JP2017172724A - 断熱パネルおよび断熱構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温タンクに使用する場合においても、断熱パネルの本体であるウレタンフォーム等の断熱材に亀裂等が入ることを抑制し、所望の断熱効果を維持することができる断熱パネルおよび該断熱パネルを用いた断熱構造を提供する。
【解決手段】芯材111をガスバリア性の外被材112で減圧密閉した真空断熱材11と、真空断熱材11を内部に収容して一体化した、JIS K 7197における線膨張係数が1×10−5〜90×10−5/℃の断熱材12と、を有する断熱パネルであって、真空断熱材11と断熱材12との間に応力緩和材13を設けた断熱パネル10。
【選択図】図1B

Description

本発明は、断熱性能に優れ、安定して使用可能な断熱パネルおよび該断熱パネルを使用した断熱構造に係り、特に被断熱体が低温のものであっても安定して使用可能な断熱パネルおよび断熱構造に関する。
従来から、住宅、ビル、車輌、保温保冷容器、冷蔵庫、給湯器等においては、断熱によってエネルギー消費を低減するために樹脂フォーム等の断熱材が使用されてきた。また、近年では、このような断熱材に代わってより高い断熱性を有する真空断熱材が使用されるようになった。真空断熱材としては、例えば、粉体や繊維で構成される芯材を、内面に熱溶着層を有するガスバリア性の外被材中に減圧密封したものが知られている。減圧密封は、外被材中に芯材を装填し、減圧下で芯材の外周部分の熱溶着層同士を熱溶着させて熱シールを形成することにより得られる。
この真空断熱材は、液化天然ガス(LNG)や液化石油ガス(LPG)等の低温で物質を貯蔵する低温タンクの外壁を構成する断熱パネルにも用いられている。このような用途で使用される断熱パネルは、一般に、型枠内部に真空断熱材を配置した後、ウレタンフォームを充填して形成される。すなわち、真空断熱材は、ウレタンフォーム内部にその全面が覆われた状態で収容され、ウレタンフォームと一体的に形成されている。そして、この断熱パネルの複数個を隣接させながら低温タンクを覆うように外壁を形成し、使用されている(特許文献1参照)。
特開2010−249174号公報
しかしながら、上記のようにウレタンフォーム等の断熱材の内部に真空断熱材を収容した断熱パネルは、低温タンク等の極めて低い温度の被断熱体への使用時において、外壁を構成するウレタンフォームに亀裂が入る場合があった。
このような亀裂が発生する原因は、真空断熱材とウレタンフォームとの線膨張係数の差に基づいてこれらの界面に応力が発生するためと考えられる。特に、低温タンクに使用される場合、その使用温度は−100℃以下という極めて低い温度であるため、断熱パネルの製造時と使用時の温度差が大きく、この温度差による収縮度合いの差も大きくなる。そのため、ウレタンフォームに過度の応力がかかり亀裂が生じるものと推測される。このようにウレタンフォームに亀裂が入ってしまうと、断熱性能が大幅に低下し、所望の断熱効果を維持することが困難となってしまう。
そこで、本発明は、低温タンクに使用する場合においても、断熱パネルの本体であるウレタンフォーム等の断熱材に亀裂等が入ることを抑制し、所望の断熱効果を維持することができる断熱パネルおよび該断熱パネルを用いた断熱構造の提供を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、所定の構造の断熱パネルが過酷な使用環境でも安定して使用可能なことを見出した。すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
[1]芯材をガスバリア性の外被材で減圧密閉した真空断熱材と、前記真空断熱材を内部に収容して一体化した、JIS K 7197−1991における線膨張係数が1×10−5〜90×10−5/℃の断熱材と、を有する断熱パネルであって、前記真空断熱材と前記断熱材との間に応力緩和材が設けられたことを特徴とする断熱パネル。
[2]前記応力緩和材は、弾性材料で形成されてなる[1]に記載の断熱パネル。
[3]前記応力緩和材は、発泡材料で形成されてなる[1]に記載の断熱パネル。
[4]前記弾性材料の、−100℃〜−50℃におけるヤング率が0.1〜100MPaである[2]に記載の断熱パネル。
[5]前記発泡材料の、20℃における破断強度が10Pa〜400kPaである[3]に記載の断熱パネル。
[6]前記応力緩和材のガラス転移点(Tg)が、−100℃〜−20℃である[1]〜[5]のいずれかに記載の断熱パネル。
[7]前記応力緩和材が、前記真空断熱材の全側面に設けられている[1]〜[6]のいずれかに記載の断熱パネル。
[8]前記応力緩和材が、前記真空断熱材の全面に設けられている[1]〜[6]のいずれかに記載の断熱パネル。
[9]前記断熱材のガラス転移点(Tg)が50℃〜200℃である[1]〜[8]のいずれかに記載の断熱パネル。
[10]前記断熱材が、フェノールフォーム、硬質ウレタンフォームおよびスチレンフォームから選ばれる1種以上を含んでいる[1]〜[9]のいずれかに記載の断熱パネル。
[11]前記断熱パネルの厚み方向に、前記真空断熱材を含めて貫通穴を有する、[1]〜[10]のいずれかに記載の断熱パネル。
[12]前記断熱パネルが、低温タンク用である[1]〜[11]のいずれかに記載の断熱パネル。
[13]被断熱体と、前記被断熱体の被断熱面上に固定された、[1]〜[12]のいずれかに記載の断熱パネルと、を有する断熱構造。
[14]前記断熱パネルが[11]に記載の断熱パネルであって、前記貫通穴に固定具を通して、前記被断熱面上に前記断熱パネルを固定して一体化した[13]に記載の断熱パネル。
本発明の断熱パネルおよび該断熱パネルを使用した断熱構造によれば、断熱材と真空断熱材とを組み合わせた断熱パネルにおいて、使用時における温度衝撃による亀裂等が発生しにくく、真空断熱材の有する高い断熱性を安定して発揮、維持できる。この断熱パネルおよび断熱構造は、特に、低温タンク等の断熱に好適である。
本発明の一実施形態である断熱パネルを示した平面図である。 図1Aに示した断熱パネルのA−A断面図である。 図1Aおよび1Bに示した断熱パネルの大きさを説明する図である。 図1Aおよび1Bに示した断熱パネルの大きさを説明する図である。 図1Bに示した断熱パネルの変形例を示した断面図である。 図1Aおよび1Bに示した断熱パネルの製造例を説明する図である。 図1Aおよび1Bに示した断熱パネルの製造例を説明する図である。 図1Aおよび1Bに示した断熱パネルの製造例を説明する図である。 本発明の一実施形態である断熱構造を示した図である。 本発明の一実施形態である断熱構造を示した図である。 本発明の他の実施形態である断熱パネルを示した平面図である。 図6Aに示した断熱パネルのB−B断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
[第1の実施形態]
〔断熱パネル〕
図1Aは、本発明の一実施形態である断熱パネルを示した平面図、図1Bは図1Aに示した断熱パネルのA−A断面図である。この図1Aおよび1Bにおいて、断熱パネル10は、真空断熱材11と、真空断熱材11を内部に収容する断熱材12と、真空断熱材11と断熱材12との間に設けられる応力緩和材13と、を有してなる。なお、図1Aにおいては、断熱材12の内部に収容されている真空断熱材11と応力緩和材13は透視的に破線で示している。
(真空断熱材)
真空断熱材11は、芯材111をガスバリア性の外被材112で覆い減圧密閉した公知の真空断熱材が使用できる。すなわち、内面に熱溶着層を有する袋状のガスバリア性の外被材112中に芯材111を収容し、芯材111の外周部分において外被材112の熱溶着層同士を熱溶着させた板状の真空断熱材11が使用できる。
芯材111の厚みについては、特に制限されないが、通常の真空断熱材における芯材の厚みとして3〜50mm程度が挙げられる。
外被材112は、例えば、片面に熱溶着層を有する同形、同寸法の2枚の気密性のフィルムを、各フィルムが有する熱溶着層を互いに対向させて重ね合わせて外周を熱溶着した構成とすることができる。また、1枚の気密性のフィルムを、熱溶着層を対向させるように二つ折りし、外周を熱溶着した構成とすることもできる。
外被材112の大きさおよび形状は、芯材111を上記2枚の気密性のフィルムの間に収納し、かつ外周を熱溶着して芯材111を内部に密閉できる大きさおよび形状であれば特に限定されず、芯材111の大きさおよび形状に合わせて適宜選択できる。外被材112の内部の真空度は、優れた断熱性能が得られ、また真空断熱材の寿命が長くなる点から、1×10Pa以下が好ましく、1×10Pa以下がより好ましい。
また、1枚の外被材112を用いる場合、その大きさおよび形状は、折り返して芯材111の両主面を覆い、かつ外周を熱溶着して芯材111を内部に密閉できる大きさおよび形状であれば特に限定されず適宜選択できる。
外被材112の材料としては、真空断熱材に使用される公知のものを制限なく使用できる。外被材112の材料として用いる熱溶着層を有する気密性のフィルムとしては、ガスバリア層と表面保護層を有するラミネートフィルムが挙げられる。上記ラミネートフィルムとしては、例えば、ガスバリア層としての金属箔または金属蒸着層を表面保護層の片面上に有するラミネートフィルムが適用できる。
この場合、外被材112は、最も内側に熱溶着層を有し、中間層として金属箔または金属蒸着層を有し、最外層として表面保護層を有する構成となる。また、ラミネートフィルムは、金属箔を有するラミネートフィルムと金属蒸着層を有するラミネートフィルムの2種類のラミネートフィルムを組み合わせて適用してもよい。熱溶着層としては、低密度ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、無延伸ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の材料からなるフィルムやこれらのフィルムを組み合わせた複合体からなってもよい。表面保護層としては、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムの延伸加工品など、公知の材料が利用できる。
芯材111としては、真空断熱材に用いられる公知の芯材を使用できる。具体的には、気相比率90%前後の多孔体を材料として、これを板状に加工した芯材が挙げられる。工業的に利用できる多孔体として、発泡体、粉体、および繊維体等がある。これらは、その使用用途や必要特性に応じて公知の材料を使用することができる。
このうち、発泡体としては、ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォーム等の連続気泡体が利用できる。また、粉体としては、無機系、有機系、およびこれらの混合物を利用できるが、工業的には、乾式シリカ、湿式シリカ、パーライト等を主成分とするものが使用できる。
また、繊維体としては、無機系、有機系、およびこれらの混合物が利用できるが、コストと断熱性能の観点から無機繊維が有利である。無機繊維の一例としては、グラスウール、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール等、公知の材料を使用することができる。
これらのうち、粉体を含む断熱材材料が板状に成形された芯材について以下に説明する。粉体を含む芯材の断熱材の材料としては、高強度な芯材を得やすい点から、粉体に加えて繊維が含まれていることが好ましい。また、繊維に加えてバインダを含んでいてもよいが、より良い断熱性能を得るためバインダの割合は少ないことが好ましく、含まなくてもよい。
さらに、これらの発泡体、粉体、および繊維体等の混合物や複合体も芯材に適用することができる。このような芯材として、具体的には、多孔質粉体と繊維体の複合体、例えば、エアロゲルブランケットが挙げられる。
≪粉体≫
以下に粉体を含む芯材の場合を例にとって説明する。
粉体としては、芯材に通常用いられる公知の粉体を使用できる。具体的には、ヒュームドシリカ、多孔質シリカ、輻射抑制材等が挙げられる。粉体としては、充分な強度を有する芯材が得られやすい点から、ヒュームドシリカを含むことが好ましい。
粉体は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ヒュームドシリカの具体例としては、例えば、アエロジル200(比表面積200m/g、日本アエロジル株式会社製)、アエロジル300(比表面積300m/g、日本アエロジル株式会社製)、CAB−O−SIL M−5(比表面積200m/g、キャボットジャパン株式会社製)、CAB−O−SIL H−300(比表面積300m/g、キャボットジャパン株式会社製)、レオロシールQS30(比表面積300m/g、株式会社トクヤマ製)等が挙げられる。
多孔質シリカの具体例としては、例えば、M.S.GELやサンスフェア(いずれもAGCエスアイテック株式会社製)等が挙げられる。
輻射抑制材としては、例えば、金属粒子(アルミニウム粒子、銀粒子、金粒子等)、無機粒子(グラファイト、カーボンブラック、炭化ケイ素、酸化チタン、酸化スズ、酸化鉄、チタン酸カリウム等)等が挙げられる。
≪バインダ≫
バインダは上記のように用いてもよいが、用いない方が好ましい。バインダを用いる場合、バインダとしては、ケイ酸ナトリウム、リン酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等の無機バインダを溶媒に溶解してバインダ液として用いることが好ましく、水溶液がより好ましい。
≪繊維≫
断熱材材料に繊維が含まれると、高強度な芯材が得られやすい。
繊維としては、真空断熱材に通常使用される繊維が使用でき、例えば、樹脂繊維、無機繊維が挙げられる。なかでも、真空下でのアウトガスが少なく、真空度の低下による断熱性能の低下を抑制しやすい点、および耐熱性に優れる点から、無機繊維が好ましい。
無機繊維としては、例えば、アルミナ繊維、ムライト繊維、シリカ繊維、グラスウール、ロックウール、スラグウール、炭化ケイ素繊維、カーボン繊維、シリカアルミナ繊維、シリカアルミナマグネシア繊維、シリカアルミナジルコニア繊維、シリカマグネシアカルシア繊維等が挙げられる。
粉体を含む芯材に使用する繊維は、通常繊維長が短いものが用いられる。繊維長D30は、0.1mm〜20mmであると芯材の割れや、粉体との混合性が良好となるため好ましい。なお、ここで繊維長D30は、個数基準で求めた繊維長分布の全個数を100%とした累積個数分布曲線において30%となる点の繊維長を意味する。
≪粉体、バインダ、繊維の割合≫
粉体(100質量%)中のヒュームドシリカの割合は、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%が特に好ましい。ヒュームドシリカの割合が前記範囲の下限値以上であれば、強度の高い芯材が得られやすい。
粉体(100質量%)中の多孔質シリカの割合は、0〜50質量%が好ましく、0〜30質量%がより好ましく、0〜20質量%が特に好ましい。多孔質シリカの割合が多いほど、断熱性能に優れた真空断熱材が得られやすい。多孔質シリカの割合が前記範囲の上限値以下であれば、強度の高い芯材が得られやすい。
粉体が予め表面にバインダを付与したバインダ付きヒュームドシリカと多孔質シリカを含む場合、バインダ付与前のヒュームドシリカの質量MAと多孔質シリカの質量MBとの比MA/MBは、50/50以上が好ましく、70/30以上がより好ましく、80/20以上が特に好ましい。前記比MA/MBが前記下限値以上であれば、より低密度で優れた断熱性能を有し、かつ充分な強度を有する芯材が得られやすい。
粉体が輻射抑制材を含む場合、粉体(100質量%)中の輻射抑制材の割合は、3〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、10〜20質量%が特に好ましい。
繊維の割合は、粉体100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、2〜20質量部がより好ましく、4〜10質量部が特に好ましい。繊維の割合が上記範囲の下限値以上であれば、高強度な芯材が得られやすい。繊維の割合が上記範囲の上限値以下であれば、繊維による固体伝熱の増大を抑制できるため、断熱性能の低下を抑制しやすい。
芯材として粉体を用いる場合、ヒュームドシリカに輻射抑制剤を含むことが好ましく、さらに多孔質シリカを含むことが好ましい。このような芯材の組成は質量比で、ヒュームドシリカ:多孔質シリカ:輻射抑制材の組成は質量比で、70〜90:0〜20:10〜20が好ましい。また粉体が繊維を含む場合の組成は質量比でヒュームドシリカ:多孔質シリカ:繊維:輻射抑制材が、70〜90:0〜20:5〜10:5〜20が好ましい。
(断熱材)
断熱材12は、断熱材料により真空断熱材11を内部に収容するように形成され、真空断熱材11と一体化して断熱パネルとするものである。断熱材を形成する材料としては、公知の断熱材料が使用できる。このような断熱材としては、具体的には、気相比率90%前後の多孔体を材料として加工した材料が挙げられる。工業的に利用できる多孔体として、発泡体等がある。これらは、その使用用途や必要特性に応じて公知の材料を使用することができる。断熱材の20℃におけるヤング率は10〜150MPaが好ましい。
このうち、発泡体としては、硬質ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォーム等の気泡体が利用できる。
なお、真空断熱材11と一体的に形成される断熱パネル、特にLNG等の低温タンクに用いられる断熱パネル、において、一般に、断熱材12は線膨張係数が1×10−5〜90×10−5/℃の材料で形成される。なお、本明細書における線膨張係数は、JIS K 7197−1991に準じて求められる−100℃〜−50℃における線膨張係数である。
また、この断熱材12は、そのガラス転移点(Tg)が50℃以上の断熱材料で形成された断熱材であることが好ましい。このようなガラス転移点であると、設置場所における外的応力に対して十分な強度を有する。断熱材12のこのガラス転移点は50℃以上200℃以下の範囲がより好ましく、100℃以上200℃以下の範囲がさらに好ましい。
断熱材12としては、構造体として成型することが容易なので、発泡体が好ましい。また断熱係数が、0.01W/m・K〜0.04W/m・Kであると、十分な断熱特性となるため好ましい。
(応力緩和材)
本発明に用いられる応力緩和材13は、真空断熱材11と断熱材12の間に設けられ、真空断熱材11と断熱材12の間に生じる応力を緩和する部材である。ここで応力緩和材13としては、応力を緩和できるものであればよく、その材料等については特に限定されない。応力緩和材13を形成する材料としては、例えば、弾性材料または発泡材料が挙げられる。
ここで用いる弾性材料としては、断熱パネルの使用時において弾性を有する材料が挙げられる。このような弾性材料としては、例えば、−100〜−50℃におけるヤング率が0.1〜100MPaの弾性材料が挙げられる。このヤング率は、−100℃〜−50℃の範囲のいずれかで上記特性を満たしていればよく、全ての温度範囲で上記特性を満たしていることが好ましい。ちなみに、上記断熱材12は、既に説明したように20℃におけるヤング率が所定の特性を有し、このような材質の−50℃以下におけるヤング率は、一般に100MPa超となるため、本発明における弾性材と断熱材とは明確に区別される。
特に、低温タンク等に使用する場合、その弾性材料としては、−50℃以下においてヤング率が低い材料が好ましく、このような弾性材料としては、例えば、シリコーンゴムなどが挙げられる。シリコーンゴムは−50℃以下においてヤング率が100MPa以下のものを選択することが好ましく、50MPa以下がより好ましい。このような弾性材料を選択すると、仮に脆化しても断熱材に亀裂等が生じにくい。
また、ここで用いる発泡材料としては、発泡状または多孔質形状に成形された材料が挙げられる。このような発泡材料としては、例えば、20℃における破断強度が10Pa〜400kPa(JIS K6401−2011に準拠)の発泡材料が挙げられる。一般的に、破断強度は低温とすることでその数値は高くなるが、このような破断強度を有すると、−100〜−50℃において破断強度が高くなりすぎず、断熱材の変形に追随しやすい。例えば、ここで用いる発泡材料は、−100〜−50℃における破断強度が0.1〜100MPa(JIS K6401−2011に準拠)の発泡材料が好ましい。また−100〜−50℃におけるヤング率は0.1〜10MPaが好ましい。これら、破断強度およびヤング率は、上記温度範囲のいずれかで上記特性を満たしていればよく、全ての温度範囲で上記特性を満たしていることが好ましい。
特に、低温タンク等に使用する場合、その発泡材料としては、−50℃以下においても真空断熱材11と断熱材12の応力差を吸収できる材料が好ましく、このような発泡材料としては、例えば、軟質ウレタンフォーム、高発泡ポリエチレン、シリコンフォーム等の連続気泡体が挙げられる。
発泡材料は、樹脂製のものであると弾性を有するものが多いため弾性材料と重複する部分があるが、例えば、−50℃以下におけるヤング率が上記範囲に入らない場合(例えば、低温使用では弾性が著しく上昇する場合)であっても、発泡により形成された空隙部分が押しつぶされることで応力を緩和でき、断熱材12に亀裂の発生を抑制できる。
この応力緩和材13は、そのガラス転移点(Tg)が−20℃以下の材料で形成された応力緩和材であることが好ましい。このようなガラス転移点であると、真空断熱材11と断熱材12との収縮差による変形に追随できる。応力緩和材13のこのガラス転移点は−100℃以上−20℃以下の範囲がより好ましい。
応力緩和材13は、少なくとも真空断熱材11の全ての側面に設けられることが好ましい。すなわち、真空断熱材11は一般に板状であるため、その厚さは薄く、断熱パネルの厚さ方向に発生する断熱材12との応力は比較的小さい。そのため、より発生する応力が大きい平面方向の応力を緩和するように、全ての側面に応力緩和材13を設けることで、本発明の目的とする亀裂の発生を抑制できる。なお、さらに真空断熱材11の主面においても応力緩和材13を設けること(すなわち、真空断熱材11の全面に応力緩和材13を設けること)がより好ましい。図1Aおよび図1Bには真空断熱材11の全面に応力緩和材13を設けた例を示している。
上記したように、断熱材12は、その内部に真空断熱材11を収容して一体化されてなり、真空断熱材11は断熱材12に覆われているため、外部には露出していない。このような断熱パネル10を構成する、真空断熱材11、断熱材12および応力緩和材13は、それぞれ次のような大きさのものとすることが好ましい。
真空断熱材11は、その幅Vwが100〜2000mm、長さVlが100〜2000mm、厚さVtが5〜30mmが好ましい。このような大きさであると、安定して高い断熱効果を有する真空断熱材が得られ、効率的でコストも抑制しながら製造できる。
応力緩和材13は、その幅Cwが103〜2100mm、長さClが103〜2100mm、厚さCtが7〜130mmが好ましい。また、上記厚さCtは、真空断熱材11の厚さVtよりも2〜50mm厚い程度であればよい。このような大きさとすることで、真空断熱材11と断熱材12の間に生じる応力を緩和し、断熱材12に亀裂が入ることを防止できる。
断熱材12は、その幅Pwが800〜2200mm、長さPlが800〜2200mm、厚さPtが100〜300mmが好ましい。上記幅Pwおよび長さPlは、それぞれ真空断熱材11の幅Vwおよび長さVlよりもそれぞれ1.1〜1.3倍となるものが好ましい。また、上記厚さPtは、真空断熱材11の厚さVtよりも70〜295mm厚くすることが好ましい。このような大きさとすることで、断熱性能の良好な断熱パネル10とすることができる。なお、この断熱材12の外形形状が、そのまま断熱パネル10の外形形状となる。
なお、図1Aおよび図1Bに示した断熱パネル10は、図3に示したように、さらに被断熱面側に第2の断熱材21を設けて断熱パネル20としてもよい。このように第2の断熱材21を設けることにより、より断熱パネルの断熱性能を向上させることができる。すなわち、真空断熱材11による断熱の前にある程度断熱を行っておくことで、真空断熱材11による断熱をより効果的に、かつ、確実に行うことができる。
この第2の断熱材21としては、断熱材12を構成する断熱材よりも低温強度が優れて断熱材により形成されることが好ましい。この第2の断熱材21に用いられる断熱材としては、フェノールフォーム、スチレンフォーム等が挙げられ、典型的には、断熱材12を硬質ウレタンフォームとし、第2の断熱材21をフェノールフォームとする組み合わせが例示できる。
〔断熱パネルの製造方法〕
まず、真空断熱材11を用意する。真空断熱材11は、例えば、片面に熱溶着層を有する気密性のフィルムを熱溶着層同士が対向するように、かつ、その間に芯材を挟み込んで配置し、芯材が収容された内部が減圧状態となるようにしながら、芯材外周の全周において上記熱溶着層同士を熱溶着させ密着、密封することで製造する等の公知の製造方法により得られる。また、市販の真空断熱材を用いることもできる。
次いで、この真空断熱材11の全側面または全面に層状の応力緩和材13を形成する。応力緩和材13が、軟質ウレタンフォーム等の発泡材料である場合には、真空断熱材11の全側面または全面に応力緩和材13を形成するために、成形型を用いた注型発泡成形法や溶融発泡成形法等が用いることができる。これらの方法は、成形型のキャビティ内に真空断熱材11を配置し、発泡材料の原料組成物をキャビティ内に注型や射出等により空隙部に充填させ、発泡させながら発泡材層を形成する方法である。
また、応力緩和材13が、耐寒ゴム等の弾性材料である場合には、上記発泡材の場合と同様に、成形型のキャビティに真空断熱材を配置し、弾性材料の原料をキャビティ内に充填させ、加熱により加硫させて弾性材料を形成できる。
なお、発泡材料および弾性材料について、上記では、成形型にて成形する方法について記載したが、真空断熱材11の全側面または全面に各材料層を形成できれば、上記方法に限定されない。例えば、予め形成しておいた発泡材料または弾性材料を、真空断熱材11の周囲に接着等により貼り合わせて設けてもよい。
次いで、応力緩和材13を設けた真空断熱材11の全面に、断熱材12を形成する。この断熱材12は、その内部に真空断熱材11が収容されるように全周を覆って一体化して形成される。断熱材12の形成は、上記発泡材料からなる応力緩和材13の形成と同様に、断熱材12の外形形状を形成する成形型のキャビティ内に、応力緩和材13を設けた真空断熱材11を配置し、その周囲の間隙に断熱材12の原料組成物をキャビティ内に注型や射出等により空隙部に充填させ、発泡させながら断熱材12を形成すればよい。このように断熱材12の内部に、応力緩和材13を有する真空断熱材11を収容した状態で一体的に成形することで、断熱パネル10が製造できる。
また、断熱パネル10は、次の方法によっても製造できる。この製造方法については、図4A〜4Cを参照しながら説明する。
まず、断熱材12を形成するための凹部12aを有する断熱材容器12Aを用意する。この断熱材容器12Aに設けられた凹部12aは、応力緩和材13が設けられた真空断熱材11を収容できる大きさに形成されている(図4A)。
次いで、この断熱材容器12Aの凹部12aに、応力緩和材13が設けられた真空断熱材11を嵌め込む(図4B)。このとき、断熱材容器12Aと応力緩和材13が設けられた真空断熱材11を接着材等により接着、固定してもよい。また、応力緩和材13が設けられた真空断熱材11は、上記した成形型を用いた方法や、予め形成しておいた発泡材料または弾性材料を接着等により貼り合わせる方法、等により得ることができる。
最後に、断熱材容器12Aに対応した断熱材蓋12Bを、応力緩和材13が設けられた真空断熱材11の上から被せ、断熱材容器12Aと断熱材蓋12Bとを接着材等により接着、固定して、真空断熱材11が内部に収容され一体化した断熱パネル10が製造できる。
〔断熱構造〕
本実施形態の断熱構造は、上記断熱パネルを被断熱体の被断熱面に固定した断熱構造である。図5A,5Bにその断熱構造の断面図を示した。図5A,5Bに示したように、断熱構造は、被断熱体50の被断熱面50a上に、断熱パネル10が被断熱面50aと接するように配置し、被断熱面と断熱パネルとを一体化したことを特徴とする。
この断熱構造は、保温や保冷、断熱が必要な被断熱体の被断熱面に特に制限なく適用できる。具体的には、例えば住宅およびビルの壁・屋根・床・配管、太陽光・熱設備等の住設分野;恒温槽、湯沸かし器、温水タンク、炊飯器、冷蔵庫、冷凍庫、保冷庫・保冷タンク、液化ガスタンク、自動販売機、クーラーボックス、保冷カバー、防寒服等の保温・保冷分野;ノートパソコン、液晶プロジェクター、コピー機、バッテリー、燃料電池等の電気・電子機器、半導体製造装置等の産業機器分野;自動車、バス、トラック、保冷車、列車、貨物車、船舶等の移動体分野;プラントの配管等に適用が可能である。
この断熱構造は、特に、低温用の断熱用途において十分な効果を発揮できる。具体的には、被断熱面50aと断熱構造の最外層面との温度差を100℃以上とできる断熱性能を有する。例えば、被断熱体50が低温物を貯蔵、移送するための容器等である場合、その表面が被断熱面であり、該被断熱面は−100℃以下となる場合が多い。該容器の表面である被断熱面に本実施形態の断熱パネルを適用すれば、断熱構造の最外層面の温度を、上記被断熱面の温度より100℃以上高い温度、すなわち大気温と近い温度とすることが可能である。なお、断熱構造の最外層面とは、断熱構造を構成した断熱パネルの最も外側の面をいう。このような、被断熱面と断熱構造の最外層面との温度差が100℃以上となる断熱構造が求められる用途として、具体的には、低温物を貯蔵、移送するための液化ガスタンク、液化ガス搬送用パイプ等の表面を被断熱面とする断熱構造が挙げられる。
以下、図面を参照しながら本発明の断熱構造を説明する。図5A,5Bは本実施形態の断熱構造の一実施形態を示した断面図である。これらの断熱構造は、被断熱体50の被断熱面50a上に断熱パネル10が配置された例である。図5Aは、被断熱面50aが平面状に形成されている例であり、この場合、平板状に形成した断熱パネル10の複数個をそれぞれ隙間が生じないように隣接させながら並べて配置、固定すればよい。
また、図5Bは、被断熱面50aが曲面状に形成されている例であり、この場合、その曲面に合わせて形成された断熱パネル10Aを用意し、この断熱パネル10Aの複数個を図5Aと同様にそれぞれ隙間が生じないように隣接させながら並べて配置、固定すればよい。このとき、断熱パネル10Aの内部に収容される真空断熱材および応力緩和材も断熱パネル10Aの外形形状に合わせて曲面を有するように形成するのが好ましい。
このように、隣接させながら2次元方向に繰り返して敷設することで、連続した広い面積の被断熱面の断熱にも適用できる。なお、図5A,5Bには、複数の断熱パネルを隣接して配置する場合を例示したが、断熱面積の小さいものに対しては、被断熱面に対して断熱パネルを1つ配置して断熱構造とすることもできる。
なお、断熱パネル10,10Aを被断熱面50aに固定するには、断熱パネルの真空断熱材11が形成されていない外周部分に貫通穴(図示せず)を設け、これに固定具を通して被断熱面50a上に取付ければよい。例えば、断熱パネル10においては、矩形状のそれぞれ頂点付近に貫通孔を設け、4隅を固定すればよい。また、断熱パネル10の熱収縮等の変形を考慮する場合には、対角線上の2点のみを固定するようにして、固定具と断熱パネル10との間に必要以上に力を作用させないことが好ましい。
ここで、固定具としては、一般的に被断熱体の被断熱面に取り付けられる固定具が特に制限なく使用可能である。固定具として、具体的には、スタッドボルトとナットの組み合わせ等が挙げられる。これら固定具を構成する材質としては、樹脂、FRP等が挙げられる。ヒートブリッジを回避する観点および強度の観点からFRPが好ましい。
本実施形態の断熱パネルは、さらに必要に応じて任意の層を有してもよい。このような任意の層として断熱パネルの主面上に設けられる保護層が挙げられる。例えば、図5Aに示したように、断熱パネル10は、被断熱面50aに対して一方の主面が接する形で使用される。この場合には保護層はその反対側の主面に設けられることが好ましい。断熱パネルの表層が両側とも断熱材層で構成されている場合、保護層はいずれの主面に設けられてもよい。
保護層を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリエステル等の樹脂が挙げられる。保護層の厚さは、断熱パネルを保護できる厚さであれば特に制限されない。断熱パネルの用途にもよるが、例えば、50〜200μm程度の厚さが挙げられる。なお、断熱パネルにおける保護層の積層については、公知の接着剤を介して行うことができる。保護層は樹脂シートと金属箔、例えばアルミニウムフォイルとの積層シートであってもよい。その場合、金属箔側が断熱パネルの主面と接するように配置される。
[第2の実施形態]
図6Aは、本発明の他の実施形態である断熱パネルを示した平面図であり、図6Bはその断面図である。この図6Aおよび図6Bにおいて、断熱パネル30は、真空断熱材31と、真空断熱材31を内部に収容する断熱材32と、真空断熱材31と断熱材32との間に設けられる応力緩和材33を有してなる点で図1Aに示した断熱パネル10と同一であるが、次の点で異なる。すなわち、この断熱パネル30は、真空断熱材31が設けられた部分であって、厚さ方向に貫通する貫通穴34を有する。
貫通穴34は断熱パネル30の一方の主面の略中心部から他方の主面の略中心部までを貫くように、すなわち、積層された真空断熱材31、断熱材32および応力緩和材33を貫くように形成された直方体形状の貫通穴である。本実施形態においては、真空断熱材31として以下に説明するような穴開け加工可能な真空断熱材を用いることで、断熱パネル30を貫く貫通穴34の形成を可能としている。
本実施形態の断熱パネル30は、貫通孔31を、真空断熱材31を設けた部分に設けることで、真空断熱材31の外径を断熱材32の外径に近い大きさにまで真空断熱材の設置面積を自由に設定可能であり、被断熱面に対する真空断熱材層の設置面積を最大限に確保することが可能となる。なお、第1の実施形態のように真空断熱材11を設けた部分に貫通穴を有しない場合、真空断熱材11を避けて固定用の貫通穴を形成する等しなければならず、その分だけ真空断熱材11の設置可能面積が小さくなる。
また、貫通穴34を有することで、断熱パネル30を被断熱面に固定する際に貫通穴34に固定具、例えば、ネジや釘を配して、固定することが容易である。断熱パネル30を被断熱面に固定する際に、貫通穴34は配線および/または配管を通す用途に用いることも可能である。このように、本実施形態の断熱パネル30は、真空断熱材31を設けた部分に貫通穴34を有することで、非常に良好な施工性を有する。
本実施形態において、断熱パネル30が有する貫通穴の大きさ、形状、位置、個数は特に制限されず、断熱パネル30が適用される被断熱面に応じて適宜選択される。図6Aに示す断熱パネル30に示す貫通穴34の形状は平面図において正方形であるが、例えば、これを三角形、四角形、多角形、略円形、略楕円形、L型等の形状や、これらの組み合わせからなる任意形状とすることができる。また、貫通穴34の側面、すなわち断熱パネル30の内側面は、断熱パネル30の主面に対して垂直となるように形成されているが、本実施形態の断熱パネル30において、必ずしも垂直である必要はなく、必要に応じてテーパー状、階段状等であってもよい。
貫通穴34の開口部の形状は作業性の観点、例えば位置決めがしやすい等の観点からは、多角形が好ましく、四角形がより好ましい。また、貫通穴34の側面は断熱パネル30の主面に対して垂直となるように形成されることが好ましい。貫通穴34の開口部の大きさや個数は、断熱性を高く維持する観点から、その用途において必要最低限とする。例えば、断熱パネル30の主面の貫通穴の開口部を含む全面積に対する貫通穴の開口部の面積の割合が5%以下となるように設計することが好ましい。
断熱パネルが有する貫通穴は、真空断熱材層、断熱材および応力緩和材のそれぞれに予め所定の位置に形成しておいて積層してもよいし、断熱パネルの形成後に形成されてもよい。貫通穴は、一部が積層される前に形成され、残りの部分が積層後に形成されてもよい。貫通穴の全部を積層後に形成する場合、断熱材層および真空断熱材層としては、それぞれ貫通穴のないものが準備される。一方、断熱材層および真空断熱材層への貫通穴の穴開け加工を異なる方法で行うことが好ましい場合は、真空断熱材層および断熱材層の両方が予め貫通穴を有するものとして準備される。あるいは、一方が貫通穴付きで、他方が貫通穴なしで準備され、積層後、貫通穴を有しない層について貫通穴付きの層に合わせて貫通穴が設けられてもよい。
なお、本実施形態においては、真空断熱材31は穴開け加工可能な真空断熱材を用いて形成される。穴開け加工可能な真空断熱材としては、例えば、特開2010−065711号公報等に記載の真空断熱材や、特開2011−153715号公報に記載の以下の真空断熱材が使用できる。
すなわち、内面に熱溶着層を有する袋状のガスバリア性の外被材中に、所定の位置に貫通孔が形成された板状の芯材を充填し、芯材の外周の外側部分とともに貫通孔部分について外被材の熱溶着層同士を熱溶着させた真空断熱材が使用できる。この真空断熱材においては、芯材の貫通孔に対応する部分で外被材が熱溶着した部分に貫通穴が形成可能である。
また、さらに別の構成の穴開け加工可能な真空断熱材として、例えば、板状の芯材の所定の貫通部分を、気密性でありかつ外被材の熱溶着層と熱溶着可能な樹脂製置換材で置き換えて、芯材の外周の外側部分の外被材の熱溶着層同士を熱溶着させるとともに置換材の両表面と外被材の熱溶着層を熱溶着させた真空断熱材が使用できる。なお、置換材の表面とは、板状の芯材の置換された部分の主面に相当する面をいう。この真空断熱材においては、芯材を置換材で置き換えた部分に貫通穴が形成可能である。
図6A,6Bに示す貫通穴34付き断熱パネル30は、このような真空断熱材を真空断熱材31として用いて貫通穴を形成した例である。
以上、本発明の断熱パネルおよび断熱構造について、いくつかの実施形態の例に説明したが、本発明の断熱パネルおよび断熱構造は、本発明の趣旨に反しない限度において各構成部材の形状や材料等の設計を適宜変更できる。
10,20,30…断熱パネル、11,31…真空断熱材、12,32…断熱材、13,33…応力緩和材、21…第2の断熱材、34…貫通孔、111…芯材、112…外被材、50…被断熱体、50a…被断熱面

Claims (14)

  1. 芯材をガスバリア性の外被材で減圧密閉した真空断熱材と、前記真空断熱材を内部に収容して一体化した、JIS K 7197−1991における線膨張係数が1×10−5〜90×10−5/℃の断熱材と、を有する断熱パネルであって、
    前記真空断熱材と前記断熱材との間に応力緩和材が設けられたことを特徴とする断熱パネル。
  2. 前記応力緩和材は、弾性材料で形成されてなる請求項1に記載の断熱パネル。
  3. 前記応力緩和材は、発泡材料で形成されてなる請求項1に記載の断熱パネル。
  4. 前記弾性材料の、−100℃〜−50℃におけるヤング率が0.1〜100MPaである請求項2に記載の断熱パネル。
  5. 前記発泡材料の、20℃における破断強度が10Pa〜400kPaである請求項3に記載の断熱パネル。
  6. 前記応力緩和材のガラス転移点(Tg)が、−100℃〜−20℃である請求項1〜5のいずれか一項に記載の断熱パネル。
  7. 前記応力緩和材が、前記真空断熱材の全側面に設けられている請求項1〜6のいずれか一項に記載の断熱パネル。
  8. 前記応力緩和材が、前記真空断熱材の全面に設けられている請求項1〜6のいずれか一項に記載の断熱パネル。
  9. 前記断熱材のガラス転移点(Tg)が50℃〜200℃である請求項1〜8のいずれか一項に記載の断熱パネル。
  10. 前記断熱材が、フェノールフォーム、硬質ウレタンフォームおよびスチレンフォームから選ばれる1種以上を含んでいる請求項1〜9のいずれか一項に記載の断熱パネル。
  11. 前記断熱パネルの厚み方向に、前記真空断熱材を含めて貫通穴を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の断熱パネル。
  12. 前記断熱パネルが、低温タンク用である請求項1〜11のいずれか1項に記載の断熱パネル。
  13. 被断熱体と、
    前記被断熱体の被断熱面上に固定された、請求項1〜12のいずれか1項に記載の断熱パネルと、
    を有する断熱構造。
  14. 前記断熱パネルが請求項11に記載の断熱パネルであって、前記貫通穴に固定具を通して、前記被断熱面上に前記断熱パネルを固定して一体化した請求項13に記載の断熱構造。
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