JP2017191012A - 可溶性インターロイキン2受容体の免疫学的測定法 - Google Patents

可溶性インターロイキン2受容体の免疫学的測定法 Download PDF

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Abstract

【課題】生体試料中のsIL−2Rを免疫学的に検出する場合に、異なる血液凝固阻害剤の使用による血清、ヘパリン加血漿、EDTA加血漿といった被検試料の種類に関わらず、被検試料中の干渉物質の影響を受けることなく、汎用的に簡便且つ高精度な測定値を得ることができる測定方法及びキットを提供する。【解決手段】可溶性インターロイキン2受容体とそれに特異的に結合する抗体との免疫複合体の形成を硫酸化多糖類及びキレート剤の存在下で行う。前記キットは、可溶性インターロイキン2受容体に特異的に結合する抗体、硫酸化多糖類を含有する緩衝液、及び、キレート剤を含有する緩衝液を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、可溶性インターロイキン2受容体の免疫学的測定法およびキットに関する。特に、可溶性インターロイキン2受容体の免疫学的測定において、異種被検試料間の測定値乖離を抑制する免疫学的測定法およびキットに関する。
抗原抗体反応により光学的に測定する免疫学的測定法において、フィブリノ−ゲンを含む生体試料中の微量成分を、ヘパリンやEDTA等の抗凝固作用を有する物質を共存させてフィブリンの析出を阻止した状態で測定することを特徴とする、フィブリノ−ゲンを含む生体試料中微量成分の測定方法が知られている(特許文献1)。しかし、採取する採血管の違い、例えば、血清被検試料と血漿被検試料の測定値が乖離する現象が確認され問題になる場合がある。乖離の原因は測定対象項目により様々であり、これまでに知られている知見の一つには、血漿中に含まれるフィブリノーゲンの不溶化による血漿被検試料の測定値への影響が挙げられる。その影響を、界面活性剤を含む反応系に配位数3個以下のキレート剤を含ませることで回避する技術が知られている(特許文献2)。
インターロイキン−2(以下、IL−2と略することがある)は133個のアミノ酸からなるサイトカインである。IL−2は、主に免疫系への活性化に関与し、様々な生理活性を有しており、CD4+やCD8+のT細胞より主に産生され、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)からも産生される。
IL−2の受容体(以下、IL−2Rと略することがある)はα鎖、β鎖、γ鎖からなるが、α鎖の一部が細胞上から遊離した可溶性インターロイキン−2受容体(以下、sIL−2Rと略することがある)が血中に存在することが知られている。sIL−2Rは活性化T細胞、B細胞によって産生される。生体の免疫防御機構の活性化、T細胞系及びB細胞系などの活性化に伴い血中のsIL−2Rが上昇することが報告されている。血清中のsIL−2R濃度は、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患や、ウイルス性肝炎、後天性免疫不全症候群(AIDS)などのウイルス感染症の患者で高値を示し、体内の活性化リンパ球の指標の1つとなることが報告されている。また腫瘍細胞がsIL−2Rを産生し、成人T細胞白血病(ATL)や非ホジキンリンパ腫の進行と血清中のsIL−2R濃度の変動が良く相関することが知られている。このように様々な免疫系の疾患や病態との関連が報告され、造血疾患のなかで有望な血液中のマーカーとなってきている。血清中のsIL−2R濃度は成人T細胞白血病においては病態モニタリングの指標など、非ホジキンリンパ腫においては治療効果の判定、寛解後のフォロー、再発の早期発見の指標などとして臨床的に有効活用されている。
種々のsIL−2Rの免疫学的測定法が報告されている(特許文献3)。
また、血清又は血漿中のsIL−2R定量用試薬としては、「デミタナーCL IL−2R」、「セルフリーIL−2Rメデックス」(協和メデックス社製)、「シーメンス・イムライズIL−2R II」(シーメンス社製)等があり、臨床の現場で使用されている。
また、IL−2Rはマトリックスメタロプロテアーゼ9によりT細胞表面上のαサブユニット(CD25)が血中に放出される。細胞表面抗原の切断及び血中への分泌に採血管中のEDTAが関与することも知られている(非特許文献1)。sIL−2R測定としては、血清を使用することが多く、例えば、「デミタナーCL IL−2R」「セルフリーIL−2Rメデックス」(協和メデックス社製)の場合には、血清のみが対象とされ、「シーメンス・イムライズIL−2R II」(シーメンス社製)の場合には、血清とヘパリン加血漿のみが対象とされている。このように、被検試料として、汎用的に簡便且つ高精度にsIL−2Rの免疫学的測定を行うことができなかった。
特開平7−20128号公報 特許第5189067号公報 特許第5559747号公報
The effects of anticoagulation and processing on assays of IL-6, sIL-6R, sIL-2R and soluble transferrin receptor. De Jongh et al., Cytokine (1997) Sep;9(9):696-701.
本発明者らは、後述する実施例でも詳述するが、免疫学的手法により生体試料(被検試料として血清及びヘパリン加血漿及びEDTA加血漿)中のsIL−2Rを測定することを試みたところ、該生体試料から調製された測定用の被検試料(以下、検体と称する場合がある)の種類が異なることによって、測定値に違いが生じることに気がついた。
本発明は、生体試料中のsIL−2Rを検出する場合に、異なる血液凝固阻害剤の使用による血清、ヘパリン加血漿、EDTA加血漿といった被検試料の種類に関わらず、被検試料中の干渉物質の影響を受けることなく、汎用的に簡便且つ高精度な測定値を得ることができる測定方法及びキットを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような現状に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、血清及びヘパリン加血漿及びEDTA加血漿中のsIL−2Rを免疫学的に測定する方法において、反応液中にキレート剤及び硫酸化多糖類が添加された条件下で、該sIL−2Rを測定することによって、被検試料の種類に関わらず、被検試料中の干渉物質の影響を受けることなく汎用的に簡便且つ高精度な測定値を得ることを見出して、本発明を完成した。
よって、本発明は、
[1]生体試料中の可溶性インターロイキン2受容体を免疫学的に測定する方法において、該可溶性インターロイキン2受容体とそれに特異的に結合する抗体との免疫複合体の形成を硫酸化多糖類及びキレート剤の存在下で行うことを特徴とする、該可溶性インターロイキン2受容体を測定する方法、
[2]生体試料中の可溶性インターロイキン2受容体の免疫学的測定において、抗凝固剤としてヘパリンを添加した血液試料を用いた場合の測定値と、EDTAを添加した血液試料を用いた場合の測定値と、血清を用いた場合の測定値との間の乖離を減少させる方法であって、可溶性インターロイキン2受容体とそれに特異的に結合する抗体との免疫複合体の形成を硫酸化多糖類及びキレート剤の存在下で行うことを特徴とする、前記方法、
[3]前記キレート剤を検体希釈液及び/又は抗体溶液に含有する、[1]又は[2]の方法、
[4]前記硫酸化多糖類を検体希釈液及び/又は抗体溶液に含有する、[1]〜[3]のいずれかの方法、
[5]可溶性インターロイキン2受容体に特異的に結合する第1抗体と第2抗体を接触させ、抗原抗体反応により形成された免疫複合体を測定する、[1]〜[4]のいずれかの方法、
[6][1]〜[5]のいずれかの方法のための、可溶性インターロイキン2受容体に特異的に結合する抗体、硫酸化多糖類を含有する緩衝液、及び、キレート剤を含有する緩衝液を含む、該可溶性インターロイキン2受容体測定キット
に関する。
本発明の方法、及び試薬キットを用いることにより、生体試料中のsIL−2Rを、被検試料(血清及びヘパリン加血漿及びEDTA加血漿)の種類に関わらず、被検試料中の干渉物質の影響を受けることなく、汎用的に簡便且つ精度よく測定することができる。
本発明における生体試料とは、ヒト等から採取されたsIL−2Rを含む可能性がある試料である。生体試料としては、全血、血清、血漿などの血液試料などが挙げられるが、特に被検試料に、血清及びヘパリン加血漿及びEDTA加血漿が含まれることが好ましい。
本発明に使用可能な被検試料(検体)としては、前記生体試料から調製することができる測定用試料であれば良く、例えば、血液試料を対象とした場合には、血液凝固阻害剤を使用して得た全血、血清、血漿などの検体が挙げられる。血液凝固阻害剤としては、例えば、ヘパリン、EDTA、クエン酸等を用いることができる。これらは、好ましくは、ヒト等の測定対象から採血を行う際に、あらかじめ採血管等に添加して用いることができる。本発明によれば、血清及びヘパリン加血漿及びEDTA加血漿を、いずれかに限定することなく対象とすることができるので好ましい。
本発明で対象とする可溶性インターロイキン2受容体(sIL−2Rと略することがある)とは、主に免疫細胞であるT細胞の膜上に存在し、リガンドであるインターロイキン2と複合体を形成し、T細胞機能の活性化を促進するなど、免疫反応に関与している受容体である2)。インターロイキン2受容体は3種類サブタイプを持ち、その中のαサブユニットは細胞膜から単離し、血中に存在することが知られている。可溶性インターロイキン2受容体はインターロイキン2との結合性を保持することから、生体の免疫調節にも関与しているとされ、臨床現場では主に急性白血病のマーカーとして使用されている。
本発明で使用可能な免疫学的測定法は、測定対象物質に特異的な抗体を使用する公知の方法であれば良い。例えば、免疫比濁法(TIA)、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、ラテックス凝集反応法、蛍光免疫測定法、イムノクロマト法等が挙げられる。具体的には、反応液中で、被検試料中の測定対象物質と該測定対象物質に特異的な抗体との免疫複合体を形成させ、その形成されたことによるシグナルを適宜検出することで該測定対象物質の存在を検出する方法である。測定系によって使用する抗体は決定することができるが、高感度に定量的に測定する際には、2種類以上の抗体を使用するサンドイッチ免疫学的測定法(サンドイッチイムノアッセイ)を選択することができる。サンドイッチ免疫学的測定法の方法は、1以上の段階(2段階、3段階など)で実施してもよい。
例えば、生体試料中に含まれるsIL−2Rを測定対象物質として、これを測定する場合には、前述のように該生体試料から調製された検体を、更に検体希釈液で測定用検体として調製し、sIL−2Rに特異的に結合する抗体(第1抗体)を担持させた不溶性担体、および標識物質で標識化された第1抗体とは異なるsIL−2Rに特異的に結合する抗体(第2抗体)とを混合して免疫複合体を形成させ、洗浄によって未反応の抗体およびsIL−2Rを除去(B/F分離)した後、不溶性担体に結合した標識物質の量を測定することによって行うことができる。
上記の不溶性担体は、当該技術において通常用いられるものを用いることができる。不溶性担体の材料としては、例えば、ラテックス、ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、スチレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタクリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタクリレート共重合体、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)、シリコーンなどのポリマー材料;アガロース;ゼラチン;赤血球;シリカゲル、ガラス、不活性アルミナ、磁性体などの無機材料などが挙げられる。これらの1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
また、不溶性担体の形状としては、マイクロタイタープレート、試験管、ビーズ、粒子、ナノ粒子などが挙げられる。粒子としては、磁性粒子、ポリスチレンラテックスのような疎水性粒子、粒子表面にアミノ基、カルボキシル基などの親水基を有する共重合ラテックス粒子、赤血球、ゼラチン粒子などが挙げられる。中でも、迅速簡便なB/F分離を実現する観点においては磁性粒子が特に好ましく、具体的には、例えば、四酸化三鉄(Fe)、三酸化二鉄(Fe)、種々のフェライト、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、クロムなどの金属、コバルト、ニッケル、マンガンなどの合金からなる微粒子等の磁性粒子が好ましく用いられる。また、これらの磁性粒子を、ポリスチレン等の高分子のラテックスや、ゼラチン、リポソーム等の内部に含まれる形で調製したり、表面に固定化したものを好ましく用いることができる。
これらの不溶性担体に第1抗体を固定化させる方法は、当該技術において公知である。該固定化は、例えば物理的吸着法、共有結合法、イオン結合法、これらの組み合わせなどにより行うことができる。
標識物質は、通常の免疫学的測定法において用い得る標識物質であれば特に限定されず、例えば、酵素、蛍光物質、放射性同位元素、不溶性粒状物質などが挙げられる。該標識用の酵素としては、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、チロシナーゼ、酸性ホスファターゼなどが上げられる。蛍光物質としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、グリーン蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェリンなどが上げられる。放射性同位元素としては、125I、14C、32Pなどが挙げられる。
また、標識物質が酵素である場合、該酵素に対する基質を用いて発光、蛍光又は発色反応を行うことにより、標識物質を測定できる。例えば、酵素がアルカリホスファターゼである場合、基質としては、CDP−star(登録商標)(4−クロロ−3−(メトキシスピロ{1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン}−4−イル)フェニルリン酸2ナトリウム)、CSPD(登録商標)(3−(4−メトキシスピロ{1,2−ジオキセタン−3,2−(5’−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン}−4−イル)フェニルリン酸2ナトリウム)、AMPPD(登録商標)(アダマンチルメトキシフェニルホスホリルジオキシセタン)、APS−5などの化学発光基質;4−メチルウンベリフェリルフォスフェート(4−methylumbelliferylphosphate)などの蛍光基質;p−ニトロフェニルホスフェート、BCIP(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸)、NBT(4−ニトロブルーテトラゾリウムクロリド)、INT(ヨードニトロテトラゾリウム)などの発色基質を用いることができる。
本発明において用いられるsIL−2Rに特異的に結合する抗体は、当業者であれば公知のものを適宜選択して使用することができる。例えば、sIL−2Rのアミノ酸配列や立体構造等をエピトープとして認識するモノクローナル抗体、またはポリクローナル抗体であれば特に限定するものではないが、例えば、抗体AM92.3(ピアース社製)、モノクローナル抗体7G7/B6(ピアース社製)、MAB223(R&D Systems社製)、MAB623(R&D Systems社製)、MAB1020(R&D Systems社製)、YNRhIL2R(SANTA CRUZ BIOTECHNOLOGY社製)、IL2R.1(アブカム社製)、B−B10(Lifetechnologies社製)、EPR6452(Genetex社製)、OAPA00004(AVIVA system biology社製)、DM254−05(Acris antibodies社製)等が挙げられる。
これらの抗体は、公知の方法に従って、例えば、sIL−2Rの場合には、ヒトT細胞から精製したsIL−2Rや、in vitroで作製したリコンビナントのsIL−2Rなどを抗原とし、動物に免疫して作製し、更に、エピトープを決定することができる。エピトープとは、抗体が認識する最少の領域だけでなく、抗体が認識可能な領域として同定されたものを意味する。また、公知の方法で調製可能なFabなどの抗体フラグメントであってもよい。また、これらの抗体は、Genway Biotech社、Diaclone社、Santa Cruz社、R&D Systems社、などから適宜購入することができる。
本発明の測定において、2種類の抗体を使用する場合、生体試料中のsIL−2Rと免疫複合体を形成することが可能であれば、限定するものではないが、第1抗体と第2抗体が認識するエピトープが異なる方が好ましい。また、モノクローナル抗体とポリクローナル抗体は適宜組み合わせて使用することができる。また、第1抗体および第2抗体は、それぞれ1種類に限定することなく2種類以上を併用することができる。
本発明における硫酸化多糖類及びキレート剤の添加は、上記の免疫学的測定法において、sIL−2Rと該sIL−2Rに特異的に結合する抗体の少なくとも第一回目の免疫複合体形成時(反応液中)に存在するように行われば良い。具体的には、免疫複合体形成時(反応液中)に同時に添加されても良いが、複合体形成前(前記抗体と前記測定対象物質含有検体が接触する前)に、検体に添加されても良い。該硫酸化多糖類と該キレート剤は、同時に添加されても良いし、別々に添加されても良い。当業者であれば、適宜、設定することができる。
また、添加される硫酸化多糖類及びキレート剤は、公知の緩衝液に溶解されて溶液として調製され得る。緩衝剤の他、単独で調製されても良いが、検体の前処理や、反応時に必要な公知の物質と共に調製されても良い。硫酸化多糖類及びキレート剤は、前記のように、少なくとも免疫複合体形成時(反応液中)に添加されていれば良いので、その際に存在させることが可能な緩衝液等に含有させることができる。免疫複合体形成時に存在させることが可能な緩衝液等とは、使用する測定法や装置によって適宜設定可能であるが、例えば、検体希釈液や、抗体溶液(抗体固相粒子液や、標識抗体液など)などが挙げられる。また、複数の緩衝液に添加させても良い。該硫酸化多糖類と該キレート剤は、同じ緩衝剤に添加されても良いし、別々の緩衝剤に添加されても良い。当業者であれば、適宜、設定することができる。
本発明における硫酸化多糖類としては、硫酸デキストラン、βシクロデキストリン硫酸、N−アセチルヘパリン(NAH)、N−アセチル−脱−O−硫酸化−ヘパリン(NA−de−o−SH)、脱−N−硫酸化−ヘパリン(De−NSH)、脱−N−硫酸化−アセチル化−ヘパリン(De−NSAH)、過ヨウ素−酸酸化ヘパリン(POH)、化学的硫酸化ラミナリン(CSL)、化学的硫酸化アルギン酸(CSAA)、化学的硫酸化ペクチン(CSP)、ヘパリン−誘導オリゴ糖(HDO)、ペントサンポリサルフェート(PPS)、およびフコイダン等が挙げられる。好ましくは、硫酸デキストラン、βシクロデキストリン硫酸が挙げられる。該物質が、反応液中でイオンとして存在できるように供給されればどのような形態で添加されても良いが、例えば、塩化硫酸化多糖類、臭化硫酸化多糖類等が挙げられ、具体的には、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化アンモニウム等が挙げられ、塩化ナトリウムが好ましい。
本発明における硫酸化多糖類の濃度としては、前記免疫複合体形成時の濃度として、0.0000004%より大きく、0.000004%以上、好ましくは0.00004%以上、より好ましくは0.0004%以上、より好ましくは0.004%以上、より好ましくは0.04%以上、より好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.02%以上、また、1%以下、好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.04%以下の範囲から適宜組み合わせて選択される。本発明では、生体試料中の硫酸化多糖類(例えば、ヘパリン加血漿中のヘパリン)の存在にかかわらず、反応液中の硫酸化多糖類が上記の濃度範囲となるように存在させておくものである。尚、反応液中の硫酸化多糖類をあまり高めると、抗原抗体反応が抑制(阻害)されて目的の測定が精度よく行なうことができなくなるので、注意が必要である。また、本発明に従って検体の種類に関係なく安定して高精度に生体試料中のsIL−2Rを測定するために、検体に含まれるsIL−2Rの量や使用する硫酸化多糖や組み合わせて使用するキレート剤によって、添加する濃度を決定することは設計の範囲である。
例えば、デキストラン硫酸(分子量20,000)は0.000004%以上0.04%以下、デキストラン硫酸(分子量4,000)は0.0004%以上0.04%以下、βシクロデキストリン硫酸塩は0.02%以上0.4%以下等が挙げられる。
本発明におけるキレート剤としては、Bicine[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン]、CyDTA(トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン−N,N,N’,N’’,N’’−五酢酸)、EDTA(エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸)、EDDP(エチレンジアミン−N,N’−二プロピオン酸)、EDTA−OH[N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸]、EGTA[O,O’−ビス(2−アミノエチル)エチレングリコール−N,N,N’,N’−四酢酸]、HIDA[N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸]、IDA(イミノ二酢酸)、NTA(ニトリロ三酢酸)、NTPO[ニトリロトリス(メチレンホスフィン酸)]、TPEN[N,N,N’,N’−テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン]、TTHA(トリエチレンテトラミン−N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’−六酢酸)、グルコン酸、クエン酸、ADA[N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸]、Tricine{N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン}、Tris{N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン}等が挙げられる。好ましくは、EDTA、CyDTA、TTHA、EGTA、DPTA、NTAが挙げられ、より好ましくは、EDTA、TTHA、NTAが挙げられる。該キレート剤が、反応液中でイオンとして存在できるように供給されればどのような形態で添加されても良いが、例えば、塩化物キレート、臭化物キレート等が挙げられ、具体的には、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化アンモニウム等が挙げられ、塩化ナトリウムが好ましい。
本発明におけるキレート剤の濃度としては、前記免疫複合体形成時の濃度として、0.004mmol/Lより大きく、0.02mmol/L以上、好ましくは0.04mmol/L以上、より好ましくは0.08mmol/L以上、また、10mmol/L以下、好ましくは6mmol/L以下、より好ましくは4mmol/L以下、更に好ましくは2mmol/L以下の範囲から適宜組み合わせて選択される。本発明では、生体試料中のキレート剤(例えば、EDTA加血漿中のEDTA)の存在にかかわらず、反応液中のキレートイオンが上記の濃度範囲となるように存在させておくものである。尚、反応液中のキレートイオン濃度をあまり高めると、抗原抗体反応が抑制(阻害)されて目的の測定が精度よく行なうことができなくなるので、注意が必要である。また、本発明に従って検体の種類に関係なく安定して高精度に生体試料中のsIL−2Rを測定するために、検体に含まれるsIL−2Rの量や使用するキレート剤や組み合わせて使用する硫酸化多糖類によって、添加する濃度を決定することは設計の範囲である。
例えば、ニトリロトリ酢酸は0.08mmol/L以上0.38mmol/L以下、エチレンジアミン四酢酸は0.08mmol/L以上3.85mmol/L以下、トリエチレンテトラミン六酢酸は0.02mmol/L以上1.92mmol/L以下等が挙げられる。
本発明における硫酸化多糖類及びキレート剤の濃度や種類は、後述の実施例に示すように、EDTAを添加した血液試料(EDTA加血漿)、ヘパリンを添加した血液試料(ヘパリン加血漿)と、それ以外の血液試料(血清)とを用意し、複数の異なる濃度の硫酸化多糖類やキレート剤の存在下で、各血液試料中のsIL−2Rを測定し、両試料の測定値が一致する硫酸化多糖類やキレート剤の濃度範囲を把握することにより、当業者であれば容易に決定することができる。すなわち、本発明における硫酸化多糖類やキレート剤の濃度や種類は、抗凝固剤としてEDTAを添加した血液試料(EDTA加血漿)及びヘパリンを添加した血液試料(ヘパリン加血漿)を用いた場合の測定値と、それ以外の血液試料(血清)を用いた場合の測定値とが一致する濃度範囲から選択することができる。測定値が一致するとは、具体的には、測定値(測定機器から提供された光学カウントや標準物質を用いて計算された濃度等)が、マイナス10%〜プラス10%の間に入っていることを意味する。一般的に、この間に入っていれば、臨床的に有用であるとすることができる。
本発明のキットは、本発明の方法を実施するために用いることができ、sIL−2Rに特異的に結合する抗体と、硫酸化多糖類を含有する緩衝液と、キレート剤を含有する緩衝液を含む。該硫酸化多糖類とキレート剤は、同じ緩衝液に添加されていても良いし、異なる緩衝液に添加されていても良い。
測定対象物質に特異的に結合する抗体とは、前述した公知の抗体を使用することができるし、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体のいずれであることもできる。また、心筋トロポニンへの特異的結合能を保持する抗体断片、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、又はFvとして、キットに用いることもできる。
更に、前記抗体は、そのままの状態でキットに用いることもできるし、利用する免疫学的手法に基づいて、それに適した形態、例えば、ラテックス凝集免疫測定法を利用するのであれば、ラテックス担体に固定した状態で、磁性粒子などを利用した高感度測定法を利用するのであれば、磁性粒子に固定した状態で、イムノクロマトグラフ法などの基板を利用する方法であれば、基板に固定した状態で、標識物質(例えば、酵素、蛍光物質、化学発光物質、放射性同位体、ビオチン、アビジン)による標識の必要があれば、標識化した状態で、キットに用いることもできる。
前記硫酸化多糖類及び/又はキレート剤を含む緩衝液としては、前述を参照すれば良いが、例えば、検体希釈液や、抗体溶液(抗体固相粒子液や、標識抗体液など)などが挙げられる。好ましくは、検体希釈液として調製されていると良い。
また、本発明のキットには、本発明のキットを使用する免疫学的測定法の実施手順に関する説明、キット自体の保存・取り扱いなどに関する注意事項などが記載された取扱説明書を含むことができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《参考例1:可溶性インターロイキン2受容体測定用試薬の作製と測定》
参考例1−1:可溶性インターロイキン2受容体測定用試薬の作製と被検試料の調製
可溶性インターロイキン2受容体の測定用試薬として、可溶性インターロイキン2受容体(sIL−2R)測定用の試薬を作製した。
・検体希釈液:0.1mol/L HEPES(8.0)、0.15mol/L NaCl、0.05% Tween20を含む緩衝液を使用した。
・第1抗体溶液:磁性ラテックス粒子(JSR社)にsIL−2Rを認識するマウスモノクローナル抗体(R&D Systems社製)を結合した磁性粒子溶液を用いた。
・第2抗体溶液:sIL−2Rを認識する別のマウスモノクローナル抗体(R&D Systems社製)をマレイミド法によりアルカリホスファターゼ(ALP)標識した標識抗体溶液を用いた。
・発光基質溶液:CDP−star(アプライドバイオシステム社製)を使用した。
・B/F洗浄液:0.01mol/L MOPS(7.5)、0.15mol/L NaCl、0.05% Triton X−100を含む緩衝液を使用した。
・標準品:組み換えsIL−2R(R&D Systems社製)を100000、40000、2500、500、0U/mLになるように希釈したものを用いた。希釈には0.05mol/L PBS(7.4)、0.05% Tween20、0.1% BSA、0.05% アジ化ナトリウムを含む緩衝液を使用した。
・被検試料(検体)は、常法に従って健常人から取得した血清、ヘパリン加血漿、EDTA加血漿を用いた。
参考例1−2:可溶性インターロイキン2受容体測定用試薬による測定
全自動臨床検査システム(STACIA:LSIメディエンス社製)による測定
STACIA専用ボトルに、調製した検体希釈液、第1抗体溶液(磁性ラテックス試薬)、第2抗体溶液(酵素標識抗体試薬)をそれぞれ充填し、装置にセットした。以下、前記装置の運転方法に従い、測定した。
具体的には、検体5μLに検体希釈液50μLを加え、37℃で3.5分間加温した後、第1抗体溶液(磁性ラテックス試薬)25μLを加え、37℃で4.2分間加温した。検体中のsIL−2Rは第1抗体(磁性ラテックス)と反応し、磁性ラテックス−sIL−2R複合体を形成した。次いで、第2抗体溶液(酵素標識抗体試薬)50μLを加え、37℃で4.4分間加温した。第2抗体溶液(ALP標識抗体)を加えると、ALP標識抗体は磁性ラテックス−sIL−2R複合体と反応し、磁性ラテックス−sIL−2R−ALP標識抗体複合体を形成した。B/F洗浄液により洗浄した後、発光基質溶液(CDP−Star)100μLを加え、37℃で2.7分間反応後に発光量を測定した。CDP−Starを加えると、CDP−Starは複合体中のALPにより加水分解され発光する。検出は、光電子増倍管(PMT)により検出される化学発光基質の発光カウントを測定し、前記標準品を使用し、公知の方法に従って、発光カウントから各濃度(U/mL)を算出した。
《実施例1:反応液への硫酸化多糖類及びキレート剤の添加によるsIL−2Rの反応性への影響1》
βシクロデキストリン硫酸塩を、反応液中に0.04%になるように検体希釈液に添加したこと、及び、各キレート剤を、反応液中に下記の濃度になるように検体希釈液に添加したこと以外は、参考例1に従って行った。
・ニトリロトリ酢酸を、反応液中に各濃度(0、0.04、0.08、0.38mmol/L)になるように検体希釈液に添加した。
・エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を、反応液中に各濃度(0、0.02、0.04、0.08、0.15、0.77、1.92、3.85mmol/L)になるように検体希釈液に添加した。
・トリエチレンテトラミン六酢酸を、反応液中に各濃度(0、0.004、0.02、0.04、0.38、1.92mmol/L)になるように検体希釈液に添加した。
それ以外は、参考例1に従って行った。
その結果を表1に示す。ヘパリン加血漿又はEDTA加血漿のカウントを血清のカウントで割った後100を掛けたものを、ヘパリン加血漿/血清、又は、EDTA加血漿/血清として示した。
その結果、従来使用されているキレート剤添加の無い検体希釈液だと、血清およびヘパリン加血漿とEDTA加血漿では、可溶性インターロイキン2受容体の反応性が異なることがわかった。さらに、ニトリロトリ酢酸は0.08mmol/L以上0.38mmol/L以下、エチレンジアミン四酢酸は0.08mmol/L以上3.85mmol/L以下、トリエチレンテトラミン六酢酸は0.02mmol/L以上1.92mmol/L以下添加されることにより、血清およびヘパリン加血漿はEDTA加血漿の可溶性インターロイキン2受容体の反応性が一致することが確認された。血清とヘパリン加血漿及びEDTA加血漿の反応性を一致させるには、硫酸基を持つ多糖類及びキレート剤の添加が必要であることが示された。
Figure 2017191012
《実施例2:反応液への硫酸化多糖類及びキレート剤の添加によるsIL−2Rの反応性への影響2》
エチレンジアミン四酢酸を、反応液中に0.15mmol/Lになるように添加したこと及び、各硫酸化多糖類を、反応液中に下記の濃度になるように検体希釈液に添加したこと以外は、参考例1に従って行った。
・デキストラン硫酸(分子量20,000)を、反応液中に各濃度(0.0000004、0.000004、0.00004、0.0004、0.004、0.04%)になるように検体希釈液に添加した。
・デキストラン硫酸(分子量4,000)を、反応液中に各濃度(0.000004、0.00004、0.0004、0.004、0.04%)になるように検体希釈液に添加した。
・βシクロデキストリン硫酸塩を、反応液中に各濃度(0.004、0.01、0.02、0.04、0.08、0.2、0.4%)になるように検体希釈液に添加した。
それ以外は、参考例1に従って行った。
その結果を表2に示す。ヘパリン加血漿又はEDTA加血漿のカウントを血清のカウントで割った後100を掛けたものを、ヘパリン加血漿/血清、又は、EDTA加血漿/血清として示した。
その結果、硫酸化多糖の添加が無い検体希釈液だと、血清およびヘパリン加血漿とEDTA加血漿では、可溶性インターロイキン2受容体の反応性が異なることがわかった。さらに、デキストラン硫酸(分子量20,000)は0.000004%以上0.04%以下、デキストラン硫酸(分子量4,000)は0.0004%以上0.04%βシクロデキストリン硫酸塩は0.02%以上0.4%以下添加されることにより、血清およびヘパリン加血漿はEDTA加血漿の可溶性インターロイキン2受容体の反応性が一致することが確認された。血清とヘパリン加血漿及びEDTA加血漿の反応性を一致させるには、硫酸基を持つ多糖類及びキレート剤の添加が必要であることが示された。
Figure 2017191012
《比較例1:反応液への硫酸化多糖類又は硫酸基を持たない多糖類又は多糖類を持たず硫酸基を含む化合物の添加によるsIL−2Rの反応性への影響》
硫酸化多糖類又は硫酸基を持たない多糖類又は多糖類を持たず硫酸基を含む化合物を、反応液中に下記の濃度になるように検体希釈液に添加したこと以外は、参考例1に従って行った。
・硫酸化多糖類:デキストラン硫酸塩(分子量4000)を、0.04%になるように検体希釈液に添加した。βシクロデキストリン硫酸塩を、0.04%になるように検体希釈液に添加した。
・硫酸基を持たない多糖類:デキストランを、0.04%になるように検体希釈液に添加した。
・多糖類を持たず硫酸基を含む化合物:CHAPSOを、0.04%になるように検体希釈液に添加した。オクタン酸ナトリウムを、0.04%になるように検体希釈液に添加した。それ以外は、参考例1に従って行った。
その結果を表3に示す。ヘパリン加血漿のカウントを血清のカウントで割った後100を掛けたものを、ヘパリン加血漿/血清、EDTA加血漿のカウントを血清のカウントで割った後100を掛けたものを、EDTA加血漿/血清として示した。添加無しの例だと、血清およびヘパリン加血漿とEDTA加血漿では、可溶性インターロイキン2受容体の反応性が異なることがわかった。さらに、デキストラン硫酸(分子量4000)やβシクロデキストリン硫酸塩などの、硫酸基を持つ多糖類(硫酸化多糖類)では血清とヘパリン加血漿の反応性が一致する(ヘパリン加血漿/血清が99%あるいは100%)が、デキストランやシクロデキストリンなどの硫酸基を持たない多糖類、あるいは、CHAPSOやオクタン酸ナトリウムなどの多糖類を持たず硫酸基を含む化合物のみでは血清とヘパリン加血漿の反応性は一致しなかった(ヘパリン加血漿/血清が130%〜138%)。血清とヘパリン加血漿の反応性を一致させるには、硫酸基を持つ多糖類の添加が必要であることが示された。一方、いずれの物質を添加しても、血清とEDTA加血漿の反応性は一致しなかった。
以上より、硫酸基を持つ多糖類のみで、血清・ヘパリン加血漿・EDTA加血漿の全ての可溶性インターロイキン2受容体の反応性を一致させることはできないが、硫酸基を持つ多糖類によって、その一部(血清とヘパリン化血漿)の反応性を一致させることができ、全て(血清・ヘパリン加血漿・EDTA加血漿)の反応性を一致させるための条件の一つになる可能性が示された。
Figure 2017191012
《比較例2:反応液への硫酸基を持たない多糖類及び多糖類を持たず硫酸基を含む化合物の添加によるsIL−2Rの反応性への影響》
硫酸化多糖類と同様な反応性となるか、硫酸基を持たない多糖類及び多糖類を持たず硫酸基を含む化合物を、同時に反応液中に添加して検討した。硫酸基を持たない多糖類及び多糖類を持たず硫酸基を含む化合物を、下記の濃度になるように検体希釈液に添加したこと以外は、参考例1に従って行った。
・多糖類を持たず硫酸基を含む化合物:NDSB−195、NDSB−201、NDSB−256を、それぞれ0.385mmol/L、3.85mmol/Lになるように検体希釈液に添加した。
・多糖類を持たず硫酸基を含む化合物及び硫酸基を持たない多糖類の混合:NDSB−195を3.85mmol/L、及び、デキストラン(分子量2000)を0.19%になるように検体希釈液に添加した。
その結果を表4に示す。ヘパリン加血漿のカウントを血清のカウントで割った後100を掛けたものを、ヘパリン加血漿/血清、EDTA加血漿のカウントを血清のカウントで割った後100を掛けたものを、EDTA加血漿/血清として示した。その結果、多糖類を持たず硫酸基を含む化合物では血清とヘパリン加血漿及び血清とEDTA加血漿の測定値が一致しないこと、更に、硫酸基を持たない多糖類を添加した状態においても測定値が一致しないことがわかった。血清とヘパリン加血漿において、硫酸基を持たない多糖類及び多糖類を持たず硫酸基を含む化合物を共存させた場合では、比較例1の硫酸基を持つ多糖類のような効果は得られず、硫酸基を持つ多糖類を共存させた場合でないとこの高い効果が得られないことは、硫酸基と多糖類の存在によるものではないことから、意外な結果であった。
Figure 2017191012
《比較例3:反応液へのキレート剤の添加によるsIL−2Rの反応性への影響》
各キレート剤を反応液中に下記の濃度になるように検体希釈液に添加したこと以外は、参考例1に従って行った。
・EDTAを、0、0.004、0.01、0.02、0.04、0.08、0.15、0.38、0.77、1.92、3.85mmol/Lになるように検体希釈液に添加した。
・CyDTAを、0、0.04、0.01、0.19mmol/Lになるように検体希釈液に添加した。
・TTHAを、0、0.04、0.10、0.19mmol/Lになるように検体希釈液に添加した。
・EGTAを、0、0.04、0.10、0.19mmol/Lになるように検体希釈液に添加した。
・DPTAを、0、0.04、0.10、0.19mmol/Lになるように検体希釈液に添加した。
・NTAを、0、0.04、0.10、0.19mmol/Lになるように検体希釈液に添加した。それ以外は、参考例1に従って行った。
その結果を表5、表6に示す。ヘパリン加血漿の濃度を血清の濃度で割った後100を掛けたものを、ヘパリン加血漿/血清、EDTA加血漿の濃度を血清の濃度で割った後100を掛けたものを、EDTA加血漿/血清として示した。添加無しの例だと、血清およびヘパリン加血漿とEDTA加血漿では、可溶性インターロイキン2受容体の反応性が異なることがわかった。
さらに、EDTAでは、0.15mmol/L、3.85mmol/L、CyDTAでは、0.19mmol/L、TTHAでは、0.10mmol/L、EGTAでは、0.19mmol/L、DPTAでは、0.10〜0.19mmol/Lで、血清・ヘパリン加血漿・EDTA加血漿の全てで反応性が一致することがわかった。また、EDTAでは、0.08〜0.15mmol/L、1.92〜3.85mmol/L、CyDTAでは、0.10〜0.19mmol/L、TTHAでは、0.04〜0.19mmol/L、EGTAでは、0.19mmol/L、DPTAでは、0.10〜0.19mmol/L、NTAでは、0.19mmol/Lで、血清とEDTA加血漿で反応性が一致することがわかった。
以上より、キレート剤のみで、血清・ヘパリン加血漿・EDTA加血漿の全ての可溶性インターロイキン2受容体の反応性を一致させるためには、限られた条件のみしかなく、安定して試薬として臨床の現場に供給することが難しいが、キレート剤によって、その一部(特に血清とEDTA加血漿)の反応性を一致させることができ、全て(血清・ヘパリン加血漿・EDTA加血漿)の反応性を一致させるための条件の一つになる可能性が示された。
Figure 2017191012
Figure 2017191012
本発明は、sIL−2Rを検出する場合に、被検試料の種類(血清及びヘパリン加血漿及びEDTA加血漿)に関わらず、検体中の干渉物質の影響を受けることなく、汎用的に簡便且つ高精度に測定結果を得ることができる。臨床検査は、簡便・迅速に測定される必要があり、検査室だけでなくPOCT分野等においても測定される。例えば、血液試料を対象とすると、様々な状況で測定され得る可能性を考慮すると、該試料の採取に用いられる容器は多岐にわたるため、得られた検体の種類に関わらず、汎用的に血清やヘパリン加血漿やEDTA加血漿を使用する上で、簡便且つ高精度に測定結果を得ることが可能となる本発明は特に有用である。

Claims (6)

  1. 生体試料中の可溶性インターロイキン2受容体を免疫学的に測定する方法において、該可溶性インターロイキン2受容体とそれに特異的に結合する抗体との免疫複合体の形成を硫酸化多糖類及びキレート剤の存在下で行うことを特徴とする、該可溶性インターロイキン2受容体を測定する方法。
  2. 生体試料中の可溶性インターロイキン2受容体の免疫学的測定において、抗凝固剤としてヘパリンを添加した血液試料を用いた場合の測定値と、EDTAを添加した血液試料を用いた場合の測定値と、血清を用いた場合の測定値との間の乖離を減少させる方法であって、可溶性インターロイキン2受容体とそれに特異的に結合する抗体との免疫複合体の形成を硫酸化多糖類及びキレート剤の存在下で行うことを特徴とする、前記方法。
  3. 前記キレート剤を検体希釈液及び/又は抗体溶液に含有する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記硫酸化多糖類を検体希釈液及び/又は抗体溶液に含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 可溶性インターロイキン2受容体に特異的に結合する第1抗体と第2抗体を接触させ、抗原抗体反応により形成された免疫複合体を測定する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法のための、可溶性インターロイキン2受容体に特異的に結合する抗体、硫酸化多糖類を含有する緩衝液、及び、キレート剤を含有する緩衝液を含む、該可溶性インターロイキン2受容体測定キット。
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