JP2017186320A - 乳化組成物及びそれを含むソフトカプセル製剤 - Google Patents

乳化組成物及びそれを含むソフトカプセル製剤 Download PDF

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Hiroyuki Sugiyama
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Abstract

【課題】水に難溶性の生理活性成分であるアスタキサンチン及び/又はその誘導体を含有し、かつ経時安定性に優れた乳化組成物、並びに、ソフトカプセル製剤を提供すること。
【解決手段】アスタキサンチン及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種、油性成分、水、グリセリン及び還元水飴からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコール、及び酵素分解レシチンを含有する乳化組成物、並びに、ソフトカプセル製剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、食品、医薬品、化粧品等に利用できる乳化組成物及びそれを含むソフトカプセル製剤に関する。
近年、水に対して難溶性の生理活性成分を含む機能性食品、医薬品、化粧品等において、生理活性成分の体内への利用率又は吸収率の改善が課題となっている。これまで難溶性の生理活性成分の体内への利用率又は吸収率の改善を目的として、例えば、人体に対する親和性の高い乳化剤の添加によって、難溶性の生理活性成分の溶解性の改善が試みられてきた。
特許文献1には、リゾレシチンと分子内に2個以上の水酸基を有する水溶性多価アルコールと油相成分とを含む多価アルコール中油型乳化組成物が開示されている。
特許文献2には、油性成分、多価アルコールとしてグリセリン及び/又はソルビトール、乳化剤としてリゾレシチンを含有するソフトカプセル製剤用乳化組成物が開示されており、油性成分に可溶な脂溶性物質としてアスタキサンチンが挙げられている。特許文献2では、高い油性成分比率であって、多量に乳化剤を用いることなく、水もしくは消化液と接触すると速やかに乳化・分散する自己乳化組成物を提供することが記載されている。
特開昭62−95132号公報 特開2011−12003号公報
機能性食品、医薬品、化粧品等において、生理活性成分の体内への利用率及び/又は吸収率が改善された乳化組成物及びそれを含むソフトカプセル製剤が望まれている。
本発明の実施形態の一つは、水に難溶性の生理活性成分であるアスタキサンチン及び/又はその誘導体を含有し、かつ経時安定性に優れた乳化組成物を提供することを課題とする。
本発明の実施形態の一つは、水に難溶性の生理活性成分であるアスタキサンチン及び/又はその誘導体を含有し、かつ経時安定性に優れた乳化組成物を含むソフトカプセル製剤を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、アスタキサンチン及び/又はその誘導体、油性成分、水、グリセリンまたは還元水飴からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコール、及び酵素分解レシチンを含む乳化組成物により、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
(1)アスタキサンチン及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種、油性成分、水、グリセリン及び還元水飴からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコール、並びに酵素分解レシチンを含有する乳化組成物。
(2) 乳化組成物は乳化剤として実質的に酵素分解レシチンのみを含有する上記(1)に記載の乳化組成物。
(3)多価アルコールとしてグリセリンを乳化組成物の全体の質量に対して30質量%以上60質量%以下の範囲で含有する上記(1)又は(2)に記載の乳化組成物。
(4)多価アルコールとして還元水飴を乳化組成物の全体の質量に対して30質量%以上70質量%以下の範囲で含有する上記(1)又は(2)に記載の乳化組成物。
(5)酵素分解レシチンを乳化組成物の全体の質量に対して2質量%以上22質量%以下の範囲で含有する上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の乳化組成物。
(6)酵素分解レシチンを乳化組成物の全体の質量に対して5質量%以上22質量%以下の範囲で含有する上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の乳化組成物。
(7)酵素分解レシチンを乳化組成物の全体の質量に対して8質量%以上22質量%以下の範囲で含有する上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の乳化組成物。
(8)油性成分が中鎖脂肪酸トリグリセライド及び動植物性油脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の乳化組成物。
(9)上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載の乳化組成物を含むソフトカプセル製剤。
本発明の実施形態の一つによれば、水に難溶性の生理活性成分であるアスタキサンチン及び/又はその誘導体を含有し、かつ経時安定性に優れた乳化組成物を提供することができる。
また、本発明の実施形態の一つによれば、水に難溶性の生理活性成分であるアスタキサンチン及び/又はその誘導体を含有し、かつ経時安定性に優れた乳化組成物を含むソフトカプセル製剤を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において「水相」とは、溶媒の種類にかかわらず「油相」に対する語として使用する。
本発明の実施形態の一つは、アスタキサンチン及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種、油性成分、水、グリセリン及び還元水飴からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコール、及び酵素分解レシチンを含有する乳化組成物(以下、本実施形態の乳化組成物と称することがある。)である。
本発明の実施形態の一つは、本発明の態様である乳化組成物を含むソフトカプセル製剤(以下、本実施形態のソフトカプセル製剤と称することがある。)である。
〔乳化組成物〕
本実施形態の乳化組成物は、アスタキサンチン及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種、油性成分、水、グリセリン及び還元水飴からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコール、並びに酵素分解レシチンを含有する乳化組成物である。
本実施形態の乳化組成物は、水に難溶性の生理活性成分であるアスタキサンチン及び/又はその誘導体を油相成分の一つとして含有しつつも、グリセリン及び還元水飴からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコールと、酵素分解レシチンと、が組み合わされて用いられることで優れた経時安定性を有する乳化組成物となる。これにより、アスタキサンチン及び/又はその誘導体の体内への利用率及び/又は吸収率の改善が期待できる。
本実施形態の乳化組成物において経時安定性とは、乳化組成物を製造し、時間を経過させた場合において、乳化組成物の物性変化が抑制されることを意味する。乳化組成物の物性変化としては、例えば、乳化組成物の濁り、乳化組成物中に生じる沈殿などが挙げられる。
本実施形態の乳化組成物においては、経時安定性の指標として、濁り及び沈殿の有無を用いる。濁り及び沈殿の有無は、後述する実施例に記載される測定方法により測定される。
また、本実施形態の乳化組成物は、人体に対する親和性が高く、乳化剤として機能しうる成分として、酵素分解レシチンを含有することから、使用者のニーズ、指向性等にも配慮することができる。
本実施形態の乳化組成物は、水相組成物と油相組成物とを含むことが好ましい。水相組成物は、乳化組成物における連続相であることが好ましい。
アスタキサンチン及び/又はその誘導体と油性成分とは油相組成物に含まれる。グリセリン及び還元水飴からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコールは水相組成物に含まれることが好ましい。酵素分解レシチンは少なくとも水相組成物に含まれることが好ましい。
(アスタキサンチン及びその誘導体)
本実施形態の乳化組成物は、アスタキサンチン及びその誘導体から選択される少なくとも1種を含有する。アスタキサンチンの誘導体には、アスタキサンキチンのエステル等が含まれる。以下の説明では、特に断らない限り、アスタキサンチン及びその誘導体を総称して「アスタキサンチン」とする。
アスタキサンチンとしては、植物類、藻類、甲殻類及びバクテリア等の天然物に由来するものの他、常法に従って得られるものであれば、いずれのものも使用することができる。
天然物であるアスタキサンチンとしては、例えば、赤色酵母ファフィア、ヘマトコッカス藻、海洋性細菌(例えば、パラコッカス)、オキアミ、アドニス(福寿草)等が挙げられる。また、その培養物からの抽出物を挙げることができる。
アスタキサンチンは、更に、これらの天然物から分離又は抽出したものを必要に応じて適宜精製したものでもよく、又は、合成品であってもよい。
アスタキサンチンとしては、ヘマトコッカス藻から抽出されるもの(ヘマトコッカス藻抽出物ともいう。)、及び、オキアミ由来の色素(オキアミ抽出物ともいう。)が、品質又は生産性の点から好ましい。
アスタキサンチンとしては、市販されている、ヘマトコッカス藻抽出物、及びオキアミ抽出物を用いることができる。
ヘマトコッカス藻抽出物の市販品としては、例えば、富士フイルム(株)のASTOTS(登録商標)−S、ASTOTS(登録商標)−SS、ASTOTS(登録商標)−5OS、ASTOTS(登録商標)−5 O、ASTOTS(登録商標)−5OS,AST
OTS(登録商標)−10 O等(以上、商品名)、富士化学工業(株)のアスタリール(登録商標)オイル50F、アスタリール(登録商標)オイル5F等、東洋酵素化学(株)のBioAstin(登録商標)SCE7、アルガテクノロジー社のAsta Pure(アスタキサンチン10質量%含有品、20質量%含有品)等が入手できる。
オキアミ抽出物の市販品としては、(株)マリン大王のアスタックスST(商品名)等が入手できる。
アスタキサンチンは、後述する油性成分に含有させたアスタキサンチン含有油として用いることができる。
アスタキサンチン及び油性成分を含有するアスタキサンチン含有油において、アスタキサンチンの含有量は、0.001質量%以上50質量%以下が好ましく、0.01質量%以上25質量%以下がより好ましく、5質量%以上25質量%以下がさらに好ましく、10質量%以上25質量%以下が特に好ましい。
乳化組成物におけるアスタキサンチンの含有量は、アスタキサンチンの含有に期待される効果の発現、乳化組成物の外観等の観点から決定することができ、例えば、乳化組成物の全体の質量に対し、2質量%以上10質量%以下が好ましく、4質量%以上10質量%以下がより好ましく、5質量%以上10質量%以下が更に好ましい。
本実施形態の乳化組成物において、アスタキサンチンの含有形態は、制限されないが、高濃度配合できる点、乳化組成物中で安定に含有させることができる点から、アスタキサンチンは、水相に分散する乳化粒子(油相)の形態で含まれることが好ましい。
(油性成分)
本実施形態の乳化組成物は、油性成分を含有する。
本実施形態の乳化組成物において油性成分とは、25℃の水への溶解度が0.1質量%未満(1g/L未満)の成分であり、アスタキサンチン等の水に難溶性の成分を溶解する目的で使用する化合物を指す。アスタキサンチン及びその誘導体は、本実施形態の乳化組成物における油性成分には包含されない。
油性成分としては、アスタキサンチンとの親和性、食品衛生法上の観点からは、中鎖脂肪酸トリグリセライド及び動植物性油脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
中鎖脂肪酸トリグリセラリドの例としては、トリグリセライドを構成する脂肪酸の炭素数が8〜10である中鎖脂肪酸トリグリセリドが挙げられる。
動植物性油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、綿実油、ひまわり油、サフラワー油、やし油、小麦胚芽油、コーン胚芽油、オリーブ油、米ぬか油等の植物性油脂、肝油、魚油、鯨油等の動物性油脂が挙げられる。
これらの油性成分のなかでも、中鎖脂肪酸トリグリセライドが好ましく、本実施形態の乳化組成物が含有する油性成分としては、中鎖脂肪酸トリグリセライドのみであることがより好ましい。
既述のとおり、アスタキサンチンは、油性成分に含有させたアスタキサンチン含有油として用いてもよく、アスタキサンチン含有油は、油性成分として中鎖脂肪酸トリグリセライドを含むことが好ましい。
油性成分は、1種のみであってもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
アスタキサンチン及び油性成分の総含有量は、乳化組成物の全体の質量に対して、20質量%以上50質量%以下の範囲であることが好ましく、25質量%以上50質量%以下の範囲であることがより好ましい。
(抗酸化剤)
本実施形態の乳化組成物は、抗酸化剤を少なくとも1種含有することが好ましい。
抗酸化剤としては、特に限定されず、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物、トコフェロール等のビタミンE及びその誘導体、ビタミンA、レチノイン酸、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、レチニルアセテート、レチニルパルミテート、レチノイン酸トコフェリル、ビタミンC及びその誘導体、カイネチン、レチノイン、セサミン、α−リポ酸、コエンザイムQ10、フラボノイド類、エリソルビン酸、没食子酸プロピル、BHT(ジ−n−ブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、トレチノイン、ポリフェノール、SOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)、フィチン酸、コウキエキス、大豆エキス、紅茶エキス、茶エキス、エイジツエキスなどを挙げることができる。
抗酸化剤として好ましくは、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物、トコフェロール等のビタミンE及びその誘導体、ビタミンA、レチノイン酸、レチノール、及び酢酸レチノールであり、より好ましくは、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物、トコフェロール等のビタミンE及びその誘導体であり、さらに好ましくは、並びにトコフェロール等のビタミンE及びその誘導体である。
本実施形態の乳化組成物における抗酸化剤の含有量は、アスタキサンチンの乳化安定性の維持等を考慮し、抗酸化剤の種類に応じて適宜設定することができる。
抗酸化剤の含有量は、アスタキサンチンの質量に対して、0.1倍量以上100倍量以下であることが好ましく、0.1倍量以上10倍量以下であることがより好ましく、0.1倍量以上5倍量以下であることが更に好ましい。
本実施形態の乳化組成物における抗酸化剤として、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を用いる場合、アスコルビン酸及びその塩としては、具体的には、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム等が挙げられる。
また、アスコルビン酸誘導体及びその塩としては、アスコルビン酸リン酸エステル及びその塩、アスコルビン酸硫酸エステル及びその塩、パルミチン酸アスコルビルリン酸エステル及びその塩等が挙げられる。
本実施形態の乳化組成物に含有される抗酸化剤の好適な態様は、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物、及び/又は、トコフェロール等のビタミンE及びその誘導体を含む。
本実施形態の乳化組成物において抗酸化剤として、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物、及び/又は、トコフェロール等のビタミンE及びその誘導体が含有される場合、その総含有量は、本実施形態の乳化組成物全量に対して0.3質量%〜6質量%であることが好ましく、これらの化合物の低温における経時での析出を抑制する点から、0.3質量%〜4質量%がより好ましく、0.5質量%〜3質量%が更に好ましい。
アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群の化合物、及び/又はトコフェロール等のビタミンE及びその誘導体は、1種のみであってもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
(水)
本実施形態の乳化組成物は、水を含む。
水としては、乳化組成物に適用しうる水であれば特に制限はなく、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、ミリQ水等の超純水のいずれも使用することができる。なお、ミリQ水とは、メルク(株)の超純水製造装置であるミリQ水製造装置による得られる超純水である。
本実施形態の乳化組成物において、水の含有量は、アスタキサンチンの質量に対して1倍量以上10倍量以下であることが好ましく、より好ましくは2倍量以上10倍量以下、更に好ましくは2倍量以上5倍量以下である。
(グリセリン及び還元水飴からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコール)
実施形態の乳化組成物は、グリセリン及び還元水飴からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコールを含む。
〜グリセリン〜
グリセリンは、アスタキサンチンを含む乳化粒子の平均粒子径を小さくし、かつ粒子径を小さいまま長期にわたり安定に保持し易くなることから、好ましく用いられる。
本実施形態の乳化組成物において、グリセリンの含有量は、乳化組成物の全量に対して30質量%以上60質量%以下の範囲であることが好ましく、35質量%以上60質量%以下の範囲であることがより好ましく、40質量%以上60質量%以下の範囲であることがさらに好ましい。
本実施形態の乳化組成物において、グリセリンの含有量は、アスタキサンチンの質量に対して1倍量以上100倍量以下であることが好ましく、2倍量以上50倍量以下であることがより好ましく、2倍量以上10倍量以下であることがさらに好ましい。
〜還元水飴〜
還元水飴は、糖アルコールの1種であり、水飴を還元(すなわち水素添加)することで合成される。還元水飴は、原料となる水飴(すなわち糖類)の組成を変更することによって粘度を調整することができ、高糖化還元水飴と低糖化還元水飴とに分類される。
アスタキサンチンを含む乳化粒子の平均粒子系を小さくし、かつ粒子径を小さいまま長期にわたり安定に保持しやすくなることから、低糖化還元水飴が好ましく用いられる。
還元水飴としては、アスタキサンチンを含む乳化粒子の粒径を維持し、かつ、乳化組成物内での析出を抑制する観点から、オリゴトース(直鎖オリゴ糖)を還元した水飴が特に好ましい。オリゴトースの由来としては特に限定されないが、マルトトリオース(G3)を主成分とする直鎖オリゴ糖であることが好ましく、マルトトリオースを主成分とする直鎖オリゴ糖であって、かつ、ぶとう糖および高分子デキストリンの含有率が低いものであることがより好ましい。
還元水飴は、既述の方法により得たものであってもよいし、市販品であってもよい。
還元水飴の市販品の例としては、オリゴトース(三和澱粉工業(株))、オリゴトース(商品名、物産フードサイエンス(株))、エスイー30(商品名、物産フードサイエンス(株))、エスイー100(商品名、物産フードサイエンス(株))オリゴトース H―70(三菱化学フーズ(株))、ハローデックス(商品名、(株)林原)、テトラップ、テトラップ−H(商品名、(株)林原)、ペントラップ(商品名、(株)林原)、カップリングシュガー(商品名、(株)林原)、カップリングシュガーS(商品名、(株)林原)等が挙げられる。
本実施形態の乳化組成物に用いる還元水飴は、固体(粉末状)、溶媒(例えば、水など)を含む液体状のいずれでもよいが、生産性の観点から液体状であることが好ましい。
市販品の液体状の還元水飴は、20質量%以上40質量%以下の水を含むことが多いが、所望の効果が得られる限り、この範囲以外であってもよい。
本実施形態の乳化組成物における還元水飴の含有量は、乳化組成物の全量に対して、30質量%以上70質量%以下の範囲であることが好ましく、35質量%以上70質量%以下の範囲であることがより好ましく、40質量%以上70質量%以下の範囲であることがさらに好ましい。
なお、本開示でいう「乳化組成物における還元水飴の含有量」とは、乳化組成物中に含まれている還元水飴の固形分の質量基準の含有率を意味する。
本実施形態の乳化組成物において、還元水飴の含有量は、アスタキサンチンの質量に対して1倍量以上100倍量以下であることが好ましく、2倍量以上50倍量以下であることがより好ましく、2倍量以上10倍量以下であることがさらに好ましい。
多価アルコールとして、グリセリン及び還元水飴以外の多価アルコールは、本実施形態の乳化組成物を食品に用いる場合には、用いないことが好ましい。
(酵素分解レシチン)
本実施形態の乳化組成物は、酵素分解レシチンを含む。
レシチンは、ホスファチジルコリン(PC)などの各種のリン脂質を含有する混合物の一般的な名称である。酵素分解レシチン(リゾレシチンとも呼ばれる)は、ホスホリパーゼなどの酵素により、ホスファチジルコリン分子が持つ1つの脂肪酸が失われたリゾホスファチジルコリンを含有する組成物である。なお、本実施形態の乳化組成物において、酵素分解レシチンは、水素添加処理を行い、結合脂肪酸を飽和脂肪酸にすることで酸化安定性を向上させた、いわゆる水素添加された酵素分解レシチンを含む。
本実施形態の乳化組成物において、酵素分解レシチンは、乳化剤として含有されることが好ましく、天然物由来の乳化剤のみを用いて高圧乳化が行えること及び経時安定性の観点から、乳化剤として実質的に酵素分解レシチンのみを含有することが好ましい。
ここで、実質的に酵素分解レシチンのみを含有するとは、酵素分解レシチン以外の他の乳化剤の含有量が、乳化組成物の全量に対し、1質量%以下であることを指す。酵素分解レシチン以外の他の乳化剤の含有量は、0.001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上1質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下であることがさらに好ましい。
酵素分解レシチンに含まれるリゾホスファチジルコリンの濃度は、安定な乳化組成物を得る観点から、18質量%以上75質量%以下であることが好ましく、18質量%以上65質量%以下であることが好ましく、18質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
本実施形態の乳化組成物における酵素分解レシチンの含有量は、乳化組成物の全量に対して2質量%以上22質量%以下の範囲であることが好ましく、5質量%以上22質量%以下の範囲であることがより好ましく、8質量%以上22質量%以下の範囲であることがさらに好ましい。
本実施形態の乳化組成物における酵素分解レシチンの含有量は、微細な乳化粒子を形成し易いこと、乳化組成物の安定化、及び泡立ちの抑制の点から、アスタキサンチンの質量に対して1倍量以上100倍量以下が好ましく、2倍量以上50倍量以下がより好ましく、5倍量以上25倍量以下が更に好ましい。
酵素分解レシチンは、市販されている酵素分解レシチンを用いることができる。酵素分解レシチンとしては、ベネコート(登録商標)BMI−40L(商品名、花王社製)、レシマール(登録商標)EL(商品名、理研ビタミン社製)、SLP−ペーストリゾ(商品名、辻製油社製)、SLP−ホワイトリゾ(商品名、辻製油社製)、SLP−ホワイトリゾH(商品名、辻製油社製)等が挙げられる。
(その他の成分)
本実施形態の乳化組成物は、前記した各成分の他に、必要に応じて任意の他の成分(例えば、栄養成分、有効成分、薬理成分等のアスタキサンチン以外の生理活性成分、色素(アスタキサンチンは含まない)、酸化防止剤、水飴、還元水飴等の液糖などの添加剤を、1種又は2種以上含有していてもよい。このような成分としては、飲食品、医薬品に使用可能なものであれば、特に制限されない。
本実施形態の乳化組成物における乳化剤として実質的に酵素分解レシチンのみを含有することが好ましいが、本発明の効果を損なわない限りにおいて、他の乳化剤を含有してもよい。他の乳化剤としては、天然物由来の乳化剤のみを用いて高圧乳化を行えること、及び経時安定性の観点から、酵素分解レシチン以外のレシチン、サポニン、ステロール等を含有してもよい。
(乳化組成物の製造方法)
本実施形態の乳化組成物は、アスタキサンチン及び油性成分を含む油相組成物と、水、グリセリン及び還元水飴からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコール、及び酵素分解レシチンを含む水相組成物とを混合した混合液を調製し、調製された混合液を常法により乳化することを含む製造方法により、製造される。
乳化に供される混合液は、油相組成物及び水相組成物をそれぞれ別個に調製した後、調製された油相組成物及び水相組成物を組み合わせて調製してもよいし、油相組成物及び水相組成物に含まれる各成分を、一括に混合して又は逐次混合して調製してもよい。
油相組成物中には、アスタキサンチン及び油性成分と共に、他の任意成分(例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物、並びにトコフェロール等のビタミンE及びその誘導体)が含まれることが好ましい。
水相組成物中には、水、グリセリン及び還元水飴からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコール、並びに酵素分解レシチンが含まれる。水相組成物は、酵素分解レシチンをグリセリンに溶解したのち、水を添加して調製されることが好ましい。
乳化組成物の製造方法の一態様では、例えば、a)水と、グリセリン及び元水飴からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコールと、酵素分解レシチンと、を混合し溶解して、水相組成物を得る、b)アスタキサンチンと、アスタキサンチン以外の成分と、を混合し溶解して、油相組成物を得る、そして、c)撹拌下で水相組成物と油相組成物とを混合して混合液とし、得られた混合液に対して、乳化分散を行う。
乳化分散の際、例えば、スターラー、インペラー撹拌、ホモミキサー、又は連続流通式剪断装置等の剪断作用を利用する通常の乳化装置を用いて乳化をした後、高圧ホモジナイザーを通す等の方法で2種以上の乳化装置を併用する製造方法が好ましい。高圧ホモジナイザーを使用する場合、乳化粒子を更に均一に近い粒子径に揃えることができる。更なる粒子径の均一化を図る目的で、乳化分散を複数回行ってもよい。
高圧ホモジナイザーには、処理液の流路が固定されたチャンバーを有するチャンバー型高圧ホモジナイザー、及び均質バルブを有する均質バルブ型高圧ホモジナイザーがある。
均質バルブ型高圧ホモジナイザーは、処理液の流路の幅を容易に調節することができるので、操作時の圧力及び流量を任意に設定することができ、その操作範囲が広いため、本実施形態の乳化組成物の製造において好ましく用いることができる。
操作の自由度は低いが、圧力を高める機構が作りやすいため、超高圧を必要とする用途にはチャンバー型高圧ホモジナイザーも好適に用いることができる。
チャンバー型高圧ホモジナイザーとしては、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製)、ナノマイザー(吉田機械興業(株)製)、アルティマイザー((株)スギノマシン製)等が挙げられる。
均質バルブ型高圧ホモジナイザーとしては、ゴーリンタイプホモジナイザー(APV社製)、ラニエタイプホモジナイザー(ラニエ社製)、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)、ホモゲナイザー(三和機械(株)製)、高圧ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ(株)製)、超高圧ホモジナイザー(イカ社製)等が挙げられる。
高圧ホモジナイザーの圧力は、好ましくは50MPa以上、より好ましくは50MPa以上250MPa以下、更に好ましくは100MPa以上250MPa以下である。
得られた乳化組成物は、チャンバー通過直後30秒以内、好ましくは3秒以内に何らかの冷却器を通して冷却することが、乳化粒子の粒子径保持の観点から好ましい。
また、得られた乳化組成物は、ソフトカプセル製剤用の乳化組成物として適用する場合には、ソフトカプセルの膨張等を防ぐ観点から、脱泡することが好ましい。
〜乳化組成物の平均粒子径〜
乳化組成物の平均粒子径(体積平均粒子径)は、特に限定されないが、5nm〜200nmであることが好ましく、乳化組成物の良好な透明性と安定性の観点からは、10nm〜150nmとすることがより好ましく、10nm〜120nmとすることがさらに好ましい。
乳化組成物の平均粒子径(体積平均粒子径)は、市販の粒度分布計等で計測することができる。粒度分布測定の方法として、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
粒径測定は、動的光散乱法により行なうことが好ましい。動的光散乱法を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(商品名、日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550(商品名、(株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(商品名、大塚電子(株))等が挙げられるが、動的光散乱法の原理に基づき、粒径測定が可能になるものであれば、測定装置はこれらに限定されない。
乳化組成物の平均粒子径は、例えば、大塚電子(株)、濃厚系粒径アナライザーFPAR1000(商品名)を用いて、100倍希釈した乳化組成物を、装置内のサンプルセルに入れ、25℃で測定した値を採用し、50%累積粒子径で測定できる。
(乳化組成物の粉末化)
本実施形態の乳化組成物は、乾燥することにより、粉末化された形態とすることができる。
乳化組成物を粉末化する際の乾燥方法は、特に限定されず、噴霧乾燥、混練造粒、凍結乾燥など常法を用いることができる。
粉末化された乳化組成物は、水を含む溶媒に懸濁することにより、乳化組成物として利用することができる。
粉末化された乳化組成物では、粉末形態での流動性及び懸濁時の分散性を向上させる場合、水相の媒体(即ち、水)はできる限り除去されていることが好ましい。水相の媒体の除去は、スプレードライによる噴霧乾燥等の加熱乾燥手段により行なえばよい。
乳化組成物の粉末化においては、粉末化に必要な当該分野で公知の物質、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、防腐剤、コーティング剤、安定化剤、流動化剤、粘稠剤、溶解補助剤、増粘剤、緩衝剤、香料、着色剤、乳化剤等の添加剤をさらに含有することができる。また、粉末化に必要な物質の含有量は、特に限定されず、適宜設定することができる。
乳化組成物を粉末化する際には、必要に応じて、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの高分子物質;アラビアゴム、トラガントゴム、ゼラチンなどの天然高分子物質;粉末乳糖、カゼイン、微結晶セルロース、澱粉、小麦粉、デキストリン、二酸化硅素などの添加剤を加えることができる。
(乳化組成物の用途)
本実施形態の乳化組成物は、食品(機能性食品、健康食品、飲料等)、医薬品、医薬部外品、化粧品等の各種の用途に適用することができる。
本実施形態の乳化組成物が適用される、食品、医薬品、医薬部外品、又は化粧品の剤型としては、例えば、液体製剤及びそれを乾燥して得られる固体製剤(散剤、顆粒剤等)が挙げられる。
本実施形態の乳化組成物は、液体製剤及びそれを乾燥して得られる固体製剤、例えば、ハードカプセル、ソフトカプセル、錠剤等に適用することができる。これらの製剤は、さらに、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料等を剤型に応じて添加し、常法に従って製造することができる。なお、本実施形態の乳化組成物を適用してなる固形製剤は、周知の方法でコーティング又は糖衣を施してもよい。
(ソフトカプセル製剤)
本実施形態の乳化組成物の好適な適用形態の一つは、本実施形態の乳化組成物を含むソフトカプセル製剤である。即ち、本実施形態のソフトカプセル製剤は、本実施形態の乳化組成物を含む内容物をソフトカプセル皮膜に封入することによって得られる。
本実施形態のソフトカプセル製剤における内容物は、ソフトカプセル製剤の全量に対して、本実施形態の乳化組成物を、0.0001質量%〜95質量%含むことができる。
ソフトカプセル皮膜(以下、単に皮膜とも称する。)を形成する基材(以下、皮膜形成用組成物とも称する。)としては、寒天、ゼラチン、ジェランガムを主成分とする基材が、皮膜の透明性等の観点で好ましい。例えば、ソフトカプセル皮膜は、ゼラチンを皮膜用の基材とする場合、ゼラチン、可塑剤、及び水を含むゼラチン皮膜液から調製される。用いられるゼラチンとしては、ゼラチン、酸性ゼラチン、アルカリ性ゼラチン、ペプタイドゼラチン、低分子ゼラチン、ゼラチン誘導体等が挙げられる。
また、ソフトカプセル皮膜は、可塑剤を含んでいてもよく、可塑剤としては、グリセリン;プロピレングルコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類;コーンシロップ、スクロース、フルクトース、ソルビトール、マンニトール等の糖類;結晶セルロース、デンプン類、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロースなどの水不溶性セルロース等を挙げることができる。なお、これらの可塑剤は1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。可塑剤としては、グリセリンが好ましい。
ソフトカプセル製剤(内容物又は皮膜)には、食品の分野において通常用いられる添加成分を、本発明の効果を損なわない限りにおいて、適宜配合してもよい。添加成分の例としては、色素又は顔料等の着色剤、保存料、香料、果汁、各種ビタミン類、動植物エキス類、アミノ酸類、ミネラル、着色料、増粘剤、pH調製剤、防腐剤、崩壊剤、界面活性剤、矯味剤、矯臭剤、甘味料、有機酸等の成分が挙げられ、これらの成分から必要に応じて適宜選択して、配合することができる。
ソフトカプセル製剤の製造方法としては、例えば、(i)カプセルの内容物及び皮膜形成用組成物をそれぞれ調製すること(以下、組成物調製工程という。)、(ii)得られた皮膜形成用組成物内に、内容物を封入し、成形、乾燥して、中間体製剤を得ること(以下、成形工程という。)、(iii)得られた中間体製剤を乾燥すること(以下、乾燥工程という。)、により好適に製造する方法が挙げられる。
組成物調製工程では、本実施形態の乳化組成物を含む内容物、及び、皮膜形成用組成物をそれぞれ調製する。本実施形態の乳化組成物の調製方法は、既述のとおりである。また、皮膜形成用組成物は、組成物に含有される所定の成分を溶解させた溶液として調製すればよい。
成形工程では、皮膜形成用組成物を用いて形成された皮膜内に、本実施形態の乳化組成物を含む内容物を封入し、成形、乾燥して、中間体製剤を得る。
本実施形態のソフトカプセル製剤において、皮膜形成用組成物への内容物の封入は、従来公知のソフトカプセル製剤の製造法、例えば、平板法又はロータリーダイ法に準じて行なうことができる。
乾燥工程では、成形工程において得られた中間体製剤を乾燥させる。本工程を経ることにより、完成品であるソフトカプセル製剤が得られる。
本実施形態のソフトカプセル製剤は、ソフトカプセル皮膜に内容物を封入する前において、本実施形態の乳化組成物を含むソフトカプセル製剤の内容物の全量に対して、水の含有量が15質量%以下であることが好ましい。
ソフトカプセル皮膜に内容物を封入した後、ソフトカプセル製剤に含まれる内容物における水の含有量は、乾燥工程を経て、5質量%以下であることが好ましい。ソフトカプセル製剤の内容物に含まれる水の含有量の下限値は、特に限定されないが、3質量%程度である。
乾燥工程に適用される乾燥手段は、特に限定されず、タンブラー乾燥機(即ち、回転ドラム式乾燥機)などの公知の乾燥機を使用することができる。
乾燥の際の温度、時間等の条件は、特に制限されるものではなく、食品組成物に含まれる成分及びカプセル皮膜に含まれる成分の種類により、適宜調整することができる。
ソフトカプセル製剤の形状としては、特に制限はなく、楕円(OVAL)、長方形(OBLONG)、球状(ROUND)等のいずれの形状もとることができる。これらの形状にするため、当業界で周知の方法又は装置を適用することができる。
(飲料)
本実施形態の乳化組成物は、水などの溶媒を用いて希釈して飲料にすることができる。
粉末等の固体製剤とした本実施形態の乳化組成物に、水などの溶媒を加えて飲料にしてもよい。
飲料は、飲料の全量に対して、本実施形態の乳化組成物を、好ましくは0.0001質量%〜50質量%含むことができ、より好ましくは0.1質量%〜20質量%含むことができる。
飲料には、甘味料、香料、酸味料、増粘安定剤、酸化防止剤等を配合することによって、飲料としての味等を適宜調整することができる。
甘味剤としては、甘味を呈する材料であればどのようなものでもよい。例えば、果汁、糖類又は高甘味度甘味料などが挙げられる。糖類として、ブドウ糖、フルクトース、ガラクトース、異性果糖などの単糖類、スクロース、乳糖、パラチノースなどの二糖類、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、パラチノースなどのオリゴ糖類、例えば、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール等の単糖アルコール類、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール等の二糖アルコール類、マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、パニトール等の三糖アルコール類、オリゴ糖アルコール等の四糖以上アルコール類等の糖アルコールが挙げられる。例えば、高甘味度甘味料として、ステビア、アスパルテーム、サッカリン、グリチルリチン、ソーマチン、スクラロース、アセスルファムK等が挙げられる。
香料としては、例えば、天然香料及び合成香料等が挙げられる。
天然香料としては、例えば、草根、木皮、花、果実、果皮又はその他動植物を素材として常法に従って調製された香成分含有物等が挙げられる。また、天然香料としては、天然素材を、水蒸気蒸留法、圧搾法又は抽出法等によって処理して分離した精油等が挙げられる。
合成香料としては、例えば、コーヒー由来香料、紅茶由来香料、緑茶由来香料、ウーロン茶由来香料、ココア由来香料、ハーブ由来香料、スパイス由来香料、フルーツ由来香料等が挙げられる。
飲料は、容器に充填することによって容器詰飲料としてもよい。
飲料に使用される容器としては、飲料用容器として使用されているものであればよく、例えば、PETボトル、紙パック、ガラス容器、アルミ缶、スチール缶等が挙げられる。
飲料のpHは、20℃におけるpHは1.0〜9.0の範囲が好ましく、1.5〜7.0の範囲がより好ましく、2.0〜5.0の範囲が特に好ましい。pH1.0以上であれば飲用として好ましく、pH9.0以下であれば、飲料としての風味安定化効果を充分に得ることができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。実施例において調製された乳化組成物は、ソフトカプセル製剤、食品(機能性食品、健康食品、飲料等)、医薬品、医薬部外品、又は化粧品に好適に利用できる。
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。しかしながら、本発明はそれらに何ら限定されない。なお、特に断りのない限り、「%」及び「部」は質量基準である。
[実施例A1〜A5、実施例B1〜B5]
1−1.グリセリン含有乳化組成物の調製
下記表1に示す各成分を用いて、以下の方法に従い、実施例A1〜A5の乳化組成物を、それぞれ調製した。
表1に示す各成分の詳細は以下の通りである。
・アスタキサンチン含有油: ASTOT(登録商標)−S(商品名、ヘマトコッカス藻由来アスタキサンチン含有油、アスタキサンチン20質量%含有、中鎖脂肪酸トリグリセライド含有、富士フイルム(株))
・酵素分解レシチン: SLPホワイトリゾ(商品名、辻製油(株))
・ミックストコフェロール: 理研Eオイル800(商品名、理研ビタミン(株))
・グリセリン(食品添加物グレード)
・レシチン: SLPホワイト(商品名、辻製油(株))
・水: 精製水
水、グリセリン、及び酵素分解レシチンを、表1に示す量で混合し溶解して、水相組成物を得た。アスタキサンチン含有油、レシチン、及びミックストコフェロールを、表1に示す量で混合し溶解して、油相組成物を得た。得られた水相組成物及び油相組成物を、マグチックスターラーを用いて攪拌しながら混合して混合液を得た。
さらにスターラーで撹拌を続けながら、混合液を70℃に30分間加温した後、TKホモミキサー(プライミクス株式会社)を用いて3000rpm(round per minute、以下同じ)で3分間剪断力を付与して、乳化組成物を調製した。
得られた乳化組成物を、高圧分散装置であるスターバーストミニ機((株)スギノマシン)で200MPaの圧力で3回処理することで、実施例A1〜A5の乳化組成物を得た。

1−2.還元水飴含有乳化組成物の調製
下記表2に示す各成分を用いて、以下の方法に従い、実施例B1〜B5の乳化組成物を、それぞれ調製した。
表2に示す各成分の詳細は以下の通りである。
・アスタキサンチン含有油: AstaPure(登録商標)20%(商品名、色価4700、ヘマトコッカス藻由来アスタキサンチン含有油、アスタキサンチン20質量%含有、中鎖脂肪酸トリグリセライド含有、Alga Technologies)
・酵素分解レシチン: SLPホワイトリゾ(商品名、辻製油(株))
・ミックストコフェロール: 理研Eオイル800(商品名、理研ビタミン(株))
・還元水飴:オリゴトースH―70(三菱化学フーズ(株))
・レシチン: SLPホワイト(商品名、辻製油(株))
・食用油脂:O.D.O(トリカプリル酸/カプリン酸グリセリル、商品名、日清オイリオグループ(株))
・水: 精製水
水、還元水飴、及び酵素分解レシチンを、表2に示す量で混合し溶解して、水相組成物を得た。アスタキサンチン含有油、ミックストコフェロール、および食用油脂を、表2に示す量で混合し溶解して、油相組成物を得た。得られた水相組成物及び油相組成物を、マグチックスターラーを用いて攪拌しながら混合して混合液を得た。
さらにスターラーで撹拌を続けながら、混合液を70℃に30分間加温した後、TKホモミキサー(プライミクス株式会社)を用いて3000rpmで3分間剪断力を付与して、乳化組成物を調製した。
得られた乳化組成物を、高圧分散装置であるスターバーストミニ機((株)スギノマシン)で200MPaの圧力で3回処理することで、実施例B1〜B5の乳化組成物を得た。

表1及び表2中、各成分の含有量における「−」の記載は、該当する成分を含有していないことを示す。
2.乳化組成物の評価
得られた各乳化組成物を以下の方法で評価した。
(乳化組成物の平均粒子径の測定)
得られた乳化組成物に含まれるアスタキサンチンを含有する粒子の平均粒子径を以下の方法で測定した。
濃厚系粒径アナライザーFPAR1000(商品名、大塚電子(株))を用いて、得られた乳化組成物を100倍希釈して、直接、装置内のサンプルセルに入れ、25℃にて平均粒子径(ヒストグラム平均粒子径(D50))を測定した。測定結果を表1に示す。
(濁度測定)
島津分光光度計UV−2550型(商品名、(株)島津製作所)を用い、光路長10mmのガラスセルに、実施例A1〜A5及び実施例B1〜B5の乳化組成物をそれぞれ入れ、650nmの吸光度を測定して、この値を濁度とした。
濁度の測定は、乳化組成物の調製直後(初期濁度)、及び、40℃で2週間保存した後に2回行なった。調製直後の濁度と、40℃で2週間保存後の濁度を測定し、調製直後の濁度に対する濁度上昇率を算出した。
実施例の乳化組成物の初期濁度及び40℃で2週間保存後の濁度上昇率は、いずれも実用上問題のないレベルであった。
(保存安定性:乳化組成物の濁り)
乳化組成物を調製後、40℃で2週間保存した後、目視にて乳化組成物における濁りを観察し、以下に示す基準により評価した。
なお、以下の評価において、A及びBは実用上問題のないレベルである。
A:透明であり、濁りは認められない。
B:わずかな濁りが認められる。
C:濁りが認められる。
(保存安定性:沈殿)
乳化組成物を調製後、40℃で2週間保存した後、目視にて乳化組成物における沈殿の有無を観察し、以下に示す基準により評価した。
なお、以下の評価において、A及びBは実用上問題のないレベルである。
A:乳化組成物中に沈殿は認められない。
B:乳化組成物中にわずかな浮遊物が認められる。
C:乳化組成物中に析出、沈殿が認められる。
D:乳化組成物中の沈殿が著しいか、相分離が認められる。
実施例の乳化組成物の保存安定性(濁り及び沈殿)の評価は、いずれもA又はBであり、実用上問題のないレベルであった。
実施例A1〜A5及び実施例B1〜B5の乳化組成物は、いずれも乳化組成物に含まれる粒子の安定性が良好であり、保存安定性(経時安定性)に優れた乳化組成物であった。

Claims (9)

  1. アスタキサンチン及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種、油性成分、水、グリセリン及び還元水飴からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコール、並びに酵素分解レシチンを含有する乳化組成物。
  2. 乳化組成物は乳化剤として実質的に酵素分解レシチンのみを含有する請求項1に記載の乳化組成物。
  3. 多価アルコールとしてグリセリンを乳化組成物の全体の質量に対して30質量%以上60質量%以下の範囲で含有する請求項1又は請求項2に記載の乳化組成物。
  4. 多価アルコールとして還元水飴を乳化組成物の全体の質量に対して30質量%以上70質量%以下の範囲で含有する請求項1又は請求項2に記載の乳化組成物。
  5. 酵素分解レシチンを乳化組成物の全体の質量に対して2質量%以上22質量%以下の範囲で含有する請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の乳化組成物。
  6. 酵素分解レシチンを乳化組成物の全体の質量に対して5質量%以上22質量%以下の範囲で含有する請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の乳化組成物。
  7. 酵素分解レシチンを乳化組成物の全体の質量に対して8質量%以上22質量%以下の範囲で含有する請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の乳化組成物。
  8. 油性成分が中鎖脂肪酸トリグリセライド及び動植物性油脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の乳化組成物。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の乳化組成物を含むソフトカプセル製剤。
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