JP2017155262A - 園芸機械用刃物 - Google Patents

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勝 藤原
大 宮脇
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大 宮脇
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寛典 久保
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Abstract

【課題】耐摩耗性および靭性が良好な園芸機械用刃物を提供する。【解決手段】0.60質量%以上1.25質量%以下のC、0.50質量%以下のSi、0.30質量%以上1.20質量%以下のMn、0.03質量%以下のP、0.03質量%以下のS、0.30質量%以上1.50質量%以下のCr、および、0.10質量%以上0.50質量%以下のNbを含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼板で形成されている。また、粒子径0.5μm以上のNb含有炭化物が、3000個/mm2以上9000個/mm2以下の密度でマトリックス中に存在する。【選択図】なし

Description

本発明は、耐摩耗性および靭性に優れる園芸機械用刃物に関する。
例えば、家庭、公園、道路分離帯、茶畑およびゴルフ場等にて、植物の幹や枝の切断または剪定に用いられるヘッジトリマおよびバリカン等の園芸機械用の刃物は、草刈等に用いられる刃物(草刈刃)より切れ味および耐摩耗性が要求される。そのため、園芸機械用刃物に用いられる鋼板は、焼入れおよび焼戻しを行うことによって、草刈刃より硬質な50〜53HRCに調質される。
なお、近年、南方系の比較的軟らかい木から、北方系の針葉樹へ転換される傾向があり、このような北方系の針葉樹を切断または剪定する場合は、南方系の木よりも、刃先への負担が増大して摩耗が生じやすい。
一方、園芸機械用刃物は、使用中に外壁、石および幹等との接触による刃欠けや折損を防止するために、耐摩耗性とは相反する靭性も要求されている。
そして、靭性を向上するために、切れ味や耐摩耗性を犠牲にして、硬さやC量を低下しているのが現状であり、摩耗した刃物は再研磨して繰り返し使用することが多い。
この種の園芸機械用刃物としては、例えば特許文献1ないし5に示すものが知られている。
特許文献1では、成分を所定の範囲(例えばC:0.6〜1.0質量%およびNb:0.1〜0.5質量%等)で調整し、粒子径2μm以上のNb含有炭化物が300〜1000個/mmとなるようにコントロールすることで、耐摩耗性と靭性のバランスを調整している。
特許文献2では、成分を所定の範囲(例えばC:0.6〜1.3質量%およびNb:0.3質量%以下等)で調整し、未溶解θ体積率を規定することで、硬さを維持しながら、衝撃特性を向上させている。
特許文献3では、成分を所定の範囲(例えばC:0.5〜0.7質量%等)で調整し、プレステンパーによる形状修正の指標をMn、Cr、Mo、VおよびNiの含有量に基づく計算値であるX値で規定することで、硬さを維持しながら、所定の靭性および延性を確保している。
特許文献4では、成分を所定の範囲(例えばC:0.4〜0.75質量%およびNb:0〜0.5質量%等)で調整し、旧オーステナイト粒径が15μm以下で、円相当径1.5μm以上の未溶解炭化物が0.1mmあたり40個以下とすることで、耐摩耗性および靭性のバランスを調整している。
特許文献5では、硬さを59HRC以上とし、MC型の未溶解炭化物により耐摩耗性を向上させている。
特開2010−138453号公報 特開2006−63384号公報 特開2005−171303号公報 特開2009−161809号公報 特開平8−246103号公報
上述のように、園芸機械用刃物では、耐摩耗性および靭性の両方が要求されているが、特許文献1ないし5のいずれも、良好な耐摩耗性および靭性の両立が困難であり、耐摩耗性および靭性が良好な園芸機械用刃物が求められていた。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、耐摩耗性および靭性が良好な園芸機械用刃物を提供することを目的とする。
請求項1に記載された園芸機械用刃物は、C:0.60質量%以上1.25質量%以下、Si:0.50質量%以下、Mn:0.30質量%以上1.20質量%以下、P:0.03質量%以下、S:0.03質量%以下、Cr:0.30質量%以上1.50質量%以下およびNb:0.10質量%以上0.50質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、粒子径0.5μm以上のNb含有炭化物が、3000個/mm以上9000個/mm以下の密度でマトリックス中に存在するものである。
請求項2に記載された園芸機械用刃物は、請求項1記載の園芸機械用刃物において、Ti:0質量%(無添加を含む。)以上0.50質量%以下およびB:0質量%(無添加を含む。)以上0.005質量%以下を含有するものである。
請求項3に記載された園芸機械用刃物は、請求項1または2記載の園芸機械用刃物において、Mo:0質量%(無添加を含む。)以上0.50質量%以下、V:0質量%(無添加を含む。)以上0.50質量%以下およびNi:0質量%(無添加を含む。)以上2.0質量%以下のうちの少なくとも1種を含有するものである。
請求項4に記載された園芸機械用刃物は、請求項1ないし3いずれか一記載の園芸機械用刃物において、植物の幹および枝の剪定に用いられるものである。
本発明によれば、成分の範囲において、粒子径0.5μm以上のNb含有炭化物が、3000個/mm以上9000個/mm以下の密度でマトリックス中に存在するため、耐摩耗性および靭性を向上できる。
衝撃試験に用いる衝撃試験片の形状を示す模式図である。
以下、本発明の一実施の形態の構成について詳細に説明する。
一実施の形態に係る園芸機械用刃物は、0.60質量%以上1.25質量%以下のC(炭素)、0.50質量%以下のSi(ケイ素)、0.30質量%以上1.20質量%以下のMn(マンガン)、0.03質量%以下のP(リン)、0.03質量%以下のS(硫黄)、0.30質量%以上1.50質量%以下のCr(クロム)、および、0.10質量%以上0.50質量%以下のNb(ニオブ)を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼板で形成されている。
また、必要に応じて、0質量%(無添加を含む。)以上0.50質量%以下のTi(チタン)、および、0質量%(無添加を含む。)以上0.005質量%以下のB(ホウ素)を含有することが好ましい。
さらに、必要に応じて、0質量%(無添加を含む。)以上0.50質量%以下のMo(モリブデン)、0質量%(無添加を含む。)以上0.50質量%以下のV(バナジウム)および0質量%(無添加を含む。)以上2.0質量%以下のNi(ニッケル)のうちの少なくとも1種を含有することが好ましい。
Cは、鋼板の強度の向上に必要な元素であり、園芸機械用刃物に使用するためには0.60質量%以上添加する必要がある。しかし、Cの含有量が1.25質量%を超えると粗大な未溶解炭化物が多くなり、衝撃特性などの劣化要因となってしまう可能性がある。したがって、Cの含有量は、0.60質量%以上1.25質量%以下とする。
Siは、製鋼段階で脱酸材として添加されるが、無添加でも脱酸不良は生じない。また、Siの含有量が多くなると靭性が劣化し、0.50質量%を超えると園芸機械用刃物に使用するための靭性を確保できない可能性がある。したがって、Siの含有量は、0.50質量%以下(無添加を含む。)とし、好ましくは0.30質量%以下である。
Mnは、鋼の焼入性向上に有効な元素であり、含有量が0.30質量%未満では焼入性を十分に向上できない。しかし、Mnを1.20質量%を超えて多量に添加すると、硬質化を招き、製造性や靭性を損なう原因となる。したがって、Mnの含有量は、0.30質量%以上1.20質量%以下とする。
PおよびSは、どちらも靭性に悪影響を及ぼすので、できるだけ含有量が少ないほうが好ましい。したがって、Pの含有量およびSの含有量は、いずれも0.03質量%以下とする。
Crは、鋼の焼入性を向上させる作用、鋼板の強度を向上させる作用、鋼板の耐摩耗性を向上させる作用、および、焼鈍の際におけるセメンタイトの粗大化を抑制する作用を奏する元素である。そして、Crによる上記各作用を奏するには、Crの含有量を0.30質量%以上とする必要がある。しかし、Crは焼入処理の加熱保持においてセメンタイトの溶体化を妨げるという悪影響を及ぼす場合があり、Crの含有量が1.50質量%を超えると、焼入処理の際の未溶解セメンタイト量を増大させる要因となりうる。したがって、Crの含有量は、0.30質量%以上1.50質量%以下とする。
Nbは、鋳造後の冷却過程にて鋼中に非常に硬質なNb含有炭化物を形成し、耐摩耗性、特に耐アブレシブ摩耗性の向上に寄与する。また、Nbは、焼入の際の結晶粒を微細化させて、靭性の向上に寄与する。Nbによるこれら各作用を奏するには、Nbの含有量を0.10質量%以上とする必要がある。しかし、Nbを多量に添加すると、Nb含有炭化物が過剰に生成され、このNb含有炭化物が破壊の起点および亀裂伝播経路となり、靭性が劣化する要因となる。また、C含有レベルが比較的高い用途において調質熱処理後の良好な靭性を確保するには、Nbの含有量を0.50質量%以下に抑えることが重要である。したがって、Nbの含有量は、0.10質量%以上0.50質量%以下とする。
Tiは、Nbと同様に鋳造後の冷却過程にて鋼中に非常に硬質なTi含有炭化物を形成し、耐摩耗性に寄与する。また、熱間圧延の際などに再固溶し、熱間圧延中または冷却中に析出したTiCは焼入の際に結晶粒を微細化し、靭性の向上に寄与する。さらに、TiとNとの結合力が強いため、Bを添加した場合にBNの生成を防止し、Bの焼入性向上作用を引き出すうえで有効である。したがって、必要に応じてTiを添加することが好ましく、Tiによる上記各作用を奏するには、Tiの含有量を0.01質量%以上とすると効果的である。しかし、Tiの含有量が0.50質量%を超えると、Ti系炭化物が鋼板中に多量に存在して靭性劣化を招きやすい。したがって、Tiを含有させる場合のTiの含有量は、0質量%(無添加を含む。)以上0.50質量%以下とする。
Bは、焼入性の向上に有効な元素であり、必要に応じて添加することが好ましい。この焼入性向上作用を奏するには、Bの含有量を0.0003質量%以上とすると効果的である。なお、Bによる焼入性向上作用は、Bの含有量が0.005質量%にて飽和する。したがって、Bを含有させる場合のBの含有量は、0質量%(無添加を含む。)以上0.005質量%以下とする。
MoおよびVは、いずれも靭性向上に有効な元素であり、必要に応じて添加することが好ましい。MoおよびVによる靭性向上作用を奏するには、含有量をそれぞれ0.10質量%以上とすると効果的である。しかし、MoおよびVは、比較的高価な元素であり、過剰な添加はコストの上昇を招くため、Moを含有させる場合のMoの含有量は、0質量%(無添加を含む。)以上0.50質量%以下とし、Vを含有させる場合のVの含有量は、0質量%(無添加を含む。)以上0.50質量%以下とする。
Niは、焼入性および低温靭性の向上に有効な元素であり、必要に応じて添加することが好ましい。Niによる焼入性向上作用および低温靭性向上作用を奏するには、Niの含有量を0.10質量%以上にすると効果的である。しかし、Niの過剰添加は経済性を損ねる要因となるため、Niを添加する場合のNiの含有量は、0質量%(無添加を含む。)以上2.0質量%以下とする。
上記範囲で成分が調整された鋼板を園芸機械用刃物として耐摩耗性を向上させるためには、Nbを含有する炭化物による作用を利用する。なお、Tiを含有する場合にはTiの炭化物も耐摩耗性の向上に有効である。ただし、園芸機械用刃物に使用するための靭性を確保するためには、炭化物の粒径を制御する必要がある。
具体的には、調質熱処理後の最終的な部材である園芸機械用刃物は、NbまたはNbとTiとを含有する粒子径0.5μm以上のNb含有炭化物が、3000個/mm以上9000個/mm以下の密度でマトリックス中に存在する金属組織であると、耐摩耗性が向上するとともに、靭性を損なう弊害を回避できる。
なお、Nbを含有する炭化物とは、NbCを主成分とする硬質炭化物であり、NbとTiとを含有する炭化物とは、(Nb,Ti)C等を主成分とする硬質炭化物である(以下、これらのNbを含有する炭化物やNbとTiとを含有する炭化物を硬質炭化物とする。)。
鋼中に含有される析出粒子が硬質炭化物に該当するか否かは、EDX等による微視的分析によって確認できる。また、このように確認した硬質炭化物について、それぞれの面積を測定して同じ面積を有する真円の直径を算出し、この直径を硬質炭化物の粒子径とする。
鋼中の硬質炭化物は、粒子径0.5μm以上のものが3000個/mm未満であると、硬質炭化物による耐摩耗性向上作用が不十分で、園芸機械用刃物として十分な耐摩耗性を確保できない可能性がある。また、粒子径0.5μm以上の硬質炭化物が9000個/mmより多いと、これら硬質炭化物が破壊の起点および亀裂伝播経路となって靭性劣化の原因となってしまう。したがって、園芸機械用刃物は、粒子径0.5μm以上の硬質炭化物(Nb含有炭化物)が、3000個/mm以上9000個/mm以下の密度でマトリックス中に存在するものとする。
そして上記園芸機械用刃物は、草刈等に用いられるものとは異なり、例えば、家庭および農業全般において、木の幹および枝等の剪定や、造園等のガーデニングを行う際に用いられるヘリッジトリマおよびバリカン等に用いられる。
次に、上記園芸機械用刃物の製造方法を説明する。
園芸機械用刃物に用いられる鋼板は、鋳造、熱間圧延および冷間圧延、調質熱処理を経て製造される。
鋳造工程では、冷却過程において鋼中に硬質炭化物を析出させる。この析出する硬質炭化物の粒子径および密度を調整するには、C含有量と、Nb含有量と、鋳造の際の冷却速度とを厳密に制限することが重要である。
このように製造された鋼板を園芸機械用刃物に加工する。園芸機械用刃物の代表例として、ヘッジトリマ刃の製造方法の一例を説明する。
まず、鋼板をレーザーカットまたは打抜き加工により、所定の形状に加工する。
所定形状に加工した鋼板を、830℃で5〜10分加熱し油冷した後、プレステンパー処理を施す。
プレステンパー処理は、鋼板を20〜50枚重ねた状態で、200〜500kgの荷重を加えた状態で、300℃で3〜8時間保持する。
そして、グラインダ等にて刃先形状を成形し、Crめっきを施して、ヘッジトリマ刃とする。
次に、上記一実施の形態の効果を説明する。
上記一実施の形態に係る園芸機械用刃物によれば、上記成分の範囲において、Nbを含有する粒子径0.5μm以上の硬質炭化物が、3000個/mm以上9000個/mm以下の密度でマトリックス中に存在するため、Nbを含有する硬質炭化物による耐摩耗性向上作用を確保できるとともに、硬質炭化物の過剰生成による靭性の劣化を防止できる。したがって、耐摩耗性および靭性が良好である。
また、必要に応じてTiを含有させることにより、Tiを含有する硬質炭化物による耐摩耗性向上作用および靭性向上作用で、耐摩耗性および靭性を向上できる。
さらに、必要に応じてBを含有させることにより、焼入性を向上できる。なお、Bを含有させる場合には、Tiを含有させることによりBとNとの結合によるBNの生成を防止でき、Bによる焼入性向上作用を奏しやすい。
また、必要に応じてMo、VおよびNiの少なくとも1種を含有させることにより、靭性や焼入性や低温靭性を向上できる。
以下、本実施例および比較例について説明する。
表1には、園芸機械用刃物の母材となる鋼板の化学成分を示す。
Figure 2017155262
表1に示す各鋼スラブを溶製し、溶融および凝固実験用の30kg鋼塊を切り出した。また、その鋼塊をるつぼ炉中で溶融させて溶鋼とし、鋳片を模擬した凝固塊(模擬鋳片)を得た。
各模擬鋳片を用いて、熱間圧延、焼鈍、冷延、および焼鈍の順に処理し、板厚2.2mmの摩耗試験片および衝撃試験片を製造した。
さらに、摩耗試験片および衝撃試験片を調質熱処理によって、調質硬さ50〜53HRCに調質した。
なお、熱間圧延は、加熱温度を1250〜1350℃として60分保持後、仕上温度を850℃とし、巻取温度を590℃として、熱延板厚3.5mm(研削加工にて3.0mmに調整)の熱延板を得た。焼鈍では、690℃に加熱し、18時間保持した。
調質熱処理は、調質熱処理は、既に調整されている硬質炭化物の分布状態が崩れることがないように溶体化温度を1000℃以下とする以外は、一般的な条件で行った。具体的には、830℃で15分加熱処理した後、60℃に油冷して、調質硬さが50〜53HRCの調質材を得た。
ここで、調質熱処理前の鋼板について、圧延方向および板厚方向に平行な断面(L断面)を鏡面研磨した後、村上試薬(赤血塩のアルカリ溶液)にてエッチングし、共焦点レーザ顕微鏡にて観察した。また、その画像を処理して、視野面積中に存在するNb含有炭化物(硬質炭化物)の数量を測定し、その存在密度を算出した。
Nbを含有する硬質炭化物は、観察面積90×60μmで20視野中に存在する粒子径0.5μm以上の粒子の個数をカウントして、1mmあたりの個数に換算した。このNb含有炭化物の個数(個/mm)の測定結果を表2に示す。
なお、粒径は粒子面積の円相当径の値であり、粒径0.5μm以上の粒子を画像処理にてピックアップした。
摩耗試験は、φ5mmで酸化スケールを除去した摩耗試験片を用いて、ピンオンディスク型摩耗試験機にて行った。
また、摩耗試験では、摩耗材として♯400のエメリー紙(炭化ケイ素)を用い、試験荷重を20Nとし、摩擦速度を0.66m/秒とし、摩擦距離を300mとした。
そして、摩耗試験前後に摩耗試験片の板厚差に基づいて、摩耗によって消失した材料の体積を算出して、摩耗減量W(mm)とした。
また、比摩耗量(mm/N・m)=摩耗減量W/(試験荷重F×摩擦距離L)の式から算出した比摩耗量が1.5×10−4mm/N・m以下のものを、園芸機械用刃物として耐摩耗性が良好である(合格)と評価した。この耐摩耗試験の結果を表2に示す。
靭性は金属材料のシャルピー衝撃試験方法(JIS Z 2242)で評価した。衝撃試験片には、板厚が2.2mm、幅方向の長さが10mm、長手方向の長さが55mm、長手方向中心部に深さが2mm、先端部1mmのRのUノッチを設けた。図1に試験片形状の模式図を示す。そして、このような試験片を用いて、シャルピー衝撃試験を実施し、衝撃値が30J・cm−2以上のものを、園芸機械用刃物としての靭性(衝撃特性)が良好である(合格)と評価した。この衝撃試験の結果を表2に示す。
Figure 2017155262
表2に示すように、所定の成分の範囲にて、粒径0.5μm以上の硬質炭化物(Nb含有炭化物)の個数が3000〜9000個/mmに調整した本実施例は、いずれも耐摩耗性に優れているとともに、靭性に優れ高い衝撃特性を有していた。
比較例であるNo.21、No.22、No.26〜32は、Nbを含有していないため、Nb含有炭化物が存在せず、耐摩耗性が著しく低かった。
比較例であるNo.23は、Nbの含有量が少なかったため、Nb含有炭化物の個数が3000個/mm未満であり、耐摩耗性が不十分であった。
比較例であるNo.24およびNo.25は、Nbの含有量が過剰であるため、Nb含有炭化物が過剰に残存し、衝撃特性が著しく低かった。

Claims (4)

  1. C:0.60質量%以上1.25質量%以下、Si:0.50質量%以下、Mn:0.30質量%以上1.20質量%以下、P:0.03質量%以下、S:0.03質量%以下、Cr:0.30質量%以上1.50質量%以下およびNb:0.10質量%以上0.50質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    粒子径0.5μm以上のNb含有炭化物が、3000個/mm以上9000個/mm以下の密度でマトリックス中に存在する
    ことを特徴とする園芸機械用刃物。
  2. Ti:0質量%(無添加を含む。)以上0.50質量%以下およびB:0質量%(無添加を含む。)以上0.005質量%以下を含有する
    ことを特徴とする請求項1記載の園芸機械用刃物。
  3. Mo:0質量%(無添加を含む。)以上0.50質量%以下、V:0質量%(無添加を含む。)以上0.50質量%以下およびNi:0質量%(無添加を含む。)以上2.0質量%以下のうちの少なくとも1種を含有する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の園芸機械用刃物。
  4. 植物の幹および枝の剪定に用いられる
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の園芸機械用刃物。
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