JP2017155169A - 粘着フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粘着フィルムの紫外線への耐候性を向上させる。【解決手段】基材と、粘着剤層と、を有する粘着フィルムであって、前記基材が、紫外線吸収剤およびポリエチレン樹脂を含有する第1の層、該第1の層を挟持するように配置されるポリエチレン樹脂を含有する第2の層、およびポリエチレン樹脂を含有する第3の層を含み、前記第1の層に含まれるポリエチレン樹脂の密度が、前記第2の層に含まれるポリエチレン樹脂および前記第3の層に含まれるポリエチレン樹脂の密度より高い、粘着フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着フィルムおよびその製造方法に関する。
塗膜を保護したり、被着体を傷から保護することを目的とする各種保護フィルムとして用いられる粘着フィルムは、被着体に貼付するための粘着剤層および基材を含む。この基材として、ポリエチレン系基材は、柔軟で、弾力性があり、透明性、耐水性に優れているため、汎用されている。
粘着フィルムは各種用途に用いられる。例えば、ポリエチレン系基材を用いた粘着フィルムとして、ブレーキディスクアンチラストフィルムが挙げられる。
自動車のブレーキディスクは、外部から雨水が浸入することによって、酸化され、黒錆が付着する。このような黒錆は、自動車内の静粛性、居住性を損なう原因に繋がる。このため、自動車のブレーキディスクの防錆を目的として、さらには、ホイール表面の保護を目的として、タイヤホイールにブレーキディスクアンチラストフィルムが貼付される。
ブレーキディスクアンチラストフィルムは、通常、購買者に納車される前にホイールより剥離される。自動車が遠方まで運搬される場合や、諸外国へ輸出される場合、あるいは、長期に渡り屋外に保管される場合などには、フィルムが長期間紫外線に暴露されることがある。フィルム内の粘着剤層が紫外線により劣化すると、粘着フィルムを被着体から剥離する場合に、きれいに剥離することができなくなる場合がある。特に、フィルムが透明である場合に、粘着剤層への紫外線曝露が顕著となるため、粘着剤層の紫外線劣化はより深刻となる。また、ポリエチレン系基材自体の紫外線劣化が起こる場合もある。このような紫外線曝露によるフィルム劣化を抑制するために、ポリエチレン系基材に紫外線吸収剤を添加する場合がある(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2005/090453号
しかしながら、ポリエチレン系基材に紫外線吸収剤を添加した場合、経時で粘着剤層の粘着性能が低下したり、紫外線吸収剤を添加しているにも関わらず、基材が劣化するという問題があった。特に、数か月〜年単位で屋外に設置される場合など、高い耐候性が求められる条件下において、長期間経過後に粘着性能の低下や、基材の劣化が起こる場合があった。
そこで本発明は、粘着フィルムの長期間経過後の耐候性を向上させることを目的とする。
本発明は、紫外線吸収剤を含む層を中間層とし、該中間層を挟持する2つの層に含まれるポリエチレン樹脂の密度よりも中間層に含まれるポリエチレン樹脂の密度が高い点に特徴を有する。
本発明によれば、長期間過酷な環境下で保存されても耐候性が維持された粘着フィルムを提供することができる。
第一実施形態の粘着フィルムの一形態を示す断面模式図である。 他の実施形態の粘着フィルムの一形態を示す断面模式図である。
本発明の第一実施形態は、基材と、粘着剤層と、を有する粘着フィルムであって、前記基材が、紫外線吸収剤およびポリエチレン樹脂を含有する第1の層、該第1の層を挟持するように配置されるポリエチレン樹脂を含有する第2の層、およびポリエチレン樹脂を含有する第3の層を含み、前記第1の層に含まれるポリエチレン樹脂の密度が、前記第2の層に含まれるポリエチレン樹脂および前記第3の層に含まれるポリエチレン樹脂の密度より高い、粘着フィルムである。
本発明者は、基材に粘着剤層の紫外線劣化を抑制する目的で紫外線吸収剤を含有させると、経時で粘着剤層の粘着性能が低下したり、紫外線吸収剤を添加しているにも関わらず、基材が劣化することを見出した。特に、数か月〜年単位で屋外に設置される場合など、高い耐候性が求められる条件下において、長期間経過後に所望の性能が発揮されない場合があった。かような課題を解決すべく、鋭意検討した結果、紫外線吸収剤含有層(第1の層)を他の層(第2の層および第3の層)で挟持する構造とし、さらに、挟持した2層に含まれるポリエチレン樹脂の密度を紫外線吸収剤含有層に含まれるポリエチレン樹脂の密度よりも低いものとすることが上記課題を解決する上で有効であることを見出した。
本発明の構成により、上記効果を奏する詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように推定される。なお、下記メカニズムは推定であり、本発明を何ら限定するものではない。
紫外線吸収剤を含有する第1の層のポリエチレン樹脂が、隣接する第2の層および第3の層のポリエチレン樹脂の密度よりも高いことで、界面付近にまで移行した紫外線吸収剤が樹脂密度の相違から、第2の層および第3の層に移行することが抑制されると考えられる。そして、仮に移行したとしても、第2の層および第3の層が膜厚方向にある程度の厚みを有するため、紫外線吸収剤が粘着剤層および基材表面へと移行しにくい。このため、紫外線吸収剤が表面から流出するなどして紫外線吸収剤の含有量が低減し、これに起因して生ずる基材の紫外線劣化が抑制され、また、粘着剤層へ紫外線吸収剤が移行し、これに起因して生ずる粘着剤性能の低下が抑制されるものと考えられる。
さらに、かような構成とすることで、フィルムの強度が保持され、また、フィルムをホイール形状などの曲面形状へ貼付する際の曲面形状への追従性が高くなる。これは、曲面追従性が比較的高い、密度の低いポリエチレン樹脂で、比較的強度の高い、密度の高いポリエチレン樹脂を挟む構造としたことに由来すると考えられる。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、第一実施形態の粘着フィルムの一形態を示す断面模式図である。図1の粘着フィルム10において、11は剥離部材、12は粘着剤層、13は第2の層、14は第1の層、15は第3の層を示す。そして、基材16は、第2の層13、第1の層14、および第3の層15の3層から構成される。第1の層14は紫外線吸収剤を含む。第1の層14に含まれるポリエチレン樹脂の密度は、第2の層13および第3の層15に含まれるポリエチレン樹脂の密度よりも高い。なお、粘着フィルムの概念には、粘着テープ、粘着ラベル、粘着シート等と称されるものが包含される。
粘着フィルムにおいて、粘着剤層面をガラス基材に貼付後のヘーズが25%以下であることが好ましい。かような構成により被着体の状態を詳しく確認でき、また、ヘーズが25%以下と透明であることで粘着剤層への紫外線曝露が顕著となる場合であっても、本発明の構成とすることで、粘着剤性能の低下を抑制できるという点で好ましい。ここで、粘着剤層面をガラス基材に貼付後とは、図1の形態であれば、粘着剤層12、第2の層13、第1の層14、および第3の層15の積層体において、粘着剤層12をガラス基材に貼付後の状態を指す。また、図1の形態において、第3の層上に他の機能層17が配置される場合(図2)には、粘着剤層面をガラス基材に貼付後とは、第2の層13、第1の層14、第3の層15、および他の機能層17の積層体において、粘着剤層12をガラス基材に貼付後の状態を指す。粘着剤層の基材側は、粘着フィルムが被着体に貼付された場合に、紫外線に暴露される側であるが、この積層体の透明性が高い(ヘーズが25%以下である)場合に、粘着剤層の紫外線曝露が顕著となる。この場合に、紫外線吸収剤のブリードアウトが抑制される本願構成とすることで、粘着剤層の紫外線曝露が抑制され、被着体に対する糊残りが低減されるため、好ましい。ヘーズの測定は、ヘーズメーター(日本電色工業社製NDH−5000)によりJIS K7136:2000に従って測定した値を採用する。
基材と粘着剤層との間、および基材の粘着剤層と相対する側には、他の層が存在していてもよい。また、基材表面を、コロナ放電処理、ブラスト処理、プライマー処理、プラズマ処理など各種処理を施してもよい。
以下、各構成について説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートまたはメタクリレート」を指し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸またはメタクリル酸」を指す。また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性の測定等は、室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で行う。
(基材)
基材は、第1〜第3の層を少なくとも含むため、3層以上から構成される。基材の層数は、特に限定されないが、フィルムの薄膜化や生産効率性を考慮して3〜6層であることが好ましく、3または4層であることがより好ましく、3層である、すなわち、基材が第1の層、第2の層および第3の層から構成されることがさらに好ましい。
第1〜第3の層は、ポリエチレン樹脂を含む。そして、第1〜第3の層において、ポリエチレン樹脂を各層に含まれる樹脂の主成分として含むことが好ましい。ここで主成分とは、樹脂に対して60質量%以上(上限100質量%)含まれる樹脂を指し、75質量%以上(上限100質量%)含まれることが好ましく、85質量%以上(上限100質量%)含まれることがより好ましく、95質量%以上(上限100質量%)含まれることが最も好ましい。また、基材が第1〜第3の層以外の層を含む場合であっても、各層の主成分となる樹脂はポリエチレン樹脂であることが好ましい。以下、第1の層に含まれるポリエチレン樹脂を単に第1のポリエチレン樹脂とも称する。同様に、第2の層に含まれるポリエチレン樹脂を単に第2のポリエチレン樹脂、第3の層に含まれるポリエチレン樹脂を単に第3のポリエチレン樹脂とも称する。第1のポリエチレン樹脂、第2のポリエチレン樹脂、第3のポリエチレン樹脂は、1種類のポリエチレン樹脂であってもよいし、複数のポリエチレン樹脂の混合物であってもよい。
ポリエチレン樹脂としては、エチレン単独重合体;エチレンと、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンの少なくとも1種との共重合体樹脂(ここで、α−オレフィンは、モノマー中0モル%を超えて5モル%以下であることが好ましい);エチレンと、官能基に炭素、水素、および水素原子だけをもつ非オレフィン単量体との共重合体(ここで、非オレフィン単量体は、モノマー中0モル%を超えて5モル%以下であることが好ましい)が挙げられる。
ポリエチレン樹脂は、(分岐状)低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、極低密度ポリエチレン樹脂(VLDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)のいずれであってもよい。また、上記ポリエチレン樹脂の混合物であってもよい。
ポリエチレン樹脂の分子量としては、特に制限はないが、メルトマスフローレート(MFR)(JIS K7210−1:2014、試験温度190℃、公称荷重2.16kg)が、0.03〜40g/10分の間のものであって、押出し適性を有するものが好ましい。
第1のポリエチレン樹脂の密度は、第2のポリエチレン樹脂および第3のポリエチレン樹脂の密度よりも高い。第1のポリエチレン樹脂の密度よりも密度の低いポリエチレン樹脂を第1の層の隣接層に用いることで、紫外線吸収剤の移行が抑制され、粘着剤性能の低下、および基材劣化が抑制される。なお、ポリエチレン樹脂の密度は、JIS K 6922−1:1997に準拠して測定された値である。各層がポリエチレン樹脂を複数含む場合には、製造段階でポリエチレン樹脂混合物の密度を測定すればよい。また、フィルム状の場合には、フィルムからポリエチレン樹脂を抽出し、該ポリエチレン樹脂の密度を測定すればよい。第1のポリエチレン樹脂と、第2のポリエチレン樹脂または第3のポリエチレン樹脂と、の密度の差は、0.002〜0.06g/cmであることが好ましく、0.01〜0.03g/cmであることがより好ましい。密度の差が0.002g/cm以上であることで、界面における隣接層への移行がより抑制され、また、0.06g/cm以下であることで、層間密着性が向上するため好ましい。
各層に用いられる材料を適宜選択して各層間の密度差を出してもよいし、いずれかの層において、例えば、高密度のポリエチレン樹脂および低密度のポリエチレン樹脂を混合して好適な密度となるように調整することで、各層間の密度差を出してもよい。
なお、第2のポリエチレン樹脂と、第3のポリエチレン樹脂との密度は同じであっても異なるものであってもよい。
紫外線吸収剤の隣接層への移行がより抑制されること、および層間密着性が高いことから、第1の層に含まれるポリエチレン樹脂が高密度ポリエチレン樹脂であり、第2および第3の層に主成分として含まれるポリエチレン樹脂が低密度ポリエチレン樹脂または直鎖状低密度ポリエチレン樹脂であることが好ましい。
低密度ポリエチレン樹脂は、いわゆる軟質ポリオレフィンに属する広義の低密度ポリエチレンを意味するものであって、高圧法低密度ポリエチレン(一般に密度が0.910g/cm以上0.930g/cm未満である。)のほかに、メタロセン触媒を使用して選択的にα−オレフィン、特に、炭素数が大であるハイアーα−オレフィンを共重合して得られるメタロセン低密度ポリエチレン(一般に密度が0.910〜0.928g/cmである。)などを好ましく使用することができる。メタロセン低密度ポリエチレンは、ハイアーα−オレフィン等に由来する長鎖分岐が、樹脂の結晶性を抑制するように作用することにより、高圧法低密度ポリエチレンに近似する低い密度を有し、成形性に優れることが知られており、長鎖分岐を有する点で、JIS K6899−1:2015で定められる線状低密度ポリエチレン(LLDPE、直鎖状低密度ポリエチレン、炭素数3〜8のα−オレフィン共単量体に由来する短鎖分岐を有する重合体)等の密度0.912〜0.935g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体と区別される。
低密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.910g/cm以上0.930g/cm未満であることが好ましく、0.923g/cm以上0.930g/cm未満がより好ましい。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.912〜0.935g/cmであることが好ましく、0.915〜0.930g/cmであることがより好ましい。高密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.942g/cm以上であることが好ましく、0.945〜0.960g/cmであることがより好ましい。
第1〜第3の層は、ポリエチレン樹脂の他に、他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂としては、ポリプロピレン樹脂などのポリエチレン樹脂以外のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。
第1の層における樹脂の含有量は、フィルム成形が可能であれば、特に限定されないが、通常、層中80〜99.9質量%程度であり、好ましくは90〜99.9質量%である。また、第2の層または第3の層における樹脂の含有量は、フィルム成形が可能であれば、特に限定されないが、通常、層中80〜100質量%程度であり、好ましくは90〜100質量%である。
第1の層は紫外線吸収剤を含む。第1の層における紫外線吸収剤の含有量は、紫外線吸収効果を考慮して適宜設定されるが、紫外線抑制効果および樹脂との相溶性を考慮して、第1の層に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることが好ましい。
第2の層および第3の層は製造段階では紫外線吸収剤を含まないことが好ましい。これは、他の層(例えば、粘着剤層)への紫外線吸収剤の移行を抑制するためである。このため、基材は、紫外線吸収剤を含まない第2の層、紫外線吸収剤を含む第1の層、および紫外線吸収剤を含まない第3の層をこの順に積層させることを有して得られることが好ましい。
しかしながら、紫外線吸収剤を製造時に第2の層および第3の層が含まなくとも、経時で第2の層および第3の層に徐々に移行する場合がある。この場合であっても、第2の層および第3の層の紫外線吸収剤の含有量が第1の層の含有量よりも低ければ、紫外線吸収剤の他層への移行による紫外線劣化の抑制効果は保持される。このため、本発明の好適な一実施形態は、第2の層および第3の層が紫外線吸収剤を実質的に含まないか、第1の層中の紫外線吸収剤含有質量よりも第2の層および第3の層における紫外線吸収剤含有質量が少ない形態である。ここで、第2の層および第3の層における紫外線吸収剤含有質量は、第1の層の含有質量よりも80質量%以下(下限0質量%)であることが好ましく、50質量%以下(下限0質量%)であることがより好ましく、30質量%以下(下限0質量%)であることがさらに好ましい。また、実質的に含まないとは、不純物程度に含有することは許容されることを意味し、具体的には紫外線吸収剤が層中10ppm以下(下限0ppm%)であることを指し、5ppm以下(下限0ppm%)であることが好ましい。粘着フィルム中の紫外線吸収剤およびその含有質量(ppm)は、ラマン分光法によって検出することができる。
さらに、第2の層および第3の層が紫外線吸収剤を含む場合であっても、層表面または粘着剤層の界面近傍には紫外線吸収剤が存在しないことが好ましい。層表面または粘着剤層の界面近傍に紫外線吸収剤が存在しなければ、紫外線吸収剤の移行による弊害を抑制することができるからである。
紫外線吸収剤の具体例としては、ハイドロキノン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤などが挙げられる。
ハイドロキノン系紫外線吸収剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンジサリチレートなどが挙げられる。サリチル酸系紫外線吸収剤としては、フェニルサリチレート、パラオクチルフェニルサリチレートなどが挙げられる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホンベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ナトリウムスルホベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロルベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−カルボン酸ブチルエステルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5,6−ジクロルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−エチルスルホンベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−(2’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ステアリルオキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−カルボン酸フェニル)ベンゾトリアゾールエチルエステル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−フェニルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−シクロヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’,5’−ジメチルフェニル)−5−カルボン酸ベンゾトリアゾールブチルエステル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’,5’−ジクロル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)−5−エチルスルホンベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−フェニルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メトキシフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−カルボン酸エステルベンゾトリアゾール、2−(2’−アセトキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2〜2’−メチレンビス[6−(2−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]などが挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4−(オクチル−2−メチルエタノエート)オキシ−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−[ビス(2,4−ジメチルフェニル)]−1,3,5−トリアジン、2−[4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシロキシ−プロピル)オキシ−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−[ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(2−ヒドロキシ−3−トリデシロキシ−プロピル)オキシ−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−[ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、トリス[2,4,6−[2−{4−(オクチル−2−メチルエタノエート)オキシ−2−ヒドロキシフェニル}]−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
これらの紫外線吸収剤のうち、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好適である。特に、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、及び2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンが好ましく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5,6−ジクロルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−フェニルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
これら紫外線吸収剤は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができる。
好適な形態としては、第1の層が高密度ポリエチレン樹脂およびベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含み、第2の層および第3の層が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を含む形態である。かような組み合わせで樹脂および紫外線吸収剤を選択することで、紫外線吸収剤が第1の層と相溶性が高い一方、第2の層および第3の層と相溶性が低いため、紫外線吸収剤の移動が抑制され、耐候性がより一層向上する。
また、基材を構成する各層には、光安定剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤などを適宜含有させることができる。
光安定剤としてはビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン等のヒンダードアミン系光安定剤、有機ニッケル等のクエンチャー等が使用できる。これらの光安定剤は単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系加工熱安定剤、ラクトン系加工熱安定剤、イオウ系耐熱安定剤など公知の酸化防止剤を適宜使用することができる。これらの酸化防止剤は単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
アンチブロッキング剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、チタニア、マイカ、タルク等が挙げられる。これらのアンチブロッキング剤は単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
基材の厚さは、特に限定されるものではないが、機械的強度、透明性の確保などの点から、20〜200μmであることが好ましく、30〜100μmであることがより好ましい。また、基材を構成する各層の厚さは、5〜40μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。機械的強度の観点から、第1の層は第2の層および第3の層よりも厚いことが好ましい。
(粘着剤層)
粘着剤層に用いられる粘着剤としては、特に限定されず、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤などを用いることができる。上記粘着剤は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
粘着剤としては、接着の信頼性の観点から、特にアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。アクリル系粘着剤を構成するアクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とし、必要に応じて(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な単量体(共重合性単量体)を用いることにより形成される。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能なアクリル共重合性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、アクリル酸2−(n−プロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体またはその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどのヒドロキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリルイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体;トリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能基の共重合単量体(多官能基モノマー)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系ポリマーの重量平均分子量は特に限定されるものではないが、10万〜100万であることが好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
粘着剤は、アクリル系ポリマーの他、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。架橋剤の添加量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.005〜0.5質量部であることがより好ましい。
粘着剤層には、必要に応じ、光安定剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤、帯電防止剤、タッキファイヤー、濡れ剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤等を適宜添加することができる。
粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、粘着性および薄膜化の観点から、10〜100μmの範囲が好ましい。
粘着剤層の被着体への粘着力は、1〜10N/25mmが好ましく、2〜8N/25mmがより好ましく、2.5〜6N/25mmが特に好ましい。かような範囲の粘着力であれば、再剥離が可能となるとともに、本願構成による粘着剤層への紫外線曝露抑制効果により、粘着剤の糊残りも低減される。なお、被着体への粘着力は、粘着フィルムの粘着剤層面をSUS板に貼付し、24時間後にJIS Z0237:2009に従い、引張試験機により、180°方向に試験速度300mm/分で測定する。より詳細には、被着体への粘着力は、以下の方法によって測定された値である;粘着フィルムを23℃環境下に1週間静置する。その後、1日標準環境下(23℃50%RH)に静置し、剥離部材を剥がしてSUS304鋼板に粘着剤層面を貼付する。1日標準環境下に静置後、JIS Z0237:2009にしたがい粘着力を測定する。具体的には、引張試験機により、180°方向に試験速度300mm/分でフィルムを引き剥がし、粘着力を測定する。数値は、フィルム幅25mm当たりの引き剥がし力に換算したもの(N/25mm)である。
(剥離部材)
剥離部材は、粘着剤層を保護し、粘着性の低下を防止する機能を有する部材である。そして、剥離部材は、被着体に貼付する際に粘着フィルムから剥離される。このため、本実施形態における粘着フィルムは、剥離部材を有していないものも包含される。
剥離部材としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルム;上質紙、グラシン紙、クラフト紙、クレーコート紙などの紙が挙げられる。
剥離部材の厚みは、通常10〜400μm程度である。また、剥離部材の表面には、粘着剤層の剥離性を向上させるためのシリコーンなどから構成される剥離剤からなる層が設けられてもよい。かような層が設けられる場合の当該層の厚みは、通常0.01〜5μm程度である。
(粘着フィルムの製造方法)
本発明の好適な粘着フィルムの製造方法について以下説明する。
まず、基材を準備する。
好適な形態としては、紫外線吸収剤および樹脂を含む第1の層形成用混合物、樹脂を含み、紫外線吸収剤を含まない第2の層形成用混合物(または第2の層形成用樹脂)および樹脂を含み、紫外線吸収剤を含まない第3の層形成用混合物(または第3の層形成用樹脂)を準備する。そして、各混合物(または樹脂)を成形することで、基材を得ることができる。すなわち、本発明の好適な形態は、紫外線吸収剤を含まない第2の層、紫外線吸収剤を含む第1の層、および紫外線吸収剤を含まない第3の層をこの順に積層させて基材を得ることを有する、粘着フィルムの製造方法である。
この際、第1の層形成用混合物中のポリエチレン樹脂の密度が、第2の層および第3の層形成用混合物中のポリエチレン樹脂の密度よりも高くなるようにポリエチレン樹脂を選択する。具体的なポリエチレン樹脂の種類等は、上述したとおりである。
基材の成形方法としては、公知の方法が適用できるが、例えば、Tダイ法あるいはインフレーション法などにより溶融温度180〜250℃で押出した後、冷却ロールや空冷などにより冷却して巻き取る方法等が挙げられる。
樹脂を積層する方法としては、例えば、フィードブロック法やマルチマニホールドダイ法などによる共押出し法、加熱や接着剤などによるラミネート法等が挙げられる。
また、フィルム延伸を行って基材を得てもよい。延伸方法としては、1軸延伸、2軸延伸等、種々の延伸方法が適用できるが、例えば、周速の異なるロール群による縦方向1軸延伸方法、テンターオーブンによる横方向1軸延伸方法、これらの組合せによる2軸延伸方法、インフレーションのチューブラー延伸方法等が挙げられる。
延伸後は、アニーリング処理してもよい。
粘着剤層の形成方法は特に限定されないが、通常粘着剤を剥離部材上に塗布する方法が採られる。塗布方法は特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアコーターなどの公知の塗布装置を用いて塗布することができる。粘着剤を剥離部材上に塗布後、乾燥処理を行うことによって、粘着剤層が形成される。この際の乾燥条件としては特に限定されず、通常60〜150℃にて10〜60秒の条件で行われる。
そして、粘着剤層を有する剥離部材の粘着剤層面が基材と接するように、両者を貼り合わせることで、粘着フィルムを得ることができる。
また、粘着剤を基材上に塗布・乾燥して粘着剤層を形成した後、剥離部材を貼り合わせてもよい。
(用途)
本発明の粘着フィルムは、傷や塗膜を保護する各種保護シートとして用いることができる。本発明の粘着フィルムは、耐候性が高く、また、曲面追従性の高い熱可塑性樹脂を基材に用いていることから、ブレーキディスクアンチラストフィルムとして用いることが好ましい。被着体としては、車両、航空機、船舶、ブルドーザ、ショベルカー、トラッククレーン、フォークリフト等の移動体のホイールが挙げられる。車両としては、ガソリンやバイオエタノール等を燃料とする自動車、二次電池や燃料電池を利用した電気自動車、ハイブリッド自動車等の四輪自動車(乗用車、トラック、バス等);二輪のバイク、自転車;鉄道車両(電車、ハイブリッド電車、機関車等)などが挙げられる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
(実施例1)
(基材の作製)
第1のポリエチレン樹脂として、高密度ポリエチレン樹脂(密度0.945g/cm、MFR 0.05g/10分、日本ポリエチレン社製、商品名 ノバテック(登録商標)HD HF111K)、第2および第3のポリエチレン樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度0.921g/cm、MFR 1.0g/10分、日本ポリエチレン社製、商品名 ノバテック(登録商標)LL UF230)を準備した。
第1のポリエチレン樹脂98質量部と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)2質量部を混合した。
第1のポリエチレン樹脂および紫外線吸収剤の混合物、第2のポリエチレン樹脂、および第3のポリエチレン樹脂をそれぞれ押出機内で温度190℃で溶融混練し、多層インフレーション法により、第2の層、第1の層および第3の層からなるフィルムを成形した。第1〜第3の層の各膜厚は第1層 17μm、第2の層 17μm、第3の層 17μm(総厚 51μm)であった。
2.粘着剤層の形成
還流器および攪拌機を備えたフラスコに、アクリル酸ブチル95質量部、アクリル酸5質量部、過酸化物系開始剤およびトルエン(溶剤)を混合し、窒素置換を行いながら加温し、重合を行って、アクリル系ポリマーを得た(重量平均分子量Mw=500,000)。
上記アクリル系ポリマー固形分100質量部、およびエポキシ系架橋剤(商品名:TETRAD−X、三菱ガス化学社製)0.01質量部を混合して粘着剤を得た。
剥離部材上に上記粘着剤をナイフコーターにより乾燥膜厚20μmとなるように塗布した後、90℃で1分乾燥させて粘着剤層を形成した(乾燥膜厚20μm)。
上記基材に剥離部材と相対する粘着剤層面を貼りあわせて、粘着フィルムを得た。
(実施例2)
第1のポリエチレン樹脂96質量部と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)4質量部を混合したこと以外は、実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
(実施例3)
第1の層の膜厚を25μm、第2および第3の層の膜厚を12.5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
(比較例1)
高密度ポリエチレン樹脂(密度0.945g/cm、MFR 0.05g/10分、日本ポリエチレン社製、商品名 ノバテック(登録商標)HD HF111K)98質量部と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)2質量部を混合し、インフレーション成形により成膜し、厚さ50μmの単層の基材を得た。
上記基材を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
(比較例2)
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度0.921g/cm、MFR 1.0g/10分、日本ポリエチレン社製、商品名 ノバテック(登録商標)LL UF230)を用いてインフレーション成形により成膜し、厚さ50μmの単層の基材を得た。
上記基材として用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
(評価方法)
1.剥離性評価
各サンプルから剥離部材を剥離し、粘着剤層面をSUS板に貼付後、24時間後、促進耐候性試験を行った。促進耐候性試験は、キセノンウェザーオメーター(XWOM)を用い、照度60W/m、ブラックパネル温度63℃、湿度30〜60%RHの条件下、1000時間照射を行った。なお、上記照射条件は、実曝露12か月に相当する。
耐候性試験後に、JIS Z0237:2009にしたがい粘着力を測定した。詳細には、被着体への粘着力は、以下の方法によって測定された値である;粘着フィルムを23℃環境下に1週間静置する。その後、1日標準環境下(23℃50%RH)に静置し、剥離剤層を剥離基材とともに剥がしてSUS304鋼板に粘着剤層面を貼付する。1日標準環境下に静置後、JIS Z0237:2009にしたがい粘着力を測定した。具体的には、引張試験機により、180°方向に試験速度300mm/分でフィルムを引き剥がし、粘着力を測定した。数値は、フィルム幅25mm当たりの引き剥がし力に換算したもの(N/25mm)である。
下記基準に従い、剥離性を評価した。
○:耐候性試験後に粘着力が10N/25mm以下である。
×:耐候性試験後に粘着力が10N/25mm以上である。
なお、耐候性試験前の各実施例および比較例の粘着力は、5N/25mmであった。
結果を表1に示す。
2.糊残り評価
上記粘着力試験後に、被着体上の糊残りを目視により観察し、下記評価基準に従い評価した。
○:耐候性試験後に糊残り無し。
×:耐候性試験後に糊残りあり。
結果を表1に示す。
3.外観評価
各サンプルから剥離部材を剥離し、粘着剤層面をガラス基板に貼付後、24時間後、促進耐候性試験を行った。促進耐候性試験は、キセノンウェザーオメーター(XWOM)を用い、照度60W/m、ブラックパネル温度63℃、湿度30〜60%RHの条件下、1000時間照射を行った。なお、上記照射条件は、実曝露12か月に相当する。
上記耐候性試験後に、基材側より外観を目視により観察し、下記評価基準に従い評価した。
○:耐候性試験後にヘーズが25%以下で、基材表面に変化無し。
×:耐候性試験後にヘーズが25%を超える、または、耐候性試験後に基材表面にクラックが発生する。
なお、耐候性試験前は、いずれのサンプルもヘーズが25%以下であった。
結果を表1に示す。
4.追従性試験
各サンプルから剥離部材を剥離し、ホイールに貼付した。下記評価基準に従い追従性を評価した。
○:ホイール形状に容易に追従できる。
△:ホイール形状に力を加えれば追従可能。
×:ホイール形状に追従できない。
以上の結果より、実施例1〜3の粘着フィルムは、経時でのフィルム劣化が抑制され、また、被着体に対する粘着性能も維持されることがわかった。さらには、ホイール形状に対する追従性が高く、曲面形状の被着体に対しても、貼付が容易であることがわかった。
10 粘着フィルム、
11 剥離部材、
12 粘着剤層、
13 第2の層、
14 第1の層、
15 第3の層、
16 基材、
17 他の機能層。

Claims (7)

  1. 基材と、粘着剤層と、を有する粘着フィルムであって、
    前記基材が、紫外線吸収剤およびポリエチレン樹脂を含有する第1の層、該第1の層を挟持するように配置されるポリエチレン樹脂を含有する第2の層、およびポリエチレン樹脂を含有する第3の層を含み、
    前記第1の層に含まれるポリエチレン樹脂の密度が、前記第2の層に含まれるポリエチレン樹脂および前記第3の層に含まれるポリエチレン樹脂の密度より高い、粘着フィルム。
  2. 前記第1の層に含まれるポリエチレン樹脂が高密度ポリエチレン樹脂であり、前記第2および第3の層に含まれるポリエチレン樹脂が低密度ポリエチレン樹脂または直鎖状低密度ポリエチレン樹脂である、請求項1または2に記載の粘着フィルム。
  3. 前記基材が、前記第1の層、前記第2の層および前記第3の層から構成される、請求項1または2に記載の粘着フィルム。
  4. 前記第2の層および前記第3の層が紫外線吸収剤を実質的に含まないか、前記第1の層中の紫外線吸収剤含有質量よりも前記第2の層および前記第3の層における紫外線吸収剤含有質量が少ない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着フィルム。
  5. 前記基材は、紫外線吸収剤を含まない第2の層、紫外線吸収剤を含む第1の層、および紫外線吸収剤を含まない第3の層をこの順に積層させることを有して得られる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着フィルム。
  6. 粘着剤層面をガラス基板に貼付後のヘーズが25%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着フィルム。
  7. 紫外線吸収剤を含まない第2の層、紫外線吸収剤を含む第1の層、および紫外線吸収剤を含まない第3の層をこの順に積層させて基材を得ることを有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘着フィルムの製造方法。
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