JP2017524716A - 環状α−ケトエノールから環状α−ケトアルコールを製造する方法 - Google Patents

環状α−ケトエノールから環状α−ケトアルコールを製造する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、環状α-ケトエノール、特に式2a又は2bの6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンから、環状α-ケトアルコール、特に式1a又は1bの6-ヒドロキシシクロヘキセノンを、還元剤を用いて製造する方法に関する。この還元剤は、水素ガス、第2級アルコール、ギ酸及びギ酸の塩、又はこれらの種類の化合物のうちの少なくとも2種のものの混合物から選択される。本発明は、アスタキサンチンを製造するための中間体としての式2a及び2bの6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンの使用をさらに含む。【選択図】なし

Description

本発明は、出発物質として、特に6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを含む、環状α-ケトエノール又はそれらの互変異性α-ジケトンから、環状α-ケトアルコールを製造する方法に関する。本発明は、アスタキサンチンをさまざまな異性体型で製造するための環状α-ケトエノールの使用をさらに含む。
アスタキサンチンの工業的合成は、関連文献、例えば、G. Britton, S. Liaaen-Jensen, H. Pfander, Carotenoids, Vol. 2, Birkhauser Verlag, Basel, 1996, 283ページ以下、さまざまな教科書、例えば、B. Schafer, Naturstoffe der chemischen Industrie (化学工業の天然物質), Akademischer Verlag, Heidelberg, 2007, 427ページ以下、科学雑誌、例えば、K.Meyer、Chemie in unserer Zeit (現代における化学) 36 (2002), 178ページ、並びに特許文献、例えば、DE 10049271 A1及びEP 1285912 A2に、詳細に記載されている。事実上全てのアスタキサンチン合成は、Δ5,6位が飽和しており、6位にそれぞれアルコール官能基を有するC15中間体を経る。
しかしながら、Δ5,6位が飽和したこのようなC15中間体の合成において、化合物L1
Figure 2017524716
のような、Δ5,6が不飽和のC15中間体も生じる。
しかしながら、E.Widmer, R.Zell, T.Lukac, M.Casadei, P.Schonholzer及びE.A.Broger, Helv.Chim.Acta 64 (1981) 2405ページにおける見解によると、化合物L1は、所望のアスタキサンチン前駆体(化合物20)の収率を著しく減少させることから望ましくない(2407ページのスキーム4及び2408ページの2項を参照)。
B.G.Britton, S.Liaaen-Jensen, H.Pfander, Carotenoids, Vol.2, Birkhauser Verlag, Basel, 1996も284ページの最終段落で、「アスタキサンチン(406)の合成において、部分構造83を有する全ての生成物は、強い酸又は塩基の作用下で、ジオスフェノール構造84を不可逆的に形成する可能性があることを忘れてはならない。さらに、エノール化1,2-ジケトン85を生じる酸化は容易に起きる[90](スキーム26)
Figure 2017524716
」と述べており、この不利点に注目している。
Δ5,6位が不飽和のL1及び85のようなC15中間体は不利であるとこの文献に繰り返し記載されているが、このような中間体を6-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エン-1-オン基本構造を有するC15中間体に再び変換する経路は未だに発見されていない。さらに、2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン系、特に式2a及び2bの化合物の5位の二重結合の選択的水素化は、これまで全く知られていない。以下の記述は、E.Widmer, T.Lukac, K.Bernhard, R.Zell, Helv.Chim.Acta 65 (1982) 671ページにのみ記載されている。
「アスタシンは、アスタキサンチンの合成のための可能な出発物質として特に興味深い。しかしながら、2,3-二重結合の位置選択的水素化の方法はこれまで知られていない。アシル化条件下での電気化学的還元はすでに成功を収めているが、10%の収率でアスタキサンチンの単離を可能にする。」[E.A.H.Hall, G.P.Moss, J.H.P.Utley, B.C.L.Weedon, Chem. Commun. (1978) 387ページ]。アスタシンは、下記に示す、40個の炭素原子を含む構造式L2を有し、C15中間体、すなわち15個のみの炭素原子の基本単位と比べることはできない。
Figure 2017524716
さらに、混合物中で10%得られるアスタシンL2の収率は、工業生産又は日常生産には適さない。
DE 10049271 A1 EP 1285912 A2
G. Britton, S. Liaaen-Jensen, H. Pfander, Carotenoids, Vol. 2, Birkhauser Verlag, Basel, 1996, 283ページ以下 B. Schafer, Naturstoffe der chemischen Industrie(化学工業の天然物質), Akademischer Verlag, Heidelberg, 2007, 427ページ以下 K.Meyer、Chemie in unserer Zeit (現代における化学) 36 (2002), 178ページ E.Widmer, R.Zell, T.Lukac, M.Casadei, P.Schonholzer及びE.A.Broger, Helv.Chim.Acta 64 (1981) 2405ページ B.G.Britton, S.Liaaen-Jensen, H.Pfander, Carotenoids, Vol.2, Birkhauser Verlag, Basel, 1996 E.Widmer, T.Lukac, K.Bernhard, R.Zell, Helv.Chim.Acta 65 (1982) 671ページ
このような背景で、当業者が達成すべき目的は、環状α-ケトエノール又はその互変異性α-ジケトンを環状α-ケトアルコールに選択的に変換する経路を発見することである。選択的にとは、α-ケトエノールのエノール基又はα-ジケトンの対応するケト基以外に存在する官能基が反応しないか、又は非常にわずかな程度しか反応しないことを意味する。6-ヒドロキシシクロヘキサジエノン、特に、15個の炭素原子を有する6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、6-ヒドロキシシクロヘキサジエノン中の他の官能基の顕著な反応を伴わずに、好ましくは、そのような反応を全く伴わずに、対応する6-ヒドロキシシクロヘキセノンに変換することができる方法も発見すべきである。特に、6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン又は6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オンを対応する6-ヒドロキシシクロヘキセノンに選択的に変換できるようにする方法を確立すべきである。この方法は、簡単な装置で、また工業規模で実現可能であるべきである。この方法はまた、あまり費用がかからず、実施が簡単である、すなわち、多くの中間体、又は複雑な方法の工程及び後処理の工程を伴わずに進行するべきである。
さらなる目的は、6-ヒドロキシシクロヘキサジエノン、特に6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン又は6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オンのような環状α-ケトエノール(又はα-ジケトン)の立体選択的変換、つまりかなりの程度で、また可能な限り、1つのみの立体異性体がそれぞれの場合に標的化合物として形成されるような変換からなる。立体選択的反応はまた、実施が簡単で、工業規模での応用が可能であるべきである。この変換はまた、できる限り少ない方法の工程及び後処理の工程を含むべきであり、また高い費用効率を有するべきである。
最後の目的は、アスタキサンチンの3位の不斉中心が場合によりラセミであるか、又は(S)若しくは(R)配置を有する、アスタキサンチンの合成の出発物質としての新規前駆体を提供することからなる。
本発明のこれらの目的達成の主な特徴は、請求項1及び15から得られる。構成は請求項2〜14の主題である。
上述の目的は、式1aの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び式1bの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン
Figure 2017524716
[式中、6位の不斉中心は、ラセミであるか、又は(S)若しくは(R)配置を有する]
からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキセノンを製造する方法によって達成される。本発明によるこの方法は、式2aの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン及び式(2b)の6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン
Figure 2017524716
からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、還元剤と非立体選択的又は立体選択的に反応させることを特徴とする。
当業者は、6位のエノール化カルボニルに加えて、化合物2a又は2bの他の官能基のうちの少なくとも1つ、すなわち1位のカルボニル、及び/又は環外二重結合及び/又は環外ヒドロキシル基のうちの少なくとも1つが同様に還元されると推測するので、そのような結果は予想できなかった。当業者は、ニッケル触媒を用いて下記のトリオールが形成され、Pdを用いて化合物Aが形成されることを予想する。
Figure 2017524716
「非立体選択的に」とは、還元剤による反応物の反応が、立体的優先を伴わずに生成物をもたらすことを意味する。
「立体選択的に」とは、還元剤が、還元部位(立体中心)において、主に1つのみの立体配置、可能な限り全く1つのみの立体配置が形成される生成物、すなわちエナンチオマー又はジアステレオマーを生じさせることを意味すると理解される。
本発明による出発化合物として使用する環状α-ケトエノール、特に、6-ヒドロキシシクロヘキサジエノン2a及び2bは、下記の平衡による互変異性ジケトンとみなすこともできる。
Figure 2017524716
したがって、本発明において、「環状α-ケトエノール」という用語は、互変異性体T1だけでなく、それぞれの場合に、常に互変異性体T2も含む。しかしながら、互変異性体T1及びT2が、上記の環のメチル基を含むことは必須ではない。
還元剤という用語は、環状α-ケトエノールを対応するアルコールに変換するのに適した全ての化合物を含む。好適な一連の形態において、還元剤という用語は、反応物、特に6-ヒドロキシシクロヘキサジエノン、とりわけ化合物2a、2bの他の官能基を変換することなく、環状α-ケトエノールを対応するアルコールに変換する全ての化合物を意味すると理解される。
本発明の一連の形態は、還元剤が、水素ガス;第2級アルコール、好ましくは、イソプロパノール又はブタン-2-オール;ギ酸、ギ酸の塩、特に、アルカリ金属ギ酸塩、アルカリ土類金属ギ酸塩、又はギ酸アンモニウム、又はギ酸モノ-、ジ-、トリ-、若しくはテトラ(C1〜C4)-アルキルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも1つの化合物であることを規定する。
第2級アルコールは、2つのアルキル基がイプソ位の炭素原子に位置し、アルキルが全体式CnH2n+1を有するあらゆる基を含む化合物である。第2級アルコールは、プロパン-2-オール、ブタン-2-オール、3-メチルブタン-2-オール、3,3-ジメチルブタン-2-オール、ペンタン-2-オール、ペンタン-3-オール、2-メチルペンタン-3-オール、3-メチルペンタン-2-オール、4-メチルペンタン-2-オール、2,2-ジメチルペンタン-3-オール、2,4-ジメチルペンタン-3-オール、3,3-ジメチルペンタン-2-オール、4,4-ジメチルペンタン-2-オール、2,2,4-トリメチルペンタン-3-オール、2,2,4,4-テトラメチルペンタン-3-オール、ヘキサン-2-オール、ヘキサン-3-オール、2-メチルヘキサン-3-オール、3-メチルヘキサン-2-オール、4-メチルヘキサン-2-オール、4-メチルヘキサン-3-オール、4-エチルヘキサン-3-オール、5-メチルヘキサン-2-オール、5-メチルヘキサン-3-オール、2,2-ジメチルヘキサン-3-オール、2,4-ジメチルヘキサン-3-オール、2,5-ジメチルヘキサン-3-オール、4-イソプロピル-2-メチルヘキサン-3-オール、2,2,5,5-テトラメチルヘキサン-3-オール、ヘプタン-2-オール、ヘプタン-3-オール、2-メチルヘプタン-3-オール、2-メチルヘプタン-4-オール、3-メチルヘプタン-2-オール、4-メチルヘプタン-2-オール、4-メチルヘプタン-3-オール、4-エチルヘプタン-3-オール、5-メチルヘプタン-2-オール、5-メチルヘプタン-3-オール、6-メチルヘプタン-2-オール、2,2-ジメチルヘプタン-3-オール、2,6-ジメチルヘプタン-2-オール、2,6-ジメチルヘプタン-4-オール、3,5-ジメチルヘプタン-4-オール、3,6-ジメチルヘプタン-2-オール、2,5,6-トリメチルヘプタン-4-オール、オクタン-2-オール、オクタン-3-オール、オクタン-4-オール、2-メチルオクタン-4-オール、2-メチルオクタン-5-オール、3-メチルオクタン-2-オール、3-メチルオクタン-4-オール、2,2-ジメチルオクタン-3-オール、2,4-ジメチルオクタン-3-オール、2,6-ジメチルオクタン-3-オール、3,7-ジメチルオクタン-2-オール、ノナン-2-オール、ノナン-4-オール、ノナン-5-オール、ノナン-3-オール、2-メチルノナン-4-オール、2-メチルノナン-3-オール、3-メチルノナン-2-オール、5-メチルノナン-4-オール、5-エチルノナン-2-オール、5-ブチルノナン-2-オール、2,2-ジメチルノナン-3-オール、2,6,8-トリメチルノナン-4-オール、デカン-2-オール、デカン-3-オール、デカン-4-オール、デカン-5-オール、2-メチルデカン-3-オール、5-メチルデカン-4-オール、ウンデカン-2-オール、ウンデカン-3-オール、ウンデカン-5-オール、ウンデカン-6-オール、2-メチルウンデカン-3-オール、5-メチルウンデカン-6-オール、6-メチルウンデカン-5-オール、6-ペンチルウンデカン-5-オール、7-エチル-2-メチルウンデカン-4-オール、ドデカン-2-オール、ドデカン-3-オール、ドデカン-5-オール、ドデカン-6-オール、2-メチルドデカン-3-オール、3,7,11-トリメチルドデカン-4-オール、トリデカン-2-オール、トリデカン-3-オール、トリデカン-4-オール、トリデカン-7-オール、2-メチルトリデカン-3-オール、テトラデカン-2-オール、テトラデカン-3-オール、テトラデカン-4-オール、テトラデカン-6-オール、2-メチルテトラデカン-3-オール、3,7-ジメチルペンタデカン-2-オール、6,10,14-トリメチルペンタデカン-2-オール、ヘキサデカン-2-オール、ヘキサデカン-6-オール、9-オクチルヘプタデカン-10-オール、ジカプリルアルコールからなる群から選択される。
これらの第2級アルコールのうち、イソプロパノール及び/又はブタン-2-オールのアルコールが好ましいが、これはこれらのアルコールが安価であり、低沸点であるため容易に除去できる2つの溶媒、アセトン又はメチルエチルケトンを還元時に形成するためである。さらに、これらは極性非プロトン性溶媒として、多くの6-ヒドロキシシクロヘキサジエノン、例えば、化合物2a及び2bを溶解する。
さらなる形態において、還元剤は、好ましくは、ギ酸及び/又はギ酸の塩の群から選択される少なくとも1つの化合物である。これらの化合物は入手にあまり費用が掛からない。さらに、その還元時に二酸化炭素が放出され、これはあまり困難なく反応容器から連続的に放出するか、又は反応の最後に放出することができる。装置との関連で、簡単で的を絞った反応手順が可能である。さらに、反応混合物の後処理がかなり簡易化されるので、製造過程の費用が低減される。
ギ酸の塩は、ギ酸アニオン、及び対イオンとしての有機又は無機カチオンを含む全ての化合物である。
ギ酸モノ-、ジ-、又はトリ-、又はテトラ(C1〜C4)-アルキルアンモニウムは、ギ酸アニオン、及び対イオンとしての窒素含有カチオンを含む。この窒素含有カチオンは、窒素に加えて4つの水素原子を含むか、又は水素の代わりに1個(モノ)、2個(ジ)、3個(トリ)、又は4個(テトラ)のアルキル基を有する、アンモニウムイオンである。この少なくとも1つのアルキル基は、C1〜C4-アルキル基であり、すなわちこれはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチルから選択される。
本発明による方法のための特に適切で安価なギ酸塩には、ギ酸トリメチルアンモニウム、ギ酸トリエチルアンモニウム、ギ酸トリ-n-ブチルアンモニウム、ギ酸エチルジイソプロピルアンモニウム、ギ酸テトラブチルアンモニウム、又はこれらの塩のうちの少なくとも2つの混合物が含まれる。
還元剤は、特に好ましくは、ギ酸のアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩若しくはアンモニウム塩、又はこれらの化合物のうちの少なくとも2つの混合物である。これらの還元剤のうちの1つでの還元において、気体状二酸化炭素に加えて副生成物が生じるが、これらは極性相に溶解して存在するか、又は塩の形態で沈殿している。したがって、反応生成物からの除去は特に簡単である。
特に発展した好適な実施形態では、還元剤は、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸マグネシウム、ギ酸カルシウムからなる群から、またアンモニア由来のアンモニウム塩、すなわちギ酸アンモニウムから選択される少なくとも1つの化合物である。これらの還元剤は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウムのギ酸塩、並びにアンモニアのギ酸塩は容易に入手でき、さまざまな供給業者から販売されていることから、非常に安価であるという共通点がある。ギ酸アンモニウムは、アンモニアが高温で遊離するという利点もある。この観点から、過剰なギ酸アンモニウムは、還元の最後に加熱により分解及び除去することができる。
さらなる変形形態において、還元剤は、第1級アミンのギ酸塩の群から、特にメチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、イソブチルアミン、n-ペンチルアミン、アニリン、ベンジルアミンのアミンのうちの少なくとも1つのギ酸塩から選択される。
本発明の別の形態では、還元剤は、ギ酸の第2級アミン又は第3級アミンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である。ギ酸の第2級アミンは、アニオンとしてのギ酸イオン及びカチオンとしての単純プロトン化N,N-ジアルキルアミンから形成される。
ギ酸の第2級アミンは、ジメチルアミンのギ酸塩、ジエチルアミンのギ酸塩、ジ-n-プロピルアミンのギ酸塩、ジ-n-ブチルアミンのギ酸塩、又はこれらの化合物のうちの少なくとも2つの混合物を含む。
ギ酸の第3級アミンは、アニオンとしてのギ酸イオン及びカチオンとしての単純プロトン化N,N,N-トリアルキルアミンからなる。
ギ酸の第3級アミンは、トリメチルアミンのギ酸塩、トリエチルアミンのギ酸塩、トリ-n-プロピルアミンのギ酸塩、トリ-n-ブチルアミンのギ酸塩、エチルジイソプロピルアミンのギ酸塩、又はこれらの化合物のうちの少なくとも2つの混合物を含む。
本発明の別の修正形態では、還元剤は、ギ酸の第4級アンモニウム塩の群から選択される少なくとも1つの化合物である。ギ酸の第4級アンモニウム塩は、アニオンとしてのギ酸イオン及びカチオンとしてのN,N,N,N-テトラアルキルアンモニウムイオンからなる化合物である。
ギ酸の第4級塩は、例えば、ギ酸テトラエチルアンモニウム、ギ酸テトラブチルアンモニウム、ギ酸トリイソプロピルエチルアンモニウムを含む。
さらなる形態では、還元剤は、好ましくは、適切な塩基でギ酸を中和することによりin situで生じるギ酸の塩の群から選択される少なくとも1つの化合物である。この塩基は、アンモニア及び/又は第1級アミン及び/又は第2級アミン及び/又は第3級アミンの群から選択される。このようにしてギ酸から生じた塩は、その塩がゆっくりしか形成しない場合、又は容易に市販されていない塩化合物を使用する場合に、常に特に有利である。
さらなる形態では、還元剤は、好ましくは、そのまま使用されるギ酸の塩の群から選択される少なくとも1つの化合物である。そのような塩は、それらが安価に入手でき、また容易に保管でき、さらにそれらの塩の反応依存性最低濃度又は最高濃度をin situ形成により調節しなくてよい場合に、常に望ましいことが判明している。
本発明による方法は、環状α-ケトエノール、特に6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、遷移金属触媒の存在下、好ましくはアキラル又は光学活性遷移金属触媒の存在下で、還元剤と非立体選択的又は立体選択的に反応させるという点において追及された。これは、使用する触媒が、場合によりアキラル、エナンチオマー的に富化された又はエナンチオマー的に純粋な遷移金属触媒である、遷移金属触媒による水素化により、上記で述べた目的がさらに独創的な形態で達成されたことを意味する。このような触媒は、本発明による還元を著しく促進し、したがって費用低減に貢献する。
遷移金属触媒は、反応を促進する化合物を意味すると理解される。上記の触媒は、少なくとも1つの遷移金属、すなわち少なくとも1つの周期表の3〜12族の金属、及び少なくとも1つの配位子を含む。
光学活性遷移金属触媒も同様に反応を促進する化合物である。上記の触媒は、少なくとも1つの周期表の3〜12族の遷移金属、及び少なくとも1つの光学活性配位子を含む。
光学活性配位子は、程度に差はあるが、直線偏光の光線の偏光面を回転させることができる配位子である。
Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、及びAuからなる群から選択される遷移金属を有する遷移金属触媒は、本発明による方法に使用できることが示されている。遷移金属Zr、Nb、Mo、W、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、特に遷移金属Mo、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pdは、それらが比較的入手しやすいこと、及び/又はそれらの反応性により、特に適している。特に良好な結果は、適当な配位子の配置で、遷移金属Ru、Ir、Ni、Pdを用いて得られる。最後に、実施した実験において、6-ヒドロキシシクロヘキサジエノン、特に出発化合物2a、2bの1位のカルボニル基及び他の官能基の顕著な反応を伴わずに、可能な限りそれらの反応を全く伴わずに、高い収率の6-ヒドロキシシクロヘキセノン、特に化合物1a、1bが得られることから、ルテニウム(Ru)が本発明の方法に特に適していることが判明した。
対応する第2級アルコールを生じるための、6-ヒドロキシシクロヘキサジエノン、特に化合物2a、2bのΔ5,6位の二重結合(6位のケト基に相当する)の還元に適した遷移金属触媒は、好ましくは、遷移金属原子及び少なくとも1つの場合によりアキラル配位子又は光学活性配位子を含む。原則として、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、又はAuのような遷移金属原子として適切な遷移金属触媒を形成することができる全ての遷移金属を使用することが可能である。
本発明の方法はさらに、遷移金属触媒がアミン及び/又はホスファンから選択される少なくとも1つの配位子を含むことを規定する。特に、この配位子は、アミン及び/又はホスファン及び/又は芳香族化合物及び/又はハロゲン化物から選択される。この場合、芳香族化合物は、錯体形態で遷移金属と結合し、場合によりアミン配位子又はホスファン配位子と共有結合している。つまり、そのような種は、遷移金属との配位に関する限り、特に適切であると判明している。
特に、遷移金属触媒の遷移金属がルテニウム(Ru)であり、かつ配位子がアミンから選択される場合に、環状α-ケトエノール、特に6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンが、遷移金属触媒の存在下、好ましくは光学活性遷移金属触媒の存在下で、還元剤と特に非立体選択的又は立体選択的に反応することが分かっている。
ホスファン配位子は、好ましくは、一般式3
Figure 2017524716
[式中、R、R'、及びR''は、それぞれ独立して、C1〜C4-アルキル残基、フェニル残基、モノ-〜トリ-C1〜C4-アルキル置換アリール残基のうちの1つからなる群から選択され、好ましくは、トリアリールホスファンであり、特に好ましくは、トリフェニルホスファンである]
のホスファンである。
C1〜C4-アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチルから選択される基である。アリールは、全ての芳香族基本構造、特にフェニル及びベンジルを含む。C1〜C4-アルキル置換アリールは、すでに定義されたとおりの1個、2個、3個又は4個又は5個のC1〜C4-アルキル残基と結合した、すでに定義されたとおりのアリールである。
本発明による方法の以下の形態は、傑出した態様を保護する。この形態は、遷移金属触媒が、H2N-CH2-CH2-OH、MeHN-CH2-CH2-OH、H2N-CH2-CH2-NH2、TsNH-CH2-CH2-NH2、TsNH-CH2-CH2-NH-(CH2)n-Om-(CH2)o-アリール(式中、n=1〜4、m=0又は1、o=1〜4であり、アリールはフェニル又はモノ-、ジ-、トリ-C1〜C4-アルキルフェニルである)、光学活性化合物からなる群から選択される少なくとも1つの配位子を含むことを主張する。具体的には、下記の実施例1に示すように、この種の配位子を用いて、6-ヒドロキシシクロヘキセノン、特に化合物1a、1bの収率85%を対応する6-ヒドロキシシクロヘキサジエノン、特に化合物2a、2bから達成することができる。
本発明の特に発展した形態は、したがって、環状α-ケトアルコール、特に、式1aの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び式1bの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン
Figure 2017524716
[式中、6位の不斉中心は、ラセミであるか、又は(S)若しくは(R)配置を有する]
からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキセノンを製造する方法であって、環状α-ケトエノール、特に、式2aの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン及び式2bの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン
Figure 2017524716
からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、遷移金属触媒の存在下で、ギ酸及び/又はギ酸の塩、イソプロパノール、ブタン-2-オールからなる群から選択される還元剤と非立体選択的又は立体選択的に反応させ、この遷移金属触媒は、遷移金属としてのルテニウム(Ru)及びH2N-CH2-CH2-OH、MeHN-CH2-CH2-OH、H2N-CH2-CH2-NH2、TsNH-CH2-CH2-NH2、TsNH-CH2-CH2-NH-(CH2)n-Om-(CH2)o-アリール(式中、n=1〜4、m=0又は1、o=1〜4であり、アリールはフェニル又はモノ-、ジ-、トリ-C1〜C4-アルキルフェニルである)、光学活性化合物からなる群から選択される少なくとも1つの配位子を含む、方法を提供する。
非立体選択的還元、また光学活性化合物の場合には非立体選択的還元又は立体選択的還元のいずれかを記載する本発明によるこの方法によると、多くの応用に十分な環状α-ケトアルコール、特に6-ヒドロキシシクロヘキセノンのラセミ混合物が生成される。
このラセミ混合物に必要な遷移金属触媒は、例えば、例えば[RuX26-Ar)]2のような適切なルテニウム化合物を適切な配位子と反応させることにより生じることができ、ここでXは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素のようなハロゲン原子であり、Arは、ベンゼン又は置換ベンゼン誘導体、特に、C1〜C4-アルキル残基で置換されたベンゼン誘導体である。C1〜C4-アルキルは、上記ですでに定義されたとおりである。
しかしながら、光学活性α-ケトアルコール、特に6-ヒドロキシシクロヘキセノンにも必要性がある。
本発明による方法では、したがって、遷移金属原子及び少なくとも1つの光学活性配位子を含み、この遷移金属原子がルテニウム(Ru)である、光学活性遷移金属触媒が特に好ましく使用される。これは、遷移金属触媒が遷移金属原子及び少なくとも1つの光学活性配位子を含み、この遷移金属原子がルテニウム(Ru)である、光学活性遷移金属触媒の存在下で、環状α-ケトエノール、特に6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、還元剤と立体選択的に反応させることを意味する。
好適なキラルな、特に光学活性のルテニウム触媒は、例えば、例えば[RuX26-Ar)]2のような適切なルテニウム化合物を適切なキラル配位子、特に光学活性配位子と反応させることにより生じることができ、ここでXは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素のようなハロゲン原子であり、Arは、ベンゼン又は置換ベンゼン誘導体、特に、C1〜C4-アルキル残基で置換されたベンゼン誘導体である。C1〜C4-アルキルは、上記ですでに定義されたとおりである。
このキラルな、特に光学活性のルテニウム触媒は、好ましくは、光学活性配位子が光学活性アミン又は光学活性アミノ酸であることを特徴とする。適切なルテニウム化合物、特に[RuX26-Ar)]2と反応させて触媒活性錯体を生じることができる光学活性アミンの例は、H2N-CHPh-CHPh-OH、H2N-CHMe-CHPh-OH、MeHN-CHMe-CHPh-OH、TsNH-CHPh-CHPh-NH2、(1S,2S)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、(1R,2R)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、N-[(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド又はN-[(1R,2R)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド、であり、特に、(1S,2S)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、(1R,2R)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、N-[(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド又はN-[(1R,2R)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミドである。
したがって、本発明のさらなる重要な形態は、遷移金属触媒が、光学活性アミン、特に、H2N-CHPh-CHPh-OH、H2N-CHMe-CHPh-OH、MeHN-CHMe-CHPh-OH、TsNH-CHPh-CHPh-NH2、(1S,2S)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、(1R,2R)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、N-[(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド、N-[(1R,2R)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド、光学活性アミノ酸からなる群から選択される少なくとも1つの配位子を含み、これは好ましくは、H2N-CHPh-CHPh-OH、H2N-CHMe-CHPh-OH、MeHN-CHMe-CHPh-OH、TsNH-CHPh-CHPh-NH2、(1S,2S)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、(1R,2R)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、N-[(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド、N-[(1R,2R)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミドからなる群から選択されることを規定する。好適な配位子は、遷移金属との錯体を特に容易に形成することを特徴とする。この遷移金属錯体は、本発明による方法の条件下で非常に安定である。
本発明による遷移金属触媒が後の段落で述べる配位子を含む場合、簡単かつ効率的な経路で、立体異性的に高度に富化された、又はさらに立体異性的に純粋な環状α-ケトアルコール、特に6-ヒドロキシシクロヘキセノンを以下に示すような対応する環状α-ケトエノール、特に対応する6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンから、高収率で製造する。
この理由から、特に重要な発展形態も本発明にとって必須である。この発展形態は、環状α-ケトアルコール、特に、式1aの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び式1bの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン
Figure 2017524716
[式中、6位の不斉中心は、(S)又は(R)配置を有する]
からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキセノンを製造する方法を含み、この方法では、本発明により、環状α-ケトエノール、特に、式2aの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン及び式2bの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン
Figure 2017524716
からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、光学活性の、好ましくはエナンチオマー的に純粋な遷移金属触媒の存在下で、ギ酸、ギ酸の塩、イソプロパノール、又はブタン-2-オールからなる群から選択される還元剤と立体選択的に反応させ、ここで光学活性の、好ましくはエナンチオマー的に純粋な遷移金属触媒は、遷移金属としてのルテニウム(Ru)及びH2N-CHPh-CHPh-OH、H2N-CHMe-CHPh-OH、MeHN-CHMe-CHPh-OH、TsNH-CHPh-CHPh-NH2、(1S,2S)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、(1R,2R)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、N-[(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド、N-[(1R,2R)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド、光学活性アミノ酸からなる群から選択される少なくとも1つの配位子を含む。
α-ケトアルコールのそれぞれの場合のもう一方の立体異性体、すなわちそれぞれの場合のもう一方のエナンチオマー、又はジアステレオマー、特に6-ヒドロキシシクロヘキセノンの立体異性体は、この方法では非常に少量で生じるのみであり、好ましくは全く生じない。
例えば、本発明による方法で、光学活性配位子として(1S,2S)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミンを使用する場合、高いエナンチオマー純度で式(6S-1a/b)の化合物が得られるが、(1R,2R)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミンの光学活性配位子としての使用は、式(6R-1a/b)の化合物を生じる。
本発明による方法において、キラル遷移金属触媒のほとんどを含む遷移金属触媒のほとんどは、その少なくとも1つの配位子がモノ脱プロトン化されている場合に、特に効率的であることが分かっている。
H2N-CHPh-CHPh-OH、H2N-CHMe-CHPh-OH、MeHN-CHMe-CHPh-OH、又はTsNH-CHPh-CHPh-NH2のモノ脱プロトン化により、特に(1S,2S)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン又は(1R,2R)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミンのモノ脱プロトン化により、光学活性配位子を得ることができるキラルルテニウム触媒も特に好ましい。
したがって、本発明による方法の形態は、配位子、特にアミンから選択される配位子が脱プロトン化されている、好ましくはモノ脱プロトン化されていることを規定する。
修正実施形態では、本発明による方法は、遷移金属触媒が、H2N-CH2-CH2-OH、MeHN-CH2-CH2-OH、H2N-CH2-CH2-NH2、TsNH-CH2-CH2-NH2、TsNH-CH2-CH2-NH-(CH2)n-Om-(CH2)o-アリール(式中、n=1〜4、m=0又は1、o=1〜4であり、アリールはフェニル又はモノ-、ジ-、トリ-C1〜C4-アルキルフェニルである)、光学活性キラル単位からなる群から選択される少なくとも1つの配位子を含み、この配位子が、場合によりリンカーを介して、芳香族化合物に結合していることを規定する。
本発明による方法のさらなる形態は、遷移金属触媒が、光学活性アミン、特に、H2N-CHPh-CHPh-OH、H2N-CHMe-CHPh-OH、MeHN-CHMe-CHPh-OH、TsNH-CHPh-CHPh-NH2、(1S,2S)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、(1R,2R)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、N-[(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド、N-[(1R,2R)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド、光学活性アミノ酸からなる群から選択される少なくとも1つの配位子を含み、これは好ましくはH2N-CHPh-CHPh-OH、H2N-CHMe-CHPh-OH、MeHN-CHMe-CHPh-OH、TsNH-CHPh-CHPh-NH2、(1S,2S)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、(1R,2R)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニル-エチレンジアミン、N-[(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド、N-[(1R,2R)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド、からなる群から選択され、この配位子が、場合によりリンカーを介して、芳香族化合物に結合していることを明示する。
反応混合物から遷移金属触媒を除去するために、さらなる濾過又は抽出ステップが必要である。これらの遷移金属触媒の多くで、それらが任意の固定又は固定化工程で部分的又は完全にその触媒活性を失うことから、このステップは必須である。しかしながら、そのような固定の影響を受けない遷移金属触媒もある。
したがって、非常に経済的に考案された本発明による方法の変形形態は、遷移金属が、固体担体、好ましくは、炭素、酸化アルミニウム、及び二酸化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1つの物質を含む固体担体、最も好ましくは、炭素、酸化アルミニウム、及び二酸化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1つの物質で構成される固体担体に適用されていることを規定する。
この実施形態により、α-ケトアルコール反応生成物から、特に6-ヒドロキシシクロヘキセノン、特に化合物1a、1bからの遷移金属触媒の分離を別個の方法ステップという意味で回避できる。
α-ケトエノール、特に、化合物2a、2bのような6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンの還元を大きく異なるpH値で調べ、対応するα-ケトアルコールへの完全又は事実上完全な反応は塩基性媒体でのみ可能であるという結果を得た。
本発明のさらなる態様は、したがって、α-ケトエノール、特に6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、塩基性条件下、好ましくは8〜12のpH範囲で、還元剤と非立体選択的又は立体選択的に反応させることを規定する。
上記にすでに挙げたアミン配位子が塩基としての機能を果たすか、及び/又は塩基が追加で加えられるかのいずれかである。
使用する塩基、特に追加の塩基として使用する塩基は、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、又はこれらの化合物のうちの少なくとも2つの混合物である。
したがって、さらに改良した本発明の実施形態は、塩基性条件下、好ましくは8〜12のpH範囲で、α-ケトエノール、特に6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、還元剤と非立体選択的又は立体選択的に反応させ、この目的で使用する塩基は、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、又はこれらの化合物のうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択されることを明示する。
特に、これは、環状α-ケトアルコール、特に、式1aの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び式1bの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン
Figure 2017524716
[式中、6位の不斉中心は、ラセミであるか、又は(S)若しくは(R)配置を有する]
からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキセノンを製造する方法を提供し、この方法では、本発明により、環状α-ケトエノール、特に、式2aの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン及び式2bの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン
Figure 2017524716
からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、塩基性条件下、好ましくは8〜12のpH範囲で、遷移金属触媒の存在下、ギ酸及び/又はギ酸の塩、イソプロパノール、ブタン-2-オールからなる群から選択される還元剤と非立体選択的又は立体選択的に反応させ、ここで遷移金属触媒は、遷移金属としてのルテニウム(Ru)、及びH2N-CH2-CH2-OH、MeHN-CH2-CH2-OH、H2N-CH2-CH2-NH2、TsNH-CH2-CH2-NH2、TsNH-CH2-CH2-NH-(CH2)n-Om-(CH2)o-アリール(式中、n=1〜4、m=0又は1、o=1〜4であり、アリールはフェニル又はモノ-、ジ-、トリ-C1〜C4-アルキルフェニルである)、光学活性化合物からなる群から選択される少なくとも1つの配位子を含むことを示す。
エナンチオマー的若しくはジアステレオマー的に富化された、又はエナンチオマー的若しくはジアステレオマー的に純粋な化合物をもたらす変形形態は、環状α-ケトアルコール、特に、式1aの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び式1bの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン
Figure 2017524716
[式中、6位の不斉中心は、(S)又は(R)配置を有する]
からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキセノンを製造する方法により提供され、この方法では、本発明により、環状α-ケトエノール、特に、式2aの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン及び式2bの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン
Figure 2017524716
からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、塩基性条件下、好ましくは8〜12のpH範囲で、光学活性遷移金属触媒の存在下、ギ酸、ギ酸の塩、イソプロパノール、又はブタン-2-オールからなる群から選択される還元剤と立体選択的に反応させ、ここで光学活性遷移金属触媒は、遷移金属としてのルテニウム(Ru)、及びH2N-CHPh-CHPh-OH、H2N-CHMe-CHPh-OH、MeHN-CHMe-CHPh-OH、TsNH-CHPh-CHPh-NH2、(1S,2S)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、(1R,2R)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、N-[(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド、N-[(1R,2R)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド、光学活性アミノ酸からなる群から選択される少なくとも1つの配位子を含む。
本発明の遷移金属触媒が担持された形態でその活性を維持できない場合、その遷移金属触媒は液相中で使用しなければならない。
したがって、本発明による方法は、多くの場合、通常は液相中、すなわち少なくとも1つの溶媒又は溶媒混合物中で実施する。この液相は、好ましくは少なくとも1つの有機溶媒を含み、この液相は、通常は50体積%より多くの有機溶媒から構成される。
本発明のさらに発展した変形形態は、したがって、環状α-ケトエノール、特に6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、液体媒体中、好ましくは50体積%より多くの少なくとも1つの有機溶媒を含む液体媒体中で、還元剤と非立体選択的又は立体選択的に反応させることを規定する。
液体媒体は、溶媒又は溶媒混合物のあらゆる単相又は多相液体組成物を意味すると理解される。液体媒体は、したがって、ジクロロメタン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、ペンタン、N-メチル-2-ピロリドン、ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、水、又はそれらの溶媒のうちの少なくとも2つの混合物の群から選択される。
有機溶媒の比率を、50体積%より多くなるように選択すると、その反応の反応物及び反応生成物は比較的よく溶解する。
遷移金属触媒の存在下での6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンの還元剤との反応では、特に塩基性条件下の反応では、しばしば塩が生じる。これらは通常は水によく溶解し、その後容易に除去することができる。したがって、液体媒体は、特に無機溶媒として水を含む。
本発明による方法のさらなる変形形態は、したがって、環状α-ケトエノール、特に6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、液体媒体中、好ましくは50体積%より多くの少なくとも1つの有機溶媒及び無機溶媒としての水を含む液体媒体中で、還元剤と非立体選択的又は立体選択的に反応させることを明示する。
さまざまな溶媒から構成される液体媒体の組成によって、液体媒体は、単相系であっても、二相系であっても、又は多相系であってもよい。
溶解度ひいては反応速度は、出発化合物ごとに異なる。しかしながら、さまざまな実験において、いくつかの溶媒又は溶媒混合物が特に適していると分かった。使用する溶媒は、特に、ジクロロメタン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、並びにTHF及び水の混合物である。
その結果、本発明の発展形態は、有機溶媒が、ジクロロメタン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、ペンタン、N-メチル-2-ピロリドン、ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、アセトニトリルからなる群から、好ましくは、ジクロロメタン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、エチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネートからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むことを規定する。
さまざまな実験において、得られる環状α-ケトアルコールの収率及び純度に関して、以下の実施形態が特に適切であることが判明した。この実施形態は、環状α-ケトエノール、特に6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、液体媒体中、好ましくは、50体積%より多くの、ジクロロメタン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートからなる群から選択される少なくとも1つの有機溶媒及び無機溶媒としての水を含む液体媒体中で、還元剤と非立体選択的又は立体選択的に反応させることを明示している。
本発明の別の継続形態は、短い反応時間後に高収率をもたらす。上記の継続形態は、環状α-ケトアルコール、特に、式1aの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び式1bの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン
Figure 2017524716
[式中、6位の不斉中心は、ラセミであるか、又は(S)若しくは(R)配置を有する]
からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキセノンを製造する方法を含み、この方法では、本発明により、環状α-ケトエノール、特に、式2aの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン及び式2bの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン
Figure 2017524716
からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、液体媒体中、塩基性条件下、好ましくは8〜12のpH範囲で、遷移金属触媒の存在下、ギ酸及び/又はギ酸の塩、イソプロパノール、ブタン-2-オールからなる群から選択される還元剤と非立体選択的又は立体選択的に反応させ、ここで遷移金属触媒は、遷移金属としてのルテニウム(Ru)及びH2N-CH2-CH2-OH、MeHN-CH2-CH2-OH、H2N-CH2-CH2-NH2、TsNH-CH2-CH2-NH2、TsNH-CH2-CH2-NH-(CH2)n-Om-(CH2)o-アリール(式中、n=1〜4、m=0又は1、o=1〜4であり、アリールはフェニル又はモノ-、ジ-、トリ-C1〜C4-アルキルフェニルである)、光学活性化合物からなる群から選択される少なくとも1つの配位子を含み、液体媒体は、50体積%より多くの、ジクロロメタン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートからなる群から選択される少なくとも1つの有機溶媒を含む。
これは、高度にエナンチオマー的若しくはジアステレオマー的に富化された化合物又はエナンチオマー的若しくはジアステレオマー的に純粋な化合物を生じるための変形形態にも当てはまる。この変形形態は、環状α-ケトアルコール、特に、式1aの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び式1bの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン
Figure 2017524716
[式中、6位の不斉中心は、(S)又は(R)配置を有する]
からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキセノンを製造する方法を記載し、この方法では、本発明により、環状α-ケトエノール、特に、式2aの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン及び式2bの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン
Figure 2017524716
からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、液体媒体中、塩基性条件下、好ましくは8〜12のpH範囲で、光学活性遷移金属触媒の存在下、ギ酸、ギ酸の塩、イソプロパノール、又はブタン-2-オールからなる群から選択される還元剤と立体選択的に反応させ、ここで光学活性遷移金属触媒は、遷移金属としてのルテニウム(Ru)、及びH2N-CHPh-CHPh-OH、H2N-CHMe-CHPh-OH、MeHN-CHMe-CHPh-OH、TsNH-CHPh-CHPh-NH2、(1S,2S)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、(1R,2R)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、N-[(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド、N-[(1R,2R)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド、光学活性アミノ酸からなる群から選択される少なくとも1つの配位子を含み、液体媒体は、50体積%より多くの、ジクロロメタン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートからなる群から選択される少なくとも1つの有機溶媒を含む。
本発明による方法のさらなる利点は、この方法により、高い収率の環状α-ケトアルコール又は6-ヒドロキシシクロヘキセノンが低温であっても適度な時間で得られることである。その結果、本発明のさらなる修正形態の主題は、環状α-ケトエノール、特に6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、10℃〜85℃、好ましくは20℃〜60℃の温度で、還元剤と非立体選択的又は立体選択的に反応させることである。
本発明による方法は、当然ながら、加圧下でも実施することができる。好適な圧力範囲は0〜10バールである。特に好適な温度範囲は、加圧下でも20〜60℃である。
反応は、バッチ式若しくはセミバッチ式で不連続的に実施しても、又は当業者に周知の慣習的装置で連続的に実施してもよい。例には、撹拌槽、撹拌槽カスケード、及び管型反応装置が含まれる。
後処理も慣習的方法で実施する。抽出及び結晶化が好ましい。
本発明はまた、(3S、3'S)-アスタキサンチンの合成全体のうちの反応ステップで、本発明による方法により上述の式(6S-1a/b)の化合物を製造する、(3S、3'S)-アスタキサンチンを製造する方法にも関する。同様に、式(6R-1a/b)の化合物を用いて(3R、3'R)-アスタキサンチンを製造することもできる。本発明による方法の利点は、化合物の良好な収率に加え、高エナンチオマー純度を有する式(6S-1a/b)及び(6R-1a/b)の化合物の簡易化した製造にある。式1a/b、2a/b、すなわち1a、1b、2a、及び2bの化合物における番号付けは、環のOH基が6位に位置するようになっているが、アスタキサンチン4a、4b、及び4cの化合物における番号付けは、環のOH基がそれぞれのアスタキサンチン分子の3位又は3'位に位置するようになっている。
本発明による方法により生じる化合物は、さまざまなカロチノイドの前駆体分子として、またとりわけアスタキサンチンの合成の前駆体分子として使用することができ、ここでアスタキサンチンという用語は、アスタキサンチンのラセミ混合物及びメソ体、並びに全てのエナンチオマー的に純粋な典型物を指す。
その結果、本発明はまた、(3R/S、3'R/S)-アスタキサンチン4a、
Figure 2017524716
及び/又は(3S、3'S)-アスタキサンチン4b
Figure 2017524716
及び/又は(3R、3'R)-アスタキサンチン4c
Figure 2017524716
を製造するための中間体としての、式2aの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン及び式2bの6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オンの化合物からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンの使用にも関する。
本発明のさらなる特徴、詳細、及び利点は、特許請求の範囲の表現から、また以下に記載する実施例から明らかである。
[実施例1]
(6R/S)-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(rac-1a)の合成
2.5g(9.77mmol)の6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン2aを20℃で13.36gの脱気したジクロロメタンに加え、7.42g(73.3mmol)のトリエチルアミンを添加する。47.41mg(0.1mmol)の触媒クロロ{[2-アミノエチル](4-トルエンスルホニル)アミド}(p-シメン)ルテニウム(II)を1mlのジクロロメタンに溶解し、22℃で反応混合物に添加する。次に、2.25g(48.87mmol)のギ酸を20〜27℃で12分間かけて滴下する。この混合物を20℃で一晩撹拌する。10mlの水の添加後、相を分離する。有機相を10mlの水で2回洗浄し、回転蒸発器で濃縮する。2.45g(84.87%濃度、収率:85%)のラセミ体の6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(rac-1a)を得る。
[実施例2]
ジグリム(GIGLYME)及びギ酸カリウムを用いた、(6S)-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(6S-1a)の合成
7.97gの10%水酸化ナトリウム水溶液及び10mlの水、並びに8.38g(99.57mmol)のギ酸カリウムをアルゴン下で100mlの三つ口フラスコに加え、30.5gの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を添加する。この溶液に、2.5g(9.96mmmol)の6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン2a及び5mlのジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)を添加し、この混合物を40℃まで加熱する。これにジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)中の36.49mg(0.1mmol)の(1S,2S)-(+)-N-p-トシル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン及び30.49mg(0.05mmol)のジクロロ(p-シメン)ルテニウム(II)二量体からなる触媒溶液2.88gを添加し、この混合物を40℃で135分間撹拌する。20℃まで冷却後、20mlのジクロロメタンを添加し、相を分離する。水相を各回10mlのジクロロメタンで2回抽出し、次に合わせた有機相を20mlの水で洗浄する。溶媒の蒸発により生成物を得る。8.6g(収率76.9%)の(6S)-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(6S-1a)を得る。エナンチオマー過剰率をキラルHPLCで測定する。この過剰率は95%で(S)エナンチオマーが多い。
[実施例3]
ジクロロメタン及びギ酸トリエチルアンモニウムを用いた、(6S)-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(6S-1a)の合成
126.06g(1.25mol)のトリエチルアミン及び100mlの水をアルゴン下で250mlの三つ口フラスコに加え、次いで45.87g(1mol)のギ酸を20〜40℃で20分間かけて滴下する。25g(99.66mmol)の6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン2a及び50mlのジクロロメタンの添加後、この混合物を30℃まで加熱し、10mのジクロロメタンに溶解した634.05mg(1mmol)のクロロ{[(1S,2S)-(+)-2-アミノ-1,2-ジフェニルエチル](4-トルエンスルホニル)アミド}(p-シメン)ルテニウム(II)を滴下する。この混合物を30℃で195分間撹拌してから、20℃まで冷却する。相を分離し、水相を50mlのジクロロメタンで抽出する。次いで、合わせた有機相を100mlの水で洗浄する。この有機相を100mlの水で処理し、10.3gのギ酸でpH 6.6に調整する。相の分離後、有機相を回転蒸発により濃縮する。エナンチオマー過剰率96.7%の(6S)-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(6S-1a)を24.4g(83.6%濃度、収率:81.8%)得る。
[実施例4]
ジクロロメタン及びギ酸トリエチルアンモニウム並びに4分の1の量の触媒を用いた、(6S)-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(6S-1a)の合成
2.5g(9.77mmol)の6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン2aを13.36gのジクロロメタンに溶解し、7.42g(73.3mmol)のトリエチルアミンと混合し、0.5mlのジクロロメタンに溶解した15.55mg(0.02mmol)のクロロ{[(1S,2S)-(+)-2-アミノ-1,2-ジフェニルエチル](4-トルエンスルホニル)アミド}(p-シメン)ルテニウム(II)を滴下する。この混合物を40℃まで加熱したあと、2.25g(48.87mmol)のギ酸を8分間かけて滴下する。この混合物を40℃で27時間撹拌する。次いで、この混合物を20℃まで冷却し、10mlの水を添加し、相を分離して、有機相を10mlの水で2回洗浄する。有機相を濃縮する。エナンチオマー過剰率93.9%の(6S)-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(6S-1a)を2.7g(73.7%濃度、収率:81.3%)得る。
[実施例5]
触媒としてN-[(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド(クロロ)ルテニウム(II)を用いた、(6S)-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(6S-1a)の合成
2.5g(9.96mmol)の6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン2aを13.36gのジクロロメタンに溶解し、7.56g(74.7mmol)のトリエチルアミンと混合し、2.29g(49.8mmol)のギ酸を滴下する。1mlのジクロロメタンに溶解した64.74mg(0.1mmol)の式5のN-[(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド(クロロ)ルテニウム(II)を次いで添加し、この混合物を25℃で17時間撹拌する。次いで、20mlの水を添加し、相を分離して、有機相を各回10mlの水で2回洗浄し、濃縮する。エナンチオマー過剰率98.9%の(6S)-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(6S-1a)を2.44g(80.55%濃度、収率:78.9%)得る。
[実施例6]
ジクロロメタン及びギ酸トリエチルアンモニウムを用いた、(6R)-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(6R-1a)の合成
24.29g(0.24mol)のトリエチルアミンを20mlの水で乳化してから、8.92g(0.19mol)のギ酸を滴下する。10mlのジクロロメタン及び5g(19.37mmol)の6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン2aの添加後、1mlのジクロロメタンに溶解した123.26mg(0.19mmol)のクロロ{[(1R,2R)-(+)-2-アミノ-1,2-ジフェニルエチル](4-トルエンスルホニル)アミド}(p-シメン)ルテニウム(II)を30℃で滴下し、この混合物を205分間撹拌する。60.13mgの2-メルカプトニコチン酸を添加して触媒を失活させ、20℃で相を分離する。水相を各回30mlのジクロロメタンで2回抽出し、次に合わせた有機相を10%濃度の酢酸溶液50mlで洗浄し、次いで飽和炭酸水素ナトリウム溶液50mlで洗浄する。有機相を40℃で回転蒸発器により濃縮する。エナンチオマー過剰率96.5%の(6R)-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(6R-1a)を5.1g(85.2%濃度、収率:89.6%)得る。
本発明が、還元剤を用いて、環状α-ケトエノール、特に6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンから、環状α-ケトアルコール、特に6-ヒドロキシシクロヘキセノンを製造する方法に関することは明らかである。この還元剤は、水素ガス、第2級アルコール、ギ酸及びギ酸の塩、又はこれらの種類の化合物のうちの少なくとも2種のものの混合物から選択される。本発明は、アスタキサンチンを製造するための中間体としてのα-ケトエノール、特に6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンの使用をさらに含む。

Claims (15)

  1. 式(1a)の6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び式(1b)の6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン
    Figure 2017524716
    [式中、6位の不斉中心は、ラセミであるか、又は(S)若しくは(R)配置を有する]
    からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキセノンを製造する方法であって、式(2a)の6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン及び式(2b)の6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン
    Figure 2017524716
    からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、還元剤と非立体選択的又は立体選択的に反応させる、前記方法。
  2. 還元剤が、水素ガス、第2級アルコール、好ましくは、イソプロパノール又はブタン-2-オール、ギ酸、ギ酸の塩、特に、アルカリ金属ギ酸塩、アルカリ土類金属ギ酸塩、又はギ酸アンモニウム又はギ酸モノ-、ジ-、トリ-、若しくはテトラ(C1〜C4)-アルキルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項1に記載の方法。
  3. 6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、遷移金属触媒の存在下で、好ましくはアキラル又は光学活性遷移金属触媒の存在下で、還元剤と非立体選択的又は立体選択的に反応させる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 遷移金属触媒が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag及びAu、好ましくは、Zr、Nb、Mo、W、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、より好ましくは、Mo、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、最も好ましくは、Ru、Ir、Ni、Pdからなる群から選択される遷移金属を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 遷移金属触媒が、アミン及び/又はホスファンから選択される少なくとも1つの配位子を含む、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 配位子が、一般式(3)
    Figure 2017524716
    [式中、R、R'、及びR''は、それぞれ独立して、C1〜C4-アルキル残基、フェニル残基、モノ-〜トリ-C1〜C4-アルキル置換アリール残基のうちの少なくとも1つからなる群から選択され、好ましくは、トリアリールホスファンであり、特に好ましくは、トリフェニルホスファンである]
    のホスファンである、請求項5に記載の方法。
  7. 遷移金属触媒がH2N-CH2-CH2-OH、MeHN-CH2-CH2-OH、H2N-CH2-CH2-NH2、TsNH-CH2-CH2-NH2、TsNH-CH2-CH2-NH-(CH2)n-Om-(CH2)o-アリール(式中、n=1〜4、m=0又は1、o=1〜4であり、アリールはフェニル又はモノ-、ジ-、トリ-C1〜C4-アルキルフェニルである)、光学活性化合物からなる群から選択される少なくとも1つの配位子を含む、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 遷移金属触媒が、光学活性アミン、特に、H2N-CHPh-CHPh-OH、H2N-CHMe-CHPh-OH、MeHN-CHMe-CHPh-OH、TsNH-CHPh-CHPh-NH2、(1S,2S)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、(1R,2R)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、N-[(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド、N-[(1R,2R)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド、光学活性アミノ酸からなる群から選択される、好ましくは、H2N-CHPh-CHPh-OH、H2N-CHMe-CHPh-OH、MeHN-CHMe-CHPh-OH、TsNH-CHPh-CHPh-NH2、(1S,2S)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、(1R,2R)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、N-[(1S,2S)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミド、N-[(1R,2R)-1,2-ジフェニル-2-(2-(4-メチルベンジルオキシ)エチルアミノ)エチル]-4-メチルベンゼンスルホンアミドからなる群から選択される少なくとも1つの配位子を含む、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 配位子が脱プロトン化、好ましくはモノ脱プロトン化されている、請求項5、7又は8に記載の方法。
  10. 遷移金属が、固体担体、好ましくは、炭素、酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1つの物質を含む固体担体、最も好ましくは、炭素、酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1つの物質からなる固体担体に適用されている、請求項4〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、塩基性条件下、好ましくは8〜12のpH範囲で、還元剤と非立体選択的又は立体選択的に反応させる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、液体媒体中で、好ましくは50体積%より多くの少なくとも1つの有機溶媒を含む液体媒体中で、還元剤と非立体選択的又は立体選択的に反応させる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 有機溶媒が、ジクロロメタン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、ペンタン、N-メチル-2-ピロリドン、ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、アセトニトリルからなる群から選択される少なくとも1つの化合物、好ましくは、ジクロロメタン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンを、10℃〜85℃、好ましくは20℃〜60℃の温度で、還元剤と非立体選択的又は立体選択的に反応させる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. (3R/S、3'R/S)-アスタキサンチン(4a)、
    Figure 2017524716
    及び/又は(3S、3'S)-アスタキサンチン(4b)、
    Figure 2017524716
    及び/又は(3R、3'R)-アスタキサンチン(4c)
    Figure 2017524716
    を製造するための中間体としての、式(2a)の6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z)-3-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,4-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オン及び式(2b)の6-ヒドロキシ-3-[(1E/Z,3E/Z)-5-ヒドロキシ-3-メチルペンタ-1,3-ジエニル]-2,4,4-トリメチルシクロヘキサ-2,5-ジエン-1-オンの化合物からなる群から選択される6-ヒドロキシシクロヘキサジエノンの使用。
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