JP2017165671A - 高濃度アルコールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、有機化合物と水の混合物から有機化合物のみを高濃度で取り出す方法としては、まず蒸留にて大部分の水分を除去した後、吸着剤を用いた圧力スイング吸着(Pressure Swing Absorption、以下「PSA」とも略称する。)法により、残りの水分を除去する方法が提案されている(特許文献1参照)。
本発明はこのような課題を解決するものであり、効率的に水−アルコール混合物から高濃度のアルコールを製造する方法を提供するものである。
(1) 吸着及び膜分離装置をこの順に用いて高濃度アルコールを製造する方法であって、 水−アルコール混合物を吸着装置に導入し、水を吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールを、 膜分離装置に導入してさらに脱水することを特徴とする、高濃度アルコールの製造方法。
(2) 水を吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールの一部を膜分離装置に導入する、(1)に記載の高濃度アルコールの製造方法。
(3) 水を吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールの全部を膜分離装置に導入する、(1)に記載の高濃度アルコールの製造方法。
(4) 水を吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールをタンクに導入し、該タンクから濃縮アルコールを膜分離装置に導入する、(1)〜(3)のいずれかに記載の高濃度
アルコールの製造方法。
(5) 膜分離装置により脱水された濃縮アルコールをさらに前記タンクに戻し、濃縮アルコールを循環させて脱水を行う、(4)に記載の高濃度アルコールの製造方法。
(6) 膜分離装置が有する分離膜が、高分子膜またはゼオライト膜である、(1)〜(5)のいずれか一項に記載の高濃度アルコールの製造方法。
(7) ゼオライト膜が、酸素6〜12員環構造を有するゼオライトを含む膜である、(6)に記載の高濃度アルコールの製造方法。
本発明は、吸着及び膜分離装置をこの順に用いて高濃度アルコールを製造する方法であって、水−アルコール混合物を吸着装置に導入し、水を吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールを膜分離装置に導入してさらに脱水することを特徴とする。
本発明に適用される原料となるアルコール(例えば、メタノール、エタノール、またはこれらの混合物)としては、特に限定されるものではないが、種々の合成プロセスで製造された粗アルコールや、発酵菌などの微生物によってアルコール発酵で生成されたアルコール、特に、バイオマスを原料として得られるバイオエタノールが挙げられる。
バイオエタノールは、バイオマス原料を、発酵菌などの微生物によってアルコール発酵することで製造されるエタノール含有液である。ここで発酵菌としてはグルコースおよびグルコースの2量体、多量体のいずれか1以上を炭素源としてアルコール発酵を行う微生物であれば何でもよく、一例として酵母菌やザイモモナスがあげられる。バイオエタノールには、アルコール、水の他、酸などの不純物が含まれている場合がある。
着(TSA)によるもの、両者を組み合わせた圧力温度スイング吸着(PTSA)のいずれであってもよい。
PSAは、圧力を高くすることにより水などを吸着剤に吸着させ、圧力を低くすることにより吸着剤から水などを脱着させる機能を備えている。一方、TSAは、水などを吸着剤に吸着させ、加熱ガス(窒素など)を供給して温度を高くすることにより吸着剤から水などを脱着させる機能を備えている。
PSA、TSA、PTSAは、装置構成が比較的簡単であるために広く使用されており、吸着剤としては、脱水能力が高いことから合成ゼオライトである「モレキュラシーブ」(商品名)が好適に使用される。
精留塔により精留された塔頂の留出物(アルコール濃度が高くなった混合物)を吸着装置に導入することで、より純度の高いアルコールを得ることができる。
精留塔により精留された塔頂の留出物(混合物)は、アルコール濃度が通常70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上であり、通常98質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。アルコール濃度が上限以下であることにより、精留塔などの負荷を減らし、全体のエネルギー効率を向上させる傾向にある。また、アルコール濃度が下限以上であることにより、水濃度が高すぎず、吸着材の充填量が増加することなく、吸着設備が大型化し設備面コストが増加する恐れが回避できる。そのため、吸着装置の吸着剤の再生頻度を抑えられ、運転コストも抑制できる傾向にある。
例えばバイオエタノールなどの不純物が多く含まれるアルコールの場合には、必要に応じて、不溶物や溶液中の高分子量成分を取り除く、精密ろ過、限外ろ過、ナノろ過などの濾過や、中和処理、もろみ塔による予備蒸留などの前処理のうち1種類または複数種類を組み合わせて行うことが望ましい。もろみ塔などの予備蒸留塔によって濃縮されたエタノール混合物は、次に精留塔に供給されることが好ましい。
1つの吸着装置のみを使用する場合には、一定時間、水吸着工程を実施した後に吸着装
置への混合物の供給を止めて水脱着工程を行う。
水脱着工程は、水吸着工程において得られた濃縮アルコールの一部を吸着装置に導入して、吸着装置から吸着水を脱着させることが好ましい。
また、吸着装置から水を脱着する脱着工程で得られた含水アルコールを膜分離装置に導入して、含水アルコールの水とアルコールを分離してもよい。
膜分離工程に導入される濃縮アルコールのアルコール濃度は、通常88.0質量%以上、好ましくは90.0質量%以上、より好ましくは95.0質量%以上、さらに好ましくは98.0質量%以上、特に好ましくは99.0質量%以上である。また、15℃において、通常92.8体積%以上、好ましくは94.0体積%以上、より好ましくは97.0体積%以上、さらに好ましくは98.8体積%以上である。
また、該濃縮アルコールは一旦貯蔵用のタンクなどに導入し、このタンクを介して、膜分離装置に濃縮アルコールを導入してもよい。また、膜分離装置に導入され、脱水された濃縮アルコールをさらに前記タンクに戻し、濃縮アルコールを循環させて脱水することにより、より高い濃度のアルコールを生産性よく製造することが出来る。
本発明に係る、膜分離装置を用いた分離工程は、パーベーパレーション(PV)法またはパーベーパーミエーション(VP)法が採用されるが、本発明では、エネルギー効率の点からパーベーパレーション(PV)法を採用することがより好ましい。
PV法は、分離膜に液体を接触させて水を透過させる。すなわち、この方式は、透過気化法または浸透気化法とも呼ばれ、混合物(供給液)を分離膜を介して蒸発させ、その際、水のみを透過させることにより、アルコールを分離して濃縮する。供給液は気化熱で冷却されるため、それを補うための加熱手段が必要となる。
尚、膜分離装置における水の透過流束は0.1kg/(m2・h)以上であることが好ましく、さらに好ましくは2.0kg/(m2・h)以上、より好ましくは5.0kg/(m2・h)以上である。水の透過流束が上記範囲であることにより、膜分離装置からそのままプロダクツを得る場合は、その生産効率を高めることになり、膜分離装置から吸着装置に戻す場合においては、吸着装置のエネルギー効率を高めることになる。また、透過流束の値が大きい場合、膜分離装置における所望の濃縮量および濃縮速度を保ったまま、分離膜面積を減らす設計をすることも可能であり、装置のコンパクト化も可能となる。
分離膜の一例としてゼオライト膜について詳細に説明する。
ゼオライト膜としては、多孔質支持体上に形成された多孔質支持体−ゼオライト膜複合体(以下、ゼオライト膜複合体という)を用いることが好ましい。
具体的にはシリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などを含むセラミックス焼結体(セラミックス支持体)が挙げられる。その中でもアルミナ、シリカ、ムライトのうち少なくとも1種を含む多孔質支持体は、多孔質支持体の部分的なゼオライト化が容易であるため、多孔質支持体とゼオライトの結合が強固になり緻密で分離性能の高い膜が形成されやすくなる点でより好ましい。
ゼオライト膜複合体は支持体を有することによって機械的な強度が増し、取り扱いが容易になり、種々の装置設計が可能であるほか、無機多孔質支持体である場合には無機物で構成されるため、耐熱性、耐薬品性に優れる。
本発明で用いられる多孔質支持体は、その表面(以下「多孔質支持体表面」ともいう。)においてゼオライトを結晶化させることが好ましい。
平均細孔径が小さすぎると透過量が小さくなる傾向があり、大きすぎると支持体自体の強度が不十分になることがあり、支持体表面の細孔の割合が増えて緻密なゼオライト膜が形成されにくくなることがある。
支持体はゼオライト膜に機械的強度を与える目的で使用しているが、支持体の平均厚さが薄すぎると多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が十分な強度を持たず多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が衝撃や振動等に弱くなり実用上問題が生じる傾向がある。支持体の平均厚さが厚すぎると透過した物質の拡散が悪くなり透過流束が低くなる傾向がある。
また、多孔質支持体の表面は滑らかであることが好ましく、必要に応じて、表面をやすり等で研磨してもよい。
また、本発明で用いられる多孔質支持体の、多孔質支持体表面以外の部分の細孔径は制限されるものではない。
多孔質支持体の気孔率は、気体や液体を分離する際の透過流量を左右し、前記下限未満では透過物の拡散を阻害する傾向があり、前記上限超過では多孔質支持体の強度が低下する傾向がある。
ここでいう酸素n員環を有するゼオライトのnの値は、ゼオライト骨格を形成する酸素とT元素で構成される細孔の中で最も酸素の数が大きいものを示す。例えば、MOR型ゼオライトのように酸素12員環と8員環の細孔が存在する場合は、酸素12員環のゼオライトとみなす。
、SGT、SOD、STF、STI、STT、TER、TOL、TON、TSC、TUN、UFI、VNI、VSV、WEI、YUG等がある。
酸素10員環構造よりも大きい場合は細孔径が大きくなり、サイズの小さな有機物では分離性能が低下するため、用途が限定的になる場合がある。
図1は、本発明の実施態様に係るアルコールの製造方法の一例を示すフローシートである。
2 もろみ塔
3 もろみ塔リボイラー
4 回収水予熱器
5 精留塔コンデンサー
6 精留塔
7 加熱器
8 精留塔リボイラー
9 吸着装置
10 減圧装置(凝縮器付)
11 過熱器
12 膜分離装置
13 透過側コンデンサー
14 真空ポンプ
15 濃縮液冷却器
Claims (7)
- 吸着装置及び膜分離装置をこの順に用いて高濃度アルコールを製造する方法であって、
水−アルコール混合物を吸着装置に導入し、水を吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールを、
膜分離装置に導入してさらに脱水することを特徴とする、高濃度アルコールの製造方法。 - 水を吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールの一部を膜分離装置に導入する、請求項1に記載の高濃度アルコールの製造方法。
- 水を吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールの全部を膜分離装置に導入する、請求項1に記載の高濃度アルコールの製造方法。
- 水を前吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールをタンクに導入し、該タンクから濃縮アルコールを膜分離装置に導入する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の高濃度アルコールの製造方法。
- 膜分離装置により脱水された濃縮アルコールをさらに前記タンクに戻し、濃縮アルコールを循環させて脱水を行う、請求項4に記載の高濃度アルコールの製造方法。
- 膜分離装置が有する分離膜が、高分子膜またはゼオライト膜である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の高濃度アルコールの製造方法。
- ゼオライト膜が、酸素6〜12員環構造を有するゼオライトを含む膜である、請求項6に記載の高濃度アルコールの製造方法。
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