JP2017157586A - 圧電デバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】信頼性を向上することができる圧電デバイスの製造方法を提供する。【解決手段】流路形成基板10上に第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を積層し、圧電体層70の上方であって第2電極80が形成されていない非能動部320に、第2電極80の一端部80aの外側に当該一端部80aに連続したプラチナ電極95を形成し、プラチナ電極95が形成された圧電素子300をアニール処理し、正又は負の一方の電界極性側に二つの抗電界点が位置するヒステリシス特性を有する電界緩和部75を、圧電体層70のうちプラチナ電極95に覆われた領域に形成する。【選択図】図21
Description
本発明は、基板上に振動板を介して設けられた第1電極、圧電体層及び第2電極を有する圧電素子を具備する圧電デバイスの製造方法に関する。
液滴を吐出する液体噴射ヘッドの代表例としては、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。インクジェット式記録ヘッドとしては、例えばノズル開口に連通する圧力発生室が形成された流路形成基板と、この流路形成基板の一方面側に設けられた圧電素子である圧電アクチュエーターと、を具備し、圧電アクチュエーターによって圧力発生室内のインクに圧力変化を生じさせることで、ノズル開口からインク滴を噴射するものが知られている。
圧電アクチュエーターは、能動部毎に個別に設けられた個別電極と、複数の能動部に共通して設けられた共通電極とを具備している。圧電体層は、個別電極と共通電極とに挟まれた能動部と、挟まれていない非能動部とを備える。一般に、能動部では分極処理がなされ、分極方向が一方向に揃っている。一方、非能動部では分極方向は揃っていない。また、非能動部の分極方向を、能動部の分極方向とは反対向きに揃えた圧電アクチュエーターも知られている(例えば、特許文献1参照)。
能動部では分極方向が一方向に揃っているが、非能動部では分極されていない、もしくは、非能動部の分極方向が能動部の分極方向と反対向きとなっている。このため、能動部と非能動部との境界においては内部応力が集中する。この応力集中に起因して、圧電アクチュエーターは、焼損やクラックが生じ、破壊される虞がある。
このような問題は、インクジェット式記録ヘッド等の液体噴射ヘッドに用いられる圧電デバイスに限定されず、他のデバイスに用いられる圧電デバイスにおいても同様に存在する。
本発明は、このような事情に鑑み、信頼性を向上することができる圧電デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、基板の上方に設けられて前記基板側から第1電極、圧電体層及び第2電極が積層された圧電素子を具備する圧電デバイスの製造方法であって、前記基板の上方に前記第1電極、前記圧電体層及び前記第2電極を積層し、前記圧電体層の上方であって前記第2電極が形成されていない領域に、前記第2電極の一端部の外側に当該一端部に連続したプラチナ電極を形成し、前記プラチナ電極が形成された前記圧電素子をアニール処理し、正又は負の一方の電界極性側に二つの抗電界点が位置するヒステリシス特性を有する電界緩和部を、前記圧電体層のうち前記プラチナ電極に覆われた領域に形成することを特徴とする圧電デバイスの製造方法にある。
かかる態様では、能動部と非能動部との境界部に分極量が低下した電界緩和部を形成することができる。これにより、当該境界部に応力が集中することが抑制され、応力の集中による焼損やクラックによる破壊が抑制されて信頼性が向上した圧電デバイスを製造することができる。
かかる態様では、能動部と非能動部との境界部に分極量が低下した電界緩和部を形成することができる。これにより、当該境界部に応力が集中することが抑制され、応力の集中による焼損やクラックによる破壊が抑制されて信頼性が向上した圧電デバイスを製造することができる。
また、前記圧電体層に使用時の電界とは逆極性を印加することで、負の電界極性側に二つの抗電界点が位置するヒステリシス特性を有する前記電界緩和部を形成することが好ましい。これによれば、負の電界極性側に二つの抗電界点が位置するヒステリシス特性を有する電界緩和部を形成し、前記境界部に、分極量が低下、すなわち電界が緩和された領域を形成することができる。
また、前記圧電体層に使用時の電界とは逆極性を印加しながら、キュリー温度以下の温度で加熱することで、負の電界極性側に二つの抗電界点が位置するヒステリシス特性を有する前記電界緩和部を形成することが好ましい。これによれば、電界緩和部をより早く形成することができる。
また、前記圧電体層に使用時の電界よりも大きい電界を加えながらキュリー温度以上の温度から冷却することで、負の電界極性側に二つの抗電界点が位置するヒステリシス特性を有する前記電界緩和部を形成することが好ましい。これによれば、負の電界極性側に二つの抗電界点が位置するヒステリシス特性を有する電界緩和部を形成し、前記境界部に、分極量が低下、すなわち電界が緩和された領域を形成することができる。
〈実施形態1〉
図1は、本実施形態に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の概略構成を示している。
図1は、本実施形態に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の概略構成を示している。
インクジェット式記録装置Iにおいて、液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド(以降、記録ヘッド1)は、インク供給手段を構成するカートリッジ2が着脱可能に設けられ、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動可能に設けられている。
駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。
なお、インクジェット式記録装置Iとして、記録ヘッド1がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、その構成は特に限定されるものではない。インクジェット式記録装置Iは、例えば、記録ヘッド1を固定し、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させることで印刷を行う、いわゆるライン式の記録装置であってもよい。
また、インクジェット式記録装置Iは、液体貯留手段であるカートリッジ2がキャリッジ3に搭載された構成であるが、特にこれに限定されない。例えば、インクタンク等の液体貯留手段を装置本体4に固定して、液体貯留手段と記録ヘッド1とをチューブ等の供給管を介して接続してもよい。また、液体貯留手段がインクジェット式記録装置Iに搭載されていなくてもよい。
図2〜図4を用いてインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドともいう)について説明する。図2は本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図3は図2の平面図である。図4は図3のA−A′線断面図である。
基板の一例である流路形成基板10には圧力発生室12が形成され、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12が、同じ色のインクを吐出する複数のノズル開口21が並設される方向に沿って並設されている。以降、この方向を圧力発生室12の並設方向、又は第1の方向Xと称する。第1の方向Xと直交する方向を第2の方向Yと称する。さらに、第1の方向X及び第2の方向Yの双方に交差する方向を、第3の方向Zと称する。各図に示した座標軸は第1の方向X、第2の方向Y、第3の方向Zを表しており、矢印の向かう方向を正(+)方向、反対方向が負(−)方向ともいう。なお、本実施形態では、各方向(X、Y、Z)の関係を直交とするが、各構成の配置関係が必ずしも直交するものに限定されるものではない。
流路形成基板10の圧力発生室12の第2の方向Yの一端部側には、圧力発生室12の片側を第1の方向Xから絞ることで開口面積を小さくしたインク供給路13と、第1の方向Xにおいて圧力発生室12と略同じ幅を有する連通路14と、が複数の隔壁11によって区画されている。連通路14の外側(第2の方向Yの圧力発生室12とは反対側)には、各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100の一部を構成する連通部15が形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12、インク供給路13及び連通部15からなる液体流路が形成されている。
流路形成基板10の一方面側、すなわち圧力発生室12等の液体流路が開口する面には、各圧力発生室12に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって接合されている。ノズルプレート20には、第1の方向Xにノズル開口21が並設されている。
ノズルプレート20の材料としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)等の金属、ポリイミド樹脂のような有機物、又はシリコン単結晶基板等を用いることができる。なお、ノズルプレート20としてシリコン単結晶基板を用いることで、ノズルプレート20と流路形成基板10との線膨張係数を同等として、加熱や冷却されることによる反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。
流路形成基板10のノズルプレート20とは反対面側(+Z方向側)には、振動板50が形成されている。本実施形態では、振動板50として、流路形成基板10側に設けられた酸化シリコンからなる弾性膜51と、弾性膜51上に設けられた酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52と、を設けるようにした。なお、圧力発生室12等の液体流路は、流路形成基板10を一方面側から異方性エッチングすることにより形成されており、圧力発生室12等の液体流路の他方面は、弾性膜51によって画成されている。もちろん、振動板50は、特にこれに限定されるものではなく、弾性膜51と絶縁体膜52との何れか一方を設けるようにしてもよく、その他の膜が設けられていてもよい。
振動板50の上方には、圧力発生室12内のインクに圧力変化を生じさせる圧電素子300が設けられている。圧電素子300は、振動板50側から順次積層された導電性電極である第1電極60、圧電体層70及び導電性電極である第2電極80を有する。このような圧電素子300は、第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加することで変位が生じる。すなわち両電極の間に電圧を印加することで、第1電極60と第2電極80とで挟まれている圧電体層70に圧電歪みが生じる。両電極に電圧を印加した際に、圧電体層70に圧電歪みが生じる部分を能動部310と称する。
第1電極60は、圧力発生室12毎に切り分けられており、圧電素子300の実質的な駆動部である能動部310毎に独立する個別電極を構成する。第1電極60は、第1の方向Xにおいて、圧力発生室12の幅よりも狭い幅で形成されている。また、第1電極60は、第2の方向Yにおいて、両端部がそれぞれ圧力発生室12の外側まで形成されている。第1電極60の材料は、金属材料であれば特に限定されず、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)等が好適に用いられる。
圧電体層70は、第1の方向Xに亘って連続して設けられている。また、圧電体層70の第2の方向Yの幅は、圧力発生室12の第2の方向Yの長さよりも広く、圧力発生室12の外側まで設けられている。第2の方向Yにおいて、圧電体層70のインク供給路13側(+Y方向側)の端部は第1電極60の端部よりも外側に位置しており、第1電極60の端部が圧電体層70によって覆われている。一方、圧電体層70のノズル開口21側の(−Y方向側)は第1電極60の端部よりも内側に位置しており、第1電極60の端部は圧電体層70に覆われていない。
圧電体層70は、第1電極60上に形成される分極構造を有する酸化物の圧電材料からなり、例えば、一般式ABO3で示されるペロブスカイト形酸化物からなることができる。圧電体層70に用いられるペロブスカイト形酸化物としては、例えば、鉛を含む鉛系圧電材料や鉛を含まない非鉛系圧電材料などを用いることができる。
圧電体層70には、圧力発生室12の間の各隔壁に対応する位置に凹部71が形成されている。このように圧電体層70に凹部71を設けることで、圧電素子300を良好に変位させることができる。
第2電極80は、圧電体層70の第1電極60とは反対面側(+Z方向側)に設けられており、複数の能動部310に共通する共通電極を構成する。第2電極80は、圧電体層70の凹部71内にも設けられているが、特にこれに限定されず、凹部71内に第2電極80を設けないようにしてもよい。
上述したように、圧電素子300は、第1電極60を複数の能動部310毎に独立して設けることで個別電極とし、第2電極80を複数の能動部310に亘って連続して設けることで共通電極とした。もちろん、このような態様に限定されず、第1電極60を複数の能動部310に亘って連続して設けることで共通電極とし、第2電極を能動部310毎に独立して設けることで個別電極としてもよい。また、振動板50としては、弾性膜51及び絶縁体膜52を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
流路形成基板10は、第1リード電極91及び第2リード電極92を備えている。これらは、リード電極90とも総称する。
第1リード電極91は、各圧電素子300の第1電極60のそれぞれに接続されたリード電極である。第2リード電極92は、各圧電素子300に共通した第2電極80に接続されたリード電極である。本実施形態では、第1リード電極91及び第2リード電極92は、後述する保護基板30の貫通孔33に露出するように配線されている。なお、第1リード電極91は、第2電極80と同一層からなる導電層84を介して第1電極60に接続されている。もちろん、第1リード電極91は第1電極60に直接接続されていてもよい。
流路形成基板10には、保護基板30が接着剤35を介して接合されている。保護基板30はマニホールド部32を有している。マニホールド部32は、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上記のように、流路形成基板10の連通路14と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100が構成されている。
保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部31が設けられている。圧電素子保持部31は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても密封されていなくてもよい。保護基板30は、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラスやセラミック材料等を用いることができ、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍が、貫通孔33内に露出するように設けられている。保護基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路120が固定されている。駆動回路120としては、例えば回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。駆動回路120及びリード電極90は、ボンディングワイヤー等の導電性ワイヤーからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。
保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料から構成でき、封止膜41によってマニホールド部32の一方面が封止されている。固定板42は、比較的硬質の材料で形成されている。固定板42のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような構成の記録ヘッド1では、インクを噴射する際に、インクが貯留された液体貯留手段からインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで流路内部をインクで満たす。その後、駆動回路120からの信号に従い、圧力発生室12に対応する各圧電素子300に電圧を印加することにより、圧電素子300と共に振動板50をたわみ変形させる。これにより、圧力発生室12内の圧力が高まり所定のノズル開口21からインク滴が噴射される。
図5を用いて、圧電素子300について詳細に説明する。図5は図4の要部を拡大した断面図である。
圧電素子300の圧電体層70は、能動部310と非能動部320とを有している。能動部310は、圧電体層70が第1電極60及び第2電極80に挟まれた部分であり、非能動部320は、圧電体層70が第1電極60及び第2電極80に挟まれていない部分である。本実施形態では、第2電極80に覆われずに露出した部分が非能動部320となっている。
また、圧電体層70は、能動部310においては分極処理がなされることで、一方向、例えば+Z方向に揃って分極している。一方、非能動部320では、第1電極60及び第2電極80に挟まれておらず、分極処理がなされていないので、分極していない。
圧電体層70上には、プラチナから形成されたプラチナ電極95が設けられている。プラチナ電極95は、圧電体層70上に形成され、第2電極80の第2の方向Yの一端部80aに接続されている。本実施形態では、プラチナ電極95は、圧電体層70の第2電極80に覆われていない部分の上に設けられるとともに、第2電極80の一端部80aを覆うように形成されている。このプラチナ電極95は、第2電極80に接続されているので、第2電極80と一体的に電極としても機能している。したがって、能動部310は、圧電体層のうち、第1電極60と、プラチナ電極95及び第2電極80とに挟まれた領域となる。
圧電体層70のうち、上述したプラチナ電極95に覆われた領域には、電界緩和部75が設けられている。能動部310を構成する圧電体層70のうち、プラチナ電極95に覆われた部分が電界緩和部75であり、その他の部分を主要部76と称する。このプラチナ電極95は、第2電極80の一端部80aの外側に接続されているので、プラチナ電極95は能動部310の端部を規定している。
電界緩和部75は、圧電体層70の一部であり、正又は負の一方の電界極性側に二つの抗電界点が位置するヒステリシス特性を有する。また、電界緩和部75の分極量は、主要部76の分極量よりも小さくなっている。
図6は、電界緩和部75及び主要部76のヒステリシス特性である。横軸は電圧[V]であり左側がマイナス、右側がプラスを示し、縦軸は分極量[μC・cm-2]であり、上側がプラス、下側がマイナスを示している。また、実線は電界緩和部75のヒステリシス特性を示し、点線は主要部76のヒステリシス特性を示している。
電界緩和部75のヒステリシス特性は、二つの抗電界点Ec1、Ec2が何れも正側の電界極性に位置している。一方、主要部76のヒステリシス特性は、二つの抗電界点Ec1’及びEc2’は、正側、負側の異なる電界極性に位置している。すなわち、電界緩和部75のヒステリシス特性は、全体的に主要部76のヒステリシス特性よりも右側にシフトしている。
圧電素子300に印加される駆動電圧の範囲(以下、駆動電圧範囲)V1は、例えば、主要部76の負側の抗電界点の近傍における電圧E1から、電界緩和部75の正側の分極量がほぼ最大となるときの電圧E2までとする。このような駆動電圧範囲V1においては、同電圧であれば、電界緩和部75のプラス側の分極量は、主要部76のプラス側の分極量よりも小さくなっている。
上述したように、電界緩和部75は、プラチナ電極95に覆われる位置に形成され、能動部310の端部を規定している。このような位置に電界緩和部75が形成されることで、能動部310の端部においては分極量が主要部76よりも小さくなっている。このような構成により、電界緩和部75は、能動部310の端部の実効電界を低下させる作用を有する。
このような構成の記録ヘッド1は、第1電極60と、第2電極80及びプラチナ電極95とに駆動電圧範囲V1内で電圧が印加されたとき、能動部310と非能動部320との境界部に応力が集中することが抑制され、応力の集中による焼損やクラックによる破壊が抑制されて信頼性が向上したものとなる。
なお、図6の例では、電界緩和部75の2つの抗電界点Ec1、Ec2は、正側の電界極性に位置していたが、負側の電界極性に位置していてもよい。
図7は、電界緩和部75及び主要部76のヒステリシス特性である。横軸は電圧[V]であり左側がマイナス、右側がプラスを示し、縦軸は分極量[μC・cm-2]であり、上側がプラス、下側がマイナスを示している。また、実線は電界緩和部75のヒステリシス特性を示し、点線は主要部76のヒステリシス特性を示している。
電界緩和部75のヒステリシス特性は、二つの抗電界点が何れもEc1、Ec2が何れも負側の電界極性に位置している。主要部76のヒステリシス特性は図6と同様である。図7の例では、電界緩和部75のヒステリシス特性は、全体的に主要部76のヒステリシス特性よりも左側にシフトしている。
駆動電圧範囲V2は、例えば、主要部76の正側の抗電界点の近傍における電圧E1’から、電界緩和部75の負側の分極量がほぼ最大となるときの電圧E2’までとする。
このような駆動電圧範囲V2においては、同電圧であれば、電界緩和部75のマイナス側の分極量は、主要部76のマイナス側の分極量よりも小さくなっている。すなわち、このような電界緩和部75においても、主要部76よりも分極量が小さくなるような駆動電圧範囲V2を有し、電界緩和部75は能動部310の端部の実効電界を低下させる作用を有する。
したがって、図6の例と同様に、第1電極60と、第2電極80及びプラチナ電極95とに駆動電圧範囲V2内で電圧が印加されたとき、当該境界部に応力が集中することが抑制され、応力の集中による焼損やクラックによる破壊が抑制されて信頼性が向上したものとなる。
図8から図24を用いて本実施形態の記録ヘッドの製造方法について説明する。図8から図24は記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。
図8に示すように、シリコンウェハーである流路形成基板用ウェハー110の表面に弾性膜51を形成する。本実施形態では、流路形成基板用ウェハー110を熱酸化することによって二酸化シリコンからなる弾性膜51を形成した。もちろん、弾性膜51の材料は、二酸化シリコンに限定されず、窒化シリコン膜、ポリシリコン膜、有機膜(ポリイミド、パリレンなど)等にしてもよい。弾性膜51の形成方法は熱酸化に限定されず、スパッタリング法、CVD法、スピンコート法等によって形成してもよい。
次に、図9に示すように、弾性膜51上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52を形成する。もちろん、絶縁体膜52は、酸化ジルコニウムに限定されず、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミン酸ランタン(LaAlO3)等を用いるようにしてもよい。絶縁体膜52を形成する方法としては、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等が挙げられる。本実施形態では、この弾性膜51及び絶縁体膜52によって振動板50が形成されるが、振動板50として、弾性膜51及び絶縁体膜52の何れか一方のみを設けるようにしてもよい。また、振動板50上に、第1電極60の下地との密着性を向上させるための密着層が設けられていてもよい。
次に、図10に示すように、第1電極60を形成する第1電極層160を振動板50上に形成し、図11に示すように、所定形状にパターニングして第1電極60を形成する。第1電極60の材料は特に限定されないが、圧電体層70としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いる場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少ない材料であることが望ましい。このため、第1電極60の材料としては白金、イリジウム等が好適に用いられる。また、第1電極60を形成する電極層は、例えば、スパッタリング法やPVD法(物理蒸着法)などにより形成することができる。また、第1電極60のパターニングは、例えば、イオンミリング等のドライエッチングにより行うことができる。
次に、本実施形態では、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体層70を形成する。ここで、本実施形態では、金属錯体を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成している。なお、圧電体層70の製造方法は、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal-Organic Decomposition)法やスパッタリング法又はレーザーアブレーション法等のPVD(Physical Vapor Deposition)法等を用いてもよい。すなわち、圧電体層70は液相法、気相法の何れで形成してもよい。
具体的には、図12に示すように、第1電極60及び振動板50上に、複数の圧電体膜74からなる圧電体層70を形成する。圧電体膜74は、後述する塗布工程、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程からなる圧電体膜形成工程を複数回繰り返すことにより形成する。
塗布工程では、第1電極60が形成された流路形成基板用ウェハー110上に金属錯体を含むゾル(溶液)を塗布して圧電体前駆体膜を形成する。乾燥工程では、圧電体前駆体膜を所定温度に加熱して一定時間乾燥させる。脱脂工程では、乾燥した圧電体前駆体膜を所定温度に加熱して一定時間保持することによって脱脂する。ここでいう脱脂とは、圧電体前駆体膜に含まれる有機成分を、例えば、NO2、CO2、H2O等として離脱させることである。焼成工程では、圧電体前駆体膜を所定温度に加熱して一定時間保持することによって結晶化させ、圧電体膜74を形成する。
なお、このような乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程で用いられる加熱装置としては、例えば、ホットプレートや、赤外線ランプの照射により加熱するRTP(Rapid Thermal Processing)装置などを用いることができる。
次に、図13に示すように、圧電体層70上に第2電極80を形成する材料からなる第2電極層180を形成する。本実施形態では、特に図示していないが、まず、圧電体層70上にイリジウムを有するイリジウム層と、イリジウム層上にチタンを有するチタン層とを積層して第2電極層180とする。なお、このイリジウム層及びチタン層は、スパッタリング法やCVD法等によって形成することができる。
次に、図14に示すように、第1電極60、圧電体層70及び第2電極層180を各圧力発生室12に対応してパターニングする。
次に、図15に示すように、第2電極層180の一部を除去して除去部83を形成する。このパターニングにより第2電極80と、第2電極80と同一材料からなり、電気的には分離された導電層84が形成される。このようなパターニングにより、第2電極層180を切断した除去部83が形成され、圧電体層70の一部が露出する。
本実施形態では、図14及び図15に示したパターニングは、第2電極層180上に所定形状に形成したマスク(図示なし)を設け、このマスクを介して第2電極層180及び圧電体層70をエッチングする、いわゆるフォトリソグラフィーによってパターニングした。なお、圧電体層70のパターニングは、例えば、反応性イオンエッチングやイオンミリング等のドライエッチングが挙げられる。
次に、図16に示すように、流路形成基板用ウェハー110の一方面側(圧電体層70が形成された面側)にプラチナからなるプラチナ電極層195を形成する。具体的には、プラチナ電極層195は、第2電極80上、圧電体層70のパターニングされた側面上、絶縁体膜52上、導電層84上に亘って設けられている。さらにプラチナ電極層195は除去部83の内部を埋めるように設けられている。プラチナ電極層195の形成方法は特に限定されず、例えば、スパッタリング法やPVD法(物理蒸着法)法等が挙げられる。
次に、図17に示すように、プラチナ電極層195を所定形状にパターニングする。すなわち、プラチナ電極層195上に所定形状のマスクを形成し(図示なし)、マスクを介してプラチナ電極層195をエッチングすることでパターニングする。これにより、圧電体層70上であって、第2電極80が設けられていない領域(除去部83により露出した圧電体層70の一部)を覆い、第2電極80の一端部80aに連続したプラチナ電極95が形成される。
次に、図18に示すように、イリジウム層及びチタン層からなる第2電極80、プラチナ電極95が形成された圧電体層70を加熱処理(アニール処理)する。加熱処理により、第2電極80は、酸化物電極、すなわち酸化イリジウム及び酸化チタンを含む電極となり、圧電体層70に対して酸素を補償する作用を有する。このため、圧電体層70のうち第2電極80に覆われた領域である主要部76は、第2電極80を形成した際のエッチングによるダメージが発生しても、第2電極80からの酸素補償によって当該ダメージが回復する。
一方、プラチナ電極95は、上述した酸素補償作用がない。したがって、圧電体層70のうちプラチナ電極95に覆われた領域は、エッチング等によるダメージが回復されずに欠陥が比較的多く存在し、インプリントが生じやすい。当該領域を被インプリント部75aと称する。
インプリントとは、1つの方向に分極を保持しつづけることにより、その反対側の分極が不安定になってしまう現象のことである。インプリントが発生するメカニズムは、まだ統一的な理解は得られていないが、バルク起因説や界面起因説によって説明される。バルク起因説は、強誘電分域における欠陥に起因した電気双極子が分極方向に整列することによって分域境界に電界が生じ、それにより内部電界が生じるという説である。界面起因説は、電極−強誘電体界面近傍における電荷のトラップにより内部電界が生じるという説である。いずれにしても、圧電体層70の結晶内の欠陥が多いとインプリントが生じやすい。
次に、図19に示すように、流路形成基板用ウェハー110の一方面側(圧電体層70が形成された面側)にリード電極層190を形成する。具体的には、リード電極層190は、第2電極80上、絶縁体膜52上、導電層84上に亘って設けられている。さらにリード電極層190は除去部83の内部を埋め、プラチナ電極95を覆うように設けられている。リード電極層190の材料は導電性があれば特に限定はないが、ここでは銅(Cu)から形成されている。また、リード電極層190の形成方法は特に限定されず、例えば、スパッタリング法や無電解めっき法等が挙げられる。
次に、図20に示すように、リード電極層190を所定形状にパターニングする。すなわち、リード電極層190上に所定形状のマスクを形成し(図示なし)、マスクを介してリード電極層190をエッチングすることでパターニングする。具体的には、非能動部320の一部が除去部83から露出するようにエッチングする。このパターニングにより、リード電極層190から第1リード電極91と第2リード電極92とを形成する。リード電極層190のエッチングはウェットエッチングであってもドライエッチングであってもよい。
次に、図21に示すように、圧電体層70のうちプラチナ電極95に覆われた領域に電界緩和部75を形成する。具体的には、第1リード電極91及び第2リード電極92を介して、第1電極60及び第2電極80に、圧電素子300を使用するときの電界とは逆極性を印加し、所定時間放置する。また、逆極性を印加しながら、圧電素子300をキュリー温度以下の温度で加熱することが好ましい。
上述したように、被インプリント部75aは、加熱処理による酸素補償がなされていないので結晶内に欠陥が多く、インプリントが発生しやすい状態になっている。このような状態において、上記したような逆極性の印加を行うことで、被インプリント部75aから電界緩和部75を形成することができる。さらに、逆極性を印加しながら上記温度で加熱とすることで、被インプリント部75aにインプリントを発生させやすくすることができ、電界緩和部75の形成を加速することができる。
このように逆極性を印加することで、図6及び図7に示したように、2つの抗電界点が正側又は負側の電界極性に位置し、主要部76よりも分極量が低下したヒステリシス特性を有する電界緩和部75を形成することができる。
一方、主要部76は、加熱処理による酸素補償がなされており、インプリントが発生しにくい。したがって、上記したような逆極性の印加、又は逆極性を印加しながら上記温度で加熱を行っても、主要部76の分極量を低下させずにすむ。
このようにして、本実施形態の記録ヘッド1の製造方法によれば、能動部310と非能動部320との境界部に主要部76よりも分極量が低下した電界緩和部75を形成することができる。これにより、第1電極60と、第2電極80及びプラチナ電極95とに駆動電圧範囲内で電圧が印加されたとき、当該境界部に応力が集中することが抑制され、応力の集中による焼損やクラックによる破壊が抑制されて信頼性が向上した記録ヘッド1を製造することができる。
なお、電界緩和部75の製造は、逆極性の印加や逆極性を印加しながら所定温度で加熱する方法に限定されない。例えば、圧電体層70に第1電極60及び第2電極80を介して、使用時の電界よりも大きい電界を加えながら、キュリー温度以上の温度から冷却することによって、電界緩和部75を形成することができる。この方法により、図7に示したように、負の電界極性側に2つの抗電界点が位置するヒステリシス特性を有する電界緩和部75を形成することができる。
次に、図22に示すように、流路形成基板用ウェハー110の圧電素子300側に、シリコンウェハーであり複数の保護基板30となる保護基板用ウェハー130を接着剤35を介して接合した後、流路形成基板用ウェハー110を所定の厚みに薄くする。
次に、図23に示すように、流路形成基板用ウェハー110にマスク膜53を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、図24に示すように、流路形成基板用ウェハー110をマスク膜53を介してKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、圧電素子300に対応する圧力発生室12、インク供給路13、連通路14及び連通部15等を形成する。
その後は、流路形成基板用ウェハー110及び保護基板用ウェハー130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハー110の保護基板用ウェハー130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハー130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハー110等を図2に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態の記録ヘッド1とする。
〈実施形態2〉
実施形態1に係る圧電素子300は、第1電極60を複数の能動部310毎に独立して設けることで個別電極とし、第2電極80を複数の能動部310に亘って連続して設けることで共通電極としたが、このような態様に限定されない。
実施形態1に係る圧電素子300は、第1電極60を複数の能動部310毎に独立して設けることで個別電極とし、第2電極80を複数の能動部310に亘って連続して設けることで共通電極としたが、このような態様に限定されない。
本実施形態では、第1電極60を複数の能動部310に亘って連続して設けることで共通電極とし、第2電極を能動部310毎に独立して設けることで個別電極とした記録ヘッドについて説明する。
図25は、本実施形態に係る記録ヘッドの分解斜視図であり、図26は、本実施形態に係る記録ヘッドの断面図である。なお、実施形態1と同一のものには同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態の記録ヘッド1Aは、振動板50上に圧電素子300が設けられている。圧電素子300は、振動板50側から順次積層された導電性電極である第1電極60A、圧電体層70A及び導電性電極である第2電極80Aを有する。
第1電極60Aを複数の圧力発生室12に相対向する領域に亘って連続して設けることで、複数の圧電素子300の共通電極としている。また、圧電体層70A及び第2電極80Aを圧電素子300毎に切り分けることで、第2電極80Aを各圧電素子300の個別電極としている。すなわち、能動部310は、圧力発生室12に相対向する領域にのみ設けられていることになる。
第2電極80Aは、第2の方向Yにおいて、圧電体層70Aよりも短く形成されている。すなわち圧電体層70Aの一部は、第2電極80Aに覆われていない領域となっている。当該領域は、非能動部320となる。
圧電体層70Aの非能動部320のうちの一部に電界緩和部75が設けられている。また、圧電体層70A上には、第2電極80Aの一端部80aの外側に、一端部80aに連続したプラチナ電極95が設けられている。そして、電界緩和部75の少なくとも一部は、プラチナ電極95に覆われており、その他の一部は第2電極80Aに覆われずに露出している。
上述した本実施形態の記録ヘッド1Aにおいても、能動部310と非能動部320との境界部に電界緩和部75が形成されているので、実施形態1の記録ヘッド1と同様の作用効果を奏する。
〈他の実施形態〉
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の構成は上述したものに限定されるものではない。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、実施形態1では、第1リード電極91及び第2リード電極92を介して第1電極60及び第2電極80に逆極性を印加したが、このような態様に限定されない。例えば、リード電極90を形成する前に、第1電極60及び第2電極80に逆極性を印加することで、電界緩和部75を形成してもよい。
上記実施形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを、また液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド及び液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドや液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置にも適用できる。
また、本発明は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドのみならず、超音波発信機等の超音波デバイス、超音波モーター、圧力センサー、焦電センサー等他の圧電デバイスにも適用することができる。このような圧電素子デバイスにおいても、信頼性を向上することができる。
I…インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、1…記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、10…流路形成基板(基板)、50…振動板、60、60A…第1電極、70、70A…圧電体層、75…電界緩和部、80、80A…第2電極、80a…一端部、90…リード電極、95…プラチナ電極、300…圧電素子、310…能動部、320…非能動部
Claims (4)
- 基板の上方に設けられて前記基板側から第1電極、圧電体層及び第2電極が積層された圧電素子を具備する圧電デバイスの製造方法であって、
前記基板の上方に前記第1電極、前記圧電体層及び前記第2電極を積層し、
前記圧電体層の上方であって前記第2電極が形成されていない領域に、前記第2電極の一端部の外側に当該一端部に連続したプラチナ電極を形成し、
前記プラチナ電極が形成された前記圧電素子をアニール処理し、
正又は負の一方の電界極性側に二つの抗電界点が位置するヒステリシス特性を有する電界緩和部を、前記圧電体層のうち前記プラチナ電極に覆われた領域に形成する
ことを特徴とする圧電デバイスの製造方法。 - 請求項1に記載する圧電デバイスの製造方法において、
前記圧電体層に使用時の電界とは逆極性を印加することで、負の電界極性側に二つの抗電界点が位置するヒステリシス特性を有する前記電界緩和部を形成する
ことを特徴とする圧電デバイスの製造方法。 - 請求項2に記載する圧電デバイスの製造方法において、
前記圧電体層に使用時の電界とは逆極性を印加しながら、キュリー温度以下の温度で加熱することで、負の電界極性側に二つの抗電界点が位置するヒステリシス特性を有する前記電界緩和部を形成する
ことを特徴とする圧電デバイスの製造方法。 - 請求項1に記載する圧電デバイスの製造方法において、
前記圧電体層に使用時の電界よりも大きい電界を加えながらキュリー温度以上の温度から冷却することで、負の電界極性側に二つの抗電界点が位置するヒステリシス特性を有する前記電界緩和部を形成する
ことを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
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WO2021256370A1 (ja) * | 2020-06-16 | 2021-12-23 | 太陽誘電株式会社 | 駆動方法、駆動回路及び変位駆動装置 |
JP7467967B2 (ja) | 2020-02-13 | 2024-04-16 | 株式会社デンソー | 電界駆動型の機能素子、固体冷媒サイクル、および、アクチュエータ |
-
2016
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