JP2017514837A - 遅延放出性6−メルカプトプリンによるクローン病の治療 - Google Patents

遅延放出性6−メルカプトプリンによるクローン病の治療 Download PDF

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Abstract

6−メルカプトプリンを含む遅延放出性医薬組成物を投与することにより、これまでのチオプリン投与に対して臨床反応が認められなかったか、またはこれまでのチオプリン投与による副作用を被ったクローン病または潰瘍性大腸炎を患う患者を治療する方法を開示する。6−メルカプトプリンを含む遅延性放出性医薬組成物を併用して投与することにより、ステロイド、5−アミノサリチル酸、または抗生物質も投与されているクローン病または潰瘍性大腸炎を患う患者を治療する方法もまた、開示する。

Description

発明の背景
本出願は、2014年5月2日に出願された米国仮出願第61/988,068号、および2014年12月17日に出願された米国仮出願第62/093,210号の利益または優先権を主張し、それらの両方は全体を参照により本明細書に組み込む。
本出願全体にわたって、ある特定の刊行物および特許出願公開を参照する。刊行物に関する完全な引用は、特許請求の範囲の直前に見出し得る。これらの刊行物および特許出願公開の全体の開示は、本発明が関連する技術水準をより完全に記載するために、参照により本出願に組み込まれる。
クローン病(CD)は、消化(GI)管の特発性かつ慢性再発性の寛解型炎症性疾患であり、米国では100,000人当たり26〜128人の罹患率である。クローン病の発病のピーク年齢は15〜30歳の年齢に見られ、第2のピークは60〜80歳の年齢であり、性別間で顕著な差はない。アシュケナージ系ユダヤ人では、CDの頻度が4倍増加している。北部の気候での生活、高い社会経済階級、遺伝的要因、喫煙および経口避妊薬も、CDのリスクの増加に関連付けられる[Braunwald et al.2001]。
CDは限局性疾患であり、口から肛門までGI管のいかなる部分も不連続的に冒すが、最も一般的には、この疾患は回腸と結腸の両方(40%)に位置し、続いて疾患は小腸のみ(30%)および結腸のみ(25%)に位置する。小腸疾患を患う患者においては、回腸末端が症例の90%に関わる。CDは腸壁全層にわたる経壁的な腸損傷を引き起こし、健常な組織間に散在する罹患した腸の所々の分節状「スキップ」病変を伴う。
この疾患は、3つの特徴的なサブタイプに分類される:活動性炎症性、狭窄性または線維狭窄性(fibrostenosing)、および瘻形成性/穿孔性である。活動性CDは、病巣性炎症、時には瘻管の形成を特徴とし、これは膿瘍形成を招き得る。続いて、腸管壁が厚くなり、狭くなり、線維化して、慢性再発性腸閉塞を招く。炎症性CDのみが内科(医薬品)治療に応答し、他のタイプは侵襲的な外科的介入を要する[Braunwald et al.2001]。
CDに関する全死亡率は低い一方で、病的状態は、ほとんどが最盛期であるCD患者の生活の質に著しく影響を及ぼす。CD療法は、再燃後の寛解の誘発、およびいったん達成されたら可能な限り長い間の寛解の維持により炎症を低減させることを目的とし、患者が生活の質を正常化するのを可能にする[Lichtenstein et al.2004]。
一般的に使用される治療は、ブデソニドを含むコルチコステロイド[Simms et al.2001;Summers et al.1979;Steinhart et al.2003]、免疫抑制剤(チオプリン;アザチオプリン(AZA)およびその代謝産物、6−メルカプトプリン(6−MP)[Brooke et al.1969;Present et al.1980]または葉酸代謝拮抗薬、メトトレキサート);抗TNFα剤(インフリキシマブ)[Hanauer et al.2002;Targan et al.1997] アミノサリチル酸(5−ASA)[Summers et al.1979]および抗生物質である。これらの治療法は、無数の副作用に起因して、有効性および安全性が様々な度合いであり、その結果として治療法の中断が行われることが多い[Higgins et al.2004]。ステロイドが第一選択療法として使用される一方で、抗TNFαは、重篤な疾患を示す慢性患者またはステロイドに不応性の患者を治療するのに使用される。
6−メルカプトプリン(6−MP)とそのプロドラッグであるアザチオプリン(AZA)の両方は、45年以上、CDの治療に使用されており[Fiser 2006]、比較的安全であり、効果的であるとみなされている[Kim et al.1999;Lewis et al.2001;Francella et al.2003]。アザチオプリンおよび6MPは、DNAおよびRNA合成ならびに染色体複製を妨害して、細胞を迅速に分割する増殖の減少を招く。それらは、有効なリンパ球クローンの遺伝子活性化を特異的に阻止する。循環中ではキラー細胞活性が低減され、粘膜固有層(LP)では形質細胞の絶対数が低下する。
標準的な6−MPは、作用の開始がゆっくりであり、CDにおけるその治療効果が明らかになる前に少なくとも12週、最大数か月の投与を必要とするため、寛解を誘発するためよりむしろ、維持療法として通常使用される。したがって、これは通常、寛解誘発におけるステロイド漸減を進ませるために初期ステロイドに添加され、多くの場合何年もの間、維持として継続される[Lichtenstein et al.2006]。その用量は、患者の体重に基づいて、滴定およびモニタリングする必要がある。
6−MP使用に関連付けられる副作用として、発熱、発疹、悪心および頭痛が挙げられる。重度の有害事象として、白血球減少症、肝毒性、膵炎、重症感染症、および骨髄抑制が挙げられる。これらの事象が起きた場合、6−MP投薬を低下させるか、あるいは必要であれば治療を中断する。
炎症性腸疾患における粘膜組織治癒の重要性は一般に、疾患活動性を、結腸直腸がんを発症する患者の全体的なリスクと相関させる近年の報告を踏まえると臨床的に意義があるようになってきている。現在、内視鏡検査により評価される場合の粘膜炎症の重症度は、CDにおける疾患活動性に関する究極の判断基準とみなされ、入院の低減、より少ない外科的介入、および患者の転帰の改善と相関している[Rutgeerts et al.2006;Pineton de Chambrun et al.2009;Baert et al.2010]。粘膜治癒の内視鏡的および組織学的根拠は、炎症性マーカー発現の持続的な低減と関連付けられた。
ステロイドは、CDにおける寛解の誘発のための標準的な治療として通常付与されるが、その使用は内視鏡で見て分かる病変の改善と相関しておらず、それらは維持療法として効果がない[Mantzaris et al.2009;Sninsky 2001;Rutgeerts 2004;Rutgeerts 2001]。
潰瘍性大腸炎は、結腸としても知られている大腸の慢性疾患であり、ここで結腸の裏層が炎症を起こし、膿および粘液を生じるわずかな開放創または潰瘍を発症する。炎症と潰瘍形成の組合せは、腹部不快感および結腸の頻回な排せつを引き起こし得る。クローン病は消化(GI)管のいかなる部分も冒し得る一方で、潰瘍性大腸炎は結腸のみを冒す。さらに、クローン病は腸管壁の層すべてを冒し得るのに対して、潰瘍性大腸炎は結腸の裏層のみを冒す[CCFA 2015]。
Mayoスコアは、潰瘍性大腸炎(UC)に関して、薬効を決定するのに使用される主な臨床的評価となっている。それは、疾患活動性を測定するための標準指数を提供し、UCの臨床試験において最も広く使用される手段である。スコアは、0〜3で評価される4つのカテゴリー(出血、排便回数、医師の評価、および内視鏡的様子)で構成され、それらを合計して、0〜12の範囲の総スコアを付与する[Travis 2011]。
米国特許出願第2006/0008520号および同第2006/0009473号は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれ、6−MPを含む遅延放出性医薬組成物を開示している。米国特許出願公開第2009/0263482号および同第2013/0280328号は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれ、かかる医薬組成物により、クローン病を有するある特定の患者を治療する方法を開示している。しかしながら、いずれも、本発明の出願で開示する患者集団の治療について開示していない。
本発明は、これまでのチオプリン投与に対して臨床反応が認められなかったクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する方法であって、ヒト患者へ、薬学的に許容される担体およびヒト患者を治療するのに有効な量の6−メルカプトプリン(6−MP)を含む遅延放出性医薬組成物を定期的に投与することを含む方法を提供する。
本発明はまた、チオプリンのこれまでの投与に応答して有害事象が認められたクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する方法であって、ヒト患者へ、薬学的に許容される担体およびヒト患者を治療に有効な量の6−メルカプトプリン(6−MP)を含む遅延性放出性医薬組成物を定期的に投与することを含み、投与されるチオプリンが6−MPである場合、有害事象が、肝機能検査の結果(LFT)の上昇以外である方法を提供する。
本発明はまた、ステロイドの投与を受けており、ステロイド依存性であるクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する方法であって、ヒト患者へ、薬学的に許容される担体およびヒト患者を治療するのに有効な量の6−メルカプトプリン(6−MP)を含む遅延放出性医薬組成物を併用して定期的に投与することを含む方法を提供する。
本発明はまた、抗生物質が投与されているクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する方法であって、ヒト患者へ、薬学的に許容される担体およびヒト患者を治療するのに有効な量の6−メルカプトプリン(6−MP)を含む遅延放出性医薬組成物を併用して定期的に投与することを含む方法を提供する。
本発明はまた、5−アミノサリチル酸(5−ASA)が投与されているクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する方法であって、ヒト患者へ、薬学的に許容される担体およびヒト患者を治療するのに有効な量の6−メルカプトプリン(6−MP)を含む遅延放出性医薬組成物を併用して定期的に投与することを含む方法を提供する。
対象試験番号を受け、インフォームドコンセント用紙に署名し、試験薬を少なくとも1回投与されたすべての対象(「治療企図」(ITT)集団)に対する、遅延放出性6−メルカプトプリン(DR6−MP)およびPURINETHOL(登録商標)治療の、週ごとのクローン病活動指数(CDAI)スコア。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、ベースラインからの週ごとのCDAI変化(ITT集団)。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、8週および12週でのベースラインからの相対的なCDAI変化(%)(ITT集団)。 プロトコールに従って試験を完了した、すべての無作為割付した対象(パープロトコール(PP)集団)に対する、DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療の、週ごとのCDAIスコア。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、ベースラインからの各週のCDAI変化(PP集団)。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、ベースラインからの週ごとの相対的なCDAI変化(%)(PP集団)。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、12週目での、応答(CDAIスコアが100ポイント以上減少する)もしくは寛解(CDAIスコアが150未満である)または臨床反応(応答もしくは寛解)を経験した対象の頻度(ITT集団)。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、12週目での、応答、寛解または臨床反応を経験した対象の頻度(PP集団)。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、8週目での、応答、寛解または臨床反応を経験した対象の割合(ITT集団)。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、6週目および8週目、ならびに8週目および12週目で連続して寛解を経験した対象の割合。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、ベースラインと12週目との間の炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアの変化(ITT集団)。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、12週目でのIBDQ変化とCDAI変化との間の相関関係。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、8週目でのIBDQ変化とCDAI変化との間の相関関係。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、治療および来院ごとのC反応性タンパク質(CRP)(ITT集団)。 治療および来院ごとの赤血球沈降速度(ESR)レベル(ITT集団)。 ベースラインから12週目までの、治療によるインターフェロン−γ分泌T細胞クローンの変化(ITT集団)。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、ベースラインから12週目までの、治療による蛍光活性化細胞選別装置(FACS)の免疫学的パラメーターの変化(ITT集団)。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、ベースラインから12週目までの相対的体重変化(ITT集団)。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、ベースラインから8週目および12週目までの相対的なボディマス指数(BMI)変化(中央値)(ITT集団)。 PURINETHOL(登録商標)の週ごとの平均用量。 1回の訪問当たりのPURINETHOL(登録商標)の用量ごとの対象の人数。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、治療群ごとの、少なくとも1つの有害事象を有する対象の割合。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、治療群ごとの、少なくとも1つの薬物関連有害事象を有する対象の割合。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、ベースラインおよび12週目に正常範囲内に白血球(WBC)の結果を有する患者(%)(ITT集団)。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、ベースラインから12週目までのWBCの変化(ITT集団)。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、ベースライン体重でマッチングしたサブグループの、治療によるベースラインからのWBCの変化。 80mgのDR−6MPによる、行き届いたケア、治療の間の、1人の患者におけるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)のレベル。 80mgのDR−6MPによる、行き届いたケア、治療の間の、図27と同じ患者におけるビリルビンおよび直接ビリルビンのレベル。 80mgのDR−6MPによる、行き届いたケア、治療の間の、第2の患者におけるALTおよびASTのレベル。 80mgのDR−6MPによる、行き届いたケア、治療の間の、図29と同じ患者におけるビリルビンおよび直接ビリルビンのレベル。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、ベースラインから12週目までの、治療によるALTの変化。 DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療についての、ベースラインから12週目までの、治療による直接ビリルビンの変化(ITT集団)。
発明の詳細な説明
本発明は、これまでのチオプリン投与に対して臨床反応が認められなかったクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する方法であって、ヒト患者へ、薬学的に許容される担体およびヒト患者を治療するのに有効な量の6−メルカプトプリン(6−MP)を含む遅延放出性医薬組成物を定期的に投与することを含む方法を提供する。
本発明の方法の一態様では、患者は、これまでのチオプリン投与の4週後に、臨床反応が認められなかった。さらなる態様では、患者は、これまでのチオプリン投与の12週後に、臨床反応が認められなかった。
本発明の方法の一態様では、遅延放出性医薬組成物を、最大12週の期間、毎日投与する。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物を、最大8週の期間、毎日投与する。
本発明の方法の一態様では、遅延放出性医薬組成物を、毎日投与して、最大臨床反応は、投与の開始から8週で達成される。別の態様では、最大臨床反応は、投与の開始から8週で達成される。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、患者のクローン病活動指数(CDAI)スコアは、治療前で約220以上である。さらなる態様では、患者のCDAIスコアは、治療前で約220〜約450である。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、臨床反応をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、CDの寛解をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、粘膜治癒をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、6−MPの即時放出製剤の投与と比較して副作用プロフィールの改善をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はUCを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、UCの寛解をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して20%以上、患者のCDEISスコアを低減させる。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して10ポイント以上、患者の炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアを増加させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して20ポイント以上、患者の炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアを増加させる。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1%以上、患者の赤血球沈降速度(ESR)を減少させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して2%以上、患者の赤血球沈降速度(ESR)を減少させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して患者のESRのより大きな減少をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1.0%以上、患者のCD62+発現を減少させる。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して0.1%以上の患者の体重増加をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以上の患者の白血球(WBC)数の減少をもたらさない。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、膵炎、肝炎または骨髄抑制の発症の減少をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はUCを患っており、遅延放出医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して0.1%以上の患者の体重増加をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はUCを患っており、遅延放出医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以上の患者の白血球(WBC)数の減少をもたらさない。
本発明の方法の一態様では、患者はUCを患っており、遅延放出医薬組成物の投与は、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、膵炎、肝炎または骨髄抑制の発症の減少をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 40mg〜120mgを含有する。さらなる態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 40mg〜100mgを含有する。さらなる態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 60mg〜80mgを含有する。さらなる態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 80mgを含有する。別の態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 120mgを含有する。
本発明の方法の一態様では、遅延放出性医薬組成物を、1日1回投与する。さらなる態様では、投与は経口投与である。
本発明はまた、チオプリンのこれまでの投与に応答して有害事象が認められたクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する方法であって、ヒト患者へ、薬学的に許容される担体およびヒト患者を治療するのに有効な量の6−メルカプトプリン(6−MP)を含む遅延放出性医薬組成物を定期的に投与することを含み、投与されるチオプリンが6−MPである場合、有害事象が、肝機能検査の結果(LFT)の上昇以外である方法を提供する。
本発明の方法の一態様では、遅延放出性医薬組成物を、最大12週の期間、毎日投与する。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物を、最大8週の期間、毎日投与する。
本発明の方法の一態様では、遅延放出性医薬組成物を毎日投与し、かつ最大臨床反応は投与の開始から8週で達成される。別の態様では、最大臨床反応は投与の開始から8週で達成される。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、患者のクローン病活動指数(CDAI)スコアは、治療前で約220以上である。さらなる態様では、患者のCDAIスコアは、治療前で約220〜約450である。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、臨床反応をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、CDの寛解をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、粘膜治癒をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、6−MPの即時放出製剤の投与と比較して副作用プロフィールの改善をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はUCを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、UCの寛解をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して20%以上、患者のCDEISスコアを低減させる。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して10ポイント以上、患者の炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアを増加させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して20ポイント以上、患者の炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアを増加させる。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して10%以上、患者のインターフェロンガンマレベルを減少させる。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して25%以上、患者のインターフェロンガンマレベルを減少させる。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して2.5%以上、患者のC反応性タンパク質(CRP)レベルを減少させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して5%以上、患者のC反応性タンパク質(CRP)レベルを減少させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、投与の開始から12週後に、ベースラインに対してCRPレベルのより大きな減少をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1%以上、患者の赤血球沈降速度(ESR)を減少させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して2%以上、患者の赤血球沈降速度(ESR)を減少させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して患者のESRのより大きな減少をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1.0%以上、患者のCD62+発現を減少させる。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して0.1%以上の患者の体重増加をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以上の患者の白血球(WBC)数の減少をもたらさない。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、膵炎、肝炎または骨髄抑制の発症の減少をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はUCを患っており、遅延放出医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して0.1%以上の患者の体重増加をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はUCを患っており、遅延放出医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以上の患者の白血球(WBC)数の減少をもたらさない。
本発明の方法の一態様では、患者はUCを患っており、遅延放出医薬組成物の投与は、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、膵炎、肝炎または骨髄抑制の発症の減少をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 40mg〜120mgを含有する。さらなる態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 40mg〜100mgを含有する。さらなる態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 60mg〜80mgを含有する。さらなる態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 80mgを含有する。別の態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 120mgを含有する。
本発明の方法の一態様では、遅延放出性医薬組成物を、1日1回投与する。さらなる態様では、投与は経口投与である。
本発明はまた、ステロイドの投与を受けており、ステロイド依存性であるクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する方法であって、ヒト患者へ、薬学的に許容される担体およびヒト患者を治療するのに有効な量の6−メルカプトプリン(6−MP)を含む遅延放出性医薬組成物を併用して定期的に投与することを含む方法を提供する。
本発明の方法の態様では、遅延放出性医薬組成物を、最大12週の期間、毎日投与する。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物を、最大8週の期間、毎日投与する。
本発明の方法の態様では、遅延放出性医薬組成物を毎日投与し、かつ最大臨床反応は投与の開始から8週で達成される。別の態様では、最大臨床反応は投与の開始から8週で達成される。
本発明の方法の態様では、ステロイドは、経口ステロイドである。さらなる態様では、ステロイドは、低用量経口ステロイドである。さらなる態様では、ステロイドは、プレドニゾロンである。さらなる態様では、患者は、1日当たり15mg以下のプレドニゾロンを服用している。別の態様では、ステロイドは、ブデソニドである。さらなる態様では、患者は、1日当たり6mg以下のブデソニドを服用している。
本発明の方法の態様では、患者はCDを患っており、患者のクローン病活動指数(CDAI)スコアは、治療前で約220以上である。さらなる態様では、患者のCDAIスコアは、治療前で約220〜約450である。
本発明の方法の態様では、患者はCDを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、臨床反応をもたらす。
本発明の方法の態様では、患者はCDを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、CDの寛解をもたらす。
本発明の方法の態様では、患者はCDを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、粘膜治癒をもたらす。
本発明の方法の態様では、患者はCDを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、6−MPの即時放出製剤の投与と比較して副作用プロフィールの改善をもたらす。
本発明の方法の態様では、患者はUCを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、UCの寛解をもたらす。
本発明の方法の態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して20%以上、患者のCDEISスコアを低減させる。
本発明の方法の態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して20ポイント以上、患者の炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアを増加させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して30ポイント以上、患者の炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアを増加させる。
本発明の方法の態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して10%以上、患者のインターフェロンガンマレベルを減少させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して25%以上、患者のインターフェロンガンマレベルを減少させる。
本発明の方法の態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して10%以上、患者のC反応性タンパク質(CRP)レベルを減少させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して25%以上、患者のC反応性タンパク質(CRP)レベルを減少させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、投与の開始から12週後に、ベースラインに対してCRPレベルのより大きな減少をもたらす。
本発明の方法の態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1%以上、患者の赤血球沈降速度(ESR)を減少させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して2%以上、患者の赤血球沈降速度(ESR)を減少させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して患者のESRのより大きな減少をもたらす。
本発明の方法の態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1.0%以上、患者のCD62+発現を減少させる。
本発明の方法の態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して0.1%以上の患者の体重増加をもたらす。
本発明の方法の態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以上の患者の白血球(WBC)数の減少をもたらさない。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、膵炎、肝炎または骨髄抑制の発症の減少をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 40mg〜120mgを含有する。さらなる態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 40mg〜100mgを含有する。さらなる態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 60mg〜80mgを含有する。さらなる態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 80mgを含有する。別の態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 120mgを含有する。
本発明の方法の一態様では、患者はUCを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して0.1%以上の患者の体重増加をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はUCを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以上の患者の白血球(WBC)数の減少をもたらさない。
本発明の方法の一態様では、患者はUCを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、膵炎、肝炎または骨髄抑制の発症の減少をもたらす。
本発明の方法の一態様では、遅延放出性医薬組成物を、1日1回投与する。さらなる態様では、投与は経口投与である。
本発明の方法の一態様では、遅延放出性医薬組成物の量およびステロイドの量は、一緒に摂取された場合に、薬剤がそれぞれ単独で投与された場合よりも、患者を治療するのに有効である。
本発明はまた、抗生物質を投与されているクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する方法であって、ヒト患者へ、薬学的に許容される担体およびヒト患者を治療するのに有効な量の6−メルカプトプリン(6−MP)を含む遅延放出性医薬組成物を併用して定期的に投与することを含む方法を提供する。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1.0%以上、患者のCD62+発現を減少させる。
本発明はまた、5−アミノサリチル酸(5−ASA)を投与されているクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する方法であって、ヒト患者へ、薬学的に許容される担体およびヒト患者を治療するのに有効な量の6−メルカプトプリン(6−MP)を含む遅延放出性医薬組成物を併用して定期的に投与することを含む方法を提供する。
本発明の方法の一態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 40mg〜120mgを含有する。さらなる態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 40mg〜100mgを含有する。さらなる態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 60mg〜80mgを含有する。さらなる態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 80mgを含有する。別の態様では、患者へ投与される遅延放出医薬組成物は、6−MP 120mgを含有する。
本発明の方法の一態様では、医薬組成物を、最大12週の期間、毎日投与する。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物を、最大8週の期間、毎日投与する。
本発明の方法の一態様では、遅延放出性医薬組成物を毎日投与し、かつ最大臨床反応は投与の開始から8週で達成される。別の態様では、最大臨床反応は投与の開始から8週で達成される。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、患者のクローン病活動指数(CDAI)スコアは、治療前で約220以上である。さらなる態様では、患者のCDAIスコアは、治療前で約220〜約450である。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、臨床反応をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、CDの寛解をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、粘膜治癒をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、患者への遅延放出性医薬組成物の投与は、6−MPの即時放出製剤の投与と比較して副作用プロフィールの改善をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して20%以上、患者のCDEISスコアを低減させる。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して20ポイント以上、患者の炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアを増加させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して30ポイント以上、患者の炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアを増加させる。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して5%以上、患者のインターフェロンガンマレベルを減少させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して15%以上、患者のインターフェロンガンマレベルを減少させる。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して5%以上、患者のC反応性タンパク質(CRP)レベルを減少させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して15%以上、患者のC反応性タンパク質(CRP)レベルを減少させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、投与の開始から12週後に、ベースラインに対してCRPレベルのより大きな減少をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1%以上、患者の赤血球沈降速度(ESR)を減少させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して2%以上、患者の赤血球沈降速度(ESR)を減少させる。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して患者のESRのより大きな減少をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して0.1%以上の患者の体重増加をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以下の患者の白血球(WBC)数の減少をもたらす。さらなる態様では、遅延放出性医薬組成物の投与は、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤による治療と比較して、投与の開始から12週後に、ベースラインに対してWBC数のより小さな減少をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はCDを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、膵炎、肝炎または骨髄抑制の発症の減少をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はUCを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して0.1%以上の患者の体重増加をもたらす。
本発明の方法の一態様では、患者はUCを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以上の患者の白血球(WBC)数の減少をもたらさない。
本発明の方法の一態様では、患者はUCを患っており、遅延放出性医薬組成物の投与は、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、膵炎、肝炎または骨髄抑制の発症の減少をもたらす。
本発明の方法の一態様では、遅延放出性医薬組成物を、1日1回投与する。さらなる態様では、投与は経口投与である。
本発明の方法の一態様では、遅延放出性医薬組成物の量および5−ASAまたは抗生物質の量は、一緒に摂取された場合に、薬剤がそれぞれ単独で投与された場合よりも、患者を治療するのに有効である。
本発明はまた、これまでのチオプリン投与に応答して臨床反応が認められなかったクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する際の使用のための6−メルカプトプリンを含む遅延放出性医薬組成物を提供する。
本発明はまた、チオプリンのこれまでの投与に応答して有害事象が認められたクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する際の使用のための6−メルカプトプリンを含む遅延放出性医薬組成物を提供する。
本発明はまた、ステロイドの投与を受けており、ステロイド依存性であるクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する際の使用のための6−メルカプトプリンを含む遅延放出性医薬組成物を提供する。
本発明はまた、抗生物質を投与されているクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する際の使用のための6−メルカプトプリンを含む遅延放出性医薬組成物を提供する。
本発明はまた、5−アミノサリチル酸(5−ASA)を投与されているクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する際の使用のための6−メルカプトプリンを含む遅延放出性医薬組成物を提供する。
本発明はまた、これまでのチオプリン投与に対して臨床反応が認められなかったクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する際の使用のための医薬の調製のための6−メルカプトプリンの使用を提供し、ここで医薬は、遅延放出性医薬である。
本発明はまた、チオプリンのこれまでの投与に応答して有害事象が認められたクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する際の使用のための医薬の調製のための6−メルカプトプリンの使用を提供し、ここで医薬は、遅延放出性医薬である。
本発明はまた、ステロイドの投与を受けており、ステロイド依存性であるクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する際の使用のための医薬の調製のための6−メルカプトプリンの使用を提供し、ここで医薬は、遅延放出性医薬である。
本発明はまた、抗生物質を投与されているクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する際の使用のための医薬の調製のための6−メルカプトプリンの使用を提供し、ここで医薬は、遅延放出性医薬である。
本発明はまた、5−アミノサリチル酸(5−ASA)を投与されているクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する際の使用のための医薬の調製のための6−メルカプトプリンの使用を提供し、ここで医薬は、遅延放出性医薬である。
上述の態様に関して、ここで開示する態様はそれぞれ、他の開示する態様のそれぞれに適用可能であると意図される。
ここで記載する方法の様々な要素の組合せ、副結合および並べ替えはすべて、想定されており、本発明の範囲内である。例えば、チオプリンの投与を受ける一方でこれまでに有害事象が認められた患者の治療を開示し、またステロイドを併用して受けている患者の治療を開示するため、チオプリンの投与を受ける一方でこれまでに有害事象が認められて、同様にステロイドを併用して受けている患者の治療は、本発明の範囲内である。
ここで開示する範囲のいずれも、100番目、10番目およびその範囲内の整数単位量が、本発明の一部として具体的に開示されていることを意味する。したがって、例えば、40mg〜120mgは、40.01、40.02...40.09、40.1、40.2...40.9および41、42...119mg単位量が、本発明の態様として包含されることを意味する。
用語
ここで使用する場合、別記しない限りは、下記用語はそれぞれ、以下に記載する定義を有するべきである。
冠詞「a」「an」および「the」は、非限定的である。例えば、「方法」は、語句の意味の最も広範な定義を含み、これは1つよりも多い方法であり得る。
ここで使用する場合、数値または範囲の状況で「約」は、言及または特許請求される数値または範囲の±10%を意味する。
ここで使用する場合、「ベースライン」時の対象または患者は、ここで記載する場合の治療法における遅延放出性または標準的な放出性形成における6−メルカプトプリンの投与に先立つ対象である。
ここで使用する場合、対象へ「投与すること」は、病状を緩和または治癒するための対象への薬、薬物もしくは治療薬の付与、分配または適用を意味する。経口投与は、本発明の方法で使用する投与の例である。
ここで使用する場合、「定期的な投与」は、ある期間空けた繰り返しの/反復性投与を意味する。投与間の期間は、好ましくは時々一貫している。定期的な投与は、例えば1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、週1回、週2回、週3回、週4回等の投与を含み得る。
ここで使用する場合、「遅延放出性6−MP医薬組成物」または「6−MPを含む遅延放出性医薬組成物」は、6−MPの放出が、医薬組成物が胃を通過した後に行われる、6−MPを含む医薬組成物を指す。
ここで使用する場合、「薬学的に許容される担体」は、合理的なベネフィット/リスク比に見合う過度の有害な副作用(例えば、毒性、炎症およびアレルギー反応)を伴わないヒトおよび/または動物との使用に適切である担体または賦形剤を指す。それは、本発明の方法で言及する化合物を対象へ送達するための薬学的に許容される溶媒、懸濁剤またはビヒクルであり得る。
ここで使用する場合、「有害事象」または「AE」は、薬物を投与した臨床試験対象における任意の有害な医療的出来事を意味する。したがって、有害事象は、治験医薬品に関連するとみなされようとみなされまいと、一時的に治験医薬品の使用に関連付けられる異常な検査所見、症状または疾患を含む任意の好ましくなく、かつ意図的ではない兆候であり得る。有害事象は、弱(容易に許容)、中(日常活動を妨害するのに十分に不快)または強(通常の日常活動を防止)と分類することができる。
有害事象の例として、発熱、発疹、悪心および頭痛が挙げられる。重度の有害事象として、白血球減少症、肝毒性、膵炎、重症感染症、および骨髄抑制が挙げられる。
ここで使用する場合、「治療する」ことまたは「治療すること」は、例えば、障害および/または疾患の抑制、退行、または停滞を誘発することを包含する。ここで使用する場合、対象における疾患進行または疾患合併症の「抑制」は、対象における疾患進行および/または疾患合併症を防止または低減させることを意味する。
ここで使用する場合、「チオプリン失敗」が認められた対象は、例えば、6−メルカプトプリンまたはアザチオプリンを含むチオプリンで治療されており、有害な副作用を被ったか、あるいは臨床反応または臨床的有益性が認められなかった。
ここで使用する場合、クローン病を患う対象または患者における「寛解」は、彼らのCDAIスコアが150未満である場合を指す。潰瘍性大腸炎を患う対象または患者における「寛解」は、彼らの総Mayoスコアが0である場合、彼らの総Mayoスコアが2以下である場合、または彼らの総Mayoスコアが2以下であるが、但しカテゴリースコアは1を上回らない場合を指す。
ここで使用する場合、「応答」は、対象または患者のCDAIスコアが、ベースラインから100ポイント以上減少する場合を指す。
ここで使用する場合、「臨床反応」または「臨床的有益性」は、対象のCDAIスコアが、ベースラインから100ポイント以上減少する場合、あるいは対象のCDAIスコアが150未満である場合(即ち、応答または寛解)を指す。「非応答性」である患者は、臨床反応が認められなかった。
ここで使用する場合、「最大臨床反応」は、患者のCDAIスコアが、対象の治療の経過中に存在するであろう最低であるか、またはほぼ最低であるポイントを指す。
ここで使用する場合、「粘膜治癒」は、クローン病に関わる炎症性腸組織における任意の改善を指す。非限定的な例として、このことは、組織の炎症、潰瘍形成、およびびらんの低減または排除を含んでいてもよい。
ここで使用する場合、「ステロイドを投与されている」患者は、1つまたは複数のタイプのステロイドを投与されている患者を指す。「抗生物質を投与されている」患者は、1つまたは複数のタイプの抗生物質を投与されている患者を指す。
ここで使用する場合、「これまでのチオプリン投与に対して臨床反応が認められなかった」対象は、これまでにチオプリンを投与したが、その投与に対して臨床反応が認められなかった対象を指す。
ここで使用する場合、「ステロイド依存性」は、例えば、一定のステロイド治療にもかかわらず、スクリーニング時に220〜450のCDAIスコアを伴う、活動性クローン病を伴う対象を指す。
ここで使用する場合、「治療企図(Intent to Treat)」(ITT)集団は、対象研究番号を受け取り、インフォームドコンセント用紙(ICF)に署名して、研究投薬の少なくとも1回の用量を付与された無作為割付した/組み入れた患者すべてを含んでいた。ITT集団は、64人の対象を含んでいた(DR−6MP 80mgでの治療群において40人の対象、およびPurinethol治療群において24人の対象)。
ここで使用する場合「安全性集団」は、ITT集団である。
ここで使用する場合、「パープロトコール(Per Protocol)」(PP)集団は、プロトコールに従って研究を完了した無作為割付した対象すべてを含んでいた。PP集団は、37人の対象を含んでいた(DR−6MP 80mgでの治療群において25人の対象、およびPurinethol治療群において12人の対象)。
ここで使用する場合、「修正治療企図」(mITT)集団は、すべてのPP対象、ならびに最終観察としてLast Observation Carried Forward(LOCF)を用いた、6週目/後に(来院7)、および8週目/後に(来院8)脱落した患者を含んでいた。集団を、mITT1(6週目)およびmITT2(8週目)と命名した。
実験の詳細および考察
試験の計画
試験の全般的デザインおよび計画:説明
本試験は、中等症の活動性(CDAI220〜450(両方含む))クローン病を有する対象における、80mgの経口の遅延放出性6−メルカプトプリン(DR−6MP)対PURINETHOL(登録商標)(1〜1.5mg/kg/日という標準的用量)の臨床的有効性および安全性を12週間評価するための、第IIa相、多施設、無作為化、二重盲検、ダブルダミー、2群並行群間比較、12週試験であった。
101人の対象をベースライン前1〜2週間以内にスクリーニングし、70人の適格な対象を登録し、2:1の無作為化スキームで、DR−6MPまたはPURINETHOL(登録商標)のいずれかに無作為割付した。
テスト:80mgのDR−6MPを、2×40mgの遅延放出性6−MP錠として、1日1回、就寝時に経口投与した。
参照:1〜1.5mg/kgのPURINETHOL(登録商標)(DSM、Gates Pharmaceuticals)を、錠剤(50mg)として、1日1回、午前中に経口投与した。この治療に無作為割付したすべての対象は、3つの錠剤を服用することになるが、用量に応じて、活性錠剤の数は、1日当たり1〜3つの範囲にすることができる。
(a)DR−6MP錠およびPURINETHOL(登録商標)錠は、投与するそれぞれの用量がより多い(すなわち、それぞれ、80mgまたは50〜150mg)が、それぞれ、40mgおよび50mgの単一の単位でしか使用できず、(b)DR−6MP錠およびPURINETHOL(登録商標)錠は、外観が似ておらず、(c)PURINETHOL(登録商標)について、いくつかの異なる用量を投与することができるので、二重盲検ダブルダミースキームが必要であった。したがって、すべての可能な試験用量を与え、盲検を維持したままにするために、すべての対象は、治療の割付にかかわらず、2つのDR−6MP錠(活性なまたはプラセボ)を夜に1回、3つのPURINETHOL(登録商標)錠(活性なまたはプラセボ)を1日1回、午前中に服用する必要があった。
各治療群についての、およびPURINETHOL(登録商標)群内の各用量変更についての可能な試験薬割付を下の表に示す。表において、各行は、1日の用量を示し、「A」は、活性であり、「P」は、プラセボである。
表1:試験の投薬スキーム
*示した2つの列は、2日を表し、したがって、週の平均用量は、記した用量である。
すべての対象は、毎日の用量の日誌を完成させる必要があった。
スクリーニング時、ベースライン時、1週目、2週目、および8週目まで2週ごと、ならびに最終来院時(12週目)に予定通りに来院した。試験の間いつでも、安全性または任意の他の理由により、予定外に来院した。
試験期間の間、CDAIスコアを、スクリーニング時、ベースライン時、および各来院時(1週目を除く)に評価した。対象は、CDAIを評価する予定した来院前の7日間のそれぞれの日に、毎朝、毎日のCDAI質問票を完成させる必要があった。
試験期間の間、全身の免疫改善を評価した。すなわち、一般的な全身免疫マーカーであるCRPおよびESRを、ベースライン時、および2、4、6、8および12週目に評価した。IFN−γ(対象の一部に関して)、ならびに、表面マーカー発現レベル(CD4;CD8;CD4、CD25、FOXP3;CD3、CD56;およびCD4、CD62、CD127のもの)について末梢リンパ球の免疫マーカー(FACS分析:すべての対象)を、ベースライン時および12週目に評価した。
CDEISによる腸組織の評価と共に、結腸内視鏡検査および回腸内視鏡検査(ileoscopy)(手順に同意した対象の一部に関してすべての部位で)を、2週間のスクリーニング/ベースラインの間に1回、および12週目にもう1回行った。
試験登録時および試験中に許可した、以前の標準のケア治療は、安定用量(スクリーニング前の2週間以上)の5−アミノサリチル酸(5−ASA)であった。加えて、試験責任医師(PI)によってステロイド依存または抗生物質依存であると判断された対象(すなわち、一定のステロイドまたは抗生物質治療にかかわらず、スクリーニング時にCDAIスコアが220〜450である、活動性クローン病を有する対象)を、対象が安定用量を継続し(スクリーニング前の2週間以上)、試験中ずっと、その用量を継続することを条件に、低用量経口ステロイドまたは抗生物質を継続しながら、本試験に登録することを許可した。経口ステロイドについて、低用量とは、プレドニゾロン1日15mg以下、またはブデゾニド1日6mg以下である。
さらに、PIが決定する通り、症状軽減が必要である場合、試験の間、ステロイド救援療法を許可した。用量が漸減される、開始用量40〜60mg/日の経口プレドニゾロンを、12週目にステロイドなしの寛解を達成するように2週目から6週目まで開始することを許可した。
試験集団の考察
試験集団の選択
適格基準を満たした対象を、2:1の無作為化スキームで、以下の治療群、すなわち、80mgのDR−6MP(テスト)または1〜1.5mg/kg/日のPURINETHOL(登録商標)(参照)のうちの1つに無作為割付した。合計70人の対象を無作為割付し、46人の対象をDR−6MP治療群に、24人の対象をPURINETHOL(登録商標)群に無作為割付した。
組み入れ基準
対象は、適格であるために、以下の組み入れ基準をすべて満たさなければならない。
1.スクリーニング時に18〜75歳(両方含む)の男性および(妊娠していない)女性対象。
2.適切に文書化され、内視鏡検査またはX線透視により裏付けされた、CDの診断を受けた対象。
3.スクリーニング時のCDAIスコアが220〜450(両方含む)である、今のところ中等症の活動性CDを有する対象。
4.スクリーニング臨床検査は、以下の基準を満たさなければならない。
− ヘモグロビン(HGB)≧8.5g/dL
− 血小板≧100,000/mm3
− WBC≧3500mm3
− 血清アルブミン>2.5g/dL
− アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)AST、アルカリホスファターゼ(ALKP)、γグルタミルトランスペプチダーゼ(GGTP)、総および直接ビリルビン<2×正常上限(ULN)
5.対象は、安定(スクリーニング前の少なくとも2週間)の5−アミノサリチル酸(5−ASA)、一定の抗生物質または低用量経口ステロイド(プレドニゾロン−1日15mgまで;ブデゾニド−1日6mgまで)を継続中であってもよく、試験中ずっと、その用量の薬物を継続してもよい。
6.書面のインフォームドコンセントを提出する意思があり、それを提出することができる対象。
除外基準
スクリーニング時の以下の条件のいずれかは、対象を本試験の登録から除外した。
1.潰瘍性大腸炎を有する、または分類不能大腸炎の診断を受けた対象。
2.以前にCDにより腸切除を受けて、その結果、臨床的に重大な短腸症候群になった対象。
3.膿瘍の臨床的および放射線学的証拠がある、瘻孔を伴うCDを有する対象。
4.臨床的に重大なGI閉塞症状(すなわち、症候性狭窄または回腸狭窄)、または腸の線維化のx線証拠を有する対象。
5.腸内病原菌(サルモネラ(Salmonella)、シゲラ(Shigella)、カンピロバクター(Campylobacter)についてのスクリーニング時便培養、およびクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)毒素アッセイで陽性の結果を有する対象。
6.持続的な腸閉塞、腸穿孔、コントロール不良のGI出血、または腹部膿瘍もしくは感染症、または中毒性巨大結腸症の病歴を有する対象。
7.GI管悪性腫瘍、または腸におけるIBD関連の悪性変化の病歴を有する対象。
8.第1の試験投薬前4週間において、外科手術/大手術を受けた対象。
9.成分栄養剤または非経口栄養を受けている対象。
10.病歴、身体検査、ECG、臨床検査または画像処理により決定されるような、試験医師の意見において、安全で完全な試験参加を妨げる、臨床的に重大なまたは不安定な内科的もしくは外科的状態の徴候または症状を現在有する対象。そのような状態は、重度、進行性またはコントロール不良の腎臓、代謝、肝臓、血液、内分泌、肺、心血管、精神、神経、脳または自己免疫疾患を含んでもよい。
11.第1の試験投薬前の12週間以内に、重度の感染症、例えば、肝炎、肺炎、腎盂腎炎を有する対象。第1の試験投薬前の12週間以内での、それほど重度でない感染症、例えば、急性上気道感染症(風邪)または単純性***症を、試験責任医師の裁量により、除外と判断する必要はない。
12.基底細胞癌を除く、任意の現在既知の悪性腫瘍または前悪性病変、または過去5年以内の任意の悪性腫瘍歴を有する対象。
13.凝血障害歴を有する対象。
14.CDの腹痛の評価を妨げる可能性があるため、ポルフィリン症を有する対象。
15.重篤な有害反応(例えば、重度の膵炎、重度の白血球減少症、重度の肝毒症、または骨髄抑制)をもたらし、任意の用量の6−メルカプトプリンによる追加の治療を妨げる、先行のチオプリンによる治療の失敗歴を有する対象。
16.第1の試験投薬前の6か月以内(および試験の間の任意の時)に以下のものを受けている対象。
− 活性ワクチン、すなわち、生の弱毒化した細菌性/ウイルス性病原体
17.第1の試験投薬前の6か月以内(および試験中)に以下のものを受けている対象。
− 抗腫瘍壊死因子α(TNF−α)(インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ)
− 抗インテグリン(ナタリズマブ)
− 抗腫瘍剤、例えば、メトトレキサート、塩酸ダウノルビシン
18.第1の試験投薬前の4週間以内(および試験中)に以下のものを受けている対象。
− 免疫抑制剤、例えば、アザチオプリン、6−MP(すなわち、試験の間に割付した6MP試験薬を除く)、シクロスポリン、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、またはサリドマイド。
− 内因性の肝薬物代謝を誘導または阻害すると知られている任意の薬物、例えば、バルビツレート、フェノチアジン、シメチジン、カルバマゼピンなどによる治療。
− 抗凝固療法、例えば、ヘパリン、ワルファリン、アセノクマロール。
− 血液疾患を誘発する、または免疫機能不全、骨髄抑制、および/またはCDの症状(下痢、腹痛)の可能性を有する医薬品。
− 不活性化形態の病原体または精製抗原タンパク質を含むワクチン接種。
注記:抗体接種を含む受動免疫付与を、いつでも許可した。
19.第1の試験投薬前の2週間以内(および試験中)に以下のものを服用した対象。
− IVまたは経口ステロイド(プレドニゾロンまたはブデゾニド)
− 抗生物質
注記:この基準に対して2つの重要な例外が存在した:(a)経口ステロイドまたは抗生物質に依存し、これらの治療を継続しているにもかかわらず活動性CD(220〜450のCDAIスコア)を有した対象は、安定の(スクリーニング時に2週間以上)用量を継続し、試験中ずっと、その用量を継続するという条件で、これらの治療法を継続することができた(組み入れ基準#5を参照されたい);(b)試験の間、「ステロイド救済」療法を必要とした対象。
20.第1の試験投薬前の7日以内(および試験中)に以下のものを服用した対象。
− 抗コリン作用薬、または胃腸の運動性に影響を与えることが知られている他の薬物
− プロトンポンプ阻害薬、または胃液酸度に影響を与えることが知られている他の薬物
− アロプリノール
21.42.5キログラム未満の体重を有する対象。
22.スクリーニング時に妊娠または授乳している、または試験期間の間に妊娠または授乳するつもりである女性。
23.許容される避妊法[許容される避妊法は、外科的避妊、子宮内避妊器具、経口避妊薬、避妊パッチ、長時間作用する注射型避妊薬、パートナーの精管切除、二重保護法(コンドームもしくはペッサリーと殺***剤)、または禁欲である]を実践していなかった、妊娠の可能性がある女性。
24.現在薬物および/またはアルコールを乱用している対象、あるいは薬物および/またはアルコールの乱用歴を有する対象。
25.概ねまたは完全に寝たきりであった、およびセルフケア能力をほとんど有しなかった対象。
26.6−MPまたは試験薬の任意の不活性成分に対して、既知のアレルギーまたは過敏症を有する対象(例えば、ラクトース不耐症である対象)。
27.第1の試験投薬前の12週間以内に、試験薬を使用した別の臨床試験に参加した対象。
28.試験の間に待機手術または入院の予定(試験のコンプライアンスまたは結果に差し障る可能性がある)を有する対象。
29.試験医師およびスタッフと十分に意思疎通することができない(すなわち、言語問題を有する、精神の発達が十分でない、または脳機能の障害を有する)対象。
30.試験の期間中、時間が空いていなかった、試験の来院の計画した日程に従うことができなかった、プロトコールを遵守しない可能性があった、または任意の他の理由で、試験医師によって、適切でないと思われた対象。
治療法または評価からの対象の排除
− 各対象に、いつでもおよび任意の理由により試験を止める権利があることを告げた。試験医師は、試験に残ることが、対象の健康を危険にさらす、または対象が十分に協力的でないと判断した場合にはいつでも、対象を試験から除くことができた。対象のいかなる排除の理由も、CRFの試験終了報告書に記録した。
− 妊娠中または授乳中の対象は、試験から排除されなければならなかった。
− 対象が試験から除かれた場合、通常は試験の最後に必要となる、安全性データのすべてを、可能であれば得た。脱落者は、補充しなかった。
治療
治療群への対象の割付方法
適格性決定後、現場のPIまたは被指名者は、各適格な対象について「無作為化適格性用紙」に記入し、その用紙は、以下の情報を含んだ:1)スクリーニング番号/イニシャル;2)性別;3)生年月日;4)体重;5)新たに診断されたCD(はい/いいえ);6)スクリーニング/無作為化時のCDAIスコア;7)予想されるベースライン来院日;8)臨床的有用性の欠如、または非重篤有害事象の発生のいずれかを理由とする、先行するチオプリンによる治療の失敗(はい/いいえ)。
要素2〜5は、両方の治療群にバランスのとれた代表が存在することを確実にするものであることを意図したが、無作為化アルゴリズムの限界により、性別、年齢および体重のみを使用した。要素8は、対象の安全を確実にするために考慮したものであり、そのような対象を、DR−6MP治療群のみに無作為割付した。
各対象に対する用量の選択および投与時期
すべての試験薬を、室温で、240mlの水と共に投与した。
DM−6MP80mg
ベースライン時にDR−6MPに無作為割付した対象に、80mg与え、12週間その用量のままであった。DR−6MP錠は、単一の40mgの錠剤としてしか使用できないため、DR−6MP治療群に、2つの錠剤として与えた。
PURINETHOL(登録商標)
PURINETHOL(登録商標)治療に無作為割付した対象は、以下の投薬パラダイムに従った。
1.初回量:1.0mg/kg(スクリーニング時の体重)。その用量を、現場の者が対象について「無作為化用紙」に記入した体重情報に基づいて、Medistatによって、および下表に従って設定した。
表2:PURINETHOL(登録商標)の初回量の決定
初回量を、概して、4週間維持した。
2.漸増用量:1週目および2週目での検査データに基づいて、試験安全性担当医師(Study Safety Physician)は、下の表3に従って、4週目に、対象のPURINETHOL(登録商標)の用量を体重1kg当たり1.5mgに増加させることができた。
表3:PURINETHOL(登録商標)の漸増用量の決定
あるいは、試験安全性担当医師は、対象の臨床検査結果に基づいて、用量を増加しない、また、より長い期間、体重1kg当たり1.0mgで対象を維持することを決定することができた。試験安全性担当医師は、各対象の臨床検査結果に従って、この決定を各来院時に見直した。
3.漸増後の用量の変更:試験安全性担当医師は、1.5mg/kg用量時の対象が、より多い用量を忍容しないことを示す臨床検査結果を有した場合、PURINETHOL(登録商標)の用量を1.0mg/kgに減少させることができた。いったん減少させたら、試験の残りの間、対象での用量を最大1.5mg/kgに再び増加させることができなかった。
盲検性を維持するために、すべての対象は、治療の割付にかかわらず、5つの錠剤、すなわち、2つのDR−6MP錠(活性なまたはプラセボ)を、夜、就寝前に(対象は、用量摂取後10分間、立位の状態である)、および3つのPURINETHOL(登録商標)錠(活性なまたはプラセボ)を午前中に、毎日服用する必要があった。DR−6MP群に無作為割付された者について、DR−6MPは活性であったが、「PURINETHOL(登録商標)」はプラセボであった。同様に、PURINETHOL(登録商標)群に無作為割付された者について、PURINETHOL(登録商標)は活性であったが、「DR−6MP」は、プラセボであった。
上述の薬物投与の時間は、標準的な臨床診療に対応し、そこでは、ほとんどの対象は、午前中にPURINETHOL(登録商標)を服用するのに対し、DR−6MPの夜の投薬は、夜の投薬後に薬効を示した、以前の臨床試験に基づく。さらに、対象の利便性およびコンプライアンスを高めるために、用量を夜と午前の投与に分けた。しかし、対象が、朝に錠剤を服用した時に悪心または他の不快感を経験した場合、PIは、対象に、5つの錠剤すべてを夜、就寝前に服用するように勧めることができた。すべての用量投与(日付および時間)を、各用量カードの、対象の投薬日誌に記録した。1週目から、試験安全性担当医師は、各対象の非盲検の臨床検査の結果を検討し、中央検査室(AML)からの結果を受け取って24時間以内に、下表に示す通りの適切な治療の決定を行った。
表4:用量の修正
適切な治療に関する、試験安全性担当医師の決定は、以下の安全注意事項に基づいた。
− 登録時の臨床検査パラメーター
試験安全性担当医師は、AML検査室から、すべての登録対象についての、スクリーニングおよびベースライン時の臨床検査結果のデータを受け取り、対象のデータのデータベースを設定し、対象が薬物治療を開始する前の、重要な臨床検査パラメーターに関係する、対象の状態をモニターした。
− 減少させることになる薬物用量
ベースライン後に、任意の来院時の対象について、以下の臨床検査結果のいずれかが出現すると、試験安全性担当医師は、薬物用量を減少させる、適切な治療の決定を行う。
・WBC<3000 mm3
・ALT>2×ULN(正常上限)
・AST>2×ULN(正常上限)
・総ビリルビン>2×ULN(正常上限)
・直接ビリルビン>2×ULN(正常上限)
この適切な治療の決定を、PURINETHOL(登録商標)を継続している対象に適用した。80mgのDR−6MPを継続している対象について、用量のさらなる減少が不可能であったため、どちらの治療群についても、試験安全性担当医師の裁量で、薬物の一時的中止も判断された。
・「緊急事態」:薬物治療の中止
ベースライン後に、任意の来院時の対象について、以下の臨床検査結果のいずれかが出現すると、試験安全性担当医師は、薬物治療を即ちに中止した。
ANC(好中球絶対数)<1000mm3
ALT≧5×ULN(正常上限)
AST≧5×ULN(正常上限)
先行のおよび併用療法
− 試験への登録時および試験の間で許可している医薬品
・安定用量(スクリーニング前の2週間以上)の5−ASA化合物を、試験への登録時および試験の間で許可した。DR−6MPのテスト錠剤を用いたすべての先行の試験(パイロット、概念実証、臨床有効性およびPK試験)において、5−ASAの補助的使用を許可した。5−ASA化合物は、CD治療に対して適応がないが、臨床診療において、活動性CDの治療に一般に使用されている。5−ASAは、有効性が限られているので、本試験の有効性評価を妨げなさそうであるが、この治療法は、対象がスクリーニングの適格性の決定を待っている間、いくらか軽減させうると考えた。
・安定用量の低用量ステロイドまたは抗生物質を、試験の登録時および試験の間で許可した。PIによってステロイド依存または抗生物質依存であると判断された対象を、対象が安定用量を継続し(スクリーニング前の2週間以上)、試験中ずっと、その用量を継続することを条件に、低用量経口ステロイドまたは抗生物質を継続しながら、本試験に登録することを許可した。経口ステロイドについて、低用量とは、プレドニゾロン1日15mg以下、またはブデゾニド1日6mg以下である。一定のステロイドまたは抗生物質治療にかかわらず、CDAIスコアが220〜450である、活動性CDを有するこれらの対象が本試験に登録したことは、これらの対象において、これらの治療薬が、寛解導入の薬剤ではないことを示す。むしろ、これらの対象において寛解または臨床反応を誘導する臨床的有効性を、付加療法として、いずれかの治療群(DR−6MPまたはPURINETHOL(登録商標))を加えた後に評価した。
− 試験の間で開始することを許可した追加治療レジメン
・ステロイド救援療法:試験時の少なくとも2週間後、症状の軽減を必要とする対象について、救援療法を、試験の間で許可した。ステロイド救援治療(40〜60mg/日の開始用量)を、2週目から6週目までの期間に開始し、したがって、ステロイド漸減レジメンに従って、すべての対象は、12週目の最終来院時に、ステロイドが無い状態でなければならなかった。
・下痢の症状軽減のための治療(例えば、下痢に対する、ジフェノキシレート、ロペラミド、または他のオピオイドの使用)を、試験登録時および試験の間で許可した。
許可していない併用薬
上述の除外基準を参照されたい。
許可していない薬物のいずれかを使用する場合、対象を試験から脱落させることができた。
・ワクチン接種−免疫が低下した対象への生ワクチンの感染のリスクが高いので、第1の試験投薬前の6か月間、および試験中、そのようなワクチン接種を許可しなかった。死んだまたは不活性化した病原体形態による免疫付与を含むワクチン接種を、第1の試験投薬前の4週間、および試験中、許可しなかった。抗体接種を含む受動免疫付与のウォッシュアウト期間は、存在せず、このタイプのワクチン接種を、試験の前、および試験の間いつでも許可した。
− 治療コンプライアンス
臨床的評価の各来院時に、対象に供給品を与えた。試験の間、すべての試験薬の所在を確認しなければならなかった。薬物の投与および医薬品の返却を、現場の試験スタッフによって、個々の症例報告書に記録し、また、モニターの試験薬管理記録で記録した。加えて、治療期間中ずっと、対象は、用量の摂取を証明するために、毎日の投薬日誌カードをつけ続けることを必要とした。
対象は、無記入の用量カード、ならびに未使用の錠剤をそれらと共に診療所に戻すことも必要であった。試験レジメンに対するコンプライアンスを、戻った錠剤を数えること、および対象の日誌を確認することによってチェックした。
有効性および安全性の項目
CDAIスコア
CDAIスコアを、導入期間(スクリーニング)、ベースライン、および、1週目の来院を除くすべてのその後の来院の間、すべての場所のすべての対象について測定した。
CDAIスコアは、薬効の決定に使用される主要な臨床的評価であり[Best et al.1976;Sandborn et al.2002];それは、疾患の活動を測定するための標準化指数を与え、CDの臨床試験において最も広く使用されている手段である。それは、CDの徴候および症状、身体検査、ならびにヘマトクリット測定に基づく、有効な加重指数である。それは、以下の8項目からなる:1日当たりの液状/軟便の回数、腹痛の程度(無し、軽度、中等度、重度)、一般的な健康問題(概ね良好、少し悪い、あまり良くない、非常に良くない、ひどい)、下痢薬の必要性(下痢に対する、ジフェノキシレート、ロペラミド、または他のオピオイドの使用)、この1週間の腸管外症状の発生(関節炎、虹彩炎、発熱などを含めた合併症)、腹部腫瘤の存在(無し、疑わしい、明白)、ヘマトクリット、および体重。これらの項目のうちの最初の4つ、および37.8℃超の熱の存在を、対象の日誌において自己報告させ、残りの4つを、試験の来院時に評価した。身長および標準体重の評価は、標準の身長体重表に基づいた。
CDAIの総スコアは、0から約600の範囲であり、そこでは、スコアが高いほど、疾患がより活動的である。150ポイント未満のCDAIスコアは、寛解を意味し、150〜219ポイントは、軽症の活動性疾患を意味し、220〜450ポイントは、中等症の活動性疾患を意味し、450ポイント超は、重度の疾患を意味する。寛解を、CDAIスコアの、総スコア150ポイント未満への低下と規定し、応答を、寛解、または、治療期間の終了時のCDAIの総スコアの、ベースラインよりも少なくとも100ポイントの低下と規定する[EMEA 2007]。
対象は、全試験期間(スクリーニング期[2週間まで]、および治療期[12週間])の間、CDAI日誌を毎日つける必要があった。ベースライン来院前、ならびに2、4、6、8および12週目前7日間の連続した毎日の日誌から得られたスコアは、各時点でのCDAI総スコアに寄与した。
炎症性腸疾患質問票(IBDQ)
IBDQは、社会的、全身的、および感情的症状、ならびに腸関連症状の要素を使用して、患者のクオリティ・オブ・ライフを評価する。質問票は、毎日の生活の一般的活動、腸機能、例えば、排便習慣および腹痛、ならびに、社会的行動、他者との交流、および情動状態を評価する、32の質問を含む。回答を、7(全く問題なし)から1(非常に深刻な問題)までの7ポイントのリッカート尺度で段階付けする。より高いスコアは、より良いクオリティ・オブ・ライフを示す。また、回答を、腸(10項目)、全身的(5項目)、社会的(5項目)、および感情的(12項目)側面として4つのカテゴリーに分けた[Guyatt et al.1989]。
CDEISスコア(結腸内視鏡検査/回腸内視鏡検査)
結腸内視鏡検査/回腸内視鏡検査を、手順に同意した対象のサブセットについて、2つの時点で、すなわち、治療前(スクリーニング/ベースライン期の間)および12週目に行った。
クローン病重症度内視鏡的指数(Crohn’s Disease Endoscopic Index of Severity、「CDEIS」)は、CDにおける粘膜治癒の一般的に認められた臨床的尺度である。それは、4つのタイプの病変、すなわち、表在性潰瘍、深部潰瘍、潰瘍による狭窄、または潰瘍によらない狭窄の存在または不存在に基づいたものであり、そのすべては、5つの異なる部分、すなわち、回腸末端、上行結腸、横行結腸、下行およびS状結腸、ならびに直腸で記録される。加えて、これら5つの部分のそれぞれについて、疾患のあるおよび/または潰瘍のある個々の部分の表面積をcm単位(一般に1〜10cmで報告される)で測定し、疾患のあるおよび/または潰瘍のある表面積について、cmで合計を示した。値の組み合わせは、重症度スコアの算出を可能にする[Sostegni et al.2003]。
免疫学
免疫学的検査を、ベースライン時およびその後のすべての来院時(1週目の来院時を除く)にすべての対象に対して、一般的な炎症マーカー、すなわち、CRPおよびESRについて行った。
CDAIスコアの観点からの試験適格性は、スクリーニング来院時のCDAIに基づいた。ベースライン時のヘマトクリットの結果または他のCDAIパラメーターに基づき、CDAIの組み入れ基準を満たしていない対象を、試験から除外することも、代えることもなかった。言うまでもなく、試験の解析を行う時に、ベースラインCDAIを治療前の参照値として使用した。
末梢リンパ球の評価を、すべての対象について、ベースライン時および12週目の来院時に、FACS分析によって行った。末梢リンパ球中のIFN−γの評価を、ベースライン時および12週目に、結腸内視鏡検査/回腸内視鏡検査を受けた対象のサブセットのみにおいて行った。IFN−γアッセイに必要な血液試料に加えて、結腸内視鏡検査/回腸内視鏡検査の間に採取した4つの生検試料が、対象に特異的な抗体を決定するためのアッセイに必要であった。
CRP
C反応性タンパク質(CRP)は、そのレベルが、急な炎症再発の状態下で上昇し、炎症が静まると速やかに正常化する、炎症性メディエーターである。CRPは、炎症疾患の活動性、および治療への応答をモニターするための代用マーカーとして働きうる。
CDを、疾患の性質(disease behavior)、すなわち、主に非狭窄型、非穿通型(炎症性)、狭窄型、または穿通型によって特徴付けうる。主に非狭窄型、非穿通型(炎症性)のCDは、高いCRPレベルを特徴としうる。
文献で報告されている先行の主試験での、中等度から重度のCD対象におけるCRPの濃度の中央値は、9〜12mg/Lであったが、平均濃度は、20〜23mg/Lの値に達した[Colombel et al.2007;Sandborn et al. 2007]。
ESR
赤血球沈降速度(ESR)は、赤血球が1時間で沈降する速度である。それは、炎症の非特異的な測定法である、一般的な血液学的検査である。ESRを使用して、急性期応答を測定し、感染または炎症の存在をスクリーニングし、疾患活動性をモニターする[Vermeire et al.2006]。
インターフェロンγ(IFN−γ)
CDにおいて、異常な免疫応答は、T細胞の増殖、および、免疫応答を拡大するサイトカインを産生するエフェクターT細胞への分化により、Tヘルパー細胞1型によって調節されている。そのようなサイトカインとしては、IFN−γ、インターロイキン2(IL−2)、およびIL−18が挙げられうる。アポトーシスの欠損により、免疫応答の反応が終了せず、結果として、過剰なT細胞応答が継続する。炎症性メディエーター、例えば、TNF−αの広いカスケードは、定量化可能である。
したがって、CDにおける臨床的改善の別の指標は、血清、および細胞内サイトカイン、T細胞サブセットおよび特にIFN−γを含む、循環している血液中の全身的免疫細胞のレベルの修正である[Fuss et al.1996]。潰瘍性大腸炎の腸LP細胞は、IL−5の分泌の増加を示すが、CDのLP細胞は、IFN−γの分泌の増加を示す。したがって、免疫応答をモニターする代用マーカーとして、高感度の酵素結合免疫吸着スポット(ELISPOT)を使用して測定された、IFN−γレベルの低下は、CD患者の免疫状態の改善を示す。その検査は、患者由来の腸タンパク質に応答してIFN−γを分泌するT細胞クローンの数を測定する。
末梢血から単離したリンパ球のFACS分析
制御性T細胞は、CDの発症に重要な役割を果たす。制御性T細胞は、腸性抗原(enteroantigen)に反応する細胞を活発に抑制し、腸の免疫ホメホスタシスの維持に寄与する。異なる制御性T細胞サブセットは、腸の粘膜に共存し、また、大腸炎を防ぐおよび/または治すのに重要であることが分かっている。これらの応答を制御できないと、寛容が破壊され、これは、炎症性腸疾患の進展に関わるメカニズムの1つであると提示されている[Roncarolo et al.2007;Shevach et al.2006;Ochi e al.2006;Schurmann et al.1995]。
血清、および細胞内サイトカイン、T細胞サブセットおよび特にIFN−γを含む、循環している血液中の全身的免疫細胞のレベルの修正は、CDにおける臨床的改善の指標をもたらす。
免疫調節剤の少量投与の経口投与が、これらの制御性T細胞の活性化に有効な手段であることを示す、動物およびヒト試験からの最近の証拠が存在する[Ilan et al.PNAS 2010;Ilan et al.JCI 2010;da Cunha et al.2012;Wu et al.2009]。
PURINETHOL(登録商標)と比較した、DR−6MPの免疫学的効果を決定するために、FACS分析を、すべての対象について、ベースライン時および12週目に採集した末梢血リンパ球で行った。リンパ球を、
− CD4
− CD8
− CD4、CD25
− CD4、CD25、FOXP3
− CD3、CD56
− CD4、CD62、CD127
のレベルを含む、表面マーカーの発現について、Hadassah Medical Center Immunology Laboratoryでテストした。
安全性測定
有害事象(AE)
試験責任医師または被指名者によって観察されたにせよ、対象から聞き出されたにせよ、対象によって自発的に話されたにせよ、ICFの署名から始まったすべての有害な経験を、それらが、試験薬に関係あると判断されるかどうかにかかわらず、対象のCRFにおいて記録した。AEを、それぞれ次の来院時、および対象との任意の電話接触の間に見直し、更新した。
AEの因果関係
試験医師は、AEと試験薬(テストまたは参照)との関係を説明するために、以下の規定を使用した。
− 合理的な可能性がない:このカテゴリーは、慎重な検討の後、明らかに、外的原因(疾患、環境など)によるAE、またはAEを評価するときの慎重な医学的検討の後、試験薬(テストまたは参照)と無関係であると判断されたAEに該当する。
説明:AEが明らかに外的原因によるものであった場合、または以下のもの(それらのうちの少なくとも2つ)の時、有害な経験を、「合理的な可能性がない」と考えてもよかった。
− AEが、試験薬の投与から合理的な時系列に従っていなかった。
− AEが、対象の臨床状態、環境もしくは有毒因子、または対象に施した他の治療法によって、容易にもたらされうる。
− AEが、試験薬に対する既知の応答パターンに従っていなかった。
− 試験薬を再投与した時に、AEが再発または悪化しなかった。
− 合理的な可能性がある:このカテゴリーは、AEを評価するときの慎重な医学的検討の後、試験薬(テストまたは参照)との関連性を、確信をもって除外できなかった、または試験薬と関係すると、高い確信をもって感じたAEに該当する。
説明:AEを、以下のもの(それらのうちの少なくとも2つ)の場合または時、「合理的な可能性」と関係すると考えてもよかった。
− AEが、試験薬の投与から合理的な時系列に従っていた。
− AEを、対象の臨床状態、環境もしくは有毒因子、または対象に施した他の治療法の既知の特徴によって合理的に説明することができなかった。
− AEが、中止または用量の減少時に消失または軽減した。AEが、試験薬の中止時に消失せず、それでも、薬物との関係性が明らかに存在する時、重要な例外が存在する。
− AEが、試験薬に対する既知の応答パターンに従っていた。
検査室の安全性評価
すべての臨床検査を、スポンサーによって選択された中央検査施設である、AMLによって行った。臨床検査を、試験の予定した各来院時(別段の指定のない限り)、および必要に応じて予定外の来院時に行った。
以下の臨床検査を行った。
血清化学:グルコース、ナトリウム、リン、カリウム、尿素、クレアチニン、AST、ALT、GGTP、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、アルブミン、総蛋白、カルシウム、アルカリホスファターゼ、アミラーゼ、総ビリルビン、直接ビリルビン、クレアチニンホスホキナーゼ(CPK)
血液学:赤血球数(CBC)、ヘモグロビン(Hgb)、ヘマトクリット(Hct)、平均赤血球ヘモグロビン(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、平均赤血球容積(MCV)、赤血球分布幅(RDW)、白血球(WBC)数および示差、血小板
凝固パネル(スクリーニング来院時のみ):プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、国際標準比(INR)
一般免疫学(スクリーニングおよび1週目を除く、すべての来院時):CRP、ESR
尿検査:蛋白、グルコース、比重、ケトン、ウロビリノーゲン、ビリルビン、pH、赤血球、白血球、亜硝酸塩
便培養(スクリーニング来院時のみ):腸内病原菌(サルモネラ(Salmonella)、シゲラ(Shigella)、カンピロバクター(Campylobacter)についての便培養、およびクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium Difficile)毒素アッセイ
妊娠検査(スクリーニング時、ベースライン時、および12週目);妊娠する可能性のある女性の血清中ヒトβ絨毛性ゴナドトロピン(HCG)
バイタルサイン
バイタルサイン(体温、脈拍、ならびに収縮期および拡張期血圧)ならびに体重を、すべての試験の来院時に記録した。対象が5分間心地よく休んだ後、血圧と脈拍数を測定した。血圧は、いつも同じ腕、決まって右腕から取ることになっていた。
心電図(ECG)
ECGを、スクリーニング時、ベースライン時、および12週目にとった。その時に、試験医師または資格のある被指名者が、12誘導ECGを評価し(署名および日付入り)、印刷したものを、ソースドキュメントファイルに保存した。
身体検査
すべての試験の来院時に、試験医師または資格のある被指名者が、包括的身体検査を行い、文書に記録した。
6MPの薬物安全性
6MPの薬物安全性担当医師が、すべての臨床検査結果を、特に、WBC、ANC、ALT、AST、直接および総ビリルビンレベルに注意を払いながら、連続的に見直した。
測定項目の適切性
CDAIスコア
CDAIスコアは、薬効を決定するのに使用される主要な臨床的評価であった[Best et al.1976;Sandborn et al.2002]。CDAIスコアは、疾患活動性を測定するための標準化された指標を与え、CDの臨床試験において、最も広く使用されている手段である。CDAIスコアは、CDの徴候および症状、身体検査、ならびにヘマトクリット測定に基づく、有効な加重指数である。
CDEIS
CDEISは、CDにおける粘膜治癒の一般的に認められた臨床的尺度である。結腸内視鏡検査/回腸内視鏡検査により評価される、粘膜炎症の重症度、臨床試験における有効性評価のための、追加の主要なパラメーターといわれている。さらに、一般に、炎症性腸疾患において粘膜組織治癒を誘導する治療の必要性は、疾患活動性を、患者の大腸がんを発症するリスク全体と相関させる最近の報告に照らして、臨床的に意味のあるものになっている。したがって、結腸内視鏡検査/回腸内視鏡検査を受ける意思のある患者のサブセットにおける粘膜治癒の評価を、本試験の副次有効性パラメーターの1つとして含める。この有効性基準は、以前のパイロット実現可能性試験において、DR−6MP対象のCDEISスコアおよび結腸内視鏡検査の説明的報告において、明々白々であった。
免疫学的バイオマーカー
血清、および細胞内サイトカイン、T細胞サブセットおよび特にIFN−γを含む、循環している血液中の全身的免疫細胞のレベルの修正は、CDにおける臨床的改善の指標をもたらす。
安全性評価
試験のために選択した安全性パラメーターは、この指標/患者集団にとって標準的である。標準のAEおよびSAEに加えて、本発明者らは、CD特異的肝毒性、白血球減少症、膵炎、およびそれらの関連検査室、ならびに体重変化を見た。
主要有効性項目
主要有効性項目は、12週目での臨床反応であった。主要エンドポイント時点としての12週間の選択は、PURINETHOL(登録商標)についての予想治療応答時間を述べるために、特に、試験責任医師の要望で行った、標準の試験デザインからの逸脱であった。テスト薬の薬力学的特性に基づき、約4〜8週間の期間内に臨床的寛解(すなわち、150未満のCDAIを2週間維持する)を得た患者の割合は、活動性CDの短期治療を正当化するための適切な主要エンドポイントである。言うまでもなく、本試験について、12週間の治療期間を選択した。なぜなら、標準的な6MP(PURINETHOL(登録商標))は、典型的には、作用の発現が遅く、CDにおける治療効果が明らかになる前に、約3〜4か月の投与を要するからである。したがって、試験を、治療間の治療効果(寛解/臨床反応)の差、ならびに各治療群について治療効果を得る時間の両方を評価するように適切に設計した。
試験対象
対象の内訳
対象の内訳を表5に示す。70人の対象を、本試験に登録し、無作為割付した。46人の対象を、DR−6MP治療群に無作為割付し、24人を、PURINETHOL(登録商標)治療群に無作為割付した。DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療群から、それぞれ、26人(56.5%)および13人(54.2%)の対象が、試験を完了し、DR−6MP治療群からの6人の対象を、試験から除外し、そのうち2人(4.3%)は、80mg以外のDR−6MP用量を与えられていたので除外した。4人(8.7%)は、治療を開始しなかったので除外した。
表5:対象の内訳
DR−6MP治療群からの14人の対象(30.4%)、およびPURINETHOL(登録商標)治療群からの11人の対象(45.8%)は、試験への参加を早期に中止した。このうち、DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療群から、それぞれ、10人の対象(25.0%)および7人の対象(29.2%)は、AEを理由に中止し、PURINETHOL(登録商標)治療群からの1人の対象(4.2%)は、ノンコンプライアンスを理由に中止し、各治療群からの1人の対象は、追跡不能であり、DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療群から、それぞれ、3人の対象(7.5%)および2人の対象(8.3%)は、試験への参加の同意を撤回した(表6)。
表6:早期中止の理由
解析したデータセット
以下の集団を、統計的解析のために規定した。
− 治療企図(ITT)集団:64人の対象(DR−6MP治療群における40人の対象、およびPURINETHOL(登録商標)治療群における24人の対象;表7)。
− 安全性集団を、ITT集団と規定した。
− パープロトコール集団(PP):37人の対象(DR−6MP治療群における25人の対象、およびPURINETHOL(登録商標)治療群における12人の対象;表7)。
− 修正治療企図集団(mITT)は、すべてのPP対象、ならびに最終観察としてLast Observation Carried Forward(LOCF)を用いた、6週目/後に(来院7)、および8週目/後に(来院8)脱落した患者を含む。それらの集団を、mITT1(6週目)およびmITT2(8週目)と名付けた。
表7:試験の解析集団
人口統計学的および他のベースライン特性
試験対象の人口統計学的およびベースライン特性は、両治療群間で類似した(表8)。すべての試験対象は、黒人である、DR−6MP治療群からの1人の対象を除いて、白人であった。スクリーニング時の試験対象の平均年齢は、DR−6MP治療群において、35.5±11.4歳(範囲:18.4〜54.6)、PURINETHOL(登録商標)治療群において33.7±12.5歳(範囲:19〜64.1)であった。DR−6MP治療群からの19人の対象(47.5%)、およびPURINETHOL(登録商標)治療群からの15人の対象(62.5%)は、女性であった。CDにおけるこの女性優位を、先行のコホート研究で実証した。女性対象のほとんどは、閉経前であり、すべての閉経前の女性は、避妊方法を使用した。
表8:試験集団のベースライン特性
CD歴
CD診断時の平均年齢は、DR−6MP治療群における対象について、27.6±11.6歳(8.6〜53.7の範囲)、PURINETHOL(登録商標)治療群における対象について28.2±13.1歳(10.8〜61.9の範囲)であった。DR−6MP治療群において、PURINETHOL(登録商標)治療群と比較して、より高い割合の患者が、新たに診断された患者(それぞれ、37.5%対25.0%)および10年を超えて疾患を有する患者であった(それぞれ、35.0%対20.8%;表9)。
表9:ベースライン時の疾患診断からの時間
DR−6MP治療群およびPURINETHOL(登録商標)治療群において、似たような割合の患者を、5−アミノサリチル酸(5−ASA)を併用して治療した(それぞれ、35.0%および37.5%)。DR−6MP治療群における1人の患者が、抗生物質依存であり、各治療群からの5人の患者(DR−6MP治療群において12.5%の患者、およびPURINETHOL(登録商標)治療群において20.8%の患者)が、ステロイド依存であった(表10)。
表10:ベースライン時の併用のCD関連医薬品
治療コンプライアンスの測定
全体のコンプライアンス率は、DR−6MP治療群において97.4%±4.9(N=35)であり、PURINETHOL(登録商標)治療群において97.5±4.2(N=23)であった。
有効性の評価
有効性の分析
主要有効性エンドポイント
試験の間のCDAIスコア−ITT集団
ITT集団は、対象試験番号を受け、インフォームドコンセント用紙に署名し、試験薬を少なくとも1回投与された、すべての64人の無作為割付した/登録患者(DR−6MP治療群における40人の対象、PURINETHOL(登録商標)治療群における24人の対象;表7)を含んだ。
試験の来院の間のITT集団の平均CDAIスコアを、表11および図1に示す。ベースラインからのCDAIスコアの低下を、両方の治療群において観察した。8週目で、治療群間で、CDAIスコアの有意な差を観察した(ベースラインCDAIを調整したANCOVAにより、p=0.0178)。
表11:試験の間のCDAIスコア(ITT集団)
DR−6MP治療群において、CDAIスコアの統計学的に有意な相対的低下を、ベースラインから8週目(−36.7%±24.5、p<0.0001)、およびベースラインから12週目(−36.4%±32.6、p<0.0001)で観察した。PURINETHOL(登録商標)治療群において、ベースラインから8週目のCDAIスコアの相対的低下は、統計学的に有意ではなかったが、ベースラインから12週目の相対的低下は、統計学的に有意であった(−35.8%±31.2、p=0.0034)。2つの治療群間の比較は、ベースラインからのCDAIの変化および相対的変化が、8週目を除くすべての試験の来院の間、同様であり、8週目において、CDAIスコアの変化および相対的変化が、PURINETHOL(登録商標)治療群と比較して、DR−6MP治療群においてはより大きいこと(ベースラインから8週目のCDAIスコアの絶対的変化の差および相対的変化の差について、ベースラインCDAI、年齢、性別およびベースライン体重を調整したANCOVAにより、それぞれ、p=0.0424およびp=0.0130;表12ならびに図2および3)を示した。
表12:ベースラインからのCDAIスコアの変化(ITT集団)
試験の間のCDAIスコア−PP集団
試験の来院の間のPP集団の平均CDAIスコアを図4に示す。ベースラインからのCDAIスコアの低下を、両方の治療群から観察した。
ベースラインからPP集団の試験の各来院時のCDAIスコアの変化を、図5に示し、ベースラインからPP集団の試験の各来院時のCDAIスコアの相対的変化を、図6に示す。2つの治療群間の比較は、PP集団のベースラインからのCDAIの変化および相対的変化が、8週目を除くすべての試験の来院の間、同様であり、8週目において、ベースラインからのCDAIスコアの相対的変化の差が、PURINETHOL(登録商標)治療群と比較して、DR−6MP治療群においてより大きい変化の傾向を示すこと(p=0.0703;図6)を示した。
主要有効性エンドポイント
12週目で臨床反応を有する対象の割合−ITT集団
DR−6MP治療群およびPURINETHOL(登録商標)治療群からの、似たような割合の対象が、12週間の治療後に、臨床反応(それぞれ、53.6%および61.5%、p=0.6324)、応答(それぞれ、50.0%および53.8%、p=0.8187)、ならびに寛解(それぞれ、46.4%および38.5%、p=0.6324)を有しており(表13および図7)、そのことは、PURINETHOL(登録商標)に対する、DR−6MP80mgの臨床的非劣性を示す。
表13:12週目で臨床反応を有する対象の割合(ITT集団)
12週目で臨床反応を有する対象の割合−PP集団
DR−6MP治療群およびPURINETHOL(登録商標)治療群において、似たような割合の対象が、12週間の治療後に、臨床反応(それぞれ、60.9%および66.7%)、応答(それぞれ、56.5%および58.3%)、ならびに寛解(それぞれ、52.2%および41.7%)を有した(表14および図8)。
表14:12週目で臨床反応を有する対象の割合(PP集団)
12週目で臨床反応を有する対象の割合−mITT1集団
mITT1集団を、PP集団、ならびに最終観察としてLOCFを用いた、6週目/後に脱落した患者と規定した。
DR−6MP治療群およびPURINETHOL(登録商標)治療群からの、同じ割合の対象が、12週間の治療後に、臨床反応(62.5%)を有し、似たような割合が、応答(それぞれ、58.3%および56.3%)、ならびに寛解(それぞれ、50.0%および43.8%)を有した(表15)。
表15:12週目で臨床反応を有した対象の割合(mITT1集団)
12週目で臨床反応を有する対象の割合−mITT2集団
mITT2集団を、PP集団、ならびに最終観察としてLOCFを用いた、8週目/後に脱落した患者と規定した。
DR−6MP治療群およびPURINETHOL(登録商標)治療群からの、似たような割合の対象が、12週間の治療後に、臨床反応(それぞれ、62.5%および61.5%)、応答(それぞれ、58.3%および53.8%)、ならびに寛解(それぞれ、50.0%および38.5%)を有した(表16)。
表16:12週目で臨床反応を有した対象の割合(mITT2集団)
副次有効性エンドポイント
臨床反応までの時間−ITT集団
臨床反応(CDAIの100ポイントの低下または150未満のCDAIスコア)を最初に得た対象の割合は、両方の治療群で、2、4、6および12週目において類似した。8週目において、DR−6MP治療群における、臨床反応を有する対象の割合が、PURINETHOL(登録商標)治療群と比較して高い傾向を観察した(それぞれ、48.3%対21.4%、p=0.0915;表17、図9)。したがって、DR−6MPは、PURINETHOL(登録商標)よりも4週早く、臨床効果を誘導した。
表17:週および治療ごとの、臨床反応を有する対象の割合(ITT集団)
応答までの時間−ITT集団
応答(CDAIの100ポイントの低下)を最初に得た対象の割合は、両方の治療群で、4、6および12週目において類似した。2および8週目において、DR−6MP治療群における、応答を有する対象の割合が、PURINETHOL(登録商標)治療群と比較して高い傾向を観察した(2週目で、それぞれ、15.2%対0%、p=0.0515;8週目で、それぞれ、48.3%対21.4%、p=0.0915;表18、図9)。したがって、DR−6MPは、PURINETHOL(登録商標)と比較して、より早く応答を誘導した。
表18:週および治療ごとの、応答を有する対象の割合(ITT集団)
2、4,6、8および12週目での臨床的寛解(150未満のCDAIスコア)までの時間−ITT集団
臨床的寛解(150未満のCDAIスコア)を有する対象の割合は、両方の治療群で、2、4、6および12週目において類似した。8週目で、臨床的寛解を有する対象の割合は、DR−6MP治療群において、PURINETHOL(登録商標)治療群と比較して統計的に有意に高かった(それぞれ、34.5%対なし、p=0.0121;表19、図9)。
表19:週および治療ごとの、臨床的寛解(150未満のCDAIスコア)を有する対象の割合(ITT集団)
連続する2回の来院について寛解を維持している患者の割合
テスト薬の薬力学的特性に基づき、約4〜8週間の期間内で、寛解を維持している(すなわち、150未満のCDAIを2週間維持している)患者の割合は、活動性CDの短期間の治療を正当化するための適切な主要エンドポイントである。
下表に示す通り、6週目および8週目、ならびに8週目および12週目の連続する2回の来院について寛解を得たDR−6MP治療群における患者の割合は、同じ期間の間にPURINETHOL(登録商標)治療群において寛解を得た患者の割合よりも統計学的に有意に高い(それぞれ、0.0445および0.0477;表20および図10)。
表20:連続する2回の来院について寛解(150未満のCDAI)を維持している対象の割合
4、6、8および12週目で、ステロイド救済療法なしで臨床的寛解または応答を得た対象の割合
試験開始の少なくとも2週間後、PIが決定した通り、症状の軽減を必要とする対象のために、試験の間、救済療法を許可した。ステロイド救済治療(40〜60mg/日の開始用量の経口プレドニゾン)を、ステロイド漸減レジメンに従って、ステロイド救済を必要とするすべての対象が、12週目の最終来院時にステロイドフリーとなるように、2週目から6週目までに開始することを許可した。DR−6MP80mg治療群における1人の対象だけが、ステロイド救済オプションを使用した。PURINETHOL(登録商標)治療群における追加の対象は、ステロイド救済療法を処方されたが、ステロイドを服用しなかった。4、6、8および12週目で、ステロイド救済療法なしで臨床反応的寛解または応答を得た対象の割合は、最初に臨床反応を得た対象の割合が、両方の治療群において、2、4、6および12週目で類似した、ITT集団の場合と同じままであった。8週目で、DR−6MP治療群における、臨床反応を有する対象の割合が、PURINETHOL(登録商標)治療群と比較して高い傾向を観察した(それぞれ、48.3%対21.4%、p=0.0915;表17、図9)。
以下の項は、患者のサブセットにおける、ベースラインから12週目のCDAIスコアの変化の分析を説明する。
12週目でのCDAIスコアに対する、先行するチオプリンによる治療の失敗の影響
以前のチオプリン治療で、重篤な有害事象(例えば、重度の膵炎、重度の白血球減少症、重度の肝毒性または骨髄抑制)を経験した患者を、患者の安全を確実にするために試験に含めず、除外基準#17に記した通り、そのような患者は、任意の用量のいかなる付加的な6−メルカプトプリン治療からも除外することとなった。しかし、臨床的有用性の欠如または非重篤有害事象の発生のいずれかを理由とする、先行するチオプリンの治療による失敗の経験を有する患者を、試験に含めた。対象の安全を確実にするために、臨床的有用性の欠如または非重篤有害事象の発生のいずれかを理由とする、先行するチオプリンの治療による失敗を有する患者を、DR−6MP治療群のみに割付した。これは、DR−6MPが、ごくわずかな全身レベルしか有しないにもかかわらず有効であり、したがって、その作用機序が、有効性を得るために、十分に高い全身蓄積レベルを必要とする、標準の6MP(PURINETHOL(登録商標))の作用機序と異なるという推定に基づいた。したがって、そのような対象は、先行するチオプリンの治療による失敗にもかかわらず、DR−6MP治療から利益を得うるかどうかを評価するために、DR−6MP治療群のみに割付した。
以前チオプリン治療を失敗したことのない、DR−6MP80mg治療群における患者は、ベースラインと12週目との間で、CDAIスコアの統計学的に有意な減少を示した(CDAIスコアの絶対的変化について、p=0.0002、およびCDAIスコアの絶対的変化について、p=0.0001、表21)。統計学的に有意な減少を、以前チオプリン治療を失敗した患者のサブセットにおいても、ベースラインと12週目との間で観察した(p=0.0078、表21)。患者のこれら2つのサブセット間の、ベースラインから12週目のCDAIスコアの変化の比較は、2群間の統計学的に有意な差を示さなかった。この分析の結果は、先行するチオプリンの治療による失敗を有する患者でさえも、DR−6MPによる治療から利益を受けることができたことを示す。
このサブセットにおける11人の患者のうち、6人は、治療法での以前の試みにおいて、PURINETHOL(登録商標)に応答したことがなく、1人は、アザチオプリンに応答しないことが分かっており、1人は、肝機能検査の結果(LFT)の上昇により、先行のPURINETHOL(登録商標)投与を中止していて、1人は、LFTの上昇により、アザチオプリン療法の用量を減らさなければならなったことがあり、1人は、アザチオプリンに対するアレルギー反応により中止し、1人は、PURINETHOL(登録商標)を継続している間に膵炎の発作を有した。
表21:先行のチオプリンの治療による失敗を有する患者と、他のDR−6MPの患者との間の、ベースラインから12週目のCDAIスコアの変化の比較
以前のチオプリン治療に対する臨床反応を経験しなかった、チオプリンの治療による失敗のサブセットにおける患者の群は、投与開始の12週間後、ベースラインに対して、IBDQスコアが、平均して24(N=3)増加した。データを利用できる、この群におけるこれらの患者で、同じ参照および時間枠を使用して、インターフェロンγレベルの156%の増加(N=1)、CRPレベルの18%の増加(N=3)、ESRレベルの2%の減少(N=3)、およびCD62+レベルの1.8%の減少(N=3)を記録した。WBC数は、1.3%増加した(N=3)。
有害事象を経験した、チオプリンの治療による失敗のサブセットにおける患者の群も、プラスの結果を見せた。利用可能なデータを有する1人の患者は、投与開始の12週間後、ベースラインに対して、IBDQスコアが93ポイント増加した。この群における患者からの利用可能なデータも、同じ参照および時間枠を使用して、インターフェロンγレベルの70%の減少(N=1)、CRPレベルの6%の減少(N=2)、ESRレベルの31%の減少、およびCD62+レベルの1.9%の減少(N=2)を示した。WBC数は、24.8%増加した。これらの結果は、DR−6MP投与の利益が、チオプリンの治療による失敗のサブセット内の単一の群に限定されないことを示している。
任意の5−ASA薬により治療された患者の、ベースラインからのCDAIスコアの変化
安定して(スクリーニング前の少なくとも2週間)5−ASAを継続している患者は、試験中ずっと、その薬物用量でそのまま継続した。5−ASA化合物は、CD治療に対して適応がないが、臨床診療において、活動性CDの治療に一般に使用されている。5−ASAは、有効性が限られているので、本試験の有効性評価を妨げなさそうであった。
患者のこのサブセットにおいて、CDAIスコアは、両方の治療群において、ベースラインと12週目との間で減少(改善)し、DM−6MP+5−ASA治療群においては有意に減少し(p=0.0391)、PURINETHOL(登録商標)+5−ASA治療群においては、改善の傾向があった(p=0.0625)。ベースラインと12週目との間のCDAIスコアの変化は、この治療群間の患者のサブセットにおいて、統計学的に有意ではなかった(表22)。
表22:任意の5−ASA薬により治療された患者における、ベースラインから12週目までのCDAIスコアの変化の比較
このサブグループにおける患者について、利用可能なデータは、投与開始から12週間後、ベースラインに対して、CDEISスコアの21の減少(N=20)、およびIBDQの平均33.6ポイントの増加(N=8)を示した。これらの患者はまた、同じ参照および時間枠を使用して、インターフェロンγレベルの平均15.5%の減少(N=2)、CRPレベルの15.5%の減少(N=2)、ESRレベルの8.9%の減少(N=8)、およびCD62+レベルの11.2%の増加(N=8)を記録した。WBC数は、10.6%減少した(N=10)。そのデータは、CDAIスコアが、結果として、このサブグループについてDR−6MP投与の有効性を示すことを裏付ける。
ステロイド/持続的抗生物質薬によって治療された患者における、ベースラインから12週目のCDAIスコアの変化の比較
PIによってステロイド依存または抗生物質依存であると判断された対象を、対象が安定用量を継続し(スクリーニング前の2週間以上)、試験中ずっと、その用量を継続することを条件に、低用量経口ステロイドまたは抗生物質を継続しながら、本試験に登録することを許可した。経口ステロイドについて、低用量とは、プレドニゾロン1日15mg以下、またはブデゾニド1日6mg以下である。一定のステロイドまたは抗生物質治療にもかかわらず、CDAIスコアが220〜450である、活動性CDを有するこれらの対象を本試験に登録したことは、これらの対象において、これらの治療薬が、寛解導入の薬剤ではないことを示す。むしろ、これらの対象において寛解または臨床反応を誘導する臨床的有効性を、付加療法として、いずれかの治療群(DR−6MPまたはPURINETHOL(登録商標))に加えた後に評価した。
PURINETHOL(登録商標)治療群においては見られなかった、ベースラインと12週目との間のCDAIスコアの統計学的に有意な減少を、DR−6MP治療群において観察した(絶対的変化および相対的変化について、p=0.0313)。しかし、治療群間の差は、統計学的に有意ではなかった(表23)。
表23:ステロイド/一定の抗生物質薬によって治療された患者における、ベースラインから12週目のCDAIスコアの変化の比較
ステロイドを併用投与されていたこのサブセットにおける患者について、利用可能なデータは、投与開始から12週間後、ベースラインに対して、CDEISスコアの10.8の減少(N=1)、およびIBDQの平均32ポイントの増加(N=3)を示した。これらの患者はまた、同じ参照および時間枠を使用して、インターフェロンγレベルの47%の減少(N=1)、CRPレベルの平均49%の減少(N=4)、ESRレベルの36%の減少(N=4)、およびCD62+レベルの2.3%の減少(N=3)を記録した。WBC数は、1.3%増加した(N=4)。
抗生物質を併用投与されていたこのサブセットにおける患者(N=1)についても、データは、有用性も示した。この患者は、投与の開始から12週間後、ベースラインに対して、IBDQの95ポイントの増加、インターフェロンγレベルの49.7%の減少、CRPレベルの17.9%の減少、ESRレベルの25%の減少、およびCD62+レベルの8%の減少を記録した。この患者はまた、同じ参照および時間枠を使用して、WBCの0.67%の減少を記録した。その利用可能なデータは、併用的なDR−6MP投与が、ステロイドまたは抗生物質を併用投与されている患者にとって有益であることを示している。
ベースラインと12週目との間のIBDQスコアの変化
IBDQは、社会的、全身的、および感情的症状、ならびに腸関連症状の要素を使用して、患者のクオリティ・オブ・ライフを評価する。より高いスコアは、より良いクオリティ・オブ・ライフを示す。
IBDQスコアは、両方の治療群において、ベースラインと12週目との間で優位に増加し(DR−6MPについてp<0.0001、PURINETHOL(登録商標)についてp=0.0134)、6MPについて、より高い増加を観察したが、増加の程度は、両方の治療群において、類似した(表24および図11)。
表24:ベースラインと12週目との間のIBDQスコアの変化(ITT集団)
治療への応答および治療による、ベースラインから12週目のIBDQスコアの変化の比較
12週目での治療および治療への応答による、ベースラインから12週目の間のIBDQスコアの変化の比較は、非応答者でさえ、PURINETHOL(登録商標)で治療された非応答者と比較して、DR−6MPによる12週間の治療後のIBDQスコアの改善(p=0.0127)を有することを明らかにした(表25)。
表25:12週目での治療および治療への応答による、ベースラインから12週目の間のIBDQスコアの変化(ITT集団)
ベースラインから12週目のCDAIスコアの減少は、両方の治療群において、IBDQスコアの増加に関連した。すなわち、ベースラインと12週目との間のCDAIスコアの変化は、両方の治療群において、IBDQスコアの変化とマイナスに相関した(DR−6MP治療群において、r=−0.6079、p=0.0008、PURINETHOL(登録商標)治療群において、r=−0.7036、p=0.0107;図12)。
同様に、ベースラインから8週目のCDAIスコアの減少は、DR−6MP治療群において、IBDQスコアの増加に関連した。すなわち、ベースラインと8週目との間のCDAIスコアの変化は、IBDQスコアの変化とマイナスに相関した(r=−0.5143、p=0.0061)。その一方で、PURINETHOL(登録商標)治療群において、そのような相関関係を観察しなかった(図13)。
炎症マーカーの変化の分析
全身免疫マーカーの変化は、有効性の尺度である。PURINETHOL(登録商標)が、全身免疫マーカーへの効果を有すると予想したので、局所に送達されるDR−6MPの、これらのマーカーに対する効果の評価を行った。
CRP
CRPは、その血中レベルが、急な炎症再発の状態下で上昇し、炎症が静まると速やかに正常化する、炎症性メディエーターである。CRPは、炎症性疾患の活動性、および治療への応答をモニターするための代用マーカーとして働きうる。
6週目から12週目で、CRPレベルは、DR−6MP治療群において、ベースラインから有意に減少した。PURINETHOL(登録商標)治療群において、8週目の来院を除き、各試験の来院時に、CRPレベルのベースラインからの有意な減少が存在した。CRPレベルの減少の程度は、2つの治療群間で類似した(表26および図14)。これらの結果は、DR−6MPは、局所送達薬であるが、全身に作用するPURINETHOL(登録商標)と類似の、CRPの全身レベルを減少させる効果を有することを示している。
表26:治療および来院ごとのCRPの変化の分析(ITT集団)
ESR
ESRは、感染または炎症の存在を測定し、疾患活動性をモニターするために使用される、炎症の非特異的指標である。
6週目から12週目で、ESRレベルは、DR−6MP治療群において、ベースラインから有意に減少したが、PURINETHOL(登録商標)治療群において、ベースラインから12週目の来院でのみ、ESRレベルの有意な減少が存在した。ESRレベルの減少の程度は、2つの治療群間で類似した(表27および図15)。この結果は、局所作用性のDR−6MPが、この場合にも炎症マーカーへの全身的効果を有することを示している。
表27:治療および来院ごとのESRの変化の分析(ITT集団)
FACSの免疫学的パラメーターおよびIFN−γ
IFN−γのElispotアッセイ
IFN−γは、免疫応答をモニターするための代用マーカーとして働く。CD患者は、一般的に、IFN−γレベルの増加を示すので、減少は、CD患者の免疫状態の改善を示す。IFN−γのElispotアッセイは、患者由来の腸タンパク質に応答してIFN−γを分泌するT細胞クローンの数を測定する。したがって、IFN−γレベルは、結腸内視鏡検査を受け、患者に特異的な抗原を有する生検試料を提供した患者においてのみ評価することができた。各治療群において、そのような患者の数は少なかったので、治療群内または治療群間のいずれかでの、ベースラインから12週目の来院での変化に関して、統計的な評価を行うことはできなかった。しかし、少数の患者の試料において、IFN−γレベルは、ベースラインと12週目との間で、DR−6MP治療群において減少し、PURINETHOL(登録商標)治療群において増加したことが分かった(表28および図16)。
表28:ベースラインから12週目までの、治療によるIFN−γ分泌T細胞クローンの変化(ITT集団)
FACSの免疫学的パラメーター
制御性T細胞は、CDの発症に重要な役割を果たす。制御性T細胞は、腸性抗原に反応する細胞を活発に抑制し、血中および腸の免疫ホメホスタシスの維持に寄与する。異なる制御性T細胞サブセットは、腸の粘膜に共存し、また、大腸炎を防ぐおよび/または治すのに重要であることが分かっている。これらの免疫応答を制御できないと、寛容が破壊され、これは、炎症性腸疾患の進展に関わるメカニズムの1つであると提示されている[Fuss et al.1996;Foncarolo et al.2007;Shevach et al.2006;Ochi et al.2006]。免疫調節剤の少量投与の経口投与が、これらの制御性T細胞の活性化、および/または免疫介在性障害の発症に関係するT細胞サブセットの変化に有効な手段であることを示す、動物およびヒト試験からの最近の証拠が存在する[Schurmann et al.1995;Ilan et al.PNAS 2010;Ilan et al.JCI 2010;da Cunha et al.2012;Wu et al.2009]。PURINETHOL(登録商標)と比較した、DR−6MPの免疫学的効果を決定するために、FACS分析を、すべての対象について、ベースライン時および12週目に採集した末梢血リンパ球で行った。
DR−6MP80mgは、FACS分析により測定した通り、末梢血T細胞でのCD62+発現の減少をもたらしており、そのことは、炎症部位へのリンパ球の付着の減少を示唆している。それに対して、PURINETHOL(登録商標)は、CD62+発現の増加をもたらした。
DR−6MP80mgによる治療はまた、CD4+CD25+Foxp3+、およびCD3+CD56+の発現の減少をもたらしたが、これらのパラメーターは、PURINETHOL(登録商標)治療群において増加した。
CD4+CD62+CD127+は、DR−6MP治療群において増加し、PURINETHOL(登録商標)治療群において減少した。両治療は、CD4+/CD8+比の増加をもたらし、PURINETHOL(登録商標)は、DR−6MPと比較して、わずかに多い増加をもたらした。両治療は、CD4+CD25+レベルの減少をもたらし、DR−6MPは、PURINETHOL(登録商標)と比較して、より大きい減少をもたらした(表29および図17)。
これらの結果は、DR−6MPは、全身の免疫学的プロファイルが、PURINETHOL(登録商標)のものと異なることを示し、そのことは、その作用機序も同様に、おそらく異なることを示唆している。
表29:ベースラインと12週目との間の、治療によるFACSの免疫学的パラメーターの変化の分析(ITT集団)
粘膜治癒
結腸内視鏡検査/回腸内視鏡検査により評価される、粘膜炎症の重症度は、臨床試験における有効性評価のための、追加の主要なパラメーターといわれている。臨床的寛解および粘膜治癒の組み合わせが、CD治療の主要な目標である。加えて、一般に、炎症性腸疾患において粘膜組織治癒を誘導する治療の必要性は、疾患活動性を、患者の大腸がんを発症するリスク全体と相関させる最近の報告に照らして、臨床的に意味のあるものになっている。したがって、粘膜治癒の評価を、本試験の副次有効性パラメーターの1つとして含めた。PIの同意の下、ベースライン時および12週目にそれらの検査を受けることに同意した患者のサブセットのみを、このパラメーターの分析に含めた。
結果として、4人の対象のみ、すなわち、DR−6MP治療群における3人、およびPURINETHOL(登録商標)治療群における1人が、比較のための、治療前と治療後の両方の結腸内視鏡検査データを与えた。別の対象群、すなわち、DR−6MP治療群からの11人、およびPURINETHOL(登録商標)治療群からの2人は、治療前または治療後のいずれかの結腸内視鏡検査データを与えた。したがって、自身の対照である対象が非常に少なく、それら自身の対照との比較でではなく、治療前と治療後の両方の結腸内視鏡検査のプールしたデータしか与えることができない対象が存在したので、その粘膜データで統計学的分析を行うことができず、結果しか以下に詳細に記述することができない。表30は、治療前と治療後の両方の結腸内視鏡検査データを有する4人の対象を示す。
表30:治療前および治療後に結腸内視鏡検査を受けた患者のCDEIS
DR−6MPにより治療した3人の対象のうちの2人について、CDEISスコアの減少によって分かる通り、粘膜治癒の証拠が存在した。PURINETHOL(登録商標)の1人の対象においても、12週間の治療後の、CDEISスコアの減少が存在した。
両方の治療群について、治療前および治療後の対象のCDEISスコアの比較、およびCDAIスコアの比較は、12週目で粘膜治癒を示す、また、12週目で臨床反応または寛解を示す対象との相関性を示すが、粘膜治癒の証拠を示さなかった1人の対象は、臨床的有効性も示さなかった。
表31:治療前および治療後に結腸内視鏡検査を受けた患者の12週目でのCDAIスコアおよび臨床状態
8週目でのこれらの対象のCDAIデータを見ると、DR−6MP群における、12週目での非応答者は、それよりも前の時点でも同様に応答を示さなかったが、DR−6MPコホートにおいて、12週目に臨床反応(応答または寛解)を示した対象は、8週目にも臨床反応(応答または寛解)を示したことが注目される。それに対して、PURINETHOL(登録商標)の対象は、12週目で寛解を示したが、同じ対象について、8週目での臨床反応または寛解は、存在しなかった(表32)。
表32:治療前および治療後に結腸内視鏡検査を受けた患者の8週目でのCDAIスコアおよび臨床状態
プールした結腸内視鏡検査データ
DR−6MP治療群−7人の対象が、治療前のCDEISスコアを与え、4人の対象が、治療後、すなわち、12週目のCDEISスコアを与えた。
PURINETHOL(登録商標)治療群−1人の対象が、治療前のCDEISスコアを与え、1人の対象が、治療後、すなわち、12週目のCDEISスコアを与えた。それらは、以下の表33および表34に示した通りである。
表33:治療前に結腸内視鏡検査を受けた患者の治療前のCDAIおよびCDEIS
表34:治療後に結腸内視鏡検査を受けた患者の12週目でのCDAIおよびCDEIS
DR−6MPの7人の対象の治療前の、プールしたCDEISデータの平均(58.4)対DR−6MPの4人の対象の治療後の、プールしたCDEISデータの平均(15.0)を見ると、CDEISの改善が示唆されている。同様に、DR−6MPの同じ7人の対象の治療前の、プールしたCDAIデータの平均(290)対DR−6MPの同じ4人の対象の治療後の、プールしたCDAIデータの平均(140)を見ると、同じ程度に、臨床反応/寛解が示唆されている。
体重およびBMIの変化
体重は、バイタルサインの一部として測定され、体重の減少が疾患の特徴の1つであるクローン病患者の場合、通常、安全性パラメーターとして含まれるが、予想される体重減少の変化を、臨床有効性のパラメーターであると考えるべきである。したがって、体重およびBMIの変化に関する項を、臨床有効性の分析に含めている。12週間の治療の間、DR−6MP治療群において、体重(表35および図17)ならびにBMI(表36および図18)は増加したが、PURINETHOL(登録商標)治療群において、両方のパラメーターは減少した。ベースラインから各試験の来院時の体重およびBMIの変化の、治療群間の比較は、8週目で、2つの治療群間の統計学的有意差を示した(中央値検定により、p=0.0121)。
表35:治療および来院ごとの体重の変化の分析(ITT集団)
表36:治療および来院ごとのBMIの変化の分析(ITT集団)
有効性の結論
12週間の治療後、DR−6MP80mgは、PURINETHOL(登録商標)に対して非劣性であった。CDAIスコアは、両方の治療群で、同じような程度に減少し、同じような割合の対象が、臨床反応、応答、および寛解を達成した。しかし、DR−6MP治療群において、より高い割合の患者が、8週目で臨床反応および臨床的寛解を達成し、ベースラインから8週目のCDAIスコアの変化は、PURINETHOL(登録商標)よりも大きい。これらの結果は、DR−6MP80mgで治療した患者が、PURINETHOL(登録商標)で治療した患者よりも4週間早く臨床効果に達したことを示唆する。さらに、6週目からの連続した2回の来院について、PURINETHOL(登録商標)で治療した患者と比較して、DR−6MP治療群において、有意により高い割合の患者が寛解を達成した。
CDAIの臨床的有効性の発見の当然の結果として、「クオリティ・オブ・ライフ」を、IBDQを使用して評価した。IBDQスコアは、PURINETHOL(登録商標)と比較して、DR−6MP群において、より大きな変化を示しながら、両方の治療群において、ベースラインと12週目との間でかなり改善しており、そのことは、患者のクオリティ・オブ・ライフの改善を示している。さらに、治療に対する非応答者でさえ、IBDQスコアがベースラインから12週目で有意に変化しなかった、PURINETHOL(登録商標)で治療した非応答者と比較して、DR−6MPによる12週間の治療後に、改善したIBDQスコア(p=0.0127)を有した。
8週目でのCDAIスコアと、治療終了後のIBDQスコアとの相関性を調べると、12週目にDR−6MP治療群において示されたIBDQの改善は、8週目で観察したCDAIの改善によって「予想された」ことが明らかとなった。PURINETHOL(登録商標)群について、そのような相関性を見出さなかった。
対象の何人かを、試験期間の間、テストまたは参照薬を併用して、5−ASAまたはステロイド/一定の抗生物質などの補助治療によって治療した。両方のサブセットにおいて、ベースラインから12週目のCDAIの有意な減少が、DR−6MP治療群において見られた。このことは、DR−6MPが、併用療法として与えられたにせよ、単剤療法として与えられたにせよ、有効性を示すことを示している。
以前にチオプリンの治療を失敗した患者のサブセットにおいて、ベースラインと12週目との間で、CDAIスコアの統計学的に有意な減少を観察した。この解析の結果は、先行するチオプリンの治療による失敗を有する患者でさえも、DR−6MPによる治療から利益を受けることができたことを示す。
ステロイド救済療法は、各治療群から1名の患者に必要とされ、いずれの治療群においても、臨床成果に影響を与えなかった。
CDは、免疫関連疾患であるので、免疫学的プロファイルの変化を、臨床的有効性と相関させることができる。両方の治療群の間で同じような、一般的な全身免疫マーカー、すなわち、CRPおよびESRの減少を観察したが、PURINETHOL(登録商標)群で、より大きい減少が示された。PURINETHOL(登録商標)治療群において、この結果を予期していたが、局所送達薬による全身発現は、重要な発見である。
IFN−γは、免疫応答をモニターするための代用マーカーとして働く。しかし、IFN−γレベルは、結腸内視鏡検査を行った患者でしか評価できなかった。各治療群において、そのような患者の数が少なかったので、治療群内または治療群間で、ベースラインから12週目の来院での変化に関して、統計的評価を行うことができなかった。しかし、患者由来の腸タンパク質に応答してIFN−γを分泌するT細胞の数は、PURINETHOL(登録商標)治療群においては、増加したが、DR−6MP治療群においては減少したことを示しており、その減少は、CD患者の免疫状態の改善を示している。
DR−6MPは、FACS分析で測定した通り、CD特異的免疫マーカーの、PURINETHOL(登録商標)のものとは異なる免疫学的プロファイルを誘導した。例えば、DR−6MPは、末梢T細胞でのCD62+発現の減少をもたらしており、そのことは、炎症部位に付着するリンパ球の減少を示唆している。それに対して、PURINETHOL(登録商標)は、CD62+発現の増加をもたらした。同様に、DR−6MPは、CD4+CD25+Foxp3+およびCD3+CD56+発現の減少をもたらしたが、PURINETHOL(登録商標)は、これらのパラメーターの発現の増加をもたらした。他の全身測定値も、2群間で異なって変化した。DR−6MP対PURINETHOL(登録商標)により示される免疫学的プロファイルの違いは、それらの治療薬がおそらく異なる作用機序で働くことを強く示している。
試験における両方の時点で、結腸内視鏡検査および回腸内視鏡検査を受けることに同意した患者が、非常に少なかったので、ベースラインに対する12週目での粘膜治癒の統計的解析評価を行うことができなかった。この評価を両方の時点で受けた4人の患者のうち、総CDEISスコアの改善を、DR−6MP治療群においては3人中2人の対象で、PURINETHOL(登録商標)治療群においては1人の対象で観察した。CDEISの減少は、CDAIの減少と相関した。
一般的に、安全性対策としてみなされているが、体重およびBMIの変化を、有効性分析に含めた。なぜなら、体重の減少は、CDの特徴であるからである。体重およびBMIは、ベースラインから各試験の来院で、DR−6MP治療群において増加し、PURINETHOL(登録商標)治療群において減少した。さらに、治療群間の統計学的有意差を、8週目で観察した。このデータは、DR−6MPの臨床的有効性を示し、そのことは、DR−6MPが、CD患者に見られる体重減少を防ぐことによって、疾患活動性に大きな影響を及ぼすことを示している。
安全性評価
曝露の程度
テストおよび参照薬への曝露の程度を、表37に示す。DR−6MPの対象は、1日80mgの用量を与えられ、PURINETHOL(登録商標)の対象は、1日用量中央値75mgを与えられた。12週間の試験にわたって、試験の間の対象1人当たりのDR−6MP80mgへの平均曝露量は、5.69±2.10grであり、試験の間の対象1人当たりのPURINETHOL(登録商標)への平均曝露量は、4.91±2.90grであった。
表37:試験の間のテストおよび参照薬への曝露の程度
DR−6MPの1日用量は、同じままであったが、患者1人当たりのPURINETHOL(登録商標)の用量は、対象の検査データの精査後に試験安全性担当医師の決定によって、図20および図21に示した通り変動した。加えて、PURINETHOL(登録商標)は、全身作用薬であるのに対して、DR−6MPは、局所作用薬である。12週間の治療後の血液への吸収の程度は、まだ分かっていないが、単一用量40mgのDR−6MPのPKデータは、明らかに、ごくわずかな全身吸収を示した。したがって、2つの薬物間の曝露の程度の比較は、制限される。
有害事象
有害事象の概要
試験の間に報告されたAEの概要を、表38に示す。DR−6MP試験群のうち合計で92のAEが報告された。これらのうち、84件は、治療下で発現したものであり、33件は、試験薬に関係したものとみなされた。PURINETHOL(登録商標)治療群において、合計で91件のAEが報告され、そのうち85件が、治療下で発現したものであり、31件が、試験薬と合理的に関係したものとみなされた。
表38:AEの概要
DR−6MPで治療した対象の67.5%と比較して、PURINETHOL(登録商標)で治療した対象の大多数(95.8%)が、少なくとも1つのAEを報告した(p=0.0079;表38および図22)。DR−6MPで治療した対象の27.5%と比較して、PURINETHOL(登録商標)で治療した対象のほぼ半数(45.8%)が、試験薬と合理的に関係したものとみなされたAEを少なくとも1つ報告した(p=0.1349、表38および図23)。
治療下で発現した有害事象の表示
5%以上の患者において起きた、治療下で発現したAE(TEAE)の発生を表39に示す。薬物関連のTEAEの発生を、表40に示す。
表39:任意の治療群で5%以上の患者に起きたTEAEの概要
表40:任意の治療群で5%以上の患者に起きた薬物関連の治療下で発現したAE
有害事象の分析の概要
試験の間に報告されたほとんどのAEは、一過性および軽度または中等度であった。全体として、PURINETHOL(登録商標)の対象(95.8%)に対して、統計学的に有意により少ないAEが、DR−6MPの対象(67.5%)について報告された(p=0.0079;図22)。DR−6MP治療群における対象(27.5%)と比較して、PURINETHOL(登録商標)治療群におけるより高い割合の対象(45.8%)が、薬物関連のAEを報告したが、群間の差は、統計学的に有意に異ならなかった(p=0.1349、図23)。
両方の治療群において最も多く見られる薬物関連のTEAEは、GI障害であり、その割合は、PURINETHOL(登録商標)治療群においての方が、DR−6MP治療群よりも高かった(それぞれ、33.3%対20%)。薬物関連の悪心、腹痛、食欲減退、上腹部痛、無力、およびめまいを有する対象の割合は、DR−6MP治療群と比較して、PURINETHOL(登録商標)治療群において、より高かった(表40)。
死亡、他の重篤な有害事象、および他の重大な有害事象
死亡、他の重篤な有害事象、およびある特定の他の重大な有害事象の一覧
報告期間全体(すなわち、インフォームドコンセントの署名から、試験完了30日後まで)の間、合計で15人の対象が、SAEを報告した。患者が入院したので、その事象がすべてSAEであると分かった。3人の対象について、SAEは、試験の治療前、スクリーニング期間の間に発生し、患者がまだ治療を開始していなかったので、試験薬と関係なかった(表44)。2人の対象について、SAEは、試験完了後30日以内に発生し、試験薬と関係ないものとみなされた(表44)。10人の対象が、12週間の治療期間の間に発生したSAEを報告し(表41)、そのうちの4人が、試験薬に関係したSAEを有した。
表41は、試験の間に報告されたSAEの概要を示す。
表41:SAEの概要
表42は、12週間の治療期間の間に報告された10人の対象の13件のSAEをまとめたものであり、薬物との関係、事象の期間、治療の詳細、および結果を含む。
表42:重篤な有害事象
表43は、スクリーニングプロセスの間に発生したSAEをまとめたものである。3件のSAEが、3人の対象で報告された。これらの対象のうち、試験薬で治療された者はいなかったが、2人の対象が、すでに治療群に無作為割付されていた。
表43:スクリーニングの失敗およびベースライン前の事象におけるSAEの概要
表44は、試験完了の30日以内に発生したSAEをまとめたものである。2人の対象が、2件のSAEを報告し、それらは、試験の完了後、および終了の30日以内に発生し、試験薬と関係したものとみなされなかった。
表44:スクリーニングの失敗およびベースライン前の事象におけるSAEの概要
死亡、他の重篤な有害事象、およびある特定の他の重大な有害事象の分析および考察
試験の間、合計で13件のSAEが、10人の対象によって報告された。ほとんどのSAEは、一過性で、数日内に解決した。11件のSAEが、DR−6MP治療群の8人の対象(20%)によって報告され、そのうち、3人の対象(7.5%)によって報告された6件が、薬物関連であるとみなされた。特に、これらの薬物関連のSAEの4件(悪心、腹痛、嘔吐、および急性膵炎)は、1人の対象において発生し、1人の対象は、急性膵炎を報告し、1人の対象は、肛門膿瘍を報告した。すべてのSAEは、入院および薬の投与後に解決した。PURINETHOL(登録商標)治療群において、2人の対象(8.2%)はそれぞれ、1つのSAE、すなわち、改善したが、試験終了時に解決しなかった中等度の薬物関連SAE(貧血)、および解決した重度の無関連SAE(CDの悪化)を報告した。
臨床検査評価
各検査パラメーターの評価
チオプリンの使用に関係した最も重要な安全性問題は、6MPまたはアザチオプリン治療後の、白血球減少症(WBC数の顕著な減少が証拠となる)、肝毒性(LFT、ALT、AST、およびビリルビンの顕著な増加が証拠となる)、および膵炎(一般に、アミラーゼの上昇に関連し、腹痛、悪心および嘔吐を伴う)の既知の増加に関係する。したがって、標準的AEの報告に加えて、これらの3つの事象を、2週間ごとの来院時、ならびに、ベースラインの1週間後の特別な検査室安全性評価の来院時のWBC、LFT、およびアミラーゼの臨床検査によって、試験の間慎重にモニターした。これらの3つの重要な安全性問題に関係した検査結果の報告を、以下に記述する。
白血球減少症および血液学的検査値
12週間の治療後のDR−6MP群において白血球減少症の証拠は存在しなかった。12週間の治療後、正常範囲内のWBCを有した、DR−6MP治療群の対象の割合は、ベースライン時の対象の割合と同様であるどころか、それよりも高かったが、PURINETHOL(登録商標)治療群については、12週目で、正常範囲のWBCを有する対象の割合において、ベースラインに対して20%超の減少が存在した。DR−6MP治療群において、12週目で正常範囲内のWBCを有する対象の割合は、PURINETHOL(登録商標)群において66.7%にすぎないのに比べて、88.5%であった(図24)。
実際の平均の血液学的検査値の報告は、両方の治療について、WBCの連続的な減少が存在し、DR−6MP治療においては、12週目でのみ、ベースラインからの統計学的に有意な変化が明らかであるが、PURINETHOL(登録商標)治療群においては、4週目から続けて、統計学的に有意な減少が存在したことを示している(表45)。
表45:治療によるベースラインからのWBCの値および変化(ITT集団)
試験の結論として、12週間の治療後、試験の終了時に、PURINETHOL(登録商標)の対象は、DR−6MP治療と比較して、ベースラインに対する、WBCの平均値のより大きな減少が存在したが、治療間の差は、統計学的に有意ではなかった(図25)。しかし、6および8週目で、PURINETHOL(登録商標)を、最大の治療レベルにまで漸増したときに、PURINETHOL(登録商標)群について、ベースラインに対する、WBCの平均値の減少が、最も大きく、治療間の差は、統計学的に有意であったことが注目される。
DR−6MP群からの対象およびPURINETHOL(登録商標)群からの対象をベースライン体重によってマッチングして、次いで、各治療について、ベースラインからのWBCの変化を評価することによって、各治療内のWBCの変化の、追加の分析を行った。この人工的だが選択されたデータセットを、それぞれが、同じチオプリンを与えられ、一方の群が、恐らく局所に送達される80mgの固定用量のDR−6MPを与えられ、もう一方の群が、全身に送達される1〜1.5mg/kg(50〜150mg)のPURINETHOL(登録商標)が与えられている、最もよく適合した対象であると推定した。このデータセットの評価は、(a)WBCレベルの変化に影響を与える各治療の安全性プロファイルと、(b)薬物がどのように送達されるか(全身的または局所的)の間接的な証拠、の両方を与えるであろう。
図26で見ることができる通り、DR−6MPのサブグループについて、WBCへの影響は、一定かつ安定的であり、PURINETHOL(登録商標)治療と違って、経時的に、あまり大きく変化せず、そのことは、DR−6MPが、全身的に吸収されている可能性が低いことを示唆する。その一方で、PURINETHOL(登録商標)治療は、経時的にかなりの変化を示し、そのことは、累積的な投薬が、臨床的有効性、およびこの全身的に吸収される薬物の潜在的な有毒作用のために必要であること、ならびに、WBCの減少および増加が、用量依存的であり、最大の治療用量までの漸増、およびその後に必要な、用量の減少に依存すること示す。さらに、DR−6MP群について観察したWBCの減少は、PURINETHOL(登録商標)治療群について見られたものよりもはるかに小さく、そのことは、PURINETHOL(登録商標)について、白血球減少症の可能性がより高いことを示唆する。
肝毒性および化学検査値
PURINETHOL(登録商標)治療群と比較して、DR−6MP治療群において、薬物性肝毒性の事象がより少ない。治療の中止を必要とする高いLFTの3件の事象が報告され、DR−6MP治療群の1人の患者(2.5%)、およびPURINETHOL(登録商標)治療群の2人の患者(8.3%)は、肝毒性により、試験を永久に中止しなければならなかった。
DR−6MP治療群において、LETの上昇は、薬物用量の変更さえあれば、試験を終了させることはなかったであろうが、その選択肢は、DR−6MP治療群において不可能であるので、対象は、試験を終了しなければならなかった。
PURINETHOL(登録商標)治療群において、2人の対象は、試験薬に関係したものとみなされた高いLFT(ALT、AST、およびビリルビン)を有し、そのうちの1人の値は、試験プロトコールによる「緊急事態」であり、即時の薬物中止を必要とした。
しかし、治療終了後、両方の対象は、その施設のPIの請願、およびそれぞれのIRBの承認後、「行き届いたケア」に基づいて、DR−6MP治療を受けた。両方の場合において、対象のLFTは、DR−6MP時に、安定し、図27〜30に示す通り、数か月間の「行き届いたケア」の期間の間、正常範囲内のままであった。
実際の平均の化学検査値の報告は、PURINETHOL(登録商標)治療群における、ベースラインと2週目の来院時との間で観察したASTレベルの有意な減少(p=0.043、表46)、およびDR−6MP治療群における、ベースラインと4週目との間でのALTの有意な増加(p=0.046、表47)を除いて、各治療群内または治療群間で、ベースラインからのASTまたはALTレベルの有意な変化を観察しなかったことを示す。12週目での、ベースラインに対するALTの増加は、DR−6MP群と比較して、PURINETHOL(登録商標)群について、より大きいが、その差は、統計学的に有意ではなかった(表47および図31)。
表46:治療によるベースラインからのASTの値および変化(ITT集団)
表47:治療によるベースラインからのALTの値および変化(ITT集団)
DR−6MP治療群において、2、6および12週目で、ベースラインからの直接ビリルビンの有意な増加を観察した。PURINETHOL(登録商標)治療群において、1、4および12週目で、ベースラインからの有意な増加を観察した。ベースラインからの直接ビリルビンレベルの増加の程度は、1週目および12週目を除くすべての来院時で、両方の治療群において類似し、1週目および12週目の間、DR−6MP治療群とPURINETHOL(登録商標)治療群との統計学的有意差を観察した(それぞれ、p=0.0237およびp=0.0425;表48および図32)。
表48:治療によるベースラインからの直接ビリルビンの値および変化(ITT集団)
膵炎およびアミラーゼ
試験の間、各治療群内または治療群間で、ベースラインからのアミラーゼの有意な変化は存在しなかった。しかし、アミラーゼレベルの上昇による膵炎の個々の発生が報告された。下記の通り、膵炎の2つの事象が、DR−6MP治療群の2人の患者(5%)において報告され、膵炎の1つの事象が、PURINETHOL(登録商標)治療群の1人の患者(4.2%)において報告された。
入院を必要とした、急性膵炎の2つのSAEは、DR−6MP群において発生した。最初のケースは、膵炎の既往歴を有して試験に参加した対象において発生し、したがって、DR−6MPを、「チオプリンの治療による失敗」とした。さらに、この対象は、139という高いアミラーゼレベルを有して試験に参加し、アミラーゼレベルは、1週目で187に増加し、試験終了時には349であった。試験安全性担当医師によれば、膵炎のこの事象は疾患関連であったにちがいなく、おそらく、対象を、参加時の高いアミラーゼレベルを理由に、試験に含めるべきではなかった。2人目の対象は、90のアミラーゼを有して試験に参加した。1週目で、アミラーゼは522に増加しており、それはおそらく薬物関連の膵炎を示している。対象は、入院し、治療を受け、早期に試験を終了した。
薬物関連であるとみなされた膵炎の1つのケースは、PURINETHOL(登録商標)群の対象において報告された。対象は、64のアミラーゼを有して試験に参加した。4週目で、アミラーゼレベルは108に増加し、試験終了時には143であった。このAEは、入院に至らなかったが、対象は、試験を中止した。
要するに、膵炎は、薬物への反応の結果であるか、または基礎疾患と関係する可能性がある。高いアミラーゼレベルによる、膵炎の3つの事象は、2つの治療群について同等の割合で、試験において報告された。DR−6MP群において、2つの事象は、入院を必要とし、したがって、SAEとして報告されたが、PURINETHOL(登録商標)群について、入院は、必要でなかった。すべての対象が、早期に終了した。
バイタルサイン、身体所見、および安全性に関係する他の観察
定期的な来院は、身体検査およびバイタルサイン(血圧、脈拍、口腔温、体重)を含んだ。BMI、およびCDAIの計算に必要な標準体重を決定するために、スクリーニング来院時に身長も測定した。スクリーニング時、ベースライン時、および12週目にECGを行った。
いくつかの臨床的に重大な身体所見が、DR−6MP群の1人の患者(2.5%)について、およびPURINETHOL(登録商標)治療群の3人の患者(12.5%)について報告されたが、薬物または試験に関係するものとみなされなかった。バイタルサインまたはECGの臨床的に重大な変化は、試験の間に記録されなかった。しかし、試験の間、PURINETHOL(登録商標)群に対して、DR−6MP群についての、ポジティブな体重増加を示す興味深い所見が、試験の間に記された。臨床的有効性の項で詳述した通り、12週間の治療の間、DR−6MP治療群において、体重およびBMIは増加したが、PURINETHOL(登録商標)治療群において、両方のパラメーターは減少した。ベースラインから各試験の来院時の体重およびBMIの変化の、治療群間の比較は、8週目の来院で、2つの治療群間の統計学的有意差を示した(中央値検定により、両方のパラメーターについてp=0.0121)。このパラメーターは、一般に、安全性についてのマーカーであるが、それは、DR−6MPの臨床的有効性も示す。
予定外の来院
プロトコールによれば、スクリーニングおよびベースライン時の来院の後、対象は、追加の1週目の検査室安全性の来院、および12週目の最終の終了来院とともに、2週目から8週目まで、2週間ごとに臨床的評価および臨床検査のために来院することになっていた。加えて、「予定外の来院」を、対象の要求で、または、試験医師により必要とみなされた場合に、試験の間いつでも行うことができた。PURINETHOL(登録商標)治療群と比較して、DR−6MP治療群のより低い割合の患者(12.5%)が、AEを理由にして予定外に来院した。
早期の終了
AEを理由にして試験を中止した患者の割合は、PURINETHOL(登録商標)治療群の方が、DR−6MP群と比較して、より高かった(29.2%対25%)。
安全性の結論
全体として、DR−6MP治療群と比較して、PURINETHOL(登録商標)治療群の方が、統計学的に有意に高い割合のAEが存在した。薬物関連の悪心、腹痛、食欲減退、上腹部痛、無力、およびめまいを有する対象の割合は、DR−6MP治療群と比較して、PURINETHOL(登録商標)治療群の方がより高かった。試験の間に報告されたAEのほとんどは、一過性であり、軽度または中等度であった。
AEを理由にして試験を終了した対象の割合は、両方の治療群で類似したが、PURINETHOL(登録商標)治療群の方が、わずかに高かった。薬物関連のSAEを理由に試験を終了した対象の割合は、DR−6MP治療群の方がより高かった。報告されたSAEのほとんどが、一過性であり、数日内に解決した。
12週間の治療後のDR−6MP治療群において、薬物関連の白血球減少症の証拠は存在しなかった。12週間の治療後に正常範囲内のWBCを有する患者の割合は、66.7%にすぎないPURINETHOL(登録商標)治療群と比較して、DR−6MP治療群において、より高かった(88.5%)。PURINETHOL(登録商標)群の患者は、試験の間、4週目から続けて、ベースラインからの統計学的に有意なWBCの継続的な減少が存在したが、DR−6MP治療群においては、ベースラインからのWBCレベルの統計学的に有意な減少を、ベースラインと12週目との間にのみ観察した。このデータは、薬物が吸収されていないという考えを裏付ける。
薬物性肝毒性を発症した対象の割合は、DR−6MPの方が、PURINETHOL(登録商標)よりも低かった(2.5%対8.3%)。ベースラインに対する、12週目での平均ALTの増加は、DR−6MP群と比較して、PURINETHOL(登録商標)群についてより大きかった。直接ビリルビンは、DR−6MP治療群と比較して、12週目で、PURINETHOL(登録商標)治療群において、有意に増加した。肝毒性を理由にして試験を早期に終了した、PURINETHOL(登録商標)治療群からの2人の患者は、「行き届いたケア」に基づいて、DR−6MPを与えられた。DR−6MPの間、以前の高い肝機能検査値は、正常なレベルに戻り、7か月までの観察期間の間、そのレベルで維持された。
両方の治療群において、同等の割合の膵炎事象が発生した(PURINETHOL(登録商標)群において4.2%に対して、DR−6MP群において5%)。このデータは、DR−6MPが、わずかしか吸収されないが、全身で生物学的に活性であるという考えを裏付ける。用量依存性である肝毒性または白血球減少症とは違って、膵炎は、敏感な患者における、わずかな量の薬物に対する特異なアレルギー反応でありうる。
バイタルサイン、身体検査、またはECGについて、各治療群内または治療群間で、ベースラインからの有意な変化を観察しなかった。有効性の項に記した通り、ベースラインと各試験の来院時との間での体重およびBMIの中央値の変化の治療群間の比較は、8週目の来院時での2つの治療群間の統計学的有意差、ならびに、試験中にわたる、PURINETHOL(登録商標)治療群における継続的な体重減少と比較した、DR−6MP治療群における継続的な体重増加を示した。体重の変化は、一般に、安全性についてのマーカーであるが、DR−6MPのCD患者において見られた、体重減少の防止は、薬物の疾患の経過を変える能力を示している。
結論として、DR−6MPは、PURINETHOL(登録商標)よりも安全であり、忍容性がより良好であった。
考察および全体の結論
CDは、進行的および破壊的な経過をたどる、慢性的な炎症性疾患である。最終的に、制御されていない炎症は、疾患関連の合併症、例えば、狭窄、瘻孔、および外科的切除を必要とする膿瘍による、腸の損傷をもたらす。全体的に、CD患者は、予後不良であり、患者に与えられる現在の内科的治療にもかかわらず、4人の患者のうち3人の患者で、人生において合併症が発症している。AZAおよび6−MPは、1年の間ステロイド、または複数のステロイド治療を必要とする、重度のフレアを有する慢性的な活動性疾患の患者に対する、ステロイドを減量した長期の治療として提案されている。これらの薬物は、ステロイドを減量させる、寛解導入および維持剤として定着しているが、それらは、治療の中止をしばしば必要とする、骨髄抑制および肝毒性と関連している。
CDは、腸関連抗原に対する全身免疫寛容の崩壊により生じる。経口免疫調節は、全身の免疫系を抑制することなく炎症を軽減することができる、免疫介在性障害の治療法にとっての新しい基盤である。この方法/枠組みは、抗原特異的に全身免疫系の異なる部分を修飾し、それによって、細胞の特異的サブセットを変えることによって、望まない全身免疫応答を制御および抑制する独特な胃腸免疫系本来の能力を使用する能動的プロセスである[40〜44]。疾患関連抗原の経口投与を含み、過去20年にわたってほとんどの臨床試験で不成功に終わっている、経口寛容法とは対照的に、低いレベルの非吸収性免疫調節剤の経口投与は、全身免疫系を抑制することなく変えることができる。
回腸への標的送達は、標準的な全身治療剤の、障害をもたらす副作用を減らしながら、最大の臨床効果の可能性を伴って、全身の抗炎症性の免疫系を変えることができる、腸免疫系における効果を調節することに、CDにおいて適している。
12週間で、DR−6MPによる治療は、参照の治療と比較して、非劣性を示した。CDAIスコアは、両方の治療群において、時間を経過して(ベースラインから12週目で)、同じ程度に減少し、DR−6MPおよびPURINETHOL(登録商標)治療群における類似した割合の対象が、12週目で臨床反応(寛解または応答)を示しており、そのことは、局所に標的化された非吸収性6MP製剤が、全身送達されるPURINETHOL(登録商標)と同じ臨床効果を実現しうることを示している。
しかし、DR−6MPは、参照薬と比較して、より速く免疫応答を誘導した。DR−6MP治療群において、PURINETHOL(登録商標)治療群と比較して、より高い割合の対象が、8週目で応答を達成した、または8週目で寛解を達成した。さらに、DR−6MP 80治療群において、PURINETHOL(登録商標)治療群と比較して、統計的に有意により高い割合の患者が、6週目から続けて、連続する2回の来院について寛解を維持した。
したがって、それら結果は、DR−6MP治療が、PURINETHOL(登録商標)よりも速く(丸4週間早く)有効性を示し、12週目までに、予想通り、PURINETHOL(登録商標)が「追いつく」ことを示す。他の試験も、より早い効果を示しており、National Cooperative CD Studyにおいては、アザチオプリンで治療した患者の平均CDAIスコアの最大の減少は、9週目であった[Summers et al.1979]。別の試験において、(6週間にわたって10mg/日に漸減する)ステロイドと組み合わせたアザチオプリンは、8週目までに、アザチオプリンの有意な有用性を示した[Ewe et al.1993]。Sandborn et al.[2002]は、アザチオプリンまたは6MPは、以前考えられていたよりも速く、恐らく、4〜8週間で作用しうると提言した。
CDAIの臨床的有効性の発見を相関させるために、クオリティ・オブ・ライフを、IBDQを使用して評価した。両方の治療群は、12週間後に、クオリティ・オブ・ライフの改善を示し、それは、CDAIの減少と相関した。しかし、DR−6MP治療群についての12週目でのクオリティ・オブ・ライフの改善は、すでに8週目で示された、CDAIスコアの減少と相関した。さらに、DR−6MP治療群において、クオリティ・オブ・ライフの改善評価が、応答者と非応答者の両方で観察されたが、PURINETHOL(登録商標)治療群においては、観察されなかった。
患者のいくつかのサブセットを、試験に組み入れることを許可した。第1のサブセット、すなわち、先行のチオプリンの治療による失敗(臨床的有用性の欠如、または非重篤有害事象の発生のいずれかを理由とする)の経験を有する患者を、試験に含めたが、それらの患者が、先行のチオプリンの治療による失敗にもかかわらず、DR−6MP治療から利益を得ることができるかどうかを評価するために、DR−6MP治療群のみに割付した。実際、これらの患者のCDAスコアIは、ベースラインから12週目の間で有意に改善し、そのことは、DR−6MPが、先行のチオプリンによる治療の失敗歴を有する患者に使用されてもよく、治療の追加の選択肢を与えることを示す。
分析する対象の第2および第3のサブセットは、CDに対する別の薬物、すなわち、5−ASAまたはステロイド/抗生物質を併用して治療する対象である。DR−6MPを併用して5−ASAによって治療する患者サブセットは、ベースラインに対して、12週目でのCDAIスコアの統計学的に有意な改善を示したが、PURINETHOL(登録商標)および5−ASAを併用して治療したサブセットについては、改善の傾向を示したに過ぎなかった。低用量ステロイド/抗生物質を併用して、DR−6MPで治療した患者は、12週間の治療後に、ベースラインからのCDAIスコアの統計学的に有意な改善を示したが、PURINETHOL(登録商標)で治療した患者の同じサブセットは、改善を示さなかった。したがって、DR−6MPとの併用治療は、他のCD治療薬による単剤療法で臨床反応を達成できなかった患者の改善をもたらすことができると結論づけることができる。
DR−6MPは、局所に送達され、全身に吸収されない。言うまでもなく、DR−6MPは、全身に送達されるPURINETHOL(登録商標)に見られるものと同等の、全身の免疫学的効果を発揮すると思われる。局所に送達されるDR−6MPによる治療は、一般的な全身の免疫学的パラメーター、すなわち、CRPおよびESRの減少をもたらした。DR−6MP治療後のCRPおよびESRレベルの減少は、PURINETHOL(登録商標)に見られるものよりもいくらか小さいが、非吸収性の局所送達薬が、全身に送達される薬物による治療後のものと同等の、全身炎症パラメーターの減少をもたらすことは、重要である。
DR−6MPによる治療は、患者由来の腸タンパク質に応答してIFN−γを分泌するT細胞クローンの減少をもたらしたが、PURINETHOL(登録商標)は、IFN−γ分泌クローンの増加をもたらした。CDにおいて、異常な免疫応答は、T細胞の増殖、および、免疫応答を拡大するサイトカイン(インターフェロンIFN−γ、インターロイキンIL−2、およびIL−18)を産生するエフェクターT細胞への分化により、Tヘルパー細胞1型によって調節されていると考えられている。これらの患者における免疫ホメオスタシスの欠陥によって、免疫応答の反応は、終了せず、結果として、継続する過剰なT細胞応答が継続する。したがって、CDにおける臨床的改善の別の指標は、血清、および細胞内サイトカイン、T細胞サブセット、特に、炎症性サイトカイン、例えば、IFN−γを分泌するものを含む、循環している血液中の全身的免疫細胞のレベルの修正である。DR−6MPで治療した患者のIFN−γレベルの減少は、CD患者の免疫状態の改善を示唆する。
DR−6MPは、FACS分析により測定した通り、末梢血Tリンパ球でのCD62(接着タンパク質/セレクチン)発現の減少をもたらしており、そのことは、炎症部位へのリンパ球の接着の減少を示唆し、免疫応答の改善を示している。それに対して、PURINETHOL(登録商標)は、CD62+発現の増加をもたらした。CDまたは潰瘍性大腸炎患者から外科的に切除した検体の免疫組織化学試験は、正常な腸と比較して、ひどく炎症した腸の静脈、細静脈および毛細血管におけるP−セレクチン免疫反応性の、統計学的に有意な約4倍の上昇が存在することを示した。炎症組織におけるP−セレクチンのこの顕著な上方制御は、正常なリンパ球の局所化および循環に悪影響を及ぼし、正常な免疫応答が妨げられる。しかし、接着タンパク質であるCD62の減少は、腸の炎症部位への不規則な白血球の遊走を減少させて、免疫ホメオスタシスを回復させる、DR−6MP薬の可能性を証明する。
評価する他の全身Tリンパ球パラメーター、例えば、CD4+CD25+Foxp3+、CD3+CD56+、CD4+CD62+CD127+、CD4+CD8+比、およびCD4+CD25+に関して、2つの治療群について得られた結果の差は、DR−6MPが、PURINETHOL(登録商標)とは異なる全身の免疫学的プロファイルを誘導することを示唆する。その結果は、2つの化合物についての異なる作用機序を裏付ける。
腸内視鏡検査/回腸内視鏡検査により評価される、粘膜炎症の重症度は、臨床試験における有効性評価のための、追加の主要なパラメーターといわれている。さらに、一般に、炎症性腸疾患において粘膜組織治癒を誘導する治療の必要性は、疾患活動性を、患者の大腸がんを発症するリスク全体と相関させる最近の報告に照らして、臨床的に意味のあるものになっている。したがって、結腸内視鏡検査/回腸内視鏡検査を受ける意思のある患者のサブセットにおける粘膜治癒の評価を、本試験の副次有効性パラメーターの1つとして含める。試験における両方の時点で、結腸内視鏡検査および回腸内視鏡検査を受けることに同意した患者が、非常に少なかったので、ベースラインに対する12週目での粘膜治癒の評価の統計学的分析を行うことができなかった。この評価を両方の時点で受けた4人の患者のうち、総CDEISスコアの改善を、DR−6MP群においては3人中2人の対象で、PURINETHOL(登録商標)群においては1人の対象で観察した。すべての場合において、CDEISの改善(すなわち、粘膜治癒)は、CDAIスコアの減少と相関した。
一般的に、安全性対策としてみなされているが、体重およびBMIの変化を、有効性分析に含めた。なぜなら、体重の減少は、CDの特徴であるからである。体重およびBMIは、ベースラインから各試験の来院で、DR−6MP治療群において増加し、PURINETHOL(登録商標)治療群において減少した。さらに、治療群間の統計学的有意差を、8週目で観察した。このデータは、DR−6MPの臨床的有効性を示し、そのことは、DR−6MPが、CD患者に見られる体重減少を防ぐことによって、疾患活動性に大きな影響を及ぼすことを示している。
PURINETHOL(登録商標)治療群において、DR−6MP治療群と比較して、統計学的に有意により多いAEが報告された。薬物関連の悪心、腹痛、食欲減退、上腹部痛、無力、およびめまいを有する対象の割合は、DR−6MP治療群と比較して、PURINETHOL(登録商標)治療群の方がより高かった。このことは、DR−6MPが、PURINETHOL(登録商標)よりも忍容性がより良好であり、これらの患者におけるIBDQの改善によっても示されている通り、患者のクオリティ・オブ・ライフをより良くさせることを示す。DR−6MP治療群におけるAEの数がより少ないのは、DR−6MPの全身吸収の欠如に起因する。
AEを理由にして試験を終了した対象の割合は、両方の治療群で類似したが、PURINETHOL(登録商標)治療群の方が、わずかに高かった。薬物関連のSAEを理由に試験を終了した対象の割合は、DR−6MP治療群の方がより高かった。報告されたSAEのほとんどが、一過性であり、数日内に解決した。試験の間、死亡者は出なかった。
白血球減少症および肝毒性は、チオプリンの開始後または用量漸増時にしばしば生じる。本試験では、12週間の治療後のDR−6MP治療群において、薬物関連の白血球減少症の証拠は存在しなかった。12週間の治療後に正常範囲内のWBCを有する患者の割合は、66.7%にすぎないPURINETHOL(登録商標)治療群と比較して、DR−6MP治療群において、より高かった(88.5%)。PURINETHOL(登録商標)群の患者は、試験の間、4週目から続けて、ベースラインからの統計学的に有意なWBCの継続的な減少が存在したが、DR−6MP治療群においては、ベースラインからのWBCレベルの統計学的に有意な減少を、ベースラインと12週目との間にのみ観察した。このデータは、薬物が吸収されていないという考えを裏付ける。
両方の治療群において、同等の割合の膵炎事象が発生した(PURINETHOL(登録商標)群において4.2%に対して、DR−6MP群において5%)。膵炎は、薬物関連、または疾患関連のいずれかでありうる。用量依存性である肝毒性または白血球減少症とは違って、膵炎は、敏感な患者における、わずかな量の薬物に対する特異なアレルギー反応でありうる。
薬物性肝毒性を発症した対象の割合は、DR−6MPの方が、PURINETHOL(登録商標)よりも低かった(2.5%対8.3%)。ベースラインに対する、12週目での平均ALTの増加は、DR−6MP群と比較して、PURINETHOL(登録商標)群についてより大きかった。直接ビリルビンは、DR−6MP治療群と比較して、12週目で、PURINETHOL(登録商標)治療群において、有意に増加した。肝毒性を理由にして試験を早期に終了した、PURINETHOL(登録商標)治療群からの2人の患者は、「行き届いたケア」に基づいて、DR−6MPを与えられた。DR−6MPの間、以前の高い肝機能検査値は、正常なレベルに戻り、7か月までの観察期間の間、そのレベルで維持された。したがって、DR−6MPは、肝毒性を理由にPURINETHOL(登録商標)を忍容できない患者に代替を与えうる。
結論として、DR−6MPは、PURINETHOL(登録商標)よりも安全であり、忍容性がより良好であった。
全体として、本試験における発見は、相互に補完し、裏付ける。8週目での治療群間のCDAIの差は、8週目でも明白である、CRPおよびWBCレベルならびに体重変化における治療群間の差によって裏付けられる。さらに、DR−6MP治療群において観察した体重の増加は、PURINETHOL(登録商標)治療群と比較して、この群の患者において報告された食欲減退の発生がより少ないことに対応する。
試験を完了し、DR−6MPで継続した12人の患者の、進行中の行き届いたケアのデータは、白血球減少症および肝毒性の証拠なしで、寛解の継続を示している。これは、8週目でDR−6MPについて観察した効果が継続し、数か月間維持されていることを示唆する。
試験の結果は、回腸を標的とした経口DR−6MP局所送達薬が、より少ない副作用および作用のより速い開始と共に、臨床的に有効な全身免疫調節をもたらすことを示す。さらに、対象の体重または副作用プロファイルと無関係の固定用量レジメンは、個々の対象の用量漸増、および全身免疫調節に必要な常時モニタリングを不要にする。DR−6MP薬について示されている、より良好な安全性プロファイルは、治療を、薬物の中断または中止を気にすることなく、長い期間にわたって維持することができることを示唆する。
結論として、データは、DR−6MPが、吸収されることなく、好ましい抗炎症性全身免疫応答を促進する腸免疫系における局所効果の発揮によって、大きい全身臨床反応を発揮することを示唆する。これは、PURINETHOL(登録商標)と比較して、より少ない全身免疫抑制を有する、より安全な、より臨床的に有効な標的免疫調節薬につながる。このプラットフォームは、クローン病における有効性を示し、他のクローン病様免疫介在性障害において、有効性および安全性の可能性を有しうることを示す。
結論
DR−6MPは、
− 非吸収性免疫調節剤である
− 腸で局所に作用するが、全身抗炎症性免疫効果を有する
− より安全であり、AEが少なく、白血球減少症がなく、肝毒性が少ない
− 臨床的に有効である
− 臨床反応が速い
− クオリティ・オブ・ライフを改善する
− 望ましい体重増加を示す
− 他の免疫介在性疾患のための広いプラットフォームである可能性がある
参照文献
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Claims (46)

  1. これまでのチオプリン投与に対して臨床反応が認められなかったクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する方法であって、前記ヒト患者へ、薬学的に許容される担体および前記ヒト患者を治療するのに有効な量の6−メルカプトプリン(6−MP)を含む遅延放出性医薬組成物を定期的に投与することを含む方法。
  2. 前記患者が、これまでのチオプリン投与の4週後、またはこれまでのチオプリン投与の12週後に、臨床反応が認められなかった、請求項1に記載の方法。
  3. 前記遅延放出性医薬組成物を、最大12週、または最大8週の期間、毎日投与する、請求項1〜2の何れか一項に記載の方法。
  4. 前記遅延放出性医薬組成物を毎日投与し、かつ最大臨床反応が投与の開始から8週で達成される;または最大臨床反応が投与の開始から8週で達成される、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
  5. 前記患者がCDを患っており、前記患者のクローン病活動指数(CDAI)スコアが、治療前で約220以上である、または治療前で約220〜約450である、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
  6. 前記患者がCDを患っており、前記患者への前記遅延放出性医薬組成物の投与が、臨床反応、CDの寛解、粘膜治癒、または6−MPの即時放出性製剤の投与と比較して副作用プロフィールの改善をもたらす、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
  7. 前記患者がUCを患っており、前記患者への前記遅延放出性医薬組成物の投与が、UCの寛解をもたらす、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
  8. 前記患者がCDを患っており;
    前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して20%以上、前記患者のCDEISスコアを減少させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して10ポイント以上、またはベースラインに対して20ポイント以上、前記患者の炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアを増加させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1%以上、またはベースラインに対して2%以上、前記患者の赤血球沈降速度(ESR)を減少させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1%以上、またはベースラインに対して2%以上、前記患者の赤血球沈降速度(ESR)を減少させ、かつ前記遅延放出性医薬組成物の投与が、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して前記患者のESRのより大きな減少をもたらす;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1.0%以上、前記患者のCD62+発現を減少させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して0.1%以上の前記患者の体重増加をもたらす;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以上の前記患者の白血球(WBC)数の減少をもたらさない;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以上の前記患者の白血球(WBC)数の減少をもたらさない;あるいは前記遅延放出性医薬組成物の投与が、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、膵炎、肝炎、または骨髄抑制の発症の減少をもたらす、請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
  9. 前記患者がUCを患っており;
    前記遅延放出医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して0.1%以上の前記患者の体重増加をもたらす;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以上の前記患者の白血球(WBC)数の減少をもたらさない;あるいは前記遅延放出性医薬組成物の投与が、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、膵炎、肝炎または骨髄抑制の発症の減少をもたらす、請求項1〜4および請求項7の何れか一項に記載の方法。
  10. 前記患者へ投与される前記遅延放出性医薬組成物が、6−MP 40mg〜120mg、6−MP 40mg〜100mg、6−MP 60mg〜80mg、6−MP 80mg、または6−MP 120mgを含有する、請求項1〜9の何れか一項に記載の方法。
  11. 前記遅延放出性医薬組成物を1日1回投与する;または前記遅延放出性医薬組成物を1日1回投与し、かつ前記投与が経口投与である、請求項1〜10の何れか一項に記載の方法。
  12. チオプリンのこれまでの投与に応答して有害事象が認められたクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する方法であって、前記ヒト患者へ、薬学的に許容される担体および前記ヒト患者を治療するのに有効な量の6−メルカプトプリン(6−MP)を含む遅延放出性医薬組成物を定期的に投与することを含み、投与されるチオプリンが6−MPである場合、前記有害事象が、肝機能検査の結果(LFT)の上昇以外である方法。
  13. 前記遅延放出性医薬組成物を、最大12週、または最大8週の期間、毎日投与する、請求項12に記載の方法。
  14. 前記遅延放出性医薬組成物を毎日投与し、かつ最大臨床反応が投与の開始から8週で達成される;または最大臨床反応が投与の開始から8週で達成される、請求項12〜13の何れか一項に記載の方法。
  15. 前記患者がCDを患っており、前記患者のクローン病活動指数(CDAI)スコアが、治療前で約220以上である、または治療前で約220〜約450である、請求項12〜14の何れか一項に記載の方法。
  16. 前記患者がCDを患っており、前記患者への前記遅延放出性医薬組成物の投与が、臨床反応、CDの寛解、粘膜治癒、または6−MPの即時放出性製剤の投与と比較して副作用プロフィールの改善をもたらす、請求項12〜15の何れか一項に記載の方法。
  17. 前記患者がUCを患っており、前記患者への前記遅延放出性医薬組成物の投与が、UCの寛解をもたらす、請求項12〜14の何れか一項に記載の方法。
  18. 前記患者がCDを患っており;
    前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して20%以上、前記患者のCDEISスコアを低減させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して10ポイント以上、またはベースラインに対して20ポイント以上、前記患者の炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアを増加させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して10%以上、またはベースラインに対して25%以上、前記患者のインターフェロンガンマレベルを減少させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して2.5%以上、またはベースラインに対して5%以上、前記患者のC反応性タンパク質(CRP)レベルを減少させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して2.5%以上、またはベースラインに対して5%以上、前記患者のC反応性タンパク質(CRP)レベルを減少させ、かつ前記遅延放出性医薬組成物の投与が、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、投与の開始から12週後に、ベースラインに対してCRPレベルのより大きな減少をもたらす;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1%以上、またはベースラインに対して2%以上、前記患者の赤血球沈降速度(ESR)を減少させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1%以上、またはベースラインに対して2%以上、前記患者の赤血球沈降速度(ESR)を減少させ、かつ前記遅延放出性医薬組成物の投与が、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して前記患者のESRのより大きな減少をもたらす;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1.0%以上、前記患者のCD62+発現を減少させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して0.1%以上の前記患者の体重増加をもたらす;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以上の前記患者の白血球(WBC)数の減少をもたらさない;あるいは前記遅延放出性医薬組成物の投与が、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、膵炎、肝炎または骨髄抑制の発症の減少をもたらす、請求項12〜16の何れか一項に記載の方法。
  19. 前記患者がUCを患っており;
    前記遅延放出医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して0.1%以上の前記患者の体重増加をもたらす;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以上の前記患者の白血球(WBC)数の減少をもたらさない;あるいは前記遅延放出性医薬組成物の投与が、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、膵炎、肝炎または骨髄抑制の発症の減少をもたらす、請求項12〜14および請求項17の何れか一項に記載の方法。
  20. 前記患者へ投与される前記遅延放出性医薬組成物が、6−MP 40mg〜120mg、6−MP 40mg〜100mg、6−MP 60mg〜80mg、6−MP 80mg、または6−MP 120mgを含有する、請求項12〜19の何れか一項に記載の方法。
  21. 前記遅延放出性医薬組成物を1日1回投与する;または前記遅延放出性医薬組成物を1日1回投与し、かつ前記投与が経口投与である、請求項12〜20の何れか一項に記載の方法。
  22. ステロイドの投与を受けており、ステロイド依存性であるクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する方法であって、前記ヒト患者へ、薬学的に許容される担体および前記ヒト患者を治療するのに有効な量の6−メルカプトプリン(6−MP)を含む遅延放出性医薬組成物を併用して定期的に投与することを含む方法。
  23. 前記医薬組成物を、最大12週、または最大8週の期間、毎日投与する、請求項22に記載の方法。
  24. 前記遅延放出性医薬組成物を毎日投与し、かつ最大臨床反応が投与の開始から8週で達成される;または最大臨床反応が投与の開始から8週で達成される、請求項22〜23の何れか一項に記載の方法。
  25. 前記ステロイドが経口ステロイドである;前記ステロイドが低用量経口ステロイドである;前記ステロイドがプレドニゾロンである;前記ステロイドがプレドニゾロンであり、かつ前記患者が1日当たり15mg以下のプレドニゾロンを服用している;前記ステロイドがブデソニドである;あるいは前記ストロイドがブデソニドであり、かつ前記患者が1日当たり6mg以下のブデソニドを服用している、請求項22〜24の何れか一項に記載の方法。
  26. 前記患者がCDを患っており、前記患者のCDAIスコアが、前記遅延放出性医薬組成物の投与を開始する前で約220以上である、または前記遅延放出性医薬組成物の投与を開始する前で約220〜約450である、請求項22〜25の何れか一項に記載の方法。
  27. 前記患者がCDを患っており、前記患者への前記遅延放出性医薬組成物の投与が、臨床反応、CDの寛解、粘膜治癒、または6−MPの即時放出性製剤の投与と比較して副作用プロフィールの改善をもたらす、請求項22〜26の何れか一項に記載の方法。
  28. 前記患者がUCを患っており、前記患者への前記遅延放出性医薬組成物の投与が、UCの寛解をもたらす、請求項22〜25の何れか一項に記載の方法。
  29. 前記患者がCDを患っており;
    前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して5%以上、前記患者のCDEISスコアを低減させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して20ポイント以上、またはベースラインに対して30ポイント以上、前記患者の炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアを増加させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して10%以上、ベースラインに対して25%以上、前記患者のインターフェロンガンマレベルを減少させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して10%以上、またはベースラインに対して25%以上、前記患者のC反応性タンパク質(CRP)レベルを減少させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して10%以上、またはベースラインに対して25%以上、前記患者のC反応性タンパク質(CRP)レベルを減少させ、かつ前記遅延放出性医薬組成物の投与が、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して前記患者のCRPレベルのより大きな減少をもたらす;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1%以上、またはベースラインに対して2%以上、前記患者の赤血球沈降速度(ESR)を減少させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1%以上、またはベースラインに対して2%以上、前記患者の赤血球沈降速度(ESR)を減少させ、かつ前記遅延放出性医薬組成物の投与が、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して前記患者のESRのより大きな減少をもたらす;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1.0%を上回って、前記患者のCD62+発現を減少させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して0.1%以上の前記患者の体重増加をもたらす;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以上の前記患者の白血球(WBC)数の減少をもたらさない;あるいは前記遅延放出性医薬組成物の投与が、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、膵炎、肝炎または骨髄抑制の発症の減少をもたらす、請求項22〜27の何れか一項に記載の方法。
  30. 前記患者がUCを患っており;
    前記遅延放出医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して0.1%以上の前記患者の体重増加をもたらす;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以上の前記患者の白血球(WBC)数の減少をもたらさない;あるいは前記遅延放出性医薬組成物の投与が、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、膵炎、肝炎または骨髄抑制の発症の減少をもたらす、請求項22〜25および請求項28の何れか一項に記載の方法。
  31. 前記患者へ投与される前記遅延放出性医薬組成物が、6−MP 40mg〜120mg、6−MP 40mg〜100mg、6−MP 60mg〜80mg、6−MP 80mg、または6−MP 120mgを含有する、請求項22〜30の何れか一項に記載の方法。
  32. 6−MPの用量を1日1回投与する;または前記遅延放出性医薬組成物を1日1回投与し、かつ前記投与が経口投与である、請求項22〜31の何れか一項に記載の方法。
  33. 前記遅延放出性医薬組成物の量および前記ステロイドの量が、一緒に摂取された場合に、薬剤がそれぞれ単独で投与された場合よりも、前記患者を治療するのに有効である、請求項22〜32の何れか一項に記載の方法。
  34. 抗生物質を投与されているクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する方法であって、前記ヒト患者へ、薬学的に許容される担体および前記ヒト患者を治療するのに有効な量の6−メルカプトプリン(6−MP)を含む遅延放出性医薬組成物を併用して定期的に投与することを含む方法。
  35. 前記患者がCDを患っており、前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1.0%以上、前記患者のCD62+発現を減少させる、請求項34に記載の方法。
  36. 5−アミノサリチル酸(5−ASA)を投与されているクローン病(CD)または潰瘍性大腸炎(UC)を患うヒト患者を治療する方法であって、前記ヒト患者へ、薬学的に許容される担体および前記ヒト患者を治療するのに有効な量の6−メルカプトプリン(6−MP)を含む遅延放出性医薬組成物を併用して定期的に投与することを含む方法。
  37. 前記患者へ投与される前記遅延放出性医薬組成物が、6−MP 40mg〜120mg、6−MP 40mg〜100mg、6−MP 60mg〜80mg、6−MP 80mg、または6−MP 120mgを含有する、請求項34または36の何れか一項に記載の方法。
  38. 前記医薬組成物を、最大12週、または最大8週の期間、毎日投与する、請求項34、36または37の何れか一項に記載の方法。
  39. 前記遅延放出性医薬組成物を毎日投与し、かつ最大臨床反応が投与の開始から8週で達成される;または最大臨床反応が投与の開始から8週で達成される、請求項34および請求項36〜38の何れか一項に記載の方法。
  40. 前記患者がCDを患っており、前記患者のCDAIスコアが、前記遅延放出性医薬組成物の投与を開始する前で約220以上である、または前記遅延放出性医薬組成物の投与を開始する前で約220〜約450である、請求項34および請求項36〜39の何れか一項に記載の方法。
  41. 前記患者がCDを患っており、前記患者への前記遅延放出性医薬組成物の投与が、臨床反応、CDの寛解、粘膜治癒、または6−MPの即時放出性製剤の投与と比較して副作用プロフィールの改善をもたらす、請求項34および請求項36から40の何れか一項に記載の方法。
  42. 前記患者がUCを患っており、前記患者への前記遅延放出性医薬組成物の投与が、UCの寛解をもたらす、請求項34および請求項36〜39の何れか一項に記載の方法。
  43. 前記患者がCDを患っており;
    前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して20%以上、前記患者のCDEISスコアを低減させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して20ポイント以上、またはベースラインに対して30ポイント以上、前記患者の炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアを増加させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して5%以上、またはベースラインに対して15%以上、前記患者のインターフェロンガンマレベルを減少させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して5%以上、またはベースラインに対して15%以上、前記患者のC反応性タンパク質(CRP)レベルを減少させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して5%以上、またはベースラインに対して15%以上、前記患者のC反応性タンパク質(CRP)レベルを減少させ、かつ前記遅延放出性医薬組成物の投与が、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して前記患者のCRPレベルのより大きな減少をもたらす;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1%以上、またはベースラインに対して2%以上、前記患者の赤血球沈降速度(ESR)を減少させる;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して1%以上、またはベースラインに対して2%以上、前記患者の赤血球沈降速度(ESR)を減少させ、かつ前記遅延放出性医薬組成物の投与が、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して前記患者のESRのより大きな減少をもたらす;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して0.1%以上の前記患者の体重増加をもたらす;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以下の前記患者の白血球(WBC)数の減少をもたらす;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以下の前記患者の白血球(WBC)数の減少をもたらし、かつ前記遅延放出性医薬組成物の投与が、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤による治療と比較して、投与の開始から12週後に、ベースラインに対してWBC数のより小さな減少をもたらす;あるいは前記遅延放出性医薬組成物の投与が、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤による治療と比較して、膵炎、肝炎または骨髄抑制の発症の減少をもたらす、請求項34および請求項36〜41の何れか一項に記載の方法。
  44. 前記患者がUCを患っており;
    前記遅延放出医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して0.1%以上の前記患者の体重増加をもたらす;前記遅延放出性医薬組成物の投与が、投与の開始から12週後に、ベースラインに対して11%以上の前記患者の白血球(WBC)数の減少をもたらさない;あるいは前記遅延放出性医薬組成物の投与が、6−メルカプトプリンの即時放出性製剤の投与と比較して、膵炎、肝炎または骨髄抑制の発症の減少をもたらす、請求項34、請求項36〜39、および請求項42の何れか一項に記載の方法。
  45. 6−MPの用量を1日1回投与する;または前記遅延放出性医薬組成物を1日1回投与し、かつ前記投与が経口投与である、請求項34〜44の何れか一項に記載の方法。
  46. 前記遅延放出性医薬組成物の量および前記5−ASAまたは抗生物質の量が、一緒に摂取された場合に、薬剤がそれぞれ単独で投与された場合よりも、前記患者を治療するのに有効である、請求項34〜45の何れか一項に記載の方法。
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