JP2017165671A - 高濃度アルコールの製造方法 - Google Patents

高濃度アルコールの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017165671A
JP2017165671A JP2016051185A JP2016051185A JP2017165671A JP 2017165671 A JP2017165671 A JP 2017165671A JP 2016051185 A JP2016051185 A JP 2016051185A JP 2016051185 A JP2016051185 A JP 2016051185A JP 2017165671 A JP2017165671 A JP 2017165671A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alcohol
membrane
water
zeolite
concentration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016051185A
Other languages
English (en)
Inventor
秀人 日▲高▼
Hideto Hidaka
秀人 日▲高▼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Group Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Holdings Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Chemical Holdings Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2016051185A priority Critical patent/JP2017165671A/ja
Publication of JP2017165671A publication Critical patent/JP2017165671A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Separation Of Gases By Adsorption (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

【課題】 効率的に水−アルコール混合物から高濃度のアルコールを製造する方法を提供すること。【解決手段】 吸着装置及び膜分離装置をこの順に用いて高濃度アルコールを製造する方法であって、水−アルコール混合物を前記吸着装置に導入し、水を前記吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールを、前記膜分離装置に導入してさらに脱水すること、例えば水を前記吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールをタンクに導入し、該タンクから濃縮アルコールを膜分離装置に導入することを特徴とする高濃度アルコールの製造方法。【選択図】 図1

Description

本発明は高濃度アルコールを製造する方法に関し、特に水−アルコール混合物から高い濃度のアルコールを製造する方法に関する。
アルコール類、ケトン類、エーテル類などの有機化合物と水との混合物から水分のみを除去することは、水と有機化合物との混合物が最低沸点を有する共沸混合物となり、通常の精留のみでは高濃度で有機化合物を精製することは困難である。
そのため、有機化合物と水の混合物から有機化合物のみを高濃度で取り出す方法としては、まず蒸留にて大部分の水分を除去した後、吸着剤を用いた圧力スイング吸着(Pressure Swing Absorption、以下「PSA」とも略称する。)法により、残りの水分を除去する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、装置を大型化せずエタノールと水の混合物を脱水する方法として、蒸留塔とPSAの間に膜分離手段を介在させる方法が提案されている。この方法ではPSAから排出されたパージガスを膜分離手段に供給して、高濃度のエタノールを得る方法が提案されている(特許文献2)。
特開2000−334257号公報 特開2008−86988号公報
しかしながら、従来の吸着装置を利用した方法では、高濃度のアルコールを効率よく生産することが十分に出来るとは言えなかった。
本発明はこのような課題を解決するものであり、効率的に水−アルコール混合物から高濃度のアルコールを製造する方法を提供するものである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、水−アルコール混合物を吸着装置に導入し、水を吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールを、膜分離装置に導入してさらに脱水することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の概要は、以下のとおりである。
(1) 吸着及び膜分離装置をこの順に用いて高濃度アルコールを製造する方法であって、 水−アルコール混合物を吸着装置に導入し、水を吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールを、 膜分離装置に導入してさらに脱水することを特徴とする、高濃度アルコールの製造方法。
(2) 水を吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールの一部を膜分離装置に導入する、(1)に記載の高濃度アルコールの製造方法。
(3) 水を吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールの全部を膜分離装置に導入する、(1)に記載の高濃度アルコールの製造方法。
(4) 水を吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールをタンクに導入し、該タンクから濃縮アルコールを膜分離装置に導入する、(1)〜(3)のいずれかに記載の高濃度
アルコールの製造方法。
(5) 膜分離装置により脱水された濃縮アルコールをさらに前記タンクに戻し、濃縮アルコールを循環させて脱水を行う、(4)に記載の高濃度アルコールの製造方法。
(6) 膜分離装置が有する分離膜が、高分子膜またはゼオライト膜である、(1)〜(5)のいずれか一項に記載の高濃度アルコールの製造方法。
(7) ゼオライト膜が、酸素6〜12員環構造を有するゼオライトを含む膜である、(6)に記載の高濃度アルコールの製造方法。
本発明によれば、発酵菌によるアルコール発酵で生成されたエタノール含有液を始めとする各種アルコール含有液を原料とする、水−アルコール混合物から高濃度アルコールを得る際においても、効率的に純度の高い高濃度アルコールを製造する方法を提供することができる。
図1は、本発明の実施態様に係る高濃度アルコールの製造方法の一例を示すフロー図である。
以下、本発明をより詳細に説明するが、本発明は具体的な実施態様のみに限定されるものではない。なお、本明細書において“重量%”と“質量%”とは同義である。
本発明は、吸着及び膜分離装置をこの順に用いて高濃度アルコールを製造する方法であって、水−アルコール混合物を吸着装置に導入し、水を吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールを膜分離装置に導入してさらに脱水することを特徴とする。
本発明において製造されるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、またはこれらの混合物が挙げられる。
本発明に適用される原料となるアルコール(例えば、メタノール、エタノール、またはこれらの混合物)としては、特に限定されるものではないが、種々の合成プロセスで製造された粗アルコールや、発酵菌などの微生物によってアルコール発酵で生成されたアルコール、特に、バイオマスを原料として得られるバイオエタノールが挙げられる。
バイオエタノールは、バイオマス原料を、発酵菌などの微生物によってアルコール発酵することで製造されるエタノール含有液である。ここで発酵菌としてはグルコースおよびグルコースの2量体、多量体のいずれか1以上を炭素源としてアルコール発酵を行う微生物であれば何でもよく、一例として酵母菌やザイモモナスがあげられる。バイオエタノールには、アルコール、水の他、酸などの不純物が含まれている場合がある。
本発明では、バイオエタノールなどの純度が高くないエタノール混合物から、高濃度のアルコールを製造することができるため、バイオエタノールに係るプロセスに適用することが好ましい。
ここで、本発明における高濃度のアルコールとは、通常99.1質量%以上、好ましくは99.3質量%以上、より好ましくは99.5質量%以上、さらに好ましくは99.7質量%以上、特に好ましくは99.9質量%以上のアルコールである。また、本発明における高濃度のアルコールとは、15℃において、通常99.5体積%以上、好ましくは99.6体積%以上、より好ましくは99.7体積%以上、さらに好ましくは99.9体積%以上のアルコールである。なお、本明細書において、“高濃度”と“高純度”とは同義である。
本発明に用いる吸着装置は、圧力スイング吸着(PSA)によるもの、温度スイング吸
着(TSA)によるもの、両者を組み合わせた圧力温度スイング吸着(PTSA)のいずれであってもよい。
PSAは、圧力を高くすることにより水などを吸着剤に吸着させ、圧力を低くすることにより吸着剤から水などを脱着させる機能を備えている。一方、TSAは、水などを吸着剤に吸着させ、加熱ガス(窒素など)を供給して温度を高くすることにより吸着剤から水などを脱着させる機能を備えている。
PSA、TSA、PTSAは、装置構成が比較的簡単であるために広く使用されており、吸着剤としては、脱水能力が高いことから合成ゼオライトである「モレキュラシーブ」(商品名)が好適に使用される。
吸着装置に導入される水−アルコール混合物中のアルコール濃度は、特に限定されるものではないが、例えば、通常95質量%以下、好ましくは92質量%以下であり、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上である。アルコール濃度が上限以下であることにより、前段の精留塔などの負荷が少なく、全体のエネルギー効率が向上する傾向にある。アルコール濃度が下限以上であることにより、水濃度が高すぎず、吸着材の充填量が増加することなく、吸着設備が大型化し設備面コストが増加する恐れが回避できる。そのため、吸着装置の吸着剤の再生頻度を抑えられ、運転コストも抑制できる傾向にある。
本発明において、吸着装置に導入される水−アルコール混合物としては、前段に精留塔が存在する場合は、その塔頂の留出物であってもよい。
精留塔により精留された塔頂の留出物(アルコール濃度が高くなった混合物)を吸着装置に導入することで、より純度の高いアルコールを得ることができる。
精留塔により精留された塔頂の留出物(混合物)は、アルコール濃度が通常70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上であり、通常98質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。アルコール濃度が上限以下であることにより、精留塔などの負荷を減らし、全体のエネルギー効率を向上させる傾向にある。また、アルコール濃度が下限以上であることにより、水濃度が高すぎず、吸着材の充填量が増加することなく、吸着設備が大型化し設備面コストが増加する恐れが回避できる。そのため、吸着装置の吸着剤の再生頻度を抑えられ、運転コストも抑制できる傾向にある。
アルコール濃度が低い混合物が原料である場合には、まず、もろみ塔などの予備蒸留塔に供給され、通常30質量%以上、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上、通常70質量%未満、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下まで濃縮を行うことが好ましい。アルコール濃度がこの範囲内であるとき還流がほとんど必要なく、また、蒸発させる水の量も少ないためエネルギー消費量を少なくすることができる。
例えばバイオエタノールなどの不純物が多く含まれるアルコールの場合には、必要に応じて、不溶物や溶液中の高分子量成分を取り除く、精密ろ過、限外ろ過、ナノろ過などの濾過や、中和処理、もろみ塔による予備蒸留などの前処理のうち1種類または複数種類を組み合わせて行うことが望ましい。もろみ塔などの予備蒸留塔によって濃縮されたエタノール混合物は、次に精留塔に供給されることが好ましい。
吸着装置は1基でもよいが、複数存在することが好ましい。複数存在する場合、少なくとも1つの吸着装置において混合物中の水を除去する水吸着工程が実施され、また、別の吸着装置において水脱着工程が実施される。例えば、2つの吸着装置が存在する場合、第一の吸着装置では、水−アルコール混合物を導入し水を吸着させて、既に水を吸着している第二の吸着装置には、アルコールを導入し水を脱着させて含水アルコールを得る。
1つの吸着装置のみを使用する場合には、一定時間、水吸着工程を実施した後に吸着装
置への混合物の供給を止めて水脱着工程を行う。
水吸着工程では、水−アルコール混合物中の水が吸着剤に吸着されることで、アルコールが濃縮されて濃縮アルコールが得られる。
水脱着工程は、水吸着工程において得られた濃縮アルコールの一部を吸着装置に導入して、吸着装置から吸着水を脱着させることが好ましい。
また、吸着装置から水を脱着する脱着工程で得られた含水アルコールを膜分離装置に導入して、含水アルコールの水とアルコールを分離してもよい。
ここで本発明では、水吸着工程により得られた濃縮アルコールを膜分離装置に導入し、高濃度アルコールを製造する。
膜分離工程に導入される濃縮アルコールのアルコール濃度は、通常88.0質量%以上、好ましくは90.0質量%以上、より好ましくは95.0質量%以上、さらに好ましくは98.0質量%以上、特に好ましくは99.0質量%以上である。また、15℃において、通常92.8体積%以上、好ましくは94.0体積%以上、より好ましくは97.0体積%以上、さらに好ましくは98.8体積%以上である。
膜分離装置に導入する濃縮アルコールは、吸着装置により得られる濃縮アルコールのうちの一部であっても全部であってもよい。
また、該濃縮アルコールは一旦貯蔵用のタンクなどに導入し、このタンクを介して、膜分離装置に濃縮アルコールを導入してもよい。また、膜分離装置に導入され、脱水された濃縮アルコールをさらに前記タンクに戻し、濃縮アルコールを循環させて脱水することにより、より高い濃度のアルコールを生産性よく製造することが出来る。
本発明に係る、膜分離装置を用いた分離工程は、パーベーパレーション(PV)法またはパーベーパーミエーション(VP)法が採用されるが、本発明では、エネルギー効率の点からパーベーパレーション(PV)法を採用することがより好ましい。
PV法は、分離膜に液体を接触させて水を透過させる。すなわち、この方式は、透過気化法または浸透気化法とも呼ばれ、混合物(供給液)を分離膜を介して蒸発させ、その際、水のみを透過させることにより、アルコールを分離して濃縮する。供給液は気化熱で冷却されるため、それを補うための加熱手段が必要となる。
本発明に係る膜分離装置に導入することにより得られたアルコールは、その濃度が十分に高い場合にはそのままプロダクツ(製品)とすることも可能であり、また、濃度が十分高くない場合には、再度吸着装置または膜分離装置に戻してもよいし、上記のとおりタンクに戻してもよい。
尚、膜分離装置における水の透過流束は0.1kg/(m・h)以上であることが好ましく、さらに好ましくは2.0kg/(m・h)以上、より好ましくは5.0kg/(m・h)以上である。水の透過流束が上記範囲であることにより、膜分離装置からそのままプロダクツを得る場合は、その生産効率を高めることになり、膜分離装置から吸着装置に戻す場合においては、吸着装置のエネルギー効率を高めることになる。また、透過流束の値が大きい場合、膜分離装置における所望の濃縮量および濃縮速度を保ったまま、分離膜面積を減らす設計をすることも可能であり、装置のコンパクト化も可能となる。
膜分離装置は分離膜を有するものであればよく、該分離膜は通常脱水機能を有する分離膜であり、例えば、ポリイミド膜などの高分子膜、ゼオライト膜などが挙げられ、その形状も特定されるものではなく、平板状、管状、ハニカム状、モノリス、中空糸状のいずれであってもよい。
分離膜の一例としてゼオライト膜について詳細に説明する。
ゼオライト膜としては、多孔質支持体上に形成された多孔質支持体−ゼオライト膜複合体(以下、ゼオライト膜複合体という)を用いることが好ましい。
本発明で用いられる多孔質支持体としては、表面にゼオライトを膜状に固着、好ましくは結晶化できるような化学的安定性があり、多孔質であれば特に制限されるものではない。なかでも無機多孔質支持体が好ましく、たとえば、シリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などのセラミックス焼結体、鉄、ブロンズ、ステンレス等の焼結金属や、ガラス、カーボン成型体などが挙げられる。
無機多孔質支持体の中でも、基本的成分あるいはその大部分が無機の非金属物質から構成されている固体材料であるセラミックスを焼結したもの(セラミックス支持体)を含む多孔質の支持体は、その一部がゼオライト膜合成中にゼオライト化することで界面の密着性を高める効果があるために特に好ましい。
具体的にはシリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などを含むセラミックス焼結体(セラミックス支持体)が挙げられる。その中でもアルミナ、シリカ、ムライトのうち少なくとも1種を含む多孔質支持体は、多孔質支持体の部分的なゼオライト化が容易であるため、多孔質支持体とゼオライトの結合が強固になり緻密で分離性能の高い膜が形成されやすくなる点でより好ましい。
ゼオライト膜複合体は支持体を有することによって機械的な強度が増し、取り扱いが容易になり、種々の装置設計が可能であるほか、無機多孔質支持体である場合には無機物で構成されるため、耐熱性、耐薬品性に優れる。
本発明で用いられる多孔質支持体の形状は、液体または気体の混合物を有効に分離できるものであれば制限されるものではなく、具体的には平板状、管状のもの、または円筒状、円柱状や角柱状の孔が多数存在するハニカム状のものやモノリスなどが挙げられ、いずれの形状のものでもよい。
本発明で用いられる多孔質支持体は、その表面(以下「多孔質支持体表面」ともいう。)においてゼオライトを結晶化させることが好ましい。
前記多孔質支持体表面が有する平均細孔径は特に制限されるものではないが、細孔径が制御されているものが好ましく、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.5μm以上であり、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下の範囲が好ましい。
平均細孔径が小さすぎると透過量が小さくなる傾向があり、大きすぎると支持体自体の強度が不十分になることがあり、支持体表面の細孔の割合が増えて緻密なゼオライト膜が形成されにくくなることがある。
多孔質支持体の平均厚さ(肉厚)は、通常0.1mm以上、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上、特に好ましくは0.7mm以上であり、通常7mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。
支持体はゼオライト膜に機械的強度を与える目的で使用しているが、支持体の平均厚さが薄すぎると多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が十分な強度を持たず多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が衝撃や振動等に弱くなり実用上問題が生じる傾向がある。支持体の平均厚さが厚すぎると透過した物質の拡散が悪くなり透過流束が低くなる傾向がある。
多孔質支持体が円筒管である場合、円筒管の外径は通常3mm以上、好ましくは5.5mm以上、より好ましくは9.5mm以上、特に好ましくは11mm以上であり、通常51mm以下、好ましくは31mm以下、より好ましくは21mm以下、さらに好ましくは17mm以下、特に好ましくは15mm以下である。
支持体はゼオライト膜に機械的強度を与える目的で使用しているが、支持体が円筒管の場合、その外径が小さすぎると多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が十分な強度を持たず多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が衝撃や振動等に弱くなり実用上問題が生じる傾向がある。支持体が円筒管の場合、その外径が大きすぎると体積当たりの膜面積が小さくなるため、必要な膜面積を得るために必要な膜の体積が大きくなり、広い設置場所が必要になったり、大型のモジュールが必要になったりして、経済的に不利になる傾向がある。
また、多孔質支持体の表面は滑らかであることが好ましく、必要に応じて、表面をやすり等で研磨してもよい。
なお、多孔質支持体表面とは例えばゼオライトを結晶化させる無機多孔質支持体表面部分を意味し、表面であればそれぞれの形状のどこの表面であってもよく、複数の面であってもよい。たとえば円筒管の支持体の場合には外側の表面でも内側の表面でもよく、場合によっては外側と内側の両方の表面であってよい。
また、本発明で用いられる多孔質支持体の、多孔質支持体表面以外の部分の細孔径は制限されるものではない。
多孔質支持体の気孔率は通常20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上であり、通常70%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下である。
多孔質支持体の気孔率は、気体や液体を分離する際の透過流量を左右し、前記下限未満では透過物の拡散を阻害する傾向があり、前記上限超過では多孔質支持体の強度が低下する傾向がある。
本発明においてゼオライト膜を構成する主たるゼオライトのフレームワーク密度は、特に制限するものではないが、好ましくは10.0T/1000Å以上、より好ましくは14.0T/1000Å以上であり、好ましくは18.0T/1000Å以下、より好ましくは17.0T/1000Å以下、さらに好ましくは、16.0T/1000Å以下、最も好ましくは15.0/1000Å以下である。この範囲であることが、耐久性の点で好ましい。
フレームワーク密度とは、ゼオライトの1000Åあたりの酸素以外の骨格を構成するT元素の数を意味し、この値はゼオライトの構造により決まるものである。なお、フレームワーク密度とゼオライトとの構造の関係は、ATLAS OF ZEOLITE FRAMEWORK TYPES Fifth Revised Edition 2001 ELSEVIERに示されている。
本発明におけるゼオライト膜を構成する主たるゼオライトは、通常、酸素6−12員環構造を有するゼオライトであり、好ましくは酸素6−10員環構造、より好ましくは酸素8員環構造を有するゼオライトである。
ここでいう酸素n員環を有するゼオライトのnの値は、ゼオライト骨格を形成する酸素とT元素で構成される細孔の中で最も酸素の数が大きいものを示す。例えば、MOR型ゼオライトのように酸素12員環と8員環の細孔が存在する場合は、酸素12員環のゼオライトとみなす。
酸素6−10員環構造を有するゼオライトの一例を挙げれば、AEI、AEL、AFG、ANA、BRE、CAS、CDO、CHA、DAC、DDR、DOH、EAB、EPI、ESV、EUO、FAR、FRA、FER、GIS、GIU、GOO、HEU、IMF、ITE、ITH、KFI、LEV、LIO、LOS、LTA、LTN、MAR、MEP、MER、MEL、MFI、MFS、MON、MSO、MTF、MTN、MTT、MWW、NAT、NES、NON、PAU、PHI、RHO、RRO、RTE、RTH、RUT
、SGT、SOD、STF、STI、STT、TER、TOL、TON、TSC、TUN、UFI、VNI、VSV、WEI、YUG等がある。
酸素10員環構造よりも大きい場合は細孔径が大きくなり、サイズの小さな有機物では分離性能が低下するため、用途が限定的になる場合がある。
前記の中でゼオライトの構造としては、好ましくは、AEI、CHA、KFI、LEV、LTA、PAU、RHO、RTH、UFIであり、さらに好ましくは、CHA、LEV、LTA、UFIであり、より好ましくはCHAまたはLTAであり、特に好ましくはLTAである。
本発明において用いられるゼオライト膜の厚さとしては、特に制限されるものではないが、通常、0.1μm以上であり、好ましくは0.6μm以上、さらに好ましくは1.0μm以上、より好ましくは5μm以上、特に好ましくは7μm以上である。また通常100μm以下であり、好ましくは60μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下の範囲である。膜厚が大きすぎると透過量が低下する傾向があり、小さすぎると選択性や膜強度が低下する傾向がある。
本発明におけるゼオライト膜を形成するゼオライトの粒子径は特に限定されるものではないが、小さすぎると粒界が大きくなるなどして透過選択性などを低下させる傾向があることから、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上であり、上限は膜の厚さ以下である。さらに好ましくはゼオライトの粒子径が膜の厚さと同じである場合である。これはゼオライトの粒子径が膜の厚さと同じであるときに、ゼオライトの粒界が最も小さくなるためである。水熱合成で得られたゼオライト膜は、ゼオライトの粒子径と膜の厚さが同じになる場合があるので好ましい。
ゼオライト膜は、従来より知られる水熱合成法等により製造されればよく、ゼオライト膜は必要に応じてシリル化剤を用いてシリル化処理をしてもよい。
以下、具体的な実施態様を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は具体的な実施態様のみに限定されないことはいうまでもない。
図1は、本発明の実施態様に係るアルコールの製造方法の一例を示すフローシートである。
アルコール濃度が1〜8質量%の原料をもろみ塔2に供給し予備蒸留を行い、アルコール濃度が40〜60質量%の水−アルコール混合物のベーパーを得る。この水−アルコール混合物のベーパーを精留塔6に供給し、アルコール濃度が90〜95質量%の水−アルコール混合物を得る。得られた水−アルコール混合物のベーパーを吸着装置9に供給し、アルコール濃度が99.5質量%の濃縮アルコールのベーパーを得るとともに、再生脱着中の吸着装置からはアルコール濃度が40〜80質量%の含水アルコールのベーパーを得る。アルコール濃度が99.5質量%の濃縮アルコールのベーパーは、減圧装置(凝縮器付)10にて液体とされ、液体の含水アルコールを膜分離装置12に供給する。膜分離装置12では、パーベーパレーション法により水とアルコールが分離されて、さらに濃縮され99.9質量%の高濃度のアルコールが得られる。膜を透過した水とアルコール(アルコール濃度1〜10質量%)は精留塔6へ戻される。
1 もろみ塔供給予熱器
2 もろみ塔
3 もろみ塔リボイラー
4 回収水予熱器
5 精留塔コンデンサー
6 精留塔
7 加熱器
8 精留塔リボイラー
9 吸着装置
10 減圧装置(凝縮器付)
11 過熱器
12 膜分離装置
13 透過側コンデンサー
14 真空ポンプ
15 濃縮液冷却器

Claims (7)

  1. 吸着装置及び膜分離装置をこの順に用いて高濃度アルコールを製造する方法であって、
    水−アルコール混合物を吸着装置に導入し、水を吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールを、
    膜分離装置に導入してさらに脱水することを特徴とする、高濃度アルコールの製造方法。
  2. 水を吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールの一部を膜分離装置に導入する、請求項1に記載の高濃度アルコールの製造方法。
  3. 水を吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールの全部を膜分離装置に導入する、請求項1に記載の高濃度アルコールの製造方法。
  4. 水を前吸着装置に吸着させて得られる濃縮アルコールをタンクに導入し、該タンクから濃縮アルコールを膜分離装置に導入する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の高濃度アルコールの製造方法。
  5. 膜分離装置により脱水された濃縮アルコールをさらに前記タンクに戻し、濃縮アルコールを循環させて脱水を行う、請求項4に記載の高濃度アルコールの製造方法。
  6. 膜分離装置が有する分離膜が、高分子膜またはゼオライト膜である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の高濃度アルコールの製造方法。
  7. ゼオライト膜が、酸素6〜12員環構造を有するゼオライトを含む膜である、請求項6に記載の高濃度アルコールの製造方法。
JP2016051185A 2016-03-15 2016-03-15 高濃度アルコールの製造方法 Pending JP2017165671A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016051185A JP2017165671A (ja) 2016-03-15 2016-03-15 高濃度アルコールの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016051185A JP2017165671A (ja) 2016-03-15 2016-03-15 高濃度アルコールの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017165671A true JP2017165671A (ja) 2017-09-21

Family

ID=59909896

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016051185A Pending JP2017165671A (ja) 2016-03-15 2016-03-15 高濃度アルコールの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017165671A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019189358A1 (ja) * 2018-03-30 2019-10-03 日立造船株式会社 高含水系における低Siゼオライト膜適応脱水システムおよび脱水方法
WO2021153848A1 (ko) * 2020-01-30 2021-08-05 주식회사 세프라텍 투과증발 및 증류공정을 이용한 고농도 바이오 알코올의 제조 설비 및 방법
CN114712884A (zh) * 2022-06-08 2022-07-08 北京化工大学 一种精馏-膜分离联合生产电子级乙醇装置及方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011121045A (ja) * 2009-11-11 2011-06-23 Mitsubishi Chemicals Corp 含水有機化合物の分離方法および分離装置
JP2012055833A (ja) * 2010-09-09 2012-03-22 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 脱水装置
WO2015026162A1 (ko) * 2013-08-20 2015-02-26 주식회사 엘지화학 이소프로필 알코올의 정제 방법
WO2015159986A1 (ja) * 2014-04-18 2015-10-22 三菱化学株式会社 多孔質支持体-ゼオライト膜複合体及び多孔質支持体-ゼオライト膜複合体の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011121045A (ja) * 2009-11-11 2011-06-23 Mitsubishi Chemicals Corp 含水有機化合物の分離方法および分離装置
JP2012055833A (ja) * 2010-09-09 2012-03-22 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 脱水装置
WO2015026162A1 (ko) * 2013-08-20 2015-02-26 주식회사 엘지화학 이소프로필 알코올의 정제 방법
WO2015159986A1 (ja) * 2014-04-18 2015-10-22 三菱化学株式会社 多孔質支持体-ゼオライト膜複合体及び多孔質支持体-ゼオライト膜複合体の製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019189358A1 (ja) * 2018-03-30 2019-10-03 日立造船株式会社 高含水系における低Siゼオライト膜適応脱水システムおよび脱水方法
WO2021153848A1 (ko) * 2020-01-30 2021-08-05 주식회사 세프라텍 투과증발 및 증류공정을 이용한 고농도 바이오 알코올의 제조 설비 및 방법
CN114712884A (zh) * 2022-06-08 2022-07-08 北京化工大学 一种精馏-膜分离联合生产电子级乙醇装置及方法
CN114712884B (zh) * 2022-06-08 2023-01-13 北京化工大学 一种精馏-膜分离联合生产电子级乙醇装置及方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11028031B2 (en) Method for producing high-concentration alcohol
WO2018168651A1 (ja) アルコールの製造方法
Liu et al. Preparation and characterization of ZSM-5/PDMS hybrid pervaporation membranes: Laboratory results and pilot-scale performance
US10836694B2 (en) Method for producing high concentration alcohol
US10870084B2 (en) Water-alcohol separation system and water-alcohol separation method for producing alcohol
JP2017165671A (ja) 高濃度アルコールの製造方法
JP6816372B2 (ja) エタノールの回収方法
JP2016041419A (ja) 分離方法及び分離装置
Li et al. ZSM‐11 membranes: Characterization and pervaporation performance
WO2021186959A1 (ja) ガス分離方法およびゼオライト膜
JP2018020985A (ja) アルコールの製造方法
JP5884349B2 (ja) 含水有機化合物の脱水濃縮方法及びそれに用いる脱水濃縮装置
JP6728583B2 (ja) 微量アルコールの除去方法
WO2018169037A1 (ja) アルコールの製造のための分離膜ユニット
JP4998929B2 (ja) ガス精製方法
JP2014118377A (ja) 有機化合物の製造方法
JP2005087890A (ja) 発酵アルコール水溶液の濃縮方法及びその装置
JP2020055753A (ja) 高濃度アルコールの製造方法
JP2011083750A (ja) 分離膜による水の分離方法
JP5897130B2 (ja) アルコール精製装置及びアルコール精製方法
WO2022191228A1 (ja) 脱水システム及び脱水方法
WO2021186974A1 (ja) ガス分離方法およびゼオライト膜
JP2016041418A (ja) 分離方法及び分離装置
JP2004051617A (ja) 無水アルコールの製造方法及びその装置
Moulik et al. Vapor Permeation: Fundamentals, Principles and Applications

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20170421

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200204

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200804