JP2017160859A - エンジンのオイル通路構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃焼室のスキッシュエリア部の冷却を充分に行なってノック限界を向上させ、ノッキング抑制制御を行なって、ノッキングの発生を未然に防止したもの。【解決手段】エンジンのオイル通路構造は、クランクケース、シリンダ、および動弁機構が収容されるシリンダヘッド43を備え、シリンダヘッド43内のオイル通路が、シリンダヘッド43に設けられる排気ポート58の周囲にオイルを案内してシリンダ内のオイル通路へ送り返す排気ポート冷却部84と、この排気ポート冷却部84から流れ込むオイルを燃焼室56の周囲に還流させる燃焼室冷却部とを有する。燃焼室冷却部と吸気ポート57との間に吸気ポート冷却部86を設けたことを特徴とするものである。【選択図】 図7

Description

本発明は、エンジンオイルを用いてエンジンを潤滑しかつ冷却するとともに、ノッキング抑制制御を行なうことができるエンジンのオイル通路構造に関する。
自動二輪車のエンジンには、点火プラグ、吸気ポートおよび排気ポートが形成されるシリンダヘッド内にヘッド側冷却用オイル通路を形成するためのオイル通路中子構造を備えたものがある(特許文献1参照)。このオイル通路中子は、オイル流入路を形成する第1のボスと、オイル流出路を形成する第2のボスと、オイル流入路から点火プラグの周辺や排気ポートの周辺を流れてオイル流出路に案内される冷却通路部とを有する。シリンダヘッドは、オイル通路中子により形成されたヘッド側冷却用オイル通路内をエンジンオイルが流動することで、シリンダヘッドが冷却される。
特開2013−72354号公報
特許文献1に記載のエンジンでは、シリンダヘッドに形成されたヘッド側冷却用オイル通路は、オイル流入路とオイル流出路間に設けられた冷却通路が、点火プラグの周囲および排気ポートの周囲に分岐されてオイルが流れるように形成されている。
エンジンオイルは、水に比べて比熱が低いため、冷却性能を向上させるためには、冷却オイルの流速を充分高める必要がある。しかし、特許文献1のオイル通路構造では、オイル流入口やオイル流出口を増加させることで、冷却通路の流路断面積が増えてしまい、オイル流速が低下するので冷却性能が低下してしまう。
また、中子のみで冷却通路を構成する場合、冷却通路断面積は中子を形成する最低肉厚に依存するため、オイル流速を高くできない原因になっていた。
さらに、特許文献1のオイル通路構造では、燃焼室のインテーク側スキッシュエリアの冷却が不充分で、エンジンの高負荷時や高温時にノッキングが発生しやすくなる傾向がある。
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、燃焼室のスキッシュエリア部の冷却を充分に行なってノック限界を向上させ、ノッキング抑制制御を行なってノッキング発生を未然に防止したエンジンのオイル通路構造を提供することを目的とする。
本発明の別の目的は、ノッキングを起こし易い燃焼室のインテーク側スキッシュエリアやプラグ差込部スキッシュエリアの冷却を効率よく行ない、燃焼室温度を低下させて吸気充填効率を向上させ、エンジン出力を改善させたエンジンのオイル通路構造を提供することにある。
本発明に係るエンジンのオイル通路構造は、上述した課題を解決するために、クランクケース、シリンダ、および動弁機構が収容されるシリンダヘッドを備え、前記シリンダヘッド内のオイル通路が、前記シリンダヘッドに設けられる排気ポートの周囲にオイルを案内して前記シリンダ内のオイル通路へ送り返す排気ポート冷却部と、この排気ポート冷却部から流れ込む前記オイルを燃焼室の周囲に還流させる燃焼室冷却部とを有するエンジンのオイル通路構造であって、前記燃焼室冷却部と吸気ポートとの間に吸気ポート冷却部を設けたことを特徴とするものである。
本発明に係るエンジンのオイル通路構造においては、燃焼室の周囲に案内される燃焼室冷却部と吸気ポートとの間に吸気ポート冷却部を設けて、燃焼室のスキッシュエリア部のオイル冷却を効率よく行なってノック限界を向上させ、ノッキング抑制制御によりノッキング発生を未然に防止することができる。
また、本発明のエンジンのオイル通路構造は、燃焼室のインテーク側スキッシュエリアやプラグ差込部スキッシュエリアの冷却を行ない、燃焼室温度を低下させて吸気充填効率を向上させ、エンジン出力を改善させることができる。
本発明に係るエンジンのオイル通路構造の一実施形態が適用されたエンジンを搭載した自動二輪車を示す左側面図。 図1のエンジンをオイルクーラとともに示す正面図。 図1および図2のエンジンを示す右側面図。 エンジンを構成するシリンダアッセンブリを示す左側面図。 図1〜図3におけるエンジンのオイル通路構造を示す系統図。 シリンダアッセンブリを構成するシリンダの平面図。 シリンダアッセンブリを構成するシリンダヘッドを下方から見上げた図。 図7に示すシリンダヘッドから蓋部材を取り外した状態の平面図。 シリンダアッセンブリのシリンダとシリンダヘッドとに設けられるオイルジャケット構造を示す斜視図。 図9に示されたオイルジャケット構造を排気ポート側から見た斜視図。 図9に示されたオイルジャケット構造を自動二輪車の左側側方から見た斜視図。 図8のXII−XII線に沿う断面図。 図9のオイルジャケット構造を示す平面図。 図13に示されたオイルジャケット構造を自動二輪車の左側側方から見た側面図。 図9に示されたオイルジャケット構造を吸気ポート側から見た側面図。 図9に示されたオイルジャケット構造を排気ポート側から見た側面図。
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係るエンジンのオイル通路構造の一実施形態が適用されたエンジンを搭載する自動二輪車の左側面図を示すものである。図2は、図1のエンジンをオイルクーラとともに示す正面図であり、図3は、自動二輪車のエンジンを示す左側面図である。本実施形態において、前後および左右の表現は、車両乗車時の運転者を基準にしたものである。
図1に示す自動二輪車10は、前端部にヘッドパイプ12を備える車体フレーム11を有する。この車体フレーム11は所謂クレードルフレームであり、ヘッドパイプ12、メインチューブ13、ダウンチューブ14、および左右一対のシートレール15を備えて構成される。
車体フレーム11の前部上方に位置するヘッドパイプ12には、ステアリング機構16が枢支される。このステアリング機構16に、前輪19を回転自在に軸支するとともにサスペンション機構を内蔵したフロントフォーク17およびハンドルバー18が取り付けられている。前輪19は、ハンドルバー18を用いて左右に操舵される。フロントフォーク17には、前輪19の上部を覆うようにフロントフェンダ20が固定されている。
メインチューブ13は、ヘッドパイプ12の上部後面から車両斜め後下方へ延出されるとともに、湾曲して車両下方へ延び、下端部が図示しないピボットブラケットに結合される。また、ダウンチューブ14は、ヘッドパイプ12の下部後面から車両下方へ延びるとともに、湾曲して車両後方へ延び、後端部が前記ピボットブラケットに結合される。このピボットブラケットにはピボット軸支持部(不図示)が架設され、このピボット軸支持部にスイングアーム23が車両上下方向に揺動自在に枢支される。このスイングアーム23の後端に、後輪24が回転自在に軸支される。
メインチューブ13には、左右一対のシートレール15が結合されて車両後方へ延びる。これら左右一対のシートレール15が、車両前後方向に順次配置された複数本のフレームブリッジ(不図示)により連結して補強される。これらのシートレール15は、左右一対のシートピラー25を介して前記ピボットブラケットに支持される。このシートレール15には、後輪24の上方を覆うリアフェンダ26が支持される。また、シートレール15およびシートピラー25、スイングアーム23の間にリアクッションユニット27が装荷されて、後輪24からの衝撃荷重を緩衝している。
メインチューブ13には、燃料タンク28がヘッドパイプ12の後方位置で支持される。また、シートレール15によりシート29が、燃料タンク28の後方に隣接して支持される。
一方、ステアリング機構16またはフロントフォーク17に、車両前方上部を覆うフロントカバー32が設置され、このフロントカバー32にヘッドライト33等が配設される。また、メインチューブ13およびシートレール15には、燃料タンク28の後部下方およびシート27の前部下方の領域を覆う左右一対のサイドカバー34が取り付けられる。さらに、シートレール15には、後輪24の上方でシート27の後部下方の領域を覆うリアカバー35が取り付けられる。
さらに、メインチューブ13とダウンチューブ14との間にエンジン38が搭載される。このエンジン38は例えば4サイクル単気筒エンジンであり、燃料タンク28の下方に位置づけられる。エンジン38は、後輪24との間に巻き掛けられたドライブチェーン39を介して後輪24を駆動する。
エンジン38は、図2〜図4に示すように構成され、クランクケース40とクランクケース40の上面前部に結合されたシリンダアッセンブリ41とを有する。シリンダアッセンブリ41は、シリンダ42と、このシリンダ42の頂部を塞ぐシリンダヘッド43と、このシリンダヘッド43の頂部を塞ぐヘッドカバー44とを備えて構成される。シリンダヘッド43の後部には、エンジン吸気系を構成する図示しないキャブレタ(またはスロットルボディ)およびエアクリーナ等が順次接続される。また、シリンダヘッド43の前部に、エンジン排気系である図示しないエキゾーストパイプおよび排気マフラが順次接続される。
クランクケース40は、図2に示すように、左側半体40Aと右側半体40Bとが結合面40Cにて結合されて構成され、左側半体40Aにマグネットカバー45が、右側半体40Bにクラッチカバー46がそれぞれ設けられる。クランクケース40のクランク室内に、図3に示すクランクシャフト47が回転自在に軸支される。また、クランクケース40内には、クランク室に隣接してミッション室48が形成される。このミッション室48内に、カウンタシャフトやドライブシャフト50(ともに図5)を備えるトランスミッション(T/M)51が収容される。また、クランクケース40の下部に、エンジンオイルを貯溜するオイルパン52が設けられる。
シリンダアッセンブリ41は、クランクケース40にやや前傾姿勢で結合される。シリンダアッセンブリ41を構成するシリンダ42内に図6に示すように、円筒形状のシリンダボア53が形成される。このシリンダボア53内に、クランクシャフト47にコンロッド(不図示)を介して連結されたピストン54が往復移動可能に配設される。また、シリンダ42には、図6に示すように、シリンダボア53に隣接してカムチェーン室55が形成されている。
図2および図3に示すシリンダヘッド43は、シリンダ42の頂部に結合してシリンダボア53の上方を塞ぐことで、ピストン54との間に燃焼室56を形成する。この燃焼室56内で混合気が燃焼することでピストン54が往復移動する。また、シリンダヘッド43は、背面壁側に、混合気を燃焼室56内へ供給する一対の吸気ポート57が設けられ、正面壁側に、燃焼室56にて生成された燃焼ガスを排出する一対の排気ポート58が設けられる。
また、シリンダヘッド43には、図3および図6〜図8に示すように、吸気ポート57を開閉する一対の吸気バルブ59、排気ポート58を開閉する一対の排気バルブ60を駆動するための動弁機構61が、ヘッドカバー44との間に収容される。この動弁機構61のカムシャフトは、クランクシャフト47との間で図示しないカムチェーンを介して駆動される。このカムチェーンは、シリンダ42のカムチェーン室55およびシリンダヘッド43のカムチェーン室63内に配設される。
また、シリンダ42およびシリンダヘッド43におけるそれぞれシリンダボア53、燃焼室56の周囲4箇所には、図4および図5に示すようにボルト穴64が形成される。これらのボルト穴64にスタッドボルトが挿通されることで、シリンダ42およびシリンダヘッド43がクランクケース40に結合される。
ところで、エンジン38は図2および図5に示すように、オイル通路構造65を有し、このオイル通路構造65は、クランクケース側オイル通路66、シリンダ側オイル通路67およびシリンダヘッド側オイル通路68を備えて構成される。
クランクケース側オイル通路66は、クランクケース40に設けられたオイル通路であり、クランクケース40およびシリンダ42内の各潤滑部へエンジンオイルを供給して潤滑する。また、シリンダ側オイル通路67は、シリンダ42に設けられたオイル通路であり、特に燃焼室56の周囲をエンジンオイルにより冷却する。さらに、シリンダヘッド側オイル通路68は、シリンダヘッド43に設けられたオイル通路であり、エンジンオイルにより動弁機構61を潤滑するとともに、排気ポート58の周囲を主に冷却する。
クランクケース側オイル通路66は、図2および図5に示すように、第1オイル通路部69、オイルポンプ70、第2オイル通路部71、オイルフィルタ72、第3オイル通路部73が順次接続され、さらに、オイルフィルタ72に第4オイル通路部74が接続されて構成される。
第1オイル通路部69は、オイルパン52に直接、または図示しないオイルストレーナを介して接続される。また、オイルポンプ70は、クランクシャフト47に回転一体の補機ドライブギア(不図示)により駆動される機械式オイルポンプである。したがって、オイルポンプ70の出力は、クランクシャフト47の回転数(すなわちエンジン38の回転数)に依存し、クランクシャフト47の回転数が高くなるほど多量のエンジンオイルを吐出する。
オイルポンプ70の稼動により、オイルパン52内のエンジンオイルは直接、またはオイルストレーナにより異物が除去された後に、第1オイル通路部69を経てオイルポンプ70から吐出され、第2オイル通路部71を経てオイルフィルタ72に流入して、エンジンオイル中の異物が除去される。
このオイルフィルタ72にて異物が除去されたエンジンオイルは、第3オイル通路部73を経てエンジン38の各潤滑部、つまり、クランク室内のクランクシャフト47、シリンダ42のシリンダボア53内を摺動するピストン54、ミッション室48内のトランスミッション51等へ供給されて、これらのクランクシャフト47、ピストン54、トランスミッション51(カウンタギアorシャフト49およびドライブギアorシャフト50を含む)を潤滑する。また、第4オイル通路部74は、シリンダ側オイル通路67の第5オイル通路部75に接続される。
シリンダ側オイル通路67は、図2および図5に示すように、互いに連通する第5オイル通路部75および第6オイル通路部76と、第5オイル通路部75からオイルクーラ80に接続されるオイルクーラ流入側オイルホース81と、互いに連通する第10オイル通路部85および第13オイル通路部88とを備えて構成される。第10オイル通路部85は、シリンダ42の燃焼室56を冷却する燃焼室冷却部を構成するものであり、後述するオイルジャケットである。
また、シリンダアッセンブリ41のシリンダヘッド側オイル通路68は、シリンダ側オイル通路67に連通して、動弁機構61を冷却する第7オイル通路部77と、オイルクーラ流出側オイルホース82に接続された第8オイル通路部83と、この第8オイル通路部83に連通する排気ポート冷却部の第9オイル通路部84と、吸気ポート冷却部の第11オイル通路部86と、点火プラグ差込部冷却部の第12オイル通路87とを備えて構成される。
第9オイル通路部84は、略排気ポート58の廻りを迂回し、排気ポート冷却部を構成するオイルジャケットである。第11オイル通路部86および第12オイル通路部87は、第10オイル通路部85の第1区切り部分90aおよび第2区切り部分90bの両側でそれぞれ連通される。第11オイル通路部86は、吸気ポート冷却部を構成するオイルジャケットであり、第12オイル通路部87は、点火プラグ差込部冷却部を構成するオイルジャケットである。
オイルクーラ流出側オイルホース82から第8オイル通路部83を経て第9オイル通路部84の排気ポート冷却部に案内されたオイルは、排気ポート58廻りを冷却して、シリンダ側オイル通路67の第10オイル通路部85の上流側に案内され、この第10オイル通路部85で燃焼室冷却部を冷却している。
また、第10オイル通路部85に案内されたオイルは、第1区切り部分90aからシリンダヘッド側オイル通路68の第11オイル通路部86に案内され、ここで、吸気ポート冷却部が冷却される。第11オイル通路部86を通って吸気ポート冷却部を冷却したオイルは、第10オイル通路部85の中間部分に還流されて燃焼室56を冷却した後、第2区切り部分90bからシリンダヘッド側オイル通路68の第12オイル通路部87に案内され、第12オイル通路部87で点火プラグ差込部91廻りを通り、冷却している。第12オイル通路部87により点火プラグ差込部冷却部を冷却したオイルは、再びシリンダ側オイル通路67の第10オイル通路部85の下流側に還流され、第10オイル通路部85の下流端から第13オイル通路部88を経て、クランクケース側オイル通路66の還流側を通り、オイルパン52に戻される。
一方、シリンダ側オイル通路67の第5オイル通路部75は、図2および図5,図6に示すように、シリンダ42の正面壁の下部に水平方向に直線状に延在して形成される。この第5オイル通路部75に流入したエンジンオイルは、その一部が、第6オイル通路部76を経て、シリンダヘッド側オイル通路68の第7オイル通路部77に至り、この第7オイル通路部77から動弁機構61(特にカムシャフト)へ導かれて、この動弁機構61を潤滑する。
ここで、第6オイル通路部76は、シリンダ側オイル通路67の第5オイル通路部75に直交して交差し、上方へ延在してシリンダ42内に形成される。シリンダヘッド側オイル通路68の第7オイル通路部77は、図6に示すシリンダ側オイル通路67の第6オイル通路部76に連通し、シリンダヘッド43に略垂直方向に延在して形成されて、動弁機構61のカムシャフト近傍に至る。
図2および図6に示すように、シリンダ側オイル通路67の第5オイル通路部75に流入したエンジンオイルは、その残部が、流入側オイルホース81を経てオイルクーラ80へ送られて冷却される。このオイルクーラ80は、図1および図2に示すように、車体フレーム11のダウンチューブ14におけるエンジン38の斜め前上方に配置される。特に、このオイルクーラ80は、自動二輪車10の走行風に晒され易いように、前輪19およびフロントフェンダ20を正面に臨む位置を避けて配置されることが好ましい。また、オイルクーラ80の背面には、冷却風を発生する冷却ファンが配置されている。したがって、オイルクーラ80は、流入したエンジンオイルが、冷却ファンによる冷却風や自動二輪車10の走行風と熱交換して積極的に冷却される。
オイルクーラ80により冷却されたエンジンオイルは、図2,図5に示すように、流出側オイルホース82を経てシリンダヘッド側オイル通路68の第8オイル通路部83に流入し、この第8オイル通路部83から排気ポート冷却部を構成する第9オイル通路部84へ流入する。
第8オイル通路部83は、図2および図4,図5に示すように、シリンダヘッド43の正面壁における左側面壁との角部に形成される。また、第9オイル通路部84は、後に詳説するが、シリンダヘッド43における排気ポート58の略周囲に形成されて、第8オイル通路部83からのエンジンオイルをシリンダヘッド43の排気ポート58の周囲に流動(還流)させて、この排気ポート58の周囲を冷却する。
第9オイル通路部84内を流れたエンジンオイルは、図5および図6に示すように、次にシリンダ側オイル通路67の第10オイル通路部85の流入口部85a内へ流入する。この第10オイル通路部85は、シリンダ42におけるシリンダヘッド43との接合面でシリンダボア53の周囲に形成され、シリンダヘッド側オイル通路68の第9オイル通路部84からのエンジンオイルを全体的に略環状に流動させることで、燃焼室56の周囲を冷却する。この燃焼室56の周囲を冷却したエンジンオイルは、図2および図6に示すように、第10オイル通路部85の流出口部85bからシリンダ側オイル通路67の第13オイル通路部88を経てクランクケース40内のオイルパン52に戻される。この第13オイル通路部88は、シリンダ42の正面壁における左正面壁との角部に垂直方向に形成される。シリンダ42とシリンダヘッド43との接合面にはガスケット92が介装され、このガスケット92により液密構造に接合され、シール性を向上させている。
後に詳説するが、オイルクーラ80で冷却されたエンジンオイルは、図5および図7に示すシリンダヘッド側オイル通路68の第8オイル通路部83を経て第9オイル通路部84に還流され、シリンダヘッド43の排気ポート58周囲を冷却している。第9オイル通路部84は、排気ポート冷却部を形成するオイルジャケットを構成している。
また、第9オイル通路部84を通り、排気ポート冷却部を冷却したエンジンオイルは、続いて、図5および図6に示すように、シリンダ側オイル通路67の第10オイル通路部85に案内され、第10オイル通路部85でシリンダ42の燃焼室56周囲を冷却している。第10オイル通路部85は、燃焼室56を冷却するオイルジャケットを構成している。
第10オイル通路部85は、全体として略円環状に形成されるが、途中に2つの区切り部分90a,90bが図6に示すように構成される。各区切り部分90a,90bは、その両側で図5および図7に示すように、シリンダヘッド側オイル通路68の第11オイル通路部86および第12オイル通路部87にそれぞれ連通される。第11オイル通路部86は吸気ポート冷却部を、第12オイル通路部87は点火プラグ差込部冷却部を、それぞれ形成してオイルジャケットを構成している。
[シリンダおよびシリンダヘッドのオイルジャケット構造]
シリンダアッセンブリ41のシリンダ42およびシリンダヘッド43には、図6〜図9に示すように、冷却用オイル通路でオイルジャケット構造に構成される。シリンダ42およびシリンダヘッド43の冷却用オイル通路は、オイル通路中子構造に形成される。
シリンダヘッド43のヘッド側冷却用オイル通路は、オイルクーラ80の流出側オイルホース82からシリンダヘッド側オイル通路68の第8オイル通路部83を経て第9オイル通路部84に案内される。第9オイル通路部84は、排気ポート58廻りを案内されるが、上側中子95により形成される上側流路部96と下側中子97により形成される下側流路部98とを有する。第9オイル通路部84の流入口部84aに流入したエンジンオイルは、流入口部84aから排気ポート58の分岐部間を通って上側流路部96に案内され、上側流路部96をジグザグ状に蛇行して下側流路部98に案内される。下側流路部98では、エンジンオイルが、排気ポート58の分岐部外側辺を通って流出口部94bに導かれる。第9オイル通路部84は、オイルクーラ80から冷却されたエンジンオイルが略排気ポート58廻りを流れて、排気ポート冷却部のオイルジャケットを構成している。
なお、図7〜図11に示すオイルジャケット構造では、第9オイル通路部84はシリンダヘッド43内の排気ポート58廻りを流れるエンジンオイルが、流入口部84aから上側流路部96、下側流路部98を順次経て流出口部94bに案内される例を示したが、エンジンオイルは、排気ポート58廻りを下側流路部98から上側流路部96に流れて案内されるように構成してもよい。
ところで、図8〜図11に示す第9オイル通路部84の上側流路部96は平面視で図8に示すように構成される。シリンダヘッド43の頂面に設けられて上方に開放する開放部が上側中子95により形成され、この開放部を上方から覆う蓋部材100(図8参照)が設けられて上側流路部96が構成される。
上側流路部96の開放部は、排気ポート58の上方でかつ動弁機構61の下方の領域であって、一対ずつ配置される吸気バルブ59と排気バルブ60との間に形成される。上側流路部96の開放部は、上流端が第8オイル通路部83からの流入口部84aに連通するとともに、下流端が下側流路部98の流出口部84bを経て第10オイル通路部85からの流入口部85aに連通される。また、この開放部はジグザグ状に蛇行して形成されて、流路長が直線状の場合に比べて長くなり、内部を流れるエンジンオイルの熱交換効率が高められる。
さらに、上側流路部96の開放部を形成する上側中子95には、図9〜図11に示すように、外側面に窪みが形成されている。この窪みにより、開放部に流路方向に延びる流路壁面が形成される。
上側流路部96の蓋部材100は、図12に示すように、上側流路部96の開放部を上方から覆うものであり、開放部の上側流路部96の形状に対応した突部101が突出して形成されている。この蓋部材100の突部101が開放部の流路に差し込まれて係合することで、突部101と開放部との隙間が第9オイル通路部84の上側流路部96として構成される。
また、図12に示すように、蓋部材100の接合面101aと開放部の接合面96aとが接合された状態で、蓋部材100は取付ボルト102を用いてシリンダヘッド43に結合される。このとき、蓋部材100の接合面101aと開放部の接合面96aのいずれか一方(例えば蓋部材100の接合面101a)は、平面加工が施されていない非加工面、すなわち鋳肌面に形成されている。これにより、接合された蓋部材100の接合面101aと開放部の接合面96aとの隙間に、気泡などの気体が通過可能に構成される。なお、図8中の符号103は、動弁機構61を収容するカムハウジングの位置を示す。
第9オイル通路部84の流出口部84bは、図5および図10,図11に示すようにシリンダ側オイル通路67の第10オイル通路部85に連通し、排気ポート58の左側方に下方へ傾斜して加工される。この下側流路部98の下流端は、シリンダ側オイル通路67の第10オイル通路部85に連通する。このように、上側流路部96および下側流路部98等により主に構成された第9オイル通路部84内をエンジンオイルが流動することで、シリンダヘッド43における排気ポート58の周囲が冷却される。
また、図5および図9〜図11に示すように、第10オイル通路部85は、シリンダ42におけるシリンダヘッド43との接合面に、シリンダボア53(燃焼室56)の周囲に略環状に形成された環状溝105と、シリンダ42とシリンダヘッド43との間に挟持されたガスケット93(図7)とにより区画されて構成される。環状溝105は、シリンダヘッド43の排気ポート58の下方領域に対応する流入口部85aで、シリンダヘッド43の第9オイル通路部84の流出口部84bに連通し、シリンダボア53(燃焼室56)を一周し、流出口部85bがシリンダ側オイル通路67の第13オイル通路部88に連通される。
この環状溝105も図示しないリング状の中子により形成され、このリング状の中子には、内周面および外周面に沿って複数の窪みが形成され、この窪みに対応して、環状溝105に複数の突起が形成される。このように構成された第10オイル通路部85(特に環状溝105)内をエンジンオイルが流動することで、燃焼室冷却部のオイルジャケットを構成しており、シリンダ42およびシリンダヘッド43における燃焼室56の周囲が冷却される。
ところで、図6に示すシリンダ42のオイルジャケット構造では、第10オイル通路部85の環状溝105は、周方向に間隔を置いた2つの区切り部分90a,90bにより、3つの円弧状部分105a,105b,105cに区分けされる。第10オイル通路部85のオイルジャケットをシリンダ42側からシリンダヘッド43側に持ち上げる部分で、オイルジャケットを第1および第2区切り部分90a,90bで区切っている。第10オイル通路部85の2つの区切り部分90a,90bのリブは、オープンデッキシリンダのボア剛性を向上させている。シリンダ42は、クローズドシリンダ同様、ピストン側圧を受けても変形しにくくなる。
また、燃焼室冷却部を構成する第10オイル通路部85は、図5および図6に示すように、第1区切り部分90aでシリンダヘッド側オイル通路68の第11オイル通路部86に連通しており、第2区切り部分90bで第12オイル通路部87に連通している。第10オイル通路部85には、シリンダ42内を流れるオイルジャケット中のオイル温度を測定する油温センサ108が設置される。
具体的には、第10オイル通路部85の環状溝105は、第1円弧状部分105aの下流端からシリンダヘッド側オイル通路68の第11オイル通路部86に連通され、第11オイル通路部86にエンジンオイルを供給して吸気ポート57の分岐部側辺を冷却している。第11オイル通路部86の吸気ポート冷却部を冷却したエンジンオイルは、流出口を通って第10オイル通路部85の環状溝105の第2円弧状部分105bの上流端に戻される。
環状溝105の第2円弧状部分105bに戻されたエンジンオイルは、第2円弧状部分105bを冷却した後、その下流端からシリンダヘッド側オイル通路68の第12オイル通路部87に送られ、この第12オイル通路部87で点火プラグ差込部91周りを冷却している。第12オイル通路部87は、点火プラグ差込部冷却部を構成しており、第12オイル通路部87を通ったエンジンオイルは、その下流端から第10オイル通路部85の第3円弧状部分105c上流端に戻される。
第10オイル通路部85の第3円弧状部分105cに戻されたエンジンオイルは、第3円弧状部分105cを冷却した後、流出口部85bから第13オイル通路部88に還流され、続いてシリンダ側オイル通路67からクランクケース側オイル通路66を経て、オイルパン52に戻される。
[シリンダおよびシリンダヘッド]
シリンダアッセンブリ41を構成するシリンダヘッド43は、図6および図7に示すように吸気ポート57、排気ポート58および点火プラグ差込部91が形成されており、シリンダヘッド43には、図9〜図12に示すように、ヘッド側冷却用オイル通路を形成するためのオイル通路中子構造が開示されている。シリンダヘッド43の冷却用オイル通路は、砂中子で成形されてオイルジャケットを構成しており、排気ポート冷却部を形成する第9オイル通路部84と、吸気ポート冷却部を形成する第11オイル通路部86と、点火プラグ差込部冷却部を形成する第12オイル通路部87とを有する。シリンダヘッド43の点火プラグ差込部91には図4に示すように、点火プラグ110が左側から斜めに差し込まれて装着される。
ところで、シリンダ41の燃焼室56周りは、図6に示すように、燃焼室冷却部の第10オイル通路部85を通るエンジンオイルで冷却される。燃焼室56の天井面を構成するシリンダヘッド43の燃焼室面は、ヘッド側冷却用オイル通路(第9オイル通路部84、第11オイル通路部86および第12オイル通路部87)を通るエンジンオイルで冷却される。このように、シリンダ42およびシリンダヘッド43に形成される燃焼室56は、第9〜第12オイル通路部84〜87を通るエンジンオイルで潤滑して冷却している。
一般に、エンジン38は高温になると、シリンダ42やシリンダヘッド43が熱変形したり、燃焼室56内の温度が高くなるとノッキングが発生し、異常燃焼する虞がある。ノッキングが発生し易いは場所は、
1.点火プラグ110から遠く、火炎伝播がしにくい部分、
2.雰囲気温度が高い部位、
3.未燃ガスが溜り易い部分、
である。
例えば、図7に示すように、シリンダヘッド43のインテーク側スキッシュエリア112には吸気ポート57に付着した燃料が揮発せず、未燃ガスの液状態のまま流れ込みノッキングが発生し易い。また、点火プラグ110は、図4,図5および図7に示すように、点火プラグ差込部91に左側から斜め下方に差し込まれるが、プラグ差込側スキッシュエリア113も点火プラグ110から遠く、火炎伝播が困難な部分であり、ノッキングが発生し易い。
本実施形態では、図7のインテーク側スキッシュエリア112やプラグ差込側スキッシュエリア113に対応するシリンダヘッド43には、吸気ポート57の分岐部付近に第11オイル通路部86を、また、点火プラグ差込部91周りの付近に第12オイル通路部87をそれぞれ設置する。第11オイル通路部86は吸気ポート冷却部を構成しており、第12オイル通路部87は点火プラグ差込部冷却部を構成している。
また、自動二輪車10のエンジン38では、図6に示すように、シリンダ41の前(排気ポート58)側に走行風Wが当り、冷却される。シリンダ41の後(吸気ポート57)側は風が当らず、淀むために走行風Wによる冷却がなく温度が高くなる傾向にある。シリンダ41の後側は雰囲気温度が高いことによりノッキングが発生し易い。このノッキングを回避するため、従来の空冷式エンジンではシリンダ後側上部に機温センサを配置し、シリンダ温度とノッキング発生の相関マップを作成し、シリンダ温度が一定以上になると、ノッキングが発生しないように、点火制御を行なって異常燃焼の発生を防止している。
しかし、本実施形態では、図7に示すように、ノッキングが発生し易いインテーク側スキッシュエリア112およびプラグ差込側スキッシュエリア113に対応するシリンダヘッド43に吸気ポート冷却部の第11オイル通路部86および点火プラグ差込部冷却部の第12オイル通路部87を設置する。第11オイル通路部86および第12オイル通路部87は、インテーク側スキッシュエリア112およびプラグ差込側スキッシュエリア113に対向して配置される砂中子のオイルジャケットである。このオイルジャケットにより、ノッキングが起き易いスキッシュエリア112,113の温度を低下させ、ノック限界を向上させ、ノッキング抑制制御によりノッキングの発生を抑制することができる。これにより、燃焼室温度を低下させ、燃料充填効率を改善し、エンジン出力を向上させることができる。
水冷エンジンの場合、シリンダ側からシリンダヘッド側に入り、再度シリンダに戻るウォータジャケット構造では、通路に気泡が溜ってしまい、燃焼室56は局所的に高温になることがあり、ノッキングの発生を抑制することが困難である。
しかし、本実施形態のように、オイルジャケット構造では、シリンダ42側からシリンダヘッド43側に入り、再びシリンダ42側に戻る冷却オイル通路(第10オイル通路部85〜第12オイル通路部87)構造としても、オイルの粘性によって気泡が押し出されるため、気泡がオイル通路の一部に溜ることがなく、燃焼室56が局所的に高温になるのを防止することができる。
したがって、図9〜図16に示されたオイルジャケット構造は、オイル冷却に特徴的な冷却オイル通路構造である。なお、本実施形態において、オイルジャケット構造は、シリンダ42側からシリンダヘッド43側に入り、再びシリンダ42側に戻る冷却オイル通路構造(第10オイル通路部85〜第12オイル通路部87)としたが、オイルジャケット構造は種々のバリエーションが考えられる。例えば、シリンダヘッド43内の第9オイル通路部84で排気ポート冷却部を冷却した後、吸気ポート冷却部の第11オイル通路部86や点火プラグ差込部冷却部の第12オイル通路部87をエンジンオイルで冷却した後、このエンジンオイルを第10オイル通路部85に案内して燃焼室56廻りに案内し、燃焼室冷却部を冷却するようにしてもよい。
図9〜図16に示すオイルジャケット構造を設けた場合、特に図7に示すインテーク側スキッシュエリア112に対向するオイルジャケットは、図9に示すように構成され、迂回する第11オイル通路部86形状等により、エンジンオイルの温度分布が一様になる。このため、エンジン始動後のシリンダ42上部の温度上昇とエンジンオイルの油温上昇の線形性が向上する。その結果、機温センサを設けなくても、油温センサ108により油温を測定することにより、油温フィードバックによるノッキング抑制点火制御を行なうことができる。
また、本実施形態に係るエンジンのオイル通路構造では、シリンダ42およびシリンダヘッド43にオイルジャケットを設置している。シリンダ42のオイルジャケットは、シリンダ42側からシリンダヘッド43側に持ち上がる部分で環状溝105に2箇所の区切り部分90a,90bがリブ形状に設けられる。シリンダ42の環状溝105に形成されるリブ形状の区切り部分90a,90bにより、オープンデッキシリンダ42のボア剛性向上を図ることができ、シリンダ42は、オープンデッキでもクローズドデッキと同様、ピストン54側圧を受けて変形しにくくなり、ヘッドガスケット93のシール耐久性向上が図れ、シリンダボアのボア真円度向上を図ることができる。
さらに、シリンダヘッド43は、ノッキングが発生し易いインテーク側スキッシュエリア112やプラグ差込側スキッシュエリア113に対向する部分に、砂中子で成形されたオイルジャケットの吸気ポート冷却部およびプラグ差込部冷却部を設置する。吸気ポート冷却部の第11オイル通路部86およびプラグ差込部冷却部の第12オイル通路部87により、ノッキングが起き易いスキッシュエリア部の温度を低下させ、ノック限界を向上させることができる。加えて、燃焼室温度低下により吸気充填効率を改善することができ、エンジン出力の向上を図ることができる。
また、インテーク側スキッシュエリア112のオイルジャケット(第11オイル通路部86)上流側に油温センサ108を配置すると、インテーク側スキッシュエリア112内のオイル通路の圧力損が大きく、エンジンオイルの流速が低い場合にオイルが滞留するため、油温とシリンダ温度が近似する傾向となり、制御性が向上する。加えて、インテーク側スキッシュエリア112上部や、プラグ差込側スキッシュエリア113の上部に対向してシリンダヘッド43にオイルジャケットを設置すると、オイルジャケット数を増加させ、熱交換面積が増えるため、燃焼室56の冷却効率自体を改善することができる。
[実施形態の効果]
本実施形態に係るエンジンのオイル通路構造では、ノッキングが起こり易いスキッシュエリア部を冷却することで、ノック限界の向上を図ることができる。燃焼室温度を低下させることにより、吸気充填効率を向上させ、エンジン出力の改善を図ることができる。
シリンダの燃焼室廻りに形成されるオイルジャケットの環状溝に2箇所の区切り部分を形成することで、区切り部分がリブ形状となってシリンダのボア剛性を向上させることができ、ピストン側圧による熱変形を抑制することができる。また、シリンダ42のボア剛性が向上することにより、ヘッドガスケットの耐久性が良好となり、ボア真円度の向上を図ることができる。
さらに、燃焼室のインテーク側スキッシュエリアに対向する吸気ポート冷却部のオイル通路に油温センサ108を配置することで、吸気ポート冷却部でエンジンオイルの流速が低下し、温度分布が一様になることで、シリンダ42の上部温度上昇と油温温度上昇の線形性が向上し、油温によるノッキング抑制点で制御が可能となり、ノッキング制御に用いていた機温センサを廃止することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。
例えば、図9〜図11に示すように、第9オイル通路部84の上側流路部96の開放部は上側中子95により、下側流路部98は下側中子97により、第10オイル通路部85の環状溝105は略リング状の中子によりそれぞれ形成される場合を述べたが、これらの上側流路部96、下側流路部98および環状溝105や第11オイル通路部86、第12オイル通路部87は、中子を廃止して機械加工により形成してもよい。
また、上側流路部96を構成する蓋部材100の突部101(図12)の表面には、熱交換面積を増大させるために、微細な突出部や窪み部を形成してもよい。さらに、図1ないし図3に示すオイルクーラ80は、エンジン38が小型でオイルクーラ80を廃止してもエンジン38の冷却性能が確保される場合には、廃止してもよい。
10…自動二輪車、11…車体フレーム、12…ヘッドパイプ、13…メインチューブ、14…ダウンチューブ、15…シートレール、16…ステアリング機構、17…フロントフォーク、18…ハンドルバー、19…前輪、20…フロントフェンダ、23…スイングアーム、24…後輪、25…シートピラー、26…リアフェンダ、27…リアクッションユニット、28…燃料タンク、29…シート、32…フロントカバー、33…ヘッドライト、34…サイドカバー、35…リアカバー、38…エンジン、39…ドライブチェーン、40…クランクケース、41…シリンダアッセンブリ、42…シリンダ、43…シリンダヘッド、44…ヘッドカバー、45…マグネットカバー、46…クラッチカバー、47…クランクシャフト、48…ミッション室、49…カウンタシャフト、50…ドライブシャフト、51…トランスミッション、52…オイルパン、53…シリンダボア、54…ピストン、55…(シリンダの)カムチェーン室、56…燃焼室、57…吸気ポート、58…排気ポート、59…吸気バルブ、60…排気バルブ、61…動弁機構、62…カムシャフト、63…(シリンダヘッドの)カムチェーン室、64…ボルト穴、65…オイル通路構造、66…クランクケース側オイル通路、67…シリンダ側オイル通路、68…シリンダヘッド側オイル通路、69…第1オイル通路、70…オイルポンプ、71…第2オイル通路部、72…オイルフィルタ、73…第3オイル通路部、74…第4オイル通路部、75…第5オイル通路部、76…第6オイル通路部、77…第7オイル通路部、80…オイルクーラ、81…(オイルクーラ)流入側オイルホース、82…(オイルクーラ)流出側オイルホース、83…第8オイル通路部、84…第9オイル通路部(排気ポート冷却部)、85…第10オイル通路部(燃焼室冷却部)、86…第11オイル通路部(吸気ポート冷却部)、87…第12オイル通路部(点火プラグ差込部冷却部)、88…第13オイル通路部、90a…第1区切り部分、90b…第2区切り部分、91…点火プラグ差込部、95…上側中子、96…上側流路部、97…下側中子、98…下側流路部、100…蓋部材、101…突部、102…取付ボルト、103…カムハウジング、105…環状溝、105a〜105c…円弧状部分、108…油温センサ、110…点火プラグ、112…インテーク側スキッシュエリア、113…プラグ差込側スキッシュエリア。

Claims (5)

  1. クランクケース、シリンダ、および動弁機構が収容されるシリンダヘッドを備え、
    前記シリンダヘッド内のオイル通路が、前記シリンダヘッドに設けられる排気ポートの周囲にオイルを案内して前記シリンダ内のオイル通路へ送り返す排気ポート冷却部と、この排気ポート冷却部から流れ込む前記オイルを燃焼室の周囲に還流させる燃焼室冷却部とを有するエンジンのオイル通路構造であって、
    前記燃焼室冷却部と吸気ポートとの間に吸気ポート冷却部を設けたことを特徴とするエンジンのオイル通路構造。
  2. 前記燃焼室冷却部と点火プラグ差込部との間に点火プラグ差込部冷却部を設けた請求項1に記載のエンジンのオイル通路構造。
  3. 前記吸気ポート冷却部と点火プラグ差込部冷却部とは、シリンダに設けられた前記燃焼室冷却部から前記シリンダヘッドに送るオイル送り部と、前記シリンダヘッドから前記燃焼室冷却部に戻すオイル戻り部で構成された請求項1に記載のエンジンのオイル通路構造。
  4. 前記燃焼室冷却部は、前記オイル送り部とオイル戻り部が接続する部分の間が区切られている請求項3に記載のエンジンのオイル通路構造。
  5. 前記燃焼室冷却部または吸気ポート冷却部のオイル通路に油温センサが設けられた請求項1に記載のエンジンのオイル通路構造。
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