JP2017193772A - 溶融アルミニウムめっき鋼線 - Google Patents

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Abstract

【課題】撚線加工を施す際の捻回性に優れている溶融アルミニウムめっき鋼線を提供する。【解決手段】直径が0.1〜0.4mmである鋼線の表面にめっき層を有し、伸線加工されてなる溶融アルミニウムめっき鋼線であって、破断時の伸びが5〜30%であり、当該溶融アルミニウムめっき鋼線からめっき層が除去された鋼線の長さ100mmあたりの平均径と当該鋼線の最小径との比が式:[最小径/平均径]≧[1−(破断時の伸び(%)/100)]を満たすことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、溶融アルミニウムめっき鋼線に関する。さらに詳しくは、本発明は、捻回性に優れ、例えば、自動車のワイヤーハーネスなどに好適に使用することができる溶融アルミニウムめっき鋼線およびその製造方法に関する。
なお、本明細書において、溶融アルミニウムめっき鋼線における「溶融アルミニウムめっき」は、アルミニウムめっきの種類を示すものであり、当該溶融アルミニウムめっき鋼線は、溶融アルミニウムめっき浴に鋼線を浸漬させた後、当該溶融アルミニウムめっき浴から鋼線を連続して引き上げることによってアルミニウムめっきが施された鋼線を意味する。また、捻回性は、鋼線に捻れが生じたときに破断され難い性質を意味する。
自動車のワイヤーハーネスなどに用いられる電線には、鋼芯線に溶融アルミニウムめっきが施された溶融アルミニウムめっき鋼線を7本、19本などの複数本で用い、当該溶融アルミニウムめっき鋼線に撚り加工を施すことによって得られる撚線が用いられている。撚線を製造する際には、当該撚線を構成する溶融アルミニウムめっき鋼線に捻れが生じ、当該溶融アルミニウムめっき鋼線の捻れが大きくなると溶融アルミニウムめっき鋼線が破断するようになることから、溶融アルミニウムめっき鋼線に捻回破断が起こらないようにするための指標が必要となる。
捻れに対する抵抗力が改善された溶融アルミニウムめっき鋼線として、溶融アルミニウムめっき後に伸線加工を受けておらず、直径0.05〜0.50mmの鋼芯線を芯材に持つ溶融アルミニウムめっき鋼線であって、その長手方向における平均径DA(mm)および最小径DMIN(mm)が式(1):
(DA−DMIN)/DA≦0.10 (1)
を満たすように溶融アルミニウムめっきの付着量が均一化されている溶融アルミニウムめっき鋼線が提案されている(特許文献1の請求項1〜2参照)。前記溶融アルミニウムめっき鋼線では、当該溶融アルミニウムめっき鋼線の長さ100mmあたりの破断捻り回数が50回以上となる耐捻り性を確保するために前記式(1)を満たすことが要求されている(特許文献1の段落[0022]参照)。
特開2014−185355号公報
前記溶融アルミニウムめっき鋼線では、その素線として硬鋼線が用いられている(特許文献1の段落[0034]参照)。当該硬鋼線の伸びは、おおむね5%以下であり、当該硬鋼線が素線として用いられた溶融アルミニウムめっき鋼線に伸線加工を施したとき、捻回性が著しく低下することから、前記溶融アルミニウムめっき鋼線は、伸線加工が施されていない状態で使用されている(特許文献1の段落[0023]参照)。
しかし、オーステナイト系ステンレス鋼線などの破断時の伸びが30%以上である、硬鋼線よりも伸びのある鋼線に溶融アルミニウムめっきを施した場合、前記式(1)で示される関係を満たさなくても溶融アルミニウムめっき鋼線の長さ100mmあたりの破断時の捻り回数が数百回であることが多く、また当該溶融アルミニウムめっき鋼線は、伸線加工が施されていてもある程度の捻回性を有する。
近年、撚線加工に用いられる素線には、硬鋼線よりも伸びのある鋼線が使用されており、撚線加工を施す際の捻回性に優れている伸線加工が施された溶融アルミニウムめっき鋼線の開発が望まれている。
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、撚線加工を施す際の捻回性に優れている溶融アルミニウムめっき鋼線およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、
(1) 直径が0.1〜0.4mmである鋼線の表面にめっき層を有する溶融アルミニウムめっき鋼線であって、破断時の伸びが5〜30%であり、当該溶融アルミニウムめっき鋼線からめっき層が除去された鋼線の長さ100mmあたりの平均径と当該鋼線の最小径との比が式(I):
[最小径/平均径]≧[1−(破断時の伸び(%)/100)] (I)
を満たすことを特徴とする溶融アルミニウムめっき鋼線、および
(2) 直径が0.1〜0.4mmである鋼線の表面にめっき層を有する溶融アルミニウムめっき鋼線の製造方法であって、溶融アルミニウムめっき鋼線からめっき層が除去された鋼線の長さ100mmあたりの平均径と当該鋼線の最小径との比が式(I):
[最小径/平均径]≧[1−(破断時の伸び(%)/100)] (I)
を満たし、溶融アルミニウムめっき鋼線に破断時の伸びが5〜30%となるように当該溶融アルミニウムめっき鋼線に伸線加工を施すことを特徴とする溶融アルミニウムめっき鋼線の製造方法
に関する。
本発明によれば、撚線加工を施す際の捻回性に優れている溶融アルミニウムめっき鋼線およびその製造方法が提供される。
本発明の溶融アルミニウムめっき鋼線を製造する際の一実施態様を示す概略説明図である。 本発明の溶融アルミニウムめっき鋼線を製造する際に、鋼線を溶融アルミニウムめっき浴から引き上げるときの鋼線と溶融アルミニウムめっき浴の浴面との境界部の概略断面図である。 本発明の各実施例および各比較例で用いられた溶融アルミニウムめっき鋼線の捻回性試験装置の概略説明図である。
以下に、本発明の溶融アルミニウムめっき鋼線を製造する方法の一実施態様を図面に基づいて説明するが、本発明は、当該一実施態様のみに限定されるものではない。
図1は、本発明の溶融アルミニウムめっき鋼線の製造方法の一実施態様を示す概略説明図である。図2は、本発明の溶融アルミニウムめっき鋼線を製造する際に、鋼線を溶融アルミニウムめっき浴から引き上げるときの鋼線と溶融アルミニウムめっき浴の浴面との境界部の概略断面図である。
本発明では、溶融アルミニウムめっき浴1に鋼線2を浸漬させた後、当該溶融アルミニウムめっき浴1から溶融アルミニウムめっき鋼線3を連続して引き上げることにより、溶融アルミニウムめっき鋼線3を製造することができる。
鋼線2を構成する鋼材としては、例えば、ステンレス鋼、軟鋼などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ステンレス鋼は、クロム(Cr)を10質量%以上含有する合金鋼である。ステンレス鋼としては、例えば、JIS G4309に規定されているオーステナイト系のステンレス鋼、フェライト系のステンレス鋼、マルテンサイト系のステンレス鋼などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ステンレス鋼の具体例としては、SUS301、SUS304などの一般にオーステナイト相が準安定であるとされるステンレス鋼;SUS305、SUS310、SUS316などの安定オーステナイト系ステンレス鋼;SUS405、SUS410、SUS429、SUS430、SUS434、SUS436、SUS444、SUS447などのフェライト系ステンレス鋼;SUS403、SUS410、SUS416、SUS420、SUS431、SUS440などのマルテンサイト系ステンレス鋼などをはじめ、SUS200番台に分類されるクロム−ニッケル−マンガン系のステンレス鋼などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
軟鋼は、JIS G3532の鉄線に規定されている鋼材、JIS G3505の軟鋼線材の規格に規定される鋼材などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
鋼材2のなかでは、溶融アルミニウムめっき鋼線3の引張強度を高める観点から、ステンレス鋼が好ましい。
伸線加工前の鋼線2の直径は、特に限定されず、溶融アルミニウムめっき鋼線3の用途に応じて適宜調整することが好ましい。例えば、溶融アルミニウムめっき鋼線3を自動車のワイヤーハーネスなどの用途に用いる場合には、伸線加工前の鋼線2の直径は、通常、0.2〜0.4mm程度であることが好ましい。
図1において、鋼線2は、当該鋼線2の送出装置4から送り出され、矢印A方向に連続的に搬送され、めっき浴槽5内の溶融アルミニウムめっき浴1に浸漬される。溶融アルミニウムめっき浴1に浸漬された鋼線2を溶融アルミニウムめっき浴1の浴面6から鉛直上方に引き上げることにより、鋼線2の表面に溶融アルミニウムめっき浴1が付着した溶融アルミニウムめっき鋼線3が得られる。
溶融アルミニウムめっき鋼線3の表面には、このように溶融アルミニウムめっき浴1が付着した被膜(めっき層)が形成されているので、当該溶融アルミニウムめっき鋼線3は、アルミニウム素線との密着性に優れ、引張強度および電気抵抗の経時的安定性にも優れている。
溶融アルミニウムめっき浴1には、アルミニウムのみが用いられていてもよく、必要により、本発明の目的を阻害しない範囲内で他の元素が含有されていてもよい。
前記他の元素としては、例えば、ニッケル、クロム、亜鉛、ケイ素、銅、鉄などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの他の元素をアルミニウムに含有させた場合には、被膜の機械的強度を高めることができ、ひいては溶融アルミニウムめっき鋼線3の引張強度を高めることができる。前記他の元素のなかでは、鋼線の種類にもよるが、鋼線に含まれている鉄と被膜に含まれているアルミニウムとの間で脆性を有する鉄−アルミニウム合金層の生成を抑制し、めっき被膜の機械的強度を高めるとともに、溶融アルミニウムめっき浴1の融点を低下させることにより、効率よく鋼線2をめっきさせる観点から、ケイ素が好ましい。
被膜における前記他の元素の含有率の下限値は、0質量%であるが、当該他の元素が有する性質を十分に発現させる観点から、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、撚線を製造する際に使用されるアルミニウム素線との接触による電位差腐食を抑制する観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
なお、溶融アルミニウムめっき浴1には、Fe、Cr、Ni、Zn、Cuなどの元素が不可避的に混入することがある。
鋼線2を溶融アルミニウムめっき浴1から引き上げる際には、図2に示されるように、当該鋼線2と溶融アルミニウムめっき浴1の浴面6との境界部で鋼線2に安定化部材7を接触させることが好ましい。
安定化部材7としては、例えば、表面に耐熱クロス材が巻かれたステンレス鋼製の角棒などが挙げられる。安定化部材7に巻かれている耐熱クロスは、溶融アルミニウムめっき鋼線3の表面に溶融アルミニウム塊が付着することを抑制する観点から、当該安定化部材7の新しい面(新生面)を鋼線2と接触させることが好ましい。安定化部材7の新しい面(新生面)は、例えば、耐熱クロスがあらかじめ巻回されている安定化部材7を用い、安定化部材7を鋼線2と接触させながら、鋼線2を引き上げているときに、当該耐熱クロスを順次巻き取ることによって形成させることができる。
安定化部材7は、溶融アルミニウムめっき浴1の浴面6と鋼線2との双方に同時に接触させることが好ましい。このように安定化部材7を溶融アルミニウムめっき浴1の浴面6と鋼線2との双方に同時に接触させた場合には、溶融アルミニウムめっき浴1の浴面6の脈動が抑制され、鋼線2を安定化部材7と接触させた状態で引き上げた際に鋼線2が微小振動することが抑制され、ひいては鋼線2の表面に溶融アルミニウムめっき浴1の被膜を均一に形成させることができる。なお、安定化部材7を鋼線2に接触させる際には、鋼線2が微小振動することを抑制する観点から、必要により、鋼線2に張力が加わるようにするために安定化部材7を鋼線2に軽く押し付けてもよい。
図1に示される実施態様では、鋼線2と溶融アルミニウムめっき浴1の浴面6との境界部に向けて不活性ガスを吹き付けるためのノズル8が設けられている。不活性ガスは、例えば、不活性ガス供給装置9から配管10を介してノズル8に供給することができる。なお、不活性ガス供給装置9内または配管10に不活性ガスの流量を調整するために、例えば、バルブなどの流量制御装置(図示せず)が設けられていてもよい。
本発明においては、鋼線2からノズル8の先端8aまでの距離(最短距離)およびノズル8の先端8aから吐出される不活性ガスの温度が適切に制御されているとともに、ノズル8の先端の内径と当該ノズル8から吐出される不活性ガスの体積流量が適切に制御されていることから、線径が均一であり、表面に溶融アルミニウム塊がほとんど付着しない溶融アルミニウムめっき鋼線3を効率よく製造することができる。
ノズル8の先端の内径は、当該ノズル8の先端8aから吐出された不活性ガスを的確に鋼線2と溶融アルミニウムめっき浴1の浴面6との境界部に吹き付けることにより、溶融アルミニウムめっき鋼線3を効率よく製造する観点から、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、線径が均一であり、表面に溶融アルミニウム塊がほとんど付着しない溶融アルミニウムめっき鋼線3を得る観点から、好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下、さらに好ましくは5mm以下である。
鋼線2からノズル8の先端8aまでの距離(最短距離)は、鋼線2との接触を回避し、溶融アルミニウムめっき鋼線3を効率よく製造する観点から、好ましくは1mm以上であり、線径が均一であり、表面に溶融アルミニウム塊がほとんど付着しない溶融アルミニウムめっき鋼線3を得る観点から、好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下、さらに好ましくは30mm以下、さらに一層好ましくは10mm以下である。
不活性ガスは、溶融しているアルミニウムに対して不活性であるガスを意味する。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。不活性ガスのなかでは、窒素ガスが好ましい。なお、不活性ガスには、本発明の目的を阻害しない範囲内で、例えば、酸素ガス、炭酸ガスなどが含まれていてもよい。
ノズル8の先端8aから吐出される不活性ガスの体積流量は、線径が均一であり、表面に溶融アルミニウム塊がほとんど付着しない溶融アルミニウムめっき鋼線3を得る観点から、好ましくは2L(リットル)/min以上、より好ましくは5L/min以上、さらに好ましくは10L/min以上であり、溶融アルミニウムめっき浴1の飛散によって溶融アルミニウムめっき鋼線3の表面に溶融アルミニウム塊が付着することを抑制する観点から、好ましくは200L/min以下、より好ましくは150L/min以下、さらに好ましくは100L/min以下である。
ノズル8の先端8aから吐出される不活性ガスの温度は、線径が均一であり、表面に溶融アルミニウム塊がほとんど付着しない溶融アルミニウムめっき鋼線3を得る観点から、好ましくは200℃以上、より好ましくは300℃以上、さらに好ましくは400℃以上であり、あまりにも高い場合には熱効率が低下することから、好ましくは800℃以下、より好ましくは780℃以下、さらに好ましくは750℃以下である。なお、ノズル8の先端8aから吐出される不活性ガスの温度は、ノズル8の先端8aから吐出されるノズル8の先端8a部における不活性ガスのなかに測温用熱電対を差し込むことによって測定したときの値である。
溶融アルミニウムめっき浴1の浴面6から溶融アルミニウムめっき鋼線3を引き上げる際の引き上げ速度は、特に限定されず、当該引き上げ速度を適宜調整することにより、溶融アルミニウムめっき鋼線3の表面に存在している溶融アルミニウムめっき被膜の平均厚さを調整することができることから、当該溶融アルミニウムめっき被膜の平均厚さに応じて適宜調整することが好ましい。
溶融アルミニウムめっき鋼線3が引き上げられる過程で冷却し、表面に形成されているアルミニウムめっき被膜を効率よく凝固させるために、図1に示されるように、必要により、冷却装置11が配設されていてもよい。冷却装置11では、溶融アルミニウムめっき鋼線3に、例えば、ガス、液体のミストなどを吹き付けることにより、当該溶融アルミニウムめっき鋼線3を冷却することができる。
以上のようにして製造された溶融アルミニウムめっき鋼線3は、例えば、巻取装置12などで回収することができる。
溶融アルミニウムめっき鋼線3の表面に存在している溶融アルミニウムめっき被膜の平均厚さは、撚り線加工、かしめ加工などの際に素地の鋼線2が露出することを抑制するとともに、単位線径あたりの機械的強度を高める観点から、5〜10μm程度であることが好ましい。
なお、溶融アルミニウムめっき鋼線3の鋼線2と溶融アルミニウムめっき被膜との間に中間層としてめっき層が形成されていてもよい。めっき層を構成する金属としては、例えば、亜鉛、ニッケル、クロム、これらの合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、溶融アルミニウムめっき被膜は、1層のみで形成されていてもよく、同一または異なる金属からなる複数のめっき皮膜が形成されていてもよい。
前記で得られた溶融アルミニウムめっき鋼線3には、線径が0.1〜0.4mmとなるように例えばダイスなどを用いて伸線加工を施すことができる。
また、溶融アルミニウムめっき鋼線3の破断時の伸びは、伸線加工後の溶融アルミニウムめっき鋼線3の捻回性を向上させる観点から、5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上であり、伸線加工後の溶融アルミニウムめっき鋼線3の捻回性を向上させる観点から、30%以下である。
なお、伸線加工後の溶融アルミニウムめっき鋼線3の破断時の伸びは、JIS Z2241に規定の「金属材料引張試験方法」に準じ、原標点距離を100±1mmに調節し、つかみ間距離を150mmに設定し、JIS Z2241の付属書C「径または辺が4mm未満の線及び棒に使用される線状又は棒状試験片の種類」の欄に記載されている9A号試験片を用いて測定したときの値である。
本発明においては、伸線加工後の溶融アルミニウムめっき鋼線からめっき層が除去された鋼線の長さ100mmあたりの平均径および当該鋼線の最小径が測定される。
伸線加工後の溶融アルミニウムめっき鋼線からめっき層を除去する方法には、特に限定がなく、例えば、常温の液温を有する5〜10%塩酸に当該溶融アルミニウムめっき鋼線を10分間程度浸漬することにより、当該溶融アルミニウムめっき鋼線からめっき層を除去することができる。
本発明者らは、溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線について、溶融アルミニウムめっき後に当該アルミニウムめっきステンレス鋼線の線径を測定し、めっき層の付着量のばらつきを調べ、当該アルミニウムめっきステンレス鋼線に伸線加工を施し、伸線加工が施されたアルミニウムめっきステンレス鋼線の引張試験による伸びを測定した後、捻回試験を行なうことにより、伸線加工後のアルミニウムめっきステンレス鋼線の伸びおよびめっき層の付着量のばらつきが捻回性に与える影響について調べた。その結果、溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線の捻回性は、おおむね以下に示すようになることが判明した。
(1)めっき層の付着量が同一の条件下では、めっき層の厚さのばらつきが大きいほど、捻回性が低下する傾向がある。
(2)伸線加工後の溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線の伸びが小さいほど、捻回性が低下する傾向がある。
溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線のめっき層の厚さが完全に均一である場合、当該溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線のステンレス鋼線の最小径が当該ステンレス鋼線の平均径と同一となることから、当該溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線を捻回したとき、当該溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線全体が均一に捻れるので、捻回数が最大となる。
しかし、溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線を製造する際に、めっき層の厚さを完全に均一にすることは困難である。めっき層の厚さが均一ではない溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線に伸線加工を施すことにより、外径が均一な伸線加工が施された溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線を製造したとき、ステンレス鋼線とめっき層との面積比は、伸線加工の前後では変化しないことから、伸線加工後のステンレス鋼線の断面積が伸線加工前のステンレス鋼線の断面積よりも相対的に小さくなるため、溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線のめっき層の厚さが大きい部分では、相対的にステンレス鋼線の線径が小さくなる。
したがって、めっき層の厚さが均一ではない溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線に捻回を行なった場合、捻回された溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線において、ステンレス鋼線の線径が最も小さい部分で破断するようになる。
溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線の線径が最も小さい箇所は、めっき層が最も厚い箇所であるが、当該めっき層は、アルミニウムで形成されており、当該アルミニウムはステンレス鋼と比べて強度が低いことから、捻回性の改善にほとんど寄与しない。
本発明者らは、溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線に撚線加工を施すために必要な捻回数を撚線の加工条件から推定した。
溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線の撚線の標準的な撚ピッチは、当該溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線の線径の20倍から40倍とされる。つまり溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線には、このピッチで1回の捻れが加わることになる。溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線の撚線加工時の捻回による破断を防止するためには、当該溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線の線径の10倍のピッチで1回転の捻りが加わった状態で破断しないことが、実使用上問題がないと考えられることから、合格基準を満たしているものと考えられる。
したがって、例えば、溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線の線径が0.2mmである場合、当該溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線の長さ100mmあたり50回以上の捻回でも鋼線の破断がないとき、合格基準を満たすことになり、溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線の線径が0.32mmである場合、当該溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線の長さ100mmあたり32回以上の捻回でも鋼線の破断がないとき、合格基準を満たすことになる。
前記合格基準のもと、溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線のめっき層の付着量のばらつきと伸線加工後の溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線の破断時の伸びとの関係を調べた。
その結果、伸線加工後の溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線のめっき層を除去した後のステンレス鋼線の最小線径/平均線径と当該溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線の伸びとの関係が式(I):
[最小径/平均径]≧[1−(破断時の伸び(%)/100)] (I)
を満たすとき、伸線加工後の溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線を当該溶融アルミニウムめっきステンレス鋼線の線径の10倍のピッチで捻回しても破断しないことが判明した。
したがって、本発明において、破断時の伸びが5〜30%であり、当該溶融アルミニウムめっき鋼線からめっき層が除去された鋼線の長さ100mmあたりの平均径と当該鋼線の最小径との比が前記式(I)を満たす溶融アルミニウムめっき鋼線は、捻回性に優れていることが認められる。
本発明の溶融アルミニウムめっき鋼線は、例えば、自動車のワイヤーハーネスなどに好適に使用することができる。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1〜8および比較例1〜9
図1に示される実施態様に基づいて溶融アルミニウムめっき鋼線を製造した。
鋼線として、表1に示すめっき前の線径を有し、表1に示す破断時の伸びを有するSUS304からなるステンレス鋼線を用いた。当該ステンレス鋼線を窒素ガス中で予熱した後、溶融アルミニウムめっき浴中に通線し、浴面から垂直に引き上げ、浴面からの引き上げ部で鋼線の周囲にできるメニスカスに耐熱クロスを接触させ、接触部に加熱した窒素ガスを吹き付けることにより、めっきの付着量を安定化させた。なお、通線速度を300m/minとした。
以上のようにして得られた溶融アルミニウムめっき鋼線の線径を測定した。なお、溶融アルミニウムめっき鋼線の線径は、光学式外径測定器[(株)キーエンス製、品番:LS−7000]を用い、長さ方向で0.08mm間隔にて鋼線の直径断面の直交する2方向から線径を10回測定し、その平均値を線径とした。溶融アルミニウムめっき鋼線の線径を表1の「めっき後の線径」の欄に記載した。
次に、溶融アルミニウムめっき鋼線をダイスに通過させることにより、表1の「伸線後の線径」の欄に示す線径となるように当該溶融アルミニウムめっき鋼線に伸線加工を施した。
伸線加工が施された溶融アルミニウムめっき鋼線の一部(長さ:100mm)を切り取り、常温の液温を有する10%塩酸に当該溶融アルミニウムめっき鋼線を10分間程度浸漬することにより、当該溶融アルミニウムめっき鋼線からめっき層を除去することにより、ステンレス鋼線を取り出し、当該ステンレス鋼線の線径を前記と同様にして調べた。その結果を表1の「伸線後の鋼線の線径」の欄に記載した。
次に、前記で得られた溶融アルミニウムめっき鋼線100mmに対し、引張試験を5回行ない、その平均から破断時の伸びを測定した。その結果を表1の「破断時の伸び」の欄に記載した。
また、図3に示される溶融アルミニウムめっき鋼線の捻回性試験装置を用いて前記で得られた溶融アルミニウムめっき鋼線の捻回試験を行なった。図3は、溶融アルミニウムめっき鋼線の捻回性試験装置の概略説明図である。
より具体的には、捻回性試験装置の試験線13をチャック14aおよび14bで掴み、チャック14aとチャック14bとの間の距離を100mmに設定し、試験台15上の台車16に固定されたおもり17(質量:50g)による荷重を付与し、試験線13が撓まないようにした。次に、チャック14bを矢印B方向に回転させ、試験線13が破断するまでの回転数を整数値で求め、これを捻回数とした。その測定結果を表1の「捻回数」の欄に記載した。
〔評価〕
各実施例および各比較例で得られた溶融アルミニウムめっき鋼線が前記式(I)を満たすかどうかを調べ、前記式(I)を満たす場合には「○」を、前記式(I)を満たさない場合には「×」を表1の「捻回性」の「判別式」の欄に記載した。
また、前記で測定された捻回数の実測値が表1に記載の目標値以上である場合を「○」、そうでない場合を「×」と評価し、その結果を表1の「捻回性」の「実測」の欄に記載した。
Figure 2017193772
表1に示された結果から、各実施例によれば、撚線加工を施す際の捻回性に優れている伸線加工が施された溶融アルミニウムめっき鋼線を得ることができることがわかる。
本発明の製造方法によって得られた溶融アルミニウムめっき鋼線は、例えば、自動車のワイヤーハーネスなどに好適に使用することができる。
1 溶融アルミニウムめっき浴
2 鋼線
3 溶融アルミニウムめっき鋼線
4 送出装置
5 めっき浴槽
6 溶融アルミニウムめっき浴の浴面
7 安定化部材
8 ノズル
8a ノズルの先端
9 不活性ガス供給装置
10 配管
11 冷却装置
12 巻取装置
13 試験線
14aチャック
14bチャック
15 試験台
16 台車
17 おもり

Claims (2)

  1. 直径が0.1〜0.4mmである鋼線の表面にめっき層を有する溶融アルミニウムめっき鋼線であって、破断時の伸びが5〜30%であり、当該溶融アルミニウムめっき鋼線からめっき層が除去された鋼線の長さ100mmあたりの平均径と当該鋼線の最小径との比が式(I):
    [最小径/平均径]≧[1−(破断時の伸び(%)/100)] (I)
    を満たすことを特徴とする溶融アルミニウムめっき鋼線。
  2. 直径が0.1〜0.4mmである鋼線の表面にめっき層を有する溶融アルミニウムめっき鋼線の製造方法であって、溶融アルミニウムめっき鋼線からめっき層が除去された鋼線の長さ100mmあたりの平均径と当該鋼線の最小径との比が式(I):
    [最小径/平均径]≧[1−(破断時の伸び(%)/100)] (I)
    を満たし、溶融アルミニウムめっき鋼線に破断時の伸びが5〜30%となるように当該溶融アルミニウムめっき鋼線に伸線加工を施すことを特徴とする溶融アルミニウムめっき鋼線の製造方法。
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