JP2017206983A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Yoshihiro Sakayanagi
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Abstract

【課題】この発明は、内燃機関の制御装置に関し、断熱圧縮行程および断熱膨張行程の双方における筒内圧の検出値に電気ノイズ等の誤差が重畳した場合であっても、絶対圧補正後の筒内圧のずれを抑制できるようにすることを目的とする。
【解決手段】断熱圧縮行程内かつ点火時期を終期とする第1クランク角期間中の熱発生量Qに関し、この熱発生量Qが一定値に近づけるように絶対圧補正値ΔPを決定し、決定した絶対圧補正値ΔPに基づいて当該熱発生量Qが算出される。断熱膨張行程内かつ燃焼が完了している燃焼完了時期を始期とする第2クランク角期間中の熱発生量Qに関し、この熱発生量Qを一定値に近づけるための絶対圧補正値ΔPを決定し、決定した絶対圧補正値ΔPに基づいて当該熱発生量Qが算出される。
【選択図】図3

Description

この発明は、内燃機関の制御装置に関する。
例えば、特許文献1には、筒内圧センサを備える内燃機関の制御装置が開示されている。この制御装置は、筒内圧センサにより検出される筒内圧の絶対圧補正を実行するように構成されている。この絶対圧補正では、検出される筒内圧が最大となる筒内圧最大クランク角度を基準として、吸気弁が閉じてから燃焼が開始するまでの断熱圧縮行程において第1クランク角度および第2クランク角度が設定される。そして、絶対圧補正は、設定された第1クランク角度および第2クランク角度でのそれぞれの筒内圧と筒内容積を用いて実行される。
特開2014−141931号公報 特開2015−101989号公報 特開2007−309273号公報
上述の特許文献1では、断熱圧縮行程中の筒内圧の値のみを利用して絶対圧補正が行われる。このような手法では、断熱膨張行程中に筒内圧センサにより検出される筒内圧の値に電気ノイズやセンサの熱歪等による誤差が重畳していた場合には、断熱膨張行程中の絶対圧補正値のずれが生じ、それに伴い、熱発生量の値にずれが生じてしまう。熱発生量の値にずれが生じると、熱発生量の値に基づく燃焼解析値(燃焼質量割合が特定割合となるときのクランク角度の値など)にずれが生じてしまう。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、断熱圧縮行程および断熱膨張行程の双方における筒内圧の検出値に電気ノイズ等の誤差が重畳した場合であっても、絶対圧補正後の筒内圧のずれを抑制できるようにした内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る内燃機関の制御装置は、筒内圧を検出する筒内圧センサと、クランク角を検出するクランク角センサとを備え、前記筒内圧センサの検出値に基づくエンジン制御が実施される内燃機関を制御する。前記制御装置は、絶対圧補正手段と、第1熱発生量算出手段と、第2熱発生量算出手段とを備える。前記絶対圧補正手段は、前記筒内圧センサの検出値の絶対圧補正を実行する。前記第1熱発生量算出手段は、前記筒内圧センサの検出値に基づいて、断熱圧縮行程内かつ点火時期を終期とする第1クランク角期間中の第1熱発生量を算出する。前記第2熱発生量算出手段は、前記筒内圧センサの検出値に基づいて、断熱膨張行程内かつ燃焼が完了している燃焼完了時期を始期とする第2クランク角期間中の第2熱発生量を算出する。そして、前記第1熱発生量算出手段は、前記第1熱発生量が一定値に近づくように第1絶対圧補正値もしくは第1比熱比を決定し、決定した前記第1絶対圧補正値もしくは前記第1比熱比に基づいて前記第1熱発生量を算出する。また、前記第2熱発生量算出手段は、前記第2熱発生量が一定値に近づくように第2絶対圧補正値もしくは第2比熱比を決定し、決定した前記第2絶対圧補正値もしくは前記第2比熱比に基づいて前記第2熱発生量を算出する。
本発明によれば、断熱圧縮行程内の第1クランク角期間中の熱発生量(第1熱発生量)を一定値に近づけるための第1絶対圧補正値もしくは第1比熱比を決定し、決定した第1絶対圧補正値もしくは第1比熱比に基づいて断熱圧縮行程内の第1熱発生量が算出される。同様に、断熱膨張行程内の第2クランク角期間中の熱発生量(第2熱発生量)を一定値に近づけるための第2絶対圧補正値もしくは第2比熱比を決定し、決定した第2絶対圧補正値もしくは第2比熱比に基づいて第2熱発生量が算出される。これにより、断熱圧縮行程および断熱膨張行程の双方における筒内圧の検出値に電気ノイズ等の誤差が重畳した場合であっても、絶対圧補正後の筒内圧のずれを抑制できるようになる。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。 燃焼状態量に生じる誤差の各種要因を説明するための図である。 本発明の実施の形態1の対策に用いられる特徴的な手法を説明するための図である。 本発明の実施の形態1におけるCAxxおよびQmaxの算出手順を表したフローチャートである。 本発明の実施の形態2の対策に用いられる特徴的な手法を説明するための図である。 本発明の実施の形態2におけるCAxxおよびQmaxの算出手順を表したフローチャートである。
実施の形態1.
まず、図1〜図4を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。
[実施の形態1のシステム構成]
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。図1に示すシステムは、火花点火式の内燃機関(一例として、ガソリンエンジン)10を備えている。内燃機関10の筒内には、ピストン12が設けられている。筒内におけるピストン12の頂部側には、燃焼室14が形成されている。燃焼室14には、吸気通路16および排気通路18が連通している。
吸気通路16の吸気ポートには、当該吸気ポートを開閉する吸気弁20が設けられており、排気通路18の排気ポートには、当該排気ポートを開閉する排気弁22が設けられている。また、吸気通路16には、電子制御式のスロットルバルブ24が設けられている。内燃機関10の各気筒には、燃焼室14内(筒内)に燃料を供給するための燃料噴射弁(一例として、直接噴射式燃料噴射弁)26、および、混合気に点火するための点火装置(点火プラグ28のみを図示)が、それぞれ設けられている。
また、各気筒には、筒内圧を検出するための筒内圧センサ30が組み込まれている。さらに、本実施形態のシステムは、内燃機関10を制御する制御装置として、電子制御ユニット(ECU)40とともに、下記の各種アクチュエータを駆動するための駆動回路(図示省略)などを備えている。
ECU40が信号を取り込むセンサには、上述した筒内圧センサ30に加え、クランク軸(図示省略)の近傍に配置されたクランク角センサ42、および、吸気通路16の入口付近に配置されたエアフローセンサ44等のエンジン運転状態を取得するための各種センサが含まれる。ECU40が操作信号を出すアクチュエータには、上述したスロットルバルブ24、燃料噴射弁26および上記点火装置等のエンジン運転を制御するための各種アクチュエータが含まれる。また、ECU40は、筒内圧センサ30の出力信号を、クランク角度と同期させてAD変換して取得する機能を有している。これにより、AD変換の分解能が許す範囲で、任意のクランク角タイミングにおける筒内圧を検出することができる。さらに、ECU40は、クランク角度と筒内容積との関係を定めたマップをメモリに記憶しており、そのようなマップを参照して、クランク角度に対応する筒内容積を算出することができる。
[実施の形態1のエンジン制御]
(MFBおよびこれに基づくCAxxの算出)
筒内圧センサ30とクランク角センサ42とを備える本実施形態のシステムによれば、内燃機関10の各サイクルにおいて、クランク角度同期での筒内圧の実測データ(筒内圧波形)を取得することができる。そして、得られた筒内圧波形と熱力学第1法則とを用いて、任意のクランク角度θでの筒内の熱発生量Qを次の(1)、(2)式にしたがって算出することができる。そして、算出された筒内の熱発生量Qの実測データ(熱発生量波形)を用いて、任意のクランク角度θにおける燃焼質量割合(以下、「MFB」と称する)を次の(3)式にしたがって算出することができる。そのうえで、MFBの算出処理を所定クランク角度毎に実行することで、クランク角度同期でのMFBの実測データ(MFB波形)を算出することができる。また、MFBの実測データが求まると、MFBが特定割合xx(0〜100までの値)となる時のクランク角度CAxxを算出することができる。
Figure 2017206983

Figure 2017206983
ただし、上記(1)式において、Wは仕事、Uは内部エネルギ、Pは筒内圧、Vは筒内容積、κは筒内ガスの比熱比である。また、上記(3)式において、Qは計算開始点θ(想定される燃焼開始点CA0に対して余裕をもって定められた圧縮行程中(ただし、吸気弁20の閉弁後)の所定クランク角度)での熱発生量の値(ゼロ)である。QmaxはMFBが100%に到達した時での(すなわち、燃焼終了点(100%燃焼点CA100)に到達した時の)熱発生量の値(最大値)である。
ECU40は、筒内圧センサ30の検出値に基づく各種の燃焼状態量(熱発生量最大値Qmax、特定割合燃焼点CAxx(例えば、燃焼重心である50%燃焼点CA50)など)を利用したエンジン制御(燃料噴射量制御、点火時期制御など)を実行する。そのようなエンジン制御の一例は、例えば、特開2015−094339号公報に記載されている。
(絶対圧補正)
一般的に、チャージアンプを介してECUに取り込まれる筒内圧センサの出力(検出値)はドリフトするので、そのままでは相対圧としての筒内圧情報を示すものとなる。このため、上述の燃焼状態量を算出するためには、筒内圧センサの検出値を絶対圧化する補正(絶対圧補正)が必要になる。すなわち、熱発生量Qなどの燃焼状態量は、基本的に、絶対圧補正後の筒内圧(P+ΔP)を利用して行われる。なお、Pは、任意のクランク角度θでの筒内圧センサの検出値である。
従来から行われている絶対圧補正の手法の1つとして、次の手法がある。この手法は、断熱圧縮行程中において成立するポアソンの関係式(PVκ=一定)を利用して、断熱圧縮行程中の2点のクランク角度での筒内圧P、Pおよび筒内容積V、Vと、比熱比κと利用して次の(4)式を定義し、この(4)式を変形して得られる(5)式を用いて絶対圧補正値ΔPを算出するというものである。
Figure 2017206983
(筒内圧センサの検出値に基づく燃焼状態量の算出に関する課題)
図2(A)〜図2(H)は、燃焼状態量に生じる誤差の各種要因を説明するための図である。燃焼状態量である熱発生量Qおよび特定割合燃焼点CAxxには、以下に示す様々な要因で誤差が生じ得る。
1.電気ノイズに起因するQの誤差
図2(A)は、燃焼開始前の圧縮行程中の筒内圧の検出値に電気ノイズが重畳した筒内圧波形を利用して算出された熱発生量Qの波形を示している。このケースでは、燃焼開始点CA0での熱発生量Qの値は、本来的には、発熱が生じていない上述の計算開始点での値Q(=0)と同じはずであるが、図2(A)に示すように誤差が生じる。一方、図2(B)は、燃焼終了後の膨張行程中の筒内圧の検出値に電気ノイズが重畳した筒内圧波形を利用して算出された熱発生量Qの波形を示している。このケースでは、図2(B)に示すように熱発生量最大値Qmaxに誤差が生じる。
そして、図2(C)に示すイメージ図のように、熱発生量Qへの電気ノイズの影響は、圧縮上死点(TDC)から離れるほど、筒内容積Vが大きくなるので大きくなる。その理由は次の通りである。すなわち、筒内圧波形に重畳した電気ノイズによる筒内圧値の誤差をeとし、(厳密には比熱比κは圧縮行程と膨張行程とで異なるが)比熱比κが一定であると仮定したとき、熱発生量Qに生じる誤差eは、以下の(6)式のように表すことができる。
Figure 2017206983
ただし、(6)式において、eおよびVは、上述の計算開始点θでの筒内圧値の誤差および筒内容積である。
(6)式により算出される誤差eには、右辺第3項が強く働く。また、圧縮上死点から離れるほど、筒内容積Vが大きくなる。したがって、誤差eの影響は、仮に同等のレベルの電気ノイズが筒内圧波形の全域に均等に重畳した場合であっても、図2(C)に示すように圧縮上死点から離れるほど大きくなる。
2.熱歪等に伴う筒内圧波形の歪みに起因するQの誤差
筒内圧センサの熱歪、ピストンの圧縮抜け、または周期的なGNDレベルの変動といった理由により、筒内圧波形には、歪みが生じ得る。そのような歪みが生じると、図2(D)中に破線で示すように、熱発生量Q、Qmaxの値に誤差が生じる(図2(D)はQmaxの誤差を例示)。
3.ΔPの誤差に起因するQの誤差
上述の(5)式を用いて絶対圧補正値ΔPを算出する構成では、上述の電気ノイズや熱歪に起因して絶対圧補正値ΔPに誤差が生じ得る。このように絶対圧補正値ΔPがずれてしまうと、図2(E)に示すように、熱発生量Qの波形に筒内容積Vの形に沿ったずれが生じ、その結果として、熱発生量Q、Qmaxの値に誤差が生じる。その理由は、次の通りである。すなわち、絶対圧補正値がΔeだけずれ、かつ、比熱比κを一定としたとき、熱発生量Qに発生する誤差eは、次の(7)式のように表すことができる。(7)式において、比熱比κと筒内容積V0は定数であるので、誤差eの影響は、筒内容積Vに応じた形で発生する。
Figure 2017206983
4.Q、Qmaxの誤差に起因するCAxxの誤差
上述の要因で熱発生量Q、Qmaxに誤差が生じると、それに伴い、これらの値に基づいて取得される特定割合燃焼点CAxxに誤差が生じる。特に、10%燃焼点CA10や90%燃焼点CA90のように熱発生量Qの上下限に近い値は、本来のCA0やCA100の値を超えてしまうと不定となるため、これらの値には、図2(F)に示すように大きな誤差が生じる。
5.燃焼状態量(QやCAxx)に対してフィルタ処理を施す場合の課題
燃焼状態量の算出に際し、燃焼状態量へのランダムノイズや燃焼変動の影響を軽減するために、複数の燃焼サイクルで算出された燃焼状態量の値を利用して、燃焼状態量の値の平滑化のためのフィルタ処理(例えば、なまし処理、算術平均)が行われる場合がある。この場合には、図2(G)に示すような課題がある。
まず、図2(G)中に破線で示すように膨張行程側の熱発生量Qの値が変動した場合、真値(実線)に対して熱発生量Qが大きい方の値を熱発生量最大値Qmaxとして取得するため、フィルタ処理に利用される各燃焼サイクルの熱発生量最大値Qmaxの値は、Qmaxの真値に対する誤差が正となるQmaxの値に偏ることになる。その結果、フィルタ処理を施したにも関わらず、フィルタ処理後の値にそのような誤差を継承したままとなる。その結果、MFBの算出の基礎となる熱発生量最大値Qmaxの値の誤差が大きくなることで、CA10等の誤差が大きくなる。
また、フィルタ処理が行われる場合には、燃焼状態量の一例としてCA90を用いた図2(H)中に破線で示すように、CA90の値に過大なずれが一度生じると、その値がフィルタ処理において使用される期間中にはそのずれの影響が長く残ってしまう。なお、ここでいう過大なずれは、ノイズの影響でCAxxの値が不定になってしまった場合、失火や半失火の影響でQmaxが小さい場合に発生し易い。
ここで、断熱圧縮行程および断熱膨張行程における熱発生量Qの値は、発熱がない期間中の値であるため、本来的には一定値(dQ=0)になるはずである。したがって、断熱圧縮行程中の熱発生量Qのデータの平均値をQとし、断熱膨張行程中の熱発生量Qのデータの平均値をQmaxとすれば、上述の図2(A)〜(C)、(F)、(G)を参照して説明した要因による誤差を軽減できるといえる。しかしながら、この手法では、図2(D)、(E)に示すように熱発生量Qの波形に歪みが生じてしまうと、上記平均値を正しく求められなくなる。
(実施の形態1の対策)
そこで、本実施形態では、図2(A)〜(H)を参照して説明した課題への対策として、次のような手法で用いることとした。
図3は、本発明の実施の形態1の対策に用いられる特徴的な手法を説明するための図である。図3(C)中の破線は、ノイズや熱歪等の影響を受けた筒内圧波形(図3(A)に示す筒内圧波形)をそのまま用いて算出された熱発生量Qの波形に相当する。このため、破線で示す熱発生量Qの波形には、ノイズや熱歪等の影響が表れている。
本実施形態では、図3(C)中に実線で示す波形のように、燃焼開始前の断熱圧縮行程(クランク角度aからクランク角dまでの第1クランク角期間)と、燃焼終了後の断熱膨張行程(クランク角度cからクランク角度dまでの第2クランク角期間)のそれぞれにおいて、熱発生量Qの波形を意図的に歪ませて平らにすることとした。
より具体的には、本実施形態では、断熱圧縮行程(第1クランク角期間)と、断熱膨張行程(第2クランク角期間)のそれぞれにおいて熱発生量Qの波形が平らになるようにそれぞれの絶対圧補正値ΔP、ΔPを計算することとした。ここで、熱発生量Qの算出のための上述の(1)式は、以下の(8)式のように変形することができる。
Figure 2017206983
断熱圧縮行程および断熱膨張行程のそれぞれにおいて、断熱変化の式(PVκ=一定)が成り立てばdQがゼロとなり、熱発生量Qの波形が平らになるといえる。そこで、本実施形態では、断熱圧縮行程中の熱発生量Qの波形がなるべく平らになるようにするために、断熱圧縮行程中の筒内圧の多数の計測点を用いて、最小2乗法で絶対圧補正値ΔPを算出することとした。同様に、断熱膨張行程中の熱発生量Qの波形がなるべく平らになるようにするために、断熱膨張行程中の筒内圧の多数の計測点を用いて、最小2乗法で絶対圧補正値ΔPを算出することとした。これらの絶対圧補正値ΔP、ΔPの算出には、次の(10)式が利用される。
以下に示す(9)式は、i番目の筒内圧の検出値P、筒内容積Vおよび比熱比κ、並びに絶対圧補正値ΔPおよび定数mを断熱変化の式(PVκ=一定)に代入して表した式に相当する。そして、(9)式は、筒内圧Pに着目すると、(10)式のように変形することができる。そして、mとΔPとを未知数として(10)式に最小2乗法を適用することで、絶対圧補正値ΔPおよび定数mをそれぞれ(11)および(12)式のように表すことができる。
Figure 2017206983

Figure 2017206983

Figure 2017206983
ただし、(11)式中の係数fは(13)式のように表され、(12)式中の係数gは(14)式のように表される。また、(13)および(14)式中の係数Dは(15)式のように表される。また、(13)および(15)式中の係数nは、筒内圧値の計測点数である。
ここで、絶対圧補正値ΔP、ΔPの算出の対象となる断熱圧縮行程(第1クランク角期間)と断熱膨張行程(第2クランク角期間)の設定について説明する。従来手法のように2つの計測点のみを考慮する手法では、必ずしも対象クランク角期間全体の熱発生量Qの波形を平らにすることができず、熱発生量Qの波形を平らにするためには、なるべく多くの計測点を用いることが望ましく、また、使用される計測点が多い方が最小2乗法の精度を高めることができる。その一方で、対象クランク角期間は、確実に燃焼が行われない期間とすることが必要とされる。
そこで、本実施形態では、第1クランク角期間は断熱圧縮行程であり、その始期aは一例として吸気弁20の閉じ時期とされ、終期は点火時期bとされる。始期aは、吸気バルブタイミングのばらつきを考慮した余裕を有するように設計上の閉じ時期よりも遅らせてもよい。一方、第2クランク角期間は断熱膨張行程であり、その始期cは確実に燃焼が完了している時期として以下の手法で推定される燃焼完了時期とされ、終期dは、一例として排気弁22の開き時期とされる。始期dは、排気バルブタイミングのばらつきを考慮した余裕を有するように設計上の開き時期よりも早めてもよい。ECU40には、エンジン運転条件に応じた値となるように事前に設定された始期a、cおよび終期b、dが記憶されている。特に、燃焼完了時期は、例えば、空燃比、エンジン負荷および点火時期に応じた値として推定される。
以上の手法によれば、断熱圧縮行程中の筒内圧の多数の計測点を用いて(11)式で表される絶対圧補正値ΔPと(12)式で表される定数mとを算出することができ、同様に、断熱膨張行程についても、絶対圧補正値ΔPと定数mとを算出することができる。図3(B)には、このようにして算出された絶対圧補正値ΔP、ΔPが表されている。ここで、図3(B)に示す一例のように、ΔPとΔPとは必ずしも等しくはならないので、第1クランク角期間の終期bから第2クランク角期間の始期cとの間の絶対圧補正値ΔPは、図3(B)に示すように直線で繋ぐことにより線形補完すればよい。
上述の手法で図3(B)に示すように算出された絶対圧補正値ΔPをクランク角度a〜クランク角度d中の対応する各計測点の筒内圧の検出値Pに加算して得られる補正後の筒内圧を利用して熱発生量Qの波形を算出することで、第1クランク角期間(断熱圧縮行程)および第2クランク角期間(断熱膨張行程)中の熱発生量Qの波形を平らにすることができる。
ただし、最小2乗法による絶対圧補正値ΔP、ΔPの過程で定数m、mも求まっている。このため、第1および第2クランク角期間中の熱発生量Qの値の算出のために、絶対圧補正値ΔP、ΔPを筒内圧の検出値Pに加算して各計測点の補正後の筒内圧値を算出する必要はなく、これらのクランク角期間中の補正後の筒内圧値は、次の(16)式を利用して算出される値を代用することができる。(16)式は、断熱変化の式(PVκ=定数m)を変形して得られたものである。例えば、第1クランク角期間(断熱圧縮行程)中の補正後の筒内圧値であれば、(16)式中のmにmを代入することで、筒内容積Vと比熱比κとを用いて算出することができ、このことは第2クランク角期間(断熱膨張行程)についても同様である。この手法で算出される筒内圧値を用いて算出される第1および第2クランク角期間中の熱発生量Qの波形は、図3(C)に示すようにそれぞれ一定値となる。
Figure 2017206983
次に、上述の手法で平らにした後の熱発生量Qの波形におけるQ、Q、Qmaxの算出手法について説明する。まず、Qは初期値であるため、ゼロとすればよい。Q、Qmaxは、特定割合燃焼点CAxxの算出に用いられる値である。Qは、図3中に示す第1クランク角期間の終期bから第2クランク角期間の始期cまでの期間(便宜上、「第3クランク角期間」と称する)中のk番目の熱発生量Qの値であり、次の(17)式のように表すことができる。また、Qmaxは、(18)式のように表すことができる。なお、上述の手法で平らにした後の熱発生量Qの波形におけるQmaxは、一定値であり、断熱膨張行程の始期cでの筒内圧(上述の(16)式を用いて算出される筒内圧の値)を利用して算出することができる。
Figure 2017206983

Figure 2017206983
ここで、上述の(11)、(12)式から、ΔPθ、ΔPm、m、PおよびPを次の(19)〜(23)式のようにそれぞれ表現でき、QおよびQmaxは、筒内圧Pの線形結合として表現できる。このため、QおよびQmaxについての各計測点の係数をそれぞれfqkおよびfqmxとすると、(17)、(18)式は、次の(24)、(25)式のように表現することができる。なお、添え字0、b、c、dが付された記号は、それぞれ図3中に示すクランク角度a〜dの値であることを示している。
Figure 2017206983

Figure 2017206983

Figure 2017206983
本実施形態では、特定割合燃焼点CAxxの算出には、上述の手法で平らにした後の熱発生量Qの波形が利用される。この波形を利用する場合には、CAxxは図3中の第3クランク角期間(b−c)に存在するはずである。このため、本実施形態では、CAxxは、(18)式((25)式)に基づくQmaxと(17)式((24)式)に基づくQとを利用して算出される。すなわち、第3クランク角期間(b−c)だけに着目してCAxxが算出されるようになる。これにより、図2(F)を参照して説明したような要因で明らかに燃焼期間から外れたクランク角度がCAxxとして算出されにくくすることができる。ここで、上述の手法で平らにすることで熱発生量Qの波形を歪ませたことで熱発生量最大値Qmaxは真値からずれることになるが、CAxxの算出の過程で正規化されるため、このずれのCAxxへの影響は小さくなる。
また、エンジン制御では、特定割合燃焼点CAxxという態様ではなく、筒内の熱発生量最大値Qmaxそのものが必要とされる場合がある。上述のように、歪ませた後の熱発生量最大値Qmaxには、真値からの誤差が生じる。そこで、本実施形態では、熱発生量最大値Qmaxそのものが必要とされる場合のためのQmaxの値は、(18)式((25)式)に基づくQmaxの値に対して、次の(26)式を用いて算出される補正項ΔQを加算した値として算出される。すなわち、(26)式に示すように、補正項ΔQは、ΔPとΔPとの差(すなわち、波形を歪ませるためのずらし量)に所定の定数Kを乗じて得られる値とされる。そして、この補正項ΔQは、熱発生量Qの波形を歪ませたことによる仕事の変化量ΔWと内部エネルギの変化量ΔUとの和として考えることができ、ΔWおよびΔUは、それぞれ次の(27)および(28)式のように表すことができる。そして、(27)および(28)式からそれぞれ求めることができる定数KとKとの和が補正項ΔQの定数Kとして算出される。
Figure 2017206983
(CAxxおよびQmaxの算出手順)
図4は、本発明の実施の形態1におけるCAxxおよびQmaxの算出手順を表したフローチャートである。なお、このフローチャートに従う処理は、燃焼サイクル毎に繰り返し実行される。
図4に示すように、ECU40は、まず、筒内圧センサ30とクランク角センサ42とを用いて、クランク角度同期の筒内圧波形(筒内圧データ)を取得する(ステップ100)。次に、ECU40は、取得した筒内圧波形と上述の(10)〜(15)式とを利用して、断熱圧縮行程および断熱膨張行程における熱発生量Qの値を平らにするための絶対圧補正値ΔP、ΔPと、定数m、mとを算出する(ステップ102)。
次に、ECU40は、特定割合燃焼点CAxxの算出に用いるQmaxおよびQをそれぞれ(17)および(18)式に従って算出する(ステップ104)。ステップ102にて算出された絶対圧補正値ΔP、ΔPは、本ステップ104でのQmaxおよびQの算出、ならびに後述のステップ108における補正項ΔWの算出のために使用される。また、ステップ102にて算出された定数m、mは、QmaxおよびQの算出のために使用される断熱圧縮行程(第1クランク角期間(a−b))および断熱膨張行程(第2クランク角期間(c−d))中の筒内圧を(16)式を用いて算出するために使用される。なお、断熱圧縮行程中のQはゼロとされる。
次に、ECU40は、ステップ104にて算出したQmaxとQとを用いて、エンジン制御で必要とされる特定割合燃焼点CAxx(例えば、CA50、CA10およびCA90)を上述の(3)式を用いて算出する(ステップ106)。なお、Qは(3)式中のQ(θ)の項に代入される。また、Qは上述のようにゼロである。
次に、ECU40は、補正項ΔQを(26)〜(28)式を用いて算出する(ステップ108)。そのうえで、本ステップ108では、ステップ104にて算出されたQmaxに補正項ΔQを加算することでQmaxが補正される。この補正後のQmaxが、Qmaxそのものがエンジン制御に必要とされる場合の値として使用される。
以上説明したように、本実施形態によれば、断熱圧縮行程(第1クランク角期間)と、断熱膨張行程(第2クランク角期間)のそれぞれにおいて熱発生量Qの波形が平らになるようにそれぞれの絶対圧補正値ΔP、ΔPが決定される。そして、決定された絶対圧補正値ΔP、ΔPが反映された筒内圧波形に基づく熱発生量Qの波形を利用して特定割合燃焼点CAxxが算出される。これにより、算出値が不定となるようなCAxxの過大なずれを抑制できるようになる。また、熱発生量最大値Qmaxに過大なずれが生じるのを抑制することができる。以上のように、上述の図2(A)〜(H)を参照して説明した課題に適切に対処できるようになる。
実施の形態2.
次に、図5および図6を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。以下の説明では、実施の形態1のシステム構成の一例として、図1に示す構成が用いられているものとする。
図5は、本発明の実施の形態2の対策に用いられる特徴的な手法を説明するための図である。上述した実施の形態1においては、断熱圧縮行程(第1クランク角期間)と、断熱膨張行程(第2クランク角期間)のそれぞれにおいて熱発生量Qの波形が平らになるようにそれぞれの絶対圧補正値ΔP、ΔPを計算している。これに対し、本実施形態では、断熱圧縮行程(第1クランク角期間)と、断熱膨張行程(第2クランク角期間)のそれぞれにおいて熱発生量Qの波形が平らになるようにそれぞれの比熱比κ、κを計算することとした。このように、本実施形態では、比熱比κ、κを利用して熱発生量Qの波形を歪ませることとした。
より具体的には、本実施形態では、筒内圧センサ30の検出値の絶対圧補正を行ったうえで比熱比κ、κが算出される。そのために、断熱変化の式(PVκ=定数m)を変形して得られる次の(29)式が利用される。定数log(m)と比熱比κとを未知数として(29)式に最小2乗法を適用することで、定数log(m)および比熱比κをそれぞれ(30)および(31)式のように表すことができる。この演算処理は、絶対圧補正値ΔPに代えて比熱比κに着目して行っているが、その基本的な考え方は、実施の形態1の(10)式と(11)、(12)式との関係と同様である。
Figure 2017206983

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ただし、(30)式中の係数fκは(32)式のように表され、(31)式中の係数gκは(33)式のように表される。また、(32)および(33)式中の記号wは重みである。筒内圧センサ30の各検出値に対するノイズの影響はクランク角度によって異なる。このため、(30)、(31)式のように最小2乗法を解く際には、この影響を考慮するための重み付けを最小2乗法に組み込むことが好ましい。この重みづけは、(34)〜(36)式のように表現できる。ここで、断熱膨張行程(第2クランク角期間)の終期dでのPVκをP κとしてノイズ影響が平滑化されるように重みwを計算したとき、重みwは(37)式のように表すことができる。
以上の手法によれば、断熱圧縮行程中の筒内圧の多数の計測点を用いて(30)式で表される比熱比κと(31)式で表される定数m(PVκの平均値に相当)とを算出することができ、同様に、断熱膨張行程についても、比熱比κと定数mとを算出することができる。図5(B)には、このようにして算出された比熱比κ、κが表されている。第1クランク角期間の終期bから第2クランク角期間の始期cとの間の比熱比κは、図5(B)に示すように直線で繋ぐことにより線形補完すればよい。
上述の手法で図5(B)に示すように算出された比熱比κと、クランク角度a〜クランク角度d中の各計測点についての絶対圧補正後の筒内圧とを利用して熱発生量Qの波形が算出される。また、熱発生量Qの波形を算出するために用いられる、第1クランク角期間(断熱圧縮行程)および第2クランク角期間(断熱膨張行程)中の筒内圧の値は、実施の形態1で(16)式を利用したのと同じ考え方により、次の(38)、(39)式により算出される筒内圧の値を代用することができる。より具体的には、断熱圧縮行程中の筒内圧Pを(38)式を用いて算出でき、断熱膨張行程中の筒内圧Pを(39)式を用いて算出できる。これにより、第1クランク角期間(断熱圧縮行程)および第2クランク角期間(断熱膨張行程)中の熱発生量Qを一定にすることができる。
Figure 2017206983
(CAxxの算出手順)
図6は、本発明の実施の形態2におけるCAxxおよびQmaxの算出手順を表したフローチャートである。図6に示すように、ECU40は、まず、ステップ100においてクランク角度同期の筒内圧波形(筒内圧データ)を取得したうえで、取得した筒内圧波形に対して絶対圧補正を実行する(ステップ200)。本ステップ200における絶対圧補正の手法は、実施の形態1とは異なり、特に限定されず、例えば、実施の形態1において(4)、(5)式を参照して説明した公知の手法を用いることができる。また、このような手法に代え、例えば、吸気行程中の筒内圧センサ30の検出値が吸気マニホールド圧と等しくなるように検出値を補正するものであってもよい。また、例えば、排気行程中の筒内圧センサ30の検出値が排気マニホールド圧と等しくなるように検出値を補正するものであってもよい。
次に、ECU40は、取得した絶対圧補正後の筒内圧波形と上述の(29)〜(37)式とを利用して、断熱圧縮行程および断熱膨張行程における熱発生量Qの値を平らにするための比熱比κ、κと、定数m、mとを算出する(ステップ202)。
次に、ECU40は、特定割合燃焼点CAxxの算出に用いるQmaxおよびQをそれぞれ(17)および(18)式に従って算出する(ステップ204)。本ステップ204の算出処理は、絶対圧補正値ΔP、ΔPに代え、ステップ200の絶対圧補正において算出される絶対圧補正値ΔPを利用するという点において実施の形態1のステップ104の算出処理と相違している。また、ステップ202にて算出された定数m、mは、QmaxおよびQの算出のために使用される断熱圧縮行程(第1クランク角期間(a−b))および断熱膨張行程(第2クランク角期間(c−d))中の筒内圧を(38)および(39)式を用いてそれぞれ算出するために使用される。
次に、ECU40は、ステップ204にて算出したQmaxとQとを用いて、エンジン制御で必要とされる特定割合燃焼点CAxx(例えば、CA50、CA10およびCA90)を実施の形態1のステップ106と同様に算出する(ステップ206)。
以上説明したように、本実施形態によれば、断熱圧縮行程(第1クランク角期間)と、断熱膨張行程(第2クランク角期間)のそれぞれにおいて熱発生量Qの波形が平らになるようにそれぞれの比熱比κ、κが決定される。そして、決定された比熱比κ、κが反映された筒内圧波形に基づく熱発生量Qの波形を利用して特定割合燃焼点CAxxが算出される。これにより、実施の形態1と同様に、上述の図2(A)〜(H)を参照して説明した課題に適切に対処できるようになる。
[追加の対策]
ところで、実施の形態1または2の説明した対策に、以下に説明する追加の対策1〜3を加えてもよい。
まず、図2(F)を参照して説明した課題に対して実施の形態1または2の対策を施すことは既述したように有効である。しかしながら、熱発生期間を含む第3クランク角期間(b−c)内で筒内圧センサ30により取得した筒内圧波形に歪みが生じている場合には、熱発生量Qの波形にもその歪みの影響が残る。その結果、上記課題(図2(F))が生じ、CA10等の特定割合燃焼点CAxxに誤差が生じ得る。そこで、このような課題への追加の対策1として、次のような処理を行ってもよい。
すなわち、燃焼重心点であるCA50付近の所定の第4クランク角期間の複数の熱発生量の値(上述のQ)を用いて、次の(40)式に従う熱発生量Qの波形の近似直線を求めるようにしてもよい。そして、実施の形態1または2において一定値(すなわち、QとQmax)となるように変形させた第1クランク角期間および第2クランク角期間の熱発生量Qのそれぞれの近似直線が、(40)式により得られた近似直線に交わるように延長してもよい。このようにして、2回の折れ線の近似直線からなる熱発生量Qの波形を取得し、これを特定燃焼割合点CAxxの算出のために利用してもよい。なお、(40)式の右辺の係数a、bは、例えば、最小2乗法で求めることができる。
Figure 2017206983
上述の追加の対策1を行った場合に、(40)式の近似直線の算出の基礎に用いる熱発生量Qの第4クランク角期間が適切でないと、熱発生による熱発生量Qの立ち上がりをこの近似直線によって正しく表現することが難しくなる。そこで、追加の対策1を基礎とする次の追加の対策2として、次のような処理を行うようにしてもよい。
すなわち、CA50付近の熱発生量Qのデータの重みwが相対的に高くなるように第3クランク角期間(b−c)内で重み付けを施しつつ、(40)式を用いて近似直線を求めるようにすればよい。このような重み付け最小2乗法を行う場合、(40)式の右辺の係数a、bは、次の(41)、(42)式のように、線形結合により表される。
Figure 2017206983

Figure 2017206983

Figure 2017206983
ただし、(41)式中の係数fLiは(43)式のように表され、(42)式中の係数gLiは(44)式のように表される。また、(43)および(44)式中の変数detは(45)式のように表される。
上述の追加の対策2は、具体的には、以下のいくつかの手法によって実施すればよい。すなわち、例えば、(40)式を用いて近似直線よりも先に、筒内圧センサ30により計測された筒内圧波形から取得した熱発生量Qの波形を直接的に用いてCA50を算出する。そのうえで、算出されたCA50の周辺の熱発生量Qのデータの重みwが高くなるように上述の重み付けを施しつつ(40)式を用いて近似直線を算出するようにする。
また、例えば、上記のように最初にCA50を求めて重みwを高くするクランク角位置を決めるのではなく、重みwを高くするクランク角位置を予め決定しておく以下の手法を用いてもよい。重みwを高くするクランク角位置を予め決定しておく手法としては、例えば、以下の手法1〜3が考えられる。
手法1は、重みwの中心となるクランク角位置(最も重みwが高い点)を複数点p〜pだけ予め設定しておく。そのうえで、これらの複数点p〜pのそれぞれの設定での重み付けを伴う近似直線をそれぞれ算出する。そして、それぞれの近似直線と、実施の形態1または2の手法で算出されるQmaxとを用いて、CA50をそれぞれ算出する。そして、算出された複数のCA50の中で、CA50が対応する点Pに最も近くなる設定を最終的に採用し、この設定のCA50を最終的なCA50として選択する。
手法2は、手法1を基礎とする手法である。ここで、手法1を実施した結果としてCA50とこれに対応する点Pとが最も近くなる設定が見つかった場合、重み付けの中心点Pとしてより好ましい点は、見つかった設定のCA50を間に介して点Pの隣にある点Pi+1またはPi−1と、点Pとの間にあると考えることができる。そこで、手法2では、次のような手法を用いて、間にある点を中心として重み付けを行ったときに得られるであろう近似直線の係数a、bを、次のように算出する。
ここでは、具体例を挙げて手法2を説明する。すなわち、点Pを重み付けの中心とする近似直線を利用して求めたCA50が5(°CA)であり、同様に、点Pを中心として求めたCA50が10(°CA)であり、点Pを中心として求めたCA50が15(°CA)であったとき、点PとCA50との組み合わせが最も近くなる設定であって、CA50の値が12(°CA)であったとする。手法2によれば、この場合には、点Pと点Pとの間に好ましい点Pがあるといえる。そして、手法2では、次の(46)、(47)式に示すように、CA50に対する点Pと点Pのそれぞれの距離の近さでの重み付けを施しつつ、点Pの係数aq2、bq2と点Pの係数aq3、bq3とを用いて係数a、bが算出される。
Figure 2017206983
ここで、重み付け最小2乗法を用いる近似直線の式は、上述のように線形結合で表される。このため、線形結合で表される近似直線の式を2つ足し合わせても線形性が維持される。したがって、手法2によって点P、Pに対応する2つの近似直線のそれぞれの係数aq2、bq2とaq3、bq3を(46)、(47)式のように足し合わせて得られる係数a、bにより表される近似直線は、点Pと点Pとの間に位置するCA50を中心とする重み付けを施しつつ算出される近似直線と等価であると考えることができる。このため、手法2によれば、手法1と比べてより適切に重みwの設定範囲を決定できるようになる。
手法3は、CA50の所定の制御目標値(エンジンの諸元により定める適切なCA50の最適値)を中心として重みwを設定するというものである。
次に、追加の対策3について説明する。燃焼状態量の算出の基礎となる筒内圧波形もしくはこれに基づく熱発生量Qの波形として、複数の燃焼サイクルのこれらの波形の平均波形(もしくは、なまし処理を施した後のなまし波形)を用いることができれば、燃焼状態量の誤差や過大なずれを抑制することができる。しかしながら、そのためには、各計測点でのPやQのデータをすべて平均化等することが必要となり、計算負荷が高くなる。ここで、既述したように、実施の形態1および2の対策では、筒内圧Pから熱発生量Qを求める式は、(24)、(25)式のように線形結合で表されている。また、平均化処理やなまし処理などのフィルタ処理も線形変換である。したがって、計算の順序を逆としても(すなわち、平均波形を算出してから燃焼状態量を算出するのではなく、各燃焼サイクルの燃焼状態量を算出してから複数の燃焼サイクルの燃焼状態量の値を平均化等することとしても)、問題は生じない。そこで、追加の対策3では、燃焼サイクル毎に、筒内圧センサ30の検出値に基づく筒内圧波形が取得され、取得された筒内圧波形に基づいて実施の形態1または2の対策を伴って熱発生量Qの波形が算出され、算出された熱発生量Qの波形から特定割合燃焼点CAxxが算出される。そのうえで、複数の燃焼サイクルの特定割合燃焼点CAxxの算出値に対して平均化処理もしくはなまし処理が実行される。このように計算順序を変更することで、特定燃焼割合点CAxxの算出精度に悪影響を与えることなく、平均化もしくはなまし等のフィルタ処理の対象となるデータ数を少なくすることができ、ECU40の計算負荷を下げることができる。
10 内燃機関
12 ピストン
14 燃焼室
16 吸気通路
18 排気通路
20 吸気弁
22 排気弁
24 スロットルバルブ
26 燃料噴射弁
28 点火プラグ
30 筒内圧センサ
40 電子制御ユニット(ECU)
42 クランク角センサ
44 エアフローセンサ

Claims (1)

  1. 筒内圧を検出する筒内圧センサと、クランク角を検出するクランク角センサとを備え、前記筒内圧センサの検出値に基づくエンジン制御が実施される内燃機関を制御する制御装置であって、
    前記筒内圧センサの検出値の絶対圧補正を実行する絶対圧補正手段と、
    前記筒内圧センサの検出値に基づいて、断熱圧縮行程内かつ点火時期を終期とする第1クランク角期間中の第1熱発生量を算出する第1熱発生量算出手段と、
    前記筒内圧センサの検出値に基づいて、断熱膨張行程内かつ燃焼が完了している燃焼完了時期を始期とする第2クランク角期間中の第2熱発生量を算出する第2熱発生量算出手段と、
    を備え、
    前記第1熱発生量算出手段は、前記第1熱発生量が一定値に近づくように第1絶対圧補正値もしくは第1比熱比を決定し、決定した前記第1絶対圧補正値もしくは前記第1比熱比に基づいて前記第1熱発生量を算出し、
    前記第2熱発生量算出手段は、前記第2熱発生量が一定値に近づくように第2絶対圧補正値もしくは第2比熱比を決定し、決定した前記第2絶対圧補正値もしくは前記第2比熱比に基づいて前記第2熱発生量を算出することを特徴とする内燃機関の制御装置。
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