JP2017120303A - レンズシート、撮像モジュール、撮像装置 - Google Patents
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Abstract
Description
前述のように撮像レンズは、複数枚のレンズにより構成されるため、大型であり、ライトフィールドカメラの小型化、薄型化が困難であった。また、隔壁シートを配置する場合には、隔壁とマイクロレンズアレイとの位置合わせが困難であるという問題があった。
また、撮像モジュール等において、光の利用効率を向上させ明るい画像を表示することは、常々求められることである。
請求項1の発明は、撮像素子部よりも光の入射側に配置され、一方の面が光学形状を有する光学形状面(11a)であるレンズシートであって、柱状であってシート面に沿って一方向に配列され、前記光学形状面側に凸状の単位レンズ形状(112)を有する光透過部(111)と、前記光透過部と交互に配列され、前記光透過部の長手方向に延在し、かつ、前記レンズシートの厚み方向に沿って、前記光学形状面の反対側となる裏面(11b)側から前記光学形状面側へ延びる光吸収部(113)と、を備えるレンズシート(11)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のレンズシートにおいて、前記光透過部(111)の屈折率は、前記光吸収部(113)の屈折率以下であること、を特徴とするレンズシート(11)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のレンズシートにおいて、前記光透過部(111)と前記光吸収部(113)との界面が、該レンズシートの厚み方向となす角度(θ)は、0°以上10°以下であること、を特徴とするレンズシート(11)である。
請求項4の発明は、入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部(21)と、前記撮像素子部よりも被写体側に配置される請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のレンズシート(11)を備えるレンズシートユニット(10)と、を備える撮像モジュールであって、前記レンズシートユニットは、前記レンズシートの前記撮像素子部側に、一方の面が光学形状を有する第2の光学形状面(12a)である第2のレンズシート(12)を備え、前記第2のレンズシートは、柱状であってシート面に沿って一方向に配列され、前記第2の光学形状面側に凸状の第2の単位レンズ形状を有する第2の光透過部(121)と、前記第2の光透過部と交互に配列され、前記第2の光透過部の長手方向に延在し、かつ、前記第2のレンズシートの厚み方向に沿って、前記光学形状面の反対側となる裏面(12b)側から前記光学形状面側へ延びる第2の光吸収部(123)と、を備え、光軸方向から見て、前記光透過部(111)の配列方向(R11)と前記第2の光透過部の配列方向(R12)とは、角度αをなして交差していること、を特徴とする撮像モジュール(20)である。
請求項5の発明は、請求項4に記載の撮像モジュールにおいて、前記角度αは、80°≦α≦100°を満たすこと、を特徴とする撮像モジュール(20)である。
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載の撮像モジュールにおいて、前記第2の光透過部(121)の屈折率は、前記第2の光吸収部(123)の屈折率以下であること、を特徴とする撮像モジュール(20)である。
請求項7の発明は、請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の撮像モジュールにおいて、前記第2の光透過部(121)と前記第2の光吸収部(123)との界面が、前記第2のレンズシート(12)の厚み方向となす角度(θ)は、0°以上10°以下であること、を特徴とする撮像モジュール(20)である。
請求項8の発明は、請求項4から請求項7までのいずれか1項に記載の撮像モジュール(20)を備える撮像装置(1)である。
請求項9の発明は、入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部(21)と、前記撮像素子部よりも被写体側に配置される請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のレンズシート(11)と、を備える撮像モジュール(20)である。
請求項10の発明は、入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部(21)と、前記撮像素子部よりも被写体側に配置される請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のレンズシート(11)と、を備える撮像装置(1)である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
また、本明細書中において、板、シート等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
本明細書中において、記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
本明細書中において、シート面とは、シート状の部材において、そのシート全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものである。
図1は、本実施形態のカメラ1を説明する図である。
図2は、本実施形態の撮像モジュール20を説明する図である。
図1を含め、以下に示す各図において、理解を容易にするために、適宜、XYZ直交座標系を設けて示している。この座標系では、撮影者が、撮像装置を基本的な姿勢で支持し、光軸Oを水平として画像を撮影するとき、水平方向(左右方向)をX方向、鉛直方向(上下方向)をY方向とし、撮影者側から見て左側(被写体側から見て右側)に向かう方向を+X方向、鉛直方向上側に向かう方向を+Y方向、光軸O方向をZ方向とし、被写体側に向かう方向を+Z方向とする。
カメラ1は、スマートフォン等の携帯電話やタブレット端末等の携帯端末に用いられる撮像装置であり、この筐体30は、携帯端末本体の筐体に相当する。このカメラ1は、さらに、不図示の制御部、記憶部等を備えている。
また、カメラ1は、筐体30をカメラ本体の筐体として備える、一般的な撮像装置としてもよい。この場合、カメラ1は、制御部、記憶部等に加えて、不図示のシャッタ部、シャッタ駆動部等を備える。
開口部31は、被写体側からの光を、カメラ1の撮像モジュール20へ取り込む開口である。この開口部31には、撮像モジュール20への埃やゴミ等の異物の侵入を防止する等の観点から、開口部31を覆うように、透光性を有する保護シート32が配置されている。この保護シート32は、ガラス製としてもよいし、樹脂製としてもよい。
レンズシートユニット10及びイメージセンサ21は、矩形状の平板状の部材であり、その幾何学的中心に光軸Oが直交している。
図4は、本実施形態の第1レンズシート11及び第2レンズシート12を説明する図である。図4(a)では、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向及び第1レンズシート11の厚み方向に平行な断面の一部を拡大して示し、図4(b)では、図4(a)に示す断面の一部をさらに拡大して示している。また、図4では、第1レンズシート11の符号を示し、括弧内に対応する第2レンズシート12の符号を示している。
レンズシートユニット10は、第1レンズシート11、第2レンズシート12が一体に積層されて不図示の支持部材により支持され、イメージセンサ21に対する上下方向(Y方向)及び左右方向(X方向)、光軸O方向(Z方向)での位置が位置決めされている。
本実施形態の第1レンズシート11では、光透過部111は、その配列方向R11が上下方向(Y方向)に平行であり、その長手方向(稜線方向)が左右方向(X方向)に平行となっている。
単位レンズ形状112は、光透過部111の配列方向において、連続して配列されており、その配列方向における幅(レンズ開口幅)D1は、その配列ピッチPに等しい形態となっている。
この反射防止層は、反射防止機能を有する材料(例えば、フッ化マグネシウム(MgF2)、二酸化ケイ素(SiO2)、フッ素系光学用コーティング剤等)を所定の膜厚でコーティングする等により形成される。
このランド部114は、その厚みD3(Z方向の寸法)ができる限り薄い方が好ましく、ランド部114の厚さD3が0であること(即ち、ランド部114が存在しない形態)が、迷光や後述のクロストーク等を抑制し、高画質の画像を提供する観点から理想的である。
このような光透過部111は、例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂により形成される。
また、光透過部111は、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよいし、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等の熱可塑性樹脂等を用いて熱溶融押出成形法等により形成されてもよいし、ガラス等により形成されてもよい。
光吸収部113は、その配列方向及び第1レンズシート11の厚み方向に平行な断面における断面形状が楔形形状、もしくは、矩形形状である。ここでいう楔形形状とは、一方の端部の幅が広く、他方に向けて次第に幅が狭くなる形状をいい、三角形形状や台形形状等を含む。
光吸収部113は、光透過部111内を進む光のうち、隣接する他の光透過部111側へ向かうような迷光を吸収する機能を有する。
このような光吸収部113は、カーボンブラック等の光吸収性を有する材料(以下、光吸収材という)や、光吸収材を含有した樹脂等により形成される。
光吸収部113に用いられる光吸収材は、可視光領域の光を吸収する機能を有する粒子状等の部材が好適である。このような部材としては、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、顔料や染料、顔料や染料で着色された樹脂粒子等が挙げられる。
また、光吸収材としては、カーボンブラック等と上記のような着色された樹脂粒子とを組み合わせて用いてもよい。
このような光吸収材を含有する樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等の電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
本実施形態の光吸収部113は、カーボンブラックを含有するアクリル系樹脂により形成されている。
光透過部111(単位レンズ形状112)の配列ピッチPは、約20〜200μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状112の曲率半径Rは、約10〜180μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状112のレンズ開口幅D1(光透過部111の配列方向R11における単位レンズ形状112の幅)は、約20〜200μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状112のレンズ高さH1(第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)において、単位レンズ形状112間の谷底となる点t1から単位レンズ形状112の最も凸となる点(頂点)t3までの寸法)は、約2〜40μmとすることが好ましい。
第1レンズシート11の厚みT(第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)における裏面11bから点t3までの寸法)は、約30〜480μmである。この厚みTは、光透過部111の厚さに等しい。
光吸収部113の高さH2(第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)における光吸収部113の寸法)は、約20〜470μmとすることが好ましい。
光吸収部113と光透過部111との界面がシート面の法線方向(Z方向)となす角度θは、0〜10°程度とすることが好ましい。
第2レンズシート12は、前述の第1レンズシート11と略同様の形状であり、単位レンズ形状122を有する光透過部121、光吸収部123等を有している。しかし、第2レンズシート12では、凸状の単位レンズ形状122が形成されるレンズ形状面12aの位置、及び、光透過部121及び光吸収部123の配列方向R12は、第1レンズシート11とは異なる。
また、図3(b)に示すように、第2レンズシート12では、光透過部121及び光吸収部123の配列方向R12は、光軸O方向(Z方向)から見て、第1レンズシート11の光透過部111及び光吸収部113の配列方向R11と交差し、角度αをなしている。本実施形態では、この角度α=90°であり、第2レンズシート12の光透過部121(単位レンズ形状122)は、配列方向R12が左右方向(X方向)に平行であり、長手方向(稜線方向)が上下方向(Y方向)に平行である。
この第2レンズシート12は、第1レンズシート11と同様の材料、製造方法により形成される。
第2レンズシート12とイメージセンサ21とを接合する接合層は、光透過性を有する粘着剤又は接着剤により形成されている。また、この接合層は、その屈折率が、第2レンズシート12の光透過部121の屈折率N1と等しい、もしくは、屈折率差ができる限り小さいことが好ましい。
このような接合層としては、エポキシ樹脂製、ウレタン樹脂製等の粘着剤、接着剤が好適である。
また、この接合層は、その屈折率が光透過部121の屈折率N1よりも小さいものも適用可能であり、例えば、シリコーン系粘着剤等が適用可能である。
また、第1レンズシート11と第2レンズシート12とは、単位レンズ形状112,122がその頂点(点t3)で互いに接した状態で配置されており、第1レンズシート11の単位レンズ形状112と第2レンズシート12の単位レンズ形状122との間の隙間部分には、空気が位置する形態となっている。なお、光軸O方向において、単位レンズ形状112の頂点と単位レンズ形状122の頂点とは、わずかに隙間を有し、接していない形態としてもよい。
図5は、本実施形態の第1レンズシート11の製造方法の一例を説明する図である。
まず、図5(a)に示すように、光透過部111の単位レンズ形状112の形状を賦形する成形型71と、光透過部111の裏面11b及び光吸収部113を形成するための溝形状を賦形する成形型72を用意する。
次に、図5(b)に示すように、成形型71と成形型72とを位置合わせし、成形型71,72間の空間に光透過部111を形成する紫外線硬化型樹脂111Rを充填し、紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂を硬化させ、離型する。
これにより、図5(c)に示すように、光吸収部113用の溝mが形成された溝付き光透過部111Aが形成される。
次に、図5(d)に示すように、溝付き光透過部111Aの裏面側から光吸収部113を形成する材料(以下、光吸収部形成材料113Rという)を塗布して、ワイピングし、溝mに光吸収部形成材料113Rを充填し、硬化させ、光吸収部113を形成する。
これにより、図5(e)に示すように、第1レンズシート11が形成される。
例えば、一方の面に単位レンズ形状112,122が形成され、他方の面が平面状であるレンズシートを紫外線硬化型樹脂等により作成し、他方の面側から光吸収部113,123が形成される溝をレーザー加工やダイシング加工等により形成する。その後、溝に光吸収部形成材料を充填して硬化させることにより、第1レンズシート11及び第2レンズシート12を作製してもよい。
また、例えば、一方の面が平面状であり、他方の面に光吸収部113,123を形成する溝が形成された溝付きシートを紫外線硬化型樹脂等により形成する。そして、平面状である一方の面上に、紫外線硬化型樹脂等により、単位レンズ形状112,122を賦形し、その後、溝に光吸収部形成材料を充填し、第1レンズシート11及び第2レンズシート12を作製してもよい。
また、光吸収部113,123の充填方法は、上述のワイピング等に限らず、例えば、真空充填により充填してもよいし、毛細管現象を利用して充填してもよい。
第1レンズシート11及び第2レンズシート12の製造方法は、適宜選択して用いてよく、この製造方法に応じて使用する樹脂等を適宜選択してよい。
比較例のレンズシート91は、光吸収部913が単位レンズ形状112が形成されるレンズ形状面91a側から裏面91b側へ延びている点以外は、本実施形態の第1レンズシート11と同様である。したがって、同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
比較例のレンズシート91では、光吸収部913を形成する際に、光吸収部形成材料913Rをレンズ形状面91aに塗布し、ワイピングを行い、硬化させている。この際、十分に光吸収部形成材料913Rを掻き取れず、単位レンズ形状912間の底部分(光吸収部913のレンズ形状面91a側端部近傍)に、光吸収部形成材料913Rが残ってしまう場合がある。この場合、単位レンズ形状912のレンズ開口幅D1が本来の設計での幅よりも狭くなり、残った光吸収部形成材料913Rに、撮像モジュールに入射した光の一部が入射して吸収され、光の利用効率が低下し、撮像される画像が暗くなってしまう場合がある。
また、十分に掻き取れ得るように強めにワイピング等を行うと、単位レンズ形状912が傷ついたり、変形したりする場合があり、好ましくない。
さらに、個々のレンズシートにおいて、光吸収部形成材料913Rの残り方がばらつくために、レンズシート91の品質が安定せず、生産性が低下するという問題がある。
従って、単位レンズ形状112間の底部分に光吸収部形成材料が残ることはなく、単位レンズ形状112,122のレンズ開口幅D1が十分に確保される。また、個々のレンズシートによって、単位レンズ形状112間の底部分に残る光吸収部形成材料のばらつき等がなくなるので、生産性が向上し、安定して良好なレンズシートを製造できる。
イメージセンサ21を構成する複数の画素は、イメージセンサ21の受光面である被写体側の表面に、2次元方向に配列されている。本実施形態では、イメージセンサ21の画素211(後述の図7(a)参照)は、左右方向及び上下方向(X方向及びY方向)に複数配列されている。
このようなイメージセンサ21としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等が好適に用いられる。
本実施形態のイメージセンサ21は、CMOSが用いられている。
被写体からの光は、開口部31の保護シート32を透過して撮像装置1内に入射し、撮像モジュール20のレンズシートユニット10内に進み、第1レンズシート11及び第2レンズシート12を透過する。
図3(b)に示すように、レンズシートユニット10の第1レンズシート11、第2レンズシート12は、光軸O方向(Z方向)から見た場合に、光透過部111(単位レンズ形状112)の配列方向R11と光透過部121(単位レンズ形状122)の配列方向R12とが角度α=90°をなすように配置されている。また、第1レンズシート11、第2レンズシート12は、光透過部111,121間に光吸収部113,123を有している。
従って、レンズシートユニット10は、光学的には、マイクロレンズが2次元方向(X方向及びY方向)に配置され、マイクロレンズ間に遮光壁が形成された状態に略等しい。
また、光透過部111,121内を光軸O方向に対して大きな角度をなす方向へ進む光の少なくとも一部は、光吸収部113,123に入射して吸収される。そして、レンズシートユニット10を透過した光は、イメージセンサ21の受光面で焦点を結ぶ。
イメージセンサ21の受光面上には、この疑似的なマイクロレンズにより結像された像が、それぞれ重なることなく形成される(後述の図7(a)参照)。
撮影時に撮像モジュール20により得られた、各画素が検出した入射光の強度及び入射方向の情報は、記憶部に記憶される。そして、制御部により各種演算等が行われることにより、撮影後に、その焦点距離や被写界深度等を変更した(リフォーカス処理を行った)画像データとして生成可能である。
一般的に、ライトフィールドカメラでは、マイクロレンズアレイの1つのマイクロレンズに対して、イメージセンサ21の所定の領域内に位置する複数個の画素211が対応している。そして、それぞれのマイクロレンズによる像が、対応する領域内に投影されることが重要である。
このとき、例えば、図7(b)に示すように、各マイクロレンズの像が隣の領域等に投影され、像が重なると、被写体面上で異なる位置と角度を有する光が同一の画素に入射するクロストークという現象が生じ、光の入射方向や強度を分解できなくなる。
これを解消するために、従来のライトフィールドカメラでは、マイクロレンズアレイよりも被写体側に設けられた撮像レンズの絞りを利用したり、マイクロレンズアレイの各単位レンズに対応した隔壁を有する隔壁シートをマイクロレンズアレイのイメージセンサ側等に別体で用意したりする必要があった。
従って、マイクロレンズアレイと隔壁シートとの位置合わせ精度ずれによる歩留りの低下を抑制できる。また、位置合わせが不要となるので、ハンドリングが容易となり、製造が容易に行え、生産コスト低減できる。
また、本実施形態によれば、従来のライトフィールドカメラで必要であった、撮像レンズや、マイクロレンズアレイとは別体の光線分割用の隔壁シート等が不要となり、小型化が困難であったライトフィールドカメラの薄型化及び軽量化、生産コストの低減等を図ることができる。
以下、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の他の実施形態について説明する。なお、前述した実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
<第1レンズシート11のレンズ形状面11a及び第2レンズシート12のレンズ形状面12aの位置について>
図8は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12のレンズ形状面11a,12aの向きを説明する図である。図8において、第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、理解を容易にするために、Z方向(光軸O方向)において離間している形態を示しているが、実際には、一体に積層されている、もしくは、近接して配置されているものとする。
図8に示すように、レンズシートユニット10の第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、そのレンズ形状面11a,12aが被写体側(+Z側)であるか、イメージセンサ21側(−Z側)であるかは、適宜選択できる。
また、図8(b)に示すように、第1レンズシート11、第2レンズシート12は、そのレンズ形状面11a,12aがいずれもイメージセンサ側(−Z側)となるように配置されていてもよい。
また、図8(c)に示す形態の場合、光学密着を抑制する観点等から、第1レンズシート11と第2レンズシート12との間に、不図示の接合層を設けて、第1レンズシート11と第2レンズシート12とを一体に接合してもよい。この形態の場合、第1レンズシート11と第2レンズシート12とを接合する接合層は、その接合層と各レンズシート11,12の裏面11b,12bとの界面での光の反射を防ぐ観点から、その屈折率が、光透過部111,121の屈折率N1と等しい、もしくは、屈折率差ができる限り小さいものが好ましい。
上述のような形態のレンズシートユニット10を使用した場合にも、良好な画質で撮像することができる。
レンズシートユニット10は、第1レンズシート11の光透過部111が左右方向(X方向)に配列され、第2レンズシート12の光透過部121が上下方向(Y方向)に配列される形態としてもよい。
また、第1レンズシート11の光透過部111(単位レンズ形状112)の配列方向R11と、第2レンズシート12の光透過部121(単位レンズ形状122)の配列方向R12とがなす角度αは、90°±10°の範囲、即ち、80°〜100°の範囲内であれば、レンズシートユニット10として所望される光学的機能は維持される。従って、角度αは、90°に限定されず、80°〜100°の範囲内としてもよい。
前述の図3及び図8(a)に示すように、第2レンズシート12のイメージセンサ21側(−Z側)の面が、単位レンズ形状122が形成されていない裏面12bであり、第2レンズシート12とイメージセンサ21とを接合層で接合しない場合、イメージセンサ21の受光面の傷つきを防止したり、イメージセンサ21と第2レンズシート12との光学密着を防止したりする観点から、第2レンズシート12とイメージセンサ21との間にスペーサを配置することが好ましい。
図9は、光透過部111,121の配列方向R11,R12とイメージセンサ21の画素の配列方向G1,G2との関係を示す図である。
実施形態では、図9(a)に示すように、イメージセンサ21の画素が光軸O方向(Z方向)に対して直交する2方向G1,G2(Y方向及びX方向)に配列され、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R11は、画素の配列方向の1つの方向G1(Y方向)に平行であり、第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R12は、画素の配列方向のもう1つの方向G2(X方向)に平行である例を示した。
このとき、光軸O方向(Z方向)から見て、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R11と画素の配列方向の1つの方向G1となす角度β、第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R12が画素の配列方向のもう1つの方向G2となす角度γは、いずれも0°である。
このような形態とすることにより、イメージセンサ21とレンズシートユニット10(第1レンズシート11及び第2レンズシート12)との位置合わせが容易となり、製造作業の簡略化や作業時間の短縮、歩留りの向上等を図ることができる。
なお、図9(b)では、画素の配列方向G1,G2は、それぞれY方向及びX方向に平行である例を示しているが、これに限らず、光透過部111,121の配列方向R11,R12がY方向及びX方向に平行であり、画素の配列方向G1,G2とそれぞれ角度β,γをなす形態としてもよいし、画素の配列方向G1,G2及び光透過部111,121の配列方向R11,R12が、それぞれ角度β,γをなし、かつ、いずれもY方向及びX方向に平行でない形態としてもよい。
以上説明した実施形態等に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)レンズシートユニット10は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12に加えて、他の光学シート等を備えていてもよい。
例えば、第1レンズシート11よりも被写体側(+Z側)に、赤外線、特に、波長が700〜1100nmの領域である近赤外線を遮蔽し、その以外の波長域の光を透過する機能を有する赤外線遮蔽シートを備えていてもよい。
赤外線遮蔽シートは、所定の波長域(700〜1100nm)の赤外線を吸収することにより遮蔽するシートとしてもよいし、所定の波長域の赤外線を反射することにより遮蔽するシートとしてもよい。
なお、この赤外線遮蔽シートは、第1レンズシート11と一体に接合された形態としてもよい。このような形態とすることにより、レンズシートユニット10、撮像モジュール20、カメラ1の組み立て作業を容易とすることができる。
また、イメージセンサ21の発熱による第1レンズシート11及び第2レンズシート12の反り等の変形を抑制する観点から、この接合層は、耐熱性を有していてもよい。
このような接合層としては、エポキシ樹脂製、ウレタン樹脂製等の粘着剤、接着剤を用いて形成することが好適である。
なお、この接合層は、その屈折率が、光透過部111及び光透過部121の屈折率N1よりも小さいものも適用可能であり、例えば、シリコーン系粘着剤等が好適である。
このような形態とする場合、例えば、基材層の片面に光吸収部113を形成し、その上から紫外線硬化型樹脂等により光透過部111,121を賦形する製法を用いることにより、第1レンズシート11及び第2レンズシート12を製造できる。
第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、クロストーク等を抑制する観点から、上述のような基材層は、厚みが小さい方が好ましい。従って、表面に剥離性を有する基材層を用い、基材層上に光吸収部113,123及び光透過部111,121を成形後に、基材層を剥離することが好ましい。また、基材層が剥離性を有していない場合には、基材層に相当する部分を削る等により、光吸収部113,123の裏面側端部から裏面までの厚みを薄くしてもよい。さらに、基材層が十分に薄い場合等には、基材層を積層した形態のままレンズシートとして使用してもよい。
なお、このような基材層を設ける場合、基材層の厚さは、約1〜50μmとすることが、迷光やクロストーク等を抑制する観点から好ましい。
図10は、変形形態のレンズシートユニット10の一例を示す図である。
レンズシート15は、1枚のシート状の基材層151の両面に、単位レンズ形状112,122を有する光透過部111,121及び光吸収部113,123が形成されている。このレンズシート15は、第1レンズシート11と第2レンズシート12とが、基材層151の両面にそれぞれ一体に形成された形態に等しい。
この基材層151は、樹脂製のシート状の部材であり、光透過性を有している。このような基材層151としては、PET樹脂やトリアセチルセルロース(TAC)製のシート状の部材等が挙げられる。
また、基材層151の厚さは、可能な範囲で薄いことが、迷光を抑制し、クロストークを低減して、各画素に入射する光の強度や光の入射方向の精度を向上させる観点から好ましい。
また、基材層151の屈折率は、光透過部111,121の屈折率N1に等しい、もしくは、できる限り屈折率差が小さいことが好ましい。
このとき、例えば、3枚目のレンズシート(以下、第3レンズシートという)は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12と同様の形状のレンズシートであり、その光透過部の配列方向が、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の光透過部111,121の配列方向R11,R12に対して、それぞれ45°±10°をなしているものとすることが好ましい。
第3レンズシートのレンズ形状面は、被写体側(+Z側)であっても、イメージセンサ21側(−Z側)であってもよい。
この第4レンズシートのレンズ形状面は、被写体側(+Z側)であっても、イメージセンサ21側(−Z側)であってもよい。
なお、レンズシートユニット10内の第3レンズシート、第4レンズシートの光軸O方向(Z方向)おける位置については、特に限定しない。
また、レンズシートユニット10の配置や組み立てを容易にするために、アライメントマークを第1レンズシート11及び第2レンズシート12に設けてもよい。
また、例えば、23.6×15.8mm、36×24mm、43.8×32.8mm等の大きな受光面を有するイメージセンサ21を使用することにより、ノイズの低減や取得する焦点距離や被写界深度等の情報の精度や情報量の向上を図り、画質のさらなる向上や、カメラ1の性能向上を図ってもよい。
10 レンズシートユニット
11 第1レンズシート
12 第2レンズシート
20 撮像モジュール
21 撮像素子
30 筐体
31 開口部
32 カバーガラス
Claims (10)
- 撮像素子部よりも光の入射側に配置され、一方の面が光学形状を有する光学形状面であるレンズシートであって、
柱状であってシート面に沿って一方向に配列され、前記光学形状面側に凸状の単位レンズ形状を有する光透過部と、
前記光透過部と交互に配列され、前記光透過部の長手方向に延在し、かつ、前記レンズシートの厚み方向に沿って、前記光学形状面の反対側となる裏面側から前記光学形状面側へ延びる光吸収部と、
を備えるレンズシート。 - 請求項1に記載のレンズシートにおいて、
前記光透過部の屈折率は、前記光吸収部の屈折率以下であること、
を特徴とするレンズシート。 - 請求項1又は請求項2に記載のレンズシートにおいて、
前記光透過部と前記光吸収部との界面が、該レンズシートの厚み方向となす角度は、0°以上10°以下であること、
を特徴とするレンズシート。 - 入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部と、
前記撮像素子部よりも被写体側に配置される請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のレンズシートを備えるレンズシートユニットと、
を備える撮像モジュールであって、
前記レンズシートユニットは、前記レンズシートの前記撮像素子部側に、一方の面が光学形状を有する第2の光学形状面である第2のレンズシートを備え、
前記第2のレンズシートは、
柱状であってシート面に沿って一方向に配列され、前記第2の光学形状面側に凸状の第2の単位レンズ形状を有する第2の光透過部と、
前記第2の光透過部と交互に配列され、前記第2の光透過部の長手方向に延在し、かつ、前記第2のレンズシートの厚み方向に沿って、前記光学形状面の反対側となる裏面側から前記光学形状面側へ延びる第2の光吸収部と、
を備え、
光軸方向から見て、前記光透過部の配列方向と前記第2の光透過部の配列方向とは、角度αをなして交差していること、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項4に記載の撮像モジュールにおいて、
前記角度αは、80°≦α≦100°を満たすこと、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項4又は請求項5に記載の撮像モジュールにおいて、
前記第2の光透過部の屈折率は、前記第2の光吸収部の屈折率以下であること、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の撮像モジュールにおいて、
前記第2の光透過部と前記第2の光吸収部との界面が、前記第2のレンズシートの厚み方向となす角度は、0°以上10°以下であること、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項4から請求項7までのいずれか1項に記載の撮像モジュールを備える撮像装置。
- 入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部と、
前記撮像素子部よりも被写体側に配置される請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のレンズシートと、
を備える撮像モジュール。 - 入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部と、
前記撮像素子部よりも被写体側に配置される請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のレンズシートと、
を備える撮像装置。
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- 2015-12-28 JP JP2015256288A patent/JP2017120303A/ja active Pending
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