JP2017166554A - クラッチレリーズ軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】転動体P.C.D.とコンタクト径との差が大きい場合でも、コンパクトな構成により耐泥水性を確保することができるクラッチレリーズ軸受装置を提供する。
【解決手段】内輪10と、外輪9と、内輪と外輪との間に配設される転動体12とを備えており、外輪は、外輪の一端部において径方向内方に向けて延びる外輪鍔部13を有しているクラッチレリーズ軸受装置1。クラッチレリーズ軸受装置は、外輪鍔部の先端と対向する位置で、クラッチレリーズ軸受装置が設けられるシリンダ機構のピストン側部材の外周に配置されるキャップ21を有している。キャップは環状の部材からなり、キャップと、外輪鍔部の先端との間にラビリンスシールが形成される。
【選択図】図1
【解決手段】内輪10と、外輪9と、内輪と外輪との間に配設される転動体12とを備えており、外輪は、外輪の一端部において径方向内方に向けて延びる外輪鍔部13を有しているクラッチレリーズ軸受装置1。クラッチレリーズ軸受装置は、外輪鍔部の先端と対向する位置で、クラッチレリーズ軸受装置が設けられるシリンダ機構のピストン側部材の外周に配置されるキャップ21を有している。キャップは環状の部材からなり、キャップと、外輪鍔部の先端との間にラビリンスシールが形成される。
【選択図】図1
Description
本発明はクラッチレリーズ軸受装置に関する。
車両のエンジンとトランスミッションとの間に配設されるクラッチ機構にはクラッチレリーズ軸受が組み込まれている。かかるクラッチレリーズ軸受には、ダイヤフラムスプリングと接触して外輪が回転する外輪回転/内輪固定タイプのものと、ダイヤフラムスプリングと接触して内輪が回転する外輪固定/内輪回転タイプのものとがある。
クラッチレリーズ軸受は、クラッチ機構のクラッチハウジング内に配設されているので、当該クラッチハウジング内に外部から泥水や油等の異物(以下、「泥水」で代表させる)が入ると、この泥水がクラッチレリーズ軸受内に浸入することがある。軸受内に泥水が浸入すると軸受の性能が低下するとともに軸受の耐久性も低下する。このような事態を防止するために、従来、クラッチレリーズ軸受には高い耐泥水性が要求されている。
耐泥水性を向上させるために、内輪又は外輪のいずれか一方に固定され、他方に摺接する接触タイプのシールないし密封装置が知られている。しかし、接触タイプのシールは、トルクが重くなり、クラッチすべりの原因となるので、非接触タイプのシールを設けたクラッチレリーズ軸受が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1記載のクラッチレリーズ軸受は、本出願人の提案に係るものであり、図5に示されるように、環状ピストン50と、ダイヤフラムスプリング51との間に配設される。クラッチレリーズ軸受52は、外輪53と、内輪54と、外輪53と内輪54との間に配設される転動体としての複数の玉55とを備えている。
クラッチレリーズ軸受52は、薄板鋼板のプレス加工品により形成されるシール部材56を有している。シール部材56は、内輪54の一端部外周面に圧入される取付筒部57と、この取付筒部57の一端部から内輪鍔部54aの軸方向外側(反軸受側)の面54a1に沿って径方向内方へ曲げられた環状部58と、この環状部58の内径端から外輪鍔部53aの内径端面に沿って、当該内径端面との間に微小な隙間をもって突出された筒状シール部59とを備えている。筒状シール部59の外周面と外輪鍔部53aの内径端面とが協働してラビリンスを構成している。
近年、市場が拡大しているCSC、DRC等の油圧式クラッチでは、従来よりも軸受の転動体P.C.D.(以下、単に「転動体P.C.D.」ともいう)とコンタクト径Cとの差が大きいものがある。すなわち、従来よりも転動体P.C.D.が大きいか、従来よりもコンタクト径Cが小さいか、又は、その両方であるものがある。
転動体P.C.D.とコンタクト径Cとの差が大きい場合、例えば図6に示されるように、径方向内方に延びる外輪鍔部60のサイズが大きくなり、従来のようなシール部材を設けることが難しくなる。具体的に、径方向内方に延びる外輪鍔部60のサイズが大きくなると、これに応じてシール部材の環状部の径方向のサイズも大きくなるが、環状部の径方向のサイズが大きくなると、シール部材の取付筒部を内輪に圧入した状態において当該環状部が外輪鍔部60と干渉する可能性があり、環状部を含むシール部材の寸法管理や取付作業が難しくなる。かかる干渉を回避するために、外輪鍔部60と内輪鍔部61との軸方向の隙間cを広くすることも考えられるが、そうするとクラッチレリーズ軸受装置が大型化し、コンパクト化の要請に反する。なお、図6において、符号62及び63は、それぞれダイヤフラムスプリング及び環状ピストンを示している。また、「コンタクト径C」とは、軸受の外輪の鍔部の押圧面と、当該鍔部の押圧面と接触するよう配置されたスプリング部材(図6に示される例におけるダイヤフラムスプリング62)とが接触する位置と、軸受の回転中心軸と、の径方向の距離のことである。
転動体P.C.D.とコンタクト径Cとの差が大きい場合、例えば図6に示されるように、径方向内方に延びる外輪鍔部60のサイズが大きくなり、従来のようなシール部材を設けることが難しくなる。具体的に、径方向内方に延びる外輪鍔部60のサイズが大きくなると、これに応じてシール部材の環状部の径方向のサイズも大きくなるが、環状部の径方向のサイズが大きくなると、シール部材の取付筒部を内輪に圧入した状態において当該環状部が外輪鍔部60と干渉する可能性があり、環状部を含むシール部材の寸法管理や取付作業が難しくなる。かかる干渉を回避するために、外輪鍔部60と内輪鍔部61との軸方向の隙間cを広くすることも考えられるが、そうするとクラッチレリーズ軸受装置が大型化し、コンパクト化の要請に反する。なお、図6において、符号62及び63は、それぞれダイヤフラムスプリング及び環状ピストンを示している。また、「コンタクト径C」とは、軸受の外輪の鍔部の押圧面と、当該鍔部の押圧面と接触するよう配置されたスプリング部材(図6に示される例におけるダイヤフラムスプリング62)とが接触する位置と、軸受の回転中心軸と、の径方向の距離のことである。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、転動体P.C.D.とコンタクト径との差が大きい場合でも、コンパクトな構成により耐泥水性を確保することができるクラッチレリーズ軸受装置を提供することを目的としている。
本発明のクラッチレリーズ軸受装置は、
(1)内輪と、外輪と、前記内輪と外輪との間に配設される転動体とを備えており、前記外輪は、当該外輪の一端部において径方向内方に向けて延びる外輪鍔部を有しているクラッチレリーズ軸受装置であって、
前記外輪鍔部の先端と対向する位置で、前記クラッチレリーズ軸受装置が設けられるシリンダ機構のピストン側部材の外周に配置されるキャップを有しており、
前記キャップは環状の部材からなり、
前記キャップと、前記外輪鍔部の先端との間にラビリンスシールが形成される。
(1)内輪と、外輪と、前記内輪と外輪との間に配設される転動体とを備えており、前記外輪は、当該外輪の一端部において径方向内方に向けて延びる外輪鍔部を有しているクラッチレリーズ軸受装置であって、
前記外輪鍔部の先端と対向する位置で、前記クラッチレリーズ軸受装置が設けられるシリンダ機構のピストン側部材の外周に配置されるキャップを有しており、
前記キャップは環状の部材からなり、
前記キャップと、前記外輪鍔部の先端との間にラビリンスシールが形成される。
本発明のクラッチレリーズ軸受装置では、ピストン側部材の外周であって外輪鍔部の先端と対向する位置に環状の部材からなるキャップを設け、このキャップと外輪鍔部の先端との間にラビリンスシールを形成している。したがって、転動体P.C.D.とコンタクト径との差が大きく、外輪鍔部のサイズが大きい場合であっても、キャップをピストン側部材に配設するという簡単な構成により、当該キャップと外輪鍔部の先端との間にラビリンスシールを形成して、クラッチレリーズ軸受装置の耐泥水性を確保することができる。また、環状部材からなるキャップをピストン側部材の外周に配設する構成であり、既存のスペースを利用することができるので、キャップを配設するスペースを確保するために、装置を大型化する必要がない。したがって、コンパクトな構成とすることができる。
(2)上記(1)のクラッチレリーズ軸受装置において、前記キャップの軸方向反軸受側円筒部の外周面は、反軸受方向に向かうにつれて径方向内方に傾斜する第1傾斜面を構成し、前記第1傾斜面の最大外径部は、前記外輪鍔部の外側端面よりも軸方向反軸受側に位置することが好ましい。この場合、第1傾斜面に泥水が付着したとしても、当該第1傾斜面は軸方向反軸受方向に向かうにつれて径方向内方に傾斜しているので、自重により環状のキャップの下部に回り込んだ泥水は第1傾斜面の最大外径部から滴下される。このとき、第1傾斜面の最大外径部は、外輪鍔部の外側端面よりも軸方向反軸受側に位置しているので、滴下した泥水は軸受の内部には浸入しない。
(3)上記(1)又は(2)のクラッチレリーズ軸受装置において、前記キャップの軸方向軸受側円筒部の外周面は、軸受方向に向かうにつれて径方向内方に傾斜する第2傾斜面を構成し、
前記第2傾斜面の最大外径部は、前記外輪鍔部の外側端面よりも軸方向反軸受側に位置することが好ましい。この場合、第2傾斜面に泥水が付着して軸受内部に浸入しようとしても、当該第2傾斜面は軸受方向に向かうにつれて径方向内方に傾斜しているので、自重により環状のキャップの下部に回り込んだ泥水は第2傾斜面の最大外径部から滴下される。このとき、第2傾斜面の最大外径部は、外輪鍔部の外側端面よりも軸方向反軸受側に位置しているので、滴下した泥水は軸受の内部には浸入しない。
前記第2傾斜面の最大外径部は、前記外輪鍔部の外側端面よりも軸方向反軸受側に位置することが好ましい。この場合、第2傾斜面に泥水が付着して軸受内部に浸入しようとしても、当該第2傾斜面は軸受方向に向かうにつれて径方向内方に傾斜しているので、自重により環状のキャップの下部に回り込んだ泥水は第2傾斜面の最大外径部から滴下される。このとき、第2傾斜面の最大外径部は、外輪鍔部の外側端面よりも軸方向反軸受側に位置しているので、滴下した泥水は軸受の内部には浸入しない。
(4)上記(1)〜(3)のクラッチレリーズ軸受装置において、前記ピストン側部材の外周に環状の皿ばねが配設されており、前記キャップは、前記皿ばねの外周に配設されており、前記キャップは、当該キャップの内周面に凸状の係止部を有しており、前記皿ばねは、前記係止部が嵌め込まれる被係止部を有することが好ましい。この場合、キャップの凸状の係止部を皿ばねの被係止部に嵌め込むことでキャップを皿ばねの外周に簡単に配設することができる。また、キャップの凸状の係止部が皿ばねの被係止部に嵌め込まれるので、当該キャップを皿ばねの外周にしっかりと配設することができる。
(5)上記(4)のクラッチレリーズ軸受装置において、前記係止部は、前記キャップの最内径部において当該キャップの周方向に沿って複数形成された爪部からなり、前記被係止部は、前記皿ばねの軸方向反軸受側縁部において当該皿ばねの周方向に沿って複数形成された切欠きからなることが好ましい。この場合、キャップの爪部を皿ばねの切欠きに嵌め込むことでキャップを簡単に皿ばねの外周に配設することができる。また、複数の箇所において、キャップの爪部が皿ばねの切欠きに嵌め込まれるので、当該キャップを皿ばねの外周にしっかりと配設することができる。
(6)上記(4)又は(5)のクラッチレリーズ軸受装置において、前記ピストン側部材は、当該ピストン側部材の軸方向反軸受側端部に径方向外方に突出する鍔部を有しており、前記キャップの係止部は、前記鍔部の軸方向軸受側の面で当該鍔部と当接することが好ましい。この場合、キャップの係止部を鍔部の軸方向軸受の側の面と当接させることで、キャップの位置決めを確実に行うことができる。また、キャップが皿ばねから外れるのを防止することができる。また、キャップの凸状の係止部を皿ばねの被係止部に嵌め込むようにしているので、キャップの係止部の鍔部への引っ掛かりを確保するために必要な鍔部の突出高さを小さくすることができる。前述したキャップの凸状の係止部を皿ばねの被係止部に嵌め込む構成がないと、皿ばねの外周面に配設されるキャップと当接するためには、鍔部を高くする必要があるが、そうすると当該鍔部が邪魔をして皿ばねをピストン側部材の外周に組み付けるのが難しくなる。
(7)上記(4)〜(6)のクラッチレリーズ軸受装置において、前記ピストン側部材は、前記シリンダ機構のピストンに取り付けられるピストン取付部材とすることができる。
本発明のクラッチレリーズ軸受装置によれば、転動体P.C.D.とコンタクト径との差が大きい場合でも、コンパクトな構成により耐泥水性を確保することができる。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明のクラッチレリーズ軸受装置の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1は、本発明の一実施形態に係るクラッチレリーズ軸受装置1の縦断面説明図であり、図2は、図1に示されるクラッチレリーズ軸受装置1の要部を拡大した縦断面説明図である。
本実施形態に係るクラッチレリーズ軸受装置1は、ダイレクトシリンダによって作動される油圧式のクラッチレリーズ軸受装置である。図1に示されるように、クラッチ主軸(図示せず)の外周面に組み付けられ且つダイレクトシリンダを構成するシリンダ内筒体2と、当該シリンダ内筒体2の外方に配設されるシリンダ外筒体3との間には、環状のシリンダ空間4が形成されている。このシリンダ空間4には、当該シリンダ空間4内に供給される油圧によって作動する環状ピストン5が嵌挿されている。本実施形態では、シリンダ内筒体2、シリンダ外筒体3及び環状ピストン5によりシリンダ機構が構成されている。クラッチレリーズ軸受装置1は、このシリンダ機構に設けられている。図1において、符号Oはクラッチレリーズ軸受装置1の回転中心軸を示している。
本実施形態に係るクラッチレリーズ軸受装置1は、ダイレクトシリンダによって作動される油圧式のクラッチレリーズ軸受装置である。図1に示されるように、クラッチ主軸(図示せず)の外周面に組み付けられ且つダイレクトシリンダを構成するシリンダ内筒体2と、当該シリンダ内筒体2の外方に配設されるシリンダ外筒体3との間には、環状のシリンダ空間4が形成されている。このシリンダ空間4には、当該シリンダ空間4内に供給される油圧によって作動する環状ピストン5が嵌挿されている。本実施形態では、シリンダ内筒体2、シリンダ外筒体3及び環状ピストン5によりシリンダ機構が構成されている。クラッチレリーズ軸受装置1は、このシリンダ機構に設けられている。図1において、符号Oはクラッチレリーズ軸受装置1の回転中心軸を示している。
環状ピストン5は円筒形状を呈しており、その軸方向反軸受側(図1において左側)は軸方向軸受側(図1において右側)に比べて小径の小径円筒部5aとされている。また、環状ピストン5の軸方向軸受側は軸方向反軸受側に比べて大径の大径円筒部5bとされている。環状ピストン5の小径円筒部5aは、当該小径円筒部5aの軸方向反軸受側端部に径方向外方に突出する鍔部5cを有している。なお、本明細書において、「軸方向反軸受側」とは、後述する外輪の鍔部とダイヤフラムスプリングとが接触する部分を基準として、軸方向に沿って軸受から離れる側、すなわち図1において左側であり、逆に「軸方向軸受側」とは、同じく前記接触する部分を基準として、軸方向に沿って軸受に近づく側、すなわち図1において右側である。図1における小径円筒部5aにとって、左側の端部は軸方向反軸受側の端部であり、右側の端部は軸方向軸受側の端部である。
クラッチレリーズ軸受装置1のクラッチレリーズ軸受7は、環状ピストン5と、ダイヤフラムスプリング8との間に配設される。クラッチレリーズ軸受7は、外輪9と、外輪9の内方において当該外輪9と同心状に配設される内輪10と、外輪9と内輪10との間に形成される環状空間S内に保持器11によって保持された状態で転動可能に配設される複数個の転動体としての玉12とを備えている。
外輪9の軸方向反軸受側の端部には、径方向内方に向けて延びる押圧部としての外輪鍔部13が形成されている。外輪鍔部13の軸方向外側面に、ダイヤフラムスプリング8の内径側部分14を押圧する押圧面15が形成されている。外輪鍔部13の押圧面15とダイヤフラムスプリング8の内径側部分14とが接触する位置により、クラッチレリーズ軸受装置1のコンタクト径Cが規定される。
内輪10の軸方向反軸受側の端部には、外輪9の外輪鍔部13との間に所定の間隔をもって径方向内方に向けて延びる内輪鍔部16が形成されている。内輪鍔部16は、その内径端が環状ピストン5の小径円筒部5aの外周面5a1と調心用の環状隙間17を隔てて配置されている。環状ピストン5の鍔部5cと、内輪鍔部16との間には皿ばね18が配設されている。この皿ばね18の弾発力によって内輪鍔部16の軸方向軸受側の側面16aが環状ピストン5の大径円筒部5bの反軸受側の端面5b1に当接している。
ダイヤフラムスプリング8とクラッチレリーズ軸受7との間に半径方向の偏心が生じた場合、ダイヤフラムスプリング8に対し皿ばね18を介してクラッチレリーズ軸受7が半径方向に相対的に移動されることでダイヤフラムスプリング8に対しクラッチレリーズ軸受7が調心されるように構成されている。
内輪10の軸方向軸受側の端部には、ダイヤフラムスプリング8に向けて内輪10を押圧する加圧ばね19のばね力を受けるばね受け体20が配設されている。
本実施形態では、ピストン側部材である環状ピストン5の外周に、皿ばね18を間に挟んで環状の部材からなるキャップ21が配設されている。キャップ21は、外輪鍔部13の先端13aと対向する位置に配設されている。キャップ21は、当該キャップ21の外周面と、外輪鍔部13の先端13aとの間にラビリンスシールが形成されるべく、キャップ21の外周面が外輪鍔部13の先端13aから例えば1〜2mm程度離間するようにサイズが設定されるとともに環状ピストン5の外周に配設される。
なお、本実施形態では、環状ピストン5にピストン取付部材が配設されていないが、後述するように、かかるピストン取付部材を配設することも可能である。この場合は、ピストン取付部材が本明細書における「ピストン側部材」を構成する。すなわち、本明細書において、「ピストン側部材」とは、ピストン、及び当該ピストンに配設されるピストン取付部材の双方を含む趣旨である。
キャップ21は、例えばPA66、PA46、PPS等の合成樹脂や金属で作製することができる。
キャップ21は、軸方向反軸受側の円筒部22と軸方向軸受側の円筒部23とを有している。円筒部22の外周面は、反軸受方向に向かうにつれて径方向内方に傾斜する第1傾斜面24を構成している。また、円筒部23の外周面は、軸受方向に向かうにつれて径方向内方に傾斜する第2傾斜面25を構成している。円筒部22と円筒部23との境界は、第1傾斜面24の最大外径部(外径が最も大きい部分)26であるとともに、第2傾斜面25の最大外径部26でもある。
キャップ21は、軸方向反軸受側の円筒部22と軸方向軸受側の円筒部23とを有している。円筒部22の外周面は、反軸受方向に向かうにつれて径方向内方に傾斜する第1傾斜面24を構成している。また、円筒部23の外周面は、軸受方向に向かうにつれて径方向内方に傾斜する第2傾斜面25を構成している。円筒部22と円筒部23との境界は、第1傾斜面24の最大外径部(外径が最も大きい部分)26であるとともに、第2傾斜面25の最大外径部26でもある。
第1傾斜面24の最大外径部26は、外輪鍔部13の外側端面13bよりも軸方向反軸受側に位置している。このため、第1傾斜面24に泥水が付着したとしても、当該第1傾斜面24は反軸受方向に向かうにつれて径方向内方に傾斜しているので、自重により環状のキャップ21の下部に回り込んだ泥水は第1傾斜面24の最大外径部26から滴下される。このとき、第1傾斜面24の最大外径部26は、外輪鍔部13の外側端面13bよりも軸方向反軸受側に位置しているので、滴下した泥水は軸受の内部には浸入しない。なお、本明細書における「上下方向」は鉛直方向を意味し、軸受装置は、通常、その回転中心軸Oが水平面と水平になるように配置されるので、例えば図1における「上下方向」は回転中心軸Oと垂直な方向となる。図1では、環状の部材であるキャップ21の上半分の縦断面が図示されているが、前述した第1傾斜面24に付着した泥水は、自重により、図示されていないキャップ21の下方の部分(下部)に回り込む。
また、第2傾斜面25の最大外径部26も、外輪鍔部13の外側端面13bよりも軸方向反軸受側に位置している。このため、第2傾斜面25に泥水が付着して軸受内部に浸入しようとしても、当該第2傾斜面25は軸受方向に向かうにつれて径方向内方に傾斜しているので、自重により環状のキャップの下部に回り込んだ泥水は第2傾斜面25の最大外径部26から滴下される。このとき、第2傾斜面25の最大外径部26は、外輪鍔部13の外側端面13bよりも軸方向反軸受側に位置しているので、滴下した泥水は軸受の内部には浸入しない。
キャップ21の内周面、より詳細には、キャップ21の最内径部(最も径方向内側の部分)には、図2及び図3に示されるように、凸状の係止部としての爪部27が周方向に沿って複数個形成されている。爪部27は、軸方向に水平な断面が矩形状の突出部からなっている。
また、図2に示されるように、皿ばね18の軸方向反軸受側の縁部には、爪部27の位置に対応して周方向に沿って被係止部としての複数の切欠き28が形成されている。係止部としての爪部27を、被係止部としての切欠き28に嵌め込むことでキャップ21を簡単に皿ばね18の外周に配設することができる。また、複数の箇所において、キャップ21の爪部27が皿ばね18の切欠き28に嵌め込まれるので、キャップ21を皿ばね18の外周にしっかりと配設することができる。
また、本実施形態では、図2に示されるように、キャップ21の爪部27が環状ピストン5の鍔部5cの軸方向軸受側の側面5c1と当接している。これにより、キャップ21の位置決めを確実に行うとともに、当該キャップ21が皿ばね18から外れるのを防止することができる。本実施形態では、前述したように、キャップ21の爪部27を皿ばね18の切欠き28に嵌め込むようにしている。したがって、キャップ21の爪部27の鍔部5cへの引っ掛かりを確保するために必要な鍔部5cの突出高さを小さくすることができ、環状ピストン5のための設置スペースを小さくすることができる。キャップ21の爪部27を皿ばね18の切欠き28に嵌め込む構成がないと、皿ばね18の外周面に配設されるキャップ21と当接するためには、鍔部5cを高くする必要があるが、そうすると当該鍔部5cが邪魔をして皿ばね18を環状ピストン5の外周に組み付けるのが難しくなる。本実施形態では、キャップ21の爪部27を皿ばね18の切欠き28に嵌め込む構成を採用しているので、鍔部5cの突出高さを小さくしても、キャップ21の爪部27の鍔部5cへの引っ掛かりを確保することが可能となる。
本実施形態に係るクラッチレリーズ軸受装置1は、ピストン側部材である環状ピストン5の外周であって外輪鍔部13の先端13aと対向する位置に環状部材からなるキャップ21を設け、このキャップ21の外周面(第2傾斜面25)と外輪鍔部13との間にラビリンスシールを形成している。したがって、転動体P.C.D.とコンタクト径Cと差が大きく、外輪鍔部13のサイズが大きい場合であっても、キャップ21を環状ピストン5に配設するという簡単な構成により、当該キャップ21の外周面と外輪鍔部13との間にラビリンスシールを形成して、クラッチレリーズ軸受装置1の耐泥水性を確保することができる。また、キャップ21をピストン側部材の外周に配設するという構成であり、既存のスペースを利用することができるので、キャップ配設のスペースを確保するために、装置を大型化する必要がない。
〔その他の変形例〕
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、前述した実施形態では、ピストン側部材としての環状ピストンの外周にキャップを配設しているが、図4に示されるように、環状ピストン30の先端側(図4において左側)にピストン取付部材31を設け、このピストン取付部材31の外周に、皿ばね18を間に挟んでキャップ21を配設することもできる。この態様では、ピストン取付部材31がピストン側部材である。ピストン取付部材31は、円筒形状を呈しており、環状ピストン30の先端部の段部30aと嵌合する大径円筒部31aと、この大径円筒部31aよりも小径の小径円筒部31bと、大径円筒部31aと小径円筒部31bとを接続する肩部31cとを有している。また、ピストン取付部材31の小径円筒部31bは、当該小径円筒部31bの軸方向反軸受側端部に径方向外方に突出する鍔部31dを有している。なお、図4に示される実施形態において、図1〜3に示される実施形態と同一の部材又は要素には同じ参照符号を付し、簡単のために、それらについての説明は省略する。
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、前述した実施形態では、ピストン側部材としての環状ピストンの外周にキャップを配設しているが、図4に示されるように、環状ピストン30の先端側(図4において左側)にピストン取付部材31を設け、このピストン取付部材31の外周に、皿ばね18を間に挟んでキャップ21を配設することもできる。この態様では、ピストン取付部材31がピストン側部材である。ピストン取付部材31は、円筒形状を呈しており、環状ピストン30の先端部の段部30aと嵌合する大径円筒部31aと、この大径円筒部31aよりも小径の小径円筒部31bと、大径円筒部31aと小径円筒部31bとを接続する肩部31cとを有している。また、ピストン取付部材31の小径円筒部31bは、当該小径円筒部31bの軸方向反軸受側端部に径方向外方に突出する鍔部31dを有している。なお、図4に示される実施形態において、図1〜3に示される実施形態と同一の部材又は要素には同じ参照符号を付し、簡単のために、それらについての説明は省略する。
図4に示される実施形態においても、ピストン側部材であるピストン取付部材31の外周であって外輪鍔部13の先端13aと対向する位置に環状部材からなるキャップ21を設け、このキャップ21の外周面と外輪鍔部13との間にラビリンスシールを形成している。したがって、転動体P.C.D.とコンタクト径Cとの差が大きく、外輪鍔部13のサイズが大きい場合であっても、キャップ21をピストン取付部材31に配設するという簡単な構成により、当該キャップ21の外周面と外輪鍔部13との間にラビリンスシールを形成して、クラッチレリーズ軸受装置1の耐泥水性を確保することができる。また、キャップ21をピストン側部材の外周に配設するという構成であり、既存のスペースを利用することができるので、キャップ配設のスペースを確保するために、装置を大型化する必要がない。
また、前述した実施形態では、キャップに形成される凸状の係止部として、軸方向に水平な断面が矩形状の突出部である爪部が採用されているが、係止部としては、半球状またはドーム状の突出部からなるものを採用することも可能であり、本発明において、その形状は特に限定されるものではない。
また、前述した実施形態では、皿ばねに形成される被係止部として、当該皿ばねの縁部に形成される切欠きが採用されているが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば皿ばねの周縁部に形成される円形又は矩形状の開口とすることもできる。
また、前述した実施形態では、キャップの外周に2つの傾斜面(第1傾斜面及び第2傾斜面)を形成しているが、一方又は両方の傾斜面を平坦な面とすることも可能である。
1 :クラッチレリーズ軸受装置 5 :環状ピストン
7 :クラッチレリーズ軸受
8 :ダイヤフラムスプリング 9 :外輪 10 :内輪
12 :玉(転動体) 13 :外輪鍔部 13a :先端
13b :外側側面 16 :内輪鍔部 18 :皿ばね
21 :キャップ 22 :円筒部 23 :円筒部
24 :第1傾斜面 25 :第2傾斜面 26 :最大外径部
27 :爪部 28 :切欠き 30 :環状ピストン
31 :ピストン取付部材 C :コンタクト径 O :回転中心軸
7 :クラッチレリーズ軸受
8 :ダイヤフラムスプリング 9 :外輪 10 :内輪
12 :玉(転動体) 13 :外輪鍔部 13a :先端
13b :外側側面 16 :内輪鍔部 18 :皿ばね
21 :キャップ 22 :円筒部 23 :円筒部
24 :第1傾斜面 25 :第2傾斜面 26 :最大外径部
27 :爪部 28 :切欠き 30 :環状ピストン
31 :ピストン取付部材 C :コンタクト径 O :回転中心軸
Claims (7)
- 内輪と、外輪と、前記内輪と外輪との間に配設される転動体とを備えており、前記外輪は、当該外輪の一端部において径方向内方に向けて延びる外輪鍔部を有しているクラッチレリーズ軸受装置であって、
前記外輪鍔部の先端と対向する位置で、前記クラッチレリーズ軸受装置が設けられるシリンダ機構のピストン側部材の外周に配置されるキャップを有しており、
前記キャップは環状の部材からなり、
前記キャップと、前記外輪鍔部の先端との間にラビリンスシールが形成される、クラッチレリーズ軸受装置。 - 前記キャップの軸方向反軸受側円筒部の外周面は、反軸受方向に向かうにつれて径方向内方に傾斜する第1傾斜面を構成し、
前記第1傾斜面の最大外径部は、前記外輪鍔部の外側端面よりも軸方向反軸受側に位置する、請求項1に記載のクラッチレリーズ軸受装置。 - 前記キャップの軸方向軸受側円筒部の外周面は、軸受方向に向かうにつれて径方向内方に傾斜する第2傾斜面を構成し、
前記第2傾斜面の最大外径部は、前記外輪鍔部の外側端面よりも軸方向反軸受側に位置する、請求項1又は請求項2に記載のクラッチレリーズ軸受装置。 - 前記ピストン側部材の外周に環状の皿ばねが配設されており、
前記キャップは、前記皿ばねの外周に配設されており、
前記キャップは、当該キャップの内周面に凸状の係止部を有しており、
前記皿ばねは、前記係止部が嵌め込まれる被係止部を有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のクラッチレリーズ軸受装置。 - 前記係止部は、前記キャップの最内径部において当該キャップの周方向に沿って複数形成された爪部からなり、
前記被係止部は、前記皿ばねの軸方向反軸受側縁部において当該皿ばねの周方向に沿って複数形成された切欠きからなる、請求項4に記載のクラッチレリーズ軸受装置。 - 前記ピストン側部材は、当該ピストン側部材の軸方向反軸受側端部に径方向外方に突出する鍔部を有しており、
前記キャップの係止部は、前記鍔部の軸方向軸受側の面で当該鍔部と当接する、請求項4又は請求項5に記載のクラッチレリーズ軸受装置。 - 前記ピストン側部材は、前記シリンダ機構のピストンに取り付けられるピストン取付部材である、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のクラッチレリーズ軸受装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016051520A JP2017166554A (ja) | 2016-03-15 | 2016-03-15 | クラッチレリーズ軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2016051520A JP2017166554A (ja) | 2016-03-15 | 2016-03-15 | クラッチレリーズ軸受装置 |
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ID=59910079
Family Applications (1)
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JP2016051520A Pending JP2017166554A (ja) | 2016-03-15 | 2016-03-15 | クラッチレリーズ軸受装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019158145A (ja) * | 2018-03-08 | 2019-09-19 | アクティエボラゲット・エスコーエッフ | 玉軸受を含むクラッチスラスト軸受装置及び当該装置を含むドライブラインシステム |
CN111561524A (zh) * | 2019-01-28 | 2020-08-21 | 舍弗勒技术股份两合公司 | 弹簧卡环及离合器分离副缸 |
-
2016
- 2016-03-15 JP JP2016051520A patent/JP2017166554A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019158145A (ja) * | 2018-03-08 | 2019-09-19 | アクティエボラゲット・エスコーエッフ | 玉軸受を含むクラッチスラスト軸受装置及び当該装置を含むドライブラインシステム |
JP7374596B2 (ja) | 2018-03-08 | 2023-11-07 | アクティエボラゲット・エスコーエッフ | 玉軸受を含むクラッチスラスト軸受装置及び当該装置を含むドライブラインシステム |
CN111561524A (zh) * | 2019-01-28 | 2020-08-21 | 舍弗勒技术股份两合公司 | 弹簧卡环及离合器分离副缸 |
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