以下、本発明を適用した一実施形態であるうつ病治療薬供給装置について、詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
<第1の実施形態>
先ず、本発明を適用した第1の実施形態であるうつ病治療薬供給装置の構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態のうつ病治療薬供給装置1は、うつ病の患者Pの治療に使用する亜酸化窒素及び酸素の混合ガスを供給する装置である。うつ病治療薬供給装置1は、亜酸化窒素ボンベ(亜酸化窒素供給源)11と、酸素ボンベ(酸素供給源)12と、窒素ボンベ(不活性ガス供給源)13と、配管合流点2gを含む配管構造(混合部)と、亜酸化窒素濃度計(亜酸化窒素ガス濃度測定装置)9と、酸素濃度計(酸素ガス濃度測定装置)10と、制御装置7と、うつ病治療薬を患者に供給する治療薬供給部15とを備えて、概略構成されている。なお、本実施形態において、亜酸化窒素は亜酸化窒素ガスとして、酸素は酸素ガスとして、各ガスの供給源から供給する。
本実施形態のうつ病治療薬供給装置1に用いる亜酸化窒素ボンベ11は、亜酸化窒素供給源の一例であって、特に限定されるものではなく、その他の亜酸化窒素供給源を採用しても良い。具体的には、例えば、病院設備内の配管端末器(アウトレット)を使用しても良い。
同様に、酸素ボンベ12は、酸素供給源の一例であって、特に限定されるものではなく、その他の酸素供給源を採用しても良い。具体的には、例えば、随時、酸素ガスを発生する装置であっても良く、その場合は液体ガスの気化装置、PSA式ガス発生装置等を採用してもよい。なお、これらの装置を使用する場合は、酸素以外の副生成ガスが少ないものを選択することが好ましい。空気中の酸素ガス濃度は、約21%であるため、酸素供給手段として、コンプレッサー等で加圧した空気を使用しても良い。
加えて、本実施形態のうつ病治療薬供給装置1は、不活性ガスとして窒素ガスを使用し、その供給源として窒素ボンベ13を使用する。窒素ボンベ13は不活性ガス供給源の一例であって、特に限定されるものではなく、その他の液体ガスの気化装置、PSA式ガス発生装置、分離膜式ガス発生装置等を用いても良い。
また、不活性ガスとしては、窒素ガスに限定されるものではなく、例えば、二酸化炭素ガス、アルゴン、ヘリウムガス及びキセノンガス等を利用する構成であってもよい。また、上述したように、酸素供給源としてコンプレッサー等で加圧した空気を用いる構成とした場合では、不活性ガス供給源を略した構成であってもよい。
うつ病治療薬供給装置1は、患者Pの搬送や処置を考慮した場合、軽量であって、かつ移動可能であることが望ましい。この場合、亜酸化窒素供給源、酸素供給源及び不活性ガス供給源の形態としては、ボンベであることが好ましい。また、これらのボンベは、それぞれ10L以下の容器からなるものであることがより好ましい。さらに、省スペース化を考慮して、2種ガス混合ボンベや、3種ガス混合ボンベを使用する構成であってもよい。
亜酸化窒素ボンベ11には、ガスレギュレータ31aと、ロードセル16とが、残量計測機構として設けられている。これにより、亜酸化窒素ボンベ11内の亜酸化窒素の残量を把握することができる。同様に、酸素ボンベ12、および窒素ボンベ13に設けたガスレギュレータ31b、31cをそれぞれ残量計測機構として用いることにより、ボンベ内の酸素及び窒素の残量をそれぞれ適切に把握することができる。
亜酸化窒素ボンベ11、酸素ボンベ12、及び窒素ボンベ13には、滅菌フィルター32a、32b、32cがそれぞれ設けられている。これにより、配管内の埃、細菌等の不純物を適宜除去することができる。
また、亜酸化窒素ボンベ11、酸素ボンベ12、及び窒素ボンベ13には、各ガスの供給経路である配管2a、2b、2cがそれぞれ接続されている。さらに、配管2a、2b、2cは、配管合流点2gにおいて配管2dとそれぞれ接続されている。ここで、配管2a、2b、2c、2dの材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼を用いることができる。
配管2a、2b、2cには、バルブ3a、3b、3c、及び逆止弁4a、4b、4cが、それぞれ設けられている。本実施形態のうつ病治療薬供給装置1では、バルブ3a、3b、3cは、開閉及び開度の調整を行うアクチュエーターをそれぞれ備えている。また、上記アクチュエーターは、制御装置7とそれぞれ電気的に接続されている。これにより、亜酸化窒素ボンベ11、酸素ボンベ12、窒素ボンベ13から供給される各ガスの供給量を適宜調整することができる。
逆止弁4a、4b、4cは、各配管においてガスの逆流を防ぐものであり、配管2dの圧力に対して、各ガスの供給手段であるボンベの圧力が負圧となった場合であっても、配管2d側から各ガスのボンベに逆流することを防ぐことができる。
本実施形態のうつ病治療薬供給装置1は、配管合流点2gを含む配管構造(混合部)を備える構成となっている。この配管構造は、より具体的には、亜酸化窒素を供給する経路である配管2aと、酸素を供給する経路である配管2bと、窒素を供給する経路である配管2cとが、配管合流点2gにおいて合流して配管2dとなる構成となっている。これにより、亜酸化窒素ボンベ11、酸素ボンベ12及び窒素ボンベ13から供給される各ガスは、それぞれ配管2a、2b、2cを通り、配管合流点2gで合流する。そして、この配管合流点2gにおいて上記各ガスが混合されることによって、混合ガス(すなわち、うつ病治療薬)が生成される。なお、配管合流点2gでは、混合ガスがより均一となるように、合流する各配管2a、2b、2cから構成されることが好ましいが、特定の構成に限定されるものではない。
配管合流点2gから患者Pへのうつ病治療薬の供給経路である配管2dには、配管合流点2g側から順に、圧力計8、亜酸化窒素濃度計9、酸素濃度計10、流量計21、バルブ3dが設けられている。また、配管2dの先端には、うつ病治療薬を患者Pに供給する治療薬供給部15が設けられている。
配管2dの、流量計21とバルブ3dとの間より、排出用配管2mが分岐している。排出用配管2mには、バルブ3mが設けられている。排出用配管2mの材質としては、特に限定されるものではないが、軽量かつ高強度のものが望ましい。具体的には、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼が挙げられる。
バルブ3mは、開閉及び開度の調整を行うアクチュエーターを備えている。また、アクチュエーターは、制御装置7と電気的に接続されている。
例えば、本実施形態のうつ病治療薬供給装置1の使用開始(すなわち亜酸化窒素ボンベ11、酸素ボンベ12、窒素ボンベ13から各ガスの供給を開始した時点)後、バルブ3dを閉、バルブ3mを開とすることにより、配管2d内に残存していたガスを追い出し、また、亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度を調整している間の、目標濃度範囲外の混合ガスを排気する。
その後、亜酸化窒素濃度計9および酸素濃度計10によって測定した、混合ガス中の亜酸化ガス濃度及び酸素ガス濃度がそれぞれの目標の濃度範囲に到達した際に、バルブ3dを開、バルブ3mを閉とすることにより、患者Pへの治療薬(うつ病治療薬)の投与を開始する。
これにより、亜酸化窒素及び酸素の濃度が安定した後の、正確な亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度の混合ガスをうつ病治療薬として患者Pに投与することができる。
排出用配管2mからガスを排出する際、バルブ3dを閉め、バルブ3mを開け、配管2a及び配管2dにガスを流し、再び、バルブ3mを閉める。そして、バルブ3mを開け、ガスを排出する。この操作(回分パージ)を2〜3回繰り返して、断続的にガスを流すことにより、連続的にガスを流す場合に比べて、配管2a及び配管2dのパージをより早期に完了することができる。
また、バルブ3dを閉め、バルブ3mを開け、配管2b及び配管2dにガスを流し、再び、バルブ3mを閉める。そして、バルブ3mを開け、ガスを排出する。この操作(回分パージ)を2〜3回繰り返して、断続的にガスを流すことにより、連続的にガスを流す場合に比べて、配管2b及び配管2dのパージをより早期に完了することができる。
同様に、バルブ3dを閉め、バルブ3mを開け、配管2c及び配管2dにガスを流し、再び、バルブ3mを閉める。そして、バルブ3mを開け、ガスを排出する。この操作(回分パージ)を2〜3回繰り返して、断続的にガスを流すことにより、連続的にガスを流す場合に比べて、配管2c及び配管2dのパージをより早期に完了することができる。
なお、排出用配管2mの配管2dからの分岐位置は、配管合流点2gを含む配管構造(混合部)よりも後段(二次側)であれば特に限定されないが、各ガスの濃度を正確に測定できる亜酸化窒素濃度計9及び酸素濃度計10の後段(二次側)とすることが好ましい。また、流量計21の後段(二次側)とすることにより、患者Pに極力近い箇所まで配管2dをパージできるため、患者Pにより正確な濃度のうつ病治療薬を投与することができる。
治療薬供給部15は、混合ガス(うつ病治療薬)の供給配管である配管2d、並びに配管2dの先端に取り付けられた、患者Pの口及び鼻を覆うように形成されたマスク又は、患者Pの口及び鼻、喉に直接差し込むチューブである。チューブである場合においては、内径5mm、長さ5m程度のものが好ましい。
本実施形態のうつ病治療薬供給装置1では、亜酸化窒素は亜酸化窒素ガスとして、酸素は酸素ガスとして、それぞれ供給されている。亜酸化窒素濃度計9及び酸素濃度計10は、亜酸化窒素ガス及び酸素ガスを含む混合ガス中のガス濃度をそれぞれ測定する。
亜酸化窒素濃度計9は、亜酸化窒素ガスの濃度を測定できるものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、非分散赤外線吸収法にて分析を行う濃度計、中赤外DFG−TDLAS法の亜酸化窒素ガス濃度計等を使用することができる。
酸素濃度計10は、酸素ガスの濃度を測定できるものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、隔膜ガルバニ電池式の酸素ガス濃度計を使用することができる。
配管合流点2gを含む配管構造(混合部)から患者Pへの供給経路である配管2dにおいて、配管合流点2gの後段(二次側)では、うつ病治療薬である混合ガスは均一に混ざっていることが好ましい。具体的には、例えば、混合ガス中の各成分の濃度分布の偏差が5.0%以下となることが好ましく、この場合において、亜酸化窒素濃度計9及び酸素濃度計10によって測定する亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度は、正確な値を取ることができる。なお、混合ガスの濃度分布を均一とする目的で、配管合流点2gの後段(二次側)に、ガス混合部として、スタティックミキサー、混合器、混合タンク等を設けても構わない。
バルブ3dは、その開度を調整することが可能なアクチュエーターを備えている。また、バルブ3d及び流量計21は、制御装置7と電気的に接続されており、流量計21により測定した流量値に応じて、制御装置7によってバルブ3dのアクチュエーターを制御し、流れる混合ガスの流量を調整することができる。すなわち、患者Pに供給する混合ガス(うつ病治療薬)の圧力及び流量を制御することができる。
ここで、流量計21として積算機能を有するものを用いることで、患者Pへのうつ病治療薬の累積投与量をモニタリングすることが可能となる。また、気圧計等を利用した大気圧補正機能や温度センサを利用した温度補正機能を有するものを用いることで、混合ガス(うつ病治療薬)の流量制御の精度向上を図ることが可能となる。
流量計21、バルブ3dのみならず、圧力計8、亜酸化窒素濃度計9、酸素濃度計10も、それぞれ制御装置7に電気的に接続され、各実測値を制御装置7に信号として送り、患者Pへ供給する混合ガス(うつ病治療薬)の各成分の濃度を調整する構成となっている。
患者Pに供給する混合ガス(うつ病治療薬)中の亜酸化窒素ガス濃度、酸素ガス濃度、混合ガスの流量及び圧力は、制御装置7によって制御する。また、制御装置7は、患者の身体的所見PVを測定する図示略の測定機器(検査機器)と電気的に接続されており、患者の身体的所見PVの測定結果に基づき、患者Pの容態に対して最適な混合ガス(うつ病治療薬)の亜酸化窒素ガス濃度、酸素ガス濃度、圧力及び流量をそれぞれ決定する。
患者Pに投与する混合ガス(うつ病治療薬)中の亜酸化窒素ガスの濃度は、低酸素症を引き起こさない値である50vol%以下になるように制御される。また、下限は特に限定されるものではないが、患者Pにおけるうつ病治療薬の投与効果を得る観点から、0.1体積%以上とすることが好ましい。特に、患者Pの容態に合わせて、亜酸化窒素ガスの濃度が1.0〜50体積%になるように制御することが好ましい。また、患者Pに投与する酸素ガスの濃度は、患者Pの容態、特に動脈血中酸素分圧及び飽和度の値に合わせて、21〜70体積%付近になるように制御することが好ましい。
制御装置7は、患者Pへの供給経路である配管2dに備えられた亜酸化窒素濃度計9及び酸素濃度計10による測定値を基に、バルブ3a、3b、3cを制御し、亜酸化窒素ガス供給量、酸素ガス供給量及び窒素ガス供給量をそれぞれ調整する。これにより、上述の最適な亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度を有する混合ガス(うつ病治療薬)を作り出す。
また、制御装置7は、流量計21による混合ガスの流量の測定値を基に、バルブ3dの開度を調整し、患者Pに最適な流量の混合ガスを供給する。
また、制御装置7は、亜酸化窒素濃度計9及び酸素濃度計10による測定値を基に、バルブ3d及びバルブ3mの開閉を制御し、最適な亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度を有する混合ガスが生成された時点で、当該混合ガスをうつ病治療薬として患者Pへ投与する。
患者Pの身体的所見PVとしては、動脈血中酸素分圧及び飽和度、動脈血中二酸化炭素分圧及び飽和度、分時換気量、心拍数、心電図、血圧、血糖値、尿量、pH、体温、生化学検査値等が挙げられる。これらのうち、いずれか1種又は2種以上を測定する。測定すべき検査項目は、対象とする患者Pの各種臓器障害等の傷病に応じて決めることが望ましい。例えば、患者Pに投与する混合ガス(うつ病治療薬)との関係が深い動脈血中酸素分圧及び飽和度、動脈血中二酸化炭素分圧及び飽和度並びに分時換気量を測定しながら、患者Pに投与する混合ガス(うつ病治療薬)中の亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度を決定することが望ましい。
なお、分時換気量とは、患者Pの呼吸による1分間の換気量のことであり、次式(A)が成り立つ。
分時換気量=一回換気量×1分あたりの換気回数 ・・・(A)
生化学検査値としては、例えば、心筋梗塞時に検出されるトロポニンT値等がある。
制御装置7は、運転制御系として、各駆動部の駆動を行うコントローラと、各コントローラの制御を行う制御部とを備えている。各コントローラは、例えば、PID制御器等からなり、バルブ3a、3b、3c、3d、3mに備えられたアクチュエーター、患者への混合ガス供給手段15等と電気的に接続されており、各部の起動・停止・調整等を行う。
制御装置7は、上述したように患者Pの身体的所見PVの測定値及び現状の混合ガス(うつ病治療薬)中の亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度を測定し、これらの結果に基づいて、内部に記録された制御プログラムに従って、患者Pに投与する混合ガス(うつ病治療薬)中の亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度を最適化し、各パラメータ(亜酸化窒素ガス流量値、酸素ガス流量値及び窒素ガス流量値)の入力値を変更するための制御信号をコントローラに出力する。上記各コントローラは、制御部からの制御信号に従って、各駆動部の起動・停止・調整等を行い、患者Pに投与する混合ガス(うつ病治療薬)中の亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度を最適化するための運転制御を連続的に行う。
以上説明したように、本実施形態のうつ病治療薬供給装置1によれば、混合ガス(うつ病治療薬)中の亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度を測定する亜酸化窒素濃度計9及び酸素濃度計10と、これらの測定値に基づき混合ガス中の亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度をそれぞれ任意の値に制御する制御装置7とを備えた構成となっている。したがって、この混合ガス(うつ病治療薬)中の亜酸化窒素及び酸素の量を適宜変更することが可能となる。すなわち、患者Pの身体的所見PVに合わせて、亜酸化窒素及び酸素を随時、適切に調整したうつ病治療薬を投与することが可能となる。
また、本実施形態のうつ病治療薬供給装置1によれば、配管合流点2gを含む配管構造を混合部として備えた構成となっている。すなわち、各ガスが単に通過するだけで混合ガスを生成することができる。したがって、複雑な構造を有することなく混合ガス(うつ病治療薬)を生成することが可能となり、うつ病治療薬供給装置1を簡易な構造とすることができる。
また、本実施形態のうつ病治療薬供給装置1によれば、亜酸化窒素及び酸素の残量計測機構を有している。これにより、ガス切れを防止でき、安全的にガス供給が可能となる。
<第2の実施形態>
次に、本発明を適用した第2の実施形態であるうつ病治療薬供給装置の構成について説明する。図2は、本発明の第2の実施形態であるうつ病治療薬供給装置の構成を模式的に示す系統図である。なお、上述の第1の実施形態と同一の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
図2に示すように、本実施形態のうつ病治療薬供給装置20は、各ガスの供給経路である配管2a、2b、2cにマスフローコントローラ(MFC)5a、5b、5cをそれぞれ設けるとともに、配管合流点2gに換えて混合タンク(混合部)6を設けた点で、上述した第1実施形態のうつ病治療薬供給装置1と構成が異なっている。
すなわち、本実施形態のうつ病治療薬供給装置20では、亜酸化窒素ボンベ11、酸素ボンベ12、窒素ボンベ13から供給される各ガスの供給経路である配管2a、2b、2cはいずれも混合タンク6に接続されている。そして、混合タンク6において均一に撹拌された混合ガスは、配管2dを介してうつ病治療薬として患者Pに供給される。以下に、異なる構成について、詳細に説明する。
図2に示すように、配管2a、2b、2cには、バルブ3a、3b、3c、マスフローコントローラ(MFC)5a、5b、5c、逆止弁4a、4b、4cがそれぞれ備えられている。本実施形態では、バルブ3a、3b、3cは、開閉のみを行い、開度の調整は行わない。
MFC5a、5b、5cは、流体の流量値を計測する計測部と、ソレノイドやピエゾを用いたアクチュエーターによって開度の調整が可能なバルブ部とを有した流量制御機器であり、各ガスの流量を制御している。また、MFC5a、5b、5cは、制御装置7と電気的に接続されており、各ガスの圧力及び流量を制御することが可能となっている。MFC5a、5b、5cとして、気圧計等を利用した大気圧補正機能や温度センサを利用した温度補正機能を有するものを用いることで、混合ガスの流量制御の精度向上を図ることが可能となり好ましい。
逆止弁4a、4b、4cは、各ガスの逆流を防ぐものであり、混合タンク6の圧力に対して、各ガスの供給手段であるボンベの圧力が負圧となった場合であっても、混合タンク6側から各ガスのボンベに逆流することを防ぐことができる。
混合タンク6は、亜酸化窒素ガス、酸素ガス及び窒素ガスの混合部であり、その内部に各ガスを均一に混合するための構造又は構造体を有する。該構造又は構造体として、駆動部のないラインミキサーであるスタティックミキサーや、駆動部を有する混合器、又はこれらを組み合わせたものを用いることができる。
また、混合タンク6は、混合ガスを貯留する混合ガス貯留手段としての役割も果たす。混合ガス貯留手段として混合タンク6を用いない場合には、各ガスの貯留部として、タンク容器などを別途設けても良い。
混合タンク6の材質としては、特に限定されるものではないが、ガス気密性が高く、軽量かつ高強度の材料からなることが望ましい。具体的には、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼が挙げられる。
混合タンク6のタンク容積は、患者Pへのガス供給量及びタンク内のガス濃度の均一化に要する時間等を考慮して決定することができる。複数の患者Pに混合タンク6から同時に供給する必要がある場合においては、大容量の混合タンク6が必要となるが、患者Pの搬送時などに用いる目的で、装置の軽量化が重要となる場合においては、小容量の混合タンク6を用いても良い。また、2基のタンクを直列に接続し、一方を濃度調整用、他方を貯留用即ち患者Pへの供給用としても良い。必要に応じて、タンク数は増加させても良い。
混合タンク6には、圧力計8、亜酸化窒素濃度計9及び酸素濃度計10が設けられている。圧力計8、亜酸化窒素濃度計9、酸素濃度計10は、それぞれ制御装置7に電気的に接続されており、各実測値を制御装置7に信号として送り、患者Pへ供給する混合ガスの各成分の濃度、圧力、流量を調整する構成となっている。
混合タンク6には、上述のように混合ガスを均一に混合する構造又は構造体がその内部に設けられているため、混合タンク6内の混合ガスを均一とすることができる。混合タンク6は、例えば、タンク内の混合ガス中の各成分の濃度分布の偏差が5.0%以下となるように、均一化することができる。
制御装置7は、混合タンク6内の混合ガス(うつ病治療薬)の亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度を亜酸化窒素濃度計9及び酸素濃度計10による測定値を基に、バルブ3a、3b、3c及びMFC5a、5b、5cを制御し、亜酸化窒素ガス流量、酸素ガス流量及び窒素ガス流量をそれぞれ調整する。これにより、上述の最適な亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度を有する混合ガスを作り出す。加えて、制御装置7は、流量計21による混合ガスの流量の測定値を基に、バルブ3dの開度を調整し、患者Pに最適な流量の混合ガスをうつ病治療薬として供給する。
以上説明したように、本実施形態のうつ病治療薬供給装置20によれば、第1実施形態のうつ病治療薬供給装置1と同様に、患者Pの身体的所見PVに合わせて混合ガス中の亜酸化窒素及び酸素を随時調整して、うつ病治療薬として患者Pに適切に投与することができる。
また、本実施形態のうつ病治療薬供給装置20によれば、混合ガス中の亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度を測定する亜酸化窒素濃度計9及び酸素濃度計10が、亜酸化窒素及び酸素を含む混合ガスを均一に内包する混合タンク6に備えられている。これにより、均一な濃度分布とされた混合ガスの濃度を、亜酸化窒素濃度計9及び酸素濃度計10により測定することができる。すなわち、混合ガス中の亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度の正確な測定が可能となり、患者Pに最適な成分比率の混合ガスをうつ病治療薬として供給することができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明を適用した第3の実施形態であるうつ病治療薬供給装置の構成について説明する。図3は、本発明の第3の実施形態であるうつ病治療薬供給装置の構成を模式的に示す系統図である。なお、上述の第1及び第2の実施形態と同一の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
ここで、上述した第1及び第2の実施形態のうつ病治療薬供給装置1、20は、自発呼吸のある患者Pに対して混合ガス(うつ病治療薬)を供給するものである。これに対して、第3の実施形態のうつ病治療薬供給装置は、自発呼吸のない患者P又は自発呼吸のある患者Pであっても、自発呼吸を補助する必要がある患者Pに対して、亜酸化窒素及び酸素の混合ガスをうつ病治療薬として供給するものである。すなわち、図3に示すように、本実施形態のうつ病治療薬供給装置30は、うつ病治療薬を患者Pに供給する治療薬供給部として人工呼吸器18を備えている点で、上述した第1及び第2の実施形態のうつ病治療薬供給装置1、20と構成が異なっている。
図3に示すように、本実施形態のうつ病治療薬供給装置30では、亜酸化窒素ボンベ11、酸素ボンベ12、窒素ボンベ13から供給される各ガスは、それぞれ配管2a、2b、2cを介して、混合器(混合部)14に供給される。そして、混合器14において均一に撹拌された混合ガスは、配管2eを介して混合タンク(混合部、貯留部)6に供給され、更に、混合タンク6から配管2dを介して人工呼吸器18に供給され、患者Pにうつ病治療薬として投与される。
混合タンク6には、圧力計8、亜酸化窒素濃度計9a及び酸素濃度計10が設けられている。また、圧力計8、亜酸化窒素濃度計9a及び酸素濃度計10は、それぞれ制御装置7と電気的に接続されている。これにより、圧力計8、亜酸化窒素濃度計9a及び酸素濃度計10によって測定された各実測値が電気信号として制御装置7に送られる。そして、これらの各実測値に基づいて、制御装置7は、人工呼吸器18に供給する混合ガス中の各成分の濃度、圧力及び流量を適宜調整することができる。
混合タンク6に貯留される混合ガスは、人工呼吸器18の仕様に合わせて、圧力及び流量を調整される必要がある。そのため、制御装置7は、人工呼吸器18の仕様に合わせた混合ガスを、混合タンク6に貯留するように制御する。
人工呼吸器18には、混合タンク6からの混合ガスの供給経路である配管2dと、病院側の設備である酸素ライン22とが接続されている。これにより、人工呼吸器18の内部において、配管2dからの混合ガスと酸素ライン22からの酸素とがさらに混合された後、新たな混合ガスがうつ病治療薬として患者Pに供給されることとなる。なお、病院設備の酸素ライン22に代えて、酸素ボンベを接続しても良い。
人工呼吸器18は、その内部に流量、圧力、酸素ガス濃度を測定するための測定手段を有している。又、人工呼吸器18は制御装置7に電気的に接続されており、内部に備えられた流量、圧力、酸素ガス濃度を測定するための測定手段からの各種の測定結果を制御装置7に信号として送っている。
人工呼吸器18から患者Pへの給気経路23には、亜酸化窒素濃度計9bが設けられている。また、亜酸化窒素濃度計9bは、制御装置7と電気的に接続されている。これにより、亜酸化窒素濃度計9bによって測定された患者Pへの給気経路23中の亜酸化窒素ガス濃度の実測値が電気信号として制御装置7に送られる。そして、人工呼吸器18における各種測定結果、及び亜酸化窒素濃度計9bにおける亜酸化窒素ガス濃度の測定結果に基づいて、制御装置7は、患者Pに供給する新たな混合ガス中の各成分の濃度を適宜調整することができる。
また、人工呼吸器18に制御装置7との電気的な接続が可能な外部出力がない場合、人工呼吸器18から患者への給気経路23に、亜酸化窒素濃度計9bの他に、圧力計、酸素濃度計、流量計を設け、それらと制御装置7とを電気的に接続することにより、人工呼吸器18から患者Pに供給する混合ガスの圧力、濃度、及び流量を制御することができる。
人工呼吸器18は、患者Pに供給する混合ガスの供給量を調整することが可能であり、例えば、10L/min以下に調整することが望ましい。人工呼吸器18は、患者への給気経路23の他に、患者からの排気経路24を有する。すなわち、患者Pは、患者への給気経路23から供給された、新たな混合ガスを吸気する。一方、患者Pからの排気は、排気経路24へと排出される。なお、排気経路24は、人工呼吸器18によって大気に開放されている。また、排気経路24は、排気ガス処理装置(図示なし)に接続されていても良い。
人工呼吸器18は、種々の動作モードが選択可能である。動作モードとして、例えば、自発呼吸がない患者Pに対して一定間隔毎に人工換気を行う間欠的陽圧換気モード、自発呼吸がある患者Pの吸気をトリガーとして不定期に人工換気を行う同期的間欠的強制呼吸モード、患者Pの吸気努力を呼吸器が感知すると圧力をかけて空気を注入するモード等がある。これらの動作モードを利用して、混合ガスをうつ病治療薬として患者Pに供給する。
以上説明したように、第3の実施形態のうつ病治療薬供給装置30によれば、人工呼吸器18を備える構成となっているため、自発呼吸がない患者P及び自発呼吸がある患者Pであっても、それを補助する目的で人工呼吸器18を必要とする患者Pに、最適な亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度の混合ガスをうつ病治療薬として投与することができる。
<第4の実施形態>
次に、本発明を適用した第4の実施形態であるうつ病治療薬供給装置の構成について説明する。図4は、本発明を適用した第4の実施形態であるうつ病治療薬供給装置の構成を模式的に示す系統図である。
図4に示すように、本実施形態のうつ病治療薬供給装置40は、高圧酸素ガス源(酸素供給源)101と、高圧亜酸化窒素ガス源(亜酸化窒素供給源)102と、酸素ガス供給配管L1と、亜酸化窒素ガス供給配管L2と、治療薬供給配管L3と、治療薬供給ホースL4と、治療薬供給部116と、パージ配管(排気用配管)L5と、減圧配管(減圧ライン)L6と、筐体117と、制御装置114とを備えて、概略構成されている。
また、本実施形態のうつ病治療薬供給装置40は、上述した構成のうち、高圧酸素ガス源101、高圧亜酸化窒素ガス源102、酸素ガス供給配管L1、亜酸化窒素ガス供給配管L2、治療薬供給配管L3、パージ配管L5の一部、及び制御装置14が筐体117の内側に収納されており、治療薬供給部116が筐体117の外側に配設されている。
高圧酸素ガス源101は、酸素ガス供給配管L1の一端に接続されている。これにより、高圧酸素ガス源101から酸素ガスを、酸素ガス供給配管L1内に供給することができる。高圧酸素ガス源101としては、具体的には、例えば、FRP(Fiber Reinforced Plastics)製、鋼製、アルミ製等の公知の材質の酸素ガスボンベ等を用いることができる。
また、高圧酸素ガス源101として酸素ガスボンベを用いた場合、内容積としては、特に限定されないが、例えば、容量が500mL以下の小型ボンベ等を用いることが好ましい。500mL以下の小型ボンベを用いることにより、装置全体を小型化することができる。高圧酸素ガス源101としては、より具体的には、FRP等の小型ボンベを用いることがより好ましい。
高圧亜酸化窒素ガス源102は、亜酸化窒素ガス供給配管L2の一端に接続されている。これにより、高圧亜酸化窒素ガス源102から亜酸化窒素ガスを、亜酸化窒素ガス供給配管L2内に供給することができる。高圧亜酸化窒素ガス源102としては、具体的には、例えば、FRP製、鋼製、アルミ製等の公知の材質の亜酸化窒素ガスボンベ等を用いることができる。
また、高圧亜酸化窒素ガス源102として亜酸化窒素ガスボンベを用いた場合、内容積としては、特に限定されないが、例えば、500mL以下の小型ボンベ等を用いることが好ましい。容量が500mL以下の小型ボンベを用いることにより、装置全体を小型化することができる。
酸素ガス供給配管L1の他端は、例えば、三方弁、継手等を介して、亜酸化窒素ガス供給配管L2及び治療薬供給配管L3と接続されている。これにより、酸素ガス供給配管L1を介して、酸素ガスを治療薬供給配管L3に供給することができる。
酸素ガス供給配管L1には、酸素用圧力センサ103が設けられている。酸素用圧力センサ103により、酸素ガス供給配管L1内のガスの圧力を測定することができる。また、酸素用圧力センサ103は、信号線を介して制御装置114と電気的に接続されている。酸素用圧力センサ103により測定された圧力値は、信号線を介して制御装置114へ送信される。
また、酸素ガス供給配管L1には、酸素用圧力センサ103の二次側に、酸素用流量計105が設けられている。酸素用流量計105により、酸素ガス供給配管L1内のガスの流量を制御、測定することができる。ここで、酸素用流量計105としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、マスフローコントローラ、積算流量計等を用いることができる。また、酸素用流量計105は、信号線を介して制御装置114と電気的に接続されている。酸素用流量計105により測定された流量値は、信号線を介して制御装置114へ送信される。
また、酸素ガス供給配管L1には、酸素用流量計105の二次側に、酸素用滅菌フィルター107が設けられている。酸素用滅菌フィルター107により、酸素ガス供給配管L1内を流通する酸素ガスを滅菌することができる。
また、酸素ガス供給配管L1には、酸素用滅菌フィルター107の二次側に、酸素供給バルブ109が設けられている。酸素供給バルブ109の開閉を制御することにより、酸素ガス供給配管L1から治療薬供給配管L3への酸素ガスの供給量を制御することができる。また、酸素供給バルブ109は、信号線を介して制御装置114と電気的に接続されている。制御装置114により、信号線を介して酸素供給バルブ109の開閉を制御することができる。
亜酸化窒素ガス供給配管L2の他端は、例えば、三方弁、継手等を介して、酸素ガス供給配管L1及び治療薬供給配管L3と接続されている。これにより、亜酸化窒素ガス供給配管L2を介して、亜酸化窒素ガスを治療薬供給配管L3に供給することができる。
亜酸化窒素ガス供給配管L2には、亜酸化窒素用圧力センサ104が設けられている。亜酸化窒素用圧力センサ104により、亜酸化窒素ガス供給配管L2内のガスの圧力を測定することができる。また、亜酸化窒素用圧力センサ104は、信号線を介して制御装置114と電気的に接続されている。亜酸化窒素用圧力センサ104により測定された圧力値は、信号線を介して制御装置114へ送信される。
また、亜酸化窒素ガス供給配管L2には、亜酸化窒素用圧力センサ104の二次側に、亜酸化窒素用流量計106が設けられている。亜酸化窒素用流量計106により、亜酸化窒素ガス供給配管L2内のガスの流量を制御、測定することができる。ここで、亜酸化窒素用流量計106としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、マスフローコントローラ、積算流量計等を用いることができる。また、亜酸化窒素用流量計106は、信号線を介して制御装置114と電気的に接続されている。亜酸化窒素用流量計106により測定された流量値は、信号線を介して制御装置114へ送信される。
また、亜酸化窒素ガス供給配管L2には、亜酸化窒素用流量計106の二次側に、亜酸化窒素用滅菌フィルター108が設けられている。亜酸化窒素用滅菌フィルター108により、亜酸化窒素ガス供給配管L2内を流通する亜酸化窒素ガスを滅菌することができる。
また、亜酸化窒素ガス供給配管L2には、亜酸化窒素用滅菌フィルター108の二次側に、亜酸化窒素供給バルブ110が設けられている。亜酸化窒素供給バルブ110の開閉を制御することにより、亜酸化窒素ガス供給配管L2から治療薬供給配管L3への亜酸化窒素ガスの供給量を制御することができる。また、亜酸化窒素供給バルブ110は、信号線を介して制御装置114と電気的に接続されている。制御装置114により、信号線を介して亜酸化窒素供給バルブ110の開閉を制御することができる。
本実施形態のうつ病治療薬供給装置40では、上述した酸素供給バルブ109及び亜酸化窒素供給バルブ110を切替手段(供給量調整装置)として用いることができる。具体的には、酸素供給バルブ109及び亜酸化窒素供給バルブ110の開度をそれぞれ制御することにより、治療薬供給配管L3内に供給される混合ガス(うつ病治療薬)中の亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度を適宜調整することができる。また、亜酸化窒素供給バルブ110を閉止することにより、治療薬供給配管L3内には酸素ガスを供給することができる。すなわち、切替手段(供給量調整装置)を制御することにより、治療薬供給配管L3内に供給する酸素ガス又は混合ガス(治療薬)を適宜選択することができる。
より具体的には、治療薬供給部116に供給するガスとして、酸素ガス又は酸素・亜酸化窒素の混合ガス(治療薬)を選択して容易に供給することができるため、混合ガスによる治療だけでなく、治療中に低酸素症、嘔吐等の患者の様態が悪化した際には酸素ガスを供給することができ、即座に対処が可能となる。
治療薬供給配管L3は、一端が酸素ガス供給配管L1及び亜酸化窒素ガス供給配管L2と接続され、他端が筐体117に設けられた継手115を介して治療薬供給ホースL4と接続されている。
治療薬供給配管L3には、治療薬供給バルブ112が設けられている。治療薬供給バルブ112の開閉度を制御することにより、治療薬供給配管L3から治療薬供給ホースL4への混合ガス(治療薬)の供給量を制御することができる。また、治療薬供給バルブ112は、信号線を介して制御装置114と電気的に接続されている。制御装置114により、信号線を介して治療薬供給バルブ112の開閉度を制御することができる。
また、治療薬供給配管L3には、治療薬供給バルブ112の1次側に、ガス混合部(混合部)118が設けられている。ガス混合部118は、ガスの混合(均一)を促進することができるものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、スタティックミキサー、混合器、混合タンク等を適用することが好ましい。
治療薬供給ホースL4は、一端が継手115を介して治療薬供給配管L3と接続され、他端が治療薬供給部116と接続されている。治療薬供給ホースL4により、治療薬供給配管L3から供給される混合ガス(治療薬)を治療薬供給部116に供給することができる。
治療薬供給部116は、治療薬供給ホースL4から供給される混合ガスを患者に供給できるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、吸気マスクを用いることができる。
パージ配管L5は、一端が治療薬供給バルブ116の一次側で治療薬供給配管L3に接続されており、他端がパージ用のポンプ、排ガス処理装置(図示略)を接続可能に設けられている。パージ配管L5により、酸素ガス供給配管L1、亜酸化窒素ガス供給配管L2、及び治療薬供給配管L3の内部に残留するガスをパージすることができる。これにより、高圧酸素ガス源101及び高圧亜酸化窒素ガス源102の交換時に装置内に混入した治療に用いるガス以外のガス(例えば、空気)、埃等が治療薬供給部116を介して患部に供給されることを防ぐことができる。
パージ配管L5には、パージバルブ111が設けられている。パージバルブ111の開閉を制御することにより、配管内のガスのパージを制御することができる。また、パージバルブ111は、信号線を介して制御装置114と電気的に接続されている。制御装置114により、信号線を介してパージバルブ111の開閉を制御することができる。
減圧配管L6は、一端が治療薬供給ホースL4に接続され、他端が外部に開放されている。減圧配管L6には、減圧弁113が設けられている。減圧弁113により、必要に応じて治療薬供給部116内のガスを、減圧配管L6を介して外部へ排気することで、治療薬供給部116内の圧力を適切に調整することができる。これにより、治療薬供給部116に供給されるガスの圧力および流量を適切に調整することができる。また、減圧弁113は、信号線を介して制御装置114と電気的に接続されている。制御装置114により、信号線を介して減圧弁113の開閉を制御することができる。
筐体117の内側(内部)には、高圧酸素ガス源101や高圧亜酸化窒素ガス源102等が設けられている。本実施形態のうつ病治療薬供給装置40は、高圧酸素ガス源101や高圧亜酸化窒素ガス源102等を筐体117内に設けることにより、自由に携帯や移動が可能となる。また、ガス源を別途用意する必要がないため、医療ガス配管等の設備の整った医療施設に限らず、例えば、一般家庭や介護施設等でも使用することができる。
筐体117の側面には、酸素濃度の検知手段である酸素ガス検出器119が、検出部分が筐体117の外側に位置するように設けられている。酸素ガス検出器119により、筐体117の外側の雰囲気中の酸素濃度を測定することができる。また、酸素ガス検出器119は、信号線を介して制御装置114と電気的に接続されている。酸素ガス検出器119で測定した酸素濃度の値は、信号線を介して制御装置114へ送信される。
また、筐体117の側面には、亜酸化窒素濃度の検知手段である亜酸化窒素ガス検出器120が、検出部分が筐体117の外側に位置するように設けられている。亜酸化窒素ガス検出器120により、筐体117の外側の雰囲気中の亜酸化窒素濃度を測定することができる。また、亜酸化窒素ガス検出器120は、信号線を介して制御装置114と電気的に接続されている。亜酸化窒素ガス検出器120で測定した亜酸化窒素濃度の値は、信号線を介して制御装置114へ送信される。
制御装置114は、信号線を介して、酸素用圧力センサ103、酸素用流量計105、酸素供給バルブ109、亜酸化窒素用圧力センサ104、亜酸化窒素用流量計106、亜酸化窒素供給バルブ110、治療薬供給バルブ112、パージバルブ111、減圧弁113、酸素ガス検出器119及び亜酸化窒素ガス検出器120と、それぞれ電気的に接続されている。
制御装置114によって、酸素供給バルブ109、亜酸化窒素供給バルブ110、治療薬供給バルブ112、パージバルブ111の開閉状態を制御することで、混合ガス中の亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度、混合ガスと酸素ガスとの切り替えや、ガスの供給とパージをシーケンス制御等の方法で制御することができる。
また、制御装置114によって、圧力センサ103,104で測定される圧力値、及び流量計105,106で測定される流量値に基づいて、減圧弁113を制御することで、治療薬供給部116に供給される混合ガス(治療薬)の圧力および流量を適切に調整することができる。
また、制御装置114が、圧力センサ103,104で測定される圧力値、及び流量計105,106で測定される流量値が設定範囲から外れたことを検知した場合、アラーム等を発するようにしてもよい。これにより、ガス漏れ、ボンベ交換時期、メンテナンス時期を使用者に知らせることができる。
また、制御装置114によって、酸素ガス検出器119で測定した酸素濃度、又は亜酸化窒素ガス検出器120で測定した亜酸化窒素濃度が設定値を超えたことを検知した場合、酸素供給バルブ109、亜酸化窒素供給バルブ110、治療薬供給バルブ112を必要に応じて自動的に閉状態とすることで、装置周辺の環境が酸素欠乏状態又は酸素富化状態となることを防止することができる。
次に、本実施形態のうつ病治療薬供給装置40の使用方法(運転方法)について、図4を参照して詳細に説明する。具体的には、上述したうつ病治療薬供給装置40を用いてうつ治療を行い、その後、低酸素症、吐気・嘔吐等の抑制のため、酸素ガスに切り替える場合を一例として説明する。
なお、使用前のうつ病治療薬供給装置40では、酸素供給バルブ109、亜酸化窒素供給バルブ110、治療薬供給バルブ112、パージバルブ111、減圧弁113は、全て閉状態である。
うつ治療を始める場合(亜酸化窒素供給源、酸素供給源の交換後)、先ず、制御装置114によって、酸素供給バルブ109、亜酸化窒素供給バルブ110、パージバルブ111を開状態にすることにより、酸素ガス供給配管L1、亜酸化窒素ガス供給配管L2及び治療薬供給配管L3の内部に残留するガスをパージする。これにより、酸素・亜酸化窒素の混合ガス以外のガスが治療薬供給部116へ供給されることを抑制することができる。十分にガスをパージした後、パージバルブ111を閉状態に戻す。
次に、制御装置114によって、治療薬供給バルブ112を開状態にすることにより、高圧酸素ガス源101、及び高圧亜酸化窒素ガス源102から治療薬供給部116へ酸素・亜酸化窒素の混合ガスを供給する。酸素・亜酸化窒素の混合ガスの供給中、制御装置114が、圧力センサ103,104で測定される圧力値、及び流量計105,106で測定される流量値に基づいて減圧弁113を制御することで、治療薬供給部116に供給される酸素・亜酸化窒素の混合ガスの圧力および流量を適切に調整する。その結果、治療薬供給部116により、酸素・亜酸化窒素の混合ガスを供給することでうつ治療を行うことができる。
次に、うつ治療が終了したら、制御装置114によって、亜酸化窒素供給バルブ110を閉状態に戻すことにより、高圧亜酸化窒素ガス源102から治療薬供給部116への亜酸化窒素ガスの供給を停止する。これにより、酸素ガスのみを供給することができ、低酸素症、吐気・嘔吐等の抑制が可能となる。
以上説明したように、本実施形態のうつ病治療薬供給装置40によれば、亜酸化窒素供給源、酸素供給源、及び治療薬供給部116を少なくとも備えた簡便な構成であるため、装置全体の小型化が可能である。また、麻酔薬のように、揮発性吸入麻酔薬を用いることがなく、亜酸化窒素ガスと揮発性吸入麻酔薬とを専門家によって混合する必要がない、亜酸化窒素ガスと酸素ガスとの混合ガスを治療薬として用いるため、操作が容易である。
また、本実施形態のうつ病治療薬供給装置40によれば、高圧酸素ガス源101及び高圧亜酸化窒素ガス源102として容量が500mL以下の小型ボンベ等を用いることで、装置全体をより小型化することができる。
また、本実施形態のうつ病治療薬供給装置40によれば、高圧酸素ガス源101や高圧亜酸化窒素ガス源102等を筐体117内に設けることにより、自由に携帯や移動が可能となる。また、ガス源を別途用意する必要がないため、医療ガス配管等の設備の整った医療施設に限らず、例えば、一般家庭や介護施設等でも使用することができる。
また、本実施形態のうつ病治療薬供給装置40では、亜酸化窒素ガス及び酸素ガスの供給経路に開閉バルブを設けて切替手段(供給量調整装置)とし、開度をそれぞれ制御するで、治療薬供給部116に供給する混合ガス(うつ病治療薬)中の亜酸化窒素ガス濃度及び酸素ガス濃度を適宜調整することができる。また、亜酸化窒素供給バルブ110を閉止することにより、治療薬供給部116には酸素ガスを供給することができる。すなわち、切替手段(供給量調整装置)を制御することにより、治療薬供給部116に供給するガスとして、酸素ガス又は混合ガス(治療薬)を適宜選択することができる。したがって、患者の様態に応じて、治療薬、もしくは、酸素ガスを選択して供給することが可能となる。
<第5の実施形態>
次に、本発明を適用した第5の実施形態であるうつ病治療薬供給装置の構成について説明する。図5は、本発明を適用した第5の実施形態であるうつ病治療薬供給装置の構成を模式的に示す系統図である。
図5に示すように、本実施形態のうつ病治療薬供給装置50は、高圧酸素ガス源101及び高圧亜酸化窒素ガス源102にかえて、酸素ガス及び亜酸化窒素ガスが混合された高圧混合ガス源(亜酸化窒素混合ガス供給源)121と、混合ガス用圧力センサ122とを備える点で、上述した第4実施形態のうつ病治療薬供給装置40と構成が異なっている。
本実施形態のうつ病治療薬供給装置50によれば、高圧混合ガス源121として混合ガスボンベを用い、酸素ガスと亜酸化窒素との混合ガスをうつ病治療薬として患者に供給する構成とすることで、さらに装置の小型化・軽量化を達成することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上述した第4の実施形態のうつ病治療薬供給装置40では、高圧酸素ガス源101及び高圧亜酸化窒素ガス源102から供給されるガスを用いる構成を一例として説明したが、この構成に限られるものではない。
例えば、酸素ガス供給配管L1及び亜酸化窒素ガス供給配管L2の少なくとも一方に、うつ病治療薬供給装置40の外部に設けられた供給源から他のガスを供給する供給配管をさらに有していてもよい。これにより、装置内のガス源だけでなく、装置外のガス源も任意で選択することができる。
また、上述したうつ病治療薬供給装置40では、高圧亜酸化窒素ガス源102に重量計(例えば、ロードセル等)を設ける構成としてもよい。これにより、亜酸化窒素の残量を正確に把握することができる。また、重量計は、信号線を介して制御装置114と電気的に接続されていてもよい。さらに、制御装置114が重量計から送信された測定値が設定範囲から外れたことを検知した場合、アラーム等を発するように構成してもよい。これにより、ガス漏れ、ボンベ交換時期、メンテナンス時期を使用者に知らせることができる。
また、上述したうつ病治療薬供給装置40では、筐体117の内部に高圧酸素ガス源101及び高圧亜酸化窒素ガス源102を有する構成を一例として説明したが、これに限られるものではない。例えば、高圧酸素ガス源101及び高圧亜酸化窒素ガス源102のいずれか一方又は両方が筐体117の外部に設けられていても良い。
また、上述したうつ病治療薬供給装置40では、酸素ガス検出器119及び亜酸化窒素ガス検出器120が筐体117の側面に設けられている構成を一例として説明したが、これに限られるものではなく、任意の場所に設置してもよい。例えば、酸素ガス検出器119及び亜酸化窒素ガス検出器120を、治療薬供給部116又はその近傍に設けてもよい。これにより、患者周辺の酸素濃度及び亜酸化窒素濃度を検知することができるため、酸素欠乏状態、酸素富化状態の防止により有効である。
また、上述したうつ病治療薬供給装置40において、治療薬供給部116が、必要に応じてガスを加湿するための機器を備えるものであっても良い。
また、上述したうつ病治療薬供給装置40において、必要に応じて人工呼吸器を備えるものであっても良い。
また、上述したうつ病治療薬供給装置40において、酸素ガス供給配管L1及び亜酸化窒素ガス供給配管L2が、ガスの逆流を防ぐための逆止弁や、配管内の圧力を減圧するための減圧弁を備えるものであってもよい。
また、上述したうつ病治療薬供給装置40において、筐体117が、筐体の底部や側面等に装置を移動させるためのキャスターを備えるものであっても良い。