JP2017175750A - 配線溝形コイルレスモータ - Google Patents

配線溝形コイルレスモータ Download PDF

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Abstract

【課題】高速応答の妨げとなり損失増加の原因となるコイルを排除して誘導特性を可及的に抑えた配線溝形コイルレスモータを提供する。【解決手段】略円柱形状の外周面にN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた永久磁石2を備えるロータと、このロータの外周面に対して隙間を設けて、ロータの軸と同軸に配置した略円筒形状の磁性体5と、この磁性体5の内周面を各回路に等分割した回路分割角度範囲θa〜θcを定めて、N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線された導電体8とを有し、かつ、磁性体5の内周面には、ロータの各磁極2に対応した角度範囲θ内を等分割した微小角度間隔dθで軸に略平行な方向に均一幅で放射状に複数の配線溝10を形成して、この配線溝10の間に櫛歯状の磁性体隔壁11を形成する。【選択図】図2

Description

本発明は、誘導特性をできるだけ小さくするためにコイルを排除して、瞬時にトルクを発生させたり、回転力から電力を得ることができる配線溝形コイルレスモータに関する。
一般的にモータは誘導特性を有するものであり、この誘導特性によって電流の変動を起こしにくくするものとなっている。また、モータの電源はPWM(Pulse Width Modulation)変調によって120度位相が異なる3つの擬似的なサイン波を生成するインバータが用いられており、このインバータによる制御によってモータの回転速度や出力トルクの制御を可能としている。
また、特許文献1、特許文献2に示すように、近年では電機子巻線となるコイルをプリント基板上にエッチングまたは印刷技術で形成した所謂プリントモータが用いられるようになっている。このプリントモータでは回転子がプリント基板で形成されており、鉄心を用いないことにより軽量である為、慣性を低くすることができ、速度制御の応答性の向上を図ることができるだけでなく、扁平な形状に形成できるゆえに注目されるに至っている。
特開平11−316925号公報 実開平7−39278号公報
しかしながら、従来のモータは何れもコイル(巻線)を形成するものであり、このコイルに電流を流すことによって発生させる磁場を用いてモータを回転させるものであるから、巻線に流れる電流から磁界を形成するステップと、コイルによって形成された磁界が他の永久磁石または電磁石に吸引または反発するステップとを経て初めてモータが回転する。また、より少ない電流によって強い磁場を形成できるように、コイルの巻き数を増やすことにより磁束の倍増化を図ることにより、インダクタンスが増加するという問題が発生する。
すなわち、まずコイルに流れる電流を一旦磁界に変換する段階でコイルのインダクタンスによる誘導特性が応答の遅れとなるという問題が発生する。また、コイルによって形成される磁束が他の永久磁石または電磁石と吸引または反発するときにも、ロータにかかるトルクの変動によって滑りが発生するため、負荷トルクの変動に対する応答性の遅れも発生する。
さらに、三相誘導モータなどのようにコイルに擬似的な交流電流を流す場合には、PWM変換などのスイッチング素子によるパルス波形による電流制御を行うため、スイッチング素子の切り替わり時点においてインダクタンス分による遅れ電流によって必ず損失が発生するので、スイッチングの素子のキャリア周波数の高さに比例してスイッチング損失が大きくなるという問題もある。
加えて、PWM変調によって120°位相のずれた電力を供給する場合には、インダクタンスの影響で位相のズレが発生するので、各相の位相差120°を維持するための制御が困難となり、高速回転する場合にはさらに位相維持の制御が困難となり、複雑で高速な制御を行なう必要が生じる。さらには、回生動作時においては制御がより複雑になり、これによって全体として制御性が悪くなり、コストアップや効率の低下を招いていた。
また、コイルに鉄心(ヨーク)を用いて磁束の集中を行なう場合には、特に磁気飽和が発生することによる損失が発生するという問題も生じる。逆に、鉄心などを用いることなくコイルを配線した場合は、コイルが曝される磁束密度が低い事に加えて、コイルによって発生可能な磁界も弱くなるため駆動トルクが弱くならざるを得ないという問題に加えて、コイルの剛性が十分でないため、回転速度を上げられないという問題も発生する。
とりわけ近年のハイブリッド車や電気自動車の普及に伴って、電気制御によって瞬時に回転トルクを発生させたり、逆に瞬時に回生動作を行なう必要があるが、コイルの誘導特性によってレスポンスの遅れが発生することが効率低下の原因となっていた。
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであり、高速応答の妨げとなり損失増加の原因となるコイルを排除して誘導特性を可及的に抑えたコイルレスモータを提供することを目的とする。
上記問題点を解決するために、第1発明は、略円柱形状の外周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるロータと、このロータの外周面に対して隙間を設けて、ロータの軸と同軸に配置した略円筒形状の磁性体と、この磁性体の内周面の前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めて、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線された導電体とを有し、かつ、前記磁性体の内周面には、前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内を等分割した微小角度間隔で軸に略平行な方向に均一幅で放射状に形成した複数の配線溝を形成して、この配線溝の間に櫛歯状の磁性体隔壁を形成してあり、前記配線溝内に前記導電体を絶縁的に挿入配線することにより前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に導電体を配線してあることを特徴とする配線溝形コイルレスモータを提供する。(請求項1)
前記ロータの略円柱形状の外周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるので、このロータの外周面に隙間を空けて同心円状に配置させた磁性体の内周面には、磁極に対応する角度範囲毎に放射方向または軸芯方向の磁界が発生する。なお、ロータはその外周面に永久磁石を露出するSPM型(表面磁石型)のロータであっても、永久磁石を内部に有するIPM型(埋込磁石型)のロータであっても、円周方向においてN極、S極を交互に形成するものであればよい。
前記各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めているので、前記回路の導電体が前記磁極対応範囲を跨がないように配置される回転角の間は、この回路の導電体に電流を流すことにより、配線溝内に挿入されたガイド部において磁束に略直交する方向に電流を流して、ガイド部の導電体に流す電流の大きさに比例してローレンツ力が作用し、その反作用でロータが逆方向に回転する。また、隣接する回転角の配線溝内に挿入配線されたガイド部における導電体は磁性体の両側部で折り返して、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線され、前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に略己字状に配線してあるので、配線溝内に挿入配線された導電体に電流を流すことにより発生する回転力は全て同じ方向に作用する。
このように、導電体に電流を流すことにより発生する回転力は、ロータに形成する磁極の数だけ発生させることができるので、それだけ回転力を倍増することができる。一方、上述のように構成された導電体は磁性体を一周するときに1回巻きのコイルを形成するだけであるので、インダクタンスが不用意に大きくなることを抑えて高速応答性を確保しながら、必要十分な回転力を得ることができる。
加えて、配線溝に挿入させた導電体はその位置を固定することができ、それだけ、安定した回転力を得ることができると共に、堅牢性が向上する。さらに、配線溝に挿入された導電体の周囲には高い透磁率の磁性体隔壁が櫛歯状に形成されるので、磁性体を構成する部材の透磁率に比例して高い密度の磁束が存在し、この高い密度の磁束が、導電体に流れる電流によって形成される磁界と作用し合うことにより、磁束密度に比例した高い回転力が発生する。また、導電体によって発生する熱は磁性体を介して放熱されるので、導電体には比較的大きな電流を流すことが可能である。なお、本発明における配線溝とは磁性体隔壁によって導電体を挟み込むように保持するスリット状の部分を示しており、その形成方法などを限定するものではない。
さらに、磁性体の各磁極に対応した角度範囲内を等分割した回路分割角度範囲を定められた前記回路が複数ある場合には、ロータの回転角がどのような角度であっても、何れかの回路に割り当てられた回路分割角度範囲は磁極を跨ぐことのない位置にあるため、電流を流す回路を切り替えることにより、回転力を発生させたり、回転力を回生することが可能となる。このときPWM電源のような特別な制御回路を形成する必要がなく、回路の切り替えだけで、トルク変動をほとんど発生させることがなく、安定した回転力と電流の変換を行うことができる。
前記回路数は多ければ多いほど、磁極端面を跨ぐことのない導電体の回路の数を多くすることができる(磁極端面を跨いでいる導電体の回路が占める角度範囲を狭くすることができる)ので、磁極端面を跨がない回路への接続状態をすべてオン状態とすることにより、回転力の発生または回生に用いる導電体の回路が占める角度範囲を広くすることができ、より大きな回転力(より大きな回生電流)を得ることができる。
なお、前記隙間はロータが高速回転したとしてもロータと磁性体が接触しない程度のもので、磁束の漏れを抑えるためにできるだけ狭い間隔が好ましく、その寸法は永久磁石の持つ起磁力と磁路の断面積の大きさによって相対的に決まる。磁性体は透磁率に優れると共に渦電流の発生をできるだけ抑え、ヒステリシスの少ない金属(最適は放射方向に圧延して形成してなる多層ケイ素鋼板)であることが好ましい。
永久磁石はより強力な磁束を生成するものであればあるほど好ましく、希土類元素のネオジムを用いた希土類磁石を用いることが好ましいが、磁化させた強磁性体を用いてもよい。さらに、電磁石に一定の電流を流して形成したものを永久磁石として用いても同様の効果が得られることはいうまでもない。
とりわけ、磁性体は、軟質磁性体の粉体を有機結合剤(バインダー)によって固めてなる複合軟磁性体であることにより、渦電流の発生をより確実に防止できるとともにヒステリシス特性も最小限に抑えることができ、それだけ、損失を小さくすることができる。さらに、前記磁性体は導電体に当接する圧縮アモルファスと、この圧縮アモルファスに当接する射出アモルファスとを備えるものであることにより、制作容易であり製造コストの引き上げを防ぎながら高い透磁率を得て漏れを抑え、さらに、ヒステリシス損や渦電流損の発生を必要最小限に抑えることができ、磁気飽和を避けることができるので、好ましい。
上述のように、第1発明の配線溝形コイルレスモータはローレンツ力を直接的に用いることにより、従来のコイルを用いるものに比べて応答速度を飛躍的に高めることができ、電流制御によって回転力を直接的に制御できる。ここで前記略直交とは、ローレンツ力が電場と磁束密度のクロス積によって加わる力であるため、直角に配置することが最も効率の良い配置になるが、直角からずれていたとしてもローレンツ力が作用することを意味するものである。また、ロータに回転力が加わって回転し、導電体が配置された角度範囲が、逆極性の磁極端面の磁極対応範囲内に入り磁界が逆になると、電流も逆方向に流すことにより、回転方向および回転トルクを同じ方向に保つことができる。
同様に、回生動作においても回生させる回転力に比例して導電体に電流が流れるので、回生する電流の制御によって回生トルクの調節を比較的容易に行うことができる。
また、ステータ側に固定した導電体への電力供給はブラシを介することなく容易に行なうことができるので、コイルレスモータの構成を可能な限り簡素にすることができ、有寿命部材であるブラシを用いることによる耐久性の低下を防止できる。
第2発明は、略円筒形状の内周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるロータと、このロータの内周面に対して隙間を設けて、ロータと同軸に配置した軸芯を有する略円柱形状の磁性体と、この磁性体の外周面の前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めて、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線された導電体とを有し、かつ、前記磁性体の内周面には、前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内を等分割した微小角度間隔で軸に略平行な方向に均一幅で軸芯方向に形成した複数の配線溝を形成して、この配線溝の間に櫛歯状の磁性体隔壁を形成してあり、前記配線溝内に前記導電体を絶縁的に挿入配線することにより前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に導電体を配線してあることを特徴とする配線溝形コイルレスモータを提供する。(請求項2)
前記ロータの内周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるので、このロータの内周面に隙間を空けて同心円状に配置させた円柱状の磁性体の外周面には、磁極対応角度範囲毎に放射方向または軸芯方向の磁界が発生する。
前記各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めているので、前記回路の導電体が前記磁極対応範囲を跨がないように配置される回転角の間は、この回路の導電体に電流を流すことにより、配線溝内に挿入されたガイド部において磁束に略直交する方向に電流を流して、ガイド部の導電体に流す電流の大きさに比例してローレンツ力が作用し、その反作用でロータが逆方向に回転する。また、隣接する回転角の配線溝内に挿入されたガイド部における導電体は磁性体の両側部で折り返して、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線され、前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に略己字状に配線してあるので、配線溝内に挿入配線された導電体に電流を流すことにより発生する回転力は全て同じ方向に作用する。
このように、導電体に電流を流すことにより発生する回転力は、ロータに形成する磁極端面の数だけ発生させることができるので、それだけ回転力を倍増することができる。一方、上述のように構成された導電体は磁性体を一周するときに1回巻きのコイルを形成するだけであるので、インダクタンスが不必要に増加することを抑えながら、安定した回転力を得ることができる。加えて、配線溝に挿入させた導電体はその位置を固定できるので、それだけ堅牢性が向上する。さらに、配線溝に挿入された導電体の周囲には高い透磁率の強磁性体が櫛歯状に残されるので、磁束密度の高さに比例した高い回転力が発生する。
さらに、磁性体の各磁極に対応した角度範囲内を等分割した回路分割角度範囲を定められた前記回路が複数ある場合には、ロータの回転角がどのような角度であっても、何れかの回路に割り当てられた回路分割角度範囲は磁極を跨ぐことのない位置にあるため、電流を流す回路を切り替えることにより、回転力を発生させたり、回転力を回生することが可能となる。このときPWM電源のような特別な制御回路を形成する必要がなく、回路の切り替えだけで、トルク変動をほとんど発生させることがなく、安定した回転力と電流の変換を行うことができる。
前記回路数は多ければ多いほど、磁極端面を跨ぐことのない導電体の回路の数を多くすることができる(磁極端面を跨いでいる導電体の回路が占める角度範囲を狭くすることができる)ので、磁極端面を跨がない回路への接続状態をすべてオン状態とすることにより、回転力の発生または回生に用いる導電体の回路が占める角度範囲を広くすることができ、より大きな回転力(より大きな回生電流)を得ることができる。
なお、前記隙間はロータが高速回転したとしても接触しない程度のもので、磁束の漏れを抑えるためにできるだけ狭い間隔が好ましく、その寸法は永久磁石の持つ起磁力と磁路の断面積の大きさによって相対的に決まる。強磁性体は透磁率に優れると共に渦電流の発生をできるだけ抑える金属(最適は多層ケイ素鋼板)であることが好ましい。
すなわち、第2発明の配線溝形コイルレスモータは、第1発明の配線溝形コイルレスモータと同様にローレンツ力を直接的に用いることにより、従来のコイルを用いるものに比べて応答速度を飛躍的に高めることができ、電流制御によって回転力を直接的に制御できるといった、第1発明と同様の特徴を備える。さらに、第2発明の配線溝形コイルレスモータはロータが円筒形状であるから、コンベアローラの駆動部としてそのまま利用できる。
前記各回路の導電体の両端にそれぞれ電圧検出部を有し、この電圧検出部によって検出されたインパルスによって、前記磁極を跨いで磁束が反転する回転角に位置する回路を判別して配線溝を形成する前記微小角度間隔でロータの回転を検出する角度検出回路を有する場合(請求項3)には、磁極を跨いでいる角度範囲の回路を構成する導電体に設けた電圧検出部は、配線溝に挿入された導電体が磁極を跨ぐ瞬間に急激な磁束密度の変化が発生するのでインパルス的な起電力が発生する。したがって、このインパルスを用いて角度検出回路がロータの回転角を検出することができる。
すなわち、角度検出回路は特別なセンサを設けることなく、配線溝を形成する微小角度間隔を分解能とする角度検出が可能となり、それだけ、構成の簡略化を図ることが可能となる。なお、この導電体に生じるインパルスは配線溝形コイルレスモータをモータとして使用するときにも、発電機として使用するときにも、通電していない状態において慣性や外力によって回転するときにも発生するので、前記電圧検出部および回転検出回路は二次電池などのバックアップ電源によって常に動作して、現在の回転角を確認し続け、この回転角を不揮発メモリなどに記憶しておくことが好ましい。加えて、電圧検出部と角度検出回路が動作する程度の電力であれば特別なバックアップ電源がなくても、前記インパルスの起電力を用いて得ることも可能である。
前記回転角が明確であれば、磁極を跨がない角度範囲に位置する導電体の回路が明確になるので、磁極を跨がない回路の導電体にのみ電源を接続させるように切り替えるスイッチング回路を形成することにより、従来のPWM電源のような特別な制御回路を用いるまでもなく、磁極端面の大部分を有効に用いてローレンツ力を発生させることができるので、十分に強力な回転力を得ることができる。
なお、回路数は増やせば増やすほど、磁極端面の回転力の発生に用いる割合を大きくすることが可能となるので、それだけ得られる回転力を強くすることができる。この場合、前記電圧検出部および角度検出回路は集積化可能な回路によって構成し、各回路の接続を切り替えるスイッチング回路も優れた応答性を有する電界効果トランジスタなどを用いて比較的に小型化が可能であるから、例えば磁極に対応する角度範囲内の全ての配線溝のそれぞれを別々の導電体の回路となるようにすることも可能であり、この場合はほとんどすべての磁束を用いて回転力を発生させることができ、さらなる回転力の向上を図ることが可能となる。
前記導電体は前記配線溝の形状に合わせて形成された断面形状帯状の導体である場合(請求項4)には、配線溝の断面形状に最大限に隙間なく沿わせた導電体を得ることができるので、それだけ大電流を流すことができる。
なお、帯状の導体は配線溝の横幅と深さ幅に合わせた辺の断面形状長方形を有する帯状の導体であることにより、一つの配線溝に一本の導電体を挿入させることができるため、組み付けが容易であると共に、各回路のインダクタンスをできるだけ小さくすることが可能である。また、配線溝の断面積に合わせて最大限に大きな電流を流すことが可能である。
しかしながら、前記配線溝の深さ幅を整数等分した幅と、配線溝の幅に合わせた断面形状長方形または正方形の導電体を一つの配線溝に整数本挿入するようにしてもよい。すなわち、一つの配線溝に複数の導電体を挿入する場合、何れの導電体も直列接続した一本の導電体であるから、配線溝の深さ方向のいずれの位置においても同じ方向に同じ強さの電流が流れるので異常発熱することはなく、回転力も配線溝の深さ方向のいずれの位置においても均等に発生させることが可能となる。
前記導電体は前記配線溝に挿入されるグラフェンからなる導体であり、前記配線溝はグラフェンを挿入可能な必要最小幅に形成してある場合(請求項5)には、導電体の導電率を可能な限り上げられるだけでなく、配線溝の幅を可能な限り薄く形成してあるので、それだけ櫛歯状の磁性体隔壁の厚み割合を相対的に増すことにより、より強い磁束をかけて扱う回転力を大きくすることができ、しかも鉄損、渦電流など電磁的損失を極力小さく出来る。なお、前記グラフェンとは2次元のハチの巣状格子内に周密に詰め込まれた単層の炭素原子からなる導電体である。
また、配線溝を形成する微小角度間隔を可及的に狭くすることができ、それだけ大きな回転力を出力させ、大きな回生電流を得ることが可能となるだけでなく、この導電体に生じるインパルスを用いて回転角を検出する場合の回転角の検出精度を向上させることができる。
前記導電体は前記配線溝の内に複数陥入した導線である場合(請求項6)には、導電体として汎用の導線を利用できるので、それだけ製造コストを削減できる。このとき、同じ回路を構成する導電体は同じ配線溝内に複数回陥入されるように配線されて、配線溝内の導線は直列接続した一本の導線であることにより、配線溝の深さ方向のいずれの位置においても同じ方向に同じ強さの電流が流れるので異常発熱することはなく、回転力も配線溝の深さ方向のいずれの位置においても均等に発生させることが可能となる。
しかしながら、同じ配線溝内に挿入される導電体は配線溝に挿入する前と後とで並列接続してもよく、これによってインダクダンスの増加をさらに低く抑えることができる。
本発明の配線溝形コイルレスモータでは、導電体の両端に電圧検出部を設けることにより、導電体をセンサとして用いることが可能であるが、これに変えてロータリーエンコーダを別途設けてもよいことは言うまでもない。あるいは、前記ステータ側の前記磁極に面する位置に取り付けられてロータの回転に伴う磁界の変化を検知する磁束検出器を設けて、より確実なロータの回転角の検出を行ってもよい。
また、ロータの回転角に対応して各回路の導電体に流す電流の方向および断続制御を行なうスイッチング回路を備える場合には、このスイッチング回路を介して電力供給を行うだけでコイルレスモータに対して直流的に電力供給を行なってロータの回転方向を自在に制御することができる。また、回生動作においてもスイッチング回路を介するだけで、回生電流を容易に電源側に流すことができる。
前記スイッチング素子は高速に切り替え可能な電界効果トランジスタによって形成されるものであることが好ましいが、バイポーラトランジスタ、フォトカプラ、サイリスタ、ソリッドステートリレーなどを用いたスイッチング素子であってもよい。
上述したように、本発明によれば、ロータ側に取り付けられた永久磁石によって形成される強い磁界中に、ステータ側に取り付けられた導電体を配置するという極めて簡素化された構成で、導電体に電流を流すことによって発生するローレンツ力によって、ロータを回転させるものであるから、従来はモータに必須と考えられていたコイル(巻線)をモータから排除できる。コイルを排除することにより誘導特性による電流の遅れを防止して、回転力の制御を高いレスポンスで行うことができる。
加えて、従来のモータの制御には必要であった擬似的な正弦波を形成するためのPWM変調回路や、交直変換回路などを不要とし、変調に伴う損失の発生やノイズの発生も防止できる。
本発明の配線溝形コイルレスモータでは、ロータの磁極に隙間を開けて配置された磁性体に配線溝を設け、この配線溝内に導電体が配線されるので、導電体の周囲には磁性体隔壁に内に、集中した、より高い磁束密度の磁束が存在し、それだけ、小さな電流で大きな回転力を得ることができる。同様に、回転力から多くの回生電流を得ることができる。
本発明の配線溝形コイルレスモータは、ロータの形状は円筒状または円柱状で、これに近接する磁性体は円柱状または円筒状であり、いずれの場合にも配線溝形コイルレスモータの外周部付近にて回転力が発生するものであるから、その全体形状は例えば円盤状に形成すれば、軸芯からできるだけ離した外周部近傍において回転力を発生させることにより大きな回転力を得ることができる。
逆に、配線溝形コイルレスモータの全体形状を軸芯方向に長く形成することにより、第1発明の配線溝形コイルレスモータは、車両の各部シャフトとして本発明の配線溝形コイルレスモータを配置して、現在の低燃費車両における内燃機関(エンジン)の出力トルク不足を補った回転力を発生させることも可能であり、また、慣性などのよって回転力の回生を行う場合には回生電流を電源側に戻して電力に回生することも可能である。また、第2発明の配線溝形コイルレスモータは、ローラーコンベアの駆動ローラとして本発明の配線溝形コイルレスモータを配置することも可能であり、省スペースでありながら大きな回転力を出力させることも可能となる。
本発明の第1実施形態に係る配線溝形コイルレスモータの構成を示す側面図である。 前記配線溝形コイルレスモータの縦断面図である。 前記配線溝形コイルレスモータのロータの一部構成を示す斜視図である。 前記ロータと磁性体の間の要部における動作を説明する図である。 前記配線溝形コイルレスモータを制御する回路の一例を示す図である。 図5に示す回路の動作を説明する図である。 第1実施形態に示す配線溝形コイルレスモータの変形例を示す図である。 前記配線溝形コイルレスモータのさらなる変形例を示す図である。 前記配線溝形コイルレスモータのさらに異なる変形例を示す図である。 第2実施形態の配線溝形コイルレスモータの構成を示す断面図である。 前記配線溝形コイルレスモータの一部を拡大して示す図である。
以下、本発明の第1実施形態の配線溝形コイルレスモータ1の構成を図1〜図6に従って説明する。図1、図2に示すように、本実施形態の配線溝形コイルレスモータ1は、略円柱形状の外周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極2N,2Sを配置させた少なくとも1つの永久磁石2を備えるロータ3と、このロータ3の外周面に対して隙間を設けて、ロータ3の軸4と同軸に配置した略円筒形状の例えばケイ素鋼板などからなる磁性体5と、この磁性体5をその外周面において支持するケース6と、このケース6に前記軸4を回動自在に支持する軸受け6oと、この磁性体5の内周面の前記ロータ3の各磁極2N,2Sに対応した角度範囲θ内に、これを各回路7a〜7cに等分割した回路分割角度範囲θa〜θcを定めて、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線された導電体8a,8b,8cとを有し、かつ、前記磁性体5の内周面には、前記ロータ3の各磁極2N,2Sに対応した角度範囲θ内を等分割した微小角度間隔dθで軸4に略平行な方向に均一幅で放射状に複数の配線溝10を形成して、この配線溝10の間に櫛歯状の磁性体隔壁11を形成してあり、前記配線溝10内に前記導電体8a,8b,8cを絶縁的に挿入配線することにより前記ロータ3の全磁極2N,2S,…に対応した各回路分割角度範囲θ,…内に導電体8a,8b,8c,…を配線してある。
なお、前記回路7a〜7c、導電体8a〜8cは何れも、本実施形態に示す3つの回路7a〜7cのそれぞれに別々の符号を付けてこれらを見分けられるようにしているが、以下、回路7a〜7cを分けて説明する必要が無い場合には、単に、回路7、導電体8と表現する。
前記ロータ3の永久磁石2は磁極2N,2Sの磁極端面をロータ3の外周面に露出させるように設けたSPM型(表面磁石型)であっても、永久磁石2をロータ3内部に埋設することにより結果的にロータ3の外周面に磁極2N,2Sの磁極端面が形成されるIPM型(埋込磁石型)であってもよい。いずれにしても、磁極2N,2Sに対応する角度範囲(磁極対応角度範囲)θ内においてはロータ3の外周面から同じ方向の磁束を軸方向に揃えて形成することにより、磁極端面の磁束を放射方向に発散または軸芯方向に収束させるものである。
前記ロータ3を一周するときに切り替わる磁極2N,2Sの数は本実施形態では合わせて8極形成しており、各磁極対応角度範囲θは45°に形成されている。従って、導電体8がロータ3の周りを一周するように配線されるとき、各磁極対応角度範囲θ内を回路数(本実施形態では3回路)で等分割した8つの回路分割角度範囲θa(またはθbまたはθc)内に配線するので、導電体8がロータ3を一周する間に8回磁極2N,2Sから発散または収束する磁界に対して略直交する方向に電流を流すように配置されることになる。
したがって、導電体8が1つの磁極2N(または2S)の前だけに配置される場合に比べて磁極2N,2Sの数倍(本実施例の場合8倍)だけ強い回転力(または回生電流)を発生させることができるように構成している。つまり、この磁極2N,2Sの数は少なくとも2極は必要であるが、多ければ多いほど導電体8がロータ3を一周する間に出力できる回転力(または回生電流)は大きくなる。
磁石2は強い回転力(回生電流)を得る為には磁性体5を飽和させない程度にできるだけ強力な永久磁石であることが好ましく、本実施形態の場合、非常に強力な磁力を得られるネオジム磁石を用いて形成される。
磁石2の形状は、図2に示すように、軸芯4側には前記ロータ3の外周面に形成される磁極とは逆の磁極が配置された断面扇形に形成されており、符号Bに示すように軸芯4および磁性体5に高い密度の磁束が形成される。
図2の拡大図および図4に示すように、磁性体5の内周面に配線溝10を設けることにより形成された磁性体隔壁11には、高い磁束密度の磁束Bが集中する。従って、この配線溝10内に挿入配線させた導電体8に電流を流すときに、この電流によって図4に示す回転磁界Brが発生し、この回転磁界Brが永久磁石2によって磁性体隔壁11内に形成される極めて強力な磁界Bと作用し合うことにより、ロータ3に回転力を発生させることができる。
前記ロータ3は軸芯4に形成されたフランジ部4aと抑えリング4bに挟み込むようにして前記磁石2をその磁極端面が円周方向にN極、S極の磁束Bが交互に配列されるように接着固定してある略円柱形状の部材である。
前記磁性体5は透磁率に優れたケイ素鋼板の中抜き略円盤状の薄板と絶縁層を多数積層して形成されたものであり、その内周面には微小角度dθ間隔で配線溝10を形成してあるので、前記導電体8を安定的に保持することができる。また、磁性体5に形成された配線溝10は放射方向に導電体8の直径よりも深く形成されているので、本実施形態の場合、同じ配線溝10内に7本の導電体8を配線できるように構成している。そして、この同じ配線溝10内に配線された導電体8はロータ3の回転角に完全に同期して磁束の交番磁界に晒されることになる。
磁性体5の内周面はロータ3の外周面(磁極端面)に対して隙間を空けて配置されるものであり、この隙間はロータ3が高速回転したときにも接触しない程度の隙間であり、できるだけ近づけて配置するものであることにより、漏れ磁束を可及的に小さくすることができ、それだけ強い交番磁界を磁性体5に発生させることができるので好ましい。
前記ケース6は磁気遮蔽可能な金属からなり、磁性体5をその外周部において保持すると共に、前記軸受け6oによってロータ3の軸4を回転自在に支持する略筒状の第1部材6Aと、この第1部材6Aに対してロータ4の回転部分を覆うように構成された第2部材6Bとからなり、前記各回路7の導電体8を貫通して引き出すことができる孔6Cを形成してある。
本実施形態の場合、各回路7に割り当てられる回路分割角度範囲θa(またはθbまたはθc)内には3筋の配線溝10が形成されており、これらが同じ回路7の配線溝群を形成する。そして、この配線溝群を校正する3筋の配線溝10にそれぞれ7本の合計21本の導電体8を挿入することにより、1本の導電体8だけを配線する場合に比べて約21倍の回転力を得ることができるように構成している。つまり、同回路7の電流を直列に複数回または並列接続して流して電流を増大させることによって、回転力(または回生電流)の倍増効果を得ることができる。
なお、本実施形態では導電体8を前記配線溝群内のすべての配線溝10に挿入配線する前に21分岐接続して前記回路分割角度範囲θa(またはθbまたはθc)内のすべての配線溝10に挿入配線し、磁性体5を一周した後に再び一つにまとめるように接続することにより、各回路7のインダクタンスの増加を抑えながら出力する回転力を大きくすることが可能となるように構成している。
図3に示すように、磁性体5の軸芯方向の両端部(片方のみ図示)において、前記配線溝群を構成する配線溝10から突出する21本の導電体8(以下、導電体群という)は、結束部8Dにおいて束ねられ、結束された導電体群の180°の捻りおよびターン部8Eと、結束解除部8Fとを介して隣接する磁極2N(または2S)の配線溝群に配線される。
これによって、図示時計回りの先端側の配線溝10(図2参照)の位置Paに配線された導電体8は、45°位相が異なる隣接する磁極2N(または2S)に対しても同じ図示時計回りの先端側の配線溝10の位置Pa’に配線されるので、前記導電体8は各配線溝10の磁極2N(または2S)に対する相対位置が同じとなるように配線され、また、磁極2N(または2S)に合わせて互い違いに逆方向に電流を流すように、全体的な形状は略己字状に配線される。
前記配線溝10の形状は、図2の拡大図および図4に示すように、幅方向において導電体8をその絶縁被覆を付けた状態で挿入可能な必要最小限の幅であって、深さ方向において、本実施形態では導電体8を7本並べて挿入可能な深さに形成している。また、各配線溝10はこの中に挿入された導電体8の回転方向の位相を完全にそろえるように放射線状に形成しており、軸芯方向には平行に形成してある。
配線溝10を微小角度間隔dθで形成することにより、磁性体5の内周面には櫛歯状の磁性体隔壁11を形成でき、この櫛歯状隔壁11と配線溝10の幅は同程度に形成してある。
図5は本発明の配線溝形コイルレスモータ1の角度検出回路の一例を示す図である。図5に示す符号12は電源となるバッテリであり、バッテリ12からの電力は各スイッチング素子13a〜13c,14a〜14cを介して、各回路7a〜7cに正逆方向の電圧をかけられるように構成している。15a〜15cは各回路7a〜7cの端子電圧Va〜Vcを検出する電圧検出部であり、16は電圧検出部15a〜15cによって検出された各端子電圧Va〜Vcを取り込むことにより、ロータ3の回転角を角度検出回路を有すると共に各スイッチング素子13a〜13c,14a〜14cに制御信号Ca〜Ccを出力する事により、任意の回転力を出力させたり回生電流をバッテリ12側に流すように制御する制御部である。また、17は端子電圧Va〜Vbの変動を監視することにより求められるロータ3の回転角を記憶する記憶部、18はバックアップ電源、Rは回転方向を示す。
前記スイッチング素子13a〜13c,14a〜14cは高速応答が可能であると共にオン状態の抵抗が低いFETなどの半導体スイッチであることが好ましいが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
図6は図5に示すロータ3が回転方向Rに回転するときにおける動作を電圧検出器15a〜15cによって検出した端子電圧の測定値の例を用いて説明する図である。
図6に示すように、図5に示す磁極2N,2Sの配置である状況を0°とするとき、制御部16は例えばスイッチング素子13b,13c,14b,14cを介して回路7b,7cに正の電圧を印加する。ここで導電体8b,8cに電流が流れることにより、各磁極2N,2Nによって形成される強力な磁場内にその磁束と直交する方向に配線された導電体8b,8cに電流が流れることにより回転磁界Br(図4参照)が発生し、ローレンツ力によってロータ3が回転方向Rにさらに回転する。
ロータ3が微小角度間隔dθ(本実施形態の場合5°)回転するまでの間に、回路7aを構成する導電体8aが配線された一つの配線溝10(図2,図4参照)が磁極2N,2Sの切り替わり部分を通過することになり、導電体8aの端子電圧Vaには磁束の変化に伴うインパルス(N極からS極への変化なので負の方向のインパルス)が検出される。同様に、さらに微小角度間隔dθ回転する毎にインパルスが検出され、前記制御部16はロータ3が微小角度間隔dθ右回りに回転していることを確認できる。
次いで、端子電圧Vaに3つ目のインパルスが検出された後に、制御部16は前記スイッチング素子13b,14bを切り替えて回路7bの導電体8bをバッテリ12から切り離した後に、スイッチング素子13a,14aを切り替えて回路7aの導電体8aに逆方向の電圧を印可する。
この時点で、図5に示すロータ3は初期状態から15°ほど回転しているので、回路7aを構成する導電体8aが対面する磁極端面の極性は、他の回路7b,7cを構成する導電体8b,8cが対面する磁極端面の極性と異なっているので、導電体8aに逆方向の電圧を印可することにより、同じ回転方向Rの回転力をロータ3に加えることができる。
さらに、ロータ3が回転方向Rに回転すると、微小角度間隔dθ毎にバッテリ12から切り離した回路7bの導電体8の端子電圧にインパルスが発生し、制御部16はこのインパルスを検出することにより、ロータ3の回転角を検出することができる。また、当然ながら回転方向Rが逆になると、上記インパルスの発生極性も逆になると共に、インパルスが発生する回路7a〜7cの順番も逆になる。
上述のように、本発明の配線溝形コイルレスモータ1は導電体8a,8c,8cにインダクタンス成分がほとんど発生しないため、ロータ3の回転に伴う端子電圧の変動をモニタするだけで、別途のセンサを設けることなくロータ3の現在の回転角を正確に検知することができ、これを例えば記憶部17に記憶させ、非通電時にもバックアップ電源18によって端子電圧の監視と回転角の確認を行なうことも可能である。なお、この回転角は一対の磁極2N,2Sが占める磁極対応回転角θ×2(本例の場合90°)の範囲で確認できるが、現在の回転角を常にモニタして記憶部17に記憶させる場合には、360°の回転角を監視することも可能である。
前記回転角を常に監視して記憶部17に記憶させることにより、非通電時に外力によってロータ3が回転した場合にもロータ3の回転角を監視しているので、次に通電するときの始動時にも、制御部16最初から確実に磁極2N,2Sを跨いでいない回路7の導電体8のみに必要な回転方向Rに回転させる極性の電圧を印加することが可能である。
なお、仮に前記制御部16が記録している回転角が現実の角度と異なっていたとしても、ロータ3が回転するときにインパルスがどの回路7の導電体に発生し、次にどのロータ3にインパルスが発生するかを確認することにより、現在の回転角を迅速に確認して、以後は的確な制御を行なうことも可能である。
上述したように本発明の配線溝形コイルレスモータ1によれば、各回路7の導電体8にインダクタンス成分をほとんど持たない磁気回路を形成でき、導電体8に電流を流すときに生じるローレンツ力を直接的に用いて、回転力を得ることができるので、極めて高速に応答することができる。これは、電動機として例えばエンジンなどの内燃機関の補助動力として回転力のアシストを行なったり、逆に余った無駄な回転力を用いてバッテリ12を充電させるときの高速応答を可能としていることを意味している。また、従来の電動機のように電源としてサイン波の交流電源を形成する必要も全くないので、ノイズの発生原因ともなるPWM変調回路を排除し、極めて容易にトルク制御を行なうことができる。
さらに、各導電体8は櫛歯状に配置された磁性体隔壁11内に高密度に集中する磁束を形成する交番磁界Bの間に配線されて、電流の流れによって発生する回転磁界Brが強力な磁界Bと作用し合うことによって、より少ない電流で強力な回転力を得ることができる。加えて、配線溝10内に配線された導電体8はその物理的な位置を容易かつ確実に固定できるので、高速回転するモータとして十分な堅牢性を備えるものとなる。
また、制御部16は通電する回路7a〜7cの割合(通電する回路数)や通電するタイミング(パルス幅)を調整することにより、配線溝形コイルレスモータ1によって出力する回転力の強さ(回生制動力の強さ)を調整することも可能である。
加えて、本実施形態のように3回路7a〜7cに分割された導電体8を有する配線溝形コイルレスモータ1の場合、回転力を得る為に磁極端面の2/3を有効に活用しているので、それだけ大きなトルクを出す為に有利であり、とりわけロータ3の外周面に永久磁石2の磁極2N,2Sをむき出しにするSPM型のロータ3によって十分に強力な回転力を得ることができるが、IPM型のロータ3であっても問題なく回転力を得ることができるので、汎用性が高いという利点もある。
さらに、本発明の配線溝形コイルレスモータ1は長い軸芯4を有するロータ3の外周面において回転力をローレンツ力による回転力を生み出すものであるからロータ3は長ければ長いほど回転力を生み出すのに有利であり、例えば自動車のドライブシャフトやプロペラシャフトそのものを配線溝形コイルレスモータ1と入れ替えて補助的に回転力を生成するなどの用いることも可能である。
上述の実施形態は本発明の配線溝形コイルレスモータ1の構成および動作を説明しやすい例を示したものであるにすぎず、種々の変形が可能であることはいうまでもない。
たとえば、本実施形態の導電体8は磁性体5の配線溝10に配線する前に多数に分岐し、磁性体5を一周した後に再びまとめるように構成しているが、前記導電体8を磁性体5の内周面に沿って、順次前記回路分割角度範囲θa(またはθbまたはθc)内のすべての配線溝10に直列的に配線してもよい。この場合は、導電体8の回路7は磁性体5に巻き取った巻き数のコイルとなってしまうので、インダクタンスの増加を招く(本実施形態の場合は21巻きのコイルと同じ)ものの、同じ電流で大きな回転力を得ることができる利点が生じる。なお、前記巻き数は通常のモータに用いるコイルの巻き数に比べて遙かに少なく、インダクタンスの増加を必要最小限に抑えることができているという意味ではコイルレスということができる。
図7は第1実施形態の変形例を示す図である。図7に示す例では、一つの磁極対応角度範囲θと導電体8の構成を4回路7a〜7dで等分割するように形成してあり、一つの回路分割角度範囲θa〜θd内に2筋の配線溝10が形成される。すなわち、回路数を増やすことにより、磁極2N,2Sを跨ぐ導電体8の回路7に対応する回路分割角度範囲θa〜θdに対して磁極2N,2Sを跨がない導電体8の回路7に対応する回路分割角度範囲θa〜θdの割合を大きくすることができ、4回路の場合、全磁束の約3/4を有効活用して回転力を得たり、回生電流を得ることができる。
また、図5に示すような、前記制御部16を設ける場合、磁極2N,2Sを跨がない回路7のうち1〜3回路を任意に選んで回転力を発生させることが可能であるから、発生させる回転力の制御をさらに容易とすることができる。
前記回路数は増やせば増やすほど制御部16による制御が複雑になり、スイッチング素子13a,13b…,14a,14b…や、電圧検出部15,15b…の数も増大するもが、出力できる回転力を上げることができるだけでなく、より精度の高い回転力の制御を行なうことも可能となる。また、前記各部15〜17の集積化を行うことにより、微小角度間隔dθで形成された全ての配線溝10内の導電体8を別々の回路7に分けることも考えられる。
図8はさらなる変形例を示す図であり、前記導電体8の代わりに、断面形状長方形の帯状の導体20を用いる例を示している。すなわち、配線溝10の形状に合わせた断面形状帯状の導体は、配線溝10に対して隙間なく挿入可能であるから、通常の断面形状円形の導体に比べて流すことができる電流を多くすることができ、それだけ、大きな回転力(回生電流)を得ることができる。
また、断面長方形の帯状の導体20は、断面円形の導体8に比べて少ない本数だけ配線溝10に挿入するだけで配線溝10を埋め尽くすものであるから、導体20の挿入にかかる手間をできるだけ少なくすることができ、配線溝形コイルレスモータ1の製造にかかるコストを削減することができる。
図9はさらに異なる変形例を示す図である。図9において、前記導電体8の代わりに、配線溝の断面形状に合わせた一本の導体21を挿入配線してあるので、配線溝形コイルレスモータ1の製造にかかる手間をさらに抑えて、その製造コストを削減することができる。
図10は第2実施形態の配線溝形コイルレスモータ30の構成を示す図である。なお、本実施形態の配線溝形コイルレスモータ30は第1実施形態の配線溝形コイルレスモータ1のロータ3と磁性体5の位置関係を逆にした例を示すものであり、以下の説明において、図1〜図9に示す第1実施形態と同じ符号を付した部分は同一又は同等の部分であるから、その詳細な説明を省略する。
すなわち、本実施形態の配線溝形コイルレスモータ30は略円筒形状の内周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極2N,2Sを配置させた少なくとも1つの永久磁石2’を備えるロータ3’と、このロータ3’の内周面に対して隙間を設けて、ロータ3’と同軸に配置した軸芯4を有する略円柱形状の磁性体5’と、この磁性体5’の外周面の前記ロータ3’の各磁極2N,2Sに対応した角度範囲θ内に、これを各回路7に等分割した回路分割角度範囲θa,θb…を定めて、前記N極、S極の磁極2N,2Sの極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線された導電体8とを有し、かつ、前記磁性体5’の外周面には、前記ロータ3’の各磁極2N,2Sに対応した角度範囲θa,θb…内を等分割した微小角度間隔dθで軸4に略平行な方向に均一幅で軸芯方向に複数の配線溝10’を形成して、この配線溝’の間に櫛歯状の磁性体隔壁11’を形成してあり、前記配線溝10’内に前記導電体8を絶縁的に挿入配線することにより前記ロータ3’の全磁極2N,2Sに対応した各回路分割角度範囲θa,θb…内に導電体8を配線してある。
本実施形態のロータ3’はその外周面が円筒形状であり、軸芯4を固定して、円筒形状のロータ3’が回転するものであるから、例えばコンベアローラの一つとして適宜配置し、回転力を供給することにより、コンベアによる荷物の搬送を行なうことができる駆動力を供給することも容易である。
図11は図10に示す本発明の第2実施形態の更なる変形例を示す図である。図11に示す配線溝形コイルレスモータ32は、前記磁性体5’の外周面に、拡大図に示すように、グラフェンからなる帯状の導体33と、薄板形状の透磁率に優れた磁性体隔壁34を重ねて配列してなるものであり、磁性体隔壁34の断面形状は磁性体5’の外周面に接する側を僅かに薄く僅かに台形になるように形成してあり、多数の導体33と磁性体隔壁34を絶縁体を挟んで重ねるときに、ちょうど円筒状の磁性体5’の外周面に接する筒状の部材となるように形状である。
加えて、磁性体隔壁34に挟まれた部分には磁性体5’を挿入配線可能な配線溝10’が形成される。したがって、磁性体5’の外周面に磁性体隔壁34と導体33を絶縁体を挟んで重ねて配置することにより、グラフェンからなる導体33を帯状の磁性体隔壁34の間に形成された配線溝10’の間に挿入すると共に、各磁性体隔壁34間の間隔を必要最小限に形成してすることができる。
前記グラフェンからなる導体33はその導電率が極めて高いので、極めて薄く形成されたものであっても、十分な電流を流すことができると共に、放熱効果を高めることができる。また、磁性体隔壁34の占有面機を広くすることができるので、可能な限り強力な永久磁石を用いて磁気飽和を避けながらできる限り強い交番磁界を加えることもできる。
さらに、隣接するグラフェンからなる導体33がなす微小角度間隔dθ’を更に小さくする事が可能であるから、各導体33に生じるインパルス信号を検出するだけで、それだけ詳細な角度検出を行なってもよい。また、導体33が薄くなればなるほど、導体33を等分割する回路7の数も多く設定可能であり、回路7の数が多ければ多いほど、ロータ3’の永久磁石2’の磁束の大部分を用いて回転力を得たり、より多くの回生電流を得ることができる。
上述の実施形態では円柱状の磁性体5’の外周面にグラフェンからなる導体33と磁性体隔壁34を重ねて配置する例を示しているが、図1〜図9に示す第1実施形態に示す配線溝形コイルレスモータ1の円筒状の磁性体5の内周面にグラフェンからなる導体33と磁性体隔壁34を重ねて配置してもよいことはいうまでもない。
1 配線溝形コイルレスモータ
2 永久磁石
2N,2S 磁極
3 ロータ
4 軸
5 磁性体
7(7a,7b…) 回路
8(8a,8b…) 導電体
8D 結束部
8E 捻りおよびターン部
8F 結束解除部
10 配線溝
11,34 磁性体隔壁
15a,15b… 電圧検出部
16 角度検出回路
θ 磁極対応角度範囲
θa,θb… 回路分割角度範囲
dθ 微小角度間隔
本発明は、誘導特性をできるだけ小さくするためにコイルを排除して、瞬時にトルクを発生させたり、回転力から電力を得ることができる配線溝形コイルレスモータに関する。
一般的にモータは誘導特性を有するものであり、この誘導特性によって電流の変動を起こしにくくするものとなっている。また、モータの電源はPWM(Pulse Width Modulation)変調によって120度位相が異なる3つの擬似的なサイン波を生成するインバータが用いられており、このインバータによる制御によってモータの回転速度や出力トルクの制御を可能としている。
また、特許文献1、特許文献2に示すように、近年では電機子巻線となるコイルをプリント基板上にエッチングまたは印刷技術で形成した所謂プリントモータが用いられるようになっている。このプリントモータでは回転子がプリント基板で形成されており、鉄心を用いないことにより軽量である為、慣性を低くすることができ、速度制御の応答性の向上を図ることができるだけでなく、扁平な形状に形成できるゆえに注目されるに至っている。
特開平11−316925号公報 実開平7−39278号公報
しかしながら、従来のモータは何れもコイル(巻線)を形成するものであり、このコイルに電流を流すことによって発生させる磁場を用いてモータを回転させるものであるから、巻線に流れる電流から磁界を形成するステップと、コイルによって形成された磁界が他の永久磁石または電磁石に吸引または反発するステップとを経て初めてモータが回転する。また、より少ない電流によって強い磁場を形成できるように、コイルの巻き数を増やすことにより磁束の倍増化を図ることにより、インダクタンスが増加するという問題が発生する。
すなわち、まずコイルに流れる電流を一旦磁界に変換する段階でコイルのインダクタンスによる誘導特性が応答の遅れとなるという問題が発生する。また、コイルによって形成される磁束が他の永久磁石または電磁石と吸引または反発するときにも、ロータにかかるトルクの変動によって滑りが発生するため、負荷トルクの変動に対する応答性の遅れも発生する。
さらに、三相誘導モータなどのようにコイルに擬似的な交流電流を流す場合には、PWM変換などのスイッチング素子によるパルス波形による電流制御を行うため、スイッチング素子の切り替わり時点においてインダクタンス分による遅れ電流によって必ず損失が発生するので、スイッチングの素子のキャリア周波数の高さに比例してスイッチング損失が大きくなるという問題もある。
加えて、PWM変調によって120°位相のずれた電力を供給する場合には、インダクタンスの影響で位相のズレが発生するので、各相の位相差120°を維持するための制御が困難となり、高速回転する場合にはさらに位相維持の制御が困難となり、複雑で高速な制御を行なう必要が生じる。さらには、回生動作時においては制御がより複雑になり、これによって全体として制御性が悪くなり、コストアップや効率の低下を招いていた。
また、コイルに鉄心(ヨーク)を用いて磁束の集中を行なう場合には、特に磁気飽和が発生することによる損失が発生するという問題も生じる。逆に、鉄心などを用いることなくコイルを配線した場合は、コイルが曝される磁束密度が低い事に加えて、コイルによって発生可能な磁界も弱くなるため駆動トルクが弱くならざるを得ないという問題に加えて、コイルの剛性が十分でないため、回転速度を上げられないという問題も発生する。
とりわけ近年のハイブリッド車や電気自動車の普及に伴って、電気制御によって瞬時に回転トルクを発生させたり、逆に瞬時に回生動作を行なう必要があるが、コイルの誘導特性によってレスポンスの遅れが発生することが効率低下の原因となっていた。
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであり、高速応答の妨げとなり損失増加の原因となるコイルを排除して誘導特性を可及的に抑えたコイルレスモータを提供することを目的とする。
上記問題点を解決するために、第1発明は、略円柱形状の外周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるロータと、このロータの外周面に対して隙間を設けて、ロータの軸と同軸に配置した略円筒形状の磁性体と、この磁性体の内周面の前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めて、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように略己字状に配線された導電体とを有し、かつ、前記磁性体の内周面には、前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内を等分割した微小角度間隔で軸に略平行な方向に均一幅で放射状に形成した複数の配線溝を形成して、この配線溝の間に櫛歯状の磁性体隔壁を形成してあり、前記配線溝内に前記導電体を絶縁的に挿入配線することにより前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に導電体を配線してあることを特徴とする配線溝形コイルレスモータを提供する。(請求項1)
前記ロータの略円柱形状の外周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるので、このロータの外周面に隙間を空けて同心円状に配置させた磁性体の内周面には、磁極に対応する角度範囲毎に放射方向または軸芯方向の磁界が発生する。なお、ロータはその外周面に永久磁石を露出するSPM型(表面磁石型)のロータであっても、永久磁石を内部に有するIPM型(埋込磁石型)のロータであっても、円周方向においてN極、S極を交互に形成するものであればよい。
前記各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めているので、前記回路の導電体が前記磁極対応範囲を跨がないように配置される回転角の間は、この回路の導電体に電流を流すことにより、配線溝内に挿入されたガイド部において磁束に略直交する方向に電流を流して、ガイド部の導電体に流す電流の大きさに比例してローレンツ力が作用し、その反作用でロータが逆方向に回転する。また、隣接する回転角の配線溝内に挿入配線されたガイド部における導電体は磁性体の両側部で折り返して、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線され、前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に略己字状に配線してあるので、配線溝内に挿入配線された導電体に電流を流すことにより発生する回転力は全て同じ方向に作用する。
このように、導電体に電流を流すことにより発生する回転力は、ロータに形成する磁極の数だけ発生させることができるので、それだけ回転力を倍増することができる。一方、上述のように構成された導電体は磁性体を一周するときに1回巻きのコイルを形成するだけであるので、インダクタンスが不用意に大きくなることを抑えて高速応答性を確保しながら、必要十分な回転力を得ることができる。
加えて、配線溝に挿入させた導電体はその位置を固定することができ、それだけ、安定した回転力を得ることができると共に、堅牢性が向上する。さらに、配線溝に挿入された導電体の周囲には高い透磁率の磁性体隔壁が櫛歯状に形成されるので、磁性体を構成する部材の透磁率に比例して高い密度の磁束が存在し、この高い密度の磁束が、導電体に流れる電流によって形成される磁界と作用し合うことにより、磁束密度に比例した高い回転力が発生する。また、導電体によって発生する熱は磁性体を介して放熱されるので、導電体には比較的大きな電流を流すことが可能である。なお、本発明における配線溝とは磁性体隔壁によって導電体を挟み込むように保持するスリット状の部分を示しており、その形成方法などを限定するものではない。
さらに、磁性体の各磁極に対応した角度範囲内を等分割した回路分割角度範囲を定められた前記回路が複数ある場合には、ロータの回転角がどのような角度であっても、何れかの回路に割り当てられた回路分割角度範囲は磁極を跨ぐことのない位置にあるため、電流を流す回路を切り替えることにより、回転力を発生させたり、回転力を回生することが可能となる。このときPWM電源のような特別な制御回路を形成する必要がなく、回路の切り替えだけで、トルク変動をほとんど発生させることがなく、安定した回転力と電流の変換を行うことができる。
前記回路数は多ければ多いほど、磁極端面を跨ぐことのない導電体の回路の数を多くすることができる(磁極端面を跨いでいる導電体の回路が占める角度範囲を狭くすることができる)ので、磁極端面を跨がない回路への接続状態をすべてオン状態とすることにより、回転力の発生または回生に用いる導電体の回路が占める角度範囲を広くすることができ、より大きな回転力(より大きな回生電流)を得ることができる。
なお、前記隙間はロータが高速回転したとしてもロータと磁性体が接触しない程度のもので、磁束の漏れを抑えるためにできるだけ狭い間隔が好ましく、その寸法は永久磁石の持つ起磁力と磁路の断面積の大きさによって相対的に決まる。磁性体は透磁率に優れると共に渦電流の発生をできるだけ抑え、ヒステリシスの少ない金属(最適は放射方向に圧延して形成してなる多層ケイ素鋼板)であることが好ましい。
永久磁石はより強力な磁束を生成するものであればあるほど好ましく、希土類元素のネオジムを用いた希土類磁石を用いることが好ましいが、磁化させた強磁性体を用いてもよい。さらに、電磁石に一定の電流を流して形成したものを永久磁石として用いても同様の効果が得られることはいうまでもない。
とりわけ、磁性体は、軟質磁性体の粉体を有機結合剤(バインダー)によって固めてなる複合軟磁性体であることにより、渦電流の発生をより確実に防止できるとともにヒステリシス特性も最小限に抑えることができ、それだけ、損失を小さくすることができる。さらに、前記磁性体は導電体に当接する圧縮アモルファスと、この圧縮アモルファスに当接する射出アモルファスとを備えるものであることにより、制作容易であり製造コストの引き上げを防ぎながら高い透磁率を得て漏れを抑え、さらに、ヒステリシス損や渦電流損の発生を必要最小限に抑えることができ、磁気飽和を避けることができるので、好ましい。
上述のように、第1発明の配線溝形コイルレスモータはローレンツ力を直接的に用いることにより、従来のコイルを用いるものに比べて応答速度を飛躍的に高めることができ、電流制御によって回転力を直接的に制御できる。ここで前記略直交とは、ローレンツ力が電場と磁束密度のクロス積によって加わる力であるため、直角に配置することが最も効率の良い配置になるが、直角からずれていたとしてもローレンツ力が作用することを意味するものである。また、ロータに回転力が加わって回転し、導電体が配置された角度範囲が、逆極性の磁極端面の磁極対応範囲内に入り磁界が逆になると、電流も逆方向に流すことにより、回転方向および回転トルクを同じ方向に保つことができる。
同様に、回生動作においても回生させる回転力に比例して導電体に電流が流れるので、回生する電流の制御によって回生トルクの調節を比較的容易に行うことができる。
また、ステータ側に固定した導電体への電力供給はブラシを介することなく容易に行なうことができるので、コイルレスモータの構成を可能な限り簡素にすることができ、有寿命部材であるブラシを用いることによる耐久性の低下を防止できる。
第2発明は、略円筒形状の内周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるロータと、このロータの内周面に対して隙間を設けて、ロータと同軸に配置した軸芯を有する略円柱形状の磁性体と、この磁性体の外周面の前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めて、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように略己字状に配線された導電体とを有し、かつ、前記磁性体の内周面には、前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内を等分割した微小角度間隔で軸に略平行な方向に均一幅で軸芯方向に形成した複数の配線溝を形成して、この配線溝の間に櫛歯状の磁性体隔壁を形成してあり、前記配線溝内に前記導電体を絶縁的に挿入配線することにより前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に導電体を配線してあることを特徴とする配線溝形コイルレスモータを提供する。(請求項2)
前記ロータの内周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるので、このロータの内周面に隙間を空けて同心円状に配置させた円柱状の磁性体の外周面には、磁極対応角度範囲毎に放射方向または軸芯方向の磁界が発生する。
前記各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めているので、前記回路の導電体が前記磁極対応範囲を跨がないように配置される回転角の間は、この回路の導電体に電流を流すことにより、配線溝内に挿入されたガイド部において磁束に略直交する方向に電流を流して、ガイド部の導電体に流す電流の大きさに比例してローレンツ力が作用し、その反作用でロータが逆方向に回転する。また、隣接する回転角の配線溝内に挿入されたガイド部における導電体は磁性体の両側部で折り返して、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線され、前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に略己字状に配線してあるので、配線溝内に挿入配線された導電体に電流を流すことにより発生する回転力は全て同じ方向に作用する。
このように、導電体に電流を流すことにより発生する回転力は、ロータに形成する磁極端面の数だけ発生させることができるので、それだけ回転力を倍増することができる。一方、上述のように構成された導電体は磁性体を一周するときに1回巻きのコイルを形成するだけであるので、インダクタンスが不必要に増加することを抑えながら、安定した回転力を得ることができる。加えて、配線溝に挿入させた導電体はその位置を固定できるので、それだけ堅牢性が向上する。さらに、配線溝に挿入された導電体の周囲には高い透磁率の強磁性体が櫛歯状に残されるので、磁束密度の高さに比例した高い回転力が発生する。
さらに、磁性体の各磁極に対応した角度範囲内を等分割した回路分割角度範囲を定められた前記回路が複数ある場合には、ロータの回転角がどのような角度であっても、何れかの回路に割り当てられた回路分割角度範囲は磁極を跨ぐことのない位置にあるため、電流を流す回路を切り替えることにより、回転力を発生させたり、回転力を回生することが可能となる。このときPWM電源のような特別な制御回路を形成する必要がなく、回路の切り替えだけで、トルク変動をほとんど発生させることがなく、安定した回転力と電流の変換を行うことができる。
前記回路数は多ければ多いほど、磁極端面を跨ぐことのない導電体の回路の数を多くすることができる(磁極端面を跨いでいる導電体の回路が占める角度範囲を狭くすることができる)ので、磁極端面を跨がない回路への接続状態をすべてオン状態とすることにより、回転力の発生または回生に用いる導電体の回路が占める角度範囲を広くすることができ、より大きな回転力(より大きな回生電流)を得ることができる。
なお、前記隙間はロータが高速回転したとしても接触しない程度のもので、磁束の漏れを抑えるためにできるだけ狭い間隔が好ましく、その寸法は永久磁石の持つ起磁力と磁路の断面積の大きさによって相対的に決まる。強磁性体は透磁率に優れると共に渦電流の発生をできるだけ抑える金属(最適は多層ケイ素鋼板)であることが好ましい。
すなわち、第2発明の配線溝形コイルレスモータは、第1発明の配線溝形コイルレスモータと同様にローレンツ力を直接的に用いることにより、従来のコイルを用いるものに比べて応答速度を飛躍的に高めることができ、電流制御によって回転力を直接的に制御できるといった、第1発明と同様の特徴を備える。さらに、第2発明の配線溝形コイルレスモータはロータが円筒形状であるから、コンベアローラの駆動部としてそのまま利用できる。
前記各回路の導電体の両端にそれぞれ電圧検出部を有し、この電圧検出部によって検出されたインパルスによって、前記磁極を跨いで磁束が反転する回転角に位置する回路を判別して配線溝を形成する前記微小角度間隔でロータの回転を検出する角度検出回路を有する場合(請求項3)には、磁極を跨いでいる角度範囲の回路を構成する導電体に設けた電圧検出部は、配線溝に挿入された導電体が磁極を跨ぐ瞬間に急激な磁束密度の変化が発生するのでインパルス的な起電力が発生する。したがって、このインパルスを用いて角度検出回路がロータの回転角を検出することができる。
すなわち、角度検出回路は特別なセンサを設けることなく、配線溝を形成する微小角度間隔を分解能とする角度検出が可能となり、それだけ、構成の簡略化を図ることが可能となる。なお、この導電体に生じるインパルスは配線溝形コイルレスモータをモータとして使用するときにも、発電機として使用するときにも、通電していない状態において慣性や外力によって回転するときにも発生するので、前記電圧検出部および回転検出回路は二次電池などのバックアップ電源によって常に動作して、現在の回転角を確認し続け、この回転角を不揮発メモリなどに記憶しておくことが好ましい。加えて、電圧検出部と角度検出回路が動作する程度の電力であれば特別なバックアップ電源がなくても、前記インパルスの起電力を用いて得ることも可能である。
前記回転角が明確であれば、磁極を跨がない角度範囲に位置する導電体の回路が明確になるので、磁極を跨がない回路の導電体にのみ電源を接続させるように切り替えるスイッチング回路を形成することにより、従来のPWM電源のような特別な制御回路を用いるまでもなく、磁極端面の大部分を有効に用いてローレンツ力を発生させることができるので、十分に強力な回転力を得ることができる。
なお、回路数は増やせば増やすほど、磁極端面の回転力の発生に用いる割合を大きくすることが可能となるので、それだけ得られる回転力を強くすることができる。この場合、前記電圧検出部および角度検出回路は集積化可能な回路によって構成し、各回路の接続を切り替えるスイッチング回路も優れた応答性を有する電界効果トランジスタなどを用いて比較的に小型化が可能であるから、例えば磁極に対応する角度範囲内の全ての配線溝のそれぞれを別々の導電体の回路となるようにすることも可能であり、この場合はほとんどすべての磁束を用いて回転力を発生させることができ、さらなる回転力の向上を図ることが可能となる。
前記導電体は前記配線溝の形状に合わせて形成された断面形状帯状の導体である場合(請求項4)には、配線溝の断面形状に最大限に隙間なく沿わせた導電体を得ることができるので、それだけ大電流を流すことができる。
なお、帯状の導体は配線溝の横幅と深さ幅に合わせた辺の断面形状長方形を有する帯状の導体であることにより、一つの配線溝に一本の導電体を挿入させることができるため、組み付けが容易であると共に、各回路のインダクタンスをできるだけ小さくすることが可能である。また、配線溝の断面積に合わせて最大限に大きな電流を流すことが可能である。
しかしながら、前記配線溝の深さ幅を整数等分した幅と、配線溝の幅に合わせた断面形状長方形または正方形の導電体を一つの配線溝に整数本挿入するようにしてもよい。すなわち、一つの配線溝に複数の導電体を挿入する場合、何れの導電体も直列接続した一本の導電体であるから、配線溝の深さ方向のいずれの位置においても同じ方向に同じ強さの電流が流れるので異常発熱することはなく、回転力も配線溝の深さ方向のいずれの位置においても均等に発生させることが可能となる。
前記導電体は前記配線溝に挿入されるグラフェンからなる導体であり、前記配線溝はグラフェンを挿入可能な必要最小幅に形成してある場合(請求項5)には、導電体の導電率を可能な限り上げられるだけでなく、配線溝の幅を可能な限り薄く形成してあるので、それだけ櫛歯状の磁性体隔壁の厚み割合を相対的に増すことにより、より強い磁束をかけて扱う回転力を大きくすることができ、しかも鉄損、渦電流など電磁的損失を極力小さく出来る。なお、前記グラフェンとは2次元のハチの巣状格子内に周密に詰め込まれた単層の炭素原子からなる導電体である。
また、配線溝を形成する微小角度間隔を可及的に狭くすることができ、それだけ大きな回転力を出力させ、大きな回生電流を得ることが可能となるだけでなく、この導電体に生じるインパルスを用いて回転角を検出する場合の回転角の検出精度を向上させることができる。
前記導電体は前記配線溝の内に複数陥入した導線である場合(請求項6)には、導電体として汎用の導線を利用できるので、それだけ製造コストを削減できる。このとき、同じ回路を構成する導電体は同じ配線溝内に複数回陥入されるように配線されて、配線溝内の導線は直列接続した一本の導線であることにより、配線溝の深さ方向のいずれの位置においても同じ方向に同じ強さの電流が流れるので異常発熱することはなく、回転力も配線溝の深さ方向のいずれの位置においても均等に発生させることが可能となる。
しかしながら、同じ配線溝内に挿入される導電体は配線溝に挿入する前と後とで並列接続してもよく、これによってインダクダンスの増加をさらに低く抑えることができる。
本発明の配線溝形コイルレスモータでは、導電体の両端に電圧検出部を設けることにより、導電体をセンサとして用いることが可能であるが、これに変えてロータリーエンコーダを別途設けてもよいことは言うまでもない。あるいは、前記ステータ側の前記磁極に面する位置に取り付けられてロータの回転に伴う磁界の変化を検知する磁束検出器を設けて、より確実なロータの回転角の検出を行ってもよい。
また、ロータの回転角に対応して各回路の導電体に流す電流の方向および断続制御を行なうスイッチング回路を備える場合には、このスイッチング回路を介して電力供給を行うだけでコイルレスモータに対して直流的に電力供給を行なってロータの回転方向を自在に制御することができる。また、回生動作においてもスイッチング回路を介するだけで、回生電流を容易に電源側に流すことができる。
前記スイッチング素子は高速に切り替え可能な電界効果トランジスタによって形成されるものであることが好ましいが、バイポーラトランジスタ、フォトカプラ、サイリスタ、ソリッドステートリレーなどを用いたスイッチング素子であってもよい。
上述したように、本発明によれば、ロータ側に取り付けられた永久磁石によって形成される強い磁界中に、ステータ側に取り付けられた導電体を配置するという極めて簡素化された構成で、導電体に電流を流すことによって発生するローレンツ力によって、ロータを回転させるものであるから、従来はモータに必須と考えられていたコイル(巻線)をモータから排除できる。コイルを排除することにより誘導特性による電流の遅れを防止して、回転力の制御を高いレスポンスで行うことができる。
加えて、従来のモータの制御には必要であった擬似的な正弦波を形成するためのPWM変調回路や、交直変換回路などを不要とし、変調に伴う損失の発生やノイズの発生も防止できる。
本発明の配線溝形コイルレスモータでは、ロータの磁極に隙間を開けて配置された磁性体に配線溝を設け、この配線溝内に導電体が配線されるので、導電体の周囲には磁性体隔壁に内に、集中した、より高い磁束密度の磁束が存在し、それだけ、小さな電流で大きな回転力を得ることができる。同様に、回転力から多くの回生電流を得ることができる。
本発明の配線溝形コイルレスモータは、ロータの形状は円筒状または円柱状で、これに近接する磁性体は円柱状または円筒状であり、いずれの場合にも配線溝形コイルレスモータの外周部付近にて回転力が発生するものであるから、その全体形状は例えば円盤状に形成すれば、軸芯からできるだけ離した外周部近傍において回転力を発生させることにより大きな回転力を得ることができる。
逆に、配線溝形コイルレスモータの全体形状を軸芯方向に長く形成することにより、第1発明の配線溝形コイルレスモータは、車両の各部シャフトとして本発明の配線溝形コイルレスモータを配置して、現在の低燃費車両における内燃機関(エンジン)の出力トルク不足を補った回転力を発生させることも可能であり、また、慣性などのよって回転力の回生を行う場合には回生電流を電源側に戻して電力に回生することも可能である。また、第2発明の配線溝形コイルレスモータは、ローラーコンベアの駆動ローラとして本発明の配線溝形コイルレスモータを配置することも可能であり、省スペースでありながら大きな回転力を出力させることも可能となる。
本発明の第1実施形態に係る配線溝形コイルレスモータの構成を示す側面図である。 前記配線溝形コイルレスモータの縦断面図である。 前記配線溝形コイルレスモータのロータの一部構成を示す斜視図である。 前記ロータと磁性体の間の要部における動作を説明する図である。 前記配線溝形コイルレスモータを制御する回路の一例を示す図である。 図5に示す回路の動作を説明する図である。 第1実施形態に示す配線溝形コイルレスモータの変形例を示す図である。 前記配線溝形コイルレスモータのさらなる変形例を示す図である。 前記配線溝形コイルレスモータのさらに異なる変形例を示す図である。 第2実施形態の配線溝形コイルレスモータの構成を示す断面図である。 前記配線溝形コイルレスモータの一部を拡大して示す図である。
以下、本発明の第1実施形態の配線溝形コイルレスモータ1の構成を図1〜図6に従って説明する。図1、図2に示すように、本実施形態の配線溝形コイルレスモータ1は、略円柱形状の外周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極2N,2Sを配置させた少なくとも1つの永久磁石2を備えるロータ3と、このロータ3の外周面に対して隙間を設けて、ロータ3の軸4と同軸に配置した略円筒形状の例えばケイ素鋼板などからなる磁性体5と、この磁性体5をその外周面において支持するケース6と、このケース6に前記軸4を回動自在に支持する軸受け6oと、この磁性体5の内周面の前記ロータ3の各磁極2N,2Sに対応した角度範囲θ内に、これを各回路7a〜7cに等分割した回路分割角度範囲θa〜θcを定めて、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線された導電体8a,8b,8cとを有し、かつ、前記磁性体5の内周面には、前記ロータ3の各磁極2N,2Sに対応した角度範囲θ内を等分割した微小角度間隔dθで軸4に略平行な方向に均一幅で放射状に複数の配線溝10を形成して、この配線溝10の間に櫛歯状の磁性体隔壁11を形成してあり、前記配線溝10内に前記導電体8a,8b,8cを絶縁的に挿入配線することにより前記ロータ3の全磁極2N,2S,…に対応した各回路分割角度範囲θ,…内に導電体8a,8b,8c,…を配線してある。
なお、前記回路7a〜7c、導電体8a〜8cは何れも、本実施形態に示す3つの回路7a〜7cのそれぞれに別々の符号を付けてこれらを見分けられるようにしているが、以下、回路7a〜7cを分けて説明する必要が無い場合には、単に、回路7、導電体8と表現する。
前記ロータ3の永久磁石2は磁極2N,2Sの磁極端面をロータ3の外周面に露出させるように設けたSPM型(表面磁石型)であっても、永久磁石2をロータ3内部に埋設することにより結果的にロータ3の外周面に磁極2N,2Sの磁極端面が形成されるIPM型(埋込磁石型)であってもよい。いずれにしても、磁極2N,2Sに対応する角度範囲(磁極対応角度範囲)θ内においてはロータ3の外周面から同じ方向の磁束を軸方向に揃えて形成することにより、磁極端面の磁束を放射方向に発散または軸芯方向に収束させるものである。
前記ロータ3を一周するときに切り替わる磁極2N,2Sの数は本実施形態では合わせて8極形成しており、各磁極対応角度範囲θは45°に形成されている。従って、導電体8がロータ3の周りを一周するように配線されるとき、各磁極対応角度範囲θ内を回路数(本実施形態では3回路)で等分割した8つの回路分割角度範囲θa(またはθbまたはθc)内に配線するので、導電体8がロータ3を一周する間に8回磁極2N,2Sから発散または収束する磁界に対して略直交する方向に電流を流すように配置されることになる。
したがって、導電体8が1つの磁極2N(または2S)の前だけに配置される場合に比べて磁極2N,2Sの数倍(本実施例の場合8倍)だけ強い回転力(または回生電流)を発生させることができるように構成している。つまり、この磁極2N,2Sの数は少なくとも2極は必要であるが、多ければ多いほど導電体8がロータ3を一周する間に出力できる回転力(または回生電流)は大きくなる。
磁石2は強い回転力(回生電流)を得る為には磁性体5を飽和させない程度にできるだけ強力な永久磁石であることが好ましく、本実施形態の場合、非常に強力な磁力を得られるネオジム磁石を用いて形成される。
磁石2の形状は、図2に示すように、軸芯4側には前記ロータ3の外周面に形成される磁極とは逆の磁極が配置された断面扇形に形成されており、符号Bに示すように軸芯4および磁性体5に高い密度の磁束が形成される。
図2の拡大図および図4に示すように、磁性体5の内周面に配線溝10を設けることにより形成された磁性体隔壁11には、高い磁束密度の磁束Bが集中する。従って、この配線溝10内に挿入配線させた導電体8に電流を流すときに、この電流によって図4に示す回転磁界Brが発生し、この回転磁界Brが永久磁石2によって磁性体隔壁11内に形成される極めて強力な磁界Bと作用し合うことにより、ロータ3に回転力を発生させることができる。
前記ロータ3は軸芯4に形成されたフランジ部4aと抑えリング4bに挟み込むようにして前記磁石2をその磁極端面が円周方向にN極、S極の磁束Bが交互に配列されるように接着固定してある略円柱形状の部材である。
前記磁性体5は透磁率に優れたケイ素鋼板の中抜き略円盤状の薄板と絶縁層を多数積層して形成されたものであり、その内周面には微小角度dθ間隔で配線溝10を形成してあるので、前記導電体8を安定的に保持することができる。また、磁性体5に形成された配線溝10は放射方向に導電体8の直径よりも深く形成されているので、本実施形態の場合、同じ配線溝10内に7本の導電体8を配線できるように構成している。そして、この同じ配線溝10内に配線された導電体8はロータ3の回転角に完全に同期して磁束の交番磁界に晒されることになる。
磁性体5の内周面はロータ3の外周面(磁極端面)に対して隙間を空けて配置されるものであり、この隙間はロータ3が高速回転したときにも接触しない程度の隙間であり、できるだけ近づけて配置するものであることにより、漏れ磁束を可及的に小さくすることができ、それだけ強い交番磁界を磁性体5に発生させることができるので好ましい。
前記ケース6は磁気遮蔽可能な金属からなり、磁性体5をその外周部において保持すると共に、前記軸受け6oによってロータ3の軸4を回転自在に支持する略筒状の第1部材6Aと、この第1部材6Aに対してロータ4の回転部分を覆うように構成された第2部材6Bとからなり、前記各回路7の導電体8を貫通して引き出すことができる孔6Cを形成してある。
本実施形態の場合、各回路7に割り当てられる回路分割角度範囲θa(またはθbまたはθc)内には3筋の配線溝10が形成されており、これらが同じ回路7の配線溝群を形成する。そして、この配線溝群を校正する3筋の配線溝10にそれぞれ7本の合計21本の導電体8を挿入することにより、1本の導電体8だけを配線する場合に比べて約21倍の回転力を得ることができるように構成している。つまり、同回路7の電流を直列に複数回または並列接続して流して電流を増大させることによって、回転力(または回生電流)の倍増効果を得ることができる。
なお、本実施形態では導電体8を前記配線溝群内のすべての配線溝10に挿入配線する前に21分岐接続して前記回路分割角度範囲θa(またはθbまたはθc)内のすべての配線溝10に挿入配線し、磁性体5を一周した後に再び一つにまとめるように接続することにより、各回路7のインダクタンスの増加を抑えながら出力する回転力を大きくすることが可能となるように構成している。
図3に示すように、磁性体5の軸芯方向の両端部(片方のみ図示)において、前記配線溝群を構成する配線溝10から突出する21本の導電体8(以下、導電体群という)は、結束部8Dにおいて束ねられ、結束された導電体群の180°の捻りおよびターン部8Eと、結束解除部8Fとを介して隣接する磁極2N(または2S)の配線溝群に配線される。
これによって、図示時計回りの先端側の配線溝10(図2参照)の位置Paに配線された導電体8は、45°位相が異なる隣接する磁極2N(または2S)に対しても同じ図示時計回りの先端側の配線溝10の位置Pa’に配線されるので、前記導電体8は各配線溝10の磁極2N(または2S)に対する相対位置が同じとなるように配線され、また、磁極2N(または2S)に合わせて互い違いに逆方向に電流を流すように、全体的な形状は略己字状に配線される。
前記配線溝10の形状は、図2の拡大図および図4に示すように、幅方向において導電体8をその絶縁被覆を付けた状態で挿入可能な必要最小限の幅であって、深さ方向において、本実施形態では導電体8を7本並べて挿入可能な深さに形成している。また、各配線溝10はこの中に挿入された導電体8の回転方向の位相を完全にそろえるように放射線状に形成しており、軸芯方向には平行に形成してある。
配線溝10を微小角度間隔dθで形成することにより、磁性体5の内周面には櫛歯状の磁性体隔壁11を形成でき、この櫛歯状隔壁11と配線溝10の幅は同程度に形成してある。
図5は本発明の配線溝形コイルレスモータ1の角度検出回路の一例を示す図である。図5に示す符号12は電源となるバッテリであり、バッテリ12からの電力は各スイッチング素子13a〜13c,14a〜14cを介して、各回路7a〜7cに正逆方向の電圧をかけられるように構成している。15a〜15cは各回路7a〜7cの端子電圧Va〜Vcを検出する電圧検出部であり、16は電圧検出部15a〜15cによって検出された各端子電圧Va〜Vcを取り込むことにより、ロータ3の回転角を角度検出回路を有すると共に各スイッチング素子13a〜13c,14a〜14cに制御信号Ca〜Ccを出力する事により、任意の回転力を出力させたり回生電流をバッテリ12側に流すように制御する制御部である。また、17は端子電圧Va〜Vbの変動を監視することにより求められるロータ3の回転角を記憶する記憶部、18はバックアップ電源、Rは回転方向を示す。
前記スイッチング素子13a〜13c,14a〜14cは高速応答が可能であると共にオン状態の抵抗が低いFETなどの半導体スイッチであることが好ましいが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
図6は図5に示すロータ3が回転方向Rに回転するときにおける動作を電圧検出器15a〜15cによって検出した端子電圧の測定値の例を用いて説明する図である。
図6に示すように、図5に示す磁極2N,2Sの配置である状況を0°とするとき、制御部16は例えばスイッチング素子13b,13c,14b,14cを介して回路7b,7cに正の電圧を印加する。ここで導電体8b,8cに電流が流れることにより、各磁極2N,2Nによって形成される強力な磁場内にその磁束と直交する方向に配線された導電体8b,8cに電流が流れることにより回転磁界Br(図4参照)が発生し、ローレンツ力によってロータ3が回転方向Rにさらに回転する。
ロータ3が微小角度間隔dθ(本実施形態の場合5°)回転するまでの間に、回路7aを構成する導電体8aが配線された一つの配線溝10(図2,図4参照)が磁極2N,2Sの切り替わり部分を通過することになり、導電体8aの端子電圧Vaには磁束の変化に伴うインパルス(N極からS極への変化なので負の方向のインパルス)が検出される。同様に、さらに微小角度間隔dθ回転する毎にインパルスが検出され、前記制御部16はロータ3が微小角度間隔dθ右回りに回転していることを確認できる。
次いで、端子電圧Vaに3つ目のインパルスが検出された後に、制御部16は前記スイッチング素子13b,14bを切り替えて回路7bの導電体8bをバッテリ12から切り離した後に、スイッチング素子13a,14aを切り替えて回路7aの導電体8aに逆方向の電圧を印可する。
この時点で、図5に示すロータ3は初期状態から15°ほど回転しているので、回路7aを構成する導電体8aが対面する磁極端面の極性は、他の回路7b,7cを構成する導電体8b,8cが対面する磁極端面の極性と異なっているので、導電体8aに逆方向の電圧を印可することにより、同じ回転方向Rの回転力をロータ3に加えることができる。
さらに、ロータ3が回転方向Rに回転すると、微小角度間隔dθ毎にバッテリ12から切り離した回路7bの導電体8の端子電圧にインパルスが発生し、制御部16はこのインパルスを検出することにより、ロータ3の回転角を検出することができる。また、当然ながら回転方向Rが逆になると、上記インパルスの発生極性も逆になると共に、インパルスが発生する回路7a〜7cの順番も逆になる。
上述のように、本発明の配線溝形コイルレスモータ1は導電体8a,8c,8cにインダクタンス成分がほとんど発生しないため、ロータ3の回転に伴う端子電圧の変動をモニタするだけで、別途のセンサを設けることなくロータ3の現在の回転角を正確に検知することができ、これを例えば記憶部17に記憶させ、非通電時にもバックアップ電源18によって端子電圧の監視と回転角の確認を行なうことも可能である。なお、この回転角は一対の磁極2N,2Sが占める磁極対応回転角θ×2(本例の場合90°)の範囲で確認できるが、現在の回転角を常にモニタして記憶部17に記憶させる場合には、360°の回転角を監視することも可能である。
前記回転角を常に監視して記憶部17に記憶させることにより、非通電時に外力によってロータ3が回転した場合にもロータ3の回転角を監視しているので、次に通電するときの始動時にも、制御部16最初から確実に磁極2N,2Sを跨いでいない回路7の導電体8のみに必要な回転方向Rに回転させる極性の電圧を印加することが可能である。
なお、仮に前記制御部16が記録している回転角が現実の角度と異なっていたとしても、ロータ3が回転するときにインパルスがどの回路7の導電体に発生し、次にどのロータ3にインパルスが発生するかを確認することにより、現在の回転角を迅速に確認して、以後は的確な制御を行なうことも可能である。
上述したように本発明の配線溝形コイルレスモータ1によれば、各回路7の導電体8にインダクタンス成分をほとんど持たない磁気回路を形成でき、導電体8に電流を流すときに生じるローレンツ力を直接的に用いて、回転力を得ることができるので、極めて高速に応答することができる。これは、電動機として例えばエンジンなどの内燃機関の補助動力として回転力のアシストを行なったり、逆に余った無駄な回転力を用いてバッテリ12を充電させるときの高速応答を可能としていることを意味している。また、従来の電動機のように電源としてサイン波の交流電源を形成する必要も全くないので、ノイズの発生原因ともなるPWM変調回路を排除し、極めて容易にトルク制御を行なうことができる。
さらに、各導電体8は櫛歯状に配置された磁性体隔壁11内に高密度に集中する磁束を形成する交番磁界Bの間に配線されて、電流の流れによって発生する回転磁界Brが強力な磁界Bと作用し合うことによって、より少ない電流で強力な回転力を得ることができる。加えて、配線溝10内に配線された導電体8はその物理的な位置を容易かつ確実に固定できるので、高速回転するモータとして十分な堅牢性を備えるものとなる。
また、制御部16は通電する回路7a〜7cの割合(通電する回路数)や通電するタイミング(パルス幅)を調整することにより、配線溝形コイルレスモータ1によって出力する回転力の強さ(回生制動力の強さ)を調整することも可能である。
加えて、本実施形態のように3回路7a〜7cに分割された導電体8を有する配線溝形コイルレスモータ1の場合、回転力を得る為に磁極端面の2/3を有効に活用しているので、それだけ大きなトルクを出す為に有利であり、とりわけロータ3の外周面に永久磁石2の磁極2N,2Sをむき出しにするSPM型のロータ3によって十分に強力な回転力を得ることができるが、IPM型のロータ3であっても問題なく回転力を得ることができるので、汎用性が高いという利点もある。
さらに、本発明の配線溝形コイルレスモータ1は長い軸芯4を有するロータ3の外周面において回転力をローレンツ力による回転力を生み出すものであるからロータ3は長ければ長いほど回転力を生み出すのに有利であり、例えば自動車のドライブシャフトやプロペラシャフトそのものを配線溝形コイルレスモータ1と入れ替えて補助的に回転力を生成するなどの用いることも可能である。
上述の実施形態は本発明の配線溝形コイルレスモータ1の構成および動作を説明しやすい例を示したものであるにすぎず、種々の変形が可能であることはいうまでもない。
たとえば、本実施形態の導電体8は磁性体5の配線溝10に配線する前に多数に分岐し、磁性体5を一周した後に再びまとめるように構成しているが、前記導電体8を磁性体5の内周面に沿って、順次前記回路分割角度範囲θa(またはθbまたはθc)内のすべての配線溝10に直列的に配線してもよい。この場合は、導電体8の回路7は磁性体5に巻き取った巻き数のコイルとなってしまうので、インダクタンスの増加を招く(本実施形態の場合は21巻きのコイルと同じ)ものの、同じ電流で大きな回転力を得ることができる利点が生じる。なお、前記巻き数は通常のモータに用いるコイルの巻き数に比べて遙かに少なく、インダクタンスの増加を必要最小限に抑えることができているという意味ではコイルレスということができる。
図7は第1実施形態の変形例を示す図である。図7に示す例では、一つの磁極対応角度範囲θと導電体8の構成を4回路7a〜7dで等分割するように形成してあり、一つの回路分割角度範囲θa〜θd内に2筋の配線溝10が形成される。すなわち、回路数を増やすことにより、磁極2N,2Sを跨ぐ導電体8の回路7に対応する回路分割角度範囲θa〜θdに対して磁極2N,2Sを跨がない導電体8の回路7に対応する回路分割角度範囲θa〜θdの割合を大きくすることができ、4回路の場合、全磁束の約3/4を有効活用して回転力を得たり、回生電流を得ることができる。
また、図5に示すような、前記制御部16を設ける場合、磁極2N,2Sを跨がない回路7のうち1〜3回路を任意に選んで回転力を発生させることが可能であるから、発生させる回転力の制御をさらに容易とすることができる。
前記回路数は増やせば増やすほど制御部16による制御が複雑になり、スイッチング素子13a,13b…,14a,14b…や、電圧検出部15,15b…の数も増大するもが、出力できる回転力を上げることができるだけでなく、より精度の高い回転力の制御を行なうことも可能となる。また、前記各部15〜17の集積化を行うことにより、微小角度間隔dθで形成された全ての配線溝10内の導電体8を別々の回路7に分けることも考えられる。
図8はさらなる変形例を示す図であり、前記導電体8の代わりに、断面形状長方形の帯状の導体20を用いる例を示している。すなわち、配線溝10の形状に合わせた断面形状帯状の導体は、配線溝10に対して隙間なく挿入可能であるから、通常の断面形状円形の導体に比べて流すことができる電流を多くすることができ、それだけ、大きな回転力(回生電流)を得ることができる。
また、断面長方形の帯状の導体20は、断面円形の導体8に比べて少ない本数だけ配線溝10に挿入するだけで配線溝10を埋め尽くすものであるから、導体20の挿入にかかる手間をできるだけ少なくすることができ、配線溝形コイルレスモータ1の製造にかかるコストを削減することができる。
図9はさらに異なる変形例を示す図である。図9において、前記導電体8の代わりに、配線溝の断面形状に合わせた一本の導体21を挿入配線してあるので、配線溝形コイルレスモータ1の製造にかかる手間をさらに抑えて、その製造コストを削減することができる。
図10は第2実施形態の配線溝形コイルレスモータ30の構成を示す図である。なお、本実施形態の配線溝形コイルレスモータ30は第1実施形態の配線溝形コイルレスモータ1のロータ3と磁性体5の位置関係を逆にした例を示すものであり、以下の説明において、図1〜図9に示す第1実施形態と同じ符号を付した部分は同一又は同等の部分であるから、その詳細な説明を省略する。
すなわち、本実施形態の配線溝形コイルレスモータ30は略円筒形状の内周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極2N,2Sを配置させた少なくとも1つの永久磁石2’を備えるロータ3’と、このロータ3’の内周面に対して隙間を設けて、ロータ3’と同軸に配置した軸芯4を有する略円柱形状の磁性体5’と、この磁性体5’の外周面の前記ロータ3’の各磁極2N,2Sに対応した角度範囲θ内に、これを各回路7に等分割した回路分割角度範囲θa,θb…を定めて、前記N極、S極の磁極2N,2Sの極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線された導電体8とを有し、かつ、前記磁性体5’の外周面には、前記ロータ3’の各磁極2N,2Sに対応した角度範囲θa,θb…内を等分割した微小角度間隔dθで軸4に略平行な方向に均一幅で軸芯方向に複数の配線溝10’を形成して、この配線溝’の間に櫛歯状の磁性体隔壁11’を形成してあり、前記配線溝10’内に前記導電体8を絶縁的に挿入配線することにより前記ロータ3’の全磁極2N,2Sに対応した各回路分割角度範囲θa,θb…内に導電体8を配線してある。
本実施形態のロータ3’はその外周面が円筒形状であり、軸芯4を固定して、円筒形状のロータ3’が回転するものであるから、例えばコンベアローラの一つとして適宜配置し、回転力を供給することにより、コンベアによる荷物の搬送を行なうことができる駆動力を供給することも容易である。
図11は図10に示す本発明の第2実施形態の更なる変形例を示す図である。図11に示す配線溝形コイルレスモータ32は、前記磁性体5’の外周面に、拡大図に示すように、グラフェンからなる帯状の導体33と、薄板形状の透磁率に優れた磁性体隔壁34を重ねて配列してなるものであり、磁性体隔壁34の断面形状は磁性体5’の外周面に接する側を僅かに薄く僅かに台形になるように形成してあり、多数の導体33と磁性体隔壁34を絶縁体を挟んで重ねるときに、ちょうど円筒状の磁性体5’の外周面に接する筒状の部材となるように形状である。
加えて、磁性体隔壁34に挟まれた部分には磁性体5’を挿入配線可能な配線溝10’が形成される。したがって、磁性体5’の外周面に磁性体隔壁34と導体33を絶縁体を挟んで重ねて配置することにより、グラフェンからなる導体33を帯状の磁性体隔壁34の間に形成された配線溝10’の間に挿入すると共に、各磁性体隔壁34間の間隔を必要最小限に形成してすることができる。
前記グラフェンからなる導体33はその導電率が極めて高いので、極めて薄く形成されたものであっても、十分な電流を流すことができると共に、放熱効果を高めることができる。また、磁性体隔壁34の占有面機を広くすることができるので、可能な限り強力な永久磁石を用いて磁気飽和を避けながらできる限り強い交番磁界を加えることもできる。
さらに、隣接するグラフェンからなる導体33がなす微小角度間隔dθ’を更に小さくする事が可能であるから、各導体33に生じるインパルス信号を検出するだけで、それだけ詳細な角度検出を行なってもよい。また、導体33が薄くなればなるほど、導体33を等分割する回路7の数も多く設定可能であり、回路7の数が多ければ多いほど、ロータ3’の永久磁石2’の磁束の大部分を用いて回転力を得たり、より多くの回生電流を得ることができる。
上述の実施形態では円柱状の磁性体5’の外周面にグラフェンからなる導体33と磁性体隔壁34を重ねて配置する例を示しているが、図1〜図9に示す第1実施形態に示す配線溝形コイルレスモータ1の円筒状の磁性体5の内周面にグラフェンからなる導体33と磁性体隔壁34を重ねて配置してもよいことはいうまでもない。
1 配線溝形コイルレスモータ
2 永久磁石
2N,2S 磁極
3 ロータ
4 軸
5 磁性体
7(7a,7b…) 回路
8(8a,8b…) 導電体
8D 結束部
8E 捻りおよびターン部
8F 結束解除部
10 配線溝
11,34 磁性体隔壁
15a,15b… 電圧検出部
16 角度検出回路
θ 磁極対応角度範囲
θa,θb… 回路分割角度範囲
dθ 微小角度間隔
本発明は、誘導特性をできるだけ小さくするためにコイルを排除して、瞬時にトルクを発生させたり、回転力から電力を得ることができる配線溝形コイルレスモータに関する。
一般的にモータは誘導特性を有するものであり、この誘導特性によって電流の変動を起こしにくくするものとなっている。また、モータの電源はPWM(Pulse Width Modulation)変調によって120度位相が異なる3つの擬似的なサイン波を生成するインバータが用いられており、このインバータによる制御によってモータの回転速度や出力トルクの制御を可能としている。
また、特許文献1、特許文献2に示すように、近年では電機子巻線となるコイルをプリント基板上にエッチングまたは印刷技術で形成した所謂プリントモータが用いられるようになっている。このプリントモータでは回転子がプリント基板で形成されており、鉄心を用いないことにより軽量である為、慣性を低くすることができ、速度制御の応答性の向上を図ることができるだけでなく、扁平な形状に形成できるゆえに注目されるに至っている。
特開平11−316925号公報 実開平7−39278号公報
しかしながら、従来のモータは何れもコイル(巻線)を形成するものであり、このコイルに電流を流すことによって発生させる磁場を用いてモータを回転させるものであるから、巻線に流れる電流から磁界を形成するステップと、コイルによって形成された磁界が他の永久磁石または電磁石に吸引または反発するステップとを経て初めてモータが回転する。また、より少ない電流によって強い磁場を形成できるように、コイルの巻き数を増やすことにより磁束の倍増化を図ることにより、インダクタンスが増加するという問題が発生する。
すなわち、まずコイルに流れる電流を一旦磁界に変換する段階でコイルのインダクタンスによる誘導特性が応答の遅れとなるという問題が発生する。また、コイルによって形成される磁束が他の永久磁石または電磁石と吸引または反発するときにも、ロータにかかるトルクの変動によって滑りが発生するため、負荷トルクの変動に対する応答性の遅れも発生する。
さらに、三相誘導モータなどのようにコイルに擬似的な交流電流を流す場合には、PWM変換などのスイッチング素子によるパルス波形による電流制御を行うため、スイッチング素子の切り替わり時点においてインダクタンス分による遅れ電流によって必ず損失が発生するので、スイッチングの素子のキャリア周波数の高さに比例してスイッチング損失が大きくなるという問題もある。
加えて、PWM変調によって120°位相のずれた電力を供給する場合には、インダクタンスの影響で位相のズレが発生するので、各相の位相差120°を維持するための制御が困難となり、高速回転する場合にはさらに位相維持の制御が困難となり、複雑で高速な制御を行なう必要が生じる。さらには、回生動作時においては制御がより複雑になり、これによって全体として制御性が悪くなり、コストアップや効率の低下を招いていた。
また、コイルに鉄心(ヨーク)を用いて磁束の集中を行なう場合には、特に磁気飽和が発生することによる損失が発生するという問題も生じる。逆に、鉄心などを用いることなくコイルを配線した場合は、コイルが曝される磁束密度が低い事に加えて、コイルによって発生可能な磁界も弱くなるため駆動トルクが弱くならざるを得ないという問題に加えて、コイルの剛性が十分でないため、回転速度を上げられないという問題も発生する。
とりわけ近年のハイブリッド車や電気自動車の普及に伴って、電気制御によって瞬時に回転トルクを発生させたり、逆に瞬時に回生動作を行なう必要があるが、コイルの誘導特性によってレスポンスの遅れが発生することが効率低下の原因となっていた。
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであり、高速応答の妨げとなり損失増加の原因となるコイルを排除して誘導特性を可及的に抑えたコイルレスモータを提供することを目的とする。
上記問題点を解決するために、第1発明は、略円柱形状の外周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるロータと、このロータの外周面に対して隙間を設けて、ロータの軸と同軸に配置した略円筒形状の磁性体と、この磁性体の内周面の前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めて、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように略己字状に配線された導電体とを有し、かつ、前記磁性体の内周面には、前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内を等分割した微小角度間隔で軸に略平行な方向に均一幅で放射状に形成した複数の配線溝を形成して、この配線溝の間に櫛歯状の磁性体隔壁を形成してあり、前記配線溝内に前記導電体を絶縁的に挿入配線することにより前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に導電体を配線し、磁極を跨ぐことのない位置にある導電体の回路に切り替えて電流を流すことにより回転力の発生または回生を行うことができるように構成してあることを特徴とする配線溝形コイルレスモータを提供する。(請求項1)
前記ロータの略円柱形状の外周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるので、このロータの外周面に隙間を空けて同心円状に配置させた磁性体の内周面には、磁極に対応する角度範囲毎に放射方向または軸芯方向の磁界が発生する。なお、ロータはその外周面に永久磁石を露出するSPM型(表面磁石型)のロータであっても、永久磁石を内部に有するIPM型(埋込磁石型)のロータであっても、円周方向においてN極、S極を交互に形成するものであればよい。
前記各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めているので、前記回路の導電体が前記磁極対応範囲を跨がないように配置される回転角の間は、この回路の導電体に電流を流すことにより、配線溝内に挿入されたガイド部において磁束に略直交する方向に電流を流して、ガイド部の導電体に流す電流の大きさに比例してローレンツ力が作用し、その反作用でロータが逆方向に回転する。また、隣接する回転角の配線溝内に挿入配線されたガイド部における導電体は磁性体の両側部で折り返して、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線され、前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に略己字状に配線してあるので、配線溝内に挿入配線された導電体に電流を流すことにより発生する回転力は全て同じ方向に作用する。
このように、導電体に電流を流すことにより発生する回転力は、ロータに形成する磁極の数だけ発生させることができるので、それだけ回転力を倍増することができる。一方、上述のように構成された導電体は磁性体を一周するときに1回巻きのコイルを形成するだけであるので、インダクタンスが不用意に大きくなることを抑えて高速応答性を確保しながら、必要十分な回転力を得ることができる。
加えて、配線溝に挿入させた導電体はその位置を固定することができ、それだけ、安定した回転力を得ることができると共に、堅牢性が向上する。さらに、配線溝に挿入された導電体の周囲には高い透磁率の磁性体隔壁が櫛歯状に形成されるので、磁性体を構成する部材の透磁率に比例して高い密度の磁束が存在し、この高い密度の磁束が、導電体に流れる電流によって形成される磁界と作用し合うことにより、磁束密度に比例した高い回転力が発生する。また、導電体によって発生する熱は磁性体を介して放熱されるので、導電体には比較的大きな電流を流すことが可能である。なお、本発明における配線溝とは磁性体隔壁によって導電体を挟み込むように保持するスリット状の部分を示しており、その形成方法などを限定するものではない。
さらに、磁性体の各磁極に対応した角度範囲内を等分割した回路分割角度範囲を定められた前記回路が複数ある場合には、ロータの回転角がどのような角度であっても、何れかの回路に割り当てられた回路分割角度範囲は磁極を跨ぐことのない位置にあるため、電流を流す回路を切り替えることにより、回転力を発生させたり、回転力を回生することが可能となる。このときPWM電源のような特別な制御回路を形成する必要がなく、回路の切り替えだけで、トルク変動をほとんど発生させることがなく、安定した回転力と電流の変換を行うことができる。
前記回路数は多ければ多いほど、磁極端面を跨ぐことのない導電体の回路の数を多くすることができる(磁極端面を跨いでいる導電体の回路が占める角度範囲を狭くすることができる)ので、磁極端面を跨がない回路への接続状態をすべてオン状態とすることにより、回転力の発生または回生に用いる導電体の回路が占める角度範囲を広くすることができ、より大きな回転力(より大きな回生電流)を得ることができる。
なお、前記隙間はロータが高速回転したとしてもロータと磁性体が接触しない程度のもので、磁束の漏れを抑えるためにできるだけ狭い間隔が好ましく、その寸法は永久磁石の持つ起磁力と磁路の断面積の大きさによって相対的に決まる。磁性体は透磁率に優れると共に渦電流の発生をできるだけ抑え、ヒステリシスの少ない金属(最適は放射方向に圧延して形成してなる多層ケイ素鋼板)であることが好ましい。
永久磁石はより強力な磁束を生成するものであればあるほど好ましく、希土類元素のネオジムを用いた希土類磁石を用いることが好ましいが、磁化させた強磁性体を用いてもよい。さらに、電磁石に一定の電流を流して形成したものを永久磁石として用いても同様の効果が得られることはいうまでもない。
とりわけ、磁性体は、軟質磁性体の粉体を有機結合剤(バインダー)によって固めてなる複合軟磁性体であることにより、渦電流の発生をより確実に防止できるとともにヒステリシス特性も最小限に抑えることができ、それだけ、損失を小さくすることができる。さらに、前記磁性体は導電体に当接する圧縮アモルファスと、この圧縮アモルファスに当接する射出アモルファスとを備えるものであることにより、制作容易であり製造コストの引き上げを防ぎながら高い透磁率を得て漏れを抑え、さらに、ヒステリシス損や渦電流損の発生を必要最小限に抑えることができ、磁気飽和を避けることができるので、好ましい。
上述のように、第1発明の配線溝形コイルレスモータはローレンツ力を直接的に用いることにより、従来のコイルを用いるものに比べて応答速度を飛躍的に高めることができ、電流制御によって回転力を直接的に制御できる。ここで前記略直交とは、ローレンツ力が電場と磁束密度のクロス積によって加わる力であるため、直角に配置することが最も効率の良い配置になるが、直角からずれていたとしてもローレンツ力が作用することを意味するものである。また、ロータに回転力が加わって回転し、導電体が配置された角度範囲が、逆極性の磁極端面の磁極対応範囲内に入り磁界が逆になると、電流も逆方向に流すことにより、回転方向および回転トルクを同じ方向に保つことができる。
同様に、回生動作においても回生させる回転力に比例して導電体に電流が流れるので、回生する電流の制御によって回生トルクの調節を比較的容易に行うことができる。
また、ステータ側に固定した導電体への電力供給はブラシを介することなく容易に行なうことができるので、コイルレスモータの構成を可能な限り簡素にすることができ、有寿命部材であるブラシを用いることによる耐久性の低下を防止できる。
第2発明は、略円筒形状の内周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるロータと、このロータの内周面に対して隙間を設けて、ロータと同軸に配置した軸芯を有する略円柱形状の磁性体と、この磁性体の外周面の前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めて、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように略己字状に配線された導電体とを有し、かつ、前記磁性体の内周面には、前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内を等分割した微小角度間隔で軸に略平行な方向に均一幅で軸芯方向に形成した複数の配線溝を形成して、この配線溝の間に櫛歯状の磁性体隔壁を形成してあり、前記配線溝内に前記導電体を絶縁的に挿入配線することにより前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に導電体を配線し、磁極を跨ぐことのない位置にある導電体の回路に切り替えて電流を流すことにより回転力の発生または回生を行うことができるように構成してあることを特徴とする配線溝形コイルレスモータを提供する。(請求項2)
前記ロータの内周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるので、このロータの内周面に隙間を空けて同心円状に配置させた円柱状の磁性体の外周面には、磁極対応角度範囲毎に放射方向または軸芯方向の磁界が発生する。
前記各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めているので、前記回路の導電体が前記磁極対応範囲を跨がないように配置される回転角の間は、この回路の導電体に電流を流すことにより、配線溝内に挿入されたガイド部において磁束に略直交する方向に電流を流して、ガイド部の導電体に流す電流の大きさに比例してローレンツ力が作用し、その反作用でロータが逆方向に回転する。また、隣接する回転角の配線溝内に挿入されたガイド部における導電体は磁性体の両側部で折り返して、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線され、前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に略己字状に配線してあるので、配線溝内に挿入配線された導電体に電流を流すことにより発生する回転力は全て同じ方向に作用する。
このように、導電体に電流を流すことにより発生する回転力は、ロータに形成する磁極端面の数だけ発生させることができるので、それだけ回転力を倍増することができる。一方、上述のように構成された導電体は磁性体を一周するときに1回巻きのコイルを形成するだけであるので、インダクタンスが不必要に増加することを抑えながら、安定した回転力を得ることができる。加えて、配線溝に挿入させた導電体はその位置を固定できるので、それだけ堅牢性が向上する。さらに、配線溝に挿入された導電体の周囲には高い透磁率の強磁性体が櫛歯状に残されるので、磁束密度の高さに比例した高い回転力が発生する。
さらに、磁性体の各磁極に対応した角度範囲内を等分割した回路分割角度範囲を定められた前記回路が複数ある場合には、ロータの回転角がどのような角度であっても、何れかの回路に割り当てられた回路分割角度範囲は磁極を跨ぐことのない位置にあるため、電流を流す回路を切り替えることにより、回転力を発生させたり、回転力を回生することが可能となる。このときPWM電源のような特別な制御回路を形成する必要がなく、回路の切り替えだけで、トルク変動をほとんど発生させることがなく、安定した回転力と電流の変換を行うことができる。
前記回路数は多ければ多いほど、磁極端面を跨ぐことのない導電体の回路の数を多くすることができる(磁極端面を跨いでいる導電体の回路が占める角度範囲を狭くすることができる)ので、磁極端面を跨がない回路への接続状態をすべてオン状態とすることにより、回転力の発生または回生に用いる導電体の回路が占める角度範囲を広くすることができ、より大きな回転力(より大きな回生電流)を得ることができる。
なお、前記隙間はロータが高速回転したとしても接触しない程度のもので、磁束の漏れを抑えるためにできるだけ狭い間隔が好ましく、その寸法は永久磁石の持つ起磁力と磁路の断面積の大きさによって相対的に決まる。強磁性体は透磁率に優れると共に渦電流の発生をできるだけ抑える金属(最適は多層ケイ素鋼板)であることが好ましい。
すなわち、第2発明の配線溝形コイルレスモータは、第1発明の配線溝形コイルレスモータと同様にローレンツ力を直接的に用いることにより、従来のコイルを用いるものに比べて応答速度を飛躍的に高めることができ、電流制御によって回転力を直接的に制御できるといった、第1発明と同様の特徴を備える。さらに、第2発明の配線溝形コイルレスモータはロータが円筒形状であるから、コンベアローラの駆動部としてそのまま利用できる。
前記各回路の導電体の両端にそれぞれ電圧検出部を有し、この電圧検出部によって検出されたインパルスによって、前記磁極を跨いで磁束が反転する回転角に位置する回路を判別して配線溝を形成する前記微小角度間隔でロータの回転を検出する角度検出回路を有する場合(請求項3)には、磁極を跨いでいる角度範囲の回路を構成する導電体に設けた電圧検出部は、配線溝に挿入された導電体が磁極を跨ぐ瞬間に急激な磁束密度の変化が発生するのでインパルス的な起電力が発生する。したがって、このインパルスを用いて角度検出回路がロータの回転角を検出することができる。
すなわち、角度検出回路は特別なセンサを設けることなく、配線溝を形成する微小角度間隔を分解能とする角度検出が可能となり、それだけ、構成の簡略化を図ることが可能となる。なお、この導電体に生じるインパルスは配線溝形コイルレスモータをモータとして使用するときにも、発電機として使用するときにも、通電していない状態において慣性や外力によって回転するときにも発生するので、前記電圧検出部および回転検出回路は二次電池などのバックアップ電源によって常に動作して、現在の回転角を確認し続け、この回転角を不揮発メモリなどに記憶しておくことが好ましい。加えて、電圧検出部と角度検出回路が動作する程度の電力であれば特別なバックアップ電源がなくても、前記インパルスの起電力を用いて得ることも可能である。
前記回転角が明確であれば、磁極を跨がない角度範囲に位置する導電体の回路が明確になるので、磁極を跨がない回路の導電体にのみ電源を接続させるように切り替えるスイッチング回路を形成することにより、従来のPWM電源のような特別な制御回路を用いるまでもなく、磁極端面の大部分を有効に用いてローレンツ力を発生させることができるので、十分に強力な回転力を得ることができる。
なお、回路数は増やせば増やすほど、磁極端面の回転力の発生に用いる割合を大きくすることが可能となるので、それだけ得られる回転力を強くすることができる。この場合、前記電圧検出部および角度検出回路は集積化可能な回路によって構成し、各回路の接続を切り替えるスイッチング回路も優れた応答性を有する電界効果トランジスタなどを用いて比較的に小型化が可能であるから、例えば磁極に対応する角度範囲内の全ての配線溝のそれぞれを別々の導電体の回路となるようにすることも可能であり、この場合はほとんどすべての磁束を用いて回転力を発生させることができ、さらなる回転力の向上を図ることが可能となる。
前記導電体は前記配線溝の形状に合わせて形成された断面形状帯状の導体である場合(請求項4)には、配線溝の断面形状に最大限に隙間なく沿わせた導電体を得ることができるので、それだけ大電流を流すことができる。
なお、帯状の導体は配線溝の横幅と深さ幅に合わせた辺の断面形状長方形を有する帯状の導体であることにより、一つの配線溝に一本の導電体を挿入させることができるため、組み付けが容易であると共に、各回路のインダクタンスをできるだけ小さくすることが可能である。また、配線溝の断面積に合わせて最大限に大きな電流を流すことが可能である。
しかしながら、前記配線溝の深さ幅を整数等分した幅と、配線溝の幅に合わせた断面形状長方形または正方形の導電体を一つの配線溝に整数本挿入するようにしてもよい。すなわち、一つの配線溝に複数の導電体を挿入する場合、何れの導電体も直列接続した一本の導電体であるから、配線溝の深さ方向のいずれの位置においても同じ方向に同じ強さの電流が流れるので異常発熱することはなく、回転力も配線溝の深さ方向のいずれの位置においても均等に発生させることが可能となる。
前記導電体は前記配線溝に挿入されるグラフェンからなる導体であり、前記配線溝はグラフェンを挿入可能な必要最小幅に形成してある場合(請求項5)には、導電体の導電率を可能な限り上げられるだけでなく、配線溝の幅を可能な限り薄く形成してあるので、それだけ櫛歯状の磁性体隔壁の厚み割合を相対的に増すことにより、より強い磁束をかけて扱う回転力を大きくすることができ、しかも鉄損、渦電流など電磁的損失を極力小さく出来る。なお、前記グラフェンとは2次元のハチの巣状格子内に周密に詰め込まれた単層の炭素原子からなる導電体である。
また、配線溝を形成する微小角度間隔を可及的に狭くすることができ、それだけ大きな回転力を出力させ、大きな回生電流を得ることが可能となるだけでなく、この導電体に生じるインパルスを用いて回転角を検出する場合の回転角の検出精度を向上させることができる。
前記導電体は前記配線溝の内に複数陥入した導線である場合(請求項6)には、導電体として汎用の導線を利用できるので、それだけ製造コストを削減できる。このとき、同じ回路を構成する導電体は同じ配線溝内に複数回陥入されるように配線されて、配線溝内の導線は直列接続した一本の導線であることにより、配線溝の深さ方向のいずれの位置においても同じ方向に同じ強さの電流が流れるので異常発熱することはなく、回転力も配線溝の深さ方向のいずれの位置においても均等に発生させることが可能となる。
しかしながら、同じ配線溝内に挿入される導電体は配線溝に挿入する前と後とで並列接続してもよく、これによってインダクダンスの増加をさらに低く抑えることができる。
本発明の配線溝形コイルレスモータでは、導電体の両端に電圧検出部を設けることにより、導電体をセンサとして用いることが可能であるが、これに変えてロータリーエンコーダを別途設けてもよいことは言うまでもない。あるいは、前記ステータ側の前記磁極に面する位置に取り付けられてロータの回転に伴う磁界の変化を検知する磁束検出器を設けて、より確実なロータの回転角の検出を行ってもよい。
また、ロータの回転角に対応して各回路の導電体に流す電流の方向および断続制御を行なうスイッチング回路を備える場合には、このスイッチング回路を介して電力供給を行うだけでコイルレスモータに対して直流的に電力供給を行なってロータの回転方向を自在に制御することができる。また、回生動作においてもスイッチング回路を介するだけで、回生電流を容易に電源側に流すことができる。
前記スイッチング素子は高速に切り替え可能な電界効果トランジスタによって形成されるものであることが好ましいが、バイポーラトランジスタ、フォトカプラ、サイリスタ、ソリッドステートリレーなどを用いたスイッチング素子であってもよい。
上述したように、本発明によれば、ロータ側に取り付けられた永久磁石によって形成される強い磁界中に、ステータ側に取り付けられた導電体を配置するという極めて簡素化された構成で、導電体に電流を流すことによって発生するローレンツ力によって、ロータを回転させるものであるから、従来はモータに必須と考えられていたコイル(巻線)をモータから排除できる。コイルを排除することにより誘導特性による電流の遅れを防止して、回転力の制御を高いレスポンスで行うことができる。
加えて、従来のモータの制御には必要であった擬似的な正弦波を形成するためのPWM変調回路や、交直変換回路などを不要とし、変調に伴う損失の発生やノイズの発生も防止できる。
本発明の配線溝形コイルレスモータでは、ロータの磁極に隙間を開けて配置された磁性体に配線溝を設け、この配線溝内に導電体が配線されるので、導電体の周囲には磁性体隔壁に内に、集中した、より高い磁束密度の磁束が存在し、それだけ、小さな電流で大きな回転力を得ることができる。同様に、回転力から多くの回生電流を得ることができる。
本発明の配線溝形コイルレスモータは、ロータの形状は円筒状または円柱状で、これに近接する磁性体は円柱状または円筒状であり、いずれの場合にも配線溝形コイルレスモータの外周部付近にて回転力が発生するものであるから、その全体形状は例えば円盤状に形成すれば、軸芯からできるだけ離した外周部近傍において回転力を発生させることにより大きな回転力を得ることができる。
逆に、配線溝形コイルレスモータの全体形状を軸芯方向に長く形成することにより、第1発明の配線溝形コイルレスモータは、車両の各部シャフトとして本発明の配線溝形コイルレスモータを配置して、現在の低燃費車両における内燃機関(エンジン)の出力トルク不足を補った回転力を発生させることも可能であり、また、慣性などのよって回転力の回生を行う場合には回生電流を電源側に戻して電力に回生することも可能である。また、第2発明の配線溝形コイルレスモータは、ローラーコンベアの駆動ローラとして本発明の配線溝形コイルレスモータを配置することも可能であり、省スペースでありながら大きな回転力を出力させることも可能となる。
本発明の第1実施形態に係る配線溝形コイルレスモータの構成を示す側面図である。 前記配線溝形コイルレスモータの縦断面図である。 前記配線溝形コイルレスモータのロータの一部構成を示す斜視図である。 前記ロータと磁性体の間の要部における動作を説明する図である。 前記配線溝形コイルレスモータを制御する回路の一例を示す図である。 図5に示す回路の動作を説明する図である。 第1実施形態に示す配線溝形コイルレスモータの変形例を示す図である。 前記配線溝形コイルレスモータのさらなる変形例を示す図である。 前記配線溝形コイルレスモータのさらに異なる変形例を示す図である。 第2実施形態の配線溝形コイルレスモータの構成を示す断面図である。 前記配線溝形コイルレスモータの一部を拡大して示す図である。
以下、本発明の第1実施形態の配線溝形コイルレスモータ1の構成を図1〜図6に従って説明する。図1、図2に示すように、本実施形態の配線溝形コイルレスモータ1は、略円柱形状の外周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極2N,2Sを配置させた少なくとも1つの永久磁石2を備えるロータ3と、このロータ3の外周面に対して隙間を設けて、ロータ3の軸4と同軸に配置した略円筒形状の例えばケイ素鋼板などからなる磁性体5と、この磁性体5をその外周面において支持するケース6と、このケース6に前記軸4を回動自在に支持する軸受け6oと、この磁性体5の内周面の前記ロータ3の各磁極2N,2Sに対応した角度範囲θ内に、これを各回路7a〜7cに等分割した回路分割角度範囲θa〜θcを定めて、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線された導電体8a,8b,8cとを有し、かつ、前記磁性体5の内周面には、前記ロータ3の各磁極2N,2Sに対応した角度範囲θ内を等分割した微小角度間隔dθで軸4に略平行な方向に均一幅で放射状に複数の配線溝10を形成して、この配線溝10の間に櫛歯状の磁性体隔壁11を形成してあり、前記配線溝10内に前記導電体8a,8b,8cを絶縁的に挿入配線することにより前記ロータ3の全磁極2N,2S,…に対応した各回路分割角度範囲θ,…内に導電体8a,8b,8c,…を配線してある。
なお、前記回路7a〜7c、導電体8a〜8cは何れも、本実施形態に示す3つの回路7a〜7cのそれぞれに別々の符号を付けてこれらを見分けられるようにしているが、以下、回路7a〜7cを分けて説明する必要が無い場合には、単に、回路7、導電体8と表現する。
前記ロータ3の永久磁石2は磁極2N,2Sの磁極端面をロータ3の外周面に露出させるように設けたSPM型(表面磁石型)であっても、永久磁石2をロータ3内部に埋設することにより結果的にロータ3の外周面に磁極2N,2Sの磁極端面が形成されるIPM型(埋込磁石型)であってもよい。いずれにしても、磁極2N,2Sに対応する角度範囲(磁極対応角度範囲)θ内においてはロータ3の外周面から同じ方向の磁束を軸方向に揃えて形成することにより、磁極端面の磁束を放射方向に発散または軸芯方向に収束させるものである。
前記ロータ3を一周するときに切り替わる磁極2N,2Sの数は本実施形態では合わせて8極形成しており、各磁極対応角度範囲θは45°に形成されている。従って、導電体8がロータ3の周りを一周するように配線されるとき、各磁極対応角度範囲θ内を回路数(本実施形態では3回路)で等分割した8つの回路分割角度範囲θa(またはθbまたはθc)内に配線するので、導電体8がロータ3を一周する間に8回磁極2N,2Sから発散または収束する磁界に対して略直交する方向に電流を流すように配置されることになる。
したがって、導電体8が1つの磁極2N(または2S)の前だけに配置される場合に比べて磁極2N,2Sの数倍(本実施例の場合8倍)だけ強い回転力(または回生電流)を発生させることができるように構成している。つまり、この磁極2N,2Sの数は少なくとも2極は必要であるが、多ければ多いほど導電体8がロータ3を一周する間に出力できる回転力(または回生電流)は大きくなる。
磁石2は強い回転力(回生電流)を得る為には磁性体5を飽和させない程度にできるだけ強力な永久磁石であることが好ましく、本実施形態の場合、非常に強力な磁力を得られるネオジム磁石を用いて形成される。
磁石2の形状は、図2に示すように、軸芯4側には前記ロータ3の外周面に形成される磁極とは逆の磁極が配置された断面扇形に形成されており、符号Bに示すように軸芯4および磁性体5に高い密度の磁束が形成される。
図2の拡大図および図4に示すように、磁性体5の内周面に配線溝10を設けることにより形成された磁性体隔壁11には、高い磁束密度の磁束Bが集中する。従って、この配線溝10内に挿入配線させた導電体8に電流を流すときに、この電流によって図4に示す回転磁界Brが発生し、この回転磁界Brが永久磁石2によって磁性体隔壁11内に形成される極めて強力な磁界Bと作用し合うことにより、ロータ3に回転力を発生させることができる。
前記ロータ3は軸芯4に形成されたフランジ部4aと抑えリング4bに挟み込むようにして前記磁石2をその磁極端面が円周方向にN極、S極の磁束Bが交互に配列されるように接着固定してある略円柱形状の部材である。
前記磁性体5は透磁率に優れたケイ素鋼板の中抜き略円盤状の薄板と絶縁層を多数積層して形成されたものであり、その内周面には微小角度dθ間隔で配線溝10を形成してあるので、前記導電体8を安定的に保持することができる。また、磁性体5に形成された配線溝10は放射方向に導電体8の直径よりも深く形成されているので、本実施形態の場合、同じ配線溝10内に7本の導電体8を配線できるように構成している。そして、この同じ配線溝10内に配線された導電体8はロータ3の回転角に完全に同期して磁束の交番磁界に晒されることになる。
磁性体5の内周面はロータ3の外周面(磁極端面)に対して隙間を空けて配置されるものであり、この隙間はロータ3が高速回転したときにも接触しない程度の隙間であり、できるだけ近づけて配置するものであることにより、漏れ磁束を可及的に小さくすることができ、それだけ強い交番磁界を磁性体5に発生させることができるので好ましい。
前記ケース6は磁気遮蔽可能な金属からなり、磁性体5をその外周部において保持すると共に、前記軸受け6oによってロータ3の軸4を回転自在に支持する略筒状の第1部材6Aと、この第1部材6Aに対してロータ4の回転部分を覆うように構成された第2部材6Bとからなり、前記各回路7の導電体8を貫通して引き出すことができる孔6Cを形成してある。
本実施形態の場合、各回路7に割り当てられる回路分割角度範囲θa(またはθbまたはθc)内には3筋の配線溝10が形成されており、これらが同じ回路7の配線溝群を形成する。そして、この配線溝群を構成する3筋の配線溝10にそれぞれ7本の合計21本の導電体8を挿入することにより、1本の導電体8だけを配線する場合に比べて約21倍の回転力を得ることができるように構成している。つまり、同回路7の電流を直列に複数回または並列接続して流して電流を増大させることによって、回転力(または回生電流)の倍増効果を得ることができる。
なお、本実施形態では導電体8を前記配線溝群内のすべての配線溝10に挿入配線する前に21分岐接続して前記回路分割角度範囲θa(またはθbまたはθc)内のすべての配線溝10に挿入配線し、磁性体5を一周した後に再び一つにまとめるように接続することにより、各回路7のインダクタンスの増加を抑えながら出力する回転力を大きくすることが可能となるように構成している。
図3に示すように、磁性体5の軸芯方向の両端部(片方のみ図示)において、前記配線溝群を構成する配線溝10から突出する21本の導電体8(以下、導電体群という)は、結束部8Dにおいて束ねられ、結束された導電体群の180°の捻りおよびターン部8Eと、結束解除部8Fとを介して隣接する磁極2N(または2S)の配線溝群に配線される。
これによって、図示時計回りの先端側の配線溝10(図2参照)の位置Paに配線された導電体8は、45°位相が異なる隣接する磁極2N(または2S)に対しても同じ図示時計回りの先端側の配線溝10の位置Pa’に配線されるので、前記導電体8は各配線溝10の磁極2N(または2S)に対する相対位置が同じとなるように配線され、また、磁極2N(または2S)に合わせて互い違いに逆方向に電流を流すように、全体的な形状は略己字状に配線される。
前記配線溝10の形状は、図2の拡大図および図4に示すように、幅方向において導電体8をその絶縁被覆を付けた状態で挿入可能な必要最小限の幅であって、深さ方向において、本実施形態では導電体8を7本並べて挿入可能な深さに形成している。また、各配線溝10はこの中に挿入された導電体8の回転方向の位相を完全にそろえるように放射線状に形成しており、軸芯方向には平行に形成してある。
配線溝10を微小角度間隔dθで形成することにより、磁性体5の内周面には櫛歯状の磁性体隔壁11を形成でき、この櫛歯状隔壁11と配線溝10の幅は同程度に形成してある。
図5は本発明の配線溝形コイルレスモータ1の角度検出回路の一例を示す図である。図5に示す符号12は電源となるバッテリであり、バッテリ12からの電力は各スイッチング素子13a〜13c,14a〜14cを介して、各回路7a〜7cに正逆方向の電圧をかけられるように構成している。15a〜15cは各回路7a〜7cの端子電圧Va〜Vcを検出する電圧検出部であり、16は電圧検出部15a〜15cによって検出された各端子電圧Va〜Vcを取り込むことにより、ロータ3の回転角を角度検出回路を有すると共に各スイッチング素子13a〜13c,14a〜14cに制御信号Ca〜Ccを出力する事により、任意の回転力を出力させたり回生電流をバッテリ12側に流すように制御する制御部である。また、17は端子電圧Va〜Vbの変動を監視することにより求められるロータ3の回転角を記憶する記憶部、18はバックアップ電源、Rは回転方向を示す。
前記スイッチング素子13a〜13c,14a〜14cは高速応答が可能であると共にオン状態の抵抗が低いFETなどの半導体スイッチであることが好ましいが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
図6は図5に示すロータ3が回転方向Rに回転するときにおける動作を電圧検出器15a〜15cによって検出した端子電圧の測定値の例を用いて説明する図である。
図6に示すように、図5に示す磁極2N,2Sの配置である状況を0°とするとき、制御部16は例えばスイッチング素子13b,13c,14b,14cを介して回路7b,7cに正の電圧を印加する。ここで導電体8b,8cに電流が流れることにより、各磁極2N,2Nによって形成される強力な磁場内にその磁束と直交する方向に配線された導電体8b,8cに電流が流れることにより回転磁界Br(図4参照)が発生し、ローレンツ力によってロータ3が回転方向Rにさらに回転する。
ロータ3が微小角度間隔dθ(本実施形態の場合5°)回転するまでの間に、回路7aを構成する導電体8aが配線された一つの配線溝10(図2,図4参照)が磁極2N,2Sの切り替わり部分を通過することになり、導電体8aの端子電圧Vaには磁束の変化に伴うインパルス(N極からS極への変化なので負の方向のインパルス)が検出される。同様に、さらに微小角度間隔dθ回転する毎にインパルスが検出され、前記制御部16はロータ3が微小角度間隔dθ右回りに回転していることを確認できる。
次いで、端子電圧Vaに3つ目のインパルスが検出された後に、制御部16は前記スイッチング素子13b,14bを切り替えて回路7bの導電体8bをバッテリ12から切り離した後に、スイッチング素子13a,14aを切り替えて回路7aの導電体8aに逆方向の電圧を印可する。
この時点で、図5に示すロータ3は初期状態から15°ほど回転しているので、回路7aを構成する導電体8aが対面する磁極端面の極性は、他の回路7b,7cを構成する導電体8b,8cが対面する磁極端面の極性と異なっているので、導電体8aに逆方向の電圧を印可することにより、同じ回転方向Rの回転力をロータ3に加えることができる。
さらに、ロータ3が回転方向Rに回転すると、微小角度間隔dθ毎にバッテリ12から切り離した回路7bの導電体8の端子電圧にインパルスが発生し、制御部16はこのインパルスを検出することにより、ロータ3の回転角を検出することができる。また、当然ながら回転方向Rが逆になると、上記インパルスの発生極性も逆になると共に、インパルスが発生する回路7a〜7cの順番も逆になる。
上述のように、本発明の配線溝形コイルレスモータ1は導電体8a,8c,8cにインダクタンス成分がほとんど発生しないため、ロータ3の回転に伴う端子電圧の変動をモニタするだけで、別途のセンサを設けることなくロータ3の現在の回転角を正確に検知することができ、これを例えば記憶部17に記憶させ、非通電時にもバックアップ電源18によって端子電圧の監視と回転角の確認を行なうことも可能である。なお、この回転角は一対の磁極2N,2Sが占める磁極対応回転角θ×2(本例の場合90°)の範囲で確認できるが、現在の回転角を常にモニタして記憶部17に記憶させる場合には、360°の回転角を監視することも可能である。
前記回転角を常に監視して記憶部17に記憶させることにより、非通電時に外力によってロータ3が回転した場合にもロータ3の回転角を監視しているので、次に通電するときの始動時にも、制御部16最初から確実に磁極2N,2Sを跨いでいない回路7の導電体8のみに必要な回転方向Rに回転させる極性の電圧を印加することが可能である。
なお、仮に前記制御部16が記録している回転角が現実の角度と異なっていたとしても、ロータ3が回転するときにインパルスがどの回路7の導電体に発生し、次にどのロータ3にインパルスが発生するかを確認することにより、現在の回転角を迅速に確認して、以後は的確な制御を行なうことも可能である。
上述したように本発明の配線溝形コイルレスモータ1によれば、各回路7の導電体8にインダクタンス成分をほとんど持たない磁気回路を形成でき、導電体8に電流を流すときに生じるローレンツ力を直接的に用いて、回転力を得ることができるので、極めて高速に応答することができる。これは、電動機として例えばエンジンなどの内燃機関の補助動力として回転力のアシストを行なったり、逆に余った無駄な回転力を用いてバッテリ12を充電させるときの高速応答を可能としていることを意味している。また、従来の電動機のように電源としてサイン波の交流電源を形成する必要も全くないので、ノイズの発生原因ともなるPWM変調回路を排除し、極めて容易にトルク制御を行なうことができる。
さらに、各導電体8は櫛歯状に配置された磁性体隔壁11内に高密度に集中する磁束を形成する交番磁界Bの間に配線されて、電流の流れによって発生する回転磁界Brが強力な磁界Bと作用し合うことによって、より少ない電流で強力な回転力を得ることができる。加えて、配線溝10内に配線された導電体8はその物理的な位置を容易かつ確実に固定できるので、高速回転するモータとして十分な堅牢性を備えるものとなる。
また、制御部16は通電する回路7a〜7cの割合(通電する回路数)や通電するタイミング(パルス幅)を調整することにより、配線溝形コイルレスモータ1によって出力する回転力の強さ(回生制動力の強さ)を調整することも可能である。
加えて、本実施形態のように3回路7a〜7cに分割された導電体8を有する配線溝形コイルレスモータ1の場合、回転力を得る為に磁極端面の2/3を有効に活用しているので、それだけ大きなトルクを出す為に有利であり、とりわけロータ3の外周面に永久磁石2の磁極2N,2Sをむき出しにするSPM型のロータ3によって十分に強力な回転力を得ることができるが、IPM型のロータ3であっても問題なく回転力を得ることができるので、汎用性が高いという利点もある。
さらに、本発明の配線溝形コイルレスモータ1は長い軸芯4を有するロータ3の外周面において回転力をローレンツ力による回転力を生み出すものであるからロータ3は長ければ長いほど回転力を生み出すのに有利であり、例えば自動車のドライブシャフトやプロペラシャフトそのものを配線溝形コイルレスモータ1と入れ替えて補助的に回転力を生成するなどの用いることも可能である。
上述の実施形態は本発明の配線溝形コイルレスモータ1の構成および動作を説明しやすい例を示したものであるにすぎず、種々の変形が可能であることはいうまでもない。
たとえば、本実施形態の導電体8は磁性体5の配線溝10に配線する前に多数に分岐し、磁性体5を一周した後に再びまとめるように構成しているが、前記導電体8を磁性体5の内周面に沿って、順次前記回路分割角度範囲θa(またはθbまたはθc)内のすべての配線溝10に直列的に配線してもよい。この場合は、導電体8の回路7は磁性体5に巻き取った巻き数のコイルとなってしまうので、インダクタンスの増加を招く(本実施形態の場合は21巻きのコイルと同じ)ものの、同じ電流で大きな回転力を得ることができる利点が生じる。なお、前記巻き数は通常のモータに用いるコイルの巻き数に比べて遙かに少なく、インダクタンスの増加を必要最小限に抑えることができているという意味ではコイルレスということができる。
図7は第1実施形態の変形例を示す図である。図7に示す例では、一つの磁極対応角度範囲θと導電体8の構成を4回路7a〜7dで等分割するように形成してあり、一つの回路分割角度範囲θa〜θd内に2筋の配線溝10が形成される。すなわち、回路数を増やすことにより、磁極2N,2Sを跨ぐ導電体8の回路7に対応する回路分割角度範囲θa〜θdに対して磁極2N,2Sを跨がない導電体8の回路7に対応する回路分割角度範囲θa〜θdの割合を大きくすることができ、4回路の場合、全磁束の約3/4を有効活用して回転力を得たり、回生電流を得ることができる。
また、図5に示すような、前記制御部16を設ける場合、磁極2N,2Sを跨がない回路7のうち1〜3回路を任意に選んで回転力を発生させることが可能であるから、発生させる回転力の制御をさらに容易とすることができる。
前記回路数は増やせば増やすほど制御部16による制御が複雑になり、スイッチング素子13a,13b…,14a,14b…や、電圧検出部15,15b…の数も増大するもが、出力できる回転力を上げることができるだけでなく、より精度の高い回転力の制御を行なうことも可能となる。また、前記各部15〜17の集積化を行うことにより、微小角度間隔dθで形成された全ての配線溝10内の導電体8を別々の回路7に分けることも考えられる。
図8はさらなる変形例を示す図であり、前記導電体8の代わりに、断面形状長方形の帯状の導体20を用いる例を示している。すなわち、配線溝10の形状に合わせた断面形状帯状の導体は、配線溝10に対して隙間なく挿入可能であるから、通常の断面形状円形の導体に比べて流すことができる電流を多くすることができ、それだけ、大きな回転力(回生電流)を得ることができる。
また、断面長方形の帯状の導体20は、断面円形の導体8に比べて少ない本数だけ配線溝10に挿入するだけで配線溝10を埋め尽くすものであるから、導体20の挿入にかかる手間をできるだけ少なくすることができ、配線溝形コイルレスモータ1の製造にかかるコストを削減することができる。
図9はさらに異なる変形例を示す図である。図9において、前記導電体8の代わりに、配線溝の断面形状に合わせた一本の導体21を挿入配線してあるので、配線溝形コイルレスモータ1の製造にかかる手間をさらに抑えて、その製造コストを削減することができる。
図10は第2実施形態の配線溝形コイルレスモータ30の構成を示す図である。なお、本実施形態の配線溝形コイルレスモータ30は第1実施形態の配線溝形コイルレスモータ1のロータ3と磁性体5の位置関係を逆にした例を示すものであり、以下の説明において、図1〜図9に示す第1実施形態と同じ符号を付した部分は同一又は同等の部分であるから、その詳細な説明を省略する。
すなわち、本実施形態の配線溝形コイルレスモータ30は略円筒形状の内周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極2N,2Sを配置させた少なくとも1つの永久磁石2’を備えるロータ3’と、このロータ3’の内周面に対して隙間を設けて、ロータ3’と同軸に配置した軸芯4を有する略円柱形状の磁性体5’と、この磁性体5’の外周面の前記ロータ3’の各磁極2N,2Sに対応した角度範囲θ内に、これを各回路7に等分割した回路分割角度範囲θa,θb…を定めて、前記N極、S極の磁極2N,2Sの極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線された導電体8とを有し、かつ、前記磁性体5’の外周面には、前記ロータ3’の各磁極2N,2Sに対応した角度範囲θa,θb…内を等分割した微小角度間隔dθで軸4に略平行な方向に均一幅で軸芯方向に複数の配線溝10’を形成して、この配線溝’の間に櫛歯状の磁性体隔壁11’を形成してあり、前記配線溝10’内に前記導電体8を絶縁的に挿入配線することにより前記ロータ3’の全磁極2N,2Sに対応した各回路分割角度範囲θa,θb…内に導電体8を配線してある。
本実施形態のロータ3’はその外周面が円筒形状であり、軸芯4を固定して、円筒形状のロータ3’が回転するものであるから、例えばコンベアローラの一つとして適宜配置し、回転力を供給することにより、コンベアによる荷物の搬送を行なうことができる駆動力を供給することも容易である。
図11は図10に示す本発明の第2実施形態の更なる変形例を示す図である。図11に示す配線溝形コイルレスモータ32は、前記磁性体5’の外周面に、拡大図に示すように、グラフェンからなる帯状の導体33と、薄板形状の透磁率に優れた磁性体隔壁34を重ねて配列してなるものであり、磁性体隔壁34の断面形状は磁性体5’の外周面に接する側を僅かに薄く僅かに台形になるように形成してあり、多数の導体33と磁性体隔壁34を絶縁体を挟んで重ねるときに、ちょうど円筒状の磁性体5’の外周面に接する筒状の部材となるように形状である。
加えて、磁性体隔壁34に挟まれた部分には磁性体5’を挿入配線可能な配線溝10’が形成される。したがって、磁性体5’の外周面に磁性体隔壁34と導体33を絶縁体を挟んで重ねて配置することにより、グラフェンからなる導体33を帯状の磁性体隔壁34の間に形成された配線溝10’の間に挿入すると共に、各磁性体隔壁34間の間隔を必要最小限に形成してすることができる。
前記グラフェンからなる導体33はその導電率が極めて高いので、極めて薄く形成されたものであっても、十分な電流を流すことができると共に、放熱効果を高めることができる。また、磁性体隔壁34の占有面機を広くすることができるので、可能な限り強力な永久磁石を用いて磁気飽和を避けながらできる限り強い交番磁界を加えることもできる。
さらに、隣接するグラフェンからなる導体33がなす微小角度間隔dθ’を更に小さくする事が可能であるから、各導体33に生じるインパルス信号を検出するだけで、それだけ詳細な角度検出を行なってもよい。また、導体33が薄くなればなるほど、導体33を等分割する回路7の数も多く設定可能であり、回路7の数が多ければ多いほど、ロータ3’の永久磁石2’の磁束の大部分を用いて回転力を得たり、より多くの回生電流を得ることができる。
上述の実施形態では円柱状の磁性体5’の外周面にグラフェンからなる導体33と磁性体隔壁34を重ねて配置する例を示しているが、図1〜図9に示す第1実施形態に示す配線溝形コイルレスモータ1の円筒状の磁性体5の内周面にグラフェンからなる導体33と磁性体隔壁34を重ねて配置してもよいことはいうまでもない。
1 配線溝形コイルレスモータ
2 永久磁石
2N,2S 磁極
3 ロータ
4 軸
5 磁性体
7(7a,7b…) 回路
8(8a,8b…) 導電体
8D 結束部
8E 捻りおよびターン部
8F 結束解除部
10 配線溝
11,34 磁性体隔壁
15a,15b… 電圧検出部
16 角度検出回路
θ 磁極対応角度範囲
θa,θb… 回路分割角度範囲
dθ 微小角度間隔

Claims (7)

  1. 略円柱形状の外周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるロータと、
    このロータの外周面に対して隙間を設けて、ロータの軸と同軸に配置した略円筒形状の磁性体と、
    この磁性体の内周面の前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めて、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線された導電体とを有し、かつ、
    前記磁性体の内周面には、前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内を等分割した微小角度間隔で軸に略平行な方向に均一幅で放射状に複数の配線溝を形成して、この配線溝の間に櫛歯状の磁性体隔壁を形成してあり、前記配線溝内に前記導電体を絶縁的に挿入配線することにより前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に導電体を配線してあることを特徴とする配線溝形コイルレスモータ。
  2. 略円筒形状の内周面に、円周方向において等間隔に、また、軸方向に揃えたN極、S極の磁束を交互に形成するように磁極を配置させた少なくとも1つの永久磁石を備えるロータと、
    このロータの内周面に対して隙間を設けて、ロータと同軸に配置した軸芯を有する略円柱形状の磁性体と、
    この磁性体の外周面の前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内に、これを各回路に等分割した回路分割角度範囲を定めて、前記N極、S極の磁極の極性に合わせて交互に逆方向の電流を流すように配線された導電体とを有し、かつ、
    前記磁性体の外周面には、前記ロータの各磁極に対応した角度範囲内を等分割した微小角度間隔で軸に略平行な方向に均一幅で軸芯方向に複数の配線溝を形成して、この配線溝の間に櫛歯状の磁性体隔壁を形成してあり、前記配線溝内に前記導電体を絶縁的に挿入配線することにより前記ロータの全磁極に対応した各回路分割角度範囲内に導電体を配線してあることを特徴とする配線溝形コイルレスモータ。
  3. 前記各回路の導電体の両端にそれぞれ電圧検出部を有し、この電圧検出部によって検出されたインパルスによって、前記磁極を跨いで磁束が反転する回転角に位置する回路を判別して配線溝を形成する前記微小角度間隔でロータの回転を検出する角度検出回路を有する請求項1または請求項2に記載の配線溝形コイルレスモータ。
  4. 前記導電体は前記配線溝の形状に合わせて形成された断面形状帯状の導体である請求項1〜請求項3の何れかに記載の配線溝形コイルレスモータ。
  5. 前記導電体は前記配線溝に挿入されるグラフェンからなる導体であり、前記配線溝はグラフェンを挿入可能な必要最小幅に形成してある請求項4に記載の配線溝形コイルレスモータ。
  6. 前記導電体は前記配線溝の内に複数陥入した導線である請求項1〜請求項3の何れかに記載の配線溝形コイルレスモータ。
  7. 前記導電体は磁性体の両端部において前記1回路を構成する各配線溝群の端部から突出する導電体群を束ねた結束部と、結束された導電体群の180°の捻りおよびターン部と、結束解除部を介して隣接する磁極の配線溝群に配線されるものである請求項4〜請求項6の何れかに記載の配線溝形コイルレスモータ。

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