JP2017189793A - Au−Sn系はんだ合金 - Google Patents

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隆士 井関
昌彦 小室
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Abstract

【課題】 はんだ接合時にはんだの形状を維持すると共に、はんだ接合に実質的に寄与するはんだの割合を高め、さらにボイドの発生を抑えることが可能なAu−Sn系はんだ合金を提供する。
【解決手段】 第1のAu−Sn系はんだ合金はSnを18.5質量%以上23.5質量%以下含有し、Biを含有する場合は0.01質量%以上0.5質量%未満、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きAuから構成され、第2のAu−Sn系はんだ合金はSnを18.5質量%以上23.5質量%以下含有し、Biを0.01質量%以上0.50質量%未満含有し、さらにMgおよびSbのうちの1種以上を、Mgの場合は0.01質量%以上2.00質量%以下、Sbの場合は1.00質量%を超え5.00質量%以下含有し、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きAuから構成される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、はんだ接合時に優れた形状維持性を示し、はんだ接合に実質的に寄与するはんだ体積率が高く、かつボイドが発生しにくいAuを主成分とするAu−Snはんだ合金、および該はんだ合金を用いて封止または接合された電子部品等に関する。
近年、環境に有害な化学物質に対する規制がますます厳しくなってきており、この規制は電子部品などを基板に接合する目的で使用されるはんだ材料に対しても例外ではない。はんだ材料には古くから鉛(Pb)が主成分として使われ続けてきたが、すでにRoHS指令などで鉛は規制対象物質になっている。このため、Pbフリーはんだ材料の開発が各種機関で進められており、高温用のPbフリーはんだ材料では、高価なAu−Sn合金やAu−Ge合金などが水晶デバイス、SAWフィルター、MEMS等ですでに実用化されている。
Au−Sn合金はAu−20質量%Sn(80質量%のAuと20質量%のSnから構成されることを意味しており、以降においても同様)の組成で共晶点となり、その融点は280℃である。一方、Au−Ge合金はAu−12.5質量%Geの組成で共晶点となり、その融点は356℃である。これらAu系はんだ合金は硬くて脆い特性を有しており、特にAu−Sn合金は粘りがないためきれいに破断させることができ、薄くて小さく加工することができるので枠形状として使用されることが多い。一方、Au−Ge合金は比較的加工し易いボール形状で使用されることが多い。
このようなAu系はんだに関しては、例えば特許文献1には、Au/Snロウ材の表面粗さを制御して濡れ性を改善する技術が開示されており、具体的にはJISB0601で規定される表面粗さRaで0.01〜5μmの範囲内にすることによって、濡れ性に優れた金錫合金ロウ材を提供する技術が示されている。また、特許文献2には、Au/Snはんだペースト内の酸素濃度の管理および粒径を小さくすることによって、濡れ性を制御する技術が開示されている。
また、特許文献3には、ボイド発生の少ないAu−Sn合金はんだペーストとして、「Sn:14〜30質量%を含有し、さらにBi:0.5〜5質量%、In:0.1〜5質量%およびSb:0.01〜1質量%の内のいずれかを含有し、残りがAuおよび不可避不純物からなる成分組成を有するAu−Sn合金はんだ粉末とフラックスとの混合体からなり、前記混合体は、フラックス:5〜25質量%含有する」はんだペーストが開示されている。
特開2001−150182号公報 特開2003−260588号公報 特開2008−137018号広報
近年、電子機器の小型化、薄型化に伴い、水晶デバイスやSAWフィルターなどの電子装置においては、外形が小さくて薄型のものが求められている。そのため、これら電子装置に使用するはんだ合金は、はんだ融解時に高い精度で形状を制御可能であることが望ましい。例えば、水晶振動子の封止用などに多用されるAu−Sn合金は、封止用蓋部の周縁部でシールするため枠形状で使用されることが多いが、その融解時に接合面がAu−Sn合金によって均一に濡れなければリーク不良などの不具合が発生するおそれがある。
また、Au−Snはんだ合金を半導体素子の接合に使用する場合は、接合面が均一に濡れなければ十分な接合強度が得られなかったり、被接合体である半導体素子が傾いて接合信頼性が著しく低下したりするおそれがある。さらに濡れが不均一になって部分的な濡れ広がりや流れ出しが顕著になると、はんだ接合に実質的に寄与するはんだの体積が小さくなり、熱応力等による歪みを十分に緩和できなくなってクラック等が発生しやすくなったり、接合信頼性が低下したりなどの問題が生じることもある。このように、Au−Snはんだ合金においては濡れ性が特に重要な特性と言える。
上記した種々の問題は、前述した電子機器の小型化、薄型化によって顕在化する傾向にある。すなわち、電子機器の小型化、薄型化に伴ってはんだ合金と水晶振動子等の電子部品との間隔がより狭くなり、上記したはんだの不均一な濡れ広がりや流れ出しにより、はんだ合金と水晶振動子とが接触するリスクが高まっている。また、電子機器の小型化、薄型化に伴い、はんだ合金自体のサイズや厚さも制限されるため、上記した不均一な濡れ広がりや接合面以外への流れ出しが生ずるとはんだ接合部のはんだの体積の減少割合がより著しくなり、はんだ接合の信頼性が損なわれる問題がより一層顕著になってきている。なお、上記した部分的な濡れ広がりの程度は、はんだとの接合面に平行な濡れ広がり前のはんだの断面の全面積に対して25%以下に抑えるのが一般に好ましい。
このような状況の下、特許文献1の技術は表面粗さが粗ければ表面積が大きくなり、成分中のSnの酸化が起こる割合も高くなるため、表面粗さを細かく、すなわち表面積を小さくして成分中のSnの酸化する割合を抑え、これにより濡れ性を向上させるものであると考えられる。しかしながら、特許文献1に示すような表面粗さ0.01〜5μmという広い範囲に亘ってロウ材が同じように優れた濡れ性を示すとは考えにくい。すなわち表面粗さが500倍粗くなると、ロウ材表面に存在する酸化物の割合が桁違いに多くなると考えられるため、濡れ性が大きく悪化することが容易に推測できる。
しかも、表面粗さが粗くなると、Au−Snロウ材とロウ付けする基板との間には空間が生じやすくなるため、表面粗さが500倍粗い方が当然大きな空間が形成され、溶融時にこの空間にボイドが生じてロウ付け後の製品の信頼性が大きく損なわれるおそれがある。逆に、表面粗さが細かくなると上記したように濡れ性が良くなる傾向にあるが、ロウ材としてはそれだけでは不十分である。すなわち、表面粗さよりも基板の金属およびロウ材における組成や組織の均一性が重要であり、これらの組成や組織が均一でなければ接合時に生成される合金は部分部分で異なってしまい、濡れ広がりや接合性にばらつきが生じてしまう。
また、特許文献2に示すように、Au−Snはんだペースト自体の酸素濃度を上げると、はんだ溶融時に表面酸化膜の生成が顕著になり、濡れ性に影響を及ぼす。この場合、過度の濡れ広がりを抑制することができるものの、酸化膜によりボイドが発生したり気密性が維持できなかったりするおそれがある。また、クラック等を誘発するなどの品質上の問題を招くおそれもある。
さらに、平均粒径を50〜100μmから10〜35μmに小さくすると、Sn微粒子の単位質量当たりの表面酸化膜の量が増えることによる問題が生じるおそれがある。すなわち、一般的に表面酸化膜が破れないと溶けた内部の溶融金属が流れ出さないため、一旦表面が酸化した微粒子は融点に達しても溶体が流れ出にくくなる。さらには実質的な溶融温度のばらつきや組成ばらつきが大きくなって、微粒子が均一に溶けにくくなるため、封止不良や接合不良の原因になって製品としての信頼性が低下するおそれがある。従って、特許文献2の技術は高気密性が要求されるSAWフィルターや水晶デバイスなどの封止、あるいは半導体素子などの基板への接合の用途には適さないと考えられる。
上記したように、はんだ合金の濡れ性ははんだ接合において重要な要素であるが、それ以外にも重要な要求事項としてボイドの低減が挙げられる。すなわちボイド率が高くなると十分な接合強度が得られなかったり、クラックの起点になってクラックが発生し易くなってしまったり、放熱性が低下したりしてしまう。また、封止用途においてはリークが生じ易くなる。
ボイド発生が抑えられたAu−Sn合金はんだペーストを開示する特許文献3には、BiやSbなどはAu−Sn合金の溶融時の表面張力を低下させるために添加するとの記載があるが、ボイド発生が少なくなる理由については記載がない。さらにBiは半金属的な性質を有しており比較的脆いため、はんだ中に少量含有させることは問題ないが、含有量が多くなるとはんだが脆くなってしまい、高い応力緩和性や接合信頼性を得るのが困難になる。
上記したように、特に高い信頼性が要求される水晶デバイス、SAWフィルター、またはMEMS等で使用する高温用のPbフリーはんだ材料にはボイドの発生や封止不良などがあると安定した使用ができなくなるため、これらに使用するAu系はんだ材料には良好な濡れ性を有することが求められている。特に高い気密性や接合信頼性を必要とする用途では、良好な濡れ性を有することに加えてはんだ接合の際に有効なはんだ体積(ボリューム)が維持されること、すなわち、使用したはんだ合金のほとんどがはんだ接合に寄与することを要求される場合が多い。このように、水晶デバイス等の特に高い信頼性が要求される電子部品に用いるはんだには、はんだ接合時における適切な濡れ性と有効なはんだ体積の維持という一見相反する機能が求められている。
上記した状況の下、本発明者らは特に高い信頼性が要求される水晶デバイス等の電子部品用のAu−Sn系はんだ合金について鋭意研究を重ねた結果、はんだ接合時にはんだが部分的に濡れ広がることや、逆に部分的に濡れずに収縮することなどの現象を抑えて接合面にはんだがほぼ均一に濡れ広がるようにすることによって、高い接合信頼性を有する接合が可能になるとの着想の下、さらに研究を進めたところ、Au−Snはんだ合金にBiを必須元素として含有させ、さらに必要に応じてMgおよびSbのうちの1種以上を含有させることにより、均一な濡れ性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る第1のAu−Sn系はんだ合金は、Snを18.5質量%以上23.5質量%以下含有し、Biを0.01質量%以上0.5質量%未満含有し、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きAuから構成されることを特徴とする。また、本発明に係る第2のAu−Sn系はんだ合金は、Snを18.5質量%以上23.5質量%以下含有し、Biを0.01質量%以上0.50質量%未満含有し、さらにMgおよびSbのうちの1種以上を、Mgの場合は0.01質量%以上2.00質量%以下、Sbの場合は1.00質量%を超え5.00質量%以下含有し、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きAuから構成されることを特徴とする。
本発明によれば、はんだ接合時に従来のAu系はんだよりも優れた形状維持性が得られるうえ、使用するはんだのうち実質的にはんだ接合に寄与するはんだの割合が高いAu−Sn系はんだ合金を提供できる。よって、このはんだ合金を水晶デバイス、SAWフィルター、MEMSなどの極めて高い信頼性を要求される電子部品等の接合や封止に用いることによって、これら電子部品を備えた電子機器の信頼性をより一層高めることが可能になる。
はんだ合金の試料が接合されたAuめっきCu基板をはんだ試料側から見た模式的な平面図である。 封止用容器と封止用蓋とをはんだ合金の試料で封止した状態を示す模式的な縦断面図である。
以下、本発明のAu−Sn系はんだ合金の実施形態について説明する。本発明の第1の実施形態のAu−Sn系はんだ合金は、必須元素としてSnを18.5質量%以上23.5質量%以下、およびBiを0.01質量%以上0.5質量%未満含有し、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きAuからなる。また、本発明の第2の実施形態のAu−Sn系はんだ合金は、Snを18.5質量%以上23.5質量%以下含有し、Biを0.01質量%以上0.50質量%未満含有し、さらにMgおよびSbのうちの1種以上を、Mgの場合は0.01質量%以上2.00質量%以下、Sbの場合は1.00質量%を超え5.00質量%以下含有し、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きAuからなる。
上記組成のAu−Sn系はんだ合金であれば、はんだ接合時に優れた形状維持性を示し、使用したはんだのうちはんだ接合に実質的に寄与するはんだの割合(以降、有効はんだ体積率とも称する)が高く、かつボイドが発生しにくいはんだ合金が得られる。すなわち、Au−Sn合金にBiを含有させることによって、はんだ接合部において、特に接合部のうち濡れ広がる際の先端部分において、AuとBiとからなる融点の高い固体の金属間化合物が生成して余分な流れ出しをせき止めたり、はんだを半溶融状態にして実質的な流動性を下げて余分な流れ出しを抑制することができる。
これにより、濡れ広がる前の溶融後のはんだ接合面積がほぼ維持され、よって実質的にはんだ接合に使用するはんだのほぼ100%をはんだ接合に寄与させることが可能になる。その結果、従来に比べて少ないはんだ量を用いても良好に接合を行うことができ、高い接合信頼性を得ることができる。MgおよびSbにも上記のBiの場合と同様の効果が期待できるため、本発明の第2の実施形態のはんだ合金にはこれらのうちの少なくとも一方が含有されている。なお、はんだの形状については特に制約はないが、枠状、シート状、リボン状およびボール状のうちのいずれかの場合に顕著な効果が得られる。次に、本発明のはんだ合金に含まれる各元素について詳しく説明する。
<Au>
Auは本発明のはんだ合金の主成分を構成する必須の元素である。Auは非常に酸化されにくい性質を有しているため、高い信頼性が要求される電子部品類の接合用や封止用のはんだに求められる代表的な特性である濡れ性の点において最も優れている。よって、本発明の実施形態のはんだ合金においてはAuを主成分とすることで、水晶デバイスやSAWフィルターの接合用や封止用などの高信頼性を要求される用途に特に適したはんだを提供することができる。このAuを主成分とするはんだ合金に、優れた形状維持性や高い有効はんだ体積率を実現し、さらにボイドの発生を抑えるため、以下の元素を含有させる。
<Sn>
Snは本発明のはんだ合金においてAuとともに基本をなす必須の元素である。Au−Snはんだ合金は、共晶点であるAu−20質量%Sn付近の組成で通常使用され、これにより固相線温度が280℃で安定し、均一な濡れ性が得られる。本発明の実施形態のはんだ合金も、Au−20質量%Snを基本にすべく、Snの含有量を18.5質量%以上23.5%とし、後述するBi等の少量の添加元素および製造上、不可避的に含まれる元素を除き残部をAuとしている。かかる組成の下、適切な製造条件を選択すれば、好ましいラメラ状の金属組織が得られる。
Snの含有率が18.5質量%未満の場合や23.5質量%を超えた場合は、亜共晶や過共晶になるため、初晶が発生してラメラ組織と混在し、製造条件を調整しても均一な濡れ性等を有するはんだ合金は得られない。従って、はんだ接合時に溶解してから凝固する時、局所的に融点が異なるため溶けが早い部分や遅い部分ができてしまう。このため、濡れ性にばらつきが出たり、個々に濡れ広がる部分や濡れ難くなる部分が存在することになる。例えば、リング状のAu−Snはんだ合金を溶融すると波状にAu−Snはんだが広がることがあるため、有効はんだ体積率を安定化するのが困難になり、はんだ接合した電子部品の品質にばらつきが生じることがある。なお、Snの含有量が19.0質量%以上22.8質量%以下であればより好ましい。
<Bi>
Biは本発明のはんだ合金に含有される必須の元素であり、Biを含有させる目的は、優れた形状維持性や高い有効はんだ体積率を実現し、さらにボイドの発生を抑えるためである。Biを含有させることによって上記の効果が得られるメカニズムは次のとおりである。
すなわち、BiはAuとAuBi金属間化合物を生成し、この金属間化合物の融点は371℃である。一方、Au系はんだによって接合が行われる接合対象物の接合面は最上層がAuであることが多いが、このAuからなる最上層にBiを含有したAu系はんだ合金を接合させると融点の高いAuBiが生成し、半溶融状態となって実質的な流動性を下げ、且つ接合面に垂直な方向から見たはんだの端部(接合面上で溶けたはんだが乗っている面とはんだが乗っていない面の境界部に位置するはんだ)においてはAuが比較的多く存在するため特にAuBiが生成し易く、固体のAuBiが堰となってはんだの流れ出しを抑える。これにより、はんだの接合や封止の際、はんだ金属が溶融してから冷却して固化した後の接合対象物との接合部分の面積を、溶融前のはんだ合金が対向する面積とほぼ同程度に維持でき、またはんだ合金の形状もほとんど変化のないようにできる。
よって、使用したはんだ合金のほぼ全てをはんだ接合に有効に寄与させることができ、「有効はんだ体積率」をほぼ100%にすることができる。なお、接合対象物の接合面がAuでない場合であっても接合面の温度が低めであったり、レーザーではんだを溶融する場合には前述のようなメカニズムで同様の効果を得ることができる。
また、Biは前述したようにAuなどと合金化するため、ボイド発生の低減にも繋がる。すなわち、はんだとその接合対象物の接合面とが合金化しづらいと接合が不十分で未接合部分や空隙ができやすくなるが、当該接合面との合金化が進みやすいBiが含まれていることでボイドが発生しにくくなる。
本発明のはんだ合金では、上記のBiの効果を得るためBiを0.01質量%以上0.5質量%未満の範囲内で含有している。Bi含有量が0.01質量%未満では少なすぎて含有させた効果が実質的に現れない。逆に、Bi含有量が0.5質量%以上では多すぎて液相線温度が高くなりすぎたり、金属間化合物が多くなりすぎたりして良好な接合ができなくなってしまう。Bi含有量は0.01質量%以上0.3質量%以下であると上記したBiの含有効果がより顕著に現れるので好ましい。
<Mg>
Mgは本発明のはんだ合金において、MgおよびSbのうちの1種以上を含有するとの条件の下で含有される元素であり、Mgを含有させる目的も上記のBiと同様であって、優れた形状維持性と高い有効はんだ体積率の実現、およびボイド発生の抑制である。Mgを含有させることによってこれらの効果を得るメカニズムは次のとおりである。
すなわち、MgはAuとAuMg、MgAu、AuMgなどの多くの金属間化合物を生成し、これらの金属間化合物の融点は400℃を超える。MgをAu系はんだに含有させた場合に生成されるこれら金属間化合物は当然Biの場合とは異なるが、はんだ接合時に優れた形状維持性や高い有効はんだ体積率を実現するメカニズムはBiと同様である。また、Mgを含有させることによりボイドの発生が低減する理由は、Mgが酸化されやすいことに起因する。すなわち、MgはAuはもちろんSnよりも酸化され易いためこれら主成分よりも先に酸化されて薄い酸化膜を生成し、これによって濡れ性が向上すると共にボイドの発生が低減する。
本発明のはんだ合金では、上記のMgの効果を得るためMgを0.01質量%以上2.00質量%以下の範囲内で含有している。Mgの含有量が0.01質量%未満では少なすぎて含有させた効果が実質的に現れない。逆に、2.00質量%を超えるとMg含有量が多すぎて金属間化合物が多くなりすぎたり、酸化膜が厚く生成したりして良好な接合ができなくなってしまう。
<Sb>
Sbは本発明のはんだ合金において、前述したようにMgおよびSbのうちの1種以上を含有するとの条件の下で含有される元素であり、Sbを含有させる目的もBiやMgと同様であり、優れた形状維持性と高い有効はんだ体積率の実現、およびボイド発生の抑制である。Sbを含有させることによってこれらの効果を得るメカニズムは次のとおりである。
すなわち、SbはAuとAuSb金属間化合物を生成し、この金属間化合物の融点は460℃を超える。SbをAu系はんだに含有させた場合に生成されるこの金属間化合物は当然BiやMgとは異なるが、はんだ接合時に優れた形状維持性や高い有効はんだ体積率を実現するメカニズムは、BiやMgと同様である。また、SbはBiと同様のメカニズムでボイドの発生を低減する効果があり、接合強度の向上などにも寄与する。
本発明のはんだ合金では、上記のSbの効果を得るためSbを0.01質量%以上5.00質量%以下の範囲内で含有している。Sb含有量が0.01質量%未満では少なすぎて含有させた効果が実質的に現れない。逆に、5.00質量%を超えるとSb含有量が多すぎて液相線温度が高くなりすぎたり、金属間化合物が多くなりすぎたりして良好な接合ができなくなってしまう。Sbの含有量は好ましくは1.00質量%を超え5.00質量%以下であり、さらに好ましくは1.20質量%を超え5.00質量%以下である。Sb含有量をこの範囲にすれば含有させた効果がより一層顕著に現れるので好ましい。
組成が異なる複数のAu−Snはんだ合金試料を作製して、それらの濡れ広がり性や接合信頼性について評価を行った。具体的には、まず原料としてそれぞれ純度99.999質量%以上のAu、Sn、Bi、MgおよびSbを準備した。大きな薄片やバルク状の原料については、溶解後の合金においてサンプリング場所による組成のバラツキがなく均一になるように留意しながら切断、粉砕等を行い、3mm以下の大きさに細かくした。次に、これら原料から所定量を秤量して、高周波溶解炉用グラファイト坩堝に入れた。
上記原料の入った坩堝を高周波溶解炉に入れ、酸化を抑制するために窒素を原料1kg当たり0.7L/分以上の流量で流した。この状態で溶解炉の電源を入れ、原料を加熱溶融させた。金属が溶融しはじめたら混合棒でよく攪拌し、局所的な組成のばらつきが起きないように均一に混ぜた。十分溶融したことを確認した後、高周波電源を切り、速やかにるつぼを取り出し、坩堝内の溶湯をはんだ母合金の鋳型に流し込んだ。鋳型には、圧延用として厚さ3mm×幅40mm×長さ150mmの板状の合金が得られるものを使用した。このようにして組成の異なる試料1〜24のはんだ母合金を作製した。これらの試料1〜24のはんだ母合金に対して、ICP発光分光分析器(SHIMADZU S−8100)を用いて組成分析を行った。得られた組成分析の結果を下記表1に示す。
Figure 2017189793
次に、温間圧延機を用いて各はんだ母合金をリボン状に加工した。その際、溶解鋳造工程に加えて、温間圧延工程でも金属組織の調整を行った。具体的には、準備した厚さ3mm×幅40mm×長さ150mmの板状母合金試料を温間圧延機を用いて、それぞれの試料を30.0±1.5μmの厚さになるように圧延した。得られたリボン状の試料に対して、プレス機でプレス用オイルを供給しながら打抜いて1.0mm×1.0mmの四角形状のプリフォーム材(打抜き品)を作製し、これら四角形状のプリフォーム材を用いて下記の濡れ広がり性の評価を行った。また、金型だけを変えて同様のプレス打抜きを行って外寸1.5mm×2.0mm、枠幅150μmの枠形状の打抜き品を作製し、これら枠形状のプリフォーム材を用いて下記の封止性および信頼性の評価を行った。
<打抜き品(四角形状)の濡れ広がり性評価>
四角形状の各打抜き品の試料を基板に接合し、部分的な濡れ広がりの有無に基づいて濡れ広がり性を評価した。具体的には、濡れ性試験機(装置名:雰囲気制御式濡れ性試験機)を起動し、加熱するヒーター部分に2重のカバーをしてヒーター部の周囲4箇所から窒素ガスを12L/分の流量で流した。その後、ヒーター設定温度を融点より50℃高い温度にして加熱した。
ヒーター温度が設定値で安定した後、上面にAuめっき(膜厚:2.0μm)を有するCu基板(板厚:0.3mm)をヒーター部にセッティングして25秒加熱し、次に四角形状のはんだ試料を該Cu基板上に載せて25秒加熱した。はんだ試料の加熱が完了した後、Cu基板をヒーター部から取り上げ、その横の窒素雰囲気が保たれている場所に一旦置いて十分に冷却させてから大気中に取り出した。
このようにして接合した接合体について、図1(a)に示すようにはんだ試料2が四角形状を保ったままAuめっきCu基板1に良好に接合していた場合を「○」、図1(b)に示すようにはんだ試料が接合前の四角形状を留めずにAuめっきCu基板1上で部分的に濡れ広がってはみ出し部2aが生じていた場合、または基板1がはんだをはじいて部分的もしくは全体的に接合できていなかった場合を「×」と評価した。
<打抜き品(枠形状)の接合信頼性評価1(封止性)>
枠形状の各打抜き品の試料による封止性を確認するため、図2に示す形状の封止用容器3と封止用蓋4とを枠形状の各はんだ合金試料5で封止した。封止には簡易ダイボンダー(ウェストボンド社製、MODEL:7327C)を用い、窒素フロー中(8L/分)、融点より50℃高い温度で30秒保持し、その後、窒素フローされたサイドボックスで室温まで十分に冷却し、その後、封止体を大気中に取り出した。このようにして準備した各封止体を水中に2時間浸漬し、その後、水中から封止体を取り出し、解体してリーク状態を確認した。解体した封止体内部に水が入っていた場合はリークがあったと判断し、封止性を「×」と評価した。一方、このようなリークがなかった場合は「○」と評価した。
<打抜き品(枠形状)の接合信頼性評価2(ヒートサイクル試験)>
枠形状の打抜き品に対して、はんだ接合の信頼性を評価するためヒートサイクル試験を行った。なお、この試験は上記接合信頼性評価1と同様にして得たはんだ合金で封止した封止体を用いて行った。まず、各封止体に対して、−40℃の冷却と+250℃の加熱とを1サイクルとして、これを所定のサイクル繰り返した。
その後、ヒートサイクル試験を行った各封止体を水中に2時間浸漬し、その後、水中から封止体を取り出し、解体してリーク状態を確認した。解体した封止体内部に水が入っていた場合はリークがあったと判断し、封止性を「×」と評価した。一方、このようなリークがなかった場合は「○」と評価した。これら接合信頼性評価1および2の結果を上記の濡れ広がり性評価とともに下記表2に示す。
Figure 2017189793
上記表2から分かるように、本発明の要件を満たしている試料1〜18のはんだ合金は、いずれも濡れ広がり性、接合信頼性評価1、および接合信頼性評価2の全ての評価項目において良好な特性を示している。即ち、濡れ広がり性の評価でははんだ試料がはみ出さず四角形状を保って接合でき、接合信頼性評価1ではリークが発生せず、さらに接合信頼性評価2では500回のヒートサイクルを繰り返してもリークは一切発生しなかった。
一方、本発明の比較例である試料19〜24のはんだ合金は、本発明の要件を満たしていないため、少なくともいずれかの評価項目で好ましくない結果となった。即ち、濡れ広がり性の評価でははんだ試料のはみ出し等が発生し、接合信頼性評価1では試料24を除いてリークが発生した。また接合信頼性評価2では試料24を除く全ての試料で300回までのヒートサイクルでリークが発生した。従来一般的に使用されているAu−20Sn質量%である試料24においては、はんだ組成が好ましい範囲に制御された本発明の要件を満たす試料1〜18に比べて濡れ広がり性および接合信頼性評価2において劣る結果となった。
1 AuめっきされたCu基板
2 四角形状のはんだ合金試料
2a はみ出し部
3 封止用容器
4 封止用蓋
5 枠形状のはんだ合金試料

Claims (7)

  1. Snを18.5質量%以上23.5質量%以下含有し、Biを0.01質量%以上0.5質量%未満含有し、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きAuから構成されることを特徴とするAu−Sn系はんだ合金。
  2. Snを18.5質量%以上23.5質量%以下含有し、Biを0.01質量%以上0.50質量%未満含有し、さらにMgおよびSbのうちの1種以上を、Mgの場合は0.01質量%以上2.00質量%以下、Sbの場合は1.00質量%を超え5.00質量%以下含有し、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きAuから構成されることを特徴とするAu−Sn系はんだ合金。
  3. 前記Biが0.01質量%以上0.3質量%以下含有していることを特徴とする、請求項1または2に記載のAu−Sn系はんだ合金。
  4. 前記Snが19.0質量%以上22.8質量%以下含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のAu−Sn系はんだ合金。
  5. 前記はんだ合金の形状が枠状、シート状、リボン状、およびボール状のうちのいずれかであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のAu−Sn系はんだ合金。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のAu−Sn系はんだ合金を用いて封止したことを特徴とする電子部品。
  7. 請求項6に記載の電子部品を搭載していることを特徴とする電子機器。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020217833A1 (ja) * 2019-04-22 2020-10-29 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 接合構造体、接合構造体の製造方法及びハンダボール

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