JP2017160845A - 内燃機関の空燃比制御装置及び空燃比制御方法 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置及び空燃比制御方法 Download PDF

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【課題】空燃比のハンチングを抑制しつつ、実空燃比のエラー時間を可及的に短くできるようにする。【解決手段】電子制御ユニットは、排気管に設置された排気浄化触媒の上流側と下流側とに、排気成分から空燃比状態を検出するセンサを備えた内燃機関において、上流側センサにより検出される上流側排気空燃比が制御空燃比に近づくように内燃機関への燃料供給量を制御し、下流側センサにより検出される下流側排気空燃比が基準空燃比に近づくように制御空燃比を設定し、下流側センサの出力が基準空燃比近傍の所定範囲の閾値を横切って変化したときに、制御空燃比を所定のリセット空燃比にリセットし、リセット空燃比にリセットされるときの制御空燃比に基づき燃料供給量の制御に用いる上流側の排気空燃比の検出値を補正するようにした。【選択図】図4

Description

本発明は、排気管に設置された排気浄化触媒の上流側と下流側とに、排気成分から空燃比状態を検出するセンサを備えた内燃機関に適用される、内燃機関の空燃比制御装置及び空燃比制御方法に関する。
特許文献1には、触媒上流側の空燃比センサの出力に基づいて触媒上流側の排出ガスの空燃比を目標空燃比に一致させるように空燃比(燃料噴射量)をフィードバック制御すると共に、触媒下流側の酸素センサの出力に基づいて触媒上流側の目標空燃比を補正するためのサブフィードバック制御を行う空燃比制御装置において、触媒上流側の空燃比と理論空燃比との偏差が所定範囲内の時には、該空燃比偏差が大きくなるほどサブフィードバック制御のパラメータ(リッチ積分項λIR、リーン積分項λIL、リッチスキップ項λSKR、リーンスキップ項λSKL)を大きくし、該空燃比偏差が所定範囲外の時には、該パラメータを前記所定範囲内における該パラメータの最大値よりも小さい所定値に固定する構成が開示されている。
特開2001−304018号公報
排気管に設置された排気浄化触媒の上流側と下流側とに、排気成分から空燃比状態を検出するセンサを備えた内燃機関の空燃比制御において、下流側センサの出力に基づいて上流側の制御空燃比(目標空燃比)を設定する制御におけるパラメータ(積分項、比例項(スキップ項)など)を、空燃比偏差に応じて変更する構成とすれば、空燃比のハンチングを抑制できるが、制御応答が低下するために実空燃比のエラー時間が長くなってしまうという問題があった。
そこで、本発明は、空燃比のハンチングを抑制しつつ、実空燃比のエラー時間を可及的に短くできる、内燃機関の空燃比制御装置及び空燃比制御方法を提供することを目的とする。
そのため、本発明に係る内燃機関の空燃比制御装置は、排気管に設置された排気浄化触媒の上流側と下流側とに、排気成分から空燃比状態を検出するセンサを備えた内燃機関に適用される空燃比制御装置であって、前記上流側センサにより検出される上流側排気空燃比が制御空燃比に近づくように前記内燃機関への燃料供給量を制御する制御手段と、前記下流側センサにより検出される下流側排気空燃比が基準空燃比に近づくように前記制御空燃比を設定する手段であって、前記下流側センサの出力が前記基準空燃比近傍の閾値を横切って変化したときに、前記制御空燃比を所定のリセット空燃比にリセットする設定手段と、前記設定手段によりリセットされるときの前記制御空燃比に基づき、前記制御手段が制御に用いる上流側排気空燃比の検出値を補正する補正手段と、を含むようにした。
また、本発明に係る内燃機関の空燃比制御方法は、排気管に設置された排気浄化触媒の上流側と下流側とに、排気成分から空燃比状態を検出するセンサを備えた内燃機関に適用される空燃比制御方法であって、前記上流側センサにより検出される上流側排気空燃比が制御空燃比に近づくように前記内燃機関への燃料供給量を制御するステップと、前記下流側センサにより検出される下流側排気空燃比が基準空燃比に近づくように前記制御空燃比を設定するステップと、前記下流側センサの出力が前記基準空燃比近傍の所定範囲の閾値を横切って変化したときに、前記制御空燃比を所定のリセット空燃比にリセットするステップと、前記リセット空燃比にリセットされるときの前記制御空燃比に基づき前記燃料供給量の制御に用いる上流側の排気空燃比の検出値を補正するステップと、を含むようにした。
上記発明によると、空燃比のハンチングを抑制しつつ、実空燃比のエラー時間を可及的に短くできる。
本発明の実施形態における内燃機関のシステム構成を示す図である。 本発明の実施形態における制御空燃比の設定処理の第1態様を示すフローチャートである。 本発明の実施形態における前記第1態様での制御空燃比変化の一例を示すタイムチャートである。 本発明の実施形態における前記第1態様での空燃比補正値の変化の一例を示すタイムチャートである。 本発明の実施形態における燃料噴射量の演算処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施形態における制御空燃比の設定処理の第2態様を示すフローチャートである。 本発明の実施形態における前記第2態様での空燃比補正値の変化の一例を示すタイムチャートである。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を適用する内燃機関の一態様を示す全体構成図である。
内燃機関100は車両用の4気筒直列機関であり、吸気ダクト110に設けた電制スロットル111により各気筒(#1気筒〜#4気筒)に流入する空気量が調整される。
また、各気筒の吸気ポート112a〜112dには、燃料噴射弁113a〜113dが設けられていて、燃料噴射弁113a〜113dは各気筒に燃料を供給する。なお、燃料噴射弁113a〜113dが各気筒の燃焼室内に直接燃料を噴射する筒内直接噴射式の内燃機関とすることができる。
また、排気マニホールド114の集合部に接続される排気管115には、三元触媒などの排気浄化触媒を内蔵する触媒コンバータ(マニ触媒)116が設けられている。
電子制御ユニット(空燃比制御装置)120は、マイクロコンピュータを備え、電制スロットル111の開度や燃料噴射弁113a〜113dによる燃料噴射などを制御する機能をソフトウエアとして備えている。
電子制御ユニット(ECU)120には、内燃機関100の吸入空気量QAを検出するエアフローセンサ130、内燃機関100の回転速度NEを検出する回転速度センサ131、触媒コンバータ116の上流側と下流側とに配置され排気成分から空燃比状態を検出するセンサ132,133などの各種センサの出力信号が入力される。
触媒コンバータ116の上流側のセンサ132は、排気中の酸素濃度に感応して理論空燃比を含む所定範囲の排気空燃比を連続的に検出できる所謂広域空燃比センサである。
一方、触媒コンバータ116の下流側のセンサ133は、排気中の酸素濃度に感応し、排気空燃比が理論空燃比よりもリッチになると出力電圧が高くなり、排気空燃比が理論空燃比よりもリーンになると出力電圧が低くなり、理論空燃比(空気過剰率λ=1)を境に出力電圧値が急変する特性を有し、理論空燃比に対する排気空燃比のリッチ/リーンを検出する所謂ストイキセンサである。
なお、以下では、上流側のセンサ132を空燃比センサ132と称し、下流側のセンサ133を酸素センサ133と称する。
電子制御ユニット120は、空燃比センサ132の出力から検出した排気空燃比(上流側排気空燃比)と制御空燃比(目標空燃比)とを比較し、例えば排気空燃比の検出値と制御空燃比との偏差(エラー量)に基づく比例積分微分制御(PID制御)によって、排気空燃比の検出値を制御空燃比に近づけるための空燃比フィードバック補正係数(空燃比補正値)LAMBDAを演算する。
そして、電子制御ユニット120は、吸入空気量QAや機関回転速度NEなどに基づいて算出した基本噴射パルス幅TPを空燃比フィードバック補正係数LAMBDAで補正して最終的な燃料噴射パルス幅(燃料供給量)TIを演算し、この燃料噴射パルス幅TIの噴射パルス信号を燃料噴射弁113a〜113dに出力して燃焼混合気の空燃比を制御する。
つまり、電子制御ユニット120は、上流側センサ132により検出される排気空燃比が制御空燃比に近づくように内燃機関100への燃料供給量を制御する手段(メインの空燃比フィードバック機能)をソフトウエアとして備えている。
また、電子制御ユニット120は、酸素センサ133の出力から排気空燃比(下流側排気空燃比)のリッチ/リーンを検出し、下流側排気空燃比が理論空燃比(基準空燃比)に近づくように例えば比例積分制御(PI制御)によって制御空燃比を設定する。
つまり、電子制御ユニット120は、下流側センサ133により検出される排気空燃比が理論空燃比(基準空燃比)に近づくように制御空燃比を設定する手段(サブの空燃比フィードバック機能)をソフトウエアとして備えている。
なお、電子制御ユニット120は、酸素センサ133の出力から排気空燃比のリッチ/リーンを検出できるが、理論空燃比(基準空燃比)に対する実空燃比の偏差(エラー量)を検知することはできない。
そのため、電子制御ユニット120は、PI制御によって制御空燃比を設定する処理において、空燃比偏差に応じた比例項、積分項の設定を行わず、予め記憶された固定値である比例項,積分項、若しくは、機関運転条件に応じて可変に設定する比例項,積分項に基づき簡易型の比例積分制御を実施する。
以下では、電子制御ユニット120による制御空燃比の設定処理(サブの空燃比フィードバック機能)を詳細に説明する。
図2のフローチャートは、電子制御ユニット120による制御空燃比の設定処理の一態様を示す。なお、電子制御ユニット120は、図2のフローチャートに示すルーチンを一定周期毎に割り込み実行する。
電子制御ユニット120は、まず、ステップS301で、リーンフラグFLが立ち上がっているか否か(リーンフラグFL=1であるか否か)を判定し、リーンフラグFLが立ち上がっている制御空燃比のリッチ化処理中である場合は、ステップS302に進む。
なお、上記のリーンフラグFL及び後述するリッチフラグFRの初期値は零である。
ステップS302で電子制御ユニット120は、酸素センサ133の出力電圧がリッチ側閾値RTHよりも高くなったか否かを判別し、酸素センサ133の出力電圧がリッチ側閾値RTHよりも低い場合はステップS303に進んで、制御空燃比を前回値よりもリッチ補正I分(リッチ積分項)だけリッチ方向に変更する処理を実施する。
つまり、リーンフラグFLが立ち上がっている状態では、酸素センサ133の出力電圧がリッチ側閾値RTHを横切ってリッチ側閾値RTHよりも高くなるまで、制御空燃比をリッチ補正I分だけリッチ方向に変更する処理を繰り返し、制御空燃比を徐々にリッチ方向に変化させる。
係る制御空燃比のリッチ化によって酸素センサ133の出力電圧がリッチ側閾値RTHを横切ってリッチ側閾値RTHよりも高くなると、電子制御ユニット120は、ステップS304に進み、リーンフラグFLを零にリセットし、リッチフラグFRを立ち上げる。
次いで、電子制御ユニット120は、ステップS305に進み、そのときの制御空燃比(リッチピーク値)に基いて空燃比センサ132による空燃比検出値を補正するための補正値を更新設定する補正値学習を実施する。係る空燃比補正値の更新設定処理については、後で詳細に説明する。
電子制御ユニット120は、空燃比補正値の更新設定処理を実施すると、ステップS306に進み、制御空燃比を所定のリセット空燃比にリセットし、更に、次のステップS307で制御空燃比をリーン補正P分(リーンスキップ項)だけリセット空燃比よりもリーン側に変更する。
なお、前記リセット空燃比は、例えば理論空燃比とすることができ、また、触媒コンバータ116の転換特性などに応じた、理論空燃比近傍の任意の値とすることができる。
リーンフラグFLが零にリセットされリッチフラグFRが立ち上げられたことで、次回の本ルーチン実行時に、電子制御ユニット120は、ステップS301でリーンフラグFLが零であることを判定し、ステップS308に進む。
ステップS308で電子制御ユニット120は、リッチフラグFRが立ち上がっているか否かを判定し、リッチフラグFRが立ち上がっている制御空燃比のリーン化処理中である場合は、ステップS309に進む。
ステップS309で電子制御ユニット120は、酸素センサ133の出力電圧がリーン側閾値LTHよりも低くなったか否かを判別し、酸素センサ133の出力電圧がリーン側閾値LTHよりも高い場合はステップS310に進んで、制御空燃比を前回値よりもリーン補正I分(リーン積分項)だけリーン方向に変更する処理を実施する。
つまり、リッチフラグFRが立ち上がっている状態では、酸素センサ133の出力電圧がリーン側閾値LTHを横切ってリーン側閾値LTHよりも低くなるまで、制御空燃比をリーン補正I分だけリーン方向に変更する処理を繰り返し、制御空燃比を徐々にリーン方向に変化させる。
係る制御空燃比のリーン化によって酸素センサ133の出力電圧がリーン側閾値LTHを横切ってリーン側閾値LTHよりも低くなると、電子制御ユニット120は、ステップS311に進み、リッチフラグFRを零にリセットし、リーンフラグFLを立ち上げる。
次いで、電子制御ユニット120は、ステップS312に進み、そのときの制御空燃比(リーンピーク値)に基いて空燃比センサ132による空燃比検出値を補正するための補正値を更新設定する補正値学習を実施する。係る空燃比補正値の更新設定処理については、後で詳細に説明する。
電子制御ユニット120は、空燃比補正値の更新設定処理を実施すると、ステップS313に進み、制御空燃比をリセット空燃比にリセットし、更に、次のステップS314で制御空燃比をリッチ補正P分(リッチスキップ項)だけリセット空燃比よりもリッチ側に変更する。
リッチフラグFRが零にリセットされリーンフラグFLが立ち上げられたことで、次回の本ルーチン実行時に、電子制御ユニット120は、ステップS301でリーンフラグFLが立ち上がっていることを判定し、ステップS302に進む。
リッチフラグFR及びリーンフラグFLの初期値は零であり、空燃比制御の開始当初はリッチフラグFR及びリーンフラグFLが共に零であるため、電子制御ユニット120は、ステップS301及びステップS307の判定を経て、ステップS315に進むことになる。
ステップS315で電子制御ユニット120は、酸素センサ133の出力電圧がリッチ側閾値RTHよりも低い値からリッチ側閾値RTHを横切ってリッチ側閾値RTHよりも高い値になったか否か、又は、酸素センサ133の出力電圧がリーン側閾値LTHよりも高い値からリーン側閾値LTHを横切ってリーン側閾値LTHよりも低い値になったか否かを検出する。
そして、電子制御ユニット120は、上記の制御開始条件が成立しない間は、そのまま本ルーチンを終了させることで、リッチフラグFR及びリーンフラグFLを共に零に保持し、酸素センサ133の出力電圧がリッチ側閾値RTHを横切って増大変化したときにステップS316に進み、また、酸素センサ133の出力電圧がリーン側閾値LTHを横切って減少変化したときにステップS316に進む。
電子制御ユニット120は、酸素センサ133の出力電圧がリッチ側閾値RTHを横切ってステップS316に進んだときにはリッチフラグFRを立ち上げ、酸素センサ133の出力電圧がリーン側閾値LTHを横切ってステップS316に進んだときにはリーンフラグFLを立ち上げる。
図2のフローチャートに示した制御空燃比の設定処理では、酸素センサ133の出力電圧がリーン側閾値LTHとリッチ側閾値RTHとで挟まれる範囲内からリーン側閾値LTH又はリッチ側閾値RTHを横切って範囲外になったときに、制御空燃比を変化させる方向を切り替え、出力電圧がリーン側閾値LTHとリッチ側閾値RTHとで挟まれる空燃比範囲内でも制御空燃比を変更するので、空燃比センサ(上流側センサ)132による空燃比制御点のずれを検知し易い。
また、酸素センサ133の出力電圧がリッチ側閾値RTHを横切ってリッチ側に変化したとき、及び、酸素センサ133の出力電圧がリーン側閾値LTHを横切ってリーン側に変化したときに、制御空燃比をリセット空燃比にリセットするから、積分制御による制御空燃比の補正代が残ることを抑制でき、以って、高い応答で空燃比を収束させつつ上流側排気空燃比の変動幅を安定化させてエラー時間を短くすることができる。
また、制御空燃比のリセットタイミングの判定に用いるリッチ側閾値RTH,リーン側閾値LTHの間隔を拡げれば、触媒コンバータ116の下流に床下触媒コンバータが配置される構成において、床下触媒コンバータの入口における排気空燃比を周期的に振らせて床下触媒コンバータにおける排気浄化機能を向上させることができる。
図3のタイムチャートは、電子制御ユニット120が図2のフローチャートに従って空燃比制御を実施したときの上流側排気空燃比、酸素センサ133の出力電圧、制御空燃比(目標空燃比)の変化の一例を示す。
酸素センサ133の出力電圧の閾値として、理論空燃比(空気過剰率λ=1)近傍の領域内にリッチ側閾値RTH及びリーン側閾値LTH(RTH>LTH)が設定され、例えば、時刻t1で酸素センサ133の出力電圧がリッチ側閾値RTHを横切ってリッチ方向に変化すると、制御空燃比はリセット空燃比にリセットされ、更に、リセット空燃比からリーン補正P分(リーンスキップ項)だけリーン方向にシフトされる。
その後、時刻t1から時刻t2までの間の酸素センサ133の出力電圧がリーン側閾値LTHよりも高い下流側排気空燃比のリッチ状態では、制御空燃比はリーン補正I分(リーン積分項)によって周期的によりリーン側に変更される。
そして、時刻t2のときに酸素センサ133の出力電圧がリーン側閾値LTHを横切ってリーン方向に変化すると、制御空燃比はリッチ方向にシフトされてリセット空燃比にリセットされ、更に、リセット空燃比からリッチ補正P分だけリッチ方向にシフトされる。
つまり、時刻t1から時刻t2の間で、触媒上流側の排気空燃比がリッチシフトした場合、電子制御ユニット120は、積分制御で制御空燃比を徐々にリーン化させてリッチ状態の解消を図り、酸素センサ133の出力電圧(触媒下流側の排気空燃比)がリーン側閾値LTHを横切ってリーン方向に変化したときに制御空燃比をリセット空燃比にリセットする。
これにより、積分制御による制御空燃比の補正分が過剰に残ることが抑制され、その後の制御空燃比の収束性を高めることができる。
その後、時刻t2から時刻t3までの酸素センサ133の出力電圧がリッチ側閾値RTHよりも低い下流側排気空燃比のリーン状態では、制御空燃比はリッチ補正I分(リッチ積分項)によって周期的によりリッチ側に変更される。
次に、図2のフローチャートのステップS305、ステップS312における空燃比補正値の更新設定処理を、図4のタイムチャートを参照して詳細に説明する。
電子制御ユニット120がステップS305に進んだタイミングが、図4のタイムチャートの時刻t4のタイミングであると仮定し、時刻t4のタイミングでリセット空燃比にリセットされる前の制御空燃比をリッチピーク(2)とする。
また、時刻t4の前に酸素センサ133の出力電圧がリーン側閾値LTHを横切ってリーン側に変化したタイミングである時刻t3にて、リセットされる前の制御空燃比をリーンピーク(1)とする。
このとき、電子制御ユニット120は、空燃比センサ132による検出空燃比を補正するための補正値λHOSを、加重重みをW(W≦1.0)、リセット空燃比をRAF、補正値λHOSの前回値をλHOSoldとしたときに、今回のリセット前の制御空燃比であるピーク値(リッチピーク又はリーンピーク)と、前回のリセット前の制御空燃比であるピーク値(リーンピーク又はリッチピーク)とを用いて、下式に基いて算出する。
λHOS=λHOSold×(1−W)+{RAF−(リーンピーク+リッチピーク)/2}×W
例えば、時刻t3のときに、リーンピーク(1)=16.00、リッチピーク(2)=12.50、W=1.0、リセット空燃比=14.5と仮定した場合、
λHOS={14.5−(16.00+12.50)/2}×1.0=0.25
となる。
また、時刻t4のときに、リーンピーク(1)=16.00、リッチピーク(2)=12.00、W=1.0、リセット空燃比=14.5と仮定した場合、
λHOS={14.5−(16.00+12.00)/2}×1.0=0.50
となる。
また、時刻t5のときに、リーンピーク(1)=16.50、リッチピーク(2)=12.00、W=1.0、リセット空燃比=14.5と仮定した場合、
λHOS={14.5−(16.50+12.00)/2}×1.0=0.25
となる。
空燃比補正値λHOSは、空燃比センサ132が検出した上流側排気空燃比に対して加算される補正項であり、例えば補正値λHOS=0.25を空燃比センサ132の検出空燃比に加算すれば、空燃比検出値をリーン側に補正することになり、空燃比制御に用いるエラー量がリーン側に拡大することで空燃比制御点がリッチ化することになる。
時刻t3のリーンピーク(1)=16.00、リッチピーク(2)=12.50である場合、これらの平均値は(16.00+12.50)/2=14.25となり、制御空燃比をリセット空燃比よりも平均的にリッチ側にシフトさせている状態、換言すれば、空燃比センサ132の出力に基づく空燃比制御点をリッチ側に修正している状態である。
このときに、空燃比センサ132の検出空燃比をリーン側に補正すれば、空燃比制御点がリッチ化し、結果的に、制御空燃比の中心がリセット空燃比付近に戻って制御空燃比がリセット空燃比を中心に変動する安定した収束状態に戻ることになる。
逆に、制御空燃比の平均がリセット空燃比よりもリーン側にシフトしていて、リーンピークとリッチピークとの平均がリセット空燃比よりも大きい場合は、空燃比補正値λHOSはマイナスの値に設定される。この場合、空燃比センサ132による検出空燃比がリッチ側に補正されることになり、これにより空燃比制御点がリーン化し、制御空燃比がリセット空燃比を中心に変動する安定した収束状態に戻ることになる。
したがって、電子制御ユニット120が、上記のようにして空燃比補正値λHOSを演算し、空燃比補正値λHOSで空燃比センサ132の検出空燃比を補正し、補正した検出空燃比に基づき空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを演算することで、酸素センサ133の出力がリッチ側閾値、リーン側閾値を横切ったときに、制御空燃比をリセット空燃比にリセットする処理が過大若しくは過小になって制御空燃比の収束安定性を損ねることが抑制され、エラー時間が短くなり、空燃比制御性が向上する。
また、空燃比補正値λHOSの演算に用いる重みWが1.0未満の値であれば、空燃比制御点がシフトしたときに、空燃比センサ132の検出空燃比の補正が徐々追従し、空燃比制御に用いる検出空燃比の急変を抑制できる。
図5のフローチャートは、電子制御ユニット120による噴射パルス幅の演算処理の一態様を示す。
まず、電子制御ユニット120は、ステップS401で、内燃機関100の吸入空気流量及び内燃機関100の回転速度に基づいて基本噴射パルス幅(基本燃料噴射量)TPを算出する。
次いで、電子制御ユニット120は、ステップS402に進み、空燃比センサ132の出力に基づいて触媒上流側の排気空燃比を検出する。
また、電子制御ユニット120は、ステップS403で、空燃比補正値λHOS及び制御空燃比(目標空燃比)を読み込み、次のステップS404では、ステップS402で検出した空燃比に空燃比補正値λHOSを加算した結果を、触媒上流側の空燃比検出値とする補正処理を実施する。
そして、電子制御ユニット120は、ステップS405に進み、ステップS404で補正した空燃比検出値と制御空燃比との偏差に基づく比例・積分・微分制御(PID制御)によって、触媒上流側の排気空燃比を制御空燃比に近づけるように空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを設定する。
次に電子制御ユニット120は、ステップS406で、基本噴射パルス幅TPを、空燃比フィードバック補正係数LAMBDAなどで補正して最終的な燃料噴射パルス幅(燃料供給量、燃料噴射量)TIを算出し、次のステップS407で、燃料噴射パルス幅TIの噴射パルス信号を燃料噴射弁113a〜113dに出力し、燃料噴射弁113a〜113dから燃料噴射パルス幅TIに比例する量の燃料を噴射させる。
つまり、電子制御ユニット120は、空燃比センサ132で検出される触媒上流側の排気空燃比が制御空燃比に近づくように、燃料噴射弁113a〜113dによる燃料噴射量を制御するが、空燃比センサ132による検出空燃比を空燃比補正値λHOSで補正し、補正後の空燃比検出値を制御空燃比(目標空燃比)と比較する。
空燃比補正値λHOSがプラス(λHOS>0)である場合は空燃比センサ132による検出空燃比をリーン方向に補正することになって、空燃比補正値λHOSによる補正は、燃料噴射量の制御において燃料噴射量を増やす方向(空燃比のリッチ化方向)に作用することになる。
逆に、空燃比補正値λHOSがマイナス(λHOS<0)である場合は空燃比センサ132による検出空燃比をリッチ方向に補正することになって、空燃比補正値λHOSによる補正は、燃料噴射量の制御において燃料噴射量を減らす方向(空燃比のリーン化方向)に作用することになる。
一方、制御空燃比をリセット空燃比よりも平均的にリッチ側にシフトさせている状態、換言すれば、空燃比センサ132の出力に基づく空燃比制御点をリッチ側に修正している状態で、空燃比補正値λHOSはプラスの値に設定され、逆に、制御空燃比をリセット空燃比よりも平均的にリーン側にシフトさせている状態、換言すれば、空燃比センサ132の出力に基づく空燃比制御点をリーン側に修正している状態で、空燃比補正値λHOSはマイナスの値に設定される。
したがって、空燃比補正値λHOSによって空燃比センサ132による空燃比検出値を補正し、補正した空燃比検出値が制御空燃比(目標空燃比)に近づくように燃料供給量を制御する処理は、制御空燃比の制御点をリセット空燃比(基準空燃比)に戻すように作用する。
これにより、電子制御ユニット120は、空燃比制御点のずれが発生しても、酸素センサ133の出力と閾値RTH,LTHとの比較に基づき制御空燃比をリセット空燃比にリセットすることで、空燃比のハンチングを抑制しつつ、エラー時間を可及的に短くすることができる。
ところで、触媒下流側の排気空燃比がリッチ方向又はリーン方向に振れ、制御空燃比をリセット空燃比にリセットする周期(下流側排気空燃比のリッチ/リーン反転周期)が長くなると、制御空燃比のPI制御における積分補正項が蓄積され、空燃比制御の安定性が損なわれることになる。
係るリセット周期が長くなることによる空燃比制御の安定性の低下を抑制する処理(以下では、タイムアウト処理ともいう)を付加した制御空燃比の設定処理の一態様を、図6のフローチャートに従って説明する。
なお、図6のフローチャートにおいて、図2のフローチャートと同じ処理を実施するステップには同じステップ番号を付して詳細な説明は省略する。
つまり、図6のフローチャートに示す制御空燃比の設定処理では、図2のフローチャートに基づき説明した、制御空燃比の制御点の変化に応じて空燃比補正値λHOSを設定する処理(ステップS305,ステップS312)を実施し、更に、後述するタイムアウト処理を実施する。
電子制御ユニット120は、リーンフラグFLが立ち上がっていてかつ酸素センサ133の出力電圧がリッチ側閾値RTHよりも低い状態では、ステップS303Aに進んで制御空燃比をリッチ補正I分だけリッチ方向に変更する処理を実施し、次いでステップS303Bに進む。
ステップS303Bで電子制御ユニット120は、前回制御空燃比をリセットしてからの経過時間(リセット時間周期)、換言すれば、リッチ方向への積分制御の継続時間が、当該継続時間が空燃比制御の収束性を損なうほどに長いか否かを判定するための判定時間に達しているか否かを判別する。
ここで、前記経過時間が判定時間よりも短い間は、電子制御ユニット120は後述するステップS303C,ステップS303Dを迂回することで、制御空燃比をリッチ補正I分だけリッチ方向に変更する処理を通常に繰り返す。
一方、前記経過時間(リセット時間周期)が判定時間に達した場合、電子制御ユニット120は、ステップS303Cに進み、空燃比補正値λHOSをプラス方向に所定値だけ変更する。空燃比補正値λHOSをプラス方向にシフトさせる所定値は、固定値或いは内燃機関100の運転条件に応じて可変に設定される値である。
つまり、ステップS303Cに進んだ場合は、制御空燃比をリッチ方向に継続的に変化させている時間が長く、制御空燃比を大きくリッチ化させても触媒下流側排気空燃比のリーン状態が解消されない状態である。
係る状態のときに、空燃比補正値λHOSがプラス方向にシフト変化すると、空燃比センサ132の空燃比検出値がリーン側に補正される結果、空燃比のリーン側へのエラー量が空燃比制御処理において拡大し、燃料供給量が増量補正される結果、リーン状態の早期解消が図られることになる。
電子制御ユニット120は、ステップS303Cで、空燃比補正値λHOSをプラス方向、換言すれば、空燃比センサ132の空燃比検出値をリーン補正する方向に変更すると、次いで、ステップS303Dに進み、制御空燃比をリセット空燃比にリセットした後、リッチ補正P分(リッチスキップ項)だけリセット空燃比よりもリッチ側に変更する。
つまり、電子制御ユニット120は、制御空燃比をリセット空燃比に一旦リセットした後に、制御空燃比をリッチ方向に比例積分制御で変化させる制御を再開する。
制御空燃比をリセット空燃比にリセットした後に下流側排気空燃比のリーン状態が解消され、酸素センサ133の出力電圧がリッチ側閾値RTHよりも高くなると、電子制御ユニット120は、ステップS304でリーンフラグFLを零にリセットしリッチフラグFRを立ち上げた後、ステップS305Aに進む。
ステップS305Aで電子制御ユニット120は、直前のリーンフラグFLが立ち上がっていた期間(リッチ方向への積分制御期間)で、タイムアウト処理(積分制御の継続時間に基づく空燃比補正値λHOSのシフト補正)を実施したか否かによって、空燃比補正値λHOSを異なる処理で変更する。
直前のリーンフラグFLが立ち上がっていた期間でタイムアウト処理を実施していない場合、電子制御ユニット120は、ステップS305Aにおいて、図2のフローチャートのステップS305と同様に、現時点のリセット処理前の制御空燃比であるリッチピーク値と前回のリセット処理前のリーンピーク値との平均値に基づき、空燃比補正値λHOSを更新する。
一方、直前のリーンフラグFLが立ち上がっていた期間でタイムアウト処理を実施している場合、つまり、積分制御の継続時間が判定時間に達した時点で制御空燃比をリセット空燃比にリセットした後、酸素センサ133の出力がリッチ側閾値RTHよりも高いリッチ状態に移行し制御空燃比をリセットするタイミングであり、前回に続けて(2回連続して)制御空燃比をリーン方向にリセットすることになる場合、電子制御ユニット120は、下記のようにして空燃比補正値λHOSを更新する。
タイムアウト処理後にステップS305Aに進んだ場合、電子制御ユニット120は、現時点のリセット処理前の制御空燃比であるリッチピーク値(2)と、タイムアウト処理としてリセット空燃比にリセットする前の制御空燃比であるリッチピーク値(1)と、タイムアウト処理のときに更新した空燃比補正値λHOSoldに基づき、下式に従って空燃比補正値λHOSを更新する。
なお、下式において、RAFはリセット空燃比である。
λHOS=λHOSold+{(RAF−リッチピーク(1))−(RAF−リッチピーク(2))}/2*重みW2=λHOSold+{(リッチピーク(2)−リッチピーク(1))/2}×重みW2
上記演算式により、2回分のピーク値の偏差に重みを掛けた値に基づき空燃比補正値λHOSが変更され、タイムアウト処理において下流側排気空燃比を反転させるのに不足していた分だけ空燃比補正値λHOSが空燃比検出値を更にリーン側に補正する方向(増加方向)に変更され、リッチ方向への積分制御期間の短縮が図られる。
なお、重みW2は、前記重みWよりも1.0により近い値(1.0≧W2>W)とすることで、リセット周期(リッチ・リーン反転周期)が長い状態を速やかに解消しつつ、空燃比制御の安定性を維持できる。但し、重みW2と重みWとを同じ値(1.0≧W=W2)とすることができる。
一方、リッチ制御期間が過剰に長くなった場合も、電子制御ユニット120は上記と同様な処理を実施する。
つまり、電子制御ユニット120は、ステップS310Aで制御空燃比をリーン補正I分だけリーン方向に変更した後、ステップS310Bで、前回制御空燃比をリセットしてからの経過時間、換言すれば、リーン方向への積分制御の継続時間が、当該継続時間が空燃比制御の収束性を損なうほどに長いか否かを判定するための判定時間に達しているか否かを判別する。
そして、リーン方向への積分制御の継続時間が判定時間に達すると、ステップS310Cに進み、空燃比補正値λHOSをマイナス方向に所定値だけ変更する。空燃比補正値λHOSをマイナス方向にシフトさせる所定値は、固定値或いは内燃機関100の運転条件に応じて可変に設定される値である。
つまり、ステップS310Cに進んだ場合は、制御空燃比をリーン方向に継続的に変化させている時間が長く、制御空燃比を大きくリーン化させても触媒下流側排気空燃比のリッチ状態が解消されない状態である。
係る状態のときに、空燃比補正値λHOSがマイナス方向にシフト変化すると、空燃比センサ132の空燃比検出値がリッチ側に補正される結果、空燃比のリッチ側へのエラー量が空燃比制御処理において拡大し、燃料供給量が増量補正される結果、リッチ状態の早期解消が図られることになる。
電子制御ユニット120は、ステップS310Cで、空燃比補正値λHOSをマイナス方向、換言すれば、空燃比センサ132の空燃比検出値をリッチ補正する方向に変更すると、次いで、ステップS310Dに進み、制御空燃比をリセット空燃比にリセットした後、リーン補正P分(リーンスキップ項)だけリセット空燃比よりもリーン側に変更する。
つまり、電子制御ユニット120は、制御空燃比をリセット空燃比に一旦リセットした後に、制御空燃比をリーン方向に比例積分制御で変化させる制御を再開する。
制御空燃比をリセット空燃比にリセットした後に下流側排気空燃比のリッチ状態が解消され、酸素センサ133の出力電圧がリーン側閾値LTHよりも低くなると、電子制御ユニット120は、ステップS311でリッチフラグFRを零にリセットしリーンフラグFLを立ち上げた後、ステップS312Aに進む。
ステップS312Aで電子制御ユニット120は、直前のリッチフラグFRが立ち上がっていた期間(リーン方向への積分制御期間)で、タイムアウト処理(積分制御の継続時間に基づく空燃比補正値λHOSのシフト補正)を実施したか否かによって、空燃比補正値λHOSを異なる処理で変更する。
直前のリッチフラグFRが立ち上がっていた期間でタイムアウト処理を実施していない場合、電子制御ユニット120は、ステップS312Aにおいて、図2のフローチャートのステップS312と同様に、現時点のリセット処理前の制御空燃比であるリーンピーク値と前回のリセット処理前のリッチピーク値との平均値に基づき、空燃比補正値λHOSを更新する。
一方、直前のリッチフラグFRが立ち上がっていた期間でタイムアウト処理を実施している場合、つまり、積分制御の継続時間が判定時間に達した時点で制御空燃比をリセット空燃比にリセットした後、酸素センサ133の出力がリーン側閾値LTHよりも低いリーン状態に移行し制御空燃比をリセットするタイミングであり、前回に続けて(2回連続して)制御空燃比をリッチ方向にリセットすることになる場合、電子制御ユニット120は、下記のようにして空燃比補正値λHOSを更新する。
タイムアウト処理後にステップS312Aに進んだ場合、電子制御ユニット120は、現時点のリセット処理前の制御空燃比であるリーンピーク値(2)と、タイムアウト処理としてリセット空燃比にリセットする前の制御空燃比であるリーンピーク値(1)と、タイムアウト処理のときに更新した空燃比補正値λHOSoldに基づき、下式に従って空燃比補正値λHOSを更新する。
なお、下式において、RAFはリセット空燃比である。
λHOS=λHOSold×(1−W2)−{(リーンピーク値(1)−RAF)−(リーンピーク値(2)−RAF)}/2*重みW2=λHOSold−{(リーンピーク(1)−リーンピーク(2))/2}×W2
上記演算式により、2回分のピーク値の偏差に重みW2を掛けた値に基づき空燃比補正値λHOSが変更され、タイムアウト処理において下流側排気空燃比を反転させるのに不足していた分だけ空燃比補正値λHOSが空燃比検出値を更にリッチ側に補正する方向(減少方向)に変更され、リーン方向への積分制御期間の短縮が図られる。
なお、重みW2は、前記重みWよりも1.0により近い値(1.0≧W2>W)とすることで、リセット周期(リッチ・リーン反転周期)が長い状態を速やかに解消しつつ、空燃比制御の安定性を維持できる。但し、重みW2と重みWとを同じ値(1.0≧W=W2)とすることができる。
図7のタイムチャートは、制御空燃比のリーン方向への積分制御期間が過剰に長くなった場合の空燃比補正値λHOSの設定特性を例示する。
図7のタイムチャートの時刻t1の時点で空燃比のリーン状態が解消され、酸素センサ133の出力電圧がリッチ側閾値RTHよりも高くなると、制御空燃比はリセット空燃比にリセットされるが、リセット前の制御空燃比がリッチピーク(1)として記憶され、後の空燃比補正値λHOSの更新演算に用いることができるようにする。
時刻t1から制御空燃比は積分制御によって徐々にリーン方向に変更されるが、時刻t1から所定の判定時間だけ経過した時刻t2の時点になっても、酸素センサ133の出力電圧がリーン側閾値LTHよりも低くなっていないため、時刻t2のときに制御空燃比はリセット空燃比にリセットされ、空燃比補正値λHOSは所定値だけ減少方向(空燃比検出値をよりリッチに補正する方向)に変更される。また、時刻t2では、リセット空燃比にリセットされる前の制御空燃比がリーンピーク(1)としてデータ保存される。
前回のリセット処理からの経過時間が判定時間に達したことに基づく制御空燃比の強制的なリセット処理を実施した後、リッチ状態が解消されるまでは制御空燃比は積分制御によって徐々にリーン方向に変更され、時刻t3のときに酸素センサ133の出力電圧がリーン側閾値LTHよりも低くなる。
この時刻t3で、リセット処理前の制御空燃比をリーンピーク(2)とし、このリーンピーク(2)と前回の経過時間に基づく強制的なリセット時のリーンピーク(1)との偏差に基づき、下式にしたがって空燃比補正値λHOSが変更される。
λHOS=λHOSold−{(リーンピーク(1)−リーンピーク(2))/2}×W2
以上、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば種々の変形態様を採り得ることは自明である。
例えば、電子制御ユニット120は、空燃比補正値λHOSを制御空燃比のピーク値に基づき変更する場合に、ピーク値や変更後の空燃比補正値λHOSが予め定めた範囲を逸脱する値であった場合に、空燃比補正値λHOSの変更をキャンセルしたり、空燃比補正値λHOSを初期値である零に戻したりすることができる。
また、電子制御ユニット120は、リッチ側閾値RTH,リーン側閾値LTH、リセット周期と比較する判定時間、重みW,W2のうちの少なくとも1つのパラメータを、機関運転状態などに応じて可変に設定することができる。
100…内燃機関、113a〜113d…燃料噴射弁、116…触媒コンバータ(排気浄化触媒)、120…電子制御ユニット、132…空燃比センサ(上流側センサ)、133…酸素センサ(下流側センサ)

Claims (9)

  1. 排気管に設置された排気浄化触媒の上流側と下流側とに、排気成分から空燃比状態を検出するセンサを備えた内燃機関に適用される空燃比制御装置であって、
    前記上流側センサにより検出される上流側排気空燃比が制御空燃比に近づくように前記内燃機関への燃料供給量を制御する制御手段と、
    前記下流側センサにより検出される下流側排気空燃比が基準空燃比に近づくように前記制御空燃比を設定する手段であって、前記下流側センサの出力が前記基準空燃比近傍の閾値を横切って変化したときに、前記制御空燃比を所定のリセット空燃比にリセットする設定手段と、
    前記設定手段によりリセットされるときの前記制御空燃比に基づき、前記制御手段が制御に用いる上流側排気空燃比の検出値を補正する補正手段と、
    を含む、内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 前記設定手段は、前記下流側センサの出力がリッチ側の前記閾値とリーン側の前記閾値とで挟まれる空燃比範囲内から前記空燃比範囲外に変化したときに前記制御空燃比を前記リセット空燃比にリセットする、請求項1記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 前記補正手段は、前記下流側センサの出力が前記リッチ側の閾値を横切って前記空燃比範囲外に変化したときの前記制御空燃比と、前記下流側センサの出力が前記リーン側の閾値を横切って前記空燃比範囲外に変化したときの前記制御空燃比との平均値に基づき、前記上流側の排気空燃比の検出値を補正する、請求項2記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 前記補正手段は、前記平均値が前記リセット空燃比よりもリッチ側であるときに上流側の排気空燃比の検出値をリーン側に補正し、前記平均値が前記リセット空燃比よりもリーン側であるときに上流側の排気空燃比の検出値をリッチ側に補正する、請求項3記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  5. 前記設定手段は、前記下流側センサの出力が前記閾値を横切って変化したとき、及び、前記リセット後の経過時間が所定時間に達したときに、前記制御空燃比を前記リセット空燃比にリセットする、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  6. 前記補正手段は、前記リセット後の経過時間が前記所定時間に達し前記制御空燃比を前記リセット空燃比にリセットしたときに、それまでの制御空燃比の制御方向とは逆方向に上流側の排気空燃比の検出値を補正する、請求項5記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  7. 前記補正手段は、前記制御空燃比が連続して同一方向にリセットされたときに、当該リセット前の前記制御空燃比間での偏差に基づき前記上流側の排気空燃比の検出値を補正する、請求項5又は請求項6に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  8. 前記下流側センサは、排気空燃比が前記基準空燃比よりもリッチであるかリーンであるかを検出するセンサであり、
    前記設定手段は、前記閾値と前記下流側センサの出力との比較に基づくリッチ/リーンの判別結果に応じて前記制御空燃比を比例積分制御で変化させる、請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  9. 排気管に設置された排気浄化触媒の上流側と下流側とに、排気成分から空燃比状態を検出するセンサを備えた内燃機関に適用される空燃比制御方法であって、
    前記上流側センサにより検出される上流側排気空燃比が制御空燃比に近づくように前記内燃機関への燃料供給量を制御するステップと、
    前記下流側センサにより検出される下流側排気空燃比が基準空燃比に近づくように前記制御空燃比を設定するステップと、
    前記下流側センサの出力が前記基準空燃比近傍の所定範囲の閾値を横切って変化したときに、前記制御空燃比を所定のリセット空燃比にリセットするステップと、
    前記リセット空燃比にリセットされるときの前記制御空燃比に基づき前記燃料供給量の制御に用いる上流側の排気空燃比の検出値を補正するステップと、
    を含む、内燃機関の空燃比制御方法。
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