本発明は、以下の点を技術的特徴とするものである。
(1)異状情報を端末装置に迅速に伝達するために、プッシュ通知を採用し、能動的に、端末装置に対してメッセージを通知する。
(2)異状情報が発生した際に、特定の利用者を選択して第1の通報を行うことで、異状が発生した現場で異状確認を行い、現場において異状発生が確認できたことを示す異状確認情報が得られた後に、通報範囲を拡大してより多くの利用者に対して第2の通報を行うことで、異状断定情報を迅速に通報する。
(3)異状が発生した現場を確認することを要請する第1の通報を行う端末装置の選択は、異状情報に含まれる異状発生位置を特定するための異状位置情報と、端末装置を所持する利用者の属性情報との比較に基づいて、異状発生位置に応じて適切に行われる。
(4)属性情報は、確認要員を選択して現場確認を要請する第1の通報の送信先を選択するためのパラメータとして、複数の識別情報から構成することができる。また、端末装置が現在位置を測位可能な機能を有している場合、あるいは入退室管理と連動している場合には、それぞれの端末装置の現在位置あるいは入退室状況を属性情報として採用し、動的に属性情報を更新することもできる。さらに、あらかじめ記憶しておいた属性情報と動的に更新される属性情報を併用することもできる。
そこで、このような技術的特徴を踏まえ、本発明の通報システムの好適な実施の形態につき、図面を用いて以下に説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における通報システムを含む、自衛消防活動を支援するための防災支援システムの全体構成図である。本実施の形態1における通報システム100は、建物に設置された自動火災報知設備200(以下、自火報設備200と称す)と通信し、連携して動作するように構成されている。
本実施の形態1における通報システム100は、管理サーバーとしての防災管理サーバー1、通知サーバー4、および複数の端末装置2のそれぞれが、通信回線3を介して相互に通信できる構成を備えている。
ここで、端末装置2は、以下のように、要員端末2A、利用者端末2B、および電子メール利用者端末2Cに大別される。
要員端末2A:異状が発生した現場で異状確認を要請する第1の通報の通知対象となる端末装置2に相当し、異状発生状況に応じて防災管理サーバー1によって選択される端末装置である。なお、この要員端末2Aに対しては、第2の通報も通知される。
利用者端末2B:第2の通報の通知対象となる端末装置2に相当し、異状発生状況に応じて防災管理サーバー1によって選択され、異状が確認された後の異状断定情報が通知される端末装置である。
電子メール利用者端末2C:電子メールを受信する機能を備えた端末装置2に相当し、防災管理サーバー1から送信された電子メールを受信することで、異状情報を取得できる携帯型の端末装置である。
従って、要員端末2Aおよび利用者端末2Bは、最初から区別されているものではなく、異状の発生場所に基づいて、防災管理サーバー1により動的に選択される端末装置である。
また、通信回線3は、インターネット、IMT−2000に準拠した無線通信網、iEEE802.11に準拠する無線LAN、等の通信網である。そして、通信回線3は、端末装置2とは無線通信で、防災管理サーバー1、通知サーバー4とは有線通信または無線通信で、それぞれ接続される。
防災管理サーバー1は、有線または無線で通信回線3に接続される通報装置の一例である。そして、防災管理サーバー1は、通信回線3を介して、通知サーバー4、端末装置2、監視対象の施設に設置された自火報設備200のそれぞれと互いに通信する。
一方、自火報設備200は、火災感知器5、ガス漏れ検知器6、地区音響装置7、中継器8、9、および火災受信機10を備え、これらの各機器が、建物の1階から3階に配置されている一例を図1に示している。
火災感知器5またはガス漏れ検知器6といった感知手段が、火災やガス漏れといった監視対象の異状を感知すると、火災受信機10は、自ら警報を発するとともに、地区音響装置7により、施設内の各階に警報を発する。さらに、火災受信機10は、通信回線3を介して防災管理サーバー1と通信する通信手段を有し、防災管理サーバー1に対して異状感知情報を送出するようにしておく。
なお、この異状感知情報には、異状が発生した場所を特定できる異状位置情報が含まれるようにしておく。この異状位置情報は、異状を感知した火災感知器5またはガス漏れ検知器6に固有の識別子または当該識別子に基づく位置情報や、これら感知手段が設置された部屋や階などの区画を示す区画番号などである。
また、警報を行う際には、地階を除く階数が5以上で、延べ面積が3千平方メートルを超える防火対象物またはその部分にあっては、区分鳴動による警報を行う場合もある。例えば、感知手段が火災を感知したときは、出火階およびその直上階等に限って、感知手段が火災を感知した旨を音声等で報知する。
そして、例えば、火災が確認された状況では(火災が確認されない状況でも10分以内に設定された所定時間が経過した場合も含む)、建物全体に、火災が確認された旨を警報する。火災が確認された状況では、あらかじめ定めた消防計画に基づいて、区画別、例えば階別に、タイミングを変えて避難する順に避難誘導メッセージを発し、避難階段等の避難経路での渋滞を防ぐようにしてもよい。
また、自火報設備200は、感知手段が異状を感知したことを示す異状感知情報(感知器発報情報)としての「火災感知信号」を含め、以下の3種の信号を区別して送出するものがある。これらの信号は、上記異状感知情報と同様に、火災受信機10が通信手段と通信回線3とを介して防災管理サーバー1に対して送出し、後述するように通報システム100を利用して端末装置2に通報することができる。これらの信号を総称して異状情報と称することとする。
・感知手段が異状を感知したことを示す異状感知情報としての「火災感知信号」
・感知手段が感知した異状が確認されたことを示す異状断定情報としての「火災断定信号」
・感知手段が感知した異状が誤報であって、異状ではなかったことを示す非異状断定情報としての「非火災信号」
自火報設備200は、例えば、火災感知器5が火災を感知した場合には、「火災感知信号」を送出する。また、自火報設備200は、例えば、図示しない火災発信機や非常電話が操作された場合には、人が火災を確認して操作したものとして「火災断定信号」を送出する。
また、自火報設備200は、例えば、最初に火災を感知した火災感知器5とは異なる警戒区域の火災感知器5が続いて火災を感知した場合には、火災が拡大したものとして「火災断定信号」を送出する。
また、自火報設備200は、例えば、火災感知器5が感知した火災が、防災センター要員や自衛消防隊員によって確認され、火災断定操作が行われた場合には、「火災断定信号」を送出する。
また、自火報設備200は、例えば、火災感知器5が火災を感知した後、10分以内に設定された所定時間が経過した場合には、誤報であることが確認されないまま放置されて避難に支障を生ずるおそれから「火災断定信号」を送出する。
また、自火報設備200は、例えば、火災感知器5が感知した火災が、防災センター要員や自衛消防隊員によって火災ではなかったことが確認され、非火災操作が行われた場合には、「非火災信号」を送出する。
また、火災感知信号、火災断定信号、非火災信号を送出する段階で、音声出力手段としての地区音響装置7、または図示しない非常用放送設備から、それぞれの信号が送出される状況に対応した音声メッセージを出力させる自火報設備200もある。
自火報設備200が出力させる音声メッセージは、例えば、火災感知信号を送出する段階、つまり火災感知器5が火災を感知した状況では、シグナル音に続いて「ただいま、火災感知器が作動しました。係員が確認しておりますので、次の放送にご注意ください。」という、所定の複数回の注意喚起メッセージである。
また、自火報設備200が出力させる音声メッセージは、例えば、火災断定信号を送出する段階、つまり火災感知器5が感知した火災が確認された状況では、シグナル音に続いて「火事です、火事です。火災が発生しました。落ち着いて避難してください」という避難誘導メッセージである。さらにスイープ音を発し、鎮火まで繰り返す。
また、自火報設備200が出力させる音声メッセージは、非火災信号を送出する段階、つまり火災感知器5が感知した火災が誤報であったことが確認された状況では、シグナル音に続いて「さきほどの火災感知器の作動は、確認の結果、異状がありませんでした。ご安心ください。」という、所定の複数回の訂正メッセージである。
通知サーバー4は、有線または無線で通信回線3に接続され、端末装置2に対してプッシュ通知を実行する通知手段の一例である。ここで、プッシュ通知とは、通知サーバー4が端末装置2からのリクエストによらずに能動的に端末装置2に対してメッセージを通知する仕組みである。そして、通知サーバー4は、通信回線3を介して、防災管理サーバー1、端末装置2のそれぞれと互いに通信する。
換言すると、通知サーバー4は、プッシュ通知により、必要な情報を能動的に端末装置2に表示させるために用いられる。従って、プッシュ通知のサービスを提供している既存の通知サーバー4を流用することができる。
この場合には、本実施の形態1における通報システム100の構成から、通知サーバー4が除かれることとなり、本実施の形態1における通報システム100は、防災管理サーバー1、および複数の端末装置2のそれぞれが、通信回線3を介して相互に通信できる構成を備えるとともに、通信回線3に接続された既存の通知サーバー4を流用する構成となる。
端末装置2は、無線通信によって通信回線3に接続され、通信回線3を介して、防災管理サーバー1、通知サーバー4のそれぞれと互いに通信する、スマートフォン、タブレット端末、ウェラブル端末等である。そして、端末装置2は、防災管理サーバー1からのプッシュ通知による通報や要請を出力し、該要請に対する応答を入力する防災アプリケーション(以下、防災アプリと称す)がインストールされる。
防災管理サーバー1により要員端末2Aとして選択された端末装置2は、防災管理サーバー1から受け付けた、異状が発生した現場で異状確認を要請する第1の通報としての上記要請を出力し、該要請に対する確認要員による応答を入力して、防災管理サーバー1に送出する。第1の通報で出力される「異状が発生した現場で異状確認をする要請」は、第1の通報情報の一例である。
また、防災管理サーバー1により利用者端末2Bとして選択された端末装置2は、防災管理サーバー1から上記要請を受けることがないので第1の通報として上記要請を出力することがなく、第2の通報を出力する。上記要請を除き、異状感知情報を第1の通報として受け付けてこれを出力するようにしてもよい。第1の通報で出力される「異状感知情報」も、第1の通報情報の一例である。なお、端末装置2の一例である電子メール利用者端末2Cについては、後述する。
次に、防災管理サーバー1の構成について、具体的に説明する。図2は、本発明の実施の形態1における通報システム100内に設けられた防災管理サーバー1の内部構成を示す図である。
本実施の形態1における防災管理サーバー1は、制御部11、記憶部12、および通信部13を有する。通信部13は、信号線C2と通信回線3とを介して、端末装置2、通知サーバー4、火災受信機10のそれぞれと制御情報等を通信する通信手段としてのインターフェースである。なお、通信部13は、信号線C2に代えて、無線通信で通信回線3と接続される構成としてもよい。
記憶部12は、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性の記憶手段である。そして、記憶部12は、防災管理サーバー1を動作させ、異状発生時に通報処理を実行するための制御プログラムを記憶する。また、記憶部12は、複数の施設の利用者が所持する端末装置2の属性等について規定する情報テーブルを記憶するユーザーデータベースの記憶領域を有する。
図3は、本発明の実施の形態1におけるユーザーデータベース内に記憶される情報テーブルのデータ構造を示した図である。図3に示した情報テーブルは、以下のパラメータが互いに関連付けられて構成されている。
・施設ID:監視対象である施設の識別子。
・端末ID:端末装置2の識別子。
・端末PW:それぞれの端末装置2に対応して設定されたパスワード。
・氏名:端末装置2の利用者の氏名。
・デバイストークン:通知サーバー4が端末装置2を特定するための識別子であり、通知IDに相当。
・属性情報:それぞれの端末装置2を所持する利用者の属性に関する情報であり、防災管理サーバー1が、通報先の候補となる端末IDを選択するために使用するパラメータ。
属性情報の具体例としては、所持する利用者が異状を確認する確認要員の候補者であるか否かを識別する情報、例えば、自衛消防隊員であるか否かを識別する情報、あるいは、自衛消防隊員の資質を有し自衛消防隊に参加可能である、あるいは、自衛消防隊員として担うべきまたは担うことができる役割や場所といった適性に関する情報やそれらの優先順位などが、端末装置2のそれぞれと関連付けられている場合が挙げられる。属性情報は、このような情報や優先順位を示す複数の識別情報で構成してもよく、例えば、このような情報や優先順位を、それぞれの桁で0〜9に属性データとしての意味合いを持たせて割り付けることで、数値データとして符号化された属性情報を設定することができる。この場合の各桁は属性情報を構成する識別情報の一例である。
また、図3に例示した情報テーブルは、一例であり、少なくとも、端末ID、デバイストークン(通知ID)、属性情報のそれぞれが関連付けられていればよい。なお、防災管理サーバー1が複数の施設を監視対象とする場合には、各施設の識別子としての施設IDがさらに関連付けられて上記情報テーブルが構成される。例えば、防災管理サーバー1が単一の施設を監視対象とする場合には、すべての端末IDが同一の施設IDと関連付けられ、情報テーブル内のデータとして施設IDを持たせる必要はない。
制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムに基づいて、防災管理サーバー1の各部の動作を制御する制御手段である。そして、制御部11は、図示せぬCPU等の演算処理装置を備え、その機能的構成として、受付部111、選択部112、情報生成部113、要求部114、情報出力部115、および登録部116を備える。
受付部111は、通信部13を介して自火報設備200の火災受信機10から送出される異状情報を受信し、受け付ける受付手段である。さらに、受付部111は、通信部13を介して端末装置2からの各種の要求信号や応答信号を受信して受け付ける。さらに、受付部111は、通信部13を介して建物に設置された設備、例えば自火報設備200の火災受信機10から、異状断定情報や非異状断定情報が送出される場合は、これらの情報を受信して受け付けるようにしてもよい。
選択部112は、記憶部12のユーザーデータベースを参照して、受付部111が受け付けた異状情報に基づいて、通報先としての端末装置2を選択する選択手段である。
例えば、選択部112は、異状感知情報に含まれている異状位置情報に基づいて、現場確認を実行できる特定の属性が関連付けられた端末IDを抽出するようにして、特定の属性を有する利用者の端末装置2を要員端末2Aとして選択する。
例えば、受付部111が受け付けた異状情報が、火災受信機10から送出された火災感知器5の作動を示す異状感知情報としての火災感知情報であった場合には、選択部112は、異状が発生した現場で異状確認を要請する第1の通報の通報先として、確認要員としての属性と関連付けられた端末IDを抽出するようにし、抽出された端末IDを有する端末装置2から、要員端末2Aを選択することができる。
確認要員としての属性は、例えば、出火階の地区隊を担うことができる自衛消防隊員候補者という属性である。このときの第1の通報には、異状感知情報として、異状感知手段(感知手段)が感知した異状の内容や異状位置情報を含むようにしてもよい。
また、選択部112は、異状が確認されたことを示す異状確認情報を要員端末2Aから受付部111が受け付けた場合には、第2の通報の通報先として、属性の区別なく、現場での異状確認を要請する対象となった異状感知情報に含まれていた異状位置情報に対応する施設IDと関連付けられた端末IDを抽出するようにして、当該施設の利用者すべてを通報先として選択することができる。また、選択部112は、施設IDが関連付けられていない場合には、すべての端末IDが同一の施設IDと関連付けられていると判断し、すべての端末IDを第2の通報の通報先として選択することができる。
さらに、選択部112は、受付部111が受け付けた異状情報が、火災受信機10から送出された火災感知器5の作動を示す異状感知情報としての火災感知情報であった場合には、異状感知手段が感知した異状の内容や異状位置情報を第1の通報として、属性の区別なく、異状感知情報に含まれている異状位置情報に対応する施設IDと関連付けられた端末IDを抽出するようにして、当該施設の利用者すべてを通報先として選択するようにしてもよい。
このとき、異状感知情報に含まれていた異状位置情報に対応する施設IDと関連付けられ、かつ、出火階または直上階に居るまたは居ることを常態とする属性と関連付けられた端末IDを抽出するようにしてもよい。
また、選択部112は、受付部111が異状でなかったことが確認されたことを示す非異状確認情報を要員端末2Aから受け付けた場合には、第1の通報で選択された端末IDを通報先として選択し、異状でなかったことが確認された旨を示す非異状断定情報を通報する第3の通報を行うことができる。
さらに、選択部112は、選択した端末IDと関連付けられた通知IDをユーザーデータベースから読み取る。
情報生成部113は、受付部111が受け付けた異状情報に基づいて、端末装置2に通報する通報情報と、該通報情報に対応する情報識別子である情報IDとを生成する情報生成手段である。
要求部114は、選択部112が選択した通知IDと、情報生成部113が生成した情報IDとを指定して、対応する端末装置2に情報IDと対応する通報情報を取得させるための通知要求を、通信部13を介して通知サーバー4へ送出する要求手段である。
情報出力部115は、受付部111が受け付けた端末装置2からの通報情報要求に含まれる情報IDに基づいて、対応する通報情報を当該端末装置2に取得させる情報出力手段である。
登録部116は、受付部111が受け付けた端末装置2からの登録要求に応じて、該端末装置2の施設IDと端末IDと通知IDとを、該端末装置2に対応する施設IDとともに、記憶部12のユーザーデータベースに記憶させる登録手段である。また、登録部116は、さらに該端末装置2を所持する利用者の属性と関連付けて、記憶部12の情報テーブルに記憶させるようにしてもよい。
なお、防災管理サーバー1は、後述する通知手段としての通知サーバー4の機能を有する通知部を備えるようにしてもよい。すなわち、防災管理サーバー1と通知サーバー4を個々に設ける代わりに、両者の機能を備えた通報サーバーを用いることもできる。このとき、通知IDと通報IDとを共通化してもよい。ただし、以下の説明では、防災管理サーバー1とは一体化しない通知サーバー4を適用する場合について説明する。
次に、通知サーバー4の構成について、具体的に説明する。図4は、本発明の実施の形態1における通報システム100内の防災管理サーバー1および複数の端末装置2と通信可能な通知サーバー4の内部構成を示す図である。
本実施の形態1における通知サーバー4は、防災管理サーバー1からの通知要求を受けて、情報IDを指定された端末IDの端末装置2に対してプッシュ通知するための通知手段であり、制御部41、記憶部42、および通信部43を有する。
通信部43は、信号線C3と通信回線3とを介して、端末装置2、防災管理サーバー1のそれぞれと制御情報等を通信する通信手段としてのインターフェースである。なお、通信部43は、信号線C3に代えて、無線通信で通信回線3と接続される構成としてもよい。
記憶部42は、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性の記憶手段である。そして、記憶部42は、通知サーバー4を動作させ、防災管理サーバー1からの通知要求に応じて指定された通知IDの端末装置2に、情報IDをプッシュ通知する通知処理を実行するための制御プログラムを記憶する。
また、記憶部42は、端末装置2について、通信識別子としての通信IDと通知IDとしてのデバイストークンとを関連付けて記憶する通知先データベースの記憶領域を有する。図5は、本発明の実施の形態1における通知先データベース内に記憶されるデータ構造を示した図である。通信IDは、通知サーバー4が端末装置2を特定して通信するための端末装置2に固有の識別子であり、例えば、電話番号である。この通信識別子は、デバイストークンまたは端末IDと共用するようにしてもよい。
制御部41は、記憶部42に記憶されたプログラムに基づいて、通知サーバー4の各部の動作を制御する制御手段である。そして、制御部41は、図示せぬCPU等の演算処理装置を備え、その機能的構成として、受付部411、登録部412、および出力部413を備える。
受付部411は、通信部43を介して防災管理サーバー1からの通知要求を受信し、受け付ける受付手段である。また、受付部411は、通信部43を介して、端末装置2を通知先として登録することを要求する端末装置2からの通知登録要求を受信して受け付ける。
登録部412は、受付部411が受け付けた端末装置2からの通知登録要求に基づいて、端末装置2の通信IDとデバイストークンとを関連付けて記憶部42の通知先データベースに記憶させる登録手段である。また、登録部412は、受付部411が受け付けた端末装置2からの通知登録要求に基づいて、通知IDとしてのデバイストークンを生成し、後述する出力部413を介して該端末装置2に付与する。
出力部413は、受付部411が受け付けた防災管理サーバー1からの通知要求に応じて、デバイストークンで指定された端末装置2に対応する通信IDを、記憶部42の通知先データベースを参照して抽出し、当該通信IDの端末装置2に対して指定されたデバイストークンと情報IDとを、通信部43を介してプッシュ通知する出力手段である。出力部413は、当該通信IDの端末装置2に対して少なくとも指定された情報IDを、通信部43を介してプッシュ通知するようにしてもよい。
また、出力部413は、登録部412が生成したデバイストークンを、通信部43を介して当該端末装置2に付与する。
次に、端末装置2の構成について、具体的に説明する。図6は、本発明の実施の形態1における通報システム100内に含まれる端末装置2の内部構成を示す図である。
本実施の形態1における端末装置2は、制御部21、記憶部22、通信部23、操作部24、および表示部25を有し、さらに測位部26を有してもよい。なお、測位部26については、後述する。
端末装置2は、監視対象である施設の利用者が所持し、携帯する携帯型の端末装置であり、例えば、スマートフォンやタブレット端末やウェラブル端末等である。そして、端末装置2は、通知サーバー4から通信回線3を介して自らに対してプッシュ通知された情報IDに対応する通報情報を防災管理サーバー1に要求する制御プログラムを起動する機能と、通信回線3を介して防災管理サーバー1と相互通信を行うことで防災管理サーバー1から通報情報の提供を受けて出力させる制御プログラムである防災アプリと、を有している。
つまり、端末装置2は、スリープ状態であったとしても自らに対するプッシュ通知を受信することによって防災アプリを起動し、起動した防災アプリが防災管理サーバー1から通報情報を取得して表示させる等して能動的に出力する。
制御部21は、図示せぬ演算処理装置としてのCPU等を有し、CPUが記憶部22に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、端末装置2の各部を制御する。
また、制御部21は、防災管理サーバー1からの通知要求で指定されたデバイストークンに対応する端末装置2に対して少なくとも情報IDをプッシュ通知する通知サーバー4からの通知を、通信部23を介して受信して取得し、取得した情報IDに対応する通報情報要求を、通信部23を介して防災管理サーバー1に発信し、これに対応して防災管理サーバー1から出力された通報情報を取得して表示部25等に出力させる制御手段である。情報IDとともに通知されるデバイストークンが自らに付与されたデバイストークンである場合に情報IDを取得するようにしてもよい。
なお、制御部21が出力する通報情報は、表示部25に表示させるものに限らず、端末装置2が有する図示しないスピーカーから放音する警報音や音声メッセージ、端末装置2が有する図示しないバイブレータから発する振動であってもよい。また、端末装置2とBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信でリンクするウェラブル端末を介して出力するようにしてもよい。このようにすることにより、端末装置2がポケットや鞄の中に在って利用者が表示を視認できない状況であっても、プッシュ通知による通報情報の着信を利用者に対して能動的に知らせることができる。
記憶部22は、ROM、フラッシュメモリ、SSD(ソリッドステートドライブ)などの不揮発性の記憶手段であり、制御部21のCPUに読み込まれるプログラムを記憶する。また、記憶部22は、通知サーバー4からのプッシュ通知によって起動し、防災管理サーバー1から通報情報を取得するための防災アプリを記憶する。
また、記憶部22は、端末装置2に固有の識別子として、防災管理サーバー1から付与される端末ID、通知サーバー4から付与される通知IDとしてのデバイストークンを記憶する。
通信部23は、無線通信によって通信回線3と接続され、防災管理サーバー1、通知サーバー4のそれぞれと通信する通信手段としてのインターフェースである。
操作部24は、タッチパネル241を有する操作手段である。タッチパネル241は、例えば、操作者の指などの指示体によって操作され、表示部25の画面251に重なる領域における位置を指示する操作を検出する。このタッチパネル241は、例えば、画面251に重ねられた透明な静電容量方式のタッチパネルや感圧式のタッチパネルである。
表示部25は、LCD、有機EL等の表示デバイスであり、制御部21からの指示に応じて画像やメッセージを表示する画面251を有する表示手段である。
端末装置2は、利用者の属性に応じて用途を区別するようにしてもよい。例えば、防災管理サーバー1が受け付けた異状情報が、監視対象の異状が感知されたことを示す異状感知情報としての感知器発報情報であるときに、防災管理サーバー1が当該異状の確認を要請する確認要員としての属性が登録された端末装置2を、要員端末2Aとすることができる。
異状発生場所を担当する自衛消防隊地区隊員は、確認要員としての属性の一例である。防災管理サーバー1が異状感知情報を受け付け、異状の確認をプッシュ通知にて要請された要員端末2Aを所持する自衛消防隊員は、異状発生現場に急行して異状を確認し、操作部24を操作して、防災管理サーバー1に異状確認情報を送信する。
ここで、要員端末2Aとして選択されなかった端末装置2を、一般端末としての端末装置2である利用者端末2Bとする。この利用者端末2Bには、防災管理サーバー1が異状の確認をプッシュ通知にて要請することはなく、異状確認情報を受け付けた防災管理サーバー1から異状が確認されたことを示す異状断定情報としての通報情報が、この利用者端末2Bに対して、プッシュ通知される。
すなわち、異状感知情報に基づく初動情報としての異状確認要請である第1の通報情報は、第1の通報によって要員端末2Aのみに通報され、異状断定情報としての第2の通報情報は、第2の通報によって要員端末2Aと利用者端末2Bの両方に通報される。
このように、異状感知情報に含まれる異状位置情報と属性情報との比較に応じて、要員端末2Aと利用者端末2Bの運用を区別することにより、例えば、異状発生場所を担当する自衛消防隊地区隊員以外の利用者は、確認要員によって確認された信頼性の高い異状断定情報としての通報情報を受け取ることができる。ひいては、火災感知器5の誤報による混乱を防止することができる。
なお、要員端末2Aからの異状確認情報は、異状発生現場に急行した確認要員からの異状確認情報だけを採用するのではなく、異状発生現場に急行することなく異状の確認を行うことができる特定の利用者の端末装置2をさらに要員端末2Aに選定し、この要員端末2Aからの異状確認情報をさらに採用することも考えられる。例えば、防災センターにおいて監視カメラ等の他の確認手段を用いて異状の確認を行うことにより、異状発生現場に急行した確認要員によることなく異状を確認することができる。
具体的には、端末装置2のうち、防災センター要員などあらかじめ定めた特定の利用者の端末装置2を要員端末2Aに選定し、現場に急行した確認要員からの異状確認情報に加えて、防災センター要員からの異状確認情報に基づいて、異状断定情報が送出されるようにしてもよい。
また、自火報設備200からの異状断定情報に基づいて、防災管理サーバー1が異状断定情報を送出するようにしてもよい。
また、端末装置2は、要員端末2A、一般端末としての利用者端末2B以外に、電子メールを受信する機能を備えた携帯電話を、電子メール利用者端末2Cとして加えてもよい。スマートフォンやタブレット端末やウェラブル端末を所持していない利用者に対しても、広く普及している電子メールを受信する機能を備えた携帯電話へも通報できるようにすることにより、通報システム100を利用可能な利用者を広げる意義がある。
なお、このような電子メール利用者端末2Cへの通報は、通知サーバー4によるプッシュ通知を介することなく、防災管理サーバー1が電子メール利用者端末2Cのメールアドレスに向けて発信し、電子メール利用者端末2Cの携帯電話通信事業者を介して電子メールをプッシュ通知するようにする。
すなわち、電子メール利用者端末装置2Cがスリープ状態であったとしても、通報を能動的に表示させることまではできないとしても電子メールとして能動的に受け付けさせることができる。電子メール利用者端末2Cの利用者は、電子メールの着信を着信音やバイブレータの振動等で知ることができるので、当該電子メールを開封して閲覧することによって防災管理サーバー1からの通報を迅速に知ることができる。
このとき防災管理サーバー1は、通報情報を出力するポートを用意し、そのポートへのアクセス情報を含む電子メールを生成し、そのアクセス情報を含む電子メールを電子メール利用者端末2Cへ発信するようにしてもよい。このことにより、通報を受け付けた電子メール利用者端末2Cのユーザーは、その電子メールを開封して通報を迅速に知るとともに電子メールに含まれるアクセス情報に基づいて防災管理サーバー1の通報情報出力ポートにアクセスし、詳細な通報情報を取得することができる。
防災管理サーバー1がWebサーバーとしても機能して当該通報情報を掲載したWebページを設けることは、上記の通報情報出力ポートの一例である。また、当該WebページのURLは、上記の通報情報出力ポートへのアクセス情報の一例である。
また、電子メール利用者端末2Cへ発信する電子メールの本文に掲載した当該WebページのURL、あるいは、当該電子メールに添付ファイルとして添付した当該Webページへのショートカットは、電子メール利用者端末2Cへ発信する電子メールに含めて通知されるアクセス情報の一例である。
この例では、通報を受け付けた電子メール利用者端末2Cの利用者は、開封した電子メールに含まれるアクセス情報に基づいてWebブラウザを起動することによって当該Webページにアクセスし、Webブラウザに表示される通報情報を閲覧することができるので、詳細な通報情報を得ることができる。
次に、端末装置2の登録動作について説明する。本実施の形態1における通報システム100においては、端末装置2が、防災管理サーバー1と通知サーバー4の両方から識別できるようにする必要がある。図7は、本発明の実施の形態1において、端末装置2を防災管理サーバー1および通知サーバー4に登録する登録動作のフロー図である。
まず、通報システム100を利用したい施設の代表者が、利用者代表として、通報システム100による通報サービス提供者に対して通報システム100の利用を申し込む(ステップS101)。
申込方法としては、郵送、電話、電子メール、通報サービス提供者が開設した申込用Webページ、等、如何なる手段であってもよい。申し込み時には、当該施設の名称、所在地、所有者あるいは代表(利用者代表)、希望するパスワード(図7中、パスワードをPWと表記する)、等の情報を添えて申し込み、通報サービス提供者は、これを受け付ける。
そして、この申し込みに対して、通報サービス提供者は、当該施設の識別情報としての施設IDを付与し、端末装置2を通報システム100に登録するための端末装置登録用パスワードと、当該施設の管理者がユーザーデータベースにおける当該施設情報に関してアクセスして編集することを許可する管理者権限パスワードとを付与する。
そして、通報サービス提供者は、付与した施設IDおよび各パスワードを、申し込みのあった利用者代表に対して通知する(ステップS102)。この通知方法としては、郵送、電話、電子メール、通報サービス提供者が開設した申込用Webページの申込完了画面、等、如何なる手段であってもよい。一方、利用者代表は、通知された各種情報を受領する(ステップS103)。
ここで、ステップS102において、通報サービス提供者は、当該施設に対応するユーザーデータベースを防災管理サーバー1に設定する。さらに、申込時に受け付けた上記情報の一部または全部を、あらかじめ登録しておくようにしてもよい。
なお、ステップS101〜ステップS103の一連の処理を、オンラインで完結するようにしてもよい。具体的には、通報サービス提供者が開設する申込用Webページを、防災管理サーバー1をWebサーバーとして用いて設けた所定の申込フォームのWebページとし、申込内容が自動的に防災管理サーバー1に取得されるようにする。
さらに、申込結果を自動的に通知するようにし、利用者代表による申し込み(ステップS101)と、施設ID、端末装置登録用パスワード、管理者権限パスワードの通知(ステップS102)、これらの情報の受領(ステップS103)を、オンラインで完結することができる。
次に、利用者代表は、受領した施設IDと端末登録用パスワードとを、通報システム100に登録する端末装置2の所持者に連絡して、端末装置2の登録を指示する(ステップS104)。一方、端末装置2の所持者は、登録指示とともに送られてくるこれらの情報を受領する(ステップS105)。
そして、端末装置2の所持者は、端末装置2を用いて防災管理サーバー1にアクセスして、防災アプリのダウンロード(図7中、「防災アプリDL」と表記する)を要求する(ステップS106)。これに対して、防災管理サーバー1は、防災アプリのダウンロードを許可する(ステップS107)。一方、端末装置2は、ダウンロード要求に対する返答として取得した防災アプリを、端末装置2にインストールする(ステップS108)。
なお、防災アプリは、防災管理サーバー1から取得する方法には限定されない。防災アプリは、通報サービス提供者が管理する他のサーバーからダウンロードして取得するようにしてもよく、防災アプリを提供するサーバーは、適宜決定される。また、防災アプリのダウンロードの際には、特に認証段階を設けなくてもよい。
端末装置2の所持者は、防災アプリをインストールした後、その端末装置2の防災アプリを起動する(ステップS109)。防災アプリは、最初に起動したときに通知手段である通知サーバー4へ自動的にアクセスし、該当する端末装置2を通知サーバー4の通知先として登録することを要求する通知登録要求を送信するようにしておく。
通知サーバー4は、端末装置2からの通知登録要求を受け付けると、当該端末装置2に固有の通知識別情報としてのデバイストークンを付与する。そして、通知サーバー4は、付与したデバイストークンを当該端末装置2へ通知するとともに、通知サーバー4の通知先データベースに当該端末装置2の通信識別情報(例えば、電話番号等の通信識別子)と関連付けて登録する(ステップS110)。
付与されたデバイストークンが通知された端末装置2の防災アプリは、自らに付与されたデバイストークンを記憶部22に登録し、自動的に防災管理サーバー1に対して自機の登録を要求する端末登録要求を送出する(ステップS111)。
この端末登録要求を受け付けた防災管理サーバー1は、当該端末装置2に対して、施設ID、端末登録用パスワードの入力を要求する認証要求を行う(ステップS112)。
この認証要求を受け付けた端末装置2の防災支援アプリは、この認証要求を表示部25の画面251に表示させる。そして、この端末装置2の所持者は、利用者代表からあらかじめ連絡されていた、認証情報としての施設IDと端末登録用パスワードを入力する(ステップS113)。
認証情報を受け付けた防災管理サーバー1は、この認証情報を認証し、誤った認証情報であった場合には受け付けない。一方、防災管理サーバー1は、認証情報が正しい情報であった場合には、これを受け付け、次に、端末装置2を防災管理サーバー1に登録するための情報としての登録情報要求を送出する(ステップS114)。
この登録情報要求を受け付けた端末装置2の防災アプリは、当該登録情報要求を表示部25の画面251に表示させる。そして、この端末装置2の所持者は、要求された登録情報、例えば、自らの氏名(先の図3参照)を入力する(ステップS115)。
そして、端末装置2の防災アプリは、入力された登録情報と記憶部22から読み出したデバイストークンとを防災管理サーバー1に送出する。一方、防災管理サーバー1は、これを受け付け、ユーザーデータベースに端末ID等と関連付けて(先の図3参照)登録し、登録した旨を当該端末装置2に対して通知する(ステップS116)。
この登録通知を受け付けた端末装置2の防災アプリは、表示部25の画面251に登録が完了した旨を表示し、端末装置2からの通報システム100への一連の登録作業を完了する(ステップS117)。
なお、上述した防災アプリの動作は、防災アプリ自体が実行しなくてもよく、防災アプリによって起動された、端末装置2に備わるWebブラウザ等の別のアプリを介して実行される構成としてもよい。
このようにして、所定の端末装置2が通報システム100の監視対象となる施設IDと関連付けられて登録された後、施設の管理者(例えば、防火管理者)は、当該施設の施設IDと関連付けられた端末装置2の登録情報に関するユーザーデータベースの領域を、編集することができる。
例えば、端末装置2を所持する利用者の属性情報として、異状が感知されたときの異状位置情報に応じて、当該異状を確認する確認要員(例えば、自衛消防隊の地区隊員候補)であるか否かを識別するための情報を設定することができる。
なお、端末装置2の登録動作は、上記に限るものではない。通報サービス提供者から、当該施設の識別情報としての施設IDと、端末装置2を通報システム100に登録するための端末装置登録用パスワードと、当該施設の管理者がユーザーデータベースにおける当該施設情報に関してアクセスして編集することを許可する管理者権限パスワードとを受領した利用者代表(ステップS103)、あるいは利用者代表に任命された管理者は、端末装置2の所持者をあらかじめ決定しておいてもよい。
そして、例えば、管理者権限パスワードを用いて当該施設に関するユーザーデータベースにアクセスして、端末ID、所持者の属性情報をあらかじめ登録しておき、さらには、端末装置2毎のパスワードをあらかじめ登録しておいてもよい。端末装置2毎のパスワードをあらかじめ登録した場合は、そのパスワードを通報システム100に登録する端末装置2の所持者に連絡しておく。
そして、通知サーバー4に登録された端末装置2の防災アプリが防災管理サーバー1に端末登録要求するとき(ステップS111)、防災管理サーバー1は、端末装置2が通知サーバー4から取得したデバイストークンを、ユーザーデータベースにあらかじめ登録された端末IDと関連付けて登録する。このとき、端末装置2毎のパスワードによって認証を行うようにしてもよい。
次に、異状断定を行うまでの、異状発生現場での確認を要請する第1の通報に関する一連動作について説明する。図8は、本発明の実施の形態1における通報システム100による異状感知から異状断定までの、上述した第1の通報に関する一連動作のフロー図である。
自火報設備200内の感知手段である火災感知器5あるいはガス漏れ検知器6が異状を検出すると異状感知信号を出力し、この異状感知信号を受信した火災受信機10は、図示しない通信手段と通信回線3とを介して、異状感知情報としての感知器発報情報を出力する(ステップS201)。
なお、この感知器発報情報には、異状を感知した火災感知器5またはガス漏れ検知器6に固有の識別子または当該識別子に基づく位置情報や、これら感知手段が設置された部屋や階などの区画を示す区画番号など、異状が発生した場所を特定できる異状位置情報が含まれるようにしておく。
これに対して、防災管理サーバー1は、感知手段が異状を感知したことを示す異状感知情報を受信した場合には、異状を確認できること(異状発生現場で異状の確認を行える属性情報を有すること)を条件として通報する端末装置2を、異状感知情報に含まれている異状位置情報、および記憶部内の情報テーブルに基づいて選択し、異状発生現場で異状の確認を要請する第1の通報の通報先とする。
例えば、防災管理サーバー1は、異状発生が感知された場所に対応する自衛消防隊地区隊員の属性情報と関連付けられた端末装置2を要員端末2Aとして選択することができる。
また、防災管理サーバー1は、選択された端末装置2に対応する端末IDと関連付けられた通知IDを読み取る。また、防災管理サーバー1は、受信した異状情報に対応した通報情報を生成するとともに、生成した通報情報に対応する情報識別子である情報IDを生成する。このときの通報情報は、異状感知情報に含まれる異状位置情報に基づいて異状発生場所を特定し、異状発生場所での現場確認を要請するものであり、情報IDは、その通報情報を特定するものである。
さらに、防災管理サーバー1は、通知IDおよび情報IDを含む通知要求を通知サーバー4に向けて発信する(ステップS202)。なお、この時点では、防災管理サーバー1は、通報情報の発信は行っていない。
次に、通知サーバー4は、通知要求に応じて、通知先データベース内に記憶された情報を参照して、デバイストークン(通知ID)で指定された通信IDの端末装置2である要員端末2Aに対して、情報IDをプッシュ通知する(ステップS203)。このとき、情報IDとともにデバイストークンをプッシュ通知するようにしてもよい。
次に、プッシュ通信を受信した当該通信IDを有する要員端末2Aは、防災アプリを起動し、情報IDに対応する情報送信要求を防災管理サーバー1に対して送出する(ステップS204)。情報IDとともにデバイストークンがプッシュ通知される場合は、防災アプリが自らのデバイストークンと照合して一致する場合に、情報IDに対応する情報送信要求を防災管理サーバー1に対して送出するようにしてもよい。
次に、情報送信要求を受信した防災管理サーバー1は、該要求で指定された情報IDと端末IDとに基づいて、当該情報IDに対応し、先のステップS202で受信した異状感知情報から生成した通報情報を選択し、当該端末IDを有する要員端末2Aに対して返送する(ステップS205)。
次に、この通報情報を受信した要員端末2Aは、異状発生場所の現場確認を要請する第1の通報としての通報情報を画面に出力表示する(ステップS206)。このとき、要員端末2Aは異状発生場所を地図表示するようにしてもよい。そして、要員端末2Aを所持する確認要員は、画面に表示された内容に応じて、異状発生現場に急行して異状を確認し、異状を確認した場合は、操作部24を操作して、防災管理サーバー1に異状確認情報を送信する(ステップS207)。
次に、防災管理サーバー1は、要員端末2Aから異状を確認したことを示す異状確認情報を受け付けた場合には、異状が確認されたものとして異状断定し、確認されたものとしての発災を通報システム100として覚知する(ステップS209)。
また、防災管理サーバー1は、自火報設備200から異状断定情報としての火災断定信号を受け付けた場合(ステップS208)にも、異状が確認されたものとして異状断定し、確認されたものとしての発災を通報システム100として覚知する(ステップS209)。
なお、ステップS208による異状断定としては、例えば、以下のようなケースが考えられる。
・感知手段が異状を感知してから10分以内に設定された所定時間が経過したとき。
・最初に異状を感知した感知手段の警戒区域以外の警戒区域の感知手段が、新たに異状を感知したとき。
・非常電話または発信機が操作されたとき。
・防災センター要員が異状を確認して自火報設備200において異状断定操作を行ったとき。
なお、自火報設備200に代えて、防災管理サーバー1が上記条件で異状断定するようにしてもよい。例えば、防災センター要員が所持する端末装置2からの異状を確認した旨の信号を受け付けたときに、管理サーバー1が異状と断定するようにしてもよい。
次に、異状断定が行われた後の異状通報の動作について説明する。図9は、本発明の実施の形態1における通報システム100による異状断定後の第2の通報段階としての異状通報動作のフロー図である。
図8の一連動作により異状が断定された場合(ステップS209)、防災管理サーバー1は、第2の通報段階として、異状断定された監視対象の利用者であることを条件として通報する端末装置2を、異状感知情報に含まれていた異状位置情報、および記憶部内の情報テーブルに基づいて選択する。
また、防災管理サーバー1は、選択された端末装置2に対応する端末IDと関連付けられた通知IDを読み取る。また、防災管理サーバー1は、受信した異状確認情報に対応した通報情報としての異状断定情報を生成するとともに、生成した通報情報に対応する情報識別子である情報IDを生成する。
さらに、防災管理サーバー1は、通知IDおよび情報IDを含む通知要求を通知サーバー4に向けて発信する(ステップS210)。なお、この時点では、防災管理サーバー1は、異状断定情報に関する通報情報の発信は行っていない。
次に、通知サーバー4は、通知要求に応じて、デバイストークン(通知ID)で指定された通信IDの端末装置2である要員端末2Aおよび利用者端末2Bに対して、情報IDをプッシュ通知する(ステップS211)。このとき、情報IDとともにデバイストークンをプッシュ通知するようにしてもよい。
次に、プッシュ通信を受信した当該通信IDを有する要員端末2Aの防災アプリは、情報IDに対応する情報送信要求を防災管理サーバー1に対して送出する(ステップS212)。情報IDとともにデバイストークンがプッシュ通知される場合は、防災アプリが自らのデバイストークンと照合して一致する場合に、情報IDに対応する情報送信要求を防災管理サーバー1に対して送出するようにしてもよい。
次に、要員端末2Aからの情報送信要求を受信した防災管理サーバー1は、該要求で指定された情報IDと端末IDとに基づいて、当該情報IDに対応し、先のステップS209で断定した異状断定情報を通報情報として、当該端末IDを有する要員端末2Aに対して返送する(ステップS213)。
次に、通報情報を受信した要員端末2Aは、異状断定情報としての通報情報を画面に出力表示する(ステップS214)。この結果、要員端末2Aを所持する自衛消防隊員は、異状断定情報の詳細を知ることができる。このとき、要員端末2Aは異状発生場所を地図表示するようにしてもよい。
一方、プッシュ通信を受信した当該通信IDを有する利用者端末2Bは、防災アプリを起動し、情報IDに対応する情報送信要求を防災管理サーバー1に対して送出する(ステップS215)。情報IDとともにデバイストークンがプッシュ通知される場合は、防災アプリが自らのデバイストークンと照合して一致する場合に、情報IDに対応する情報送信要求を防災管理サーバー1に対して送出するようにしてもよい。
次に、利用者端末2Bからの情報送信要求を受信した防災管理サーバー1は、該要求で指定された情報IDと端末IDとに基づいて、当該情報IDに対応し、先のステップS209で断定した異状断定情報を通報情報として、当該端末IDを有する利用者端末2Bに対して返送する(ステップS216)。
次に、この通報情報を受信した利用者端末2Bは、異状断定情報としての通報情報を画面に出力表示する(ステップS217)。この結果、利用者端末2Bを所持する一般の利用者も、異状断定情報の詳細を知ることができる。このとき、利用者端末2Bは異状発生場所を地図表示するようにしてもよい。
また、防災管理サーバー1は、ステップS209において異状断定された通報情報を、通知サーバー4を介することなく、電子メールを受信する機能を備えた電子メール利用者端末2Cのメールアドレスに向けて発信し、電子メール利用者端末2Cの携帯電話通信事業者を介して電子メールをプッシュ通知するようにしてもよい(ステップS218)。
そして、通報情報を受信した電子メール利用者端末2Cは、スリープ状態であったとしても、通報を電子メールとして能動的に受け付け、電子メーラを起動して通報情報を画面に出力表示する。(ステップS219)。この結果、電子メール利用者端末2Cを所持する一般の利用者も、異状断定情報を迅速に知ることができる。
このとき防災管理サーバー1は、通報情報を出力するポートを用意し、そのポートへのアクセス情報を含む電子メールを生成し、そのアクセス情報を含む電子メールを電子メール利用者端末2Cへ発信するようにしてもよい。
このことにより、通報を受け付けた電子メール利用者端末2Cのユーザーは、その電子メールを開封して通報を迅速に知るとともに電子メールに含まれるアクセス情報に基づいて防災管理サーバー1の通報情報出力ポートにアクセスし、詳細な通報情報を取得することができる。
次に、異状ではなかったことが確認された非異状時の動作について説明する。異状ではなかったことが確認された場合には、先の図8における「異状確認情報」を「非異状確認情報」と、「異状断定情報」を「非異状断定情報」と、それぞれ読み換え、図9における「通報情報」として送信される情報を、「異状断定情報」から「非異状断定情報」に読み換えた動作となる。
具体的には、防災管理サーバー1は、第3の通報段階として、要員端末2Aから非異状確認情報を受信することで、または自火報設備200から非異状断定情報としての非火災信号を受け付けることで、異状ではなかったことを確認する。続いて、防災管理サーバー1は、非異状断定情報を第3の通報情報として送信することで、各端末装置2に対して、異状ではなかったことを知らせることができる。第1の通報段階で異状発生現場の確認要請を通報した要員端末2Aに対して、第3の通報情報としての非異状断定情報を通報するようにしてもよい。このようにすることにより、誤報による混乱を防止することができる。
このようにすることにより、誤報を速やかに通知することができ、ひいては、通報の信頼性を高め、混乱を未然に防ぐことができる。
以上のように、実施の形態1によれば、異状発生時に異状に関する通報情報を端末装置2に自動的に表示することができる構成を備えている。この結果、利用者に対して迅速に異状を通報することができる。
また、異状を確認できる利用者の端末装置2を自動的に選択して異状の確認を要請し、異状の確認を行ってから異状断定することができる構成を備えている。この結果、利用者は、異状が確認された後の通報として、信頼性の高い情報を受けることができる。
また、誤報を速やかに通知することができる構成を備えている。この結果、通報の信頼性を高め、混乱を未然に防ぐことができる。
以上の構成、効果を整理すると、実施の形態1によれば、以下の構成を備えている。
(1)異状情報を端末装置に迅速に伝達するために、プッシュ通知を採用し、能動的に、端末装置に対してメッセージを通知する構成。
(2)異状情報が発生した際に、特定の利用者を選択して第1の通報を行うことで、異状が発生した現場で異状確認を行い、現場において異状発生が確認できたことを示す異状確認情報が得られた後に、より多くの利用者に対して第2の通報を行うことで、異状断定情報を迅速に通報する構成。
(3)第1の通報を行う端末装置の選択、および第2の通報を行う端末装置の選択を、異状情報に含まれる異状発生位置を特定するための異状位置情報と、端末装置を所持する利用者の属性情報との比較に基づいて、異状発生位置に応じて適切に行う構成。
この結果、火災等の異状発生時に、特定の利用者に対して迅速に異状の確認を要請すること、さらに、当該異状を迅速に確認するとともに確認された異状を利用者に対して迅速に通報することが可能となる。
さらに、非異状が確認されたときに非異状断定情報を迅速に通知する第3段階の通知も組み込むことにより、誤報を速やかに通知することができ、通報の信頼性を高め、混乱を未然に防ぐことができる。
また、属性情報は、確認要員を選択して現場確認の要請としての第1の通報先を選択するためのパラメータとして、複数の識別情報から構成されるようにしてもよい。例えば、現場確認要員としての資質を示す第1識別情報、および通常の在館位置や自衛消防隊員として担う場所を示す第2識別情報を、属性データとしてあらかじめ記憶しておくことができる。
すなわち、管理サーバー1が異状感知情報を受け付けた段階で、第1識別情報を参照して現場確認要員の候補者を抽出し、さらに異状位置情報と第2識別情報とを比較し、所定範囲内の利用者を現場確認要員として選定する。ただし、選定された者が第2識別情報に記憶されている場所に居るとは限らないので、管理サーバー1からの第1の通報として現場確認要請を受けた端末装置2の利用者は、当該要請が妥当な場合は要請を受諾する旨を、あるいは、当該要請を実行不可能な場合は受諾不可である旨を、端末装置2の操作部24を操作することによって応答できるようにしてもよい。
そして、管理サーバー1は、要請が受諾されるまで、あるいは、現場確認要員の定数を満たすまで、上記所定範囲を拡大して新たな現場確認要請を実行する。また、端末装置2が現在位置を測位可能な測位手段を有している場合、あるいは監視対象の建物に入退室管理システムが備わり、通信回線3を介して管理サーバー1が入退室状況を取得できる場合には、それぞれの端末装置2の現在位置あるいは入退室状況を属性情報として採用することができる。この場合、動的に属性情報を更新することができ、現状の利用者の位置に応じて、異状発生現場の確認要請としての第1の通報の送信先を適切に選択することができる。
実施の形態2.
本実施の形態2では、先の実施の形態1で説明したプッシュ通知を用いた多段階の通知機構を応用した、いくつかの変形例について説明する。なお、以下に説明する変形例は、2つ以上を組み合わせることも可能である。
[変形例1]ユーザーデータベースに関する変形例
上述した実施の形態1では、防災管理サーバー1が備える記憶部12内のユーザーデータベースが、監視対象を識別する監視対象識別情報としての施設IDと、端末装置2を識別する端末識別情報としての端末IDと、端末装置2を所持する利用者の属性情報と、を関連付けた情報テーブルを記憶するものであった。
これに対して、変形例1では、施設IDをグループ編成して、監視対象が属するグループを識別するグループ情報を、さらにユーザーデータベース内に記憶するようにしている。
この変形例1において、防災管理サーバー1の選択部112は、同一グループに属する端末装置2、すなわち、同一グループ内の1以上の施設IDと関連付けられた端末装置2の中から通報先を選択することを、条件の1つとして加えるようにする。このようの条件を加えることで、利用者は、同じグループに属する監視対象の異状の通報を受け取ることができる。
例えば、監視対象の施設が複数のビルからなる場合には、これらのビルをグループ化して施設を一体的に監視し、異状発生の情報を施設全体で共有することができる。そして、施設内での異状発生に対し、異状が発生していないビルから応援することができる。
また、例えば、町内会等の地域でグループを編成した場合には、地域内での異状発生の情報を地域全体で共有することができる。そして、地域内での異状発生に対して共同して対処することを可能とする。
図10は、本発明の変形例1における通報システム100を含む防災支援システムの全体構成図である。この図10では、火災警報器211および中継器212を備えた家屋201〜203が、2つのグループR1、R2として編成された場合の、通報システム100の構成を例示したものである。
[変形例2]通知サーバー4に関する変形例
通知サーバー4によりプッシュ通知で送信されるメッセージは、上述した実施の形態1に限るものではなく、電子メールやショートメッセージや独自の形式のデータであってもよい。
また、通知サーバー4は、例えば、GCMサービスを提供するGCMサーバーや、APNサービスを提供するAPNSサーバー等、プッシュ通知サービス提供者が設けたプッシュ通知用通知装置であってもよい。
また、通知サーバー4が防災管理サーバー1と一体化されて、防災管理サーバー1が端末装置2に対してプッシュ通知を直接行うようにしてもよい。このとき、端末装置2の識別子としての端末IDと、通知IDとしてのデバイストークンとを共用するようにしてもよい。
[変形例3]端末装置2に関する変形例
上述した実施の形態1における端末装置2は、測位部26をさらに備えるようにしてもよい。測位部26は、測位システムを利用して、端末装置2が自己の位置を示す情報である端末位置情報を取得する測位手段である。
このような測位システムとしては、例えば、人工衛星を用いた測位システムとして、GPS(Global Positioning System)、GLONASS、Galileo、IRNSS(Indian Regional Navigational Satellite System)、QZSS(Quasi−Zenith Satellite System)等を利用することができる。
また、これら人工衛星を用いた測位システムの衛星電波を利用できない屋内における測位システムとしては、例えば、建物内に複数配設された複数の無線アクセスポイントから受信される、識別情報、電波の強度あるいは信号位相差、等に基づいて3点測位等により位置情報を取得することができる。
また、建物内に複数配設された、電波、超音波等の音波、赤外線等の光等の放射ポイントから受信される、識別情報、放射強度あるいは信号位相差、等に基づいて3点測位等により位置情報を取得してもよい。あるいは、擬似衛星GPS(スードライト)、GPSリピータ、IMES(Indoor Messaging System)等の測位システムを利用して位置情報を取得してもよい。
あるいは、建物に配設された、QRコード(登録商標)等の受動的光学標識、音波や光、あるいは、iBeacon(登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、RFIDタグ等の電波を利用した電子標識や近接無線通信装置(NFC装置)によって、その配設場所の位置情報を電子標識やNFC装置から取得するようにしてもよい。
また、このような電子標識やNFC装置が固有の識別子を備えるようにし、測位部26が上記識別子を取得し、あらかじめ登録しておいた電子標識やNFC装置の識別子毎の位置情報を示すデータベースを参照して、位置情報を取得するようにしてもよい。あるいは、これらの測位技術によって出発地点のみ位置情報を取得し、その後は端末装置2に備わる加速度計測手段とジャイロとを用いた慣性航法装置等の自律航法手段により位置情報を取得するようにしてもよい。
また、上記自律航法に建物内の要所に配設した上記電子標識や上記NFC装置を併用し、自律航法で生ずる位置情報の誤差を電子標識やNFC装置に基づいて補正するようにしてもよい。また、IP500Alliance規格に基づく測位サービス、等を利用することができる。
あるいは、上記電子標識や上記NFC装置が入退室管理システムの端末であって、測位部26が入退室信号を取得したり、測位部26から端末装置2の端末IDを取得させたりし、入退室管理システムから位置情報を取得するようにしてもよい。
そして、端末装置2が取得した位置情報に基づいて在館するか否かを判定すればよい。なお、端末装置2の位置情報に基づいて、当該端末装置2が当該建築物の直近、例えば当該建築物の敷地内に位置すると判定される場合は、在館する場合に準じて扱ってもよい。
測位部26が利用する測位システムは、通報システム100の使用環境に応じて適宜選択され、上述したものに限定されるものではない。測位部26が利用する測位システムとしては、自己の位置情報としての端末位置情報を得ることができるものであれば如何なる測位システムであってもよい。
そして、このような測位システムを利用することで、測位部26は、端末装置2の端末位置情報を適宜周期的に取得する。なお、端末装置2の端末位置情報は、周期的に取得する場合に限らず、防災管理サーバー1からの要求に応じて取得するようにしてもよい。
そして、防災管理サーバー1は、測位部26により取得された端末位置情報を属性情報として活用することで、異状情報を発した監視対象から離れた端末装置2を、異状を確認する要員端末2Aから除外する、あるいは通報先として除外することができる。
また、防災管理サーバー1は、測位部26により取得された端末位置情報を属性情報として活用することで、異状情報を発した監視対象から所定範囲内に存在する端末装置2を選択し、第1の通報、第2の通報の通報対象とすることもできる。
また、異状の確認を要請する端末装置2に相当する要員端末2Aのうち、異状が感知された位置に最も近い位置の端末装置2を要員端末2Aとして選択するようにしてもよい。特に、異状発生場所に対応する自衛消防隊地区隊員の候補者が不在の場合や、異状発生住戸の隣家が不在の場合には、異状発生場所に最も近い端末装置2を要員端末2Aとして選択して、異状の確認を行うことによって、迅速に異状の確認を行うことができる。
なお、端末装置2自体が測位機能を持たないとしても、監視対象である施設自体が入退室管理システムを備えている場合には、端末IDと関連付けて、入退室状況を属性情報として、情報テーブルを逐次更新していくことで、利用者の概略位置を把握することもでき、概略位置に応じて適切な選択処理を行うことが可能となる。
[変形例4]異状断定方法に関する変形例
上述した実施の形態1においては、要員端末2Aからの異状確認情報、または、自火報設備200からの異状断定情報に基づいて、防災管理サーバー1が異状断定していた。
これに対して、特に、防災センター要員が所持する端末装置2に対して、異状確認情報が一旦通知されるようにし、防災センター要員が監視カメラや自衛消防隊員と連絡を取り合うなどして、異状の判断を行うようにし、異状と判断した防災センター要員が当該端末装置2(要員端末2A)を操作することによって、防災管理サーバー1が異状断定するようにしてもよい。
すなわち、要員端末2Aからの異状確認情報、または、自火報設備200からの異状断定情報を受け付けた防災管理サーバー1は、ただちに異状断定するのではなく、防災センター要員の所持する要員端末2Aに対して異状確認情報を通報し、これに対して当該要員端末2Aから防災センター要員が異状と判断した旨の情報を受け付けることによって、二重確認を行うことで、異状と断定する。
なお、防災センター要員が用いる要員端末2Aは、スマートフォンやタブレット端末に限るものではなく、ラップトップPCやデスクトップPCを用いるようにしてもよい。
このとき、防災センター要員が用いる要員端末2Aは、特に、防災管理サーバー1からの異状確認情報を受け付けて出力するとともに、防災センター要員が操作して異状と判断した旨の情報を防災管理サーバー1に送信できるものとしておく。
[変形例5]第2の通報段階で自衛消防隊を編成する変形例
異状断定を通報する第2の通報段階では、自衛消防隊員の候補者である属性情報が関連付けられた端末装置2に対する通報情報は、自衛消防隊への参加を要請する情報であってもよい。さらに、この通報情報は、属性情報としてあらかじめ定めた優先順位や役割に対する適性に基づいて、各隊員の役割を任命する情報であってもよい。
このような自衛消防隊への参加要請や役割を任命する通報情報を通報する対象として選択される端末装置2は、第2の通報段階での要員端末2Aに相当し、第1の通報段階での要員端末2Aが組み込まれることとなる。このように構成することにより、通報システム100は、自衛消防隊員候補者の属性情報に応じて自衛消防隊を迅速かつ適性に編成することができ、自衛消防隊の活動を支援する防災支援システムを構築することができる。
なお、端末装置2が測位手段を備え、当該監視対象から遠く離れているような場合や、入退館管理システムと連携して当該監視対象に居ないことが判明するような場合には、防災管理サーバー1は、このような端末装置2を要員端末2Aの選択対象から除外し、居ない者に実行不可能な要請や任命を行わないようにしてもよい。
端末装置2が測位手段を備える場合、端末装置2の位置情報と、自衛消防隊員あるいはその役割に対する適性を有する等の属性情報とに基づいて、現在位置に近い場所での自衛消防隊の役割を任命するようにしてもよい。これは第2の通報段階での要請や任命に限るものではなく、第1の通報段階で異状発生現場での確認要請を行うときでもよい。
そして、自衛消防隊の候補者である、あるいは、自衛消防隊員としての適性を有する等の属性情報が関連付けられた他の端末装置2から要員端末2Aを選択して、確認要員や自衛消防隊の役割毎の定数を満たすようにしてもよい。
また、第2の通報段階で要員端末2A以外の施設利用者が所持する一般端末である利用者端末2Bに対する通報情報は、要員端末2Aとは異なり、異状が確認された情報としての通報情報に留めるようにしてもよく、さらに避難を促す情報であってもよい。
[変形例6]異状感知情報として第1の通報を行う変形例
第1の通報段階において、要員端末2Aであるか否かにかかわらず、異状が発生した建物の施設IDを有する端末装置2に対して、異状感知情報を通知するようにしてもよい。そして、異状感知情報の通報を受けた端末装置2が表示出力するメッセージの一例は、例えば、「火災感知器が作動しました。係員が確認しておりますので、次の情報にご注意ください。」である。第1の通報段階で通知される異状感知情報は、第1の通報情報の一例である。
このような、異状感知情報を通報した後、要員端末2Aから確認要員が異状でなかったことを確認した場合、管理サーバー1は、上記の異状感知情報を通報した端末装置2に対して、非異状断定情報を通報するようにする。非異状断定情報の通報を受けた端末装置2が表示出力するメッセージの一例は、例えば、「さきほどの火災感知器の作動は、確認の結果、異状がありませんでした。ご安心ください。」である。このような通報を行うことにより、異状が発生した施設の利用者は、事態を的確に把握することができる。
なお、地階を除く階数が5以上で延べ面積が3千平方メートルを超える防火対象物またはその部分にあっては、感知器発報後で火災断定されるまでの間は所定の条件で、出火階およびその直上階等に限って地区音響装置より警報するようにしてもよいことになっている。そこで、防災管理サーバー1は、これと同様に、異状感知情報としての第1の通報段階で、異状が感知された階とその直上階に位置することを示す属性情報が関連付けられた端末装置2に、異状感知情報を通報するようにしてもよい。
[変形例7]通報システム100を利用して放送設備から音声警報させる変形例
上述した実施の形態1では、異状感知情報としての第1の通報、異状断定情報としての第2の通報、非異状断定情報としての第3の通報を、選択された端末装置2へプッシュ通知していたが、これらの情報を利用して、異状が発生した監視対象に設けた放送設備から異状情報に対応した音声メッセージを出力することができる。
管理サーバー1の監視対象の施設には、放送設備から音声メッセージを出力させるための放送用中継手段を設ける。この放送用中継手段は、管理サーバー1または通知サーバー4と通信する通信手段を備える。この放送用中継手段の通信手段は、通信回線3を介して、音声メッセージ情報または音声メッセージ情報IDを受け付け、受け付けた情報に応じて放送設備から音声メッセージを出力するようにする。
管理サーバー1から、第1〜3の通報情報に相当する音声メッセージ情報が、あるいは、これらの音声メッセージ情報の識別子としての音声メッセージ情報IDが、あるいは、通知サーバー4から、第1〜3の通報情報に相当する音声メッセージ情報の識別子としての音声メッセージ情報IDが、送出され、これらのいずれかを通信手段で受け付けるようにする。
音声メッセージ情報を受け付ける場合は、これを音声信号に変換して放送設備から出力させるようにすればよい。また、音声情報メッセージIDを受け付ける場合は、音声メッセージ情報IDに対応する音声メッセージ情報をあらかじめ記憶させておいた不揮発性記憶手段から読み出すようにしてもよいし、取得した音声メッセージ情報IDに相当する音声メッセージ情報の送信を管理サーバー1に要求し、これを取得するようにしてもよい。そして、取得した音声メッセージ情報を音声信号に変換し、放送設備から出力させる。
放送用中継手段が出力させる音声メッセージは、例えば、火災感知信号を送出する段階、つまり火災感知器5が火災を感知した状況では、シグナル音に続いて「ただいま、火災感知器が作動しました。係員が確認しておりますので、次の放送にご注意ください。」という、所定の複数回の注意喚起メッセージである。
また、放送用中継手段が出力させる音声メッセージは、例えば、火災断定信号を送出する段階、つまり火災感知器5が感知した火災が確認された状況では、シグナル音に続いて「火事です、火事です。火災が発生しました。落ち着いて避難してください」という避難誘導メッセージである。さらにスイープ音を発し、鎮火まで繰り返す。
また、放送用中継手段が出力させる音声メッセージは、非火災信号を送出する段階、つまり火災感知器5が感知した火災が誤報であったことが確認された状況では、シグナル音に続いて「さきほどの火災感知器の作動は、確認の結果、異状がありませんでした。ご安心ください。」という、所定の複数回の訂正メッセージである。
すなわち、自火報設備200に連動して音声警報としての音声メッセージを出力する非常用放送設備を代替するものである。このように、通報システム100の監視対象となる施設では、施設毎に高価な非常用放送設備を設置しなくても、通信回線3を経由して放送する音声メッセージの情報を取得することができるので、通報システム100と矛盾なく連携して音声警報としての音声メッセージを出力することができる。また、安価な放送設備を利用することもできる。
[変形例8]管理サーバー1をクラウドコンピューティングシステムとする変形例
上述した実施の形態において、管理サーバー1は、クラウドコンピューティングシステムの機能によって構成されるようにしてもよい。ここで述べるクラウドコンピューティングシステムとは、通信回線3によるネットワーク上に設けられた複数のネットワーク機器に、ソフトウェアや情報を格納しておき、端末装置2が通信回線3にアクセスすることによって、ネットワーク上に設けられた前記複数のネットワーク機器を管理サーバー1として利用可能とする技術である。
例えば、ネットワーク上に設けられた複数のクラウドサーバが互いに連携して、管理サーバー1として機能するものである。このように構成することにより、ネットワーク上のクラウドサーバを増設することにより、通報システム100の規模を容易に拡大することができる。また、端末装置2からの管理サーバー1へのアクセスを複数のクラウドサーバに分散させることを可能とするので、一つの管理サーバー1にアクセスが集中して機能不全に陥ることを防止することができる。