JP2017197458A - アリル型不飽和アルコールの脱水による共役ジエン化合物の製造方法 - Google Patents

アリル型不飽和アルコールの脱水による共役ジエン化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017197458A
JP2017197458A JP2016088589A JP2016088589A JP2017197458A JP 2017197458 A JP2017197458 A JP 2017197458A JP 2016088589 A JP2016088589 A JP 2016088589A JP 2016088589 A JP2016088589 A JP 2016088589A JP 2017197458 A JP2017197458 A JP 2017197458A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
aluminum
conjugated diene
general formula
diene compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016088589A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6656074B2 (ja
Inventor
慎也 林
Shinya Hayashi
慎也 林
季弘 木村
Suehiro Kimura
季弘 木村
真幸 吉村
Masayuki Yoshimura
真幸 吉村
吉邦 奥村
Yoshikuni Okumura
吉邦 奥村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2016088589A priority Critical patent/JP6656074B2/ja
Publication of JP2017197458A publication Critical patent/JP2017197458A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6656074B2 publication Critical patent/JP6656074B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】選択率が高く、触媒寿命の長い、アリル型不飽和アルコール原料から対応する共役ジエン化合物を効率よく製造する方法の提供。【解決手段】脱水触媒の存在下、アリル型不飽和アルコールを原料とし、脱水反応によって式(3)で示される共役ジエン化合物を製造する方法であって、脱水触媒がアルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を含み、NH3−TPD法により測定された酸量(mol/g)をアルミニウム含有量(mol/g)で割った値で定義されるアルミニウム分散度が0.10〜0.30である脱水触媒を使用する、共役ジエン化合物の製造方法。(R1〜R6は夫々独立にH、C1〜5のアルキル基又はC6〜12のアリール基)【選択図】なし

Description

本発明はアリル型不飽和アルコールを脱水し、効率的に共役ジエン化合物を製造することのできる触媒を用いた共役ジエン化合物の製造方法に関する。
1,3−ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンモノマーは、合成ゴム、プラスチックなどの樹脂原料としての工業的価値が高く、その効率的な製造法が求められている。
従来、ジエンモノマーはナフサの熱分解炉(クラッカー)の熱分解物を蒸留分離し、その一留分として得られている。しかしながら、この留分精製による方法では、ジエンモノマーを選択的に得たい場合であっても他のモノマー留分(エチレン、プロピレンなど)を含めた採算性を考慮せねばならず、工業的な製造の自由度が低かった。
そこで、入手の容易なエチレン等の低分子量の化合物を原料としたジエンモノマーの製造方法が検討されている。例えば低級オレフィンの二量化を行った後にMo−Bi−X系触媒の存在下で酸化脱水素処理を行うことによる製造法が特許文献1及び特許文献2に開示されている。しかしこの方法では、酸素を用いることによる爆発の危険性があるほか、未反応ブテンの分離等を行うなど付帯設備が必要となり、設備全体が大型化するという問題がある。特にブテンの副生量が多い場合、1,3−ブタジエン中からブテンを除去する工程が必要となるが、ブテンは蒸留操作では除去することが困難であるため、溶媒抽出法等の多大なコスト又は設備投資が必要な精製操作が必要となる。
別の方法として、不飽和アルコールの脱水反応による製造法があげられる。このような不飽和アルコールは、例えば特許文献3及び特許文献4に示すようなジオールの1分子脱水反応により得ることができる。しかし、ジエン生成物である1,3−ブタジエンの選択率が不十分であり、特にブテンの副生成量が多く、ブテンの分離のためには上述のような設備上の問題点を有している。
別の方法として、特許文献5に記載されるようなアリル型不飽和アルコールの脱水反応による製造法があげられる。特許文献5では特定のケイバン比のシリカアルミナ触媒を用いてα,β−脂肪族不飽和アルコールを脱水して、共役ジエンを生成させている。実施例ではクロチアルコールの脱水反応により1,3−ブタジエンを製造しているが、その選択率は94〜96%にとどまっている。副生物のブテンについての記述はないほか、複数種のα,β−不飽和アルコールを同時に脱水して共役ジエン化合物を得る可能性の記載もない。また、明細書中でブレンステッド酸点とルイス酸点の比率や弱酸と強酸の比率についても記述があるが、酸量及び酸量をアルミニウム量で割った値であるアルミニウム分散度についての記載はない。
本反応の原料であるアリル型不飽和アルコール及び生成物である共役ジエンモノマーは重合性化合物である。また、副生物であるブテン等も重合性を示すほか、クロトンアルデヒドやメチルビニルケトンに代表される脱水素副生物は特に高い重合性を有する。そのため、本脱水反応は本質的にコークの生成が起こりやすい反応であり、触媒にコークが付着することが触媒失活の主要因となる。多量のコークの付着に起因して触媒寿命(連続使用時間)が短いこと、及び共役ジエンモノマーの消費による選択率低下が起こることが本脱水反応の大きな問題点として挙げられる。
このようなコークの付着により失活した触媒は、例えば空気を含むガスの流通下に触媒を高温で処理するなど、適切な再生処理を行うことにより、その性能を回復させることができるが、その為には余分な設備、工程、費用などが必要となる。したがって、共役ジエン選択率が高く、ブテンなどの副生物が少なく、触媒寿命の長い触媒が強く望まれている。
特開2010−120933号公報 特開2011−006395号公報 特開2004−306011号公報 特開2005−238095号公報 特開2015−182032号公報
本発明の課題は、選択率が高く、触媒寿命の長い、アリル型不飽和アルコール原料から対応する共役ジエン化合物を効率よく製造する方法を提供することである。
本発明者らはさらなる鋭意検討を行った結果、アリル型不飽和アルコールに対し、アルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を含み、NH−TPD法により測定された酸量(mol/g)をアルミニウム含有量(mol/g)で割った値で定義されるアルミニウム分散度が特定の範囲内にある脱水触媒を作用させることにより、効率的に対応する共役ジエン化合物を製造できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は以下の項目[1]〜[7]に関する。
[1]
脱水触媒の存在下、一般式(1)又は一般式(2)で示されるアリル型不飽和アルコールの少なくとも一種を原料とし、脱水反応によって一般式(3)で示される共役ジエン化合物を製造する方法であって、前記脱水触媒がケイ素の酸化物とアルミニウムの酸化物とが原子レベル又は微粒子レベルで混ざり合った複合型触媒であり、NH−TPD法により測定された酸量(mol/g)をアルミニウムの含有量(mol/g)で割った値で定義されるアルミニウム分散度が0.10〜0.30であることを特徴とする共役ジエン化合物の製造方法。
Figure 2017197458
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。)
Figure 2017197458
(式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
Figure 2017197458
(式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
Figure 2017197458
[2]
脱水触媒の存在下、一般式(1)又は一般式(2)で示されるアリル型不飽和アルコールの少なくとも一種を原料とし、脱水反応によって一般式(3)で示される共役ジエン化合物を製造する方法であって、前記脱水触媒が二酸化ケイ素担体上にアルミニウムの酸化物が担持された担持型触媒であり、NH−TPD法により測定された酸量(mol/g)をアルミニウムの含有量(mol/g)で割った値で定義されるアルミニウム分散度が0.20〜0.45であることを特徴とする共役ジエン化合物の製造方法。
Figure 2017197458
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。)
Figure 2017197458
(式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
Figure 2017197458
(式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
Figure 2017197458
[3]
前記脱水触媒のアルミニウムとケイ素の原子比(Al/Si)が0.03〜0.13である[1]に記載の共役ジエン化合物の製造方法。
[4]
前記脱水触媒のアルミニウムとケイ素の原子比(Al/Si)が0.005〜0.025である[2]に記載の共役ジエン化合物の製造方法。
[5]
前記脱水触媒がシリカアルミナである[1]又は[3]のいずれかに記載の共役ジエン化合物の製造方法。
[6]
前記脱水触媒の窒素ガス吸着法により測定された平均細孔径が6.0〜70.0nmである[1]〜[5]のいずれかに記載の共役ジエン化合物の製造方法。
[7]
一般式(1)及び一般式(2)のR〜Rがすべて水素原子である[1]〜[6]のいずれかに記載の共役ジエン化合物の製造方法。
本発明の触媒を用いると、アリル型不飽和アルコールの脱水による共役ジエンの製造をより高い選択率かつより長い触媒寿命で行うことができ、副生物の生成量をより減らすことができる。よって、一般的な蒸留操作のみで工業的に価値のある共役ジエンを得ることができ、溶媒抽出法等の多大なコストや設備投資が必要な精製操作を経る必要がない。また、触媒再生頻度を抑えることで再生操作にかかる設備、工程、及び費用を大きく抑えることができる。
反応実施例1〜10及び反応比較例1〜3におけるアルミニウム分散度と触媒寿命の関係を示すグラフである。 反応実施例1〜10及び反応比較例1〜3におけるアルミニウム分散度と生成物である1,3−ブタジエンの選択率の関係を示すグラフである。
本発明では、一般式(1)又は一般式(2)で示されるアリル型不飽和アルコールの少なくとも一種を原料とし、脱水反応によって一般式(3)で示される共役ジエン化合物を製造するにあたり、アルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を含み、下記数式であらわされるアルミニウム分散度が特定の範囲内にある脱水触媒を使用する。本明細書において、「アルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を含む触媒」は、後述する担持型(本明細書において「表面型」ともいう。)触媒と複合型(本明細書において「バルク型」ともいう。)触媒の両方を包含する。
Figure 2017197458
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。)
Figure 2017197458
(式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
Figure 2017197458
(式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
Figure 2017197458
一般式(1)、(2)及び(3)においてR〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。炭素数1〜5のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチル基などが挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基などが挙げられる。R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、得られる共役ジエン化合物の有用性から水素原子であることがより好ましい。R〜Rは互いに同じであっても、異なっていてもよいが、すべて水素原子であることが最も好ましい。このとき、一般式(1)の化合物は2−ブテン−1−オール(クロチルアルコール)、一般式(2)の化合物は3−ブテン−2−オールとなり、生成物である一般式(3)の化合物は1,3−ブタジエンとなる。
本脱水反応では、一般式(1)で示されるアリル型不飽和アルコール及び一般式(2)で示されるアリル型不飽和アルコールの両方を原料とし、同時に脱水反応に供することが有利である。これにより、例えばジオールの一分子脱水反応によって得ることができる、一般式(1)で示されるアリル型不飽和アルコール及び一般式(2)で示されるアリル型不飽和アルコールの両方を含有する生成物を、これらのアリル型不飽和アルコールを互いに分離することなく脱水反応に使用することができる。脱水反応の前に上記生成物に対して必要に応じて他の成分の分離及び精製を行ってもよい。
本脱水反応においては、一般式(1)又は一般式(2)で示されるアリル型不飽和アルコール以外の不飽和アルコールが併存していてもよい。
本発明の脱水触媒は、アルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を含み、NH−TPD(Temperature−Programmed Desorption)法により測定された酸量(mol/g)をアルミニウム含有量(mol/g)で割った値で定義されるアルミニウム分散度が、下記特定の範囲内にある触媒である。
(1)前記脱水触媒がケイ素の酸化物とアルミニウムの酸化物とが原子レベル又は微粒子レベルで混ざり合った複合型触媒である場合:
アルミニウム分散度 0.10〜0.30
(2)前記脱水触媒が二酸化ケイ素担体上にアルミニウムの酸化物が担持された担持型触媒である場合:
アルミニウム分散度 0.20〜0.45
脱水触媒のNH−TPD法による酸量(mol/g)は、自動昇温脱離装置を用いて以下の手順で決定することができる。粉砕した触媒100mgに対してHeガスを50sccmで流通させながら、400℃で2時間前処理を行う。100℃まで冷却したら、NHを100Torrの定圧で吸着させる。続いて、50sccmのHeガス流通下、100℃、160Torrの減圧条件で50分間処理を行う。その後、160〜200Torrの間の減圧条件で、700℃まで10℃/分の速度で昇温し、700℃で50分間保持する。分析終了後、0.193体積%のNHガス(Heバランス)と0.97体積%のNHガス(Heバランス)を用いて検量線を作成する。各温度で脱離するNHと水の合計量と検量線作成時のNHの量を質量分析計(Mass=16)で測定し、脱離するNHと水の合計量を算出する。続いて、100℃、100TorrでのNH定圧吸着を行わない他は同一の条件でブランク測定を行い、触媒から脱離する水由来の測定値を算出する。本測定の測定値からブランク測定の測定値を減算し、脱離NH量とする。脱離NH量(mol数)が触媒の酸点のmol数と等しいとして、触媒1g当たりの酸量(mol/g)を計算することができる。
脱水触媒のアルミニウム含有量(mol/g)は、複合型触媒に関しては走査型蛍光X線分析装置を用いたXRF分析により、担持型触媒に関してはICP−MSにより、それぞれ決定することができる。測定方法の詳細は実施例の項に記載する。
アルミニウムの酸化物及びケイ素の酸化物を含む触媒は、調製法により一般に複合型(バルク型)触媒と担持型(表面型)触媒の2種類に分類することができる。触媒の調製方法としては種々の方法を用いることが可能であり、例えば含浸法、イオン交換法、CVD法、混練法、共沈法、ゾルゲル法等があげられる。
複合型(バルク型)触媒は、二酸化ケイ素前駆体及び二酸化ケイ素から選ばれる第1触媒原料と、アルミニウム酸化物前駆体及びアルミニウム酸化物から選ばれる第2触媒原料との組み合わせを用いて、混練法、共沈法、ゾルゲル法などによって調製される。複合型(バルク型)触媒は、各成分が原子レベルで結合した複合酸化物であり、表面だけでなく固体内部にもアルミニウム原子が多く存在している。ゾルゲル法としては、ケイ素アルコキシド及びアルミニウムアルコキシドのアルコール溶液に、水を添加してゲルを調製した後、乾燥及び焼成する方法が挙げられる。この際、触媒として酸又は塩基を加えてもよいし、無触媒で触媒調製を行ってもよい。複合酸化物の例としてはシリカアルミナ等が挙げられる。
担持型(表面型)触媒は、二酸化ケイ素(SiO)担体に含浸法、イオン交換法、CVD法などによってアルミニウム酸化物前駆体を付着又は堆積させて調製される触媒であり、二酸化ケイ素(SiO)担体上にアルミニウム酸化物が担持されている。この型の場合、焼結時に一部のアルミニウム酸化物と二酸化ケイ素は混じり合い複合酸化物を形成することがあるが、アルミニウム原子の多くが触媒表面に存在している。二酸化ケイ素(SiO)は市販の物をそのまま、あるいは粉砕処理、強熱処理、酸処理等の前処理を行ってから使用することができる。含浸法としては、アルミニウムの硝酸塩水溶液又はアルミニウムアルコキシドのアルコール溶液を二酸化ケイ素担体に加えた後、乾燥及び焼成する方法が挙げられる。加える溶液の量は二酸化ケイ素担体の細孔容積相当でもよいし、細孔容積以上の量を加えて溶液を濃縮し得られた含浸担体を濾別してもよい。アルミニウムの硝酸塩水溶液に二酸化ケイ素担体を加えた後、pHを調整するなどしてアルミニウムを水酸化物にして沈降させ担体上に担持させる等の方法をとることもできる。
本発明の触媒には、アルミニウムとは異なる金属酸化物又は金属が含まれていてもよい。そのような金属酸化物又は金属の例としては、酸化マグネシウム、酸化ランタン、酸化モリブデンなどがあげられる。
本発明の触媒のアルミニウム分散度は複合型(バルク型)触媒においては、0.10〜0.30、好ましくは、0.10〜0.15である。担持型(表面型)触媒においては0.20〜0.45、好ましくは0.30〜0.40である。
本発明の反応では、コーキングにより触媒の反応点である酸点が覆われ、失活が進行する。そのため酸量が多いと、コーキングにより酸点がある程度減少しても原料の転化率が維持される。すなわち、触媒寿命が長くなる。一般にアルミニウム含有量がシリカ含有量より少ない場合は、アルミニウム含有量を増やすと酸量は増える。しかし、単にアルミニウム含有量を増やすとアルミナクラスターがより多く生成してしまう。アルミナ触媒は、本反応の発明においては脱水素副反応又はコーキングを起こしやすく、選択率も触媒寿命も短い。反応成績低下の原因となるアルミナクラスターを減らすためには、シリカとアルミナの混合具合が良いこと、つまりアルミニウムの分散性が高いことが好ましい。すなわち、アルミニウム分散度が高い触媒は、反応点である酸点を増やしつつも、アルミナクラスターに代表される好ましくない反応点が少ない触媒であることを意味し、選択率が高く、触媒寿命が長い。一方で、反応点である酸点が多すぎると、反応点の密度が高く、活性化された基質又は生成物が互いに近傍に位置しやすいために反応生成物などの重合反応が進行しやすく、コーキングが生じてしまう。よって、アルミニウム分散度の高すぎる触媒は、反応の選択率又は触媒寿命が低下してしまう。また、複合型触媒と担持型触媒では反応点となる表面に存在するアルミニウムの比率が異なるため、最適なアルミニウム分散度の範囲が異なる。
本発明の脱水触媒のアルミニウムとケイ素の原子比(Al/Si)は0.001〜0.13であることが好ましい。複合型の脱水触媒では0.03〜0.13であることがより好ましく、0.08〜0.12が最も好ましい。担持型の脱水触媒では0.005〜0.025であることがより好ましく、0.006〜0.012が最も好ましい。原子比がこの範囲内であると、副生物の低減又はコーキングの抑制の面で好ましく、また、細孔構造及び成形性を含めた触媒調製の自由度を高くできる。複合型触媒の原子比(Al/Si)は、リガク製の走査型蛍光X線分析装置ZSX PrimusIIを用いて、XRF分析にて決定される。担持型(表面型)触媒の原子比(Al/Si)は仕込み比から計算することもできるが、ICP−MSによりアルミニウム量を求め、触媒の乾燥質量からアルミニウム酸化物の質量を差し引いた質量を二酸化ケイ素の質量とし、Al/Siが計算される。測定方法の詳細は実施例の項に記載する。
本発明の触媒は、窒素ガス吸着法により測定された平均細孔径が6.0〜70.0nmであるメソ孔を有することが好ましい。平均細孔径はより好ましくは9.0〜55.0nm、特に好ましくは12.0〜40.0nmである。測定方法の詳細は実施例の項に記載する。平均細孔径が6.0nm以上であると、コーキングの進行が遅く、触媒寿命が長くなる。また、副反応が少ないため共役ジエン化合物の選択率も向上する。平均細孔径が70.0nm以下である触媒は表面積及び反応点の数が適切であり、生産性(STY)の低下が小さい。
触媒成形体は、成形体に触媒成分を担持して得ることもできるし、粉末触媒を種々の方法で成形して得ることもできる。成形方法に特に制限はなく、例えば打錠成形、押出成形、転動造粒等から選択される。
触媒成形体の粒径及び形状は、反応方式、反応器の形状などに応じて適宜選択できる。
触媒の成形に用いるバインダー、滑剤等の添加剤は、特に制限されない。なお、これらの添加剤の添加による平均細孔径への影響は本発明において考慮しない。すなわち、バインダー、滑剤等の添加剤を加えて調製した触媒について測定して得られた平均細孔径が、バインダー、滑剤等の添加剤を添加せずに類似の方法で調製した触媒について測定して得られた平均細孔径と異なる場合、後者を本発明における平均細孔径とみなす。
本発明の脱水反応で使用する反応装置として連続式の気相流通反応装置が好適である。触媒は固定床又は流動床のいずれの方式でもよく、特にメンテナンスの面などから固定床が望ましい。
反応装置の一例として、上部に反応原料であるアリル型不飽和アルコールの気化器を備えた直管型反応器が挙げられる。反応器に触媒を充填し、原料を気化器で蒸発させて生じた原料ストリームを反応器に導入する。反応器下部の熱交換器で反応生成物を冷却して水等を分離し、生成物を回収する。気化した原料のアリル型不飽和アルコールを窒素ガス、水蒸気などの不活性ガスで希釈して反応に供してもよい。
反応温度は200〜450℃の範囲であることが適しており、250〜350℃であることがより好ましい。200℃以上であると反応が速やかに進む。また、450℃以下とすると副反応による選択率低下の影響が小さくなる。反応圧力は加圧、常圧、又は減圧のいずれでもよい。
触媒充填容積あたりの不飽和アルコールの導入量は0.05〜20kg/(h・L−cat)の範囲とすることができ、好ましくは0.1〜10kg/(h・L−cat)であり、最も好ましくは0.2〜5kg/(h・L−cat)である。導入量が少ない場合は十分な生産量を得ることができないことがある。多い場合には未反応の原料が増加し、分離及び精製に余分な労力が必要となる。
アリル型不飽和アルコールを含む原料ストリームの触媒充填容積に対する空間速度[SV]は100〜40000[/h]の範囲とすることができ、特に400〜10000[/h]であることが好適である。空間速度が低すぎる場合は接触時間の増加により、不飽和アルコール原料及び生成したジエン化合物から副生成物が生じる可能性がある。空間速度が高すぎる場合には転化率が低下し、収率が低下することがある。触媒の空時収率STYは、反応圧力を上げる、原料ガス中の不飽和アルコール濃度を高める、SVを上げることにより大きくすることができる。
得られた共役ジエン化合物に対し、さらに蒸留等による精製操作を行うことで、純度を高めたジエン化合物を入手することができる。
上記に述べた方法は、本発明の実施形態の一つであり、実施に当たってはその神髄に照らして、別の実施形態をとることもできるが、それらは全て本発明の範疇に含まれる。
以下、実施例により本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[測定方法]
酸量はNH−TPD法により測定する。具体的には、日本ベル株式会社製自動昇温脱離装置TPD−1−ATを用いて以下の手順で測定する。乳鉢で粉砕した触媒100mgを測定用セルに充填する。Heガスを50sccmで流通させながら、400℃で2時間触媒の前処理を行う。100℃まで冷却したら、NHを100Torrの定圧で吸着させる。続いて、50sccmのHeガス流通下、100℃、160Torrの減圧条件で50分間処理を行う。その後、160〜200Torrの間の減圧条件で、700℃まで10℃/分の速度で昇温し、700℃で50分間保持する。分析終了後、0.193体積%のNHガス(Heバランス)と0.97体積%のNHガス(Heバランス)を用いて検量線を作成する。各温度で脱離するNHと水の合計量と検量線作成時のNHの量を質量分析計(Mass=16)で測定し、脱離するNHと水の合計量を算出する。続いて、100℃、100TorrでのNH定圧吸着を行わない他は同一の条件でブランク測定を行い、触媒から脱離する水由来の測定値を算出する。本測定の測定値からブランク測定の測定値を減算し、脱離NH量とする。脱離NH量(mol数)が触媒の酸点のmol数と等しいとして、触媒1g当たりの酸量(mol/g)を計算する。
複合型触媒のアルミニウム酸化物量とケイ素酸化物量は、リガク製の走査型蛍光X線分析装置ZSX PrimusIIを用いて、XRF分析にて行う。乳鉢で粉砕した触媒粉を、外径18mm、内径13mm、高さ5mmのポリ塩化ビニル製のセルにつめて35kNで15秒間加圧して、測定試料を調製する。標準試料を外標準としてEZスキャンモードにて分析する。アルミニウム酸化物量とケイ素酸化物量の測定値から、Al/Si比及びアルミニウム含有量を求める。アルミニウム含有量は触媒1gあたりのアルミニウム元素のmol数とする。
担持型触媒のアルミニウム含有量はICP−MSにより求め、乾燥減量を考慮したうえで算出することができる。具体的には、以下の手順で求める。乳鉢で粉砕した試料にフッ酸2mL及び純水10mLを添加し試料を溶解させる。その後50mLに定容してICP発光分析によりアルミニウム元素を定量する。TG−DTAを用いて、乳鉢で粉砕した試料を窒素ガス気流下300℃で1時間処理し、その質量変化から乾燥質量を算出する。乾燥触媒1g中のアルミニウム元素のmol数をアルミニウム含有量とする。乾燥質量からアルミニウムの酸化物の質量を差し引いた質量を二酸化ケイ素の質量とし、Al/Si比を計算する。簡便のため、仕込み比から算出することも可能であり、本実施例ではこの簡便法によった。
アルミニウム分散度は、下記数式より算出する。アルミニウム分散度は触媒に含有されるアルミニウム原子のうち酸として寄与しているものの比率を表す値である。
Figure 2017197458
触媒成形体の窒素ガス吸着法による平均細孔径とBET比表面積は、以下のように測定する。150℃、40mTorrで3時間前処理したサンプルについて、Micromeritics社製の自動比表面積/細孔分布測定装置(TristarII 3020)を用い、液体窒素温度で、相対圧(P/P、P:飽和蒸気圧)が0.14〜0.992の範囲で窒素脱着等温線を測定する。窒素ガスを吸着質として用い、吸着質断面積は0.162nmとして計算する。BET多点法を用いてBET比表面積を算出する。平均細孔径及び細孔容積はBJH法を用い、吸着膜の厚みをHarkins−Juraの式でt=[13.99/0.034―log(P/P)]^0.5として算出する。
触媒成形体の嵩密度は以下のように決定する。10mLメスシリンダーに約5mLの触媒を測りとる。その際、数回タッピングを行い、触媒をならし、その体積と重量を測定する。測定重量を測定体積で除算し、嵩密度を計算する。
[反応装置]
以下の実施例及び比較例の脱水反応には、固定床の常圧気相流通反応装置を使用した。反応管(ステンレス製)は内径13mm、全長300mmで、上部に原料を蒸発させるための気化器、及び希釈剤(窒素ガス)の導入口が接続され、下部には冷却器、及び気液分離器が設置されている。反応によって生じたガス及び液はそれぞれ別々に回収し、ガスクロマトグラフィー装置にて測定し、検量線補正後、目的物の収量及び原料残量を求め、これらより転化率及び選択率を求めた。
脱水反応における、転化率及び選択率の計算には以下の式を用いた。選択率は、転化率が98.5%を下回るまでの結果から計算した。
Figure 2017197458
Figure 2017197458
代表的な副生成物であるブテンの選択率計算には、以下の式を用いた。選択率は、転化率が98.5%を下回るまでの結果から計算した。
Figure 2017197458
[触媒調製]
以下、脱水触媒の調製に関する実施例及び比較例を示す。
(実施例1:複合型触媒Aの調製)
500mLの3口フラスコに、メカニカルスターラーに接続したテフロン(登録商標)半月板撹拌翼、滴下ロート、及びジムロート冷却管を装着した。このフラスコに、窒素ガス雰囲気中で、テトラエチルオルトシリケート(シグマアルドリッチ社製、>99%)60.0g、アルミニウムイソプロポキシド(東京化成工業株式会社製)2.9g、超脱水イソプロパノール(和光純薬工業株式会社製)173gを加え、液温が79〜80℃になるように油浴中、250rpmで撹拌した。滴下ロートにイソプロパノール(特級、和光純薬工業株式会社製)9gと蒸留水(和光純薬工業株式会社製)10.9gの混合溶液を入れ、上記フラスコに30分間かけて滴下した。滴下終了後も撹拌を続け、合計9時間、79〜80℃で反応させた。得られた白色粉末を濾過後、イソプロパノールで洗浄した。70℃のオーブンで12時間乾燥したのち、マッフル炉(ADVANTEC製KM−280)で500℃、5時間焼成した。得られた粉末を、ポリ塩化ビニル製のセル(30mmφ)に入れ、80MPaの圧力で1分間プレスした。得られたディスク状のセル(厚さ5mm)を破砕し、1.4〜2.8mmのふるい間に残るものを回収した。得られた成形体を、同じマッフル炉で500℃、2時間焼成し、複合型触媒Aを得た。XRF分析で測定されたAlとSiの原子比(Al/Si)は0.09(mol/mol)であった。
(実施例2:複合型触媒Bの調製)
1Lの3口フラスコに、メカニカルスターラーに接続したテフロン(登録商標)半月板撹拌翼、滴下ロート、及びジムロート冷却管を装着した。このフラスコに、窒素ガス雰囲気中で、テトラエチルオルトシリケート(シグマアルドリッチ社製、>99%)120.0g、アルミニウムイソプロポキシド(東京化成工業株式会社製)5.9g、超脱水イソプロパノール(和光純薬工業株式会社製)320gを加え、液温が69〜70℃になるように油浴中、250rpmで撹拌した。滴下ロートにイソプロパノール(特級、和光純薬工業株式会社製)44gと蒸留水(和光純薬工業株式会社製)21.8gの混合溶液を入れ、上記フラスコに30分間かけて滴下した。滴下終了後も撹拌を続け、合計24時間、69〜70℃で反応させた。得られた白色粉末を濾過後、イソプロパノールで洗浄した。70℃のオーブンで12時間乾燥したのち、マッフル炉(ADVANTEC製KM−280)で500℃、5時間焼成した。得られた粉末を実施例1と同様の方法で成形及び焼成し、複合型触媒Bを得た。XRF分析で測定されたAlとSiの原子比(Al/Si)は0.10(mol/mol)であった。
(比較例1:複合型触媒Cの調製)
500mLの3口フラスコに、メカニカルスターラーに接続したテフロン(登録商標)半月板撹拌翼、滴下ロート、及びジムロート冷却管を装着した。このフラスコに、窒素ガス雰囲気中で、テトラエチルオルトシリケート(シグマアルドリッチ社製、>99%)90.0g、アルミニウムイソプロポキシド(東京化成工業株式会社製)4.4g、超脱水イソプロパノール(和光純薬工業株式会社製)260gを加え、液温が71〜72℃になるように油浴中、100rpmで撹拌した。滴下ロートにイソプロパノール(特級、和光純薬工業株式会社製)13gと蒸留水(和光純薬工業株式会社製)16.3gの混合溶液を入れ、上記フラスコに30分間かけて滴下した。滴下終了後も撹拌を続け、合計24時間、71〜72℃で反応させた。得られた白色粉末を濾過後、イソプロパノールで洗浄した。70℃のオーブンで12時間乾燥したのち、マッフル炉(ADVANTEC製KM−280)で500℃、5時間焼成した。得られた粉末を実施例1と同様の方法で成形及び焼成し、複合型触媒Cを得た。XRF分析で測定されたAlとSiの原子比(Al/Si)は0.10(mol/mol)であった。
(実施例3:複合型触媒Dの調製)
500mLの3口フラスコに、メカニカルスターラーに接続したテフロン(登録商標)半月板撹拌翼、滴下ロート、及びジムロート冷却管を装着した。このフラスコに、窒素ガス雰囲気中で、アセチルアセトン(特級、和光純薬工業株式会社製)2.2gと超脱水イソプロパノール(和光純薬工業株式会社製)100gを入れたのち、アルミニウムイソプロポキシド(東京化成工業株式会社製)4.4g、テトラエチルオルトシリケート(シグマアルドリッチ社製、>99%)60.0g、超脱水イソプロパノール(和光純薬工業株式会社製)60gの順に加え、液温が69〜70℃になるように油浴中、250rpmで撹拌した。滴下ロートに25質量%のアンモニア水2.0gと蒸留水(和光純薬工業株式会社製)23.2gの混合溶液を入れ、上記フラスコに30分間かけて滴下した。滴下終了後も撹拌を続け、合計24時間、69〜70℃で反応させた。得られたゲルを70℃のオーブンで12時間乾燥したのち、1Mアンモニア水で10質量%のスラリーとして50℃で24時間熟成させた。得られた白色粉末を濾過及び水洗後、70℃のオーブンで12時間乾燥し、次いでマッフル炉(ADVANTEC製KM−280)で500℃、5時間焼成した。得られた粉末を実施例1と同様の方法で成形及び焼成し、複合型触媒Dを得た。XRF分析で測定されたAlとSiの原子比(Al/Si)は0.08(mol/mol)であった。
(実施例4:複合型触媒Eの調製)
500mLナスフラスコに硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、特級)16.2g、エタノール(特級、和光純薬工業株式会社製)34mL、蒸留水(和光純薬工業株式会社製)66mLを加え、メカニカルスターラーに接続したテフロン(登録商標)半月板撹拌翼で撹拌した。テトラエチルオルトシリケート(シグマアルドリッチ社製、>99%)91.0g、エタノール100mLの混合溶液を上記フラスコに加え入れた。室温で3時間撹拌を継続した後、25%アンモニア水91.0gを投入した。内容物をナスフラスコに移し、ロータリーエバポレーターを用いて60℃の湯浴中で4時間かけて溶媒を留去し、粉末を得た。得られた粉末は120℃のオーブンで12時間乾燥し、次いでマッフル炉(ADVANTEC製KM−280)で500℃、4時間焼成した。得られた粉末を実施例1と同様の方法で成形及び焼成し、複合型触媒Eを得た。XRF分析で測定されたAlとSiの原子比(Al/Si)は0.11(mol/mol)であった。
(実施例5:複合型触媒Fの調製)
硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、特級)20.3gと硝酸(和光純薬工業株式会社製、特級、60%)51.3gと酢酸(和光純薬工業株式会社製、特級)3.3gとポリビニルアルコール(和光純薬工業株式会社製、完全鹸化型、平均重合度400〜600)16.0gと蒸留水(和光純薬工業株式会社製)326mLの混合液をメカニカルスターラーに接続したテフロン(登録商標)製撹拌翼で撹拌した。ケイ酸ナトリウム溶液(和光純薬工業株式会社製、濃度55質量%、SiO/NaO=2.2)93.1gと蒸留水(和光純薬工業株式会社製)334mLの混合溶液を、上記硝酸アルミニウム水溶液に滴下した。30分間熟成したのち、アンモニア水溶液でpHを8にして沈殿を析出させ、さらに3時間撹拌を継続した。析出物に対し、ろ過、水洗浄、1%酢酸アンモニウム(和光純薬工業株式会社製)水溶液洗浄、水洗浄の順に処置を行った後、得られた析出物を50℃に加温したpH9のアンモニア水溶液中で48時間熟成させた。イオン交換水で2回洗浄後、70℃で12時間乾燥したのち、マッフル炉(ADVANTEC製KM−280)で500℃、2時間焼成した。得られた粉末を実施例1と同様の方法で成形及び焼成し、複合型触媒Fを得た。XRF分析で測定されたAlとSiの原子比(Al/Si)は0.11(mol/mol)であった。
(比較例2:複合型触媒Gの調製)
Pluronic123(シグマアルドリッチ社製)8.0gを蒸留水(和光純薬工業株式会社製)72gに溶解させた。この溶液にコロイダルシリカ(スノーテックス(登録商標)O、シリカ20.4質量%、日産化学工業化学株式会社)47.4g、ムライトゾル(AS−L10、固形分10質量%、多木化学製)11.8g、蒸留水(和光純薬工業株式会社製)49.3gを加えた。得られた白濁液を磁製皿に薄く広げて130℃のオーブンで乾燥させ、さらにマッフル炉(ADVANTEC製KM−280)で500℃、5時間焼成した。得られた粉末を実施例1と同様の方法で成形及び焼成し、複合型触媒Gを得た。XRF分析で測定されたAlとSiの原子比(Al/Si)は0.15(mol/mol)であった。
(実施例6:担持型触媒Aの調製)
1Lビーカーに硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、特級)0.88gとイオン交換水300gを入れ、メカニカルスターラーに接続したテフロン(登録商標)半月板撹拌翼で撹拌して硝酸アルミニウムを溶解させた。このビーカーにシリカ粉であるキャリアクト(登録商標)G−10(粒径5μm、富士シリシア化学株式会社)13.2gを加え、20分間撹拌を継続した。この時点でのスラリー液のpHは約3であった。続いて1Mアンモニア水28gを30分かけて滴下した。この時点でのスラリー液のpHは約9であった。さらに24時間室温で撹拌を継続したのち、ろ過及び水洗を3回繰り返した。最後にろ過した粉末を80℃のオーブン中で12時間風乾した。得られた粉末を、ポリ塩化ビニル製のセル(30mmφ)に入れ、80MPaの圧力で1分間プレスした。得られたディスク状のセル(厚さ5mm)を破砕し、1.4〜2.8mmのふるい間に残るものを回収し、その後、マッフル炉(ADVANTEC製KM−280)で600℃、5時間焼成し、担持型触媒Aを得た。
(実施例7:担持型触媒Bの調製)
硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、特級)を0.59g使用したほかは、実施例6と同様にして担持型触媒Bを調製した。
(実施例8:担持型触媒Cの調製)
硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、特級)を1.76g使用したほかは、実施例6と同様にして担持型触媒Cを調製した。
(実施例9:担持型触媒Dの調製)
300mLナスフラスコに硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、特級)0.54gとイオン交換水180gを入れ、メカニカルスターラーに接続したテフロン(登録商標)半月板撹拌翼で撹拌して硝酸アルミニウムを溶解させた。このフラスコにシリカ粉であるキャリアクト(登録商標)G−10(粒径5μm、富士シリシア化学株式会社)8.2gと尿素4.7gを加えた。このスラリー液を80℃に加温し、6時間撹拌を継続した。この時点でのスラリー液のpHは約8であった。さらに18時間室温で撹拌を継続したのち、ろ過・水洗を3回繰り返した。最後にろ過した粉末を80℃のオーブン中で12時間風乾を行った。得られた粉末を実施例6と同様に成形及び焼成して担持型触媒Dを得た。
(実施例10:担持型触媒Eの調製)
300mLナスフラスコに15%塩酸(和光純薬工業株式会社製、特級)100gとシリカ粉であるキャリアクト(登録商標)G−10(粒径5μm、富士シリシア化学株式会社)15gを入れ、メカニカルスターラーに接続したテフロン(登録商標)半月板撹拌翼で撹拌した。このスラリー液を70℃に加温して6時間撹拌を継続したのち、ろ過及び水洗をろ液が中性になるまで繰り返した。最後にろ過した粉末を80℃のオーブン中で12時間風乾を行った。得られたシリカ粉末を担体に用いて、実施例6と同様にして担持型触媒Eを得た。
(比較例3:担持型触媒Fの調製)
シリカ粉であるキャリアクト(登録商標)G−10(粒径5μm、富士シリシア化学株式会社)20gに対し、硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、特級)1.34gを含む水溶液を含浸担持させ、エバポレーターで大部分の水を除いたのちに80℃のオーブン中で12時間風乾を行った。得られた粉末を実施例6と同様に成形及び焼成して担持型触媒Fを得た。
[脱水反応]
以下、反応実施例を示す。触媒寿命は、原料のアリル型不飽和アルコール(式(1)及び式(2)の合計)の転化率と反応時間とのグラフから、転化率が約100%から低下して、98.5%となるまでの時間を読み取り、その値とした。平均コーク付着速度は、反応後に抜き出した触媒を用いて以下のように算出する。TG−DTAを用いて、反応後の抜出触媒の室温から650℃の区間の質量減少を、乾燥空気流通下、10℃/分の速度で昇温しながら測定する。室温から300℃までの質量減少をx%、300℃から650℃までの質量減少をy%とした場合に、下式に当てはめて平均コーク付着速度を算出する。
Figure 2017197458
(反応実施例1)
複合型触媒Aに対して3−ブテン−2−オール/2−ブテン−1−オール混合溶液を基質とし、窒素ガス及び水蒸気を希釈剤として反応を行った。触媒は5mL使用した。基質の3−ブテン−2−オール及び2−ブテン−1−オールのモル比率は6:4であり、合計導入量は触媒1mLあたり毎時1.35gであった。水蒸気の導入量は触媒1mLあたり毎時0.84L、窒素ガス導入量は触媒1mLあたり毎時0.42Lで反応温度は300℃に設定した(SV=1680[/h])。結果を表1に示す。
(反応実施例2〜10、反応比較例1〜3)
表1又は表2に示す触媒を使用し、反応実施例1と同様にして脱水反応を行った。結果を表1又は表2に示す。
反応実施例1〜10と反応比較例1〜3のアルミニウム分散度に対する触媒寿命を図1に、1,3−ブタジエンの選択率を図2に示す。これらの図から理解できるように、複合型触媒ではアルミニウム分散度が0.10〜0.30の触媒、担持型触媒ではアルミニウム分散度が0.20〜0.45の触媒を用いると、非常に高選択的かつ長寿命で1,3−ブタジエンを得ることができる。
Figure 2017197458
Figure 2017197458

Claims (7)

  1. 脱水触媒の存在下、一般式(1)又は一般式(2)で示されるアリル型不飽和アルコールの少なくとも一種を原料とし、脱水反応によって一般式(3)で示される共役ジエン化合物を製造する方法であって、前記脱水触媒がケイ素の酸化物とアルミニウムの酸化物とが原子レベル又は微粒子レベルで混ざり合った複合型触媒であり、NH−TPD法により測定された酸量(mol/g)をアルミニウムの含有量(mol/g)で割った値で定義されるアルミニウム分散度が0.10〜0.30であることを特徴とする共役ジエン化合物の製造方法。
    Figure 2017197458
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。)
    Figure 2017197458
    (式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
    Figure 2017197458
    (式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
    Figure 2017197458
  2. 脱水触媒の存在下、一般式(1)又は一般式(2)で示されるアリル型不飽和アルコールの少なくとも一種を原料とし、脱水反応によって一般式(3)で示される共役ジエン化合物を製造する方法であって、前記脱水触媒が二酸化ケイ素担体上にアルミニウムの酸化物が担持された担持型触媒であり、NH−TPD法により測定された酸量(mol/g)をアルミニウムの含有量(mol/g)で割った値で定義されるアルミニウム分散度が0.20〜0.45であることを特徴とする共役ジエン化合物の製造方法。
    Figure 2017197458
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。)
    Figure 2017197458
    (式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
    Figure 2017197458
    (式中、R〜Rは一般式(1)と同一のものを示す。)
    Figure 2017197458
  3. 前記脱水触媒のアルミニウムとケイ素の原子比(Al/Si)が0.03〜0.13である請求項1に記載の共役ジエン化合物の製造方法。
  4. 前記脱水触媒のアルミニウムとケイ素の原子比(Al/Si)が0.005〜0.025である請求項2に記載の共役ジエン化合物の製造方法。
  5. 前記脱水触媒がシリカアルミナである請求項1又は3に記載の共役ジエン化合物の製造方法。
  6. 前記脱水触媒の窒素ガス吸着法により測定された平均細孔径が6.0〜70.0nmである請求項1〜5のいずれか一項に記載の共役ジエン化合物の製造方法。
  7. 一般式(1)及び一般式(2)のR〜Rがすべて水素原子である請求項1〜6のいずれか一項に記載の共役ジエン化合物の製造方法。
JP2016088589A 2016-04-26 2016-04-26 アリル型不飽和アルコールの脱水による共役ジエン化合物の製造方法 Active JP6656074B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016088589A JP6656074B2 (ja) 2016-04-26 2016-04-26 アリル型不飽和アルコールの脱水による共役ジエン化合物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016088589A JP6656074B2 (ja) 2016-04-26 2016-04-26 アリル型不飽和アルコールの脱水による共役ジエン化合物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017197458A true JP2017197458A (ja) 2017-11-02
JP6656074B2 JP6656074B2 (ja) 2020-03-04

Family

ID=60237376

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016088589A Active JP6656074B2 (ja) 2016-04-26 2016-04-26 アリル型不飽和アルコールの脱水による共役ジエン化合物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6656074B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022196025A1 (ja) * 2021-03-19 2022-09-22 日揮触媒化成株式会社 シリカアルミナ粉末、シリカアルミナ粉末の製造方法、流動接触分解触媒およびその製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015048336A (ja) * 2013-09-03 2015-03-16 東レ株式会社 ブタジエン及び/又は3−ブテン−2−オールの製造方法
JP2015054818A (ja) * 2013-09-10 2015-03-23 東レ株式会社 1,3−ブタジエン及び/又は3−ブテン−2−オールの製造方法
WO2015146789A1 (ja) * 2014-03-25 2015-10-01 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 脱水触媒、及び共役ジエンの製造方法
WO2015173780A1 (en) * 2014-05-16 2015-11-19 Versalis S.P.A. Process for the production of alkenols and use thereof for the production of 1,3-butadiene

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015048336A (ja) * 2013-09-03 2015-03-16 東レ株式会社 ブタジエン及び/又は3−ブテン−2−オールの製造方法
JP2015054818A (ja) * 2013-09-10 2015-03-23 東レ株式会社 1,3−ブタジエン及び/又は3−ブテン−2−オールの製造方法
WO2015146789A1 (ja) * 2014-03-25 2015-10-01 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 脱水触媒、及び共役ジエンの製造方法
WO2015173780A1 (en) * 2014-05-16 2015-11-19 Versalis S.P.A. Process for the production of alkenols and use thereof for the production of 1,3-butadiene

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
REACTION KINETICS, MECHANISMS AND CATALYSIS, vol. 112(2), JPN6019051452, 2014, pages 467 - 475, ISSN: 0004185771 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022196025A1 (ja) * 2021-03-19 2022-09-22 日揮触媒化成株式会社 シリカアルミナ粉末、シリカアルミナ粉末の製造方法、流動接触分解触媒およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6656074B2 (ja) 2020-03-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7305558B2 (ja) 触媒及びその製造方法、並びに前記触媒を用いたジエン化合物の製造方法
Yang et al. Cu/ZnO x@ UiO-66 synthesized from a double solvent method as an efficient catalyst for CO 2 hydrogenation to methanol
US20220161235A1 (en) Catalyst, and method for producing 1,3-butadiene using same
JP7174947B2 (ja) 固体触媒およびブタジエンの製造方法
JP6678429B2 (ja) 共役ジエン化合物の製造方法及びアリル型不飽和アルコールの脱水触媒
JP6656074B2 (ja) アリル型不飽和アルコールの脱水による共役ジエン化合物の製造方法
JP5877853B2 (ja) 混合酸化物組成物及びイソオレフィンの製造方法
JP2019043909A (ja) 脂肪族カルボン酸エステルの製造方法
JP6684641B2 (ja) 共役ジエン化合物の製造方法及びアリル型不飽和アルコールの脱水触媒
Zhang et al. Ti-SBA-15 supported Cu–MgO catalyst for synthesis of isobutyraldehyde from methanol and ethanol
JP7197507B2 (ja) 触媒及びその製造方法並びに前記触媒を用いたジエン化合物の製造方法
JP6869020B2 (ja) 共役ジエン化合物の製造方法
WO2020262486A1 (ja) 触媒及びジエン化合物の製造方法
JP2017186272A (ja) ジエン化合物の製造方法
WO2022196717A1 (ja) 触媒、触媒の製造方法、ジエン化合物の製造方法、ポリマーの製造方法、ポリマー成形品の製造方法、触媒性能測定方法および長寿命化方法
JP6462498B2 (ja) 不飽和アルコールの製造方法及び触媒
JP6684635B2 (ja) ジエン化合物の製造方法
US20230158475A1 (en) Catalyst and method for producing diene compound
JP7060994B2 (ja) p-キシレンの製造方法
KR101839568B1 (ko) 금속 담지 촉매, 이의 제조방법 및 이를 이용한 탄소수 4의 올레핀 제조 방법
WO2022230791A1 (ja) プロピレンの製造方法
WO2024028334A1 (en) Catalyst for the production of 1,3-butadiene having high activity
JP2003190786A (ja) オレフィン水和触媒用担体シリカゲル及びオレフィン水和触媒
KR20220013326A (ko) 비결정상 금속-포스페이트 촉매 및 이의 제조방법
JP2023117810A (ja) シクロペンタジエンの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190205

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191114

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200204

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6656074

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350