JP2017511241A - 歯科インプラントに関連する炎症を予防または治療するための手段および方法 - Google Patents

歯科インプラントに関連する炎症を予防または治療するための手段および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、経粘膜部(122)を含歯科インプラント(118)またはその要素に関し、経粘膜部(122)の少なくとも一部が殺生物剤(132)および/またはpH調整剤を含む。さらに、本発明は、歯科インプラント(118)の経粘膜部(122)上のバイオフィルムの形成を予防するための、および歯科インプラントに関連する炎症を予防または治療するための方法に関し、本発明による歯科インプラント(118)またはその要素の提供および埋め込みを含む。本発明はさらに、歯科インプラント(118)またはその要素を製造するための殺生物剤の使用に、および歯科インプラントに関連する炎症の予防および/または治療における使用のための、本発明による歯科インプラント(118)またはその要素から放出される殺生物剤(132)に関する。さらに、本発明は、義歯および/または義歯用樹脂の製造のための殺生物剤の使用に関する。

Description

本発明は、経粘膜部を含む歯科インプラントまたはその要素に関し、経粘膜部の少なくとも一部が殺生物剤を含む。さらに、本発明は、歯科インプラントの経粘膜部上のバイオフィルムの形成を予防するための方法、および歯科インプラントに関連する炎症を予防または治療するための方法に関し、本発明による歯科インプラントまたはその要素を提供および埋め込むこと(implanting)を含む。本発明はさらに、歯科インプラントまたはその要素を製造するための殺生物剤の使用に、および歯科インプラントに関連する炎症の予防および/または治療における使用のための、本発明による歯科インプラントまたはその要素から放出される殺生物剤に関する。さらに、本発明は、義歯および/または義歯用樹脂の製造のための殺生物剤の使用に関する。
歯科インプラントは、口腔リハビリテーションにおいて重要な選択肢である。典型的に、歯科インプラントは、インプラントを患者の顎骨に定着させる、エノッサル(enossal)部または骨部としても知られる骨一体部、および歯肉/粘膜に亘る経粘膜部を含む。インプラントのそれらの部分は、単一のインプラント(一体型またはティッシュレベルインプラント)へと結合されてもよく、2つ以上の部分で具体化されてもよい。または2つ以上の部品から成るインプラント(ボーンレベルインプラント)の場合、典型的に骨部は他の要素から分離しているが、経粘膜部および歯冠は、個別の部分であっても、または結合されてもよい。いずれにせよ、歯の見える部分の代替物である歯冠は、経粘膜部上に固定される。エノッサル部を所定の位置に残したまま経粘膜部が取り換えられ得る、ということが2つ以上の部品から成るインプラントの利点である。したがって、2つ以上の部品から成る実施形態において、経粘膜要素は、粘膜形成部、もしくは、治療の間に使用される場合「ヒーリングアバットメント」とも呼ばれるヒーリングキャップとして、または歯冠を固定性レストレーションに定着させるための「補助要素」としても知られるアバットメントとして、または補綴物(proshesis)を可撤性レストレーションに固定させるための「補綴要素」(retention element)として具体化されてもよい。
インプラントと粘膜との間の、主にバクテリアによるバイオフィルムの形成が、歯科インプラントの共通の問題である。バイオフィルムは、歯ブラシを用いた機械的な除去が到達できず、頻繁に、適切な治療後に通常回復可能であるインプラント周囲粘膜炎、またはインプラント周囲炎を引き起こす炎症プロセスの原因となる(Berglundhら, (2011), J Clin Periodontol 38 Suppl 11: 188)。インプラント周囲粘膜炎は、歯科インプラントを使用する患者の80%、および歯科インプラントの50%に起こると推定されている。その上、歯科インプラント患者の28〜50%、および取り付けられた歯科インプラントの12〜43%が、インプラント周囲炎と診断される(ZitzmannおよびBerglund (2008), J Clin Periodontol 35: 286)。非加療のインプラント周囲炎は、骨欠損およびインプラントの損失を引き起こし得る。
このため、バイオフィルムの機械的除去を重視した、歯科インプラント上のバイオフィルムの形成の制御方法がいくつか提案されている。他に、電流によるバイオフィルムの破壊を目的とする試みもある(Sahrmannら (2012), Clin Implant Dent Relat Res, doi: 10.1111/cid.12018, epub ahead of print)。近年、粘膜と経粘膜インプラント部との間の接触を向上させ、その領域からバイオフィルムを除外するために、歯科インプラントの経粘膜部に溝を導入することが提案された(Nevinsら (2012), Int J Periodontics Restorative Dent 32: e131)。類似の考えとして、インプラントの経粘膜部を接着分子、たとえばラミニンを用いて覆うことが提案されたが、そのような接着分子は時とともに劣化し、そのような治療の効果がなくなることが分かった(Laengeら (2004), Dent Mater 20: 814-822)。さらに、銀ナノ粒子を含むソーダ石灰系ガラスで被膜されたインプラントアバットメントが、インプラント周囲炎モデルに試験的に使用されたが、表面粗さの増加および被膜のクラックを示した(Lopez-Pirizら 2012, PLOS One 7(12), e86926, Martinezら 2014, PLOS One 9(1), e52861)。その上、人の治療におけるそのような被膜の有用性は、被膜が黒色であるため、疑問である。
したがって、歯科インプラント上の、特にその経粘膜部上のバイオフィルムの形成を予防するための手段および方法の向上が、当該技術分野において必要とされている。本発明の実施形態によって、そのような向上された手段および方法が提供される。
したがって、本発明は、経粘膜部を含む歯科インプラントまたはその要素に関し、経粘膜部の少なくとも一部が、殺生物剤を含む。経粘膜部は、また、インプラント歯冠レストレーションの一体部分であってもよい。
以下において用いられるように、用語「有する」、「備える」、「含む」、またはそれらの文法上のすべての任意の変形例は、非排他的に使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴以外に、文脈中に説明される実体に他のさらなる特徴が存在しない状態、および、1つまたは複数のさらなる特徴が存在する状態の両方を指してもよい。例として、「AがBを有する」、「AがBを備える」、および「AがBを含む」という表現は、B以外に、他の要素はAに存在しない状態(すなわち、Aが単独かつ排他的にBから構成される状態)、およびB以外に、要素C、要素CおよびD、またはより更なる要素など、1つまたは複数の要素が実体Aに存在する状態の両方を指してもよい。
さらに、以下に使用される用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「最も好ましくは」、「具体的には」、「より具体的には」、「明確には」、「より明確には」、または類似の用語が、代替案を制限することなく、任意の特徴と共に使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、任意の特徴であり、決して請求項の範囲を制限することを意図しない。本発明は、当業者が理解するように、代替の特徴を用いて実行されてもよい。同様に、「本発明の実施形態では」または類似の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関するどのような制限もなく、本発明の範囲に関するどのような制限もなく、そして、本発明の他の任意または非任意の特徴と、そのように導入される特徴との組み合わせの可能性に関するどのような制限もない任意の特徴であると意図される。
「歯科インプラント」という用語は、当業者に理解され、レストレーション(人工歯または補綴物の歯冠)を患者の顎骨に定着させる要素に関する。本明細書において上に説明されたように、歯科インプラントは、一体型実施形態として、2つの部品から成る実施形態として、または3つ以上の部品から成る実施形態として製造されてもよい。一体型歯科インプラントは、好ましくは、少なくとも、(i)歯科インプラントを骨に定着させるエノッサル部、および(ii)歯茎/粘膜に亘る経粘膜部を含む。最終の歯科インプラントは、好ましくは、(iii)口腔内の歯の見える部分の代わりとなる歯冠をさらに含む、ということが当業者に理解される。2つ以上の部分から成る実施形態では、好ましくは、前述の要素の少なくとも1つが、個別要素として具体化される。より好ましくは、2つ以上の部分から成る実施形態では、エノッサル部が、個別要素、エノッサル要素として具体化される。もっとも好ましくは、2つ以上の部分から成る実施形態では、少なくともエノッサル部および経粘膜部が、個別要素として具体化される。好ましくは、そのような場合、エノッサル部は、好ましくは螺子接合によって少なくとも経粘膜部要素が内部に固定され得る雌ねじ山を備える個別要素である。好ましくは、2つ以上の部分から成る実施形態では、経粘膜部が、粘膜形成部、ヒーリングキャップ(ヒーリングアバットメント)、固定性レストレーションのためのアバットメント(補助要素)、または可撤性レストレーションのための補綴要素である。アバットメントは、好ましくは、歯冠が骨性インプラント部に直接接続されるように、最終の歯冠レストレーションに統合されてもよい。したがって、「経粘膜部を含む歯科インプラントまたはその要素」という用語は、好ましくは、経粘膜部を含む一体型歯科インプラントに関する、または、その用語は、経粘膜部、すなわち、好ましくは、本明細書において上に記されたように、粘膜形成部、ヒーリングキャップ、アバットメント、補綴要素、または歯冠を含む2つ以上の部分から成る歯科インプラントの要素に関する。好ましい実施形態では、歯科インプラントは、長期インプラント、すなわち、好ましくは永久インプラントである。好ましくは、長期インプラントは、少なくとも1年間、より好ましくは少なくとも5年間、さらにより好ましくは少なくとも10年間、最も好ましくは少なくとも20年間、埋め込まれる。
本明細書において用いられる、「経粘膜部」という用語は、歯科インプラントの一部、または顎骨を覆う粘膜に少なくとも部分的に亘る、すなわち歯茎/粘膜に亘る、歯科インプラントの部分に関連する。したがって、好ましくは、歯科インプラントの経粘膜部またはその要素は、顎骨と口腔との間の部分に亘る部分である。好ましくは、経粘膜部が、口腔内へと、2mmまで、より好ましくは1mmまで延びる、ということが当業者に理解される。しかし、最も好ましくは、経粘膜部は、粘膜と同じ高さである、または粘膜の縁の直ぐ下で終わる、すなわち、口腔内へと延びない。
本明細書において使用される「微生物」という用語は、当業者に理解され、裸眼には見ることのできないあらゆる単細胞生物、多細胞生物またはウイルス生物に関する。好ましくは、微生物は、真核生物または原核生物である。より好ましくは、微生物は、細菌または酵母菌であり、最も好ましくは、口腔菌叢の一部の種である。好ましくは、本発明による細菌は、ストレプトコッカス属、フソバクテリウム属、アクチノミセス属のうちの1つの一種である。より好ましくは、細菌が、緑色連鎖球菌、ストレプトコッカス・ミティス、ストレプトコッカス・オラリス、ストレプトコッカス・ミュータンス、またはストレプトコッカス・ソブリヌスである。最も好ましくは、細菌が、ポルフィロモナス・ジンジバリスまたはプレボテラ・インターメディアである。好ましくは、本発明による酵母菌は、カンジダ属の一種であり、より好ましくは、酵母菌は、カンジダ・アルビカンスである。
本明細書において使用される「殺生物剤」という用語は、少なくとも一種の微生物を死滅させる、もしくは増殖を防止する、および/または免疫抑制を媒介する任意の化合物に関する。好ましくは、殺生物剤は、抗菌性、抗真菌性、および/または抗ウイルス性化合物である。好ましくは、殺生物剤は、口腔内における使用に適合する。「口腔内における使用に適合する」という用語は、好ましくは、有効濃度で口腔内に投与されたときに、重度の副作用を含まないという殺生物剤の特性に関する。より好ましくは、口腔内における使用に適合する、とは、有効濃度で口腔内に投与されたときに、中程度の副作用を含まないという殺生物剤の特性に関する。最も好ましくは、口腔内における使用に適合する、とは、有効濃度で口腔内に投与されたときに、副作用を含まないという殺生物剤の特性に関する。本発明の好ましい殺生物剤は、抗菌性および/または免疫抑制の特性を有する化合物である。当業者に理解されるように、殺生物剤は、好ましくは、本発明による歯科インプラントまたはその要素の経粘膜部から放出される。すなわち、好ましくは、殺生物剤が、歯科インプラントまたはその要素の経粘膜部から、周辺へと、好ましくは、粘膜と歯科インプラントまたはその要素の経粘膜部との間の層へと放散する。
好ましくは、殺生物剤は防腐剤である。本発明による好ましい防腐剤は、安息香酸またはその誘導体、抗酸化剤、ソルビン酸またはその誘導体、プロピオン酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。
好ましくは、殺生物剤は、抗真菌性または防腐性化合物、たとえば、クロルヘキシジンである。本発明の好ましい抗真菌剤は、クロトリマゾール、ナイスタチン、フルコナゾール、およびケトコナゾールである。
また、好ましくは、殺生物剤は、抗菌性化合物を含む、または抗菌性化合物である。抗菌性化合物は、好ましくは、殺菌性化合物、静菌性化合物、または歯科インプラントへの細菌付着を防止する、より好ましくは、経粘膜部への細菌付着を防止する化合物である。好ましい殺菌性化合物は抗生剤であり、好ましくは、抗生物質アモキシシリン、クラブラン酸と組み合わされたアモキシシリン、メトロニダゾール、クリンダマイシン、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、テトラサイクリン系(たとえば、ドキシサイクリン、ミノサイクリン)のうちの少なくとも1つ、またはそれらの任意の組み合わせを含む抗生剤である(van Winkelhoff, A. J. (2012) European journal of oral implantology Suppl 5; S43-50)。好ましい静菌性化合物は、たとえば、好ましくは、スルホンアミド、マクロライド、およびクロラムフェニコールを含む静菌性抗生剤である。細菌付着を防止する好ましい化合物は、界面活性剤である。
好ましくは、殺生物剤は、微量作用効果を示す少なくとも1つの金属、好ましくは、銀(Ag)、金(Au)、水銀(Hg)、銅(Cu)、鉄(Fe)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)、白金(Pt)、セリウム(Ce)、およびアルミニウム(Al)を含む、または少なくとも1つから成る。好ましくは、殺生物剤は、有機錯化合物、たとえば、好ましくは、アラントイネート、アルギン酸、またはカルボキシメチルセルロースを有する化合物としての形態の、前述の少なくとも1つの金属の少なくとも1つを含む。より好ましくは、殺生物剤が、たとえば、酸化物、リン酸塩、炭酸塩、塩化物、硫酸塩の形態の、または、たとえば、Ag/Ca/Na−リン酸塩などの混合塩の形態のイオンとして、前述の少なくとも1つの金属の少なくとも1つを含む。当業者は、適切な特性、たとえば、好ましくは、適切な溶解性および歯科インプラントの材料との適合性を有する有機錯化合物または塩をいかに選択するかを知っている。よりさらに好ましくは、殺生物剤が、好ましくは、固体としての、または、たとえばナノ粒子として微細に分散された金属の形態の、前述の少なくとも1つの金属の少なくとも1つを含む。最も好ましくは、殺生物剤が、前述の金属の少なくとも1つを含む合金を含む。より好ましくは、殺生物剤が、Ag、Au、Hgの少なくとも1つを含む合金である。最も好ましくは、殺生物剤が、HgならびにAgまたは/およびAuを含むアマルガムである。好ましい実施形態では、殺生物剤は、ソーダ石灰系ガラスに含まれる銀ナノ粒子ではない。
免疫抑制性化合物は、当業者に知られている。好ましくは、免疫抑制性化合物は、グルココルチロイド、アルキル化剤、代謝拮抗薬、イムノフィリン相互作用剤、またはミコフェノール酸である。好ましくは、グルココルチロイドは、コルチゾールまたはデキサメタゾンである。好ましくは、アルキル化剤が、ナイトロジェンマスタード、たとえば、シクロフォスファミドまたは白金化合物である。代謝拮抗薬は、好ましくは、葉酸抑制剤またはヌクレオチド類似体から構成されるリストから選択される。好ましいイムノフィリン相互作用剤は、シクロスポリン、タクロリムス、およびピメクロリムスである。
殺生物剤は、好ましくは、ラミニン、フィブロネクチン、またはナノ多孔性TiO2などの、粘膜細胞の付着を媒介する化合物ではなく、粘膜の細胞に作用する増殖因子ではない。より好ましくは、殺生物剤は、ポリペプチドではなく、最も好ましくは、殺生物剤が、生体高分子ではない。好ましい実施形態では、殺生物剤は、ヒアルロン酸を含まない。さらに好ましい実施形態では、殺生物剤は、特定のバンコマイシンにおいて、グリコペプチド系抗生物質と結合されるヒアルロン酸を含まない。
好ましくは、歯科インプラントまたはその要素からの殺生物剤の放出は、時間的に、基本的に一定であり、「基本的に一定」とは、歯科インプラントまたはその要素からの殺生物剤の放出の、一定の期間に亘る、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、最も好ましくは20%以下の減少または増加に関する。歯科インプラントまたはその要素は、歯科インプラント上のバイオフィルムの形成の長期にわたる減少のために使用され得ることが当業者に理解される。そのような適用では、歯科インプラントまたはその要素からの殺生物剤の放出は、好ましくは少なくとも6か月に亘って、より好ましくは少なくとも2年に亘って、最も好ましくは少なくとも5年に亘って基本的に一定である。さらに、歯科インプラントまたはその要素は、既存のインプラント部位の衛生化のために使用されてもよい。そのような応用では、歯科インプラントまたはその要素からの殺生物剤の放出は、好ましくは少なくとも1週間に亘って、より好ましくは少なくとも2週間に亘って、最も好ましくは少なくとも5週間に亘って基本的に一定である。放出という用語は、好ましくは、有効濃度が得られる、好ましくは、経粘膜部と粘膜との間の間隙において有効濃度が得られるような速度での殺生物剤の放出に関する、ということが当業者に理解される。好ましい実施形態では、歯科インプラントまたはその要素からの殺生物剤の放出は、炎症の予防または治療のために使用される。
好ましくは、殺生物剤は、適切な担体内に含まれる。好ましい担体は、本発明の殺生物剤を含み、殺生物剤を、一定の、好ましくは、遅い速度で放出するように構成される。好ましい担体は、ゲルまたはプラスチック製であり、より好ましくは、殺生物剤の充分な放出に適切である孔のサイズを有する。前述の特性を有する適切な担体は、当業者に知られている。
好ましくは、殺生物剤は、経粘膜部内の一体的な構成要素として含まれる。したがって、殺生物剤は、好ましくは、殺生物剤の、周囲の媒介物への放散を可能にするように、歯科インプラントまたはその要素の材料内に含まれる。たとえば、殺生物剤が合金またはアマルガムである場合、合金またはアマルガムは、経粘膜部を構成する材料であってもよい。代替的に、殺生物剤、好ましくは合金またはアマルガムは、たとえば圧縮成型によって、または当業者に知られる他の方法によって、歯科インプラントまたはその要素に被膜として、リングとして、または1つまたは複数のピンとして永久的に固定されてもよい。好ましい実施形態では、殺生物剤は、歯科インプラントまたはその要素の溝に適合するリングとして、歯科インプラントまたはその要素に永久的に固定されてもよい。また、好ましくは、殺生物剤は、歯科インプラントまたはその要素の経粘膜部の上に取り付け可能な、取り外し可能手段、好ましくはリングに含まれる。しかし、殺生物剤が、経粘膜部内に存在する(1つまたは複数の)雌ねじ山の中に適合するねじに含まれることも想定される。当業者に理解されるように、取り外し可能手段の使用は、取り外し可能手段に含まれる殺生物剤の種類が、必要に応じて調節され得るため、存在するインプラント部位の衛生化において特に有利となる。たとえば、好ましくは、第1のステップにおいて、本明細書で別途記されるように、抗菌性化合物を投与することによって細菌感染が解消され、第2のステップにおいて、免疫抑制剤を投与することによって炎症が治癒されてもよい。第3のステップにおいて、好ましくは、本発明による殺生物剤を放出するインプラントを提供することによって、再発的感染が予防されてもよい。また、好ましくは、殺生物剤は、歯科インプラントまたはその要素の空洞内に含まれ、そして、より好ましくは、空洞は、経粘膜部に含まれる少なくとも1つの孔によって周囲に接続される。より好ましくは、殺生物剤は、本明細書に上述されたように、徐溶性の固体として空洞内に、または担体内に含まれる。したがって、好ましい実施形態では、殺生物剤は、容器型アバットメントに含まれる。さらに好ましい実施形態では、殺生物剤は、好ましくは衛生化の段階において殺生物剤またはpH調整剤用の投与器として特に使用され得る取り外し可能な容器型アバットメントに含まれる。
好ましい実施形態では、経粘膜部の少なくとも一部は、pH調整剤を含む。好ましくは、pH調整剤は、緩衝剤化合物またはアルカリ性化合物であり、インプラント周囲の表面または窩のpHを上昇させる、および/またはインプラント周囲の表面または窩の低pHを緩衝する。さらに好ましい実施形態では、pH調整剤は、本発明の容器型アバットメントに含まれる。適切な緩衝剤化合物およびアルカリ性化合物は、当業者に知られている。
有利には、本発明の歯科インプラントまたはその要素は、その装置の経粘膜部を投与器として適用し、経粘膜部上のバイオフィルムの形成を防止する。歯科インプラントに関連する炎症の事象は、歯科インプラントのその部分における微生物の増殖に関連するため、そのような炎症が、改善または予防され得る。
上記の定義は、必要な変更を加えて、以下のものに適用される。さらに後の追加の定義および説明もまた、必要な変更を加えて、本明細書に記載されるすべての実施形態に適用される。
本発明はさらに、少なくとも1つの義歯および義歯床を含み、義歯床もしくはその一部および/または少なくとも1つの人工歯またはその一部が殺生物剤を含む歯科補綴物に関する。
さらに、本発明は、義歯および/または義歯用樹脂の製造のための殺生物剤の使用に関する。
本明細書において使用される「歯科補綴物」という用語は、患者の少なくとも1つの欠陥のある歯または失われた歯の代用となる装置に関する。好ましくは、歯科補綴物は取り外し可能であり、すなわち、好ましくは埋め込まれず、より好ましくは、歯科補綴物は全部床義歯または部分床義歯である。好ましくは、歯科補綴物は、少なくとも1つの人工歯を含み、好ましくは合成材料から、より好ましくはアクリル樹脂から、最も好ましくはポリメチルメタクリレートから構成される。好ましくは、歯科補綴物は、好ましくは、少なくとも1つの合成歯(synthetic tooth)と同じ材料から構成される義歯床をさらに含む。従って、取り外し可能な歯レストレーションは、好ましくは、義歯用樹脂製の少なくとも1つの義歯および義歯床を含む。これらのレストレーションは、インプラントアバットメント/保持物で保持される場合「オーバーデンチャー」と呼ばれる、または粘膜によって単独で支持される場合は、「全部床義歯」と名付けられる。
好ましくは、歯科補綴物は、本明細書で別途明示される殺生物剤を含む。好ましくは、歯科補綴物の義歯床のみが殺生物剤を含む。したがって、好ましくは、殺生物剤は、本発明による歯科補綴物を構成する材料から放出される。
本発明は、また、埋め込み後の歯科インプラントの経粘膜部上におけるバイオフィルムの形成を予防するための方法に関し、方法は、請求項1〜15のいずれか1項による歯科インプラントまたはその要素を提供し、および、それにより、埋め込み後の歯科インプラント上におけるバイオフィルムの形成を予防することを含む。
本発明は、また、少なくとも1つの歯および義歯床を含む歯科補綴物上のバイオフィルムの形成を予防するための方法に関し、方法は、殺生物剤を含む歯科補綴物を提供し、および、それによって歯科補綴物上のバイオフィルムの形成を予防することを含む。
本発明のバイオフィルムの形成を予防するための方法は、好ましくは、生体内での方法である。さらに、上に明記されたステップに加えて、いくつかのステップを含んでもよい。好ましくは、方法は、健康体の個人に対し行われる。より好ましくは、方法は、エノッサル性/骨性インプラント部分が口腔内で見えるようになることを避けるために施される美容の方法である。インプラント表面の露出は、色ずれおよび美容上の損失を生じる。
「バイオフィルムの形成を予防する」という用語は、ある特定の期間、バイオフィルムの形成を妨げるまたは起こらないようにすることを指す。その期間は、放出される殺生物剤の量に、および歯科インプラントまたはその要素を身につける患者の個々の要因に左右されることが理解される。予防は、本発明による歯科インプラントまたはその要素を身につけるすべての患者に有効であるとは限らないことが理解されるべきである。しかし、その用語は、群または母集団の患者のうちの統計学的に有意な部分がバイオフィルムの形成から有効に予防される、ということを必要とする。好ましくは、患者の群または母集団は、通常では、すなわち、本発明による予防手段を持たない状態において、本明細書において言及されるようなバイオフィルムを発生させると想定される。一部分が統計学的に有意であるかどうかは、本明細書で別途説明される種々の周知の統計学的評価ツールを使用する当業者に容易に判定され得る。
「バイオフィルム」という用語は、当業者に知られており、表面上で細胞が互いにくっついている微生物群に関する。好ましくは、細菌細胞は、本発明による、バイオフィルム中の歯科インプラントへの付着を媒介する細胞である。また好ましくは、バイオフィルムは、歯科インプラントと周囲の粘膜との間に、および/または粘膜の縁の周囲に位置するバイオフィルムである。
また好ましくは、バイオフィルムは、義歯に、および/または、より好ましくは、義歯と粘膜との間に位置するバイオフィルムである。義歯床と粘膜との間のバイオフィルムの形成に付随する疾患は、たとえば、好ましくは、義歯性口内炎、慢性萎縮性カンジダ症、カンジダに関連する義歯起因性口内炎、および義歯に関連する紅斑性口内炎である。
本発明はさらに、歯科インプラントに関連する炎症を予防または治療するための方法に関し、本発明による歯科インプラントまたはその要素を提供すること、歯科インプラントに関連する炎症に冒された、または冒されると疑われる部位に、歯科インプラントまたはその要素を埋め込み、および、それによって歯科インプラントに関連する炎症を予防するまたは治療することを含む。
歯科インプラントに関連する炎症を予防または治療するための本発明の方法は、好ましくは、生体内での方法である。さらに、上に明記されたステップ以外のステップを含んでもよい。
歯科インプラントに関連する炎症を予防または治療するための方法の文脈において使用される「予防する」という用語は、一患者において、ある特定の期間、本明細書において言及される病気または疾患に関して健康を維持することを指す。予防は、本発明による化合物を用いて治療されるすべての患者に有効であるとは限らない、ということが理解されるべきである。しかし、その用語は、患者の群または母集団のうちの統計学的に有意な部分が、本明細書において言及される病気または疾患、またはそれに付随する症状を患うことから有効に予防される、ということを必要とする。好ましくは、患者の群または母集団は、通常では、すなわち、本発明による予防手段を持たない状態において、本明細書において言及されるような病気または疾患をもつようになると想定される。一部分が統計学的に有意であるかどうかは、本明細書で別途説明される種々の周知の統計学的評価ツールを使用する当業者に容易に判定され得る。
「治療する」と言う用語は、本明細書において言及される病気もしくは疾患、またはそれに付随する症状を大きく改善することを指す。本明細書において使用される、治療するとは、また、本明細書において言及される病気または疾患に関する健康の完全な回復、好ましくは、歯科インプラントに関連する炎症の解消を含む。本発明に従って使用される治療は、治療されるすべての患者に有効であるとは限らない、ということが理解されるべきである。しかしその用語は、本明細書において言及される病気または疾患を患う患者のうちの統計学的に有意な部分が成功裏に治療され得る、とういうことを必要とする。一部分が統計学的に有意であるかどうかは、本明細書で別途説明される種々の周知の統計学的評価ツール、たとえば、信頼区間の判定、p値の判定、スチューデントのt検定、マン・ホイットニー検定などを使用する当業者に容易に判定され得る。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%である。p値は、好ましくは、0.1、0.05、0.01、0.005、または0.0001である。好ましくは、治療は、所定の群または母集団の患者の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%に対し有効となる。
本明細書において使用される「歯科インプラントに関連する炎症」という用語は、歯科インプラントが埋め込まれる口腔内の部位に起こる炎症プロセスに関する。好ましくは、その炎症は、歯科インプラントに接触するインプラント周囲粘膜の一部位に位置する。より好ましくは、歯科インプラントに関連する炎症は、歯科インプラント周囲粘膜炎および/または歯科インプラント周囲炎である。
さらに、本発明は、また、歯科インプラントに関連する炎症の予防および/または治療における使用のための、本発明による歯科インプラントから、またはその要素から放出される殺生物剤に関する。
好ましい実施形態では、歯科インプラントに関連する炎症を予防および/または、好ましくは治療するために、少なくとも2つの殺生物剤が投与される。好ましい実施形態では、少なくとも2つの殺生物剤は、同時に投与される。より好ましい実施形態では、2つの殺生物剤は、順々に、すなわち連続的に投与される。
さらに、本発明は、歯科インプラントまたはその要素の経粘膜部の少なくとも一部に殺生物剤を含めることを含む、歯科インプラントまたはその要素を製造する方法に関する。
さらに、本発明は、歯科インプラントまたはその要素を製造するための殺生物剤の使用に関し、好ましくは、歯科インプラントは、本発明に関する歯科インプラントまたはその要素である。
本明細書において引用される全ての文献は、その開示内容のすべて、および本明細書において明記される開示内容に関し、参照により本明細書に組み込まれる。
上記の観点から、以下の実施形態が好ましい。
実施形態1
経粘膜部を含み、経粘膜部の少なくとも一部が殺生物剤を含む、歯科インプラントまたはその要素。
実施形態2
殺生物剤が抗菌性および/または免疫抑制性化合物である、実施形態1の歯科インプラントまたはその要素。
実施形態3
殺生物剤が口腔内の使用に適合する、実施形態1または2の歯科インプラントまたはその要素。
実施形態4
抗菌性化合物が、殺菌性化合物、静菌性化合物、または歯科インプラントへの細菌付着を防止する化合物である、実施形態1〜3のいずれか1つの歯科インプラントまたはその要素。
実施形態5
殺菌性化合物が、金属、好ましくは、Ag、Hg、およびAuの少なくとも1つ、または抗生物質、好ましくは、アモキシシリン、クラブラン酸と組み合わされたアモキシシリン、メトロニダゾール、クリンダマイシン、アジスロマイシン、シプロフラキシン、テトラサイクリン、もしくはそれらの任意の組み合わせである、実施形態1〜4のいずれか1つの歯科インプラントまたはその要素。
実施形態6
静菌性化合物が、防腐剤、好ましくは、安息香酸またはその誘導体、抗酸化剤、ソルビン酸またはその誘導体、プロピオン酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である、実施形態1〜4のいずれか1つの歯科インプラントまたはその要素。
実施形態7
免疫抑制性化合物が、グルココルチロイド、アルキル化剤、代謝拮抗薬、イムノフィリン相互作用剤、またはミコフェノール酸である、実施形態1〜4のいずれか1つの歯科インプラントまたはその要素。
実施形態8
埋め込み後に、殺生物剤が経粘膜部から放出される、実施形態1〜7のいずれか1つの歯科インプラントまたはその要素。
実施形態9
埋め込み後に、少なくとも1週間、好ましくは少なくとも4週間、より好ましくは6か月間、最も好ましくは少なくとも2年間、基本的に一定の速度で、殺生物剤が経粘膜部の一部から放出される、実施形態1〜8のいずれか1つの歯科インプラントまたはその要素。
実施形態10
殺生物剤が、経粘膜部内の一体的な構成要素として含まれる、実施形態1〜9のいずれか1つの歯科インプラントまたはその要素。
実施形態11
殺生物剤が、経粘膜部のうえに取り付け可能な、取り外し可能手段、好ましくはリングに含まれる、実施形態1〜9のいずれか1つの歯科インプラントまたはその要素。
実施形態12
殺生物剤が、歯科インプラントまたはその要素の空洞内に含まれ、空洞が、経粘膜部に含まれる少なくとも1つの孔によって周囲に接続される、実施形態1〜9のいずれか1つの歯科インプラントまたはその要素。
実施形態13
殺生物剤が、粘膜細胞の付着を媒介する化合物ではない、実施形態1〜12のいずれか1つの歯科インプラントまたはその要素。
実施形態14
殺生物剤がポリペプチドではない、実施形態1〜13のいずれか1つの歯科インプラントまたはその要素。
実施形態15
殺生物剤が生体高分子ではない、実施形態1〜14のいずれか1つの歯科インプラントまたはその要素。
実施形態16
実施形態1〜15のいずれか1つによる歯科インプラントまたはその要素を提供し、および、それによって埋め込み後の歯科インプラント上のバイオフィルムの形成を予防することを含む、インプラント後の歯科インプラントの経粘膜部上のバイオフィルムの形成を予防するための方法。
実施形態17
実施形態1〜15のいずれか1つによる歯科インプラントまたはその要素を提供すること、歯科インプラントに関連する炎症に冒された、または冒されると疑われる部位に、その歯科インプラントまたはその要素を埋め込み、およびそれによって歯科インプラントに関連する炎症を予防するまたは治療することを含む、歯科インプラントに関連する炎症を予防または治療するための方法。
実施形態18
歯科インプラントに関連する炎症の予防および/または治療における使用のための、実施形態1〜15のいずれか1つによる歯科インプラントから放出される殺生物剤。
実施形態19
歯科インプラントに関連する炎症が、歯科インプラント周囲粘膜炎および/または歯科インプラント周囲炎である、実施形態16または17による方法、または実施形態18による歯科インプラントから放出される殺生物剤。
実施形態20
歯科インプラントまたはその要素の経粘膜部の少なくとも一要素に、殺生物剤を含めることを含む、歯科インプラントまたはその要素を製造するための方法。
実施形態21
歯科インプラントまたはその要素を製造するための、殺生物剤の使用。
実施形態22
歯科インプラントまたはその要素が、実施形態1〜15のいずれか1つによる歯科インプラントまたはその要素である、実施形態22の使用。
実施形態23
少なくとも1つの義歯および義歯床を含み、義歯床もしくはその一部、および/または少なくとも1つの人口歯もしくはその一部が殺生物剤を含む、歯科補綴物。
実施形態24
殺生物剤が銀ナノ粒子を含む、実施形態23の歯科補綴物。
好ましい実施形態では、本発明は以下のものに関する。
実施形態25
経粘膜部(122)を含み、経粘膜部(122)の少なくとも一部が殺生物剤(132)および/またはpH調整剤を含む、歯科インプラント(118)またはその要素。
実施形態26
殺生物剤(132)が、
(i)経粘膜部(122)内の一体的な構成要素として含まれる、
(ii)歯科インプラント(118)またはその要素に、リング(142)として、1つまたは複数のピン(144)として永久的に固定されるか、または歯科インプラント(118)またはその要素の、経粘膜部(122)に含まれる少なくとも1つの孔(136)によって周囲に接続される空洞(134)に含まれる、または、
(iii)経粘膜部(122)の上に取り付け可能である取り外し可能手段に含まれる、
実施形態25の歯科インプラント(118)またはその要素。
実施形態27
殺生物剤(132)が、取り外し可能手段に含まれ、取り外し可能手段が、経粘膜部(122)の上に取り付け可能であるリング(142)、または、1つまたは複数のピン(144)である、実施形態25または26の歯科インプラント(118)またはその要素。
実施形態28
pH調整剤が、歯科インプラント(118)またはその要素の空洞(134)に含まれ、空洞(134)が、経粘膜部(122)に含まれる少なくとも1つの孔(136)によって周囲に接続される、実施形態25の歯科インプラント(118)またはその要素。
実施形態29
殺生物剤(132)が、抗炎症性化合物、好ましくは、抗菌性、抗真菌性、抗ウイルス性、防腐性、および/または免疫抑制性化合物である、実施形態25〜28のいずれか1つの歯科インプラント(118)またはその要素。
実施形態30
抗菌性化合物が、殺菌性化合物、静菌性化合物、または歯科インプラントへの細菌付着を防止する化合物である、実施形態29の歯科インプラント(118)またはその要素。
実施形態31
殺菌性化合物が、金属、好ましくは、銀(Ag)、水銀(Hg)、および金(Au)の少なくとも1つ、または抗生物質、好ましくは、アモキシシリン、クラブラン酸と組み合わされたアモキシシリン、メトロニダゾール、クリンダマイシン、アジスロマイシン、シプロフラキシン、テトラサイクリン、もしくはそれらの任意の組み合わせである、実施形態30の歯科インプラント(118)またはその要素。
実施形態32
免疫抑制性化合物が、グルココルチロイド、アルキル化剤、代謝拮抗薬、イムノフィリン相互作用剤、またはミコフェノール酸である、実施形態29の歯科インプラント(118)またはその要素。
実施形態33
歯科インプラントに関連する炎症の予防および/または治療における使用のための殺生物剤(132)および/またはpH調整剤であって、実施形態25〜32のいずれか1つによる歯科インプラント(118)から放出される殺生物剤(132)および/またはpH調整剤。
実施形態34
歯科インプラントに関連する炎症が、歯科インプラント周囲粘膜炎および/または歯科インプラント周囲炎である、実施形態33による使用のための殺生物剤(132)および/またはpH調整剤。
実施形態35
使用が、歯科インプラントに関連する炎症の治療であり、治療が、少なくとも2つの異なる殺生物剤の投与、好ましくは、少なくとも2つの異なる殺生物剤の連続投与を含む、実施形態33または34による使用のための殺生物剤(132)および/またはpH調整剤。
実施形態36
使用が、歯科インプラントに関連する炎症の治療であり、治療が、抗菌性化合物を投与することの後に、免疫抑制剤の投与を含む、実施形態33〜35のいずれか1つによる使用のための殺生物剤(132)および/またはpH調整剤。
実施形態37
歯科インプラント(118)またはその要素を製造するための方法であって、歯科インプラント(118)またはその要素の経粘膜部(122)の少なくとも一要素に、殺生物剤および/またはpH調整剤を含めることを含む、歯科インプラント(118)またはその要素を製造するための方法。
実施形態38
歯科インプラント(118)またはその要素を製造するための、殺生物剤および/またはpH調整剤の使用。
実施形態39
歯科インプラント(118)またはその要素が、実施形態25〜32のいずれか1つによる歯科インプラント(118)またはその要素である、実施形態38の使用。
一体型(ティッシュレベル)歯科インプラント118およびレストレーション(歯冠)124の概略図である。エノッサル部126が、骨130内に固定され、かつ、粘膜128に亘り、殺生物剤132を含む経粘膜部122を含む。レストレーション(歯冠)124が、ねじ山138によって歯科インプラント118内へと固定される。a)側面図、b)平面Ib−Ibに沿った本来の場所にある状態の断面図である。 エノッサル要素118、126および端部、経粘膜要素118、120を有する、2つの部品から成る(ボーンレベル)歯科インプラント118の概略図である。さらに、レストレーション(歯冠)124が示される。エノッサル部126が骨130内に固定される。経粘膜部122を有する端部、経粘膜要素118、120が、ねじ山138によってエノッサル要素118、126に接続され、レストレーション(歯冠)124が、端部、経粘膜要素118、120上に差し込まれ、経粘膜部122が、粘膜128に亘り、殺生物剤132を含む。a)側面図、b)平面IIb−IIbに沿った本来の場所にある状態の断面図である。 経粘膜部122、要素をエノッサル要素に接続するためのねじ山138、および、殺生物剤132を含み、好ましくは経粘膜部要素118、120の対応する溝に適合する好ましくは取り外し可能のリング142を含む、端部、経粘膜要素118、120の概略図である。a)側面図、b)平面IIIb−IIIbに沿った断面図である。 経粘膜部122、要素をエノッサル要素に接続するためのねじ山138、および殺生物剤132を含むピン144のアレイを含む、端部、経粘膜要素118、120の概略図である。a)側面図、b)平面IVb−IVbに沿った断面図である。 要素をエノッサル要素に接続するためのねじ山138を有する端部、経粘膜要素118、120の概略図である。アバットメントは、殺生物剤132を含む経粘膜部122を有する高分子部分146をさらに含む。要素は、被覆プレート140を備えられてもよい。a)側面図、b)平面Vb−Vbに沿った断面図である。 経粘膜部122、および要素をエノッサル部に接続するためのねじ山138を含む、端部、経粘膜要素118、120の概略図である。アバットメント118、120は、殺生物剤132および孔136のアレイを含む空洞134さらに含む。a)側面図、b)平面VIb−VIbに沿った断面図である。 ねじ山138を有するインプラントレストレーション(歯冠)124の概略図である。インプラントレストレーション(歯冠)124の経粘膜部122が、殺生物剤132を含む。
以下の実施形態は、単に本発明を例証するものである。決して本発明の範囲を限定するものではない。
実施形態
好ましい実施形態では、本発明のレストレーション(歯冠)124を有する、完全歯科インプラント118は、図1に概略的に示されるような装置である。装置は、エノッサル部126、および殺生物剤132を含む経粘膜部122を含む一体型(ティッシュレベル)歯科インプラント118を含む。一体型歯科インプラント118は、完全な歯の代替物を形成するようにレストレーション(歯冠)124によって覆われる、ということが当業者に理解される。好ましくは、一体型インプラント118の、口腔内へと突出する部分のみがレストレーション(歯冠)124によって覆われる。好ましくは、経粘膜部122は、殺生物剤、たとえば適切な金属またはその合金から構成され得る。より好ましくは、経粘膜部は、エノッサル部126と同じ材料から構成され、殺生物剤によって覆われ、この場合、歯科インプラント118を構成するための材料としては適さない殺生物剤、たとえば殺生物剤を含むアマルガムまたはプラスチックも使用され得る。前述の実施形態のエノッサル部126は、患者の骨130内に治り(heal)、したがって、この実施形態は、殺生物剤132が、好ましくは、バイオフィルムの形成を、および/または歯科インプラントに関連する炎症の発症を予防する機能を有し、具体的には、永久インプラントとして適している。
以下の実施形態は、好ましくは、エノッサル部を所定の位置に残しながらも、取り外されることが可能である2つ以上の部品から成る歯科インプラントの端部要素の説明を含む。したがって、これらの実施形態は、前述の一体型の実施形態と同じ目的に適している。しかし、以下の実施形態は、また、一般的な歯科インプラントに関連する炎症の治療に特に適している。以下の実施形態では、好ましくは、端部、経粘膜要素118、120は、粘膜形成部、ヒーリングキャップ(ヒーリングアバットメント)、固定性レストレーションのためのアバットメント(補助要素)、または可撤性レストレーションのための補綴要素である。好ましい実施形態では、図5による高分子アバットメント、および図6による空洞を含む容器型アバットメントは、一般的な歯科インプラントに関連する炎症の一次的な治療のために使用されるが、図3および図4による実施形態は、好ましくは、特定のインプラント周囲炎におけるバイオフィルムの形成および/または炎症の長期予防に使用される。
好ましい実施形態では、本発明の歯科インプラント118は、図2に概略的に示される要素である。この実施形態では、経粘膜部122は、ねじ山138によって骨性、インプラント基部要素126に接続される、2つの部品から成る歯科インプラント118の端部要素118、120の一部である。歯科インプラント118の端部要素118、120は、歯の代替物を完成させるために、歯冠124によって覆われてもよいということが、当業者に理解される。好ましくは、歯科インプラント118の、口腔内へと突出する部分のみが歯冠124によって覆われる。好ましくは、経粘膜部122は、殺生物剤、たとえば適切な金属またはその合金から構成され得る。より好ましくは、経粘膜部122は、エノッサル要素126と同じ材料から構成され、殺生物剤132によって覆われ、この場合、歯科インプラント118を構成するための材料としては適さない殺生物剤132、たとえば殺生物剤132を含むアマルガムまたはプラスチックも、使用され得る。端部、経粘膜要素118、120は、放出される殺生物剤132の量を調節するため、および/または治癒プロセスに放出される殺生物剤132の種類を調節するために、治療中に取り換えられ得る、ということも想定される。たとえば、一般的な歯科インプラントに関連する炎症(好ましくは、歯科インプラント周囲粘膜炎および/または歯科インプラント周囲炎)の治療において、高濃度の殺菌性および/または殺真菌性化合物を放出する端部、経粘膜要素118、120が、初期には使用されてもよく、後の段階で、少なくとも部分的に、たとえば、免疫抑制性化合物を放出する端部、経粘膜要素118、120に取り換えられてもよい。
好ましい実施形態では、本発明の端部、経粘膜要素118、120は、図3に概略的に示される要素(アバットメント)である。要素は、2つの部品から成る歯科インプラント118の末端部120であり、経粘膜部122、および要素をエノッサル要素126に接続するためのねじ山138を含む。要素はさらに、殺生物剤132を含む、好ましくは取り外し可能のリング142を含む。リング142は、殺生物剤132を含むか、または殺生物剤132から構成されてもよく、たとえば、好ましくは、リング142は、プラスチックまたは殺生物剤132を含む充分な耐久性の他の高分子材料から構成されてもよく、または、リング142は、本発明の金属および/またはその合金もしくはアマルガムを含むか、または、本発明の金属および/またはその合金もしくはアマルガムから構成されてもよい。必要であれば、当業者は、リング142に対する摩耗力、溶解、または他の悪影響を減少させるために歯科インプラントの要素をいかに設計するかを知っている。より好ましい実施形態では、リング142は、好ましくは有効な濃度で、殺生物剤132として本発明の金属のうちの少なくとも1つを含む金属リングである。リング142が取り外し可能である場合、リング142は、好ましくは、リング142の取外しまたは取替えを可能にするために可撓性材料から構成されるか、または、リング142はスナップリングである。リング142は、放出される殺生物剤132の量を調節するため、および/または治癒プロセスに放出される殺生物剤132の種類を調節するために、治療中に取り換えられ得る、ということも想定される。たとえば、一般的な歯科インプラントに関連する炎症(好ましくは、歯科インプラント周囲粘膜炎および/または歯科インプラント周囲炎)の治療において、高濃度の殺菌性および/または殺真菌性化合物を放出するリング142が、初期には使用されてもよく、後の段階で、少なくとも部分的に、たとえば、免疫抑制性化合物を放出するリング142に取り換えられてもよい。好ましい実施形態では、リング142は、経粘膜要素に含まれる溝に適合する。また、好ましくは、リング142は、溝内に成形され、したがって安定状態にあり、複数年に亘って殺生物剤の放出を促進する。後者の実施形態は、特に、予防的な態様に対して、およびバイオフィルムの付着を減少させるために好ましい。
別の好ましい実施形態では、本発明の端部、経粘膜要素118、120は、図4に概略的に示される要素である。端部、経粘膜要素118、120は、先の実施形態の要素に類似している。しかし、殺生物剤が、要素118、120の経粘膜部122内に挿入されるピン144に含まれる。ピン144は、殺生物剤132を含むねじに取り換えられてもよい、ということが当業者に理解される。1つより多い種類のピンまたはねじ144が挿入され、ピンまたはねじ144の種類のそれぞれが、1つまたは複数の他の種類のピンまたはねじ144に含まれる殺生物剤とは異なる殺生物剤を含む、ということが本発明により想定される。さらに、少なくとも1つのピンまたはねじ144は、放出される殺生物剤132の量を調節するため、および/または治癒プロセスに放出される殺生物剤132の種類を調節するために、治療中に取り換えられ得る、ということも想定される。たとえば、一般的な歯科インプラントに関連する炎症(好ましくは、歯科インプラント周囲粘膜炎および/または歯科インプラント周囲炎)の治療において、高濃度の殺菌性および/または殺真菌性化合物を放出するピンまたはねじ144が、初期には使用されてもよく、後の段階で、少なくとも部分的に、たとえば、免疫抑制性化合物を放出するピンまたはねじ144に取り換えられてもよい。好ましい実施形態では、ピンまたはねじ144は、殺生物剤として作用する本発明の金属、合金、またはアマルガムを含むか、または本発明の金属、合金、またはアマルガムから構成され得る。好ましくは、本発明の殺生物剤は、ピン状の孔内に成形され、好ましくは、複数年に亘る放出のための安定状態にあり、後者の実施形態は、特に、予防的な態様に対して、およびバイオフィルムの付着を減少させるために好ましい。
別の好ましい実施形態では、本発明の端部、経粘膜要素118、120は、図5に概略的に示される要素である。端部、経粘膜要素118、120は、図2に示される要素に類似している。しかし、殺生物剤132は、殺生物剤132を含む、高分子の、好ましくはアクリル樹脂の部分146に含まれる。好ましくは炎症治療への使用において耐久性の低い材料から高分子部分146が構成される場合、高分子部分146は、たとえば、要素に作用する機械的な力に耐えるように、被覆プレート140に被覆される。被覆プレート140は、好ましくは、高分子部分146の材料と比較して、より耐久性の高い材料から構成されてもよく、たとえば、好ましくは、被覆プレート140が金属から構成される、ということが当業者に理解される。
さらに好ましい実施形態では、本発明の端部、経粘膜要素118、120は、図6に概略的に示される要素である。端部、経粘膜要素118、120は、2つの部品から成る歯科インプラント118の末端部であり、経粘膜部122、および要素をエノッサル部126に接続するためのねじ山138を含む。要素は、好ましくは適切な担体と混合された殺生物剤132を含む空洞134、および粘膜128と端部、経粘膜要素118、120との間の間隙内へと殺生物剤132が放散することを可能にする少なくとも1つの孔136をさらに含む。当業者に理解されるように、被覆プレート140は、固定されても取り外し可能であってもよく、被覆プレートが取り外し可能である場合、空洞134に含まれる殺生物剤132は、治療中に取り替えられてもよい。しかし、また、被覆プレートが、端部、経粘膜要素118、120の本体と切れ目なく連続している、ということも想定される。代替的に、被覆プレートは、端部、経粘膜要素118、120から省かれてもよく、レストレーション(歯冠)に含まれてもよい。好ましい実施形態では、殺生物剤を内部に有する空洞を備える容器型アバットメントが、炎症治療のために使用される。
別の好ましい実施形態では、本発明の歯科インプラント118の要素は、図7に概略的に示される、要素をエノッサル部126に接続するためのねじ山138を有するレストレーション(歯冠)124である。レストレーション124は、殺生物剤132を含む経粘膜部122を含む。これは、レストレーション124が少なくとも部分的に顎骨の粘膜内へと延びる好ましい実施形態である、ということが理解される。
118 歯科インプラント
120 端部、経粘膜要素
122 経粘膜部
124 レストレーション(歯冠)
126 エノッサル部またはエノッサル要素
128 粘膜(歯肉)
130 骨
132 殺生物剤または殺生物剤を含む手段
134 空洞
136 孔
138 ねじ山
140 被覆プレート
142 リング
144 ピンまたはねじ
146 高分子部分

Claims (15)

  1. 歯科インプラント(118)またはその要素であって、経粘膜部(122)を含み、前記経粘膜部(122)の少なくとも一部が殺生物剤(132)および/またはpH調整剤を含む、歯科インプラント(118)またはその要素。
  2. 前記殺生物剤(132)が、
    (i)前記経粘膜部(122)内の一体的な構成要素として含まれる、
    (ii)前記歯科インプラント(118)またはその要素に、リング(142)として、1つまたは複数のピン(144)として永久的に固定されるか、または前記歯科インプラント(118)またはその要素の、前記経粘膜部(122)に含まれる少なくとも1つの孔(136)によって周囲に接続される空洞(134)に含まれる、または、
    (iii)前記経粘膜部(122)の上に取り付け可能である取り外し可能手段に含まれる、
    請求項1記載の歯科インプラント(118)またはその要素。
  3. 前記殺生物剤(132)が、取り外し可能手段に含まれ、前記取り外し可能手段が、前記経粘膜部(122)の上に取り付け可能であるリング(142)、または、1つまたは複数のピン(144)である、請求項1または2記載の歯科インプラント(118)またはその要素。
  4. 前記pH調整剤が、前記歯科インプラント(118)またはその要素の空洞(134)に含まれ、前記空洞(134)が、前記経粘膜部(122)に含まれる少なくとも1つの孔(136)によって周囲に接続される、請求項1記載の歯科インプラント(118)またはその要素。
  5. 前記殺生物剤(132)が、抗炎症性化合物、好ましくは、抗菌性、抗真菌性、抗ウイルス性、防腐性、および/または免疫抑制性化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯科インプラント(118)またはその要素。
  6. 前記抗菌性化合物が、殺菌性化合物、静菌性化合物、または歯科インプラントへの細菌付着を防止する化合物である、請求項5記載の歯科インプラント(118)またはその要素。
  7. 前記殺菌性化合物が、金属、好ましくは、銀(Ag)、水銀(Hg)、および金(Au)の少なくとも1つ、または抗生物質、好ましくは、アモキシシリン、クラブラン酸と組み合わされたアモキシシリン、メトロニダゾール、クリンダマイシン、アジスロマイシン、シプロフラキシン、テトラサイクリン、もしくはそれらの任意の組み合わせである、請求項6記載の歯科インプラント(118)またはその要素。
  8. 前記免疫抑制性化合物が、グルココルチロイド、アルキル化剤、代謝拮抗薬、イムノフィリン相互作用剤、またはミコフェノール酸である、請求項5記載の歯科インプラント(118)またはその要素。
  9. 歯科インプラントに関連する炎症の予防および/または治療における使用のための殺生物剤(132)および/またはpH調整剤であって、請求項1〜8のいずれか1項に記載の歯科インプラント(118)から放出される殺生物剤(132)および/またはpH調整剤。
  10. 前記歯科インプラントに関連する炎症が、歯科インプラント周囲粘膜炎および/または歯科インプラント周囲炎である、請求項9記載の使用のための殺生物剤(132)および/またはpH調整剤。
  11. 前記使用が、歯科インプラントに関連する炎症の治療であり、前記治療が、少なくとも2つの異なる殺生物剤の投与、好ましくは、少なくとも2つの異なる殺生物剤の連続投与を含む、請求項9または10記載の使用のための殺生物剤(132)および/またはpH調整剤。
  12. 前記使用が、歯科インプラントに関連する炎症の治療であり、前記治療が、抗菌性化合物を投与することの後に、免疫抑制剤の投与を含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の使用のための殺生物剤(132)および/またはpH調整剤。
  13. 歯科インプラント(118)またはその要素を製造するための方法であって、前記歯科インプラント(118)またはその要素の経粘膜部(122)の少なくとも一要素に、殺生物剤および/またはpH調整剤を含めることを含む、歯科インプラント(118)またはその要素を製造するための方法。
  14. 歯科インプラント(118)またはその要素を製造するための、殺生物剤および/またはpH調整剤の使用。
  15. 前記歯科インプラント(118)またはその要素が、請求項1〜8のいずれか1項に記載の歯科インプラント(118)またはその要素である、請求項14記載の使用。
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