JP2017517719A - グロー放電分光分析によって有機固体試料を測定するための方法および装置 - Google Patents

グロー放電分光分析によって有機固体試料を測定するための方法および装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、有機固体試料(10)の元素および/または分子化学組成をグロー放電分光分析によって測定するためのシステムおよび方法に関する。本発明によると、グロー放電プラズマ反応器(2)を封止するように試料(10)が配置され、少なくとも1種類の不活性ガスおよび気体酸素を含む気体混合物が反応器(2)中に注入され、気体酸素の濃度は気体混合物の0.1%〜15重量%の間であり、グロー放電プラズマを発生させるために無線周波数型の放電がプラズマ反応器(2)の電極に印加され、固体試料(10)中に浸食クレーターをエッチングするために固体試料(10)が前記プラズマに曝露され、質量分析計(4)を用いて負電荷のイオン化種を表す少なくとも1つの信号が選択され測定される。

Description

本発明は、有機材料またはポリマー材料の少なくとも1つの層を含む固体試料をグロー放電分光分析によって測定するための方法および装置に関する。
グロー放電分光分析(GDS)は、特に材料、または薄い(数ナノメートル〜数百nm)もしくは厚い(最大数十ミクロンまたは数百ミクロン)層のスタックの元素化学組成が測定可能となる固体材料の元素および/または分子分析の技術の1つであり、この分析は厚さ方向での分析が可能である。
グロー放電分光計は、一般に、真空チャンバを含み放電ランプとも呼ばれるプラズマ反応器を含む。分析される試料は、一般に、真空チャンバを閉じるように配置される。分析される試料は、表面アブレーションを行うエッチングプラズマに曝露される。さらに、プラズマは、種々の物理化学的機構によって、浸食された化学種の励起およびイオン化を確実に行う。プラズマ反応器は、イオン化種および/または励起種の供給源を形成する。したがってプラズマ中に存在する化学種を追跡することで、元素化学的な分子組成の測定が可能となり、場合により検出された元素の化学形態のスペシエーションが可能となる。そのために、プラズマ源の真空チャンバは、開口部を介してイオン化種を検出するための質量分析計に接続され、および/または、それぞれ光学ウィンドウを介して励起種を分析するための光学分光計に接続される。
ここで、アブレーションプラズマに試料を長時間曝露すると、深さ方向に浸食されたクレーターが形成される。アブレーション時間の関数としてプラズマを分析すると、試料の均一なエッチングで浸食が形成される場合、すなわちアブレーションクレーターが平坦な底部と底部に対して垂直な側面とを有する場合には、深さ方向で分析された試料の組成を求めることができる。したがって、グロー放電分光分析は、最も好都合な場合にはナノメートルの分解能で、浸食の深さ(数十ナノメートルから数十ミクロンの厚さ)の関数として厚い層または薄層の材料の化学組成の分布を求めることができる。
初期には、直流(DC)源を使用するために導電性の材料および層に限定されてたが、現在のグロー放電分光分析は、無線周波数(RF)源の使用によって半導体材料および絶縁材料の分析が可能である。
グロー放電分光計は、特に、プラズマ中の電界の良好な結合および迅速な浸食(典型的には1ミクロン/分程度)が可能となる導電性または半導体(たとえばシリコン)の担体上の試料の場合に良好な結果が得られる。他方、絶縁基材上の試料または有機またはポリマー層を含む資料の場合、浸食は、一般にはるかに遅くなり(スパッタリング速度は、導電性層または半導体層の場合の少なくとも100分の1となる)、プラズマによって試料が加熱されることがあり、それによって試料の損傷が生じうる。さらに、この場合、浸食クレーターの側面は、クレーター底部に対して一般に垂直とはならず、それによって深さ方向の分解能が低下する。
プラズマを形成するために、Grimm源型のプラズマ反応器が一般に使用される。プラズマを形成するために反応器中に注入されるベアリングガスは一般に純希ガスである。いくつかの理由で、アルゴンがグロー放電質量分析に最も使用されている希ガスである:アルゴンイオンは有効なアブレーション剤であり、アルゴンプラズマ中のエネルギーレベルは、周期表の大部分の元素のイオン化に十分なレベルである。さらにアルゴンは、分光測定を妨害しない単純なスペクトルを有する。
スパッタリング速度および/またはイオン化収率を増加させるために、ネオンまたはクリプトンなどのアルゴン以外の希ガスを使用することもできる。種々のグロー放電分光分析用途(光学的検出または質量検出を使用)のために、種々の気体混合物で試験が行われている。
最初に、アルゴンおよび別の希ガスの混合物の試験が行われた。[非特許文献1](Hartenstein et al. J. Anal. At. Spectrom., 1999, 14, pp.1039-1048)では、金属またはガラスなどの固体材料のグロー放電光学分光分析による分析のためのRFグロー放電源中でアルゴンおよびヘリウムの混合物を使用する影響を評価している。アルゴンおよびヘリウムの混合物は、ある原子発光放射線の強度を増加させることができ、ヘリウムおよびアルゴンの混合物は、ガラスの分析におけるイオン化収率を増加させると言及している。しかし、このHartenstein et al.の刊行物によると、ガラスまたは金属型の試料のいずれの場合でも、ヘリウムをアルゴンに加えると、純アルゴンプラズマを用いて得られる最大エッチング速度には到達できない。
次に、いくつかのグループは、アルゴンおよび分子ガスの混合物について試験を行っている。しかし、ガス混合物の存在下でのプラズマ中に生じる衝突および放射の現象、ならびに試料表面との相互作用は、非常に複雑であり、まだ十分には理解されていない。
[非特許文献2](A. Martin et al. “Modifying argon glow discharges by hydrogen addition:effects on analytical characteristics of optical emission and mass spectrometry detection modes”, Anal. Bioanal. Chem, 2007, 388: 1573-1582)は、グロー放電分光分析において水素をアルゴンに加える影響に関する種々の研究を概説している。アルゴンプラズマ中に少量の水素(1〜10%)を加えることで、一般にイオン化収率が増加し、このことは質量分析において重要である。しかし、水素化種は質量スペクトル中の放射線の増加を誘発し、それによって質量スペクトルが複雑になり、放射線強度の定量分析が大きく変化しうる。さらに、水素によって、金属試料のエッチング速度に悪影響が生じる。
酸素はグロー放電分光計中に、ベアリング希ガス中の不純物として、または酸素含有材料のエッチングの副生成物として、またはベアリングガスを形成する気体混合物の一成分としてのいずれかで存在することができる。グロー放電分光計中の酸素の存在は、一般に、スプリアス放射線を発生させる不純物として見なされ、このスプリアス放射線は、たとえばOH線として調べられる試料の放射線に重なりあう。
一部の著者らは、グロー放電の条件を変化させるために意図的に気体酸素を希ガスに加えることの影響を評価している。
(A. Bogaerts, Effects of oxygen addition to argon glow discharges: A hybrid Monte Carlo-fluid modeling investigation")は、直流源を用いたグロー放電分光分析装置(dc−GDS)中のアルゴンへの水素H2、窒素N2、または酸素O2の分子ガスの添加の影響の理論モデリングに関する。この刊行物によると、0.05〜5%の酸素の添加によって、Arm*型の準安定励起種の密度が低下し、低濃度の酸素の場合でさえも浸食される原子の密度が低下する。
さらに、気体酸素の存在下でのエッチング速度の低下は、グロー放電分光計の陰極上の酸化物層の形成が原因であり、これは発光放射線の強度の低下も伴う。
他方、[非特許文献4](Fernandez et al. “Investigations of the effects of hydrogen,nitrogen or oxygen on the in-depth profile analysis by radiofrequency argon glow discharge-optical emission spectrometry”, J. Anal. AT. Spectrom. 2003, 18, 151-156)では、無線周波数グロー放電分光分析におけるアルゴンおよび酸素(0.5〜10%v/v)の混合物の影響が分析され、金属型またはガラス型の両方の試料のエッチング速度の大幅な低下も観測されており、そのためGDS分析は数ナノメートルの厚さの層に限定される。
グロー放電分光分析による有機試料の分析では種々の問題が生じる。たとえば光学的検出に基づき純アルゴンプラズマを使用する従来のGDS装置では、スパッタリング速度は、金属型試料の場合は数ミクロン/分であり、一方、有機試料または層の場合は20nm/分未満となる。この低スパッタリング速度のため、厚い有機試料またはフィルムの分析が非常に困難となる。他方、有機試料で得られる不十分なエッチング均一性のため、厚い有機材料の層(数ミクロンから数十ミクロンの厚さ)の下に隠れた表面または薄層を分析するための深さ方向の分解能が得られない。最後に、試料の浸食により生じる多数の化学種(たとえばCH、OH、NH、またはCO型の分子発光放射線)は、プラズマのベアリングガスに干渉しやすく、したがって検出される信号が減少し、グロー放電分光分析による定量分析が妨害されやすい。
[特許文献1](仏国特許第2965355号公報)には、有機またはポリマーの固体試料に適応させたグロー放電分光分析による測定方法が記載されている。この方法では、無線周波数型のグロー放電が、少なくとも1種類の希ガスおよび気体酸素を含む気体混合物に使用され、気体酸素中の濃度は気体混合物の1〜10質量%の間で構成され、前記プラズマの励起種を表す少なくとも1つの信号が光学分光計によって測定される、および/または、それぞれ、イオン化種を表す少なくとも1つの信号が質量分析計によって測定される。この[特許文献1](仏国特許第2965355号公報)に記載の方法は、特に有機またはポリマー材料の場合にエッチング速度を増加させることができ、同時に、優れたエッチング均一性が保証され、したがって平坦な底部のエッチングクレーターを得ることができる。多くの用途では、この方法を用いる発光分光法による測定では、有機またはポリマー固体試料の従来技術のグロー放電分光分析方法と比較して信号対雑音比が改善される。
さらに、[非特許文献5](Rosario Pereiro et al., Present and future of glow discharge Time of flight mass spectrometry in analytical chemistry,Spectrochemica Acta Part B: Atomic spectroscopy, vol. 66, no.6, pages 399-412)は、グロー放電を飛行時間質量分析計(GD−TOFMS)と連結する装置の種々の最近の機器開発、ならびに材料または薄層の元素または分子分析への種々の応用を開示する総括論文である。
仏国特許第2965355号公報
本発明の目的の1つは、数ナノメートルから約100ミクロンの範囲の厚さを有する試料のエッチングを可能にし、優れたエッチング均一性を得ながら、検出される信号の信号対雑音比を増加させる、グロー放電分光分析により有機またはポリマー固体試料(またはポリマーまたは有機層を含有)を分析するための方法および装置を提供することである。
この発明の別の目的の1つは、ポリマーまたは有機材料の少なくとも1つの層を含む固体試料の元素および/または分子化学組成のより精密な分析を可能にするグロー放電分光分析による測定の品質を改善することである。
本発明は、従来技術の欠点に対処する目的を有し、特に、少なくとも1つのポリマーまたは有機層を含む固体試料の元素および/または分子化学組成のグロー放電分光分析による測定方法に関する。
本発明によると、この方法は:
プラズマ反応器の真空チャンバを閉じるように試料を配置するステップであって、プラズマ反応器は、質量分析計用のイオン源を形成し、試料はグロー放電プラズマ反応器の電極の1つを形成するステップと;
真空チャンバ中に、少なくとも1種類の希ガスおよび気体酸素を含む気体混合物を注入するステップであって、気体酸素中の濃度は気体混合物の0.1〜15質量%の間で構成され、固体試料をプラズマに曝露するために、反応器の電極に、グロー放電プラズマが発生するように適合された放電を印加するステップと;
質量分析計によって、負電荷のイオン化種を表す少なくとも1つの信号を選択し測定するステップと
を含む。
本発明の方法は、試料、たとえばポリマーまたは有機試料に対して、典型的には100ナノメートル/分〜1ミクロン/分の間で構成される顕著なエッチング速度で、平坦な底部のエッチングクレーターのエッチングが可能である。一方で、この方法では、通常測定される正電荷のイオン化種、または発光分光法によって測定される励起種とは異なるイオン化種の検出および測定が可能となる。他方では、本発明の方法では、正電荷のイオン化種を表す信号よりも、または同じプラズマ条件および同じ試料の発光信号よりもはるかに高い強度および/または信号対雑音比を有する信号を測定できる。
本発明の好ましい一実施形態によると、気体混合物の希ガスは、アルゴン、ネオン、クリプトン、ヘリウム、または前記希ガスの混合物から選択される。
特定の一実施形態では、固体試料は有機層またはポリマー層のスタックを含む。
別の特定の一態様によると、質量分析計が飛行時間分光計型であり、負電荷のイオン化種を表す少なくとも1つの信号は、前記イオン化種のそれぞれの飛行時間の関数として測定される。
本発明の方法の特定の好都合な実施形態によると、測定される試料は、層のスタックを含み、グロー放電プラズマへの曝露中の気体混合物の酸素中の濃度は、前記プラズマに曝露されるスタックの層と関連して変更される。
特定の一態様によると、無線周波数放電またはパルス無線周波数放電が印加される。
別の特定の一態様によると、前記方法は、無線周波数またはパルス無線周波数の電界と、グロー放電プラズマ反応器の軸に対して軸方向または横方向の磁界との同時印加を含む。
本発明の好ましい一実施形態によると、前記方法は:
既知の組成を有する標準試料を、グロー放電プラズマ反応器の真空チャンバ中に配置し、標準試料はプラズマ反応器の電極の1つを形成し;
少なくとも1種類の希ガスおよび気体酸素を含む気体混合物を、真空チャンバ中に注入し、気体酸素中の濃度は気体混合物の0.1〜15質量%の間で構成され、前記標準試料をプラズマに曝露するために、グロー放電プラズマを発生させるように適合された放電をプラズマ反応器の電極に印加し;
前記プラズマの負電荷のイオン化種を表す少なくとも1つの信号を、質量分析によって測定し;
前記負電荷のイオン化種の質量分析による測定を、前記標準試料の既知の組成を基準として較正する、
較正ステップをさらに含む。
特定の実施形態によると、本発明の方法は、別の正電荷のイオン化種を表す少なくとも1つの別の信号が、別の質量分析計によって選択され測定される別のステップを含む。
本発明は、少なくとも1つの有機またはポリマー層を好ましくは含む固体試料を分析するためのグロー放電分光分析装置であって、前記分光分析装置が、プラズマガス注入流体回路に接続された真空チャンバを含むグロー放電プラズマ反応器を含み、グロー放電プラズマ反応器が、グロー放電プラズマを発生させるために、前記プラズマガスの存在下で好ましくは無線周波数放電またはパルス無線周波数放電を分析される固体試料と電極との間に印加するように適合された電気回路を含み、前記グロー放電プラズマからイオン化種を抽出するために、質量分析計がグロー放電プラズマ反応器の真空チャンバに質量分析計が接続され、質量分析計は、前記イオン化種を分析するように適合された質量分析器と、前記分析されるイオン化種を検出するように適合された検出器とを含む、グロー放電分光分析装置にも関する。
本発明によると、ガス注入流体回路は、グロー放電プラズマ反応器の真空チャンバ中に、気体酸素および少なくとも1種類の希ガスを含む気体混合物を注入するように適合させ、気体酸素中の濃度は、気体混合物の0.1〜15質量%の間で構成され、それによって、前記酸素含有気体混合物のグロー放電によって形成されたグロー放電プラズマに固体試料が曝露され、質量分析計は、負電荷のイオン化種を表す少なくとも1つの信号を検出し測定するように配置され適合される。
グロー放電分光分析装置の特定の好都合な一実施形態によると、電気回路は、無線周波数放電またはパルス無線周波数放電を印加するように適合される。
好ましい一実施形態によると、質量分析計は飛行時間質量分析器を含む。
特定の一実施形態によると、グロー放電分光分析装置は、前記グロー放電プラズマから別のイオン化種を抽出するように、グロー放電プラズマ反応器の真空チャンバに接続された別の質量分析計をさらに含み、前記別の質量分析計は、別の正電荷のイオン化種を表す少なくとも1つの別の信号を検出し測定するように配置され適合される。
したがって、グロー放電分光分析装置は、負電荷のイオンと正電荷の別のイオンとを同時に測定することができる。
本発明は、好都合には、材料または薄いもしくは厚い層のスタックの元素化学組成を分析することができ、この分析は深さ方向で分析することができる。
本発明は、薄い厚さおよび/または薄層中および/または厚い層中のポリマーまたは有機固体材料の分析に特に好都合な用途が見出され、数分または数十分に限定される時間内に数十ミクロンの厚さに到達することができる。
本発明は、異なるポリマー材料のスタックを分析することができ、エッチング深さの関数としてこれらの材料を区別することができる。
本発明の方法およびシステムは、数十ミクロンの厚さの上層の下に隠れた界面層を分析することができる。
本発明は、以下の説明で明らかとな特徴であって、別個に、または技術的に可能なそれらのあらゆる組み合わせにより考慮する必要がある特徴にも関する。
添付の図面を参照しながら、単に非限定的な例として提供されるこの説明によって、本発明が以下に実施されるかをより十分に理解することができる。
ガス混合システムが取り付けられたグロー放電分光分析装置を概略的に示している。 多層試料の分解組立図を概略的に示している。 質量分析計に連結したグロー放電プラズマ反応器の断面図を概略的に示している。 飛行時間質量分析計に連結されたグロー放電分光分析装置を概略的に示している。 多層試料の分解組立図を概略的に示している。 有機試料の飛行時間質量分析計による測定の一例を示しており、質量分析計はネガティブモードで構成される。 図5と類似の有機試料の飛行時間質量分析計による測定の一例を示しており、質量分析計はポジティブモードで構成される。
[図1]は、プラズマ放電用のベアリングガスを供給するシステムが取り付けられたグロー放電分光分析装置1を概略的に示している。グロー放電分光分析装置1は、一般にGrimmランプ型の管状形態であるプラズマ反応器2を含み、その内部にプラズマが閉じ込められる。ガス圧送システムは、[図1]の概要には示されていない。固体試料10はグロー放電プラズマに曝露される。一般に、試料10は、プラズマ反応器2の電極の1つを形成する。グロー放電分光分析装置1は分光計4を含み、この場合これはプラズマのイオン化種を分析するための質量分析計(MS)である。
質量分析計は、元素および化合物をそれらの質量電荷比m/zの関数として測定する。より単純な光学分光分析と比較すると、質量分析は、一般により良好な感度を得ることができる。
分析器および検出器の種類に関連して異なる種類の質量分析装置が存在する。質量分析計は、たとえば飛行時間質量分析計(TOF−MS)型である。逐次質量分析器と比較すると、飛行時間質量分析計は、全体的におよびほぼ連続的に質量スペクトル(30マイクロ秒ごとに1つの完全スペクトル)を読み取ることができ、これによって試料中のエッチング深さの関数としてすべての化学種を連続的に制御することができる。この検出器の測定のダイナミックスのため、試料のマトリックスを形成する元素および成分、大部分の元素、さらには微量で存在する元素も一度に測定することができる。さらに、質量分析は、たとえば腐食を調べるために、たとえば材料中の特定の化学種の存在および拡散を強調するために使用される同位体マーカーを分析することができる。
ベアリングガス供給ライン5は、1つまたは数個のガス源を反応器2の真空チャンバに接続する。[図1]に示される例では、ガス供給ライン5は、第1のガス源6および第2のガス源7にそれぞれ接続される2つの供給ライン5aおよび5bに分割される。第1のガス源6は、たとえばアルゴンおよび酸素の混合物(たとえば、4質量%の気体酸素)を含むボンベである。第2のガス源7は純アルゴンのボンベである。第1の流量計8aは、第1のガス源6からプラズマ反応器2のガス供給ライン5に向けて送られるライン5a中のガス流量を調節することができる。第2の流量計8bは、第2のガス源7からプラズマ反応器2のガス供給ライン5に向けて送られるライン5b中のガス流量を調節することができる。制御装置9は、ライン5を介してプラズマ反応器の真空チャンバ中に注入されるガス混合物の所望の濃度を得るために、流量計8aおよび8bの命令を調節することができる。
特に、少なくとも1つの有機またはポリマー層を含む材料のグロー放電分光分析による分析の場合、気体酸素のプラズマガスへの添加によって好都合な効果が得られる([特許文献1](仏国特許第2965355号公報)参照)。実際、気体酸素の中性プラズマガスへの添加によって、有機またはポリマー材料の迅速な浸食と、これらの材料中の平坦な底部の浸食クレーターとの両方を得ることができることが確認される。気体混合物中の気体酸素の比率は、好ましくは気体混合物の0.1〜15質量%の間で構成される。この比率は、有機またはポリマー材料の層のエッチング速度を大きく増加させるために十分である。
ポリマーまたは有機試料のエッチング速度は一般に約100ナノメートル/分〜1ミクロン/分の間で構成される。
しかし、アルゴンまたは別の希ガスは、この気体混合物中に主要ガス種として残存する。
ここで、純アルゴンプラズマの質量分析において、特別で最も使用されるモードは、正電荷のイオン化種の検出および測定である。実際、アルゴンは基本的に正電荷のイオンを生成することが知られている。
大部分がアルゴンである(比体積の85%〜99.9%、好ましくは比体積の90%〜99%の間)気体混合物の存在下では、その気体混合物は正電荷のイオンの大部分も生成すると推測される。
S.Canulescu、I. S. Molchan、C. Tauziede、A. Tempez、J. A Whitby、G. E. Thompson、P. Skeldon、P. Chapon、J. Michlerの[非特許文献6]には、負電荷のイオン、特にハロゲン化イオン化種を検出できるアルゴンパルスRFグロー放電プラズマに曝露したフッ素を含むタンタルのフィルムの分析が記載されている。しかし、測定される信号の強度は非常に弱い(数十のイオン/抽出)。
S. Canulescu、I. S. Molchan、C. Tauziede、A. Tempez、J. A Whitby、G. E. Thompson、P. Skeldon、P.Chapon、J. Michler "Detection of negative ions in glow discharge mass spectrometry for analysis of solid specimens"
G. Lotito、D. Guentherの刊行物の[非特許文献7]には、負電荷のイオンを測定するように構成された質量分析計(LAGD−TOFMS)に連結されたアルゴンプラズマ放電中に移された有機分子のレーザーアブレーションが記載されている。しかし、これらの有機分子のネガティブモードでの質量分析による測定の感度は非常に低く、MALDI(マトリックス吸収レーザー支援イオン化(Matrix Absorption Laser Assisted Ionization))型の測定よりも数桁低い。
G. Lotito、D. Guentherの刊行物の"Negative ion laser ablation glow discharge-time of flight mass spectrometry of organic molecules",Int. Journ. Of Mass Spectrometry 315(2012)60-65
[図2]は、グロー放電質量分析による分析が望ましい試料10の一例を分解組立図として概略的に示している。試料10は、基材11、中間層12、たとえば接着層、基材保護層、または基材と別の層との間の相互拡散要素を含む。試料10は、複雑な構造、たとえば層13、14・・・15のスタックを有することができる。
最後に、試料は、たとえば保護層、自然酸化物層、耐食保護層、または減摩コーティング層である上層16を含む。考慮される用途では、試料10は、有機またはポリマー材料の少なくとも1つの層を含む。
[図3]は、本発明の一実施形態による質量分析計に連結されたグロー放電プラズマ反応器2の断面図を概略的に示している。このグロー放電プラズマ反応器は真空チャンバ22を含む。真空チャンバ22には真空ポンプシステム25が接続される。他方、真空チャンバ22にはガス到着(gas arrival)ライン5が接続され、それによって気体酸素および中性ガスの混合物を含む気体混合物が入ることができる。プラズマ反応器中には管状電極23が配置される。管状電極23は、たとえば主要部分に接続される。分析される試料10は、供給電源に接続される別の電極3に接して配置される。特に好都合には、パルスRF電源が使用され、それによって試料10中、特に脆い材料の場合に生じる熱応力を最小限にすることができる。グロー放電プラズマ反応器2の真空チャンバ22は、プラズマから抽出されたイオン化種を検出する質量分析計4に連結される。
グロー放電質量分析では、パルスRF源の使用によって、プラズマ中に存在する化学種のイオン化の機構がRF源の時間にわたって変動することで特定の利点が得られる。制限された時間の間に電気パルスを発生させるために、RF発生器によって得られる電力が電極3に印加される。電気パルスの開始直前、電気パルスの最中、およびこの電気パルスの終了後に、質量分析による測定が行われる。質量分析信号は、それぞれプレペアック(prepeack)、プラトー、およびポストパルス(残光)と呼ばれる異なる時間帯にわたって分析することができる。これら3つの時間帯にわたる質量分析信号を利用することによって、本来の、脆い材料の場合だけでなくあらゆる種類の材料および薄層のスタックの場合の情報が多い分析の組合せが得られる。
特に、イオン信号は、一般にプラズマパルスの消光後の残光帯においてより強く表れることが確認された。N. Tuccito et al.の[非特許文献8]には、質量分析信号の最大値の時間分布が各元素に固有のものであることが示されている。この刊行物は、飛行時間質量分析計を用いた各元素の測定を最適化できるだけでなく、イオン化した分子断片を分析することもでき、そのため元素組成は類似しているが分子構造が異なるポリマーを区別できることも示している。
L. Lobo et al.の[非特許文献9]には、グロー放電質量分析における信号対バックグラウンド比を求めることができ、それによってパルスモードの感度が連続モード(パルスではない)で得られる感度よりもはるかに高いことが示されている。さらに、このLobo et al.の刊行物では、パルスモードにおける積分の時間間隔を厳密に選択することで、イオン分離および精度、ならびに同位体比測定の再現性に関する性能を最適化できることを強調している。
N. Tuccito et al. Rapid Comm. Mass Spectrom. 2009, 23: 549-556 L. Lobo et al., A Comparison of non-pulsed radiofrequency and pulsed radiofrequency glow discharge orthogonal time-of-flight mass spectrometry for analytical purposes,J. Anal.At. Spectrom.,2009, 24, 1373-1381
現在では、パルスモードで同時または準同時質量分析測定(飛行時間装置などの場合)を行えることが完全に明らかであると思われる。
現在、パルスRFモードでのグロー放電質量分析では、プラズマ中の酸素の存在は、残光領域での正の化学種のイオン化の主要供給源である準安定化学種に対して、いわゆる消光の悪影響が生じることが確認されている。
言い換えると、正のイオン化種は、プラズマガス中の酸素の存在によって非常に迅速に不活性化すると思われる。グロー放電プラズマ中で生じ、この不活性化の基板となる物理化学的機構は非常に複雑である。
にもかかわらず、ちょうど残光時間領域は、材料の分析、特にポリマーまたは有機材料の場合に対象となる特定の帯域となる。
グロー放電質量分析では、従来、正電荷のイオン化種が測定される。実際、希ガス、たとえばアルゴンは、特に正電荷のイオン化種を生成する。質量分析の場合、1〜10質量%の間で構成される酸素の比率で希ガスおよび酸素の混合物を使用すると、少なくとも1つのポリマーまたは有機層を含む試料のエッチング速度を増加させることができる。しかし、この方法は、正電荷のイオン化種のイオン化収率を増加させることはできず、したがって質量分析によって検出される信号の信号対雑音比を改善することはできない。
グロー放電質量分析における負の化学種の測定は、特にS.Canulescuによって([非特許文献10])によってアルゴンプラズマに曝露されるハロゲン化材料の場合で研究されている。
S. Canulescu, Anal. Bioanal.Chem. (2010) 396: 2871-2879
G.Lotito と D. Guentherの[非特許文献11]には、レーザーアブレーションによって得られる有機分子が注入されるパルスRFモードでのアルゴンプラズマから生じる負電荷のイオン化種のグロー放電分光分析による分析が記載されている。しかし、この著者らは、この技術の感度は、MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)技術によって得られる感度よりも数桁低いと結論づけている。本発明の一態様は、負電荷のイオンの選択、およびこれらの陰イオンの質量分析信号の検出に基づき、酸素および希ガスの気体混合物の存在下でのプラズマへの曝露と組み合わされる。その目的で、希ガスおよび酸素の混合物の存在下で形成されるグロー放電プラズマから負電荷のイオンのみを抽出するために、質量分析計4はネガティブモードで構成される。
G. Lotito and D. Guenther, International Journal of Mass Spectrometry 315 (2012) 60-65
ここで、イオン化機構は、化学種およびイオン化種の電荷によって決定される。驚くべきことに、正電荷のイオン化種に関連する信号とは逆に、負電荷のイオン化種に関連する質量分析信号は、特に有機またはポリマー層を含む資料の分析中に気体混合物が酸素を含む場合に、パルス終了後(または残光)の時間帯のパルスモードも含めて高強度となることが確認される。
質量分析計は、負電荷または正電荷のいずれかのイオン化種を測定することができる。同じ分析計でこれら2つの種類の化学種を同時に測定することは実際には不可能である。質量分析計の電極は、数百から数千ボルトの電位に連続的に接続する必要がある。したがって、質量分析計の電極の極性の変更を連続して行う必要がある。質量分析計の極性の反転が速すぎると、場合によっては質量分析計が損傷しうる。したがって、負のイオン化種を検出するための質量分析計の電極の極性を急速に反転することはできない。
本発明の一態様によると、質量分析計は、グロー放電プラズマの開始前に、負のイオン化種を形成するように構成される。
[図4]は、負電荷のイオン化種を検出し測定するための極性を有する飛行時間質量分析計4に連結されたグロー放電分光分析装置を概略的に示している。
グロー放電分光分析装置は、ガス到着ライン5に接続された真空チャンバを含むグロー放電プラズマ反応器2を含む。ガス到着ライン5には、酸素および希ガスの混合物、たとえば4質量%の酸素を有するアルゴンを含むボンベ6、および希ガス(アルゴン)を含む別のボンベ7が接続される。試料10はプラズマ反応器中で対極3に接触して配置される。対極3にはパルスRF供給電源33が電気的に接続される。印加される平均電力は一般に数ワット〜百ワットの間で構成され、気体混合物の圧力は数トルである。
グロー放電プラズマから負電荷のイオン化種を抽出し、一方ではそれらの質量電荷比の関数として、他方では時間の関数として分析するために、飛行時間質量分析計4がプラズマ反応器の真空チャンバに接続される。[図4]に示される飛行時間質量分析計4は、バルブ40、フィルター(スキマー)41、イオン光学系42、43、電子システム(パルサー44、およびイオンミラー45)を有する直交質量分析計(48)、および典型的には質量スペクトルをたとえば約30マイクロ秒ごとに検出する検出器46を含む。
飛行時間質量分析計4には、三段ターボ分子ポンプシステム50、51、52が取り付けられる。
飛行時間質量分析計4は、酸素および希ガスの気体混合物の存在下で、プラズマ反応器2中で形成されたグロー放電プラズマから負電荷のイオン化種のみを厳密に抽出するように構成され適合される。
飛行時間質量分析計4は、負電荷のイオン化種をそれらの質量電荷比m/zの関数として分析することができる。
[図5]は、グロー放電質量分析によって分析される試料10の一例を斜視図で概略的に示している。説明的で非限定的な例として、試料10は、ポリエチレン基材13、厚さ約2ミクロンのポリ塩化ビニリデンの層14、および厚さ約10ミクロンのナイロンの層15からなるスタックを含む。
留意すべきこととして、アルゴン単独のプラズマを用いてこの試料を測定することは不可能であり、エッチング速度が数nm/分まで低下する。
[図7]は、有機試料のパルスRFモードにおける飛行時間質量分析計による測定の一例を示しており、飛行時間質量分析計4はポジティブモードで構成され、プラズマは、混合物の比体積で5%の酸素の比率である酸素および希ガスの混合物中で行われる。
より正確には、[図7]は、試料中のエッチング深さD、異なる質量電荷比m/zにそれぞれ関連する異なるイオン種に関する信号の強度I(イオン強度)の関数として示している。他の場合では、周知の分析方法によって、検出されるイオン化種をそれらの質量電荷比の関数として同定することができる。特に図7中、イオン化種の窒化水素(NH3 +)、ナトリウム(Na+)、および酸化塩素(イオンClO+)の存在にそれぞれ関連する異なる信号が同定されている。試料のエッチング深さDは、他の周知の較正方法によって較正される。試料のエッチング深さDに対応する層13、14、15が、横軸と平行の軸上に示されている。
酸素および希ガスの混合物を使用することで、固体試料中に数十ミクロンの浸食クレーターをエッチングすることができる([図7]の横座標の目盛を参照されたい)。
正電荷のイオン化種に関連する飛行時間質量分析の信号強度の目盛は、約10-4〜1の間で構成される測定のダイナミックスに依然として限定されることが確認される。より詳細には、試料の約12ミクロン(10〜15ミクロンの間)のエッチング深さの後、窒化水素イオン(NH3 +)を表す信号の減少、およびナトリウムイオン(Na+)に関連する信号の増加が[図7]中に見られる。試料の約15ミクロンのエッチング深さの後、窒化水素イオン(NH3 +)を表す信号およびナトリウムイオン(Na+)を表す信号のそれぞれがプラトーに到達する。塩素化イオン化種(イオンClO+)に関連する質量分析信号は非常に弱く、信号の雑音と同程度の大きさのためほとんど検出できないことに留意されたい。
[図6]は、[図5]と同様の有機試料の飛行時間質量分析計による測定の一例を示しており、質量分析計はネガティブモードで構成され、依然として酸素および希ガスの気体混合物の存在下にある。
[図6]中、負電荷のイオン化種に関連する飛行時間質量分析の信号強度の目盛は約100〜約105に及ぶことが確認される。さらに、ネガティブモードでは、飛行時間質量分析計によって、ClO-、Cl-、CN-、CNO-、およびC2-などの多数のイオン化種を検出することができる。酸素および希ガスの気体混合物と組み合わせることで、このように負電荷のイオン化種を検出するように構成された質量分析によって、正電荷のイオン化種の質量スペクトルには現れない、または微量で現れる塩素などのイオン化種を検出することができる。さらに、ネガティブモードで測定される信号の強度は、ポジティブモードで測定される信号の強度よりもはるかに高い。層の変化が明確に観察される。したがって、0〜約8ミクロンの間で構成されるエッチング深さDの場合、ナイロン層15は、実質的に、非ハロゲン化イオン化種である窒化物イオンCN-およびCNO-を表す信号を有する。ポリ塩化ビニリデンの層14のエッチング中、8〜12ミクロンの間で構成されるエッチング深さDの場合、塩素化イオンCIO-およびCl-を表す信号の大きな増加が観察される。最後に、ポリエチレンの層13のエッチング中、約12〜25ミクロンの間で構成されるエッチング深さDの場合、イオンC2-を表す信号の増加と、塩素化イオンCIO-およびCl-ならびに窒化物イオンCN-およびCNO-を表す信号の相対的な減少とが観察される。グロー放電質量分析による測定の信号対雑音比は、ポジティブモードの場合と比較してネガティブモードでは大きく増加する。この質量分析によって測定される信号の強度の増加は、有機またはポリマー材料の少なくとも1つの層を含む試料への使用において特に興味深い。
負電荷およびそれぞれの正電荷のイオン種の形成に関連する機構は非常に異なる。しかし、グロー放電プラズマ中でイオン化種が形成される機構は非常に複雑であり、試料の物理化学的性質、プラズマガスと関連させて、および放電条件によって予測することは困難である。
負電荷のイオン化種の質量分析測定によって、同じプラズマ条件および同じ試料で得られる正電荷のイオン化種とは異なるイオン化種を分析することができる。
プラズマガス中の酸素の存在によって、グロー放電プラズマ中の負電荷のイオン化種の生成を増加させることができ、したがって負電荷のイオン化種の質量分析測定の信号強度を大きく増加させることができると思われる。したがって負電荷のイオン化種の質量分析測定が検出され、ポジティブモードよりもはるかに良好な信号対雑音比が得られる。
気体酸素および中性ガスを含むガスの混合物の使用と組み合わせることで、ネガティブモードでの質量分析によって、高いエッチング速度、平坦な底部を有する浸食クレーターを有し深く(数十ミクロン)することが可能なエッチングおよび高強度および高信号対雑音比を有する質量分析測定が、特にパルスRFモードのグロー放電の残光領域で得られるという利点を併せ持つことができる。
希ガスおよび酸素の混合物中でのグロー放電の存在下で、ネガティブモードでのこれらの質量分析測定によって、たとえば驚くべきことに、非ハロゲン化イオン化種の検出、特に金属種または有機種(すなわち炭素、水素、酸素、および/または窒素の元素で本質的に構成される)などの非ハロゲン化イオン化種の検出の場合に、ポジティブモードでの質量分析信号の強度よりも高い強度の信号が得られる。
本発明の装置および方法は、特に異なるポリマー層のスタックの分析に使用される。
本発明の装置および方法は、金属基材上に堆積されたポリマー層、またはガラス基材上に堆積されたポリマー層、またはポリマー基材上に堆積された金属層を含む複合資料の分析にも使用される。

Claims (12)

  1. 少なくとも1つの有機またはポリマー層(12、13、14、15、16)を含む固体試料(10)の元素および/または分子化学組成のグロー放電分光分析による測定方法であって:
    グロー放電プラズマ反応器(2)の真空チャンバ(22)を閉じるように前記試料(10)を配置するステップと、
    前記真空チャンバ(2)に、少なくとも1種類の希ガスおよび気体酸素を含む気体混合物を注入するステップであって、気体酸素中の濃度が、前記気体混合物の0.1〜15質量%の間で構成され、前記固体試料(10)をプラズマに曝露するために、グロー放電プラズマを発生するように適合された放電を前記反応器(2)の電極に印加するステップと;
    質量分析計(4)によって、負電荷のイオン化種を表す少なくとも1つの信号を選択し測定するステップと
    を含むことを特徴とする測定方法。
  2. 前記少なくとも1種類の希ガスが、アルゴン、ネオン、クリプトン、ヘリウム、または前記希ガスの混合物から選択される、請求項1に記載のグロー放電分光分析による測定方法。
  3. 前記固体試料(10)が有機またはポリマー層(12、13、14、15、16)のスタックを含む、請求項1〜2のいずれか一項に記載のグロー放電分光分析による測定方法。
  4. 前記質量分析計(4)が飛行時間分光計型であり、負電荷のイオン化種を表す少なくとも1つの信号が、前記イオン化種のそれぞれの飛行時間の関数として測定される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のグロー放電分光分析による測定方法。
  5. 測定される前記固体試料(10)が層のスタックを含み、前記グロー放電プラズマへの前記曝露中の前記気体混合物の酸素中の濃度が、前記プラズマに曝露される前記スタックの前記層と関連して変更される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のグロー放電分光分析による測定方法。
  6. 無線周波数またはパルス無線周波数の電界と、前記グロー放電プラズマ反応器の軸に対して軸方向または横方向の磁界とを同時印加するステップを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のグロー放電分光分析による測定方法。
  7. 既知の組成を有する標準試料を、前記グロー放電プラズマ反応器の前記真空チャンバ中に配置し、前記標準試料は前記プラズマ反応器の電極の1つを形成し;
    少なくとも1種類の希ガスおよび気体酸素を含む気体混合物を、前記真空チャンバ中に注入し、気体酸素中の濃度は前記気体混合物の0.1〜15質量%の間で構成され、前記標準試料をプラズマに曝露するために、グロー放電プラズマを発生させるように適合された放電を前記プラズマ反応器の前記電極に印加し;
    前記プラズマの負電荷のイオン化種を表す少なくとも1つの信号を、質量分析によって測定し;
    前記負電荷のイオン化種の質量分析による前記測定を、前記標準試料の前記既知の組成を基準として較正する、
    較正ステップをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のグロー放電分光分析による測定方法。
  8. 別の質量分析計によって、別の正電荷のイオン化種を表す少なくとも1つの別の信号を選択し測定する別のステップを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のグロー放電分光分析による測定方法。
  9. 少なくとも1つの有機またはポリマー層(12、13、14、15、16)を好ましくは含む固体試料(10)を分析するためのグロー放電分光分析装置であって、前記分光分析装置が:
    プラズマガス注入流体回路(5、6、7)に接続された真空チャンバ(22)含むグロー放電プラズマ反応器(2)であって、グロー放電プラズマを発生させるために、好ましくは無線周波数またはパルス無線周波数の放電を、分析される前記固体試料(10)と電極(3、23)との間に、前記プラズマガスの存在下で印加するように適合された電気回路を含むグロー放電プラズマ反応器(2)と、
    前記グロー放電プラズマからのイオン化種を抽出するための、前記グロー放電プラズマ反応器(2)の前記真空チャンバに接続された質量分析計(4)であって、前記イオン化種を分析するように適合された質量分析器と、前記分析されたイオン化種を検出するように適合された検出器(46)とを含む質量分析計(4)とを含み:
    前記ガス注入流体回路は、前記グロー放電プラズマ反応器の前記真空チャンバ(22)中に、気体酸素および少なくとも1種類の希ガスを含む気体混合物を注入するように適合され、気体酸素中の濃度が、前記気体混合物の0.1〜15質量%の間で構成され、それによって、前記酸素含有気体混合物のグロー放電によって形成された前記グロー放電プラズマに前記固体試料(10)が曝露され、および
    前記質量分析計(4)が、負電荷のイオン化種を表す少なくとも1つの信号を検出し測定するように配置され適合されることを特徴とするグロー放電分光分析装置。
  10. 前記電気回路が無線周波数放電またはパルス無線周波数放電を印加するように適合される、請求項9に記載のグロー放電分光分析装置。
  11. 前記質量分析計(4)が飛行時間質量分析器を含む、請求項9または10のいずれか一項に記載のグロー放電分光分析装置。
  12. 前記グロー放電プラズマから別のイオン化種を抽出するために、前記グロー放電プラズマ反応器(2)の前記真空チャンバに接続された別の質量分析計をさらに含み、前記別の質量分析計が、別の正電荷のイオン化種を表す少なくとも1つの別の信号を検出し測定するように配置され適合される、請求項9〜11のいずれか一項に記載のグロー放電分光分析装置。
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