JP2017103378A - 磁気抵抗効果素子及び磁気センサ、並びに磁気抵抗効果素子の製造方法及び磁気センサの製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果素子及び磁気センサ、並びに磁気抵抗効果素子の製造方法及び磁気センサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、検出可能な外部磁場の強度範囲が比較的大きい磁気抵抗効果素子及び磁気抵抗効果素子の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の磁気抵抗効果素子は、磁化の方向が固定されるピンド層と、このピンド層の一方の面側に積層され、外部磁場に応じて磁化の方向が変化するフリー層とを備える磁気抵抗効果素子であって、前記ピンド層の磁化の方向がフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向に対して傾斜しており、その傾斜角が30°以上85°以下であることを特徴とする。本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法は、基板の一方の面側に、ピンド層形成材料及びフリー層形成材料を積層する工程と、前記ピンド層形成材料を磁化する工程とを備え、前記磁化工程でピンド層形成材料に印加する磁界の向きをフリー層の外部磁場がない場合の磁化方向に対して傾斜させ、その傾斜角が30°以上85°以下であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子及び磁気センサ、並びに磁気抵抗効果素子の製造方法及び磁気センサの製造方法に関する。
磁場の強度を電気抵抗に変換して検出する磁気抵抗効果素子が広く用いられている。中でも、磁場の小さな変化を比較的大きな抵抗変化に変換できる巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant Magneto Resistive effect)を有する巨大磁気抵抗効果素子が、例えば磁気センサ等に用いられている。
巨大磁気抵抗効果素子は、一定の方向に予め磁化、つまり磁化の向きが固定(ピニング)されているピンド層と、このピンド層の一方の面側に積層され、外部磁場に応じて磁化の向きが変化するフリー層とを備え、ピンド層の磁化の向きとフリー層の磁化の向きとの相対関係に応じて抵抗値が変化する。
このような巨大磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサとしては、例えばXY平面上に外部磁場のX方向の成分を検出するよう配設される二対の巨大磁気抵抗効果素子と、外部磁場のX方向に垂直な方向の成分を検出するよう配設される二対一組で合計二組の巨大磁気抵抗効果素子とを備える磁気センサが提案されている(例えば特開2007−212275号公報参照)。この公報に記載の磁気センサでは、外部磁場のX方向に垂直な方向の成分を検出する二組の巨大磁気抵抗効果素子の内、一方の組がXY平面に対してX方向の軸を中心にY方向の正方向に傾斜する平面上に形成され、他方の組がXY平面に対してX方向の軸を中心にY方向の負方向に傾斜する平面上に形成される。この磁気センサでは、これらの傾斜面に形成される巨大磁気抵抗効果素子の抵抗値の演算により、外部磁場のY方向の成分及びZ方向の成分を導出することができる。
前記公報に記載の磁気センサは、例えば外部磁場として地磁気を検出し、地磁気の相対的な向きを算出することによりセンサの向きを確認する電子コンパスとして使用される。電子コンパスのように検出する外部磁場の向きが変化し、かつその外部磁場の強度の絶対値が小さい場合、フリー層の磁化の向きが反転する際のヒステリシスによる測定値の誤差が許容できないものとなる。
そこで、前記公報に記載の磁気センサでは、外部磁場がない場合にフリー層が一定の方向に磁化された状態となるようフリー層にバイアス磁界を印加して磁化(初期化)し、外部磁場の変動によってフリー層の着磁方向が反転しないようにしている。具体的には、前記公報に記載の磁気センサでは、各巨大磁気抵抗効果素子が帯状のフリー層の長手方向両端にそれぞれ接続される一対のバイアス磁石膜を有し、このバイアス磁石膜によってフリー層を長手方向に磁化する初期化を行っている。
ところで、巨大磁気抵抗効果素子は、製造時に磁界を印加した状態で加熱することでピンド層を一定方向に磁化する規則化熱処理が必要である。前記公報に記載の磁気センサは、半導体製造技術を用いてシリコンウェハ上に縦横に配列して形成され、ダイシングにより切り出される小型のセンサチップとして製造される。このため、ピンド層を磁化する規則化熱処理は、複数の磁極(電磁石)をXY方向にN極とS極とが交互に存在するよう配列したものをウエハの一方の面に近接して配置してピンド層を形成する材料に磁界を印加した状態で加熱することによって行われる。
しかしながら、このような規則化熱処理においては、磁界を印加する磁極の設計上の制約により、磁束が基板に垂直方向に湾曲し易く、基板上に並列に配設した全ての磁気抵抗効果素子に対して同じ向きの磁界を印加することが難しい。特に、前記公報に記載されるように傾斜角度が異なる複数対の平面上に複数対の巨大磁気抵抗効果素子を形成した磁気センサでは、規則化熱処理時の磁界の傾斜と巨大磁気抵抗効果素子の傾斜とが重なって、実効的な磁界強度が小さくなる素子が存在する。このため、前記公報に記載されるような磁気センサでは、ピンド層の規則化(磁化)が不十分となるおそれがある。
発明者が前記公報に記載されるような磁気センサの性能を検証した結果、ピンド層の規則化が不十分であると、検出感度及び検出精度が低下するだけでなく、検出可能な外部磁場の強度範囲(ダイナミックレンジ)も狭くなることが確認された。これは、ピンド層の規則化が不十分である場合には、比較的強度が低い外部磁場によってフリー層の着磁方向の反転が生じることによるものと考えられる。フリー層の着磁方向の反転を防止するためには、バイアス磁場を強くすればよいが、その場合、例えばバイアス磁場を発生する磁極の大型化、消費電力の増大、バイアス磁場の影響による検出感度及び検出精度の低下等の不都合が生じるため、磁気抵抗効果素子のダイナミックレンジを十分に大きくすることができない場合がある。
特開2007−212275号公報
前記不都合に鑑みて、本発明は、検出可能な外部磁場の強度範囲(ダイナミックレンジ)が比較的大きい磁気抵抗効果素子及び磁気センサ、並びに磁気抵抗効果素子の製造方法及び磁気センサの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意研究の結果、ピンド層の規則化が不十分である場合、ピンド層が微視的にはピニング方向と異なる方向に磁化されている部分を多く有し、フリー層の初期化における磁化の方向と反対向きの成分を有するよう磁化されているピンド層内のミクロ部分がフリー層の磁化方向の反転を引き起こす核を形成すると考えるに至った。そして、本発明者は、ピンド層内でフリー層の初期化における磁化の方向と反対向きの成分を有するよう磁化されているミクロ部分を少なくすることで磁気抵抗効果素子のダイナミックレンジを大きくすることができるとの着想を得て、以下の発明を完成させた。
前記課題を解決するためになされた発明は、磁化の方向が固定されるピンド層と、このピンド層の一方の面側に積層され、外部磁場に応じて磁化の方向が変化するフリー層とを備える磁気抵抗効果素子であって、前記ピンド層の磁化の方向がフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向に対して傾斜しており、その傾斜角が30°以上85°以下であることを特徴とする磁気抵抗効果素子である。
当該磁気抵抗効果素子は、前記ピンド層の磁化の方向がフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向、つまり初期化のためのバイアス磁界の方向に対して前記範囲だけ傾斜していることにより、ピンド層が、微視的に見ても、フリー層の初期化時の磁化の向きと反対方向の成分を有するよう磁化されたミクロ部分が極めて少ない。このため、当該磁気抵抗効果素子は、外部磁場が比較的強くなるまでフリー層の磁化方向の反転が生じない。従って、当該磁気抵抗効果素子は、フリー層の磁化方向の反転が生じ難く、外部磁場を検出できる範囲が比較的大きい。なお、「磁化の方向」とは、各層全体の磁化の巨視的(マクロ)な方向であって、分極により形成される磁極がN極であるかS極であるか、つまり磁化の向きの正負を考慮した方向(ベクトル)を意味し、分極方向が逆方向である場合の「傾斜角」は180°と評価される。
また、前記課題を解決するためになされた別の発明は、基板と、この基板の表面に形成され、当該磁気抵抗効果素子である少なくとも一対の第一磁気抵抗効果素子と、少なくとも一対の第二磁気抵抗効果素子とを備え、前記第一磁気抵抗効果素子の対が、それぞれのフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向が互いに逆向きであり、かつフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向に配列され、前記第二磁気抵抗効果素子が、前記基板の表面に形成され、磁化の方向が固定されたピンド層及びこのピンド層の一方の面側に積層され、外部磁場に応じて磁化の方向が変化するフリー層をそれぞれ有し、前記第二磁気抵抗効果素子の対が、それぞれのフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向が互いに逆向きであり、前記第一磁気抵抗効果素子のフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向と第二磁気抵抗効果素子のフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向とが垂直であり、対をなす前記第一磁気抵抗効果素子の配列方向と対をなす第二磁気抵抗効果素子の配列方向とが傾斜しており、その傾斜角が30°以上85°以下である磁気センサである。
当該磁気センサは、フリー層の着磁方向の反転が生じ難い当該磁気抵抗効果素子から形成される少なくとも一対の第一磁気抵抗効果素子を備えるので、外部磁場の少なくとも第一磁気抵抗効果素子が検出する成分を比較的広範囲に検出することができる。また、当該磁気センサは、対をなす前記第一磁気抵抗効果素子の配列方向と対をなす第二磁気抵抗効果素子の配列方向とが傾斜していることにより、平行四辺形格子状に配列した磁極を用いて前記第一磁気抵抗効果素子のピンド層及び第二磁気抵抗効果素子のピンド層を同時にピニング(規則化)することができる。このため、当該磁気センサは、比較的ダイナミックレンジが広く、かつ比較的安価に提供できる。
前記フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向が互いに平行になるよう配設される複数対の前記第一磁気抵抗効果素子を備え、前記複数対の第一磁気抵抗効果素子のピンド層及びフリー層が、フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向に平行な軸を中心として前記基板の表面に対して異なる角度で傾斜する複数の平面に沿って形成されているとよい。このように、ピンド層及びフリー層が、フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向に平行な軸を中心として前記基板の表面に対して異なる角度で傾斜する複数の平面に沿って形成されている複数対の前記第一磁気抵抗効果素子を備えることによって、これら複数対の第一磁気抵抗効果素子をブリッジ接続することによって外部磁場の直交する二方向の成分を検出することができるので、第二磁気抵抗効果素子と合わせて外部磁場の三軸の全ての成分を検出することができる。また、このように第一磁気抵抗効果素子が基板の表面に対して異なる角度で傾斜する複数の平面に沿って形成されている場合、ピンド層を磁化する際の実効的な磁界強度を大きくすることが難しいが、ピンド層の磁化方向をフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向に対して傾斜させることにより第一磁気抵抗効果素子のフリー層の磁化方向の反転を抑制することで、比較的ダイナミックレンジを大きくすることができる。
また、前記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、磁化の方向が固定されるピンド層と、このピンド層の一方の面側に積層され、外部磁場がない場合に一定の方向に磁化され、外部磁場に応じて磁化の方向が変化するフリー層とを備える磁気抵抗効果素子の製造方法であって、基板の一方の面側にピンド層形成材料及びフリー層形成材料を積層する工程と、前記ピンド層形成材料を磁化する工程とを備え、前記磁化工程でピンド層形成材料に印加する磁界の向きをフリー層の外部磁場がない場合の磁化方向に対して傾斜させ、その傾斜角が30°以上85°以下であることを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法である。
当該磁気抵抗効果素子の製造方法は、前記磁化工程でピンド層形成材料に印加する磁界の向きをフリー層の外部磁場がない場合の磁化方向に対して前記範囲の傾斜角だけ傾斜させることによって、前記ピンド層の磁化の方向がフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向に対して傾斜しており、その傾斜角が30°以上85°以下である磁気抵抗効果素子を製造することができる。当該磁気抵抗効果素子の製造方法によって得られる磁気抵抗効果素子は、フリー層の初期化時の磁化の向きがピンド層の磁化の方向と逆向きの成分を有するので、フリー層の磁化の反転が生じ難く、外部磁場を比較的広い範囲で検出することができる。
また、前記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、当該磁気抵抗効果素子の製造方法を用い、基板の表面に複数の磁気抵抗効果素子を形成する磁気センサの製造方法であって、前記磁化工程が、前記基板に近接して複数の磁極を配置した状態でピンド層形成材料を加熱する工程を有し、前記ピンド層形成材料に印加する磁界の向きをフリー層の外部磁場がない場合の磁化方向に対して傾斜させるよう、前記N極とS極とを前記フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向に位置ずれして配置する磁気センサの製造方法である。
当該磁気センサの製造方法は、複数の磁極のN極とS極とをフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向に位置ずれして配置することによって、前記磁化工程で第一磁気抵抗効果素子のピンド層形成材料に印加する磁界の向きをフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向に対して傾斜させることができ、第一磁気抵抗効果素子のフリー層の磁化方向の反転が生じ難く、外部磁場を比較的広い範囲で検出することができる磁気センサを効率よく製造できる。
本発明の磁気抵抗効果素子及び磁気センサ、並びに本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法によって得られる磁気抵抗効果素子及び本発明の磁気センサの製造方法によって得られる磁気センサは、外部磁場を比較的広い範囲で検出することができる。
本発明の一実施形態の磁気抵抗効果素子を示す模式的平面図である。 図1の磁気抵抗効果素子の模式的断面図である。 スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の積層構造の一例を示す模式的断面図である。 図1の磁気抵抗効果素子を備える磁気センサの模式的平面図である。 図4の磁気センサの模式的部分断面図である。 図1の磁気抵抗効果素子の規則化処理用の磁極の配置を示す模式図である。 図4の磁気センサの規則化処理用の磁極の配置を示す模式図である。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
[磁気抵抗効果素子]
図1及び図2に示す本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子1は、少なくとも磁化の方向が固定されるピンド層2と、このピンド層2の一方の面側に積層され、外部磁場に応じて磁化の方向が変化するフリー層3とを有する積層体から形成される検出部4を備える磁気抵抗効果素子である。また、検出部4は、ピンド層2及びフリー層3の間に、スペーサー層(非磁性中間層)5がさらに配設される。当該磁気抵抗効果素子1は、例えばシリコン製の基板6の表面に形成される。
ピンド層2は、硬磁性材料又は隣接する層によって磁化された状態が保持できる材料から形成され、好ましくは図示するように平面視帯状に形成される薄膜である。フリー層3は、軟磁性材料から形成され、好ましくはピンド層2の法線方向視でピンド層2と略同一形状となるよう積層される平面視帯状の薄膜である。スペーサー層5は、導電性の非磁性体から形成され、好ましくはピンド層2の法線方向視でピンド層及びフリー層3と略同一形状となるよう積層される平面視帯状の薄膜である。
また、当該磁気抵抗効果素子1は、図示するように、外部磁場がない状態でフリー層3を磁化するために、ピンド層2及びフリー層3の両側に配置され、フリー層3に磁界を印加する一対の磁石層(フリー層3側がN極に着磁される第一磁石層7a及びフリー層3側がS極に着磁される第二磁石層7b)を有するとよい。この互いに対をなす第一磁石層7a及び第二磁石層7bは、フリー層3に、図中の矢印Fで示す方向のバイアス磁界を印加することで、外部磁場がない場合にフリー層3を矢印F方向に磁化する。このフリー層3の外部磁場がない場合の磁化の方向Fは、ピンド層2及びフリー層3の長手方向に一致することが好ましい。なお、第一磁石層7a及び第二磁石層7bは、当該磁気抵抗効果素子1から信号を取り出す電極又は電路の一部として使用することができるように導電性材料によって形成してもよい。
第一磁石層7a及び第二磁石層7bは、例えばCoCrPt等の硬磁性材料から形成される薄膜とすることができる。この第一磁石層7a及び第二磁石層7bを形成する材料は、ピンド層2の磁化方向を変化させることなく磁化できるよう、ピンド層2を形成する材料よりも保磁力が小さい(弱い磁界で磁化できる)材料を用いることが好ましい。
当該磁気抵抗効果素子1は、ピンド層2の磁化の方向(図中の矢印Pで示す方向)に平行な方向の成分を検出する。当該磁気抵抗効果素子1において、ピンド層2の磁化の方向(図中の矢印Pで示す方向)は、フリー層3の外部磁場がない場合の磁化の方向(初期化方向、又は第一磁石層7a及び第二磁石層7bから印加されるバイアス磁界の方向)Fに対して傾斜している。
このピンド層2の磁化の方向Pのバイアス磁界の方向Fに対する傾斜角αの下限としては、30°であり、50°が好ましく、55°がより好ましい。一方、前記傾斜角αの上限としては、85°であり、75°が好ましく、65°がより好ましい。前記傾斜角αが前記下限に満たない場合、感度方向がバイアス磁界の方向に近くなるため、外部磁場の検出精度(抵抗値変化の線形性)及び検出感度(外部磁場の変化に対する抵抗値変化の大きさ)が不十分となるおそれがある。逆に、前記傾斜角αが前記上限を超える場合、フリー層3の磁化方向の反転を抑制する効果が不十分となるおそれがある。
検出部4(ピンド層2及びフリー層3を含む積層体)の平均幅としては、例えば2μm以上20μm以下とすることができる。また、検出部4の平均長さとしては、例えば50μm以上500μm以下とすることができる。
<利点>
当該磁気抵抗効果素子1は、ピンド層2の磁化の方向がフリー層3の外部磁場がない場合の磁化の方向Fに対する傾斜角αが前記範囲内であることにより、ピンド層2がフリー層3の初期化時の磁化の方向Fと反対向きの成分を有するよう磁化されているミクロ部分を略有しない。このため、当該磁気抵抗効果素子1は、フリー層の磁化方向の反転が生じ難く、外部磁場を検出できる範囲が比較的大きい。
なお、当該磁気抵抗効果素子1は、前記ピンド層2及びフリー層3を含む積層体から形成される検出部4を備えるものであればよく、この検出部4の積層構造としては、例えばスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子等の任意の巨大磁気抵抗効果素子の積層構造を採用することができる。つまり、当該磁気抵抗効果素子1は、例えば反磁性材料から形成され、ピンド層2のフリー層3と反対側の面に積層されることでピンド層2の磁化の固定を担保するピニング層、フリー層3の表面を覆うキャッピング層、各層の材料が隣接する層に拡散することを防止する拡散防止層等をさらに備えてもよい。また、当該磁気抵抗効果素子1におけるピンド層2とフリー層3との上下関係(基板6に対する積層順序)も任意である。
否限定的な具体例として、図3にスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の検出部4の積層構造の一例を示す。このスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の検出部4は、基板11の上に、フリー層12、第一拡散防止層13、スペーサー層14、ピンド層15、ピニング層16及びキャッピング層17がこの順番に積層されている。
(基板)
基板11は、半導体用基板として用いられるシリコン製の基板である。
(フリー層)
フリー層12は、軟磁性体(比較的透磁率が大きくヒステリシスが小さいもの)から形成される第一磁性層12aと、この第一磁性層12aの上に積層され、軟磁性体から形成される第二磁性層12bとを有する。第一磁性層12aは、例えばアモルファスCoZrNbから形成され、平均厚さが例えば5nm以上15nm以下、典型的には8nmとされる。一方、第二磁性層12bは、例えばNiFeから形成され、平均厚さが例えば2nm以上5nm以下、典型的には3.3nmとされる。
(第一拡散防止層)
第一拡散防止層13は、例えばCoFeから形成され、平均厚さが例えば1nm以上3nm以下とされる。CoFeは軟磁性体であるため、拡散防止層13は、フリー層12と同様に外部磁場に応じて磁化されるので、フリー層12の一部と考えることもできる。
(スペーサー層)
スペーサー層14は、例えば導電性を有する材料から形成される。具体的には、スペーサー層13は、例えばCuから形成され、平均厚さが例えば1nm以上5nm以下、典型的には2.4nmとされる。
(ピンド層)
ピンド層15は、強磁性体(比較的透磁率が大きいもの)から形成される。具体的には、ピンド層15は、例えばCoFeから形成され、平均厚さが例えば1nm以上5nm以下、典型的には2.2nmとされる。
(ピニング層)
ピニング層16は、反強磁性体(比較的透磁率がかなり小さいもの)から形成される。具体的には、ピニング層17は、例えばPtを45mol%以上55mol%以下含むPtMn合金から形成され、平均厚さ15nm以上40nm以下、典型的には24nmとされる。
(キャッピング層)
キャッピング層17は、チタン又はタンタルから形成され、平均厚さが例えば1nm以上5nm以下、典型的には2.5nmとされる。
このスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子は、ピニング層17によってピンド層15が一定方向に磁化が固定され、フリー層12が外部磁場の変動に応じて磁化される。このフリー層12の磁化の方向がピンド層15の磁化の方向と一致するとき、スペーサー層13の抵抗が最小となり、このフリー層12の磁化の方向がピンド層15の磁化の方向と逆方向となるとき、スペーサー層13の抵抗が最大となる。
[磁気センサ]
図4に、図1の磁気抵抗効果素子1を備える本発明の一実施形態に係る磁気センサを示す。当該磁気センサは、外部磁場の互いに直交するXYZの三軸方向の成分を検出するものであり、主に自身に対する相対的な地磁気の向きを検出して方位を確認するための電子コンパスに用いられる三軸磁気センサである。
当該磁気センサは、基板6と、この基板6の表面に形成される少なくとも一対の上述の当該磁気抵抗効果素子1(以下、第一磁気抵抗効果素子と呼ぶ)と、基板6の表面に形成される少なくとも一対の第二磁気抵抗効果素子8とを備える。具体的には、図4の当該磁気センサでは、図示するように、二対(4つ)一組みで二組(合計8つ)の第一磁気抵抗効果素子1と、二対(4つ)一組で一組(合計4つ)の第二磁気抵抗効果素子8とを備える。
当該磁気センサにおいて、基板6は、典型的には側縁がX方向及びY方向に沿う方形、好ましくは正方向の平面形状を有する。この基板6の一辺の平均長さとしては、例えば0.2mm以上2mm以下とすることができる。また、基板6の平均厚さとしては、例えば0.3mm以上1mm以下とすることができる。
第一磁気抵抗効果素子1の各対は、それぞれ基板6のX方向に対向する(それぞれがY方向に延在する)二辺の中央近傍の2つの領域に振り分けて形成される。また、第二磁気抵抗効果素子8の各対は、それぞれ基板6のY方向に対向する(X方向に延在する)別の二辺の近傍領域に振り分けて形成される。基板6の同じ辺の近傍領域に振り分けられる複数の第一磁気抵抗効果素子1又は複数の第二磁気抵抗効果素子8は、互いに長手方向が平行かつ基板6の辺に平行な方向(X方向又はY方向)に並んで形成される。これら基板6の同じ辺の近傍領域に振り分けられる複数の第一磁気抵抗効果素子1又は複数の第二磁気抵抗効果素子8の平面視での間隔(ギャップ)としては、例えば1μm以上10μm以下とされる。
当該磁気センサにおいて、対をなす第一磁気抵抗効果素子1は、フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向Fが互いに逆向きである。また、対をなす第一磁気抵抗効果素子1は、フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向Fに対向して配列される。また、第一磁気抵抗効果素子1は、フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向FがX方向となるよう配設される。つまり、基板6の一辺の近傍に配置される第一磁気抵抗効果素子1の群の中心と、これに対向する辺の近傍に配置される第一磁気抵抗効果素子1の群の中心とを結ぶ方向がX方向と平行なる。
少なくとも一対の第二磁気抵抗効果素子8は、磁化の方向が固定されたピンド層及びこのピンド層の一方の面側に積層され、外部磁場に応じて磁化の方向が変化するフリー層をそれぞれ有し、フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向Faが互いに逆向きである。また、第二磁気抵抗効果素子8は、フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向Fa、つまりピンド層及びフリー層を含む積層体(検出部)の長手方向がY方向となるよう配設される。この第二磁気抵抗効果素子8は、第一磁気抵抗効果素子1と同様の積層構造を有するが、ピンド層の磁化の向きPaが限定されない。この第二磁気抵抗効果素子8のピンド層の磁化の向きPaとしては、典型的には、フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向Faに垂直なX方向とされるが、第一磁気抵抗効果素子1と同様にフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向Faに対して傾斜していてもよい。また、第二磁気抵抗効果素子8の対は、第一磁気抵抗効果素子1のピンド層の磁化の方向Pと平行な方向に配列される。つまり、基板6の一辺の近傍に配置される第二磁気抵抗効果素子8の群の中心と、これに対向する辺の近傍に配置される第二磁気抵抗効果素子8の群の中心とを結ぶ方向が第一磁気抵抗効果素子1のピンド層の磁化の方向Pと平行となる。
また、図5に示すピンド層及びフリー層を含む積層体の長手方向(フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向F)に垂直な断面において、複数対の第一磁気抵抗効果素子1は、ピンド層及びフリー層が、フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向Fに平行な軸を中心として基板6の表面に対して異なる角度で傾斜する複数の平面に沿って形成されている。より詳しくは、二組の第一磁気抵抗効果素子1は、異なる方向に(好ましくは等しい絶対角度で)傾斜する平面上にそれぞれ配設されており、第一磁気抵抗効果素子1の一方の組の法線がZ方向を基準としてY軸正方向に傾斜し、第一磁気抵抗効果素子1の他方の組の法線がZ方向を基準としてY軸負方向に傾斜している。第一磁気抵抗効果素子1を形成する傾斜面は、例えば図示するように基板6の表面に台形状又は三角形状の溝を形成することで設けることができる。第一磁気抵抗効果素子1が配設される平面の基板6の表面(XY平面)に対する傾斜角度の絶対値としては、例えば25°以上65°以下とすることができる。
当該磁気センサでは、複数対の第一磁気抵抗効果素子1をブリッジ接続又は各第一磁気抵抗効果素子1の抵抗値を演算処理することによって外部磁場のY方向及びZ方向の二方向の成分を検出することができる。なお、外部磁場のY方向及びZ方向の二方向の成分を検出するためのブリッジ接続又は演算処理については、例えば特開2007−212275号公報等に詳しく記載されており、周知技術であるため、本明細書では詳細な説明を省略する。
この第二磁気抵抗効果素子8を用いて、第一磁気抵抗効果素子1と同様に、ブリッジ接続又は各素子の抵抗値の演算処理により外部磁場のX方向の成分を導出することができる。従って、当該磁気センサは、外部磁場のY方向及びZ方向の成分を検出できる複数対の第一磁気抵抗効果素子1と、外部磁場のX方向の成分を検出できる第二磁気抵抗効果素子8とによって、外部磁場のXYZ三軸の全ての成分を検出することができる。
さらに、当該磁気センサにおいて、図4に示すように、対をなす第一磁気抵抗効果素子1の配列方向D(複数対ある場合は素子の中心間を結ぶ方向であり、フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向Fと一致)と、対をなす第二磁気抵抗効果素子8の配列方向Da(複数対ある場合は素子の中心間を結ぶ方向)とは傾斜角βで傾斜している。換言すると、対をなす第二磁気抵抗効果素子8は、フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向Faと垂直な方向(第一磁気抵抗効果素子1のフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向F)に互いに逆方向にオフセットされている。
対をなす第一磁気抵抗効果素子1の配列方向Dと、対をなす第二磁気抵抗効果素子8の配列方向Daとの傾斜角βの下限としては、30°であり、50°が好ましく、65°がより好ましい。一方、前記傾斜角βの上限としては、85°であり、75°が好ましく、70°がより好ましい。また、この傾斜角βは、磁気抵抗効果素子1のピンド層2の磁化の方向Pのバイアス磁界の方向Fに対する傾斜角αと等しいことが好ましい。前記傾斜角βが前記下限に満たない場合、磁気抵抗効果素子1のピンド層2を傾斜角αを有するよう規則化することが容易でなくなるおそれがある。逆に、前記傾斜角βが前記上限を超える場合にも、やはり磁気抵抗効果素子1のピンド層2を傾斜角αを有するよう規則化することが容易でなくなるおそれがある。
つまり、当該磁気センサは、対をなす第一磁気抵抗効果素子1の配列方向と対をなす第二磁気抵抗効果素子8の配列方向とが傾斜していることにより、後述するように、平行四辺形格子状に配列した磁極を用いて記第一磁気抵抗効果素子1のピンド層及び第二磁気抵抗効果素子8のピンド層を比較的容易かつ正確にピニング(規則化)することができる。
<利点>
当該磁気センサは、フリー層の着磁方向の反転が生じ難い少なくとも一対の第一磁気抵抗効果素子1を備えるので、外部磁場の少なくとも第一磁気抵抗効果素子1が検出する成分を比較的広範囲に検出することができる。
[磁気抵抗効果素子の製造方法]
当該磁気抵抗効果素子1は、基板6の一方の面側にピンド層形成材料及びスペーサー層形成材料を積層する工程と、ピンド層形成材料を磁化する工程とを備える本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子の製造方法によって製造することができる。
前記積層工程では、スペーサー層形成材料及びフリー層形成材料の他、当該磁気抵抗効果素子1の検出部4を構成する各層を形成する材料を順番に積層する。各層を積層する順番は、当該磁気抵抗効果素子1の積層構造に応じて適宜選択される。
前記磁化工程では、ピンド層形成材料に印加する磁界の向きをフリー層の外部磁場がない場合の磁化方向Fに対して傾斜させる。これによって、ピンド層形成材料に印加する磁界の向きに沿う方向に磁化されたピンド層が形成される。従って、ピンド層形成材料に印加する磁界の向きのフリー層の外部磁場がない場合の磁化方向Fに対する傾斜角度は、そのまま当該磁気抵抗効果素子1におけるピンド層の磁化の方向Pのフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向Fに対する傾斜角αとなる。
具体的には、図6に示すように、ピンド層形成材料を幅方向に挟み込むよう配置するN極とS極とをフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向F(X方向)に位置ずれして配置する。つまり、磁気抵抗効果素子1を挟み込むN極とS極とを結ぶ方向(これらの磁極が形成する磁界の方向)が、磁気抵抗効果素子1の長手方向に対して上述の傾斜角αを有するように配置される。
より詳しくは、磁気抵抗効果素子1に磁界を印加するためのN極とS極とは、ピンド層を磁化するためのN極がフリー層を磁化するための一対の磁石層7a,7bの内のN極である第一磁石層7a側に、ピンド層を磁化するためのS極がS極である第二磁石層7b側に、それぞれX方向に等しい量だけ磁気抵抗効果素子1の長手方向中心に対してオフセットされている。
このように配置される複数の磁極を用いることによって、前記磁化工程でピンド層形成材料に印加する磁界の向きをフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向Fに対して傾斜させることができ、フリー層の磁化方向の反転が生じ難く、外部磁場を比較的広い範囲で検出することができる磁気抵抗効果素子1を効率よく製造できる。
[磁気センサの製造方法]
当該磁気抵抗効果素子1を備える上述の磁気センサは、当該磁気抵抗効果素子の製造方法を用い、基板6の表面に複数の第一磁気抵抗効果素子1及び第二磁気抵抗効果素子を形成することで製造することができる。
当該磁気センサの製造方法において、前記磁化工程では、ダイシング(切断)前のウエハの状態の基板6に近接して複数の磁極を配置した状態でピンド層形成材料を加熱する工程を有するとよい。
また、当該磁気センサの製造方法は、基板6の一方の面側の磁気抵抗効果素子形成領域両端部に、磁石形成材料を積層する工程と、前記磁化工程後に磁石形成材料を磁化することにより、フリー層にバイアス磁界を印加する第一磁石層7a及び第二磁石層7bを形成する工程とをさらに備えてもよい。
図7に、磁化工程において使用する磁極の配置を示す。図示するように、磁化工程において使用する複数の磁極は、磁気抵抗効果素子1のフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向Fに垂直な方向(Y方向)に交互に配置されるN極とS極とを有する。そして、これら複数の磁極は、N極とS極とがフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向F(X方向)に位置ずれして配置される。つまり、磁気抵抗効果素子1を挟み込むN極とS極とを結ぶ方向(これらの磁極が形成する磁界の方向)が、磁気抵抗効果素子1の長手方向に対して上述の傾斜角αを有するように配置される。
また、基板6の上に、第一磁気抵抗効果素子1と第二磁気抵抗効果素子8とが配列して形成される当該磁気センサを形成する場合、図示するように、磁化工程で使用する複数の磁極は、上述のようにN極とS極とをX方向にずらしてY方向に配列された磁極の列が、X方向に複数列に亘って配列される。この場合、複数の磁極は、磁気抵抗効果素子1のフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向Fにも、N極とS極とが交互に配置される。これにより、第一磁気抵抗効果素子1のピンド層を磁化するための磁極により、第二磁気抵抗効果素子8のピンド層も同時に磁化するX方向の磁界を形成することができる。
また、これらの磁極のX方向のオフセット量は、N極とS極とを結ぶ方向が磁気抵抗効果素子1の長手方向に対して傾斜角αを有するように配置されることにより、磁気センサにおける第二磁気抵抗効果素子8のX方向中心からのオフセット量と等しくなるので、N極とS極とが、第二磁気抵抗効果素子8から等距離に配置される。これにより、第二磁気抵抗効果素子8のピンド層が適切に磁化される。
当該磁気センサの製造方法は、上述のように配置される複数の磁極を用いて、第一磁気抵抗効果素子1のピンド層形成材料及び第二磁気抵抗効果素子8のピンド層形成材料に同時に磁界を印加することができ、第一磁気抵抗効果素子1及び第二磁気抵抗効果素子8を効率よく形成することができるので、磁気抵抗効果素子1を備える当該磁気センサを効率よく製造できる。
なお、当該磁気センサの製造方法では、第一磁気抵抗効果素子1及び第二磁気抵抗効果素子8のフリー層の磁化の向きが、磁気センサの内側を向いているものと磁気センサの外側を向いているものとの2種類が形成されるが、フリー層に印加すべきバイアス磁界の方向が逆向きである(このために設けられる磁極のNSが異なる)ことにより磁気センサの出力の正負が異なるだけであるため、フリー層の磁化の向きを確認して実装すればよく、実用上の問題は生じない。
[その他の実施形態]
前記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、前記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて前記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
当該磁気抵抗効果素子は、バイアス磁界を印加する磁石層を有していなくてもよい。磁石層を有しない磁気抵抗効果素子は、バイアス磁界を形成する外部の磁石と共に用いられる。
当該磁気抵抗効果素子は、例えば特開2007−212275号公報等に記載されるように、物理的に平行に配設され、電気的に直列に接続される複数の検出部を有するものであってもよい。
また、当該磁気抵抗効果素子は、上述の実施形態のようにピンド層及びフリー層の面に平行に電流を流すCIP(Current In Plane)構造のものに限られず、ピンド層及びフリー層の面に垂直に電流を流すCPP(Current Perpendicular to Plane)構造のものであってもよい。
当該磁気抵抗効果素子は、一方向の外部磁場を検出する一軸の磁気センサに用いられてもよい。
当該磁気センサは、第一磁気抵抗効果素子が基板の表面に対して傾斜して配置されるものに限られず、第一磁気抵抗効果素子及び第二磁気抵抗効果素子が基板の表面に沿って配置され、XY方向の外部磁場を検出する二軸センサであってもよい。
当該磁気センサにおいて、第一磁気抵抗効果素子及び第二磁気抵抗効果素子の長手方向(フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向)が傾斜していてもよい。
また、当該磁気センサにおいて、第二磁気抵抗効果素子の配列方向が第一磁気抵抗効果素子の配列方向に対して垂直であってもよい。つまり、当該磁気センサは、第二磁気抵抗効果素子が第一磁気抵抗効果素子のフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向にオフセットされていないものであってもよい。
当該磁気センサは、当該磁気センサの製造方法によって製造されるものに限定されない。具体例として、磁気抵抗効果素子の規則化処理において、磁界を印加するためのN極とS極としては、フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向に位置ずれして配置されるものに限らず、平面視棒状かつフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向に対して傾斜して配置されるものを使用してもよい。
当該磁気抵抗効果素子及び磁気センサは、地磁気を検出するセンサに特に好適に利用することができる。
1 磁気抵抗効果素子(第一磁気抵抗効果素子)
2 ピンド層
3 フリー層
4 検出部
5 スペーサー層
6 基板
7a 第一磁石層
7b 第二磁石層
8 第二磁気抵抗効果素子
11 基板
12 フリー層
12a 第一磁性層
12b 第二磁性層
13 第一拡散防止層
14 スペーサー層
15 ピンド層
16 ピニング層
17 キャッピング層
D,Da 磁気抵抗効果素子の配列方向
F,Fa フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向
P,Pa ピンド層の磁化の方向
α バイアス磁界の方向Fに対する傾斜角
β 第一磁気抵抗効果素子の配列方向と第二磁気抵抗効果素子の配列方向との傾斜角

Claims (5)

  1. 磁化の方向が固定されるピンド層と、このピンド層の一方の面側に積層され、外部磁場に応じて磁化の方向が変化するフリー層とを備える磁気抵抗効果素子であって、
    前記ピンド層の磁化の方向がフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向に対して傾斜しており、その傾斜角が30°以上85°以下であることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 基板と、
    この基板の表面に形成され、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子である少なくとも一対の第一磁気抵抗効果素子と、少なくとも一対の第二磁気抵抗効果素子とを備え、
    前記第一磁気抵抗効果素子の対が、それぞれのフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向が互いに逆向きであり、かつフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向に配列され、
    前記第二磁気抵抗効果素子が、前記基板の表面に形成され、磁化の方向が固定されたピンド層及びこのピンド層の一方の面側に積層され、外部磁場に応じて磁化の方向が変化するフリー層をそれぞれ有し、
    前記第二磁気抵抗効果素子の対が、それぞれのフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向が互いに逆向きであり、
    前記第一磁気抵抗効果素子のフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向と第二磁気抵抗効果素子のフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向とが垂直であり、
    対をなす前記第一磁気抵抗効果素子の配列方向と対をなす第二磁気抵抗効果素子の配列方向とが傾斜しており、その傾斜角が30°以上85°以下である磁気センサ。
  3. 前記フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向が互いに平行になるよう配設される複数対の前記第一磁気抵抗効果素子を備え、
    前記複数対の第一磁気抵抗効果素子のピンド層及びフリー層が、フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向に平行な軸を中心として前記基板の表面に対して異なる角度で傾斜する複数の平面に沿って形成されている請求項2に記載の磁気センサ。
  4. 磁化の方向が固定されるピンド層と、このピンド層の一方の面側に積層され、外部磁場がない場合に一定の方向に磁化され、外部磁場に応じて磁化の方向が変化するフリー層とを備える磁気抵抗効果素子の製造方法であって、
    基板の一方の面側に、ピンド層形成材料及びフリー層形成材料を積層する工程と、
    前記ピンド層形成材料を磁化する工程と
    を備え、
    前記磁化工程でピンド層形成材料に印加する磁界の向きをフリー層の外部磁場がない場合の磁化方向に対して傾斜させ、その傾斜角が30°以上85°以下であることを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
  5. 請求項4に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法を用い、基板の表面に複数の磁気抵抗効果素子を形成する磁気センサの製造方法であって、
    前記磁化工程が、前記基板に近接して複数の磁極を配置した状態でピンド層形成材料を加熱する工程を有し、
    前記複数の磁極が、磁気抵抗効果素子のフリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向に垂直な方向に交互に配置されるN極とS極とを有し、前記ピンド層形成材料に印加する磁界の向きをフリー層の外部磁場がない場合の磁化方向に対して傾斜させるよう前記N極とS極とを前記フリー層の外部磁場がない場合の磁化の方向に位置ずれして配置する磁気センサの製造方法。
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