JP2017135196A - キャパシタ電極及びその製造方法 - Google Patents
キャパシタ電極及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017135196A JP2017135196A JP2016012493A JP2016012493A JP2017135196A JP 2017135196 A JP2017135196 A JP 2017135196A JP 2016012493 A JP2016012493 A JP 2016012493A JP 2016012493 A JP2016012493 A JP 2016012493A JP 2017135196 A JP2017135196 A JP 2017135196A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- capacitor electrode
- metal complex
- porous metal
- sintered body
- pores
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/13—Energy storage using capacitors
Abstract
【課題】有機電解液の電解質イオンの吸脱着量が多くて容量の向上を図ることが可能なキャパシタ電極を提供する。【解決手段】多孔性金属錯体(MOF)の焼結体1を用いてキャパシタ電極を形成する。そして、その多孔性金属錯体の焼結体1は、細孔1aの外郭を構成する骨格1bが3次元網目構造に形成されており、細孔径(ポア径)が2nm以上6nm以下の細孔を有する構造としている。より詳細には、細孔径が2nm以上6nm以下の細孔の全細孔容積に対する細孔割合が5%以上である構造としている。そして、このような多孔性金属錯体の焼結体(MOF焼結体)を用いてキャパシタ電極を形成することにより、活性炭を用いたキャパシタ電極と比べて容量を大きくすることができる。【選択図】図1
Description
本発明は、電気二重層キャパシタに用いられるキャパシタ電極及びその製造方法に関する。
近年、地球環境対策の観点から、自動車分野にあっては、燃料消費量(燃費)の向上や排気ガスの低減を実現することを目的として、ハイブリッド自動車(HV)や電気自動車(EV)の技術開発が進められている。これらハイブリッド自動車や電気自動車の技術開発において、駆動系パワーアシストあるいはエネルギ回生の用途に電気二重層キャパシタの実用化が注目されている。
電気二重層キャパシタは、分極性電極と電解液との界面に形成される電気二重層に電荷を蓄積することを原理としており、鉛蓄電池、ニッケル水素二次電池等の二次電池と比べて大電流による急速充放電が可能である。電気二重層キャパシタの分極性電極(キャパシタ電極)の材料としては、表面積が大きくて導電性に優れる点から活性炭が用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。
電気二重層キャパシタのエネルギ密度Eは、式[E=(1/2)×CV2]で定義される(Cは静電容量、Vは耐電圧である)。このため、電気二重層キャパシタのエネルギ密度を高くするためには、耐電圧の大きな有機電解液を用いる必要がある。
電気二重層キャパシタの電解液として有機電解液(例えば、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート:TEA+BF4 -)を用いる場合、当該有機電極液の電解質アニオン、カチオンが溶媒分子と溶媒和することによる径([電解質イオン+溶媒分子]の径:以下、略して「電解質イオン径」という)が約2nmになる(図5参照)。一方、キャパシタ電極に用いられる活性炭の細孔径(ポア径)は上記電解質イオン径よりも小さいものが多い。このため、キャパシタ電極に活性炭を用い、電解液として有機電解液を用いた場合、電解質イオンが活性炭の細孔に侵入することが困難となり、容量(放電容量)を有効に発現することができない。
具体的には、図5に示すように、活性炭は多孔質であるものの、細孔が複雑に入り組んだ構造であり、外部に開口する細孔は表面層付近に存在するだけである。しかも、外部に開口する細孔の細孔径が1nm程度であるものが多い。このため、活性炭の細孔に電解質イオンが有効に入り込まないため、活性炭(キャパシタ電極)に吸着される電解質イオンの量が少なくなり容量が有効に発現しなくなる。また、高出力領域において電解質イオンのスムーズな出し入れが困難になるため、高出力領域における容量が低下する。
なお、細孔径が2.0nm以上であるメソポア活性炭を製造する技術として、窒素含有材料と縮合多環化合物とを含有する混合物をアルカリ賦活する方法(上記特許文献3)があるが、このようは賦活方法では、活性炭内部にまで細孔を形成することはできない。
また、他の技術として、シリカ前駆体及び界面活性剤等を用いてメソ多孔質炭化ケイ素ナノ複合材料を形成する方法(上記特許文献4)があるが、この方法では、フッ酸を用いる工程が必要であるので危険がともなう。
本発明は、以上のような実情を考慮してなされたものであり、有機電解液の電解質イオンの吸脱着量が多くて容量の向上を図ることが可能なキャパシタ電極を提供すること、及び、そのような特徴を有するキャパシタ電極の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のキャパシタ電極は、電気二重層キャパシタに用いられるキャパシタ電極であって、多孔性金属錯体の焼結体を含んで形成されている。そして、その多孔性金属錯体の焼結体は、細孔の外郭を構成する骨格が3次元網目構造に形成されており、細孔径が2nm以上6nm以下の細孔を有することを特徴としている。より具体的には、前記多孔性金属錯体の焼結体の前記細孔径が2nm以上6nm以下の細孔の、全細孔容積に対する細孔割合が5%以上であることを特徴としている。
本発明のキャパシタ電極にあっては、前駆体である多孔性金属錯体の焼結体が、細孔径(以下、ポア径ともいう)が2〜6nm(2nm以上6nm以下)の細孔を多く含んでいるので、有機電解液の電解質イオン(電解質イオン径:1.7〜1.9nm程度)の細孔への侵入及び細孔からの離脱が容易になる。しかも、細孔の外郭を構成する骨格が3次元網目構造であるので、外部に連通する細孔(ポア径2〜6nm)を粒子内部にも形成することができる。これにより、多孔性金属錯体の焼結体の内部にまで電解質イオンが入り込むことが可能になる。
したがって、このような特徴を有する多孔性金属錯体の焼結体を用いた本発明のキャパシタ電極によれば、活性炭を用いたキャパシタ電極と比べて、電解質イオンの吸脱着量が多くなるので、容量を有効に発現することができる。しかも、高出力領域においても電解質イオンの吸脱着をスムーズに行うことが可能になるので、高出力領域における容量も確保することが可能になる。
ここで、多孔性金属錯体の焼結体の細孔のポア径の範囲を2nm以上としている理由は、ポア径が小さすぎると有機電解液の電解質イオンが侵入しにくくなる、という点を考慮し、電解質イオン径(1.7〜1.9nm)に細孔への侵入用のマージンをもたせた値つまり2nmを下限値としている。一方、細孔のポア径が大きいほど、電解質イオンが細孔内に侵入しやすくなるが、細孔のポア径が大きすぎると細孔表面積が減少してしまう。このような点つまり電解質イオンの吸脱着性と細孔表面積とのトレードオフの関係を考慮して細孔のポア径を6nm以下としている。
本発明の製造方法は、金属イオンを溶媒に溶解させたA液と、有機リガンドを溶媒に溶解させたB液とを混ぜ合わせて合成する合成工程と、前記合成工程により得られた合成物を、その合成に用いた溶媒にて洗浄することにより粒子状の多孔性金属錯体を得る洗浄工程と、前記洗浄後の粒子状の多孔性金属錯体に導電性を持たせるために、当該多孔性金属錯体を不活性雰囲気中において所定温度で焼成することにより、粒子状の多孔性金属錯体の焼結体を得る焼成工程と、前記焼成後の粒子状の多孔性金属錯体の焼結体を活物質として用い、その活物質である多孔性金属錯体の焼結体と導電助剤と結着剤とを所定の重量比で混練し、その混練物をペースト状にしたものを金属箔上に塗布した後に乾燥させることによりキャパシタ電極を得る電極作製工程とを含むことを特徴としている。
本発明の製造方法によれば、上に記した特徴を有するキャパシタ電極、つまり細孔の外郭を構成する骨格が3次元網目構造に形成され、細孔径が2nm以上6nm以下の細孔を有する多孔性金属錯体の焼結体を前駆体とするキャパシタ電極を得ることができる。
ここで、本発明の製造方法において、上記A液に溶かす金属イオンとしては、例えば、亜鉛イオン、コバルトイオン、鉄イオン、アルミニウムイオン、ニッケルイオン、マグネシウムイオンなどを挙げることができる。
また、上記B液に溶かす有機リガンドとしては、ベンゼン環を2つ以上、カルボキシル基を2つ以上有するもの、またはアミノ基を2つ以上有するものを挙げることができる。
さらに、上記A液及びB液に用いる溶媒としては、例えば、NMP(Nメチル2ピロリドン)、メタノール、DMSO(ジメチルスルホキシド:C2H6SO)、DMF(ジメチルホルムアミド:C3H7NO)、DMA(ジメチルアセトアミド:C4H9NO)などを挙げることができる。
本発明のキャパシタ電極は、細孔の外郭を構成する骨格が3次元網目構造に形成され、細孔径が2nm以上6nm以下の細孔を有する多孔性金属錯体の焼結体を用いて形成されているので、活性炭を用いたキャパシタ電極と比べて、有機電解液の電解質イオンの吸脱着量を多くすることが可能となり、容量を高めることができる。また、本発明の製造方法によれば、そのような特徴を有するキャパシタ電極を製造することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態のキャパシタ電極は、電気二重層キャパシタに用いられる分極性電極であって、多孔性金属錯体(MOF:Metal−Organic Framework)の焼結体(粒子状物質)を含んで形成されている。その多孔性金属錯体の焼結体の実施形態について図1を参照して説明する。
本実施形態の多孔性金属錯体の焼結体1は、細孔1aの外郭を構成する骨格1b(金属イオンと有機配位子とを組み合わせたもの)が3次元網目構造に形成されており、ポア径が2nm以上6nm以下の細孔1aを有することを特徴としている。より具体的には、ポア径が2nm以上6nm以下の細孔の全細孔容積に対する細孔割合が5%以上であることを特徴としている。
このように、本実施形態の多孔性金属錯体の焼結体1にあっては、ポア径が2〜6nm(2nm以上6nm以下)の細孔を多く含んでいるので、有機電解液(例えば、TEA+BF4 -)の電解質イオン(電解質イオン径:1.7〜1.9nm)Ionの細孔1aへの侵入及び細孔1aからの離脱が容易になる。しかも、細孔1aの外郭を構成する骨格1bを3次元網目構造としているので、外部に連通する細孔1a(ポア径2〜6nm)を粒子内部にも形成することができる(粒子内部の空間(イオン吸着サイト)を有効に利用することができる)。これにより、多孔性金属錯体の焼結体1の内部にまで電解質イオンIonが入り込むことが可能になる。
したがって、このような特徴を有する多孔性金属錯体の焼結体1を用いたキャパシタ電極(本実施形態のキャパシタ電極)によれば、活性炭を用いたキャパシタ電極と比べて、有機電解液の電解質イオンIonの吸着領域が大きい(電解質イオンIonの吸脱着量が多い)ので、容量を高めることができる。しかも、高出力領域においても電解質イオンIonの吸脱着をスムーズに行うことができるので、高出力領域における容量も確保することが可能になる。
以下、多孔性金属錯体を「MOF」といい、多孔性金属錯体の焼結体を「MOF焼結体」という。
−キャパシタ電極の作製工程・評価−
次に、本実施形態のキャパシタ電極の作製工程、MOF焼結体の細孔評価、及び、キャパシタ電極の容量評価について説明する。
次に、本実施形態のキャパシタ電極の作製工程、MOF焼結体の細孔評価、及び、キャパシタ電極の容量評価について説明する。
まず、本実施形態にあっては、図2に示すように、MOF合成工程S1、MOF洗浄工程S2、MOF焼成工程S3、及び、電極作製工程S4を、この順で行うことによりMOF焼結体を作製する。また、工程S1〜S3で作製したMOF焼結体の細孔を細孔評価工程S11で評価する。さらに、工程S1〜S4で作製したキャパシタ電極の容量を容量評価工程S12で評価する。
次に、工程S1〜S4の各処理について説明する。
<S1:MOF合成工程>
・A液:酢酸亜鉛・2水和物を溶媒[NMP(Nメチル2ピロリドン)]に溶解させたもの
・B液:4−4スチルベンジルカルボン酸を溶媒[NMP(Nメチル2ピロリドン)]に溶解させたもの
・A液:酢酸亜鉛・2水和物を溶媒[NMP(Nメチル2ピロリドン)]に溶解させたもの
・B液:4−4スチルベンジルカルボン酸を溶媒[NMP(Nメチル2ピロリドン)]に溶解させたもの
上記A液とB液とを混ぜ合わせて室温にて合成する。A液とB液とを合成すると、図3に示すように、金属イオン(亜鉛イオン)と有機リガンド(4−4スチルベンジルカルボン酸:架橋性有機配位子)とが配位結合して、骨格(グリッド)1bが形成され、その内部に細孔1aを有する構造を得ることができる。ここで、図3に示すような配位結合は連続的に起こるので、金属イオンと架橋有機配位子とが連結した骨格1bが3次元網目状に形成され、内部に空間(つまり細孔1a)をもつ結晶性の高分子構造(立体格子構造:図1参照)を得ることができる。なお、A液とB液とは加熱した状態で合成してもよい。
ここで、上記A液に溶かす金属イオンとしては、亜鉛イオンの以外に、例えば、コバルトイオン、鉄イオン、アルミニウムイオン、ニッケルイオン、マグネシウムイオンなどであってもよい。
また、上記B液に溶かす有機リガンドとしては、ベンゼン環を2つ以上、カルボキシル基を2つ以上有するもの、またはアミノ基を2つ以上有するものであればよい。
さらに、上記A液及びB液に用いる溶媒としては、NMPの以外に、例えば、メタノール、DMSO(ジメチルスルホキシド:C2H6SO)、DMF(ジメチルホルムアミド:C3H7NO)、DMA(ジメチルアセトアミド:C4H9NO)などであってもよい。
<S2:MOF洗浄工程>
次に、上記MOF合成工程S1により得られた合成物を、その合成に用いた溶媒(NMP)にて洗浄した後に24時間静置し、さらに乾燥することによりMOF(粒子状の物質)を得る。
次に、上記MOF合成工程S1により得られた合成物を、その合成に用いた溶媒(NMP)にて洗浄した後に24時間静置し、さらに乾燥することによりMOF(粒子状の物質)を得る。
<S3:MOF焼成工程>
上記洗浄後のMOFに導電性をもたせるために、窒素雰囲気中において5℃/分で800℃まで昇温し、800℃を5時間保持し、その後5℃/分で室温まで降温することにより、粒子状のMOF焼結体を得る。
上記洗浄後のMOFに導電性をもたせるために、窒素雰囲気中において5℃/分で800℃まで昇温し、800℃を5時間保持し、その後5℃/分で室温まで降温することにより、粒子状のMOF焼結体を得る。
<S11:細孔評価工程>
(MOF焼結体の窒素吸着測定)
窒素吸脱着測定装置(Bellsorp min マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて、上記工程S1〜S3にて作製したMOF焼結体(以下、本実施例のMOF焼結体という)について窒素吸着測定を行った。その測定結果(窒素吸脱着等温線)を図4に示す。また、窒素吸着測定の測定結果から得られた細孔分布データ(細孔表面積、及びポア径が2〜6nmの細孔の全細孔容積に対する細孔割合(2〜6nm割合))を下記の表1に示す。
(MOF焼結体の窒素吸着測定)
窒素吸脱着測定装置(Bellsorp min マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて、上記工程S1〜S3にて作製したMOF焼結体(以下、本実施例のMOF焼結体という)について窒素吸着測定を行った。その測定結果(窒素吸脱着等温線)を図4に示す。また、窒素吸着測定の測定結果から得られた細孔分布データ(細孔表面積、及びポア径が2〜6nmの細孔の全細孔容積に対する細孔割合(2〜6nm割合))を下記の表1に示す。
なお、表1に示す「2〜6nm割合」は、細孔分布データから、式[2〜6nmの分布面積/すべての細孔径における分布面積]を用いて算出した。
(活性炭の窒素吸着測定)
キャパシタ電極に一般に用いられている活性炭について、上に記した[MOF焼結体の窒素吸着測定]と同様にして窒素吸着測定を行った。その測定結果(窒素吸脱着等温線)を図4に示す。また、窒素吸着測定の測定結果から得られた細孔分布データ(細孔表面積、及び、ポア径が2〜6nmの細孔の全細孔容積に対する細孔割合(2〜6nm割合))を下記の表1に示す。
キャパシタ電極に一般に用いられている活性炭について、上に記した[MOF焼結体の窒素吸着測定]と同様にして窒素吸着測定を行った。その測定結果(窒素吸脱着等温線)を図4に示す。また、窒素吸着測定の測定結果から得られた細孔分布データ(細孔表面積、及び、ポア径が2〜6nmの細孔の全細孔容積に対する細孔割合(2〜6nm割合))を下記の表1に示す。
(評価)
図4の測定結果(窒素吸脱着等温線)から判るように、本実施例のMOF焼結体では、中圧(P/P0=0.5)付近から窒素吸着量が上昇している。この現象は粒子内部にまで窒素分子が侵入していることを示している。これに対し、活性炭では、中圧付近での吸着量上昇は見られないことから、活性炭内部にまで窒素分子は侵入していないと推察される。
図4の測定結果(窒素吸脱着等温線)から判るように、本実施例のMOF焼結体では、中圧(P/P0=0.5)付近から窒素吸着量が上昇している。この現象は粒子内部にまで窒素分子が侵入していることを示している。これに対し、活性炭では、中圧付近での吸着量上昇は見られないことから、活性炭内部にまで窒素分子は侵入していないと推察される。
また、本実施例のMOF焼結体においては、ヒステリシス曲線が往路(吸着)と復路(脱着)とで異なる挙動が見られる。この現象は、ポア径が2〜6nmの細孔が多く存在していることを示している。
具体的には、上記表1の[2〜6nm割合]に示すように、本実施例のMOF焼結体においては、ポア径が2〜6nmの細孔の全細孔容積に対する細孔割合が19.9%であるに対し、活性炭ではその細孔割合が4.8%である。このように本実施例のMOF焼結体では、2〜6nm割合つまり有機電解液の電解質イオンの吸脱着が容易な細孔の細孔割合が、活性炭に対して4倍以上も存在していることから、電解質イオンの吸脱着量が活性炭に対し十分に多いと言える。
ここで、活性炭では、2〜6nm割合は4.8%であり、この活性炭よりも電解質イオンを有効に吸脱着することを可能にするために、本実施形態のMOF焼結体1では、ポア径が2nm以上6nm以下の細孔の全細孔容積に対する細孔割合を5%以上と規定している。
<S4:電極作製工程>
上記工程S1〜S3にて作製したMOF焼結体(平均粒径2.5μm)を活物質として用い、その[活物質(MOF焼結体)]と[導電助剤(アセチレンブラッック)]と[結着剤(PVDF(ポリフッ化ビニリデン樹脂))]とを[8:1:1]の重量比で混練した。その混練物をペースト状にしたものをアルミニウム箔(厚さ:0.020mm)上に、乾燥・プレス後の電極厚み(アルミニウム箔の厚さも含む)が40μmとなるように塗布する。その後に乾燥・プレスを行うことにより、キャパシタ電極を作製した。
上記工程S1〜S3にて作製したMOF焼結体(平均粒径2.5μm)を活物質として用い、その[活物質(MOF焼結体)]と[導電助剤(アセチレンブラッック)]と[結着剤(PVDF(ポリフッ化ビニリデン樹脂))]とを[8:1:1]の重量比で混練した。その混練物をペースト状にしたものをアルミニウム箔(厚さ:0.020mm)上に、乾燥・プレス後の電極厚み(アルミニウム箔の厚さも含む)が40μmとなるように塗布する。その後に乾燥・プレスを行うことにより、キャパシタ電極を作製した。
<S12:容量評価工程>
(本実施例のキャパシタ電極の容量測定)
定電流充放電試験装置(VSP300 Biologic社製)を用いて、上記工程S1〜S4にて作製したキャパシタ電極(以下、本実施例のキャパシタ電極という)について放電容量を測定した。その測定結果を上記表1に示す。なお、表1には、放電時に流れた電気量[C]を、活物質(MOF焼結体)の重量(g)と放電電圧(V)で除したもの[容量F/g]を評価値として示している。
(本実施例のキャパシタ電極の容量測定)
定電流充放電試験装置(VSP300 Biologic社製)を用いて、上記工程S1〜S4にて作製したキャパシタ電極(以下、本実施例のキャパシタ電極という)について放電容量を測定した。その測定結果を上記表1に示す。なお、表1には、放電時に流れた電気量[C]を、活物質(MOF焼結体)の重量(g)と放電電圧(V)で除したもの[容量F/g]を評価値として示している。
(活性炭を用いたキャパシタ電極の作製・容量測定)
まず、キャパシタ電極に一般に用いられている活性炭を活物質として、上に記した電極作製工程S4と同様な処理にてキャパシタ電極を作製した。そして、このようにして作製したキャパシタ電極(以下、比較例のキャパシタ電極)について、上に記した[本実施例のキャパシタ電極の容量測定]と同様にして容量測定を行った。その測定結果を上記表1に示す。なお、表1には、放電容量Fを活物質(活性炭)の重量で除したもの[容量F/g]を評価値として示している。
まず、キャパシタ電極に一般に用いられている活性炭を活物質として、上に記した電極作製工程S4と同様な処理にてキャパシタ電極を作製した。そして、このようにして作製したキャパシタ電極(以下、比較例のキャパシタ電極)について、上に記した[本実施例のキャパシタ電極の容量測定]と同様にして容量測定を行った。その測定結果を上記表1に示す。なお、表1には、放電容量Fを活物質(活性炭)の重量で除したもの[容量F/g]を評価値として示している。
(評価)
細孔表面積と容量F/gとの関係からキャパシタ電極の評価を行う。
細孔表面積と容量F/gとの関係からキャパシタ電極の評価を行う。
まず、一般的に細孔表面積が大きいほど、容量F/gは大きくなるとされている。ここで、上記表1に示すように、本実施例のキャパシタ電極(MOF焼結体を用いて作製したもの)は、細孔表面積が比較例のキャパシタ電極(活性炭を用いて作製したもの)よりも小さいにもかかわらず、容量F/gがほぼ同等である(24F/g≒25F/g)。このことから、ポア径が2nm以上6nm以下の細孔の存在(2〜6nm割合が活性炭と比べて多いこと)が容量発現に有効に寄与していることがわかる。
以上の評価結果から、本実施形態の多孔性金属錯体の焼結体(MOF焼結体)1を用いたキャパシタ電極は、活性炭を用いたキャパシタ電極と比べて、有機電解液の電解質イオンIonの吸脱着量が多くて大きな容量を発現できることが確認できた。
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上に記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上に記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、本発明は、自動車分野に用いられる電気二重層キャパシタに限られず、他の各種分野に用いられる電気二重層キャパシタのキャパシタ電極にも適用できる。
本発明は、電気二重層キャパシタに用いられるキャパシタ電極に有効に利用することができる。
1 多孔性金属錯体の焼結体(MOF焼結体)
1a 細孔
1b 骨格
Ion 有機電解液の電解質イオン
1a 細孔
1b 骨格
Ion 有機電解液の電解質イオン
Claims (3)
- 電気二重層キャパシタに用いられるキャパシタ電極であって、
細孔の外郭を構成する骨格が3次元網目構造に形成され、かつ、細孔径が2nm以上6nm以下の細孔を有する多孔性金属錯体の焼結体を含んで形成されていることを特徴とするキャパシタ電極。 - 請求項1に記載のキャパシタ電極において、
前記多孔性金属錯体の焼結体の前記細孔径が2nm以上6nm以下の細孔の、全細孔容積に対する細孔割合が5%以上であることを特徴とするキャパシタ電極。 - 請求項1または2に記載のキャパシタ電極を製造する方法であって、
金属イオンを溶媒に溶解させたA液と、有機リガンドを溶媒に溶解させたB液とを混ぜ合わせて合成する合成工程と、
前記合成工程により得られた合成物を、その合成に用いた溶媒にて洗浄することにより粒子状の多孔性金属錯体を得る洗浄工程と、
前記洗浄後の粒子状の多孔性金属錯体に導電性を持たせるために、当該多孔性金属錯体を不活性雰囲気中において所定温度で焼成することにより、粒子状の多孔性金属錯体の焼結体を得る焼成工程と、
前記焼成後の粒子状の多孔性金属錯体の焼結体を活物質として用い、その活物質である多孔性金属錯体の焼結体と導電助剤と結着剤とを所定の重量比で混練し、その混練物をペースト状にしたものを金属箔上に塗布した後に乾燥させることによりキャパシタ電極を得る電極作製工程と、
を含むことを特徴とするキャパシタ電極の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016012493A JP2017135196A (ja) | 2016-01-26 | 2016-01-26 | キャパシタ電極及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016012493A JP2017135196A (ja) | 2016-01-26 | 2016-01-26 | キャパシタ電極及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017135196A true JP2017135196A (ja) | 2017-08-03 |
Family
ID=59503949
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016012493A Pending JP2017135196A (ja) | 2016-01-26 | 2016-01-26 | キャパシタ電極及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017135196A (ja) |
Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5063084A (ja) * | 1973-09-18 | 1975-05-29 | ||
JP2002126512A (ja) * | 2000-10-19 | 2002-05-08 | Toyota Motor Corp | 天然ガス吸蔵材及びその製造方法 |
WO2005028719A1 (ja) * | 2003-09-19 | 2005-03-31 | Teijin Limited | 繊維状活性炭およびこれよりなる不織布 |
JP2008060282A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Seiko Instruments Inc | 電気二重層キャパシタ |
CN101604580A (zh) * | 2009-04-03 | 2009-12-16 | 中国科学院上海硅酸盐研究所 | 单源化合物一步分解法制备多孔碳电极材料的方法 |
JP2011126775A (ja) * | 2009-12-15 | 2011-06-30 | Samsung Electronics Co Ltd | ハイブリッド多孔性物質及びその製造方法 |
JP2012519171A (ja) * | 2009-02-27 | 2012-08-23 | ユーオーピー エルエルシー | 配位ブロック共重合体 |
JP2014189537A (ja) * | 2013-03-28 | 2014-10-06 | Jx Nippon Oil & Energy Corp | 多孔性金属錯体 |
JP2015151324A (ja) * | 2014-02-18 | 2015-08-24 | 住友電気工業株式会社 | 活性炭及び活性炭の製造方法 |
-
2016
- 2016-01-26 JP JP2016012493A patent/JP2017135196A/ja active Pending
Patent Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5063084A (ja) * | 1973-09-18 | 1975-05-29 | ||
JP2002126512A (ja) * | 2000-10-19 | 2002-05-08 | Toyota Motor Corp | 天然ガス吸蔵材及びその製造方法 |
WO2005028719A1 (ja) * | 2003-09-19 | 2005-03-31 | Teijin Limited | 繊維状活性炭およびこれよりなる不織布 |
JP2008060282A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Seiko Instruments Inc | 電気二重層キャパシタ |
JP2012519171A (ja) * | 2009-02-27 | 2012-08-23 | ユーオーピー エルエルシー | 配位ブロック共重合体 |
CN101604580A (zh) * | 2009-04-03 | 2009-12-16 | 中国科学院上海硅酸盐研究所 | 单源化合物一步分解法制备多孔碳电极材料的方法 |
JP2011126775A (ja) * | 2009-12-15 | 2011-06-30 | Samsung Electronics Co Ltd | ハイブリッド多孔性物質及びその製造方法 |
JP2014189537A (ja) * | 2013-03-28 | 2014-10-06 | Jx Nippon Oil & Energy Corp | 多孔性金属錯体 |
JP2015151324A (ja) * | 2014-02-18 | 2015-08-24 | 住友電気工業株式会社 | 活性炭及び活性炭の製造方法 |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
LIMIN HUANG ET AL.: "Synthesis, morphology control, and properties of porous metal-organic coordination polymers", MICROPOROUS AND MESOPOROUS MATERIALS, vol. Volume 58, Issue2, JPN6019022519, 4 March 2003 (2003-03-04), pages 105 - 114, ISSN: 0004172840 * |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Li et al. | Boosting the energy storage densities of supercapacitors by incorporating N-doped graphene quantum dots into cubic porous carbon | |
Young et al. | High energy density supercapacitors composed of nickel cobalt oxide nanosheets on nanoporous carbon nanoarchitectures | |
Li et al. | High-performance self-assembly MnCo2O4 nanosheets for asymmetric supercapacitors | |
Vinny et al. | An excellent cycle performance of asymmetric supercapacitor based on bristles like α-MnO2 nanoparticles grown on multiwalled carbon nanotubes | |
Mahmood et al. | Nanostructured electrode materials derived from metal–organic framework xerogels for high-energy-density asymmetric supercapacitor | |
Li et al. | Colossal pseudocapacitance in a high functionality–high surface area carbon anode doubles the energy of an asymmetric supercapacitor | |
Mao et al. | 3D graphene-nickel hydroxide hydrogel electrode for high-performance supercapacitor | |
Lang et al. | Study on the electrochemical properties of cubic ordered mesoporous carbon for supercapacitors | |
Zheng et al. | Hierarchical structures composed of MnCo 2 O 4@ MnO 2 core–shell nanowire arrays with enhanced supercapacitor properties | |
Pender et al. | Carbon nitride transforms into a high lithium storage capacity nitrogen-rich carbon | |
Guan et al. | Nanoporous walls on macroporous foam: rational design of electrodes to push areal pseudocapacitance | |
Shi et al. | Nickel metal-organic framework nanoparticles as electrode materials for Li-ion batteries and supercapacitors | |
Yan et al. | Synthesis of mesoporous NiO nanoflake array and its enhanced electrochemical performance for supercapacitor application | |
Maiti et al. | Electrochemical energy storage in Mn 2 O 3 porous nanobars derived from morphology-conserved transformation of benzenetricarboxylate-bridged metal–organic framework | |
Wang et al. | Asymmetric supercapacitors based on nano-architectured nickel oxide/graphene foam and hierarchical porous nitrogen-doped carbon nanotubes with ultrahigh-rate performance | |
Dar et al. | Enhancement of the energy storage properties of supercapacitors using graphene nanosheets dispersed with macro-structured porous copper oxide | |
Zhu et al. | Hexagonal nickel oxide nanoplate-based electrochemical supercapacitor | |
KR101832663B1 (ko) | 고밀도 및 고용량 특성을 갖는 3차원 그래핀 구조체, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 전극 소재 | |
Li et al. | Manganese oxide/hierarchical porous carbon nanocomposite from oily sludge for high-performance asymmetric supercapacitors | |
Wu et al. | N, O-codoped porous carbon nanosheets for capacitors with ultra-high capacitance | |
Wang et al. | Electro-synthesized Ni coordination supermolecular-networks-coated exfoliated graphene composite materials for high-performance asymmetric supercapacitors | |
Aftabuzzaman et al. | A facile route to well-dispersed Ru nanoparticles embedded in self-templated mesoporous carbons for high-performance supercapacitors | |
TW201522219A (zh) | 高電壓與高電容之活性碳以及碳爲主之電極 | |
Shinde et al. | Nitrogen-doped carbon integrated nickel–cobalt metal phosphide marigold flowers as a high capacity electrode for hybrid supercapacitors | |
Peng et al. | Mesoporous V 2 O 5/Ketjin black nanocomposites for all-solid-state symmetric supercapacitors |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180928 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190611 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190618 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20191217 |