JP2017118803A - リニアモータ及び電機子 - Google Patents

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【課題】ディテント力及び推力リプルを低減できて、3相駆動と同程度の滑らかな可動子の移動を実現できる2相駆動のリニアモータ、及びそれに使用される電機子を提供する。【解決手段】電機子4にあって、ディテント力の4次の高調波成分の低減を図るべく、前半のブロックと後半のブロックとの間で、λ/8(λ:界磁周期)のピッチシフトを付与する。また、前半のブロックと後半のブロックとで駆動起磁力の位相を機械角に合わせるために、第1駆動コイル9aとは別に、前半のブロック及び後半のブロックそれぞれに位相補償コイル11a,11bを挿入して、推力リプルの低減を図る。【選択図】図18

Description

本発明は、複数の板状の永久磁石を有する可動子と、複数の磁極歯を有する電機子(固定子)とを組み合わせてなるリニアモータ、及び、該リニアモータに使用する電機子に関し、特に、ディテント力と推力リプルとの低減を図った2相駆動のリニアモータ及び電機子に関する。
工作機械の加工機ヘッドに搭載する工具の駆動用アクチュエータ、電子回路基板などの孔あけ機に用いるドリルの垂直移動装置、または、ピックアンドプレース(部品を掴んで所定の位置に置く)型ロボットにおける垂直移動機構などにあっては、高速な移動且つ高精度の位置決めが要求される。したがって、回転型モータの出力をボールねじにて直線運動(垂直運動)に変換するような従来の方法では、移動速度が遅いため、そのような要求を満たせない。
そこで、このような垂直移動には、平行運動出力を直接に取り出し可能なリニアモータの利用が進んでいる。複数の板状の永久磁石を配設した角形状の永久磁石構造体を可動子とし、通電コイルを有する電機子を固定子とし、固定子に可動子を貫通させた構成を有するリニアモータとして、種々のタイプのものが提案されている(特許文献1及び2)。
特開2005−287185号公報 特開2001−119919号公報
垂直移動機構にリニアモータを適用する場合、リニアモータの全高が高いとその重心位置も高くなり、曲げモーメントによる可動子の撓みが大きくなって、移動精度の悪化の原因となる。そこで、リニアモータの長さを短くして、この可動子の撓みを小さくする要望が高まっている。
上記の特許文献1及び2に開示されたリニアモータは、3相駆動であるため、3個の電機子を直線状に配置して、それらに可動子を貫通させるようにした構成となっている。よって、リニアモータの全長が長くなり、上記の要望を実現できないという難点がある。
そこで、各相の電機子を直列配置する必要がなくて全長を短くでき、垂直移動機構に適用した場合に全高を低くして、可動子の撓みを小さくできる2相駆動のリニアモータの開発が進められている(国際公開第2010/084940号、国際公開第2015/146874号など)。
しかしながら、2相駆動のリニアモータでは、ディテント力及び推力リプルが大きくなり、3相駆動と同程度の滑らかな可動子の移動を行うことが容易でないという課題があり、改善の余地がある。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ディテント力及び推力リプルを低減できて、3相駆動と同程度の滑らかな可動子の移動を実現できる2相駆動のリニアモータ、及びそれに使用される電機子を提供することを目的とする。
本発明に係るリニアモータは、四角筒状の軟質磁性体製のバックヨークの外側面それぞれに複数の平板状の永久磁石として、前記バックヨークの内側から外側に向かって磁化した第1平板状の永久磁石と、前記バックヨークの外側から内側に向かって磁化した第2平板状の永久磁石とが間隙をあけて交互に前記バックヨークの軸方向に配されている可動子を、四角形状の開口部、該開口部の外側に配したヨーク部、及び該ヨーク部から前記開口部に向かう2方向に延設させたコア部を有する軟質磁性体製の第1単極ユニットと、四角形状の開口部、該開口部の外側に配したヨーク部、及び前記第1単極ユニットのコア部を90度回転させた位置に設けられ、該ヨーク部から前記開口部に向かう2方向に延設させたコア部を有する軟質磁性体製の第2単極ユニットとを交互に重ねており、重なり合う前記第1単極ユニットと前記第2単極ユニットとの間に前記第1単極ユニット及び第2単極ユニットのコア部同士が接触しないように軟質磁性体製のスペーサを挟んであるコアユニットを備えており、前記第1単極ユニットの一方側のコア部に一括して第1駆動コイルが捲かれており、前記第1単極ユニットの他方側のコア部に一括して第2駆動コイルが捲かれている電機子の前記第1単極ユニットの開口部及び前記第2単極ユニットの開口部に貫通させてあり、前記第1駆動コイルと前記第2駆動コイルとに電気角で90度位相が異なる電流を通電すべくなしてあるリニアモータであって、前記第1駆動コイルに対向するバックヨークの2つの外側面における前記第1平板状及び第2平板状の永久磁石の配列と、前記第2駆動コイルに対向するバックヨークの2つの外側面における前記第1平板状及び第2平板状の永久磁石の配列とは、1つの前記第1平板状の永久磁石、1つの前記第2平板状の永久磁石、及び2つの前記間隙の合計の長さである界磁周期の1/4だけ前記バックヨークの軸方向にずれており、前記第1駆動コイルに対向するバックヨークの2つの外側面間で前記第1平板状及び第2平板状の永久磁石の配列が前記界磁周期の1/16だけ前記バックヨークの軸方向にずれており、前記第2駆動コイルに対向するバックヨークの2つの外側面間で前記第1平板状及び第2平板状の永久磁石の配列が前記界磁周期の1/16だけ前記バックヨークの軸方向にずれており、前記コアユニットは前記可動子の移動方向に2つの群に分けられ、該2つの群間には他の箇所の前記スペーサよりも前記界磁周期の1/8だけ厚いスペーサが介在してあり、前記分けられた2つの群の一方の群及び他方の群それぞれの前記第1単極ユニットの一方側のコア部に第1位相補償コイルが捲かれ、一方の群及び他方の群それぞれの前記第1単極ユニットの他方側のコア部に第2位相補償コイルが捲かれており、一方の群と他方の群とで巻き方向が逆であることを特徴とする。
本発明のリニアモータにあっては、第1駆動コイルに対向するバックヨークの2つの外側面における永久磁石の配列と、第2駆動コイルに対向するバックヨークの2つの外側面における永久磁石の配列とを、界磁周期の1/4(電気角の90度分)だけ変位させ、第1駆動コイルと、第2駆動コイルとに、電気角で90度位相が異なる電流を通電して、2相駆動を実現する。コアユニットを、可動子の移動方向に2つの群に分けて、この2つの群の間に、他の箇所よりも界磁周期の1/8(電気角の45度分)だけ厚いスペーサを介在させている。この構成により、ディテント力の4次の高調波成分の低減を図る。また、第1駆動コイルに対向するバックヨークの2つの外側面間での永久磁石の配列を界磁周期の1/16(電気角の22.5度分)だけずらせるとともに、第2駆動コイルに対向するバックヨークの2つの外側面間での永久磁石の配列を界磁周期の1/16(電気角の22.5度分)だけずらせている。この構成により、ディテント力の8次の高調波成分の低減を図る。さらに、分けられた2つの群の一方の群及び他方の群それぞれの第1単極ユニットの一方側のコア部に第1位相補償コイルを捲き、一方の群及び他方の群それぞれの第1単極ユニットの他方側のコア部に第2位相補償コイルを捲いており、一方の群と他方の群とで巻き方向が逆である。この構成により、推力リプルの低減を図る。以上により、3相駆動と同程度である滑らかな移動を、2相駆動にて実現する。
本発明に係るリニアモータは、前記第1位相補償コイルには前記第2駆動コイルと同じ電流を通電し、前記第2位相補償コイルには前記第1駆動コイルと同じ電流を通電すべくなしてあることを特徴とする。
本発明のリニアモータにあっては、第1位相補償コイルと第2駆動コイルとには同じ電流を通電し、第2位相補償コイルと第1駆動コイルとには同じ電流を通電する。よって、第1位相補償コイル及び第2位相補償コイルに通電するための電源を新たに設ける必要がない。
本発明に係るリニアモータは、前記第1位相補償コイル及び前記第2位相補償コイルの巻き数は、前記バックヨークの4つの外側面における磁石配列のずれ量に応じて設定してあることを特徴とする。
本発明のリニアモータにあっては、第1位相補償コイル及び第2位相補償コイルそれぞれの巻き数を、バックヨークの四つの外側面における磁石配列のずれ量に応じて設定する。よって、永久磁石の配列ずれの影響を正確に補償して、推力リプルを低減する。
本発明に係る電機子は、四角筒状の軟質磁性体製のバックヨークの外側面それぞれに複数の平板状の永久磁石を前記バックヨークの軸方向に配している可動子が貫通されるリニアモータ用の電機子において、四角形状の開口部、該開口部の外側に配したヨーク部、及び該ヨーク部から前記開口部に向かう2方向に延設させたコア部を有する軟質磁性体製の第1単極ユニットと、四角形状の開口部、該開口部の外側に配したヨーク部、及び前記第1単極ユニットのコア部を90度回転させた位置に設けられ、該ヨーク部から前記開口部に向かう2方向に延設させたコア部を有する軟質磁性体製の第2単極ユニットとを交互に重ねており、重なり合う前記第1単極ユニットと前記第2単極ユニットとの間に前記第1単極ユニット及び第2単極ユニットのコア部同士が接触しないように軟質磁性体製のスペーサを挟んであるコアユニットを備えており、前記第1単極ユニットの一方側のコア部に一括して第1駆動コイルが捲かれており、前記第1単極ユニットの他方側のコア部に一括して第2駆動コイルが捲かれており、前記コアユニットは2つの群に分けられ、前記分けられた2つの群の一方の群及び他方の群それぞれの前記第1単極ユニットの一方側のコア部に第1位相補償コイルが捲かれ、一方の群及び他方の群それぞれの前記第1単極ユニットの他方側のコア部に第2位相補償コイルが捲かれており、一方の群と他方の群とで巻き方向が逆であることを特徴とする。
本発明の電機子にあっては、第1単極ユニットの一方側の全部のコア部に一括して第1駆動コイルが捲かれており、第1単極ユニットの他方側の全部のコア部に一括して第2駆動コイルが捲かれており、これらの第1駆動コイル及び第2駆動コイルとは別に、コアユニットの一方の群及び他方の群それぞれの第1単極ユニットの一方側のコア部に第1位相補償コイルが捲かれ、一方の群及び他方の群それぞれの第2単極ユニットの他方側のコア部に第2位相補償コイルが捲かれており、一方の群と他方の群とで巻き方向が逆である。よって、この第1位相補償コイル及び第2位相補償コイルにより、推力リプルの低減を図る。
本発明に係る電機子は、前記第1駆動コイル及び前記第2位相補償コイルには第1電流を通電し、前記第2駆動コイル及び前記第1位相補償コイルには、前記第1電流と電気角で90度位相が異なる第2電流を通電すべくなしてあることを特徴とする。
本発明の電機子にあっては、第1駆動コイル及び第2位相補償コイルには第1電流を通電し、第2駆動コイル及び第1位相補償コイルには、この第1電流と電気角で90度位相が異なる第2電流を通電する。これにより、2相駆動を実現する。第1位相補償コイル及び第2位相補償コイルに通電するための電源を新たに設ける必要がない。
本発明では、2相駆動で課題となっているディテント力及び推力リプルを低減できて、3相駆動と同程度の滑らかな可動子の移動を実現できる2相駆動のリニアモータを提供することができる。この結果、本発明では、短尺なリニアモータを提供できるため、垂直移動機構に適用しても、可動子の撓みが小さくなって、高い移動精度を発揮できる。
リニアモータ(基本例)における可動子の構成を示す斜視図である。 リニアモータ(基本例)における電機子の構成を示す斜視図である。 リニアモータ(基本例)における電機子の構成を示す斜視図である。 リニアモータ(基本例)の構成を示す斜視図である。 リニアモータ(基本例)の構成を示す一部破断斜視図である。 リニアモータの(基本例)における電機子の構成を示す一部破断斜視図である。 リニアモータ(基本例)におけるディテント力の特性を示すグラフである。 リニアモータ(基本例)における各高調波次数でのディテント力の振幅を示すグラフである。 リニアモータ(基本例)における推力特性の測定結果を示すグラフである。 リニアモータ(改善例)における電機子の構成を示す一部破断斜視図である。 リニアモータ(改善例)の構成を示す上面図、側面図及び正面図である。 リニアモータ(改善例)の構成を示す斜視図である。 リニアモータ(改善例)におけるディテント力の特性を示すグラフである。 リニアモータ(改善例)における各高調波次数でのディテント力の振幅を示すグラフである。 リニアモータ(改善例)における推力特性を示すグラフである。 リニアモータ(改善例)における推力特性を示すグラフである。 リニアモータ(改善例)における推力リプル発生の原因を説明するための駆動コイル、コア部、及び可動子の磁石の位置関係を示す配置構成図である。 リニアモータ(本発明例)における駆動コイル、位相補償コイル、コア部、及び可動子の磁石の位置関係を示す配置構成図である。 リニアモータ(本発明例)における駆動コイル及び位相補償コイルの構成を示す図である。 リニアモータ(本発明例)における駆動コイル及び位相補償コイルへの通電を示す図である。 リニアモータ(本発明例)における駆動コイル及び位相補償コイルの合成磁界を説明するための駆動コイル、位相補償コイル、コア部、及び可動子の磁石の位置関係を示す配置構成図である。 リニアモータ(本発明例)における推力特性を示すグラフである。 リニアモータ(本発明例)における推力特性を示すグラフである。 作製した可動子の構成を示す側面図、正面図及び斜視図である。 電機子の作製に用いる電機子素材を示す平面図である。 単極ユニット片、第1スペーサ片及び第2スペーサ片の重ね合わせを示す斜視図である。 電機子の作製における中間品の構成を示す斜視図である。 作製した電機子の構成を示す斜視図である。 作製したリニアモータの推力特性の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(基本例)
図1はリニアモータ(基本例)における可動子の構成を示す斜視図である。可動子1は、四角筒状の軟質磁性体製のバックヨーク2の各外側面に、2種類の平板状磁石3a,3bを交互に間隙をあけてバックヨーク2の軸方向(可動子1の移動方向)に設置させた構成をなしている。図1において、白抜矢符は平板状磁石3a,3bの磁化方向を示している。平板状磁石3aは、バックヨーク2の外側面に垂直であって内側から外側に向かう方向に磁化されており、平板状磁石3bは、バックヨーク2の外側面に垂直であって外側から内側に向かう方向に磁化されている。よって、平板状磁石3aと平板状磁石3bとの磁化方向は、バックヨーク2の外側面に垂直であって逆向きになる。
バックヨーク2の上側の2側面(後述する電機子4の第1駆動コイル9aに対向する2側面)における磁石配列と、バックヨーク2の下側の2側面(後述する電機子4の第2駆動コイル9bに対向する2側面)における磁石配列とは、1つの平板状磁石3a、1つの平板状磁石3b、及び2つの間隙の合計の長さである界磁周期の1/4だけ、バックヨーク2の軸方向(可動子1の移動方向)にずれている。すなわち、界磁周期をλとした場合、λ/4(電気角で90度)だけ、磁石配列が変位している。
例えば、平板状磁石3a,3bとして長さ25mm、幅10mm、厚さ4mmの永久磁石を使用し、隣り合う平板状磁石3a,3bの間隙を2mmとした場合、界磁周期λは、10+10+2×2=24(mm)となる。この場合には、6mmだけ磁石配列がずれている。
図2及び図3はリニアモータ(基本例)における電機子の構成を示す斜視図であって、図2A−C及び図3Aはその部分構成図、図3Bはその全体構成図である。
電機子4は、図2Aに示す四角板状の第1単極ユニット5と、図2Bに示す四角板状の第2単極ユニット6とを交互に配列し、隣り合う第1単極ユニット5及び第2単極ユニット6の間に図2Cに示す枠状のスペーサ7を挿入させた構成を有している(図3A参照)。
第1単極ユニット5は、軟質磁性体にて形成されており、可動子1が貫通される四角状の開口部5aと、開口部5aの外側に配置された枠体としてのヨーク部5bと、ヨーク部5bから開口部5aに向けて2方向に延在しているコア部5cとを有する。また、第2単極ユニット6は、軟質磁性体にて形成されており、可動子1が貫通される四角状の開口部6aと、開口部6aの外側に配置された枠体としてのヨーク部6bと、ヨーク部6bから開口部6aに向けて2方向に延在しているコア部6cとを有する。第2単極ユニット6は、第1単極ユニット5を90度回転させた構成をなしている。
隣り合う第1単極ユニット5と第2単極ユニット6との間にヨークのみからなる軟質磁性体製のスペーサ7を挿入することにより、両単極ユニット5,6のコア部同士が接触しないようにしている。そして、第1単極ユニット5、スペーサ7、第2単極ユニット6、スペーサ7、…の順に交互に配列して重ね合わせて、図3Aに示すようなコアユニットを構成する。
第1単極ユニット5と第2単極ユニット6との共通の隙間部分8a,8bを貫通して第1単極ユニット5における一方側のコア部5c(図2Aの上側のコア部5c)に一括して第1駆動コイル9aが捲かれているとともに、第1単極ユニット5と第2単極ユニット6との共通の隙間部分8c,8dを貫通して第1単極ユニット5における他方側のコア部5c(図2Aの下側のコア部5c)に一括して第2駆動コイル9bが捲かれている(図3B参照)。
そして、図1に示す可動子1を、図3Bに示す電機子4の開口部5a,6aが連なって形成される中空部10に貫通させることにより、本発明の基本例としてのリニアモータ31が構成される。図4はリニアモータ(基本例)の構成を示す斜視図であり、図5はリニアモータ(基本例)の構成を示す一部破断斜視図である。
第1駆動コイル9aに正弦波(sin波)状の駆動電流を通電し、第2駆動コイル9bには余弦波(cos波)状の駆動電流を通電する。このように駆動電流を印加することにより、電機子単相ユニットの上部と下部とで交互に推力のピークが得られ、1つの単相ユニットにより連続した推力が得られて、2相駆動のリニアモータが実現する。
(ディテント力を改善した改善例)
図6は、上述したリニアモータ(基本例)における電機子の構成を示す一部破断斜視図である。図6において、図2〜図5と同一部分には同一符号を付している。図6に示すように、第1単極ユニット5と第2単極ユニット6とが可動子1の移動方向に等間隔で配置されている。
図7は、リニアモータ(基本例)におけるディテント力の特性を示すグラフであり、図8は、リニアモータ(基本例)における各高調波次数でのディテント力の振幅を示すグラフである。図7に示すように、最大推力300Nのリニアモータに対してディテント力が70N程度もある。一般的な3相駆動のリニアモータではディテント力が数Nである点を考慮すると、この数値は非常に大きい。また、高調波成分では、図8に示すように、界磁周期の4次の成分が主体であり、その振幅は25Nである。また、8次の成分も大きい。
また、図9は、リニアモータ(基本例)における推力特性の測定結果を示すグラフであり、駆動起磁力1200Aで駆動した場合の推力リプル特性を表している。図9に示すように、平均推力200Nに対して推力リプルが尖頭値で120Nもあり、通常の3相駆動のリニアモータと比べて大きな推力リプルを呈している。
よって、3相駆動と同様な滑らかな移動(推力特性)を実現するためには、ディテント力及び推力リプルの低減が必要である。
改善例では、電機子4における磁極歯の間隔を調整することで、ディテント力の4次の高調波成分の低減を図る。図10は、リニアモータ(改善例)における電機子の構成を示す一部破断斜視図である。図10にあって、図6と同一部分には同一符号を付している。
改善例では、図10に示すように、電機子全体を可動子1の移動方向に2つのブロック(群)に分け、一方のブロックと他方のブロックとの間隔を、各単極ユニットの均等配置間隔からλ/8(λ:界磁周期)だけ広げている。このλ/8は、4次の高調波成分の半分に該当し、電気角で45度に相当する。例えば、前述したように界磁周期λが24mmである場合には、3mmだけ両ブロック間で間隔を広げる。このような構成は、両ブロック間でのスペーサ7の厚さを他の箇所でのスペーサ7の厚さより厚くすることにより容易に実現できる。
両ブロック間をλ/8だけ広げることにより、一方のブロックで発生する4次の高調波成分と、他方のブロックで発生する4次の高調波成分とは、互いに逆位相となって打ち消し合うため、全体として大幅に4次の高調波成分を低減することができる。
また、改善例では、可動子1における磁石の配列を調整することで、ディテント力の8次の高調波成分の低減を図る。図11は、リニアモータ(改善例)の構成を示す上面図(A)、側面図(B)及び正面図(C)であり、図12は、リニアモータ(改善例)の構成を示す斜視図である。図11及び図12にあって、図4及び図5と同一部分には同一符号を付している。
前述したように、可動子1での磁石配列は上下方向に2分されており、バックヨーク2の上側の2側面(第1駆動コイル9aに対向する2側面)における磁石配列と、バックヨーク2の下側の2側面(第2駆動コイル9bに対向する2側面)における磁石配列とは、界磁周期の1/4(電気角で90度)だけ、バックヨーク2の軸方向(可動子1の移動方向)にずれている。このような磁石配列を図11Cにおける左右に分割して、左右方向に隣り合うバックヨーク2側面における磁石配列を、バックヨーク2の軸方向(可動子1の移動方向)に、界磁周期の1/16(λ/16:電気角で22.5度に相当)だけずらせている。例えば、前述したように界磁周期λが24mmである場合には、磁石配列を左右間で1.5mmだけ変位させる。
このような磁石配列とすることにより、右側に発生する8次の高調波成分と、左側に発生する8次の高調波成分とは、互いに逆位相となって打ち消されるため、全体として大幅に8次の高調波成分を低減することができる。
図13は、リニアモータ(改善例)におけるディテント力の特性を示すグラフであり、図14は、リニアモータ(改善例)における各高調波次数でのディテント力の振幅を示すグラフである。図14に示すように、2次の高調波成分は1.5N、8次の高調波成分は0.33Nとなっており、大幅に低減できている。また、図13に示すように、最大推力300Nのリニアモータに対してディテント力の尖頭値は10N程度まで減らすことができている。この数値は、一般的な3相駆動のリニアモータと同程度のものである。
(本発明例)
図15は、リニアモータ(改善例)における推力特性を示すグラフであり、駆動コイルに種々の駆動起磁力を印加した場合の推力及び推力リプルの発生状況を表している。図15に示すように、印加する駆動起磁力の増加に伴って推力は増加していくが、推力リプルも大きくなっていくことが分かる。特に最大の推力が発生する際に、非常に大きな推力リプルが生じている。そこで、推力リプルを低減する必要がある。
改善例で大きな推力リプルが生じる原因を検討した。図16は、リニアモータ(改善例)における推力特性を示すグラフであり、駆動起磁力1200Aにおける推力リプルの解析結果を表している。電機子の前半のブロックと後半のブロックとで、推力リプルの4次の高調波成分の位相が180度ずれていないことが分かる。このため、合成推力で推力リプルの4次の高調波成分が相殺されずに残留することになる。
この原因として、電機子に駆動起磁力が一括して印加されていることが考えられる。図17は、リニアモータ(改善例)における推力リプル発生の原因を説明するための駆動コイル、コア部、及び可動子の磁石の位置関係を示す配置構成図である。図17にあって、図4及び図5と同一部分には同一符号を付している。
4次の高調波成分を低減するために、前半のブロックと後半のブロックとの間でλ/8の変位(ピッチシフト量)を加えているので、電機子の磁極歯に関して、前半のブロック内の磁極歯では進み角が発生して付与され、後半のブロック内の磁極歯では遅れ角が発生して付与されることになる。このため、ディテント力については4次の高調波成分が前半のブロックと後半のブロックとの間で相殺されるが、駆動した場合には、進み角/遅れ角の付与により、機械角に対応した駆動起磁力が印加されなくなって、前半のブロックと後半のブロックとで推力リプルの位相が180度ずれなくなり、合成応力で4次の推力リプルが残留することになる。
本発明例では、駆動起磁力の位相を補償するための位相補償コイルを設けることで、推力リプルの低減を図る。図18は、リニアモータ(本発明例)における駆動コイル、位相補償コイル、コア部、及び可動子の磁石の位置関係を示す配置構成図であり、図19は、リニアモータ(本発明例)における駆動コイル及び位相補償コイルの構成を示す図である。図18及び図19にあって、図4、図5及び図17と同一部分には同一符号を付している。
電機子4の上側では、前半のブロックと後半のブロックとで駆動起磁力の位相を機械角に合せるために、第1駆動コイル9aとは別に、前半のブロック及び後半のブロックそれぞれに位相補償コイル11a,11b(特許請求の範囲での第1位相補償コイル)を挿入している(図19A参照)。また、電機子4の下側では、前半のブロックと後半のブロックとで駆動起磁力の位相を機械角に合せるために、第2駆動コイル9bとは別に、前半のブロック及び後半のブロックそれぞれに位相補償コイル11c,11d(特許請求の範囲での第2位相補償コイル)を挿入している(図19B参照)。
位相補償コイル11aは、前半のブロック内での上側の磁極歯群(前半のブロック内における第1単極ユニット5の上側のコア部5c)を一括して捲かれており、位相補償コイル11bは、後半のブロック内での上側の磁極歯群(後半のブロック内における第1単極ユニット5の上側のコア部5c)を一括して捲かれている。位相補償コイル11aと位相補償コイル11bとは、互いに逆向きで同一巻き数だけ捲かれている。位相補償コイル11cは、前半のブロック内での下側の磁極歯群(前半のブロック内における第1単極ユニット5の下側のコア部5c)を一括して捲かれており、位相補償コイル11dは、後半のブロック内での下側の磁極歯群(後半のブロック内における第1単極ユニット5の下側のコア部5c)を一括して捲かれている。位相補償コイル11cと位相補償コイル11dとは、互いに逆向きで同一巻き数だけ捲かれている。
図20は、リニアモータ(本発明例)における駆動コイル及び位相補償コイルへの通電を示す図である。電機子4下側の位相補償コイル11c及び位相補償コイル11dには、第1駆動コイル9aと同じ正弦波(sin波)状の駆動電流が通電され、電機子4上側の位相補償コイル11a及び位相補償コイル11bには、第2駆動コイル9bと同じ余弦波(cos波)状の駆動電流が通電される。
本発明例では、駆動コイル及び位相補償コイルの合成磁界により、前半のブロックと後半のブロックとの間での変位(ピッチシフト量)を補償している。図21は、リニアモータ(本発明例)における駆動コイル及び位相補償コイルの合成磁界を説明するための駆動コイル、位相補償コイル、コア部、及び可動子の磁石の位置関係を示す配置構成図である。以下、第1駆動コイル9aと位相補償コイル11a,11bとを例として、補償について説明する。
正弦波電流が通電される第1駆動コイル9aによる磁界の向きを図21で矢印Aにて表す。位相補償コイル11a,11bは互いに巻き方向を逆にしており、位相補償コイル11a,11bには、正弦波電流から90度位相がずれた余弦波電流が通電されるため(図19Aの矢符)、位相補償コイル11a、位相補償コイル11bによる磁界の向きは、それぞれ図21で矢印B、矢印Cにて表される。この結果、前半のブロックにおける合成磁界の向きは、図21で矢印Dにて表され、後半のブロックにおける合成磁界の向きは、図21で矢印Eにて表される。この2つの合成磁界の向きのなす角(位相角)(図21のθ)にてピッチシフトを補償できる。
このような位相角θは、位相補償コイル11a,11bによる磁界の大きさによって制御できるため、本発明例では、この位相角θが前述したピッチシフト量λ/8に対応するように、位相補償コイル11a,11bでの巻き数を設定している。
電機子4の下側にあっても、位相補償コイル11c,11dにより、同様に、ピッチシフトを補償することができ、それらの巻き数を補償すべきピッチシフト量に対応させて設定している。
図22は、リニアモータ(本発明例)における推力特性を示すグラフであり、駆動起磁力1200Aにおける推力リプルの解析結果を表している。位相補償コイルを設けていない改善例では、図16に示すように、推力リプルは60N程度もあり、前半のブロックで発生した推力と後半のブロックで発生した推力とで4次の成分の位相が180度ずれていない。これに対して、本発明例では、図22に示すように、前半のブロックで発生した推力と後半のブロックで発生した推力とで4次の成分の位相が180度ずれており、合成推力リプルは25N程度しかなく、大幅な推力リプルの低減を実現できていることが分かる。ここで、推力リプルは(推力最大値−推力最小値)(N)で求めた。
図23は、リニアモータ(本発明例)における推力特性を示すグラフであり、駆動コイルに種々の駆動起磁力を印加した場合の推力及び推力リプルの発生状況を表している。位相補償コイルを設けていない改善例による図15と比較した場合、位相補償コイルを設けている本発明例では、特に印加する駆動起磁力が大きい場合に、推力リプルの顕著な低減効果を実現できていることが分かる。
以上のことから、上述した本発明例により、2相駆動での課題であったディテント力及び推力リプルを大幅に低減できて、3相駆動と同程度の滑らかな可動子の移動を実現できる2相駆動のリニアモータを提供できる。
上述した本発明例のリニアモータは、下記に述べるような可動子と電機子とを組み合わせた構成をなしている。
可動子1では、軟質磁性体製のバックヨーク2の4つの外側面それぞれに、磁化方向が逆である平板状磁石3a,3b,…を交互にバックヨーク2の軸方向(可動子1の移動方向)に配している。電機子4の第1駆動コイル9aに対向する上側の平板状磁石3a,3bの配列と、第2駆動コイル9bに対向する下側の平板状磁石3a,3bの配列とは、界磁周期の1/4(λ/4)だけ移動方向にずれている。また、第1駆動コイル9aに対向する2つの外側面間での平板状磁石3a,3bの配列が、界磁周期の1/16(λ/16)だけ移動方向にずれており、第2駆動コイル9bに対向する2つの外側面間での平板状磁石3a,3bの配列も、界磁周期の1/16(λ/16)だけ移動方向にずれている。
電機子4は、開口部5aとヨーク部5bとコア部5cとを有する第1単極ユニット5、スペーサ7、第1単極ユニット5を90度回転させた第2単極ユニット6、スペーサ7、…を交互に重ね合わせたコアユニットを備えている。複数の第1単極ユニット5の一方側の複数のコア部5cに一括して第1駆動コイル9aが捲かれており、複数の第1単極ユニットの他方側の複数のコア部5cに一括して第2駆動コイル9bが捲かれている。コアユニットは可動子1の移動方向に2つの群に分けられ、この2つの群間には他の箇所のスペーサ7よりも界磁周期の1/8(λ/8)だけ厚いスペーサ7が介在してある。分けられた2つの群の一方の群及び他方の群それぞれの第1単極ユニット5の上側のコア部5cに位相補償コイル11a,11bが捲かれ、一方の群及び他方の群それぞれの第1単極ユニット5の下側のコア部5cに位相補償コイル11c,11dが捲かれている。
上記の電機子4に上記の可動子1を貫通させて、第1駆動コイル9aと位相補償コイル11c,11dとに例えば正弦波電流を通電し、第2駆動コイル9bと位相補償コイル11a,11bとに例えば余弦波電流を通電する。
電機子4の2つの群の間を界磁周期の1/8だけ広くすることにより、ディテント力の4次の高調波成分の低減を図る。また、第1駆動コイル9a及び第2駆動コイル9bそれぞれに対向するバックヨーク2の2つの外側面間での永久磁石の配列を界磁周期の1/16だけずらせることにより、ディテント力の8次の高調波成分の低減を図る。さらに、電機子4の2つの群それぞれに位相補償コイル11a,11b,11c,11dを設けることにより、推力リプルの低減を図る。
以上により、本発明例のリニアモータは、ディテント力及び推力リプルが小さくて、3相駆動と同程度である滑らかな移動を、2相駆動にて実現する。
以下、本発明者が作製したリニアモータの具体的な構成と、作製したリニアモータの特性とについて説明する。
まず、リニアモータに用いる可動子1として、図24に示すような四角筒状のバックヨークと平板状の永久磁石とを含んだ可動子を作製した。図24A,B,Cはそれぞれ、可動子1の側面図、正面図、斜視図を示している。使用するバックヨーク2は、軟質磁性体製の四角筒状であり、その外側形状は32mm角、内側形状は26mm角である。
バックヨーク2の4つの外側面それぞれに、2種類の平板状磁石3a,3bを交互に2mmの間隙をあけて接着させた。平板状磁石3a,3bは、同じ形状であって、長さ25mm、幅10mm、厚さ4mmのサイズである。よって、界磁周期λは、10+10+2×2=24(mm)である。平板状磁石3aは、バックヨーク2の外側面に垂直であって内側から外側に向かう方向に磁化されており、平板状磁石3bは、バックヨーク2の外側面に垂直であって外側から内側に向かう方向に磁化されている(図24Cの矢印参照)。つまり、平板状磁石3a及び平板状磁石3bは何れもその厚さ方向に磁化されているが、その方向は逆である。
バックヨーク2の上側の2側面(電機子4の第1駆動コイル9aに対向する2側面)における磁石配列と、バックヨーク2の下側の2側面(電機子4の第2駆動コイル9bに対向する2側面)における磁石配列とを、可動子1の長手方向(移動方向)に6mm(界磁周期の1/4に該当)だけ変位させている。また、左右の磁石配列に関しては、前述したようにディテント力の8次の高調波成分を低減すべく、1.5mm(界磁周期の1/16に該当)だけ変位させている。
このような可動子1(全長151.5mm)の両側に、電機子4内を平滑に移動できるように、リニアガイドレール(図示せず)を張り付けた。
次に、電機子4を作製した。図25Aに示すような形状をなす電機子素材を0.5mm厚さの珪素鋼板から20枚切り出し、切り出したこれらの20枚を重ねて接着し、厚さ10mmの単極ユニット片21を8個作製した。また、図25Bに示すような形状をなす電機子素材を0.5mm厚さの珪素鋼板から切り出し、切り出した4枚を重ねて接着して厚さ2mmの第1スペーサ片22を8個作製するとともに、切り出した10枚を重ねて接着して厚さ5mmの第2スペーサ片23を2個作製した。
単極ユニット片21(厚さ10mm)、第1スペーサ片22(厚さ2mm)、単極ユニット片21(厚さ10mm)、第2スペーサ片23(厚さ5mm)、単極ユニット片21(厚さ10mm)、第1スペーサ片22(厚さ2mm)、単極ユニット片21(厚さ10mm)をこの順に重ねて積層体を作製した。ここで、2番目及び4番目の単極ユニット片21は、1番目及び3番目の単極ユニット片21に対して90度回転させた配置とした。図26は、この単極ユニット片21、第1スペーサ片22及び第2スペーサ片23の重ね合わせを示す斜視図である。
このようにして、図27に示すようなサイズ84mm×84mm×49mmの積層体を得た。第1駆動コイル9aとして直径0.6mmの導線を100回と、第1駆動コイル9aの内側に位相補償コイル11a,11bとして直径0.6mmの導線をそれぞれ40回とをボビンに捲いた構造体(図27参照)、及び、第2駆動コイル9bとして直径0.6mmの導線を100回と、第2駆動コイル9bの内側に位相補償コイル11c,11dとして直径0.6mmの導線をそれぞれ40回とをボビンに捲いた構造体(図27参照)を、図27の矢印に示すように、積層体の2箇所それぞれに挿入して、電機子4を作製した。図28は、作製した電機子4の構成を示す斜視図である。
これらの第1駆動コイル9a、第2駆動コイル9b、位相補償コイル11a,11b,11c,11dとなる導線は、第1駆動コイル9a及び位相補償コイル11c,11dに正弦波電流が通電され、第2駆動コイル9b及び位相補償コイル11a,11cに余弦波電流が通電されるべく、前述した図20に示すように結線される。つまり、第1駆動コイル9a及び位相補償コイル11c,11dの直列回路が正弦波電流源に接続され、第2駆動コイル9b及び位相補償コイル11a,11bの直列回路が余弦波電流源に接続される。
このような電機子4の2群の駆動コイル(第1駆動コイル9a及び第2駆動コイル9b)を2相駆動用モータコントローラに接続し、可動子1の先端に位置センサを取り付けて、2相駆動用モータコントローラに位置信号を入力させ、リニアモータの推力特性を測定した。その測定結果を図29に示す。
図29に示すように、推力比例限が200N程度であって最大推力が350N程度であるリニアモータを、全長僅か65mm程度の構成で得られた。特許文献1,2の3相駆動のリニアモータにあって、この程度の推力特性を得るためには、電機子として150mmから200mmの長さが必要である。したがって、本発明では、ほぼ半分のリニアモータの短尺化を実現できている。よって、本発明のリニアモータは、X−Y−Zの3軸駆動ステージのように重ねて使用する用途にあって、省スペース化と小型化とに寄与する最適なリニアモータである。
また、本発明例のリニアモータでは、大きな駆動起磁力を印加した場合であっても、推力リプルは大きくならず(駆動起磁力1200Aの場合に25N程度、平均推力260N、平均推力に対する推力リプルは10%、図22参照)、3相駆動リニアモータと同程度の優れた特性が得られた。比較として、本発明例と同一推力になるように特許文献1に記載の3相駆動リニアモータに駆動起磁力を印加し、推力を測定したところ、平均推力に対する推力リプルは3%であった。また、本発明例と同一推力になるように特許文献2に記載の3相駆動リニアモータに駆動起磁力を印加し、推力を測定したところ、平均推力に対する推力リプルは14%であった。電機子である固定子の可動子移動方向の長さは、本発明が電機子のコアで49mmであるのに対して特許文献1、2では200mmから300mmの長さが必要である。本発明のリニアモータは、特許文献1、2のリニアモータよりも短尺なリニアモータであるが、3相駆動の特許文献1、2のリニアモータと同程度の滑らかな可動子の移動を実現できる2相駆動のリニアモータであることが分かる。ここで平均推力に対する推力リプルは、(推力最大値−推力最小値)/平均推力×100(%)で求めた。
なお、上述した例では、第1単極ユニット5のコア部5cに、第1駆動コイル9a、第2駆動コイル、位相補償コイル11a−11dを捲く構成としたが、これとは異なり、第2単極ユニット6のコア部6cに、これらのコイルを捲くような構成としても良い。
また、上述した例では、2相駆動のために、正弦波電流と余弦波電流とを通電するようにしたが、電気角で90度だけ位相が異なる矩形波状の電流、台形波状の電流を通電するようにしても良い。
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 可動子
2 バックヨーク
3a,3b 平板状磁石
4 電機子
5 第1単極ユニット
6 第2単極ユニット
5a,6a 開口部
5b,6b ヨーク部
5c,6c コア部
7 スペーサ
9a 第1駆動コイル
9b 第2駆動コイル
11a,11b 位相補償コイル(第1位相補償コイル)
11c,11d 位相補償コイル(第2位相補償コイル)

Claims (5)

  1. 四角筒状の軟質磁性体製のバックヨークの外側面それぞれに複数の平板状の永久磁石として、前記バックヨークの内側から外側に向かって磁化した第1平板状の永久磁石と、前記バックヨークの外側から内側に向かって磁化した第2平板状の永久磁石とが間隙をあけて交互に前記バックヨークの軸方向に配されている可動子を、
    四角形状の開口部、該開口部の外側に配したヨーク部、及び該ヨーク部から前記開口部に向かう2方向に延設させたコア部を有する軟質磁性体製の第1単極ユニットと、四角形状の開口部、該開口部の外側に配したヨーク部、及び前記第1単極ユニットのコア部を90度回転させた位置に設けられ、該ヨーク部から前記開口部に向かう2方向に延設させたコア部を有する軟質磁性体製の第2単極ユニットとを交互に重ねており、重なり合う前記第1単極ユニットと前記第2単極ユニットとの間に前記第1単極ユニット及び第2単極ユニットのコア部同士が接触しないように軟質磁性体製のスペーサを挟んであるコアユニットを備えており、前記第1単極ユニットの一方側のコア部に一括して第1駆動コイルが捲かれており、前記第1単極ユニットの他方側のコア部に一括して第2駆動コイルが捲かれている電機子の前記第1単極ユニットの開口部及び前記第2単極ユニットの開口部に貫通させてあり、
    前記第1駆動コイルと前記第2駆動コイルとに電気角で90度位相が異なる電流を通電すべくなしてあるリニアモータであって、
    前記第1駆動コイルに対向するバックヨークの2つの外側面における前記第1平板状及び第2平板状の永久磁石の配列と、前記第2駆動コイルに対向するバックヨークの2つの外側面における前記第1平板状及び第2平板状の永久磁石の配列とは、1つの前記第1平板状の永久磁石、1つの前記第2平板状の永久磁石、及び2つの前記間隙の合計の長さである界磁周期の1/4だけ前記バックヨークの軸方向にずれており、
    前記第1駆動コイルに対向するバックヨークの2つの外側面間で前記第1平板状及び第2平板状の永久磁石の配列が前記界磁周期の1/16だけ前記バックヨークの軸方向にずれており、前記第2駆動コイルに対向するバックヨークの2つの外側面間で前記第1平板状及び第2平板状の永久磁石の配列が前記界磁周期の1/16だけ前記バックヨークの軸方向にずれており、
    前記コアユニットは前記可動子の移動方向に2つの群に分けられ、該2つの群間には他の箇所の前記スペーサよりも前記界磁周期の1/8だけ厚いスペーサが介在してあり、
    前記分けられた2つの群の一方の群及び他方の群それぞれの前記第1単極ユニットの一方側のコア部に第1位相補償コイルが捲かれ、一方の群及び他方の群それぞれの前記第1単極ユニットの他方側のコア部に第2位相補償コイルが捲かれており、一方の群と他方の群とで巻き方向が逆である
    ことを特徴とするリニアモータ。
  2. 前記第1位相補償コイルには前記第2駆動コイルと同じ電流を通電し、前記第2位相補償コイルには前記第1駆動コイルと同じ電流を通電すべくなしてあることを特徴とする請求項1記載のリニアモータ。
  3. 前記第1位相補償コイル及び前記第2位相補償コイルの巻き数は、前記バックヨークの4つの外側面における磁石配列のずれ量に応じて設定してある請求項1または2記載のリニアモータ。
  4. 四角筒状の軟質磁性体製のバックヨークの外側面それぞれに複数の平板状の永久磁石を前記バックヨークの軸方向に配している可動子が貫通されるリニアモータ用の電機子において、
    四角形状の開口部、該開口部の外側に配したヨーク部、及び該ヨーク部から前記開口部に向かう2方向に延設させたコア部を有する軟質磁性体製の第1単極ユニットと、四角形状の開口部、該開口部の外側に配したヨーク部、及び前記第1単極ユニットのコア部を90度回転させた位置に設けられ、該ヨーク部から前記開口部に向かう2方向に延設させたコア部を有する軟質磁性体製の第2単極ユニットとを交互に重ねており、重なり合う前記第1単極ユニットと前記第2単極ユニットとの間に前記第1単極ユニット及び第2単極ユニットのコア部同士が接触しないように軟質磁性体製のスペーサを挟んであるコアユニットを備えており、
    前記第1単極ユニットの一方側のコア部に一括して第1駆動コイルが捲かれており、前記第1単極ユニットの他方側のコア部に一括して第2駆動コイルが捲かれており、
    前記コアユニットは2つの群に分けられ、前記分けられた2つの群の一方の群及び他方の群それぞれの前記第1単極ユニットの一方側のコア部に第1位相補償コイルが捲かれ、一方の群及び他方の群それぞれの前記第1単極ユニットの他方側のコア部に第2位相補償コイルが捲かれており、一方の群と他方の群とで巻き方向が逆である
    ことを特徴とする電機子。
  5. 前記第1駆動コイル及び前記第2位相補償コイルには第1電流を通電し、前記第2駆動コイル及び前記第1位相補償コイルには、前記第1電流と電気角で90度位相が異なる第2電流を通電すべくなしてあることを特徴とする請求項4記載の電機子。
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