JP2017173731A - 液体現像用分散剤、液体現像剤、液体現像剤カートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法 - Google Patents

液体現像用分散剤、液体現像剤、液体現像剤カートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂製の記録媒体に対する定着画像の接着性が高い液体現像剤が得られる液体現像用分散剤を提供する。【解決手段】下記一般式(1)で表される液体現像用分散剤。一般式(1)中、R1は極性基を有する1価の有機基、A1及びA2は酸素原子又は硫黄原子、L1及びL2は2価の有機連結基、Xはアルキレンオキシ基を有する(m+n)価の有機連結基、P1は特定の式で表わされる単位を含む高分子鎖を表す。【選択図】なし

Description

本発明は、液体現像用分散剤、液体現像剤、液体現像剤カートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
特許文献1には、結着樹脂にカーボンブラックが分散されてなるトナー粒子よりなる静電荷像現像用黒トナーであって、前記結着樹脂は、少なくともスチレン系単量体に由来の構造単位および(メタ)アクリル酸系単量体に由来の構造単位を含む共重合体Aからなる樹脂Aと、少なくともメタクリル酸エステル系単量体に由来の構造単位およびカルボキシル基を有するラジカル重合性単量体に由来の構造単位を含む共重合体Bからなる樹脂Bとを含有し、樹脂Aによる連続相中に樹脂Bによる相が分散された状態とされた静電荷像現像用黒トナーが開示されている。
特許文献2には、特定の構造を有するスルホン酸エステル基含有ユニットを部分構造として含む共重合体であり、該共重合体におけるスルホン酸エステル基含有ユニットの含有割合が特定の範囲であることを特徴とする荷電制御樹脂が開示されている。
特許文献3には、結着樹脂、離型剤、極性樹脂及び硫黄原子含有重合体を少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粉体とを有するトナーであって、前記極性樹脂はカルボキシル基及び水酸基の少なくとも一方を有するビニル系重合体であることを特徴とするトナーが開示されている。
特開2012−113123号公報 特開2006−309195号公報 特開2010−091704号公報
トナー粒子を含む液体現像剤を用いて樹脂製の記録媒体(例えば軟包フィルム等)に画像を形成する場合、得られた画像の耐久性の観点から、定着画像と記録媒体との高い接着性が求められる。定着画像と記録媒体との接着性を高める方法としては、例えば、トナー粒子に含まれる結着樹脂として、記録媒体に含まれる樹脂への親和性の高い樹脂を用いる方法が考えられる。
一方、画像を形成する過程においては液体現像剤中におけるトナー粒子の分散性も求められるため、トナー粒子の分散性を高める目的で液体現像剤中に分散剤を含有させることがある。そして、分散剤を含む液体現像剤を用いて画像を形成すると、定着画像と記録媒体との間に分散剤が入り込むことで、トナー粒子の結着樹脂と記録媒体の樹脂との親和性が高い場合でも、定着画像と記録媒体との高い接着性が得られにくくなる場合がある。
そこで、本発明は、市販のポリエステルアミン系顔料分散剤、例えば、ソルスパーズ13940(ルーブリゾール社製)に比べ、樹脂製の記録媒体に対する定着画像の接着性が高い液体現像剤が得られる液体現像用分散剤を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
請求項1に係る発明は、
下記一般式(1)で表される液体現像用分散剤である。
一般式(1)中、Rは極性基を有する1価の有機基を表し、A及びAはそれぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子を表し、L及びLはそれぞれ独立に2価の有機連結基を表し、Xはアルキレンオキシ基を有する(m+n)価の有機連結基を表し、Pは下記一般式(2)で表される単位を含む高分子鎖を表し、mは1以上9以下の数を表し、nは1以上9以下の数を表し、m+nは2以上10以下の整数である。
一般式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Lはカルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、カルボニル基、エーテル結合、又はフェニレン基を表し、Rはカルボキシ基及びその塩、ポリオキシアルキレン基、アミノ基、スルホ基及びその塩、並びにそれらの誘導体の少なくとも1種を有する1価の有機基を表す。
請求項2に係る発明は、
前記一般式(1)中のPで表される高分子鎖は、さらに下記一般式(3)で表される単位を含む、請求項1に記載の液体現像用分散剤である。
一般式(3)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Lはカルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、カルボニル基、エーテル結合、又はフェニレン基を表し、Rは炭素数3以上20以下のアルキル基を有する1価の有機基を表す。
請求項3に係る発明は、
一般式(1)中のRが2以上のカルボキシ基を有する1価の有機基であり、かつ、前記一般式(2)中のRが下記構造式(R4)で表される基、カルボキシアルキル基、ポリオキシアルキレン基、ジアルキルアミノ基、並びにスルホ基及びその塩の少なくとも1種を有する1価の有機基である、請求項1又は請求項2に記載の液体現像用分散剤である。
請求項4に係る発明は、
トナー粒子と、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の液体現像用分散剤と炭化水素系溶媒とを含むキャリア液と、
を有する液体現像剤である。
請求項5に係る発明は、
請求項4に記載の液体現像剤を収納し、且つ画像形成装置に脱着される液体現像剤カートリッジである。
請求項6に係る発明は、
静電潜像保持体と、
前記静電潜像保持体の表面を帯電する帯電装置と、
前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
請求項4に記載の液体現像剤を貯留し、且つ、前記静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を前記液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
前記記録媒体上の前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置と、
を有する画像形成装置である。
請求項7に係る発明は、
静電潜像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
前記静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を請求項4に記載の液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体上の前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着工程と、
を有する画像形成方法である。
請求項1、請求項2、又は請求項3に係る発明によれば、市販のポリエステルアミン系顔料分散剤、例えば、ソルスパーズ13940(ルーブリゾール社製)に比べ、樹脂製の記録媒体に対する定着画像の接着性が高い液体現像剤が得られる液体現像用分散剤が提供される。
請求項4、請求項5、請求項6、又は請求項7に係る発明によれば、液体現像用分散剤として市販のポリエステルアミン系顔料分散剤、例えば、ソルスパーズ13940(ルーブリゾール社製)を適用した場合に比べ、樹脂製の記録媒体に対する接着性が高い定着画像が形成される液体現像剤、液体現像剤カートリッジ、画像形成装置、又は画像形成方法が提供される。
本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態の画像形成装置の別の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
[液体現像用分散剤]
本実施形態に係る液体現像用分散剤(以下「分散剤」ともいう)は、下記一般式(1)で表される分散剤である。
上記一般式(1)中、Rは極性基を有する1価の有機基を表し、A及びAはそれぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子を表し、L及びLはそれぞれ独立に2価の有機連結基を表し、Xはアルキレンオキシ基を有する(m+n)価の有機連結基を表し、Pは下記一般式(2)で表される単位を含む高分子鎖を表し、mは1以上9以下の数を表し、nは1以上9以下の数を表し、m+nは2以上10以下の整数である。
上記一般式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Lはカルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、カルボニル基、エーテル結合、又はフェニレン基を表し、Rはカルボキシ基及びその塩、ポリオキシアルキレン基、アミノ基、スルホ基及びその塩、並びにそれらの誘導体の少なくとも1種を有する1価の有機基を表す。
本実施形態に係る分散剤が上記構成であることにより、本実施形態に係る分散剤を液体現像剤に用いると、樹脂製の記録媒体に対する定着画像の接着性が高い液体現像剤が得られる。その理由は定かではないが、以下のように推測される。
具体的には、一般式(1)中のRで表される有機基の極性基がトナー粒子への親和性が高く、かつ、Pで表される高分子鎖が有する側鎖の末端基(すなわち一般式(2)中のRで表される有機基が有する「カルボキシ基及びその塩、ポリオキシアルキレン基、アミノ基、スルホ基及びその塩、並びにそれらの誘導体の少なくとも1種」)が記録媒体の樹脂に対する親和性が高いと考えられる。すなわち、本実施形態に係る分散剤は、トナー粒子への親和性が高い基と記録媒体の樹脂に対する親和性が高い基との両方を有しているため、分散剤が定着画像と記録媒体との間に入り込んでも、定着画像と記録媒体との高い接着性が得られると推測される。
一般式(2)中のRで表される有機基が有する「カルボキシ基及びその塩、ポリオキシアルキレン基、アミノ基、スルホ基及びその塩、並びにそれらの誘導体の少なくとも1種」を「接着性官能基」と称する場合がある。
以下、本実施形態に係る分散剤について説明する。
一般式(1)中のRで表される有機基は、極性基を有する1価の有機基である。一般式(1)中のmが2以上の場合、m個のRは同じ基でもよく、互いに異なる基であってもよいが、合成容易性の観点から同じ基であることが好ましい。
一般式(1)中のRで表される有機基に含まれる極性基の数は特に限定されず、1つでも、2以上でもよい。一般式(1)中のRで表される有機基に極性基が2以上含まれる場合は、2以上の極性基が同じ基であってもよく、互いに異なる基であってもよい。
一般式(1)中のRで表される有機基に含まれる極性基の数としては、例えば1以上7以下が挙げられ、2以上7以下が好ましく、2以上4以下がより好ましい。
また、一般式(1)におけるm個のRで表される有機基全体に含まれる極性基の数の合計(以下「m個のRの合計極性基数」ともいう)は、トナー粒子への親和性の観点から、2以上であることが好ましい。
ここで、「m個のRの合計極性基数」は、1つのRに含まれる極性基の数×mで表される。具体的には、例えば、一般式(1)中のRで表される有機基に2つの極性基が含まれ、かつ、mが3.5である場合、「m個のRの合計極性基数」は7である。
「m個のRの合計極性基数」としては、例えば2以上20以下が挙げられ、トナー粒子への親和性の観点から、4以上15以下が好ましく、6以上8以下がより好ましい。
なお、「m個のRの合計極性基数」が2以上である場合、一般式(1)におけるm個のRで表される有機基全体に含まれる2以上の極性基は、互いに同じ基であってもよく、異なる基であってもよい。
一般式(1)中のRで表される有機基に含まれる極性基は、酸性の極性基、中性の極性基、及び塩基性の極性基のいずれでもよい。
酸性の極性基としては、例えば、カルボキシ基、カルボン酸塩基、スルホ基、スルホン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基、ホルミル基、フェノール基(フェノール性水酸基)等の酸基が挙げられる。
中性の極性基としては、例えば、ヒドロキシ基、アミド基、シアノ基等の中性基が挙げられる。
塩基性の極性基としては、例えば、アミノ基、イミノ基、4級アンモニウム基等の塩基性基が挙げられる。
極性基としては、トナー粒子への親和性の観点から、これらの中でも、酸性の極性基が好ましく、カルボキシ基がさらに好ましい。
一般式(1)中のRで表される有機基としては、例えば、下記一般式(R1−1)〜(R1−3)で表される基等が挙げられる。
一般式(R1−1)中、FR11は極性基を表し、LR11は2価の有機連結基を表し、*は一般式(1)中のAに結合する位置を表す。
一般式(R1−2)中、FR12及びFR13はそれぞれ独立に極性基を表し、LR12は炭素数2以上の3価の有機連結基を表し、*は一般式(1)中のAに結合する位置を表す。
一般式(R1−3)中、FR14、FR15、及びFR16はそれぞれ独立に極性基を表し、LR13は炭素数3以上の4価の有機連結基を表し、*は一般式(1)中のAに結合する位置を表す。
一般式(R1−1)、一般式(R1−2)、又は一般式(R1−3)中のFR11、FR12、又はFR13で表される極性基の具体例及び好ましい基は前述の通りである。
なお、一般式(R1−1)中のFR11で表される極性基は、LR11で表される有機連結基の炭素原子に直接結合している。
また、一般式(R1−2)中のFR12で表される極性基及びFR13で表される極性基は、LR12で表される有機連結基の炭素原子のうち、互いに異なる炭素原子に直接結合している。
一般式(R1−3)中のFR14で表される極性基、FR15で表される極性基、及びFR16で表される極性基も、LR13で表される有機連結基の炭素原子のうち、それぞれ互いに異なる炭素原子に直接結合している。
一般式(R1−1)中のLR11で表される2価の有機連結基としては、例えば、直鎖状のアルキレン基、分岐状のアルキレン基、炭素数3以上10以下のシクロアルキレン基、及び炭素数6以上10以下のアリーレン基、これらを組み合わせた炭化水素基、並びに前記炭化水素基における炭素原子の一部が炭素以外の原子に置換された基等が挙げられる。
前記炭化水素基の炭素原子が置換される炭素以外の原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子等が挙げられる。前記炭化水素基における炭素原子の一部が炭素以外の原子に置換された基は、例えば、前記炭化水素基中の「−CH−」が、「−O−」、「−S−」、又は「−NH−」に置換されたものでもよく、炭化水素基中の「−CH<」が「−N<」に置換されたものでもよい。ただし、炭素以外の原子に置換される炭素原子は、FR11で表される極性基が直接結合する炭素原子以外の炭素原子である。また、炭素以外の原子に置換された炭素原子の数は、1でも2以上でもよく、2以上の炭素原子が同種の原子に置換されてもよく、2以上の炭素原子が異種の原子に置換されてもよい。
R11で表される2価の有機連結基が前記炭化水素基である場合、上記炭化水素基全体の炭素数としては、例えば1以上20以下が挙げられ、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、LR11で表される2価の有機連結基が前記炭化水素基における炭素原子の一部が炭素以外の原子に置換された基である場合、炭素数は少なくとも1以上であり、かつ、炭素と炭素原子が置換される炭素以外の原子との合計は、2以上20以下が好ましく、2以上10以下が好ましく、2以上6以下がより好ましい。
R11の好ましい例としては、炭素原子が炭素以外の原子に置換されていない炭化水素基が挙げられ、その中でも炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状アルキレン基がより好ましく、炭素数1以上6以下の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。
一般式(R1−2)中のLR12で表される2価の有機連結基の具体例は、前記一般式(R1−1)中のLR11で表される2価の有機連結基の具体例のうち、炭素数が2以上のものが挙げられる。
R12の好ましい例としては、炭素原子が炭素以外の原子に置換されていない炭素数2以上の炭化水素基が挙げられ、その中でも炭素数2以上20以下の直鎖状又は分岐状のアルキレン基がより好ましく、炭素数2以上10以下の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、炭素数2以上6以下の直鎖状のアルキレン基が特に好ましい。
一般式(R1−3)中のLR13で表される2価の有機連結基の具体例は、前記一般式(R1−1)中のLR11で表される2価の有機連結基の具体例のうち、炭素数が3以上のものが挙げられる。
R13の好ましい例としては、炭素原子が炭素以外の原子に置換されていない炭素数3以上の炭化水素基が挙げられ、その中でも炭素数3以上20以下の直鎖状又は分岐状のアルキレン基がより好ましく、炭素数3以上10以下の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、炭素数3以上6以下の直鎖状のアルキレン基が特に好ましい。
一般式(R1−1)で表される基としては、好ましくは、FR11で表される極性基がカルボキシ基であり、かつ、LR11で表される有機連結基が炭素数1以上6以下の直鎖状のアルキレン基である基が挙げられる。
一般式(R1−2)で表される基としては、好ましくは、FR12で表される極性基及びFR13で表される極性基がいずれもカルボキシ基であり、LR12で表される有機連結基が炭素数2以上6以下の直鎖状のアルキレン基である基が挙げられる。
一般式(R1−3)で表される基としては、好ましくは、FR14で表される極性基、FR15で表される極性基、及びFR16で表される極性基がいずれもカルボキシ基であり、LR13で表される有機連結基が炭素数3以上6以下の直鎖状のアルキレン基である基が挙げられる。
以下に、一般式(R1−1)で表される基、一般式(R1−2)で表される基、及び一般式(R1−3)で表される基の具体例(Rの例示有機基)を列挙するが、これらに限定されるものではない。なお、下記具体例(Rの例示有機基)における「*」は、一般式(1)中のAに結合する位置を表す。
一般式(1)中のA及びAは、それぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子を表す。
一般式(1)中におけるm個のA及びn個のAは、すべて同じ原子でもよく、異なる原子を含んでもよいが、合成容易性の観点からm個のA及びn個のAのすべてが同じ原子であることが好ましく、原料入手性、合成容易性の観点からm個のA及びn個のAがいずれも硫黄原子であることがより好ましい。
一般式(1)中のLで表される2価の有機連結基及び一般式(1)中のLで表される2価の有機連結基としては、例えば、直鎖状のアルキレン基、分岐状のアルキレン基、炭素数3以上10以下のシクロアルキレン基、及び炭素数6以上10以下のアリーレン基、これらを組み合わせた炭化水素基、並びに前記炭化水素基における炭素原子の一部が炭素以外の原子に置換された基等が挙げられる。
前記炭化水素基の炭素原子が置換される炭素以外の原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子等が挙げられる。前記炭化水素基における炭素原子の一部が炭素以外の原子に置換された基は、例えば、前記炭化水素基中の「−CH−」が、「−O−」、「−S−」、又は「−NH−」に置換されたものでもよく、炭化水素基中の「−CH<」が「−N<」に置換されたものでもよい。ただし、Lで表される有機連結基及びLで表される有機連結基は、それぞれ少なくとも1以上の炭素原子を有する。また、炭素以外の原子に置換された炭素原子の数は、1でも2以上でもよく、2以上の炭素原子が同種の原子に置換されてもよく、2以上の炭素原子が異種の原子に置換されてもよい。
で表される2価の有機連結基が前記炭化水素基である場合、上記炭化水素基全体の炭素数としては、例えば1以上20以下が挙げられ、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
また、Lで表される2価の有機連結基が前記炭化水素基における炭素原子の一部が炭素以外の原子に置換された基である場合、炭素数は少なくとも1以上であり、かつ、炭素と炭素原子が置換される炭素以外の原子との合計は、2以上20以下が好ましく、2以上10以下が好ましく、2以上6以下がより好ましい。
で表される2価の有機連結基の炭素数及び炭素と炭素原子が置換される炭素以外の原子との合計についても、上記Lと同様である。
の好ましい例としては、炭素原子が炭素以外の原子に置換されていない炭化水素基、又は炭化水素基中の「−CH−」が「−NH−」に置換された基が挙げられ、炭素数1以上20以下の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基、又は前記アルキレン基中の炭素のうち一般式(1)中のカルボニル基に直接結合する「−CH−」が「−O−」若しくは「−NH−」に置換された基がより好ましく、炭素数1以上10以下の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。
の好ましい例としては、炭素原子が炭素以外の原子に置換されていない炭化水素基、又は炭化水素基中の「−CH−」が「−NH−」に置換された基が挙げられ、炭素数1以上20以下の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基、又は前記アルキレン基中の炭素のうち一般式(1)中のカルボニル基に直接結合する「−CH−」が「−O−」若しくは「−NH−」に置換された基がより好ましく、炭素数1以上10以下の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。
なお一般式(1)中におけるm個のL及びn個のLは、すべて同じ基でもよく、異なる基を含んでもよいが、合成容易性の観点からm個のL及びn個のLのすべてが同じ基であることが好ましい。
一般式(1)中のmは、m+n価のXで表される有機連結基1つに結合する基「R−A−L−CO−」の数の平均を表す。例えば、Xで表される有機連結基1つに結合する基「R−A−L−CO−」の数が2である分子と3である分子との当量混合物である場合、mは2.5となる。mは整数でも小数でもよいが、1以上9以下の数であり、2以上7以下が好ましく、3以上5以下がより好ましい。
一般式(1)中のnは、m+n価のXで表される有機連結基1つに結合する基「P−A−L−CO−」の数の平均を表す。mと同様にnは整数でも小数でもよいが、1以上9以下の数であり、2以上7以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。
また、m+nは、2以上10以下の整数であり、5以上9以下の整数が好ましく、6以上8以下の整数がより好ましい。
一般式(1)中のXで表される有機連結基は、アルキレンオキシ基を有する(m+n)価の有機連結基である。ここで、アルキレンオキシ基は、アルキレン基とエーテル結合(−O−)とが直接結合した基である。
Xで表される有機連結基は、少なくともアルキレンオキシ基を有していればよく、アルキレン基及びエーテル結合以外の他の基(例えばアリーレン基等)を含んでもよいが、アルキレン基及びエーテル結合のみで構成された基であることが好ましい。
Xで表される有機連結基は、アルキレン基及びエーテル結合の少なくとも1種を2以上含んで構成されていてもよい。すなわち、エーテル結合を介して2以上のアルキレン基が結合していてもよく、1つのアルキレン基中の2以上の炭素原子に2以上のエーテル結合がそれぞれ結合していてもよい。また、1つのアルキレン基中の2以上の炭素原子に1つのエーテル結合が結合し、環を形成してもよい。
アルキレン基としては、例えば、直鎖状アルキレン基、分岐状アルキレン基、及び環状アルキレン基(すなわちシクロアルキレン基)が挙げられる。
Xで表される有機連結基は、少なくとも分岐状アルキレン基を含むことが好ましく、その中でも第4級炭素原子を有するアルキレン基を含むことがより好ましく、ネオペンチル構造を有するアルキレン基を含むことがさらに好ましい。
また、Xで表される有機連結基は、エーテル結合の少なくとも一部が一般式(1)中のカルボニル基に直接結合することが好ましく、一般式(1)中のカルボニル基と直接結合する原子すべてがエーテル結合の酸素原子であることがより好ましい。
Xで表される有機連結基全体の炭素数は、例えば、1以上20以下が挙げられ、1以上10以下が好ましく、5以上10以下がさらに好ましい。
Xで表される有機連結基全体におけるエーテル結合の数(一般式(1)中のカルボニル基と直接結合するエーテル結合及びそれ以外のエーテル結合の両方を含む数)は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、3以上7以下がさらに好ましい。
以下に、Xで表される有機連結基の具体例(Xの例示連結基)を列挙するが、これらに限定されるものではない。なお、下記具体例(Xの例示連結基)における「*」は、一般式(1)中のカルボニル基に結合する位置を表す。
一般式(1)中のPで表される高分子鎖は、少なくとも一般式(2)で表される単位を含む。
上記一般式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Lはカルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、カルボニル基、エーテル結合、又はフェニレン基を表し、Rはカルボキシ基及びその塩、ポリオキシアルキレン基、アミノ基、スルホ基及びその塩、並びにそれらの誘導体の少なくとも1種を有する1価の有機基を表す。
ここで、一般式(2)中のRで表される有機基が有するアミノ基は、アンモニア、第一級アミン、又は第二級アミンから水素を除去した1価の官能基を意味する。
また、一般式(2)中のRで表される有機基が有する「カルボキシ基の塩」としては、例えば、カルボン酸ナトリウム、カルボン酸カリウム、カルボン酸リチウム等のカルボン酸塩が挙げられる。一般式(2)中のRで表される有機基が有する「カルボキシ基(COOH)又はその塩の誘導体」としては、例えば、カルボン酸メチル、カルボン酸エチル等のカルボン酸エステル等が挙げられる。
一般式(2)中のRで表される有機基が有する「ポリオキシアルキレン基及びアミノ基の誘導体」としては、例えば、それぞれポリオキシアルキレン基及びアミノ基が有する水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子に置換された基等が挙げられる。
一般式(2)中のRで表される有機基が有する「スルホ基の塩」としては、例えば、スルホン酸ナトリウム、スルホン酸カリウム、スルホン酸リチウム、スルホン酸アンモニウム等のスルホン酸塩が挙げられる。一般式(2)中のRで表される有機基が有する「スルホ基又はその塩の誘導体」としては、例えば、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル等のスルホン酸エステル等が挙げられる。
なお、一般式(1)中のPで表される高分子鎖は、一般式(2)で表される単位を1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。また、一般式(1)中のPで表される高分子鎖が一般式(2)で表される単位を2種以上含む場合、接着性官能基の異なる一般式(2)で表される単位を2種以上含んでもよい。一方、一般式(1)中のPで表される高分子鎖が一般式(2)で表される単位を2種以上含む場合、合成容易性の観点からは、前記2種以上の単位における一般式(2)中のR、R、及びLが同じであることが好ましい。
一般式(2)で表される単位としては、例えば、下記一般式(2−1)で表される単量体の重合(例えばラジカル重合)により形成される単位が挙げられる。
上記一般式(2−1)中のR、R、R、及びLは、それぞれ一般式(2)中のR、R、R、及びLと同様である。
一般式(2−1)で表される単量体としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、スチレン類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類等が挙げられる。
一般式(2−1)で表される単量体がアクリル酸エステル類である場合、R及びRが水素原子、Lがカルボニルオキシ基、Rがカルボキシ基、ポリオキシアルキレン基、アミノ基、スルホ基及びその塩、並びにそれらの誘導体の少なくとも1種を有する1価の有機基である。
一般式(2−1)で表される単量体がメタクリル酸エステル類である場合、Rがメチル基であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
一般式(2−1)で表される単量体がクロトン酸エステル類である場合、Rがメチル基であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
一般式(2−1)で表される単量体がビニルエステル類である場合、Lがオキシカルボニル基であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
一般式(2−1)で表される単量体がビニルエーテル類である場合、Lがエーテル結合であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
一般式(2−1)で表される単量体がビニルケトン類である場合、Lがカルボニル基であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
一般式(2−1)で表される単量体がスチレン類である場合、Lがフェニレン基であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
以下、一般式(2−1)で表される単量体がアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、又はスチレン類である場合における、Rで表される1価の有機基について説明する。
で表される1価の有機基のうち、接着性官能基としてカルボキシ基又はその塩を有する有機基としては、例えば、下記一般式(R4−1)〜(R4−2)で表される基、又はそれらの塩等が挙げられる。
一般式(R4−1)及び一般式(R4−2)中、LR41、LR42、及びLR43はそれぞれ独立に2価の有機連結基を表し、*は一般式(2−1)中のLに結合する位置を表す。
一般式(R4−1)及び一般式(R4−2)中のLR41、LR42、又はLR43で表される2価の有機連結基としては、例えば、直鎖状のアルキレン基、分岐状のアルキレン基、炭素数3以上20以下のシクロアルキレン基、及び炭素数6以上20以下のアリーレン基、これらを組み合わせた炭化水素基、並びに前記炭化水素基における炭素原子の一部が炭素以外の原子に置換された基等が挙げられる。
前記炭化水素基の炭素原子が置換される炭素以外の原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子等が挙げられる。前記炭化水素基における炭素原子の一部が炭素以外の原子に置換された基は、例えば、前記炭化水素基中の「−CH−」が、「−O−」、「−S−」、又は「−NH−」に置換されたものでもよく、炭化水素基中の「−CH<」が「−N<」に置換されたものでもよい。ただし、炭素以外の原子に置換される炭素原子は、一般式(2−1)中のLに直接結合する炭素原子以外の炭素原子である。また、炭素以外の原子に置換された炭素原子の数は、1でも2以上でもよく、2以上の炭素原子が同種の原子に置換されてもよく、2以上の炭素原子が異種の原子に置換されてもよい。
なお、一般式(R4−2)中のLR42及びLR43は、同じ基であってもよく、互いに異なる基であってもよい。
R41、LR42、又はLR43で表される2価の有機連結基が前記炭化水素基である場合、上記炭化水素基全体の炭素数としては、例えば1以上20以下が挙げられ、1以上15以下が好ましく、1以上10以下がより好ましい。また、LR41、LR42、又はLR43で表される2価の有機連結基が前記炭化水素基における炭素原子の一部が炭素以外の原子に置換された基である場合、炭素数は少なくとも1以上であり、かつ、炭素と炭素原子が置換される炭素以外の原子との合計は、2以上20以下が好ましく、2以上15以下が好ましく、2以上10以下がより好ましい。
R41の好ましい例としては、炭素原子が炭素以外の原子に置換されていない炭化水素基が挙げられ、その中でも炭素数1以上20以下の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基、フェニレン基、又はフェニレン基とアルキレン基とを組み合わせた炭素数7以上15以下の炭化水素基がより好ましく、炭素数1以上10以下の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。
R42の好ましい例としては、炭素原子が炭素以外の原子に置換されていない炭化水素基が挙げられ、その中でも炭素数1以上20以下の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基がより好ましく、炭素数1以上10以下の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、炭素数1以上6以下の直鎖状のアルキレン基が特に好ましい。
R43の好ましい例としては、炭素原子が炭素以外の原子に置換されていない炭化水素基が挙げられ、その中でも炭素数1以上20以下の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基、フェニレン基、又はフェニレン基とアルキレン基とを組み合わせた炭素数7以上10以下の炭化水素基がより好ましく、炭素数1以上10以下の直鎖状のアルキレン基又はフェニレン基がさらに好ましく、炭素数1以上6以下の直鎖状アルキレン基又はo−フェニレン基が特に好ましい。
で表される1価の有機基のうち、接着官能基として「カルボキシ基の塩」を有する有機基としては、例えば、上記「接着性官能基としてカルボキシ基を有する有機基」の水素原子がナトリウム原子、カリウム原子、又はリチウム原子に置換された基等が挙げられる。Rで表される1価の有機基のうち、接着官能基として「カルボキシ基の塩」を有する有機基としては、これらの中でも、上記「接着性官能基としてカルボキシ基を有する有機基」の水素原子がナトリウム原子に置換された基(カルボン酸ナトリウム塩)が好ましい。
で表される1価の有機基のうちカルボキシ基又はその塩を有する有機基としては、一般式(R4−2)で表される基が好ましく、その中でもLR42が炭素数1以上20以下の直鎖状のアルキレン基であり、かつ、LR43が炭素数1以上10以下の直鎖状のアルキレン基又はo−フェニレン基である有機基がより好ましく、LR42が炭素数1以上10以下の直鎖状のアルキレン基であり、かつ、LR43が炭素数1以上6以下の直鎖状のアルキレン基又はo−フェニレン基である有機基がさらに好ましく、LR42が炭素数1以上6以下の直鎖状のアルキレン基であり、かつ、LR43が炭素数1以上6以下の直鎖状のアルキレン基又はo−フェニレン基である有機基が特に好ましい。
なお、Rで表される1価の有機基のうち、接着性官能基として「カルボキシ基又はその塩の誘導体」を有する有機基としては、例えば、上記「接着性官能基としてカルボキシ基を有する有機基」において、水素原子がアルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)に置換された基(カルボン酸アルキルエステル)等が挙げられる。
で表される1価の有機基のうち、接着性官能基としてポリオキシアルキレン基を有する有機基としては、例えば、下記一般式(R4−3)で表される基等が挙げられる。
一般式(R4−3)中、LR44は炭素数1以上20以下の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、RR41は炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、pは1以上50以下の整数を表し、*は一般式(2−1)中のLに結合する位置を表す。
R44の好ましい例としては、炭素数1以上20以下の直鎖状のアルキレン基が挙げられ、炭素数10以下の直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1以上6以下の直鎖状のアルキレン基がより好ましい。
R41の好ましい例としては、炭素数1以上20以下の直鎖状のアルキル基が挙げられ、炭素数10以下の直鎖状のアルキル基がより好まし炭素数1以上6以下の直鎖状のアルキル基がより好ましい。
pの好ましい範囲としては、1以上30以下が挙げられ、1以上20以下がより好ましく、5以上20以下がさらに好ましく、5以上15以下が特に好ましい。
一般式(R4−3)で表される基としては、LR44が炭素数1以上20以下の直鎖状のアルキレン基であり、RR41が炭素数1以上10以下の直鎖状のアルキル基であり、かつ、pが5以上20以下の整数である有機基が好ましく、LR44が炭素数1以上10以下の直鎖状のアルキレン基であり、RR41が炭素数1以上6以下の直鎖状のアルキル基であり、かつ、pが5以上15以下の整数である有機基がより好ましい。
なお、Rで表される1価の有機基のうち、接着性官能基として「ポリオキシアルキレン基の誘導体」を有する有機基としては、例えば、上記「接着性官能基としてポリオキシアルキレン基を有する有機基」において、水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子に置換された基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、ハロゲン原子に置換される水素原子の数は、1つでもよく、2つ以上でもよく、ポリオキシアルキレン基が有する水素原子全てがハロゲン原子に置換されてもよい。
で表される1価の有機基のうち、接着性官能基としてアミノ基を有する有機基としては、例えば、下記一般式(R4−4)で表される基等が挙げられる。
一般式(R4−4)中、LR45は単結合又は2価の有機連結基を表し、RR42及びRR43はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1以上20以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表し、*は一般式(2−1)中のLに結合する位置を表す。
一般式(R4−4)中のLR45で表される2価の有機連結基としては、例えば、直鎖状のアルキレン基、分岐状のアルキレン基、炭素数3以上20以下のシクロアルキレン基、及び炭素数6以上20以下のアリーレン基、これらを組み合わせた炭化水素基、並びに前記炭化水素基における炭素原子の一部が炭素以外の原子に置換された基等が挙げられる。
前記炭化水素基の炭素原子が置換される炭素以外の原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子等が挙げられる。前記炭化水素基における炭素原子の一部が炭素以外の原子に置換された基は、例えば、前記炭化水素基中の「−CH−」が、「−O−」、「−S−」、又は「−NH−」に置換されたものでもよく、炭化水素基中の「−CH<」が「−N<」に置換されたものでもよい。ただし、炭素以外の原子に置換される炭素原子は、一般式(2−1)中のLに直接結合する炭素原子以外の炭素原子である。また、炭素以外の原子に置換された炭素原子の数は、1でも2以上でもよく、2以上の炭素原子が同種の原子に置換されてもよく、2以上の炭素原子が異種の原子に置換されてもよい。
R45で表される2価の有機連結基が前記炭化水素基である場合、上記炭化水素基全体の炭素数としては、例えば1以上20以下が挙げられ、1以上15以下が好ましく、1以上10以下がより好ましい。また、LR45で表される2価の有機連結基が前記炭化水素基における炭素原子の一部が炭素以外の原子に置換された基である場合、炭素数は少なくとも1以上であり、かつ、炭素と炭素原子が置換される炭素以外の原子との合計は、2以上20以下が好ましく、2以上15以下が好ましく、2以上10以下がより好ましい。
R45の好ましい例としては、単結合又は炭素原子が炭素以外の原子に置換されていない炭化水素基が挙げられ、その中でも単結合又は炭素数1以上15以下の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基がより好ましく、単結合又は炭素数1以上10以下の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、単結合又は炭素数1以上6以下の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。
一般式(R4−4)中のRR42及びRR43は、同じ基であってもよく、互いに異なる基であってもよい。
R42及びRR43の好ましい例としては、それぞれ独立に、例えば、水素原子又は炭素数1以上20以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基が挙げられ、炭素数1以上10以下の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1以上6以下の直鎖状アルキル基がより好ましい。
一般式(R4−4)で表される基としては、LR45が単結合又は炭素数1以上20以下の直鎖状のアルキレン基であり、RR42及びRR43がいずれも炭素数1以上10以下の直鎖状アルキル基である有機基がより好ましく、LR45が単結合又は炭素数1以上10以下の直鎖状のアルキレン基であり、RR42及びRR43がいずれも炭素数1以上6以下の直鎖状アルキル基である有機基がより好ましい。
なお、Rで表される1価の有機基のうち、接着性官能基として「アミノ基の誘導体」を有する有機基としては、例えば、上記「接着性官能基としてアミノ基を有する有機基」の例において、水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子に置換された基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、ハロゲン原子に置換される水素原子の数は、1つでもよく、2つ以上でもよい。また、アミノ基がアルキル基及びアルキレン基の少なくとも1つを有する場合、アルキル基及びアルキレン基の少なくとも1つにおける水素原子がハロゲン原子に置換されてもよく、アミノ基の窒素原子に直接結合する水素原子がハロゲン原子に置換されてもよい。
で表される1価の有機基のうち、接着性官能基としてスルホ基又はその塩を有する有機基としては、例えば、下記一般式(R4−5)〜(R4−6)で表される基等が挙げられる。
一般式(R4−5)及び一般式(R4−6)中、LR46及びLR47は単結合又は2価の有機連結基を表し、MはNa、K、Li、又はNHを表し、*は一般式(2−1)中のLに結合する位置を表す。
一般式(R4−5)及び一般式(R4−6)中のLR46又はLR47で表される2価の有機連結基としては、例えば、直鎖状のアルキレン基、分岐状のアルキレン基、炭素数3以上20以下のシクロアルキレン基、及び炭素数6以上20以下のアリーレン基、これらを組み合わせた炭化水素基、並びに前記炭化水素基における炭素原子の一部が炭素以外の原子に置換された基等が挙げられる。
前記炭化水素基の炭素原子が置換される炭素以外の原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子等が挙げられる。前記炭化水素基における炭素原子の一部が炭素以外の原子に置換された基は、例えば、前記炭化水素基中の「−CH−」が、「−O−」、「−S−」、又は「−NH−」に置換されたものでもよく、炭化水素基中の「−CH<」が「−N<」に置換されたものでもよい。ただし、炭素以外の原子に置換される炭素原子は、一般式(2−1)中のLに直接結合する炭素原子以外の炭素原子である。また、炭素以外の原子に置換された炭素原子の数は、1でも2以上でもよく、2以上の炭素原子が同種の原子に置換されてもよく、2以上の炭素原子が異種の原子に置換されてもよい。
R46又はLR47で表される2価の有機連結基が前記炭化水素基である場合、上記炭化水素基全体の炭素数としては、例えば1以上20以下が挙げられ、1以上15以下が好ましく、1以上10以下がより好ましい。また、LR46又はLR47で表される2価の有機連結基が前記炭化水素基における炭素原子の一部が炭素以外の原子に置換された基である場合、炭素数は少なくとも1以上であり、かつ、炭素と炭素原子が置換される炭素以外の原子との合計は、2以上20以下が好ましく、2以上15以下が好ましく、2以上10以下がより好ましい。
R46及びLR47の好ましい例としては、単結合又は炭素原子が炭素以外の原子に置換されていない炭化水素基が挙げられ、その中でも単結合又は炭素数1以上20以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基がより好ましく、単結合又は炭素数1以上10以下の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。
また、一般式(R4−6)中のMはNa又はNHが好ましい。
で表される1価の有機基のうち、スルホ基又はその塩を有する有機基としては、一般式(R4−6)で表される基が好ましく、その中でもLR47が単結合又は炭素数1以上10以下の直鎖状のアルキレン基であり、かつ、MがNa又はNHである有機基がより好ましい。
なお、Rで表される1価の有機基のうち、接着性官能基として「スルホ基又はその塩の誘導体」を有する有機基としては、例えば、上記「接着性官能基としてスルホ基を有する有機基」において、水素原子がアルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)等に置換された基(スルホン酸アルキルエステル)等が挙げられる。
一般式(2−1)で表される単量体がアクリルアミド類である場合、R及びRが水素原子、Lがカルボニル基、Rがアミノ基である。
一般式(2−1)で表される単量体がメタクリルアミド類である場合、Rがメチル基であること以外は、アクリルアミド類と同様である。
で表されるアミノ基としては、例えば、前記一般式(R4−4)で表される基のうち、LR45が単結合であるものが挙げられ、R42及びR43の具体例及び好ましい基は前述の通りである。
一般式(2−1)で表される単量体は、樹脂に対する親和性の観点から、これらの中でも特に、Rが、下記構造式(R4)で表される基、カルボキシアルキル基、ポリオキシアルキレン基、ジアルキルアミノ基、並びにスルホ基及びその塩の少なくとも1種を有する1価の有機基であるものが好ましい。
一般式(1)中のPで表される高分子鎖は、樹脂の中でも特にポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂に対する親和性の観点から、一般式(2)で表される単位として、Rが、構造式(R4)で表される基、ポリオキシアルキレン基、及びジアルキルアミノ基の少なくとも1種を有する1価の有機基であるものを含むことが好ましい。
また、一般式(1)中のPで表される高分子鎖は、樹脂の中でも特にポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂に対する親和性の観点から、一般式(2)で表される単位として、Rが、構造式(R4)で表される基、カルボキシアルキル基、ジアルキルアミノ基、並びにスルホ基及びその塩の少なくとも1種を有する1価の有機基であるものを含むことが好ましい。
さらに、一般式(1)中のPで表される高分子鎖は、ポリエステル樹脂及びポリオレフィン樹脂の両方に対する親和性の観点から、一般式(2)で表される単位として、Rが、構造式(R4)で表される基、ポリオキシアルキレン基、及びジアルキルアミノ基の少なくとも1種を有する1価の有機基であるものと、Rが、構造式(R4)で表される基、カルボキシアルキル基、ジアルキルアミノ基、並びにスルホ基及びその塩の少なくとも1種を有する1価の有機基であるものと、の両方を含むことが好ましい。
一般式(1)中のPで表される高分子鎖全体に含まれる一般式(2)で表される単位の割合(含有量)は、例えば5質量%以上95質量%以下が挙げられ、5質量%以上50質量%以下がより好ましい。なお、Pで表される高分子鎖が一般式(2)で表される単位を複数種含む場合、上記含有量は、複数種の一般式(2)で表される単位全てにおける含有量の合計を意味する。
一般式(1)中のPで表される高分子鎖は、一般式(2)で表される単位のほかに、一般式(3)で表される単位をさらに含むことが好ましい。
一般式(3)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Lはカルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、カルボニル基、エーテル結合、又はフェニレン基を表し、Rは炭素数3以上20以下のアルキル基を表す。
で表される高分子鎖が一般式(3)で表される単位をさらに含むことで、炭化水素系溶媒を含むキャリア液を有する液体現像剤に用いたときに、トナー粒子の高い分散性が得られる。その理由は定かではないが、Rで表される有機基がトナー粒子への親和性を有すると共に、Rで表されるアルキル基が炭化水素系溶媒に親和性があることにより、トナー粒子がキャリア液中に分散されやすくなるためと推測される。
一般式(1)中のPで表される高分子鎖は、一般式(3)で表される単位を1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。一般式(1)中のPで表される高分子鎖が一般式(3)で表される単位を2種以上含む場合、合成容易性の観点からは、前記2種以上の単位における一般式(3)中のR、R、及びLが同じであることが好ましい。また、合成容易性の観点からは、一般式(3)で表される単位におけるR、R、及びLが、それぞれ一般式(2)で表される単位におけるR、R、及びLと同じであることが好ましい。
一般式(3)で表される単位としては、例えば、下記一般式(3−1)で表される単量体の重合(例えばラジカル重合)により形成される単位が挙げられる。
上記一般式(3−1)中のR、R、R、及びLは、それぞれ一般式(3)中のR、R、R、及びLと同様である。
一般式(3−1)で表される単量体としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、スチレン類、アクリルアミド類、メタクリルアミド等が挙げられる。
一般式(3−1)で表される単量体がアクリル酸エステル類である場合、R及びRが水素原子、Lがカルボニルオキシ基、Rが炭素数3以上20以下のアルキル基である。
一般式(3−1)で表される単量体がメタクリル酸エステル類である場合、Rがメチル基であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
一般式(3−1)で表される単量体がクロトン酸エステル類である場合、Rがメチル基であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
一般式(3−1)で表される単量体がビニルエステル類である場合、Lがオキシカルボニル基であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
一般式(3−1)で表される単量体がビニルエーテル類である場合、Lがエーテル結合であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
一般式(3−1)で表される単量体がビニルケトン類である場合、Lがカルボニル基であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
一般式(3−1)で表される単量体がスチレン類である場合、Lがフェニレン基であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
で表される炭素数3以上20以下のアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよいが、直鎖状が好ましく、炭素数5以上15以下の直鎖状のアルキル基がより好ましく、炭素数5以上12以下の直鎖状のアルキル基がさらに好ましく、炭素数6以上10以下の直鎖状のアルキル基が特に好ましい。
一般式(1)中のPで表される高分子鎖全体に含まれる一般式(3)で表される単位の割合(含有量)は、例えば5質量%以上95質量%以下が挙げられ、50質量%以上95質量%以下がより好ましい。なお、Pで表される高分子鎖が一般式(3)で表される単位を複数種含む場合、上記含有量は、複数種の一般式(3)で表される単位全てにおける含有量の合計を意味する。
一般式(1)中のPで表される高分子鎖は、一般式(2)で表される単位及び一般式(3)で表される単位のほかに、その他の単位をさらに含んでもよい。その他の単位は特に限定されないが、例えば、下記一般式(4)で表される単位が挙げられる。
一般式(4)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Lはカルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、カルボニル基、エーテル結合、又はフェニレン基を表し、R10は炭素数1以上2以下のアルキル基を表す。
一般式(4)中のR、R、及びLは、それぞれ一般式(3)中のR、R、及びLと同様である。
一般式(1)中のPで表される高分子鎖が一般式(4)で表される単位を含む場合、1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。一般式(1)中のPで表される高分子鎖が一般式(4)で表される単位を2種以上含む場合、合成容易性の観点からは、前記2種以上の単位における一般式(4)中のR、R、及びLが同じであることが好ましい。また、合成容易性の観点からは、一般式(4)で表される単位におけるR、R、及びLが、それぞれ一般式(2)で表される単位におけるR、R、及びLと同じであることが好ましい。
一般式(4)で表される単位としては、例えば、下記一般式(4−1)で表される単量体の重合(例えばラジカル重合)により形成される単位が挙げられる。
上記一般式(4−1)中のR、R、R10、及びLは、それぞれ一般式(4)中のR、R、R10、及びLと同様である。
一般式(4−1)で表される単量体としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、スチレン類、アクリルアミド類、メタクリルアミド等が挙げられる。
一般式(4−1)で表される単量体がアクリル酸エステル類である場合、R及びRが水素原子、Lがカルボニルオキシ基、R10が炭素数1以上2以下のアルキル基である。
一般式(4−1)で表される単量体がメタクリル酸エステル類である場合、Rがメチル基であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
一般式(4−1)で表される単量体がクロトン酸エステル類である場合、Rがメチル基であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
一般式(4−1)で表される単量体がビニルエステル類である場合、Lがオキシカルボニル基であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
一般式(4−1)で表される単量体がビニルエーテル類である場合、Lがエーテル結合であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
一般式(4−1)で表される単量体がビニルケトン類である場合、Lがカルボニル基であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
一般式(4−1)で表される単量体がスチレン類である場合、Lがフェニレン基であること以外は、アクリル酸エステル類と同様である。
一般式(1)中のPで表される高分子鎖がその他の単位を含む場合、高分子鎖全体に含まれるその他の単位の割合(含有量)は、例えば5質量%以上95質量%以下が挙げられ、5質量%以上50質量%以下がより好ましい。なお、Pで表される高分子鎖が前記その他の単位を複数種含む場合、上記含有量は、複数種のその他の単位全てにおける含有量の合計を意味する。
一般式(1)中のPで表される高分子鎖は、下記一般式(5)で表される高分子鎖であることが好ましい。
一般式(5)中、R〜R10及びL〜Lは、それぞれ一般式(2)〜一般式(4)中のR〜R10及びL〜Lと同じである。一般式(5)中、*は一般式(1)中のAに結合する位置を表し、R11は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数1以上10以下のアルコキシ基を表し、a、b、及びcはそれぞれ独立に各単位の含有量(質量%)を表し、0<a≦100、0≦b<100、0≦c<100、a+b+c=100である。
なお、一般式(5)で表される高分子鎖は、一般式(2)で表される単位を複数種含んでもよく、その場合、一般式(5)中のaは複数種の一般式(2)で表される単位全てにおける含有量(質量%)の合計を意味する。aは1以上99以下が好ましく、5以上95以下がより好ましく、5以上75以下がさらに好ましく、5以上50以下が特に好ましい。
同様に、一般式(5)で表される高分子鎖は、一般式(3)で表される単位を複数種含んでもよく、その場合、一般式(5)中のbは複数種の一般式(3)で表される単位全てにおける含有量(質量%)の合計を意味する。bは1以上99以下が好ましく、5以上95以下がより好ましく、50以上95以下がさらに好ましく、60以上85以下が特に好ましい。
また、一般式(5)で表される高分子鎖は、一般式(4)で表される単位を複数種含んでもよく、その場合、一般式(5)中のcは複数種の一般式(4)で表される単位全てにおける含有量(質量%)の合計を意味する。cは1以上99以下が好ましく、5以上95以下がより好ましく、5以上75以下がさらに好ましく、5以上50以下が特に好ましい。
なお、一般式(5)で表される高分子鎖が共重合体である場合、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
一般式(5)で表される高分子鎖としては、好ましくは、下記一般式(5−1)〜(5−10)で表される高分子鎖が挙げられる。
一般式(5−1)〜(5−6)中、R、R10、a1、b1、及びc1は、それぞれ一般式(5)におけるR、R10、a、b、及びcと同じである。
また、一般式(5−7)〜(5−10)中、R及びR10はそれぞれ一般式(5)におけるR及びR10と同じであり、a1とa2との合計が一般式(5)におけるaと同じであり、b1及びc1はそれぞれ一般式(5)におけるb及びcと同じである。
また、一般式(5−4)、(5−7)、及び(5−8)中のnは、エチレンオキシ基の繰り返し数を表し、n=9である。
以下、一般式(5)で表される高分子鎖の具体例(下記表中の「例示高分子鎖」)を示すが、これに限定されるものではない。なお、下記例示高分子鎖は、いずれもランダム共重合体である。また、下記表中のR、R10、a1、a2、b1、及びc1は、それぞれ対応する一般式におけるR、R10、a1、a2、b1、及びc1を意味する。
一般式(1)で表される分散剤全体の重量平均分子量としては、例えば1000以上100万以下が挙げられ、3000以上20万以下が好ましく、5000以上10万以下がより好ましく、1万5000以上10万以下がさらに好ましい。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
以下、一般式(1)で表される分散剤の具体例を示すが、これに限定されるものではない。
なお、下記表中のR、A、L、X、L、A、及びPは、それぞれ一般式(1)におけるR、A、L、X、L、A、及びPを意味する。また、下記表中、Rの列に記載の番号は前記「Rの例示有機基」の番号であり、Xの列に記載の番号は前記「Xの例示連結基」の番号であり、Pの列に記載の番号は前記「例示高分子鎖」の番号である。
<製造方法>
以下、本実施形態の分散剤の製造方法について説明する。
一般式(1)で表される分散剤は、公知の方法によって合成される。
一例として、一般式(1)で表される分散剤のうち、A及びAが硫黄原子である化合物の合成方法を以下に示すが、これに限られるものではない。
一般式(1)で表される分散剤のうちA及びAが硫黄原子である化合物は、例えば、下記経路1)〜経路2)の反応を経て得られる。
・経路1)一般式(1)のXで表される有機連結基を含みm+n個のメルカプト基を有する化合物(以下「ポリチオール」ともいう)と、メルカプト基と反応する基(例えば炭素−炭素二重結合)を有し、ポリチオールのメルカプト基との反応により一般式(1)のRで表される有機基となる化合物と、の付加反応により、ポリチオールのR付加体を得る。
・経路2)ポリチオールのR付加体と、一般式(2−1)で表される単量体と、必要に応じて一般式(3−1)で表される単量体及び一般式(4−1)で表される単量体と、の重合反応により、一般式(1)で表される分散剤を得る。
一般式(1)のXで表される有機連結基を含みm+n個のメルカプト基を有する化合物(ポリチオール)の具体例としては、例えば、下記例示化合物が挙げられる。
メルカプト基と反応する基として炭素−炭素二重結合を有し、ポリチオールのメルカプト基との反応により一般式(1)のRで表される有機基となる化合物の具体例としては、例えば、下記例示化合物が挙げられる。
一般式(2−1)で表される単量体の具体例のうち、接着性官能基がスルホ基又はその塩である単量体としては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリックアシッドエステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコニックアシッドエステル、およびこれらの塩が挙げられる。
一般式(2−1)で表される単量体の具体例のうち、接着性官能基がアミノ基である単量体としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−オクチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族アミノ基を有する(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジオクチルアミノスチレン等のアミノ基を有するスチレン類;等が挙げられる。
一般式(2−1)で表される単量体の具体例としては、例えば、下記例示化合物も挙げられる。
一般式(3−1)で表される単量体の具体例としては、例えば、下記例示化合物が挙げられる。
一般式(4−1)で表される単量体の具体例としては、例えば、下記例示化合物が挙げられる。
[液体現像剤]
本実施形態に係る液体現像剤は、トナー粒子と、上述した本実施形態の分散剤と炭化水素系溶媒とを含むキャリア液と、を有する。
以下、本実施形態に係る液体現像剤の構成について詳細に説明する。
<トナー粒子>
まず、トナー粒子の構成材料等について詳細に説明する。
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、必要に応じて、着色剤と、離型剤と、その他添加剤と、を含んで構成される。
(結着樹脂)
本実施形態のトナー粒子に用いられる結着樹脂は、特に制限されないが、重付加反応または重縮合反応により合成されたものであることが、低温定着性、保存安定性の点で望ましい。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオール樹脂等が挙げられる。この中では、組み合わせて用いる結晶性樹脂との相溶性、離型剤の内包性の観点からポリエステル樹脂が望ましく用いられる。
本実施形態においては、結着樹脂として非晶性樹脂に加えて結晶性樹脂を用いることが、定着の際のシャープ(鋭敏)な溶融特性を得る観点から望ましい。
なお、本実施形態において、「結晶性樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂を指す。具体的には、少なくとも重量平均分子量が5000を超える結晶性の樹脂を意味し、通常は、重量平均分子量が10000以上の結晶性の樹脂を意味する。
また、本実施形態において、「非晶性樹脂」とは、半値幅が10℃を超えること樹脂、階段状の吸熱量変化を示す樹脂、又は明確な吸熱ピークが認められない樹脂を指す。
−結晶性樹脂−
結晶性樹脂は、溶融温度を有するため特定温度における粘度の低下が大きく、定着の際にトナー粒子が加熱された際に、結晶性樹脂分子が熱的に活動を開始してから定着し得る領域までの温度差を小さくし得るため、さらに優れた低温定着性を付与し得る。トナー粒子中の結晶性樹脂の含有量は、1質量%以上10質量%以下の範囲が望ましく、2質量%以上8質量%以下の範囲がさらに望ましい。
本実施形態で用いる結晶性樹脂は、低温定着性とトナー粒子の保存安定性を確保するために、45℃以上110℃以下の範囲に溶融温度(Tm)を有するものが適当である。より望ましい溶融温度の範囲は50℃以上100℃以下であり、さらに望ましい範囲は55℃以上90℃以下である。前記樹脂の溶融温度は、ASTMD3418−8に準拠した方法で求める。
また、結晶性樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上であることが望ましく、4000以上であることがより望ましい。
本実施形態に用いる結晶性樹脂としては、重量平均分子量が5000を超え、且つ結晶性を持つ樹脂が望ましく、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル系樹脂が挙げられ、中でも結晶性ポリエステル樹脂が望ましい。また、適度な溶融温度をもつ脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより望ましい。
前記結晶性ビニル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の長鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステルを用いたビニル系樹脂が挙げられる。
なお、本明細書中において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および「メタクリル」のいずれをも含むことを意味するものである。
また、「(メタ)アクリレート」とは、「アクレート」および「メタクリレート」のいずれをも含むことを意味するものである。
一方、前記結晶性ポリエステル樹脂は、カルボン酸(ジカルボン酸)成分と、アルコール(ジオール)成分とから合成される重縮合体であることが好ましい。以下、カルボン酸成分、およびアルコール成分について、さらに詳しく説明する。なお、本実施形態では、結晶性ポリエステル樹脂の主鎖に対して、その他の成分を50質量%以下の割合で共重合した共重合体も結晶性ポリエステル樹脂とする。
上記カルボン酸成分は、脂肪族ジカルボン酸が望ましく、特に直鎖型のカルボン酸が望ましい。例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、またはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記カルボン酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸成分のほか、二重結合を持つジカルボン酸成分、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分等の構成成分が含まれていることが望ましい。なお、前記二重結合を持つジカルボン酸成分には、二重結合を持つジカルボン酸に由来する構成成分のほか、二重結合を持つジカルボン酸の低級アルキルエステルまたは酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。また、前記スルホン酸基を持つジカルボン酸成分には、スルホン酸基を持つジカルボン酸に由来する構成成分のほか、スルホン酸基を持つジカルボン酸の低級アルキルエステルまたは酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。
前記二重結合を持つジカルボン酸は、その二重結合を利用して樹脂全体を架橋させ得るもので、好適に用いられる。こうしたジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、フマル酸、マレイン酸等が望ましい。
前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にし得る点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化または懸濁して、粒子を作製する際にスルホン酸基があれば、後述するごとく、界面活性剤を使用しないで乳化または懸濁し得る。こうしたスルホン酸基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるがこれらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が望ましい。
これらの脂肪族ジカルボン酸成分以外のカルボン酸成分(二重結合を持つジカルボン酸成分やスルホン酸基を持つジカルボン酸成分)の、カルボン酸成分における含有量としては、1構成モル%以上20構成モル%以下が望ましく、2構成モル%以上10構成モル%以下がより望ましい。
なお、本実施形態において「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における各構成成分(カルボン酸成分、アルコール成分)を1単位(モル)としたときの百分率を指す。
一方、前記アルコール成分としては、脂肪族ジオールが望ましい。例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記アルコール成分は、脂肪族ジオール成分の含有量が80構成モル%以上であることが望ましく、またその他の成分を含んでもよい。前記アルコール成分としては、前記脂肪族ジオール成分の含有量が90構成モル%以上であることがより望ましい。
その他の成分としては、二重結合を持つジオール成分、スルホン酸基を持つジオール成分等の構成成分が挙げられる。
前記二重結合を持つジオールとしては、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール、4−オクテン−1,8−ジオール等が挙げられる。一方、前記スルホン酸基を持つジオールとしては、1,4−ジヒドロキシ−2−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、1,3−ジヒドロキシメチル−5−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、2−スルホ−1,4−ブタンジオールナトリウム塩等が挙げられる。
これらの直鎖型脂肪族ジオール成分以外のアルコール成分を加える場合(二重結合を持つジオール成分や、スルホン酸基を持つジオール成分)の、アルコール成分における含有量としては、1構成モル%以上20構成モル%以下が望ましく、2構成モル%以上10構成モル%以下がより望ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としてはとくに制限はなく、カルボン酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造され、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマーの種類によって使い分けて製造する。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、通常1/1である。
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180℃以上230℃以下の間で行われ、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。なお、反応系内を減圧にして行ってもよい。モノマーが、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合はあらかじめ相溶性の悪いモノマーと、そのモノマーと重縮合予定のカルボン酸成分またはアルコール成分とを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造の際に使用し得る触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物、リン酸化合物、およびアミン化合物等が挙げられ、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
例えば、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
また、結晶性樹脂の溶融温度、分子量等の調整の目的で上記の重合性単量体以外に、より短鎖のアルキル基、アルケニル基、芳香環等を有する化合物を使用してもよい。
具体例としては、ジカルボン酸の場合、コハク酸、マロン酸、シュウ酸等のアルキルジカルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ホモフタル酸、4,4’−ビ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類;ジピコリン酸、ジニコチン酸、キノリン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸等の含窒素芳香族ジカルボン酸類が挙げられる。ジオール類の場合、コハク酸、マロン酸、アセトンジカルボン酸、ジグリコール酸等の短鎖アルキルのジオール類が挙げられる。短鎖アルキルのビニル系重合性単量体の場合、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の短鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類等が挙げられる。これらの重合性単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
−非晶性樹脂−
本実施形態に用いられる非晶性樹脂としては、公知のトナー粒子用の非晶性の結着樹脂が利用され、例えば、スチレン−アクリル樹脂やポリエステル樹脂等を利用し得る。非晶性樹脂としては、非晶性ポリエステル樹脂を用いることが好適である。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は50℃以上80℃以下の範囲が望ましく、55℃以上65℃以下の範囲がより望ましい。また、重量平均分子量は8000以上30000以下の範囲であることが望ましく、8000以上16000以下の範囲であることがより望ましい。そして、第三成分を共重合してもよい。
また、非晶性ポリエステル樹脂は、これと組み合わせて用いる結晶性ポリエステル樹脂と共通のアルコール成分またはカルボン酸成分を持つことが混和性を高める上で望ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の製造方法は、特に制限はなく、前述のごとき一般的なポリエステル重合法で製造し得る。
非晶性ポリエステル樹脂の合成に用いるカルボン酸成分としては、結晶性ポリエステル樹脂に関して挙げた種々のジカルボン酸が用いられる。前記アルコール成分としても、非晶性ポリエステル樹脂の合成に用いる種々のジオールが用いられる。例えば、ポリエステル樹脂に関して挙げた脂肪族ジオールに加えて、ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物や水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールSエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物等を用いてもよい。
さらに、トナー粒子の製造性・耐熱性・透明性の観点から、ビスフェノールS、ビスフェノールSエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物等のビスフェノールS誘導体を用いることが特に望ましい。また、カルボン酸成分、アルコール成分とも複数の成分を含んでもよく、特に、ビスフェノールSは耐熱性を高める効果をもつ。
低温定着性の点から、非晶性ポリエステル樹脂としては、アルコール成分及びカルボン酸成分の少なくとも一方に脂肪族成分を含有していることが好ましい。
上記の結晶性ポリエステル樹脂および非晶性ポリエステル樹脂のいずれかのポリエステル樹脂としては、低温定着性の点から、アルコール成分及びカルボン酸成分の少なくとも一方に脂肪族成分を含むことがより好ましい。また、特定パラフィンオイルの結着樹脂に対する可塑化効果が高まる点でも、アルコール成分およびカルボン酸成分の少なくとも一方に脂肪族成分を含むことがより好ましい。
より低温定着性を向上させる点から、アルコール成分及びカルボン酸成分の少なくとも一方が脂肪族成分を含有するポリエステル樹脂のみであることがさらに好ましい。具体的には、非晶性ポリエステル樹脂、及び、これと組み合わせて用いる結晶性ポリエステル樹脂の両者のポリエステル樹脂にも、アルコール成分およびカルボン酸成分の少なくとも一方に脂肪族成分を含有していることが好ましい。
より低温定着性を高める点から、上記のポリエステル樹脂としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(酸の無水物、又は酸の低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルを含む)を含むカルボン酸成分と、脂肪族ジオールを含むアルコール成分との重縮合体であることがさらに好ましい。
また、同様の観点から、カルボキシ基の炭素を含む炭素数6以上16以下の脂肪族ジカルボン酸を含むカルボン酸成分と、炭素数4以上14以下の脂肪族ジオールを含むアルコール成分との重縮合体がさらに好ましい。さらに、カルボキシ基の炭素を含む炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸を含有するカルボン酸成分と炭素数4以上8以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分との重縮合体が特に好ましい。
次に、結着樹脂として用いられる非晶性樹脂、結晶性樹脂の架橋処理、及び結着樹脂の合成に際して用い得る共重合成分等について説明する。
結着樹脂の合成に際しては、他の成分を共重合させてもよく、親水性極性基を有する化合物を用いてもよい。
具体例としては、結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、スルホニル−テレフタル酸ナトリウム塩、3−スルホニルイソフタル酸ナトリウム塩等の芳香環に直接スルホニル基が置換したジカルボン酸化合物が挙げられる。また結着樹脂がビニル系樹脂の場合は、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸類、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、脂肪酸変性グリシジル(メタ)アクリレート、ジンクモノ(メタ)アクリレート、ジンクジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸とアルコール類等とのエステル類、オルト、メタ、パラ位のいずれかにスルホニル基を有するスチレンの誘導体、スルホニル基含有ビニルナフタレン等のスルホニル基置換芳香族ビニル等が挙げられる。
また、結着樹脂には、架橋剤を添加してもよい。
架橋剤の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族の多ビニル化合物類;フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、テレフタル酸ジビニル、ホモフタル酸ジビニル、トリメシン酸ジビニル/トリビニル、ナフタレンジカルボン酸ジビニル、ビフェニルカルボン酸ジビニル等の芳香族多価カルボン酸の多ビニルエステル類;ピリジンジカルボン酸ジビニル等の含窒素芳香族化合物のジビニルエステル類;ピロール、チオフェン等の不飽和複素環化合物類;ピロムチン酸ビニル、フランカルボン酸ビニル、ピロール−2−カルボン酸ビニル、チオフェンカルボン酸ビニル等の不飽和複素環化合物カルボン酸のビニルエステル類;ブタンジオールメタクリレート、ヘキサンジオールアクリレート、オクタンジオールメタクリレート、デカンジオールアクリレート、ドデカンジオールメタクリレート等の直鎖多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ、1,3−ジアクリロキシプロパン等の分枝、置換多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類;コハク酸ジビニル、フマル酸ジビニル、マレイン酸ビニル/ジビニル、ジグリコール酸ジビニル、イタコン酸ビニル/ジビニル、アセトンジカルボン酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、3,3’−チオジプロピオン酸ジビニル、trans−アコニット酸ジビニル/トリビニル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、スベリン酸ジビニル、アゼライン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニル、ブラシル酸ジビニル等の多価カルボン酸の多ビニルエステル類等が挙げられる。
また、特に結晶性ポリエステル樹脂においては、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、trans−アコニット酸等の不飽和の多カルボン酸類を、ポリエステル中に共重合させ、その後樹脂中の多重結合部分同士、または他のビニル系化合物を用いて架橋させる方法を用いてもよい。本実施形態において、これらの架橋剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
これら架橋剤により架橋させる方法としては、重合性単量体(モノマー)の重合の際に架橋剤と共に重合し架橋させる方法でもよい。また、不飽和部分は結着樹脂中に残留させ、結着樹脂を重合させた後、またはトナー粒子作製の後、不飽和部分を架橋反応により架橋させる方法でもよい。
結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、重合性単量体を重縮合して得られる。重縮合用の触媒としては、公知のものが使用され、具体例としては、チタンテトラブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ等が挙げられる。結着樹脂が、ビニル系樹脂である場合、重合性単量体をラジカル重合して得られる。
ラジカル重合用開始剤としては、乳化重合し得るものであれば、特に制限はない。具体的には、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピルテトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸−tert−ブチルヒドロペルオキシド、過蟻酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過メトキシ酢酸tert−ブチル、過N−(3−トルイル)カルバミン酸tert−ブチル等の過酸化物類、2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスプロパン、1,1’−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)硝酸塩、2,2’−アゾビスイソブタン、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスブタン、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニトリル、2−(4−ブロモフェニルアゾ)−2−アリルマロノジニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロへプタンニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、1,1’−アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1’−アゾビス−1,2−ジフェニルエタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4’−アゾビス−4−シアノペンタノエート)、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物類、1,4−ビス(ペンタエチレン)−2−テトラゼン、1,4−ジメトキシカルボニル−1,4−ジフェニル−2−テトラゼン等が挙げられる。これらの重合開始剤は、架橋反応の際の開始剤としても、使用される。
なお、結着樹脂として、主に結晶性ポリエステル樹脂および非晶性ポリエステル樹脂を中心に説明したが、その他にも、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル系単量体;さらにアクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸ナトリウム等のエチレン系不飽和酸単量体;さらにアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類単量体の単独重合体、それらの単量体を2種以上組み合せた共重合体、またはそれらの混合物、さらには、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、または、それらと前記ビニル系樹脂との混合物、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等を用いてもよい。
なお、後述のごとく本実施形態のトナー粒子を乳化重合凝集法により作製する場合、上記樹脂は樹脂粒子分散液として調製される。該樹脂粒子分散液は、乳化重合法およびそれに類似の不均一分散系における重合法で容易に得られる。また、予め溶液重合法や隗状重合法等で重合した重合体をその重合体が溶解しない溶媒中へ安定剤とともに添加して機械的に混合分散する方法など任意の方法でも得られる。
例えば、ビニル系単量体を用いる場合は、イオン性界面活性剤などを用い、望ましくはイオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤を併用して乳化重合法やシード重合法により、樹脂粒子分散液を作製し得る。
界面活性剤としては、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、アルキルアルコールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤、および、種々のグラフトポリマー等が挙げられるが、特に制限されるものではない。
乳化重合で樹脂粒子分散液を作製する場合は、不飽和酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸等を単量体成分の一部として添加することにより、粒子表面に保護コロイド層が形成され、ソープフリー重合を行い得るので特に望ましい。
前記樹脂粒子の体積平均粒径は、1μm以下であることが望ましく、より望ましくは0.01μm以上1μm以下である。なお、樹脂粒子の平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD2000A)を用い測定される。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定される値である。GPC装置として「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー社製)」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー社製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、RI(Refractive Index)検出器を用いて実験を行う。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製する。
−離型剤−
本実施形態に用いられる離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;シリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、リリバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物系、石油系のワックス、およびそれらの変性物などが挙げられる。
なお、乳化重合凝集法を利用してトナー粒子を作製する場合、これらの離型剤も、水中に、イオン性界面活性剤、高分子酸、高分子塩基などの高分子電解質とともに分散する。そして、溶融温度以上に加熱するとともに、強い剪断力を付与し得るホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて粒子化し、平均粒径1μm以下の離型剤粒子を含む離型剤粒子分散液として用いてもよい。
これらの離型剤粒子は、トナー粒子の作製に際して、その他の樹脂粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段に添加してもよい。
これらの離型剤の添加量としては、トナー粒子全体に対して0.5質量%以上50質量%以下の範囲が望ましい。より望ましくは1質量%以上30質量%以下の範囲、更に望ましくは5質量%以上15質量%以下の範囲である。
また、本実施形態のトナー粒子中に分散含有される離型剤の平均分散径は、0.3μm以上0.8μm以下の範囲内であることが望ましく、0.4μm以上0.8μm以下の範囲内であることがより望ましい。
また、離型剤の分散径の標準偏差は0.05以下であることが望ましく、0.04以下であることがより望ましい。
なお、トナー粒子中に分散含有される離型剤の平均分散径は、TEM(透過型電子顕微鏡)写真を、画像解析装置(ニレコ社製、Luzex画像解析装置)で解析し、100個のトナー粒子中の離型剤の分散径(=(長径+短径)/2)の平均値を計算することで求められ、標準偏差はこのとき得られた個々の分散径を元に求められる。
また、トナー粒子表面の離型剤の露出率は、5atom%以上12atom%以下の範囲内が望ましく、6atom%以上11atom%以下の範囲内が更に望ましい。
ここで、露出率はXPS(X線光電子分光)測定により求められる。XPS測定装置としては、日本電子社製、JPS−9000MXを使用し、測定は、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を30mAに設定して実施される。ここで、C1Sスペクトルのピーク分離法によってトナー粒子表面の離型剤量を定量する。ピーク分離法は、測定されたC1Sスペクトルを、最小二乗法によるカーブフィッティングを用いて各成分に分離する。分離のベースとなる成分スペクトルには、トナー粒子の作製に用いた離型剤、結着樹脂、結晶性樹脂を単独に測定して得られたC1Sスペクトルを用いる。
−着色剤−
本実施形態に用いられる着色剤としては、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレートなどの種々の顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料などを1種または2種以上を併せて使用し得る。
なお、乳化重合凝集法を利用してトナー粒子を作製する場合、これらの着色剤も、溶媒中に分散させ、着色剤粒子分散液として用いる。この場合の着色剤粒子の体積平均粒径は、0.8μm以下であることが望ましく、より望ましくは0.05μm以上0.5μm以下である。
また、着色剤粒子分散液中の体積平均粒径0.8μm以上の粗大粒子の存在割合は、10個数%未満が望ましく、0個数%が望ましく、着色剤粒子分散液中の平均粒径0.05μm以下の粒子の存在割合は、5個数%以下が望ましい。
なお、着色剤粒子の体積平均粒径も、レーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD2000A)を用い測定される。なお、着色剤の添加量は、トナー粒子全体に対し、1質量%以上20質量%以下の範囲に設定するのが望ましい。
これらの着色剤の溶媒への分散方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなど、いかなる方法でもよくなんら制限されるものではない。
また、着色剤は、ロジン、ポリマー等により表面改質処理したものも利用し得る。表面改質処理がなされた着色剤は、着色剤粒子分散液中で安定化されており、着色剤が着色剤粒子分散液中で求められる平均粒径に分散された後、樹脂粒子分散液との混合の際、凝集工程等においても着色剤同士が凝集することがなく、良好な分散状態を維持し得る点で有利である。
なお、着色剤の表面処理に用いるポリマーとしては、アクリロニトリル重合体、メチルメタクリレート重合体等が挙げられる。
表面改質の条件としては、一般に、着色剤(顔料)存在下にモノマーを重合させる重合法、ポリマー溶液中に着色剤(顔料)を分散させ、該ポリマーの溶解度を低下させて着色剤(顔料)表面に析出させる相分離法等が用いられる。
−その他の添加成分−
本実施形態のトナー粒子を磁性トナー粒子として用いる場合は、磁性粉を含有させる。磁性粉としては、フェライトやマグネタイト等の磁性酸化物;還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の磁性金属;合金又はこれら磁性金属を含む化合物;などが挙げられる。さらに、4級アンモニウム塩、ニグロシン系化合物やトリフェニルメタン系顔料など、通常使用される種々の帯電制御剤を添加してもよい。
本実施形態のトナー粒子においては、無機粒子を含有させてもよい。中心粒径が5nm以上30nm以下の無機粒子と、中心粒径が30nm以上100nm以下である無機粒子とが、トナーに対して0.5質量%以上10質量%以下の範囲で含有されることが、耐久性の点でより望ましい。
前記無機粒子は、シリカ、疎水化処理シリカ、酸化チタン、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、コロイダルシリカ、カチオン表面処理コロイダルシリカ、アニオン表面処理コロイダルシリカ等が用いられる。これらの無機粒子は、予め超音波分散器などを用いてイオン性界面活性剤の存在下分散処理されるが、この分散処理が不要なコロイダルシリカの使用がより望ましい。
また、本実施形態のトナー粒子には公知の外添剤を外添してもよい。外添剤としてはシリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなどの無機粒子が利用される。例えば、流動性助剤やクリーニング助剤としてはシリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機粒子や、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂粒子が利用される。外添剤の添加方法は特に限定されないが、乾燥状態で剪断力を加えてトナー粒子表面に添加してもよい。
次に、本実施形態のトナー粒子の製造について説明する。
本実施形態のトナーは、公知のいかなるトナー製造方法によって作製してもよいが、特にいわゆる湿式製法、すなわち、水若しくは有機溶媒中、またはそれらの混合溶媒中で、結着樹脂と着色剤とを含む着色粒子を造粒する造粒工程と、着色粒子を洗浄・乾燥する洗浄・乾燥工程とを経て製造されることが、前述のトナー粒子表面の元素組成を制御する上で望ましい。
こうした湿式製法としては、着色剤、離型剤、その他の成分等を、非晶性樹脂等の結着樹脂を形成する重合性単量体とともに懸濁させ、重合性単量体を重合する懸濁重合法、前記イオン性解離基を有する化合物、結着樹脂、着色剤、離型剤等のトナー構成材料を有機溶媒に溶解させ、水系溶媒中に懸濁状態で分散させた後に有機溶媒を除去する溶解懸濁法、非晶性樹脂等の結着樹脂成分を乳化重合により作製し、顔料、離型剤等の分散液とともにヘテロ凝集させ、その後融合し合一する乳化重合凝集法などが挙げられるが、これらに限定されることはない。なお、これらの中で、トナー粒子の粒径制御性、狭粒度分布、形状制御性、狭形状分布、内部分散制御性等が優れていることから乳化重合凝集法が最適である。
乳化重合凝集法を利用する場合、本実施形態のトナー粒子は、例えば非晶性樹脂や結晶性樹脂等の結着樹脂を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤を分散させた着色剤粒子分散液、および離型剤を分散させた離型剤粒子分散液を混合した原料分散液中にて、凝集粒子を形成する凝集工程と、凝集粒子が形成された原料分散液中を結着樹脂のガラス転移温度(または結晶性樹脂の溶融温度)以上の温度に加熱して、凝集粒子を融合する融合工程と、を少なくとも経て製造し得る。なお、原料分散液には、無機粒子分散液等のその他の分散液を加えてもよい。特に、表面を疎水化させた無機粒子分散液を添加する場合、疎水化度の程度によりトナー粒子内部の離型剤、結晶性樹脂の分散性を制御し得る。
以下、本実施形態のトナー粒子の製造方法について、乳化重合凝集法を具体例としてより詳細に説明する。
本実施形態のトナー粒子を乳化重合凝集法により作製する場合、凝集工程と、融合工程とを少なくとも経て作製されるものであるが、凝集工程を経て形成された凝集粒子(コア粒子)の表面に樹脂粒子を付着させたコア−シェル構造を有する凝集粒子を形成する付着工程を設けてもよい。
−凝集工程−
凝集工程においては、非晶性樹脂や結晶性樹脂等の結着樹脂を分散させた樹脂粒子分散液(なお、非晶性樹脂や結晶性樹脂等をそれぞれ別々の分散液として準備してもよい)と、着色剤を分散させた着色剤粒子分散液と、離型剤を分散させた離型剤粒子分散液と、を混合した原料分散液中にて、凝集粒子を形成する。
具体的には、各種の分散液を混合して得た原料分散液を加熱し、原料分散液中の粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。なお、加熱は、非晶性樹脂のガラス転移温度を下回る温度で実施する。望ましい温度範囲は、5℃から25℃下回る範囲である。
凝集粒子の形成は、回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(23℃)で凝集剤を添加し、原料分散液のpHを酸性にすることによってなされる。
前記凝集工程に用いられる凝集剤は、原料分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、すなわち無機金属塩の他、2価以上の金属錯体が好適に用いられる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上するため特に望ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布(狭い粒度分布)を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
本実施形態においては、特に前記第IIA族元素、第IIIB族元素および第IVB族元素(炭素除く)の存在割合を制御するために、凝集工程において、前記無機金属塩を無機粒子分散液としたものを加えると共に凝集させることが望ましい。これにより、結着樹脂の分子鎖末端に有効に作用し、架橋構造の形成に寄与する。
無機粒子分散液は前述の着色剤粒子分散液等における方法で作製され、無機粒子の分散平均粒径は100nm以上500nm以下の範囲とすることが望ましい。
凝集工程では無機粒子分散液を段階的に添加してもよく、また、連続的に投入してもよい。これらの方法は、トナー粒子表面から内部にかけて存在割合を達成するために有効である。段階的に添加する場合は、3段階以上、連続的に添加する場合は、分散液を0.1g/min以下のゆっくりとした速度で添加していくことが特に望ましい。
また、無機粒子分散液の添加量は、必要とされる金属の種類や架橋構造形成の程度により異なるが、結着樹脂成分100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下の範囲とすることが望ましく、1質量部以上5質量部以下の範囲とすることがより望ましい。
凝集工程を経た後には、付着工程を実施してもよい。付着工程では、上記した凝集工程を経て形成された凝集粒子の表面に、樹脂粒子を付着させることにより被覆層を形成する。これにより、いわゆるコア層とこのコア層を被覆するコア−シェル構造を有するトナー粒子が得られる。
被覆層の形成は、凝集工程において凝集粒子(コア粒子)を形成した分散液中に、通常、非晶性樹脂粒子を含む分散液を追添加することにより行われる。なお、付着工程で利用する非晶性樹脂は、凝集工程で利用するものと同一であっても異なっていてもよい。
なお、一般的に付着工程は、離型剤と共に結着樹脂として結晶性樹脂が主成分として含まれるコア−シェル構造を有するトナー粒子を作製する場合に用いられ、その主たる目的は、コア層に含まれる離型剤や結晶性樹脂のトナー粒子表面への露出の抑制や、トナー粒子の強度を補うことにある。
−融合工程−
凝集工程、または、凝集工程および付着工程を経た後に実施される融合工程は、これらの工程を経て形成された凝集粒子を含む懸濁液のpHを必要な範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
なお、このときのpH値のねらい目によって、特に前記第IA族元素(水素除く)の存在割合が望ましい範囲に制御される。
pHの調整は、酸やアルカリを添加することによって行なわれる。酸は特に限定されないが、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸の0.1%以上50%以下の水溶液が望ましい。アルカリは特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物の0.1%以上50%以下の水溶液が望ましい。pHの調整に於いて、局所的なpHの変化が起こると、局所的な凝集粒子自体の破壊や局所的な過剰凝集を引き起こし、また、形状分布の悪化をも招く。特にスケールが大きくなる程、酸やアルカリ量は多くなる。一般的には酸およびアルカリの投入箇所は1箇所であるので、同一時間で処理するならば投入箇所の酸およびアルカリの濃度はスケールが大きくなる程高くなる。
第IA族元素(水素除く)の存在割合を本実施形態の範囲とするためには、pHを6.0以上8.0以下の範囲とすることが望ましく、6.5以上7.5以下の範囲とすることがより望ましい。
上記の組成コントロールを行った後、凝集粒子を加熱して融合合一させる。そして、この加熱の際に前記各元素と樹脂の分子鎖末端が反応して架橋構造を形成する。
なお、融合は、非晶性樹脂のガラス転移温度(または結晶性樹脂の溶融温度)以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
融合の際の加熱に際して、または融合が終了した後に、その他の成分により架橋反応を行わせてもよい。また、融合と共に架橋反応を行ってもよい。架橋反応を行わせる場合には、トナー粒子の作製に際して、上述の架橋剤や重合開始剤を用いる。
重合開始剤は、原料分散液を作製する段階であらかじめこの分散液に混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集粒子に取り込ませてもよい。さらには、融合工程、または、融合工程の後に導入してもよい。凝集工程、付着工程、融合工程、または融合工程の後に導入する場合は、重合開始剤を溶解、または乳化した液を、分散液に加える。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
−洗浄、乾燥工程等−
凝集粒子の融合合一工程を終了した後、洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程等を行なってもよく、これらの工程を経て求められるトナー粒子を得る。洗浄工程は帯電性を考慮すると、イオン交換水で置換洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が望ましく用いられる。また、乾燥後のトナー粒子には、種々の外添剤を添加してもよい。
また、本実施形態のトナー粒子の体積平均粒径D50vは0.1μm以上10μm以下の範囲が望ましく、さらに、0.5μm以上4μm以下の範囲がより望ましい。
また、トナー粒子の体積平均粒度分布指標GSDvは1.28以下が望ましい。一方、個数平均粒度分布指標GSDpは1.30以下であることが望ましい。体積平均粒度分布指標GSDvは1.25以下であること、個数平均粒度分布指標GSDpは1.25以下であることがより望ましい。
ここで、本実施形態において、体積平均粒径D50vや各種の粒度分布指標は、例えばマルチサイザー4e型(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用して測定される。測定に際しては、分散剤として界面活性剤、望ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、前記マルチサイザー4e型により、アパーチャー径として、測定粒子径にあわせたものを使用し(10μm以上100μm以下)、粒径が0.2μmから60μmの範囲の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
こうして測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を累積体積平均粒径D16v、累積数平均粒径D16p、累積50%となる粒径を累積体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を累積体積平均粒径D84v、累積数平均粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2の式によって求められる。
さらに、平均円形度は0.940以上0.980以下の範囲であることが望ましく、0.950以上0.970以下の範囲であることがより望ましい。
なお、トナー粒子の平均円形度はフロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子株式会社製)により計測される。具体的な測定方法としては、予め不純固形物を除去した水100mlから150ml中に、分散剤として界面活性剤、望ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1ml以上0.5ml以下加え、更に測定試料を0.1g以上0.5g以下の範囲で加える。測定試料を分散した懸濁液は超音波分散器で1分から3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000万個/μl以上1万個/μl以下として前記装置によりトナー粒子の平均円形度を測定する。
本実施形態のトナー粒子のガラス転移温度(Tg)は、特に制限はないが、40℃以上90℃以下の範囲が好適に選択される。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えば、DSC測定機(示差走査熱量計DSC−7、パーキンエルマー社製)を用いてASTMD3418−8に準拠して測定される。装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の溶融温度を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行う。
<キャリア液>
次に、キャリア液について詳細に説明する。
キャリア液は、前述の通り、本実施形態の分散剤と脂肪族系炭化水素溶媒とを含み、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。
キャリア液に含まれる本実施形態の分散剤の含有量は、トナー粒子の分散性及び定着画像の記録媒体に対する接着性の観点から、0.0001質量%以上10質量%以下が好ましく、0.001質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上3質量%以下がさらに好ましい。
キャリア液は、不揮発性又は揮発性のいずれでもよい。
ここで、不揮発性とは、その引火点が130℃以上、又は、150℃で24時間後における揮発分が8質量%以下であることを意味する。引火点は、JIS K2265−4(2007年)により測定される。
以下、キャリア液を構成する成分(本実施形態の分散剤以外の成分)について説明する。
(炭化水素系溶媒)
炭化水素系溶媒としては、例えば、パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、芳香族系炭化水素等が挙げられる。
パラフィン系炭化水素としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン等の直鎖状パラフィン;イソヘキサン等の分岐状パラフィン;等が挙げられる。
ナフテン系炭化水素としては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、オレアナン等のシクロアルカン含有炭化水素が挙げられる。
芳香族系炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
炭化水素溶媒としては、これらのほかに、エチレングリコール等のポリオール化合物、パークロロエチレン等のハロゲン化炭化水素、2−ブタノール等のアルコール系化合物、テトラヒドロフラン、アセトン等も挙げられる。
パラフィン系炭化水素の市販品としては、例えば、MORESCO社製、モレスコホワイトP−40、モレスコホワイトP−55、モレスコホワイトP−70、モレスコホワイトP−100、モレスコホワイトP−200、モレスコホワイトP−350P、エクソン化学社製アイソパーL、アイソパーM等が挙げられる。
ナフテン系炭化水素の市販品としては、例えば、エクソン化学社製、エクソールD80、エクソールD110、エクソールD130、日本石油化学社製、ナフテゾールL、ナフテゾールM、ナフテゾールH、Newナフテゾール160、Newナフテゾール200、Newナフテゾール220、NewナフテゾールMS−20P等が挙げられる。
炭化水素系溶媒は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
炭化水素系溶媒は、これらの中でも、記録媒体へのダメージ(フイルムアタック性)、画像形成後のキャリア除去性、および安全性の観点から、脂肪族系炭化水素(すなわち、パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、脂肪族ポリコール化合物、脂肪族ハロゲン化炭化水素、脂肪族アルコール系化合物等)が好ましく、その中でもパラフィン系炭化水素がより好ましく、分枝状パラフィンがさらに好ましい。
(その他の成分)
キャリア液は、炭化水素系溶媒以外のその他の溶媒を含んでもよい。ただし、キャリア液全体に対するその他の溶媒の含有量は、49質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、キャリア液がその他の溶媒を含まないことがさらに好ましい。
その他の溶媒としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル等のシリコーンオイル等が挙げられる。
キャリア液には、必要に応じてその他の成分として、例えば、本実施形態の分散剤以外の分散剤、乳化剤、界面活性剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、沈降防止剤、帯電制御剤、帯電防止剤、老化防止剤、軟化剤、充填剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤等を含んでいてもよい。
<液体現像剤の製造方法>
本実施形態に係る液体現像剤は、既述のトナー粒子、キャリア液、さらに必要に応じて、その他添加剤を、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ビーズミル等の分散機を用いて混合し、粉砕して、トナー粒子等をキャリア液中に分散することにより得られる。
なお、トナー粒子等のキャリア液中への分散は分散機に限られず、ミキサーのごとく、特殊な攪拌羽根を高速で回転させ分散してもよいし、ホモジナイザーとして知られるローター・ステーターの剪断力で分散してもよいし、超音波によって分散してもよい。
キャリア液中のトナー粒子の濃度は、現像剤の粘度を適性に制御し、現像機内の現像液循環を円滑にするという観点から、0.5質量%以上40質量%以下の範囲とすることが望ましく、1質量%以上30質量%以下の範囲とすることがより望ましい。
その後、得られた分散液を、例えば孔径100μmの膜フィルターを用いて濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去してもよい。
[液体現像剤カートリッジ]
本実施形態に係る液体現像剤カートリッジは、上記の本実施形態の液体現像剤が収納された液体現像剤カートリッジであり、例えば、液体現像剤カートリッジ内に収納された液体現像剤が、供給管等を通じて、画像形成装置の現像装置に供給される。液体現像剤カートリッジは、液体現像剤カートリッジ内における液体現像剤の残量が無くなった際に交換するため、画像形成装置に着脱される構成としてもよい。なお、本実施形態の液体現像剤カートリッジの形態は特に限定されないが、タンク状の形態であってもよく、ボトル状の形態であってもよい。液体現像剤カートリッジの形態は、液体現像剤を収納する容量に応じて選択すればよい。
[画像形成装置及び画像形成方法]
本実施形態に係る画像形成装置は、少なくとも前述の本実施形態に係る液体現像剤を用いていれば特に限定されるものではなく、例えば、静電潜像保持体と、前記静電潜像保持体の表面を帯電する帯電装置と、前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、本実施形態に係る液体現像剤を貯留し、且つ、前記静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を前記液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記記録媒体上の前記トナー像を記録媒体に定着させる定着装置と、を有する画像形成装置が挙げられる。定着装置としては、例えば、前記記録媒体上の前記トナー像に加熱及び加圧を施して記録媒体に定着させる定着装置が挙げられる。
また本実施形態に係る画像形成方法は、少なくとも前述の本実施形態に係る液体現像剤を用いていれば特に限定されるものではなく、例えば、静電潜像保持体の表面を帯電する帯電工程と、前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を本実施形態に係る液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体上の前記トナー像を記録媒体に定着させる定着工程と、を有する画像形成方法が挙げられる。定着工程としては、例えば、前記記録媒体上の前記トナー像に加熱及び加圧を施して記録媒体に定着させる定着工程が挙げられる。
なお、上記画像形成装置(画像形成方法)では、前記定着装置(定着工程)が2段階での定着を行う態様であることがよい。具体的には、トナー像中のトナー粒子の貯蔵弾性率が1×10Paとなる温度(A)以上の温度にまで、前記トナー像に対し非接触で加熱を施す第1加熱装置(第1加熱工程)と、該第1加熱装置での加熱後(第1加熱工程後)に前記温度(A)以上の温度で加熱しつつ加圧を施す第2加熱加圧装置(第2加熱加圧工程)と、を有することが望ましい。
なお、前記第1加熱装置(第1加熱工程)では、トナー粒子の流動性を確保する観点から、非接触で加熱を行う、つまり接触せずに加熱する加熱装置で記録媒体のトナー像が形成されている側から加熱するか、記録媒体の背面側(トナー像が形成されていない側)から加熱するか、又はその両者の併用であることが望ましい。
本実施形態に係る画像形成装置(画像形成方法)において、記録媒体としては、特に限定されず、公知の記録媒体が適用される。例えば、熱可塑性樹脂フィルムが適用されてもよい。
熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム;ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム;ナイロン等のポリアミドフィルム等が挙げられる。その他、ポリカーボネート、ポリスチレン、変性ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸等のフィルムも挙げられる。これらのフィルムは、未延伸フィルム、一軸方向又は二軸方向に延伸した延伸フィルムのいずれのフィルムでもよい。さらに、熱可塑性樹脂フィルムは、単層又は多層の形態であってもよい。また、必要に応じて、トナー定着を補助する表面コート層、プラズマ処理、コロナ処理を行ったものを用いてもよい。
記録媒体として熱可塑性樹脂フィルムを適用する場合、本実施形態の液体現像剤を用いて画像を形成したときの熱可塑性樹脂フィルムの変形等の点から、熱可塑性樹脂フィルムは、一軸方向又は二軸方向に延伸されていることが好ましい。また、記録媒体が例えば、軟包装材料に用いるための熱可塑性樹脂フィルムである場合は、軟包装材料に求められる特性から、一軸方向又は二軸方向に延伸されていることが好ましい。また、軟包装材料に用いるための熱可塑性樹脂フィルムの厚みとしては、例えば、5μm以上250μm以下が挙げられ、望ましくは、10μm以上100μm以下が挙げられる。さらに、熱可塑性樹脂フィルムは、未処理であってもよい。画像の定着性を高める点から、熱可塑性樹脂フィルムは、コロナ処理、オゾン処理、低温プラズマ処理、フレーム処理、グロー放電処理等、接着性を向上させるための各種処理(例えば、樹脂コート)が施されていてもよい。
上記に挙げた熱可塑性樹脂フィルムの中でも、画像が形成される熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムのうちの少なくとも一つであることがより望ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレン、及びナイロンフィルムからなる群から選択される少なくとも一つであることがさらに望ましい。また、多層のフィルムである場合には、画像が形成される面がポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムからなる群から選択される少なくとも一つの熱可塑性樹脂フィルムであることがより望ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレン、及びナイロンフィルムからなる群から選択される少なくとも一つであることがさらに望ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルム、及びポリプロピレンのうちの少なくとも一つが特に望ましい。
また、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレン、及びナイロンフィルムは、一軸方向又は二軸方向に延伸されていることがさらに望ましい。
以下、本実施形態に係る画像形成方法及び画像形成装置の構成について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
画像形成装置100は、感光体(静電潜像保持体)10、帯電装置20、露光装置(潜像形成装置)12、現像装置14、中間転写体16、クリーナ18、転写ロール(転写装置)28、非接触加熱装置(第1加熱装置)32、加熱加圧ロール(第2加熱加圧装置)34A及び34Bを含んで構成される。
この感光体10は円柱形状を有し、感光体10の外周に、帯電装置20、露光装置12、現像装置14、中間転写体16、及びクリーナ18が順次に設けられている。さらに、中間転写体16に転写されたトナー像26が記録媒体30に転写される位置に転写ロール28が設けられている。また、記録媒体30の進行方向の転写ロール28よりも下流側に非接触加熱装置(第1加熱装置)32が設けられ、記録媒体30の進行方向の非接触加熱装置32よりも下流側に加熱加圧ロール(第2加熱加圧装置)34A及び34Bが対を成して設けられる。
以下、この画像形成装置100の動作について簡単に説明する。
帯電装置20が感光体10の表面を予め定められた電位に帯電させ、帯電された表面を画像信号に基づき、露光装置12が、例えばレーザ光線によって露光して静電潜像を形成する。
現像装置14は、現像ロール14aと現像剤収納容器14bとを含んで構成される。現像ロール14aは、現像剤収納容器14bに収納される液体現像剤24に一部が浸るよう設けられる。液体現像剤24中では、トナー粒子は分散されているが、例えば液体現像剤24を、さらに現像剤収納容器14b内に設けられる攪拌部材によって攪拌してもよい。
現像ロール14aに供給された液体現像剤24は、規制部材によって定められた供給量に制限された状態で感光体10に搬送され、現像ロール14aと感光体10とが向かい合う(又は接触する)位置で静電潜像に供給される。これによって静電潜像は顕像化されてトナー像26となる。
現像されたトナー像26は、図の矢印B方向に回転する感光体10に搬送され、記録媒体30に転写されるが、本実施形態では、記録媒体30に転写する前に、一旦、中間転写体16にトナー像を転写する。このとき、感光体10及び中間転写体16間に周速差を設けてもよい。
次いで、中間転写体16により矢印C方向に搬送されたトナー像は、転写ロール28との接触位置において記録媒体30に転写される。
転写ロール28の記録媒体30進行方向下流には非接触加熱装置(第1加熱装置)32が設けてある。非接触加熱装置32は、板状の加熱装置であり表面が金属でなる板状体の内部にはヒータが設けてある。非接触加熱装置32の位置でトナー像はトナー粒子の貯蔵弾性率が1×10Paとなる温度(A)以上の温度にまで加熱される。
非接触加熱装置32に用いられる前記ヒータとしては、例えば、加熱対象となるトナー像側から当該トナー像に非接触で加熱する場合は、ハロゲンヒータ、熱風乾燥機などが、加熱対象となるトナー像の背面(つまり記録媒体側)から加熱する場合は、当該背面に接触する加熱板、加熱ロールなどが使用される。
なお、非接触加熱装置32での加熱の温度は、70℃以上であることが望ましい。ただし、記録媒体として、熱可塑性樹脂フィルムを用いる場合には、70℃以上110℃未満であることが望ましく、80℃以上100℃以下であることがより望ましく、80℃以上90℃以下であることがさらに望ましい。また、加熱の時間は、非接触加熱装置32の記録媒体30進行方向長さとプロセススピードとによって決まる。
非接触加熱装置(第1加熱装置)32の記録媒体30進行方向下流には加熱加圧ロール(第2加熱加圧装置)34A及び34Bが設けてある。非接触加熱装置32で加熱が施されたトナー像は、さらに加熱加圧ロール34A及び34Bにて前記温度(A)以上の温度で加熱しつつ加圧が施されることで、記録媒体30に定着される。
加熱加圧ロール34A及び34Bは、記録媒体30を挟んでニップを形成するよう対向配置される。加熱加圧ロール34A及び34Bは、金属ロールに弾性ゴム層、及びトナー離型のための離型層を形成し、定められた圧力とニップ幅が得られるよう図示しない加圧機構によって記録媒体30を挟み込んでいる。また、少なくとも加熱加圧ロール34A及び34Bの一方にヒータを備えているが、該ヒータは加熱加圧ロール34A及び34Bの両方が備えていてもよい。
加熱加圧ロール(第2加熱加圧装置)34A及び34Bでの加熱の温度は、前記温度(A)以上の温度であることがよい。熱可塑性樹脂フィルムを用いる場合には、70℃以上110℃未満であることが望ましく、80℃以上100℃以下であることがより望ましく、80℃以上90℃以下であることがさらに望ましい。また、印加される圧力は、1.5kg/cm以上5kg/cm以下であることが望ましく、2kg/cm以上3.5kg/cm以下であることがより望ましい。
加熱加圧ロール34A及び34Bの位置で記録媒体30にトナー像が定着されて定着画像29が形成される。その後、記録媒体30は図示しない排出部まで搬送される。
一方、中間転写体16にトナー像26を転写した感光体10では、転写されずに感光体10に残留したトナー粒子が、クリーナ18との接触位置まで運ばれ、クリーナ18によって回収される。なお、転写効率が100%に近く、残留したトナー粒子の発生が低減されている場合は、クリーナ18は設けなくともよい。
画像形成装置100は、さらに、転写後かつ次の帯電までに感光体10の表面を除電する除電装置(図示せず)を備えていてもよい。
画像形成装置100に備えられる帯電装置20、露光装置12、現像装置14、中間転写体16、転写ロール28、クリーナ18、及び、非接触加熱装置(第1加熱装置)32、加熱加圧ロール(第2加熱加圧装置)34A及び34Bは、すべて感光体10の回転速度と同期をとって動作されている。
次いで、本実施形態に係る別の態様の画像形成装置について、図を用いて詳述する。
図2は、本実施形態に係る別の態様の画像形成装置の一例を示す概略構成図であり、タンデム方式の画像形成装置を示す図である。
図2に示す画像形成装置は、シアン現像ユニット101−C、マゼンタ現像ユニット101−M、イエロー現像ユニット101−Y、黒現像ユニット101−Kを有する。各現像ユニットは、現像剤タンク102、現像剤供給ロール103、供給量規制手段104、現像ロール(現像装置)105、現像ロールクリーナ106、感光体(静電潜像保持体)107、帯電装置108、露光装置(潜像形成装置)109、一次転写装置110、及び感光体クリーナ111を有する。また、4つの各現像ユニットの感光体107それぞれに接するよう中間転写体125が設けられ、さらに、中間転写体125に転写されたトナー像を記録媒体127に転写する二次転写装置124、126が設けられる。記録媒体127の進行方向の二次転写装置124、126よりも下流側には定着ユニット(定着装置)131が設けられ、さらに、定着ユニット131の下流側には、及び排出ロール135が設けられる。
定着ユニット131には、記録媒体127進行方向の上流側から順に非接触加熱装置(第1加熱装置)136及び138と、ヒートロール132及びプレッシャーロール133(第2加熱加圧装置)と、が設けられる。
液体現像剤112は、図示しない現像剤循環手段により現像剤タンク102中において定められた量が維持され、現像剤供給ロール103によって現像剤タンク102から現像ロール105まで搬送される。現像剤供給ロール103は、表面を帯電させ静電的な力で現像剤を付着させる方式や、ロールに溝や凹みを設けて液体をくみ出すよう搬送する方式等があり、供給量規制手段104によって搬送量を定められた値になるよう規制する。感光体107は、表面が定められた帯電バイアス量になるよう帯電装置108で帯電され、図示しないホストコンピュータから送られた画像信号に伴い露光装置109からの光ビームにより表面に静電潜像が形成される。現像ロール105上の液体現像剤は、静電潜像に従い感光体107に転移してトナー像が形成され、不要な現像剤は、現像ロールクリーナ106と図示しない現像剤循環手段によって現像剤タンク102に戻される。
感光体107上に形成されたトナー像は、一次転写装置110によって中間転写体125に転写される。なお、中間転写体125は、駆動ロール121と支持ロール122、123、二次転写装置124によって支持され、駆動ロール121は図示しない駆動モータと動力伝達機構によって矢印方向に中間転写体125を駆動し、さらに図示しないバネ機構によって定められた張力を中間転写体125に与える。一次転写装置110は、静電力、圧力によってシアン、マゼンタ、イエロー、黒のトナー像を順次、中間転写体125に転写していく。各色の一次転写装置110では設定電位に差をつけてもよい。感光体107上に残った液体現像剤は感光体クリーナ111で除去される。
中間転写体125に転写されたトナー像は、二次転写装置124、126によって記録媒体127に転写され、さらに定着ユニット131にて定着される。
定着ユニット131は、記録媒体127進行方向の上流側から順に第1加熱装置及び第2加熱加圧装置を有し、第1加熱装置として非接触加熱装置136及び138を有する。非接触加熱装置136及び138は、板状の加熱装置であり表面が金属でなる板状体の内部にはヒータが設けてある。非接触加熱装置136及び138の位置でトナー像はトナー粒子の貯蔵弾性率が1×10Paとなる温度(A)以上の温度にまで加熱される。
非接触加熱装置136及び138での加熱の温度は、70℃以上であることが望ましい。ただし、記録媒体として、熱可塑性樹脂フィルムを用いる場合には、70℃以上110℃未満であることが望ましく、80℃以上100℃以下であることがより望ましく、80℃以上90℃以下であることがさらに望ましい。また、加熱の時間は非接触加熱装置136及び138の記録媒体127進行方向長さとプロセススピードとによって決まる。
また、定着ユニット131は第2加熱加圧装置として、ヒートロール132、プレッシャーロール133のロール対と各ロール内部に設けたヒータ134を備える。非接触加熱装置136及び138で加熱が施されたトナー像は、さらにヒートロール132、プレッシャーロール133のロール対にて前記温度(A)以上の温度で加熱しつつ加圧が施されることで、記録媒体127に定着される。
ヒートロール132及びプレッシャーロール133は、記録媒体127を挟んでニップを形成するよう対向配置される。ヒートロール132及びプレッシャーロール133のそれぞれは、金属ロールに弾性ゴム層、及びトナー粒子を離型するための離型層を形成し、定められた圧力とニップ幅が得られるよう図示しない加圧機構によって記録媒体127を挟み込んでいる。また、ヒートロール132及びプレッシャーロール133の両方にヒータを備えているが、該ヒータはヒートロール132及びプレッシャーロール133の一方のみに備えていてもよい。
ヒートロール132及びプレッシャーロール133での加熱の温度は、前記温度(A)以上の温度であることがよい。熱可塑性樹脂フィルムを用いる場合には、70℃以上110℃未満であることが望ましく、80℃以上100℃以下であることがより望ましく、80℃以上90℃以下であることがさらに望ましい。また、印加される圧力は、1.5kg/cm以上5kg/cm以下であることが望ましく、さらに、2kg/cm以上3.5kg/cm以下であることがより望ましい。
さらに、定着ユニット131の下流側には排出ロール135が設けられ、トナー像が定着された記録媒体127は排出ロール135によって図示しない排出部まで搬送される。
なお、第1加熱装置として、図1では記録媒体の裏側(トナー像の反対側)から加熱する、内部にヒータが設けてある板状の加熱装置を示し、図2では内部にヒータが設けてある板状の加熱装置によって記録媒体の表裏両面側から非接触で加熱する方式を説明したが、第1加熱装置の方式はこれには限られず、記録媒体の表側(トナー像側)に非接触で加熱し得るものであればよい。例えば、内部にヒータが設けてある板状の加熱装置によって記録媒体の表側(トナー像側)のみから加熱を行なってもよい。また、熱風を吹き付ける送風装置や、赤外光を照射する照射装置等を適用してもよい。
また、第2加熱加圧装置として、図1では加熱加圧ロール34A及び34Bのロール対を、図2ではヒートロール132及びプレッシャーロール133のロール対を示したが、これに限定されるものではない。例えば、加熱加圧ロールと加圧ベルトとを組合せた装置や、加圧ロールと加熱加圧ベルトとを組合せた装置等であってもよい。
また、上記図1及び図2に示す画像形成装置においては、画像形成装置に脱着される液体現像剤カートリッジ(不図示)から液体現像剤を現像剤収納容器14b又は現像剤タンク102に供給する方式としてもよい。また、上記液体現像剤カートリッジは、液体現像剤の残量が無くなった際に交換し得るよう画像形成装置に着脱される構成としてもよい。
以下、実施例により本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。また、ガラス転移点(Tg)、体積平均粒径(D50v)、重量平均分子量、及び数平均分子量は、前述した方法(装置)によって測定した値である。
[分散剤の合成]
<分散剤1−1の合成>
ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)〔DPMP;堺
化学工業(株)製〕7.83部及び下記例示化合物(R1−12−4)6.18部を、ジメチルホルムアミド89.78部に溶解させ、窒素気流下で70℃に加熱した。これに2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔V−65、和光純薬工業(株)製〕0.06部を加え、窒素気流下において70℃で3時間加熱した。更に、V−65を0.06部加え、窒素気流下において70℃で3時間反応させた後、室温(25℃)まで冷却させた。それにより、1/5付加体(DPMPが有するメルカプト基の1/5に例示化合物(R1−12−4)が付加した付加体)の20%溶液を得た。
得られた1/5付加体の20%溶液46.80部、メタクリル酸メチル1.00部、メタクリル酸ヘキシル17.00部、及びメタクリル酸ジエチルアミノエチル2.00部の混合溶液を、窒素気流下で80℃に加熱した。これに、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)〔AIBN、和光純薬工業(株)製〕0.005部を加えて窒素気流下において80℃で3時間加熱後、再度AIBN0.005部を加えて、窒素気流下において80℃で3時間反応させた。その後、室温(25℃)まで冷却し、アセトンで希釈した。多量のメタノールを用いて再沈殿させた後、真空乾燥させることにより、下記分散剤1−1(m=3.5、n=2.5、a1=10、b1=85、c1=5、重量平均分子量32,000)の固体19部を得た。
なお、下記分散剤1−1の構造式中、m及びnは一般式(1)中のm及びnと同様にXに結合する基の数の平均(1分子当たりの基数)を表し、a1、b1、及びc1は一般式(5)中のa、b、及びcと同様に各単位の含有量(質量%)を表す。
<分散剤1−2の合成>
ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)〔DPMP;堺
化学工業(株)製〕7.83部及び下記例示化合物(R1−12−4)6.18部を、ジメチルホルムアミド89.78部に溶解させ、窒素気流下で70℃に加熱した。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔V−65、和光純薬工業(株)製〕0.06部を加え、窒素気流下において70℃で3時間加熱した。更に、V−65を0.06部加え、窒素気流下において70℃で3時間反応させた後、室温(25℃)まで冷却させた。それにより、1/5付加体(DPMPが有するメルカプト基の1/5に例示化合物(R1−12−4)が付加した付加体)の20%溶液を得た。
得られた1/5付加体の20%溶液46.80部、メタクリル酸メチル1.00部、メタクリル酸ヘキシル17.00部、及び下記例示化合物(2−1−2)2.00部の混合溶液を、窒素気流下で80℃に加熱した。これに、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)〔AIBN、和光純薬工業(株)製〕0.005部を加えて窒素気流下において80℃で3時間加熱後、再度AIBN0.005部を加えて、窒素気流下において80℃で3時間反応させた。その後、室温(25℃)まで冷却し、アセトンで希釈した。多量のメタノールを用いて再沈殿させた後、真空乾燥させることにより、下記分散剤1−2(m=3.5、n=2.5、a1=10、b1=85、c1=5、重量平均分子量67,400)の固体20部を得た。
なお、下記分散剤1−2の構造式中、m及びnは一般式(1)中のm及びnと同様にXに結合する基の数の平均(1分子当たりの基数)を表し、a1、b1、及びc1は一般式(5)中のa、b、及びcと同様に各単位の含有量(質量%)を表す。
<分散剤1−3の合成>
ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)〔DPMP;堺
化学工業(株)製〕7.83部及び下記例示化合物(R1−12−4)6.18部を、ジメチルホルムアミド89.78部に溶解させ、窒素気流下で70℃に加熱した。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔V−65、和光純薬工業(株)製〕0.06部を加え、窒素気流下において70℃で3時間加熱した。更に、V−65を0.06部加え、窒素気流下において70℃で3時間反応させた後、室温(25℃)まで冷却させた。それにより、1/5付加体(DPMPが有するメルカプト基の1/5に例示化合物(R1−12−4)が付加した付加体)の20%溶液を得た。
得られた1/5付加体の20%溶液46.80部、メタクリル酸メチル1.00部、メタクリル酸ヘキシル17.00部、及び下記例示化合物(2−1−8)2.00部の混合溶液を、窒素気流下で80℃に加熱した。これに、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)〔AIBN、和光純薬工業(株)製〕0.005部を加えて窒素気流下において80℃で3時間加熱後、再度AIBN0.005部を加えて、窒素気流下において80℃で3時間反応させた。その後、室温(25℃)まで冷却し、アセトンで希釈した。多量のメタノールを用いて再沈殿させた後、真空乾燥させることにより、下記分散剤1−3(m=3.5、n=2.5、a1=10、b1=85、c1=5、重量平均分子量67,500)の固体20部を得た。
なお、下記分散剤1−3の構造式中、m及びnは一般式(1)中のm及びnと同様にXに結合する基の数の平均(1分子当たりの基数)を表し、a1、b1、及びc1は一般式(5)中のa、b、及びcと同様に各単位の含有量(質量%)を表す。
<分散剤1−4の合成>
ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)〔DPMP;堺
化学工業(株)製〕7.83部及び下記例示化合物(R1−12−4)6.18部を、ジメチルホルムアミド89.78部に溶解させ、窒素気流下で70℃に加熱した。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔V−65、和光純薬工業(株)製〕0.06部を加え、窒素気流下において70℃で3時間加熱した。更に、V−65を0.06部加え、窒素気流下において70℃で3時間反応させた後、室温(25℃)まで冷却させた。それにより、1/5付加体(DPMPが有するメルカプト基の1/5に例示化合物(R1−12−4)が付加した付加体)の20%溶液を得た。
得られた1/5付加体の20%溶液46.80部、メタクリル酸メチル1.00部、メタクリル酸ヘキシル17.00部、及び下記例示化合物(2−1−14)2.00部の混合溶液を、窒素気流下で80℃に加熱した。これに、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)〔AIBN、和光純薬工業(株)製〕0.005部を加えて窒素気流下において80℃で3時間加熱後、再度AIBN0.005部を加えて、窒素気流下において80℃で3時間反応させた。その後、室温(25℃)まで冷却し、アセトンで希釈した。多量のメタノールを用いて再沈殿させた後、真空乾燥させることにより、下記分散剤1−4(m=3.5、n=2.5、a1=10、b1=85、c1=5、重量平均分子量51,900)の固体20部を得た。
なお、下記分散剤1−3の構造式中、m及びnは一般式(1)中のm及びnと同様にXに結合する基の数の平均(1分子当たりの基数)を表し、a1、b1、及びc1は一般式(5)中のa、b、及びcと同様に各単位の含有量(質量%)を表す。
<分散剤1−9の合成>
ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)〔DPMP;堺
化学工業(株)製〕7.83部及び下記例示化合物(R1−12−4)6.18部を、ジメチルホルムアミド89.78部に溶解させ、窒素気流下で70℃に加熱した。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔V−65、和光純薬工業(株)製〕0.06部を加え、窒素気流下において70℃で3時間加熱した。更に、V−65を0.06部加え、窒素気流下において70℃で3時間反応させた後、室温(25℃)まで冷却させた。それにより、1/5付加体(DPMPが有するメルカプト基の1/5に例示化合物(R1−12−4)が付加した付加体)の20%溶液を得た。
得られた1/5付加体の20%溶液46.80部、メタクリル酸メチル1.00部、メタクリル酸ヘキシル15.00部、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート2.00部、及び下記例示化合物(2−1−2)2.00部の混合溶液を、窒素気流下で80℃に加熱した。これに、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)〔AIBN、和光純薬工業(株)製〕0.005部を加えて窒素気流下において80℃で3時間加熱後、再度AIBN0.005部を加えて、窒素気流下において80℃で3時間反応させた。その後、室温(25℃)まで冷却し、アセトンで希釈した。多量のメタノールを用いて再沈殿させた後、真空乾燥させることにより、下記分散剤1−9(m=3.5、n=2.5、a1=10、a2=10、b1=75、c1=5、重量平均分子量63,100)の固体15部を得た。
なお、下記分散剤1−9の構造式中、m及びnは一般式(1)中のm及びnと同様にXに結合する基の数の平均(1分子当たりの基数)を表し、a1、a2、b1、及びc1は一般式(5)中のa、b、及びcと同様に各単位の含有量(質量%)を表す。
<分散剤1−21の合成>
例示化合物(R1−12−4)6.18部の代わりに、下記例示化合物(R1−13−1)6.18部を用いた以外は、分散剤1−1と同様にして、分散剤1−21(m=3.5、n=2.5、a1=10、b1=85、c1=5、重量平均分子量33,100)を得た。
なお、下記樹脂1−21の構造式中、m及びnは一般式(1)中のm及びnと同様にXに結合する基の数の平均(1分子当たりの基数)を表し、a1、b1、及びc1は一般式(5)中のa、b、及びcと同様に各単位の含有量(質量%)を表す。
[液体現像剤の作製]
<液体現像剤1の作製>
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:0.7モル
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:1.6モル
・テレフタル酸:1.4モル
・n−ドデセニルコハク酸:0.9モル
上記原料化合物をガラス製2リットルの四つ口フラスコにいれ、攪拌棒、コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計をセットし、マントルヒータにセットした。反応容器内を窒素ガスで置換した後、ジブチル錫オキシド1gを加え、マントルヒータで加熱しながら窒素気流下で、前半において180℃で反応を行い、後半において減圧下220℃で反応させた。重合度は、環球式軟化点測定法(JIS−K2531)により追跡し、軟化点が140℃に達したとき、反応を終了した。反応終了後、反応液を室温(25℃)まで冷却した。
この様にして得られた樹脂(以下、「ポリエステル樹脂1」という。)のガラス転移点Tgは、67℃であり、数平均分子量(Mn)は、5000であった。
ポリエステル樹脂1:70質量部、及びシアン顔料C.I.ピグメントブルー15:3(クラリアント(株)製)30質量部を配合し、加圧ニーダーで混練した。混練物をジェットミルで粉砕し平均粒径10μmのシアン粒子を得た。
このシアン粒子35質量部に、揮発性のパラフィンオイルIsopar(アイソパー)L:103質量部、及び得られた分散剤1−1:0.5質量部を混合し、混合物をボールミルで粉砕して体積平均粒径D50vが1.1μmのトナー粒子を含む液体現像剤1を得た。
<液体現像剤2の作製>
分散剤1−1:0.5質量部の代わりに、分散剤1−2を0.5質量部用いた以外は、液体現像剤1と同様にして、液体現像剤2を得た。
<液体現像剤3の作製>
分散剤1−1:0.5質量部の代わりに、分散剤1−3を0.5質量部用いた以外は、液体現像剤1と同様にして、液体現像剤3を得た。
<液体現像剤4の作製>
分散剤1−1:0.5質量部の代わりに、分散剤1−4を0.5質量部用いた以外は、液体現像剤1と同様にして、液体現像剤4を得た。
<液体現像剤5の作製>
分散剤1−1:0.5質量部の代わりに、分散剤1−9を0.5質量部用いた以外は、液体現像剤1と同様にして、液体現像剤4を得た。
<液体現像剤6の作製>
分散剤1−1:0.5質量部の代わりに、分散剤1−21を0.5質量部用いた以外は、液体現像剤1と同様にして、液体現像剤4を得た。
<液体現像剤C1の作製>
分散剤1−1:0.5質量部の代わりに、ソルスパーズ13940(ルーブリゾール社製)を0.2質量部用いた以外は、液体現像剤1と同様にして、液体現像剤C1を得た。
[評価試料の作製]
記録媒体(基材フィルム)として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製 エスペットフィルム T4102)を準備した。
次に、バーコーターを用いて、各記録媒体上に、各液体現像剤中のトナー粒子の質量(TMA)が3.5g/m、キャリア液質量(CMA)が4.8g/m、及び塗布面積が8cm×5cmとなるように調整(過剰分は、ウエスで除去)して各液体現像剤による塗膜を形成した。
その後、定着条件を1段階目60℃で非接触にて予備加熱、その後、基材フィルムと同じフィルムを合わせ、2段階目120℃、2.7kg/cmで、60m/minの速度で定着ロール対により加熱加圧を施す条件とし、記録媒体上に定着画像を形成し、評価試料Aとした。
記録媒体(基材フィルム)として、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学社製 FOR(番手15))を準備した。
上記記録媒体を用い、かつ、2段階目の定着温度を95℃とした以外は、評価試料Aと同様にして、記録媒体上に各液体現像剤を用いて定着画像を形成し、評価試料Bとした。
すなわち、各液体現像剤を用いて作製した評価試料の基材フィルム(記録媒体)、2段階目定着温度は下記の通りである。
評価試料A:ポリエチレンテレフタレートフィルム、2段階目定着温度:120℃
評価試料B:二軸延伸ポリプロピレンフィルム、2段階目定着温度:95℃
[評価]
上記評価試料について下記評価を行った。
(トナー像の接着強度(剥離力)の評価)
得られた各評価試料について、剥離試験機(TOYO製ストログラフ)により、室温(25℃)下、引っ張り速度300mm/min、剥離距離50mmの条件下で90度剥離テストを実施し、荷重の平均値を剥離力として求めた。結果を表1に示す。
(キャリア液へのトナー粒子分散性評価>
得られた各液体現像剤について、トナー粒子の分散性を目視および拡大観察にて評価し、以下の評価基準に従って評価した。尚、本評価はトナー粒子とキャリア液とを混合して1時間放置した後に行った。結果を下記表1に示す。
・分散 :目視および拡大観察下でトナー粒子がムラなく分散している状態
・凝集 :目視観察下で粗大粒子が観測される状態
・分離 :目視観察下でキャリア液とトナー粒子が完全分離している状態
上記結果から、実施例では、比較例に比べ、トナー像の接着強度の評価が優れていることがわかる。
10 感光体(静電潜像保持体)
12 露光装置(潜像形成装置)
14 現像装置
16 中間転写体
18 クリーナ
20 帯電装置
24 液体現像剤
26 トナー像
28 転写ロール
29 定着画像
30 記録媒体
32 非接触加熱装置(第1加熱装置)
34A,34B 加熱加圧ロール(第2加熱加圧装置)
100 画像形成装置
101−C シアン現像ユニット
101−M マゼンタ現像ユニット
101−Y イエロー現像ユニット
101−K 黒現像ユニット
102 現像剤タンク
103 現像剤供給ロール
104 供給量規制手段
105 現像ロール
106 現像ロールクリーナ
107 感光体(静電潜像保持体)
108 帯電装置
109 露光装置(潜像形成装置)
110 一次転写装置
111 感光体クリーナ
112 液体現像剤
121 駆動ロール
122 支持ロール
124,126 二次転写装置
125 中間転写体
127 記録媒体
131 定着ユニット(定着装置)
132 ヒートロール(第2加熱加圧装置)
133 プレッシャーロール(第2加熱加圧装置)
134 ヒータ
135 排出ロール
136,138 非接触加熱装置(第1加熱装置)

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される液体現像用分散剤。

    〔一般式(1)中、Rは極性基を有する1価の有機基を表し、A及びAはそれぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子を表し、L及びLはそれぞれ独立に2価の有機連結基を表し、Xはアルキレンオキシ基を有する(m+n)価の有機連結基を表し、Pは下記一般式(2)で表される単位を含む高分子鎖を表し、mは1以上9以下の数を表し、nは1以上9以下の数を表し、m+nは2以上10以下の整数である。〕

    〔一般式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Lはカルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、カルボニル基、エーテル結合、又はフェニレン基を表し、Rはカルボキシ基及びその塩、ポリオキシアルキレン基、アミノ基、スルホ基及びその塩、並びにそれらの誘導体の少なくとも1種を有する1価の有機基を表す。〕
  2. 前記一般式(1)中のPで表される高分子鎖は、さらに下記一般式(3)で表される単位を含む、請求項1に記載の液体現像用分散剤。

    〔一般式(3)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Lはカルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、カルボニル基、エーテル結合、又はフェニレン基を表し、Rは炭素数3以上20以下のアルキル基を表す。〕
  3. 一般式(1)中のRが2以上のカルボキシ基を有する1価の有機基であり、かつ、前記一般式(2)中のRが下記構造式(R4)で表される基、カルボキシアルキル基、ポリオキシアルキレン基、ジアルキルアミノ基、並びにスルホ基及びその塩の少なくとも1種を有する1価の有機基である、請求項1又は請求項2に記載の液体現像用分散剤。
  4. トナー粒子と、
    請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の液体現像用分散剤と炭化水素系溶媒とを含むキャリア液と、
    を有する液体現像剤。
  5. 請求項4に記載の液体現像剤を収納し、且つ画像形成装置に脱着される液体現像剤カートリッジ。
  6. 静電潜像保持体と、
    前記静電潜像保持体の表面を帯電する帯電装置と、
    前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
    請求項4に記載の液体現像剤を貯留し、且つ、前記静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を前記液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、
    前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
    前記記録媒体上の前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置と、
    を有する画像形成装置。
  7. 静電潜像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
    前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
    前記静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像を請求項4に記載の液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
    前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、
    前記記録媒体上の前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着工程と、
    を有する画像形成方法。
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