JP2017166870A - 風洞試験用天秤及び風洞試験装置 - Google Patents

風洞試験用天秤及び風洞試験装置 Download PDF

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Yuki Morisaki
雄貴 森崎
加藤 英彦
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英彦 加藤
紘基 藤永
Hiroki Fujinaga
紘基 藤永
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Abstract

【課題】小さな力の測定精度の低下を抑制する。【解決手段】風洞試験用天秤20は、抗力が働く方向に沿った延在方向Aに延在する延在部22と、模型取付部30と、風洞固定部32と、模型取付部30と風洞固定部32との間であって、延在部22の側面41に設けられる開口部42と、開口部42の内部に設けられる板状部材であって、一方の側面60Aと他方の側面60Bとが、開口部42の内面に固定され、抗力FRP層が表面に設けられる抗力検出部60と、を有する。抗力FRP層内の繊維の長さを、一方の側面60Aから他方の側面60Bに向かう方向である抗力第1方向のベクトル成分と、抗力第1方向に直交する抗力第2方向のベクトル成分とに分解した場合に、抗力FRP層内の全ての繊維の抗力第2方向のベクトル成分の合計値が、抗力第1方向のベクトル成分の合計値より大きくなる。【選択図】図3

Description

本発明は、風洞試験用天秤及び風洞試験装置に関する。
運転中の航空機などに作用する力を測定するには、風洞試験が用いられる場合がある。風洞試験は、風洞内に設けられた航空機の模型に対し、風洞用天秤を取り付けて、風洞内に気流を発生させる。模型には、抗力、揚力、及び横力の3方向の荷重と、ローリングモーメント、ピッチングモーメント、及びヨーイングモーメントの3方向のモーメントが作用する。風洞用天秤は、模型に固定されているため、模型に働くこれら複数方向の力(荷重及びモーメント)を受けて、歪みが生じる。風洞用天秤には歪みゲージが取り付けられており、その歪みゲージで検出した歪みを解析して、模型に働く複数方向からの力をそれぞれ算出する。
この風洞用天秤には、炭素鋼など、高剛力の金属部材が用いられていた。また、例えば特許文献1には、円柱状の風洞用天秤について記載されている。
特開平10−9997号公報
ここで、模型に働く複数方向からの力は、それぞれ大きさに違いがある。例えば、飛行能力を高くするため、揚力は、大きくなるように設計されている。風洞用天秤は、例えば揚力のような大きな力を計測するため、剛性が高くなるよう設計されている。しかし、この場合、小さな力に対する変形が微小となり、この小さな力に対する検出能力が低下するおそれがある。また、小さな力を検出するため剛性を低くすると、例えば大きな力の成分に対する変形量が大きくなり、この大きな力の成分に対する変形量がノイズとなり、小さな力の検出精度が低下するおそれがある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、模型に働く複数方向からの力のうち、小さな力の測定精度の低下を抑制する風洞用天秤及び風洞試験装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る風洞試験用天秤は、風洞内に配置された模型に作用する複数方向からの力をそれぞれ検出する風洞試験用天秤であって、前記模型に作用する抗力が働く方向に沿った延在方向に延在する延在部と、前記延在部の一方の端部に設けられ、前記模型に固定される模型取付部と、前記延在部の他方の端部に設けられ、前記風洞に対して固定される風洞固定部と、前記模型取付部と前記風洞固定部との間であって、前記延在部の側面に設けられる開口部と、前記開口部の内部に設けられる板状部材であって、一方の側面が、前記開口部の内面の所定箇所に固定され、他方の側面が、前記開口部の内面における前記所定箇所から前記延在方向に交差する方向に沿って対向する箇所に固定され、繊維強化プラスチックの層である抗力FRP層が表面に設けられる抗力検出部と、を有し、前記抗力FRP層内の繊維の長さを、前記一方の側面から前記他方の側面に向かう方向である抗力第1方向のベクトル成分と、前記抗力第1方向に直交する抗力第2方向のベクトル成分とに分解した場合に、前記抗力FRP層内の全ての繊維の前記抗力第2方向のベクトル成分の合計値が、前記抗力第1方向のベクトル成分の合計値より大きくなる。
この風洞試験用天秤は、抗力検出部において、引張力、捩り力、及び曲げ力に対して剛性を高く、かつ、せん断力に対する剛性を低くすることができる。そのため、この風洞試験用天秤は、小さい力である抗力の測定精度の低下を抑制することができる。
前記風洞試験用天秤において、前記抗力FRP層は、前記抗力第1方向に延在する前記繊維が配列した抗力第1方向層と、前記抗力第2方向に延在する前記繊維が配列した抗力第2方向層とが積層されており、前記抗力第2方向層の前記繊維の長さの合計値は、前記抗力第1方向層の前記繊維の長さの合計値よりも大きいことが好ましい。この風洞試験用天秤は、抗力検出部において、引張力、捩り力、及び曲げ力に対して剛性を高く、かつ、せん断力に対する剛性を低くすることができる。そのため、この風洞試験用天秤は、小さい力である抗力の測定精度の低下をより好適に抑制することができる。
前記風洞試験用天秤において、前記抗力検出部は、金属製の板状部材である母材部を更に有し、前記母材部の表面に前記抗力FRP層を設けることが好ましい。この風洞試験用天秤は、母材部を有しているため、小さい力である抗力の測定精度の低下をより好適に抑制することができる。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る風洞試験装置は、前記風洞試験用天秤と、前記抗力検出部の表面に接着されて、前記抗力検出部の歪みを検出する力検出素子と、前記力検出素子の検出結果に基づき、前記抗力を算出する制御部と、を有する。この風洞試験装置は、この風洞試験用天秤を用いるため、小さい力である抗力の測定精度の低下を抑制することができる。
前記風洞試験装置において、前記風洞試験用天秤は、前記延在部に設けられて、前記延在方向に沿った一方の端部及び他方の端部が前記延在部に対して固定されている多力検出部を更に有し、前記力検出素子は、前記多力検出部の表面にも接着されて、前記多力検出部の歪みを検出し、前記制御部は、前記多力検出部に接着された力検出素子の検出結果に基づき、前記模型に作用する前記抗力以外の力を算出する。この風洞試験装置は、抗力検出部で抗力を検出し、抗力検出部とは異なる箇所の多力検出部で抗力以外の力を検出する。従って、この風洞試験装置1は、模型に作用する力の測定精度の低下を抑制することができる。
前記風洞試験用天秤において、前記延在部は、前記延在方向に沿った一方の端部及び他方の端部が前記延在部に対して固定されており、繊維強化プラスチックの層である多力FRP層を表面に有する多力検出部を更に有し、前記多力FRP層内の繊維の長さを、前記延在方向に沿った方向である多力第1方向のベクトル成分と、前記多力第1方向に直交する多力第2方向のベクトル成分とに分解した場合に、前記多力FRP層中の全ての繊維の前記多力第1方向のベクトル成分の合計値が、前記多力第2方向のベクトル成分の合計値より大きくなることが好ましい。この風洞試験用天秤は、小さい力である抗力とローリングモーメントとの測定精度の低下を抑制することができる。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る風洞試験用天秤は、風洞内に配置された模型に作用する複数方向からの荷重をそれぞれ計測する風洞試験用天秤であって、前記模型に作用する抗力が働く方向に沿った延在方向に延在する延在部と、前記延在部の一方の端部に設けられ、前記模型に固定される模型取付部と、前記延在部の他方の端部に設けられ、前記風洞に対して固定される風洞固定部と、前記延在部に設けられて、前記延在方向に沿った一方の端部及び他方の端部が前記延在部に対して固定されており、繊維強化プラスチックの層である多力FRP層を表面に有する多力検出部と、を有し、前記多力FRP層内の繊維の長さを、前記延在方向に沿った方向である多力第1方向のベクトル成分と、前記多力第1方向に直交する多力第2方向のベクトル成分とに分解した場合に、前記多力FRP層中の全ての繊維の前記多力第1方向のベクトル成分の合計値が、前記多力第2方向のベクトル成分の合計値より大きくなる。
この風洞試験用天秤は、多力検出部において、せん断力、引張力、及び曲げ力に対して剛性が高く、かつ、捩り力に対する剛性を低くすることができる。そのため、この風洞試験用天秤は、小さい力であるローリングモーメントの測定精度の低下を抑制することができる。
前記風洞試験用天秤において、前記多力FRP層は、前記多力第1方向に延在する前記繊維が配列する多力第1方向層と、前記多力第2方向に延在する前記繊維が配列する多力第2方向層とが積層されており、前記多力第1方向層の前記繊維の長さの合計値は、前記多力第2方向層の前記繊維の長さの合計値よりも大きいことが好ましい。この風洞試験用天秤は、多力検出部において、せん断力、引張力、及び曲げ力に対して剛性が高く、かつ、捩り力に対する剛性を低くすることができる。そのため、この風洞試験用天秤は、小さい力であるローリングモーメントの測定精度の低下をより好適に抑制することができる。
前記風洞試験用天秤において、前記多力検出部は、金属製の部材である母材部を更に有し、前記母材部の表面に前記多力FRP層を設けることが好ましい。この風洞試験用天秤は、母材部を有するため、小さい力であるローリングモーメントの測定精度の低下を、より好適に抑制することができる。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る風洞試験装置は、前記風洞試験用天秤と、前記多力検出部の表面に接着されて、前記多力検出部の歪みを検出する力検出素子と、前記力検出素子の検出結果に基づき、前記模型に作用する前記延在方向を中心軸とする回転方向のローリングモーメントを算出する制御部と、を有する。この風洞試験装置は、この風洞試験用天秤を用いるため、小さい力であるローリングモーメントの測定精度の低下を抑制することができる。
前記風洞試験装置において、前記風洞試験用天秤は、前記延在部が、前記模型取付部と前記風洞固定部との間の側面に開口部を有しており、前記開口部の内部に設けられる板状部材であって、一方の側面が、前記開口部の内面の所定箇所に固定され、他方の側面が、前記開口部の内面における前記所定箇所から前記延在方向に交差する方向に沿って対向する箇所に固定される抗力検出部を更に有し、前記力検出素子は、前記抗力検出部の表面にも接着されて、前記抗力検出部の歪みを検出し、前記制御部は、前記抗力検出部に接着された力検出素子の検出結果に基づき、前記模型に作用する抗力を算出することが好ましい。この風洞試験装置は、抗力検出部で抗力を検出し、抗力検出部とは異なる箇所の多力検出部で抗力以外の力を検出する。従って、この風洞試験装は、模型に作用する力の測定精度の低下を抑制することができる。
本発明によれば、模型に働く複数方向からの力のうち、小さな力の測定精度の低下を抑制することができる。
図1は、第1実施形態に係る風洞試験装置の模式図である。 図2は、模型に作用する力を説明する説明図である。 図3は、第1実施形態に係る風洞試験用天秤の模式図である。 図4は、第1実施形態に係る抗力検出部の模式図である。 図5Aは、第1実施形態における抗力第1方向層と抗力第2方向層との模式図である。 図5Bは、第1実施形態における抗力第1方向層と抗力第2方向層との模式図である。 図6Aは、抗力第1方向層と抗力第2方向層との他の例を示す模式図である。 図6Bは、抗力第1方向層と抗力第2方向層との他の例を示す模式図である。 図7は、第2実施形態に係る風洞試験用天秤の模式図である。 図8は、第2実施形態に係る多力検出部の模式図である。 図9Aは、第2実施形態における多力第1方向層と多力第2方向層との模式図である。 図9Bは、第2実施形態における多力第1方向層と多力第2方向層との模式図である。 図10Aは、多力第1方向層と多力第2方向層との他の例を示す模式図である。 図10Bは、多力第1方向層と多力第2方向層との他の例を示す模式図である。
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
(第1実施形態)
(風洞試験装置の構成)
図1は、第1実施形態に係る風洞試験装置の模式図である。図1に示すように、第1実施形態に係る風洞試験装置1は、風洞10と、ストラット12と、スティング14と、模型16と、力検出素子17と、制御部としての制御装置18と、風洞試験用天秤20とを有する。風洞試験装置1は、内部に模型16を設置した風洞10内に気流Wを発生させて、模型16に作用する複数方向からの力を測定する風洞試験用の装置である。本実施形態における風洞試験は、飛行中の航空機に作用する複数種類の力を測定する試験である。ただし、風洞試験は、航空機だけでなく、異なる方向からの力、すなわち複数種類の力が作用する測定対象に対し、その複数種類の力を測定する試験であればよい。以下の説明では、風洞10が延在する方向を方向Xとし、方向Xに直交する方向であって、鉛直方向に直交する方向を方向Yとし、方向X及び方向Yに直交する方向、すなわち鉛直方向を方向Zとする。
風洞10は、密閉されて方向Xに延在する部屋11を内部に有する風洞である。ストラット12は、部屋11の方向Zにおける上部と底部とに固定され、方向Zに延在する柱状の部材である。スティング14は、一方の端部がストラット12に固定され、方向Xに延在する軸状の部材である。スティング14は、他方の端部に、風洞試験用天秤20が固定される固定部14Aが設けられている。模型16は、風洞10内に配置された風洞試験の対象となる物体の模型である。模型16は、本実施形態では、航空機の模型である。模型16の後方の端部、すなわち尾翼側の端部には、天秤導通穴16Aが開口している。ここで、模型16の後方の端部から先頭の端部に向かう方向を模型前方方向PLとすると、天秤導通穴16Aは、模型16の後方の端部から、模型16の内部を、模型前方方向PLに沿って開口している。また、天秤導通穴16Aの底部には、固定部16Bが設けられている。
風洞試験用天秤20は、延在方向Aに沿って延在する軸状部材である延在部22を有している。延在部22の一方の端部には、模型取付部30が設けられている。延在部22の他方の端部には、風洞固定部32が設けられている。風洞試験用天秤20は、天秤導通穴16A内に取付けられる。風洞試験用天秤20は、模型取付部30が、開口する固定部16B内に挿入されて、模型16に対して固定される。風洞試験用天秤20の径は、天秤導通穴16Aの径より小さいため、風洞試験用天秤20は、模型取付部30以外の箇所で模型16に接触しない。風洞試験用天秤20は、風洞固定部32が、開口する固定部14A内に挿入されて、スティング14に固定される。すなわち、風洞試験用天秤20は、風洞固定部32で、風洞10に固定される。風洞試験用天秤20の詳細な構成については後述する。
風洞試験装置1は、このように模型16が風洞試験用天秤20を介して、風洞10の内部に固定される。模型16は、模型前方方向PLが方向Xに沿うように、さらに詳しくは、方向Xと対向する方向となるように、風洞10の内部に固定される。また、風洞試験用天秤20は、軸方向である延在方向Aが、抗力FXの働く方向である方向Xに沿うように、風洞10の内部に固定される。
力検出素子17は、風洞試験用天秤20の表面に取付けられる歪みゲージである。力検出素子17は、風洞試験用天秤20の歪み(変形)を検出する。制御装置18は、風洞試験装置1を制御する装置である。制御装置18は、風洞10の内部の図示しない気流発生部を制御し、風洞10内に気流Wを発生させる。図1では、気流Wは、風洞10の内部で方向Xに沿って流れるが、その流れる方向、流速及び流量などは、制御装置18によって変化可能に制御される。また、制御装置18は、力検出素子17が検出した風洞試験用天秤20の歪みの情報を取得する。制御装置18は、風洞試験用天秤20の歪みから、風洞試験用天秤20に作用する力を算出する。風洞試験用天秤20は、模型16に固定されている。従って、制御装置18は、風洞試験用天秤20の表面の歪みから、模型16に作用する力を算出しているということができる。
以下、模型16に作用する力について説明する。図2は、模型に作用する力を説明する説明図である。図2に示すように、模型16の重心を重心Oとし、重心Oに沿った平面であり、方向Xに垂直な平面を平面Pとする。模型16は、気流Wを受けた際に、抗力FXと横力FYと揚力FZとの、異なる方向からの三種類の荷重が作用する。抗力FXは、模型16に対して方向Xに沿って作用する荷重である。すなわち、抗力FXは、航空機の進行方向に対向して働く抵抗である。横力FYは、模型16に対して方向Yに沿って作用する荷重である。横力FYは、航空機を横方向に移動させる力である。揚力FZは、模型16に対して方向Zに沿って作用する荷重である。揚力FZは、航空機を持ち上げる力である。また、模型16は、気流Wを受けた際に、ローリングモーメントMXと、ピッチングモーメントMYとヨーイングモーメントMZとの、異なる方向からの三種類のモーメントが作用する。ローリングモーメントMXは、模型16に対して、方向Xを回転軸とした回転方向に沿って作用するモーメントである。ローリングモーメントMXは、進行方向を回転軸として、航空機を回転させる力である。ピッチングモーメントMYは、方向Yを回転軸とした回転方向に沿って作用するモーメントである。ピッチングモーメントMYは、航空機の先端を上下させる力である。ヨーイングモーメントMZは、方向Zを回転軸とした回転方向に沿って作用するモーメントである。ヨーイングモーメントMZは、航空機を旋回させる力である。
このように、模型16は、気流Wを受けた際に、それぞれ異なる方向からの力(荷重及びモーメント)が複数作用する。風洞試験用天秤20は、これら模型16に働く力に応じて、歪みを生じる。風洞試験装置1は、力検出素子17によってこの歪みを検出し、制御装置18によって、その歪みからこれらの力の値をそれぞれ算出する。
航空機は、抵抗が小さくなるように設計されているため、抗力FXは、その力が小さい。言い換えれば、抗力FXは、その荷重量が小さく、横力FYと揚力FZとは、その荷重量が大きい。また、ローリングモーメントMXも、その力が小さい。すなわち、ローリングモーメントMXはそのモーメントが小さく、ピッチングモーメントMYとヨーイングモーメントMZとは、そのモーメントが大きい。従って、風洞試験用天秤20は、同じ気流Wを受けている場合でも、抗力FX及びローリングモーメントMXによって発生する歪みが小さくなり、横力FY、揚力FZ、ピッチングモーメントMY及びヨーイングモーメントMZによって発生する歪みが大きくなる。
以下、風洞試験用天秤20の構成を説明する。図3は、第1実施形態に係る風洞試験用天秤の模式図である。上述のように、風洞試験用天秤20は、延在方向Aに沿って延在する軸状部材である延在部22を有している。延在部22には、模型取付部30と、風洞固定部32と、開口部42と、多力検出部50A、50Bとが設けられている。延在部22は、例えば炭素鋼などの金属製の軸状部材であり、本実施形態では、円柱状の部材である。以下、延在方向Aに直交する方向を方向Bとし、延在方向A及び方向Bに直交する方向を方向Cとする。
模型取付部30は、延在部22の延在方向Aに沿った一方の端部に設けられている。模型取付部30は、延在部22の一方の端部を円錐台形に加工して設けられる。上述のように、模型取付部30は、固定部16B内に挿入されて模型16に固定される。風洞固定部32は、延在部22の延在方向Aに沿った他方の端部に設けられている。風洞固定部32は、延在部22の他方の端部を円錐台形に加工して設けられる。上述のように、風洞固定部32は、固定部14A内に挿入されて風洞10に固定される。風洞試験用天秤20は、模型16及び風洞10に固定された際は、延在方向Aが方向Xに沿い、方向Bが方向Yに沿い、方向Cが方向Zに沿う。
開口部42は、延在方向Aにおける模型取付部30と風洞固定部32との間であって、延在部22の側面41に設けられる。開口部42は、延在方向Aと垂直な方向、ここでは方向Bに沿って側面41を貫通している。ただし、開口部42は、側面41に設けられる開口であれば、方向Bに沿って側面41を貫通していることに限られない。開口部42は、延在方向Aに交差する方向に沿って側面41を貫通していればよい。また、開口部42は、側面41を貫通せずに、底面を有していてもよい。
多力検出部50Aは、模型取付部30と開口部42との間における、延在方向Aに沿った延在部22の一部の領域に設けられている。多力検出部50Aは、延在部22の側面41の一部の領域と、その一部の領域の反対側の領域とを、平面に加工して設けられる。言い換えれば、多力検出部50Aは、延在方向Aに沿った一方の端部51Aが延在部22の模型取付部30側に固定されており、他方の端部52Aが、延在部22の風洞固定部32側に固定されている。
多力検出部50Bは、開口部42と風洞固定部32との間における、延在方向Aに沿った延在部22の一部の領域に設けられている。多力検出部50Bは、延在部22の側面41の一部の領域と、その一部の領域の反対側の領域とを、平面に加工して設けられる。言い換えれば、多力検出部50Bは、延在方向Aに沿った一方の端部51Bが延在部22の開口部42側に固定されており、他方の端部52Bが延在部22の風洞固定部32側に固定されている。なお、本実施形態では、延在部22には、多力検出部50Aと多力検出部50Bとが設けられているが、多力検出部50Aと多力検出部50Bとのいずれか一方だけが設けられていてもよい。以下、多力検出部50Aと多力検出部50Bとを区別しない場合、多力検出部50と記載する。多力検出部50の表面(平面箇所)には、複数の力検出素子17が接着されている。
また、開口部42には、抗力検出部60が設けられている。抗力検出部60は、開口部42の内部に設けられる板状部材である。抗力検出部60は、一方の側面60Aが、開口部42の内面42Aに固定される。また、抗力検出部60は、他方の側面60Bが、開口部42の内面42Aと方向Cに沿って対向する内面42Bに固定される。抗力検出部60の表面60Cは、延在方向Aに垂直な平面に沿って設けられる。ただし、抗力検出部60は、一方の側面60Aが、開口部42の内面の所定箇所に固定され、他方の側面60Bが、開口部42の内面におけるその所定箇所から延在方向Aに交差する方向に沿って対向する箇所に固定されていればよい。抗力検出部60の表面60Cと表面60Cの反対側の表面である表面60Dには、力検出素子17が接着されている。
図4は、第1実施形態に係る抗力検出部の模式図である。図4に示すように、抗力検出部60は、母材部62と、抗力FRP層64とを有している。母材部62は、例えば炭素鋼などの金属製の板状部材である。母材部62は、延在部22を加工して開口部42を設けた際に、母材部62の部分だけ削らずに残されることで、形成されている。すなわち、母材部62は、延在部22と一体の部材である。ただし、母材部62は、延在部22と別体の板状部材であり、一方の側面60Aと他方の側面60Bとを開口部42の内面に固定されたものであってもよい。
抗力FRP層64は、母材部62の表面に設けられている繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plactics)の層である。すなわち、抗力FRP層64は、複数の繊維Fiが樹脂で固定されている層である。本実施形態における抗力FRP層64は、炭素繊維強化プラスチックの層であり、繊維Fiは、炭素繊維である。ただし、繊維Fiは、例えばガラス繊維などであってもよい。抗力FRP層64は、母材の樹脂より繊維Fiの強度が高く、繊維Fiの延在方向の強度が高い異方性を有していればよい。本実施形態における抗力FRP層64は、複数の繊維強化プラスチックのシート状部材を複数積層した積層体である。抗力FRP層64は、抗力第1方向層66Aと、抗力第2方向層66Bとを有している。
図5Aは、第1実施形態における抗力第1方向層と抗力第2方向層との模式図である。図5Aは、抗力第1方向層66Aと抗力第2方向層66Bとが、母材部62に巻き付けられる前のシート状の状態を示している。図5Aに示すように、抗力第1方向層66Aは、複数の繊維Fiが同じ方向に配列して延在する繊維強化プラスチックのシート状部材である。抗力第2方向層66Bは、複数の繊維Fiが同じ方向に配列して延在する繊維強化プラスチックのシート状部材である。すなわち、抗力第1方向層66Aと抗力第2方向層66Bとは、異方性を有するFRPシートである。抗力第1方向層66Aの繊維Fiが延在する方向は、抗力第2方向層66Bの繊維Fiが延在する方向と異なる。抗力FRP層64は、このシート状の抗力第1方向層66Aと抗力第2方向層66Bとを積層した積層体である。図4に示すように、この抗力FRP層64は、方向Cを中心軸として、母材部62に巻き付けられ、母材部62に対し圧着固定される。また、図4に示すように、抗力FRP層64は、表面が、抗力第2方向層66Bとなっている。
図5Bは、第1実施形態における抗力第1方向層と抗力第2方向層との模式図である。図5Bは、抗力FRP層64を母材部62に取付けた際の抗力第1方向層66Aと抗力第2方向層66Bとを示している。図5Bに示すように、抗力第1方向層66Aは、母材部62に取付けた際、一方の側面60Aから他方の側面60Bに向かう方向である抗力第1方向に沿って延在した繊維Fiが、複数配列している。具体的には、抗力第1方向層66Aは、方向Cに沿って延在している。また、抗力第2方向層66Bは、母材部62に取付けた際、抗力第1方向(方向C)に直交する方向である抗力第2方向に沿って延在した繊維Fiが、複数配列している。具体的には、抗力第2方向層66Bは、抗力検出部60の表面60Cにおいて、複数の繊維Fiが方向Bに沿って延在し、抗力検出部60の側面67において、複数の繊維Fiが延在方向Aに沿って延在する。
抗力FRP層64は、抗力第2方向層66Bの積層されている数が、抗力第1方向層66Aの積層されている数より多い。すなわち、抗力FRP層64は、抗力第2方向に沿った全ての繊維Fiの長さの合計値(抗力第2方向層66Bの全ての繊維Fiの長さの合計値)が、抗力第1方向に沿った全ての繊維Fiの長さの合計値(抗力第1方向層66Aの全ての繊維Fiの長さの合計値)より大きくなっている。また、抗力FRP層64は、表面に向かうに従って、抗力第2方向層66Bの積層数が大きくなっている。例えば、抗力FRP層64を、複数の抗力第1方向層66Aと抗力第2方向層66Bとが積層されている表面側の第1積層部と、複数の抗力第1方向層66Aと抗力第2方向層66Bとが積層されている母材部62側の第2積層部とに区分した場合を考える。この場合、抗力第1方向層66Aの積層数に対する抗力第2方向層66Bの積層数の割合は、第1積層部の方が第2積層部よりも大きくなっている。言い換えれば、抗力第1方向に沿った全ての繊維Fiの長さの合計値に対する抗力第2方向に沿った全ての繊維Fiの長さの合計値の割合は、第1積層部の方が第2積層部よりも大きくなっている。
(測定方法)
次に、以上のように構成される風洞試験装置1による模型16に作用する力の測定方法について説明する。風洞試験用天秤20は、気流Wを発生させた際の模型16に作用する力により、歪みを生じる。多力検出部50の表面に接着された力検出素子17は、気流Wを発生させた際の多力検出部50の歪みを検出する。制御装置18は、多力検出部50の歪みに基づき、模型16に作用する横力FY、揚力FZ、ローリングモーメントMX、ピッチングモーメントMY、及びヨーイングモーメントMZを算出する。すなわち、多力検出部50は、歪みによって、模型16に作用する抗力FX以外の複数種類の力(例えばローリングモーメントMXなど)を検出する検出部である。そして、多力検出部50の表面に接着された力検出素子17は、模型16に作用する抗力FX以外の複数種類の力(例えばローリングモーメントMXなど)に対応する歪みを検出する検出素子である。
力検出素子17は、横力FY、揚力FZ、ローリングモーメントMX、ピッチングモーメントMY、及びヨーイングモーメントMZの検出用にそれぞれ設けられている。具体的には、力検出素子17は、それぞれの力の検出用に4つずつ設けられている。すなわち、力検出素子17は、合計20個が、多力検出部50の表面に接着されている。一つの力を検出するための4つの力検出素子17は、それぞれを抵抗とするホイートストーンブリッジ回路として接続されており、他の力に対応する歪み成分の影響を低減している。
制御装置18は、多力検出部50の延在方向Aに沿った軸に対する曲げ変形量(曲げ歪み量)、引張変形量(引張歪み量)、及びせん断変形量(せん断歪み量)に基づき、横力FY、揚力FZ、ピッチングモーメントMY、及びヨーイングモーメントMZを算出する。制御装置18は、多力検出部50の延在方向Aに沿った軸に対する捩りの変形量(捩り歪み量)に基づき、ローリングモーメントMXを算出する。
また、抗力検出部60の表面60C、60Dにも、力検出素子17が接着されている。抗力検出部60に設けられた力検出素子17は、気流Wを発生させた際の抗力検出部60の歪みを検出する。制御装置18は、抗力検出部60の歪みに基づき、模型16に作用する抗力FXを算出する。すなわち、抗力検出部60は、歪みによって、模型16に作用する複数の力のうち、抗力FXのみを検出する検出部である。そして、抗力検出部60の表面に接着された力検出素子17は、模型16に作用する力のうち抗力FXに対応する歪みを検出する検出素子である。
力検出素子17は、抗力検出部60の表面60C、60Dに合計4つ設けられている。この4つの力検出素子17は、それぞれを抵抗とするホイートストーンブリッジ回路として接続されており、抗力FX以外の力に対応する歪み成分の影響を低減している。
制御装置18は、抗力検出部60の表面に作用するせん断変形量(せん断歪み量)に基づき、抗力FXを算出する。抗力検出部60にせん断以外の成分の歪み(例えば曲げ、引張、捩りなど)が生じた場合、力検出素子17は、その歪みも検出する場合がある。この場合、制御装置18は、このせん断以外の成分の歪みにも基づき抗力FXを算出するため、抗力FXの測定精度が低下するおそれがある。一方、このせん断以外の歪みを抑制するため、板厚を大きくするなどして剛性を上げた場合、せん断変形量自体も低下し、抗力FXの測定精度が低下するおそれがある。特に、抗力FX、すなわちせん断変形を及ぼすための力は小さいため、抗力FXの測定精度は低下しやすい。しかし、第1実施形態に係る抗力検出部60は、抗力FRP層64により、せん断歪みに対する剛性は低く保ったまま、他の歪みに対する剛性を高くしている。これにより、抗力検出部60は、抗力FXの測定精度の低下を抑制している。以下、図5Bを参照に具体的に説明する。
図5Bに示すように、抗力検出部60に作用する方向Cを軸としたせん断応力、すなわちせん断歪みを起こす力を、せん断力S1とする。また、抗力検出部60に作用する方向Cを軸とした引張応力、すなわち引張歪みを起こす力を、引張力S2とする。また、抗力検出部60に作用する方向Cを軸とした捩り応力、すなわち捩り歪みを起こす力を、捩り力S3とする。また、抗力検出部60に作用する方向Cを軸とした曲げ応力、すなわち曲げ歪みを起こす力を、曲げ力S4とする。
図5Bに示すように、抗力第1方向層66Aは、複数の繊維Fiが、抗力第1方向、すなわち方向Cに沿って延在している。従って、抗力第1方向層66Aは、繊維Fiを引っ張ろうとする引張力S2、及び繊維Fiを曲げようとする曲げ力S4に対して剛性が高くなる。一方、抗力第2方向層66Bは、複数の繊維Fiが、抗力第2方向、すなわち方向Cと直交する延在方向A、方向Bに沿って延在している。従って、抗力第2方向層66Bは、繊維Fiを曲げようとする捩り力S3に対して剛性が高くなる。従って、抗力検出部60は、引張力S2、捩り力S3、及び曲げ力S4に対して剛性が高くなる。なお、引張力S2と曲げ力S4に対して剛性が高くなる抗力第1方向層66Aは、抗力第2方向層66Bに対して積層数が少ない。ただし、繊維Fiは、引張、曲げに対する強度が高い。従って、抗力検出部60は、方向Cに沿って延在する繊維Fiを有する抗力第1方向層66Aを有していれば、その数は少なくても、引張力S2と曲げ力S4とに対する剛性を保つことが可能となる。
一方、抗力第2方向層66Bは、せん断力S1が、繊維Fi間の樹脂を離そうとする方向に働くため、せん断力S1に対する剛性は低くなる。抗力検出部60は、抗力第2方向層66Bの積層数が多い。すなわち、抗力検出部60は、抗力第1方向(方向C)に延在する繊維Fiよりも、抗力第2方向(延在方向A、方向B)に延在する繊維Fiの方が多い。従って、抗力検出部60は、せん断力S1に対する剛性を低くすることができる。
このように、抗力検出部60は、抗力FRP層64により、引張力S2、捩り力S3、及び曲げ力S4に対して剛性が高く、かつ、せん断力S1に対する剛性を低くする。そのため、抗力検出部60は、同じ条件で気流Wを発生させた際でも、せん断歪みが大きくなり、他の歪みが小さくなる。従って、風洞試験装置1は、小さな力である抗力FXの測定精度の低下を抑制することができる。
図6A及び図6Bは、抗力第1方向層と抗力第2方向層との他の例を示す模式図である。第1実施形態に係る抗力第1方向層66Aは、複数の繊維Fiが、抗力第1方向、すなわち方向Cに沿って延在している。同様に、抗力第2方向層66Bは、複数の繊維Fiが、抗力第2方向、すなわち方向Cに垂直な方向に沿って延在している。しかし、図6Aに示すように、抗力第1方向層66Aは、複数の繊維Fiが、抗力第1方向に沿って延在していなくてもよく、抗力第2方向層66Bは、複数の繊維Fiが、抗力第2方向に沿って延在していなくてもよい。図6AのベクトルV1は、繊維Fiの長さを、抗力第1方向、すなわち方向Cに沿ったベクトル成分に分解したベクトルである。図6AのベクトルV2は、繊維Fiの長さを、抗力第2方向、すなわち方向Cに直交する方向のベクトル成分に分解したベクトルである。抗力FRP層64は、繊維Fiが異なる方向に延在する抗力第1方向層66Aと抗力第2方向層66Bとを有しており、抗力FRP層64内の全ての繊維FiのベクトルV2の合計値が、抗力FRP層64内の全ての繊維FiのベクトルV1の合計値より大きければよい。抗力FRP層64内の全ての繊維FiのベクトルV2の合計値が、ベクトルV1の合計値より大きい場合、抗力FRP層64は、引張力S2、捩り力S3、及び曲げ力S4に対して剛性が高く、かつ、せん断力S1に対する剛性を低くすることができる。
また、図6Bに示すように、抗力FRP層64は、抗力第1方向層66Aと抗力第2方向層66Bとの互いに異なる層を有さず、一種類のFRP層66が複数積層されていてもよい。FRP層66は、同じ方向に延在する複数の繊維FiAと、繊維FiAと異なる方向に延在する複数の繊維FiBとを有している。また、FRP層66は、同じ方向に延在する複数の繊維FiAのみを有していてもよい。この場合でも、抗力FRP層64は、抗力FRP層64内の全ての繊維FiのベクトルV2の合計値が、抗力FRP層64内の全ての繊維FiのベクトルV1の合計値より大きければよい。また、抗力FRP層64は、FRP層66が単層であってもよい。
以上説明したように、第1実施形態に係る風洞試験用天秤20は、風洞10内に設けられた模型16に作用する複数方向からの力をそれぞれ検出する。風洞試験用天秤20は、延在部22と、模型取付部30と、風洞固定部32と、開口部42と、抗力検出部60とを有する。延在部22は、抗力FXが働く方向Xに沿った延在方向Aに延在する。模型取付部30は、延在部22の一方の端部に設けられ、模型16に固定される。風洞固定部32は、延在部22の他方の端部に設けられ、風洞10に対して固定される。開口部42は、模型取付部30と風洞固定部32との間であって、延在部22の側面41に設けられる。抗力検出部60は、開口部42の内部に設けられる板状部材である。抗力検出部60は、一方の側面60Aが、開口部42の内面の所定箇所に固定され、他方の側面60Bが、開口部42の内面における所定箇所から延在方向Aに交差する方向に沿って対向する箇所に固定され、繊維強化プラスチックの層である抗力FRP層64が表面に設けられる。ここで、抗力FRP層64内の繊維Fiの長さを、一方の側面60Aから他方の側面60Bに向かう方向である抗力第1方向のベクトル成分V1と、抗力第1方向に直交する抗力第2方向のベクトル成分V2とに分解する。抗力FRP層64は、抗力FRP層64内の全ての繊維Fiのベクトル成分V2の合計値が、ベクトル成分V1の合計値より大きくなる。
この風洞試験用天秤20は、抗力FRP層64内の全ての繊維FiのベクトルV2の合計値が、抗力FRP層64内の全ての繊維FiのベクトルV1の合計値より大きい。従って、この風洞試験用天秤20は、引張力S2、捩り力S3、及び曲げ力S4に対して剛性が高く、かつ、せん断力S1に対する剛性を低くすることができる。そのため、この風洞試験用天秤20は、小さい力である抗力FXの測定精度の低下を抑制することができる。
また、抗力FRP層64は、繊維Fiが抗力第1方向に延在する抗力第1方向層66Aと、繊維Fiが抗力第2方向に延在する抗力第2方向層66Bとが積層されている。抗力第2方向層66Bの積層数は、抗力第1方向層66Aの積層数よりも多い。この抗力FRP層64は、抗力第2方向層66Bの繊維Fiの長さの合計値は、抗力第1方向層66Aの繊維Fiの長さの合計値よりも大きい。従って、この風洞試験用天秤20は、引張力S2、捩り力S3、及び曲げ力S4に対して剛性が高く、かつ、せん断力S1に対する剛性を低くすることができる。そのため、この風洞試験用天秤20は、小さい力である抗力FXの測定精度の低下を、より好適に抑制することができる。
また、抗力検出部60は、金属製の板状部材である母材部62を更に有し、母材部62の表面に抗力FRP層64を設ける。この抗力検出部60は、母材部62を有しているため、小さい力である抗力FXの測定精度の低下を、より好適に抑制することができる。ただし、抗力検出部60は、母材部62を有さず、抗力FRP層64のみを有していてもよい。
また、第1実施形態に係る風洞試験装置1は、風洞試験用天秤20と、力検出素子17と、制御装置18(制御部)とを有する。力検出素子17は、抗力検出部60の表面、すなわち抗力FRP層64の表面に接着されて、抗力検出部60の歪みを検出する。制御装置18は、力検出素子17の検出結果に基づき、抗力FXを算出する。この風洞試験装置1は、風洞試験用天秤20を用いるため、小さい力である抗力FXの測定精度の低下を抑制することができる。
また、風洞試験用天秤20は、延在部22に設けられて、延在方向Aに沿った一方の端部及び他方の端部が延在部22に対して固定されている多力検出部50を更に有する。力検出素子17は、多力検出部50の表面にも接着されて、多力検出部50の歪みを検出する。制御装置18は、多力検出部50に接着された力検出素子17の検出結果に基づき、模型16に作用する抗力FX以外の力を算出する。この風洞試験装置1は、抗力検出部60で抗力FXを検出し、抗力検出部60とは異なる箇所の多力検出部50で抗力FX以外の力を検出する。従って、この風洞試験装置1は、模型16に作用する力の測定精度の低下を抑制することができる。なお、本実施形態における多力検出部50は、抗力FX以外の複数種類の力を検出するが、力検出部として、抗力FX以外の少なくとも1種類の力を検出してもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る風洞試験用天秤20aは、多力検出部50aに繊維プラスチックの層が設けられている点で、第1実施形態と異なる。第2実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
図7は、第2実施形態に係る風洞試験用天秤の模式図である。図7に示すように、第2実施形態に係る風洞試験用天秤20aは、多力検出部50Aa、50Baと、抗力検出部60aとを有する。抗力検出部60aは、開口部42の内部に設けられる板状部材である。抗力検出部60aは、炭素鋼などの金属製の板状部材であり、第1実施形態とは異なり抗力FRP層64を有さない。抗力検出部60aの開口部42への固定のされ方は、第1実施形態と同様である。
多力検出部50Aaは、模型取付部30と開口部42との間に設けられており、延在方向Aに沿って延在する。多力検出部50Aは、延在方向Aに沿った一方の端部51Aaが延在部22の模型取付部30側に固定されており、他方の端部52Aaが延在部22の開口部42側に固定されている。多力検出部50Baは、開口部42と風洞固定部32との間に設けられており、延在方向Aに沿って延在する。多力検出部50Baは、延在方向Aに沿った一方の端部51Baが延在部22の開口部42側に固定されており、他方の端部52Baが延在部22の風洞固定部32側に固定されている。なお、本実施形態では、多力検出部50Aaと多力検出部50Baとが設けられているが、多力検出部50Aaと多力検出部50Baとのいずれか一方だけが設けられていてもよい。以下、多力検出部50Aaと多力検出部50Baとを区別しない場合、多力検出部50aと記載する。また、多力検出部50aの一方の端部は、一方の端部51aと記載し、他方の端部は、他方の端部52aと記載する。
図8は、第2実施形態に係る多力検出部の模式図である。図8に示すように、多力検出部50aは、母材部72と、多力FRP層74とを有している。母材部72は、例えば炭素鋼などの金属製の板状部材である。母材部72は、延在部22に対し、母材部72の部分だけ幅を小さく加工することで、形成されている。すなわち、母材部72は、延在部22と一体の部材である。ただし、母材部72は、延在部22と別体の部材であり、延在方向Aに沿った一方の端部と他方の端部とを、延在部22に固定したものであってもよい。
多力FRP層74は、母材部72の表面に設けられている繊維強化プラスチックの層である。本実施形態における多力FRP層74は、炭素繊維強化プラスチックの層であり、繊維Fiは、炭素繊維である。ただし、繊維Fiは、例えばガラス繊維などであってもよい。多力FRP層74は、母材の樹脂より繊維Fiの強度が高く、繊維Fiの延在方向の強度が高い異方性を有していればよい。本実施形態における多力FRP層74は、複数の繊維強化プラスチックのシート状部材を複数積層した積層体である。多力FRP層74は、多力第1方向層76Aと、多力第2方向層76Bとを有している。
図9Aは、第2実施形態における多力第1方向層と多力第2方向層との模式図である。図9Aは、多力第1方向層76Aと多力第2方向層76Bとが、母材部72に巻き付けられる前のシート状の状態を示している。図9Aに示すように、多力第1方向層76Aは、複数の繊維Fiが同じ方向に配列して延在する繊維強化プラスチックのシート状部材である。多力第2方向層76Bは、複数の繊維Fiが同じ方向に配列して延在する繊維強化プラスチックのシート状部材である。多力第1方向層76Aの繊維Fiが延在する方向は、多力第2方向層76Bの繊維Fiが延在する方向と異なる。多力FRP層74は、このシート状の多力第1方向層76Aと多力第2方向層76Bとを積層した積層体である。図8に示すように、この多力FRP層74は、延在方向Aを中心軸として、母材部72に巻き付けられ、母材部72に対し圧着固定される。また、図8に示すように、多力第1方向層76Aは、表面が、多力第1方向層76Aとなっている。
図9Bは、第2実施形態における多力第1方向層と多力第2方向層との模式図である。図9Bは、多力FRP層74を母材部72に取付けた際の多力第1方向層76Aと多力第2方向層76Bとを示している。図9Bに示すように、多力第1方向層76Aは、母材部72に取付けた際、一方の端部51aから他方の端部52aに向かう方向である多力第1方向に沿って延在した繊維Fiが、複数配列している。具体的には、多力第1方向層76Aは、複数の繊維Fiが、延在方向Aに沿って延在している。また、多力第2方向層76Bは、母材部72に取付けた際、多力第1方向(延在方向A)に直交する方向である多力第2方向に沿って延在した繊維Fiが、複数配列している。具体的には、多力第2方向層76Bは、多力検出部50aの側面77において、複数の繊維Fiが方向Cに沿って延在し、多力検出部50aの側面78において、複数の繊維Fiが方向Bに沿って延在する。
多力FRP層74は、多力第1方向層76Aの積層されている数が、多力第2方向層76Bの積層されている数より多い。従って、多力FRP層74は、多力第1方向に沿った全ての繊維Fiの長さの合計値(多力第1方向層76Aの繊維Fiの長さの合計値)が、多力第2方向に沿った全ての繊維Fiの長さの合計値(多力第2方向層76Bの繊維Fiの長さの合計値)より大きくなっている。また、多力FRP層74は、表面に向かうに従って、多力第1方向層76Aの積層数が大きくなっている。例えば、多力FRP層74を、複数の多力第1方向層76Aと多力第2方向層76Bとが積層されている表面側の第1積層部と、複数の多力第1方向層76Aと多力第2方向層76Bとが積層されている母材部72側の第2積層部とに区分した場合を考える。この場合、多力第2方向層76Bの積層数に対する多力第1方向層76Aの積層数の割合は、第1積層部の方が第2積層部よりも大きくなっている。言い換えれば、多力第2方向に沿った全ての繊維Fiの長さの合計値に対する多力第1方向に沿った全ての繊維Fiの長さの合計値の割合は、第1積層部の方が第2積層部よりも大きくなっている。
ここで、上述のように、制御装置18は、多力検出部50aの延在方向Aに沿った軸に対する曲げ変形量(曲げ歪み量)、引張変形量(引張歪み量)、及びせん断変形量(せん断歪み量)に基づき、横力FY、揚力FZ、ピッチングモーメントMY、及びヨーイングモーメントMZを算出する。制御装置18は、多力検出部50の延在方向Aに沿った軸に対する捩りの変形量(捩り歪み量)に基づき、ローリングモーメントMXを算出する。ローリングモーメントMXは、すなわち多力検出部50aで検出する他の力よりも、力が小さい。
図9Bに示すように、多力第1方向層76Aは、複数の繊維Fiが、多力第1方向、すなわち延在方向Aに沿って延在している。従って、多力第1方向層76Aは、繊維Fiを引っ張ろうとする引張力S2、及び繊維Fiを曲げようとするせん断力S1、及び曲げ力S4に対して剛性が高くなる。また、多力第1方向層76Aは、層同士、すなわち、積層されている多力第1方向層76Aと他の層とを引き離す方向に、捩り力S3が作用する。従って、多力第1方向層76Aは、捩り力S3に対する剛性が低くなる。
このように、多力検出部50aは、多力FRP層74が有する多力第1方向層76Aにより、せん断力S1、引張力S2、及び曲げ力S4に対する剛性を高くし、かつ、捩り力S3に対する剛性を低くする。そのため、多力検出部50aは、同じ条件で気流Wを発生させた際でも、捩り歪みが大きくなり、他の歪みが小さくなる。従って、風洞試験装置1は、捩り歪みによって測定される小さな力であるローリングモーメントMXの測定精度の低下を抑制することができる。
なお、多力FRP層74は、多力第1方向層76Aに加え多力第2方向層76Bも有している。多力第2方向層76Bは、せん断力S1、引張力S2、捩り力S3、及び曲げ力S4に対する剛性を調整するために積層される。ただし、多力FRP層74は、多力第2方向層76Bを有さなくてもよい。
図10A及び図10Bは、多力第1方向層と多力第2方向層との他の例を示す模式図である。第2実施形態に係る多力第1方向層76Aは、複数の繊維Fiが、多力第1方向、すなわち延在方向Aに沿って延在している。同様に、多力第2方向層76Bは、複数の繊維Fiが、多力第2方向、すなわち延在方向Aに垂直な方向に沿って延在している。しかし、図10Aに示すように、多力第1方向層76Aは、複数の繊維Fiが、多力第1方向に沿って延在していなくてもよく、多力第2方向層76Bは、複数の繊維Fiが、多力第2方向に沿って延在していなくてもよい。図10AのベクトルV1aは、繊維Fiの長さを、多力第1方向、すなわち延在方向Aに沿ったベクトル成分に分解したベクトルである。図10AのベクトルV2aは、繊維Fiの長さを、多力第2方向、すなわち延在方向Aに直交する方向のベクトル成分に分解したベクトルである。多力FRP層74は、多力FRP層74内の全ての繊維FiのベクトルV1aの合計値が、多力FRP層74内の全ての繊維FiのベクトルV2aの合計値より大きければよい。多力FRP層74内の全ての繊維FiのベクトルV1aの合計値が、ベクトルV2aの合計値より大きい場合、多力FRP層74は、せん断力S1、引張力S2、及び曲げ力S4に対する剛性を高くし、かつ、捩り力S3に対する剛性を低くすることができる。
また、図10Bに示すように、多力FRP層74は、多力第1方向層76Aと多力第2方向層76Bとの互いに異なる層を有さず、一種類のFRP層76が複数積層されていてもよい。FRP層76は、同じ方向に延在する複数の繊維FiAaと、繊維FiAaと異なる方向に延在する複数の繊維FiBaとを有している。また、FRP層76は、同じ方向に延在する複数の繊維FiAのみを有していてもよい。この場合でも、多力FRP層74は、多力FRP層74内の全ての繊維FiのベクトルV1aの合計値が、多力FRP層74内の全ての繊維FiのベクトルV2aの合計値より大きければよい。また、多力FRP層74は、FRP層66が単層であってもよい。
以上説明したように、第2実施形態に係る風洞試験用天秤20aは、風洞10内に設けられた模型16に作用する複数方向からの力をそれぞれ検出する。風洞試験用天秤20は、延在部22と、模型取付部30と、風洞固定部32と、多力検出部50aとを有する。多力検出部50aは、延在部22に設けられて、延在方向Aに沿った一方の端部51a及び他方の端部52aが延在部22に対して固定されており、繊維強化プラスチックの層である多力FRP層74を表面に有する。ここで、多力FRP層74内の繊維Fiの長さを、延在方向Aに沿った方向である多力第1方向のベクトル成分V1aと、多力第1方向に直交する多力第2方向のベクトル成分V2aとに分解する。多力FRP層74は、多力FRP層74内の全ての繊維Fiのベクトル成分V1aの合計値が、ベクトル成分V2aの合計値より大きくなる。
この風洞試験用天秤20aは、多力FRP層74内の全ての繊維FiのベクトルV1aの合計値が、多力FRP層74内の全ての繊維FiのベクトルV2aの合計値より大きい。従って、この風洞試験用天秤20aは、せん断力S1、引張力S2、及び曲げ力S4に対して剛性が高く、かつ、捩り力S3に対する剛性を低くすることができる。そのため、この風洞試験用天秤20aは、小さい力であるローリングモーメントMXの測定精度の低下を抑制することができる。
多力FRP層74は、繊維Fiが多力第1方向に延在する多力第1方向層76Aと、繊維Fiが多力第2方向に延在する多力第2方向層76Bとが積層されている。多力第1方向層76Aの繊維Fiの長さの合計値は、多力第2方向層76Bの繊維Fiの長さの合計値よりも大きい。この多力FRP層74は、多力第1方向に延在する繊維Fiの合計長さの方が長いため、せん断力S1、引張力S2、及び曲げ力S4に対して剛性が高く、かつ、捩り力S3に対する剛性を低くすることができる。そのため、この多力FRP層74は、小さい力であるローリングモーメントMXの測定精度の低下をより好適に抑制することができる。
多力検出部50aは、金属製の部材である母材部72を更に有し、母材部72の表面に多力FRP層74を設ける。この多力検出部50aは、母材部72を有しているため、小さい力であるローリングモーメントMXの測定精度の低下を、より好適に抑制することができる。ただし、多力検出部50aは、母材部72を有さず、多力FRP層74のみを有していてもよい。
第2実施形態に係る風洞試験装置1は、風洞試験用天秤20aと、力検出素子17と、制御装置18(制御部)とを有する。力検出素子17は、多力検出部50aの表面、すなわち多力FRP層74の表面に接着されて、多力検出部50aの歪みを検出する。制御装置18は、力検出素子17の検出結果に基づき、ローリングモーメントMXを算出する。この風洞試験装置1は、風洞試験用天秤20を用いるため、小さい力であるローリングモーメントMXの測定精度の低下を抑制することができる。
また、風洞試験用天秤20aは、開口部42の内部に設けられる板状部材であって、一方の側面が、開口部42の内面の所定箇所に固定され、他方の側面が、開口部42の内面におけるその所定箇所から延在方向Aに交差する方向に沿って対向する箇所に固定される抗力検出部60aを更に有する。力検出素子17は、抗力検出部60aの表面にも接着されて、抗力検出部60aの歪みを検出する。制御装置18は、抗力検出部60aに接着された力検出素子17の検出結果に基づき、模型16に作用する抗力FXを算出する。この風洞試験装置1は、抗力検出部60aで抗力FXを検出し、抗力検出部60とは異なる箇所の多力検出部50aでローリングモーメントMXを検出する。従って、この風洞試験装置1は、模型16に作用する力の測定精度の低下を抑制することができる。
なお、風洞試験用天秤20aは、抗力検出部60aの代わりに、第1実施形態に係る抗力検出部60を有していてもよい。この場合、風洞試験用天秤20aは、小さい力である抗力FXとローリングモーメントMXとの両方の測定精度の低下を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
1 風洞試験装置
10 風洞
12 ストラット
14 スティング
16 模型
17 力検出素子
18 制御装置
20、20a 風洞試験用天秤
22 延在部
30 模型取付部
32 風洞固定部
42 開口部
50、50a 多力検出部
60 抗力検出部
62 母材部
64 抗力FRP層
66A 抗力第1方向層
66B 抗力第2方向層
72 母材部
74 多力FRP層
76A 多力第1方向層
76B 多力第2方向層
A 延在方向
B、C、X、Y、Z 方向
Fi 繊維
FX 抗力
FY 横力
FZ 揚力
MX ローリングモーメント
MY ピッチングモーメント
MZ ヨーイングモーメント

Claims (11)

  1. 風洞内に配置された模型に作用する複数方向からの力をそれぞれ検出する風洞試験用天秤であって、
    前記模型に作用する抗力が働く方向に沿った延在方向に延在する延在部と、
    前記延在部の一方の端部に設けられ、前記模型に固定される模型取付部と、
    前記延在部の他方の端部に設けられ、前記風洞に対して固定される風洞固定部と、
    前記模型取付部と前記風洞固定部との間であって、前記延在部の側面に設けられる開口部と、
    前記開口部の内部に設けられる板状部材であって、一方の側面が、前記開口部の内面の所定箇所に固定され、他方の側面が、前記開口部の内面における前記所定箇所から前記延在方向に交差する方向に沿って対向する箇所に固定され、繊維強化プラスチックの層である抗力FRP層が表面に設けられる抗力検出部と、を有し、
    前記抗力FRP層内の繊維の長さを、前記一方の側面から前記他方の側面に向かう方向である抗力第1方向のベクトル成分と、前記抗力第1方向に直交する抗力第2方向のベクトル成分とに分解した場合に、前記抗力FRP層内の全ての繊維の前記抗力第2方向のベクトル成分の合計値が、前記抗力第1方向のベクトル成分の合計値より大きくなる、風洞試験用天秤。
  2. 前記抗力FRP層は、前記抗力第1方向に延在する前記繊維が配列した抗力第1方向層と、前記抗力第2方向に延在する前記繊維が配列した抗力第2方向層とが積層されており、前記抗力第2方向層の前記繊維の長さの合計値は、前記抗力第1方向層の前記繊維の長さの合計値よりも大きい、請求項1に記載の風洞試験用天秤。
  3. 前記抗力検出部は、金属製の板状部材である母材部を更に有し、前記母材部の表面に前記抗力FRP層を設ける、請求項1又は請求項2に記載の風洞試験用天秤。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の風洞試験用天秤と、
    前記抗力検出部の表面に接着されて、前記抗力検出部の歪みを検出する力検出素子と、
    前記力検出素子の検出結果に基づき、前記抗力を算出する制御部と、を有する、風洞試験装置。
  5. 前記風洞試験用天秤は、前記延在部に設けられて、前記延在方向に沿った一方の端部及び他方の端部が前記延在部に対して固定されている多力検出部を更に有し、
    前記力検出素子は、前記多力検出部の表面にも接着されて、前記多力検出部の歪みを検出し、
    前記制御部は、前記多力検出部に接着された力検出素子の検出結果に基づき、前記模型に作用する前記抗力以外の力を算出する、請求項4に記載の風洞試験装置。
  6. 前記延在部は、前記延在方向に沿った一方の端部及び他方の端部が前記延在部に対して固定されており、繊維強化プラスチックの層である多力FRP層を表面に有する多力検出部を更に有し、
    前記多力FRP層内の繊維の長さを、前記延在方向に沿った方向である多力第1方向のベクトル成分と、前記多力第1方向に直交する多力第2方向のベクトル成分とに分解した場合に、前記多力FRP層中の全ての繊維の前記多力第1方向のベクトル成分の合計値が、前記多力第2方向のベクトル成分の合計値より大きくなる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の風洞試験用天秤。
  7. 風洞内に配置された模型に作用する複数方向からの荷重をそれぞれ計測する風洞試験用天秤であって、
    前記模型に作用する抗力が働く方向に沿った延在方向に延在する延在部と、
    前記延在部の一方の端部に設けられ、前記模型に固定される模型取付部と、
    前記延在部の他方の端部に設けられ、前記風洞に対して固定される風洞固定部と、
    前記延在部に設けられて、前記延在方向に沿った一方の端部及び他方の端部が前記延在部に対して固定されており、繊維強化プラスチックの層である多力FRP層を表面に有する多力検出部と、を有し、
    前記多力FRP層内の繊維の長さを、前記延在方向に沿った方向である多力第1方向のベクトル成分と、前記多力第1方向に直交する多力第2方向のベクトル成分とに分解した場合に、前記多力FRP層中の全ての繊維の前記多力第1方向のベクトル成分の合計値が、前記多力第2方向のベクトル成分の合計値より大きくなる風洞試験用天秤。
  8. 前記多力FRP層は、前記多力第1方向に延在する前記繊維が配列する多力第1方向層と、前記多力第2方向に延在する前記繊維が配列する多力第2方向層とが積層されており、前記多力第1方向層の前記繊維の長さの合計値は、前記多力第2方向層の前記繊維の長さの合計値よりも大きい、請求項7に記載の風洞試験用天秤。
  9. 前記多力検出部は、金属製の部材である母材部を更に有し、前記母材部の表面に前記多力FRP層を設ける、請求項7又は請求項8に記載の風洞試験用天秤。
  10. 請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の風洞試験用天秤と、
    前記多力検出部の表面に接着されて、前記多力検出部の歪みを検出する力検出素子と、
    前記力検出素子の検出結果に基づき、前記模型に作用する前記延在方向を中心軸とする回転方向のローリングモーメントを算出する制御部と、を有する、風洞試験装置。
  11. 前記風洞試験用天秤は、
    前記延在部が、前記模型取付部と前記風洞固定部との間の側面に開口部を有しており、
    前記開口部の内部に設けられる板状部材であって、一方の側面が、前記開口部の内面の所定箇所に固定され、他方の側面が、前記開口部の内面における前記所定箇所から前記延在方向に交差する方向に沿って対向する箇所に固定される抗力検出部を更に有し、
    前記力検出素子は、前記抗力検出部の表面にも接着されて、前記抗力検出部の歪みを検出し、
    前記制御部は、前記抗力検出部に接着された力検出素子の検出結果に基づき、前記模型に作用する抗力を算出する、請求項10に記載の風洞試験装置。
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