以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本発明の光学積層体は、エポキシ樹脂を含む被着体と、上記被着体の少なくとも一方の面上に積層されたバリアフィルムと、を備え、上記バリアフィルムは、上記被着体側の最表面に、アミノ基を有するシランカップリング剤を含むプライマー組成物の硬化物からなるプライマー層を備えるものである。ここで、光学積層体として具体的には、波長変換シートが挙げられる。また、被着体は、光学積層体の種類によって異なり、光学積層体が波長変換シートの場合は蛍光体層である。以下、本発明の好適な実施形態を、光学積層体が波長変換シートである場合に基づいて説明する。
[波長変換シート]
図1〜図6は、本発明の波長変換シートの一実施形態を示す模式断面図である。図1に示す波長変換シート100は、エポキシ樹脂を含有する波長変換機能を有する蛍光体層7が、一対のバリアフィルム50で挟まれた構造を有している。バリアフィルム50は、第1のフィルム1と、第2のフィルム2と、プライマー層4と、接着層5と、マット層6とを備える。ここで、第1のフィルム1は、第1の基材11と、アンカーコート層12と、無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14からなるバリア層15とを備えている。第2のフィルム2は、第2の基材21と、アンカーコート層22と、無機薄膜層23及びガスバリア性被覆層24からなるバリア層25とを備えている。第1のフィルム1と第2のフィルム2とは、ガスバリア性被覆層14とガスバリア性被覆層24とが対向するように接着層5を介して貼り合わせられている。バリアフィルム50において、プライマー層4は、第1のフィルム1の第1の基材11側の表面上に、第1の基材11と接した状態で配置されており、マット層6は、第2のフィルム2の第2の基材21側の表面上に、第2の基材21と接した状態で配置されている。一対のバリアフィルム50と蛍光体層7とは、プライマー層4が蛍光体層7と接するように積層されている。図1に示した構造の波長変換シート100は、第1及び第2のフィルム1,2の2枚のガスバリア性フィルムを貼り合わせたバリアフィルム50を備えるため、水分や酸素の透過をより十分に抑制することができる。また、バリアフィルム50においてバリア層15,25が第1及び第2の基材11,21よりも内側に配置されることで、バリア層15,25が保護され、蛍光体層7と積層する前のバリア層15,25の損傷が抑制される。
図2に示す波長変換シート200は、エポキシ樹脂を含有する波長変換機能を有する蛍光体層7が、一対のバリアフィルム60で挟まれた構造を有している。バリアフィルム60は、第1のフィルム1と、第2のフィルム2と、プライマー層4と、接着層5と、マット層6とを備える。ここで、第1のフィルム1は、第1の基材11と、アンカーコート層12と、無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14からなるバリア層15とを備えている。第2のフィルム2は、第2の基材21と、アンカーコート層22と、無機薄膜層23及びガスバリア性被覆層24からなるバリア層25とを備えている。第1のフィルム1と第2のフィルム2とは、第1の基材11とガスバリア性被覆層24とが対向するように接着層5を介して貼り合わせられている。バリアフィルム60において、プライマー層4は、第1のフィルム1のガスバリア性被覆層14側の表面上に、ガスバリア性被覆層14と接した状態で配置されており、マット層6は、第2のフィルム2の第2の基材21側の表面上に、第2の基材21と接した状態で配置されている。一対のバリアフィルム60と蛍光体層7とは、プライマー層4が蛍光体層7と接するように積層されている。図2に示した構造の波長変換シート200は、第1及び第2のフィルム1,2の2枚のガスバリア性フィルムを貼り合わせたバリアフィルム60を備えるため、水分や酸素の透過をより十分に抑制することができる。また、バリアフィルム60においてバリア層15がプライマー層4側、すなわち蛍光体層7により近い位置に配置されることで、蛍光体層7への水分や酸素の侵入をより十分に抑制することができる。
図3に示す波長変換シート300は、エポキシ樹脂を含有する波長変換機能を有する蛍光体層7が、一対のバリアフィルム70で挟まれた構造を有している。バリアフィルム70は、第1のフィルム1と、第2のフィルム2と、プライマー層4と、接着層5と、マット層6とを備える。ここで、第1のフィルム1は、第1の基材11と、アンカーコート層12と、無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14が交互に2層ずつ積層されてなるバリア層15とを備えている。第2のフィルム2は、第2の基材21のみで構成されている。第1のフィルム1と第2のフィルム2とは、ガスバリア性被覆層14と第2の基材21とが対向するように接着層5を介して貼り合わせられている。バリアフィルム70において、プライマー層4は、第1のフィルム1の第1の基材11側の表面上に、第1の基材11と接した状態で配置されており、マット層6は、第2のフィルム2を構成する第2の基材21の接着層5とは反対側の表面上に、第2の基材21と接した状態で配置されている。一対のバリアフィルム70と蛍光体層7とは、プライマー層4が蛍光体層7と接するように積層されている。図3に示した構造の波長変換シート300は、第2のフィルム2を第2の基材21のみで構成しているため、製造工程の簡略化及びコスト低減を図ることができ、更に第2の基材21の厚みを変更することで必要に応じてバリアフィルム70に剛性を付与することもできる。また、バリア層15が無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14を交互に2層ずつ積層した構造であるため、ガスバリア性を高めることができる。
図4に示す波長変換シート400は、エポキシ樹脂を含有する波長変換機能を有する蛍光体層7が、一対のバリアフィルム80で挟まれた構造を有している。バリアフィルム80は、第1のフィルム1と、プライマー層4と、マット層6とを備える。ここで、第1のフィルム1は、第1の基材11と、アンカーコート層12と、無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14が交互に2層ずつ積層されてなるバリア層15とを備えている。バリアフィルム80において、プライマー層4は、第1のフィルム1のガスバリア性被覆層14側の表面上に、ガスバリア性被覆層14と接した状態で配置されており、マット層6は、第1のフィルム1の第1の基材11側の表面上に、第1の基材11と接した状態で配置されている。一対のバリアフィルム80と蛍光体層7とは、プライマー層4が蛍光体層7と接するように積層されている。図4に示した構造の波長変換シート400は、第2のフィルム2及び接着層5を備えないため、製造工程の簡略化、コスト低減及び薄型化を図ることができる。また、バリア層15が無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14を交互に2層ずつ積層した構造であるため、ガスバリア性を高めることができる。
図5に示す波長変換シート500は、エポキシ樹脂を含有する波長変換機能を有する蛍光体層7が、一対のバリアフィルム55で挟まれた構造を有している。バリアフィルム55は、第1のフィルム1と、第2のフィルム2と、第3のフィルム3と、プライマー層4と、接着層5と、マット層6とを備える。ここで、第1のフィルム1は、第1の基材11と、アンカーコート層12と、無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14からなるバリア層15とを備えている。第2のフィルム2は、第2の基材21と、アンカーコート層22と、無機薄膜層23及びガスバリア性被覆層24からなるバリア層25とを備えている。第3のフィルム3は、第3の基材31のみで構成されている。第1のフィルム1と第2のフィルム2とは、ガスバリア性被覆層14とガスバリア性被覆層24とが対向するように接着層5を介して貼り合わせられている。第2のフィルム2と第3のフィルム3とは、第2の基材21と第3の基材31とが対向するように接着層5を介して貼り合わせられている。バリアフィルム55において、プライマー層4は、第1のフィルム1の第1の基材11側の表面上に、第1の基材11と接した状態で配置されており、マット層6は、第3のフィルム3を構成する第3の基材31の接着層5とは反対側の表面上に、第3の基材31と接した状態で配置されている。一対のバリアフィルム55と蛍光体層7とは、プライマー層4が蛍光体層7と接するように積層されている。図5に示した構造の波長変換シート500は、第1及び第2のフィルム1,2の2枚のガスバリア性フィルムを貼り合わせたバリアフィルム55を備えるため、水分や酸素の透過をより十分に抑制することができる。また、バリアフィルム55においてバリア層15,25が第1及び第2の基材11,21よりも内側に配置されることで、バリア層15,25が保護され、蛍光体層7と積層する前のバリア層15,25の損傷が抑制される。更に、バリアフィルム55が第3のフィルム3を備えることで、バリアフィルム55にシワが生じることを抑制することができる。また、第3の基材31の厚みを変更することで必要に応じてバリアフィルム55に剛性を付与することもできる。
図6に示す波長変換シート600は、エポキシ樹脂を含有する波長変換機能を有する蛍光体層7が、一対のバリアフィルム85で挟まれた構造を有している。バリアフィルム85は、第1のフィルム1と、第2のフィルム2と、プライマー層4と、マット層6とを備える。ここで、第1のフィルム1は、第1の基材11と、アンカーコート層12と、無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14が交互に2層ずつ積層されてなるバリア層15とを備えている。第2のフィルム2は、第2の基材21のみで構成されている。第1のフィルム1と第2のフィルム2とは、第1の基材11と第2の基材21とが対向するように接着層5を介して貼り合わせられている。バリアフィルム85において、プライマー層4は、第1のフィルム1のガスバリア性被覆層14側の表面上に、ガスバリア性被覆層14と接した状態で配置されており、マット層6は、第1のフィルム1の第1の基材11側の表面上に、第1の基材11と接した状態で配置されている。一対のバリアフィルム85と蛍光体層7とは、プライマー層4が蛍光体層7と接するように積層されている。図6に示した構造の波長変換シート600は、第2のフィルム2を第2の基材21のみで構成しているため、製造工程の簡略化及びコスト低減を図ることができ、更に第2の基材21の厚みを変更することで必要に応じてバリアフィルム85に剛性を付与することもできる。また、バリア層15が無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14を交互に2層ずつ積層した構造であるため、ガスバリア性を高めることができる。
上述した構成を有する波長変換シートは、良好なガスバリア性を有すると共に、プライマー層4と蛍光体層7との密着性に優れるため、高湿度環境に長期間さらされた場合であっても、蛍光体層7とバリアフィルムとの間に剥がれを生じることを抑制することができる。また、プライマー層4は、第1の基材11及びガスバリア性被覆層14のいずれに対しても極めて良好な密着性を示すため、バリアフィルム内で剥離が生じることも十分に抑制される。そのため、上述した構成を有する波長変換シートは、長期間にわたって良好なガスバリア性を維持することができる。密着性の点から、プライマー層4は第1の基材11に塗工することがより好ましい。プライマー層4と第1の基材11又はガスバリア性被覆層14との密着性が悪い場合は、コロナ処理、フレーム処理及びプラズマ処理などを第1の基材11又はガスバリア性被覆層14に施すことで、プライマー層4との密着性をより向上させることができる。
以下、波長変換シートを構成する各層について詳細に説明する。
(基材)
第1,第2及び第3の基材11,21,31は、高分子フィルムであることが望ましい。高分子フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド;ポリプロピレン及びシクロオレフィン等のポリオレフィン;ポリカーボネート;並びにトリアセチルセルロース等が挙げられるが、これらに限定されない。高分子フィルムはポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム又はポリオレフィンフィルムであることが好ましく、ポリエステルフィルム又はポリアミドフィルムであることがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが更に好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、透明性、加工適正及び密着性の観点から望ましい。また、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、透明性及びガスバリア性の観点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
高分子フィルムは、必要に応じて、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤及び滑り剤等の添加剤を含んでいてもよい。また、高分子フィルムの表面は、コロナ処理、フレーム処理及びプラズマ処理が施されていてもよい。
波長変換シートにおいて、第1の基材11とプライマー層4とが接している場合、第1の基材11は、表面に水酸基やカルボニル基等の極性官能基を有していることが好ましい。第1の基材11が表面に水酸基やカルボニル基等の極性官能基を有することで、当該水酸基等の極性官能基とプライマー層4中のシランカップリング剤のアルコキシシランが加水分解することにより発生したシラノール基とが反応して密着性がより向上する。上述した高分子フィルムのうち、通常、表面に水酸基やカルボニル基等の極性官能基を有するものとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。また、第1の基材11が表面に水酸基やカルボニル基等の極性官能基を有していない場合、コロナ処理、フレーム処理及びプラズマ処理の表面処理を施すことで、プライマー層4との密着性をより向上させることができる。
第1,第2及び第3の基材11,21,31の厚さは、特に制限されないが、3μm以上100μm以下であることが好ましく、加工性及び生産性の点から5μm以上50μm以下であることがより好ましい。この厚さが3μm以上であると加工が容易であり、100μm以下であると1ロットあたりのバリアフィルムの生産性を上げることができる。
(アンカーコート層)
アンカーコート層12,22は、第1及び第2の基材11,21と無機薄膜層13,23との間の密着性を向上させるために、それらの間に設けられるものである。また、アンカーコート層12,22は、水分や酸素の透過を防止するバリア性を有していてもよい。
アンカーコート層12,22は、例えば、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコーン樹脂またはアルキルチタネート等から選択された樹脂を用いて形成することができる。アンカーコート層は、上述した樹脂を単独で用いて、または上述した樹脂を2種類以上組み合わせた複合樹脂を用いて、形成することができる。
アンカーコート層12,22は、上述した樹脂を含む溶液を第1及び第2の基材11,21上に塗布し、乾燥硬化させることで形成することができる。塗布方法としては、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、及びダイコーター等による塗布方法が挙げられる。
アンカーコート層12,22の厚さは、5〜500nmの範囲内とすることが好ましく、10〜100nmの範囲内とすることがより好ましい。ここで、厚さが5nm以上であると、第1及び第2の基材11,21と無機薄膜層13,23との間の密着性および水分や酸素に対するバリア性が向上する傾向があり、500nm以下であると、内部応力が十分抑制された均一な層を形成することができる傾向がある。
(バリア層)
バリア層15,25は、水蒸気透過度及び酸素透過度を更に向上させるために設けられる層である。バリア層15,25は、光学的な観点から、透明性が高いことが望ましい。バリア層15,25は単層であっても多層であってもよいが、図1〜6に示したように、無機薄膜層13,23及びガスバリア性被覆層14,24を有することが望ましい。また、図2及び図4に示すようにガスバリア性被覆層14とプライマー層4とが接している場合、ガスバリア性被覆層14はシロキサン結合を有していることが望ましい。ガスバリア性被覆層14がシロキサン結合を有することで、ガスバリア性被覆層14とプライマー層4との密着性がより向上する。
バリア層15,25は、大気中で成膜されたものでも真空中で成膜されたものでもよい。真空成膜としては、物理気相成長法及び化学気相成長法等が挙げられる。物理気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法等が挙げられる。化学気相成長(CVD)法としては、熱CVD法、プラズマCVD(PECVD)法及び光CVD法等が挙げられる。成膜方法は、無機薄膜層13,23とガスバリア性被覆層14,24とで異なっていてもよい。
(無機薄膜層)
無機薄膜層13,23の形成方法は真空蒸着法、スパッタリング法、又はPECVD法であることが好ましい。真空蒸着法では、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム(Electron Beam)加熱式真空蒸着法、誘導加熱式真空蒸着法がより好ましく、スパッタリング法では、反応性スパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッタリング法であることがより好ましい。膜の均質性の観点からはスパッタリング法が好ましく、コストの観点からは、真空蒸着法が好ましく、目的、用途に応じて選択することができる。
スパッタリング法及びPECVD法におけるプラズマの生成方法としては、DC(Direct Current)方式、RF(Radio Frequency)方式、MF(Middle Frequency)方式、DCパルス方式、RFパルス方式、及びDC+RF重畳方式等を挙げることができる。
真空成膜では通常、金属、或いは、珪素等の酸化物、窒化物又は窒化酸化物等の膜が形成される。無機薄膜層13,23としては、アルミニウム、チタン、銅、インジウム、スズ等の金属、又はそれらの酸化物(アルミナ等)、或いは、珪素、珪素酸化物の膜が好ましい。また、金属や珪素の酸化物だけでなく、金属や珪素の窒化物や窒化酸化物の膜が形成されてもよい。また、複数の金属を含む膜が形成されてもよい。上述のアルミニウム、チタン、銅、インジウム、珪素の酸化物、窒化物、窒化酸化物は、透明性とバリア性の両方に優れる。珪素を含む酸化物、窒化酸化物はバリア性が高く特に好ましい。
真空成膜により形成される無機薄膜層13,23の厚さは、5nm以上100nm以下であることが好ましい。無機薄膜層13,23の厚さが5nm以上であると、より良好なバリア性を得ることができる傾向がある。また、無機薄膜層13,23の厚さが100nm以下であると、クラックの発生を抑制し、クラックによる水蒸気バリア性及び酸素バリア性の低下を抑制できる傾向がある。更に、無機薄膜層13,23の厚さが100nm以下であると、材料使用量の低減及び膜形成時間の短縮等に起因してコストを低減できるので、経済的観点から好ましい。
(ガスバリア性被覆層)
ガスバリア性被覆層14,24は、後工程での二次的な各種損傷を防止すると共に、高いバリア性を付与するために設けられるものである。ガスバリア性被覆層14,24は、シロキサン結合を含んでいてもよい。ガスバリア性被覆層14,24は、大気中で形成することもできる。ガスバリア性被覆層14,24を大気中で形成する場合は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンビニルアルコールのような極性を持つ化合物、ポリ塩化ビニリデン等の塩素を含む化合物、及びSi原子を含む化合物、Ti原子を含む化合物、Al原子を含む化合物、Zr原子を含む化合物等を含有する塗布液を無機薄膜層13,23上に塗布し、乾燥硬化させることで形成することができる。
ガスバリア性被覆層14,24を大気中で形成する際の塗布液の塗布方法としては、具体的には、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、及びダイコーター等による塗布方法が挙げられる。
シロキサン結合を含む化合物は、例えば、シラン化合物を用い、シラノール基を反応させて形成されることが好ましい。このようなシラン化合物としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
R1 n(OR2)4−nSi …(1)
[式中、nは0〜3の整数を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
上記式(1)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びジメチルジエトキシシラン等が挙げられる。窒素を含むポリシラザンを使用してもよい。
また、ガスバリア性被覆層14,24には、他の金属原子からなる前駆体から作られる材料を使用してもよい。Ti原子を含む化合物としては、例えば、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
R1 n(OR2)4−nTi …(2)
[式中、nは0〜3の整数を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
上記式(2)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、テトライソプロポキシチタニウム、及びテトラブトキシチタニウム等が挙げられる。
Al原子を含む化合物としては、例えば、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
R1 m(OR2)3−mAl …(3)
[式中、mは0〜2の整数を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
上記式(3)で表される化合物としては、例えば、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、及びトリブトキシアルミニウム等が挙げられる。
Zr原子を含む化合物としては、例えば、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
R1 n(OR2)4−nZr …(4)
[式中、nは0〜3の整数を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
上記式(4)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、及びテトラブトキシジルコニウム等が挙げられる。
ガスバリア性被覆層14,24を大気中で形成する場合、上記塗布液は塗布後、硬化される。硬化方法としては、特に限定されないが、紫外線硬化及び熱硬化等が挙げられる。紫外線硬化の場合、塗布液は重合開始剤及び二重結合を有する化合物を含んでいてもよい。また必要に応じて、加熱エージングがされてもよい。
ガスバリア性被覆層14,24を大気中で形成する別の方法として、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウムなどの無機酸化物の粒子同士が、リン化合物に由来するリン原子を介して脱水縮合することで得られる反応生成物をガスバリア性被覆層とする方法を用いることもできる。具体的には、無機酸化物の表面に存在する官能基(例えば、水酸基)と、無機酸化物と反応可能なリン化合物の部位(例えば、リン原子に直接結合したハロゲン原子や、リン原子に直接結合した酸素原子)とが、縮合反応を起こし、結合する。反応生成物は、例えば、無機酸化物とリン化合物とを含む塗布液を無機薄膜層13,23の表面に塗布し、形成した塗膜を熱処理することにより、無機酸化物の粒子同士が、リン化合物に由来するリン原子を介して結合する反応を進行させることで得られる。熱処理の温度の下限は、110℃以上であり、120℃以上であることが好ましく、140℃以上であることがより好ましく、170℃以上であることが更に好ましい。熱処理温度が低いと、十分な反応速度を得ることが難しくなり、生産性が低下する原因となる。熱処理の温度の好ましい上限は、基材の種類などによって異なるが、220℃以下であり、190℃以下であることが好ましい。熱処理は、空気中、窒素雰囲気下、又はアルゴン雰囲気下などで実施することができる。
ガスバリア性被覆層14,24を大気中で形成する場合は、凝集等しない限り、上記塗布液は更に樹脂を含んでいてもよい。上記樹脂としては、具体的にはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。上記塗布液は、これらの樹脂のうち、塗布液中の他の材料との相溶性が高い樹脂を含むことが好ましい。
上記塗布液は、更に、フィラー、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、並びに、シランカップリング剤及びチタンキレート剤等を必要に応じて含んでいてもよい。
大気中で形成されるガスバリア性被覆層14,24の厚さは、硬化後の膜厚で50nm〜2000nmであることが好ましく、100nm〜1000nmであることがより好ましい。大気中で形成さるガスバリア性被覆層14,24の厚さが50nm以上であると、膜形成がしやすくなる傾向がある。大気中で形成されるガスバリア性被覆層14,24の厚さが2000nm以下であると、割れ又はカールを抑制できる傾向がある。
(接着層)
接着層5は、図1〜3及び5〜6に示すように、第1のフィルム1と第2のフィルム2とを貼り合わせて積層するために、第1のフィルム1と第2のフィルム2との間に設けられている。また、図5に示すようにバリアフィルムが第3のフィルムを有する場合、第2のフィルム2と第3のフィルム3とを貼り合わせて積層するために、第2のフィルム2と第3のフィルム3との間に設けられている。接着層5としては、高分子フィルム用の接着剤又は粘着剤として一般的なものを使用することができ、第1のフィルム1及び第2のフィルム2の貼り合わせる側の表面に応じて適宜選択される。接着層5の材料の候補としては、エポキシ系、ポリエステル系、アクリル系、ゴム系、フェノール系、及びウレタン系等の接着剤又は粘着剤が挙げられる。
接着剤又は粘着剤の塗布方法としては、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、及びダイコーター等による塗布方法が挙げられる。
接着層5の厚さは1μm以上20μm以下であることが好ましい。接着層5の厚さが1μm以上であることにより十分な接着性が得られる傾向があり、20μm以下であることによりバリアフィルムの総厚を薄くできると共に、コストアップを抑制することができる傾向がある。
また、接着層5を介して第1のフィルム1と第2のフィルム2、又は、第2のフィルム2と第3のフィルム3とを貼り合わせた後、エージングすることができる。エージングは、例えば、20〜80℃で1〜10日間行われる。
接着層5は、必要に応じて、硬化剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、及び分散剤等を含んでいてもよい。
(プライマー層)
プライマー層4は、バリアフィルムと蛍光体層7との密着性を向上させ、高湿度環境に長期間さらされた場合であっても、バリアフィルムと蛍光体層7との剥離を抑制するために設けられる層である。プライマー層4は、第1のフィルム1の第1の基材11上又はガスバリア性被覆層14上に設けられる。
プライマー層4は、アミノ基を有するシランカップリング剤を含むプライマー組成物の硬化物からなる層である。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては特に限定されないが、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等が挙げられる。これらの中でも、塗液安定性の観点から、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
プライマー層4を形成するプライマー組成物は、アミノ基を有するシランカップリング剤以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、有機ジルコニウム化合物及び有機チタン化合物等の有機金属化合物、アミノ基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤(アミノ基を有さないシランカップリング剤)、希釈溶剤、スリップ剤、消泡剤、帯電防止剤等が挙げられる。
有機金属化合物としては特に限定されないが、例えば、ジルコニウムエチルアセトアセテート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート等が挙げられる。これらの中でも、安定性と反応性の観点から、ジルコニウムテトラアセチルアセトネートが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。プライマー組成物が有機金属化合物を含むことで、プライマー層4の成膜性を向上させることができる。
プライマー組成物において、アミノ基を有するシランカップリング剤と有機金属化合物との配合比(質量比)は、100:0〜20:80であることが好ましく、95:5〜40:60であることがより好ましい。有機金属化合物の配合量が上記範囲よりも多いと、成膜後のプライマー層4の膜質が脆くなる場合があり、バリアフィルムと蛍光体層7との密着性が低下する場合がある。
また、アミノ基を有するシランカップリング剤以外の使用可能なシランカップリング剤としては、エポキシ基、ビニル基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、イソシアヌレート基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基及びイソシアネート基からなる群より選択される少なくとも一種の官能基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。これらの中でも、密着生の観点から、エポキシ基を有するシランカップリング剤が好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。プライマー組成物がアミノ基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤を含むことで、様々なエポキシ樹脂組成物に対する密着性を向上することができる。
エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、安定性と反応性の観点から、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビニル基を有するシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピル等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
スチリル基を有するシランカップリング剤としては、例えば、p−スチリルトリメトキシシラン等が挙げられる。
メタクリル基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
イソシアヌレート基を有するシランカップリング剤としては、例えば、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
ウレイド基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましい。また、メルカプト基を有するシランカップリング剤には、臭気の点から例えばメルカプト基をアルコキシシリル基等で保護したシランカップリング剤も含まれる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
スルフィド基を有するシランカップリング剤としては、例えば、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
イソシアネート基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
プライマー組成物において、アミノ基を有するシランカップリング剤とアミノ基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤との配合比(質量比)は、100:0〜20:80であることが好ましく、100:0〜60:40であることがより好ましい。アミノ基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤の配合量が上記範囲よりも多いと、バリアフィルムと蛍光体層7との密着性が低下する場合がある。
希釈溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘキサン、1−ブタノール、イソプロピルアルコール、水等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。希釈溶剤の配合量は特に限定されないが、通常、プライマー組成物全量を基準として0〜99.9質量%であり、好ましくは、70〜98質量%である。希釈溶剤が少ないと反応性が上がり、塗液がゲル化する恐れがあり、また希釈溶剤が多すぎると塗液の価格が上がってしまう。
プライマー層4は、上述したプライマー組成物を第1のフィルム1の第1の基材11又はガスバリア性被覆層14上に塗布し、硬化させることで形成することができる。塗布方法としては、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、及びダイコーター等による塗布方法が挙げられる。硬化は、例えば、80〜150℃で15秒〜300秒の条件で行うことができる。
プライマー層4の厚さは、1〜1000nmであることが好ましく、1〜200nmであることがより好ましく、5〜100nmであることが更に好ましく、10〜80nmであることが特に好ましい。この厚さが1nm以上であると、塗工後の成膜性が安定し、面内で均一に良好な密着性を得ることができる。一方、厚さが1000nm以下であると、プライマー層4が脆くなることを防いで蛍光体層7との安定した密着性を得ることができると共に、プライマー層4の端部(バリアフィルムと蛍光体層7との間)からの水蒸気及び酸素の侵入を十分に抑制できる。また、プライマー層4の厚さが薄い方が、プライマー層4の硬化反応が早く進むと共に、蛍光体層7との初期密着性が良好となる。更に、プライマー層4の厚さが200nm以下であると、光学的な干渉縞も低減することができる。
(マット層)
マット層6は、1以上の光学的機能や帯電防止機能を発揮させるために、バリアフィルムのプライマー層4とは反対側の表面に設けられている。ここで、光学的機能としては、特に限定されるものではないが、干渉縞(モアレ)防止機能、反射防止機能、拡散機能等が挙げられる。これらの中でも、マット層6は、光学的機能として少なくとも干渉縞防止機能を有することが好ましい。本実施形態では、マット層6が少なくとも干渉縞防止機能を有するものである場合について説明する。
マット層6は、バインダー樹脂と、微粒子とを含んで構成されていてもよい。そして、マット層6の表面から微粒子の一部が露出するように微粒子がバインダー樹脂に埋め込まれることにより、マット層6の表面には微細な凹凸が生じていてもよい。このようなマット層6をバリアフィルムの表面に設けることにより、ニュートンリング等の干渉縞の発生をより十分に防止することができ、結果として高効率かつ高精細、長寿命の波長変換シートを得ることが可能となる。
バインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、光学的透明性に優れた樹脂を用いることができる。より具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などを用いることができる。また、有機樹脂以外に、シリカバインダーを用いることもできる。これらの中でも、材料の幅広さからアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂を用いることが望ましく、耐光性や光学特性に優れることからアクリル系樹脂を使用することがより望ましい。これらは、1種だけでなく、複数種を組み合わせて使用することもできる。
微粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなどの無機微粒子の他、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂などの有機微粒子を用いることができる。これらの中でも、微粒子としては、シリカ、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等からなる屈折率1.40〜1.55の微粒子を用いることが、透過率の上で好ましい。屈折率が低い微粒子は高価であり、一方、屈折率が高すぎる微粒子は透過率を損ねる傾向がある。これらは、1種だけでなく、複数種を組み合わせて使用することもできる。
微粒子の平均粒径は、0.1〜30μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることがより好ましい。微粒子の平均粒径が0.1μm以上であると、優れた干渉縞防止機能が得られる傾向があり、30μm以下であると、透明性がより向上する傾向がある。
マット層6における微粒子の含有量は、マット層6全量を基準として0.5〜30質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましい。微粒子の含有量が0.5質量%以上であると、光拡散機能と干渉縞の発生を防止する効果がより向上する傾向があり、30質量%以下であると、輝度を低減させることがない。
マット層6は、上述したバインダー樹脂及び微粒子を含む塗布液を第1のフィルム1、第2のフィルム2又は第3のフィルム3の表面上に塗布し、乾燥硬化させることで形成することができる。塗布方法としては、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、及びダイコーター等による塗布方法が挙げられる。
マット層6の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.3〜10μmであることがより好ましい。マット層6の厚さが0.1μm以上であることにより、均一な膜が得られやすく、光学的機能を十分に得やすくなる傾向がある。一方、マット層6の厚さが20μm以下であることにより、マット層6に微粒子を用いた場合、マット層6の表面へ微粒子が露出して、凹凸付与効果が得られやすくなる傾向がある。
(蛍光体層)
蛍光体層7は、励起光の照射によって異なる波長の光を発光する波長変換機能を有する層であり、少なくとも1種類以上の蛍光体(図示せず)を含む。また、蛍光体層7はエポキシ樹脂を含有する。蛍光体層7がエポキシ樹脂を含有することで、プライマー層4との優れた密着性を得ることができる。
蛍光体の中でも量子ドットと呼ばれるナノサイズの半導体は、高い波長変換効率が得られ、輝度とディスプレイとしての色再現性に優れることから好ましい。量子ドットとしては、発光部としてのコアが保護膜としてのシェルで被覆されたものが挙げられる。上記コアとしては、例えば、セレン化カドミウム(CdSe)等が挙げられ、上記シェルとしては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)等が挙げられる。CdSeの粒子の表面欠陥がバンドギャップの大きいZnSにより被覆されることで量子効率が向上する。また、蛍光体は、コアが第1シェル及び第2シェルにより二重に被覆されたものであってもよい。この場合、コアにはCsSe、第1シェルにはセレン化亜鉛(ZnSe)、第2シェルにはZnSが使用できる。上記蛍光体は2種類以上を組み合わせて用いられる。また、1種類の蛍光体のみを含む蛍光体層と、別の種類の蛍光体のみを含む蛍光体層とが積層されていてもよい。
量子ドットは、封止のための樹脂材料に分散される。樹脂材料は、少なくともエポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂以外の樹脂材料としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等のインクペーストバインダ樹脂等が挙げられる。また、この他にも、例えば次のようなバインダー樹脂としても機能する接着材を用いるようにしてもよい。バインダー樹脂としても機能する接着材としては、例えば、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、レゾルシノール樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリイミド系、ポリベンズイミダゾール系、ポリエステル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、ポリビニルアセタール系、ポリビニルアルコール系、塩化ビニル樹脂系、シアノアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエチレン系、セルロース系、クロロプレンゴム系、ニトリルゴム系、SBR系、SIS系、ポリサルファイド系、ブチルゴム系、シリコーンゴム系、ビニルフェノリック、エポキシフェノリック、クロロプレンフェノリック、ニトリルフェノリック、ナイロンエポキシ、ニトリルエポキシ等が挙げられる。樹脂材料は、エポキシ樹脂を単独で用いてもよく、1種以上の他の樹脂材料と組み合わせて用いてもよい。
蛍光体層7は、蛍光体と樹脂材料と必要に応じて溶剤とを含む混合液をバリアフィルムのプライマー層4上に塗布して塗膜を形成し、必要に応じて、別に作製したもう1枚のバリアフィルムをプライマー層4が蛍光体層7を向くように積層し、塗膜を硬化させることで形成することができる。塗膜の硬化は、特に限定されないが、例えば、15〜100℃で10分〜24時間の条件で硬化させることができる。
上述した本実施形態の波長変換シートは、例えばバックライトユニットに使用することができる。バックライトユニットは、例えば光源、導光板、反射板、及び本実施形態の波長変換シートを備える。バックライトユニットにおいては、波長変換シートの一方の表面上に導光板及び反射板がこの順で配置され、光源は上記導光板の側方(導光板の面方向)に配置される。光源には、例えば、青色発光ダイオード素子等が用いられる。
[波長変換シートの製造方法]
次に、本実施形態の波長変換シートの製造方法について説明する。本実施形態の波長変換シートの製造方法は、エポキシ樹脂及び蛍光体を含む蛍光体層と、蛍光体層の少なくとも一方の面上に積層された、蛍光体層側の最表面にプライマー層を有するバリアフィルムと、を備える波長変換シートの製造方法であって、バリアフィルムにおけるプライマー層の下層上に、アミノ基を有するシランカップリング剤を含むプライマー組成物を塗布し、硬化させてプライマー層を形成する工程と、上記蛍光体層と上記バリアフィルムとを積層する工程と、を有する。ここで、バリアフィルムにおけるプライマー層の下層は、図1、図3及び図5に示したバリアフィルム50,70,55では第1の基材11であり、図2、図4及び図6に示したバリアフィルム60,80,85ではガスバリア性被覆層14である。
図1に示した波長変換シート100を製造する場合、例えば以下の手順で製造することができる。なお、各層の形成方法は上述した通りである。まず、第1のフィルム1及び第2のフィルム2をそれぞれ作製する。すなわち、第1の基材11上にアンカーコート層12を形成し、その上に無機薄膜層13及びガスバリア性被覆層14を順次形成して第1のフィルム1を作製する。第2のフィルム2も同様に作製することができる。
得られた第1のフィルム1のガスバリア性被覆層14上に接着剤又は粘着剤を塗布し、第2のフィルム2のガスバリア性被覆層24側の面と貼り合わせてエージングを行うことで、第1のフィルム1と第2のフィルム2とが接着層5を介して貼り合わせられた積層フィルムを得る。貼り合わせは、一般的なラミネート装置を用いて行うことができる。なお、接着剤又は粘着剤は、第2のフィルム2のガスバリア性被覆層24上に塗布してもよい。
得られた積層フィルムの第1の基材11上に、アミノ基を有するシランカップリング剤を含むプライマー組成物を塗布し、硬化させてプライマー層4を形成する。また、積層フィルムの第2の基材21上に、マット層6を形成する。プライマー層4とマット層6の形成順序は特に限定されない。また、マット層6は、第1のフィルム1と第2のフィルム2とを貼り合わせる前に、予め第2のフィルム2の第2の基材21上に形成してもよい。更に、プライマー層4は、第1のフィルム1と第2のフィルム2とを貼り合わせる前に、予め第1のフィルム1の第1の基材11上に形成してもよい。これにより、バリアフィルム50が得られる。このバリアフィルム50を2つ作製する。
次に、一方のバリアフィルム50のプライマー層4上に、蛍光体とエポキシ樹脂を含有する樹脂材料と必要に応じて溶剤とを含む混合液を塗布して塗膜を形成し、その上に他方のバリアフィルム50のプライマー層4側を貼り合わせ、塗膜を硬化させて蛍光体層7を形成する。この蛍光体層7の形成時に、プライマー層4に含まれるアミノ基と、塗膜に含まれるエポキシ樹脂とが反応し、プライマー層4と蛍光体層7との優れた密着性が得られる。以上の方法により、良好なガスバリア性を有すると共に、バリアフィルム50と蛍光体層7との密着性に優れた本実施形態の波長変換シート100を得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、図1〜6に示した波長変換シートにおいて、マット層6及びアンカーコート層12,22は設けなくてもよい。
また、図1、図2及び図5に示した波長変換シート100,200,500において、バリア層15,25は、無機薄膜層13,23とガスバリア性被覆層14,24とが交互に複数積層されたものであってもよい。また、図3、図4及び図6に示した波長変換シート300,400,600において、バリア層15,25は、無機薄膜層13,23とガスバリア性被覆層14,24とが1層ずつ積層されたものであってもよい。
また、図1〜6に示した波長変換シートにおいて、第1のフィルム1及び第2のフィルム2の向きは図示した向きに限定されず、逆向きに配置してもよい。
また、図1〜6に示したバリアフィルムは、各図に示した第1〜第3のフィルムに加えて、それらと同様の又は異なる構成を有する1以上のフィルムを更に有していてもよい。
また、図1〜6に示した波長変換シートにおいて、蛍光体層7を挟む一対のバリアフィルムは互いに異なる構成を有していてもよい。更に、マット層6は、必ずしも波長変換シートの両面に設けられていなくてもよく、一方の表面のみに設けられていてもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、水蒸気透過度は、JIS K7129に準じた赤外線センサ法により、水蒸気透過率測定装置(商品名:Permatran、MOCON社製)を用い、透過セルの温度を40℃とし、高湿度チャンバの相対湿度を90%RHとし、低湿度チャンバの相対湿度を0%RHとして測定した。実施例及び比較例で作製したバリアフィルムの水蒸気透過度の測定結果をまとめて表1に示した。
また、以下の実施例及び比較例において、プライマー層の厚さは、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)にてサンプル断面を観察することにより測定した。
[実施例1]
片面がコロナ放電処理された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:P60、厚さ:16μm、東レ株式会社製)のコロナ放電処理された面上に、ポリエステル樹脂溶液をバーコート法により塗布し、80℃で1分間乾燥硬化させることにより、厚さ100nmのアンカーコート層を形成した。
電子ビーム加熱式の真空蒸着装置を用いて、酸化珪素材料(キヤノンオプトロン株式会社製)を1.5×10−2Paの圧力下で電子ビーム加熱によって蒸発させ、上記アンカーコート層上に無機薄膜層として厚さ80nmのSiOx膜を形成した。なお、蒸着における加速電圧は40kVであり、エミッション電流は0.2Aであった。このSiOx膜上に、テトラエトキシシランの加水分解物(シロキサン結合含有)とポリビニルアルコールとを質量比1:1で混合した塗布液をバーコート法にて塗布し、120℃で1分間乾燥硬化させ、厚さ400nmのガスバリア性被覆層を形成した。これにより、第1のフィルムを得た。また、第1のフィルムと同様にして、第2のフィルムを作製した。第1及び第2のフィルムの水蒸気透過度は0.1g/(m2・day)であった。
第1のフィルムのガスバリア性被覆層上に、粘着剤(主剤:TPO−3183、硬化剤:K−341、サイデン化学(株)製)を塗布して接着層とし、第2のフィルムのガスバリア性被覆層側の面を貼り合わせ、25℃で7日間エージングを実施した。これにより、第1のフィルムと第2のフィルムとが接着層を介して貼り合わせられた積層フィルムを得た。接着層の厚さは4μmであった。
得られた積層フィルムにおける第1のフィルムのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の基材)上に、下記の方法によりプライマー層を形成した。
3−アミノプロピルトリエトキシシラン(アミン系シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBE−903)を酢酸エチルを用いて固形分1.5質量%に希釈したプライマー組成物を、ワイヤーバー#3を用いて第1のフィルムの第1の基材上に塗布し、120℃で1分間乾燥させて硬化させ、厚さ30nmのプライマー層を形成した。
また、第2のフィルムのポリエチレンテレフタレートフィルム(第2の基材)上に、アクリル系ポリオール樹脂(DIC社製、商品名:アクリディックA−814)100質量部、イソシアネート系硬化剤(DIC社製、商品名:バーノックDN−980、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)8.5質量部、微粒子(ポリウレタン、平均粒径2μm)10質量部、溶剤(酢酸エチル)70質量部を塗布し加熱乾燥させて硬化させ、厚さ3μmのマット層を形成した。これにより、バリアフィルムを得た。同じ構成の上記バリアフィルムを2枚作製した。
一方のバリアフィルムのプライマー層上に、コアがセレン化カドミウム(CdSe)、シェルが硫化亜鉛(ZnS)、粒子径6nmの量子ドット発光体が熱硬化型エポキシ樹脂に分散した材料を滴下し、そこに、もう一方のバリアフィルムのプライマー層を貼り合わせた。
室温で24時間放置して上記熱硬化型エポキシ樹脂を硬化させ、波長変換機能を有する蛍光体層を形成して、図1に示した構成を有する波長変換シートを得た。このとき、蛍光体層の厚さは100μmであった。
[実施例2]
プライマー層を以下の方法で厚さ100nmに形成した以外は実施例1と同様にして波長変換シートを得た。
3−アミノプロピルトリエトキシシラン(アミン系シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBE−903)を酢酸エチルを用いて固形分5質量%に希釈したプライマー組成物を、ワイヤーバー#3を用いて第1のフィルムの第1の基材上に塗布し、120℃で1分間乾燥させて硬化させ、厚さ100nmのプライマー層を形成した。
[実施例3]
プライマー層を以下の方法で厚さ500nmに形成した以外は実施例1と同様にして波長変換シートを得た。
3−アミノプロピルトリエトキシシラン(アミン系シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBE−903)を酢酸エチルを用いて固形分25質量%に希釈したプライマー組成物を、ワイヤーバー#3を用いて第1のフィルムの第1の基材上に塗布し、120℃で1分間乾燥させて硬化させ、厚さ500nmのプライマー層を形成した。
[実施例4]
プライマー層を以下の方法で厚さ5nmに形成した以外は実施例1と同様にして波長変換シートを得た。
3−アミノプロピルトリエトキシシラン(アミン系シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBE−903)を酢酸エチルを用いて固形分0.25質量%に希釈したプライマー組成物を、ワイヤーバー#3を用いて第1のフィルムの第1の基材上に塗布し、120℃で1分間乾燥させて硬化させ、厚さ5nmのプライマー層を形成した。
[実施例5]
プライマー層を以下の方法で厚さ100nmに形成した以外は実施例1と同様にして波長変換シートを得た。
3−アミノプロピルトリエトキシシラン(アミン系シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBE−903)100質量部と、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(マツモトファインケミカル社製、商品名:オルガチックスZC−700)100質量部と酢酸エチル2200質量部とを混合して固形分5質量%のプライマー組成物を調製した。得られたプライマー組成物を、ワイヤーバー#3を用いて第1のフィルムの第1の基材上に塗布し、120℃で1分間乾燥させて硬化させ、厚さ100nmのプライマー層を形成した。
[実施例6]
片面がコロナ放電処理された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:P60、厚さ:16μm、東レ株式会社製)のコロナ放電処理された面上に、ポリエステル樹脂溶液をバーコート法により塗布し、80℃で1分間乾燥硬化させることにより、厚さ100nmのアンカーコート層を形成した。
電子ビーム加熱式の真空蒸着装置を用いて、酸化珪素材料(キヤノンオプトロン株式会社製)を1.5×10−2Paの圧力下で電子ビーム加熱によって蒸発させ、上記アンカーコート層上に無機薄膜層として厚さ80nmのSiOx膜を形成した。なお、蒸着における加速電圧は40kVであり、エミッション電流は0.2Aであった。このSiOx膜上に、テトラエトキシシランの加水分解物(シロキサン結合含有)とポリビニルアルコールとを質量比1:1で混合した塗布液をバーコート法にて塗布し、120℃で1分間乾燥硬化させ、厚さ400nmのガスバリア性被覆層を形成した。次いで、ガスバリア性被覆層上に、上記と同様の方法で、無機薄膜層として厚さ80nmのSiOx膜を形成した。更に、このSiOx膜上に、上記と同様の方法で、厚さ400nmのガスバリア性被覆層を形成した。これにより、第1のフィルムを得た。第1のフィルムの水蒸気透過度は0.008g/(m2・day)であった。
第1のフィルムのガスバリア性被覆層上に、粘着剤(主剤:TPO−3183、硬化剤:K−341、サイデン化学(株)製)を塗布して接着層とし、第2のフィルムとして二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:FE2001、厚さ:25μm、フタムラ化学株式会社製、水蒸気透過度25g/(m2・day))のコロナ放電処理された面を貼り合わせ、25℃で7日間エージングを実施した。これにより、第1のフィルムと第2のフィルムとが接着層を介して貼り合わせられた積層フィルムを得た。接着層の厚さは4μmであった。
得られた積層フィルムにおける第1のフィルムのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の基材)上に、実施例1と同様の方法で厚さ30nmのプライマー層を形成した。
また、第2のフィルムのポリエチレンテレフタレートフィルム(第2の基材)上に、実施例1と同様の方法で厚さ3μmのマット層を形成した。これにより、バリアフィルムを得た。同じ構成の上記バリアフィルムを2枚作製した。
上記のようにして得られたバリアフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、図3に示した構成を有する波長変換シートを得た。
[実施例7]
実施例1において、第1のフィルムの第1の基材とバリア層との配置を逆にした。すなわち、第1のフィルムの第1の基材側を接着層に向け、ガスバリア性被覆層上にプライマー層を形成した。それ以外は実施例1と同様にして、図2に示した構成を有する波長変換シートを得た。
[実施例8]
実施例6と同様の方法で第1のフィルムを作製した。得られた第1のフィルムのガスバリア性被覆層上に、実施例1と同様の方法で厚さ30nmのプライマー層を形成した。
また、第1のフィルムのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の基材)上に、実施例1と同様の方法で厚さ3μmのマット層を形成した。これにより、バリアフィルムを得た。同じ構成の上記バリアフィルムを2枚作製した。
上記のようにして得られたバリアフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、図4に示した構成を有する波長変換シートを得た。
[比較例1]
プライマー層を形成しなかった以外は実施例1と同様にして波長変換シートを得た。
[比較例2]
プライマー層を以下の方法で厚さ30nmに形成した以外は実施例1と同様にして波長変換シートを得た。
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(メタクリル系シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−502)を酢酸エチルを用いて固形分1.5質量%に希釈したプライマー組成物を、ワイヤーバー#3を用いて第1のフィルムの第1の基材上に塗布し、120℃で1分間乾燥させて硬化させ、厚さ30nmのプライマー層を形成した。
[比較例3]
蛍光体層を以下の方法で形成した以外は実施例1と同様にして波長変換シートを得た。
一方のバリアフィルムのプライマー層上に、コアがセレン化カドミウム(CdSe)、シェルが硫化亜鉛(ZnS)、粒子径6nmの量子ドット発光体が熱硬化性アクリル樹脂に分散した材料を滴下し、そこに、もう一方のバリアフィルムのプライマー層を貼り合わせた。
室温で24時間放置して上記熱硬化性アクリル樹脂を硬化させ、波長変換機能を有する蛍光体層を形成して、波長変換シートを得た。このとき、蛍光体層の厚さは100μmであった。
<密着性の評価>
実施例及び比較例で得られた波長変換シートを幅1cmの短冊状にカットし、カットした波長変換シートをガラス板上に固定した。固定された短冊状の波長変換シートのプライマー層を、テンシロン万能材料試験機(エーアンドデイ社製)を用いて、ガラス板に対して垂直な方向に、300mm/分の速度で、蛍光体層から剥離し、剥離に要した強度を測定した。この剥離強度の測定を、初期の波長変換シート、及び、60℃、95%RHの環境下に1000時間放置した後(耐湿試験後)の波長変換シートのそれぞれについて行った。測定結果を表1に示す。なお、表1中の「剥がれ」は、剥離試験を行う前から蛍光体層とプライマー層との間に剥がれが生じていたことを意味する。
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜8の波長変換シートは、優れたガスバリア性を有すると共に、初期及び耐湿試験後において優れた密着性を有することが確認された。