JP2017182942A - 燃料電池スタック構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、空冷性能に優れているとともに組立精度を高めることができる燃料電池スタック構造を提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係る燃料電池スタック構造は、高分子電解質膜体10の両面に電極シート部材11及び12を接合している膜ー電極接合体1と、一方の面側に供給側流路201が形成されて他方の面側に冷却側流路202が形成されている一対のセパレータ部材20を備えるとともに一対のセパレータ部材20が冷却側流路202の形成されている面を向き合うように対向配置して接合している分離接合体2とを備え、セパレータ部材20は、冷却側流路202の形成されている面に突起状の接合部203が複数形成されており、一対のセパレータ部材20を接合部203のみで互いに接合して冷却媒体が流通する冷却通路となる空間が設定されている。【選択図】図1
Description
本発明は、空冷式の燃料電池スタック構造に関する。
燃料電池は、環境への影響の少ないクリーンなエネルギーを発生させる装置として近年注目されている技術である。燃料電池は、使用される電解質の種類によりに固体高分子形燃料電池(PEFC)、りん酸形燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、固体酸化物形燃料電池(SOFC)に分類される。固体高分子形燃料電池は、他の形式の燃料電池に比べセル抵抗が小さく、高電流密度での動作及び小型軽量化が可能であり、動作温度も低いことから、家庭用燃料電池や自動車用燃料電池として利用されている。
燃料電池の基本構造は、図8に示すように、電解質301両側に燃料極302(アノードとして機能)及び酸化剤極303(カソードとして機能)が接合されており、燃料極302には水素(H2)が供給され、酸化剤極303には酸素(O2)を含む空気が供給される。各電極は、電解質301との間に反応の触媒である白金が分散された触媒層が形成されている。燃料極302側では、水素、触媒及び電解質が存在することで、プロトン(H+)及び電子(e-)が生じ、電子は、燃料極302から外部に取り出されて負荷304に供給され、プロトンは電解質301内を移動して酸化剤極303側に向かう。一方、酸化剤極303側では、酸素、触媒及び電解質が存在することで、負荷304から酸化剤極303に供給された電子、電解質301内を移動してきたプロトン及び空気中の酸素が反応して水を生成するようになる。
図9は、固体高分子形燃料電池の最小単位である単セルの基本構成に関する説明図である。層状に形成された固体高分子形の電解質膜401の両面には、全体に触媒を分散させた触媒層402及び403が形成された多孔質体404及び405が接合されている。そして、多孔質体404及び405の外面にはセパレータ406及び407が接合されている。セパレータ406及び407の多孔質体404及び405との接合部分には複数の溝が形成されており、これらの溝によりガスが流通する流路408及び409が形成される。
そして、図示しない外部の供給装置より流路408には水素ガスが供給され、流路409には酸素を含む空気が供給されることで、触媒層402及び多孔質体404が燃料極として機能し、触媒層403及び多孔質体405が酸化剤極として機能する。したがって、多孔質体404からは電子が外部に取り出されて、多孔質体405に電子が供給されるようになる。
実際の燃料電池では、必要な電力を得るために、こうした単セルを数十セット組み合わせたスタック構造を備えており、上述したセパレータ(バイポーラプレート)は、単セル同士を区分けするとともに電気的に接続するために用いられる。こうしたスタック構造では、発電の際に発生する反応熱やジュール熱を逃がすために、隣接する単セルのセパレータの間に冷却媒体を流して冷却処理が行われている。
こうした冷却媒体を用いる冷却処理では、冷却水等の液体を用いる方法が行われているが、冷却水以外の冷却媒体を用いる方法も提案されている。例えば、特許文献1では、セパレータにヒートパイプを取り付けて、発電により発生する熱を大気に排熱するようにした点が記載されている。特許文献2では、燃料電池スタックの側面に冷却ファンを取り付けて単セルの間に空気を流通させることで空冷する点が記載されている。また、特許文献3では、金属板の中央部に、前面から背面に突出形成される反応ガスチャンネルと、背面に突出した反応ガスチャンネル間に形成される空気流路とを含むチャンネル部を形成し、チャンネル部の前面の枠に連続的に形成される第1のガスケット及びチャンネル部の背面の枠に非連続的に形成され、非連続的部分が空気の移動通路となる第2のガスケットを設けている空冷式金属分離板が記載されており、チャンネル部の空気流路に空気を流通させて冷却するようになっている。
従来の冷却処理において、冷却媒体として冷却水等の液体を用いる水冷式冷却方法の場合には、冷却水を常時流通させるためのポンプ、冷却水のイオン除去装置、冷却水から熱をとるための熱交換装置といった設備が必要となり、燃料電池システムのコストアップや装置の大型化といった課題がある。
冷却媒体として空気等の気体を用いる空冷式冷却方法の場合には、水冷式冷却方法のような設備を簡略化できるため装置のコストダウン及びコンパクト化を図ることができるが、水冷式に比べて冷却能力が低下するといった課題がある。上述した特許文献2及び3では、空気流路を形成して空気を流通させているものの冷却面がセパレータの一部となっているため、十分な冷却効果を発揮することが難しい。特許文献3に記載されているように、金属板を成形加工してチャンネル部を形成したセパレータを用いる場合、成形加工により金属板の変形やスタックの組み立て加工時の変形等によりセパレータの寸法精度が低下するといった課題がある。セパレータの寸法精度が低下すると、反応ガスの流路の気密性に影響が生じるようになり、またセパレータの平面度が低下してセパレータ同士に接触不良により発電電圧の低下といった燃料電池の性能低下が生じるおそれがある。
そこで、本発明は、空冷性能に優れているとともに組立精度を高めることができる燃料電池スタック構造を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池スタック構造は、高分子電解質膜体の両面に電極シート部材を接合している膜ー電極接合体と、一方の面側に供給側流路が形成されて他方の面側に冷却側流路が形成されている一対のセパレータ部材を備えるとともに一対の当該セパレータ部材が冷却側流路の形成されている面を向き合うように対向配置して接合している分離接合体とを備え、前記セパレータ部材は、前記冷却側流路の形成されている面に突起状の接合部が複数形成されており、一対の前記セパレータ部材を前記接合部のみで互いに接合して冷却媒体が流通する冷却通路となる空間が設定されている。さらに、一対の前記セパレータ部材は、前記接合部を溶着して接合一体化している。さらに、前記分離接合体は、一対の前記セパレータ部材をそれぞれ内側に配置した枠状の一対のスペーサ部材を備えている。
本発明は、上記のような構成を有することで、セパレータ部材が接合部のみで互いに接合しているので、セパレータ部材のほぼ全面に冷却媒体を流通させる冷却通路を形成することが可能となり、優れた空冷性能を得ることができる。また、一対のセパレータ部材を同じ面が向き合うように対向配置して突起状の接合部で互いに接合させているので、分離接合体の組立精度を高めることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る実施形態に関する分解斜視図であり、図2は、分離接合体2が接合した状態における分解斜視図である。また、図3は、図1に示す燃料電池スタックを短辺方向に沿って切断した場合の概略断面図である。なお、図3では、断面構造が理解しやすくなるように模式的に描いている。
燃料電池スタックは、固体高分子電解質膜体10の両側に燃料極及び酸化剤極となる一対の電極シート部材11及び12が接合した膜−電極接合体1を備えており、膜−電極接合体1の両面には、一対のセパレータ部材20及び一対のスペーサ部材21を接合した分離接合体2が配置されている。そして、膜−電極接合体1と分離接合体2を交互に積層して接合一体化することで燃料電池スタックが構成されるようになっている。
膜−電極接合体1は、公知のものを用いることができ、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水を含浸させて構成された高分子電解質膜を、白金合金を担持する多孔質体からなる電極シート部材で挟持して構成したものが挙げられる。この例では、矩形状の高分子電解質膜体10の中央部分の両面に、矩形状の電極シート部材11及び12が接合しており、電極シート部材11及び12が接合していない両側部分には、水素等の燃料ガス又は空気等の酸化剤ガスを流通させるための一対の連通口13及び14がそれぞれ開口している。連通口13及び14は、矩形状に形成されており、高分子電解質膜体10の短辺側にそれぞれ並列して開口している。
分離接合体2は、セパレータ部材20を内側に接合した枠状のスペーサ部材21をセパレータ部材20の同じ面が向き合うように対向配置してセパレータ部材20及びスペーサ部材21をそれぞれ接合している。
セパレータ部材20は、矩形状の金属製板状体からなり、両面には、長辺方向に沿って複数の流路が形成されている。膜−電極接合体1の電極シート部材と接合する側の面には、燃料ガス又は酸化剤ガスが流通する供給側流路201が形成されており、反対側の面には、空気等の冷却媒体が流通する冷却側流路202が形成されている。
供給側流路201が形成された面を電極シート部材に接合することで、セパレータ部材20と電極シート部材との間に燃料ガス又は酸化剤ガスが流通する供給通路が形成されるようになっている。冷却側流路202が形成された面には、溝状の冷却側流路202の間の突条部分に突起状の接合部203が複数形成されており、一対のセパレータ部材20を互いの冷却側流路202が対向するように配置して、互いの接合部203のみで接合することで、セパレータ部材20の間に冷却媒体が流通する冷却通路となる空間が設定されるようになっている。
突条部分に形成された突起状の接合部203のみでセパレータ部材20同士を接合することで、冷却通路の間隔を拡げることができるとともに突条部分の間に隙間が生じるようになって冷却媒体が流通するようになる。そのため、セパレータ部材20のほぼ全面にわたって冷却媒体により均等に冷却されるようになり、冷却効率を高めて優れた空冷性能を得ることができる。接合部203同士の接合により突条部分の間に形成される隙間は、冷却媒体をスムーズに流通させるには0.8mm以上に設定することが好ましい。
また、供給側流路201の接合部203に対応する部分には窪みが生じるようになっている。そのため、発電処理の際に供給通路に生じる水が窪みに滞留するようになり、供給通路内の湿度を所定の状態に維持することができるようになる。
また、セパレータ部材20の全面に突起状の接合部203を等間隔で複数形成することで、セパレータ部材20の強度を高めることが可能となる。セパレータ部材20は、金属製板状体を成形加工しているため、撓むように変形しやすいが、突起状の接合部203をセパレータ部材20の全面に分布するように形成して接合部203同士を接合することで、接合に伴う変形が抑制されて、精度よく組み付けることができる。
そして、突起状の接合部203を互いに接合した状態で、接合部分をレーザ溶着等の公知の方法で溶着することで、セパレータ部材20を接合一体化して強度をさらに向上させることができ、セパレータ部材20同士を電気的に接続して導電性を確保することが可能となる。特に、金属製のセパレータ部材20の表面に絶縁性被膜が形成されている場合においても、接合部分のレーザ溶着を行うことで、接合部分が低抵抗で電気的に接続されて導電性を確実に確保することができる。そのため、燃料電池スタックに構成した場合に、セパレータ部材を介して通電する際の電気抵抗が低く抑えられるようになって燃料電池の出力性能を高めることができる。
また、セパレータ部材20の電極シート部材に接合する領域に対応する中央部分の接合部203の高さを周縁部分よりもわずかに高く形成することで、セパレータ部材20同士を接合する際に接合部203の接合部分の接触圧を高めることができる。そのため、セパレータ部材20が供給側流路201側に向かってわずかに膨らむように変形して供給側流路201を電極シート部材に隙間なく接触させて安定した接合状態に設定することが可能となる。接合部203の高さを高くするためには、中央部分の金属製板材の厚みを予めわずかに厚くしておくことで、接合部203を同じように成形加工しても、中央部分をわずかに高く形成することができる。
スペーサ部材21は、矩形の枠状に形成された樹脂成形体からなり、膜−電極接合体1とほぼ同じ外形に形成されている。セパレータ部材20と接合する側の面には、内周縁に沿って、セパレータ部材20の外形とほぼ同じ形状で段差部211が形成されており、段差部211には内周縁を囲むように細幅のシール部材212が取り付けられている。そして、セパレータ部材20を供給側流路201の形成された面が段差部211に当接するように嵌め込むことでシール部材212に密着させ、スペーサ部材21とセパレータ部材20との間を気密状態に接合することができる。
スペーサ部材21の両側部分には、燃料ガス又は酸化剤ガスを流通させるためのマニホールド213及び連通口214がそれぞれ並列して略矩形状に開口しており、マニホールド213及び連通口214は膜−電極接合体1の連通口13及び14に対向するように短辺側に配置されている。両側のマニホールド213は、対角線上に配置されて一方の面側に分岐流路が形成されており、両側の連通口214も別の対角線上に配置されている。一対のスペーサ部材21は、同じ面が向き合うように対向配置されて接合されるため、一方のマニホールド213が他方の連通口214に重なるように配置されるようになる。
図1では、分離接合体2の上側のスペーサ部材21に対して下側のスペーサ部材21を裏返して同じ面が互いに向き合うように対向配置されており、上側のマニホールド213に対して下側の連通口214が対向配置され、上側の連通口213に対して下側のマニホールド213が対向配置されるようになる。そして、上側のスペーサ部材21のマニホールド213の分岐流路が上側に形成されているのに対し、下側のスペーサ部材21のマニホールド213の分岐流路が下側(図示せず)に形成されている。
スペーサ部材21のマニホールド213の分岐流路が形成された面には、マニホールド213の周囲及び内周縁を囲むように細幅のシール部材215が取り付けられている。内周縁で囲まれた開口部分には、セパレータ部材20の供給側流路201が形成された面が露出するように取り付けられているため、対角線上に配置された一対のマニホールド213の開口部分及び分岐流路並びに供給側流路201全体を含む領域を囲むようにシール部材215が配置されるようになる。そのため、スペーサ部材21が膜−電極接合体1と接合する際に、シール部材215が膜−電極接合体1に密着して気密状態に設定され、一対のマニホールド213の分岐流路及び供給側流路201が形成された供給通路が連通した状態で密閉空間とすることができる。また、一対の連通口214の周囲には、それぞれ細幅のシール部材216が取り付けられており、スペーサ部材21が膜−電極接合体1と接合する際に、シール部材216が膜−電極接合体1に形成された連通口14の周囲に密着するようになる。そのため、連通口14及び連通口214が気密に連通した状態に設定することができる。
スペーサ部材21の段差部211が形成された面には、マニホールド213の開口部分の周囲に細幅のシール部材217が取り付けられており、一対のスペーサ部材21同士が接合する際に、もう一方のスペーサ部材21の連通口214の周囲にシール部材217が密着するようになる。そのため、一対のスペーサ部材21のマニホールド213及び連通口214が気密に連通した状態に設定することができる。また、スペーサ部材21の長辺側には、セパレータ部材20の長辺方向のほぼ全長にわたって複数の連通流路218が短辺方向に沿って形成されており、一対のスペーサ部材21同士が接合する際に、互いの連通流路218が対向配置されて冷却通路に連通する連通路が形成されるようになっている。
分離接合体2は、以上のように構成されているので、図2に示すように、外面側にセパレータ部材20の供給流路201及びスペーサ部材21のマニホールド213の分岐流路が露出した状態となり、膜−電極接合体1の電極シート部材と密着接合することで、供給通路が形成される。そして、図3に示すように、セパレータ部材20及びスペーサ部材21は、上側の部材に対して下側の部材を裏返して同じ面が向き合うように対向配置するように接合しているため、上面側に形成された供給通路のマニホールド213と下面側に形成された供給通路のマニホールド213は両側部分に並列配置されるようになり、それぞれのマニホールド213に燃料ガス又は酸化剤ガスを供給することで、それぞれのガスを膜−電極接合体1の電極シート部材11側の供給通路又は電極シート部材12側の供給通路に流通させることができる。
図2では、太い実線の矢印で示すように、手前側の供給管路で燃料ガスが下から上に向かって流通するように供給されており、手前側のマニホールド213から膜−電極接合体1の下側の供給通路に流入し奥側のマニホールド213から流出して奥側の排出管路で上から下に向かって排出されるようになっている。また、点線の矢印で示すように、奥側の供給管路で酸化剤ガスが上から下に向かって流通するように供給されており、奥側のマニホールド213からから膜−電極接合体1の上側の供給通路に流入し手前側のマニホールド213から流出して手前側の排出管路で上から下に向かって排出されるようになっている。冷却媒体は、細い実線の矢印で示すように、分離接合体2の一方の長辺側の側面に形成された連通路からセパレータ部材20の間の冷却通路に流入し、冷却通路内全体に満遍なく冷却媒体が流通して他方の長辺側の連通路より流出するようになっている。連通路がセパレータ部材20の長辺方向のほぼ全長にわたって配列されているため、セパレータ部材20のほぼ全面にわたって冷却媒体が流通して滞留することなくスムーズに排出されるため、セパレータ部材20全体が均等に冷却されるとともに高い冷却効率を継続することができる。
図4は、セパレータ部材20及びスペーサ部材21を接合一体化したセット部品に関する断面図である。図4(a)に示すセット部品は、燃料電池スタックの両端部以外の分離接合体に使用するもので、2個のセット部品をセパレータ部材20が内側に配置して重ね合せるように接合することで、分離接合体を構成することができる。図4(b)に示すセット部品は、燃料電池スタックの両端部の分離接合体の外側に用いられるもので、セパレータ部材20’に突起状の接合部が形成されておらず、スペーサ部材21’に段差部が形成されていない。最外側に配置されるセット部品であるため、セット部品の外面には接合部や段差部といった突出部が形成されておらず平面状に形成されている。
こうした2種類のセット部品を組み合せて分離接合体を構成することで、少ない種類の部材で燃料電池スタックを構成することが可能となり、量産化する際のコスト負担を軽減することができる。
図5は、セパレータ部材の成形過程を示す説明図である。セパレータ部材を成形する場合には、矩形状の金属製板材100を準備する(図5(a))。そして、板材100に対して、一方の面側から他方の面側に向かってプレス加工して長辺方向に沿って所定幅の突条部分101を等間隔で複数形成する(図5(b))。次に、突条部分101の間を他方の面側から一方の面側に向かってプレス加工して突起状の突出部分102を等間隔で複数形成する(図5(c))。そのため、他方の面側からみて突条部分に突起状の突出部分102を形成することができる。こうして成形加工されたセパレータ部材には、突条部分101の間の他方の面側の溝状部分が供給側流路201となり、突条部分101に対応する一方の面側の溝状部分が冷却側流路202となり、突出部分102の一方の面側が接合部203となる。なお、接合部の形状は、図示されているように断面形状が台形状といった上面が略平面となっている形状以外の形状に成形することもでき特に限定されない。例えば、断面形状を略円弧状の丸みを有する形状とすることもできる。
セパレータ部材をこのように両面側からそれぞれ成形加工することで、板材100を部分的に1回の加工で成形することができるため、板材100に加わるダメージによる強度劣化を最小限に抑えて加工による変形誤差を抑止することができる。そのため、セパレータ部材同士を接合する際の組立誤差等を小さくすることが可能となり、安定した品質の燃料電池スタックを低コストで組み立てることができる。
また、スペーサ部材は、樹脂材料により成形加工することで、マニホールドの分岐流路等の供給通路を精度よく成形することができる。また、スペーサ部材を樹脂成形加工する際に、組立用の凹凸形状を精度よく容易に成形することも可能で、スペーサ部材の同じ面を向い合せて接合する際の接合面に予め凹凸形状を成形しておけば、凹凸形状を組み合せて容易に組立作業を行うことができる。そのため、燃料電池スタックの生産効率の向上を図ることができる。
また、金属製のセパレータ部材を内側に配置してシール部材により接合一体化しているので、スペーサ部材の厚さをセパレータ部材の突条部分や突出部分に合わせて厚く設定して強度を高めることができ、補強材としても機能させることが可能となる。また、冷却通路となるセパレータ部材の周囲を囲むようにスペーサ部材を取り付けているので、断熱材としても機能するようになり、冷却通路内を均等に冷却させて冷却効率を高めることができる。
[実施例1]
<燃料電池スタックの作成>
セパレータ部材として、板厚0.2mmのステンレス(SUS304)からなる板材を図5に示す形状にプレス加工したもの(4cm×6cm)を用いた。溝幅が1.4mmの供給側流路を3mm間隔で10本形成し、反対側に形成された溝幅1.6mmの冷却側流路の間の突条部分に高さ3mmで径1mmの半球状の接合部を5mmの間隔で全面に形成した。セパレータ部材の冷却側流路が形成された面を向い合せて接合部が当接するように接合し、レーザ溶着装置(株式会社アマダミヤチ製)を用いて接合部分を溶着して一体化した。
<燃料電池スタックの作成>
セパレータ部材として、板厚0.2mmのステンレス(SUS304)からなる板材を図5に示す形状にプレス加工したもの(4cm×6cm)を用いた。溝幅が1.4mmの供給側流路を3mm間隔で10本形成し、反対側に形成された溝幅1.6mmの冷却側流路の間の突条部分に高さ3mmで径1mmの半球状の接合部を5mmの間隔で全面に形成した。セパレータ部材の冷却側流路が形成された面を向い合せて接合部が当接するように接合し、レーザ溶着装置(株式会社アマダミヤチ製)を用いて接合部分を溶着して一体化した。
スペーサ部材として、ポリカーボネート樹脂材料(三菱ガス化学株式会社製)を用いて図1に示す形状に射出成形により成形加工したものを用いた。そして、シリコン樹脂からなる幅2mmのシール部材を図1に示すように配置して接着固定した。
一体化した一対のセパレータ部材を一対のスペーサ部材の間に配置して、スペーサ部材同士を接合させてセパレータ部材との間をシール部材により密着させるとともにスペーサ部材同士を密着させて分離接合体を作成した。
膜−電極接合体(MEA)として、パーフルオロスルホン酸からなる高分子電解質膜体の両面にカーボン繊維からなる電極シート部材と貼り付けたものを用いた。
膜−電極接合体の両面側に一対の分離接合体を配置して電極シート部材にセパレータ部材を密着させた後全体に長ボルトを差し込んで締め付け固定し、燃料電池スタックを作成した。
<発電試験>
有効電極面積が15cm2の膜−電極接合体(MEA)を用いたセル数10枚の燃料電池スタックを準備した。そして、燃料極側に純水素からなる燃料ガスを燃料利用率50%で供給し、酸化剤極側に空気を酸素利用率25%で供給した。水素ガスは、水素ボンベ(宇野酸素株式会社製)から乾燥した状態のガスを供給した。空気は、オイル及び粒子フリーコンプレッサ(アネスト岩田株式会社製)から40℃に設定したイオン交換水中に投入してバブリングを行って、水蒸気を含ませた状態で供給した。
有効電極面積が15cm2の膜−電極接合体(MEA)を用いたセル数10枚の燃料電池スタックを準備した。そして、燃料極側に純水素からなる燃料ガスを燃料利用率50%で供給し、酸化剤極側に空気を酸素利用率25%で供給した。水素ガスは、水素ボンベ(宇野酸素株式会社製)から乾燥した状態のガスを供給した。空気は、オイル及び粒子フリーコンプレッサ(アネスト岩田株式会社製)から40℃に設定したイオン交換水中に投入してバブリングを行って、水蒸気を含ませた状態で供給した。
電流密度0.37A/cm2で一定負荷での連続発電試験を行い、出力変動を測定した。測定結果を図6に示す。発電時に通常の風量を冷却通路に常時流通させることで、燃料電池スタックから安定した出力を得ることができた。外気温度20℃の環境下で、燃料電池スタックの表面温度は、60℃でほぼ一定の温度となっており、安定した空冷効果を確認することができた。
比較のため、冷却通路に流通させる風量を中(通常の70%)及び少(通常の30%)と低くした場合において同様の発電試験を行ったところ、風量が低下していくにしたがい、出力が安定せず低下していくようになり、燃料電池スタックの表面温度も上昇していた。したがって、本発明のようにセパレータ部材の間に冷却通路を形成してセパレータ部材のほぼ全面に冷却媒体を流通させることで優れた空冷性能が得られることが確認できた。
[実施例2]
<燃料電池スタックの作成>
セパレータ部材として、板厚0.2mmのステンレス(SUS304)からなる板材を図5に示す形状にプレス加工したもの(11.3cm×11.5cm)を用いた。溝幅が2mmの供給側流路を4.5mm間隔で20本形成し、反対側に形成された溝幅2.5mmの冷却側流路の間の突条部分に高さ4mmで径1mmの半球状の接合部を10mmの間隔で全面に形成した。セパレータ部材の冷却側流路が形成された面を向い合せて接合部が当接するように接合し、実施例1と同様にレーザ溶着により接合部分を溶着して一体化した。
<燃料電池スタックの作成>
セパレータ部材として、板厚0.2mmのステンレス(SUS304)からなる板材を図5に示す形状にプレス加工したもの(11.3cm×11.5cm)を用いた。溝幅が2mmの供給側流路を4.5mm間隔で20本形成し、反対側に形成された溝幅2.5mmの冷却側流路の間の突条部分に高さ4mmで径1mmの半球状の接合部を10mmの間隔で全面に形成した。セパレータ部材の冷却側流路が形成された面を向い合せて接合部が当接するように接合し、実施例1と同様にレーザ溶着により接合部分を溶着して一体化した。
スペーサ部材として、実施例1と同様に成形加工したものを用い、一体化した一対のセパレータ部材を一対のスペーサ部材の間に配置して、スペーサ部材同士を接合させてセパレータ部材との間を、実施例1と同様のシール部材により密着させるとともにスペーサ部材同士を密着させて分離接合体を作成した。
膜−電極接合体(MEA)として、実施例1と同様のものを用い、膜−電極接合体の両面側に一対の分離接合体を配置して電極シート部材にセパレータ部材を密着させた後全体に長ボルトを差し込んで締め付け固定し、燃料電池スタックを作成した。
<発電試験>
有効電極面積が145cm2の膜−電極接合体(MEA)を用いたセル数5枚の燃料電池スタックを準備した。そして、実施例1と同様に、燃料極側に燃料ガスを供給するとともに酸化剤極側に空気を供給した。
有効電極面積が145cm2の膜−電極接合体(MEA)を用いたセル数5枚の燃料電池スタックを準備した。そして、実施例1と同様に、燃料極側に燃料ガスを供給するとともに酸化剤極側に空気を供給した。
電流密度0.25A/cm2で一定負荷での連続発電試験を行い、出力変動を測定した。測定結果を図7に示す。発電時に通常の風量を冷却通路に常時流通させることで、燃料電池スタックから安定した出力を得ることができた。外気温度20℃の環境下で、燃料電池スタックの表面温度は、70℃でほぼ一定の温度となっており、安定した空冷効果を確認することができた。
比較のため、実施例1と同様に、冷却通路に流通させる風量を中(通常の70%)及び少(通常の30%)と低くして同様の発電試験を行ったところ、風量が低下していくにしたがい、出力が安定せず低下していくようになり、燃料電池スタックの表面温度も上昇していた。したがって、サイズが大きいセパレータ部材の場合でもセパレータ部材のほぼ全面に冷却媒体を流通させて十分な空冷性能が得られることが確認できた。
1・・・膜−電極接合体、10・・・高分子電解質膜体、11・・・電極シート部材、12・・・電極シート部材、13・・・連通口、14・・・連通口、2・・・分離接合体、20・・・セパレータ部材、201・・・供給側流路、202・・・冷却側流路、203・・・接合部、21・・・スペーサ部材、211・・・段差部、212・・・シール部材、213・・・マニホールド、214・・・連通口、215・・・シール部材、216・・・シール部材、217・・・シール部材
Claims (4)
- 高分子電解質膜体の両面に電極シート部材を接合している膜ー電極接合体と、一方の面側に供給側流路が形成されて他方の面側に冷却側流路が形成されている一対のセパレータ部材を備えるとともに一対の当該セパレータ部材が冷却側流路の形成されている面を向き合うように対向配置して接合している分離接合体とを備え、前記セパレータ部材は、前記冷却側流路の形成されている面に突起状の接合部が複数形成されており、一対の前記セパレータ部材を前記接合部のみで互いに接合して冷却媒体が流通する冷却通路となる空間が設定されている燃料電池スタック構造。
- 一対の前記セパレータ部材は、前記接合部を溶着して接合一体化している請求項1に記載の燃料電池スタック構造。
- 前記分離接合体は、一対の前記セパレータ部材をそれぞれ内側に配置した枠状の一対のスペーサ部材を備えている請求項1又は2に記載の燃料電池スタック構造。
- 請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池スタック構造に用いられるセパレータ部材であって、金属製板材を一方の面側から他方の面側に向かってプレス加工して形成された複数の突条部分により一方の面側に前記冷却側流路が形成されているとともに他方の面側に前記供給側流路が形成されており、前記突条部分の間を他方の面側から一方の面側に向かってプレス加工して形成された突起状の突出部分により一方の面側に前記接合部が形成されているセパレータ部材。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US11652221B2 (en) | 2020-12-24 | 2023-05-16 | Hyundai Motor Company | Separator assembly for air cooled fuel cell and fuel cell stack including the same |
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2016
- 2016-03-29 JP JP2016064872A patent/JP2017182942A/ja active Pending
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