JP2017510765A - 駆動システム用のローラーギア - Google Patents

Abstract

駆動システムのローラーギア及びスプロケットの構造に用いる、より具体的には、航空機の着陸装置駆動システムにおいて用いるローラーギアが開示される。代替的な実施形態及び、特に、ローラー及びローラーギアのローラー取り付けピンの取り外し及び交換を可能にするための手段が開示される。【選択図】図６

Description

本発明は、地上タキシング（前進又は後進）及び／又は着陸前の車輪のスピンアップのため、及び／又は回転している車輪にブレーキングトルクを与える目的のために、航空機着陸装置の１つ以上の車輪を回転させるための、駆動システム用のギアに関する。

航空機は、飛行場の場所間で地上タキシングする必要がある。一例は、滑走路と航空機の乗客が乗り降りする場所（例えば、ターミナルゲート）との間のタキシングである。典型的には、このようなタキシングは、航空機を前方に進ませるために、航空機のエンジンからの推進力を用いて、着陸装置の車輪を回転させることにより達成される。地上タキシング速度は比較的低速度でなければならないので、エンジンは非常に低い出力で駆動しなくてはならない。このことは、このような低い出力では推進効率が低くなるので、比較的大量の燃料が消費されることを意味する。このことは、空港周辺の局所的な大気汚染と騒音公害の増大につながる。さらに、エンジンが低い出力で駆動するときであっても、通常、地上タキシング速度を抑えるために、車輪にブレーキをかける必要があり、ブレーキの摩耗度が大きくなる。

旅客機の後退、例えば、ターミナルゲートから離れる際に、主エンジンを用いることは禁止されている。後進させることが必要なとき、又は主エンジンの推進力によって地上タキシングが実行できない他の状況においては、レッカー車を用いて航空機を方々に操縦している。このようなプロセスは、労力を要し、費用がかかる。

従って、地上タキシング操作中に、航空機着陸装置の車輪に動力を供給するための駆動システムが必要である。また、このような駆動システムを用いて、着陸前に車輪を予め回転させ、接地時に車輪が初期着陸速度又はそれに近い速度で既に回転しているようにすることも所望される。このような着陸前のスピンアップは、着陸時のタイヤの摩耗を低減させ、着陸中に着陸装置に伝達される荷重を低減させると考えられる。

近年では、航空機が地上にある間の車輪の駆動と、着陸前の車輪のスピンアップとの双方のための、いくつかの自律型地上タキシングシステムが提案されている。

一例が米国特許出願公開第２００６／００６５７７９号に開示されており、これは、車輪が自由に回転できるモードと、車輪が電気モータによって駆動されるモードとの切り替えにクラッチを用いる、航空機の前脚車輪駆動システムを提案している。クラッチは、着陸前にモーターが車輪を予め回転させることができるように操作することもできる。

このような従来のシステムは、車輪の周りの多くのスペースがブレーキシステムによって占められる主着陸装置に組み込めるようにするために非常に多くのスペースを要することから、通常は、前脚着陸装置に限られている。しかしながら、前脚着陸装置は、地上タキシング操作中、概して、着陸装置によって支持される垂直荷重のごく一部（航空機の重量の約５％）を支持するに過ぎない。従って、航空機の地上タキシングを確かなものとするのには、駆動される前脚着陸装置の車輪と地面との間の静止摩擦力が不十分なことがある。このようなことは、航空機の重心が後部寄りにあるときや、地表が滑りやすいときに、特に関係する。

前脚着陸装置に限定されない従来の装置が、国際公開第２０１１／０２３５０５号に開示されている。この開示システムは、アクチュエータを用いてピニオンギアを動かし、車輪ハブに取り付けられたリングギアと駆動係合させたり、駆動係合を解除したりす。ローラーギアは、このような着陸装置駆動システムに有益であるとされ、これに関連する国際公開第２０１４／０２３９３９号が開示されている。

米国特許出願公開第２００６／００６５７７９（Ａ１）号明細書 国際公開第２０１１／０２３５０５（Ａ２）号 国際公開第２０１４／０２３９３９（Ａ１）号

航空機着陸装置のローラーギアに用いられるコンポーネントは、有限の耐用年数を有するため、この関連で用いられるローラーギアは、洗浄及びコンポーネントの交換、より具体的には、ローラー及び、ローラーが取り付けられるピンを交換したり、又は洗浄したり注油したりするために分解する必要がある。これらの部品は、着陸及び離陸操作に重要なコンポーネントであるので、定期的な保守点検はもちろん、そのような保守点検に関連する人件費や航空機の修理時間が重要であり、それらの影響は最小限に抑えるべきである。このような問題に対処するために、本発明は、航空機の着陸装置駆動システムに用いる、改良型のローラーギアを提案する。

本発明の第１の態様にて提供されるローラーギアは、
実質的に円形のアレイを形成するように配置された一連のローラーと、
ローラーギアの回転軸に沿って互いに軸方向に間隔を空けた少なくとも２つのローラー取り付け部材であり、該ローラー取り付け部材のそれぞれは、そこにローラー取り付けピンを受け入れて、ローラー取り付け部材の間にローラーを取り付けるための、実質的に円形アレイの開口部を備えている、ローラー取り付け部材と、
開口部に配置されるローラー取り付けピンのアレイであり、ローラー取り付けピンのそれぞれは、ローラー取り付け部材に対してローラーを保持するために、前記ローラー取り付け部材及び前記ローラーを入れるための長手方向軸を有する、ローラー取り付けシャフトを備えている、ローラー取り付けピンのアレイと、を備え、
ローラー取り付けピンの少なくとも１つは、前記ピンの径方向寸法の変化によってシャフトから区切られた、ローラー取り付けピンヘッド部を備え、
ローラーギアは、その長手方向軸の方向におけるローラー取り付けピンの軸方向移動を防ぐために、少なくとも１つのローラー取り付けピンのヘッド部を係合するように配置された、ローラー取り付けピン一次保持手段をさらに備える。

本発明のローラーギアは、ローラー及びローラーピンとも称されるローラー取付けピンの繰り返しの取り外し及び交換に都合よく構成される。本明細書で説明する構成は、低プロファイルのピン保持手段を提供することができ、ローラー取り付けピンを支持するローラー取り付け部材の幅を超えて、ローラーギアの幅をほとんど増やすことなく、繰り返し取り外せる方法で、ローラーギアにローラー取付けピンを保持する。

ローラー取り付けピン一次保持手段は、ローラー取り付けピンとローラー取り付けピン保持手段との間の相対的な回転又は並進動作によって、ローラー取り付けピンと係合、又は係合解除するように配置されてもよい。

ローラー取り付けピン一次保持手段は、ローラー取り付けピンとローラー取り付けピン保持手段との間の相対的な回転動作によってローラー取り付けピンを係合、又は係合解除するように配置されてもよい。

ローラーギアは、ローラー取り付けピン一次保持手段及びローラー取り付けピンを係合状態にロックするための、ローラー取り付けピン二次保持手段をさらに備えてもよい。

ローラー取り付けピン二次保持手段は、ローラー取り付けピンとローラー取り付けピン保持手段との間の相対的な回転動作を防ぐように配置されてもよい。

ローラーピン一次及び二次保持手段の少なくとも１つは、ローラー取り付けピンのアレイを同時に保持又はロックしたり、及び／又は、ローラー取り付けピンのアレイを同時にリリース又はアンロックしたりするように配置される、実質的に環状の部材であってもよい。

ローラーギアは、ローラーピン一次及び二次保持手段の少なくとも１つを、それが取り付けられるローラー取り付け部材に対して固定するための固定手段をさらに備えてもよい。

ローラー取り付けピンのヘッド部は、ピン取り付けシャフトの半径よりも大きい半径方向最大寸法を有し、第１の軸方向におけるローラー取り付け部材に対するヘッド部の動きを防いでもよい。

ローラー取り付け部材は、ローラーギアのコアに取り付けられてもよく、コアは、好適には、ローラーギアが取り付けられるシャフトを受け入れるためのボアを備える。

ローラー取り付けピンのヘッド部は、第１の径方向寸法を有する第１の部分と、第１の径方向寸法よりも小さい、第２の径方向寸法を有する第２の部分とを有してもよい。

ローラー取り付けピンのヘッド部は、第１の径方向寸法を有する第１の側部と、第１の径方向寸法よりも小さい、第２の径方向寸法を有する第２の側部とを有してもよい。ローラー取り付けピンのヘッド部は、第１の実質的に円弧状の部分及び第２の実質的に直線状の部分を有する外周を有してもよい。少なくとも一端、好適には、ローラー取り付けピンの端部のそれぞれは、ピンを回転させるツールを係合させるための係合機構を備えてもよい。

ローラー取り付けピン一次保持手段は、ローラー取り付け部材から間隔を空けて、取り付けられてもよい。

ローラー取り付けピン一次保持手段は、ローラーギアの回転軸に対して軸方向に延在する第１の部分と、ローラーギアの回転軸に対して径方向に延在する第２の部分とを備えてもよい。

ローラー取り付けピン一次保持手段は、ローラー取り付け部材の外周の周りに配置される環状部分を備えてもよい。

ローラー取り付けピン一次保持手段は、軸方向に延在する第１の環状部分と、径方向に延在する第２の環状部分とを備えてもよい。

ローラーギアは、ローラーピンの少なくとも１つの回転を制限するための、ローラー取り付けピン二次保持手段をさらに備えてもよい。

ローラー取り付けピン二次保持手段は、少なくとも１つのローラーピンヘッド部に隣接して着脱可能に取り付けられるように配置されてもよい。

ローラー取り付けピン二次保持手段は、少なくとも１つのローラーピンが位置する開口部の中心から、ローラーピンヘッド部の径方向の最大寸法よりも小さい距離に配置されてもよい。

ローラー取り付けピン二次保持手段は、ローラーピンヘッド部を介して前記ピンの回転を制限するように配置されてもよく、好適には、ローラー取り付けピンのヘッド部を係合することによる。

ローラー取り付けピン二次保持手段は、ローラーギアの２つ以上のローラー取り付けピンを保持するように配置されてもよい。

ローラー取り付けピン二次保持手段は、実質的に環状のリングであり、その内縁又は外縁の少なくとも１つが、ローラーピンが位置する開口部の中心から、ローラーピンのヘッド部の径方向最大寸法よりも小さい距離に位置されるように配置されてもよい。

ローラー取り付けピン二次保持手段は、ローラー取り付けピンをロック及びリリースするために、ローラー取り付け部材から繰り返し着脱可能であってもよい。

前述の請求項のいずれかに記載のローラーギアは、ローラーギアの回転軸に沿って互いに軸方向に間隔を空けて、第１、第２及び第３のローラー取り付け部材を備え、第１及び第２系列のローラーが、ローラーギアにおけるそれぞれのリングに取り付けられてよい。

少なくとも１つのローラー取り付けピンは、ピンのヘッド部に対して縮径のネック部と、ローラーギアにピンを保持するためにピンのヘッド部の一次保持手段を係合するためのピンのシャフトとを有してもよい。

ローラー取り付けピン一次保持手段は、ローラー取り付けピンのネック部の直径よりも大きく、ヘッド部の直径及びローラー取り付けピンのシャフトの直径よりも小さい距離だけ間隔を空けた、一対の対向側部を有するピンのヘッド部保持部を有してもよい。

ローラー取り付けピン一次保持手段は、ピンのヘッド部又はローラー取り付けピンのシャフトの直径よりも大きな距離だけ間隔を空けて対向する面を有する、ピンのヘッド部リリース部をさらに備えてもよい。ピンのヘッド部一次保持手段は、ピンのヘッド部保持部及びピンのヘッド部リリース部を備えている、通り抜ける形の開口部を有してもよい。

ローラー取り付けピン一次保持手段は、ローラー取り付けピンのヘッド部をピンのヘッド部保持部及び／又はピンのヘッド部リリース部に選択的に位置付けるために、ローラー取り付け部材に対してスライド可能であってもよい。

ローラー取り付けピン一次保持手段は、ピンのヘッド部リリース部及びピンのヘッド部リリース部を備えている、開口部のアレイを備える実質的に環状のリングであってもよい。

ローラー取り付けピン一次保持手段は、ローラー取り付け部材の開口部のアレイがピンのヘッド部保持部のアレイと整列する第１の位置及び、ローラー取り付け部材の開口部のアレイがピンのヘッド部リリース部のアレイと整列する第２の位置から、回転可能に配置されてもよい。

さらなる態様において、本発明は、第１及び第２のローラー取り付け部材を備えているローラーギア用の本体であって、
ローラー取り付け部材のそれぞれは、それにローラーを取り付けるためにローラー取り付けピンを受け入れるための、実質的に環状のアレイに配置される複数の開口部を備え、
ローラー取り付け部材の少なくとも１つは、ローラー取り付け部材とローラーピンのヘッド部保持手段との間に、ヘッド部を保持するために、ローラー取り付けピンの少なくとも１つのヘッド部と係合するように配置される、ローラー取り付けピンを備えている、ローラーギア用の本体を提供する。

さらなる態様において、本発明は、本願明細書に記載されるローラーギアのためのローラー取り付けピンを提供し、ローラー取り付けピンは、
ローラーをローラー取り付け部材に対して回転可能に取り付けるために、ローラー取り付け部材及びローラーを入れるための、第１の直径を有する、ピン取り付けシャフトと、
好適には、第１の軸方向における、ローラー取り付け部材に対するヘッド部の動きを防ぐために、ピン取り付けシャフトの直径よりも大きな第１の径方向寸法を有する第１の部分を有するヘッド部と、を備え、ピンのヘッド部は、好適には第１の径方向寸法よりも小さな第２の径方向寸法を有する、第２の部分を有する。

ヘッド部は、第１の径方向寸法を有する第１の側部及び前記第１の径方向寸法よりも小さな第２の径方向寸法を有する第２の側部を有してもよい。ヘッド部は、実質的に円弧状の第１の部分及び実質的に直線の第２の部分を有する外周を有してもよい。ピンは、ピンをその長手方向軸を中心に回転させるために工具を係合させるための、内在的係合機構をさらに備えてもよい。ローラー取り付けピンの端部のそれぞれは、ピンを回転させるために工具を受け止めるための、内在的係合機構を備えてもよい。

本発明のさらなる態様は、本明細書に記載したようなローラーギアを備える、航空機着陸装置を提供する。

好適には、駆動システムは、着陸装置の主脚に着脱自在に取り付けられる。従って、駆動システムは、保守のため及び／又は駆動伝達装置を用いることが航空機の巡航にその重量ペナルティのために経済的ではなくなるような長距離の運行に航空機を用いる場合に、取り外すことができる。

駆動システムは、バネ部（例えば、ストラット）上か、非バネ部（例えば、スライダー又は車軸又はボギー）上のいずれかの着陸装置に外部から取り付けてもよい。駆動システムは、着陸装置に枢動可能に取り付けられてもよい。駆動ピニオンを支える出力シャフトは、駆動ピニオンの回転軸からずれた、実質的に水平な枢動軸の周りを回転させてもよい。第１及び第２のギアは、枢動軸の周りを回転することによって係合したり外れたりするように動くことができる。モータは、枢動軸の周りを駆動ピニオンと一緒に動くことができ、代替的には、モータは枢動軸に対して静止していてもよく、又は、さらに代替的に、モータは、駆動ピニオンが枢動軸を中心とした円弧を通って動く際に、枢動軸の周りを回転してもよい。

ローラーギアは、駆動ピニオン及び／又は被駆動ギア用としてもよく、ギアと、ギアが回転可能に取り付けられるシャフトとの間の等速ジョイント又は同様の装置を含んでもよい。これは、着陸装置が撓むときに、駆動係合を確実に維持できるようにするのに役立てることができる。

着陸装置は、ただ１つの駆動可能な車輪を有していてもよい。代替的には、２つ以上の着陸装置の車輪を１つ以上のモータによって駆動してもよい。差動装置をモータと駆動ピニオンとの間に用いてもよい。モータは、例えば電動式又は油圧式としてもよい。

車輪に取り付けられるギアは、ギア比を拡大させる、有意なトルクを発現させるために、駆動ピニオンよりも大きい直径を有することが好ましい。このように直径の大きいハブを利用することによって、質量の最適解を達成できる。

航空機に組み込む場合、着陸装置は、駆動伝達装置に電力を供給し、その動作を制御するための、電力供給制御システムと共に用いることができる。

以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。

第１の実施形態による駆動システムの等角図である。 図１の駆動システムのさらなる等角図である。 第２の実施形態による駆動システムの選択されたコンポーネントの等角図である。 駆動システムにおいて、駆動力を伝達するためのローラーギアとスプロケットのオプショナルな配置を示す図である。 駆動システムでの使用に適したローラーギアを示す図である。 本発明によるローラーギアの例を示す図である。 図６のローラーギアを貫く断面図である。 図６のローラーギアをさらに詳細に示す図である。 図６のローラーギアの一部組み立て図である。 図６のローラーギアのためのローラー取り付けピンを示す図である。 代替のローラーギアを示す図である。 図１１のローラーギアをさらに詳細に示す図である。 ローラー取り付けピンの取り外し又は取り付けのために構成された、図１１のローラーギアを示す図である。 図１３のローラーギアの詳細を示す図である。 図１１のローラーギアのためのローラー取り付けピンの詳細を示す図である。

２つの車輪を有する航空機着陸装置に適用される例示実施形態が示されるが、実施形態の原理は、単一車輪のみを含む任意数の車輪を有する着陸装置に適用されてもよい。本発明のローラーギアは、任意の駆動システムに適用して、対応するスプロケット又はピニオンに係合させることができる。主着陸装置によって支持される重量は、車輪と地面との間に最適な静止摩擦力を与えて、航空機の地上タキシングの信頼度を高めるとみなされるため、図示の実施形態は、主着陸装置（即ち、翼構造又は翼周辺の胴体構造に取り付けられる着陸装置）に適用することができる。しかしながら、本発明のローラーギアを組み込む駆動システムは、代替的に前脚着陸装置（即ち、航空機の機首寄りの、操縦可能な着陸装置）に適用されてもよい。図示の主着陸装置は、単通路型旅客機（乗客約１５０〜２００名）に適用可能であるが、本発明は、民間機、軍用機、ヘリコプター、旅客機（乗客５０名未満、乗客１００〜１５０名、乗客１５０〜２５０名、乗客２５０〜４５０名、乗客４５０名以上）、貨物輸送機及びティルトロータ機等を含む、種々のタイプ及び重量の航空機に広く適用可能である。

本発明のローラーギアを組み込む駆動システムは、本明細書に記載される実施形態の詳細な説明において明らかになるように、重機、乗り物、採掘装置及び回転駆動システムを用いる他の任意の機械装置のような、他の駆動チェーンに適用して、本発明の利点を実現することもできる。

着陸装置１０は、衝撃を吸収する伸縮自在の主脚１２を含み、この主脚１２は、上部の伸縮部１２ａ（メインフィッティング）と下部の伸縮部１２ｂ（スライダ）を含む。上部の伸縮部１２ａは、その上端（図示せず）が、航空機の胴体又は翼（図示せず）に取り付けられる。下部の伸縮部１２ｂは、主脚の両側に１つずつの一対の車輪１６（図面の明瞭化のため、図１及び図２においては一方の車輪１６だけを示す）を支える車軸１４を支持する。車輪１６は、タキシング又は着陸といったような航空機の地上移動を可能にするために、車軸１４を中心に回転するように配置される。

車輪１６は、それぞれ、リム１８ａを有するハブ１８によって支持されるタイヤ１７を備え、ハブ１８は、その外周にてタイヤ１７を保持する。ハブ１８（好ましくは、リム１８ａ）には、被駆動ギア２０が、車輪１６と一緒に回転し得るように取り付けられる。被駆動ギア２０は、複数の個別のカップリングによって車輪１６に取り付けてもよく、剛性又はフレキシブルなアタッチメントを提供することができる。代替的に、その取り付けは、車輪１６又は被駆動ギア２０のいずれかから軸方向に突出する連続拡張リムを形成するフランジを介してもよい。

駆動システム５０は、ギアボックス７０を介して駆動シャフト５４にトルクを伝達するモータ５２を含む。駆動システム５０は、着陸装置の車軸１４に剛接続されたブラケット５６によって支持される。ブラケット５６は、車軸１４へのブラケット５６の迅速な着脱を可能にする、半月状のクランプを備える２つのラグを含む。モータ５２は、例えば、ボルト締めによって、ブラケット５６に固定的に接続される。ギアボックス７０は、このギアボックス７０のいずれかの側に配置されるブラケット５６の各アーム上のピボットラグ８２にて、ブラケット５６に枢動可能に接続される。

駆動軸の回りを駆動シャフト５４が回転し得るように、駆動シャフト５４には駆動ピニオン６０が取り付けられている。駆動ピニオン６０、駆動シャフト５４及びギアボックス７０は、ブラケット５６（車軸１４に最も近い端部における）と、ギアボックス７０、より具体的にはギアボックスのハウジング８４との間に延在する、直接駆動のローラーねじによる電気機械式のリニアアクチュエータといったような、リニアアクチュエータ（ポジショナー）５８によって枢動可能である。それ故に、アクチュエータ５８の直線運動は、ギアボックス７０及びスプロケット６０の、ピボット８２の回りの回転運動に変換される。従って、駆動システム５０は、駆動ピニオン６０が被駆動ギア２０とかみ合わないニュートラル構成（図示せず）と、駆動ピニオン６０が被駆動ギア２０とかみ合い係合する被駆動構成（図１、図２及び図３に示す）とのどちらかの状態をとることができる。ニュートラル構成では、車輪１６は、例えば離陸及び着陸中、自由に回転することができるが、一方、被駆動構成においては、車輪１６は、例えば地上タキシングの間、駆動システム５０によって駆動させることができる。

図１及び図２の実施形態において、被駆動ギア２０はローラーギア３４を備え、駆動ピニオン６０はスプロケットを備える。

ローラーギア３４は、剛性の環状リング３５と、環状リング３５の両側から突出する一連のピンから形成される。ピン３８によって回転可能に支持される第１系列のローラー３６Ａが、環状リング３５の片側に設けられ、ピンによって回転可能に支持される第２系列のローラー３６Ｂが、環状リングの反対側に設けられる。各系列のローラー３６Ａ、３６Ｂは、環状リングの周りに延在して無限軌道を形成する。第１及び第２の側方の環状リング３９Ａ、３９Ｂが、第１及び第２系列のローラー３６Ａ、３６Ｂを挟む。第１系列のローラー３６Ａを支持するピンは、環状リング３５と第１の側方環状リング３９Ａとの間に延在し、第２系列のローラー３６Ｂを支持するピン３８は、環状リング３５と第２の側方環状リング３９Ｂとの間に延在する。従って、環状リング３５は、ピンを支持するための中央スパインを形成し、ピンは中央スパインから片持ち支持される。環状リング３５は、ローラーギア３４をハブ１８に取り付けるための取り付け手段を提供する、複数の軸方向に延在する接続延伸タブ（図示せず）を備える。代替的には、タブは環状リング３５に置き換えられてもよい。

駆動ピニオン６０は、ローラーギア３４のローラー３６とかみ合うことができる、径方向に延在するスプロケット歯の２つの同軸リングを有するスプロケットを備える。即ち、スプロケット歯の各リングは、被駆動ギア２０のローラーリングの１つとかみ合うように配置される。

図３は、代替の好ましい実施形態を示し、被駆動ギア２０は、ローラーギアの代わりにスプロケットを備え、駆動ピニオンはスプロケットの代わりにローラーギアを備えている。従って、駆動ピニオンは、ローラーの２つの同軸リングを有するローラーギア６４を備え、被駆動ギア２０は、スプロケット歯の２つの同軸リングを有するスプロケット６６によって置き換えられている。全てのその他の点において、駆動システムは図１及び図２を参照して上述したものと同じであり、以下に詳述する駆動システムの特徴は双方の実施形態に等しく当てはまる。ローラーギア６４は、ローラーギア３４と同じように構成することができるが、その直径は遥かに小さく、従ってローラーの数も少ないことは勿論である。

スプロケット−ローラーギア配置の利点は、かみ合う歯付きギア配置よりも、車輪と車軸の変形に対してより寛容であることである。着陸装置の車輪及び車軸は、地上タキシング中に高い荷重を受け、結果的に変形し、車輪に固定された被駆動ギアもこのような変形に応じて必然的に変形する。かみ合う歯付きギアは、このような変形には不寛容であり、典型的な歯付きリムギアは、ベアリング、フレキシブルなインターフェイス、又は同様のものを介して車輪から隔離する必要がある。これに対し、本発明のスプロケットとローラーの配置は、そのような改装なしに、変形を許容することができる。

このような配置は、軽量で、高い構造強度を有するという利点もある。ローラーの主な故障モードは、ピンのせん断破壊によるものであり、各ローラーを中間スリーブや、ブッシュ又は他の部品を用いずにそれぞれのピンに直接取り付けることにより、ピンの直径を最大化してせん断強度を最大にすることができる。

上述の実施形態の変形例において、駆動ピニオンは、単一列の歯を有するスプロケット６０’（図４参照）として形成されてもよく、被駆動ギアは、単一列のローラーを有するローラーギアとして形成されてもよい。ローラーギアは、図４のローラーギア３４’又は図５の６９を含め、多様な形態をとることができる。延伸リング３５’（又はドラム）は、それがハブ１８の外周から脚１２に向かって延在するように、複数の延伸タブ３７’を介してハブ１８に堅固に取り付けられる。ローラー３６’のそれぞれは、好適には、それ自体がピン（図示せず）に取り付けられるブッシュ（図示せず）の周りを回転可能である。

図５に示すさらなる変形例において、駆動ピニオンは、代替的に、単一列の歯を有するスプロケット（図示せず）として形成される被駆動ギアと係合させるための単一リングのローラーを備えてもよい。このような例において、ローラー３６は、これらのローラー３６が周りを回転し得るブッシュ（図示せず）と一緒にローラー取り付けピン５１に取り付けられる。

図は、車輪１６のうちの１つを駆動するための駆動システム５０の特徴のみを示しているが、これらの特徴は他の車輪１６にも反映されることが想定される。即ち、１つの駆動システム５０は、車輪１６のそれぞれに設けられるものとみなす。４つ以上の車輪１６を有する着陸装置１０の場合、駆動システム５０は、車輪１６のそれぞれに設けるか、それらのうちの２つだけに設けてもよい。車輪１６のうちの２つのみに駆動システム５０を設ける実施形態においては、着陸前に未駆動の車輪をスピンアップするために、さらなるモータ（図示せず）を設けて、地上タキシングを２つの駆動システム５０によって達成する必要がある。他の実施形態では、１台のモータ５２を２つの駆動システム５０で共有してもよい。即ち、モーター５２は各駆動装置のギアボックス７０の入力シャフトを回転させるように配置してもよい。

図は、着陸装置の車軸１４に剛接続されたブラケット５６によって支持される駆動システム５０のみを示しているが、駆動システム５０は、代替的には、上部の伸縮部１２ａ（メインフィッティング）又は下部の伸縮部（スライダ）に取り付けられてもよい。

図６は、本発明によるローラーギア６００を示す。ローラーギア６００は、コア６０２を備える本体部６０１を備えている。コア６０２は、スプライン６０３が設けられたボアを有し、スプライン６０３は、ローラーギア６００とシャフトとの間にトルクを伝達するために、シャフト（図示せず）へのローラーギア６００の取り付けを可能にする。ローラーギア６００には、実質的に円形のアレイ状に配置されて、ローラーのリングを形成する一連のローラー６０４が設けられている。図示の実施形態では、ローラーの２つの円形アレイが並んで設けられ、これにより、図３に図示されるように、隣接するスプロケット歯の列にローラーギアを係合させることができる。しかしながら、ローラー６０４の単一の円形アレイを提供し、図４及び図５に示されるように、ローラーギア６００が単一列のスプロケット歯のみに係合するよう構成することもできる。従って、ローラーギア６００は、ローラーの１つの円形アレイ６０５か、ローラーの２つの円形アレイ６０５及び６０６を備えてもよい。必要に応じ、第１及び第２のアレイに隣接して、さらなる円形アレイのローラーを設け、さらなるスプロケット歯の列に係合させる能力を提供してもよい。ローラーは、ローラーギアの回転軸に平行である回転軸を有するように配置される。

隣接するローラー６０４、６０７は、共通のローラーピン６０８に取り付けることができる。ローラーギアの他の例につき上述したように、ローラー６０４、６０７は、ローラーピン６０８に取り付けることができ、ピンに関して回転可能とすることができる。ブッシュ６１５を、ローラーとローラーピン６０８との間に設けて、それらの間の相対回転を促進することができる。ローラーピンのヘッド部をロックする、ロッキングリング６０９を設けることができ、これは、図７につきより詳細に説明される。ロッキングリング６０９は、取り外し可能な取り付け手段６１０を介して、ローラーギア６００に取り外し可能に取り付けられてもよく、取り付け手段は、ねじ又はボルト或いは他の任意の取り外し可能な取り付け具とすることができる。

図示の実施形態におけるローラーギア６００は、ローラーギア６００のコアの周りに２つの円形アレイに配置された１１対のローラーを備えている。ローラーのアレイは、軸方向に一致しているため、隣接するローラーの回転軸は一致しており、従って、隣接するローラーは共通のローラーピン６０８に取り付けることができる。

ローラーギア６００へのローラーピンの装着及び取り付けを図７につき説明するに、図７は、ローラー取り付けピン６０８の箇所でローラーギア６００を貫く断面を示す。ローラーギア６００には、少なくとも２つのローラー取り付け部材６１１及び６１２が設けられ、ローラーの第２のアレイ６０５が必要とされる場合は、第３のローラー取り付け部材６１３を設けてもよい。ローラー取り付け部材は、実質的に環状リングであってもよい。ローラー取り付け部材の機能は、ローラー取り付けピン６０８を適切な開口部のアレイに保持して、ローラー６０４、６０７のアレイを保持することである。従って、ローラー取り付け部材のそれぞれには、ローラー取り付けピン６０８を受け入れるための、開口部のアレイが設けられている。ローラー取り付け部材は、ローラーギアの本体部６０１に取り付けることができるが、取り付け部材を支持するために他の手段が設けられてもよい。取り付け部材の少なくとも１つ以上は、例えば、ローラーが取り付けられるピン６０８によって、互いに対して保持されてもよい。

ローラー取り付けピン６０８は、ローラー取り付けシャフト６１４を有し、ローラーがローラー取り付けピン６０８に回転可能に取り付けられるように、ローラー６０４に入るように設定された外径を有する。さらに、ローラー取り付けピン上のローラーの回転を促進させるためにブッシュ６１５を設けてもよい。ローラー取り付けピン６０８には、ピン６０８の先端部にヘッド部６１６が設けられている。

ローラー取り付けピンのヘッド部６１６の少なくとも一部は、ピン取り付けシャフトの中心からの寸法がピン取り付けシャフトの半径よりも大きい最大の径方向寸法を有しているため、ピンは、図示される第１のローラー取り付け部材６１１における開口部を経て完全に通り抜けることが防止されている。この機能は、矢印６１７によって示される第１の方向における、ローラー取り付けピン６０８の軸方向変位を制限することができる。ピンの一端に位置することでは、ヘッド部６１６は、第１のローラー取り付け部材６１１に対して保持されているとき、ローラー取り付け部材にピンを位置付けて、ローラーギアにローラーを保持することができる。

特に、ローラーギア６００が完全に組み立てられているときや、とりわけそれが使用中のときには、ローラー取り付けピン６０８の、第１の方向６１７とは反対の、第２の方向６１８における不所望な変位を防ぐことも必要である。このような機能を提供するために、第１のローラー取り付けリング６１１には、図示のピンのヘッド部保持手段６１９の形態で、ローラー取り付け一次ピン保持手段が設けられている。このような保持手段６１９は、ヘッド部６１６に隣接する第１のローラー取り付け部材６１１と間隔を空けて、その一部として形成するか、又はそれに取り付けることができる。保持手段６１９は、ローラー取り付けピンのヘッド部の周りにも延在するため、ローラー取り付けリング６１１が第１の方向６１７におけるローラー取り付けピンのヘッド部６１６の動きを防ぎながら、ピンのヘッド部保持手段は、第１の方向６１７とは反対の第２の方向６１８における、ローラー取り付けピンのヘッド部６１６の動きを防ぐことができる。このように、一旦組み立てると、ローラー取り付けピン６０８は、ローラーギア６００のローラー取り付けリングの開口部に保持される。

ローラーギア６００の保守及び組み立ての目的のために、ローラー取り付けピン７０８は、ローラー取り付けリング６１１、６１２、６１３において、繰り返し取り外すことができ、且つ交換できることが望ましい。このために、ローラー取り付けピンのヘッド部６１６及びピンのヘッド部保持手段６１９は、これらが選択的に係合及び係合解除されて、ローラー取り付けピン６０８の第２の方向６１８における変位を防止したり、又は許したりするように配置することができる。

このような選択的な係合は、一例では、取り外し可能なピンヘッド部保持手段６１９を提供することによって達成することができ、これは、取り付け部材６１１に対してピンのヘッド部６１６を保持するために、取り外し可能又は変換可能な要素の形態で提供することができる。従って、取り外し可能なピンのヘッド部保持要素は、取り外し可能な保持手段６１９の形態で提供され、ローラーピン取り付け部材６１１に取り外し可能に取り付け、好適にはそれから間隔を空けて取り付け、ピンのヘッド部を保持して、その軸方向の変位を制限又は防止することができる。

図示の実施形態において、ローラー取り付けピンのヘッド部６１６は、非対称であり、第１の側部に、ピンのヘッド部保持手段６１９を係合するための第１の径方向延伸部６２０を有している。ピンのヘッド部６１６の異なる円周位置には、減縮径部６２１が設けられている。このようにして、ピン６０８をその軸を中心に回転させると、ピンのヘッド部６１６の減縮寸法６２１の箇所が、ピンのヘッド部保持手段６１９に向かって又はそこから離れて位置することが分かる。ピン６０８のその長手方向軸を中心とする、しかるべき回転位置では、減縮径箇所６２１は、ピンのヘッド部保持手段６１９とピン取り付けリング６１１との間には位置しないため、ピン６０８は第２の軸方向６１８に自由に変位する。このようなピン取り出しの向きは、ピンを、図７に示す位置に対して、その長手方向軸を中心に実質的に１８０度回転させる場合に実現される。このようにして、ピン６０８を適当に回転させると、ピン６０８は、ピンのヘッド部６１６に向かって第２の軸方向６１８に変位することによって、ローラー６０４及び６０７から、及びローラー取り付けリング６１１、６１２、６１３から抜き出すことができる。この構成のさらなる詳細が、コンポーネントの相対配置を示すのに上記と同様の参照番号を用いて、明瞭に示されている。

ピン６０８のローラーギア６００からの不所望な回転及び取り外しを防ぐために、二次のローラー取り付けピン保持手段を、ピンヘッド部ロッキング手段６０９の形態で提供することができる。ピン６０８を、図７に示すように、その保持設定に回転させ、径寸法の増大部６２０をピンのヘッド部保持手段６１９とピン取り付け部材６１１との間に位置させると、ピンのヘッド部ロッキング手段６０９は、ピンヘッド部６１６の径方向縮小寸法部６２１に隣接して位置することができる。従って、ピンのヘッド部ロッキング手段６０９は、ピンヘッド部６１６の回転を制限又は防止することができるため、ピンのヘッド部６１６は保持位置にロックされ、ピンは、ローラーピン取り付け手段６１１、６１２及び６１３に対する軸方向の動きが抑制される。ピンのヘッド部ロッキング手段６０９は、図示のように、環状リングとして提供してもよく、これは定位置にある場合に、ローラー取り付けピン６０８の全アレイの全てのヘッド部６１６をロックする。しかしながら、代替的に、個々のピン６０８用の、又はピン６０８のアレイのサブセット用の別個のピンのヘッド部ロッキング手段を提供してもよい。このように、ローラーギア６００にはローラー取り付けピン６０８のアレイが設けられ、ローラー取り付けピンの少なくとも１つには、ピンのヘッド部保持手段６１９と選択的に係合及び係合を解除するように配置されるピンのヘッド部を設けることができる。ローラー取り付け部材６１１にはさらに、ピンのヘッド部を、それがピンのヘッド部保持手段６１９と係合する係合位置にロックさせるための、選択的に係合可能なピンのヘッド部ロッキング手段を設けることができる。従って、ピン６０８は、その軸方向の変位が防止されるか、又は制限される係合位置と、ピンがローラー取り付けリング（１つ又は複数）に対して軸方向に変位することが自由である係合解除位置とを有することができる。従って、ローラーギアは、ピン６０８がギアから取り外されるのを防止する係合設定と、ピンのローラーギアからの取り外しが自由である、係合解除設定とを有することもできる。

１個又は複数のピン６０８の回転を促進するために、駆動入力機構６２２を、ピン６０８の少なくとも一端部に設けてもよく、ピン６０８の両端に設けてもよく、ピンへのトルク入力を容易にし、ピンを係合位置と係合解除位置との間で回転させることができる。従って、駆動機構は、ピンのヘッド部端、つまりヘッド部からのピン遠位端か、又は両端部に位置させてもよい。駆動機構は、内部六角ドライブであってもよく、又はねじ穴とするか、ドライバーのヘッド部又は六角棒スパナや、六角ボルトを受け入れる空洞とすることができる。駆動機構は、ピン６０８へのトルクの伝達を可能にして、ピンをその長手方向軸を中心に回転させる、任意の内在的又は突出機構としてもよい。

図１０は、図６〜図９の実施形態のローラー取り付けピンを示す。ピンは、実質的に滑らかな外表面を有し、ネジ山又は駆動部といったような接続機構を持たないシャフト６１４を有している。従って、シャフトは実質的に一定の直径であり、ローラーを受け入れるために、滑らかな外表面を有しており、好適にはブッシュ６１５も有し、これが用いられる場合には、ローラーピン取り付け部材６１１、６１２、６１３の開口部に取り付ける。ローラー取り付けピンは、上述のようにヘッド部６１６も有し、これは回転非対称であり、第１の側部に、ピンのヘッド部保持手段６１９を係合するための第１の径方向延伸部６２０を有している。ピンのヘッド部６１６の異なる周方向位置は、減縮径部６２１が設けられている。ヘッド部は、実質的に円弧状の第１の部分と、径寸法縮小側の、実質的に真っ直ぐな第２部分とを有する外周を有している。

図６〜図９に示されるローラーギアは、概ね、図３に示される配置に適している。しかしながら、図６及び図７につき説明した取り付けリング、ローラー及びローラー取り付けピンの配置は、図４に示されるように、その図に示される駆動スプロケット６０による係合のために、より大きな直径のローラーギアにも等しく適用できることを理解されたい。

図１１は、ローラーギアのためのピンの取り付け及び保持手段の、代替的な配置を示す。ローラーギア７００の本体部は、図６〜図９につき説明したのと同様である。本体部７０１は、スプライン７０３が設けられたコア７０２を備えている。本体部は、少なくとも２つ、図示の例では３つのローラーピン取り付け部材７１１、７１２及び７１３も備えている。ローラー取り付け部材には、各々が図６〜図９につき説明したのと同じやり方で本体部にローラーを取り付けるためのピン７１５を受け入れる、開口部７１４のアレイが設けられている。

図６〜図１０と図１１〜図１３の実施形態間の主な差異は、ローラーピン７１５をローラー取り付け部材に保持する仕方にある。図６〜図９の実施形態では、ローラーピンのヘッド部一次保持手段は、ローラー取り付け部材６１１上に機構部６１９の形態で提供される。図１１の実施形態では、ピンのヘッド部一次保持手段は、ローラー取り付け部材７１１における開口部７１４に対応する少なくとも１つの開口部７１７が設けられたプレート７１６の形態で提供される。開口部７１７は、ローラーピン一次保持手段における開口部とピンとの間の相対的な並進又は回転移動が、ローラーピンのヘッド部７１８を開口部７１７のローラーピンリリース部分７１９ａに位置付けることができるように配置される。ローラーピンに対するローラーピン保持手段の異なる方向の移動によって、ローラーピンのヘッド部７１８は開口部７１７のローラーピン保持部７１９に位置付けることができる。図示の実施形態において、ピンとローラーピン一次保持手段との間の相対的な回転動作は、ローラーピンのヘッド部を、開口部７１７のピンのヘッド部リリース部７１９ａか、開口部７１７のピンヘッド部保持部７１９のいずれかに位置付ける。図示の例では、ローラーピン一次保持手段は環状リング７１６であり、開口部７１７のアレイを備え、開口部７１７のそれぞれは、ローラー取り付け部材７１１、７１２、７１３の開口部に対応する。図示のローラーピン一次保持手段７１６の回転動作は、ローラー取り付け部材７１１、７１２、７１３の全ての開口部７１４に位置するローラー取り付けピン７１５の全てを同時に係合、又は係合解除することができる。

さらに詳細な構成が図１２で分かる。ローラー取り付けピン一次保持手段７１６とローラー取り付けピンのヘッド部７１８を係合状態にロックするための、ローラー取り付けピン二次保持手段７２０が、より具体的には、六角ボルト７２０の形態で提供される。しかしながら、ピンヘッド部７１８又はローラー取り付け部材７１１に対するピンのヘッド部一次保持手段７１６の動きを概ね防止するために、任意の適切な固定手段を提供することができる。

図１３は、ピンのヘッド部二次保持手段７２０を取り外し、従って、環リング状のピンのヘッド部一次保持手段７１６をピン７１５に対して並進又は回転させて、リリースする場合の配置を示している。これは、ピンのヘッド部７１８をピンのヘッド部リリース部７１７に位置させることを可能にする。従って、図１３に示す設定では、ピン７１５はその長手方向軸に沿って軸方向に並進するのが自由であるため、ローラー取り付け部材７１１、７１２、７１３における開口部内から抜き出すか、又はその中で変位させることができる。

図１４は、図１３の配置をより詳細に示している。ここでは、ピンのヘッド部一次保持手段７１６が、ピンのヘッド部リリース部７１７を有し、このリリース部における開口部の対向面がピンのヘッド部７１８の直径よりも大きな距離だけ離間されているため、ピンのヘッド部は開口部を通り抜け、ピンをローラーギアから抜き出すことができることが分かる。リリース部７１７は、好適には、ローラー取り付けピンのシャフトの直径よりも大きな距離だけ離間された対向面も有しているため、シャフト全体は開口部を通り抜け、ローラーギアからピンを抜き出すことができる。

ピンのヘッド部リリース部とは対照的に、ピンヘッド部保持部７１９は、ピンヘッド部の直径よりも小さい、好適には、ローラー取り付けピンのシャフトの直径よりも小さい距離だけ離間された対向面を有し、ピンの一部又は全体が保持部分７１９を通り抜けることを防ぐ。しかしながら、保持部７１９の面は、好適には、ローラー取り付けピン７１５のネック部の直径よりも大きな距離だけ離隔させ、ネック部はピンのヘッド部７１８からピンのローラー取り付けシャフトを分離し、保持部７１９でネック部を受け止めるようにしている。

この例では、円形とし得る開口部の形態で提供される、ローラー取り付けピン二次保持手段７２０を係合するためのさらなる係合機構７２１を見ることができるが、ピンのヘッド部二次保持手段が、ローラー取り付け部材７１１、７１２、７１３の１つ以上の開口部に対するピンのヘッド部一次保持手段の回転並進を防ぐことを可能にするため、径変化、ディップ又は凹部又はプロファイルセクションといったような、ローラー取り付けピンのヘッド部二次保持手段を係合させるのに適した任意の機構を提供することができる。

図１１〜１４の実施形態に用いるローラー取り付けピン７１５が、図１５により詳細に示される。ピン７１５はシャフト部を備え、これは実質的に一定の直径を有し、さらにシャフト上に取り付けられるローラーを受け止めるための滑らかな外面を有し、図６〜９のブッシュ６１５によって示されるのと同じやり方でシャフトとローラーとの間に取り付けられる、ブッシュを随意用いてもよい。ピン７１５はピンのヘッド部７１８を備え、ヘッド部はネック部７０５によってピンの主なシャフトから離隔され、ネック部は図１４に示されるピンのヘッド部保持手段７１９のピン保持部７１９に係合させるために、径縮小寸法を有する。ピンのヘッド部もそのヘッド部端に開口部７２２を備えている。この開口部は、シャフトの長さの一部又は全て通じるボアへの開口部とすることができ、これは別の開口部７２３とつながり、開口部７２３は、シャフトの外表面と中央開口部７２２との間に流体連通路を提供することができる。これは、必要であれば、シャフトに取り付けたローラーに注油するために、開口部７２２への潤滑油を与えることを可能にする。しかしながら、適切なブッシュ、例えばＰＴＦＥ又は他の低摩擦或いは自己潤滑性素材で構成されるブッシュを用いる場合には、このような注油経路は不要である。

開口部７２２は、ピンにトルクを伝達するための係合機構をさらに備えてもよい。同様の開口部は図１０のピンに適用されてよく、図１０の開口部６２２によってピンにトルク入力を提供する能力は特に有益である。このように、開口部は、トルク入力機構として、また必要に応じ、潤滑油入力機構としての二重の機能を随意有することができる。開口部６２２又は７２２は、リリース時に、ピン６０８又は７１５をローラーギアから抜き出すための工具を受け入れるように構成してもよい。

上述の配置のそれぞれにおいて、スプロケットとローラーギア／ローラーチェーンとの間のかみ合いにより駆動を達成する原理は、被駆動ギアがスプロケットを備え、駆動ピニオンがローラーギア／ローラーチェーンを備える場合、及びその逆の場合にも適用することができる。

本発明を１つ以上の好適な実施形態につき説明したが、添付の請求項にて規定される本発明の範囲から逸脱しない範囲で、種々の変形や修正が可能であることを理解されたい。

Claims (41)

1. ローラーギアであって、
   実質的に円形のアレイを形成するように配置された一連のローラーと、
   前記ローラーギアの回転軸に沿って互いに軸方向に間隔を空けた少なくとも２つのローラー取り付け部材であり、該ローラー取り付け部材のそれぞれは、そこにローラー取り付けピンを受け入れて、前記ローラー取り付け部材の間に前記ローラーを取り付けるための、実質的に円アレイの開口部を備えている、ローラー取り付け部材と、
   前記開口部に配置される前記ローラー取り付けピンのアレイであり、前記ローラー取り付けピンのそれぞれは、前記ローラー取り付け部材に対して前記ローラーを保持するため、前記ローラー取り付け部材及び前記ローラーを入れるための長手方向軸を有する、ローラー取り付けシャフトを備えている、ローラー取り付けピンのアレイと、
   を備え、
   前記ローラー取り付けピンの少なくとも１つは、前記ピンの径方向寸法の変化によって前記シャフトから区切られた、ローラー取り付けピンのヘッド部を備え、
   前記ローラーギアは、その長手方向軸の方向における前記ローラー取り付けピンの軸方向移動を防ぐために、前記少なくとも１つのローラー取り付けピンの前記ヘッド部を係合するように配置された、ローラー取り付けピン一次保持手段をさらに備えることを特徴とする、ローラーギア。
2. 前記ローラー取り付けピン一次保持手段は、前記ローラー取り付けピンと前記ローラー取り付けピン保持手段との間の相対的な回転又は並進動作によって、前記ローラー取り付けピンと係合、又は係合解除するように配置される、
   請求項１に記載のローラーギア。
3. 前記ローラー取り付けピン一次保持手段は、前記ローラー取り付けピンと前記ローラー取り付けピン保持手段との間の相対的な回転動作によって前記ローラー取り付けピンを係合、又は係合解除するように配置される、
   請求項２に記載のローラーギア。
4. 前記ローラー取り付けピン一次保持手段及び前記ローラー取り付けピンを係合状態にロックするための、ローラー取り付けピン二次保持手段をさらに備える、
   請求項１〜３のいずれかに記載のローラーギア。
5. 前記ローラー取り付けピン二次保持手段は、前記ローラー取り付けピンと前記ローラー取り付けピン保持手段との間の相対的な回転動作を防ぐように配置される、
   請求項４に記載のローラーギア。
6. 前記ローラーピン一次及び二次保持手段の少なくとも１つは、前記ローラー取り付けピンのアレイを同時に保持又はロックしたり、及び／又は、前記ローラー取り付けピンのアレイを同時にリリース又はアンロックしたりするように配置される、実質的に環状の部材である、
   請求項１〜５のいずれかに記載のローラーギア。
7. 前記ローラーピン一次及び二次保持手段の少なくとも１つを、それが取り付けられるローラー取り付け部材に対して固定するための固定手段をさらに備える、
   請求項１〜６のいずれかに記載のローラーギア。
8. 前記ローラー取り付けピンのヘッド部は、前記ピン取り付けシャフトの半径よりも大きい径方向の最大寸法を有し、第１の軸方向における前記ローラー取り付け部材に対する前記ヘッド部の動きを防ぐ、
   請求項１〜７のいずれかに記載のローラーギア。
9. 前記ローラー取り付け部材は、前記ローラーギアのコアに取り付けられる、
   請求項８に記載のローラーギア。
10. 前記コアは、前記ローラーギアが取り付けられるシャフトを受け入れるボアを備える、
    請求項９に記載のローラーギア。
11. 前記ローラー取り付けピンの前記ヘッド部は、第１の径方向寸法を有する第１の部分と、前記第１の径方向寸法よりも小さい、第２の径方向寸法を有する第２の部分とを有する、
    請求項８〜１０のいずれかに記載のローラーギア。
12. 前記ヘッド部は、第１の径方向寸法を有する第１の側部と、前記第１の径方向寸法よりも小さい、第２の径方向寸法を有する第２の側部とを有する、
    請求項１１に記載のローラーギア。
13. 前記ローラー取り付けピンの前記ヘッド部は、実質的に円弧状の第１の部分及び実質的に直線状の第２の部分を有する外周を有する、
    請求項１２に記載のローラーギア。
14. 前記ローラー取り付けピンの少なくとも一端は、前記ピンを回転させるために工具を係合させるための係合機構を備える、
    請求項１１〜１３のいずれかに記載のローラーギア。
15. 前記ローラー取り付けピンの端部のそれぞれは、前記ピンを回転させるために工具を係合させるための係合機構を備える、
    請求項１４に記載のローラーギア。
16. 前記ローラー取り付けピン一次保持手段は、前記ローラー取り付け部材から間隔を空けて、取り付けられる、
    請求項１〜１５のいずれかに記載のローラーギア。
17. 前記ローラー取り付けピン一次保持手段は、前記ローラーギアの前記回転軸に対して軸方向に延在する第１の部分と、前記ローラーギアの前記回転軸に対して径方向に延在する第２の部分とを備える、
    請求項１６に記載のローラーギア。
18. 前記ローラー取り付けピン一次保持手段は、前記ローラー取り付け部材の外周の周りに配置される環状部分を備える、
    請求項１６又は請求項１７に記載のローラーギア。
19. 前記ローラー取り付けピン一次保持手段は、軸方向に延在する第１の環状部分と、径方向に延在する第２の環状部分とを備える、
    請求項１８に記載のローラーギア。
20. 前記ローラーピンの少なくとも１つの回転を制限するための、ローラー取り付けピン二次保持手段をさらに備える、
    請求項１〜１９のいずれかに記載のローラーギア。
21. 前記ローラー取り付けピン二次保持手段は、前記少なくとも１つのローラーピンヘッド部に隣接して着脱可能に取り付けられるように配置される、
    請求項２０に記載のローラーギア。
22. 前記ローラー取り付けピン二次保持手段は、前記少なくとも１つのローラーピンが位置する前記開口部の中心から、前記ローラーピンのヘッド部の径方向最大寸法よりも小さい距離に配置される、
    請求項２１に記載のローラーギア。
23. 前記ローラー取り付けピン二次保持手段は、前記ローラーピンのヘッド部を介して前記ピンの回転を制限するように配置される、
    請求項２０〜２２のいずれかに記載のローラーギア。
24. 前記ローラー取り付けピン二次保持手段は、前記ローラーギアの２つ以上のローラー取り付けピンを保持するように配置される、
    請求項２３に記載のローラーギア。
25. 前記ローラー取り付けピン二次保持手段は、実質的に環状のリングであり、その内縁又は外縁の少なくとも１つが、前記ローラーピンが位置する前記開口部の中心から、前記ローラーピンのヘッド部の径方向最大寸法よりも小さい距離に位置されるように配置される、
    請求項１４に記載のローラーギア。
26. 前記ローラー取り付けピン二次保持手段は、前記ローラー取り付けピンをロック及びリリースするために、前記ローラー取り付け部材から繰り返し着脱可能である、
    請求項２０〜２５のいずれかに記載のローラーギア。
27. 前記ローラーギアの回転軸に沿って互いに軸方向に間隔を空けて、第１、第２及び第３のローラー取り付け部材を備え、第１及び第２系列のローラーが、前記ローラーギアにおけるそれぞれのリングに取り付けられる、
    請求項１〜２６のいずれかに記載のローラーギア。
28. 少なくとも１つのローラー取り付けピンは、前記ピンのヘッド部に対して縮径のネック部と、前記ローラーギアに前記ピンを保持するために前記ピンヘッド部一次保持手段を係合するための前記ピンのシャフトとを有する、
    請求項１〜７のいずれかに記載のローラーギア。
29. 前記ローラー取り付けピン一次保持手段は、前記ローラー取り付けピンのネック部の直径よりも大きく、前記ヘッド部の直径及び前記ローラー取り付けピンの前記シャフトの直径よりも小さい距離だけ間隔を空けた、一対の対向側部を有するピンヘッド部保持部を有する、
    請求項２８に記載のローラーギア。
30. 前記ローラー取り付けピン一次保持手段は、前記ピンヘッド部又は前記ローラー取り付けピンの前記シャフトの直径よりも大きな距離だけ間隔を空けて対向する面を有する、ピンヘッド部リリース部をさらに備える、請求項２８又は請求項２９に記載のローラーギア。
31. 前記ピンヘッド部一次保持手段は、請求項２９の前記ピンヘッド部保持部及び請求項３０の前記ピンヘッド部リリース部を備えている開口部を有する、
    請求項３０に記載のローラーギア。
32. 前記ローラー取り付けピン一次保持手段は、前記ローラー取り付けピンヘッド部を前記ピンヘッド部保持部又は前記ピンヘッド部解放部にヘッド部選択的に位置付けるために、前記ローラー取り付け部材に対してスライド可能である、
    請求項３１に記載のローラーギア。
33. 前記ローラー取り付けピン一次保持手段は、請求項２９の前記ピンヘッド部保持部及び請求項３０の前記ピンヘッド部リリース部を備えている、開口部のアレイを備える実質的に環状のリングである、請求項３０又は請求項３１に記載のローラーギア。
34. 前記ローラー取り付けピン一次保持手段は、
    前記ローラー取り付け部材の前記開口部のアレイが前記ピンヘッド部保持部のアレイと整列する第１の位置及び、前記ローラー取り付け部材の前記開口部のアレイが前記ピンヘッド部リリース部のアレイと整列する第２の位置から、回転可能に配置される、
    請求項３３に記載のローラーギア。
35. 第１及び第２のローラー取り付け部材を備えている、ローラーギア用の本体であって、
    前記ローラー取り付け部材のそれぞれは、それにローラーを取り付けるためにローラー取り付けピンを受け入れるための、実質的に環状のアレイに配置される複数の開口部を備え、
    前記ローラー取り付け部材の少なくとも１つは、前記ローラー取り付け部材と前記ローラーピンヘッド部保持手段との間に、前記ヘッド部を保持するために、前記ローラー取り付けピンの少なくとも１つのヘッド部とを係合するように配置される、ローラー取り付けピン保持手段を備えている、
    ローラーギア用の本体。
36. 前記ローラーを、前記ローラー取り付け部材に対して回転可能に取り付けるために、前記ローラー取り付け部材及び前記ローラーを入れるための、第１の直径を有する、ピン取り付けシャフトと、
    第１の軸方向における、前記ローラー取り付け部材に対する前記ヘッド部の移動を防ぐために、前記ピン取り付けシャフトの直径よりも大きな第１の径方向寸法を有する第１の部分を有しているヘッド部と、を備える請求項１〜２７のいずれかのローラーギア用のローラー取り付けピンであって、
    前記ピンの前記ヘッド部は、前記第１の径方向寸法よりも小さな第２の径方向寸法を有する、第２の部分を有する、
    ローラーギア用のローラー取り付けピン。
37. 前記ヘッド部は、第１の径方向寸法を有する第１の側部及び前記第１の径方向寸法よりも小さな第２の径方向寸法を有する第２の側部を有する、
    請求項３６に記載のローラー取り付けピン。
38. 前記ヘッド部は、実質的に円弧状の第１の部分及び実質的に直線の第２の部分を有する外周を有する、
    請求項３７に記載のローラー取り付けピン。
39. 前記ピンをその長手方向軸を中心に回転させるために工具を係合させるための、内在的係合機構をさらに備える、請求項３６〜３８に記載のローラー取り付けピン。
40. 前記ローラー取り付けピンの端部のそれぞれは、前記ピンを回転させるために工具を受け入れるための、内在的係合機構を備える、
    請求項３９に記載のローラー取り付けピン。
41. 請求項１〜３４のいずれかに記載のローラーギアを備える、航空機着陸駆動システム。

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