JP2017197816A - 冷間加工性と冷間加工後の硬さに優れる熱延鋼板 - Google Patents

冷間加工性と冷間加工後の硬さに優れる熱延鋼板 Download PDF

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琢哉 高知
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Abstract

【課題】熱延鋼板に対して冷間加工を施し、自動車用部品等の部品を製造するにあたり、冷間加工中は良好な冷間加工性を示し、かつ冷間加工後は所定の表面硬さを達成できる熱延鋼板を提供する。
【解決手段】成分組成が、質量%で、C:0%超0.40%以下、Si:0%超0.5%以下、Mn:0.20〜1%、P:0%超0.05%以下、S:0%超0.05%以下、Al:0%超0.01%未満、およびN:0.008〜0.025%を満たし、残部は鉄および不可避的不純物であり、更に、前記Alと前記Nの質量比であるAl/Nが0.4以下、および固溶N:0.007%以上を満たし、かつ組織が、パーライトとベイナイトの合計:全組織に対する面積率で15%以下であって、残部がフェライトであり、前記フェライトの平均結晶粒径が3〜35μmの範囲であり、更に、板厚が3〜20mmであることを特徴とする冷間加工性と冷間加工後の硬さに優れる熱延鋼板。
【選択図】なし

Description

本発明は、冷間加工性と冷間加工後の硬さに優れる熱延鋼板に関する。詳細には、冷間加工中は良好な冷間加工性を示し、かつ加工後は一定以上の表面硬さを示す熱延鋼板に関する。以下、冷間加工中は良好な冷間加工性を示し、かつ冷間加工後は一定以上の表面硬さを示すことを「加工硬化特性に優れる」ということがある。
近年、環境保護の観点から、自動車の燃費向上を目的として、自動車用の各種部品、例えばギアなどのトランスミッション部品やケース等に用いられる鋼材の軽量化、言い換えれば鋼材の高強度化に対する要求が益々高まっている。このような高強度化の要請に応えるため、鋼材として、棒鋼を熱間鍛造した鋼材、即ち熱間鍛造材が一般に用いられてきた。しかし近年では、部品製造工程でのCO2排出量削減や製造コスト削減等の要望により、熱間鍛造の代わりに冷間鍛造でギヤなどの部品を製造することが求められている。
ところで、冷間鍛造等の冷間加工は、熱間加工や温間加工に比較して生産性が高く、しかも寸法精度および鋼材の歩留まりがともに良好な利点がある。一方、上記冷間加工で部品を製造する場合、次の様な問題点がある。即ち、冷間加工品の強度を期待される所定値以上とすべく、冷間加工に供する鋼材として、必然的に強度、すなわち変形抵抗の高い鋼材を用いる。しかし、使用する鋼材の変形抵抗が高くなると、冷間加工用金型の寿命短縮を招くばかりか、冷間加工時に割れが発生しやすいといった問題点がある。
このため従来は、強度の比較的低い鋼材を用いて冷間加工した後、焼入れ焼戻し等の熱処理を行うこと等により、一定以上の強度(硬さ)を確保していた。しかしながら、冷間鍛造後の熱処理は、部品寸法が必然的に変化するため、二次的に切削などの機械加工により修正する必要があり、生産性等の低下を招く。
よって、良好に冷間加工でき、かつ得られる冷間加工品の硬さ・強度が高く、上記熱処理やその後の加工を省略できることが望まれていた。
上記課題を解決すべく、例えば特許文献1には、低炭素鋼で固溶Cを利用して常温時効の進行を抑制し、歪時効による所定の時効硬化量を確保することで、歪時効特性に優れた冷間鍛造用線材・棒鋼が得られることが開示されている。しかしながら、この技術は、固溶C量のみによって歪時効を制御するものであり、十分な冷間加工性と、冷間加工後の所要の硬さ・強度を両立する鋼材を得ることは困難であった。
そこで、本出願人は、鋼材に含まれる固溶Cと固溶Nが変形抵抗と静的ひずみ時効に及ぼす影響の違いに着目し、種々検討した。その結果、特許文献2に示す通り、これらの固溶元素の量を適正に制御することで、冷間加工中は良好な冷間加工性を発揮しつつ、冷間加工(冷間鍛造)後は所定の表面硬さ・強度を示す機械構造用鋼材が得られることを知見した。この鋼材は、冷間加工性と加工後の高硬度化・高強度化の両立を実現したものであるが、この技術は線材・棒鋼に関するものである。線材・棒鋼から複雑な形状の部品を得るには、冷間加工に加えて切削する等が必要であり、製造コストが嵩みやすい。そこで、製造コストのさらなる低コスト化のため、従来の線材・棒鋼に替えて熱延鋼板を用い、例えば冷間加工により自動車用部品を作製することも検討されている。
熱延鋼板に対して冷間加工を施し、部品を製造する技術として、例えば特許文献3が挙げられる。この特許文献3では、熱延鋼板に対して冷間加工を施した後、更に窒化処理を施すことで、高い表面硬度および十分な硬化深さが得られる旨示されている。しかしこの技術は、上述の通り、冷間加工後さらに窒化処理を必要とするものであり、十分な低コスト化を実現できない。
また特許文献4には、精密打ち抜き加工面の寸法精度に優れ、かつ加工後の打ち抜き面の表面硬度が極めて高く、さらには耐赤スケール疵性にも優れた熱延鋼板として、C:0.10%以下、Si:0.01%未満、Mn:1.5%以下およびAl:0.20%以下を含有すると共に、(Ti+Nb)/2:0.05〜0.50%の範囲で含有し、S:0.005%以下、N:0.005%以下、O:0.004%以下をS,NおよびOの合計が0.0100%以下で含む組成とし、かつミクロ組織を95%以上の実質的フェライト単相組織とする熱延鋼板が提案されている。尚、この熱延鋼板は、後に説明する通り本発明とN量が明らかに異なっており、本発明と技術的思想をまったく異にするものである。
特開平10−306345号公報 特開2009−228125号公報 特開2007−162138号公報 特開2004−137607号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、熱延鋼板に対して冷間加工を施し、自動車用部品等の部品を製造するにあたり、冷間加工中は良好な冷間加工性を示し、かつ冷間加工後は所定の表面硬さを達成できる熱延鋼板を提供することにある。
上記課題を解決できた本発明の冷間加工性と冷間加工後の硬さに優れる熱延鋼板は、
成分組成が、質量%で、
C:0%超0.40%以下、
Si:0%超0.5%以下、
Mn:0.20〜1%、
P:0%超0.05%以下、
S:0%超0.05%以下、
Al:0%超0.01%未満、および
N:0.008〜0.025%を満たし、残部は鉄および不可避的不純物であり、更に、前記Alと前記Nの質量比であるAl/Nが0.4以下、および固溶N:0.007%以上を満たし、かつ
組織が、パーライトとベイナイトの合計:全組織に対する面積率で15%以下であって、残部がフェライトであり、前記フェライトの平均結晶粒径が3〜35μmの範囲であり、更に、板厚が3〜20mmであるところに特徴を有する。
前記成分組成は、さらに、質量%で、下記(I)〜(V)のうちの1以上を含んでいてもよい。
(I)Nb:0%超0.2%以下、およびV:0%超0.5%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種
(II)Ti:0%超0.2%以下、およびZr:0%超0.1%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種
(III)Cr:0%超2%以下、およびMo:0%超2%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種
(IV)Cu:0%超5%以下、Ni:0%超5%以下、およびCo:0%超5%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種
(V)Ca:0%超0.05%以下、REM:0%超0.05%以下、Mg:0%超0.02%以下、Li:0%超0.02%以下、Pb:0%超0.5%以下、およびBi:0%超0.5%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種
本発明の熱延鋼板は、所定の平均粒径を有するフェライト主体の組織とし、かつ特に、鋼中Al量を抑制すると共に該鋼中Al量と鋼中N量の質量比を制御し、固溶N量を確保している。この熱延鋼板を冷間加工に用いれば、変形抵抗が小さく、金型の寿命が延長されるとともに鋼板に割れが発生し難く、かつ一定以上の表面硬さを有する冷間加工部品を得ることができる。
図1は、実施例で用いた80トンプレス試験機の概略構成図である。
以下、本発明に係る熱延鋼板について詳細に説明する。本発明者らは、熱延鋼板に冷間加工を施して自動車用部品等の部品を作製するにあたり、該冷間加工中における変形抵抗が小さく、金型の寿命が延長されると共に鋼板に割れが発生し難く、かつ一定以上の表面硬さを有する部品を得ることを目的に、該冷間加工に供する熱延鋼板について鋭意研究を行った。その結果特に、熱延鋼板の組織を、所定の平均結晶粒径を有するフェライト主体の組織とし、更に、鋼中Al量を抑制すると共に、該鋼中Al量と鋼中N量が所定の関係を満たすようにして、一定以上の固溶N量を確保すればよいことを見出し、本発明を完成させた。以下では、本発明に係る熱延鋼板を「本発明鋼板」、または単に「鋼板」ということがある。
まず、本発明鋼板を特徴づける組織から説明する。
〔本発明鋼板の組織〕
本発明鋼板は、フェライトと;パーライトおよびベイナイトのうちの1以上と;の複相組織鋼、特には下記に詳述の通り、パーライトとベイナイトの合計が一定以下に抑えられたフェライト主体の組織であって、かつフェライト粒のサイズを特定範囲に制御した点に特徴がある。
[パーライトとベイナイトの合計:全組織に対する面積率で15%以下、残部はフェライト]
本発明鋼板の組織は、フェライトと、パーライトおよびベイナイトのうちの1以上との複相組織で構成される。特にはフェライト−パーライト複相組織鋼をベースとするものである。この複相組織のうち、パーライトやベイナイトが過剰に存在すると鋼板の成形性を劣化させるので、パーライトとベイナイトの合計は、面積率で15%以下、好ましくは14%以下、より好ましくは13%以下、更に好ましくは12%以下とする。残部はフェライトである。尚、本発明はパーライトとベイナイトの合計がゼロの場合、即ち、フェライト単相であって下記の不可避的な組織を含みうる場合がありうる。
本発明における「残部がフェライト」は、残留オーステナイトやマルテンサイト等の不可避的な組織を合計で5面積%以下含むことを許容するものである。該不可避的な組織は、好ましくは3面積%以下、最も好ましくは0面積%である。
[前記フェライトの平均結晶粒径:3〜35μmの範囲]
フェライトの平均結晶粒径は、鋼板の加工性を向上させるとともに、加工後の表面性状を良好なものとするため、3〜35μmの範囲とする。フェライト粒が細かくなりすぎると、変形抵抗が高くなりすぎるため、その平均結晶粒径は3μm以上、好ましくは4μm以上、さらに好ましくは5μm以上とする。一方、フェライト粒が粗大化しすぎると、冷間加工性が低下する。また冷間加工後の表面性状が劣化し、靱性や疲労特性も劣化する。よって、その平均結晶粒径は35μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは25μm以下とする。
本発明鋼板と、上記特許文献2に記載された熱間鍛造材とは、固溶N量を確保する点で共通するが、本発明鋼板は、Al含有量を十分に抑制すると共に、上述の通りフェライト粒を十分に微細化する点で上記特許文献2と異なっている。
上記各相の面積率と、フェライト平均結晶粒径は、それぞれ下記の方法で測定することができる。
(各相の面積率の測定方法)
パーライトとベイナイトの合計面積率は、次の様にして測定できる。即ち、各供試鋼板の板厚t/4部を観察できるように試料を採取してナイタール腐食し、走査型電子顕微鏡(SEM;倍率1000倍)により5視野(1視野のサイズは50μm×70μm)撮影する。そして、フェライト、パーライトおよびベイナイトの各比率を点算法で求めた後、パーライトとベイナイトの比率を合計することで求められる。
(フェライト平均結晶粒径の測定方法)
上記フェライトの平均結晶粒径は、以下のようにして測定することができる。即ち、最表層部、板厚1/4部、板厚中心部の3箇所にそれぞれ存在するフェライトの結晶粒径を測定する。各測定箇所において圧延方向と板厚方向からなる断面をナイタール腐食し、走査型電子顕微鏡(SEM;倍率1000倍)によって、各測定箇所につき任意の5視野(1視野のサイズは50μm×70μm)撮影し、画像解析によりフェライトの結晶粒の重心直径を求め、5視野×3箇所の合計15視野の平均結晶粒径を求めた。
次に、本発明鋼板を構成する成分組成について説明する。以下、化学成分の単位はすべて質量%である。
〔本発明鋼板の成分組成〕
[C:0%超0.40%以下]
Cは、鋼板の組織の形成に大きな影響を及ぼす元素である。本発明の熱延鋼板の組織は、前述の通り、フェライトと;パーライトやベイナイトと;の複相組織であるが、好ましくはパーライトやベイナイトの生成を抑えてフェライト主体組織とするため、このC量を制限する。またCを過剰に含有させると、鋼板組織中のパーライト分率が上昇し、パーライトの加工硬化によって変形抵抗が過大となるおそれがある。そこで、鋼板中のC含有量は、0.40%以下、好ましくは0.35%以下、さらに好ましくは0.30%以下とする。ただし、C含有量が少なすぎると、鋼の溶製中における脱酸が困難になるので、好ましくは0.0005%以上、より好ましくは0.0008%以上、更に好ましくは0.0010%以上とする。
[Si:0%超0.5%以下]
Siは、鋼中に固溶することによって鋼板の変形抵抗を増加させるため、極力低減すべき元素である。そのため鋼板中のSi含有量は、0.5%以下、好ましくは0.45%以下、より好ましくは0.40%以下、更に好ましくは0.30%以下とする。しかし、Si含有量が極端に少ないと、溶製中の脱酸が困難になるので、好ましくは0.005%以上、より好ましくは0.008%以上、更に好ましくは0.010%以上とする。
[Mn:0.20〜1%]
Mnは、製鋼過程において脱酸および脱硫の作用を有する元素である。また、Mnは加工性を低下させるSと結合して加工性を向上させ、割れを抑制する効果がある。本発明では、後記の通りN含有量を高めた場合に、加工中の発熱による動的ひずみ時効で割れが生じやすくなるが、上記Mnの加工性向上効果により、N量が高い場合でも加工性を確保できる。これらの効果を十分に発揮させるため、Mn含有量は0.20%以上、好ましくは0.22%以上、より好ましくは0.25%以上とする。一方、Mn含有量が過剰になると変形抵抗が過大となる。また、偏析による組織の不均一が生じることによって冷間加工性が劣化する。よってMn含有量は、1%以下、好ましくは0.98%以下、より好ましくは0.95%以下とする。
[P:0%超0.05%以下]
Pは鋼に不可避的に含有される不純物元素である。Pがフェライトに含まれると、フェライト粒界に偏析して冷間加工性を劣化させ、また、フェライトを固溶強化して変形抵抗の増大を招く。この様にP含有量は、冷間加工性の観点からは極力低減することが望ましいが、極端な低減は製鋼コストの増加を招くため、工程能力を考慮して、0.05%以下、好ましくは0.03%以下とする。
[S:0%超0.05%以下]
SもPと同様に不可避的不純物であり、FeSとして結晶粒界に膜状に析出し、加工性を劣化させる元素である。また、熱間脆性を引き起こす作用もある。そこで、変形能を向上させる観点から、本発明ではS含有量を0.05%以下、好ましくは0.03%以下とする。ただし、S含有量を0にすることは工業上困難である。なお、Sは被削性を向上させる効果を有するため、被削性向上の観点からは、好ましくは0.002%以上、より好ましくは0.006%以上含有させることが推奨される。
[Al:0%超0.01%未満]
Alは、製鋼過程において脱酸に有効な元素であるが、加熱、圧延、冷却工程の条件によってはAlNを形成し、加工硬化特性の発揮に必要な固溶N量の低減を招く。よって本発明では、鋼材中のAl含有量を抑える。これにより、上記工程の条件がAlNを形成しやすい好ましくない条件となった場合でも、必要な固溶N量を確保でき、安定した加工硬化特性を確保できる。この観点から、Al量を0.01%未満、好ましくは0.008%以下、より好ましくは0.005%以下とする。この様にAl量を抑えた場合、脱酸はSiやCaなど他の脱酸元素で代替することができる。
[N:0.008〜0.025%]
Nは、加工後の静的ひずみ時効によって所定の強度を得るために重要な元素である。そこで、鋼材中のN含有量は、0.008%以上、好ましくは0.0085%以上、さらに好ましくは0.0090%以上とする。本発明では、この様に所定の強度を得るべくNを積極的に用いる点で、Nは有害元素であるとして、N含有量を極力抑制している特許文献4とは技術的思想の全く異なるものである。
一方、N含有量が過剰になると、溶解鋳造時にブローホールが生成するとともに、静的ひずみ時効のほか、加工中の動的ひずみ時効の影響が顕著となり、変形抵抗が増加して不適であるので、N含有量は、0.025%以下、好ましくは0.023%以下、より好ましくは0.020%以下とする。
本発明鋼板の成分は上記の通りであり、残部は鉄および不可避的不純物である。また本発明鋼板は、前記Alと前記Nの質量比であるAl/Nと固溶N量が下記の範囲を満たすものである。
[前記Alと前記Nの質量比であるAl/Nが0.4以下]
鋼中Al量と鋼中N量の質量比であるAl/Nは、固溶N濃度に影響することに加え、この値が小さいほどNの活量が増加、即ち固溶Nとして十分に作用し、有効にNが歪時効に寄与する。その結果、冷間加工後に所要の強度を確保することができる。本発明者らが、後記する実施例に示す通り、所望の加工硬化特性を得るべく検討を行ったところ、上記Al/Nは0.4以下とする必要があることを見出した。上記Al/Nは、好ましくは0.36以下、より好ましくは0.33以下、更に好ましくは0.30以下、より更に好ましくは0.20以下である。次に述べる固溶N量も重要であるが、この比を満たした上で下記の固溶N量を確保すれば、ひずみ時効を有効に作用させることができる。尚、本発明で規定する成分組成や推奨される製造条件等を考慮すると、Al/Nの下限値は0.03程度となる。
[固溶N:0.007%以上]
本発明では、鋼板中に固溶Nを所定量確保することで、変形抵抗を極端に下げずに静的ひずみ時効を促進させて、冷間加工後に所要の強度を確保することができる。この効果を十分に発揮させるには、固溶N量が0.007%以上必要である。該固溶N量は、好ましくは0.0075%以上、より好ましくは0.0080%以上である。ただし、固溶N量が過剰になると、冷間加工性が劣化するため、好ましくは0.03%以下とする。なお、鋼材中のNの含有量は0.025%以下であるので、実質的に固溶N量は0.025%以上になることはない。
上記固溶N量は、JIS G1228に準拠して、鋼材中の全N量から全N化合物の量を差し引いて求められる量である。具体的に下記の通り測定することができる。
(a)不活性ガス融解法−熱伝導度法(全N量の測定)
供試材から切り出したサンプルをルツボに入れ、不活性ガス気流中で融解してNを抽出し、抽出物を熱伝導度セルに搬送して熱伝導度の変化を測定して全N量を求める。
(b)アンモニア蒸留分離インドフェノール青吸光光度法(全N化合物量の測定)
供試材から切り出したサンプルを、10%AA系電解液に溶解し、定電流電解を行って、鋼中の全N化合物量を測定する。用いる10%AA系電解液は、10%アセトン、10%塩化テトラメチルアンモニウム、残部メタノールからなる非水溶媒系の電解液であり、鋼表面に不働態皮膜を生成させない溶液である。
供試材のサンプル約0.5gを、この10%AA系電解液に溶解させ、生成する不溶解残渣(N化合物)を、穴サイズが0.1μmのポリカーボネート製のフィルタでろ過する。得られた不溶解残渣を、硫酸、硫酸カリウムおよび純銅製チップ中で加熱して分解し、分解物をろ液に合わせる。この溶液を、水酸化ナトリウムでアルカリ性にした後、水蒸気蒸留を行い、留出したアンモニアを希硫酸に吸収させる。さらに、フェノール、次亜塩素酸ナトリウムおよびペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウムを加えて青色錯体を生成させ、吸光光度計を用いて吸光度を測定して全N化合物量を求める。
そして、上記(a)の方法によって求められた全N量から、上記(b)の方法によって求められた全N化合物量を差し引いて固溶N量を求めることができる。
また、上記元素に加えて更に、下記に示すTi等の選択元素を適量含有させることにより冷間加工性をより高めたり、被削性を付与して切削加工する場合の工具寿命を高めることができる。以下、これらの元素について詳述する。
[Nb:0%超0.2%以下、およびV:0%超0.5%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種]
これらの元素は、炭化物または炭窒化物を形成し、析出強化を図るのに有用な元素である。また前記炭化物等により鋼の結晶粒を微細化させ、冷間加工により得られる加工品の靱性向上や耐割れ性の向上にも寄与する。この効果を発揮させるには、Nbの場合、0.03%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.05%以上である。またVの場合、0.05%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.10%以上である。しかしこれらの元素が過剰に含まれると、冷間加工性が劣化するといった不具合が生じるため、Nb量は、0.2%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.15%以下である。また、V量は、0.5%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.40%以下である。これらの元素は、単独で用いてもよいし2種を併用してもよい。
[Ti:0%超0.2%以下、およびZr:0%超0.1%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種]
これらの元素はNとの親和力が強く、Nと共存してN化合物を形成し、鋼の結晶粒を微細化させる元素である。この結晶粒の微細化によって、冷間加工により得られる加工品の靱性が向上し、また耐割れ性も向上する。この効果を発揮させるには、Tiの場合、0.001%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.0015%以上である。またZrの場合、0.0008%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.0010%以上である。しかしこれらの元素が過剰に含まれると、固溶Nを上述の通り一定量確保することが困難となる。よってTi量は0.2%以下とすることが好ましく、Zr量は0.1%以下とすることが好ましい。これらの元素は、単独で用いてもよいし2種を併用してもよい。
[Cr:0%超2%以下、およびMo:0%超2%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種]
CrとMoは、以下に示す通り、いずれも鋼の変形能を向上させる作用を有する。これらの元素は、単独で用いてもよいし2種を併用してもよい。まずCrは、結晶粒界の強度を高めることで鋼の変形能を向上させる作用を有する元素である。この作用を有効に発揮させるため、Crは0.2%以上含有させることが好ましい。しかしCrを過剰に含有させると、変形抵抗が増大し、冷間加工性が低下するおそれがあるため、その含有量は2%以下であることが好ましく、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1.0%以下である。
またMoは、加工後の鋼材の硬さおよび変形能を増加させる作用を有する元素である。この作用を有効に発揮させるには、Moは0.04%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.08%以上である。しかし、Moを過剰に含有させると冷間加工性が劣化するおそれがあるため、その含有量は2%以下であることが好ましく、より好ましくは1.5%以下、特に1.0%以下が推奨される。
[Cu:0%超5%以下、Ni:0%超5%以下、およびCo:0%超5%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種]
これらの元素は、鋼材を時効硬化させる作用があり、加工後の強度を向上させるのに有効な元素である。これらの元素は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。このような作用を有効に発揮させるには、いずれの元素も、含有量は0.1%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.3%以上である。しかし、これらの元素の含有量が過剰であると、鋼材を時効硬化させる効果、さらに、加工後強度を向上させる効果が飽和し、また、割れを促進させるおそれがあるため、それぞれ5%以下、さらには4%以下、特に3%以下が推奨される。
[Ca:0%超0.05%以下、REM:0%超0.05%以下、Mg:0%超0.02%以下、Li:0%超0.02%以下、Pb:0%超0.5%以下、およびBi:0%超0.5%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種]
これらの元素は、下記に示す通り被削性を高める元素である。これらの元素は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。まずCaは、MnSなどの硫黄化合物系介在物を球状化させ、鋼の変形能を高めるとともに、被削性の向上に寄与する元素である。また製鋼過程において脱酸に有効な元素でもある。これらの作用を有効に発揮させるため、Ca含有量は、0.0005%以上であることが好ましく、より好ましくは0.0010%以上である。しかしCaを過剰に含有しても、その効果は飽和して含有量に見合う効果を期待できないため、Ca量は、0.05%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.03%以下、更に好ましくは0.01%以下である。
REMは、Caと同様にMnSなどの硫黄化合物系介在物を球状化させ、鋼の変形能を高めるとともに、被削性の向上に寄与する元素である。このような作用を有効に発揮させるため、REM含有量は、0.0005%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.0010%以上である。しかし過剰に含有しても、その効果は飽和して含有量に見合う効果を期待できないため、REM含有量は、0.05%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.03%以下、更に好ましくは0.01%以下である。
なお、本発明において、REMとは、ランタノイド元素(LaからLnまでの15元素)およびSc(スカンジウム)とY(イットリウム)を含む意味である。これらの元素のなかでも、La、CeおよびYよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有することが好ましく、より好ましくはLaおよびCeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有するのがよい。
Mgは、Caと同様にMnSなどの硫黄化合物系介在物を球状化させ、鋼の変形能を高めるとともに、被削性の向上に寄与する元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Mg含有量は、0.0002%以上であることが好ましく、より好ましくは0.0005%以上である。しかし過剰に含有しても、その効果が飽和して含有量に見合う効果を期待できないため、Mg含有量は、0.02%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.015%以下、更に好ましくは0.010%以下である。
Liは、Caと同様にMnSなどの硫黄化合物系介在物を球状化させ、鋼の変形能を高めることができ、また、Al系酸化物を低融点化して無害化し、被削性の向上に寄与する元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Li含有量は、0.0002%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.0005%以上である。しかし過剰に含有しても、その効果が飽和して含有量に見合う効果を期待できないため、Li含有量は、0.02%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.015%以下、更に好ましくは0.01%以下である。
Pbは、被削性を向上させるために有効な元素である。このような作用を有効に発揮させるには、好ましくは0.005%以上、より好ましくは0.010%以上含有させることが好ましい。しかし過剰に含有させると、圧延疵の発生等の製造上の問題を生じるため、Pb含有量は0.5%以下であることが好ましく、より好ましくは0.4%以下、更に好ましくは0.3%以下である。
Biは、Pbと同様に被削性を向上させるために有効な元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Bi含有量は0.005%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.01%以上である。しかし、過剰に含有させても被削性向上の効果が飽和するため、Bi含有量は、0.5%以下であることが好ましく、より好ましくは0.4%以下、更に好ましくは0.3%以下である。
〔本発明鋼板の板厚:3〜20mm〕
本発明鋼板は、板厚が3〜20mmであることを前提とする。板厚が3mm未満では、構造体としての剛性を確保できなくなる。一方、板厚が20mmを超えると、本発明で規定する組織形態を達成することが難しく、所望の効果が得られなくなる。好ましい板厚は4〜18mmである。
次に、上記本発明鋼板を得るための好ましい製造方法について説明する。
〔本発明鋼板の好ましい製造方法〕
本発明鋼板の製造は、上記成分組成を有する原料鋼を所望の板厚に成形できる方法であれば、いずれの方法にしたがって行ってもよい。例えば、以下に示す条件にて、転炉で上記成分組成を有する溶鋼を調製し、これを造塊または連続鋳造によりスラブしてから所望板厚の熱延鋼板に圧延することによって行うことができる。
[溶鋼の調製]
溶鋼中のNの含有量については、転炉での溶製の際に、溶鋼にN化合物を含む原料を添加すること、および/または、転炉の雰囲気をN2雰囲気に制御することにより調整することができる。またOを低減するために、真空脱酸するか、Ca、REMなどの強い脱酸元素を適宜添加してもよい。
[加熱]
熱間圧延前の加熱は1100〜1300℃で行う。この加熱では、N化合物を存在させず極力多くのNを固溶させるため、高温とする必要がある。この観点から、加熱温度を1100℃以上、好ましくは1150℃以上とする。特にNbの炭窒化物を固溶させる場合には、1150℃以上の加熱が必要である。一方、1300℃を超える温度は操業上困難であるため、加熱温度の上限を1300℃とした。
[熱間圧延]
熱間圧延は、仕上げ圧延出側温度が880℃以上になるように行う。以下では、仕上げ圧延出側温度を「仕上げ圧延温度」ということがある。この仕上げ圧延温度を低温化しすぎると、AlNやNbNやVNが生成してNの固溶量を十分に確保できなくなる。上記仕上げ圧延出側温度は好ましくは885℃以上である。一方、仕上げ圧延温度の上限は、温度確保が難しいため1000℃とする。なお、該温度が高すぎると結晶粒径が粗大化しやすいといったデメリットも生じる。
[熱間圧延パススケジュール]
フェライト結晶粒を微細化し、その平均結晶粒径を所定の粒径範囲に制御するには、上記圧延温度の制御に加えて、仕上げ圧延の最終圧下率を15%以上とすることが必要である。通常、仕上げ圧延における最終圧下率は12〜13%程度までであるが、本発明では仕上げ圧延温度を比較的高くするため、結晶粒径の微細化を図るには上記最終圧下率を通常よりも高く設定する必要がある。この観点から、上記最終圧下率を、15%以上、好ましくは18%以上、より好ましくは20%以上とする。
[熱延後の冷却、巻取り]
上記仕上げ圧延終了後、5s以内に750℃まで20℃/s以上の平均冷却速度(第1冷却速度)で急冷し、その後は750℃から500℃までを1.5℃/s以上15℃/s以下の平均冷却速度(第2冷却速度)で冷却する。
上記仕上げ圧延終了後の750℃までの急冷は、オーステナイト粒径の粗大化を防止して最終的なフェライト粒径の粗大化を防ぐためである。上記第1冷却速度は、好ましくは25℃/s以上である。尚、上記第1冷却速度の上限は、例えば50℃/s程度である。尚、上記平均冷却速度での急冷開始温度は、ほぼ仕上げ圧延出側温度、即ち仕上げ圧延温度と同じである。
また、750℃から500℃までの冷却は、冷却中にAlN、NbN、VNが析出して固溶N量が減少するのを防ぐと共に、規定量のパーライトおよびベイナイトを含み、残部がフェライトである組織とするために重要である。ここで、第2冷却速度が15℃/sを超えると最終的に固溶C量が増えるか、ベイナイトが過剰に生成して冷間加工性が劣化する。よって上記第2冷却速度は15℃/s以下、好ましくは12℃/s以下、より好ましくは10℃/s以下とする。一方、上記第2冷却速度が1.5℃/sを下回ると、AlN、NbN、VNが析出して固溶N量が減少し、その結果、加工後硬さも不足しがちになる。よって上記第2冷却速度は1.5℃/s以上、好ましくは2.0℃/s以上、より好ましくは2.5℃/s以上である。
本発明の熱延鋼板は、上記500℃まで冷却後、巻き取って得られる。巻き取り後、必要に応じて焼鈍を行ってもよい。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
下記表1−1および表1−2に示す成分組成の鋼を真空溶解法により溶製し、厚さ120mmのインゴットに鋳造し、これを下記表2−1および表2−2に示す条件にて熱間圧延を施し熱延鋼板を作製した。
このようにして得られた熱延鋼板について、固溶N量、鋼板中組織の各相の面積率、および、フェライトの平均結晶粒径を、上記[発明を実施するための形態]で説明した各測定方法により求めた。また、冷間加工性と冷間加工後の硬さを、以下に示す通り評価した。
1.冷間加工性の評価
冷間加工性として、局部的に極めて高い変形ひずみを生じるような冷間加工における加工性、特には強冷間加工性を評価した。詳細には、試験片の表面部に導入される加工ひずみ量が真ひずみ換算で4以上となるような試験を行った。より詳細には、図1に概略構成を示す80トンプレス試験機にて、円柱状の試験片1およびくさび型の圧縮治具2Aとくさび型の固定治具2Bを用い、くさび型圧縮試験(圧縮速度1mm/秒で、試験片直径の80%圧下)を行った。上記図1において3は固定治具である。なお、試験片としては、上記熱延鋼板から、板厚が10mm以上の場合は直径10mmに、板厚が10mm未満の場合は板厚を直径とするように、円柱状に切り出したものを用いた。
なお、本圧縮試験に先立ち、鍛造解析ソフトウェア:FORGE(TRANSVALOR社製)を用いて、上記圧縮試験の80%圧下時における、試験片中の真ひずみ量の分布を計算することにより、試験片の表面部のうち、圧縮治具のR部で圧縮される部位の表面から深さ100μmの位置で真ひずみεが4以上となることを確認している。
上記くさび型圧縮試験後は、試験片の目視観察を行った。そして、以下の評価基準で冷間加工性を評価し、○の場合を合格、△と×の場合を不合格とした。また参考までに、加工後の表面性状についても評価した。
(冷間加工性の評価)
○:試験片に割れ発生せず
△:試験片の表面に微小割れ発生
×:試験片に割れ発生
(冷間加工後の表面性状の評価)
×:試験片の側面に肌荒れが発生
○:試験片の側面に肌荒れが発生せず
2.冷間加工後の硬さの評価
また、冷間加工後の硬さをビッカース硬さで評価した。詳細には、ビッカース硬さ試験機を用いて荷重:500g、測定回数:5回の条件で、上記くさび型圧縮試験後の試験片における、圧縮治具により圧縮された部位の表面中央部のビッカース硬さ(Hv)を測定した。そして、その平均を加工後硬さとし、250Hv超のものを合格とした。
これらの結果を下記の表3−1および表3−2に示す。
表1−1〜表3−2から次のことがわかる。以下のNo.は表2−1〜表3−2における鋼No.を示す。
No.1〜15は、本発明で規定する成分組成と鋼組織を満たしているので、冷間加工中は良好な冷間加工性を示し、かつ加工後は一定以上の表面硬さを示す。これに対してNo.16〜31は、成分組成と鋼組織の少なくともいずれかが本発明の規定を満たしていないため、優れた冷間加工性と冷間加工後の一定以上の表面硬さの少なくともいずれかを確保できなかった。詳細は次の通りである。
No.16〜25は、本発明で規定する成分組成を満たさなかった例である。このうちNo.16は、C含有量が過剰であるため、パーライトとベイナイトの合計量が過剰となり、冷間加工性に劣った。
No.17はSi含有量が過剰であるため、またNo.19はMn量が過剰であるため、いずれも冷間加工性に劣る結果となった。
No.18はMn含有量が不足し、Mnの加工性向上効果が十分に発揮されなかったため、冷間加工性に劣る結果となった。
No.20は、P含有量が過剰であるため、またNo.21はP含有量とS含有量が過剰であるため、いずれも冷間加工性に劣った。
No.22および25は、特にAl/Nの比が規定範囲を超えて、固溶N量が不足したため、加工後の表面硬さが不足した。
No.23は、Mn含有量が過剰であるため冷間加工性に劣り、またN含有量が不足しているために固溶N量も不足し、加工後の表面硬さが不足した。
No.24は、Mn含有量とN含有量が過剰であるため冷間加工性に劣った。
No.26〜31は、成分組成を満たしているが、推奨される条件で製造しなかったため、所望の特性が得られなかった例である。このうちNo.26は、熱間圧延における加熱温度が低すぎるために、固溶N量が不足し、その結果、加工後の表面硬さが不足した。
No.27は、熱間圧延における最終圧下率が不足しているために、フェライト結晶粒が粗大化し、その結果、冷間加工性に劣る結果となった。
No.28は、仕上げ圧延温度が低すぎたため、固溶N量を十分に確保できず、加工後の表面硬さが不足した。
No.29は、第1冷却速度が遅すぎるため、フェライト結晶粒が粗大化し、冷間加工性に劣る結果となった。
No.30は、第2冷却速度が遅すぎるため、固溶N量を十分に確保できず、加工後の表面硬さが不足した。
No.31は板厚が厚いために、本発明で推奨される条件で製造してもフェライト結晶粒が粗大となり、冷間加工性に劣る結果となった。
1 試験片
2A くさび型の圧縮治具
2B くさび型の固定治具
3 固定治具

Claims (6)

  1. 成分組成が、質量%で、
    C:0%超0.40%以下、
    Si:0%超0.5%以下、
    Mn:0.20〜1%、
    P:0%超0.05%以下、
    S:0%超0.05%以下、
    Al:0%超0.01%未満、および
    N:0.008〜0.025%を満たし、残部は鉄および不可避的不純物であり、更に、前記Alと前記Nの質量比であるAl/Nが0.4以下、および固溶N:0.007%以上を満たし、かつ
    組織が、パーライトとベイナイトの合計:全組織に対する面積率で15%以下であって、残部がフェライトであり、前記フェライトの平均結晶粒径が3〜35μmの範囲であり、更に、板厚が3〜20mmであることを特徴とする冷間加工性と冷間加工後の硬さに優れる熱延鋼板。
  2. 前記成分組成が、さらに、質量%で、
    Nb:0%超0.2%以下、およびV:0%超0.5%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものである請求項1に記載の熱延鋼板。
  3. 前記成分組成が、さらに、質量%で、
    Ti:0%超0.2%以下、およびZr:0%超0.1%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものである請求項1または2に記載の熱延鋼板。
  4. 前記成分組成が、さらに、質量%で、
    Cr:0%超2%以下、およびMo:0%超2%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の熱延鋼板。
  5. 前記成分組成が、さらに、質量%で、
    Cu:0%超5%以下、
    Ni:0%超5%以下、および
    Co:0%超5%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものである請求項1〜4のいずれかに記載の熱延鋼板。
  6. 前記成分組成が、さらに、質量%で、
    Ca:0%超0.05%以下、
    REM:0%超0.05%以下、
    Mg:0%超0.02%以下、
    Li:0%超0.02%以下、
    Pb:0%超0.5%以下、および
    Bi:0%超0.5%以下よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものである請求項1〜5のいずれかに記載の熱延鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108796381A (zh) * 2017-04-26 2018-11-13 宝山钢铁股份有限公司 一种罐用高轴向承载力及优良成形性的钢板及其制造方法

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