JP2017156282A - 電荷量の推定方法、推定装置、及び推定プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】落雷に伴う電荷量を精度良く推定することができるようにする。【解決手段】電界の観測点と雷電荷との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離並びに鉛直Z方向の距離と、観測点で観測された電界の変化ΔEとが用いられて、雷電荷の電荷量Qが推定される(S1,S5)際に、観測点と雷電荷との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離として観測点と落雷点との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離が用いられる(S2)と共に、鉛直Z方向の距離として上空において所定の温度になっている高度が用いられ(S3)、且つ、電界の変化ΔEが観測された観測点のうち落雷点から20 km 以遠の観測点で観測された電界の変化ΔEのみが用いられる(S4)ようにした。【選択図】図1

Description

本発明は、電荷量の推定方法、推定装置、及び推定プログラムに関する。さらに詳述すると、本発明は、地上にあるインフラ設備の損傷を引き起こす大きな電荷量を伴う落雷の電荷量を推定する技術に関する。
落雷発生時の落雷電荷量を推定する従来の方法として、落雷に伴う電界や磁界の時間変化を大地で観測して落雷電荷の高度及び落雷電荷量を推定する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2012−103209号公報
しかしながら、従来の方法では、推定される電荷量の誤差が大きく、地上のインフラ設備に被害を与え得る程度に大きな電荷量を伴う落雷を効率的に抽出することができないという問題がある。これは、電荷量を推定するには雲内の電荷の水平位置や高度を知る必要があるが、従来の方法ではこの位置に関する推定誤差が大きいため、結果として推定された電荷量も誤差が大きくなり、被害を与え得る落雷のみを的確に抽出することができないからである。
また、一般的に用いられている落雷位置標定システム(LLS(Lightning Location System の略)とも呼ばれる)は位置標定誤差が数百 m 程度となっており、実際に被害を受けたインフラ設備を見つけるのは容易ではないという問題がある。これは、数百 m という距離は、間隔が比較的大きい送電鉄塔でも数径間に相当して落雷点が山岳地である場合には複数の山を登る必要があり、また、配電線では対応する範囲に数十本の電柱が存在し、落雷によって何れの機器が故障したのかを発見するのに大変な労力が必要とされるからである。
これらの課題により、落雷を受けたインフラ設備のメンテナンスには多大な労力が必要とされ、また、設備に被害を与える程度に電荷量が大きい落雷がどの箇所に多く落雷しているのかを統計的に判断して必要な対策を施すなどの処置をとることができないという問題がある。
そこで、本発明は、落雷に伴う電荷量を精度良く推定することができる電荷量の推定方法、推定装置、及び推定プログラムを提供することを目的とする。
本発明の説明において、単位であることを明確にするために単位としての記号や文字を〔 〕で括って表記する場合がある。
本発明の説明において、また、地表面(大地)及び上空における水平位置は、どちらにも共通する、水平面において相互に直交する二軸として設定された水平X方向軸と水平Y方向軸とによって規定される二次元座標(X,Y)によって表されるとする。さらに、地表面(大地)からの高度は、鉛直方向である鉛直Z方向軸によって規定される座標(Z)によって表されるとする(なお、水平面において相互に直交する二軸の原点及び方角は任意に設定される)。したがって、地表面における位置は位置座標として(X,Y,0)のように表され、上空における位置は位置座標として(X,Y,Z)のように表される。
雷放電に伴う電荷量の推定は、例えば、スローアンテナと呼ばれる観測機器によって得られるデータを用いて行われる。スローアンテナは、1 Hz 未満から数十 kHz 程度の周波数帯域に亙る準静的電界を観測するための、静電アンテナと増幅器とを組み合わせた測定装置の呼称である。
落雷に伴って中和される電荷量を推定する手法として点電荷モデルが多く用いられる。具体的には、スローアンテナ等によって観測された落雷に伴う電界変化ΔEは、点電荷モデルを用いて数式1のように表される。なお、大地の電荷の緩和時間よりも十分に遅い現象が解析対象であるので、大地は完全導体として扱われる。
Figure 2017156282
数式1において、x,y,zはそれぞれスローアンテナ等の観測機器と雲内の電荷との間のX,Y,Z方向の距離〔m〕を表し、Qは落雷によって消失する電荷量〔C〕を表す。また、ε0は真空の誘電率であり、πは円周率である。なお、スローアンテナ等の観測機器の位置座標は設置地点として既知である。
数式1の概念図を図3に示す。まず、大地は完全導体であると見なしているので、雲内の電荷周囲の電界は、図3(A)のように、雲内の電荷Q(位置座標:x,y,z)とポテンシャルV=0の大地面を挟んだ大きさの等しい異符号の鏡像電荷(即ち、−Q;位置座標:x,y,−z)とが作る電界と見なすことができる。この結果、大地面で得られる電気力線は図3(B)のように大地に対して垂直になり、電界変化は大地に対して垂直な成分のみ観測すれば良くなる。そして、各観測点(即ち、各スローアンテナ等)で得られた電界変化ΔEより、電荷量Q〔C〕が数式1によって求められる。
また、数式1の各パラメータの概念図を図4に示す。図4(A)は例えばスローアンテナによって観測される電界変化波形の例である。夏季の一般的な落雷は新たな放電路を作る第一雷撃と、その後に続く後続雷撃とに分類される。図4(A)には、第一雷撃の後、数十 ms 経過して後続雷撃が二回発生した例を示す。負極性の第一雷撃や後続雷撃が発生すると、雲内の負電荷が大地に流入して負電荷が消えることになる。これは等価的には空中に正電荷が突然現れたのと同じことであるので、負極性落雷があると、周囲の大地面での電界は正に変化する。ここで、図4(A)中に示されている電界変化ΔEの大きさは、数式1を用いて、図4(B)に示す雲内の電荷の位置座標(x,y,z)及び電荷量Qによって決まる。逆に、数式1はx,y,z,及びQの四つのパラメータの関数であるので、電界変化ΔEが図3(B)で示す四箇所で観測されれば、位置座標(x,y,z)及び電荷量Qの四つの変数が算定される。
上記を踏まえると、落雷点(具体的には、地表面における落雷地点の位置座標)が特定されると共に雲内の電荷の高度が特定された上で数式1にx,y,z,及び観測された電界変化ΔEが代入されることにより、電荷量Qが求められる。なお、数式1におけるx,y,zは、観測機器と雲内の電荷との間のX,Y,Z方向の距離であり、観測機器の位置を原点(0,0,0)とすれば雲内の電荷の位置座標である。
あるいは、四箇所以上の電界が同時観測されることにより、例えば最適化計算によって雲内の電荷の位置座標と電荷量Qとのそれぞれが求められる。
なお、数式1の適用に関し、大地面の形状を考慮する必要がある場合は、電界計算が事前に行われて誤差が補正される。
本発明の電荷量の推定方法は、上記した電荷量の算定の考え方も利用するものであり、電界の観測点と雷電荷との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離並びに鉛直Z方向の距離と、観測点で観測された電界の変化とが用いられて、雷電荷の電荷量が推定される際に、観測点と雷電荷との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離として観測点と落雷点との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離が用いられると共に、電界の変化が観測された観測点のうち落雷点から20 km 以遠の観測点で観測された電界の変化のみが用いられるようにしている。
また、本発明の電荷量の推定装置は、電界の観測点と雷電荷との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離並びに鉛直Z方向の距離と、観測点で観測された電界の変化とを用いて、雷電荷の電荷量を推定する電荷量推定部を有し、当該電荷量推定部が、観測点と雷電荷との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離として観測点と落雷点との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離を用いると共に、電界の変化が観測された観測点のうち落雷点から20 km 以遠の観測点で観測された電界の変化のみを用いるようにしている。
また、本発明の電荷量の推定プログラムは、電界の観測点と雷電荷との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離並びに鉛直Z方向の距離と、観測点で観測された電界の変化とを用いて、雷電荷の電荷量を推定する処理をコンピュータに行わせ、当該電荷量を推定する処理において、観測点と雷電荷との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離として観測点と落雷点との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離が用いられると共に、電界の変化が観測された観測点のうち落雷点から20 km 以遠の観測点で観測された電界の変化のみが用いられるようにしている。
したがって、これらの電荷量の推定方法、推定装置、及び推定プログラムによると、雷放電路は鉛直方向ではなくて通常は傾いているので、図4(B)において雲内の電荷の位置座標が(x,y,z)であるときに地表面の落雷点の位置座標は(x,y,0)には通常はならないのに対し、20 km 以遠の観測点の観測データのみが用いられるようにしているので、雲内の電荷の水平位置と地表面の落雷点の水平位置とのずれが電荷量の推定に与える影響が抑制される。
本発明の電荷量の推定方法は、観測点と雷電荷との間の鉛直Z方向の距離として上空において所定の温度になっている高度が用いられるようにしても良い。また、本発明の電荷量の推定装置は、電荷量推定部が、観測点と雷電荷との間の鉛直Z方向の距離として上空において所定の温度になっている高度を用いるようにしても良い。また、本発明の電荷量の推定プログラムは、電荷量を推定する処理において、観測点と雷電荷との間の鉛直Z方向の距離として上空において所定の温度になっている高度が用いられるようにしても良い。これらの場合には、観測点と雷電荷との間の鉛直Z方向の距離が雷電荷が存在するとされる特定の温度の高度に設定されるようにしているので、例えば電界の観測データなどに基づいて雷電界の高度を推測する場合の推測誤差が電荷量の推定に与える影響が回避される。
本発明の電荷量の推定方法、推定装置、及び推定プログラムによれば、雲内の電荷の水平位置と地表面の落雷点の水平位置とのずれが電荷量の推定に与える影響を小さくすることができ、したがって落雷に伴う電荷量を精度良く推定することが可能になる。
そして、本発明の電荷量の推定方法、推定装置、及び推定プログラムによれば、落雷に伴う電荷量を精度良く推定することが可能になるので、電荷量の大きさに基づいて判断される落雷によって損害を受ける機器の位置を明確に示すことが可能になる。また、これらのデータを蓄積することにより、電荷量の多い地域やインフラ設備に落雷し易い地域を抽出することができ、このデータを元に合理的な耐雷設計及び保守の頻度などを決定することが可能になる。
本発明の電荷量の推定方法、推定装置、及び推定プログラムは、観測点と雷電荷との間の鉛直Z方向の距離として上空において所定の温度になっている高度が用いられるようにした場合には、例えば電界の観測データなどに基づいて雷電界の高度を推測する場合の推測誤差が電荷量の推定に与える影響を回避することができ、したがって落雷に伴う電荷量を一層精度良く推定することが可能になる。
本発明の電荷量の推定方法の実施形態の一例を示すフローチャートである。 実施形態の電荷量の推定方法を電荷量の推定プログラムを用いて実施する場合の当該プログラムによって実現される電荷量の推定装置の機能ブロック図である。 スローアンテナによる電荷位置推定に必要な電界観測を説明する図である。(A)は大地と雲内の電荷及び鏡像電荷との間の関係を説明する図である。(B)は各観測点で大地に垂直な電気力線を示す図である。 数式1の各パラメータの概念を説明する図である。(A)はΔEの概念を説明する図である。(B)はx,y,zの概念を説明する図である。 複数の観測点(観測機器)の配置の仕方の一例を説明すると共に、観測点と落雷点との間の関係を説明する図である。 実施例1における水平方向の誤差に用いた方位のパラメータを説明する図(水平面投影図)である。 実施1におけるシミュレーションの結果得られた電荷量の平均値(誤差が無ければ100C)と観測点から落雷点までの距離との間の関係の図であり、仮定の雷電荷高度(−10℃高度)が2kmのときの関係を示す図である。 実施1におけるシミュレーションの結果得られた電荷量の平均値(誤差が無ければ100C)と観測点から落雷点までの距離との間の関係の図であり、仮定の雷電荷高度(−10℃高度)が3kmのときの関係を示す図である。 実施1におけるシミュレーションの結果得られた電荷量の平均値(誤差が無ければ100C)と観測点から落雷点までの距離との間の関係の図であり、仮定の雷電荷高度(−10℃高度)が5kmのときの関係を示す図である。 実施1におけるシミュレーションの結果得られた電荷量の平均値(誤差が無ければ100C)と観測点から落雷点までの距離との間の関係の図であり、仮定の雷電荷高度(−10℃高度)が8kmのときの関係を示す図である。 実施1におけるシミュレーションの結果得られた電荷量の誤差の標準偏差(電荷量100Cの場合)と観測点から落雷点までの距離との間の関係の図であり、仮定の雷電荷高度(−10℃高度)が2kmのときの関係を示す図である。 実施1におけるシミュレーションの結果得られた電荷量の誤差の標準偏差(電荷量100Cの場合)と観測点から落雷点までの距離との間の関係の図であり、仮定の雷電荷高度(−10℃高度)が3kmのときの関係を示す図である。 実施1におけるシミュレーションの結果得られた電荷量の誤差の標準偏差(電荷量100Cの場合)と観測点から落雷点までの距離との間の関係の図であり、仮定の雷電荷高度(−10℃高度)が5kmのときの関係を示す図である。 実施1におけるシミュレーションの結果得られた電荷量の誤差の標準偏差(電荷量100Cの場合)と観測点から落雷点までの距離との間の関係の図であり、仮定の雷電荷高度(−10℃高度)が8kmのときの関係を示す図である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図4に、本発明の電荷量の推定方法、推定装置、及び推定プログラムの実施形態の一例を示す。
本実施形態の電荷量の推定方法は、電界の観測点と雷電荷との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離並びに鉛直Z方向の距離と、観測点で観測された電界の変化ΔEとが用いられて、雷電荷の電荷量Qが推定される(S1,S5)際に、観測点と雷電荷との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離として観測点と落雷点との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離が用いられる(S2)と共に、鉛直Z方向の距離として上空において所定の温度になっている高度が用いられ(S3)、且つ、電界の変化ΔEが観測された観測点のうち落雷点から20 km 以遠の観測点で観測された電界の変化ΔEのみが用いられる(S4)ようにしている(図1参照)。
本実施形態の電荷量の推定装置は、電界の観測点と雷電荷との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離並びに鉛直Z方向の距離と、観測点で観測された電界の変化とを用いて、雷電荷の電荷量を推定する電荷量推定部11dを有し、当該電荷量推定部11dが、観測点と雷電荷との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離として観測点と落雷点との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離を用いると共に、電界の変化が観測された観測点のうち落雷点から20 km 以遠の観測点で観測された電界の変化のみを用いるようにしている。
上記電荷量の推定方法及び電荷量の推定装置は、電荷量の推定プログラムがコンピュータ上で実行されることによっても実施・実現され得る。ここでは、電荷量の推定プログラムがコンピュータ上で実行されることによって電荷量の推定方法が実行されると共に電荷量の推定装置が実現される場合を説明する。
本実施形態の電荷量の推定プログラム17を実行するためのコンピュータ10(本実施形態では、電荷量の推定装置10でもある)の全体構成を図2に示す。
このコンピュータ10(電荷量の推定装置10)は制御部11,記憶部12,入力部13,表示部14,及びメモリ15を備え、これらが相互にバス等の信号回線によって接続されている。
制御部11は、記憶部12に記憶されている電荷量の推定プログラム17に従ってコンピュータ10全体の制御並びに電荷量の推定に係る演算を行うものであり、例えばCPU(中央演算処理装置)である。
記憶部12は、少なくともデータやプログラムを記憶可能な装置であり、例えばハードディスクである。
入力部13は、少なくとも作業者の命令や種々の情報を制御部11に与えるためのインターフェイス(即ち、情報入力の仕組み)であり、例えばキーボードやマウスである。なお、例えばキーボードとマウスとの両方のように複数種類のインターフェイスを入力部13として有するようにしても良い。
表示部14は、制御部11の制御によって文字や図形或いは画像等の描画・表示を行うものであり、例えばディスプレイである。
メモリ15は、制御部11が種々の制御や演算を実行する際の作業領域であるメモリ空間となるものであり、例えばRAM(Random Access Memory の略)である。
また、コンピュータ10に、必要に応じ、当該コンピュータ10との間でデータや制御指令等の信号の送受信(即ち、出入力)が可能であるように、バスや広域ネットワーク回線等の信号回線により、データサーバ18が接続されるようにしても良い。
そして、コンピュータ10(以下、「電荷量の推定装置10」と呼ぶ)の制御部11には、電荷量の推定プログラム17が実行されることにより、電界の観測点と雷電荷との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離を観測点と落雷点との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離に設定する処理を行う水平位置設定部11aと、観測点と雷電荷との間の鉛直Z方向の距離を雷電荷が存在するとされる特定の温度の高度に設定する処理を行う高度設定部11bと、落雷点と観測点との間の水平距離が20 km 以上になっている観測点を抽出する処理を行うデータ選択部11cと、観測点と雷電荷との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離並びに鉛直Z方向の距離と、データ選択部11cによって抽出された観測点で観測された電界の変化とを用いて、雷電荷の電荷量を推定する処理を行う電荷量推定部11dとが構成される。
そして、電荷量の推定方法の実施の手順として、まず、電界の観測が行われる(S1)。
このS1の処理としての電界の観測は、落雷に伴う電界の時間変化を検出するために行われる。
電界の観測は、例えば、スローアンテナと呼ばれる観測機器が用いて行われる。具体的には例えば、落雷位置標定システム(LLSとも呼ばれる)によって行われるようにしても良い。
電界の観測は、例えば、複数の観測点で、言い換えると、離間して設置された複数の観測機器により、行われる。観測点の個数や観測点相互の間隔は、特定の個数・間隔に限定されるものではなく、例えば観測機器の感度(即ち、落雷に伴う電界変化の観測が可能な範囲)などが勘案されると共に落雷の検出や落雷に伴う電荷量の推定が必要とされる範囲をカバーするために必要とされる個数及び相互の間隔が考慮された上で、適当な個数・間隔に適宜設定される。
具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、観測機器の感度が、高度5 km に存在する電荷量200 C の電荷に伴う電界変化が観測可能な水平距離が最大で40 km である場合に、図5に示すように、複数の観測点1A乃至1Eが、相互の間隔が50 km 程度で、三角グリッドを形成するように(言い換えると、三角グリッドの交点(頂点)位置に)配置されることが考えられる。なお、図5に示す観測点のうち観測点1A,1B,及び1Cのみが配置されて三角形の観測領域が一つのみ設定されるようにしても勿論良く、或いは、更に多くの三角形の観測領域が連接して設定されるようにしても良い。
なお、各観測点の水平位置は、例えばスローアンテナ等の観測機器の設置地点の位置であり、既知である。各観測点の水平位置に関する位置座標データは、例えば、観測点毎の識別子と当該観測点の水平位置座標(xo,yo)との組み合わせデータが記録されたデータファイルとして、記憶部12やデータサーバ18等に保存される。
電界の観測の結果は、所定の周波数帯域(例えば、数Hz以下の周波数帯域)における電界の時間変化を把握し得るデータとして整理され、具体的には例えば電界変化波形の時系列データとして整理される。
電界の観測結果としての観測データは、例えば、観測点毎のデータファイルとして、記憶部12やデータサーバ18等に保存される。
また、S2以降の処理は、例えば、観測点において落雷が検出されたことをトリガーとして即時的に(言い換えると、落雷のたびに)行われるようにしても良く、或いは、所定の期間に亙って観測データが保存された上で前記所定の期間分の観測データについて纏めて行われるようにしても良い。
なお、落雷が発生したことを検出する手法は、本発明においては要点ではなく、例えば電界変化波形の形状に基づいて落雷の発生を検出し得る既存の若しくは新規の手法が用いられ得る。また、落雷の発生の検出の際に通常は落雷の発生時刻も特定され得るので、本発明では、落雷の発生時刻は既知であるとする。
次に、雷電荷の水平位置の設定が行われる(S2)。
雷電荷の水平位置(具体的には、上空の雲内に存在する電荷(「雷電荷」とも呼ぶ)の水平位置座標xc,yc)として、落雷点の水平位置(即ち、地表面における落雷地点の水平位置座標xl,yl)が用いられる。したがって、S2の処理としての雷電荷の水平位置の設定は、落雷点の水平位置が特定されることによって行われる。
雷電荷の水平位置の設定(言い換えると、落雷点の水平位置の特定)は、例えば、落雷に相当する状況(具体的には例えば、電界の時間変化など)を観測した観測点の観測データが用いられて行われる。
落雷点の水平位置の特定は、具体的には例えば、落雷位置標定システム(LLS)によって得られた観測データに対して到達時間差法や交会法が適用されることによって行われ得る(例えば、齋藤幹久ら「新型落雷位置標定システム(新型LLS)開発のための基礎検討(1)−位置標定誤差の要因分析−」,電力中央研究所報告 研究報告 H14007,平成27年 を参照)。
到達時間差法は、三箇所以上の観測点で同時に観測された電磁界信号に関し、選び出した各二箇所の観測点の時間差から描かれる双曲線の交点が落雷点であるとする位置標定を行う方法である。なお、到達時間差法は、観測点への電磁波到達時刻の測定が周囲の障害物や地形の影響を受け難いために誤差が比較的小さくなるという利点を有する。
交会法は、雷放電によって生じる磁界信号を直交ループアンテナで受信し、水平磁界の方位を算出して電磁波到来方向を推定し、そして、二箇所以上の観測点で方位を算出することによって方位交会法での雷放電の位置標定を行う方法である。なお、交会法は、二箇所以上の観測点で有効なデータが観測されていれば位置標定が可能になるという利点を有する。
ただし、雷電荷の水平位置の設定(言い換えると、落雷点の水平位置の特定)は、本発明においては特定の手法に限定されるものではなく、地表面における落雷地点の水平位置座標を特定し得る手法であればどのような手法が用いられても良い。
本実施形態では、制御部11の水平位置設定部11aにより、地表面における落雷地点の水平位置座標の特定に必要な情報(例えば、記憶部12やデータサーバ18等に保存されている観測データ)が読み込まれると共に、落雷点の水平位置(具体的には、水平X方向における位置座標xl及び水平Y方向における位置座標yl)が特定される。
そして、水平位置設定部11aにより、特定された落雷点の水平位置座標(xl,yl)が雷電荷の水平位置座標(xc,yc)としてメモリ15に記憶させられる。
次に、雷電荷の高度の設定が行われる(S3)。
雷電荷の高度は、雷電荷は雲内の特定の温度の領域(言い換えると、高度層)に存在するという知見を利用し、種々の気象データ・高層観測データ等において特定の温度になっている領域の高度に設定される。
雷電荷が存在するとされる特定の温度は、既存の若しくは新規の分析結果などに基づいて適宜設定される。具体的には例えば、雷電荷の高度が、気象データ等において−10 ℃ になっている高度に設定される(例えば、石井勝ら「大電流を伴う正極性冬季雷放電」,電気学会高電圧研究会資料 HV−06−47,2006年)。
雷電荷が存在するとされる特定の温度の高度を特定するための気象データ・高層観測データ等(「雷電荷高度特定用データ」と呼ぶ)として、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、気象庁が作成しているGPV(Grid Point Value の略)と呼ばれるデータが用いられ得る。
雷電荷高度特定用データは、例えば、観測日時と高度別温度との組み合わせデータが記録されたデータファイルとして、記憶部12やデータサーバ18等に保存される。
雷電荷の高度の設定は、具体的には例えば、落雷点の上空で、当該落雷の発生時刻において、気温が特定の温度(具体的には例えば、−10 ℃)になっている高度が特定され、当該高度が雷電荷の高度に設定されることによって行われる。
本実施形態では、制御部11の高度設定部11bにより、記憶部12やデータサーバ18等に保存されている雷電荷高度特定用データが読み込まれると共に、S2の処理においてメモリ15に記憶された雷電荷の水平位置座標(xc,yc)が読み込まれ、当該雷電荷の水平位置(言い換えると、落雷点の水平位置の上空)に関する、落雷の発生時刻における電荷高度特定用データが読み込まれる。
そして、高度設定部11bにより、特定の温度(具体的には例えば、−10 ℃)になっている高度zが特定され、当該高度zが雷電荷の高度zcとしてメモリ15に記憶させられる。
なお、雷電荷が存在するとされる特定の温度の値は、入力部13を介して作業者によって入力されるようにしても良く、或いは、電荷量の推定プログラム17内に予め規定されるようにしても良い。
次に、電界の観測データの選択が行われる(S4)。
本発明では、落雷点から20 km 以遠に存在する観測点の観測データ(具体的には、電界の変化ΔE)のみが用いられて雷電荷の電荷量が推定される。このため、落雷に相当する状況(具体的には例えば、電界の時間変化など)を観測した観測点の中から、落雷点から20 km 以遠に存在する観測点が抽出される。
具体的には、本実施形態では、制御部11のデータ選択部11cにより、S2の処理において雷電荷の水平位置座標(xc,yc)としてメモリ15に記憶された落雷点の水平位置座標(xl,yl)が読み込まれると共に、記憶部12やデータサーバ18等に保存されている各観測点の水平位置座標(xo,yo)に関するデータが読み込まれる。
そして、データ選択部11cにより、落雷点と各観測点との間の水平距離が算出され、当該水平距離が20 km 以上になっている観測点が抽出される。
観測点の抽出(言い換えると、選択)の具体例を、複数の観測点(観測機器)の配置の仕方の一例として挙げた図5を用いて説明する。なお、図5において、符号2が付された一点破線は各観測点1A乃至1Eからの距離が20 km の境界を表す。
図5中の符号4Aの位置が落雷点である場合には、観測点1Aからの距離が20 km の境界円内であるので、観測点1Aは抽出されず、観測点1B及び観測点1Cが抽出される。
なお、図5に示す配置例では各観測点1A乃至1Eの観測可能最大距離が40 kmであることを前提としている。そして、落雷点4Aは観測点1Bと観測点1Cとの観測可能圏内に含まれるのでこれら観測点1B,1Cが抽出されるようにしている。しかしながら、仮に観測可能最大距離が更に長い場合には観測点1Dや観測点1Eも抽出される。
一方、図5中の符号4Bの位置が落雷点である場合には、各観測点1A乃至1Eからの距離が20 km の境界円の何れにも含まれていないので、観測点1A,観測点1B,及び観測点1Dが抽出される。なお、仮に観測可能最大距離が長い場合には観測点1Cも抽出される。
なお、本発明では、雷放電路は鉛直方向ではなくて通常は傾いているので図4(B)において雲内の電荷の位置座標が(x,y,z)であるときに地表面の落雷点の位置座標は(x,y,0)には通常はならないことに起因する誤差を抑制するために落雷点から20 km 以遠に存在する観測点の観測データのみが用いられるようにしているところ、落雷点から可能な範囲で(即ち、観測点の観測感度が許す範囲で)できるだけ遠い観測点の観測データのみが用いられることが好ましい。この点において、観測点を抽出(言い換えると、選択)する基準としての距離は、20 km に限定されるものではなく、25 km に設定されるようにしても良い。
本実施形態では、データ選択部11cにより、落雷点との間の水平距離が20 km 以上になっている観測点(「選択観測点」と呼ぶ)の識別子がメモリ15に記憶させられる。
次に、電荷量の推定が行われる(S5)。
具体的には、電荷量推定部11dにより、まず、S4の処理においてメモリ15に記憶された選択観測点の識別子が読み込まれる。
続いて、電荷量推定部11dにより、S2の処理において雷電荷の水平位置座標(xc,yc)としてメモリ15に記憶された落雷点の水平位置座標(xl,yl)が読み込まれると共に、記憶部12やデータサーバ18等に保存されている各観測点の水平位置座標(xo,yo)に関するデータの中から選択観測点の水平位置座標(xo,yo)に関するデータが読み込まれ、そして、雷電荷と観測点との間のX方向の水平距離dx及びY方向の水平距離dyが算出される。
電荷量推定部11dにより、また、S3の処理においてメモリ15に記憶された雷電荷の高度zcが読み込まれる。
電荷量推定部11dにより、さらに、記憶部12やデータサーバ18等に保存されている観測データの中から選択観測点の観測データ(具体的には、電界変化ΔE)が読み込まれる。
そして、電荷量推定部11dにより、上記の各データ(具体的には、S4の処理において選択観測点に関する、dx,dy,zc,及びΔEの値)が数式2に代入され、電荷量Qが算出される。なお、数式2は、数式1を電荷量Qについて解いた式である。
Figure 2017156282
ここで、選択観測点が一つのみである場合には、当該一つの選択観測点に関する各データが用いられて算出された電荷量Qが推定結果とされる。
一方、選択観測点が二つ以上である場合には、最終的な推定結果の決定の仕方として、例えば以下のア乃至ウのような方法が挙げられる。
ア) 複数の選択観測点のうち、落雷点との間の水平距離が最も長い(即ち、落雷点から最も遠い)選択観測点に関する各データが用いられて算出された電荷量Qが最終的な推定結果とされる。
イ) 複数の選択観測点のそれぞれに関する各データが用いられて算出された複数の選択観測点毎の電荷量Qの平均値が最終的な推定結果とされる。
ウ) 選択観測点が三つ以上である場合に、三つ以上の選択観測点のそれぞれに関する各データが用いられて算出された三つ以上の選択観測点毎の電荷量Qのうちの最小値と最大値とを除いた残りの平均値が最終的な推定結果とされる。
そして、制御部11は、推定結果としての電荷量Qの値を表示部14に表示したり、データファイルとして記憶部12に保存したりした上で、当該の落雷に関する電荷量の推定に関する処理を終了する。
以上のように構成された電荷量の推定方法、推定装置、及び推定プログラムによれば、雷放電路は鉛直方向ではなくて通常は傾いているので、雷電荷の位置座標が(xc,yc,zc)であるときに地表面の落雷点の位置座標は(xc,yc,0)には通常はならないのに対し、20 km 以遠(若しくは、25 km 以遠)の観測点の観測データのみが用いられるようにしているので、雷電荷の水平位置と地表面の落雷点の水平位置とのずれが電荷量の推定に与える影響を小さくすることができ、したがって落雷に伴う電荷量を精度良く推定することが可能になる。
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
すなわち、本発明の要点は、落雷に伴う電荷量(言い換えると、雷電荷の電荷量)が推定される際に、落雷点から20 km 以遠(若しくは、25 km 以遠)の観測点において観測されたデータ(具体的には、電界の時間変化)が用いられることであり、その他の処理内容は、数式1或いは数式2によって電荷量Qを算出するために必要なデータが揃うのであれば、上述のS1乃至S5の処理として説明した内容に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では電界の観測(S1)において用いられる機序の一例としてスローアンテナや落雷位置標定システムが挙げられているが、電界の観測において用いられる機序は、落雷に伴う電界の時間変化が把握され得るものであれば、上述の実施形態において一例として挙げられたスローアンテナや落雷位置標定システムには限定されない。
また、上述の実施形態では雷電荷の水平位置の設定(S2)において用いられる機序の一例として落雷位置標定システムが挙げられているが、雷電荷の水平位置の設定において用いられる機序は、落雷点の水平位置座標(xl,yl)が特定され得るものであれば、上述の実施形態において一例として挙げられた落雷位置標定システムには限定されない。
また、上述の実施形態ではS3の処理において雷電荷が存在するとされる特定の温度になっている上空の領域の高度に雷電荷の高度が設定されるようにしているが、雷電荷の高度の設定の仕方は、雷電荷の高度が特定(設定)され得るのであれば、上述の実施形態における方法には限定されない。具体的には例えば、レーダによる観測の結果得られるデータやVHF帯の電磁波を用いた観測の結果得られるデータが用いられて雲内の雷電荷の高度が標定され、当該標定された高度に雷電荷の高度が設定されるようにしても良い。
また、上述の実施形態のS5の処理において電荷量の推定に用いられる数式2は雷電荷(位置座標は未知)と観測点(位置座標は既知)との間のX方向の水平距離dx及びY方向の水平距離dy,雷電荷の高度zc,並びに電荷量Qの四つのパラメータの関数であるので、電界変化ΔEが四箇所以上の観測点で観測されれば雷電荷の位置座標(xc,yc,zc)並びに電荷量Qのパラメータは算定され得る。そこで、電界変化ΔEが四箇所以上の観測点で観測される場合には、観測データが用いられて雷電荷の位置座標(xc,yc,zc)が算定され、当該算定結果に基づいて落雷点から20 km 以遠(若しくは25 km 以遠)の観測点(即ち、選択観測点)が抽出され、当該選択観測点で観測された電界変化ΔEが用いられて数式2によって電荷量Qがあらためて算出されるようにしても良い。なお、この場合、雷電荷の高度zcとしては、観測データが用いられて算定されたzcの値が用いられるようにしても良く、或いは、上述の実施形態と同様に雷電荷が存在するとされる特定の温度の高度が用いられるようにしても良い。
本発明の電荷量の推定方法の妥当性を検証するための、電荷量の推定値の誤差の評価例を図6乃至図8を用いて説明する。
本実施例では、具体的には、雷電荷の位置の特定の誤差が無いという前提であれば電荷量が100 C であると推定される電界変化が観測されたときに(即ち、電界変化量は一定とされた上で)、しかしながら雷電荷の位置の特定の誤差のために実際には何 C の電荷量の落雷がその電界変化を発生させたのかが評価された。
雷電荷の位置のずれは水平方向と垂直方向との両方が加わることになるので、それぞれのずれが乱数で与えられた上でモンテカルロシミュレーションによって評価が行われた。
水平方向のずれは、上述の実施形態におけるS2の処理の内容(手順)と対比させると、落雷位置標定システム(LLS)によって得られた観測データに基づいて標定(特定)された落雷点の水平位置と雷電荷の水平位置との間のずれのことである。
垂直方向のずれは、上述の実施形態におけるS3の処理の内容(手順)と対比させると、雷電荷が存在するとされる特定の温度の高度(具体的には、上空の−10 ℃ の高度)と雷電荷の高度との間のずれのことである。
ずれの幅は、水平方向のずれは±6 km の範囲で一様分布とされ、垂直方向のずれは±1 km の範囲で一様分布とされた。また、水平方向の誤差はずれの方位も一つのパラメータとなるので、図6に示すような方位θのパラメータが考慮され、ずれの方位θは0〜2π rad の範囲で一様分布とされた。
そして、水平方向のずれ,垂直方向のずれ,及び水平方向のずれの方位θを無相関に乱数で1万回発生させた結果によって雷電荷の位置(xc,yc,zc)のずれを設定して電荷量を計算するというモンテカルロシミュレーションが行われた。なお、雷電荷の位置(xc,yc,zc)は、仮想の観測点の位置を原点(0,0,0)としたときの位置座標である。
電荷量の計算は、数式1を電荷量Qについて解いた式である数式3が用いられた。
Figure 2017156282
シミュレーションでは、電界変化ΔEは上述の通り一定とされるので、雷電荷の位置(xc,yc,zc)にずれが与えられて変化させられた。
電界変化ΔEは、垂直・水平方向の位置のずれが無い(即ち、雷電荷の水平位置が落雷点の真上であり且つ雷電荷の高度が−10 ℃ の高度と同じであるとき)という前提であれば、電荷量が100 C である雷電荷が存在する電界強度としたときの計算結果である。
雷電荷が存在すると想定された各高度でシミュレーションが行われ、推定された電荷量の平均値について図7A乃至図7Dに示す結果が得られ、また、推定された電荷量の標準偏差について図8A乃至図8Dに示す結果が得られた。
図7A乃至図7D並びに図8A乃至図8Dから、電荷の高度が2 km であるときが雷電荷の位置のずれによる影響が顕著であり、観測点と落雷点との間の水平距離が20 km 未満では、平均値に関して20 C(即ち、誤差が無ければ100 C であるので20%)程度かそれ以上の誤差があり、標準偏差に関して50 C(即ち、誤差が無ければ100 C であるので50%)以上になることが確認された。
図7A乃至図7D並びに図8A乃至図8Dに示す結果から、観測点と落雷点との間の水平距離が20 km 未満では推定電荷量の誤差が大きいので、20 km 以上離れているデータのみを用いることによって電荷量が精度良く推定され得ることが確認され、さらに、25 km 以上離れているデータのみを用いることによって電荷量が一層精度良く推定され得ることが確認された。
本発明の電荷量の推定方法、推定装置、及び推定プログラムは、落雷に伴う電荷量を精度良く推定することができるので、あくまで一例として挙げると、落雷への対策が非常に重要である送電・配電などの分野で利用価値が高い。
S1 電界の観測
S2 雷電荷の水平位置の設定
S3 雷電荷の高度の設定
S4 電界の観測データの選択
S5 電荷量の推定
10 電荷量の推定装置
17 電荷量の推定プログラム

Claims (6)

  1. 電界の観測点と雷電荷との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離並びに鉛直Z方向の距離と、前記観測点で観測された電界の変化とが用いられて、前記雷電荷の電荷量が推定される際に、前記観測点と前記雷電荷との間の前記水平X方向の距離及び前記水平Y方向の距離として前記観測点と落雷点との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離が用いられると共に、前記電界の変化が観測された前記観測点のうち前記落雷点から20 km 以遠の前記観測点で観測された前記電界の変化のみが用いられることを特徴とする電荷量の推定方法。
  2. 前記観測点と前記雷電荷との間の前記鉛直Z方向の距離として上空において所定の温度になっている高度が用いられることを特徴とする請求項1記載の電荷量の推定方法。
  3. 電界の観測点と雷電荷との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離並びに鉛直Z方向の距離と、前記観測点で観測された電界の変化とを用いて、前記雷電荷の電荷量を推定する電荷量推定部を有し、当該電荷量推定部が、前記観測点と前記雷電荷との間の前記水平X方向の距離及び前記水平Y方向の距離として前記観測点と落雷点との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離を用いると共に、前記電界の変化が観測された前記観測点のうち前記落雷点から20 km 以遠の前記観測点で観測された前記電界の変化のみを用いることを特徴とする電荷量の推定装置。
  4. 前記電荷量推定部が、前記観測点と前記雷電荷との間の前記鉛直Z方向の距離として上空において所定の温度になっている高度を用いることを特徴とする請求項3記載の電荷量の推定装置。
  5. 電界の観測点と雷電荷との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離並びに鉛直Z方向の距離と、前記観測点で観測された電界の変化とを用いて、前記雷電荷の電荷量を推定する処理をコンピュータに行わせ、当該電荷量を推定する処理において、前記観測点と前記雷電荷との間の前記水平X方向の距離及び前記水平Y方向の距離として前記観測点と落雷点との間の水平X方向の距離及び水平Y方向の距離が用いられると共に、前記電界の変化が観測された前記観測点のうち前記落雷点から20 km 以遠の前記観測点で観測された前記電界の変化のみが用いられることを特徴とする電荷量の推定プログラム。
  6. 前記電荷量を推定する処理において、前記観測点と前記雷電荷との間の前記鉛直Z方向の距離として上空において所定の温度になっている高度が用いられることを特徴とする請求項5記載の電荷量の推定プログラム。
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