JP2017109435A - 液体を吐出する装置及び記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】コックリングの発生を防止し、高速、省電力で高品質な印刷をすることが可能な液体を吐出する装置を提供する。【解決手段】液体を吐出するヘッド部材(キャリッジ1)が往復運動し記録媒体2に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部よりも前記記録媒体の搬送方向の下流側に前記記録媒体と接して加熱する接触加熱部(ヒータ部材3、4、5)と、を有する液体を吐出する装置であって、前記接触加熱部は、前記記録媒体と接する面の最表面に親水性の皮膜を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、液体を吐出する装置及び記録媒体に関する。
従来から、樹脂成分を含有する水性インクを用いたインクジェット記録装置では、水性インクの乾燥のため、記録媒体の裏側から接触加熱する加熱部材を有する方式が提案されている。この方式では、記録媒体裏面に例えば剥離材などを設けた記録媒体を使用した場合は、熱を効率よく記録媒体に伝達することができるとされている。
しかし、この方式では、記録媒体裏面に例えば塩化ビニル樹脂などの樹脂層を有する記録媒体を使用した場合、樹脂の可塑剤が加熱により表面に浮き出し、加熱部材表面に記録媒体が付着することでコックリング(用紙の波打ちなどとも称される)が生じてしまい、正常に搬送できなくなる問題があった。
これに対し、記録媒体が付着することを防止するために、例えば樹脂からなるメッシュ状の付着防止シート部材をインクが吐出される位置よりも下流側の加熱部材の表面に設置するといった対策がなされている。
しかしながら、このような対策では、以下のような問題が生じる。
(1)加熱部材と記録媒体の間に付着防止シート部材を設置すると、加熱温度が低下し、記録媒体の搬送速度を落として印刷する必要があるため、生産性が低くなる。
(2)付着防止シート部材を設置した加熱装置の設定温度をより高く設定する必要があり、電力が多く必要になってしまう。
(3)インクを記録媒体に吐出するヘッドの直下に加熱部材を設ける場合、この加熱部材に付着防止シート部材を設置すると、付着防止シート部材の厚みや変形によりヘッドと付着防止シート部材との間の距離を一定にすることが難しい。そのため、画像が安定しない。
(4)上記(3)の理由から、付着防止シート部材をヘッド直下の加熱部材に設置できないため、加熱部材の温度をヘッド直下の加熱部材よりも上流側にある加熱部材の温度を下げる必要があり、インク滲み(ブリーディング)などの画像劣化を起こしてしまう。
また、特許文献1には、非画像部に水を主成分とする略透明の液体を付与することにより、非画像部の紙の繊維に吸収される水分量を画像部の水分量に近づける目的でコックリングを抑制することが開示されている。
しかしながら、特許文献1では、上述したように記録媒体裏面に例えば塩化ビニル樹脂などの樹脂層を有する記録媒体を使用した場合は、樹脂の可塑剤が加熱により表面に浮き出し、乾燥部材表面に記録部材が付着することにより、コックリングとなり、正常に搬送できなくなる問題に関する検討がなされていない。
そこで、本発明は、上記従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、コックリングの発生を防止し、高速、省電力で高品質な印刷をすることが可能な液体を吐出する装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、液体を吐出するヘッド部材が往復運動し記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部よりも前記記録媒体の搬送方向の下流側に前記記録媒体と接して加熱する接触加熱部と、を有する液体を吐出する装置であって、前記接触加熱部は、前記記録媒体と接する面の最表面に皮膜を有することを特徴とする。
本発明によれば、コックリングの発生を防止し、高速、省電力で高品質な印刷をすることが可能な液体を吐出する装置を提供することができる。
本発明に係る液体を吐出する装置の一例を示す模式図である。 本発明に係る液体を吐出する装置の一例における要部を示す模式図である。 記録媒体の一例における断面模式図である。 記録媒体のその他の例における断面模式図である。 液体を吐出する装置のその他の例を示す模式図である。 接触加熱部材における皮膜の一例を説明するための断面模式図である。 接触加熱部材における皮膜の他の例を説明するための断面模式図である。
以下、本発明に係る液体を吐出する装置及び記録媒体について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明は、液体を吐出するヘッド部材が往復運動し記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部よりも前記記録媒体の搬送方向の下流側に前記記録媒体と接して加熱する接触加熱部と、を有する液体を吐出する装置であって、前記接触加熱部は、前記記録媒体と接する面の最表面に皮膜を有することを特徴とする。皮膜としては親水性であることが特に好ましい。
図1は、本発明に係る液体を吐出する装置の一実施形態を示す模式図である。図1には、キャリッジ1、記録媒体2、ヒータ部材3、4、5(接触加熱部)、ヒータ部材6(非接触加熱部)、搬送支持部材7、巻取り装置8が図示されている。なお、以下の説明では、接触加熱部を接触加熱部材や加熱手段と称し、非接触加熱部を非接触加熱部材と称して説明する。
また、フィードロール部材15、従動ロール部材16が図示されており、記録媒体2はこれらに挟まれて巻き上げられる。なお、図中の矢印は記録媒体2の搬送方向を示す。
図2にフィードロール部材15を別の角度から見た場合の要部模式図を示す。図にはフィードステッピングモータ部材17、エンコーダ部材18が図示されており、ロール部材15はこれらの部材によって回転が制御されている。フィードロール部材15、従動ロール部材16は例えばステンレス製であり、その表面に記録媒体2の滑り止めのための凹凸を有していてもよい。
本実施形態では、図示されるように記録媒体2は、フィードロール部材15と従動ロール部材16に挟まれて巻き上げられた後、ヒータ部材3と接しながら所定の温度に加熱され、さらにヒータ部材4と接しながら印刷に適した所定の温度に加熱される。
ヒータ部材3、4、5(接触加熱部材)としては、本発明の効果が得られる範囲で適宜変更することが可能であるが、例えば内部に二クロム線を有し、表面が金属であるヒータ部材を用いることができる。金属としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス等が挙げられる。
本発明においては、接触式のヒータ部材は記録媒体2が接する面に皮膜処理がなされている。詳細は後述する。
ヒータ部材3、4に加熱された後、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの顔料、樹脂を水と混ぜ、水溶液としたインクを吐出する一つ乃至複数のヘッドを有するキャリッジ1から前記インクが吐出され、記録媒体2上に画像が形成される。すなわち、液体(インク)を吐出するヘッド部材(キャリッジ1)が往復運動し、記録媒体2に画像が形成され、一つ乃至複数のヘッドを有するキャリッジ1は画像形成部に含まれる。
この段階では、まだインクが完全に乾燥していないため、記録媒体2は接触式の加熱部材であるヒータ部材5と、非接触式の加熱部材であるヒータ部材6に送られ、インクの乾燥が行われる。
ヒータ部材6(非接触加熱部材)としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能であるが、例えば赤外線を放射する装置を用いることができる。
その後、乾燥が行われた記録媒体2は、例えばモータを有する駆動装置を有する巻取り装置8によって巻き取られる。
次に、記録媒体との関係について説明する。図3、図4に記録媒体の一例についての断面模式図を示す。
図3では、樹脂材層10、接着剤層11、剥離部材層12が図示されており、接着剤層11の表面に樹脂材層10が形成され、裏面、すなわち加熱部材と接する面に剥離部材層12が形成されている。また、図4では、接着剤層11や剥離部材層12がない場合の記録媒体の例が図示されており、芯材14の両面に樹脂材層10が形成されている。
ここで、樹脂材層10としては、例えば塩化ビニル樹脂が用いられるが、この場合、例えばジオクチルフタレートのような疎水性の可塑剤が含まれていることが多い。そのため、従来のインクジェット印刷装置で図4に示される記録媒体2bに画像を形成する場合、加熱部材で約50℃以上に加熱されると疎水性の可塑剤が記録媒体2から滲み出してしまう。そのため、ヒータ部材の表面に可塑剤が付着し、記録媒体2がヒータ部材にくっついてしまい、コックリングが発生する問題があった。
これに対し、記録媒体2がヒータ部材にくっついてしまうことを防止するため、例えば図5に示すように、接触式のヒータ部材25上に柔軟性を有するメッシュ状の樹脂シート部材9(付着防止シート部材)を設置した構造も考えられる。
しかしながら、このような構成では、キャリッジ1からインクを記録媒体2に吐出する際、画質を安定化させるため、ヒータ部材24とキャリッジ1内にあるヘッド先端との間の距離を一定にする必要がある。この距離を一定にすることは難しく、メッシュ形状を有する樹脂シート部材9をヒータ部材24に設置することは困難である。そのため、下流側のヒータ部材25に設置されている。
一方、記録媒体2のくっつきを防止するため、ヒータ部材23、24の温度を可塑剤が滲み出す温度以下、例えば50℃以下に設定し、さらに、インクを短時間で乾燥させるためヒータ部材25、26の温度を例えば通常より10℃高くなるように制御することも考えられる。
しかしながら、このような構成では、ヒータ部材23の温度を画像が安定する温度より下げることになるため、ブリーディング(インク滲み)などの不具合が発生してしてまう。
一方、図3に示される記録媒体2aに画像を形成する場合、従来のインクジェット印刷装置であっても、図4に示される記録媒体2bに比べ、剥離部材層12により疎水性の可塑剤が滲み出ることを抑制でき、可塑剤が加熱部材に付着することを抑制できる。
しかしながら、従来のインクジェット印刷装置では、図3に示される記録媒体2aに対して画像を形成する場合、加熱温度が適正より高いと記録媒体2bと剥離部材の熱膨張の違いによりコックリングになってしまうという問題がある。
次に、上記の問題に対して、本実施形態の詳細を説明する。
上述したように、本実施形態の装置は、画像形成部よりも記録媒体2の搬送方向の下流側に記録媒体2と接して加熱するヒータ部材3(接触加熱部材)を有しており、ヒータ部材3は記録媒体2と接する面の最表面に皮膜、特に好ましくは親水性の皮膜が形成されている。
接触加熱部材の最表面に形成された親水性の皮膜により、接触加熱部材の表面に水分が保持される。これにより、記録媒体が接触加熱部材を通過する際に、記録媒体裏面(接触加熱部材と接する面)から疎水性の可塑剤が滲み出ても、水と油の関係ではじくことができるので、記録媒体が接触加熱部材に付着することを防止できる。この結果、コックリングを防止することができ、記録媒体の走行安定性が向上する。
また、本発明によれば、記録媒体の裏面に例えば樹脂層を有する記録媒体を使用した場合でも、付着防止シート部材を設ける必要がないため、高速、省電力で高品質な印刷をすることが可能となり、さらに装置の複雑化を防ぐことができる。また、付着防止シート部材を設ける必要がないため、ヘッド直下の加熱部材(ヒータ部材3)の加熱温度を下げずに高くすることができ、高品質、高生産、省電力な装置を得ることができる。
本実施形態では、図1に示されるようにヒータ部材5の他に、さらに接触方式のヒータ部材3、4が設けられており、このようにヒータ部材3、4を有することが好ましい。すなわち、画像形成部よりも記録媒体2の搬送方向の上流側にさらに接触加熱部材を有することが好ましい。この場合、ヒータ部材3、4においても、ヒータ部材5と同様に、記録媒体2と接する面の最表面に親水性の皮膜が形成されている。
ヒータ部材3、4を設けることで、インク吐出部の記録媒体2の温度を高めることができるため、インクの乾燥を早くすることができるため、高品質な画質を得ることが可能となるという利点がある。
画像形成部の上流側でも記録媒体2から疎水性の可塑剤の滲み出しが発生するが、その量は下流側に比べて少ないため、可塑剤の影響は下流側に比べて少ない。そのため、本発明においては、画像形成部よりも記録媒体2の搬送方向の下流側に記録媒体2と接して加熱する接触加熱部材、すなわちヒータ部材5に対して皮膜、特に好ましくは親水性の皮膜が形成されている必要がある。
なお、接触加熱部材の数は適宜変更することができ、画像形成部よりも上流側、下流側ともに接触加熱部材を複数設けていてもよい。画像形成部よりも記録媒体2の搬送方向の下流側に接触加熱部材が複数ある場合、下流側の接触加熱部材のうち少なくとも1つの最表面に皮膜が形成されていれば本発明の効果が得られる。しかし、コックリングを防止するという観点からは、下流側の接触加熱部材は全て親水性の皮膜が形成されていることが好ましい。
次に、接触加熱部材(ヒータ部材3、4、5)に皮膜処理を行う手段について説明する。ヒータ部材3、4、5上にケイ酸塩コート材水溶液を例えば噴霧器で霧状に塗布した後、自然乾燥又は過熱乾燥を行うことにより、接触加熱部材に皮膜処理を行い、親水性の皮膜を形成することができる。親水性の皮膜の厚みは、本発明の効果が得られる範囲で適宜変更することが可能であるが、例えば1μm以下であることが好ましい。
接触加熱部材における記録媒体と接する面の最表面に形成された親水性の皮膜は、ケイ酸塩を含むことが好ましい。図6は、例えばアルミニウムなどの金属からなるヒータ部材5の表面に、親水性を有するケイ酸塩コート処理を実施した場合の例を示す断面模式図である。
図6に示される例では、金属表面にあるヒドロキシル基とSiOからなるケイ酸塩コート材は水素結合で結合しており、金属表面を覆う構造となっている。また、ケイ酸塩コート層の表面近傍にあるケイ素分子と水素分子が水素結合で結合するため、水分子をケイ酸塩コート材の表面に固定することができる。これにより、接触加熱部材の表面に親水性の効果を発揮させることが可能である。
ヒータ部材3、4、5において、記録媒体と接する面の最表面に、上述のケイ酸塩を含む皮膜を形成して、画像形成した場合の例について検証すると、ブリーディングなどのない安定した画像が、コックリングなしで得られることが確認できる。また、上述のケイ素塩を含む皮膜を形成した場合、ケイ素塩コート材による親水性を長期間持続させることができる。
また、接触加熱部材における記録媒体と接する面の最表面に形成された親水性の皮膜は、耐熱性を有していることが好ましい。耐熱性を有する場合、記録媒体を加熱・乾燥する際に、画像が安定する温度が高い場合であっても、皮膜が親水性を保てる温度を高くすることができるため、適用可能な記録媒体が増え、選択性が向上する。
接触加熱部材の温度を上げていくと、ある温度でヒドロキシル基とケイ素間の水素結合が切れるため、水分を固定することが困難となり、親水性を保てなくなる。そのため、耐熱性が十分でない場合、画像が安定する温度が比較的低い場合の態様に制限されることがある。
接触加熱部材における親水性の皮膜に耐熱性を付与する方法としては、適宜変更することが可能であるが、例えば、含有ケイ素分子量を変更すること等が挙げられる。
記録媒体として例えばターポリンを用いて画像形成を行った場合、ヒータ部材5を加熱し、コックリング発生状況から親水性の効果の耐熱性を確認すると、上述のケイ素塩コート材の親水性は、約90℃まで保持させることが可能である。
次に、接触加熱部材における親水性の皮膜がケイ酸塩を含む場合について、他の実施形態を説明する。図7は、有機基材を接触加熱部材の表面に配置し、有機基材上に親水性を有するケイ酸塩コート処理を実施した場合の例を示す断面模式図である。なお、ヒータ部材表面の金属は図示を省略している。
有機基材としては、適宜変更が可能であるが、例えば微小な表面凹凸を有するポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂が挙げられる。
図7に示される例では、有機基材からアルキル基(例えば炭素数100〜10万)が伸びるように形成されており、有機基材の表面に溝が形成されている。親水性のケイ酸塩コート材はアンカ効果により、アルキル基によって形成される有機基材表面の溝に入り込み、有機基材表面にケイ酸塩が固定された構造が形成される。また、ケイ酸塩コート材の層の表面近傍にあるケイ素分子と水素分子が水素結合で結合するため、水分子をケイ酸塩コート材の表面に固定することができる。これにより、皮膜は親水性となり、この処理をヒータ部材3、4、5に適用することで、ブリーディングなどのない安定した画像がコックリングなしで得られることが確認できる。
有機基材の厚みとしては、適宜変更することが可能であるが、50〜5000μmが好ましい。
ケイ酸塩のコート材の厚みは、適宜変更することが可能であるが、50〜5000μmが好ましい。
また、図7の場合でも、ヒータ部材3、4、5において、記録媒体と接する面の最表面に図7に示される構成の皮膜を形成して画像形成した場合の例について検証すると、ブリーディングなどのない安定した画像が、コックリングなしで得られることが確認できる。また、この構成の皮膜を形成した場合でも、ケイ素塩コート材による親水性を長期間持続させることができる。
次に、本発明の記録媒体について説明する。本発明の記録媒体は、液体を吐出する装置の加熱手段に接して加熱される記録媒体であって、加熱手段と接する面の最表面に親水性皮膜を有する。
これにより、記録媒体から疎水性の可塑剤が接触加熱部材側に滲み出てもコックリングを防止することができる。記録媒体表面にある微小な表面凹凸の溝に親水性のケイ酸塩コート材はアンカ効果により入り込み、固定された構造が形成される。しかし、ケイ酸塩コート材はアンカ効果で固定されているだけなので、加熱により記録媒体から疎水性の可塑剤の染み出した可塑剤は、アンカーの隙間から記録媒体表面に移動し、接触加熱部材表面に付着する。しかし、記録媒体表面にあるSiOからなるケイ酸塩コート材のケイ素分子とヒドロキシル基は水素結合で結合しているので、水分子をケイ酸塩コート材表面に固定することができる。これにより、記録媒体の表面に親水性の効果を発揮させることが可能である。
本発明の記録媒体において、最表面に親水性皮膜を形成する方法としては、上述した接触加熱部材に皮膜処理を行う方法を用いることができる。また、記録媒体の親水性皮膜に耐熱性を付与する方法としては、適宜変更することが可能であるが、例えば、含有ケイ素分子量を変更すること等が挙げられる。耐熱性を有する場合、記録媒体を加熱・乾燥する際に、画像が安定する温度が高い場合であっても、皮膜が親水性を保てる温度を高くすることができるため、適用可能な記録媒体が増え、選択性が向上する。
本発明の記録媒体における最表面よりも下の層(基材とも称する)としては、適宜変更することができ、例えば上述の図3、図4に示される構成などが挙げられる。
また、基材としては、例えば、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体等が挙げられ、各種ターポリン等の市販品も用いることができる。
基材の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等が挙げられる。
記録媒体の表面における親水性の皮膜の厚みは、適宜変更することが可能であるが、50〜5000μmが好ましい。
また、加熱手段と接する面の最表面に親水性皮膜を有する本発明の記録媒体と、上述した本発明の液体を吐出する装置とを組み合わせて用いることにより、本発明の効果がさらに向上する。記録媒体と接する面の最表面に皮膜を有する接触加熱部に対して、最表面に親水性皮膜を有する記録媒体を用いることにより、コックリングの発生をさらに防止することができる。
本発明において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド(ヘッド部材)を備え、液体吐出ヘッドを駆動(往復運動)させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。インクの場合、有機樹脂を含有し、一色もしくは複数色の顔料を有していてもよい。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置などが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例においては、図1に示すように、キャリッジ1よりも上流側に接触式のヒータ部材3、4を設け、下流側に接触式のヒータ部材5を設けた。本実施例においては、ヒータ部材3、4、5は同一の構成とし、内部にニクロム線を有し、表面がアルミニウムであるヒータ部材とした。ヒータ部材3、4、5における記録媒体と接する面の最表面に親水性の皮膜を形成した。親水性の皮膜は、ケイ酸塩コート材水溶液を噴霧器で霧状にヒータ部材3、4、5上に吐出し、自然乾燥もしくは加熱乾燥することにより形成し、図6に示すような構成とした。すなわち、金属表面にあるヒドロキシル基とSiOからなるケイ酸塩コート材は水素結合で結合しており、金属表面を覆っており、ケイ酸塩コート層の表面近傍にあるケイ素分子と水素分子が水素結合で結合している。皮膜の厚みは1μm以下であった。なお、ケイ酸塩コート材水溶液には、例えばアルコールのような極性を有する有機溶媒を含んでいてもよい。
また、ヒータ部材5と対向するように、非接触式のヒータ部材6を設けた。ヒータ部材6としては赤外線を放射する部材を用いた。
記録媒体としては、IKC社製のターポリン(厚み2500μm)を用いた。
上記の装置及び記録媒体を用い、ヒータ部材3〜6の温度を50℃に設定し、画像形成を行った。インクとしては、有機樹脂含有水性インクを用いた。また、同じ設定で、5000枚の画像形成を行い、印刷期間が長期の場合についても検討を行った。
(比較例1)
実施例1において、ヒータ部材3、4、5(接触加熱部材)に親水性の皮膜を形成しない以外は実施例1と同様にして画像形成を行った。
実施例1及び比較例1の結果を表1に示す。
表1は、前記ケイ素塩コート材処理を施した場合の有効期間をターポリンで印刷した際のコックリング発生状況から親水性の効果の持続性を確認した結果である。ケイ素塩コート材による親水性を長期持続させることができる。
(実施例2)
実施例1において、ヒータ部材5の温度を変更し、各温度でそれぞれ5000枚の画像形成を行った。結果を表2に示す。
表2は、ターポリンを印刷した際、ヒータ部材5を加熱し、コックリング発生状況から親水性の効果の耐熱性を確認した結果である。ケイ素塩コート材の親水性は、約90℃まで保持させることが可能である。
(実施例3)
実施例1において、接触加熱部材であるヒータ部材3、4、5の親水性の皮膜を図6の構成から図7の構成に変更した以外は実施例1と同様にして実施例3の装置を検証した。図7の構成において、ヒータ部材の金属(アルミニウム)表面にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を有機基材として厚さ3000μmとなるように形成した。本実施例の有機基材は炭素数約300のアルキル基が表面に形成されており、深さ1μm以下の溝が形成されていた。ケイ素塩コート材はこの溝に入り込むように形成されていた。
結果を表3に示す。なお、比較のため比較例1の結果もあわせて掲載する。
表3は、ヒータ部材5表面にPETを有するヒータ部材5にケイ素塩コート材処理を施した場合の有効期間をターポリンで印刷した際のコックリング発生状況から親水性効果の持続性を確認した結果である。ヒータ表面に有機基材を有する場合でも、ケイ素塩コート材の親水性は、有効で、かつ長期持続させることが可能である。
(実施例4)
実施例3において、ヒータ部材5の温度を変更し、各温度でそれぞれ5000枚の画像形成を行った。結果を表4に示す。
表4は、ヒータ部材5表面にPETを有するヒータ部材5にケイ素塩コート材処理を施した場合の耐熱性をターポリンで印刷した際のコックリング発生状況から親水性効果の耐熱性を確認した結果である。ケイ素塩コート材の親水性は、約90℃まで持続させることが可能である。
1 キャリッジ
2、2a、2b 記録媒体
3、4、5、6、23、24、25、26 ヒータ部材
7 (搬送支持部材)
8 巻取り装置
9 樹脂シート部材
10 樹脂材層
11 接着剤層
12 剥離部材層
14 芯材
15 フィードロール部材
16 従動ロール部材
17 ステッピングモータ部材
18 エンコーダ部材
特開2005−212371号公報

Claims (10)

  1. 液体を吐出するヘッド部材が往復運動し記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
    前記画像形成部よりも前記記録媒体の搬送方向の下流側に前記記録媒体と接して加熱する接触加熱部と、を有する液体を吐出する装置であって、
    前記接触加熱部は、前記記録媒体と接する面の最表面に皮膜を有することを特徴とする液体を吐出する装置。
  2. 前記皮膜は親水性であることを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
  3. 前記画像形成部よりも前記記録媒体の搬送方向の上流側にさらに接触加熱部を有し、
    該上流側の接触加熱部は、前記記録媒体と接する面の最表面に皮膜を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体を吐出する装置。
  4. 前記皮膜がケイ酸塩を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  5. 前記皮膜が耐熱性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  6. 前記画像形成部よりも前記記録媒体の搬送方向の下流側に非接触加熱部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  7. 液体を吐出する装置の加熱手段に接して加熱される記録媒体であって、
    前記加熱手段と接する面の最表面に親水性皮膜を有することを特徴とする記録媒体。
  8. 前記親水性皮膜がケイ酸塩を含むことを特徴とする請求項7に記載の記録媒体。
  9. 前記親水性皮膜が耐熱性を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の記録媒体。
  10. 液体を吐出するヘッド部材が往復運動し記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
    前記画像形成手段よりも前記記録媒体の搬送方向の下流側に前記記録媒体と接して加熱する前記加熱手段と、を有する液体を吐出する装置に使用されることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019042944A (ja) * 2017-08-30 2019-03-22 株式会社リコー 記録方法、記録装置及び印刷物の製造方法

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