JP2017183012A - 微生物燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】外部電源や制御機器を用いることなく、電池形成から出力発生までの時間を短縮する。【解決手段】微生物燃料電池(100)は、少なくとも1種類の電流発生菌(11)、少なくとも1種類の好気性細菌(14)、少なくとも1種類のメタン生成菌(15)、および有機物を含む微生物含有層(5)と、微生物含有層(5)に接触して配置され、電流発生菌(11)による前記有機物の分解によって生じる電子を取り出すアノード電極(2)と、前記電子を受け取るカソード電極(3)とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、微生物燃料電池に関する。
微生物などの生体触媒に用いた微生物燃料電池は、有機物から直接発電が可能であることから、環境発電の一種として注目されている。
例えば、特許文献1に開示された微生物燃料電池は、アノードと、カソードと、アノードおよびカソード14の間に配置されたカチオン交換膜とを有し、アノードにelectricigenic微生物が配置されている構成である。
特開2008−288198号公報(2008年11月27日公開) 特開2004−016023号公報(2004年1月22日公開)
特許文献1に示されるような従来の微生物燃料電池では、電池出力が一定以上になるまで数日を要していた。これは、初期状態の負極上および負極槽内の微生物量が少ないために、その微生物の増殖および活性化に時間がかかることが原因と考えられる。
微生物の増殖速度を高めるためには、例えば特許文献2に示されるような、培地に電圧を印加しながら微生物を培養する、いわゆる電気培養技術が検討されている。しかしながら、電気培養技術では、外部電源や電源制御のための制御機器を要することとなる。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部電源や制御機器を用いることなく、電池形成から出力発生までの時間を短縮することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る微生物燃料電池は、少なくとも1種類の電流発生菌、少なくとも1種類の好気性細菌、少なくとも1種類のメタン生成菌、および有機物を含む微生物含有層と、前記微生物含有層に接触して配置され、前記電流発生菌による前記有機物の分解によって生じる電子を取り出す負極と、前記電子を受け取る正極と、を備えている。
本発明の一態様によれば、電源や制御機器を用いることなく、微生物燃料電池内の微生物を早期に増殖および活性化することで、電力発生までの時間を短縮することができるという効果を奏する。
本発明の実施形態1に係る微生物燃料電池を模式的に示す断面図である。 上記実施形態1に係る微生物燃料電池の動作原理を模式的に示す図である。 本発明の実施形態2に係る微生物燃料電池を模式的に示す断面図である。 上記実施形態2に係る微生物燃料電池の動作原理を模式的に示す図である。 上記実施形態2に係る微生物燃料電池の製作後の出力電圧を測定した結果を示すグラフである。 本発明の実施形態3に係る微生物燃料電池を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図1〜図6に基づいて詳細に説明する。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について図1および図2を用いて説明すれば、以下のとおりである。
(微生物燃料電池の構造)
図1は、本実施形態に係る微生物燃料電池100を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、微生物燃料電池100は、筐体1を備えており、当該筐体1内に設けられた、アノード電極2(負極)と、カソード電極3(正極)と、イオン伝導層4と、微生物含有層5と、空気層6とを備えている。筐体1の上側にはアノード電極2が配置され、筐体1の下側にはカソード電極3が配置されている。微生物含有層5は、アノード電極2の上側と下側とにアノード電極2と接するように配置されている。空気層6は、カソード電極3の下側にカソード電極3と接するように配置されている。
微生物燃料電池100は、アノード電極2とカソード電極3との間にイオン伝導層4が間に介在しているのであれば、アノード電極2、カソード電極3およびイオン伝導層4の配置に特に制限はなく、アノード電極2がイオン伝導層4に接触していても構わない。また、アノード電極2、カソード電極3およびイオン伝導層4は、上側から、カソード電極3、イオン伝導層4、アノード電極2の順に配置されていても構わない。あるいは、アノード電極2、カソード電極3およびイオン伝導層4は、水平方向に、カソード電極3、イオン伝導層4、アノード電極2の順に配置されていても構わない。
アノード電極2にはアノード配線20が電気的に接続され、カソード電極3にはカソード配線30が電気的に接続されている。これにより、微生物発電により発生した電気を外部に取り出すことができる。アノード配線20およびカソード配線30は、例えば、制御回路(図示せず)、負荷(図示せず)などに電気的に接続されてもよい。
(筐体)
筐体1を構成する材料は特に制限されないが、例えばプラスチックなどの絶縁性を有する材料を用いることが好ましい。例えば、当該材料として、一般的な樹脂(あるいはゴム)材料、フッ素系樹脂(あるいはゴム)材料、絶縁被膜付き金属材料、およびセラミック材料等を挙げることができる。中でも、低コストで耐腐食性が高いという理由から、筐体1を構成する材料は、フッ素系樹脂(あるいはゴム)材料であることが望ましい。
(アノード電極)
アノード電極2は、微生物含有層5から供給される嫌気性の電流発生菌11を触媒として用い、かつ微生物含有層5に含まれる有機物燃料の酸化を行う電極であり、電流発生菌11による有機物燃料の分解によって生じる電子を取り出す。このようなアノード電極2を構成する材料としては、導電性を有し、かつ耐腐食性に優れる材料が用いられる。このような材料として、好ましくは、ステンレス、白金、金、カーボン、ニッケル、チタンなどの材料や、金属などの導電材料にステンレス、白金、金、カーボン、ニッケル、チタンなどのコーティングを施したものなどを挙げることができる。
さらには、アノード電極2を構成する材料として、微細構造、メッシュ状など、投影面積よりも電極面積を稼げる構造や形状を有する材料を用いてもよい。これにより、微生物の吸着面積を増やすことができ、大きな発電電流を得ることができる。
あるいは、アノード電極2を構成する材料として、カーボンフェルトやカーボンペーパーなどの材料を用いてもよい。これにより、電気抵抗が低く、かつ微生物の吸着量を増やすことができるだけでなく、貴金属材料よりも低コストに抑えることができる。
本実施形態では、アノード電極2を構成する材料として上記のような各種の材料を挙げたが、これらの材料には限定されない。
(カソード電極)
カソード電極3は、空気中および水中の酸素にアノード電極2によって取り出された電子を供給することで酸素の還元を行う電極である。このようなカソード電極3としては、導電性を有し、かつ耐腐食性に優れ、また電気化学的に酸素還元能を持つ材料が用いられる。このような材料としては、好ましくは、ステンレス、白金、金、カーボン、ニッケル、チタンなどの材料や、金属などの導電材料にステンレス、白金、金、カーボン、ニッケル、チタンなどのコーティングを施したものなどを挙げることができる。また、酸素還元能を有する酵素や微生物をコーティングした導電材料をカソード電極3に用いることもできる。
また、カソード電極3を構成する材料として、微細構造、メッシュ状など、投影面積よりも電極面積を稼げる構造や形状を有する材料を用いてもよい。これにより、酸素との反応面積を増やすことができるので、大きな発電電流を得ることができる。
また、カソード電極3を構成する材料として、カーボンフェルトやカーボンペーパーなどを用いてもよい。これにより、電気抵抗が低く、酸素還元可能な電極面積を増やすことができ、また貴金属材料よりも低コストに抑えることができる。
本実施形態では、カソード電極3を構成する材料として上記のような各種の材料を挙げたが、これらの材料には限定されない。
また、カソード電極3には、フェロシアンイオンなどの電子媒介物質を用いてもよい。これにより、電極と酸素の電子の交換を円滑に行い、電流を向上させることもできる。それゆえ、電子媒介物質(電子メディエーター)を電極周辺に配置したり、電極に固定化したりしてもよい。ただし、電子媒介物質がカソード電極3を構成する上で必須ではない。
(イオン伝導層)
イオン伝導層4は、上述のようなアノード電極2とカソード電極3との間に設けられている。ここで、イオン伝導層4は、空気(空気層6)に暴露されているカソード電極3側からアノード電極2への酸素の拡散を制限し、かつアノード電極2からカソード電極3へのイオンの移動を可能とする機能を有する層であり、イオン伝導性膜および電解質溶液である。また、イオン伝導層4における「層」は、筐体1の内部空間に広がり、筐体1の鉛直方向(上下方向)に対して垂直な平面を含む層のことをいう。上記の機能を有するイオン伝導層4の形成には、空気と接するカソード側からアノードへの酸素の拡散や浸透を阻害できるものであれば構わない。ただし、低コストである点、密に酸素を遮断できる点、塩分や密度の調整により材料の物性の調整が容易である点を考慮し、ハイドロゲル状のものが好ましい。
ハイドロゲルは、高分子材料を基材として、水分を多量に含むことにより形成される。このようなハイドロゲルは、電解質を含んでおり、カソード電極3とアノード電極2の間に配置することにより、カソード電極3側から侵入して拡散する酸素のアノード電極2への到達を物理的に遮断でき、かつイオン伝導性に優れるために、微生物燃料電池100の内部抵抗を損なうことなく電池を構成できる。また、ハイドロゲルの高分子構造、高分子材料、水分含有量、イオン強度などを調整することで、酸素透過度、イオン伝導性、柔軟性の調整が可能である点も、微生物燃料電池の設計自由度を向上させる観点から優れている。
図1には、イオン伝導層4が、アノード電極2およびカソード電極3と別体的に互いに分離されて形成された構成を示しているが、イオン伝導層4がアノード電極2およびカソード電極3と一体化されていても勿論よい。
(アノード配線およびカソード配線)
アノード配線20およびカソード配線30の材質は、耐腐食性の高いSUS、チタン、ニッケル、カーボンなどであることが望ましく、また絶縁性の樹脂などによって被覆されていることが望ましい。
(微生物含有層)
微生物含有層5は、有機化合物(有機物)からなる有機物燃料を含むとともに、電流発生菌11、好気性細菌14およびメタン生成菌15を含んでいる。また、有機物燃料は、アノード電極2によって酸化され、グルコース、酢酸、乳酸などの炭化水素物、アミノ酸などが好適に用いられる。
微生物含有層5に含まれる、電流発生菌11、好気性細菌14およびメタン発生菌15は、予め同定および培養されたものであってもよい。これにより、微生物の反応効率をより向上させることができるため、より好ましい。
なお、上記の予め同定および培養された、電流発生菌11、好気性細菌14およびメタン発生菌15を所定の比率で混合することで、より高い効果を得ることができる。
(電流発生菌)
アノード電極2に用いられる電流発生菌11は、例えばShewanella菌、Geobacter属細菌、Rhodoferax ferrireducens、Desulfobulbus Propionicusなど、従来公知の適宜の嫌気性の電流発生菌が挙げられる。その中でも、幅広い土壌中に豊富に含まれ、アノード電極2との電子授受が容易であることから、Shewanella菌が好適である。
(メタン生成菌)
微生物含有層5内で用いられるメタン生成菌15は、メタノバクテリア科Methanobacteriaceaeのメタノバクテリウム属Methanobacterium、メタノサルシナ属Methanosarcina、メタノコッカス属Methanococcusなどが挙げられる。
メタン生成菌15は、電流発生菌11の代謝生成物である二酸化炭素を消費することで、電流発生菌11の代謝とそれに伴う増殖を促す。また、メタン生成菌15は、微生物含有層5内のメタン分圧を上げることで嫌気性を高め、主に嫌気性細菌からなる電流発生菌11の活性化を促す。
(好気性細菌)
好気性細菌14は、例えば酵母などの通性好気性生物でもよく、クレンアーキオータ門のAeropyrum、Sulfolobus、Metallosphaera、Sulfurococcus、ユリアーキオータ門のFerroplasma、Acidiplasma、Thermogymnomonas、Picrophilus、高度好塩菌綱の全ての属、タウムアーキオータ門の全ての属などの偏性好気性生物のいずれでもよい。
好気性細菌14は、その代謝により酸素を消費し、二酸化炭素を生成することで、アノード槽内の二酸化炭素分圧を上げて嫌気性を高め、主に嫌気性細菌からなる電流発生菌11およびメタン生成菌15の活性化を促す。
(微生物燃料電池の反応)
図2を参照して微生物燃料電池100の動作を説明する。図2は、微生物燃料電池100の動作原理を模式的に示す図である。なお、図2では、便宜上、アノード電極2および微生物含有層5のみを示している。
微生物含有層5内に含まれる、嫌気性の電流発生菌11(上述のShewanella菌など)は、アノード電極2に吸着し、反応R11によって、微生物含有層5に含まれる、炭化水素物(例えばグルコースや酢酸など)やアミノ酸などの有機物燃料を代謝(酸化)する際に、電子伝達系から電子(e)がアノード電極2へと放出される(酸化後の有機物燃料は酸化体となる)。この電子(e)が外部回路(図示せず)を経由してカソード電極3に到達し、カソード電極3がその電子を受け取ることで電流が流れ、発電が起こる。
電子(e)と同時に生成したプロトン(H)は、微生物含有層5やイオン伝導層4を通過し、カソード電極3へと達する。電子(e)、プロトン(H)、空気中および水中の酸素(O)がカソード電極3上で反応し、水(HO)が生成される。
カソード電極3で消費されなかった酸素は、微生物含有層5を通過するか、微生物含有層5の水分中を拡散して、アノード電極2側へと向かって移動する。好気性細菌14は、反応R14により、微生物含有層5内の酸素を消費する。また、メタン生成菌15は、反応R15により、電流発生菌11の代謝生成物であるCOを消費してCHを生成する。これにより、微生物含有層5内の酸素分圧が下がる一方でメタン分圧が高まる。
以上の反応R14および反応R15によって、微生物含有層5内の酸素濃度を下げることができる。これにより、アノード電極2の近傍では、酸素濃度が低く保たれるので、電極触媒として利用する嫌気性の電流発生菌11の生育を促すことができる。
(微生物燃料電池による効果)
本実施形態に係る微生物燃料電池100は、電流発生菌11、好気性細菌14およびメタン生成菌15をそれぞれ少なくとも1種類含んだ微生物含有層5を備えている。これにより、電流発生菌11の代謝およびそれに伴う生育を促進することができる。それゆえ、電流発生菌11の生育速度を速め、微生物燃料電池100の出力発生の時間を短くすることができる。
なお、従来の微生物燃料電池では、単種の微生物のみが利用されていた。その発電環境は、緩衝液の使用、酸素の除去、微生物の電極への固定化による活性化など人工的な制御を要していた。
これに対し、微生物燃料電池100は、微生物含有層5内の微生物活動を相互に活発化させることにより、電力の立ち上がりが早い、微生物燃料電池100を実現することが可能となる。これは、複数種の微生物が存在することで、代謝の促進、pHの中性化、酸素の減少などが起こり、電流発生菌11の活動しやすい環境が整えられることによる。
また、従来の微生物燃料電池では、予め嫌気状態にした燃料溶液を用いる必要があった。これに対し、微生物燃料電池100では、好気性細菌14が酸素を消費することから、酸素が含まれた燃料溶液も利用することができる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図3〜図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、本実施形態において、前述の実施形態1における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
(微生物燃料電池の構造)
図3は、本実施形態に係る微生物燃料電池101を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、微生物燃料電池101は、実施形態1に係る微生物燃料電池100と同様、筐体1内に、アノード電極2、カソード電極3、イオン伝導層4、微生物含有層5および空気層6を備えるように構成されている。ただし、微生物燃料電池101は、微生物含有層5が酸化還元物質Xを含んでいる点において、微生物燃料電池100と相違する。酸化還元物質Xは、アノード電極2上に接触するように設けられていてもよい。
(酸化還元物質)
酸化還元物質Xは、電流発生菌11が酸化還元できる物質であることが好ましい。酸化還元物質Xとしては、鉄化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、硝酸、亜ヒ酸、シアン化合物、フェロセン系化合物、オスミウム化合物などが用いられる。また、酸化還元物質Xとしては、ベンゾキノン類、ナフトキノン類、アントラキノン類、ポルフィリン類、アニリン類、フェナジン類、フラビン類、フェノチアジン系化合物などの有機化合物が用いられる。さらに、酸化還元物質Xとしては、デヒドロゲナーゼ、オキダーゼ、ペルオキシダーゼ活性を有す酸化還元酵素が用いられる。酸化還元酵素は、酸化還元物質Xとして用いられる上記の他の物質と組み合わせて酸化還元物質Xとして用いられてもよい。
酸化還元物質Xは、微生物含有層5内に含まれてさえいれば、固体状で設けられていてもよい。この場合、より多くの酸化還元剤Xを微生物含有層5内に設けることができる。なお、固体状の酸化還元剤は、アノード電極2へのリーク電流が発生することを防ぐため、アノード電極2に接触しないように配置されていることが好ましい。
また、酸化還元物質Xは、微生物含有層5内に含まれてさえいれば、粉末(粒子)状であっても、粉末(粒子)を液体に分散させた溶液状であっても構わない。この場合、酸化還元物質Xは予めアノード電極2に担持されていても構わない。
(微生物燃料電池の反応)
図4は、微生物燃料電池101の動作原理を模式的に示す図である。なお、図4では、便宜上、アノード電極2および微生物含有層5のみを示している。
図4に示すように、酸化還元剤Xは、電流発生菌11の反応R11と共役した酸化還元反応R110を生じる。これにより、電流発生菌11の代謝およびそれに伴う成長を促進することができる。したがって、電流発生菌11の生育速度を速めて、より電力の発生を早めることができる。
(実験結果)
図5は、微生物燃料電池101の製作後の出力電圧を測定した結果を示すグラフである。本実験では、酸化還元物質Xとして鉄化合物を添加した微生物燃料電池101と、添加していない微生物燃料電池100の作製時からの開回路電圧の推移を測定した。
図5に示すように、微生物含有層5に、酸化還元物質Xとして鉄化合物を添加した微生物燃料電池101については、作製後に1日経過してから600mV以上の開回路電圧が発生している。一方、微生物含有層5に酸化還元物質Xを添加していない微生物燃料電池100では、作製後に10日経過してから開回路電圧が600mVに達している。
このように、酸化還元物質Xによる微生物燃料電池101の出力発生までの短時間化が確認された。
(微生物燃料電池による効果)
本実施形態に係る微生物燃料電池101は、電流発生菌11、好気性細菌14およびメタン生成菌15を含んだ微生物含有層5を備え、さらに、微生物含有層5が酸化還元物質Xを含んでいる。
これにより、電流発生菌11と酸化還元物質Xとの酸化還元反応R110が生じる結果、電流発生菌11の代謝およびそれに伴う成長が促される。それゆえ、微生物燃料電池101の出力発生までの時間を前述の微生物燃料電池101よりも短くすることができる。
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、本実施形態において、前述の実施形態2における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
(微生物燃料電池の構造)
図6は、本実施形態に係る微生物燃料電池102を模式的に示す断面図である。
図6に示すように、微生物燃料電池102は、実施形態1に係る微生物燃料電池101と同様、筐体1内に、アノード電極2、カソード電極3、イオン伝導層4、微生物含有層5および空気層6を備えるように構成されている。ただし、微生物燃料電池102において、微生物含有層5が、少なくとも、酸化還元物質X1を図3に示す酸化還元物質Xに代えて含んでいる点で、微生物燃料電池101と相違する。
(酸化還元物質)
酸化還元物質X1は、カプセルX10内に封入されている。また、酸化還元物質X1は、実施形態2における酸化還元物質Xと同様の物質が用いられる。
カプセルX10は、時間をおいて分解する物質によって形成されている。カプセルX10は、例えば微生物含有層5内の条件に基づいて、ある程度の時間が経過の後に分解する分解性を有する材料により実現することができる。利用することのできる分解性としては、加水分解性、光分解性、熱分解性などがある。また、分解性を有する材料の組成や厚み等を制御することによって、カプセルX10が分解するタイミングを任意に設定することができる。
(微生物燃料電池による効果)
カプセルX10は、微生物含有層5内に投入されてから筐体1を密封した後に時間差で分解し、カプセルX10内が開放される。これにより、筐体1が密封状態にあるときに酸化還元物質X1を微生物含有層5内に投入することができる。すなわち、外環境の影響を受けずに酸化還元物質X1に所望の反応R110を生じさせることができる。
(変形例)
微生物燃料電池102は、それぞれが酸化還元物質X1,X2,X3を封入するカプセルX10,X20,X30を複数備えていてもよい。これにより、酸化還元物質X1、X2、X3をそれぞれ異なる物質にすることができる。また、カプセルX10,X20,X30が分解するタイミングは、それぞれ異なるようにしてもよい。
これにより、所望のタイミングで所望の酸化還元物質X1,X2,X3をそれぞれ分解するように設計することが可能になる。したがって、相互の反応に影響を及ぼすことなく、酸化還元物質X1,X2,X3をそれぞれ反応させることができる。
なお、酸化還元物質X1,X2,X3は同一物質であっても構わない。カプセルX10,X20,X30が分解するタイミングに時間差を設けることにより、段階的に反応させることが可能になる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る微生物燃料電池は、少なくとも1種類の電流発生菌11、少なくとも1種類の好気性細菌14、少なくとも1種類のメタン生成菌15、および有機物を含む微生物含有層5と、前記微生物含有層5に接触して配置され、前記電流発生菌11による前記有機物の分解によって生じる電子を取り出す負極(アノード電極2)と、前記電子を受け取る正極(カソード電極3)とを備えている。
上記の構成によれば、電流発生菌11は、微生物含有層5に含まれる有機物を分解することによって、COを生成するとともに、電子およびイオンを生成する。その電子を負極で取り出し、正極が受け取ることによって、発電が起こる。好気性細菌14は、微生物含有層5内の酸素を消費する。メタン生成菌15は、電流発生菌11が生成したCOからメタンを生成する。これにより、微生物含有層5内の酸素濃度が低下するので、負極の近傍では、酸素濃度が低く保たれる。それゆえ、電極触媒として利用する嫌気性の電流発生菌11の生育を促すことができる。したがって、微生物燃料電池の出力発生に要する時間を短くすることができる。
本発明の態様2に係る微生物燃料電池は、上記態様1において、前記微生物含有層5が酸化還元物質X,X1を含んでいてもよい。
上記の構成によれば、電流発生菌11と酸化還元物質X,X1との酸化還元反応が生じる結果、電流発生菌11の代謝およびそれに伴う成長が促される。それゆえ、より電力の発生を早めることができる。
本発明の態様3に係る微生物燃料電池は、上記態様2において、前記酸化還元物質X,X1が鉄化合物を含んでいてもよい。
上記の構成によれば、鉄化合物による酸化還元反応が、電流発生菌11の代謝およびそれに伴う成長をより早めることができる。それゆえ、より電力の発生に要する時間の短縮効果を高めることができる。
本発明の態様4に係る微生物燃料電池は、上記態様3において、前記鉄化合物が、固体状に設けられ、かつ前記負極に接触しないように配置されていてもよい。
上記の構成によれば、負極へのリーク電流が発生することを防止できる。
本発明の態様5に係る微生物燃料電池は、上記態様2から4において、前記酸化還元物質X,X1は酸化還元酵素を含んでいてもよい。
前記酸化還元物質X1は、前記微生物含有層5に投入されてから時間をおいて分解するカプセルX10に封入されていてもよい。
上記の構成によれば、カプセルX10が、微生物含有層5内に投入されてから時間をおいて分解すると、カプセルX10内の酸化還元物質X1が微生物含有層5に放出される。これにより、外環境の影響を受けずに酸化還元物質X1に所望の酸化還元反応を生じさせることができる。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
2 アノード電極(負極)
3 カソード電極(正極)
5 微生物含有層
6 空気層
11 電流発生菌
14 好気性細菌
15 メタン生成菌
100 微生物燃料電池
101 微生物燃料電池
102 微生物燃料電池
X,X1〜X3 酸化還元物質
X10,X20,X30 カプセル

Claims (6)

  1. 少なくとも1種類の電流発生菌、少なくとも1種類の好気性細菌、少なくとも1種類のメタン生成菌、および有機物を含む微生物含有層と、
    前記微生物含有層に接触して配置され、前記電流発生菌による前記有機物の分解によって生じる電子を取り出す負極と、
    前記電子を受け取る正極と、
    を備えていることを特徴とする微生物燃料電池。
  2. 前記微生物含有層は酸化還元物質を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の微生物燃料電池。
  3. 前記酸化還元物質は鉄化合物を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の微生物燃料電池。
  4. 前記鉄化合物は、固体状に設けられ、かつ前記負極に接触しないように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の微生物燃料電池。
  5. 前記酸化還元物質は酸化還元酵素を含んでいることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の微生物燃料電池。
  6. 前記酸化還元物質は、前記微生物含有層に投入されてから時間をおいて分解するカプセルに封入されていることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の微生物燃料電池。
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