JP2017197484A - 脱ベンジル化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(1)
【化1】
(式中、R1は、ベンジルオキシ基を有する基であり、R2、R3、及びR4は、水素原子、又は二重結合と炭素原子で結合する有機基であり、但し、R2、R3、及びR4の少なくとも2つは該有機基であり、また、R2とR4、及びR3とR4とは、互いに結合して環を形成してもよく、該環は置換基を有していてもよい。)で表わされる有機化合物を、パラジウム触媒、窒素原子を1つ有するアミン存在下で水素と作用させることにより、保護基であるベンジル基を選択的に水素化することを特徴とする脱ベンジル化方法である。
【選択図】なし
Description
R1は、ベンジルオキシ基を有する基であり、
R2、R3、及びR4は、水素原子、又は二重結合と炭素原子で結合する有機基であり、但し、R2、R3、及びR4の少なくとも2つは該有機基であり、また、R2とR4、及びR3とR4とは、互いに結合して環を形成してもよく、該環は置換基を有していてもよい。)
で表わされる有機化合物を、パラジウム触媒、窒素原子を1つ有するアミン存在下で水素と作用させることにより、保護基であるベンジル基を選択的に水素化することを特徴とする脱ベンジル化方法である。
本発明においては、対象となる有機化合物が特定の構造を有するものでなければならない。具体的には、分子内に、ベンジルオキシ基、及び二重結合を有する有機化合物であり、二重結合に結合する基において、少なくとも2つが炭素原子で結合している有機基である有機化合物でなければならない。具体的には、下記一般式(1)
R1は、ベンジルオキシ基を有する基であり、
R2、R3、及びR4は、水素原子、又は二重結合と炭素原子で結合する有機基であり、但し、R2、R3、及びR4の少なくとも2つは該有機基であり、また、R2とR4、及びR3とR4とは、互いに結合して環を形成してもよく、該環は置換基を有していてもよい。)
で表わされる有機化合物でなければならない。
前記一般式(1)において、R1で示される基は、ベンジルオキシ基を有する基である。
前記一般式(1)において、R2、R3、及びR4で示される基は、水素原子、又は二重結合と炭素原子で結合する有機基である。ただし、R2、R3、及びR4の少なくとも2つは該有機基であるか、又は、R2とR4、及びR3とR4とは、互いに結合して環を形成してよい。
以上のような有機化合物の中でも、下記一般式(2)
R2、R3、及びR4は、前記一般式(1)と同義であり、
R5は、ベンジルオキシ基であり、
Z1は、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素環基、芳香族環基、又は複素環基であり、それぞれ環を形成する原子数が3〜14であり、該置換基が複数存在する場合には、隣接する置換基同士が結合して、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素環、芳香族環、又は複素環を形成してもよく、
Z2は、置換基を有していてもよいアルキレン基、脂肪族炭化水素環基、芳香族環基、又は複素環基であり、該アルキレン基は炭素数が1〜8であり、また、該環基はそれぞれ環を形成する原子数が3〜14であり、該置換基が複数存在する場合には、隣接する置換基同士が結合して、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素環、芳香族環、又は複素環を形成してもよく
lは、0〜3の整数であり、
mは、lが1以上の場合には、1以上、Z2の該環基を構成する炭素数、又はアルキレン基の炭素数の2倍に1を加えた数以下の整数であり、lが0の場合には、1以上、Z1の該環基を構成する炭素数の2倍に1を加えた数以下の整数である。)
で表わされる有機化合物であることが好ましい。このような有機化合物を対象とした場合には、より選択的に脱ベンジル化反応を行うことができる。加えて、中間体としての利用も広がる。
前記一般式(2)において、Z1は、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素環基、芳香族環基、又は複素環基であり、それぞれ環を形成する炭素数が3〜14であることが好ましい。前記の通り、Z1が該脂肪族炭化水素環基、芳香族環基、又は複素環基であることにより、有機化合物の立体構造が影響していると考えられるが、より選択的に脱ベンジル化を進めることができる。先ず、Z1の環基に置換する置換基について説明する。
Z1が有する置換基は、反応を阻害しない基であれば、特に制限されるものではない。具体的には、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜12の置換アミノ基、炭素数1〜10の環状アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルキルカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、炭素数7〜11のアラルキル基、炭素数7〜11のアラルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数4〜12の複素環基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数3〜8のシクロアルキルチオ基、炭素数6〜10のアリールチオ基、又は炭素数4〜12のヘテロアリールチオ基が挙げられる。(以下、まとめて第二置換基とする場合もある)。また、Z1における置換基が複数存在する場合には、隣接する置換基同士が結合して、脂肪族炭化水素環、芳香族環、又は複素環が縮環(結合)した構造をとってもよい。該脂肪族炭化水素環、芳香族環、又は複素環は、それらが縮環(結合)している原子を除いて、原子数が1〜8の環であることが好ましい。
脂肪族炭化水素環基としては、飽和炭化水素環基、又は不飽和脂肪族環基が挙げられる。
飽和炭化水素環基としては、環を形成する炭素数(原子数)が3〜14であることが好ましく、さらに、炭素数3〜8であることが好ましい。具体的には、好適な飽和炭化水素環基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
不飽和炭化水素環基としては、環を形成する炭素数(原子数)が3〜14であることが好ましく、さらに、炭素数3〜8であることが好ましい。具体的には、好適な不飽和炭化水素環基としては、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロへプテニル基、シクロオクテニル基等を挙げることができる。
芳香族環基としては、環を形成する炭素数(原子数)が3〜14であることが好ましく、5〜14であることがより好ましく、さらに、炭素数6〜10であることが好ましい。好適な芳香族環基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
複素環基としては、環を形成する原子数が3〜14であることが好ましく、4〜13であることがより好ましく、4〜9であることがさらに好ましい。炭素原子以外の原子は、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子が含まれることが好ましく、その含まれる数は1〜2であることが好ましい。好適な複素環基としては、具体的には、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基、ピロール基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ベンゾピロリル基等を挙げることができる。
前記一般式(2)において、Z2は、置換基を有していてもよいアルキレン基、脂肪族炭化水素環基、芳香族環基又は複素環基である。該アルキレン基は炭素数が1〜8であり、また、その他の環基は、それぞれ環を形成する原子数が3〜14であることが好ましい。なお、該環基(脂肪族炭化水素環基、芳香族環基又は複素環基)において、置換基が複数存在する場合には、隣接する置換基同士が結合して、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素環、芳香族環、又は複素環が縮環(結合)してもよい。
アルキレン基としては、特に限定されないが、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましい。好適なアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基を挙げることができる。前記アルキレン基が有する置換基としては、前記第二置換基であることが好ましく、特に前記好適な第二置換基であることが好ましい。
Z2における脂肪族炭化水素環基、芳香族環基又は複素環基は、最終的に得られる化合物の構造に応じて適宜決定すればよいが、前記Z1で説明したものと同じ基であることが好ましく、好適な基についても、前記Z1で説明したものと同じ基であることが好ましい。
前記一般式(2)において、R5はベンジルオキシ基である。なお、mは、R5(ベンジルオキシ基)の数を示すものであり、lが1以上の場合には、1以上Z2の該環基を構成する炭素数、又はアルキレン基の炭素数の2倍に1を加えた数以下の整数であり、lが0の場合には、1以上Z1の該環基を構成する炭素数の2倍に1を加えた数以下の整数である。中でも、mは、1〜3であることが好ましい。
Z1が、置換基を有してよい芳香族環基であり、該芳香族環基を形成する環の原子数が5〜14であり、
R2とR4とが互いに結合して環を形成し、R2とR4とが結合する二重結合の炭素原子を含む該環の原子数が4〜20であり、該環は置換基を有していてもよく、
R3は、水素原子である有機化合物であることが、選択的に脱ベンジル化を進めるという点で好ましい。
以上のような有機化合物の中でも、前記一般式(2)で示される有機化合物が、下記一般式(3)
R2、R3、及びR4は、前記一般式(1)におけるものと同義であり、
R5は、前記一般式(2)におけるものと同義であり、
R6、及びR7は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜12の置換アミノ基、炭素数1〜10の環状アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルキルカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、炭素数7〜11のアラルキル基、炭素数7〜11のアラルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数4〜12の複素環基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数3〜8のシクロアルキルチオ基、炭素数6〜10のアリールチオ基、又は炭素数4〜12のヘテロアリールチオ基あるか(前記第二置換基であるか)、
R6、及びR7が複数存在する場合、隣接するR6、又はR7同士が結合して環を形成してもよく、該環を形成する場合、R6、又はR7が結合する炭素原子を除く該環の原子数は1〜20であり、該環は置換基を有してもよく、
nは、1〜5の整数であり、oは、0〜4の整数であり、pは、0〜5の整数である。)で示されることが好ましい。なお、式中R2、R3、R2、R4、及びR5は、前記一般式(1)および(2)で説明した基と同義であり、好ましい基も同じである。
本発明においては、前記有機化合物と水素とを、パラジウム触媒、及び特定のアミン(窒素原子を1つ有するアミン)の存在下で反応させ、選択的に脱ベンジル化を行う反応である。脱ベンジル化を行うには、水素存在下で前記有機化合物をパラジウム触媒、窒素原子を1つ有するアミンを混合してやればよい。
本発明においては、水素は市販の水素ガスをそのまま用いてもよいし、ギ酸アンモニウムのようにパラジウム触媒存在下で分解して水素を生成する化合物を用いてもよい。また、水素の使用量は、前記有機化合物中のベンジルオキシ基の1モルに対して1.0モル以上であればよい。工業的な生産を考慮すると、水素の使用量の上限は、5モルであることが好ましい。特に水素ガスを使用する場合には、モル数を制御することは難しいが、本発明によれば、過剰の水素ガス雰囲気下であっても、選択的に脱ベンジル化を促進することができる。
本発明においては、水素化触媒としてパラジウム触媒を用いる。パラジウム触媒としては、公知の化合物を使用することができる。中でも、反応時間の短縮、収率、操作性を考慮すると、カーボン、グラファイト、アルミナ、硫酸バリウム、シリカ、又は炭酸カルシウムに担持されたパラジウム、酢酸パラジウム、水酸化パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等が好適である。中でも、カーボン、アルミナ又はシリカに担持されたパラジウムが特に好ましい。
本発明においては、窒素原子を1つ有するアミンを用いることが選択的に脱ベンジル化反応を行ううえで重要である。詳細は明らかではないが、選択性出現は、パラジウム触媒と窒素原子を1つ有するアミンが錯体を形成しているためと考えられる。また、一般的にアミンはパラジウム触媒の触媒毒として働くが、発明者らが鋭意検討した結果、驚くべきことに本発明では、脱ベンジル化反応が加速されることがわかった。詳細は明らかでないが、窒素原子を1つ有するアミンがパラジウム触媒にリガンド様に作用し、パラジウムの電子密度を向上させた結果であると考えられる。このようにパラジウムの活性を調節することができるため、スケールアップ等の条件変更を行っても、パラジウムの活性が一定になり易いと考えられる。そのため、スケールが変わっても、収率等にばらつきがなく、安定して脱ベンジル化の反応を進行できるものと考えられる。
本発明においては、前記有機化合物を、パラジウム触媒、窒素原子を1つ有するアミン存在下で水素と作用させることで反応させる。この際、各成分が十分接触できるように混合してやればよい。これら成分を混合する方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、前記有機化合物、パラジウム触媒、窒素原子を1つ有するアミン、反応溶媒の全てを反応容器に仕込んでから反応容器内を水素ガスで置換し、撹拌混合する方法が挙げられる。また、前記有機化合物、パラジウム触媒、窒素原子を1つ有するアミン、ギ酸アンモニウムのようなパラジウム触媒と反応して水素を発生させる化合物、及び反応溶媒の全てを反応容器内に仕込んでから撹拌混合する方法が挙げられる。さらには、パラジウム触媒、窒素原子を1つ有するアミン、ギ酸アンモニウムのようなパラジウム触媒と反応して水素を発生させる化合物、及び反応溶媒の混合溶液に前記有機化合物(反応溶媒に溶解したものでもよい)を加えて撹拌混合する等の方法が挙げられる。
前記の通り、本発明において、選択的に脱ベンジル化反応を行う場合には、反応溶媒を使用することが好ましい。反応溶媒は、脱ベンジル化の反応を阻害しないものであって、有機化合物、窒素原子を1つ有するアミンを溶解するものを使用することが好ましい。好ましい反応溶媒を例示すれば、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、プロパノール、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。
本発明において、反応温度は、前記有機化合物の溶解性、反応溶媒の融点、沸点、前記窒素原子を1つ有するアミンの沸点、反応時間、反応選択性等を考慮して適宜決定してやればよい。反応温度を低温とすると、一般的に反応選択性は向上するが反応時間が長くなる傾向にある。一方、反応温度を高温とすると、一般的に反応時間は短くなるが反応選択性は低くなる傾向にある。そのため、反応温度は、好ましくは−30℃以上50℃以下であり、さらに好ましくは−15℃以上30℃以下であり、特に好ましくは0℃以上30℃以下である。
本発明において、反応時間は前記有機化合物の転換率を確認して適宜決定すればよい。ただし、前記の反応条件であれば、反応時間は、好ましくは0.1〜48時間、より好ましくは0.1〜24時間、特に好ましくは0.1〜10時間である。なお、この反応時間は、前記有機化合物を、パラジウム触媒、窒素原子を1つ有するアミン、および水素存在下、設定した反応温度において混合する時間を指すものである。
反応終了後は、以下の方法により脱ベンジル化された化合物を単離してやればよい。具体的には、分液操作、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により、脱ベンジル化された二重結合を有する有機化合物を純度99%以上で単離することができる。
容量10Lのゴム風船を結合した1L四つ口ガラスフラスコに、国際公開2015/002038号パンフレットの実施例3に記載の方法で得られた下記式(4)
前記式(4)で示される有機化合物の質量を100.0g(223.0mmol)にスケールアップした以外は、実施例1と同様に反応を行った。反応液を精製したところ、脱ベンジル化された二重結合を有する化合物74.6g(208.3mmol)を白色固体として得た。収率は93%、反応後の選択率は94.9%であった。
実施例1の水素ガスでの置換の替わりにギ酸アンモニウム2.11g(33.45mmol、パラジウム触媒と反応することで、前記式(4)で示される有機化合物の1.5モル倍量の水素が生成される)を加え、反応時間を4時間とした以外は実施例1と同様に反応を行った。反応液を精製したところ、脱ベンジル化された二重結合を有する有機化合物7.42g(20.72mmol)を白色固体として得た。収率は93%、反応後の選択率は94.6%であった。
前記式(4)で示される有機化合物の質量を100.0g(223.0mmol)にスケールアップした以外は、実施例3と同様に反応を行った。反応液を精製したところ、脱ベンジル化された二重結合を有する化合物74.7g(208.6mmol)を白色固体として得た。収率は93%、反応後の選択率は95.1%であった
実施例5
実施例1のピリジンをプロピルアミンに替えた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液を精製したところ、脱ベンジル化された二重結合を有する有機化合物7.27g(20.30mmol)を白色固体として得た。収率は89%、反応後の選択率は90.6%であった。
実施例1のピリジンをジエチルアミンに替えた以外は実施例1と同様に反応を行った。
反応液を精製したところ、脱ベンジル化された二重結合を有する有機化合物6.95g(19.41mmol)を白色固体として得た。収率は87%、反応後の選択率は88.5%であった。
実施例1のピリジンを2−メチルピリジンに、反応時間を20時間に替えた以外は実施例1と同様に反応を行った。反応液を精製したところ、脱ベンジル化された二重結合を有する有機化合物6.87g(19.18mmol)を白色固体として得た。収率は86%、反応後の選択率は87.0%であった。
実施例1の反応温度を5℃に、反応時間を5時間替えた以外は実施例1と同様に反応を行った。反応液を精製したところ、脱ベンジル化された二重結合を有する有機化合物7.83g(21.86mmol)を白色固体として得た。収率は97%、反応後の選択率は98.5%であった。
前記式(4)で示される化合物の替わりに、国際公開2015/002038号パンフレットの実施例7に記載の方法で得られた下記式(6)
前記式(4)で示される化合物の替わりに、国際公開2015/002038号パンフレットの実施例3に記載の方法で得られたボロン酸エステル及び実施例7に記載の方法で得られたブロモ化合物より合成した下記式(8)
ピリジンを加えなかった以外は実施例1と同様に反応を行った。反応液を精製したところ、二重結合の水素化も同時に進行してしまい、脱ベンジル化された二重結合を有する有機化合物は0.73g(2.04mmol)しか得られなかった。収率は9.1%、反応後の選択率は9.4%であった。
ピリジンを加えなかった以外は実施例3と同様に反応を行った。反応液を精製したところ、過剰に発生した水素によって二重結合の水素化も同時に進行してしまい、脱ベンジル化された二重結合を有する有機化合物は4.24g(11.84mmol)しか得られなかった。収率は53%、反応後の選択率は54.4%であった。
反応に用いる水素量を調節するため、加えるギ酸アンモニウム量を1.41g(22.3mmol、パラジウム触媒と反応することで、前記式(4)で示される有機化合物の1モル倍量の水素が生成される)とした以外は比較例2と同様に反応を行った。脱ベンジル化された二重結合を有する有機化合物が7.36g(11.84mmol)得られた。収率は92%、反応後の選択率は93.1%であった。
前記式(4)で示される有機化合物の質量を100.0g(223.0mmol)にスケールアップした以外は、比較例3と同様に反応を行った。反応液を精製したところ、未反応の前記式(4)で示される化合物が残存する一方、二重結合の水素化も同時に進行してしまった化合物も生成しており、脱ベンジル化された二重結合を有する化合物48.7g(136.1mmol)を白色固体として得たが、収率は61%、反応後の選択率は65.2%であり、比較例3との再現性は得られなかった。
Claims (7)
- 前記一般式(1)で示される有機化合物が、下記一般式(2)
R2、R3、及びR4は、前記一般式(1)と同義であり、
R5は、ベンジルオキシ基であり、
Z1は、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素環基、芳香族環基、又は複素環基であり、それぞれ環を形成する原子数が3〜14であり、該置換基が複数存在する場合には、隣接する置換基同士が結合して、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素環、芳香族環、又は複素環を形成してもよく、
Z2は、置換基を有していてもよいアルキレン基、脂肪族炭化水素環基、芳香族環基、又は複素環基であり、該アルキレン基は炭素数が1〜8であり、また、該環基はそれぞれ環を形成する原子数が3〜14であり、該置換基が複数存在する場合には、隣接する置換基同士が結合して、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素環、芳香族環、又は複素環を形成してもよく
lは、0〜3の整数であり、
mは、lが1以上の場合には、1以上、Z2の該環基を構成する炭素数、又はアルキレン基の炭素数の2倍に1を加えた数以下の整数であり、lが0の場合には、1以上、Z1の該環基を構成する炭素数の2倍に1を加えた数以下の整数である。)
で表わされる有機化合物であることを特徴とする請求項1記載の脱ベンジル化方法。 - 前記一般式(2)で示される有機化合物において、式中、
Z1が、置換基を有していてもよい芳香族環基であり、該芳香族環基を形成する環の原子数が5〜14であり、
R2とR4とは、互いに結合して環を形成し、R2とR4とが結合する二重結合の炭素原子を含む該環の原子数が4〜20であり、該環は置換基を有していてもよく、
R3は、水素原子であることを特徴とする請求項2記載の脱ベンジル化方法。 - 前記一般式(2)で示される有機化合物が、下記一般式(3)
R2、R3、及びR4は、前記一般式(1)におけるものと同義であり、
R5は、前記一般式(2)におけるものと同義であり、
R6、及びR7は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜12の置換アミノ基、炭素数1〜10の環状アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルキルカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、炭素数7〜11のアラルキル基、炭素数7〜11のアラルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数4〜12の複素環基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数3〜8のシクロアルキルチオ基、炭素数6〜10のアリールチオ基、又は炭素数4〜12のヘテロアリールチオ基であるか、
R6、及びR7が複数存在する場合、隣接するR6、又はR7同士が結合して環を形成してもよく、該環を形成する場合、R6、又はR7が結合する炭素原子を除く該環の原子数は1〜20であり、該環は置換基を有していてもよく、
nは、1〜5の整数であり、oは、0〜4の整数であり、pは、0〜5の整数である。)
で表わされる有機化合物である請求項2又は3に記載の脱ベンジル化方法。 - 前記窒素原子を1つ有するアミンが、炭素数3〜6の第1級脂肪族アミン、炭素数3〜8の第2級脂肪族アミン、炭素数3〜12の第3級脂肪族アミン、炭素数4〜8の複素環アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミンである請求項1〜4の何れかに記載の脱ベンジル化方法。
- 前記窒素原子を1つ有するアミンが、プロピルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ピリジン、及び2−メチルピリジンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミンである請求項1〜5の何れかに記載の脱ベンジル化方法。
- 前記有機化合物のベンジルオキシ基1モル対して、前記パラジウム触媒中のパラジウムのモル数を0.01〜10モルとし、前記窒素原子を1つ有するアミンのモル数を1.0〜100モルとすることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の脱ベンジル化方法。
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JP2016090461A JP6659445B2 (ja) | 2016-04-28 | 2016-04-28 | 脱ベンジル化方法 |
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