JP2017122666A - 避雷器漏れ電流検出方法、避雷器漏れ電流検出装置、及び避雷器漏れ電流監視装置 - Google Patents

避雷器漏れ電流検出方法、避雷器漏れ電流検出装置、及び避雷器漏れ電流監視装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡単且つ的確に、避雷器の抵抗分電流を得て、避雷器の劣化を早期に捉えることを可能にする。【解決手段】避雷器漏れ電流検出装置30は、測定部31、記憶部32、除去部33、波形調整部34、差分検出部35及び電流検出部36を有している。測定部31は、避雷器10の全漏れ電流Ioを測定し、基準波形及び比較波形の電流を出力する。記憶部32は、基準波形を記憶する。除去部33は、記憶された基準波形と比較波形との高次高調波を除去する。波形調整部34は、高次高調波除去後の基準波形と比較波形との位相及び振幅の波形調整を行う。差分検出部35は、波形調整後の基準波形と比較波形の差分を検出する。電流検出部36は、前記差分から、避雷器10の抵抗分電流Irを検出する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、新幹線の変電所等に設置されている、き電線用避雷器の劣化を診断するための避雷器漏れ電流検出方法、避雷器漏れ電流検出装置、及び避雷器漏れ電流監視装置に関するものである。
図2は、一般的な新幹線き電線用避雷器の設置位置を示す図である。
新幹線では、電車1が通過するレール2の上方に、その電車1のパンタグラフに対して交流電力を供給するトロリ線3が架設されている。トロリ線3の異電源突き合わせ箇所には、約1kmの切替セクション(切替電流区分装置)4が設けられている。トロリ線3は、例えばA電源用の単巻変圧器(Auto-Transformer、以下「AT」という。)5−1,B電源用のAT5−2から電力が供給される。き電線6において、2つのAT5−1,5−2間の切替セクション4には、2つの切替開閉器7−1,7−2が設けられている。き電線6と接地線8との間には、複数のき電線用避雷器10(=10−1〜10−5)が接続されている。
切替セクション4は、電車1が矢印方向に進むにつれて、2つの切替開閉器7−1,7−2により、その切替セクション4へ供給される電源がA電源からB電源に切り替えられるものである。複数の避雷器10は、通常の使用状態のき電線6及びトロリ線3のき電電圧Eでは絶縁体と同様に電流を流さず、過大な雷サージ電圧がき電線6及びトロリ線3に侵入した際に接地線8側へ放電することにより(このような性質を「非直線抵抗特性」という。)、過電圧を抑制して保護対象機器の絶縁破壊を防護する機能を有している。これらの避雷器10には、切替開閉器動作時のサージ電圧により、放電電流が流れる場合がある。
図3は、図2中のき電線用避雷器10の等価回路を示す図である。
現在用いられているき電線用避雷器10のほとんどは、酸化亜鉛形ギャップレス避雷器というタイプ(形式)のものである。酸化亜鉛形ギャップレス避雷器10は、酸化亜鉛素子を絶縁用のがい管に気密収納した構造になっており、等価的に、酸化亜鉛の抵抗素子11(抵抗値R)と漂遊静電容量12(容量値C)の並列回路で表すことができる。抵抗素子11は、印加電圧によって抵抗値が変化すると共に、この抵抗素子11の劣化によっても抵抗値Rが変化する特徴を有している。き電線6と接地線8との間に接続された避雷器10の接地回路において、測定できる電流は、静電容量分電流Icと抵抗分電流Irとが合算された全漏れ電流Ioである。なお、図3中のVは、き電線6及びトロリ線3と接地線8との間の電圧(以下「避雷器電圧」という。)である。
従来、新幹線き電線用の避雷器漏れ電流検出方法には、以下の(1)、(2)の方法がある。
(1) 避雷器漏れ電流検出方法
き電線用避雷器10の劣化を診断するための避雷器漏れ電流検出方法には、主に、次の(a)、(b)の2通りの方法が知られている。
(a) 避雷器10と接地線8との間に流れるサージ電流の事象数を、カウンタにより計数する方法(言い換えれば、避雷器10の放電回数を、カウンタの動作回数により把握する方法)。
(b) 避雷器10から流れる全漏れ電流Ioを測定し、その増加量を検出することで避雷器10の劣化を診断する方法。この方法では、避雷器10が劣化すると、全漏れ電流Ioが増加するので、その全漏れ電流Ioの増加を検出して、避雷器10の劣化を診断している。
前記(a)、(b)の方法において、前記(a)の方法では、劣化に影響の無い小さなサージ電圧(例えば、切替開閉器動作時のサージ電圧である開閉サージ)でも、避雷器10が動作する場合がある。このような場合、カウンタがその動作についてもカウントしてしまう、避雷器10の劣化とカウンタの動作回数との間には明確な関係性が無い、といった点から、診断精度に問題がある。そのため、避雷器10の劣化診断には、前記(b)の方法を用いる方が有効であるとされている。
(2) 漏れ電流測定による避雷器漏れ電流検出方法
図3に示すように、避雷器10と接地線8との間に流れる全漏れ電流Ioは、避雷器10の抵抗素子11に流れる抵抗分電流Irと、避雷器自身が持つ漂遊静電容量12に流れる静電容量分電流Icとが、合算された値である。
避雷器10が劣化すると、抵抗素子11の抵抗値Rが低下し、抵抗分電流Irが増加する。その結果、抵抗分電流Irと静電容量分電流Icとの合算値である全漏れ電流Ioが増加するので、この全漏れ電流Ioの増加量を見ることで、避雷器10の劣化具合を診断できる。しかし、交流電流計等の測定器を用いて全漏れ電流Ioの実効値を測定し、その増加量を見る方法では、後述のような問題点があり、避雷器の劣化を早期に発見することができない。
図4Aは、避雷器10の正常時に流れる全漏れ電流Ioを示すベクトル図である。更に、図4Bは、避雷器10の劣化時に流れる全漏れ電流Ioを示すベクトル図である。
図4A及び図4Bにおいて、Io(1)rmsは避雷器正常時の全漏れ電流Ioの実効値、Iormsは避雷器劣化時の全漏れ電流Ioの実効値、ΔIrは避雷器劣化時の抵抗分電流Irの増加量、及び、ΔIoはΔIrが増加したときの全漏れ電流Ioの増加量である。
避雷器10が正常状態の時の全漏れ電流Ioの実効値Io(1)rmsは、抵抗分電流Irと静電容量分電流Icとの合算値であり、更に、静電容量分電流Icは抵抗分電流Irに対して位相が90°進んでいるため、図4Aのように表すことができる。又、避雷器10が正常状態の時は、抵抗分電流Irが少量(例えば、静電容量分電流Icの10%程度)しか流れておらず、全漏れ電流Ioの大部分は静電容量分電流Icで占められている。
これに対し、図4Bに示すように、避雷器10が劣化すると、抵抗分電流Irが増加し、それに伴って全漏れ電流Ioも実効値Iormsまで増加するが、抵抗分電流Irの増加量ΔIrに対して全漏れ電流Ioの増加量ΔIoが非常に小さいので、避雷器10の劣化が軽度の場合、これを検出することが難しい。そのため、避雷器10の劣化を早期に発見するためには、全漏れ電流Ioではなく、抵抗分電流Irの増加量ΔIrを検出する必要がある。
そこで、従来、抵抗分電流Irの把握を目的に、例えば、全漏れ電流Ioから抵抗分電流Ir成分のみを検出するための様々な方法(例えば、非特許文献1の方法(I)、及び、特許文献1の方法(II))が考えられている。
(I) 非特許文献1の方法
図5は、非特許文献1に記載された抵抗分電流Irの検出イメージを示す図である。
非特許文献1の方法では、ステップS1で、避雷器電圧Vを測定し、同時に、ステップS2で、全漏れ電流Ioを測定し、次のステップS3で、避雷器電圧Vの波形から静電容量分電流Icの波形を求める。次に、ステップS4で、全漏れ電流Ioの波形と静電容量分電流Icの波形との差分を検出した後、ステップS5で、抵抗分電流Irの波形を検出している。
即ち、避雷器10の静電容量分電流Ic(瞬時値ic)、抵抗分電流Ir(瞬時値ir)、及び全漏れ電流Io(瞬時値io)の関係は、次式(1)で表すことができる。
io=ir+ic・・・(1)
式(1)より、抵抗分電流irは次式(2)で表すことができる。
ir=io−ic・・・(2)
又、静電容量分電流icは次式(3)で表すことができる。
ic=C(dv/dt)・・・(3)
よって式(2)及び式(3)より、抵抗分電流irは次式(4)で表すことができる。
ir=io−C(dv/dt)・・・(4)
非特許文献1の方法では、以上の式を適用し、避雷器電圧Vの波形から静電容量分電流Icの波形を求め、この静電容量分電流Icの波形を、全漏れ電流Ioの波形から差し引くことで、抵抗分電流Irの波形を検出している。
図6は、図5において実際に測定で使用する電圧測定のイメージを示す図である。
前述したように、非特許文献1の方法では、抵抗分電流Irの検出に、避雷器電圧Vの測定を必要とする。しかし、避雷器電圧Vは高圧であるため、トロリ線3及び接地G間に電圧計を並列に追設して直接測定することは危険で困難である。通常、レール2と接地Gとの電位差は、概ね100V以下であることから等電位と見做せるため、トロリ線3及び接地G間の避雷器電圧Vとトロリ線3及びレール2間の電圧Vtnとは、同等の値になる。
そこで実際には、既設の計器用変圧器(以下「Tr」という。)13によって降圧された電圧Vtrを測定し、この電圧Vtrを使用して、避雷器電圧Vと同等であるトロリ線3及びレール2間の電圧Vtnの波形を得ることで、抵抗分電流Irの検出に必要な電圧波形を得ている。
(II) 特許文献1の方法
図7は、特許文献1に記載された避雷器漏れ電流検出装置を示す構成図である。
この避雷器漏れ電流検出装置では、送電線21と接地Gとの間に接続された酸化亜鉛形の避雷器10に対して直列に、検出器22が接続されている。検出器22は、避雷器10に流れる全漏れ電流Ioを検出するものである。避雷器10と検出器22との接続点には、アナログ/デジタル(以下「A/D」という。)変換器23と、中央処理装置(以下「CPU」という。)24a及び記憶装置であるメモリ24bを有するワンチップのマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という。)24と、デジタル表示器25と、が直列に接続されている。
図8は、図7の避雷器漏れ電流検出装置を用いた抵抗分電流Irの検出イメージを示す図である。
この図8の検出イメージでは、ステップS11において、検出器22により全漏れ電流Ioを測定し、この測定結果を、A/D変換器23によりデジタル信号に変換してマイコン24に与える。ステップS12において、マイコン24により、デジタル信号変換後の全漏れ電流Ioに対して複数の処理を施すことで、静電容量分電流Icの波形を生成する。次に、マイコン24により、ステップS13で、静電容量分電流Icの波形と、メモリ24bに記憶された全漏れ電流Ioの波形と、の差分を取り、ステップS14で、抵抗分電流Irの波形を検出し、デジタル表示器25に表示している。
即ち、図8の検出方法では、全漏れ電流Ioを測定し、測定した全漏れ電流Ioの波形に複数の処理を施すことで、静電容量分電流Icの波形を生成し、この生成した静電容量分電流Icの波形と、全漏れ電流Ioの波形との差分をとることで、抵抗分電流Irを検出している。
図9は、図8の方法の具体的な処理を示すフローチャートである。
図7の避雷器漏れ電流検出装置を用いた図8の方法では、ステップS10〜S14の処理が行われる。
先ず、ステップS10において、全漏れ電流Ioの基本波成分と静電容量分電流Icとの位相差と、歪み度の関係を図7中のメモリ24bに記憶しておく。ステップS11において、検出器22により、全漏れ電流Ioを測定し、A/D変換器23により、その測定結果をデジタル信号に変換する。
全漏れ電流Ioから静電容量分電流Icを生成するためのCPU24aの処理のステップS12(=S12a〜S12h)において、ステップS12aで、全漏れ電流Ioの基本波成分と高調波成分とを演算し、ステップS12bで、全漏れ電流Ioの歪み度を演算する。ステップS12cで、全漏れ電流Ioと静電容量分電流Icとの位相差を演算し、ステップS12dで、静電容量分電流Icの波高値を演算する。ステップS12eで、全漏れ電流Ioの瞬時値と容量分漏れ電流Icの波高値が等しくなる基準位相を検出し、ステップS12fで、位相調整して、全漏れ電流Ioの位相を基準位相に合わせる。ステップS12gで、位相調整を施した全漏れ電流Ioの波高値を調整し、容量分漏れ電流Icの波高値と一致させる。ステップS12hで、静電容量分電流Icの波形を生成する。その後、ステップS13で、全漏れ電流Ioと静電容量分電流Icとの差分を検出し、ステップS14で、抵抗分電流Irを検出している。
この特許文献1の方法では、非特許文献1の方法とは異なり、全漏れ電流Ioの測定のみで抵抗分電流Irの検出を行うために、避雷器電圧Vの測定が不要になる。
特開平10−2923号公報
鉄道総研報告(2012年6月号)「新幹線き電回路用避雷器の劣化監視装置の開発」 平成23年電気学会産業応用部門大会(2011年9月)No.3−46「交流き電用避雷器劣化管理手法の適正化」
しかしながら、従来の非特許文献1及び特許文献1の方法では、次の(I)、(II)のような課題があった。
(I) 非特許文献1の課題(図5及び図6の課題)
非特許文献1の方法では、抵抗分電流Irを検出するために、全漏れ電流Ioの波形と避雷器電圧Vの波形とを同時に測定する必要がある。しかし、前述の通り、避雷器電圧Vを測定することは困難であるため、実際には、避雷器10から100m程度離れた位置に設置されたTr13から、必要な電圧波形を得ることになる。そのため、測定器は、避雷器接地G側とTr13側の両方に接続しなければならず、それに伴い、配線が非常に長くなるので、配線ルートの確保等に手間が掛かってしまう。
又、Tr13から得られる電圧Vtrは、トロリ線3とレール2との間に発生する電圧Vtnが降圧されたものであり、トロリ線3と接地Gとの間に発生する避雷器電圧Vとは厳密には異なるものである。そのため、最終的な測定結果に多少の誤差が生じる恐れがある。
(II) 特許文献1の課題(図7〜図9の課題)
特許文献1の方法では、全漏れ電流Ioの測定のみで、抵抗分電流Irの検出が可能であり、避雷器電圧Vの測定を必要としない。しかし、全漏れ電流Ioの波形から静電容量分電流Icの波形を生成する際に必要な処理(図9のステップS12a〜S12h)が多く、マイコン24に組み込むプログラムが複雑になってしまう。又、複雑なプログラムを処理するためには、高性能のマイコン24が必要になるので、設計に掛かるコストが高くなってしまう。
本発明の避雷器漏れ電流検出方法は、電源路と接地線との間に接続され、前記電源路に侵入するサージ電圧を前記接地線へ放電して保護対象機器を保護するための、非線形の抵抗素子及び漂遊静電容量の並列回路により表される避雷器に対し、前記避雷器の全漏れ電流を検出する方法であって、全漏れ電流測定記憶処理と、全漏れ電流測定処理と、前記全漏れ電流における高次高調波除去処理と、全漏れ電流波形調整処理と、全漏れ電流差分検出処理と、前記全漏れ電流における抵抗分電流検出処理と、を有することを特徴とする。
ここで、前記全漏れ電流測定記憶処理では、前記避雷器が正常状態の場合であって且つ時刻情報に基づいた所定時刻に、前記漂遊静電容量を流れる静電容量分電流と前記抵抗素子を流れる抵抗分電流とが合算された全漏れ電流を測定し、基準波形の電流を求めて予め記憶する。前記全漏れ電流測定処理では、前記時刻情報に基づいた任意の日の前記所定時刻に、前記避雷器の前記全漏れ電流を測定して、比較波形の電流を出力する。
前記高次高調波除去処理では、前記全漏れ電流測定記憶処理で記憶された前記基準波形と前記比較波形との高次高調波(即ち、高周波ノイズ等の除去すべき不要な成分)をそれぞれ除去する。前記全漏れ電流波形調整処理では、前記高次高調波除去後の前記基準波形と前記高次高調波除去後の前記比較波形との位相及び振幅の波形調整を行う。前記全漏れ電流差分検出処理では、前記波形調整後の前記基準波形と前記波形調整後の前記比較波形との差分を検出する。更に、前記抵抗分電流検出処理では、前記差分から、前記抵抗分電流を検出する。
本発明の避雷器漏れ電流検出装置は、電源路と接地線との間に接続され、前記電源路に侵入するサージ電圧を前記接地線へ放電して保護対象機器を保護するための、非線形の抵抗素子及び漂遊静電容量の並列回路により表される避雷器に対し、前記避雷器の全漏れ電流を検出する装置であり、全漏れ電流測定部と、全漏れ電流記憶部と、前記全漏れ電流における高次高調波除去部と、全漏れ電流波形調整部と、全漏れ電流差分検出部と、前記全漏れ電流における抵抗分電流検出部と、を有している。
ここで、前記全漏れ電流測定部は、前記避雷器が正常状態の場合であって且つ時刻情報に基づいた所定時刻に、前記漂遊静電容量を流れる静電容量分電流と前記抵抗素子を流れる抵抗分電流とが合算された全漏れ電流を測定して、基準波形の電流を出力し、更に、前記時刻情報に基づいた任意の日の前記所定時刻に、前記避雷器の前記全漏れ電流を測定して、比較波形の電流を出力する。前記全漏れ電流記憶部は、前記基準波形を記憶する。
前記高次高調波除去部は、前記全漏れ電流記憶部に記憶された前記基準波形と前記比較波形との高次高調波(即ち、高周波ノイズ等の除去すべき不要な成分)をそれぞれ除去する。前記全漏れ電流波形調整部は、前記高次高調波除去後の前記基準波形と前記高次高調波除去後の前記比較波形との位相及び振幅の波形調整を行う。前記全漏れ電流差分検出部は、前記波形調整後の前記基準波形と前記波形調整後の前記比較波形との差分を検出する。更に、前記抵抗分電流検出部は、前記差分から、前記抵抗分電流を検出する。
そして、前記全漏れ電流波形調整部では、前記高次高調波除去後の前記基準波形と前記高次高調波除去後の前記比較波形とにおける、前記抵抗分電流が発生しない範囲において、前記基準波形と前記比較波形との差分が最小となるように前記基準波形と前記比較波形との前記位相及び前記振幅の前記波形調整を行うことを特徴とする。
更に、本発明の避雷器漏れ電流監視装置は、前記避雷器漏れ電流検出装置と、前記時刻情報を送信する時刻情報送信部と、前記全漏れ電流記憶部に記憶された情報を外部へ送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
本発明の避雷器漏れ電流検出方法、避雷器漏れ電流検出装置、及び避雷器漏れ電流監視装置によれば、簡単且つ的確に、避雷器の抵抗分電流を得ることができる。更に、避雷器の劣化と抵抗分電流は、大きな相関関係があると考えられることから、得られた抵抗分電流等に基づき、避雷器の劣化を早期に捉えることが可能になる。
図1は、本発明の実施例1における避雷器漏れ電流検出装置30を示す概略の構成図である。 図2は、一般的な新幹線き電線用避雷器の設置位置を示す図である。 図3は、図2中のき電線用避雷器10の等価回路を示す図である。 図4Aは、避雷器10の正常時に流れる全漏れ電流Ioを示すベクトル図である。 図4Bは、避雷器10の劣化時に流れる全漏れ電流Ioを示すベクトル図である。 図5は、非特許文献1に記載された抵抗分電流Irの検出イメージを示す図である。 図6は、図5において実際に測定で使用する電圧測定のイメージを示す図である。 図7は、特許文献1に記載された避雷器漏れ電流検出装置を示す構成図である。 図8は、図7の避雷器漏れ電流検出装置を用いた抵抗分電流Irの検出イメージを示す図である。 図9は、図8の方法の処理を示すフローチャートである。 図10は、全漏れ電流測定部31により測定された基準波形SWと比較波形CWを示す図である。 図11は、高次高調波除去後の基準波形SW(1)と比較波形CW(1)を示す図である。 図12Aは、位相調整前の基準波形SW(1)と比較波形CW(1)を示す図である。 図12Bは、位相調整後の基準波形SW(2)と比較波形CW(2)を示す図である。 図13Aは、振幅調整前の基準波形SW(2)と比較波形CW(2)を示す図である。 図13Bは、振幅調整後の基準波形SW(3)と比較波形CW(3)を示す図である。 図14は、基準波形SW(3)と比較波形CW(3)との差分波形DWを示す図である。 図15は、図1の避雷器漏れ電流検出装置30における避雷器漏れ電流検出方法を示すフローチャートである。 図16は、避雷器漏れ電流の模擬発生回路を示す図である。 図17Aは、き電電圧Eに対して新幹線変電所用避雷器の全漏れ電流Ioの実測波形を示す図である。 図17Bは、新幹線き電回線用避雷器の性能を示す図である。 図18Aは、交流電気鉄道変電所用(き電線側)避雷器の性能を示す図である。 図18Bは、酸化亜鉛形避雷器における保護性能を示す図である。 図19は、本発明の実施例2における避雷器漏れ電流検出装置を示す概略の構成図である。 図20は、本発明の実施例3における避雷器漏れ電流監視装置を示す概略の構成図である。 図21は、図20の避雷器漏れ電流監視装置の構成例を示す機能ブロック図である。
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1における避雷器漏れ電流検出装置30を示す概略の構成図である。
この避雷器漏れ電流検出装置30は、従来の図3と同様の避雷器10の漏れ電流を検出する装置である。避雷器10は、電源路としてのトロリ線3と接地線8との間に接続され、そのトロリ線3に侵入するサージ電圧を接地線8へ放電して保護対象機器を保護するものであり、非線形の抵抗素子11及び漂遊静電容量12の並列回路により表される。抵抗素子11の抵抗値はRであり、漂遊静電容量12の容量値はCである。
接地線8には、全漏れ電流測定部31が設けられている。全漏れ電流測定部31は、避雷器10が正常状態の場合であって且つ外部から与えられる時刻情報ITに基づいた所定時刻に、漂遊静電容量12を流れる静電容量分電流Icと抵抗素子11を流れる抵抗分電流Irとが合算された全漏れ電流Ioを測定して、基準波形SWの電流を出力し、更に、前記時刻情報ITに基づいた任意の日の前記所定時刻に、避雷器10の全漏れ電流Ioを測定して、比較波形CWの電流を出力するものであり、変流器(以下「CT」という。)等により構成されている。
全漏れ電流測定部31には、全漏れ電流記憶部としての記憶部32と、高次高調波除去部33と、が接続され、更に、その高次高調波除去部33に、全漏れ電流波形調整部としての波形調整部34、全漏れ電流差分検出部としての差分検出部35、及び抵抗分電流検出部36が接続されている。
記憶部32は、全漏れ電流測定部31で測定された基準波形SW等を記憶するものであり、この出力側に、高次高調波除去部33が接続されている。高次高調波除去部33は、記憶部32に記憶された基準波形SWと、全漏れ電流測定部31で測定された比較波形CWと、の高次高調波(即ち、高周波ノイズ等の除去すべき不要な成分)をそれぞれ除去し、高次高調波除去後の基準波形SW(1)及び比較波形CW(1)を出力するものであり、この出力側に、波形調整部34が接続されている。
波形調整部34は、高次高調波除去部33から出力された高次高調波除去後の基準波形SW(1)と比較波形CW(1)との位相及び振幅の波形調整を行うものであり、位相調整部34aと振幅調整部34bとにより構成されている。位相調整部34aは、高次高調波除去後の基準波形SW(1)と比較波形CW(1)との位相調整を行うものであり、この出力側に、振幅調整部34bが接続されている。振幅調整部34bは、位相調整後の基準波形SW(2)と比較波形CW(2)との振幅調整を行うものである。
このような波形調整部34では、高次高調波除去後の基準波形SW(1)と比較波形CW(1)とにおける、抵抗分電流Irが発生しない範囲(例えば、比較波形CW(1)の波高値の30%〜80%の範囲)において、基準波形SW(1)と比較波形CW(1)との差分が最小となるように、その基準波形SW(1)と比較波形CW(1)との位相及び振幅の波形調整を行うようになっている。振幅調整部34bの出力側には、差分検出部35が接続されている。
差分検出部35は、振幅調整後の基準波形SW(3)と比較波形CW(3)との差分を検出して差分波形DWを出力するものであり、この出力側に、抵抗分電流検出部36が接続されている。抵抗分電流検出部36は、差分波形DWから抵抗分電流Irを検出するものである。
(実施例1の避雷器漏れ電流検出方法の原理)
従来の図5に示す非特許文献1の方法、及び図8に示す特許文献1の方法では、図3の避雷器10における全漏れ電流Ioの波形と静電容量分電流Icの波形との差分を採ることで、抵抗分電流Irを検出している。しかし、上述した課題があるため、これを解決するために、本実施例1の避雷器漏れ電流検出方法では、避雷器10が正常状態の時の全漏れ電流Ioの波形(基準波形SW)を記憶しておき、その後任意の日時に測定する全漏れ電流Ioの波形(比較波形CW)と、基準波形SWとの差分(つまり、全漏れ電流波形同士の差分)を採ることで、抵抗分電流Irの波形を検出している。
このように、本実施例1の避雷器漏れ電流検出方法は、基準波形SWと比較波形CWとの差分をとることで、抵抗分電流Irを検出しているが、単純に基準波形SWと比較波形CWとの差分を採るだけでは、両波形に含まれる高次高調波成分や避雷器10に掛かる避雷器電圧Vの違い等が影響し、抵抗分電流Irを正確に検出することができない。そこで、両波形の差分をとる前に、高次高調波除去処理と、位相調整処理及び振幅調整処理からなる全漏れ電流波形調整処理としての波形調整処理と、を行って検出精度を高めている。
(実施例1の避雷器漏れ電流検出処理)
図10は、全漏れ電流測定部31により測定された基準波形SWと比較波形CWを示す図、図11は、高次高調波除去後の基準波形SW(1)と比較波形CW(1)を示す図、図12Aは、位相調整前の基準波形SW(1)と比較波形CW(1)を示す図、図12Bは、位相調整後の基準波形SW(2)と比較波形CW(2)を示す図である。図13Aは、振幅調整前の基準波形SW(2)と比較波形CW(2)を示す図、図13Bは、振幅調整後の基準波形SW(3)と比較波形CW(3)を示す図、更に、図14は、基準波形SW(3)と比較波形CW(3)との差分波形DW(即ち、抵抗分電流Irの波形)を示す図である。これらの図10〜図14において、横軸は時間(ms)、及び縦軸は電流(mA)である。
図15は、図1の避雷器漏れ電流検出装置30における避雷器漏れ電流検出方法を示すフローチャートである。以下、図15のフローチャートを参照しつつ、避雷器漏れ電流検出方法の処理(ステップS20〜S25)を説明する。
(1) 全漏れ電流測定記憶処理としての測定記憶処理(ステップS20)
前準備として、図1に示す避雷器10が正常状態の場合であって且つ時刻情報ITに基づいた所定時刻に、全漏れ電流測定部31により、全漏れ電流Ioの波形を測定し、この基準波形SWの電流を、予め、記憶部32に記憶しておく。測定された基準波形SWが、図10に示されている。
全漏れ電流Ioにおける基準波形SWの測定において、正確な波形データを得るためには、図2に示すように、電車1が在線していない時間帯で波形を取得することが望ましいので、時刻情報ITに基づいて所定時刻に測定する。
(2) 全漏れ電流測定処理(ステップS21)
前記時刻情報ITに基づいた任意の日の前記所定時刻に、全漏れ電流測定部31により、全漏れ電流Ioの比較波形CWを測定する。この比較波形CWが、図10に示されている。
全漏れ電流Ioにおける比較波形CWの測定は、例えば、1日1回、行われるが、正確な波形データを得るために、前記時刻情報ITに基づいて前記と同一の所定時刻に測定することが望ましい。
前記図10の波形は、図16、図17A、及び図17Bに示すように、以下のようにして求めたものである。なお、従来、避雷器漏れ電流の常時監視は行われていないため、避雷器劣化の傾向や過程を示すデータは得られていない。そこで、次のような避雷器劣化を模擬する回路を構成し、本実施例1の処理の流れを説明したものである。
図16は、避雷器漏れ電流の模擬発生回路40を示す図である。
この模擬発生回路40は、交流電圧(AC100V、50Hz)が1次側に印加された電圧調整用変圧器41と、この電圧調整用変圧器41の2次側に接続された絶縁変圧器42(1次100V/2次100V)と、を備えている。絶縁変圧器42の2次側から出力された避雷器電圧Vは、模擬的なき電回線用避雷器10Aに印加される。避雷器10Aは、抵抗素子11に相当する電圧制限素子としてのバリスタ11A(V1mA;120V)と、漂遊静電容量12に相当するコンデンサ12A(0.022μF)と、スイッチ43と、により構成されている。
図17Aは、非特許文献2に記載されているように、き電電圧Eに対して新幹線変電所用避雷器の全漏れ電流Ioの実測波形を示す図である。更に、図17Bは、新幹線き電回線用避雷器の性能を示す図である。
図10の波形は、図16の模擬発生回路40で取得したものである。模擬発生回路40を構成しているコンデンサ12Aの定数、及びバリスタ11Aの特性は、新幹線変電所において使用されているき電回線用避雷器(磁器がい管タイプ)と同等の漏れ電流が流れるように選定されている。
(3) 高次高調波除去処理(ステップS22)
高次高調波除去部33により、記憶部32に記憶された基準波形SWと測定された比較波形CWとから、それぞれ高次高調波成分を除去し、波形の歪みを最小限にする。
高次高調波成分を除去する方法には、例えば、デジタルフィルタにより、移動平均処理を用いる方法とフーリエ解析を用いる方法とがある。本実施例1では、例えば、移動平均処理を用いる方法で、3点の単純移動平均処理を100回繰り返し、高次高調波成分を除去した。この高次高調波除去後の基準波形SW(1)と比較波形CW(1)が、図11に示されている。
(4) 全漏れ電流波形調整処理としての波形調整処理(ステップS23)
ステップS23において、波形調整部34により、高次高調波除去後の基準波形SW(1)と比較波形CW(1)との波形を調整するために、ステップS23aにおいて、位相調整部34aによって位相調整処理を行い、次のステップS23bにおいて、振幅調整部34bによって振幅調整処理を行う。
先ず、ステップS23aの位相調整処理では、基準波形SW(1)と比較波形CW(1)との差分が最小となる位置を、両波形が同位相となる場所として、位相を調整する。しかし、放電前において、避雷器はほぼ容量性負荷として近似されることから、全漏れ電流位相と電圧位相とは90°異なるので、全漏れ電流波形のゼロクロス付近で最大電圧が抵抗素子に印加される結果、瞬間的に避雷器が放電(抵抗値が低下)し、波形が歪む。即ち、抵抗分電流Irがゼロクロス付近に発生している(電流波形に歪みが生じている)ため、この歪みの部分も含めて波形全体で差分を採ってしまうと、うまく位相を合わせることができない。そのため、抵抗分電流Irが発生しない範囲(領域A1,A2以外)で、両波形の差分を採る必要がある。
図12A及び図12Bは、新幹線変電所き電回線用避雷器(磁器がい管タイプ)をモデルとした波形である。この図12A及び図12Bにおいて、丸枠のA1,A2は、抵抗分電流Irの発生する領域、電流値が0.4mAの太い実線は、比較波形波高値の50%ライン、斜線部分のBは、基準波形SW(1),SW(2)と比較波形CW(1),CW(2)との差分の領域、更に、期間Hは、両波形の差分比較範囲である。
図12Aの領域A1,A2に示すように、抵抗分電流Irは、基準波形SW(1)及び比較波形CW(1)の両者共にそれぞれゼロクロス(0mA)付近にのみ発生する。そのため、例えば、電流値が0.4mAの太い実線で描かれた比較波形波高値の50%ラインを基準にして、両波形の差分比較範囲である期間Hにおいて、基準波形SW(1)と比較波形CW(1)(波高値の50%以上の部分のみ)との差分(斜線部分の領域B)を採ることで、抵抗分電流Ir成分の影響を最小限に抑えることができる。差分(領域B)の面積が最小になるように位相を調整した時の基準波形SW(2)及び比較波形CW(2)が、図12Bに示されている。
次に、ステップS23bの振幅調整処理において、振幅調整部34bにより、位相調整後の基準波形SW(2)と比較波形CW(2)との振幅を合わせる。
避雷器電圧Vは負荷電流の影響等により変化し、これに伴って全漏れ電流値Ioも変化するため、基準波形SW(2)と比較波形CW(2)の振幅は異なることがある。しかし、避雷器電圧Vの変化による全漏れ電流Ioの振幅変動は、避雷器10の劣化とは無関係である。そのため、両波形の振幅を合わせて避雷器電圧Vの変化による全漏れ電流Ioの振幅変動分を除去する必要がある。この理由により、振幅調整処理を行うものである。
図13A及び図13Bは、図12A及び図12Bと同様に、新幹線変電所き電回線用避雷器(磁器がい管タイプ)をモデルとした波形である。この図13A及び図13Bにおいて、丸枠のA1,A2は、抵抗分電流Irの発生する領域、電流値が0.4mAの太い実線は、比較波形波高値の50%ライン、斜線部分のBは、基準波形SW(2),SW(3)と比較波形CW(2),CW(3)との差分の領域、更に、期間Hは、両波形の差分比較範囲である。
振幅を合わせる方法には、例えば、基準波形SW(2)の振幅を、両波形の差分が最小となるように調整する方法がある。しかし、抵抗分電流Irがゼロクロス付近に発生している(電流波形に歪みが生じている)ため、この歪みの部分も含めて波形全体で差分を採ってしまうと、うまく振幅を合わせることができない。そのため、抵抗分電流Irが発生しない範囲(領域A1,A2以外)で、両波形の差分をとる必要がある。例えば、図13A及び図13Bに示すように、両波形の差分比較範囲である期間Hにおいて、両波形の差分(領域B)が最小となるように振幅を調整することで、抵抗分電流Ir成分への影響を最小限に抑えることができる。
なお、図12A、図12B、図13A、及び図13Bに示されている波形比較領域の適正レベルは、避雷器の種類によって異なる。図12A、図12B、図13A、及び図13Bの波形は、新幹線変電所き電回線用避雷器(磁器がい管タイプ)をモデルとした波形であり、この場合は、前記のように50%以上を比較領域とすることで良好な結果を得ている。
図18Aは、交流電気鉄道変電所用(き電線側)避雷器の性能を示す図である。更に、図18Bは、電気規格調査会(Japanese Electrotechnical Committee;JEC)のJEC−217規格に表示された酸化亜鉛形避雷器における保護性能を示す図である。
図18Aには、交流電気鉄道の変電所で使用されているき電回線用避雷器の種類(一例)が示されている。抵抗分電流Irが発生する領域は、図18A及び図18Bをはじめとした避雷器の種類(がい管材質の違いを含む)によって異なるため、比較領域はこの特性を考慮して適切に設定する必要が有る。本発明者は、試験により、比較波形波高値が30%〜80%の範囲において比較領域を設定すれば良好な結果が得られることが分かった。
(5) 全漏れ電流差分検出処理としての差分検出処理(ステップS24)
ステップ24の差分検出処理において、差分検出部35により、振幅調整後の基準波形SW(3)と比較波形CW(3)との差分を検出し、差分波形DWを求める。
(6)抵抗分電流検出処理(ステップS25)
ステップS25の抵抗分電流検出処理において、抵抗分電流検出部36により、差分波形DWから、図14の丸枠で示すように、抵抗分電流Irの波形を検出する。
(実施例1の変形例)
本実施例1では、次の(a)〜(d)のように変形しても良い。
(a) 図1において、全漏れ電流測定部31で測定された比較波形CWは、一旦、記憶部32に記憶した後、高次高調波除去部33において、記憶部32に記憶された基準波形SWと、記憶部32に記憶された比較波形CWと、の高次高調波をそれぞれ除去しても良い。
(b) 図1において、高次高調波除去後の基準波形SW(1)と比較波形CW(1)は、一旦、記憶部32に記憶した後、波形調整部34により、その記憶された基準波形SW(1)と比較波形CW(1)との波形調整を行っても良い。
(c) 図1及び図15において、波形調整部34によるステップS23の波形調整処理では、振幅調整を行った後に、位相調整を行っても良く、これにより、前記と同様の波形調整結果が得られる。
(d) 図15において、基準波形SWについては、ステップS20の測定記憶処理の段階で、予め高次高調波成分を除去した波形を記憶して用意しておいても良い。この場合、ステップS22の高次高調波除去処理では、比較波形CWの高次高調波のみが除去される。
(実施例1の効果)
本実施例1では、従来の非特許文献1及び特許文献1の方法及び装置に比べて、次の(1)〜(3)のような優位性(効果)がある。
(1) 従来の非特許文献1との比較
従来の非特許文献1の方法では、抵抗分電流Irを検出するために、全漏れ電流Ioの波形に加えて、測定することが難しい避雷器電圧Vの波形が必要であり、この避雷器電圧Vの測定がネックとなっていた。これに対し、本実施例1の方法では、抵抗分電流Irの検出に必要となる基準波形SWと比較波形CWは両波形とも全漏れ電流Ioから得られるデータであり、その他の避雷器電圧V等のデータを必要としないため、測定作業を容易に行えるようになる。
従来の非特許文献1で必須であった、「測定器」と「避雷器から離れた位置にある計器用変圧器」との接続が不要になり、測定を実施する際の配線作業の手間を低減できる。
又、従来の非特許文献1のような、避雷器電圧Vの測定を必要とする方法では、直接、避雷器電圧Vを測定することが困難であり、別系統の同等の電圧波形で代用せざるを得なかったため、測定結果の精度に多少の誤差が生じる恐れがある。これに対し、本実施例1では、代用データを使用することが無いので、高い精度で抵抗分電流Irを検出できる。
(2) 従来の特許文献1との比較
本実施例1の方法と従来の特許文献1の方法とを比較した場合、抵抗分電流Irの検出を、全漏れ電流Ioの測定のみで行えるという点では同じである。しかし、本実施例1の方法を示す図15と、従来の特許文献1の方法を示す図9と、を比較すれば、抵抗分電流Irを検出するまでに掛かる処理の数が大きく異なる。図15及び図9から明らかなように、本実施例1の方法による抵抗分電流Irの検出は、従来の特許文献1の方法より、格段に処理数が少ないことが分かる。これは、本実施例1の方法では、全漏れ電流波形をスムージングし、それを基準波形と整合し、その差分から抵抗電流成分を求めているからであり、更に、整合処理においては、「歪み部分」を除いた部分で整合することで処理を簡素化しているからである。そのため、例えば、図15のステップをマイコン等のプロセッサを用いて処理する場合、本実施例1の方が、プロセッサに組み込むプログラムを簡素化できる。
このように、本実施例1では、抵抗分電流Irを検出するために必要な処理が簡素で且つ少ないため、プロセッサに組み込むプログラムの作成が比較的容易になる。その結果、プログラムの内容が簡素化されることで、高性能なプロセッサではなく、汎用的なプロセッサで避雷器漏れ電流検出装置30を構成できるようになり、コストの削減が可能になる。
(3) その他の効果
避雷器10の劣化には、サージ電圧の印加により、抵抗素子11の抵抗値Rが低下して抵抗分電流Irが増加する場合と、避雷器10は屋外に設置されることが多いので、水分等の浸入により、抵抗素子11の抵抗値Rが低下して抵抗分電流Irが増加する場合と、が考えられる。本実施例1では、水分等の浸入によって抵抗分電流Irが増加した場合にも、簡単且つ的確にそれを検出することができる。
(実施例2の構成)
図19は、本発明の実施例2における避雷器漏れ電流検出装置を示す概略の構成図である。
本実施例2の避雷器漏れ電流検出装置50は、実施例1を示す図1の避雷器漏れ電流検出装置30に対して、デジタル処理が容易に行える構成になっている。
本実施例2の避雷器漏れ電流検出装置50は、避雷器10の接地線8に設けられた実施例1の全漏れ電流測定部31と同様の全漏れ電流測定部51を有している。全漏れ電流測定部51には、実施例1の高次高調波除去部32に対応する高次高調波除去部52、A/D変換部53、実施例1の記憶部32に対応する全漏れ電流記憶部としての記憶部54、実施例1の波形調整部34に対応する全漏れ電流波形調整部としての波形調整部55、実施例1の差分検出部35に対応する全漏れ電流差分検出部としての差分検出部56、及び、実施例1の抵抗分電流検出部36に対応する抵抗分電流検出部57が接続されている。
全漏れ電流測定部51は、避雷器10が正常状態の場合であって、且つ外部から与えられる時刻情報ITに基づいた所定時刻に、避雷器10の全漏れ電流Ioの波形を測定して、この測定結果である基準波形SWの電流を出力し、更に、時刻情報ITに基づいた任意の日の所定時刻に、全漏れ電流Ioの波形を測定して、この測定結果である比較波形CWの電流を出力するものである。全漏れ電流測定部51は、例えば、全漏れ電流Ioを検出するCT、及びこのCTの出力電流を取り込む制御手段等により構成され、この出力側に、高次高調波除去部52が接続されている。
高次高調波除去部52は、全漏れ電流測定部51から出力される基準波形SWの電流と比較波形CWの電流との高次高調波をそれぞれ除去して、高次高調波除去後の基準波形SW(1)の電流及び比較波形CW(1)の電流を出力するものである。高次高調波除去部52の出力側には、A/D変換部53が接続され、更に、このA/D変換部53に、記憶部54が接続されている。
A/D変換部53は、高次高調波除去後の基準波形SW(1)の電流をデジタル信号に変換して基準波形データDsw(1)を求めると共に、高次高調波除去後の比較波形CW(1)の電流をデジタル信号に変換して比較波形データDcw(1)を求め、これらの基準波形データDsw(1)及び比較波形データDcw(1)を、記憶部54に記憶するものである。
記憶部54は、基準波形データDsw(1)、比較波形データDcw(1)、前記時刻情報IT、及び前記所定時刻等を記憶するものであり、半導体メモリ等により構成されている。記憶部54には、波形調整部55、及び抵抗分電流検出部57が接続されている。
波形調整部55は、位相調整部55a及び振幅調整部55bにより構成されている。
位相調整部55aは、記憶部54に記憶された高次高調波除去後の基準波形データDsw(1)と比較波形データDcw(1)との位相調整を行うものである。位相調整部55aは、例えば、高次高調波除去後の基準波形データDsw(1)と比較波形データDcw(1)とにおける、抵抗分電流Irが発生しない範囲(例えば、比較波形Dcw(1)の波高値の30%〜80%(好ましくは50%以上)の範囲)において、基準波形データDsw(1)と比較波形データDcw(1)との差分が最小となるように、基準波形データDsw(1)と比較波形データDcw(1)の位相を調整するものである。位相調整部55aの出力側には、振幅調整部55bが接続されている。
振幅調整部55bは、位相調整後の基準波形データDsw(2)と比較波形データDcw(2)の振幅調整を行うものである。振幅調整部55bは、例えば、位相調整後の基準波形データDsw(2)と比較波形データDcw(2)とにおける、抵抗分電流Irが発生しない範囲(例えば、比較波形Dcw(2)の波高値の30%〜80%(好ましくは50%以上)の範囲)において、基準波形データDcw(2)と比較波形データDcw(2)との差分が最小となるように、基準波形データDsw(2)と比較波形データDcw(2)の振幅を調整するものである。振幅調整部55bの出力側には、差分検出部56が接続されている。
差分検出部56は、振幅調整後の基準波形データDsw(3)と比較波形データDcw(3)との差分を検出して差分波形データDdwを出力するものであり、この出力側に、抵抗分電流検出部57が接続されている。抵抗分電流検出部57は、差分波形データDdwから、抵抗分電流Irの抵抗分電流波形データDirを検出して、記憶部54に記憶させる機能を有している。
(実施例2の動作)
先ず、基準波形SWを取得するために、全漏れ電流測定部51により、時刻情報ITに基づいて所定の時刻に、避雷器10の接地線8に常時流れる全漏れ電流Ioを検出し、この検出した全漏れ電流Ioから最低1周期分の全漏れ電流波形(即ち、基準波形SW)を抽出する。抽出された基準波形SWは、高次高調波除去部52による平滑処理により、高次高調波成分が除去される。高次高調波除去後の基準波形SW(1)は、A/D変換部53により、デジタル信号に変換されて基準波形データDsw(1)が生成される。生成された基準波形データDsw(1)は、時刻情報ITと共に、記憶部54に記憶される。
次に、比較波形CWを取得するために、全漏れ電流測定部51により、時刻情報ITに基づいて任意の日の所定の時刻に(例えば、1日1回)、接地線8に常時流れる全漏れ電流Ioを検出し、この検出した全漏れ電流Ioから最低1周期分の全漏れ電流波形(即ち、比較波形CW)を抽出する。抽出された比較波形CWは、高次高調波除去部52による平滑処理により、高次高調波成分が除去される。高次高調波除去後の比較波形CW(1)は、A/D変換部53により、デジタル信号に変換されて比較波形データDcw(1)が生成される。生成された比較波形データDcw(1)は、時刻情報ITと共に、記憶部54に記憶される。
記憶部54に記憶された基準波形データDsw(1)と比較波形データDcw(1)とは、波形調整部55内の位相調整部55aによる位相調整により、位相が合わせられる。位相調整後の基準波形データDsw(2)と比較波形データDcw(2)とは、波形調整部55内の振幅調整部55bによる振幅調整により、振幅が合わせられる。振幅調整後の基準波形データDsw(3)と比較波形データDcw(3)とは、差分検出部56により、差分が取られて差分波形DWの差分波形データDdwが生成される。生成された差分波形データDdwから、抵抗分電流検出部57によって、抵抗分電流波形データDirが検出される。検出された抵抗分電流波形データDirは、時刻情報ITと共に、記憶部54に記憶される。
(実施例2の変形例)
波形調整部55において、位相調整部55aと振幅調整部55bとを入れ代え、先に振幅調整を行い、後に、位相調整を行うような構成に変更しても良い。
(実施例2の効果)
本実施例2の避雷器漏れ電流検出装置50によれば、実施例1と略同様の効果がある。更に、デジタル処理が容易に行える構成になっているので、マイコン等のプロセッサによるプログラム制御が可能になる。
本発明の実施例3は、実施例2の避雷器漏れ電流検出装置50を備える避雷器漏れ電流監視装置に関するものである。
(実施例3の構成)
図20は、本発明の実施例3における避雷器漏れ電流監視装置を示す概略の構成図である。この図20において、実施例2を示す図19中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例3の避雷器漏れ電流監視装置は、実施例2の避雷器漏れ電流検出装置50と、時刻情報送信部110と、送信部としてのデータ送信部120と、を備えている。
避雷器漏れ電流検出装置50は、避雷器10の接地線8に設けられた全漏れ電流測定用のCT71及びサージ電流測定用のCT91に接続されている。全漏れ電流測定用のCT71は、避雷器10から接地線8へと常時流れる全漏れ電流Ioを測定して、この全漏れ電流Ioに対応する電流を出力するものである。サージ電流測定用のCT91は、雷サージが発生した際に、トロリ線3から避雷器10を通して接地線8へと流れるサージ電流Isを測定してこれに対応する電流を出力するものである。
避雷器漏れ電流検出装置50は、検出された波形データ等を記憶する記憶部54と、この記憶部54に対するデータのアクセス(読み書き)を制御し、検出された波形データの処理や時刻情報ITの管理等を行う制御部60と、を有している。制御部60は、例えば、マイコン等のプロセッサにより構成されている。
時刻情報送信部110は、最新の時刻情報ITを制御部60へ送信し続けるものであり、例えば、時刻情報等を送信するGPS(Global Positioning System)モジュール等により構成されている。データ送信部120は、記憶部54に記憶された記憶データDmを遠方へ送信するものであり、例えば、無線LAN(Local Area Network)の規格の一つであるwifi(Wireless Fidelity)モジュール等により構成されている。
図21は、図20の避雷器漏れ電流監視装置における具体的な構成例を示す機能ブロック図である。
避雷器漏れ電流検出装置50内の制御部60は、全漏れ電流測定用のCT71に接続された基準波形データ取得部70及び比較波形データ取得部80と、サージ電流測定用のCT91に接続されたサージ電流波形データ取得部90と、記憶部54に接続された抵抗分電流波形データ取得部100と、を有している。
基準波形データ取得部70は、CT71の出力電流から、基準波形データDsw(1)を取得するものであり、増幅器(以下「アンプ」という。)72、高次高調波除去部52a、及びA/D変換部53aを有している。
アンプ72は、CT71の出力電流を増幅して、基準波形SWの電流を出力する回路であり、この出力側に、高次高調波除去部52aが接続されている。高次高調波除去部52aは、図19中の高次高調波除去部52と同様に、アンプ72から出力される基準波形SWの電流の高次高調波を除去して、高次高調波除去後の基準波形SW(1)の電流を出力するものであり、この出力側に、A/D変換部53aが接続されている。A/D変換部53aは、図19中のA/D変換部53と同様に、高次高調波除去後の基準波形SW(1)の電流をデジタル信号に変換して基準波形データDsw(1)を出力するものであり、この出力側に、記憶部54が接続されている。
比較波形データ取得部80は、CT71の出力電流から、比較波形データDcw(1)を取得するものであり、アンプ82、高次高調波除去部52b、及びA/D変換部53bを有している。
アンプ82は、CT71の出力電流を増幅して、比較波形CWの電流を出力する回路であり、この出力側に、高次高調波除去部52bが接続されている。高次高調波除去部52bは、図19中の高次高調波除去部52と同様に、アンプ82から出力される比較波形CWの電流の高次高調波を除去して、高次高調波除去後の比較波形CW(1)の電流を出力するものであり、この出力側に、A/D変換部53bが接続されている。A/D変換部53bは、図19中のA/D変換部53と同様に、高次高調波除去後の比較波形CW(1)の電流をデジタル信号に変換して比較波形データDcw(1)を出力するものであり、この出力側に、記憶部54が接続されている。
サージ電流波形データ取得部90は、CT91の出力電流から、サージ電流波形データDisを取得するものであり、レベル変換部92、極性変換部93、及びA/D変換部94を有している。
レベル変換部92は、CT91の出力電流のレベルを変換する回路であり、この出力側に、極性変換部93が接続されている。極性変換部93は、レベル変換部92の出力電流の極性を揃えるための回路(例えば、出力電流が負極性のものについては正極性に変換し、全て正極性に揃えるための回路)であり、この出力側に、A/D変換部94が接続されている。A/D変換部94は、極性変換部93の出力電流をデジタル信号に変換してサージ電流波形データDisを出力するものであり、この出力側に、記憶部54が接続されている。
抵抗分電流波形データ取得部100は、記憶部54に記憶された高次高調波除去後の基準波形データDsw(1)と比較波形データDcw(1)とに基づき、抵抗分電流Irの抵抗分電流波形データDirを取得して、記憶部54に記憶させるものである。この抵抗分電流波形データ取得部100は、図19中のものと同様の、位相調整部55a及び振幅調整部55bからなる波形調整部55と、差分検出部56と、抵抗分電流検出部57と、を有している。
時刻情報送信部110から出力される時刻情報ITは、制御部60の制御によって記憶部54に記憶される。データ送信部120は、制御部60の制御によって記憶部54から読み出された記憶データDmを遠方へ送信する機能を有している。
(実施例3の動作)
本実施例3の避雷器漏れ電流監視装置において、基準波形取得時の動作(I)と、比較波形取得時の動作(II)と、サージ電流検出時の動作(III)と、について説明する。
(I) 基準波形取得時の動作
実施例2と同様に、CT71により、時刻情報送信部110から送信される時刻情報ITに基づき、所定の時刻に、避雷器10に接続された接地線8に常時流れる全漏れ電流Ioを検出し、この検出した全漏れ電流Ioから最低1周期分の全漏れ電流波形(即ち、基準波形SW)を抽出する。
抽出された基準波形SWは、基準波形データ取得部70内において、アンプ72により増幅された後、高次高調波除去部52aによる平滑処理により、高次高調波成分が除去される。高次高調波除去後の基準波形SW(1)は、A/D変換部53aにより、デジタル信号に変換されて基準波形データDsw(1)が生成される。生成された基準波形データDsw(1)は、時刻情報送信部110から得た時刻情報ITと共に、記憶部54に記憶される。
記憶部54に記憶された基準波形データDsw(1)及び時刻情報ITの記憶データDmは、データ送信部120を通して遠方へ送信される。
(II) 比較波形取得時の動作
実施例2と同様に、CT71により、時刻情報送信部110から送信される時刻情報ITに基づき、任意の日の所定の時刻に(例えば、1日1回)、接地線8に常時流れる全漏れ電流Ioを検出し、この検出した全漏れ電流Ioから最低1周期分の全漏れ電流波形(即ち、比較波形CW)を抽出する。
抽出された比較波形CWは、比較波形データ取得部80内において、アンプ82により増幅された後、高次高調波除去部52bによる平滑処理により、高次高調波成分が除去される。高次高調波除去後の比較波形CW(1)は、A/D変換部53bにより、デジタル信号に変換されて比較波形データDcw(1)が生成される。生成された比較波形データDcw(1)は、時刻情報ITと共に、記憶部54に記憶される。
記憶部54に記憶された基準波形データDsw(1)と比較波形データDcw(1)とは、抵抗分電流波形データ取得部100内において、実施例2と同様に、波形調整部55内の位相調整部55aによる位相調整により、位相が合わせられる。位相調整後の基準波形データDsw(2)と比較波形データDcw(2)とは、波形調整部55内の振幅調整部55bによる振幅調整により、振幅が合わせられる。
振幅調整後の基準波形データDsw(3)と比較波形データDcw(3)とは、差分検出部56により、差分が取られて差分波形DWの差分波形データDdwが生成される。生成された差分波形データDdwから、抵抗分電流検出部57によって、抵抗分電流波形データDirが検出される。検出された抵抗分電流波形データDirは、時刻情報ITと共に、記憶部54に記憶される。
記憶部54に記憶された前記の比較波形データDcw(1)、抵抗分電流波形データDir、及び時刻情報ITの記憶データDmは、データ送信部120を通して遠方へ送信される。
(III) サージ電流検出時の動作
例えば、トロリ線3と接地Gとの間に、過大な雷サージ電圧が発生すると、避雷器10が放電し、接地線8にサージ電流Isが流れる。接地線8に流れるサージ電流Isは、CT91で測定される。測定されたサージ電流波形ISWは、サージ電流波形データ取得部90内において、レベル変換部92によってレベル変換された後、極性変換部93によって極性変換される。
極性変換された電流波形は、A/D変換部94により、デジタル信号に変換されてサージ電流波形データDisが生成される。生成されたサージ電流波形データDisは、時刻情報送信部110から送信される時刻情報ITと共に、記憶部54に記憶される。
記憶部54に記憶された前記のサージ電流波形データDis、及び時刻情報ITの記憶データDmは、データ送信部120を通して遠方へ送信される。
(実施例3の変形例)
実施例2の変形例と同様に、波形調整部55において、位相調整部55aと振幅調整部55bとを入れ代え、先に振幅調整を行い、後に、位相調整を行うような構成に変更しても良い。
(実施例3の効果)
本実施例3の避雷器漏れ電流監視装置によれば、実施例2と同様の効果がある。更に、避雷器10の劣化と抵抗分電流Irは、大きな相関関係があると考えられることから、得られた抵抗分電流波形データDir等に基づき、避雷器10の劣化を容易に且つ早期に発見できるようになる。これにより避雷器の損傷を未然に防ぐことができ、ひいては、避雷器の損傷による電力系統の故障についても未然に防ぐことができる。そのため、設備の安定稼動を実現することができる。
3 トロリ線
8 接地線
10 避雷器
11 抵抗素子
12 漂遊静電容量
30,50 避雷器漏れ電流検出装置
31,51 全漏れ電流測定部
32,54 記憶部
33,52 高次高調波除去部
34,55 波形調整部
34a,55a 位相調整部
34b,55b 振幅調整部
35,56 差分検出部
36,57 抵抗分電流検出部
60 制御部
70 基準波形データ取得部
80 比較波形データ取得部
90 サージ電流波形データ取得部
100 抵抗分電流波形データ取得部
110 時刻情報送信部
120 データ送信部

Claims (6)

  1. 電源路と接地線との間に接続され、前記電源路に侵入するサージ電圧を前記接地線へ放電して保護対象機器を保護するための、非線形の抵抗素子及び漂遊静電容量の並列回路により表される避雷器に対し、
    前記避雷器の全漏れ電流を検出する避雷器漏れ電流検出方法であって、
    前記避雷器が正常状態の場合であって且つ時刻情報に基づいた所定時刻に、前記漂遊静電容量を流れる静電容量分電流と前記抵抗素子を流れる抵抗分電流とが合算された全漏れ電流を測定し、基準波形の電流を求めて予め記憶する全漏れ電流測定記憶処理と、
    前記時刻情報に基づいた任意の日の前記所定時刻に、前記避雷器の前記全漏れ電流を測定して、比較波形の電流を出力する全漏れ電流測定処理と、
    前記全漏れ電流測定記憶処理で記憶された前記基準波形と前記比較波形との高次高調波をそれぞれ除去する前記全漏れ電流における高次高調波除去処理と、
    前記高次高調波除去後の前記基準波形と前記高次高調波除去後の前記比較波形との位相及び振幅の波形調整を行う全漏れ電流波形調整処理と、
    前記波形調整後の前記基準波形と前記波形調整後の前記比較波形との差分を検出する全漏れ電流差分検出処理と、
    前記差分から、前記抵抗分電流を検出する前記全漏れ電流における抵抗分電流検出処理と、
    を有することを特徴とする避雷器漏れ電流検出方法。
  2. 請求項1記載の避雷器漏れ電流検出方法において、
    前記全漏れ電流測定記憶処理では、
    前記基準波形の前記高次高調波を除去した後に予め記憶しておき、
    前記高次高調波除去処理では、
    前記比較波形の前記高次高調波のみを除去する、
    ことを特徴とする避雷器漏れ電流検出方法。
  3. 前記全漏れ電流波形調整処理では、
    前記高次高調波除去後の前記基準波形と前記高次高調波除去後の前記比較波形とにおける、前記抵抗分電流が発生しない範囲において、前記基準波形と前記比較波形との差分が最小となるように前記基準波形と前記比較波形との前記位相及び前記振幅の前記波形調整を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の避雷器漏れ電流検出方法。
  4. 電源路と接地線との間に接続され、前記電源路に侵入するサージ電圧を前記接地線へ放電して保護対象機器を保護するための、非線形の抵抗素子及び漂遊静電容量の並列回路により表される避雷器に対し、
    前記避雷器の全漏れ電流を検出する避雷器漏れ電流検出装置であって、
    前記避雷器が正常状態の場合であって且つ時刻情報に基づいた所定時刻に、前記漂遊静電容量を流れる静電容量分電流と前記抵抗素子を流れる抵抗分電流とが合算された全漏れ電流を測定して、基準波形の電流を出力し、更に、前記時刻情報に基づいた任意の日の前記所定時刻に、前記避雷器の前記全漏れ電流を測定して、比較波形の電流を出力する全漏れ電流測定部と、
    前記基準波形を記憶する全漏れ電流記憶部と、
    前記全漏れ電流記憶部に記憶された前記基準波形と前記比較波形との高次高調波をそれぞれ除去する前記全漏れ電流における高次高調波除去部と、
    前記高次高調波除去後の前記基準波形と前記高次高調波除去後の前記比較波形との位相及び振幅の波形調整を行う全漏れ電流波形調整部と、
    前記波形調整後の前記基準波形と前記波形調整後の前記比較波形との差分を検出する全漏れ電流差分検出部と、
    前記差分から、前記抵抗分電流を検出する前記全漏れ電流における抵抗分電流検出部と、
    を有し、
    前記全漏れ電流波形調整部では、
    前記高次高調波除去後の前記基準波形と前記高次高調波除去後の前記比較波形とにおける、前記抵抗分電流が発生しない範囲において、前記基準波形と前記比較波形との差分が最小となるように前記基準波形と前記比較波形との前記位相及び前記振幅の前記波形調整を行うことを特徴とする避雷器漏れ電流検出装置。
  5. 請求項4記載の避雷器漏れ電流検出装置と、
    前記時刻情報を送信する時刻情報送信部と、
    前記全漏れ電流記憶部に記憶された情報を外部へ送信する送信部と、
    を備えることを特徴とする避雷器漏れ電流監視装置。
  6. 請求項5記載の避雷器漏れ電流監視装置は、更に、
    前記サージ電圧の発生時に、前記電源路から前記避雷器を通して前記接地線へ流れるサージ電流を測定するサージ電流測定部と、
    前記サージ電流測定部で測定された前記サージ電流に対してレベル変換及び極性変換を行ってサージ電流波形データを取得し、前記時刻情報送信部から受信した前記時刻情報と共に、前記サージ電流波形データを、前記全漏れ電流記憶部に記憶させるサージ電流波形データ取得部と、
    を備えることを特徴とする避雷器漏れ電流監視装置。
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