JP2017227260A - 耐摩耗部材およびこれを用いたメカニカルシール - Google Patents

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Yukio Tanaka
幸雄 田中
梅原 徳次
Tokuji Umehara
徳次 梅原
卓弥 山之内
Takuya Yamanouchi
卓弥 山之内
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Abstract

【課題】高温環境においても、摺動部の摩擦係数が十分に低く、かつ優れた耐摩耗性を有する耐摩耗部材を提供する。【解決手段】SiCからなる第1基材と、前記第1基材の表面に配置された第1表面層と、を含む第1部材と、第2基材と、前記第2基材の表面に配置された第2表面層と、を含む第2部材と、を含む耐摩耗部材であって、前記第1表面層はSiおよびOを含み、前記第2表面層は炭素系硬質膜であり、使用時に前記第1表面層と前記第2表面層とが接触して摺動部を構成する、耐摩耗部材である。【選択図】図1

Description

本発明は、耐摩耗部材に関する。より詳細には、メカニカルシールに好適に用いられる耐摩耗部材に関する。
ポンプ等の回転流体機器の回転軸とケーシングとの間の環状隙間を密封するために、メカニカルシールを備える密封装置が知られている。メカニカルシールは、ケーシング側に固定された固定環と、回転軸側に一体回転可能に取り付けられた回転環とを備えており、固定環に形成された固定側密封端面と回転環に形成された回転側密封端面とが摺動自在に接触することにより、流体の漏れを防いでいる。
メカニカルシールの固定環および回転環(固定環および回転環について、単にシールリングと称することがある)の材料としては、それぞれ耐摩耗性の高いものが選定されており、従来より、固定環および回転環に炭化ケイ素(SiC)を用いたものが知られている。
近年では、メカニカルシールの高温環境下での使用および非水冷化を目的として、高温下でも高負荷に耐えられる耐摩耗性の高い材料が求められている。このような材料として、DLC(Diamond-Like Carbon、ダイヤモンドライクカーボン)膜と呼ばれる炭素系硬質膜が注目されている。DLC膜は、高い硬度を持ち、低い摩擦係数と優れた耐摩耗性とを両立するという優れた特性を持つことが知られており(非特許文献1)、DLC膜の表面層を有するシールリングと、炭化ケイ素からなるシールリングとの組み合わせからなるメカニカルシール材が知られている。
川口・清水・梶山・渡邊・森河・湯川:DLC膜の海洋中への適用、独立行政法人、東京都立産業技術研究センター 研究報告、第4号、(2009)44-47
しかし、上述したような、DLC膜の表面層を有するシールリングと、炭化ケイ素からなるシールリングとの組み合わせからなるメカニカルシールは、120℃以上の高温環境で、摺動部の摩擦係数が急増し、耐摩耗性が低下し、シールの密封性が低下する虞があった。
そこで、本発明の1つの実施形態では、高温環境においても、摺動部の摩擦係数が十分に低減しており、かつ耐摩耗性に優れた耐摩耗部材を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、SiCからなる第1基材と、前記第1基材の表面に配置された第1表面層と、を含む第1部材と、第2基材と、前記第2基材の表面に配置された第2表面層と、を含む第2部材と、を含む耐摩耗部材であって、前記第1表面層はSiおよびOを含み、前記第2表面層は炭素系硬質膜であり、使用時に前記第1表面層と前記第2表面層とが接触して摺動部を構成する耐摩耗部材である。
本発明の態様2は、前記第1表面層が、0質量%超50質量%以下のOを含有する、態様1に記載の耐摩耗部材である。
本発明の態様3は、前記第1表面層がSiOを含有する、態様1または2に記載の耐摩耗部材である。
本発明の態様4は、前記炭素系硬質膜が、DLC膜、水素含有DLC膜およびダイヤモンド皮膜から選択される1つである、態様1〜3のいずれかに記載の耐摩耗部材である。
本発明の態様5は、態様1〜4のいずれかに記載の耐摩耗部材を用いたメカニカルシールであって、ハウジングと、回転環と、固定環と、スプリングとを有し、前記回転環が、前記第1部材または前記第2部材のいずれか一方を含み、前記固定環が、前記第1部材または前記第2部材のいずれか他方を含み、前記第1表面層と前記第2表面層とが対向するように、前記回転環と前記固定環とが設けられていることを特徴とするメカニカルシールである。
本発明の1つの実施形態によれば、高温環境においても、摺動部の摩擦係数が十分に低く、かつ優れた耐摩耗性を有する耐摩耗部材を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る耐摩耗部材を示す概略図である。 図2は、本発明の実施形態に係る耐摩耗部材を用いたメカニカルシールである。 図3は、実施例における、平均摩擦係数と摩擦面温度との関係を示す図である。 図4は、実施例における、摩擦係数および摩擦面温度と、滑り距離Lとの関係を示す図である。 図5は、実施例における、摩擦係数および摩擦面温度と、滑り距離Lとの関係を示す図である。 図6は、実施例における、セラミックス相手材bの温度と、水素含有DLC膜の摩耗部分のO/C比率との関係を示す図である。
本発明者らは、DLC膜のような炭素系硬質膜の表面層を有するシールリングと、炭化ケイ素からなるシールリングとの組み合わせからなる従来のメカニカルシールでは、炭素系硬質膜に含まれる炭素と、炭化ケイ素に含まれるケイ素との結合が容易であるため、高温環境では、炭化ケイ素と炭素系硬質膜との間で化学的な結合が形成され強固な凝着が発生し、そのため摺動部の摩擦係数が急増していることに着眼した。
本発明者らは鋭意検討した結果、炭素系硬質膜の表面層を有するシールリングと、炭化ケイ素からなるシールリングとの組み合わせからなるメカニカルシールにおいて、炭化ケイ素からなるシールリングの表面にSi(ケイ素)およびO(酸素)を含有する表面層を設けることにより、高温環境においても、摺動部の摩擦係数が十分に低く、かつ優れた耐摩耗性を発揮できることを見出した。
すなわち、詳細を後述するように、本発明に係る耐摩耗部材では、SiCからなるシールリングの表面にSiおよびOを含有する表面層を設けることによって、高温環境において、一方のシールリングが有する炭素系硬質膜に、他方のシールリングの表面層に含まれる酸素が供給され、それにより炭素系硬質膜のグラファイト化が促進される。そのため、高温環境において、摺動部の摩擦係数の増加を抑制でき、かつ優れた耐摩耗性を実現することができることを見出したのである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであり、本発明の技術的範囲を限定することを意図したものではないことに留意されたい。1つの実施形態において説明する構成は、特段の断りがない限り、他の実施形態にも適用可能である。以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。
各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがあることに留意されたい。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一の部分又は部材を示す。
1.耐摩耗部材
本実施形態に係る耐摩耗部材について説明する。
図1は、本発明に係る耐摩耗部材10の概略図である。図1に示すように耐摩耗部材10は、第1部材20と第2部材30とを含む。
第1部材20は、SiCからなる第1基材22と、第1基材22の表面に配置された第1表面層24とを含み、第2部材30は、第2基材32と、第2基材32の表面に配置された第2表面層34とを含む。本発明に係る耐摩耗部材10は、使用時に、第1表面層24と第2表面層34とが接触して摺動部を構成する。
以下、各構成について説明する。
<第1部材>
第1部材20は、第1基材22と、第1基材22の表面に配置された、SiおよびOを含有する第1表面層24とを含む。
本発明の実施形態に係る第1基材22は、炭化ケイ素(SiC)で構成される。炭化ケイ素は共有結合が強く、そのため高い硬度を有し、また耐食性にも優れるためである。また、第1基材22を、高い硬度を有する炭化ケイ素で構成することにより、本実施形態に係る耐摩耗部材10を使用した際に、使用に伴う第1基材22の変形を抑制することができる。そのため、第1基材22の変形に起因する第1表面層24の剥離を抑制することができる。また、後述するように、第1基材22を炭化ケイ素で構成することにより、第1基材22を焼結して表面を酸化させることにより、SiおよびOを含有する第1表面層24を容易に形成することができる。
本発明の実施形態に係る耐摩耗部材10は、第1部材20が有する第1表面層24が、SiおよびOを含有する。第1部材20がこのような第1表面層24を有することにより、高温環境において第1表面層24と第2表面層34とを摺動させた際に、第1表面層24に含まれる酸素が炭素系硬質膜である第2表面層34に供給され、第2表面層がグラファイト化される。それにより、摺動部の摩擦係数の増加を抑制することができ、耐摩耗性を向上することができる。
第1表面層24は、Oを0質量%超50質量%以下含むことが好ましい。第1表面層24は、Oを10質量%以上含有することが好ましく、20質量%以上含有することがより好ましい。第1表面層24が含有するOがこのような範囲であれば、安定して第2表面層34のグラファイト化を起こすことができ、高温環境下で、より低摩擦かつ優れた耐摩耗性を発揮することができる。第1表面層24に含まれるSiおよびOは、好ましくは、SiOの形態で存在する。
なお、第1表面層24が含有するOの量は、オージェ電子分光法(AES)により測定することができる。
第1表面層24は、第1基材22の表面の少なくとも一部を覆うように形成されてもよく、また第1基材22の表面の全部を覆うように形成されてもよい。いずれの構成であっても、SiおよびOを含有する第1表面層24と、炭素系硬質膜である第2表面層34とが接触して摺動部を構成することにより、本発明の実施形態に係る耐摩耗部材10は、高温環境において、摺動部の摩擦係数が十分に低減され、かつ優れた耐摩耗性を提供することができる。
第1部材20を作成する場合、まず、常圧焼結法、反応焼結法などの通常の方法によりSiCからなる焼結材を作成する。次いで、得られた焼結材を、大気中加熱炉によって、200℃以上2500℃以下、好ましくは700℃以上2500℃以下の温度で加熱し、表面を酸化させる。これにより、SiCからなる第1基材22と、SiおよびO、好ましくはSiOを含有する第1表面層24と、を有する第1部材20を得ることができる。
<第2部材>
第2部材30は、第2基材32と、第2基材32の表面に配置された、炭素系硬質膜である第2表面層34とを含む。
第2基材32を構成する材料は特に限定されない。例えば、SiC、Al、Si等の、セラミックスを主成分とする材料、超硬合金、ステンレス等の、金属を主成分とする材料等により、第2基材32を構成してもよい。また、第2基材32を構成する材料として金属を主成分とする材料を用いる場合は、第2基材32と炭素系硬質膜である第2表面層34との密着強度を高めるために、第2基材32と第2表面層34との間に中間層を設けることが好ましい。また、第2基材32を構成する材料としてSiCを用いる場合は、SiCである第2基材32と、炭素系硬質膜である第2表面層34との密着力が強いため、第2基材32と第2表面層34との間に中間層を設けることなく、第2表面層34を第2基材32の表面に設ける(成膜する)ことができる。
本発明の実施形態に係る耐摩耗部材10は、第2部材30が有する第2表面層34が、炭素系硬質膜である。炭素系硬質膜は、高い硬度を有しており、第1表面層24との摺動部の摩擦係数を低くし、かつ耐摩耗性を向上することができる。また、第2部材30がこのような第2表面層34を有することにより、高温環境において、第1表面層24と第2表面層34とが接触して摺動した際に、第1表面層24が含有するOが、炭素系硬質膜である第2表面層34内に供給される。それにより炭素系硬質膜である第2表面層34のグラファイト化が促進される。そのため、高温環境下、とくに120℃以上の高温環境においても、第1表面層24との摺動部の摩擦係数の急増を抑制でき、かつ優れた耐摩耗性を有することができる。
第2表面層34を形成する炭素系硬質膜は、水素フリーDLC(ta−C)膜、水素含有DLC(a−C:H)膜およびダイヤモンド皮膜から選択される1つであることが好ましく、とりわけ、水素含有DLC膜であることが好ましい。第2表面層34が水素含有DLCであれば、高温環境において、第1表面層24と第2表面層34とが接触して摺動した際に、DLC内に存在する水素により、第2表面層34のグラファイト化がより促進され、摩擦係数の急増をより抑制でき、より優れた耐摩耗性を発揮することができる。
第2表面層34が水素含有DLC膜である場合、水素含有DLC膜は、5at%以上の水素を含有していることが好ましく、30at%以上の水素を含有することがより好ましい。
第2表面層34は、第2基材32の表面の少なくとも一部に形成されてよく、第2基材32の表面の全部に形成されてもよい。
いずれの構成であっても、使用時に第2部材30の第2表面層34と、第1部材20の第1表面層24とが摺動部を構成するように接触することにより、本発明の実施形態に係る耐摩耗部材10は、高温においても、摩擦係数が急増することなく優れた耐摩耗性を発揮することができる。
第2部材30は、第2基材32の表面と第2表面層34との間に中間層を有してもよい。第2基材32の表面に中間層を形成し、当該中間層の上に第2表面層34を設けることで、第2表面層34の密着性を向上することができ、第2表面層34の剥離を抑制することができる。このような中間層としては、SiまたはCrを主成分とする層が好ましい。中間層は、1層で形成されていてもよく、また異なる2層以上の組み合わせにより形成されていてもよい。
上述したように、本発明の実施形態に係る耐摩耗部材10は、使用時に、第1部材20の第1表面層24と第2部材30の第2表面層34とが摺動部を構成するように接触することにより、高温環境においても、摩擦係数が急増することなく優れた耐摩耗性を発揮することができる。このような摺動部は、第1表面層24と第2表面層34の1点以上の点接触により構成されてもよく、また第1表面層24と第2表面層34の面接触により構成されてもよい。
本発明の実施形態に係る耐摩耗部材10は、高温環境下において高い耐摩耗特性が求められる種々の機器に適用することができる。例えば、プロセスポンプ、ブロワ、圧縮機、タービン、攪拌機等の回転機器、気体軸受、転がり軸受、すべり軸受等の摺動部品全般に、用いることができる。本発明の実施形態に係る耐摩耗部材10は、とりわけ、ポンプのメカニカルシールに好適に用いられる。以下に、本発明の実施形態に係る耐摩耗部材10を用いたメカニカルシールの例を説明する。
2.メカニカルシール
図2は、本発明の実施形態に係る耐摩耗部材10を用いたメカニカルシール100の全体構成を示す概略断面図である。
図2に示すように、メカニカルシール100は、流体機械のケーシング200に固定され、流体機械の回転軸300を貫通させたハウジング110と、回転軸300と一体に回転するように、ハウジング110の内側に回転可能に配置された回転環120と、ハウジング110の内側に回転不可能に配置され、回転環120と接触して摺動面を形成する固定環130と、回転環120を固定環130に対して付勢するように設けられたリング140と、リング140を介して回転環120を固定環130に対して付勢するスプリング150と、を有する。
本発明の実施形態に係る耐摩耗部材10を、メカニカルシール100の回転環120および固定環130に適用することにより、高温環境においても、回転環120および固定環130の摺動部の摩擦係数の増加が抑制され、優れた耐摩耗性を発揮することができる。そのため、高温環境においても優れた密封性を有するメカニカルシールを提供することができる。
耐摩耗部材10の第1部材20を固定環130に適用し、かつ耐摩耗部材10の第2部材30を回転環120に適用することにより、メカニカルシール100を構成してもよい。また、耐摩耗部材10の第1部材20を回転環120に適用し、かつ耐摩耗部材10の第2部材30を固定環130に適用することにより、メカニカルシール100を構成してもよい。
いずれの構成であっても、第1部材20の第1表面層24と第2部材30の第2表面層34とが対向するように、第1部材20および第2部材30を固定環130および回転環120に適用することにより、高温環境においても、回転環120および固定環130の摺動部の摩擦係数の増加が抑制され、優れた耐摩耗性を発揮することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
1.準備
炭素系硬質膜として水素含有DLC膜(a−C:H膜)を表面に有する摩擦摩耗特性評価試験用の試験片を準備した。試験片は、直径8.0mm、R=30mm程度の最大高さ粗さであるSUJ2球上に、イオン化蒸着法により、膜厚が1μmとなるように水素含有DLC膜を成膜して得た。試験片に成膜した水素含有DLC膜の物性値は、表1に示すとおりである。

Figure 2017227260

次いで摩擦摩耗特性評価試験の相手材である2種類のセラミックスディスクを準備した。一方は、常圧焼結法によってSiCを主成分とするセラミックスディスクを作成した(相手材a)。他方は、常圧焼結法によってSiCを主成分とする焼結体を作成した後、焼結体を加熱炉によって1000℃まで加熱し、表面を酸化させたセラミックスディスクを作成した(相手材b)。なお、摩擦摩耗特性評価試験において、表面粗さの影響を除外するため、相手材aおよびbのいずれについても、同様に研磨加工を行い、算術平均粗さをほぼ等しい値とした。相手材aおよびbの物性値および組成は、表2に示すとおりである。
Figure 2017227260
2.摩擦摩耗特性評価
摩擦摩耗特性を評価するため、ボールオンディスク型摩擦試験機により摩擦試験を行った。摩擦試験は、無潤滑下で摩擦面温度を一定に制御する大気中一定温度摩擦試験と、摩擦係数の温度依存性を確認するため、すべり距離28mまでヒーターによる基板加熱を行い、その後ヒーターを停止して自然冷却する大気中昇温・降温摩擦試験とを行った。
大気中一定温度摩擦試験は、荷重:0.49N、滑り速度:0.05m/sおよびすべり距離:100mで行った。
大気中昇温・降温摩擦試験は、荷重:0.49N、滑り速度:0.05m/sおよびすべり距離:180mで行った。
また、相手材bを用いた摩擦試験後の、水素含有DLC膜の摩耗痕内に対してAES(オージェ電子分光法)分析を行い、O/C比を算出した。
3.結果
3−1.大気中一定温度摩擦試験
23℃、80℃、110℃および140℃の摩擦面温度での、大気中一定温度摩擦試験を行った。水素含有DLC膜の平均摩擦係数と摩擦面温度との関係を、図3に示す。図3に示すように、全ての摩擦面温度において、相手材a(SiC)を用いた場合の摩擦係数は、相手材b(SiC(O))を用いた場合の摩擦係数を上回った。特に、23℃および140℃の摩擦面温度において、相手材a(SiC)を用いた場合の摩擦係数が顕著に高い値を示した。
3−2.大気中昇温・降温摩擦試験
相手材aおよびbと、水素含有DLC膜を有する試験片との、大気中昇温・降温摩擦試験における摩擦係数および摩擦面温度とすべり距離との関係を、図4および5に示す。
図4に示すように、相手材a(SiC)を用いた場合、110℃以上の高温で摩擦係数が大きく増加した。一方、相手材b(SiC(O))を用いた場合、摩擦係数はどの温度でも安定して非常に低い値を示した。
3−3.水素含有DLC膜の摩耗痕内のAES分析
相手材bを用いた摩擦試験後の、水素含有DLC膜の摩耗痕内に対してAES(オージェ電子分光法)分析を行い、O/C比を算出した結果を、図6に示す。図6に示すように、摩擦面温度の上昇に伴い、水素含有DLC膜の摩耗痕内のO/C比は上昇した。特に80℃以上で、23℃と比較して高い値を示した。セラミックス相手材b(SiC(O))の場合、80℃以上において、水素含有DLC膜とセラミックス相手材bの有するSiOとの間で化学反応が起き、DLC膜にSiOから酸素が供給されたためである。
10 耐摩耗部材
20 第1部材
22 第1基材
24 第1表面層
30 第2部材
32 第2基材
34 第2表面層
100 メカニカルシール
110 ハウジング
120 回転環
130 固定環
140 リング
150 スプリング
200 ケーシング
300 回転軸

Claims (5)

  1. SiCからなる第1基材と、前記第1基材の表面に配置された第1表面層と、を含む第1部材と、
    第2基材と、前記第2基材の表面に配置された第2表面層と、を含む第2部材と、
    を含む耐摩耗部材であって、
    前記第1表面層はSiおよびOを含み、前記第2表面層は炭素系硬質膜であり、
    使用時に前記第1表面層と前記第2表面層とが接触して摺動部を構成する、耐摩耗部材。
  2. 前記第1表面層は、0質量%超50質量%以下のOを含有する、請求項1に記載の耐摩耗部材。
  3. 前記第1表面層はSiOを含有する、請求項1または2に記載の耐摩耗部材。
  4. 前記炭素系硬質膜は、水素フリーDLC膜、水素含有DLC膜およびダイヤモンド皮膜から選択される1つである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐摩耗部材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐摩耗部材を用いたメカニカルシールであって、
    ハウジングと、回転環と、固定環と、スプリングとを有し、
    前記回転環が、前記第1部材または前記第2部材のいずれか一方を含み、
    前記固定環が、前記第1部材または前記第2部材のいずれか他方を含み、
    前記第1表面層と前記第2表面層とが対向するように、前記回転環と前記固定環とが設けられていることを特徴とするメカニカルシール。
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