細胞のライフサイクルの同じまたはほぼ同じ段階にあることを確実にし得る。あるいは、様々な異なる細胞を用いて、この特性をならし、連続的に複製されるウイルスを与え得る。
培地または上清中のウイルスのレベルをHPLCまたはその他の技術によりモニタリングできる。
通常、培地に添加する細胞は、培養物中に用いられている細胞と同じ種類であるとする。
培養物に添加する細胞は、本培養への添加により適するように、例えば、本培養の細胞と混合するために、細胞のライフライフサイクルの適合性段階にあることを確実にするように、前培養されていても良い。
有利なことに、生細胞のレベルが増加した場合、ウイルス複製がウイルス粒子の絶対数を増加させたときに、ウイルスが感染に細胞を利用できるため、非常に効率的な方法が与えられる。一実施形態において、集団のその他の特性が、細胞の交換または添加により変えられ、例えば膜透過性が増加され得る。
一実施形態において、ウイルスの感染および複製中、対数期増殖を支持および維持するように確立された条件下で細胞を維持する。従って、一実施形態において、少なくともある割合の細胞集団は、方法における任意の所与の時点で対数増殖期にあり、例えば、10〜80%、例えば20〜50%の細胞が増殖期にある。対数増殖期は、本明細書で用いられる場合、細胞が、利用可能な栄養分、基質、および細胞により放出される産物による阻害が制限因子ではない増殖培地条件下で指数関数的に増殖していることを意味する。
細胞培養は、技術的な必要性に応じて、灌流培養、流加培養、バッチ培養、定常状態培養、連続培養、またはそれらのうち1つ以上からなる組み合わせを用い得、特に、灌流培養を用い得る。
一実施形態において、方法は灌流法であり、例えば連続的灌流法である。
「由来」とは、本明細書で用いられる場合、例えば、DNA断片が、アデノウイルスから取られた場合、またはアデノウイルスに元々見られる配列に対応する場合を意味する。この言葉は、配列を得る方法を制限することを意図されてはおらず、例えば、本開示に係るウイルスに用いられる配列は、合成されたものであっても良い。
一実施形態において、派生物は、元のDNA配列に対して全長に亘って100%の配列同一性を有す。
一実施形態において、派生物は、元のDNA配列に対して95、96、97、98、または99%の同一性または類似性を有す。
一実施形態において、派生物は、ストリンジェントな条件下で元のDNA配列とハイブリダイズする。
本明細書で用いられる場合、「ストリンジェンシー」は、通常、約Tm(融解温度)−50℃(プローブのTm以下5℃)からTm以下約20℃〜25℃の範囲で生じる。当業者が理解するように、ストリンジェントなハイブリダイゼーションを使用して、同一のポリヌクレオチド配列を特定もしくは検出、または類似もしくは関連のポリヌクレオチド配列を特定もしくは検出することができる。本明細書で用いられる場合、用語「ストリンジェントな条件」は、配列間に95%以上、例えば97%以上の同一性がある場合に、ハイブリダイゼーションが通常起こり得ることを意味する。
本明細書で用いられる場合、「ハイブリダイゼーション」は、本明細書で用いられる場合、「ポリヌクレオチド鎖が塩基対合により相補鎖と結合するあらゆる過程」を含むものとする(Coombs, J., Dictionary of Biotechnology, Stockton Press, New York, N.Y., 1994)。
有利なことに、本方法は、細胞溶解ステップを回避することができるため、細胞からの夾雑DNAまたはタンパク質の出発濃度が低いので、ウイルスの下流処理を単純化し得る。このことは、下流処理で用いられる試薬、設備、および時間が削減され得るので、コストの節約をもたらし得る。また、このことは、夾雑DNAの最終濃度が低い、かつ/または大きい断片の夾雑細胞性DNAおよびタンパク質の濃度が低い、純度の高さをもたらし得る。
さらに、ウイルスを細胞の酵素へ晒すことが、ウイルスを細胞からのヌクレアーゼなどの潜在的な分解剤に晒すことを最小化する細胞溶解の回避によって、最小化される。このことは、ウイルスのより高い安定性および/または感染力などにより測定される潜在能をもたらし得る。
興味深いことに、本開示のウイルスは、細胞を出た後、細胞に付着しないので、上清から容易に回収することができる。このことは、本方法を容易にする、本明細書に記載の特定のウイルスに特徴的な現象であり得る。対照的に、野生型Ad5は、細胞に付着すると考えられている。実際、本明細書で論じられる時間枠で、野生型Ad5ウイルス粒子は上清中に実質的に存在しないという結果が示されている。
理論に拘束されることを望むものではないが、一実施形態において、細胞を出て細胞に付着しない能力および/または速いウイルス複製サイクルは、キメラ型E2B領域および/またはE3の一部の欠失および/またはE4領域の欠失に関連し得る。
理論に拘束されることを望むものではないが、一実施形態において、細胞を出て細胞に付着しない能力および/または速いウイルス複製サイクルは、B群カプシド、例えばAd11カプシドに関連し得る。
一実施形態において、細胞への付着性の欠如は、腫瘍崩壊性ウイルスのヘキソンおよび繊維に関連し得、例えば、この点で、Ad11などのB群アデノウイルスからのウイルスカプシドは、本開示の複製能を有するウイルスおよびキメラ型ウイルスにとって特に有利であり得る。
速いウイルス複製サイクルは、本明細書で用いられる場合、感染後50時間以下の期間に少なくとも一部のウイルスが上清に排出されるように完了するサイクルを意味する。
一実施形態において、公知の標準システムを用いて、本明細書に記載の方法により製造したウイルスを処理する。
一実施形態において、例えば、連続方法が実際ノンストップである場合、すなわち、数日間とは対照的に数週間および数ヶ月間など非常に長期間のキャンペーンで実施される場合、培養培地のインラインのタンジェンシャルフローろ過を与えるように培養容器を改造して、DNAおよび細胞片などの夾雑物が蓄積するのを回避し得る。1つの可能な配置が図2で示されており、この配置では、タンジェンシャルフローろ過システムが培養容器に隣接して与えられている。培養容器とタンジェンシャルフローシステムとの間の界面は、図2で平坦な界面として示されている。しかしながら、界面は任意の好適な形状であっても良く、例えば、タンジェンシャルフローろ過は、培養容器の周囲のジャケットとして配置されていても良い。
容器との界面は、タンジェンシャルフローフィルターメンブレンに関しては、選択的透過性メンブレンである。一実施形態において、メンブレンは、300K NMWC TFFである。
図2の配置は、好適な配置のただの一例であり、例えばウイルス抽出後の培地は、培養へと再利用され得、ポンプは異なるように配置され得る。
従って、一実施形態において、培養容器を伴うタンジェンシャルフローシステムは、培養物から夾雑物を取り除く。従って、一実施形態において、細胞培養容器は、タンジェンシャルフロー界面を含んでなり、例えば、圧力差がある状態で維持されて、培養物からの細胞片および夾雑物の除去を可能にし、それによって培養が維持され得る期間を長くする。
一実施形態において、培養容器を伴うタンジェンシャルフローシステムは、培養物からウイルスを取り出すので、ウイルスの収集に用いられ得る。
分離システムは、ウイルスをウイルスの1次回収、または2次回収として取り出し得る。分離システムは、廃棄するための出口も有しても良い。
一実施形態において、分離システムは、存在しなくても良い。
容器とは、本明細書で用いられる場合、細胞を培養するための使用に好適な任意の入れ物を意味し、例えば、培養バッグ、ポット、ボトル、キューブ、チューブ、バイオリアクターなどを意味する。一実施形態において、容器は、ガス透過性メンブレンを含んでなっても良い。
一実施形態において、培養は、浮遊培養である。別の実施形態において、培養は、付着培養である。
哺乳類細胞は、哺乳類由来の細胞である。一実施形態において、哺乳類細胞は、HEK、CHO、COS−7、HeLa、Vero、A549、PerC6、およびGMKを含んでなる群から選択され、特にHEK293またはA549細胞である。一実施形態において、培養物に添加される細胞は、成長が速い細胞であり、例えば293−Fである。一実施形態において、用いられる細胞/細胞株は、キャプシド形成細胞株ではなく、つまり、ウイルス複製を促進する導入遺伝子をウイルスに与えるパッケージング細胞株である。
ポリマー球(マイクロキャリアとも呼ばれるマイクロビーズ)上などで培養された付着細胞、またはホローファイバーに結合した付着細胞を、攪拌槽バイオリアクターで浮遊液中で用いることができる。
少なくともHEK、CHO、およびA549は、付着性細胞株にすることができる。
哺乳類細胞の培養とは、本明細書で用いられる場合、細胞を生体外で制御された条件下で増殖させる方法を意味する。好適な条件は、当業者に知られており、37℃などの温度を含み得る。COレベルは、制御される必要がある場合があり、例えば、10%未満、例えば5%のレベルに維持される。これについての詳細は、Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Techniques and Specialised Applications Edition Six R. Ian Freshney, Basic Cell Culture (Practical Approach) Second Edition Edited by J.M. Davisというテキストに与えられている。
通常、本開示のウイルスに感染させる前に細胞を培養して十分な数を生じさせるものとする。これらの方法は、当業者に知られているか、または公表されたプロトコルもしくは文献で容易に得られる。
通常、細胞を、商業規模、例えば5L、10L、15L、20L、25L、30L、35L、40L、45L、50L、100L、200L、300L、400L、500L、600L、700L、800L、900、1000Lなどで、培養するものとする。一実施形態において、本開示に係る連続方法の規模は、150L以下である。
キメラ型腫瘍崩壊性ウイルスおよび/または複製能を有するB群アデノウイルスなどの本開示のウイルスは、Ad5などのベクターとして使用されるアデノウイルスの特性とは異なる特性を有し、この例として、比較的短い培養期間に亘って細胞溶解を必要とせずに培地から回収され得ることが挙げられる。Ad5(C群ウイルス)のE3領域にコードされているアデノウイルスデスプロテイン(death protein)は、ウイルスが細胞を出るのに必要であると長い間考えられていたので、このことは、当業で予想されていたことに反する。従って、理論に拘束されることを望むものではないが、B群ウイルスは、細胞を出る機構を有するように見える。
さらに、キメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルスなどの本開示のウイルスは、細胞を出た後細胞に結合または付着しないように見え、また、このことは、特に細胞培養条件が最適化されるときに、上清からの回収を容易にする。
一実施形態において、方法を約40℃以下の温度、例えば約35〜39℃、例えば37℃で実施する。
一実施形態において、方法を、10%未満の二酸化炭素濃度、例えば約4〜6%CO、例えば5%COで実施する。
一実施形態において、方法を、6〜8の範囲内のpH、例えばpH7.4で実施する。
一実施形態において、キメラ型腫瘍崩壊性ウイルス粒子などのウイルスを含む培地をろ過して、細胞を取り出し、さらなる下流処理のための粗上清を与える。
一実施形態において、タンジェンシャルフローろ過を用いる。
一実施形態において、セルロース系デプスフィルターを有するミリポアのMillistak+(登録商標)PODシステムを用いて培地をろ過する。Millistak+(登録商標)デプスフィルター培地は、スケーラブルなディスポーザブル形式のPodフィルターシステムとして提供される。Podフィルターシステムは、細胞培養など種々多様な1次および2次清澄アプリケーションに適している。
Millistak+(登録商標)Podフィルターは、特定のアプリケーションニーズに合わせて、メディアのグレードごとに3種類のシリーズとして利用可能である。Millistak+(登録商標)DE、CE、およびHCメディアは、正の表面電荷特性と密度勾配マトリクスを介して、最適なパフォーマンスを届ける。一実施形態において、ろ過を、タンジェンシャルフロー技術を使用し、例えば、ペリコン(Pellicon)ミニカセットメンブレンホルダー、圧力センサー、ミキサーを有する10リットルの循環タンク、濃縮液流量計、計量器、給水ポンプ、移送ポンプ、配管、およびバルブを含んでなるCogent(商標)Mシステムを用いて、実施する。システムのコントロールおよびオペレーションは、半自動式ダイアフィルトレーション/濃縮を除いて、手動式である。オペレーターは、ポンプ速度、全バルブ、および操作手順を手動でコントロールする。また、必要に応じて、このステップで最後のバッファーにウイルスを配合し得る。
一実施形態において、下流処理は、8μmのカプセルフィルター(Sartopure PP2 8μm)と、次いで3.0μm/0.8μmのカプセルフィルター(Sartoclean CA,3.0μm/0.8μm,0.2m)が直列してなる清澄アセンブリを含んでなる。
従って、一実施形態において、ろ過ステップでは、濃縮され調整されたアデノウイルス材料は、最終またはほぼ最終の配合物として与えられる。
一実施形態において、方法は、2つ以上のろ過ステップを含んでなる。
一実施形態において、下流処理は、Millistak+PODシステム35CEおよび50CEカセットと、次いでオプティキャップ(opticap)XL10エクスプレス0.5/0.2μmメンブレンフィルターとを直列で含んでなる。
一実施形態において、方法は、CsCl勾配法、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、特に陰イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーステップ、およびそれらの組み合わせから選択される精製ステップをさらに含んでなる。
イオン交換クロマトグラフィーは、DNAと非常に強く結合し、通常、あらゆる残留DNAが取り除かれる場である。イオン交換樹脂/膜は、ウイルスとDNAの両方に結合し、塩勾配溶離中、ウイルスは、通常、最初に(低い塩勾配で)カラムから溶離し、DNAは、DNAの樹脂との相互作用がウイルスよりも強いので、はるかに高い塩濃度で溶離される。
一実施形態において、クロマトグラフィーステップは、BIA Separationsから例えば入手可能な一体型技術を用いる。
一実施形態において、Sartobind Q(第4級アミンメンブレン精製法)を精製ステップとして用いる。
一実施形態において、Source Q RESINを精製ステップで用いる。
一実施形態において、単離したウイルスの下流処理で、Sartobind Q、次いでSource Q RESINを用いる。
一実施形態において、単離したウイルスの下流処理で、Sartobind Q、次いでCIM(登録商標)一体型カラム(CIM−QA;第4級アミンメンブレン精製法)を用いる。
一実施形態において、Source Qを精製ステップで用いる。
製造方法のクロマトグラフィー段階(すなわち、捕捉および洗練ステップ)の間、数個のカラムを直列で連結しても良く、これにより、第1のカラムから抜け出る製品が直列した第2のカラムに捕捉されるので、第1のカラムは、材料のロスなく、結合能力を超えて過負荷状態になり得る。連続的マルチカラム製造法の原理は、製品流とは反対方向のカラムの(シミュレーションした)動きを生むので、向流クロマトグラフィー法と呼ばれる。
3つ以上のカラムが向流クロマトグラフィー法で必要となることがあり、(結合能力を超えて過負荷状態になった)第1のカラムは、洗浄ステップ、溶離、再生、および再平衡化ステップを経て処理され、製品を捕捉するようにインラインで戻されるのに十分な時間を有し、一方で、一連のカラムのうち別の(製品で飽和した)カラムは、上記で概説された洗浄ステップから再平衡化ステップを受ける。各精製が行われる間中、通常クロマトグラフィーメディアの耐用期間、カラムを何回もサイクル運転する。
一実施形態において、精製後、製造されたウイルスは、80ng/mL未満の夾雑DNA、例えば60ng/mL〜10ng/mLの夾雑DNAを含む。
一実施形態において、実質的に全ての夾雑DNA断片は、700塩基対以下、例えば500bp以下、例えば200bp以下である。
一実施形態において、精製されたウイルス製品中の残留宿主細胞タンパク質含有量は、特にELISAアッセイにより測定したとき、20ng/mL以下、例えば15ng/mL以下である。
一実施形態において、精製されたウイルス製品中の残留トゥイーン(tween)は、0.1mg/mL以下、例えば0.05mg/mL以下である。
ベンゾナーゼ(メルク)を100U/mL使用して、宿主細胞DNAを消化する。ベンゾナーゼ処理を30分間+37℃で実施する。ベンゾナーゼを1時間室温で高塩濃度のインキュベーションで止めた。また、ベンゾナーゼを使用して細胞性DNAを分解することは、必要に応じて、回避されるか削減されても良く、このことは有利であり得る。特に、ベンゾナーゼの除去および残留ベンゾナーゼがないことを示すための検査は、回避され得る。一実施形態において、ベンゾナーゼを本方法で用いない。
一実施形態において、精製されたウイルス製品中の残留ベンゾナーゼ含有量は、1ng/mL以下、例えば0.5ng/mL以下である。
本願の関連において、培地およびメディアは、交換可能に使用され得る。
腫瘍崩壊性ウイルスは、癌細胞に選択的に感染し、例えば細胞の溶解、または癌細胞中での選択的な複製により、細胞死を促進するウイルスである。
癌細胞に選択的に感染するウイルスは、正常で健康な細胞と比べて、高い癌細胞への感染率を示すウイルスである。
本開示のキメラ型ウイルスは、腫瘍細胞のパネル、例えばHT−29、DLD−1、LS174T、LS1034、SW403、HCT116、SW48、およびColo320DMなどの結腸腫瘍細胞株での溶解能を調べることにより、特定の腫瘍型に対する特異性を評価され得る。このような評価のために、任意の利用可能な結腸腫瘍細胞株を用い得る。
前立腺細胞株として、DU145およびPC−3細胞が挙げられる。膵臓細胞株として、Panc−1が挙げられる。***腫瘍細胞株として、MDA231細胞株が挙げられ、卵巣細胞株として、OVCAR−3細胞株が挙げられる。肺癌細胞株として、A549が挙げられる。造血細胞株として、ラージおよびダウディBリンパ性細胞、K562赤芽球様細胞、U937骨髄性細胞、およびHSB2 Tリンパ性細胞が挙げられるが、これらに限定はされない。その他の利用可能な腫瘍細胞株が同様に有用であり得る。
非キメラ型を含む腫瘍崩壊性ウイルス、例えばAd11、例えばAd11pを、これらの細胞株で同様に評価し得る。
一実施形態において、キメラ型腫瘍崩壊性ウイルスは、アポトーシス性であり、すなわち、プログラム細胞死を促進する。
一実施形態において、キメラ型腫瘍崩壊性ウイルスは、細胞溶解性である。本開示のキメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルスの細胞溶解活性を代表的な腫瘍細胞株で測定し、例えばCサブ群に属するアデノウイルス、好ましくはAd5を標準として用いて(すなわち、潜在能を1とし)、データを潜在能の測定値に変換することができる。細胞溶解活性を測定する好適な方法は、MTSアッセイである(本明細書の一部を構成するものとして援用される国際公開第2005/118825号の実施例4、図2を参照されたい)。
一実施形態において、本開示のキメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルスは、細胞壊死を引き起こす。
一実施形態において、キメラ型腫瘍崩壊性ウイルスは、癌細胞に関する治療指数が高い。
「治療指数」または「治療濃度域」は、関連の癌細胞株でのキメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルスの潜在能を正常(すなわち非癌性)細胞株での同じアデノウイルスの潜在能で割ることにより求められ得る、所与のアデノウイルスの腫瘍崩壊潜在性を示す数値を意味する。
一実施形態において、キメラ型腫瘍崩壊性ウイルスは、結腸癌細胞、乳癌細胞、頭頸部癌、膵臓癌細胞、卵巣癌細胞、造血腫瘍細胞、白血病細胞、グリオーマ細胞、前立腺癌細胞、肺癌細胞、メラノーマ細胞、肉腫細胞、肝臓癌細胞、腎臓癌細胞、膀胱癌細胞、および転移性癌細胞を含んでなる群から選択される1つ以上の癌細胞において治療指数が高い。
キメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルスは、本明細書で用いられる場合、2つ以上の異なるアデノウイルスの血清型由来のDNA配列を有するE2B領域を含んでなり、腫瘍崩壊性であるアデノウイルスを意味する。
現在約56のアデノウイルスの血清型がある。表1は、アデノウイルスの血清型の分類を示す。
Figure 2017529070
E2B領域は、アデノウイルスで既知の領域であり、ウイルスゲノムの約18%を示す。E2B領域は、タンパク質IVa2、DNAポリメラーゼ、および末端タンパク質をコードすると考えられている。Ad11のSlobitski系統(Ad11pとも呼ばれる)において、これらのタンパク質は、ゲノム配列でそれぞれ5588〜3964、8435〜5067、および10342〜8438の位置でコードされており、E2B領域は、10342〜3950に及ぶ。E2B領域の正確な位置は、他の血清型では変わり得るが、今日までに調べられている全てのヒトアデノウイルスゲノムは、同じ一般的構成を有するので、E2B領域の機能は保存されている。
一実施形態において、キメラ型腫瘍崩壊性ウイルスなどの本開示のウイルスは、Bサブ群ヘキソンを有す。
一実施形態において、キメラ型腫瘍崩壊性ウイルスなどの本開示のウイルスは、Ad11ヘキソン、例えばA11pヘキソンを有す。
一実施形態において、キメラ型腫瘍崩壊性ウイルスなどの本開示のウイルスは、Bサブ群繊維を有す。
一つにおいて、キメラ型腫瘍崩壊性ウイルスなどの本開示のウイルスは、Ad11繊維、例えばA11p繊維を有す。
一実施形態において、キメラ型腫瘍崩壊性ウイルスなどの本開示のウイルスは、同じ血清型、例えばBサブ群アデノウイルス、例えばAd11、特にAd11pからの繊維およびヘキソンタンパク質を有す。
一実施形態において、キメラ型腫瘍崩壊性ウイルスなどの本開示のウイルスは、同じ血清型、例えばAd11、特にAd11pからの繊維、ヘキソンタンパク質、およびペントンタンパク質を有し、これらは、例えばAd11pのゲノム配列の30811〜31788、18254〜21100、および13682〜15367の位置に見られる。
第1のウイルスとは異なる血清型のウイルスは、同じサブ群または異なるサブ群からであっても良いが、必ず異なる血清型からであるとする。一実施形態において、組み合わせは、以下のようである。(第1のAd血清型:第2のAd血清型):AA、AB、AC、AD、AE、AF、AG、BB、BC、BD、BF、BG、CC、CD、CE、CF、CG、DD、DE、DF、DG、EE、EF、EG、FF、FG、およびGG。
一実施形態において、キメラ型E2B領域は、Ad3およびAd11(特にAd11p)由来である。
一実施形態において、E2B領域は、本明細書で配列番号47に示されている配列である。
一実施形態において、ウイルスは、Ad11などのB群アデノウイルスからのヘキソンおよび繊維を有し、特に前記ウイルスは、ColoAd1である。
一実施形態において、夾雑DNA含有量が80ng/mL未満である単離され精製されたEnAdを与えられる。
EnAdは、国際公開第2005/118825に開示されており、該ウイルスの全配列が本明細書、すなわち配列番号12で与えられている。
代替的なキメラ型腫瘍崩壊性ウイルスとして、OvAd1およびOvAd2が挙げられ、これらはそれぞれ、国際公開第2008/080003号に開示されている配列番号2および3であり、本明細書の一部を構成するものとして援用される。
一実施形態において、本開示のキメラ型腫瘍崩壊性ウイルスなどの本開示のウイルスは、導入遺伝子への1つ以上の制限部位を含んでなる。一実施形態において、制限部位は、後期遺伝子、例えばL5の中にあるか、または隣接している。
一実施形態において、本開示のキメラ型腫瘍崩壊性ウイルスなどの本開示のウイルスは、1つ以上の導入遺伝子、例えば治療用ペプチドまたはタンパク質配列をコードする1つ以上の導入遺伝子を含んでなる。
一実施形態において、キメラ型腫瘍崩壊性ウイルスは、1つ以上の導入遺伝子をコードする。好適な導入遺伝子として、p53などのいわゆる自殺遺伝子;IL−2、IL−6、IL−7、IL−12、IL−15、IL−18、IL−21、GM−CSF、またはG−CSFなどのサイトカイン、インターフェロン(例えば、IFN−アルファまたはベータなどのI型インターフェロン、IFN−ガンマなどのII型インターフェロン)、TNF(例えば、TNF−アルファまたはTNFベータ)、TGF−ベータ、CD22、CD27、CD30、CD40、CD120をコードするポリヌクレオチド配列;モノクローナル抗体、例えばトラスツザマブ(trastuzamab)、セツキシマブ、パニツムマブ、ペルツズマブ、エプラツズマブ、抗EGF抗体、抗VEGF抗体、および抗PDGF抗体、抗FGF抗体、抗CTLA4、抗PD1、および抗PDL1抗体を含むチェックポイントインヒビター抗体、もしくはそれらの標的抗原結合断片、またはNY−ESO1、WT1、MAGE−A3などの腫瘍関連抗原をコードするポリヌクレオチド、ならびに当業で公知のその他が挙げられる。
様々な異なる種類の導入遺伝子およびそれらの組み合わせは、それ自身が腫瘍または免疫応答を調節するように作用し、かつ治療的に作用する分子をコードする、またはこのような分子の活性を直接的もしくは非直接的に阻害、活性化、もしくは増強する因子である、と考えられている。このような分子として、タンパク質リガンドまたはリガンドの活性結合断片、抗体(完全長または断片、例えばFv、ScFv、Fab、F(ab)’2、またはより小さな特異的結合断片)、またはその他の標的特異性結合タンパク質またはペプチド(例えば、ファージディスプレイなどの技術により選択され得るものなど)、天然または合成の結合受容体、リガンドまたは断片、標的をコードする遺伝子の転写または翻訳を制御する特異性分子(例えば、siRNAまたはshRNA分子、転写因子)が挙げられる。分子は、その活性、安定性、特異性などを高めるように、他のペプチド配列との融合タンパク質の形態であっても良い(例えば、二量体を形成して安定性を高めるように、リガンドを免疫グロブリンFc領域と融合しても良く、リガンドを樹状細胞などの抗原提示細胞に対する特異性を有する抗体または抗体断片(例えば、抗DEC−205、抗マンノース受容体、抗dectin)と融合しても良い)。導入遺伝は、「挿入を有しているアデノウイルス」に感染した細胞の検出、腫瘍または流入領域リンパ管およびリンパ節などのイメージングのために例えば使用され得る、レポーター遺伝子をコードしても良い。
一実施形態において、キメラ型腫瘍崩壊性ウイルスに感染した癌細胞を溶解して、導入遺伝子がコードするタンパク質を含み得る細胞の内容物を放出させる。
一実施形態において、細胞で複製された全ウイルスの40〜93%以上は、培地から回収可能であり、例えば、全ウイルスの41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、または92%が回収可能であり、例えば全ウイルスの94、95、96、97、98、99、または100%が回収可能である。
一実施形態において、方法はGMP製造法であり、例えばcGMP製造法である。
一実施形態において、方法は、貯蔵に適するバッファー中にウイルスを配合するステップをさらに含んでなる。
一実施形態において、形成物は、室温での貯蔵に適する。
一実施形態において、形成物は、4℃以下での貯蔵に適する。
一実施形態において、形成物は凍結されている。
一実施形態において、本開示は、本方法から得られる、または得られ得るウイルスまたはウイルス配合物にまで及ぶ。
この明細書の関連において、「含んでなる」は、「含む」として解釈されるべきである。
また、特定の要素を含んでなる本発明の態様は、関連の要素から「なる」または「本質的になる」代替的実施形態にまで及ぶことが意図されている。
本明細書の発明の全ての根底にある基礎技術は同じであるので、本発明の複数の実施形態は、本開示の異なる別個の態様に関連する場合でさえも、技術的に必要である場合には、組み合わされても良い。
実施形態は、特定の特徴/要素を含んでなるものとして本明細書に記載されている。また、本開示は、前記特徴/要素からなる、または本質的になる別の実施形態にまで及ぶ。
特許および出願などの技術文献は、本明細書の一部を構成するものとして援用される。
本明細書に具体的かつ明示的に記載されているあらゆる実施形態は、単独で、または1つ以上の他の実施形態と組みわされて、除くクレーム(disclaimer)の基礎を形成し得る。
本発明を、添付の図面に関する以下の実施例において、例示のためだけにさらに説明する。

1.複製能を有するアデノウイルス;または
E2B領域を含んでなるゲノムを有する複製可能である、または複製欠損であるキメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルスであって、前記E2B領域が第1のアデノウイルス血清型に由来する塩基配列および第2の異なるアデノウイルス血清型に由来する塩基配列を含んでなり、前記第1および第2の血清型がアデノウイルスサブ群B、C,D、E、またはFからそれぞれ選択される、前記キメラ型腫瘍崩壊性アデノウイルス、
の連続製造方法であって、
A)容器内で、アデノウイルスに感染した哺乳類細胞を、前記細胞を支持するのに適した培地の存在下で連続培養して前記ウイルスを複製させるステップであって、前記細胞がウイルス複製を支持することができる前記ステップ、および
B)ステップa)から製造された前記ウイルスを前記培地から単離するステップであって、前記ウイルスの単離が細胞溶解ステップの後ではない前記ステップ、
を含んでなり、ウイルス感染および製造用の生細胞を、連続製造期間前記ウイルスの複製に適したレベルに前記容器内で維持する前記方法。
または
1.B群アデノウイルス
の連続製造方法であって
C)容器内で、アデノウイルスに感染した哺乳類細胞を、前記細胞を支持するのに適した培地の存在下で連続培養して前記ウイルスを複製させるステップであって、前記細胞がウイルス複製を支持することができる前記ステップ、および
D)ステップa)から製造された前記ウイルスを前記培地から単離するステップであって、前記ウイルスの単離が細胞溶解ステップの後ではない前記ステップ、
を含んでなり、ウイルス感染および製造用の生細胞を、連続製造期間前記ウイルスの複製に適したレベルに前記容器内で維持する前記方法。
2.前記ウイルスがAd11などのB群アデノウイルスからのヘキソンおよび繊維を有し、特に前記ウイルスが群ColoAd1から選択される、項1に記載の方法。
3.前記ウイルスが複製能を有す、項1または2に記載の方法。
4.前記連続製造期間が2回以上のウイルス複製サイクルを含んでなる、項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
5.各ウイルス複製サイクルが70〜300時間の範囲内にある、項4に記載の方法。
6.ウイルス感染および製造用の生細胞を、培養物を増大させるために細胞をさらに添加することによって、前記ウイルスの複製に適したレベルに前記容器内で維持する、項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
7.前記哺乳類細胞が、HEK、CHO、HeLa、Vero、PerC6、およびGMKを含んでなる群から選択され、特にHEK293である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
8.培養が5L以上の規模である、項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
9.培養中のウイルスが、40〜150ppc、例えば50〜100ppcの範囲内の濃度である、項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
10.前記細胞を、1〜9×10vp/ml以上、例えば1〜9×10、1〜9×10、1〜9×10、1〜9×10、1〜9×10、特に4〜5×10vp/mlの出発ウイルス濃度で感染させる、項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
11.腫瘍崩壊性ウイルスの画分を与え、異なる方法の同じステップで作製された前記腫瘍崩壊性ウイルスの第2の画分を第1の画分とまとめるさらなるステップを含んでなる、項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
12.灌流培養を用いる、項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
13.浮遊培養を用いる、項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
14.懸垂培養を用いる、項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
15 GMP製造法である、項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
16.フィルターがタンジェンシャルフィルターである、項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
17.CsCl勾配法、イオン交換クロマトグラフィー、特に陰イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーステップ、およびそれらの組み合わせから選択される精製ステップをさらに含んでなる、項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
18.全ウイルスの40〜93%が前記培地から回収可能である、項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
19.a.容器内で、アデノウイルスに感染した哺乳類細胞を、前記細胞を支持するのに適した培地の存在下で培養して前記ウイルスを複製させるステップであって、前記細胞がウイルス複製を支持することができ、前記ウイルスの出発播種密度が1〜2×10vp/mlの範囲内(1×10vp/mlなど)にあり、感染多重度が10〜15vp/細胞などの5〜20vp/細胞の範囲内にあり、特に12.5vp/細胞である、前記ステップ、および
b.ウイルス感染後24〜75時間の期間に溶解ステップを実施して前記細胞から前記ウイルスを収集するステップであって、例えば前記溶解ステップを感染後66,67、68、または69時間など感染後65〜70時間で実施する、前記ステップ、
を含んでなる前記アデノウイルスの製造方法。
20. 貯蔵に適するバッファー中に前記ウイルスを配合することをさらに含んでなる、項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
21. 本明細書、例えば項1〜20のいずれか一項に記載の方法から得られる、または得られ得るウイルスまたは配合物。
配列
配列番号1 抗VEGF完全長抗体をコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−77ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、5’分岐スプライスアクセプター配列(bSA)、5’リーダーを有するab重鎖配列、IRES、5’リーダーを有するab軽鎖配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号2 抗VEGF完全長抗体をコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−135ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、5’ショートスプライスアクセプター配列(SSA)、5’リーダーを有するab重鎖配列、IRES、5’リーダーを有するab軽鎖配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号3 領域Bに挿入されている、抗VEGF完全長抗体をコードする導入遺伝子カセットを含んでなる、ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、SSA、5’リーダーを有するab重鎖配列、SSA、および5’リーダーを有するab軽鎖配列を含む。
配列番号4 領域Bに挿入されている、抗VEGF完全長抗体をコードする導入遺伝子カセットを含んでなる、ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、SSA、5’リーダーを有するab重鎖配列、SSA、5’リーダーを有するab軽鎖配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号5 抗VEGF ScFvをコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−74ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、bSA、5’リーダーを有する抗VEGF ScFv配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号6 C末端Hisタグを有する抗VEGF ScFvをコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−78ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、bSA、5’リーダーおよび3’6×ヒスチジン配列を有する抗VEGF ScFv配列、ならびにポリ(A)配列を含む。
配列番号7 C末端Hisタグを有する抗VEGF ScFvをコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−76ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、CMVプロモーター、5’リーダーおよび3’6×ヒスチジン配列を有する抗VEGF ScFv配列、ならびにポリ(A)配列を含む。
配列番号8 抗VEGF ScFvをコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−73ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、CMVプロモーター、5’リーダーを有する抗VEGF ScFv配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号9 抗VEGF完全長抗体をコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−134ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、CMVプロモーター、5’リーダーを有するab重鎖配列、IRES、5’リーダーを有するab軽鎖配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号10 EnAdゲノムのbp28166〜28366に相当し、これを含むB DNA配列。
配列番号11 EnAdゲノムのbp29345〜29379に相当し、これを含むB DNA配列。
配列番号12 EnAdゲノム。
配列番号13 CMV外来性プロモーター。
配列番号14 PGK外来性プロモーター。
配列番号15 CBA外来性プロモーター。
配列番号16 ショートスプライスアクセプター(SSA)。ヌル(Null)配列
配列番号17 スプライスアクセプター(SA)。
配列番号18 分岐スプライスアクセプター(bSA)。
配列番号19 内部リボソーム進入配列(IRES)。
配列番号20 ポリアデニレーション配列。
配列番号21 リーダー配列(HuVH)。
配列番号22 リーダー配列(HG3)。
配列番号23 ヒスチジンタグ。
配列番号24 V5タグ。
配列番号25 P2Aペプチド。
配列番号26 F2Aペプチド。
配列番号27 E2Aペプチド。
配列番号28 T2Aペプチド。
配列番号29 抗VEGF ab VH鎖アミノ酸配列。
配列番号30 抗PD−L1抗体VH鎖アミノ酸配列。
配列番号31 抗VEGF ab VL鎖アミノ酸配列。
配列番号32 抗PD−L1抗体VL鎖アミノ酸配列。
配列番号33 ヒトIgG1定常重鎖アミノ酸配列。
配列番号34 ヒトIgG1改変定常重鎖アミノ酸配列。
配列番号35 ヒトカッパー定常軽鎖アミノ酸配列。
配列番号36 抗VEGF ScFvアミノ酸配列。
配列番号37 抗PD−L1 ScFvアミノ酸配列。
配列番号38 緑色蛍光タンパク質アミノ酸配列。
配列番号39 ルシフェラーゼアミノ酸配列。
配列番号40 ヒト腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)アミノ酸配列。
配列番号41 ヒトインターフェロンガンマ(IFNγ)アミノ酸配列。
配列番号42 ヒトインターフェロンアルファ(IFNα)アミノ酸配列。
配列番号43 ヒト癌/精巣抗原1(NY−ESO−1)アミノ酸配列。
配列番号44 ヒトMUC−1アミノ酸配列。
配列番号45 コザック配列。gccaccatg(ヌル(Null)配列)
配列番号46 抗PD−L1完全長抗体をコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−177ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、CMVプロモーター、5’リーダーを有するab重鎖配列、IRES、5’リーダーを有するab軽鎖配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号47 EnAdゲノムのE2B領域(bp10355〜5068)に相当するDNA配列。
配列番号48 C末端Hisタグを有する抗VEGF ScFvをコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−167ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、5’SSA、5’リーダーを有する抗VEGF ScFv配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号49 領域Bに挿入されている、サイトカインであるIFNγをコードする導入遺伝子カセット、を含んでなるNG−95ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、5’CMVプロモーター、IFNγcDNA配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号50 領域Bに挿入されている、サイトカインであるIFNαをコードする導入遺伝子カセット、を含んでなるNG−97ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、5’CMVプロモーター、IFNαcDNA配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号51 サイトカインであるIFNγをコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−92ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、5’bSA、IFNγcDNA配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号52 サイトカインであるIFNαをコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−96ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、5’bSA、IFNαcDNA配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号53 サイトカインであるTNFαをコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−139ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、5’SSA、TNFαcDNA配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号54 制限部位挿入(B)。
配列番号55 制限部位挿入(B)。
配列番号56 腫瘍関連抗原であるNY−ESO−1をコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−220ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、5’PGKプロモーター、NY−ESO−1cDNA配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号57 腫瘍関連抗原であるNY−ESO−1をコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−217ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、5’CMVプロモーター、NY−ESO−1cDNA配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号58 抗CTLA−4完全長抗体をコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−242ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、SSA、5’リーダーを有するab重鎖配列、IRES、5’リーダーを有するab軽鎖配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号59 抗VEGF完全長抗体をコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−165ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、SSA、5’リーダーを有するab重鎖配列、P2Aペプチド配列、5’リーダーを有するab軽鎖配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号60 抗PD−L1完全長抗体をコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−190ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、SSA、5’リーダーを有するab重鎖配列、P2Aペプチド配列、5’リーダーを有するab軽鎖配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号61 C末端Hisタグを有する抗PD−L1 ScFvをコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−221ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、5’SSA、5’リーダーおよび3’6×ヒスチジン配列を有する抗PD−L1 ScFv配列、ならびにポリ(A)配列を含む。
配列番号62 抗VEGF完全長抗体をコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−258ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、CMVプロモーター、5’リーダーを有するab重鎖配列、P2Aペプチド配列、5’リーダーを有するab軽鎖配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号63 BおよびB領域に挿入されているユニークな制限部位を有するEnAdゲノムを含んでなるNG−185ウイルスゲノム配列。
配列番号64 バクテリア複製起点(p15A)、抗生物質耐性遺伝子(KanR)、およびB領域に挿入されているユニークな制限部位を有するEnAdゲノム配列を含んでなるpNG−33(pColoAd2.4)DNAプラスミド。
配列番号65 バクテリア複製起点(p15A)、抗生物質耐性遺伝子(KanR)、ならびにBおよびB領域に挿入されているユニークな制限部位を有するEnAdゲノム配列を含んでなるpNG-185(pColoAd2.6)DNAプラスミド。
配列番号66 領域Bに挿入されている、shRNA〜GAPDHをコードする導入遺伝子カセット、を含んでなるNG−sh01ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、U6 RNA polIIIプロモーターおよびshRNAをコードするDNAを含む。
配列番号67 ヨウ化ナトリウム共輸送体(NIS)アミノ酸配列。
配列番号68 領域Bに挿入されている、ヨウ化ナトリウム共輸送体(NIS)をコードする導入遺伝子カセット、を含んでなるNG−280ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、5’SSA、NIS cDNA配列、および3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号69 抗VEGF ScFvおよび抗PD−L1 ScFvをコードする導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−272ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、SSA、5’リーダーおよび3’6×Hisタグを有する抗PD−L1 ScFv配列、P2Aペプチド配列、5’リーダーおよび3’V5−タグを有する抗VEGF ScFv配列、ならびに3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号70 抗CTLA−4VH鎖アミノ酸配列。
配列番号71 抗CTLA−4VL鎖アミノ酸配列。
配列番号72 抗VEGF ScFvをコードする導入遺伝子カセットが領域Bxに挿入されているEnAdゲノムを含んでなるNG−257ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、bSA、5’リーダーおよび3’6×Hisタグを有する抗VEGF ScFv配列、ならびに3’ポリ(A)配列を含む。
配列番号73 抗VEGF ScFvをコードする導入遺伝子カセットが領域Bxに挿入されており、抗PD−L1 ScFvをコードする第2の導入遺伝子カセットが領域Bに挿入されているEnAdゲノム、を含んでなるNG−281ウイルスゲノム配列。導入遺伝子カセットは、bSA、5’リーダーおよび3’6×Hisタグを有する抗VEGF ScFv配列、ならびに3’ポリ(A)配列を含む。
アデノウイルス製造方法の略図を示す。 連続的ウイルス製造用細胞培養装置を示す。 収率に対する播種密度のプロットを示す。 振盪フラスコAおよびBについて、感染多重度が12.5、播種細胞密度が1×10であり、培地交換をしたときの、感染後の様々な時点での細胞当り製造されたウイルスのプロットを示す。 振盪フラスコCおよびDについて、感染多重度が12.5、播種細胞密度が4×10であり、培地交換をしないときの、感染後の様々な時点での細胞当り製造されたウイルスのプロットを示す。 培地交換はウイルスの収率を増加させることを示す。 感染期間に対する細胞の生存率のパーセンテージを示す。 DOE(??)について感染後の様々な時点での細胞の生存率のパーセンテージを示す。感染多重度が12.5、播種密度が1×10であり、培地交換をしたときの、フラスコAおよびB DOEフラスコAおよびBについて、感染多重度が12.5、播種密度が1×10であり、培地交換をしたときの、感染後の様々な時点での上清中のウイルスのパーセンテージを示す。 DOEフラスコCおよびDについて、感染多重度が12.5、播種密度が4×10であり、培地交換をしないときの、感染後の様々な時点での上清中のウイルスのパーセンテージを示す。 12.5ppcのMOI、1×10細胞/mlの細胞密度で細胞をEnAdに感染させたときの、5Lのバイオリアクター法のウイルス製品の分布を示す。 1.9×10細胞/mlの播種密度を採用する方法について、細胞当り製造されたウイルス粒子の総数を経時的に示す。培養物を50ppcでEnAdに感染させた。 12.5ppcおよび1×10vp/mlの播種密度を採用する方法について、細胞の生存率を経時的に示す。 50ppcおよび1.9×10vp/mlの播種密度を採用する方法について、細胞の生存率を経時的に示す。 1×10vp/mlの播種密度および12.5ppcを採用する方法、ならびに1.9×10vp/mlおよび50ppcを採用する第2の方法の2つの方法についてのバイオリアクターデータを示す。 2.2×10生細胞/mLの播種密度および50ppcの感染を採用する方法について、細胞の生存率を経時的に示す。 2.2×10生細胞/mLの播種密度および50ppcの感染を採用する方法について、細胞の分布を示す。 2.2×10生細胞/mLの播種密度を採用し、50ppcで感染させたが、細胞浮遊液の取り出しも新鮮細胞および培地の添加も行わなかったコントロールの培養物の生存率を示す。 2.2×10生細胞/mLの播種密度を採用し、50ppcで感染させたが、細胞浮遊液の取り出しも新鮮細胞および培地の添加も行わなかったコントロールの培養物についてウイルスの分布を示す。 2.2×10生細胞/mLの播種密度および50ppcの感染を採用した方法、ならびに細胞浮遊液の取り出しも新鮮細胞および培地の添加も行わなかったコントロールの方法について累積的なウイルスの分布を示す。 振盪フラスコ実験で1.0×10生細胞/mLおよび12.5ppcの感染を採用する方法について、細胞の生存率を経時的に示す。 振盪フラスコ実験で1.0×10生細胞/mLおよび12.5ppcの感染を採用する方法について、ウイルスの分布を経時的に示す。 振盪フラスコ実験で1.0×10生細胞/mLおよび12.5ppcの感染を採用し、細胞浮遊液の取り出しも新鮮細胞および培地の添加も行わなかったコントロールの方法について、細胞の生存率を経時的に示す。 振盪フラスコ実験で1.0×10生細胞/mLおよび12.5ppcの感染を採用し、細胞浮遊液の取り出しも新鮮細胞および培地の添加も行わなかったコントロールの方法について、ウイルスの分布を経時的に示す。 振盪フラスコ実験で1.0×10生細胞/mLおよび12.5ppcの感染を採用した方法、ならびに細胞浮遊液の取り出しも新鮮細胞および培地の添加も行わなかったコントロールの方法について、累計ウイルス収率を示す。 1.0×10生細胞/mLおよび12.5ppcの感染を採用し、95%の浮遊液を様々な時点で取り出し、細胞密度が1.0×10生細胞/mlの新鮮培地中の47.5mLの非感染細胞と取り換えた方法における細胞の生存率を示す。 1.0×10生細胞/mLおよび12.5ppcの感染を採用し、95%の浮遊液を様々な時点で取り出し、細胞密度が1.0×10生細胞/mlの新鮮培地中の47.5mLの非感染細胞と取り換えた方法におけるウイルスの分布を示す。 1.0×10生細胞/mLおよび12.5ppcの感染を採用し、95%の浮遊液を様々な時点で取り出し、細胞密度が1.0×10生細胞/mlの新鮮培地中の47.5mLの非感染細胞と取り換えた方法、ならびにコントロールの方法における累計ウイルスを示す。
実施例1
浮遊培養および無血清培地に順応したHEK293細胞を増殖させ、100rpmの複数の125mL振盪フラスコ中の30mLのEX−CELL無血清培地中で>90%の生存率で1×10生細胞/mLの細胞密度に拡大させる。次に、フラスコの一部を50細胞当りウイルス粒子(ppc)の感染多重度(MOI)を用いてEnAdウイルスに感染させ、一方、残りのフラスコを非感染のままにし、継代により0.5〜2×10生細胞/mLの細胞密度、生存率>75%に維持し、以下に示すように感染させた細胞培養物に組み入れるために使用する。感染後の様々な時点で、振盪フラスコの1つから10mLの培養物を取り出し、1×10生細胞/mL、>90%の生存率の10MLの新鮮EX−CELL培地中の非感染HEK293細胞と取り変える。10mLの感染させた細胞培養浮遊液を遠心分離し、上清を分析用に貯蔵し、細胞ペレットを1mLの新鮮培地に溶解(3×凍結融解)し、次に、遠心分離により清澄化し、その後分析用に貯蔵する。次に、感染させた振盪フラスコ培養物を、細胞生存率が<75%に減少するまで再培養し、次に、培養を中止し、培養物を遠心分離し、処理して上清および細胞溶解物画分(上記)を得、分析用に貯蔵する。実験の間中、Burker細胞血球計およびトリパンブルー染色ならびにpH測定を用いる細胞数および生存率の計測のために、浮遊液の少量のアリコート(50μl)を各フラスコから取り出す。
細胞溶解物サンプルおよび上清サンプル中の全ての、および感染性のEnAd粒子を、HPLCおよび免疫染色感染アッセイにより、それぞれ測定する。上清サンプル中の宿主細胞のDNAの量を、リアルタイムqPCRにより測定し、上清中の宿主細胞のタンパク質の量を、親和性精製されたヤギ抗HEK抗血清を用いるHEK293宿主細胞由来タンパク質ELISA(Host Cell Protein ELISA)キットを使用して測定する。全EnAdウイルス収率ならびに宿主細胞のDNAおよびタンパク質のレベルを、様々な処理時点について比較した。
実施例2
実施例1に記載の実験手順を採用するが、様々な時点で30mLの浮遊液のうち15mLを取り出し、10mLの容積ではなく、15mLの新鮮培地中の非感染細胞と取り換える。
実施例3
実施例1に記載の実験手順を採用するが、この実験においては、感染させた培養フラスコに組み入れる新鮮非感染細胞を、同じフラスコから取り出したウイルス含有上清に再浮遊させ(分析用の2×500μlのアリコートを戻しながら)、容積を10mLに調製し、その後元のフラスコに組み入れる。
実施例4
実施例3に記載の実験手順を採用するが、様々な時点で30mLの浮遊液のうち15mLを取り出し、10mLの容積ではなく、15mLのウイルス含有上清中に再浮遊された非感染細胞と取り換える。
実施例5〜8
一連の4つの他の実験は、実施例1〜4で詳説した手順を用いるが、浮遊液を取り出して新鮮細胞と取り換える一連の手順の後に実験を終了するのではなく、浮遊液を取り出して新鮮細胞と取り換える手順を繰り返して培養物を維持し、(例えば、細胞片もしくは他の細胞生産物の蓄積または十分な栄養分の欠如により)十分な生細胞の維持が持続できなくなるまで、この手順を続ける。浮遊液の取り出しおよび取り換えの頻度は、毎日実施される細胞数および生存率情報ならびに目視観測により導かれる。
実施例9
1つのバイアルの浮遊HEK293細胞を融解し、振盪フラスコ中で拡大させた後、5Lの攪拌槽(ガラス容器)バイオリアクター中の3Lのワーキング容積に拡大させる。バイオリアクターコントローラーを、37℃、pHの設定値が7.4、溶存酸素(DO)が50、気流速度が100mL/分、攪拌が100rpmというパラメーターに設定した。バイオリアクターシステムを平衡化した後、初期容積が1.5LのEX−CELL培養培地を5×10細胞/mLの生細胞密度で播種し、次に、3Lのワーキング容積に拡大させ、>90%の生存率を維持し、EnAdウイルスに感染させるために、1.8〜2.2×10細胞/mLの密度を目標とする。灌流および培地交換を、3Lの段階で、ホローファイバータンジェンシャルフローろ過(TFF)により開始する。TFFカートリッジは、0.2μmの細孔径、0.5mmの内径、および790cmの表面積を有した。TFFアセンブリを、オートクレーブにより予め滅菌し、次に無菌配管溶接機を使用することにより、バイオリアクターに取り付けた。ペリスタポンプを使用して、細胞培養物がTFFシステムを再循環するようにする。濃縮液ラインに背圧をかけず、一方で、第2のペリスタポンプを透過液ラインに置いて、測定した流量を系外に与える。灌流流量を1日当り1容器容積(すなわち、3L/24時間)に設定した。目標の細胞密度に達したら、培養物を50ppcのMOIでEnAdに感染させた。
バイオリアクター培養と平行して、HEK293細胞の振盪フラスコ培養を構築し、定期的な継代により0.5〜2×10細胞/mLの細胞密度と>90%の生存率で維持し、これらの細胞を非感染細胞の源として使用して、記載のバイオリアクターに添加する。
灌流透過液の収集を感染後48時間で始めた。灌流透過液サンプルを一定間隔の時点で取り、第2の浮遊フラスコからの非感染細胞をバイオリアクター中の感染細胞に組み入れ、細胞密度を2×10細胞/mL、細胞生存率を>75%生存率に維持する。細胞透過液サンプル中の全ての、および感染性のEnAd粒子を、HPLCおよび免疫染色感染アッセイにより、それぞれ測定した。上清サンプル中の宿主細胞のDNAの量を、リアルタイムqPCRにより測定し、宿主細胞のタンパク質の量を、親和性精製されたヤギ抗HEK抗血清を用いるHEK293宿主細胞由来タンパク質ELISA(Host Cell Protein ELISA)キットを使用して測定した。全EnAdウイルス収率ならびに宿主細胞のDNAおよびタンパク質のレベルを、様々な時点で比較する。バイオリアクター培養物を、細胞生存率が50%を超えて維持されることができなくなるまで、灌流および新鮮非感染細胞取り換え手順により活性に維持する。
収集したウイルス含有透過液サンプルをプールし、本明細書に記載の連続製造の要素なく製造された適当な標準ウイルス製剤と分析的アッセイデータを比較できるように、(以下で概説する)EnAdウイルスのGMP製造用に予め構築した方法によりウイルスを精製する。
EnAdウイルスの精製
様々な時点でバイオリアクターから収集した無細胞透過液サンプルからウイルスを精製する。最初に、これらの透過液サンプルをBenzonase(登録商標)で処理して、宿主細胞DNAを消化し、次に、濃縮し、バッファーをタンジェンシャルフローろ過(TFF)により交換し、2つの異なる陰イオン交換クロマトグラフィー樹脂を使用するEnAdの選択的捕捉および溶離を含む下流のツーステップの精製方法の第1ステップのための準備とする。第1の1次捕捉ステップ(例えば、Sartobind樹脂)を実施し、次に、第2の「洗練」精製ステップ(例えば、CIM−Q)を実施して、宿主細胞残留物をさらに減らす。次に、精製したウイルスを、第2のTFFステップを使用してバッファー交換して最終配合物にし、その後材料を−80℃で凍結保存し、その後分析する。
実施例10
HEK293細胞のEnAd感染に100のMOIを用いて、実施例9に記載した実験手順を採用する。
実施例11
この実験のために、実験計画法(DOE)に従い、ウイルス収率および上清または細胞への分布に関する様々な培養パラメーターの効果を評価するために、JMPソフトウェアを使用してカスタマイズした。この研究計画のために使用した様々な変数、各変数の範囲、および応答を表1に示す。
Figure 2017529070
ワーキングセルバンク(WCB)からの1つのバイアルのHEK293細胞を37℃で融解し、6mM L−グルタミンを補充したEx−Cell293培地(増殖培地)を使用して、75cmの細胞培養フラスコに拡大させた。インキュベーションの4日後、細胞をさらに継代し(継代1)、>1.0×10生細胞/mLの密度での1.2×10細胞の生細胞数が達成されたら(継代1から約3〜5日後)、細胞を無菌振盪フラスコに移した(継代2)。培養物をモニタリングし、細胞数が2倍になり≧1.2×10生細胞/mLになったときに、細胞を約3または4日おきにさらに経代した。細胞増殖段階の間中、細胞密度が0.5〜0.6×10生細胞/mLの最低細胞密度で維持されていることを確証するために、計数により細胞数をモニタリングした。
細胞数の計数を、自動細胞カウンタ(インビトロジェン(Invitrogen))およびトリパンブルー染色(インビトロジェン(Invitrogen))を使用して実施した。実験に必要な細胞が生成するまで、1Lの無菌振盪フラスコでさらに細胞数を拡大させた。
細胞浮遊液を300gで5分間遠心分離し、細胞ペレットを新鮮増殖培地に再浮遊させ、振盪フラスコに各フラスコ中40mlのワーキング容積で細胞浮遊液を移し、播種細胞密度を表2に従って調整した。各振盪フラスコを適切にラベルした。
Figure 2017529070

注:1.00E+06,1eおよび1×10;4.00E+07,4eおよび4×10などは、対応する細胞数の記述語である。
1つのバイアルのEnAdワーキングウイルスシードストック(WVSS)を−70℃の貯蔵庫から取り出し、室温で融解した。振盪フラスコAからIの感染を、表2に記載の感染多重度(MOIまたはppc)を用いて実施した。ネガティブコントロールフラスコは、感染させなかったが、感染期間の間中、維持した。全てのフラスコを、+37℃、5%CO、120rpmの振盪インキュベーターに入れた。振盪フラスコA、B、G、およびIにおいて、感染後24時間に、300gで5分間の遠心分離後上清を取り出し、40mlの新鮮増殖培地中の細胞ペレットを各フラスコに再浮遊させることにより、培地交換を行った。
Figure 2017529070
感染後40、48、60、および72時間に、各フラスコから分析のために4.1mlのサンプルを取り、感染後96時間に、残りの全細胞浮遊液を収集した。各時点で2×500μlのサンプルを細胞数および生存率の分析に使用した。残りの4.0mlを、上清と細胞ペレットにおけるウイルスの分布の分析のために使用した。これを、感染させた細胞培養浮遊液を遠心分離し、上清を分析用に貯蔵し、細胞ペレットを新鮮培地に溶解(3×凍結融解)し、次に、遠心分離により清澄化し、その後分析用に貯蔵することにより、測定した。
粗ウイルス溶解物(CVL)サンプルおよび上清(SN)サンプル中の全ウイルス粒子濃度(vp)をAEX−HPLCアッセイにより測定した。AEX−HPLC分析の間、宿主細胞タンパク質(HCP)は、溶離の運転の開始時に溶離し、従ってHCP含有量も、クロマトグラムの分析およびHCPピーク面積の大きさにより求められ得ることが分かった。
細胞の生存率のパーセンテージおよびトリパンブルー染色された細胞のパーセンテージ(死細胞および「漏出」細胞の両方を表し、「漏出」細胞は、機能的にまだ死んではいないが、膜の完全性が損なわれており、その結果トリパンブルー色素が「漏出」細胞内に入ることができる)を、表4に表す。振盪フラスコ培養当りのウイルス粒子の総数および各サンプル時点に関するSNおよびCVL中のウイルス粒子のパーセンテージを、表5に表す。
このDOE実験からの結果を、JMPソフトウェア分析を使用して「最小二乗適合モデル」を用いて適合させ、様々な変数とウイルス収率(vp/細胞)に関連する応答に対する変数の効果との間の関係性を評価した。1)播種密度とDOI;2)MOIとDOI、および3)培地交換とDOIという3つの相互関係が、細胞当り収率モデルにおいて有意であると認められた。
播種密度は、全ウイルス製造量に対して最も大きな統計効果を有した。より低い細胞播種密度で、より高い細胞当り収率が観察された(図3)。細胞当りウイルス収率が5922vp/細胞という著しく低い場合の(12.5ppcで感染させた)4e細胞/mlと比べて(図3および5)、198,143vp/細胞という最高の収率が、(12.5ppcで感染させた)1e細胞/mlという最低の細胞密度で観察された(図3および4)。フラスコ当り全ウイルス収率は、より高い細胞密度とMOI条件(フラスコI)で最も高かった。
培地交換もまた、収率に対して有意な統計効果を有した(図6)。感染後24時間で培地交換をした振盪フラスコ(振盪フラスコA、B、G、およびI)は、培地交換をしなかった振盪フラスコと比べてウイルス収率が高かった。結果を図4、5、および6に示す。
より長い感染期間(DOI)では、細胞生存率は減少し、漏出細胞および死細胞のパーセンテージは増加した。生存率および漏出/死の%を表4に表し、図7および8に示す。漏出細胞は、無傷の細胞膜を有するように見えるが、前記細胞膜がトリパンブルー染色に対して透過性である細胞として定義される。死細胞は、トリパンブルーで染色されるが、細胞膜は、もはや無傷ではない。
1e細胞/mlの播種密度で、12.5ppcで感染させ、培地交換をしたとき、感染後96時間に、93%を超えるウイルスが上清中に観察された(図9)。4e細胞/mlというより高い細胞密度で、同じ12.5ppcで感染させ、培地交換をしなかったとき、上清中にウイルスは全く観察されなかった(図10)。
Figure 2017529070
Figure 2017529070
実施例12
振盪フラスコにおける実施例11に記載の実験から示された重要なDOEパラメーターは、5Lバイオリアクター内で評価された。HEK293細胞の増殖およびバイオリアクターの準備を実施例9に記載のように実施した。細胞数の計数を自動細胞カウンタおよびトリパンブルー染色を使用して実施した。振盪フラスコ中で生細胞が合計で7.5e細胞に達したら、細胞を5Lのバイオリアクターに播種するために使用した。目標細胞密度である1e細胞/mLに達したときに、バイオリアクターを12.5ppcのMOIでEnAdに感染させた。
感染後24、40、48、65、および70時間に、サンプル(20ml)を細胞数、生存率、全ウイルス濃度のために取った。上清を遠心分離により細胞から分離し、AEX−HPLCによるウイルス粒子濃度の分析を実施するまで、−80℃で貯蔵した。細胞ペレットサンプルを実施例11に概説されているように製造し、HPLC分析まで−80℃で貯蔵した。結果を表6に示す。
これらの条件下で、全ての時点について、ウイルスの大部分はCVLに存在し(図11)、感染後71時間まで、上清中に存在するウイルスは少ない。感染後71時間では、96%のEnAdウイルスが細胞ペレット中に観察され(表6および図11)、たった4%が上清中に存在した(表6)。合計で428,868のウイルス粒子が化学的溶解により細胞から抽出され、細胞片は清澄化により除去された(表6の溶解後の数値を参照)。
12.5ppcでの感染から71時間後の細胞生存率は、T0で85%であるのに比べて、58%であった(図13)。50ppcでの感染から71時間後では(実施例13を参照)、細胞生存率は、概して30%以下であった。
Figure 2017529070
実施例13
感染時の目標細胞密度を1.9e細胞/mlにして実施例12に記載の実験手順を採用し、培養物を50ppcのMOIでEnAdに感染させた。感染後24、48、60、および70時間に、サンプルを取った。サンプルのウイルス粒子濃度をAEX−HPLCで分析した。結果を表7に示す。
感染後71時間に、59%(89,485vp)のEnAdウイルスが、上清中に観察され(表8)、41%(63,081vp)が細胞ウイルス溶解物中に存在した(表7および図12)。合計で213,981のウイルス粒子が化学的溶解により細胞から抽出され、細胞片は清澄化により除去された(表7の溶解後の数値を参照)。
この実験において、50ppcで感染させた1.9e細胞/mLのバイオリアクター培養パラメーターは、12.5ppcで感染させた1e6細胞/mLで428,868vp/細胞を製造した実施例12で概説されたパラメーターと比べて、半分の収率(213981vp/細胞)をもたらした。
50ppcでの感染から71時間後の細胞生存率は、T0で96%であるのに比べて、26%であった(図14)。(実施例12で)12.5ppcでの感染から71時間後の細胞生存率は、T0で85%であるのに比べて、58%であった(図13)。感染時の低いMOI(12.5ppc)は、この研究と比べて実施例12において溶解後のウイルス製造量が2倍高いことに寄与する可能性がある、71時間でのより高い(感染後)細胞生存率(58%)の主な原因となり得る(図15)。
Figure 2017529070
実施例14
実施例1に記載の実験手順を採用したが、25mlの振盪フラスコのワーキング容積、2.2×10生細胞/mLの細胞密度、および50ppcでの感染を用いた。連続製造方法の原理を探究するために、様々な時点で25mLの細胞浮遊液のうち20mL(80%)を取り出し、新鮮培地中の開始時と同じ細胞密度(2.2×10生細胞/mL)の20mLの非感染細胞と取り換えた。実験を7日間続け、各日(1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、および7日目)に、細胞数、生存率、ならびに上清およびCVL中の全ウイルス濃度のために20mLの感染後サンプルを取った。感染後の細胞数の計数を血球計およびトリパンブルー染色(インビトロジェン(Invitrogen))を使用して実施した。上清を遠心分離により細胞から分離し、AEX−HPLCによるウイルス粒子濃度の分析のために、−80℃で貯蔵した。細胞ペレットサンプルを実施例11に概説されているように製造し、HPLC分析まで−80℃で貯蔵した。生存率の結果を表8に示し、上清およびCVLに関するHPLCの結果を表9に示す。
この実験のための実験コントロールとしてコントロール振盪フラスコを、25mlのワーキング容積、2.2×10生細胞/mLの細胞密度、および50ppcでの感染を用いて、準備した。感染後のこれらのコントロールフラスコでは、細胞浮遊液の取り出し、または新鮮細胞および培地の添加を行わなかった。これらのコントロールを感染後3日目に終了させた。細胞数および生存率を毎日評価し、細胞数、生存率、および全ウイルス濃度のために感染後3日目のサンプルを取った。HPLCによる上清およびCVLの分析のために、サンプルを実施例11に記載のように処理した。結果を表9に示す。
細胞生存率は、1日目に94%であったが、時間とともに減少し、7日目には5%という最低の生存率になった。漏出細胞のパーセンテージは、時間とともに増加し、7日目には最大量(86%)となった(表8および図16を参照)。また、コントロールの細胞生存率は、1日目に94%であったが、減少して、3日目には最低の生存率(34%)になった。漏出細胞のパーセンテージは、時間とともに増加し、3日目には最高(64%)となった(表8および図18)。
Figure 2017529070
上清中のウイルスのパーセンテージは、3日目から7日目まで変化し、5日目および6日目に最大であった(それぞれ、46%および47%)。7日目までには、上清中に存在するのは、たった17%となった(表9および図17)。コントロールは、3日目では、74%のウイルスが上清中に存在した(図19)。コントロールCVLでは、3日目には細胞中に残ったウイルスはたった26%となったが、連続製造試験のフラスコにおいては、1〜7日目には、≧53%が細胞中に残り、7日目には、細胞中に83%が存在した(表9、図19)。
この研究では、感染させた細胞培養物に7日間に亘り毎日新鮮非感染細胞を添加することにより生じた全累積ウイルス粒子は、1.36e13vpであり、これは、コントロールフラスコで生じた量(2.0e12vp)よりも7倍高かった。7日間に亘る上清中の全量は、3.7e12vpであり、これは、全vp(1.36e13vp)のうちの27%を表し、73%は7日間CVL中に存在した。これと比較すると、コントロールのウイルス分布では、上清中に74%(1.5e12vp)が存在し、CVL中に26%(5.2e11vp)が存在した(表9および10、図20)。
Figure 2017529070
Figure 2017529070
実施例15
実施例14に記載の実験手順を採用したが、50mlの振盪フラスコのワーキング容積、1.0×10生細胞/mLの細胞密度、および12.5ppcでの感染を用いた。様々な時点で、50mLの浮遊液のうち40mL(80%)を取り出し、新鮮培地中の1.0×10生細胞/mLの40mLの非感染細胞と取り換えた。実験を5日間続け、各日(1日目、2日目、3日目、4日目、および5日目)に、細胞数、生存率、および全ウイルス濃度のために感染後サンプルを取った。感染後の細胞数の計数を血球計およびトリパンブルー染色(インビトロジェン(Invitrogen))を使用して実施した。上清を遠心分離により細胞から分離し、AEX−HPLCによるウイルス粒子濃度の分析を実施するまで、−80℃で貯蔵した。細胞ペレットサンプルを実施例11に概説されているように製造し、HPLC分析まで−80℃で貯蔵した。生存率の結果を表11に示す。上清およびCVLに関するHPLCの結果は、表12にある。
細胞生存率は、1日目に78%であったが、時間とともに減少し、7日目には最低の生存率(16%)になった。漏出細胞のパーセンテージは、時間とともに増加し、3日目には最大量(82%)となった(表11および図21)。コントロールの細胞生存率は、1日目に73%であったが、減少して、3日目には最低の生存率(23%)が記録された。漏出細胞のパーセンテージは、時間とともに増加し、3日目には最高(70%)となった(図23)。
Figure 2017529070
上清中のウイルスのパーセンテージは、1日目から5日目まで変化し、4日目に最大であった(それぞれ28% )。5日目までには、上清中に存在するのは、たった18%となった(表12および図22)。3日目にコントロール(細胞および培地の取り出しおよび取り換えをしなかったフラスコ)では、ウイルスの81%が上清中に存在し、19%がCVL中に存在した。
このコントロールCVLでは、3日目には細胞中に残ったウイルスはたった19%となったが、毎日細胞および培地の取り換えを行ったフラスコにおいては、1〜5日目には、≧72%が細胞に結合したままであり、5日目には、細胞ペレット中に82%が存在した(表12)。
この研究において、感染させた細胞に5日間に亘り新鮮非感染細胞を添加することにより生じた全ウイルス粒子は、2.33e13vpであり、これは、コントロールで生じた量(7.6e12vp)よりも3倍高かった。5日間に亘る上清中の全量は、4.4e12vpであり、これは、全vp(2.33e13)のうちの19%を表し、81%は5日間CVL中に存在した。これと比較すると、コントロール培養物のウイルス分布では、上清中に81%(6.10e12)が存在し、CVL中に19%(1.48e12)が存在した(表12および13、図25)。
Figure 2017529070
Figure 2017529070
実施例16
実施例15に記載の実験手順を採用したが、様々な時点で50mLの浮遊液のうち47.5mL(95%)を取り出し、新鮮培地中の1.0×10生細胞/mLの同じ細胞密度の47.5mLの非感染細胞と取り換えた。実施例15の研究と平行してこの研究を行い、同じコントロールフラスコを用いた。生存率の結果を表14に示す。上清およびCVLに関するHPLCの結果を、表15に示す。
細胞生存率は、1日目に78%であったが、時間とともに減少し、5日目には最低の生存率(16%)になった。漏出細胞のパーセンテージは、時間とともに増加し、5日目には最大量(77%)となった(表14および図26)。コントロールの細胞生存率は、1日目に73%であったが、減少して、3日目には最低の生存率(23%)を記録した。漏出細胞のパーセンテージは、時間とともに増加し、3日目には最高(70%)となった(図23)。
Figure 2017529070
1〜5日目では、上清中にウイルスは存在せず、全ウイルスは、CVL中に残った(表15および図27)。
この実験では、5日間に亘り毎日、浮遊液を取り出し、感染させた細胞に新鮮非感染細胞を添加することにより生じた全ウイルス粒子は、1.96e13vpであり、これは、コントロールで生じた量(7.6e12)よりも3倍高かった。5日間に亘るCVL中のウイルスの全量は、1.96e13vpであり、これは、全vp(1.96e13)のうちの100%を表した。これと比較すると、コントロールのウイルス分布では、上清中に81%(6.10e12)が存在し、CVL中に19%(1.48e12)が存在した(表16および図28)。
Figure 2017529070
Figure 2017529070

Claims (22)

  1. A) 容器内で、アデノウイルスに感染した哺乳類細胞を、前記細胞を支持するのに適した培地の存在下で連続培養して前記ウイルスを複製させるステップであって、前記細胞がウイルス複製を支持することができる前記ステップ、および
    B) ステップa)から製造された前記ウイルスを前記培地から単離するステップであって、前記ウイルスの単離が細胞溶解ステップの後ではない前記ステップ、
    を含んでなる前記アデノウイルスの連続製造方法であって、
    ウイルス感染および製造用の生細胞を、連続製造期間前記ウイルスの複製に適したレベルに前記容器内で維持し、
    1回以上の培地交換または添加を含んでなり、感染後の1つ以上の時点で、少なくとも一部の細胞を交換する、または細胞を添加する、前記方法。
  2. 前記ウイルスがAd11などのB群アデノウイルスからのヘキソンおよび繊維を有し、特に前記ウイルスがEnAdである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ウイルスが複製能を有す、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記連続製造期間が2回以上のウイルス複製サイクルを含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 各ウイルス複製サイクルが、30〜300時間、例えば70〜300時間または60、70、80、90、95、もしくは100時間などの30〜100時間の範囲内にある、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 感染後の1つ以上の時点で、50,000以上の細胞当りウイルス粒子を製造する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. ウイルス感染および製造用の生細胞を、培養物への細胞の添加によって、前記ウイルスの複製に適したレベルに前記容器内で維持する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 感染後の1つ以上の時点で、細胞を前記培養物から取り出す、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記哺乳類細胞が、HEK、CHO、HeLa、Vero、A549、PerC6、およびGMKを含んでなる群から選択され、特にHEK293である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 感染多重度が、5〜50vp/細胞、例えば10〜20vp/細胞などの5〜49vp/細胞、特に12.5vp/細胞である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記細胞を出発濃度が1〜4×10のウイルスに感染させる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 灌流培養を用いる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 浮遊培養を用いる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 懸垂培養を用いる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  15. CsCl勾配法、イオン交換クロマトグラフィー、特に陰イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーステップ、およびそれらの組み合わせから選択される精製ステップをさらに含んでなる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 1回以上の培地交換または添加を含んでなる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 貯蔵に適するバッファー中に前記ウイルスを配合することをさらに含んでなる、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  18. a. 容器内で、アデノウイルスに感染した哺乳類細胞を、前記細胞を支持するのに適した培地の存在下で培養して前記ウイルスを複製させるステップであって、前記細胞がウイルス複製を支持することができ、前記ウイルスの出発播種密度が1〜2×10vp/mlの範囲内(1×10vp/mlなど)にあり、感染多重度が10〜15vp/細胞などの5〜20vp/細胞の範囲内にあり、特に12.5vp/細胞である、前記ステップ、および
    b. ウイルス感染後24〜75時間の期間に溶解ステップを実施して前記細胞から前記ウイルスを収集するステップであって、例えば前記溶解ステップを感染後66,67、68、または69時間など感染後65〜70時間で実施する、前記ステップ、
    を含んでなる前記アデノウイルスの製造方法。
  19. 前記ウイルスがB群ウイルス、例えばEnAdである、請求項18に記載の方法。
  20. 1回以上の培地交換または添加を含んでなる、請求項18または19に記載の方法。
  21. 感染後の1つ以上の時点で、少なくとも一部の細胞を交換する、または細胞を添加する、請求項18〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法から得られる、または得られ得るウイルスまたは配合物。
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