JP2017119102A - 運動解析装置、方法及びプログラム - Google Patents

運動解析装置、方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】高精度に移動体の運動を解析することができる運動解析装置を提供する。【解決手段】移動体の運動を解析するための運動解析装置が提供される。前記運動解析装置は、第1取得部と、第2取得部と、導出部とを備える。前記第1取得部は、センサユニットから出力される時系列の角速度データ、加速度データ及び地磁気データの少なくとも1つを含む時系列のセンサデータを取得する。前記センサユニットは、前記移動体に取り付けられ、角速度センサ、加速度センサ及び地磁気センサの少なくとも1つを含む。前記第2取得部は、距離画像センサにより前記移動体の運動を撮影した時系列の深度画像及び二次元画像を含む時系列の画像データを取得する。前記導出部は、前記センサデータ及び前記画像データに基づいて、前記移動体の三次元挙動を導出する。【選択図】図1

Description

本発明は、移動体の運動を解析するための運動解析装置、方法及びプログラムに関する。
従来より、角速度センサ、加速度センサ及び地磁気センサを含む慣性センサを移動体に取り付け、当該慣性センサの出力値に基づいて移動体の挙動を推定する技術が知られている(特許文献1等)。また、カメラにより移動体の運動を撮影し、得られた画像データに基づいて移動体の挙動を推定することも行われている(特許文献2,3等)。
特開2011−227017号公報 特開2013−215349号公報 特開2004−313479号公報
しかしながら、特許文献1のように慣性センサの出力値に基づいて解析を行う場合、当該出力値には慣性センサのドリフト成分等による誤差が含まれるため、解析の精度が低下することがある。例えば、慣性センサの出力値である加速度のデータを積分して速度や位置を求めるような場合、この積分により誤差が蓄積し得る。また、移動体が高速で運動する場合には、特に角速度センサの誤差が大きくなり、移動体の姿勢の推定が困難となり得る。また、回転運動が大きい場合には特に、加速度センサの出力値に含まれる重力加速度の影響を正しく評価することが困難となり得る。
一方、特許文献2,3のように画像データに基づいて解析を行う場合にも、しばしば精度の面で問題が生じる。例えば、画像処理により移動体の位置を推定し、当該位置のデータを微分することで速度や加速度を求めるような場合、位置の推定における誤差が僅かであっても、微分により誤差が増大し得る。
本発明は、高精度に移動体の運動を解析することができる運動解析装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明の第1観点に係る運動解析装置は、移動体の運動を解析するための運動解析装置であって、第1取得部と、第2取得部と、導出部とを備える。前記第1取得部は、センサユニットから出力される時系列の角速度データ、加速度データ及び地磁気データの少なくとも1つを含む時系列のセンサデータを取得する。前記センサユニットは、前記移動体に取り付けられ、角速度センサ、加速度センサ及び地磁気センサの少なくとも1つを含む。前記第2取得部は、第1距離画像センサにより前記移動体の運動を撮影した時系列の深度画像及び二次元画像を含む時系列の画像データを取得する。前記導出部は、前記センサデータ及び前記画像データに基づいて、前記移動体の三次元挙動を導出する。
本発明の第2観点に係る運動解析装置は、第1観点に係る運動解析装置であって、前記導出部は、前記画像データ及び前記センサデータを用いて定義される関数を含む目的関数を最小化又は最大化する最適解として、前記移動体の姿勢を導出する。
本発明の第3観点に係る運動解析装置は、第2観点に係る運動解析装置であって、前記関数は、前記画像データから導出される前記移動体の向きを用いて定義される。
本発明の第4観点に係る運動解析装置は、第2又は第3観点に係る運動解析装置であって、前記関数は、前記地磁気データ及び加速度データの少なくとも一方を用いて定義される。
本発明の第5観点に係る運動解析装置は、第2から第4観点のいずれかに係る運動解析装置であって、前記導出部は、前記移動体の初期の姿勢及び前記時系列の角速度データを用いて、前記移動体の仮の姿勢を算出する。前記関数は、前記仮の姿勢を用いて定義される。
本発明の第6観点に係る運動解析装置は、第5観点に係る運動解析装置であって、前記導出部は、前記画像データから導出される初期の前記移動体の向き及び初期の前記加速度データ、又は、前記角速度データを用いて、前記移動体の初期の姿勢として、前記移動体の静止時の姿勢を導出する。
本発明の第7観点に係る運動解析装置は、第1から第6観点のいずれかに係る運動解析装置であって、前記導出部は、前記移動体の姿勢及び前記移動体の姿勢を微分フィルタによりフィルタリングした微分データに基づいて、前記移動体の角速度を導出する。
本発明の第8観点に係る運動解析装置は、第1から第7観点のいずれかに係る運動解析装置であって、前記導出部は、前記加速度データ用いて、前記画像データから導出される前記移動体の仮の位置及び当該仮の位置を微分した仮の速度の少なくとも一方をスムージングすることにより、前記移動体の位置及び速度の少なくとも一方を導出する。
本発明の第9観点に係る運動解析装置は、第8観点に係る運動解析装置であって、前記導出部は、前記移動体の速度を微分フィルタによりフィルタリングすることにより、前記移動体の加速度を導出する。
本発明の第10観点に係る運動解析装置は、第1から第9観点のいずれかに係る運動解析装置であって、前記導出部は、前記画像データから導出される前記移動体の向きの時系列データと、前記センサデータから導出される前記移動体の向きの時系列データとの一致度が最も高くなるように、前記時系列の画像データと前記時系列のセンサデータとの時刻合わせを行う。
本発明の第11観点に係る運動解析装置は、第1観点から第10観点のいずれかに係る運動解析装置であって、第3取得部をさらに備える。前記第3取得部は、第2距離画像センサにより前記第1距離画像センサとは異なる方向から前記移動体の運動を撮影した時系列の深度画像及び二次元画像を含む時系列の画像データを取得する。前記導出部は、前記センサデータと、前記第2取得部及び前記第3取得部により取得された前記画像データとに基づいて、前記移動体の三次元挙動を導出する。
本発明の第12観点に係る運動解析装置は、第1観点から第11観点のいずれかに係る運動解析装置であって、前記導出部は、前記画像データに基づいて第1時刻における前記移動体の姿勢である瞬時姿勢を導出し、前記移動体の姿勢が前記第1時刻において前記瞬時姿勢に一致するように、前記第1時刻と異なる第2時刻と前記第1時刻との間の前記移動体の姿勢を補間する。
本発明の第13観点に係る運動解析方法は、移動体の運動を解析するための運動解析方法であって、以下の(1)〜(3)のステップを含む。
(1)センサユニットを用いて、時系列の角速度データ、加速度データ及び地磁気データの少なくとも1つを含む時系列のセンサデータを取得するステップ。前記センサユニットは、前記移動体に取り付けられ、角速度センサ、加速度センサ及び地磁気センサの少なくとも1つを含む。
(2)距離画像センサを用いて、前記移動体の運動を撮影した時系列の深度画像及び二次元画像を含む時系列の画像データを取得するステップ。
(3)前記センサデータ及び前記画像データに基づいて、前記移動体の三次元挙動を導出するステップ。
本発明の第14観点に係る運動解析プログラムは、移動体の運動を解析するための運動解析プログラムであって、以下の(1)〜(3)のステップをコンピュータに実行させる。
(1)センサユニットから出力される時系列の角速度データ、加速度データ及び地磁気データの少なくとも1つを含む時系列のセンサデータを取得するステップ。前記センサユニットは、前記移動体に取り付けられ、角速度センサ、加速度センサ及び地磁気センサの少なくとも1つを含む。
(2)距離画像センサにより前記移動体の運動を撮影した時系列の深度画像及び二次元画像を含む時系列の画像データを取得するステップ。
(3)前記センサデータ及び前記画像データに基づいて、前記移動体の三次元挙動を導出するステップ。
本発明によれば、移動体の運動が、(1)時系列の角速度データ、加速度データ及び地磁気データの少なくとも1つを含む時系列のセンサデータ、及び、(2)時系列の深度画像及び二次元画像を含む時系列の画像データに基づいて導出される。その結果、センサデータに含まれる誤差は、画像データに基づいて軽減される。或いは、画像データに含まれる誤差は、センサデータに基づいて軽減される。よって、高精度に移動体の運動を解析することができる。
本発明の第1実施形態に係る運動解析装置を含む運動解析システムの全体構成を示す図。 図1の運動解析システムの機能ブロック図。 ゴルフクラブのグリップ近傍を基準とするxyz局所座標系を説明する図。 (A)アドレス状態を示す図。(B)トップ状態を示す図。(C)インパクト状態を示す図。(D)フィニッシュ状態を示す図。 第1実施形態に係る運動解析方法の流れを示すフローチャート。 第1実施形態に係る時刻合わせ処理の流れを示すフローチャート。 二次元のシャフトの向きを説明する図。 時刻合わせ処理の原理を説明する概念図。 アドレス期間の姿勢の導出処理の流れを示すフローチャート。 アドレスからインパクト付近までの姿勢の導出処理の流れを示すフローチャート。 グリップの位置及び速度の導出処理の流れを示すフローチャート。 グリップの角速度及び角加速度の導出処理の流れを示すフローチャート。 グリップの加速度の導出処理の流れを示すフローチャート。 実施例1及び参考例1を示すグラフ。 実施例2及び参考例2を示すグラフ。 実施例3及び参考例3を示すグラフ(グリップのX軸方向の位置)。 実施例3及び参考例3を示すグラフ(グリップのY軸方向の位置)。 実施例3及び参考例3を示すグラフ(グリップのZ軸方向の位置)。 実施例4及び参考例4を示すグラフ(グリップのX軸方向の位置)。 実施例4及び参考例4を示すグラフ(グリップのY軸方向の位置)。 実施例4及び参考例4を示すグラフ(グリップのZ軸方向の位置)。 本発明の第2実施形態に係る運動解析装置を含む運動解析システムの全体構成を示す図。 図18の運動解析システムの機能ブロック図。 第2実施形態に係る運動解析方法の流れを示すフローチャート。 第2実施形態に係る時刻合わせ処理の流れを示すフローチャート。 ダウンスイング期間の姿勢の補正処理の流れを示すフローチャート。 実施例5を示すグラフ。 変形例に係る初期時刻の姿勢の導出処理の流れを示すフローチャート。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る運動解析装置、方法及びプログラムをゴルフスイングの解析に利用した場合の幾つかの実施形態について説明する。
<1.第1実施形態>
<1−1.運動解析システムの概要>
図1及び図2に、本発明の第1実施形態に係る運動解析装置1を含む運動解析システム100の全体構成図を示す。運動解析システム100は、ゴルファー7によるゴルフクラブ5のスイング動作の解析に適するように構成されている。運動解析装置1は、ゴルフクラブ5に取り付けられた慣性センサユニット4から出力される時系列の角速度データ、加速度データ及び地磁気データ(以下、センサデータということがある)に加えて、スイング動作を撮影した時系列の画像データ(すなわち、動画データ)に基づいて、スイング動作を解析する。以上の撮影は、距離画像センサ2により行われる。運動解析装置1は、慣性センサユニット4及び距離画像センサ2とともに運動解析システム100を構成する。運動解析装置1による解析の結果は、ゴルファー7に適したゴルフクラブ5のフィッティングや、ゴルファー7のフォームの改善、ゴルフ用品の開発等、様々な用途で利用される。
本実施形態では、主として、スイング動作中に移動するゴルフクラブ5のグリップ51及びシャフト52の三次元挙動が解析される。より具体的には、スイング動作中のグリップ51の位置(三次元座標)、速度、加速度、角速度及び角加速度とともに、シャフト52の姿勢が導出される。
<1−2.各部の詳細>
以下、運動解析システム100の各部の詳細について説明する。
<1−2−1.距離画像センサ>
距離画像センサ2は、ゴルファー7がゴルフクラブ5を試打する様子を二次元画像として撮影するとともに、被写体までの距離を測定する測距機能を有するカメラである。従って、距離画像センサ2は、時系列の二次元画像とともに、時系列の深度画像を出力することができる。なお、ここでいう二次元画像とは、撮影空間の像をカメラの光軸に直交する平面内へ投影した画像である。また、深度画像とは、カメラの光軸方向の被写体の奥行きのデータを、二次元画像と略同じ撮像範囲内の画素に割り当てた画像である。
本実施形態で使用される距離画像センサ2は、二次元画像を赤外線画像(以下、IR画像という)として撮影する。また、深度画像は、赤外線を用いたタイムオブフライト方式やドットパターン投影方式等の方法により得られる。従って、図1に示すように、距離画像センサ2は、赤外線を前方に向けて発光するIR発光部21と、IR発光部21から照射され、被写体に反射して戻ってきた赤外線を受光するIR受光部22とを有する。IR受光部22は、光学系及び撮像素子等を有するカメラである。ドットパターン投影方式では、IR発光部21から照射された赤外線のドットパターンをIR受光部22で読み取り、距離画像センサ2内部での画像処理によりドットパターンを検出し、これに基づいて奥行きが計算される。本実施形態では、IR発光部21及びIR受光部22は、同じ筐体20内に収容され、筐体20の前方に配置されている。また、本実施形態に係る距離画像センサ2では、奥行きを計測可能な有効距離が定められており、深度画像には、奥行きの値が得られない画素が含まれ得る。
距離画像センサ2には、距離画像センサ2の動作全体を制御するCPU23の他、撮影された画像データを少なくとも一時的に記憶するメモリ24が内蔵されている。距離画像センサ2の動作を制御する制御プログラムは、メモリ24内に格納されている。また、距離画像センサ2には、通信部25も内蔵されており、当該通信部25は、撮影された画像データを、有線又は無線の通信線17を介して、運動解析装置1等の外部のデバイスへと出力することができる。本実施形態では、CPU23及びメモリ24も、IR発光部21及びIR受光部22とともに、筐体20内に収納されている。なお、運動解析装置1への画像データの受け渡しは、必ずしも通信部25を介して行う必要はない。例えば、メモリ24が着脱式であれば、これを筐体20内から取り外し、運動解析装置1のリーダー(後述する通信部15に対応)に挿入する等して、運動解析装置1で画像データを読み出すことができる。
本実施形態では、以上のとおり、距離画像センサ2により赤外線撮影が行われ、撮影されたIR画像に基づいて、グリップ51の軌道が追跡される。従って、この追跡が容易となるように、グリップ51(より正確には、グリップ端51a)には、赤外線を効率的に反射する反射シートがマーカーとして貼付される。また、シャフト52にも、同様の赤外線の反射シートがマーカーとして貼付される。本実施形態では、距離画像センサ2は、ゴルファー7を正面側から撮影すべく、ゴルファー7の前方に設置される。
<1−2−2.慣性センサユニット>
慣性センサユニット4は、図1及び図3に示すとおり、ゴルフクラブ5のグリップ端51aに取り付けられており、グリップ端51aの挙動を計測する。本実施形態に係る慣性センサユニット4は、着脱自在に構成されており、任意のゴルフクラブ5に取り付けることができる。なお、ゴルフクラブ5は、一般的なゴルフクラブであり、シャフト52と、シャフト52の一端に設けられたヘッド53と、シャフト52の他端に設けられたグリップ51とから構成される。慣性センサユニット4は、スイング動作の妨げとならないよう、小型且つ軽量に構成されている。図2に示すように、本実施形態に係る慣性センサユニット4には、加速度センサ41、角速度センサ42及び地磁気センサ43が搭載されている。また、慣性センサユニット4には、これらのセンサ41〜43から出力されるセンサデータを運動解析装置1等の外部のデバイスに送信するための通信装置40も搭載されている。なお、本実施形態では、通信装置40は、スイング動作の妨げにならないように無線式であるが、ケーブルを介して有線式に運動解析装置1に接続するようにしてもよい。
加速度センサ41、角速度センサ42及び地磁気センサ43はそれぞれ、xyz局所座標系における加速度、角速度及び地磁気を計測する。より具体的には、加速度センサ41は、x軸、y軸及びz軸方向の加速度ax,ay,azを計測する。角速度センサ42は、x軸、y軸及びz軸周りの角速度ωx,ωy,ωzを計測する。地磁気センサ43は、x軸、y軸及びz軸方向の地磁気mx,my,mzを計測する。これらのセンサデータは、所定のサンプリング周期Δtの時系列データとして取得される。なお、xyz局所座標系は、図3に示すとおりに定義される3軸直交座標系である。すなわち、z軸は、シャフト52の延びる方向に一致し、ヘッド53からグリップ51に向かう方向が、z軸正方向である。y軸は、ゴルフクラブ5のアドレス時の飛球方向にできる限り沿うように、すなわち、フェース−バック方向に概ね沿うように配向される。x軸は、y軸及びz軸に直交するように、すなわち、トゥ−ヒール方向に概ね沿うように配向され、ヒール側からトゥ側に向かう方向がx軸正方向である。
本実施形態では、加速度センサ41、角速度センサ42及び地磁気センサ43からのセンサデータは、通信装置40を介してリアルタイムに運動解析装置1に送信される。しかしながら、例えば、慣性センサユニット4内の記憶装置にセンサデータを格納しておき、スイング動作の終了後に当該記憶装置からセンサデータを取り出して、運動解析装置1に受け渡すようにしてもよい。
<1−2−3.運動解析装置>
運動解析装置1は、ハードウェアとしては汎用のパーソナルコンピュータであり、例えば、タブレットコンピュータ、スマートフォン、ノート型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータとして実現される。図2に示すとおり、運動解析装置1は、CD−ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体30から運動解析プログラム3を汎用のコンピュータにインストールすることにより製造される。運動解析プログラム3は、慣性センサユニット4から送られてくるセンサデータ及び距離画像センサ2から送られてくる画像データに基づいて、ゴルフスイングを解析するためのソフトウェアであり、運動解析装置1に後述する動作を実行させる。
運動解析装置1は、表示部11、入力部12、記憶部13、制御部14及び通信部15を備える。これらの部11〜15は、互いにバス線16を介して接続されており、相互に通信可能である。表示部11は、液晶ディスプレイ等で構成することができ、ゴルフスイングの解析の結果等をユーザに対し表示する。なお、ここでいうユーザとは、ゴルファー7自身やそのインストラクター、ゴルフ用品の開発者等、ゴルフスイングの解析の結果を必要とする者の総称である。入力部12は、マウス、キーボード、タッチパネル等で構成することができ、運動解析装置1に対するユーザからの操作を受け付ける。
記憶部13は、ハードディスク等で構成することができる。記憶部13内には、運動解析プログラム3が格納されている他、慣性センサユニット4から送られてくるセンサデータが保存される。また、記憶部13内には、距離画像センサ2から送られてくる画像データも保存される。制御部14は、CPU、ROMおよびRAM等から構成することができる。制御部14は、記憶部13内の運動解析プログラム3を読み出して実行することにより、仮想的に第1取得部14a、第2取得部14b、導出部14c及び表示制御部14dとして動作する。各部14a〜14dの動作の詳細については、後述する。通信部15は、慣性センサユニット4や距離画像センサ2等の外部のデバイスから通信線17を介してデータを受信する通信インターフェースとして機能する。
<1−3.運動解析方法>
以下、図5を参照しつつ、ゴルフスイングを対象とする運動解析方法について説明する。この運動解析方法は、第1データ収集処理(S1)、第2データ収集処理(S2)及び運動解析処理(S3〜S9)により実現される。第1データ収集処理は、慣性センサユニット4から出力されるセンサデータを収集する処理であり、第2データ収集処理は、距離画像センサ2から出力される画像データを収集する処理である。運動解析処理は、当該センサデータ及び当該画像データに基づいて、運動解析装置1によりゴルフクラブ5の三次元挙動を解析する処理である。以下、これらの処理について、順に説明する。
<1−3−1.第1データ収集処理>
第1データ収集処理では、ゴルファー7により、上述の慣性センサユニット4付きゴルフクラブ5がスイングされる。このとき、慣性センサユニット4により、ゴルフスイング中の加速度ax,ay,az、角速度ωx,ωy,ωz及び地磁気mx,my,mzのセンサデータが検出される。また、これらのセンサデータは、慣性センサユニット4の通信装置40を介して運動解析装置1に送信される。一方、運動解析装置1側では、第1取得部14aが通信部15を介してこれを受信し、記憶部13内に格納する。本実施形態では、少なくともアドレスの少し前(以下、初期時刻t1という)からフィニッシュまでの時系列のセンサデータが収集される。
なお、ゴルフクラブのスイング動作は、一般に、アドレス、トップ、インパクト、フィニッシュの順に進む。アドレスとは、図4(A)に示すとおり、ゴルフクラブ5のヘッド53をボール近くに配置した静止状態を意味し、トップとは、図4(B)に示すとおり、アドレスからゴルフクラブ5をテイクバックし、最もヘッド53が振り上げられた状態を意味する。インパクトとは、図4(C)に示すとおり、トップからゴルフクラブ5が振り下ろされ、ヘッド53がボールと衝突した瞬間の状態を意味し、フィニッシュとは、図4(D)に示すとおり、インパクト後、ゴルフクラブ5を前方へ振り抜いた状態を意味する。
<1−3−2.第2データ収集処理>
第2データ収集処理では、ゴルフクラブ5のスイング動作が距離画像センサ2により撮影される。すなわち、距離画像センサ2により、ゴルフスイングを捉えたIR画像及び深度画像を含む画像データが検出される。第2データ収集処理は、第1データ収集処理と並行して、第1データ収集処理と同じスイング動作を対象として行われる。検出された画像データは、距離画像センサ2の通信部25を介して運動解析装置1に送信される。一方、運動解析装置1側では、第2取得部14bが通信部15を介してこれを受信し、記憶部13内に格納する。本実施形態では、少なくともアドレスの少し前の初期時刻t1からフィニッシュまでの時系列の画像データが収集される。
<1−3−3.運動解析処理>
運動解析処理の大まかな流れは、以下のとおりである。すなわち、まず、第1データ収集処理により取得された時系列のセンサデータと、第2データ収集処理により取得された時系列の画像データとの時刻合わせが行われる(S3)。言い換えると、導出部14cが、センサデータと画像データとを同期させる。
続くステップS4では、導出部14cが、初期時刻t1からアドレスまでの期間(以下、アドレス期間という)のシャフト52の姿勢を導出する。このとき、本実施形態では、ラグランジュの未定乗数法を用いた最適化が実行される。なお、多くのゴルファー7は、アドレス期間にゴルフクラブ5を軽く前後にスイングさせるワッグル動作を行う。しかしながら、アドレス以降のスイング動作時に比べると、アドレス期間において、ゴルフクラブ5、特にグリップ51は殆ど運動しない。このため、ステップS4では、静止している移動体及びほぼ静止している移動体の運動の解析に適したアルゴリズムが用いられる。
続くステップS5では、導出部14cが、アドレスからインパクト付近までのシャフト52の姿勢を導出する。従って、ステップS5では、静止している移動体及びほぼ静止している移動体の運動のみならず、高速で運動する移動体の解析にも適したアルゴリズムが用いられる。本実施形態では、ここでも、ラグランジュの未定乗数法を用いた最適化が実行される。
続くステップS6では、導出部14cが、アドレスからインパクト付近までのグリップ51の位置及び速度を導出する。ここでは、本実施形態では、カルマンフィルタを用いる等したスムージングが実行される。
続くステップS7では、導出部14cが、アドレスからインパクト付近までのグリップ51の角速度及び角加速度を導出する。ここでは、本実施形態では、疑似微分フィルタを用いたフィルタリングが実行される。
続くステップS8では、導出部14cが、アドレスからインパクト付近までのグリップ51の加速度を導出する。本実施形態では、ここでも、疑似微分フィルタを用いたフィルタリングが実行される。
続くステップS9では、表示制御部14dが、ステップS4〜S8で導出された三次元挙動を示す情報を表示部11上に表示する。このとき、例えば、数値情報、文字情報として表示することもできるし、グラフやコンピュータグラフィックス等を用いて図式的に表示することもできる。
<1−3−3−1.時刻合わせ(S3)>
以下、図6を参照しつつ、上記ステップS3における、時系列のセンサデータと時系列の画像データとの時刻合わせ処理について説明する。
まず、ステップS11において、導出部14cは、記憶部13内のセンサデータを参照し、アドレス、トップ及びインパクトの時刻を導出する。これらの時刻の導出方法としては、様々なものが公知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
続くステップS12では、導出部14cは、記憶部13内のセンサデータに基づいて、アドレスからインパクト付近までの各時刻における姿勢行列Nを導出する。今、姿勢行列Nを以下の式で表す。姿勢行列Nは、xyz局所座標系の値をXYZ慣性座標系の値に変換するための行列である。
XYZ慣性座標系は、図1に示すとおりに定義される3軸直交座標系である。すなわち、Z軸は、鉛直下方から上方に向かう方向であり、X軸は、ゴルファー7の背から腹に向かう方向であり、Y軸は、地平面に平行でボールの打球地点から目標地点に向かう方向である。
姿勢行列Nの9つの成分の意味は、以下のとおりである。
成分a:慣性座標系のX軸と、局所座標系のx軸とのなす角度の余弦
成分b:慣性座標系のY軸と、局所座標系のx軸とのなす角度の余弦
成分c:慣性座標系のZ軸と、局所座標系のx軸とのなす角度の余弦
成分d:慣性座標系のX軸と、局所座標系のy軸とのなす角度の余弦
成分e:慣性座標系のY軸と、局所座標系のy軸とのなす角度の余弦
成分f:慣性座標系のZ軸と、局所座標系のy軸とのなす角度の余弦
成分g:慣性座標系のX軸と、局所座標系のz軸とのなす角度の余弦
成分h:慣性座標系のY軸と、局所座標系のz軸とのなす角度の余弦
成分i:慣性座標系のZ軸と、局所座標系のz軸とのなす角度の余弦
ここで、ベクトル(a,b,c)は、x軸方向の単位ベクトルを表し、ベクトル(d,e,f)は、y軸方向の単位ベクトルを表し、ベクトル(g,h,i)は、z軸方向の単位ベクトルを表している。
アドレス時においては、ゴルフクラブ5は静止しているため、加速度センサ42は、Z軸方向の重力加速度のみを検出することになる。この事実から、アドレス時のc,f,iは、下式に従って算出することができる。
また、残りのa,b,d,e,g,hは、c,f,iを説明変数とし、a,b,d,e,g,hのそれぞれを目的変数とする予め定められた重回帰式より算出することができる。この重回帰式は、多数のa〜iの真値のデータを重回帰分析することにより決定することができる。或いは、姿勢行列は、下式のとおり、オイラー変換行列としても表すことができる。従って、姿勢行列の9つの成分のうち3つの値が分かれば、φ,θ,ψを特定できるため、残りの成分を算出することができる。なお、姿勢行列の算出方法としては様々考えられ、いずれの方法を用いてもよいが、ここで説明した方法は、例えば、特開2013−56074号公報においても開示されている。
導出部14cは、アドレス時の姿勢行列Nの導出後、アドレス時の姿勢行列Nを初期値として、姿勢行列Nをサンプリング周期Δt間隔で時々刻々更新してゆく。具体的に説明すると、まず、姿勢行列Nは、オイラーパラメータq=(q0,q1,q2,q3)を用いて、以下の式で表される。
従って、ある時刻でのa〜iが既知の場合、当該時刻でのオイラーパラメータq=(q0,q1,q2,q3)は、以下の式に従って算出することができる。
今、アドレス時の姿勢行列Nを規定するa〜iの値は既知である。よって、以上の式に従って、まず、アドレス時のオイラーパラメータqが算出される。
そして、時刻tから微小時刻経過後のオイラーパラメータqt+1は、時刻tにおけるオイラーパラメータqtを用いて以下の式で表される。
また、オイラーパラメータqの時間変化を表す1階微分方程式は、以下の式で表される。
数6,7の式を用いれば、角速度データに基づいて、時刻tのオイラーパラメータqを順次、次の時刻t+Δtのオイラーパラメータqへと更新することができる。ここでは、アドレスからインパクトまでのオイラーパラメータqが算出される。そして、アドレスからインパクトまでのオイラーパラメータqを数4の式に順次代入することにより、アドレスからインパクトまでの姿勢行列Nが算出される。
なお、慣性センサユニットから出力されるセンサデータに基づいて、オイラーパラメータqや姿勢行列Nを算出する方法としては、ここで説明した方法に限らず、様々な方法が知られている。例えば、「根田康美,藤橋幸太,尾曲邦之,藤原謙,松永三郎"超小型衛星 Cute-1.7 シリーズにおける姿勢決定制御システムについて"第 16 回スペース・エンジニアリング・コンファレンス,東京,2007 年 1 月 25 日」に開示されている技術を利用することもできる。
続くステップS13では、導出部14cは、記憶部13内の画像データに基づいて、アドレスからインパクト付近までの各時刻における時系列のシャフト52の向きθs(図7参照)を導出する。具体的には、本実施形態では、IR画像を画像処理することにより、直線状のシャフト52の像を検出する。そして、このシャフト52の像が延びる方向とZ方向との為す角度を、シャフト52の向きθsとして導出する。
続くステップS14では、導出部14cは、ステップS12の時系列の姿勢行列Nに基づいて、アドレスからインパクト付近までの各時刻における時系列のシャフト52の向きθsを導出する。具体的には、θsは、以下の式に従って算出することができる。
次に、導出部14cは、このセンサデータ由来の時系列のシャフト52の向きθsと、ステップS13の時系列のシャフト52の向きθsとの一致度が最も高くなるように、両時系列データを位置合わせする。例えば、導出部14cは、図8に示すように、両時系列データを時間軸に沿って前後に移動させながら、両時系列データの波形が最も一致する点を決定する。そして、そのときのタイミングを基準として、センサデータの時間軸と、画像データの時間軸とを相対的に時刻合わせさせる。
なお、本実施形態では、二次元のシャフト52の向きθsに基づいて時刻合わせが行われたが、三次元のシャフト52の向きθsに基づいて時刻合わせを行うこともできる。すなわち、姿勢行列Nからは、三次元的なシャフト52の向き(g,h,i)を導出することが可能であるし、深度画像を用いれば、画像データからも三次元的なシャフト52の向きを導出することが可能である。従って、センサデータ及び画像データのそれぞれを由来とする三次元的なシャフト52の向きの時系列データを導出し、これらの時系列データの波形が三次元的に最も一致するタイミングを決定すればよい。
<1−3−3−2.アドレス期間の姿勢の導出(S4)>
以下、図9を参照しつつ、アドレス期間の姿勢の導出処理の流れを説明する。ここで、オイラーパラメータqは、上記のとおり、姿勢行列Nとの間で相互に変換可能である。また、上記のとおり、姿勢行列Nに含まれる行ベクトルは、慣性座標系内での局所座標系の三軸の向きを表している。従って、オイラーパラメータq及び姿勢行列Nの少なくとも一方が分かれば、慣性座標系内での局所座標系の三軸の向き、つまりはz軸に平行なシャフト52の向き(g,h,i)が分かる。そのため、以下では、シャフト52の姿勢として、オイラーパラメータq及び姿勢行列Nが導出される。
まず、ステップS21では、導出部14cは、アドレス期間に含まれる各時刻の姿勢q,Nを導出する。なお、以下のステップS26では、ラグランジュの未定乗数法により、姿勢qが最適化される。この意味で、ステップS21で導出される姿勢q,Nは、仮の姿勢と言える。
具体的には、導出部14cは、アドレス期間に含まれる最初の時刻である初期時刻t1のオイラーパラメータqを算出する。具体的には、導出部14cは、初期時刻t1のIR画像及び深度画像からシャフト52の向きを三次元的に導出する。すなわち、画像処理によりIR画像からシャフト52の像を検出し、当該像に含まれる各点のY座標及びZ座標を導出する。そして、深度画像からこれらの点における深度情報を抽出し、X座標に変換する。その後、これらの三次元座標から三次元のシャフト52の向き(g,h,i)が導出される。また、導出部14cは、初期時刻t1の加速度ax,ay,azはほぼ重力のみを表しているという事実に基づいて、初期時刻t1の加速度データ(ax,ay,az)から三次元の重力の向きを導出する。そして、導出部14cは、シャフト52の向き(g,h,i)と、重力の向きの外積を導出し、これをy軸の方向(d,e,f)とする。さらに、三次元のシャフト52の向き(g,h,i)と、y軸の方向(d,e,f)との外積を導出し、これをx軸の方向(a,b,c)とする。これにより、初期時刻t1の姿勢行列Nが導出される。また、導出部14cは、数5の式に従って、初期時刻t1の姿勢行列Nを初期時刻t1のオイラーパラメータqに変換する。
また、ステップS21では、導出部14cは、初期時刻t1の姿勢行列Nを初期値として、姿勢行列Nをサンプリング周期Δt間隔で時々刻々更新してゆく。具体的な方法は、上述のステップS12と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
続くステップS22では、導出部14cは、初期時刻t1の局所座標系での地磁気mB=(mB x,mB y,mB z)=(mx,my,mz)を、慣性座標系での地磁気mI=(mI x,mI y,mI z)に変換する。なお、mI,mBに限らず、右肩にBを付けたときは、局所座標系のベクトルであることを表し、右肩にIを付けた場合には、慣性座標系のベクトルであることを表す。mIは、時刻によらず一定とすることができ、オイラーパラメータqを用いて、初期時刻t1のmBから下式に従って算出することができる。なお、以下のqには、ステップS21で導出された初期時刻t1のオイラーパラメータqを代入する。
ただし、
である。
地磁気mIは、別の方法によっても導出可能である。例えば、磁気センサ43とは異なる磁気センサを、慣性座標系の原点において、当該磁気センサの三軸を慣性座標系の三軸に一致させた状態で配置する。この場合、当該磁気センサの出力値は、慣性座標系での地磁気mIを表すことになる。
続くステップS23では、導出部14cは、アドレス期間に含まれる任意の時刻ti,tjの組み合わせに対し、時刻tiでの姿勢qiと、時刻tjにおける姿勢qjとの差である、qBjBiを導出する。このとき、tj,tiの先後は問わない。姿勢の差qBjBiは、下式に従って算出することができる。なお、下式に代入されるオイラーパラメータqi,qjは、ステップS21で算出されたオイラーパラメータqである。
姿勢の差qBjBiは、別の方法によっても導出可能である。例えば、数11の式に代入すべきアドレス期間に含まれる各時刻のオイラーパラメータqを、ステップS21で算出したものではなく、以下の方法で算出することができる。すなわち、上記ステップS21では、初期時刻t1より後の各時刻のオイラーパラメータqは、角速度データを用いて初期時刻t1のオイラーパラメータqを順次更新してゆくステップS12と同様の方法により算出された。しかしながら、初期時刻t1より後の各時刻の姿勢行列Nについても、初期時刻t1の場合と同様に、画像データ及び加速度データを用いて外積を計算する方法により算出してもよい。
あるいは、アドレス期間における姿勢の差qBjBiは、単位クォータニオン(1,0,0,0)と近似することができる。これは、アドレス期間においては、グリップ51が静止しているか又は殆ど動いておらず、姿勢の差が殆どないためである。
続くステップS24では、導出部14cは、アドレス期間に含まれる任意の時刻ti,tjの組み合わせに対し、以下に定義される行列Akjを導出する。Akjは、後のステップS26の最適化処理の中で、目的関数に代入される。
以下、Akj及び上式中の右辺の各記号ついて説明する。まず、時刻ti,tjにおける慣性座標系での三次元のシャフト52の向きを表すベクトルをそれぞれbI i、bI jとし、時刻ti,tjにおける局所座標系での三次元のシャフト52の向きを表すベクトルをそれぞれbB i,bB jとする。なお、bB i,bB jは、時刻によらず一定値[0 0 −1]Tとすることができ(上付きTは転置を表す)、従って、bB i,bB jはいずれも、単にbBと表記することができる。このとき、下式が成り立つ。
また、数11より、下式が導かれる。
ここで、数13,14の式を変形すると、以式が成り立つ。
ただし、
である。数15の式を変形すると、下式のようになる。
数17の式からは、qiに関して線形の関係が成り立っていることが分かる。この式を整理すると、以下の関係式が導かれる。
数18の関係式は、画像データやセンサデータに誤差がなければ、常に成り立つ恒等式である。数18の関係式は、ステップS26の最適化に用いられる目的関数を定義するのに用いられる。
ここで、数12の式に戻ると、bI jx,bI jy,bI jzは、時刻tjにおける慣性座標系での三次元のシャフト52の向きを表すbI jのX,Y,Z軸成分を意味する。また、bjix,bjiy,bjizは、数16により定義されるbjiのX,Y,Z軸成分を意味する。なお、記号のハットは、正規化されていることを意味する。
ステップS24では、導出部14cは、アドレス期間のIR画像及び深度画像に基づいて、アドレス期間の各時刻における三次元のシャフト52の向きbI jを導出する。そして、Akjを導出すべく、その三軸成分であるbI jx,bI jy,bI jzの値を、数12の式に代入する。また、シャフト52の向きを表すbB=(bjx,bjy,bjz)=[0 0 −1]Tと、ステップS23のqBjBiを数16の式に代入することにより、bjiを導出し、さらにこれを数12に代入する。
続くステップS25では、導出部14cは、アドレス期間に含まれる任意の時刻ti,tjの組み合わせに対し、以下に定義される行列Amjを導出する。Amjは、Akjと同様に、後のステップS26の最適化処理の中で目的関数に代入される。
ステップS24の中で説明した場合と同様に、下式が導かれる。この関係式は、ステップS26の最適化に用いられる目的関数を定義するのに用いられる。
ここで、数19の式に戻ると、mI jx,mI jy,mI jzは、時刻tjにおける慣性座標系での地磁気を表すmI jのX,Y,Z軸成分を意味する。また、mjix,mjiy,mjizは、下式により定義されるmjiのX,Y,Z軸成分を意味する。
ステップS25では、導出部14cは、数19の右辺において、mI jとしてステップS22で導出された地磁気のデータを代入する。また、時刻tjにおける地磁気のセンサデータであるmB j=(mjx,mjy,mjz)と、ステップS23のqBjBiを数21の式に代入することにより、mjiを導出し、さらにこれを数19の右辺に代入する。
続くステップS26では、ラグランジュの未定乗数法により、アドレス期間の各時刻tiにおける姿勢qiが最適化される。具体的には、各時刻tiにおいて以下の目的関数J1を定義する。
ただし、
である。
ここで、数18,20から明らかなとおり、Fk,Fmは、画像データやセンサデータに誤差がなければ0になるべき関数である。また、(1−qi Ti)は、拘束条件である。そこで、導出部14cは、ステップS24,S25で計算したAkj,Amjを用いて、目的関数J1を最小化するようなオイラーパラメータqiの最適解を導出する。また、導出部14cは、各時刻tiにおける最適化後のオイラーパラメータqiを数4の式に従って、姿勢行列Nに変換する。
なお、wk,wmは、画像データ、地磁気データのいずれをどれだけ信頼するかに応じて、設定される重み係数である。
また、本実施形態では、目的関数J1の最小化は、以下のとおり行われる。すなわち、目的関数J1を最小化するためには、その微分値(偏微分値)がゼロになること、言い換えると、下式が成立することが必要条件となる。ただし、I4は、4×4の単位行列である。
上式は、下式の行列の固有値がλとなり、qiが固有ベクトルになることを表している。
従って、導出部14cは、ステップS24,S25の結果から、数25の行列を計算し、当該行列の最小の固有値に対応する大きさ1の固有ベクトルを導出して、これをqiとする。
<1−3−3−3.アドレスからインパクト付近までの姿勢の導出(S5)>
以下、図10を参照しつつ、アドレスからインパクト付近までの姿勢の導出処理の流れを説明する。本処理では、アドレス期間における姿勢の導出処理と類似のアルゴリズムが用いられる。両処理の主な相違点は、最適化のための目的関数J2に、上記関数Fk,Fmに加え、画像データ由来の二次元のシャフト52の向きに基づく関数Fnが含まれる点にある。以下、詳細に説明する。
ステップS31では、導出部14cは、アドレスからインパクト付近までの各時刻の仮の姿勢q,Nを導出する。具体的には、導出部14cは、角速度ωx,ωy,ωzのデータを用いて、数6,7の式に従って、最適化後のアドレス時のオイラーパラメータqを初期値としてオイラーパラメータqをサンプリング周期Δt間隔で時々刻々更新してゆく。その後、数5の式に従って、各時刻の姿勢qを、姿勢行列Nに換算する。
続くステップS32では、導出部14cは、アドレス時の局所座標系での地磁気mB=(mB x,mB y,mB z)=(mx,my,mz)を、慣性座標系での地磁気mI=(mI x,mI y,mI z)に変換する。具体的な変換方法は、ステップS22と同様である。ただし、ここで変換に用いられるオイラーパラメータqは、ステップS31で算出されたオイラーパラメータqである。
続くステップS33では、導出部14cは、アドレスからインパクト付近までの期間に含まれる任意の時刻ti,tjの組み合わせに対し、時刻tiでの姿勢qiと、時刻tjにおける姿勢qjとの差である、qBjBiを導出する。このとき、tj,tiの先後は問わない。姿勢の差qBjBiは、数11の式に従って算出することができる。なお、ここで数11の式に代入されるオイラーパラメータqi,qjは、ステップS31で算出されたオイラーパラメータqである。
続くステップS34では、導出部14cは、アドレスからインパクト付近までの期間に含まれる任意の時刻ti,tjの組み合わせに対し、数12のとおり定義される行列Akjを導出する。Akjは、後のステップS37の最適化処理の中で、目的関数に代入される。
ステップS34では、導出部14cは、アドレスからインパクト付近までの期間のIR画像及び深度画像に基づいて、当該期間の各時刻における三次元のシャフト52の向きbI jを導出する。そして、Akjを導出すべく、その三軸成分であるbI jx,bI jy,bI jzの値を、数12の式に代入する。また、シャフト52の向きを表すbB=(bjx,bjy,bjz)=[0 0 −1]Tと、ステップS33のqBjBiを数16の式に代入することにより、bjiを導出し、さらにこれを数12に代入する。
続くステップS35では、導出部14cは、アドレスからインパクト付近までの期間に含まれる任意の時刻ti,tjの組み合わせに対し、数19のとおり定義される行列Amjを導出する。Amjは、後のステップS37の最適化処理の中で、目的関数に代入される。
ステップS35では、導出部14cは、数19の右辺において、mI jとしてステップS32で導出された地磁気のデータを代入する。また、時刻tjにおける地磁気のセンサデータであるmB j=(mjx,mjy,mjz)と、ステップS33のqBjBiを数21の式に代入することにより、mjiを導出し、さらにこれを数19の右辺に代入する。
続くステップS36では、導出部14cは、アドレスからインパクト付近までの期間に含まれる任意の時刻ti,tjの組み合わせに対し、以下に定義される行列Anjを導出する。Anjは、後のステップS37の最適化処理の中で、目的関数に代入される。
以下、Anj及び上式中の右辺の各記号ついて説明する。まず、ここでは、YZ平面内における二次元のシャフト52の向きを考える。ここで、XYZ座標系における三次元座標をYZ平面に射影するための射影行列をPYZとする。このとき、時刻tiにおけるYZ平面内における二次元のシャフトの向きbSiは、PYZI iと表される。bSiは、オイラーパラメータqiを用いて、以下のとおり表すことができる。ただし、u=[1 0 0]Tである。
数27を変形すると、以下のとおりとなる。
さらに、数14の式から、数28を変形する。
さらに、数29の両辺の右からqBjBiを掛ける。
さらに、数13,16から、以下のように変形される。
数31の式からは、qiに関して線形の関係が成り立っていることが分かる。この式を整理すると、以下の関係式が導かれる。
数32の関係式は、画像データやセンサデータに誤差がなければ、常に成り立つ恒等式である。数32の関係式は、ステップS37の最適化に用いられる目的関数を定義するのに用いられる。
ここで、数26の式に戻ると、bSjx,bSjy,bSjzは、時刻tjにおけるYZ平面内における二次元のシャフトの向きを表すbSjのX,Y,Z軸成分を意味する。従って、X成分であるbSjx=0である。
ステップS36では、導出部14cは、Anjを導出すべく、bB=[0 0 −1]Tを数13を用いて慣性座標系の値(bI jx,bI jy,bI jz)に変換し、これを数26の式に代入する。また、シャフト52の向きを表すbB=(bjx,bjy,bjz)=[0 0 −1]Tと、ステップS33のqBjBiを数16の式に代入することにより、bjiを導出し、さらにこれを数26に代入する。さらに、導出部14cは、IR画像から導出されるbSjを、数26の式に代入する。
続くステップS37では、ラグランジュの未定乗数法により、アドレスからインパクト付近までの各時刻tiにおける姿勢qiが最適化される。具体的には、各時刻tiにおいて以下の目的関数J2を定義する。
ただし、
である。
ここで、数32から明らかなとおり、Fnは、Fk,Fmと同じく、画像データやセンサデータに誤差がなければ0になるべき関数である。また、(1−qi Ti)は、拘束条件である。そこで、導出部14cは、ステップS34〜S36で計算したAkj,Amj,Anjを用いて、目的関数J2を最小化するようなオイラーパラメータqiの最適解を導出する。また、導出部14cは、各時刻tiにおける最適化後のオイラーパラメータqiを数4の式に従って、姿勢行列Nに変換する。
なお、wk,wm,wnは、深度画像のデータ、地磁気データ、IR画像のデータのいずれをどれだけ信頼するかに応じて、設定される重み係数である。
また、本実施形態では、目的関数J2の最小化は、以下のとおり行われる。すなわち、目的関数J2を最小化するためには、その微分値(偏微分値)がゼロになること、言い換えると、下式が成立することが必要条件となる。
上式は、下式の行列の固有値がλとなり、qiが固有ベクトルになることを表している。
従って、導出部14cは、ステップS33〜S36の結果から、数36の行列を計算し、当該行列の最小の固有値に対応する大きさ1の固有ベクトルを導出して、これをqiとする。
<1−3−3−4.グリップの位置及び速度の導出(S6)>
以下、図11を参照しつつ、アドレスからインパクト付近までのグリップ51の位置及び速度の導出処理の流れを説明する。
グリップ51の位置は、画像データにより計測される。しかしながら、距離画像センサ2のサンプリング周期が粗い場合や、グリップ51が画像上に写らない場合等には、位置の測定が困難になることがある。そこで、ここでは、カルマンフィルタを用いる等して、画像データ由来のグリップ51の位置が加速度データによりスムージングされる。
まず、ステップS41では、導出部14cは、下式に従って、アドレスからインパクト付近までの各時刻tiにおける局所座標系の加速度aB i=(ax,ay,az)を慣性座標系の加速度に変換し、さらに重力加速度の成分を除去する。これにより、慣性座標系でのグリップ51の加速度aI iが導出される。なお、下式のオイラーパラメータqiには、ステップS37で導出された値を代入することができる。Gは、重力加速度の大きさである。
続くステップS42,S43では、導出部14cは、ステップS41の加速度aI iを用いて、IR画像及び深度画像から導出されるグリップ51の三次元の位置pをスムージングすることにより、誤差の除去された位置p及び速度p'(推定値)を導出する。この意味で、IR画像及び深度画像から導出されるグリップ51の三次元の位置pは、それぞれ仮の位置ということができる。
グリップ51の位置p及び速度p'を推定するためのシステムは、以下のようにモデル化することができる。ただし、xは、求めたい位置p及び速度p'、yは、IR画像及び深度画像から導出される位置p、uは、加速度データ、wは、プロセス雑音、vは、観測雑音を表す。添え字のkは、時系列のデータ番号を表し、k=1,2,・・・,N(Nは、データ個数)である。なお、ステップS42,S43の説明において登場する符号/記号は、特に断らない限り、これまでの説明及びこれよりも後の説明に登場する符号/記号とは独立して定義されているものとする。
ただし、
とする。
また、プロセス雑音wkの平均値を0、分散をQkとし、観測雑音vkの平均値を0、分散をRkとする。このQk及びRkは、スムージングをかける程度を決定する因子となり、Qk/Rkが大きければあまりスムージングが行われず、距離画像センサ2の計測結果の比重が大きくなる。一方、Qk/Rkが小さければ、スムージングが強くなり、加速度センサ41の計測結果の比重が大きくなる。
今、時間軸に沿って前向きにフィルタリングを行う場合の推定値をx+ fk、誤差共分散をP+ fkとする。導出部14cは、ステップS42において、k=0のときの初期値を以下のとおり導出する。なお、Eは、期待値を表す。
その後、導出部14cは、この初期値を以下の式に従って、更新してゆく。
なお、x+ fkは、時刻kの状態の時刻k時点での推定値を表し、x- fkは、時刻kの状態の時刻(k−1)時点での推定値を表す。誤差共分散についても同様に、P+ fkは、時刻kの状態の時刻k時点での推定値を表し、P- fkは、時刻kの状態の時刻(k−1)時点での推定値を表す。また、x- fk、P- fkは、以下のとおり算出することができる。
である。
以上により、過去及び現在の加速度データ及び画像データから誤差の除去されたx=(p,p')が推定される。なお、本実施形態では、画像データのサンプリング周期は、慣性センサユニット4の出力値である加速度データのサンプリング周期ΔTよりも大きい。そのため、ステップS42では、画像データを、線形補完等を適宜行って、加速度データのサンプリング周期ΔTに合わせたデータセットにしておく前処理が行われる。
続くステップS43では、導出部14cは、時間軸に沿って後向きにフィルタリングを行うことで、未来の加速度データ及び画像データを用いて、グリップ51の位置p及び速度p'をさらに更新する。
具体的には、k=N−1,・・・,1,0に対して、以下の式に従ってスムージングを行うことにより、xkを導出する。なお、初期値となるxN=x+ fNである。
以上により、過去及び現在の計測結果のみならず、未来の計測結果を用いて、高精度にグリップ51の位置p及び速度p'を導出することができる。
<1−3−3−5.グリップの角速度及び角加速度の導出(S7)>
以下、図12を参照しつつ、アドレスからインパクト付近までのグリップ51の角速度及び角加速度の導出処理の流れを説明する。
まず、ステップS51において、導出部14cは、ステップS5で導出された姿勢qiに疑似微分フィルタを掛けることにより、アドレスからインパクト付近までの各時刻tiの姿勢の微分qi'を導出する。なお、疑似微分フィルタは、以下の式で表される。
ただし、本実施形態では、数44の式を双1次変換して離散化した以下の式を用いて、時間微分が実行される。
続くステップS52では、導出部14cは、ステップS5で導出された姿勢qiと、ステップS51で導出された姿勢の微分qi'とを用いて、アドレスからインパクト付近までの各時刻tiの角速度ωiを導出する。角速度ωiは、下式に従って、導出される。
続くステップS53では、導出部14cは、ステップS52で導出した角速度ωiに疑似微分フィルタを掛けることにより、アドレスからインパクト付近までの各時刻tiの角加速度ωi'を算出する。疑似微分フィルタは、数45と同じである。
<1−3−3−6.グリップの加速度の導出(S8)>
以下、図13を参照しつつ、アドレスからインパクト付近までのグリップ51の加速度の導出処理の流れを説明する。
まず、ステップS61において、導出部14cは、ステップS6で導出されたスムージング後のグリップ51の速度p'に疑似微分フィルタを掛けることにより、アドレスからインパクト付近までの各時刻のグリップ51の加速度p''を導出する。疑似微分フィルタは、数45と同じである。
続くステップS62において、導出部14cは、ステップS5で導出されたオイラーパラメータqiを用いて、以下の式に従って、アドレスからインパクト付近までの各時刻におけるステップS61の慣性座標系での加速度p''=aI i、を、局所座標系の加速度aB iに変換する。
<1−4.評価>
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されない。
<1−4−1>
実施例1として、ステップS4の最適化の効果を確認すべく、上記実施形態に係るステップS1〜S4を実行して得られた最適化された姿勢行列Nを用いて、局所座標系のシャフトの向き[0,0,1]Tを全体座標系でのシャフトの向きに変換した。そして、このシャフトの向きのベクトルと、モーションキャプチャーシステムで計測した全体座標系でのシャフトの向きを表すベクトル(真値)との為す角度を、角度誤差として算出した。この結果を、図14に実線で示す。なお、ここでいうモーションキャプチャーとは、例えば、特開2011−183090号公報及び特開2011−030761号公報に記載されるような、多数の赤外線カメラを使って高精度で動きを計測するシステムである。また、参考例1として、ステップS1〜S3及びステップS21を実行して姿勢行列Nを導出し、この姿勢行列Nを用いて、局所座標系のシャフトの向き[0,0,1]Tを全体座標系でのシャフトの向きに変換した。そして、このシャフトの向きのベクトルと、モーションキャプチャーシステムで計測した全体座標系でのシャフトの向きを表すベクトル(真値)との為す角度を、角度誤差として算出した。この結果を、図14に点線で示す。同図からは、ステップS4の最適化処理を経ることにより、真値との誤差が小さくなっていることが分かる。
<1−4−2>
実施例2として、ステップS5の最適化の効果を確認すべく、上記実施形態に係るステップS1〜S5を実行して得られた最適化された姿勢行列Nを用いて、局所座標系のシャフトの向き[0,0,1]Tを全体座標系でのシャフトの向きに変換した。そして、このシャフトの向きのベクトルと、モーションキャプチャーシステムで計測した全体座標系でのシャフトの向きを表すベクトル(真値)との為す角度を、角度誤差として算出した。この結果を、図15に実線で示す。また、参考例2として、ステップS1〜S4及びステップS31を実行して姿勢行列Nを導出し、この姿勢行列Nを用いて、局所座標系のシャフトの向き[0,0,1]Tを全体座標系でのシャフトの向きに変換した。そして、このシャフトの向きのベクトルと、モーションキャプチャーシステムで計測した全体座標系でのシャフトの向きを表すベクトル(真値)との為す角度を、角度誤差として算出した。この結果を、図15に点線で示す。同図からは、ステップS5の最適化処理を経ることにより、真値との誤差が小さくなっていることが分かる。
<1−4−3>
実施例3として、ステップS6のスムージングの効果を確認すべく、上記実施形態に係るステップS1〜S6を実行して、グリップの位置pを算出した。そして、この位置pと真値の位置pとの差(位置誤差)を算出した結果を、図16A〜図16Cに実線で示す。なお、真値は、モーションキャプチャーで計測した値とした。また、参考例3として、ステップS1により得られた同じセンサデータから、ステップS11,S12と同様の方法で導出された姿勢行列Nを用いて絶対座標系の加速度データを算出し、ここから重力成分を除去した後、これを2回積分することによりグリップの位置pを算出した。そして、この位置pと真値の位置pとの差(位置誤差)を算出した結果を、図16A〜図16Cに点線で示す。同図からは、ステップS6のスムージングを経ることにより、真値との誤差が小さくなっていることが分かる。
<1−4−4>
実施例4として、ステップS43のスムージングの効果を確認すべく、上記実施形態に係るステップS1〜S6を実行して、グリップの位置pを算出した。そして、この位置pと真値の位置pとの差(位置誤差)を算出した結果を、図17A〜図17Cに点線で示す。なお、真値は、モーションキャプチャーで計測した値とした。また、参考例4として、ステップS1〜S5,S41,S42を実行して、グリップの位置pを算出した。そして、この位置pと真値の位置pとの差(位置誤差)を算出した結果を、図17A〜図17Cに実線で示す。同図からは、ステップS43のスムージングを経ることにより、真値との誤差が小さくなっていることが分かる。
<2.第2実施形態>
図18及び図19に、本発明の第2実施形態に係る運動解析装置101を含む運動解析システム200の全体構成図を示す。これらの図を図1及び図2と比較すれば明らかなように、第2実施形態の運動解析システム200には、第1実施形態の運動解析システム100に対し、2台目の距離画像センサ6が追加されている。2台目の距離画像センサ6は、図19に示すとおり、1台目の距離画像センサ2と同様の構成を有している。距離画像センサ6は、距離画像センサ2とは異なる方向から撮影すべく、具体的には、ゴルファー7を右側から撮影すべく、ゴルファー7の右側に設置される。距離画像センサ6も、通信線17を介して運動解析装置101に接続される。なお、運動解析装置101は、複数台のコンピュータから構成されていてもよく、例えば、距離画像センサ2,6が異なるコンピュータに接続されていてもよい。
第2実施形態の運動解析装置101と、第1実施形態の運動解析装置1とは、ハードウェア構成は同じである。しかしながら、後述するとおり、一部ソフトウェア処理が異なるため、異なる運動解析プログラム103がインストールされている。それにより、制御部14は、第1及び第2取得部14a,14bとして動作する他、第3取得部14eとしても動作し、導出部14cに代えて、導出部114cとして動作する。以下では、第1及び第2実施形態間で共通の要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略しつつ、主として両実施形態の相違点について説明する。
なお、本明細書では様々な記号が登場し、同じ記号が異なる意味で、或いは異なる記号が同じ意味で用いられる場合があるが、最新の定義が優先されるものとする。
<2−1.運動解析方法>
図20を参照しつつ、第2実施形態に係る運動解析方法について説明する。図5及び図20を比較すれば明らかなとおり、第1及び第2実施形態に係る運動解析方法は類似しているが、ステップS2,S3,S6が、ステップS102,S103,S106に改良されている点で異なる。また、第2実施形態では、ステップS5の後に、ステップS5で導出されたシャフト52の姿勢を補正するステップS105が挿入されている。以下、相違点に係るステップS102,S103,S105,S106について順に説明する。
<2−1−1.第2データ収集処理(S102)>
第2実施形態では、第2データ収集処理として、ゴルフクラブ5のスイング動作が2台の距離画像センサ2,6により撮影される。すなわち、距離画像センサ2だけでなく、同時に距離画像センサ6も、ゴルフスイングを捉えた時系列のIR画像及び深度画像を含む画像データを検出する。距離画像センサ6により検出された画像データは、距離画像センサ2により検出された画像データと同様に、距離画像センサ6の通信部25を介して運動解析装置101に送信される。一方、運動解析装置101側では、第3取得部14eが通信部15を介してこれを受信し、記憶部13内に格納する。本実施形態では、少なくともアドレスの少し前の初期時刻t1からフィニッシュまでの時系列の画像データが収集される。
<2−1−2.時刻合わせ(S103)>
本実施形態では、2台の距離画像センサ2,6にそれぞれ由来する2系列の画像データが取得される。そのため、第1実施形態では、画像データとセンサデータとの時刻合わせのみが行われたが、本実施形態では、ステップS103として、これら2系列の画像データの時刻合わせも行われる。
具体的には、ステップS103は、図21に示すフローチャートに従って進行する。同図に示されるとおり、ステップS103では、導出部114cにより、ステップS3と同じくステップS11〜S14が実行される。これにより、センサデータと、距離画像センサ2により正面から撮影された画像データ(以下、正面画像データという)との同期が取られる。続いて、ステップS111,S112において、正面画像データと、距離画像センサ6により右側から撮影された画像データ(以下、右側画像データという)との同期が取られる。まず、ステップS111では、導出部114cが、正面画像データを画像処理することにより、アドレスからインパクト付近までの各時刻におけるグリップ端51aの三次元座標を導出する。同様に、導出部114cが、右側画像データを画像処理することにより、アドレスからインパクト付近までの各時刻におけるグリップ端51aの三次元座標を導出する。
続くステップS112では、導出部114cは、正面画像データ由来の時系列のグリップ端51aの三次元座標と、右側画像データ由来の時系列のグリップ端51aの三次元座標との一致度が最も高くなるように、両時系列データを位置合わせする。つまり、ステップS14と同様に、両時系列データを時間軸に沿って前後に移動させながら、両時系列データの波形が最も一致する点を決定する。そして、そのときのタイミングを基準として、正面画像データの時間軸と、右側画像データの時間軸とを相対的に時刻合わせさせる。
以上により、時刻合わせは終了する。なお、以上の処理により、正面画像データを介して、右側画像データとセンサデータも時刻合わせされる。
<2−1−3.ダウンスイング期間の姿勢の補正(S105)>
図15を参照されたい。同図は、上述したとおり、ステップS1〜S5により導出された姿勢行列Nに基づくシャフト52の向きの角度誤差を表している。同図から分かるように、この誤差は、インパクト(図中、0秒に対応する)の少し前までは効果的に低減されているが、インパクト直前においてはやや大きい。これは、ダウンスイング期間に概ね相当するインパクト直前においてはゴルフクラブ5が高速に運動し、角速度センサ42(ジャイロセンサ)のバイアス成分が大きくなるためと考えられる。
ステップS105は、このような誤差が比較的大きくなるインパクト直前の期間、言い換えると、(インパクト−T0秒)からインパクトまでの期間(以下、ダウンスイング期間という)におけるシャフト52の姿勢を補正するステップである。T0は、例えば、0.1秒〜0.5秒と設定することができ、0.2秒〜0.3秒がより好ましい。
ステップS105は、図22に示すとおり進行する。まず、ステップS121では、導出部114cは、画像データに基づいてインパクト時の姿勢q(オイラーパラメータ)を導出する。より具体的には、導出部114cは、右側画像データに含まれるインパクト時の深度画像を画像処理することにより、シャフト52の向きを表す三次元ベクトルを導出するとともに、右側画像データに含まれるインパクト時のIR画像を画像処理することにより、シャフト52の向きを表す二次元ベクトルを導出する。同様に、導出部114cは、正面画像データに含まれるインパクト時の深度画像を画像処理することにより、シャフト52の向きを表す三次元ベクトルを導出するとともに、正面画像データに含まれるインパクト時のIR画像を画像処理することにより、シャフト52の向きを表す二次元ベクトルを導出する。さらに、導出部114cは、右側画像データ及び正面画像データに含まれるインパクト時の対のIR画像を画像処理することにより、シャフト52の向きを表す三次元ベクトルを導出する。このとき、DLT法等を用いて、2枚のIR画像に由来する2方向からのシャフト52の像の2次元座標に基づいて、シャフト52の像の3次元座標が導出される。
導出部114cは、以上の5つのシャフト52の向きと、未知の姿勢qとの誤差の大きさを表わす目的関数を定義する。そして、当該目的関数を最適化することにより、当該誤差を最小にする姿勢qを導出する。なお、本実施形態では、シャフト52の向きを表す上記5つのベクトルを全て用いて目的関数が定義されるが、例えば、これらのうちの2つ以上のベクトルを任意に組み合わせて、目的関数を定義することもできる。
続くステップS122では、導出部114cは、ステップS121で導出されたインパクト時の姿勢q(以下、qIBsと表記する)に基づいて、ステップS5で導出されたインパクト時の姿勢q(以下、qIBbと表記する)を補正する。qIBsは、Bs系の慣性系(XYZ慣性座標系に一致する。以下同じ)に対する姿勢を表すオイラーパラメータであり、qIBbは、Bb系の慣性系に対する姿勢を表すオイラーパラメータである。Bb系とは、ステップS5で得られる局所座標系であり、Bs系とは、ステップS121で得られる局所座標系である。
ここで、Bs系のBb系に対する姿勢を表すオイラーパラメータをqBbBsとおく。このとき、qBbBsは、以下のとおり表される。
姿勢誤差は、Bs系又はBb系におけるシャフト軸と、B系におけるシャフト軸とをそれぞれ慣性系に変換したときの軸どうしの為す角度で評価される。なお、B系とは、局所座標系(真値)である。姿勢誤差をシャフト軸の向きの違いで評価するために、qBbBsを次のようにシャフト軸を一致させる回転(シャフト軸の向きの違い)と、シャフト軸周りの回転とに分解して考える。qsがシャフト軸を一致させる回転に対応し、qψがシャフト軸周りの回転に対応する。
sとは、−z軸の向きを表す単位ベクトルであり、s=(0,0,−1)である。qsは、xy平面内の単位ベクトルα=(αx,αy,0)の周りにBb系のs軸を角度φだけ回転させる操作を表す。qψは、s軸の周りに角度ψだけ回転させる操作を表す。従って、姿勢誤差は、角度φを用いて評価される。また、αとsは直交するため、α・s=0となる。数49の式を展開すると、以下のとおりとなる。
上式の右辺第1項〜第3項は、以下のとおり変形される。
以上より、オイラーパラメータqのベクトル部をV(q)と表し、スカラー部をS(q)と表すとき、以下のとおりとなる。
数52の第1式を第2式で割ることにより、ψを表すことができる。
ステップS122では、導出部114cは、数48の式にステップS121で導出されたインパクト時の姿勢qIBs、及びステップS5で導出されたインパクト時の姿勢qIBbを代入することにより、インパクト時のqBbBsを導出する。続いて、導出部114cは、このqBbBsを数53の式に代入することにより、インパクト時のψを導出する。さらに、導出部114cは、数49の第1式を変形した以下の式に、このqBbBsとψとを代入することにより、インパクト時のqsを導出する。
さらに、導出部114cは、ステップS5で導出されたインパクト時の姿勢qIBbと、インパクト時のqsとを下式に代入することにより、インパクト時の姿勢qIBbを補正したqIBb’を導出する。数55の式による変換により、Bb系の姿勢誤差とBs系の姿勢誤差とが等しくなる。
続くステップS123,S124では、導出部114cは、ダウンスイング期間の始端の時刻(すなわち、インパクトのT0前)と終端の時刻(すなわち、インパクトの時刻)との間の姿勢qIBbを補間する。このとき、インパクトの時刻における姿勢qIBbが、ステップS122で導出された補正後の姿勢qIBb’に一致するようにする。具体的には、まず、qIBbの微分を考える。
ここで、ωBmは、角速度センサ42の検出値である。ωbiasは、ωBmのバイアス成分である。ステップS123では、このバイアス成分ωbiasが導出される。なお、数56では、バイアス成分が考慮されているという意味で、qIBbにハットの記号が付されている。
具体的には、導出部114cは、ダウンスイング期間に含まれる各時刻において、qIBb及びωBmを数56の右辺に代入する。このとき代入されるqIBbは、ダウンスイング期間の始端の時刻においては、ステップS5で算出された値である。それ以降の時刻においては、直前の時刻において数56の式から算出されたqIBbの微分と、数6の式とに基づいて更新されるクォータニオンが代入される。そして、これらの全ての時刻の代入値を加算する。言い換えると、ダウンスイング期間を積分期間として、数56の式が積分される。この加算値すなわち積分値は、ωbiasを未知数として含む式であり、インパクト時の姿勢qIBbを表している。従って、導出部114cは、この積分値(式)を、インパクト時の姿勢qIBbとして数48の式に代入して、qBbBsの値(式)を導出する。さらに、このqBbBsの値(式)を用いて、数53,54の式からqsの値(式)を導出する。そして、このqsの値(式)が、ステップS122で先に導出したqsの値と等しくなるように、ωbiasを決定する。ここで、qsのz成分は0となるため、満たすべき終端条件は2成分である。ωbiasは3つの成分を有するので、3つの成分を2つの終端条件を満たすように計算する。このとき、ニュートン法等を用いて効率的に、ωbiasの3つの成分を探索することが好ましい。
次に、S124では、ステップS123で導出されたバイアス成分ωbiasに基づいて、ダウンスイング期間における姿勢qIBbを導出し直す。具体的には、ステップS5で導出されたダウンスイング期間の始端の時刻における姿勢qIBbを、数6,7の式を用いて時々刻々更新してゆく。このとき、更新に用いられる角速度は、バイアス成分を加味した角速度(ωBm+ωbias)とされる。
なお、本実施形態では、ステップS124において、バイアス成分を加味した角速度(ωBm+ωbias)を算出するに当たり、各時刻におけるバイアス成分ωbiasが以下の式で補正される。Tは、ダウンスイング期間の長さであり、tは、ダウンスイング期間の始端からの経過時間である。ωbiasfは、インパクト時のバイアス成分である。
これにより、3段落前の説明で導出されたバイアス成分ωbiasは、インパクトの時刻のバイアス成分ωbiasfとされ、ダウンスイング期間の始端の時刻のバイアス成分は、0とされる。また、ダウンスイング期間中にバイアス成分が徐々に大きくなるように設定される。これにより、ダウンスイング期間とそれ以外の期間との境界(始期の時刻とその直前の時刻との境界)で角速度が急激に変化することを避け、角速度を連続的に変化させることができる。
また、バイアス成分の補正方法としては、以下の方法も考えられ、以下の補正方法は、以上の補正方法と組み合わせて使用することもできるし、単独で使用することもできる。すなわち、バイアス成分は、高速域では大きくなり、低速域では小さくなる。従って、ωBmは下式のとおり補正することができる。
ωBm’=TH+(ωBm−TH)×k (ωBm>THの場合)
ωBm’=−TH+(ωBm+TH)×k (ωBm<THの場合)
ここで、ωBm’は、補正後の角速度(バイアス成分を加味した角速度)であり、THは閾値であり、kは、補正係数である。以上により、ステップS105の補正処理が終了する。
<2−1−4.グリップの位置及び速度の導出(S106)>
グリップの位置及び速度の導出処理(ステップS106)は、ステップS6の処理と以下の点を除き同様である。すなわち、ステップS106では、正面画像データのみならず、側面画像データに基づいて、グリップ51の位置及び速度が導出される。具体的には、数39の式が以下のとおり変更される。bは、加速度センサのバイアス成分を意味している。
<2−2.評価>
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されない。
実施例5として、ステップS105の最適化の効果を確認すべく、第2実施形態に係るステップS1〜S105を実行して得られた最適化された姿勢qを用いて、局所座標系のシャフトの向き[0,0,1]Tを全体座標系でのシャフトの向きに変換した。そして、このシャフトの向きのベクトルと、モーションキャプチャーシステムで計測した全体座標系でのシャフトの向きを表すベクトル(真値)との為す角度を、角度誤差として算出した。この結果を、図23に一点鎖線で示す。なお、図23には、図15の実施例2及び参考例2も示している。同図からは、ステップS105の補正処理を経ることにより、インパクト直前の期間においても、真値との誤差が小さくなっていることが分かる。
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。
<3−1>
上記ステップS26の最適化処理では、地磁気データ由来の関数Fmと、画像データ由来の関数Fkを含む目的関数J1が最小化された。しかしながら、目的関数J1は、関数Fm,kの一方を含まないように定義することもできる。同様に、上記ステップS37の最適化処理では、Fn,Fm,Fkを含む目的関数J2が最小化されたが、目的関数J2は、関数Fn,Fm,Fkの少なくとも1つを含まないように定義することもできる。また、地磁気データ由来の関数Fmを、加速度データ由来の関数として定義することもできる。この場合、例えば、加速度センサ41により計測されたax,ay,azから重力成分を抽出する。そして、地磁気mx,my,mzのデータを、それぞれ抽出された重力の向きのデータに置き換えることにより、関数Fmを同様に算出することができる。
<3−2>
上記実施形態では、距離画像センサ2によりIR画像が撮影されたが、IR画像に代えてカラー画像を撮影し、これを運動の解析に用いることもできる。この場合、距離画像センサ2には、可視光を受光する可視光受光部(例えば、RGBカメラ)を搭載すればよい。
<3−3>
上記実施形態に係る運動解析装置、方法及びプログラムは、ゴルフスイングの運動を解析するのに適するように構成されていたが、同様のアルゴリズムは、任意の運動を解析するのに用いることができる。
<3−4>
上記ステップS21では、初期時刻t1の姿勢(オイラーパラメータq及び姿勢行列N)が、初期時刻t1の画像データ、及び、初期時刻t1の加速度データから特定される重力の向きに基づいて導出された。しかしながら、初期時刻t1の姿勢は、角速度データから導出することもできる。図24のフローチャートは、その一例の処理の流れを示している。
まず、ステップS71において、導出部14cは、初期時刻t1のオイラーパラメータqを[0,0,0,1]とし、当該オイラーパラメータqを、初期時刻t1からインパクト付近までの角速度ωx,ωy,ωzのデータを用いて、数6,7の式に従って時々刻々更新してゆく。その後、数5の式に従って、各時刻の姿勢qを、姿勢行列Nに換算する。続いて、導出部14cは、ステップS72において、ステップS23と同様に、時刻ti,tjにおける姿勢の差qBjBiを導出する。また、ステップS73において、ステップS24と同様に、行列Akjを導出する。その後、ステップS74において、ステップS26と同様に、ラグランジュの未定乗数法により、ステップS71で導出された姿勢qiが最適化される。具体的には、以下の評価関数J3を最小化するように最適化が行われる。
この最適化の方法も、ステップS26と同様であり、評価関数J3が最小化されるためには、目的関数J3の微分に関し、数60が成立する必要がある。そして、この式は、数61の行列の固有値がλとなり、qiが固有ベクトルになることを表しているから、導出部14cは、数61の行列を計算し、当該行列の最小の固有値に対応する大きさ1の固有ベクトルを導出して、これをqiとする。導出部14cは、このqiを少なくとも初期時刻t1について導出し、さらに姿勢行列Nに変換する。これにより、初期時刻t1における姿勢が導出される。
<3−5>
第1及び第2実施形態におけるアドレスからインパクト付近までの姿勢の導出処理(ステップS5)において、ステップS32〜S37を省略することもできる。この場合、ステップS6以降の処理においては、ステップS37の結果に代えて、ステップS31で導出された仮の姿勢を用いることができる。
1,101 運動解析装置
2 距離画像センサ
6 距離画像センサ
3 運動解析プログラム
4 慣性センサユニット
41 加速度センサ
42 角速度センサ
43 地磁気センサ
5 ゴルフクラブ
7 ゴルファー
14a 第1取得部
14b 第2取得部
14e 第3取得部
14c,114c 導出部
51 グリップ
52 シャフト
100,200 運動解析システム

Claims (14)

  1. 移動体の運動を解析するための運動解析装置であって、
    前記移動体に取り付けられ、角速度センサ、加速度センサ及び地磁気センサの少なくとも1つを含むセンサユニットから出力される時系列の角速度データ、加速度データ及び地磁気データの少なくとも1つを含む時系列のセンサデータを取得する第1取得部と、
    第1距離画像センサにより前記移動体の運動を撮影した時系列の深度画像及び二次元画像を含む時系列の画像データを取得する第2取得部と、
    前記センサデータ及び前記画像データに基づいて、前記移動体の三次元挙動を導出する導出部と
    を備える、
    運動解析装置。
  2. 前記導出部は、前記画像データ及び前記センサデータを用いて定義される関数を含む目的関数を最小化又は最大化する最適解として、前記移動体の姿勢を導出する、
    請求項1に記載の運動解析装置。
  3. 前記関数は、前記画像データから導出される前記移動体の向きを用いて定義される、
    請求項2に記載の運動解析装置。
  4. 前記関数は、前記地磁気データ及び加速度データの少なくとも一方を用いて定義される、
    請求項2又は3に記載の運動解析装置。
  5. 前記導出部は、前記移動体の初期の姿勢及び前記時系列の角速度データを用いて、前記移動体の仮の姿勢を算出し、
    前記関数は、前記仮の姿勢を用いて定義される、
    請求項2から4のいずれかに記載の運動解析装置。
  6. 前記導出部は、前記画像データから導出される初期の前記移動体の向き及び初期の前記加速度データ、又は、前記角速度データを用いて、前記移動体の初期の姿勢として、前記移動体の静止時の姿勢を導出する、
    請求項5に記載の運動解析装置。
  7. 前記導出部は、前記移動体の姿勢及び前記移動体の姿勢を微分フィルタによりフィルタリングした微分データに基づいて、前記移動体の角速度を導出する、
    請求項1から6のいずれかに記載の運動解析装置。
  8. 前記導出部は、前記加速度データ用いて、前記画像データから導出される前記移動体の仮の位置及び当該仮の位置を微分した仮の速度の少なくとも一方をスムージングすることにより、前記移動体の位置及び速度の少なくとも一方を導出する、
    請求項1から7のいずれかに記載の運動解析装置。
  9. 前記導出部は、前記移動体の速度を微分フィルタによりフィルタリングすることにより、前記移動体の加速度を導出する、
    請求項8に記載の運動解析装置。
  10. 前記導出部は、前記画像データから導出される前記移動体の向きの時系列データと、前記センサデータから導出される前記移動体の向きの時系列データとの一致度が最も高くなるように、前記時系列の画像データと前記時系列のセンサデータとの時刻合わせを行う、
    請求項1から9のいずれかに記載の運動解析装置。
  11. 第2距離画像センサにより前記第1距離画像センサとは異なる方向から前記移動体の運動を撮影した時系列の深度画像及び二次元画像を含む時系列の画像データを取得する第3取得部
    をさらに備え、
    前記導出部は、前記センサデータと、前記第2取得部及び前記第3取得部により取得された前記画像データとに基づいて、前記移動体の三次元挙動を導出する、
    請求項1から10のいずれかに記載の運動解析装置。
  12. 前記導出部は、前記画像データに基づいて第1時刻における前記移動体の姿勢である瞬時姿勢を導出し、前記移動体の姿勢が前記第1時刻において前記瞬時姿勢に一致するように、前記第1時刻と異なる第2時刻と前記第1時刻との間の前記移動体の姿勢を補間する、
    請求項1から11のいずれかに記載の運動解析装置。
  13. 移動体の運動を解析するための運動解析方法であって、
    前記移動体に取り付けられ、角速度センサ、加速度センサ及び地磁気センサの少なくとも1つを含むセンサユニットを用いて、時系列の角速度データ、加速度データ及び地磁気データの少なくとも1つを含む時系列のセンサデータを取得するステップと、
    距離画像センサを用いて、前記移動体の運動を撮影した時系列の深度画像及び二次元画像を含む時系列の画像データを取得するステップと、
    前記センサデータ及び前記画像データに基づいて、前記移動体の三次元挙動を導出するステップと、
    を備える、
    運動解析方法。
  14. 移動体の運動を解析するための運動解析プログラムであって、
    前記移動体に取り付けられ、角速度センサ、加速度センサ及び地磁気センサの少なくとも1つを含むセンサユニットから出力される時系列の角速度データ、加速度データ及び地磁気データの少なくとも1つを含む時系列のセンサデータを取得するステップと、
    距離画像センサにより前記移動体の運動を撮影した時系列の深度画像及び二次元画像を含む時系列の画像データを取得するステップと、
    前記センサデータ及び前記画像データに基づいて、前記移動体の三次元挙動を導出するステップと、
    をコンピュータに実行させる、
    運動解析プログラム。
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